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特許7498792アンテナ組立体を有する飛行体、アンテナ組立体、ならびに関連する方法および構成要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】アンテナ組立体を有する飛行体、アンテナ組立体、ならびに関連する方法および構成要素
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/28 20060101AFI20240605BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20240605BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20240605BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20240605BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
H01Q1/28
H01Q1/22 Z
H01Q21/06
H01Q9/26
H01Q9/42
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022558503
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(86)【国際出願番号】 US2021020885
(87)【国際公開番号】W WO2021194718
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】63/001,151
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/894,057
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ,マーク・ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ハンスバーガー,ハロルド・クレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ,ヘレン・ジェイ
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06703975(US,B1)
【文献】特表2017-519180(JP,A)
【文献】特開2004-197592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0167838(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0007471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/28
H01Q 1/22
H01Q 21/06
H01Q 9/26
H01Q 9/42
H01Q 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の本体を備えるフェアリング構成要素と、
前記フェアリング構成要素の少なくとも内面に形成された導電性コーティングと、
前記導電性コーティングに形成された複数のアンテナ素子であって、各アンテナ素子が、
第1の伝送路を画定する第1のスロットラインと、
第2の伝送路を画定する第2のスロットラインと
を備える、複数のアンテナ素子と、
前記フェアリング構成要素内に配置された断熱材スリーブと、
前記複数のアンテナ素子に動作可能に結合された複数のケーブル組立体であって、各ケーブル組立体がそれぞれのアンテナ素子に結合されている、複数のケーブル組立体と
を備えるアンテナ組立体。
【請求項2】
前記導電性コーティングが、前記フェアリング構成要素の外面の周りを包み、前記外面の一部分を覆う、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項3】
前記断熱材スリーブ内に配置された吸収材スリーブをさらに備え、前記吸収材スリーブの外面が前記断熱材スリーブの内面に少なくとも実質的に一致する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項4】
前記断熱材スリーブの外面が前記フェアリング構成要素の内面に少なくとも実質的に一致する、請求項1に記載のアンテナ組立体。
【請求項5】
前記第1のスロットラインが、原点から延びる第1の正弦波のスロットラインを備え、
前記第1の正弦波のスロットラインの振幅が、前記原点から延びる方向に第1の割合で増大し、
前記第1の正弦波のスロットラインの周波数が、前記原点から延びる方向に第2の割合で減少する、請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ組立体。
【請求項6】
前記第1のスロットラインと前記第2のスロットラインとが、前記原点を通って延びるアンテナ中心軸線に対して概ね鏡像関係である、請求項5に記載のアンテナ組立体。
【請求項7】
前記フェアリング構成要素内に配置され、前記フェアリング構成要素の前記内面に当接する接続リングをさらに備え、前記接続リングが、前記複数のアンテナ素子のコネクタ接触領域と軸方向に位置合わせされた、請求項1~4のいずれか一項に記載のアンテナ組立体。
【請求項8】
前記接続リングが複数の受入構造を備え、各受入構造がアンテナ素子に相互に関係し、
段付き円形凹部と、
前記段付き円形凹部の最底部表面から前記接続リングを貫通して延びる開口と、
前記最底部表面から上向きに延び、前記段付き円形凹部の側壁に当接する位置合わせピンと、
前記段付き円形凹部から半径方向外向きに延びる両側の2つの翼凹部と
を備える、請求項7に記載のアンテナ組立体。
【請求項9】
誘電体の両側に形成された導電性コーティングと、
前記導電性コーティングに形成され、第1の伝送路を画定する第1のスロットラインであって、原点から延びる第1の正弦波のスロットラインを備え、振幅および周波数が変化する第1のスロットラインであり、前記原点から延びる方向に、前記第1の正弦波のスロットラインの前記振幅が、前記周波数が減少するにつれて増大し、前記第1のスロットラインが、細長い三角形のスロット部分で終端する、第1のスロットラインと
を備えるアンテナ素子。
【請求項10】
前記導電性コーティングに形成され、第2の伝送路を画定する第2のスロットラインであって、前記原点から延びる第2の正弦波のスロットラインを備え、振幅および周波数が変化する第2のスロットラインであり、前記原点から延びる方向に、前記第2の正弦波のスロットラインの前記振幅が、前記周波数が減少するにつれて増大する、第2のスロットラインをさらに備える、請求項9に記載のアンテナ素子。
【請求項11】
前記第1のスロットラインが、前記第1の正弦波のスロットラインの開始部から前記原点を通り過ぎて延びる第1の直線スロットを備え、
前記第2のスロットラインが、前記第2の正弦波のスロットラインの開始部から前記原点を通り過ぎて延びる第2の直線スロットを備え、
前記第1のスロットラインと前記第2のスロットラインとが実質的に平行であり、円形スロット部分で交わり、
前記第1のスロットラインと、前記第2のスロットラインと、前記円形スロット部分とが、前記アンテナ素子のコネクタ接触領域を画定する、請求項10に記載のアンテナ素子。
【請求項12】
各ケーブル組立体が、
それぞれのアンテナ素子に動作可能に結合される前部コネクタと、
第2のコネクタと、
前記前部コネクタと前記第2のコネクタとの間を延びる同軸ケーブルと
を備える、請求項1~4、6、および8のいずれか一項に記載のアンテナ組立体。
【請求項13】
前記アンテナ組立体の前記前部コネクタが、
前記それぞれのアンテナ素子の開始部分の第1の領域に接触するように構成された外側接触部と、
前記それぞれのアンテナ素子の開始部分の第2の領域に接触するように構成された内側接触部であって、前記前部コネクタの前記外側接触部に対して前記それぞれのアンテナ素子の方へ付勢された内側接触部と
を備える、請求項12に記載のアンテナ組立体。
【請求項14】
前記フェアリング構成要素内に配置され、前記フェアリング構成要素の前記内面に当接する接続リングをさらに備え、
前記アンテナ組立体の前記前部コネクタが、前記ケーブル組立体を前記アンテナ組立体の前記接続リングのそれぞれの受入構造に固定するリテーナ要素をさらに備え、前記外側接触部が、前記リテーナ要素に対して前記それぞれのアンテナ素子の方へ付勢される、請求項13に記載のアンテナ組立体。
【請求項15】
前記内側接触部を前記外側接触部に対して付勢する第1のばね要素と、
前記外側接触部を前記リテーナ要素に対して付勢する第2のばね要素とをさらに備え、
前記第1のばね要素が圧縮ばねを備え、前記第2のばね要素が少なくとも1つのばね座金を備える、請求項14に記載のアンテナ組立体。
【請求項16】
機体と、
前記機体に取り付けられた請求項1~4、6、8、13、14、および15のいずれか一項に記載のアンテナ組立体と
を備える飛行体。
【請求項17】
前記フェアリング構成要素を形成するステップと、
前記フェアリング構成要素の前記内面に前記導電性コーティングを印刷するステップと、
前記第1のスロットラインおよび前記第2のスロットラインを画定するために前記フェアリング構成要素の前記内面の前記導電性コーティングの一部を除去するステップであって、前記第1のスロットラインが、前記アンテナ素子の前記第1の伝送路を形成し、前記第2のスロットラインが、前記アンテナ素子の前記第2の伝送路を形成する、ステップと
を含む、請求項1~4、6、8、13、14、および15のいずれか一項に記載のアンテナ組立体を形成する方法。
【請求項18】
前記フェアリング構成要素の外面の前記導電性コーティングの境界の少なくとも一部分を覆ってはみ出る終端パターンを形成するステップをさらに含み、前記第1のスロットラインおよび前記第2のスロットラインを画定するために前記フェアリング構成要素の前記内面の前記導電性コーティングの前記一部を除去するステップが、前記導電性コーティングをレーザーエッチングするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、「AERIAL VEHICLE HAVING ANTENNA ASSEMBLIES, ANTENNA ASSEMBLIES, AND RELATED METHODS AND COMPONENT」という名称で2020年3月27日出願の米国仮特許出願第63/001,151号について35U.S.C.§119(e)条に基づく利益を主張する2020年6月5日出願の米国特許出願第16/894,057号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に飛行体用のアンテナ組立体に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、平面導波路を有し、同軸から平面に移行するアンテナ組立体、ならびに関連する製造方法および構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
対数周期アンテナは、典型的には、通信信号を受信および/または送信することができる対数周期の導電性素子を有するものとして特徴付けられており、各ダイポールアンテナ素子の相対寸法と素子間の間隔が、アンテナが動作する周波数範囲に対数的に関係付けられている。対数周期ダイポールアンテナは、アンテナの素子を絶縁基板の表面層内に、コンフォーマルコーティングで、または表面層の上に作製することができるプリント回路基板を用いて作製することができる。アンテナ素子は、典型的には、主ビーム軸、すなわちアンテナの周波数の増加に対する位相中心の移動方向が同じ方向になるように、基板の共通平面上に形成される。
【0004】
しかしながら、従来の対数周期アンテナは、典型的には、比較的高い温度(例えば、343.3℃(650°F)より高い温度)で機能を失ったり、物理的な損傷を受けたりする。したがって、大気中を移動し、比較的高い温度に曝される飛行体の従来の対数周期アンテナは、損傷を受けたり、機能が損なわれたりすることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、機体と、機体に取り付けられたアンテナ組立体とを含む飛行体を含む。アンテナ組立体は、中空の本体を備えるフェアリング構成要素と、フェアリング構成要素の少なくとも内面に形成された導電性コーティングと、導電性コーティングに形成された複数のアンテナ素子と、フェアリング構成要素内に配置された断熱材スリーブであって、断熱材スリーブの外面が、フェアリング構成要素の内面に少なくとも実質的に一致する、断熱材スリーブと、複数のアンテナ素子に動作可能に結合された複数のケーブル組立体であって、各ケーブル組立体がそれぞれのアンテナ素子に結合されている、複数のケーブル組立体とを含む。各アンテナ素子は、第1の伝送路を画定する第1のスロットラインと、第2の伝送路を画定する第2のスロットラインとを含む。
【0006】
本開示のさらなる実施形態は、誘電体の両側に形成された導電性コーティングと、導電性コーティングに形成され、第1の伝送路を画定する第1のスロットラインであって、原点から延びる第1の正弦波のスロットラインを備え、振幅および周波数が変化する第1のスロットラインであり、原点から延びる方向に、第1の正弦波のスロットラインの振幅が、周波数が減少するにつれて増大する、第1のスロットラインと、導電性コーティングに形成され、第2の伝送路を画定する第2のスロットラインであって、原点から延びる第2の正弦波のスロットラインを備え、振幅および周波数が変化する第2のスロットラインであり、原点から延びる方向に、第2の正弦波のスロットラインの振幅が、周波数が減少するにつれて増大する、第2のスロットラインとを含むアンテナ素子を含む。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、中空のフェアリング構成要素と、フェアリング構成要素の内面に形成された導電性コーティングと、導電性コーティングに形成された複数のアンテナ素子と、フェアリング構成要素内に配置された断熱材スリーブと、断熱材スリーブ内に配置された吸収材スリーブと、吸収材スリーブ内に配置された内側スリーブと、フェアリング構成要素内に配置され、導電性コーティングに当接する接続リングであって、複数の受入構造を画定する接続リングであり、受入構造のそれぞれが、それぞれのアンテナ素子の開始部分と位置合わせされた、接続リングと、複数のアンテナ素子に動作可能に結合された複数のケーブル組立体であって、各ケーブル組立体が、それぞれのアンテナ素子に結合され、同軸から同平面への接続部である、複数のケーブル組立体とを備えるアンテナ組立体を含む。各アンテナ素子は、第1のスロットラインと、アンテナ素子の開始部分において第1のスロットラインに接続された第2のスロットラインとを含む。
【0008】
本開示の実施形態は、セラミックマトリックス複合体を備えるフェアリング構成要素を形成するステップと、フェアリング構成要素の内面と、フェアリング構成要素の外面の一部分とに導電性コーティングを印刷するステップと、第1のスロットラインおよび第2のスロットラインを画定するためにフェアリング構成要素の内面の導電性コーティングの一部分を除去するステップであって、第1のスロットラインが、アンテナ素子の第1の伝送路を形成し、第2のスロットラインが、アンテナ素子の第2の伝送路を形成する、ステップとを含む、アンテナ組立体を形成する方法をさらに含む。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、準平面導波路に動作可能に結合されるように構成されたケーブル組立体を含む。ケーブル組立体は、外側接触部と、外側接触部内に少なくとも部分的に配置され、外側接触部内の長手方向中心軸線を共有する内側接触部と、外側接触部と内側接触部との間に配置され、内側接触部を外側接触部に対して軸方向に付勢する第1のばね要素と、ケーブル組立体を機体に固定するための保持要素と、外側接触部の少なくとも一部分と保持要素の少なくとも一部分との間に配置され、外側接触部を保持要素に対して軸方向に付勢する第2のばね要素とを含む前部接触器を含む。ケーブル組立体は、後部接触器と、前部接触器と後部接触器との間を延び、それらに動作可能に結合された同軸ケーブルとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体を有する飛行体の図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による、飛行体の第1の組立体に取り付けられたアンテナ組立体の断面斜視図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による、飛行体の第2の組立体に取り付けられたアンテナ組立体の断面斜視図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の斜視図である。
図5図4のアンテナ組立体の分解斜視図である。
図6】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体のフェアリング構成要素の斜視図である。
図7図6のフェアリング構成要素の側面断面図である。
図8A】本開示の1つまたは複数の実施形態によるフェアリング構成要素のアンテナ素子の一部分の拡大図である。
図8B】フェアリング構成要素のアンテナ素子の一部分の別の拡大図である。
図9】フェアリング構成要素のコーティングをより良く示すために、1つまたは複数の要素が除去された、フェアリング構成要素の側面図である。
図10】フェアリング構成要素の終端パターンを示す、フェアリング構成要素の別の側面図である。
図11図11Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の接続リングの斜視図である。 図11Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による接続リングのケーブル組立体受入構造の拡大部分斜視図である。 図11Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による接続リングのタブ受入構造の拡大部分斜視図である。
図12図12Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の断熱材スリーブの正面図である。 図12Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による断熱材スリーブの一部分の斜視図である。
図13A】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の吸収材スリーブの斜視図である。
図13B】本開示の1つまたは複数の実施形態による吸収材スリーブの側面部分断面図ある。
図13C】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の吸収材スリーブの斜視図である。
図13D】本開示の1つまたは複数の実施形態による吸収材スリーブの側面部分断面図である。
図14図14Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の内側スリーブの斜視図である。 図14Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、接続リングに接続するための内側スリーブのタブの部分斜視図である。 図14Cは、内側スリーブを接続リングと位置合わせするための内側スリーブのジョグの部分斜視図である。
図15A】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体のケーブル組立体の斜視図である。
図15B図15Aのケーブル組立体の拡大部分断面図である。
図15C】本開示の1つまたは複数の実施形態による、接続リングに取り付けられたケーブル組立体の断面図である。
図15D】本開示の1つまたは複数の実施形態による、アンテナ素子に動作可能に結合されたケーブル組立体の斜視図である。
図15E】接続リングに取り付けられたケーブル組立体の別の断面図である。
図15F】導電性シールド、終端パターン、および細長い三角形状のノッチが描かれたフェアリング構成要素の側面図である。
図16図16Aは、飛行体の一部分に取り付けられたアンテナ組立体の側面断面図である。 図16Bは、飛行体の上記部分に取り付けられたアンテナ組立体の拡大断面図である。
図17】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の温度サイクルの前、途中、および終了時に対応する時間に対してプロットされた例示的なSパラメータ振幅を示すプロットである。
図18】本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の温度サイクルの前、途中、および終了時に対応する時間に対してプロットされた例示的なSパラメータ振幅を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に提示する図は、いかなる特定の飛行体、アンテナ組立体、導波路、構成要素、またはシステムの実際の図であることも意味せず、本開示の実施形態を説明するために使用する理想化した表現に過ぎない。加えて、図の間で共通する要素は、便宜上および明確化のために同じ数字のまま表示することがある。
【0012】
本明細書で使用するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」に続く単数形は、文脈上特に明記されていない限り、複数形も含むことが意図されている。
【0013】
本明細書で使用するとき、材料、構造、特徴、または方法の行為に関する「であってもよい(may)」という用語は、それらを本開示の実施形態の実施に使用することが考えられることを示し、このような用語は、それらと組み合わせて使用することができる他の互換性のある材料、構造、特徴、および方法を除外するほうがよい、または除外しなければならないと示唆することを避けるために、より限定的な用語「である(is)」に優先して使用されている。
【0014】
本明細書で使用するとき、「第1の」、「第2の」、「第3の」などのいかなる関係用語も、開示および添付図面を理解する際の明確さおよび便利さために使用され、文脈上特に明記されていない限り、いかなる特定の優先度または順序をも意味したり、それらに依存したりするものではない。
【0015】
本明細書で使用するとき、所与のパラメータ、特性、または条件に関して「実質的に」という用語は、当業者が、所与のパラメータ、特性、または条件が、許容可能な製造公差内などの小程度の変動に合致すると理解する程度のことを意味する、または含む。例として、実質的に合致する特定のパラメータ、特性、または条件に応じて、パラメータ、特性、または条件は、少なくとも90.0%、少なくとも95.0%、少なくとも99.0%、または、少なくとも99.9%さえ合致することができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、所与のパラメータに関して使用される「約」という用語は、記載された値を含み、文脈によって規定される意味を有する(例えば、所与のパラメータの測定に関連する誤差の程度、および製造公差から生じる変動などを含む)。
【0017】
本開示の実施形態は、長時間にわたって比較的高い温度で機能するアンテナ組立体を含む。例えば、本開示のアンテナ組立体は、少なくとも537.8℃(1000°F)、593.3℃(1100°F)、648.9℃(1200°F)、または815.6℃(1500°F)の温度で構造的および動作的完全性を維持することができる。いくつかの実施形態では、本アンテナ組立体は、対数周期アンテナ素子を含むことができる。さらに、本アンテナ組立体は、同軸ケーブルに動作可能に結合された平面アンテナ素子(例えば、平面導波路)を含むことができる。本アンテナ素子は、導電性コーティングに形成された複数のスロットラインを含むことができる。複数のスロットラインは、本アンテナ素子のための伝送路を形成する。さらに、本アンテナ組立体の材料および構造は、本明細書で説明するように、本アンテナ組立体が、比較的高い温度での構造的および動作的完全性を維持することを可能にする。
【0018】
さらに、本開示のアンテナ組立体は、従来のアンテナ組立体を超える利点を提供することができる。例えば、本アンテナ組立体は、比較的高い温度での構造的および動作的完全性を維持するので、本アンテナ組立体は、本アンテナ組立体が取り付けられ、本アンテナ組立体が利用される飛行体および/または機体の動作範囲を広げる。例えば、これらの飛行体および/または機体は、従来のアンテナ組立体と比較してより高い温度の環境に曝すことができる。さらに、本アンテナ組立体は、予期しない高い温度を受けた場合でも、アンテナ組立体の機能性を維持することができ、その結果、外部の構成要素/コントローラとの無線周波数通信を維持することができる。その結果、本アンテナ組立体は、従来のアンテナ組立体と比較してより高い信頼性を提供する。さらに、本アンテナ組立体は、従来のアンテナ組立体と比較してアンテナ組立体の用途(例えば、使用方法)を広げる。
【0019】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態による高温対数周期アンテナ組立体102(以下、「アンテナ組立体102」と称する)を有する飛行体100を示す。以下でより詳細に説明するように、アンテナ組立体102は、アンテナ組立体102が長時間(例えば、数分または数時間)比較的高温において構造的および動作的完全性を維持することを可能にする構造および材料の組合せを有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、アンテナ組立体102は、少なくとも537.8℃(1000°F)、593.3℃(1100°F)、648.9℃(1200°F)、もしくは815.6℃(1500°F)の環境において動作および機能し続けることができ、または長時間、前述の温度のうちのいずれかの温度を受け続けることができる。いくつかの実施形態では、飛行体100は、撃墜弾、無人飛行体、ドローン、ミサイル、および航空機(例えば、飛行機)などのうちの1つまたは複数を含むことができる。加えて、1つまたは複数の実施形態では、アンテナ組立体102は、地上乗物、海上乗物、または静止物体に取り付けられてもよい。
【0020】
本発明のいくつかのアンテナ実施形態は、無線周波数(RF)信号の送信機、受信機、および/またはトランシーバとともに使用することができる。したがって、本開示のアンテナ組立体102は、実質的に周波数に依存せず、受信アレイとして機能することができ、それに代えて送信アレイとして機能することができ、または送信および受信アレイ両方(すなわち、トランシーバアレイ)として機能することができる。
【0021】
アンテナ組立体102は、無線周波数受信システム、またはトランシーバと称することができる無線周波数送受信システム(飛行体100の内部に配置されることがある)に電気的に接続することができる。RF受信機は、アンテナ組立体102からの電流を低雑音増幅器(LNA:low noise amplifier)によって処理することができ、次いで、局所発振器およびミキサによって波形の周波数をダウンコンバートすることができ、得られた中間周波数波形を適応利得制御増幅器回路によって処理することができる。得られた調整された波形は、アナログデジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)によってサンプリングされ、離散的な波形をデジタル信号処理モジュールによって処理することができる。RF波形の周波数がADCの変換レートのサンプリング周波数内にある場合、直接変換を使用することができ、ADCレートと同等のレートで離散的な波形を処理することができる。受信機は、マイクロプロセッサ、アドレス指定可能メモリ、および機械実行可能な命令を有するデジタル処理モジュールによる信号処理および/または制御ロジックをさらに含んでもよい。RF送信機は、デジタルアナログ変換器(DAC)によってアナログ波形に変換されたデジタル波形を処理することができ、同相/直交(I/Q:in-phae/quadrature)変調器によってアナログ波形をアップコンバートし、ならびに/または、局部発振器およびミキサによって波形周波数をステップアップし、次いで高出力増幅器(HPA:high-power amplifier)によってアップコンバートされた波形を増幅して、増幅された波形をアンテナに電流として伝導することができる。送信機は、マイクロプロセッサ、アドレス指定可能メモリ、および機械実行可能な命令を有するデジタル処理モジュールによる信号処理および/または制御ロジックをさらに含んでもよい。トランシーバは、一般に、受信機と送信機の両方の機能を有し、典型的には、構成要素またはアナログもしくはデジタル信号処理モジュールを共有し、マイクロプロセッサ、アドレス指定可能メモリ、および機械実行可能命令を有するデジタル処理モジュールによる信号処理および/または制御ロジックを使用する。
【0022】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、飛行体の第1の組立体101aに取り付けられたアンテナ組立体102の断面斜視図である。図3は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、飛行体の第2の組立体102aに取り付けられたアンテナ組立体102の断面斜視図である。図2および図3にともに描かれているように、いくつかの実施形態では、アンテナ組立体102は、飛行体100の機首部分に、または機首部分の近くに取り付けることができる。さらなる実施形態では、アンテナ組立体102は、飛行体100の機首部分と機体部分(例えば、胴体または機体)との間に配置することができる。さらに、本明細書では特定の位置が記述されているが、アンテナ組立体102またはその要素は、飛行体のいずれの位置にも配置することができる。
【0023】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体102の斜視図である。図5は、図4のアンテナ組立体102の分解斜視図である。いくつかの実施形態では、アンテナ組立体102は、フェアリング構成要素104と、接続リング106と、断熱材スリーブ108と、吸収材スリーブ110と、内側グランドスリーブ112(以下、「内側スリーブ112」と称する)と、複数のケーブル組立体114とを含むことができる。
【0024】
以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、フェアリング構成要素104は、概ね中空の先端が切られたオジーブ形状を有してもよく、細い長手方向端部103(すなわち、前端)および反対側の太い長手方向端部105(例えば、後端)を有してもよい。他の実施形態では、フェアリング構成要素104は、中空の円錐台形状または中空の円筒形状を有してもよい。接続リング106は、概ね環状形状を有してもよく、フェアリング構成要素104内に配置されてもよい(例えば、配置可能であってもよい)。いくつかの実施形態では、接続リング106は、アンテナ組立体102が取り付けられるハウジング(例えば、飛行体)に一体化されてもよい。他の実施形態では、接続リング106は、アンテナ組立体102が取り付けられるハウジング(例えば、飛行体)とは別々の別個のものであってもよい。さらに、接続リング106の半径方向に最も外側の表面は、以下でより詳細に説明するように、フェアリング構成要素104の内面に接触するような大きさおよび形状とすることができる。接続リング106がフェアリング構成要素104内に配置されるとき、接続リング106の半径方向に最も外側の表面は、フェアリング構成要素104の内面と概ね同心とすることができる。さらに、接続リング106は、フェアリング構成要素104の細い端部103でフェアリング構成要素104内に配置可能かつ取付可能であってもよい。加えて、接続リング106は、フェアリング構成要素に取り付けられたとき、フェアリング構成要素104の細い端部103の縁部と位置が合ってもよい。以下でより詳細に説明するように、接続リング106は、複数のケーブル組立体114をフェアリング構成要素104に機械的に結合するための接続点をさらに提供することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108もまた、先端が切られたオジーブ形状(またはフェアリング構成要素104と一致する任意の他の形状)を有してもよく、フェアリング構成要素104よりも短い長手方向長さを有してもよい。その結果、断熱材スリーブ108は、フェアリング構成要素104内に配置可能とすることができ、接続リング106に当接することができ、フェアリング構成要素104の内面に実質的に接触することができる。例えば、断熱材スリーブ108は、接続リング106と実質的に同じ外径を有してもよい。以下でさらに詳細に説明するように、断熱材スリーブ108は、フェアリング構成要素104の外部からアンテナ組立体の内部および飛行体100の内部への熱伝達を少なくとも部分的に抑制することができる。加えて、いくつかの実施形態では、接続リング106と断熱材スリーブ108とを組み合わせた長手方向長さは、フェアリング構成要素104の長手方向長さより短くすることができ、その結果、フェアリング構成要素104の一部分は断熱材スリーブ108を通り過ぎて延び、飛行体100に接合することができる張出部分107を形成する。
【0026】
吸収材スリーブ110は、断熱材スリーブ108内に配置することができ、断熱材スリーブ108と同心とすることができる。吸収材スリーブ110は、断熱材スリーブ108と同じ長手方向長さを有してもよい。吸収材スリーブ110は、特定の範囲の無線周波数内で空洞内の外来または望ましくない場を吸収する(例えば、不要な定在波を吸収する)働きをすることができる。加えて、吸収材スリーブ110もまた、フェアリング構成要素104の外部からアンテナ組立体102および飛行体100の内部への熱伝達を少なくとも部分的に抑制することもできる。いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110は、以下でより詳細に説明するように、複数の層を有してもよい。さらに、吸収材スリーブ110は、低損失、高抵抗率のセラミック充填材、および高温熱可塑性マトリックスを含んでもよく、これは、特定の無線周波数を吸収することによって、アンテナ組立体のより小さなアンテナ素子を可能にする。
【0027】
内側スリーブ112は、吸収材スリーブ110内に配置することができ、吸収材スリーブ110と同心とすることができる。内側スリーブ112は、アンテナ組立体102に対して構造的な支持を与えることができ、断熱材スリーブ108および吸収材スリーブ110を少なくとも部分的に封じ込めることができ、断熱材スリーブ108および吸収材スリーブ110をフェアリング構成要素104に対して定位置に保持することができる。内側スリーブ112は、接続リング106に固定することができる。例えば、以下でより詳細に説明するように、内側スリーブ112は、締結具によって接続リング106に接続するための複数のタブを含むことができる。
【0028】
複数のケーブル組立体114は、フェアリング構成要素104に機械的および電気的に結合することができる。加えて、複数のケーブル組立体114のそれぞれは、飛行体100の内部に(例えば、飛行体100のコントローラに)つながる同軸ケーブルを含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナ組立体102は、少なくとも8個、10個、12個、または任意の数のケーブル組立体114を含むことができる。上記の要素のそれぞれは、図6図16Bに関して、以下でより詳細に説明される。
【0029】
図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるフェアリング構成要素104の斜視図である。図7は、フェアリング構成要素104の側面断面図である。図8Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態によるフェアリング構成要素104のアンテナ素子の一部分の拡大図である。図8Bは、フェアリング構成要素104のアンテナ素子の一部分の別の拡大図である。図9は、フェアリング構成要素104のコーティングをより良く示すために、1つまたは複数の要素(例えば、終端パターン)が除去された、フェアリング構成要素104の側面図である。図10は、フェアリング構成要素104の終端パターンを示す、フェアリング構成要素104の別の側面図である。
【0030】
図6図10を一緒に参照すると、1つまたは複数の実施形態では、フェアリング構成要素104は、フェアリング構成要素104の内面に形成されたコーティング116(例えば、導電性コーティング)を有することができる。加えて、フェアリング構成要素104は、コーティング116に形成された複数のアンテナ素子118a、118b、118cなど(例えば、平面アンテナ素子、平面導波路、準共平面導波路、平面アンテナアレイなど)を含むことができる。アンテナ素子118a、118b、118cのそれぞれは、コーティング116に形成された2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117b(例えば、コーティング116のないライン)を含むことができる。特に、2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117bは、フェアリング構成要素104の内面にコーティング116をなくすことによって画定され、そこは、フェアリング構成要素104の材料を露出させている。2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117bのそれぞれは、それぞれのアンテナ素子(例えば、アンテナ素子118a)の伝送路(すなわち、第1の伝送路および第2の伝送路)を形成することができる。以下でより詳細に説明するように、アンテナ素子118a、118b、118cのそれぞれは、進行波型アンテナとして動作することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、フェアリング構成要素104は、誘電体を形成することができる。例えば、フェアリング構成要素104は、セラミックマトリックス複合体(CMC:ceramic matrix composite)を含むことができる。例えば、1つまたは複数の実施形態では、フェアリング構成要素104は、アルミノ珪酸塩マトリックス(例えば、AS/N312、AS/N720、A/N720、AS/N650、AS/N610)を含むことができる。さらなる実施形態では、フェアリング構成要素104は、例えば、C/C(例えば、炭素マトリックスを強化する炭素繊維)、SiC/SiC、C/SiC、および/または酸化物/酸化物CMC材料など、航空宇宙用途に適した任意の他のタイプのCMC材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、フェアリング構成要素104の厚さは、約0.0635cm(0.025インチ)~約0.1905cm(0.075インチ)の範囲内であってもよい。例えば、フェアリング構成要素104の厚さは、約0.1397cm(0.055インチ)であってもよい。さらに、本明細書では、フェアリング構成要素104の特定の厚さが一例として提示されているが、本開示はそのように限定するものではなく、フェアリング構成要素104の厚さは、所望の構造的特性および/または電気的特性を達成するために、フェアリング構成要素104の適用を容易にする任意の厚さであってもよい。例えば、フェアリング構成要素104の厚さは、0.1905cm(0.075インチ)、0.254cm(0.10インチ)、0.508cm(0.20インチ)、1.27cm(0.5インチ)、2.54cm(1.0インチ)、12.7cm(5.0インチ)、25.4cm(10.0インチ)、または任意の他の厚さより厚くてもよい。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、コーティング116は、金コーティング(例えば、金サーメット)を含むことができる。他の実施形態では、コーティング116は、銀、銅、焼鈍した銅、アルミニウム、カルシウム、タングステン、亜鉛、ニッケル、鉄、チタン、またはそれらの任意の合金を含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティング116は、フェアリング構成要素104に塗布されてもよい。例えば、コーティング116は、フェアリング構成要素104に印刷されてもよい。いくつかの実施形態では、コーティング116は、フェアリング構成要素104に噴霧または印刷されたシルクスクリーンを含むことができる。さらに、コーティング116は、シルクスクリーンプロセス内でのエッチングまたはパターニングによってパターン化されてもよい。コーティング116は、フェアリング構成要素104の内面の少なくとも実質的に全体を覆ってもよく、コーティング116は、フェアリング構成要素104の細い端部103の周りを、フェアリング構成要素104の外面の一部分にわたって包んでもよい。以下でより詳細に説明するように、フェアリング構成要素104の周りを、フェアリング構成要素104の外面の一部分にわたって包むコーティング116の部分は、アンテナ素子118a、118b、118cの開始部分付近に導電性シールドを設けてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、コーティング116の厚さは、約0.001016cm(0.0004インチ)~約0.003556cm(0.0014インチ)の範囲内であってもよい。例えば、コーティング116の厚さは、約0.00127cm(0.0005インチ)であってもよい。さらに、本明細書では、コーティング116の特定の厚さが一例として提示されているが、本開示はそのように限定するものではなく、コーティング116の厚さは、コーティング116の適用を容易にする任意の厚さであってもよい。例えば、フェアリング構成要素104の厚さは、0.003556cm(0.0014インチ)、0.00508cm(0.002インチ)、0.00762cm(0.003インチ)、0.0127cm(0.005インチ)、0.0254cm(0.01インチ)、または任意の他の厚さより厚くてもよい。さらに、1つまたは複数の実施形態では、コーティング116の厚さは、単位面積当たり1mΩより小さいバルク導電率を維持する厚さであってもよい。
【0034】
図6図10をさらに参照すると、各アンテナ素子118a、118b、118cの2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117bは、レーザーエッチングプロセスによって形成することができる。例えば、レーザーエッチングプロセスは、自動ガルバノメータ駆動レーザーエッチングプロセスを含むことができる。他の実施形態では、コーティング116は、各アンテナ素子118a、118b、118cの2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117bが予め定められて、シルクスクリーニングプロセス中に形成されるように、シルクスクリーニングプロセスによってフェアリング構成要素104に形成することができる。言い換えれば、フェアリング構成要素104のコーティング116を形成した後に、2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117bを画定するために材料を除去する必要はない。例えば、シルクスクリーンに利用されるコーティング116のパターンは、2つの概ね正弦波のスロットライン117a、117bを画定することができる。アンテナ素子118a、118b、118cの説明を容易にするために、単一のアンテナ素子を「アンテナ素子118」と称する場合があり、この単一のアンテナ素子118の説明は、アンテナ組立体102のアンテナ素子118a、118b、118cのそれぞれに適用される。
【0035】
上述のように、アンテナ素子118は、概ね正弦波の第1のスロットライン117a(以下、「第1のスロットライン117a」と称する)および概ね正弦波の第2のスロットライン117(以下、「第2のスロットライン117b」と称する)を含むことができ、これらはアンテナ素子118の2つの要素を実質的に形成する。本明細書で説明するように、アンテナ素子118は、従来のワイヤライン対数周期アンテナの双対性(すなわち、対照性)を形成することができ、進行波型アンテナとして動作することができる。
【0036】
特に図7図8Bを参照すると、アンテナ素子118は、駆動周波数を送り、アンテナ素子118の開始部分119に結合されたケーブル組立体114の同軸ケーブルによって駆動することができる。その結果、第1および第2のスロットライン117a、117bは、スロットアンテナと同様の態様で伝送路として動作することができる。例えば、第1のスロットライン117aと第2のスロットライン117bとの間に電圧を生成することができ、その結果、第1のスロットライン117aと第2のスロットライン117bとの間に磁場を生成することができる。
【0037】
フェアリング構成要素104の外面に形成され、図8Bに点線で描かれたコーティング116の部分は、開始部分119において(例えば、開始部分119に近接して)導電性シールド141を形成し、第1および第2のスロットライン117a、117bに沿って所望の(例えば、選択された)共平面伝搬モード(領域B)を開始する前に、開始部分119(領域A)における高次モードの放射を隔離して抑制する。フェアリング構成要素104の外面のコーティング116の導電性シールド141は、フェアリング構成要素104の材料(例えば、高誘電率基板(例えば、アルミノ珪酸塩マトリックス))によって開始部分119から分離されている。加えて、導電性シールド141は、アンテナ素子118の残りの部分から離されており、その結果、フェアリング構成要素104の材料(例えば、高誘電率基板)は、アンテナ素子118の残りの部分の外側にあることになる。
【0038】
第1のスロットライン117aと第2のスロットライン117bは、基準原点Oを通って延びるアンテナ中心軸線128に対して鏡像関係とすることができる。第1のスロットライン117aと第2のスロットライン117bとを、アンテナ中心軸線128に対して鏡像関係にすると、遠方界(例えば、鏡面反射方向(領域C;矢印131a、131b)にある磁場)における第1のスロットライン117aと第2のスロットライン117bとの間の磁場を効果的に相殺することができる。その結果、所与のスロットライン(例えば、第1のスロットライン117a)に対して、互いに平行な方向に延びる所与のスロットラインの部分は伝送路として伝播し、放射しない(領域B;矢印113a、133b、領域C;矢印135a、135b)。加えて、領域C内では、第1および第2のスロットライン117a、117b周りの位相長は、その周期で遅延を生じさせるほど長くなく、その結果、遠方界において各周期は相殺する。
【0039】
加えて、アンテナ素子118は、角度および自己スケーリングによって画定されるその幾何学的形状により、周波数に独立であり得る。さらに、アンテナ素子118の領域D内では、アンテナ素子118は放射することができ、隣接するセクションに関する第1および第2のスロットライン117a、117bに沿った瞬間的な電場の位相を、アンテナ中心軸線128に対して横断方向に揃えることができ、電場は、矢印137a、137bが一直線上にあることによって表されるように、伝搬面の方向に同じ位相で加えることができる。前述のことは、第1の直線部分、隣接する直線部分、ならびに、直線部分と、隣接する直線部分との間に延びる円弧状部分(以下「ヘアピン部分」と称する)を含む、第1および第2のスロットライン117a、117bのセクションの周りの伝搬長が半波長に近い場合に生じる。加えて、観測面内では、周波数の位相は電場が足し合わされる場所である。これは、ヘアピン部分内での方向の反転により、伝搬遅延が、アクティブな方向のすべての電場が同位相で加わるように、必要な位相に一致する場合に達成される。
【0040】
図7図8Bをさらに参照すると、第1および第2のスロットライン117a、117bによって示される伝送路伝搬速度は、古典的な対数周期アンテナによって示される自由空間伝搬速度とは実質的に異なる。したがって、第1および第2のスロットライン117a、117bのピッチ(例えば、正弦波形状の周波数)の変化率、および伸長(例えば、振幅の変化)率は、アンテナ素子118の動作帯域にわたって所望の素子指向性および利得平坦性を達成するように選択される。いくつかの実施形態では、ピッチの変化率および伸長率は、フェアリング構成要素104の材料の誘電率に少なくとも部分的に依存する。例えば、フェアリング構成要素104の材料の誘電率が増加すると、第1および第2のスロットライン117a、117bの伸長率は、アンテナ素子118の動作帯域にわたって所望の素子指向性および利得平坦性を達成するために減少する。いくつかの実施形態では、原点Oから延びる方向(矢印223、225として描かれている)では、第1および第2のスロットライン117a、117bの振幅は伸長率で増加し、周波数はピッチの変化率で減少する。さらに、ピッチの変化率および伸長率は、フェアリング構成要素104の材料の厚さに少なくとも部分的に依存する。いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットライン117a、117bのそれぞれの幅は、第1および第2のスロットライン117a、117bの長さに沿って増大する。他の実施形態では、第1および第2のスロットライン117a、117bのそれぞれの幅は、第1および第2のスロットライン117a、117bの長さに沿って実質的に一定のままであってもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、アンテナ素子118a、118b、118cのそれぞれは、前向き(すなわち、前方視)であってもよい。さらなる実施形態では、飛行体100は、前向きアンテナ素子と後向きアンテナ素子の両方を含んでもよい。例えば、飛行体100は、その開示が参照によりその全体を本明細書に援用される、2009年9月1日に発行されたGoldbergらの米国特許第7,583,233号に記載されているものと同様のアンテナ素子の組を含んでもよい。
【0042】
図8Aおよび図8Bを詳細に参照すると、原点O(この点から第1および第2のスロットライン117a、117bが延びて広がり、この点の近くで第1および第2のスロットライン117a、117bが互いに近づく)近くで、アンテナ素子118の第1および第2のスロットライン117a、117bは、振動する概ね正弦波形状から、概ね正弦波形状から延びて概ね円形のスロット部分134で交わる2つの平行直線130、132へ移行することができる。2つの平行線130、132は、それらの間にコネクタ接触領域136を画定することができる。いくつかの実施形態では、コネクタ接触領域136は、(例えば、2つの平行直線130、132の間に)円形スロット部分134内に画定された丸みを帯びた端部を有する細長い長方形形状を有してもよい。コネクタ接触領域136は、第1および第2のスロットライン117a、117bの概ね円形のスロット部分134の中心を通り過ぎて延びてもよく、コネクタ接触領域136の先端138(すなわち、丸みを帯びた端部)(例えば、「給電点」)は、概ね円形のスロット部分134(すなわち、エッチングされた円形のスロット部分134)によってコーティング116の残りの部分から隔離することができる。以下でさらに詳細に説明するように、ケーブル組立体114の一部分は、アンテナ素子118のコネクタ接触領域136に接触するような大きさと形状とすることができる。さらに、コネクタ接触領域136、第1および第2のスロットライン117a、117bの2つの平行直線130、132、第1および第2のスロットライン117a、117bの円形のスロット部分134、ならびに第1および第2のスロットライン117a、117bの円形のスロット部分134のすぐ周りの領域は、アンテナ素子118の開始部分119を画定することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2のスロットライン117a、117bのそれぞれは、細長い三角形のスロット部分(例えば、ファットダイポール(fat dipole))で終端してもよい。他の実施形態では、第1および第2のスロットライン117a、117bは、原点Oと反対側の端部でつなぎ合わされてもよい。
【0043】
図9および図10を詳細に参照すると、フェアリング構成要素104の外面のコーティング116は、概ね三角波形態の形状で終端することができる。言い換えれば、フェアリング構成要素104の外面のコーティング116の境界は、概ね三角波形態の形状を画定することができる。加えて、上記で言及したように、複数のケーブル組立体114がフェアリング構成要素104の内面に結合される場所(すなわち、アンテナ素子118a、118b、118cの開始部分119に近いところ)で、外面のコーティング116は、コーティング116の三角波形態の谷に形成された細長い三角形状のノッチ139を画定することができる(例えば、含むことができる)。三角形状のノッチ139は、アンテナ素子118a、118b、118cmのコネクタ接触領域136と位置を合わすことができ、三角形状のノッチ139は、第1および第2のスロットライン117a、117bの概ね円形のスロット部分134の中心の方を指すことができる。三角形状のノッチ139は、テーパ状のグランド移行部(ground transition)を提供することができる。第1および第2のスロットライン117a、117bの概ね円形のスロット部分134と、第1および第2のスロットラインと、三角形状のノッチ139との組合せはまた、マイクロストリップ共平面導波路からスロットへの移行部を提供することができる。従来のマイクロストリップ対数周期アンテナパターン構造は、Xバンド付近で機能的完全性を失う(例えば、機能しなくなる)傾向がある。本開示の三角形状のノッチ139によって、本アンテナ素子118は少なくとも40GHzの機能的完全性を維持することができる。
【0044】
図6図10をさらに参照すると、いくつかの実施形態では、アンテナ素子118は、第1および第2のスロットライン117a、117bの代わりに、非対称の対数周期構造の単一のスロットラインを含んでもよい。
【0045】
加えて、フェアリング構成要素104は、コーティング116の境界の一部分を覆って重なるように形成された終端パターン121を含んでもよい。加えて、終端パターン121は、コーティング116を覆って画定された第1の境界123と、コーティング116を越えてフェアリング構成要素104を覆って形成された第2の反対側の境界125とを有してもよい。言い換えれば、終端パターン121は、コーティング116の境界にわたってもよい。いくつかの実施形態では、終端パターン121は、フェアリング構成要素104の周囲に連続して配向された複数のセグメント127a、127b、127cなどを含んでもよい。終端パターン121の各セグメント127は、コーティング116の隣接する三角形状のノッチ139の間でコーティング116の一部分を覆ってもよい。加えて、終端パターン121は、コーティング116の三角形状のノッチ139を覆って形成されなくてもよい。終端パターン121の各セグメント127は、コーティング116を覆って形成された第1の境界129と、フェアリング構成要素104の表面を覆って形成された第2の反対側の境界131とを有することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、終端パターン121は、1平方センチメートル(平方インチ)当たりの所望のオームの抵抗率をもたらすことができる抵抗性金属材料を含むことができる。例えば、終端パターン121は、Rカード材料を含むことができる。さらに、終端パターン121は、アンテナ素子118a、118b、118cに対してパターン制御を行うフィールド終端(field termination)を提供することができる。さらに、終端パターン121は、伝送信号の分岐を防止するのに役立つことがある。
【0047】
図6図10をさらに参照すると、アンテナ素子118a、118b、118cのそれぞれは、指向性アンテナを含むことができる。加えて、上述のように、アンテナ素子118a、118b、118cは、広帯域にわたって動作することができる。例えば、1つまたは複数の実施形態では、アンテナ素子118a、118b、118cは、10MHz~少なくとも40GHzの範囲の周波数で動作することができる。加えて、上記で簡単に述べたように、アンテナ素子118a、118b、118cは、無線周波数を受信するために利用することができ、ケーブル組立体114を介して受信したRF信号を飛行体100の制御システムに伝達することができる。さらに、いくつかの実施形態では、アンテナ素子118a、118b、118cは、無線周波数を放射することによって制御システムから外部または遠隔システムに通信を送信するために利用することができる。
【0048】
図11Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による接続リング106の斜視図である。図11Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による接続リング106のケーブル組立体受入構造の拡大部分斜視図である。図11Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による接続リング106のタブ受入構造の拡大部分斜視図である。
【0049】
図11A図11Cを一緒に参照すると、接続リング106は、概ね環状の形状を有することができる。接続リング106は、フェアリング構成要素104の内面に接触するための外面140と、反対側の内面142とを有することができる。接続リング106は、ケーブル組立体のコネクタ構造(後述)を受け入れるための複数のケーブル組立体受入構造144a、144b、144cなど(以下「受入構造」と称する)をさらに画定することができる。受取構造144a、144b、144cのそれぞれは、段付き円形凹部146、開口148、位置合わせピン150、および両側の翼凹部152、154を含むことができる。開口148は、段付き円形凹部146の最底部表面157から接続リング106を完全に貫通して延びることができる。位置合わせピン150は、段付き円形凹部146の最底部表面157から軸方向上向きに延びることができ、段付き円形凹部146の最底部段159の側壁161に当接することができ、以下でより詳細に論ずるように、位置合わせピン150は、ケーブル組立体114を接続リング106に取り付ける(例えば、締結する)ときにそれぞれのケーブル組立体114を適切に位置合わせすることを助けることができる。両側の翼凹部152、154は、段付き円形凹部146の両側に形成することができ、接続リング106の環状軸線に沿って整列されてもよい。さらに、両側の翼凹部152、154は、段付き円形凹部146から半径方向外向きに延びることができる。両側の翼凹部152、154のそれぞれは、それぞれの締結具受入開口156、158を含むことができ、それらは、締結具を受け入れるためにねじが切られていてもよいし、またはその他の大きさおよび形状であってもよい。
【0050】
1つまたは複数の実施形態では、位置合わせピン150は、それぞれの受入構造144aを画定する接続リング106の一部分と一体的に形成されてもよい。他の実施形態では、位置合わせピン150は、それぞれの受入構造144aを画定する接続リング106の部分とは別々の個別のものであってもよい。例えば、位置合わせピン150は、位置合わせピン150を挿入および/または固定することができるそれぞれの凹部を有してもよい。
【0051】
図11A図11Cをさらに参照すると、接続リング106は、内側スリーブ112のタブを受け入れるための複数のタブ受入構造160as、160b、160cなどをさらに画定することができる。いくつかの実施形態では、タブ受入構造160as、160b、160cのそれぞれは、概ね丸みを帯びた長方形の形状を有してもよいが、本開示はそのように限定するものではなく、タブ受入構造160a、160b、160cは、内側スリーブ112のタブの形状に相関する任意の幾何学的形状を有することができる(以下に説明する)。加えて、タブ受入構造160a、160b、160cのそれぞれは、それぞれの締結具受入開口162を有することができ、それらは、締結具を受け入れるためにねじが切られていてもよいし、またはその他の大きさおよび形状であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、接続リング106は、鉄鋼材料を含んでもよい。1つまたは複数の実施形態では、接続リング106は、ステンレス鋼、真ちゅう、ニッケル、チタン、タングステン、またはそれらの任意の合金を含んでもよい。さらに、本明細書には、接続リング106の材料の特定の例が提示されているが、本開示はそのように限定するものではなく、接続リング106は、本明細書に記載される温度において構造的完全性を維持し、フェアリング構成要素104の材料の熱膨張係数に実質的に合致する任意の合金を含んでもよい。
【0053】
図12Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による断熱材スリーブ108の正面図である。図12Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による断熱材スリーブ108の一部分の斜視図である。上述のように、いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108は、先端が切られたオジーブ形状(またはフェアリング構成要素104と一致する他の形状)を有してもよく、フェアリング構成要素104よりも短い長手方向長さを有してもよい。その結果、断熱材スリーブ108は、フェアリング構成要素104内に配置可能とすることができ、接続リング106に当接することができ、フェアリング構成要素104内に完全に嵌ることができる。さらに、断熱材スリーブ108の外面の輪郭は、フェアリング構成要素104の内面の輪郭と少なくとも実質的に一致することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108は、組み立てられるとスリーブを形成する複数の部品を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108は、各部品がスリーブの45°部分を形成する8つの部品を含んでもよい。加えて、断熱材スリーブ108の部品間の継ぎ目は、フェアリング構成要素104のアンテナ素子118a、118b、118cの間に配向されてもよい。例えば、各部品の中央にアンテナ素子118が配置されてもよい。代替の実施形態では、断熱材スリーブ108は、単一部品のスリーブ、2部品のスリーブ、4部品のスリーブ、または任意の数の部品のスリーブを含んでもよい。いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108の厚さは、約0.635cm(0.25インチ)~約1.905cm(0.75インチ)の範囲内であってもよい。例えば、断熱材スリーブ108の厚さは、約1.03124cm(0.406インチ)であってもよい。
【0055】
1つまたは複数の実施形態では、断熱材スリーブ108は、誘電発泡体を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108は、セラミック発泡体を含んでもよい。非限定的な例として、断熱材スリーブ108は、AETB-12セラミックタイル断熱材を含んでもよい。他の実施形態では、断熱材スリーブ108は、強化単一品繊維状断熱タイル、AIM-22タイル、繊維状耐火性複合断熱材-12タイル、または任意の他の断熱層のうちの1つまたは複数を含んでもよい。いくつかの実施形態では、断熱材スリーブ108は、高α多結晶アルミナ繊維および高純度無機バインダーからなる低密度高剛性耐火構造を含んでもよい。例えば、断熱材スリーブ108はアルミナタイプZAL-12を含んでもよい。本明細書には特定の例が提示されているが、断熱材スリーブ108は、任意の誘電断熱材(例えば、低誘電断熱材)を含んでもよい。断熱材スリーブ108は、フェアリング構成要素104の外部からアンテナ組立体102および飛行体100の内部への熱伝達を少なくとも部分的に抑制することができる。
【0056】
図13Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による吸収材スリーブ110の斜視図である。図13Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による吸収材スリーブ110の側面部分断面図である。
【0057】
図13Aおよび図13Bをともに参照すると、いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110は、複数の材料層165a、165bを含むことができる。いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110は、吸収材スリーブ110の全体の厚さの約60%(例えば、1.52mm(60ミル))を形成する厚さを有する第1の層と、吸収材スリーブ110の全体の厚さの約40%(例えば、1.02mm(40ミル))を形成する厚さを有する第2の層との2つの層を含むことができる。さらなる実施形態では、吸収材スリーブ110は、3つ、4つ、または5つ以上の層を含んでもよい。加えて、いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110の最も内側の層は、内側スリーブ112の突起(例えば、ジョグ)(後述)を受け入れるために少なくとも1つのスロット163(すなわち、切欠き)を含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110の全体の厚さは、約1.91mm(75ミル)~約3.18mm(125ミル)の範囲内であってもよい。例えば、吸収材スリーブ110の厚さは、約2.54mm(100ミル)であってもよい。さらに、本明細書では、吸収材スリーブ110の特定の厚さが一例として提示されているが、本開示はそのように限定するものではなく、吸収材スリーブ110の厚さは、吸収材スリーブ110の適用を容易にする任意の厚さであってもよい。例えば、吸収材スリーブ110の厚さは、2.54mm(100ミル)、5.08mm(200ミル)、1.27cm(0.5インチ)、2.54cm(1.0インチ)、12.7cm(5.0インチ)、25.4cm(10インチ)、または任意の他の厚さより厚くてもよい。いくつかの実施形態では、吸収材スリーブの全体の厚さは、アンテナ素子118の大きさおよび形状に少なくとも部分的に依存することがある。例えば、吸収材スリーブ110は、アンテナ素子118を空洞のグランド(例えば、内側スリーブ112)に短絡させることなく、アンテナ素子118を限られた大きさの空洞に合わせる(例えば、限られた大きさの空洞をアンテナ素子118に設けて)ことができる。例えば、吸収材スリーブ110は、電気的観点から空洞をより大きくしてもよい。さらに、1つまたは複数の実施形態では、吸収材スリーブ110の各層は、断熱材スリーブ108と同様に複数の部品を含み、隣接する部品間の継ぎ目が複数のアンテナ素子118a、118b、118cのアンテナ素子間にあってもよい。
【0059】
1つまたは複数の実施形態では、吸収材スリーブ110は、高インピーダンス積層体を含んでもよい。例えば、吸収材スリーブ110は、低損失、高抵抗率のセラミック充填材、および高温ポリテトラフルオロエチレンマトリックス、テフロン(登録商標)マトリックス、および/または熱可塑性マトリックスを含んでもよい。例えば、吸収材スリーブ110は、MAGTREX(商標)高インピーダンス積層体を含んでもよい。吸収材スリーブ110は、特定の範囲の無線周波数内で空洞内の外来または望ましくない場を吸収する(例えば、不要な定在波を吸収する)働きをすることができる。特に、吸収材スリーブ110は、アンテナ素子118のアクティブ領域にわたって有効な短絡を生じさせるような空洞モードを緩和することができる。いくつかの実施形態では、空洞深さは、アンテナ素子118の空洞からの反射波を駆動場と同位相にする4分の1波長である。制限要因は、吸収材を必要とするマルチオクターブ帯域幅でこの条件を達成することができないことである。したがって、本開示の吸収材スリーブ110は、伝送路(例えば、第1および第2のスロットライン117a、117b)においてエネルギーを散逸させない一方で、アンテナ素子118のアクティブ領域において効果的に十分高いインピーダンスを提供し、本明細書に記載する比較的高い温度に対応することができる。加えて、吸収材スリーブ110はまた、フェアリング構成要素104の外部からアンテナ組立体102および飛行体100の内部への熱伝達を少なくとも部分的に抑制することができる。当該技術において知られているように、高インピーダンス積層体を備える吸収材スリーブを有するアンテナ組立体は、そのような吸収材スリーブを含まないアンテナ組立体と比較して、特定の無線周波数を吸収することによってアンテナ素子の大きさをより小さくすることを可能にし得る。
【0060】
図13Cは、本開示の1つまたは複数のさらなる実施形態による吸収材スリーブ110の斜視図である。図13Dは、本開示の1つまたは複数の実施形態による吸収材スリーブ110の側面部分断面図である。
【0061】
いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110は、組み立てられるとスリーブを形成する複数の部品を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、吸収材スリーブ110は、各部品がスリーブの45°部分を形成する8つの部品を含んでもよい。加えて、吸収材スリーブ110の部品間の継ぎ目は、フェアリング構成要素104のアンテナ素子118a、118b、118cの間に配向されてもよい。例えば、各部品の中心にアンテナ素子118が配置されてもよい。代替の実施形態では、吸収材スリーブ110は、2部品のスリーブ、4部品のスリーブ、または任意の数の部品のスリーブを含んでもよい。
【0062】
加えて、1つまたは複数の実施形態では、吸収材スリーブ110の最も内側の層は、上述した少なくとも1つのスロット163を含まなくてもよい。むしろ、吸収材スリーブ110の最も内側の層は、少なくとも実質的に連続していてもよい。
【0063】
図14Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による内側スリーブ112の斜視図である。図14Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、接続リング106に接続するための内側スリーブ112のタブの部分斜視図である。図14Cは、内側スリーブ112を接続リング106と位置合わせするための内側スリーブ112のジョグの部分斜視図である。
【0064】
図14A図14Cを一緒に参照すると、内側スリーブ112は、内側スリーブ112から概ね軸方向に延びる複数のタブ164a、164b、164c、164dと、内側スリーブ112に形成された少なくとも1つのジョグ166とを含むことができる。いくつかの実施形態では、複数のタブ164a、164b、164c、164dは、接続リング106の複数のタブ受入構造160as、160b、160c(図11A図11C)と位置が合うように配向することができる。加えて、複数のタブ164a、164b、164c、164dは、接続リング106の複数のタブ受入構造160as、160b、160c(図11A図11C)に受け入れられるように、かつ1つまたは複数の締結具によって接続リング106に固定されるような大きさおよび形状とすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、内側スリーブ112の少なくとも1つのジョグ166は、内側スリーブの一部分を含んでもよく、内側スリーブ112の壁がそれ自体と重なり、重なりの一部分が内側スリーブ112の長手方向中心軸線に対して半径方向内向きに突出(例えば、突起)する。特に、少なくとも1つのジョグ166は、内側スリーブ112の材料の切れ目167と、内側スリーブ112の壁の2つの重なり部分168、170とを含むことができる。いくつかの実施形態では、2つの重なり部分168、170は、接続されていなくてもよい。言い換えれば、内側スリーブ112の材料の可撓性の範囲内で、2つの重なり部分168、170は、互いに対して自由に動くことができる。したがって、内側スリーブ112は、2つの重なり部分168、170の間の重なり量を増加させることによって圧縮可能であり、その結果、内側スリーブ112を吸収材スリーブ110に挿入するとき、内側スリーブ112の外径は小さくなることができる。例えば、内側スリーブ112の少なくとも1つのジョグ166は、内側スリーブ112にばね機能を与えることができる。加えて、少なくとも1つのジョグ166は、吸収材スリーブ110の切欠きと位置が合うような大きさおよび形状とすることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、内側スリーブ112は、制御された深さのグランド面を提供することができる。内側スリーブ112はまた、アンテナ組立体102に対して構造的な支持を与えることができ、断熱材スリーブ108(図12A)および吸収材スリーブ110をフェアリング構成要素104に対して定位置に保持することができる。いくつかの実施形態では、内側スリーブ112は、金属材料を含んでもよい。例えば、内側スリーブ112は、ステンレス鋼、ばね鋼、チタンなどを含んでもよい。いくつかの実施形態では、内側スリーブ112の厚さは、約0.0127cm(0.005インチ)~約0.0508cm(0.020インチ)の範囲内であってもよい。例えば、内側スリーブ112の厚さは、約0.02794cm(0.011インチ)であってもよい。さらに、本明細書では、内側スリーブ112の特定の厚さが一例として提示されているが、本開示はそのように限定するものではなく、内側スリーブ112の厚さは、内側スリーブ112の適用を容易にする任意の厚さであってもよい。例えば、内側スリーブ112の厚さは、0.02794cm(0.011インチ)、0.0508cm(0.020インチ)、0.127cm(0.05インチ)、0.254cm(0.10インチ)、1.27cm(0.5インチ)、2.54cm(1.0インチ)、12.7cm(5.0インチ)、または任意の他の厚さよりより厚くてもよい。例えば、内側スリーブ112の厚さは、アンテナ組立体102の機械的要件を満たす任意の厚さであってもよい。
【0067】
図15Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体102のケーブル組立体114の斜視図である。図15Bは、本開示の1つまたは複数の実施形態によるケーブル組立体114の拡大部分断面図である。図15Cは、接続リング106に取り付けられたケーブル組立体114の断面図である。図15Dは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、アンテナ素子118に動作可能に結合されたケーブル組立体114の斜視図である。図15Eは、接続リング106に取り付けられたケーブル組立体114の別の断面図である。図15Fは、導電性シールド141、終端パターン121、および細長い三角形状のノッチ139が描かれたフェアリング構成要素106の側面図である。図15Eおよび図15Fのいくつかの部分は、内部の構成要素をより良く示すために透明にされている。
【0068】
図15A図15Dを一緒に参照すると、いくつかの実施形態では、ケーブル組立体114は、前部コネクタ172と、後部コネクタ174と、前部コネクタ172と後部コネクタ174との間に延びる同軸ケーブル176とを含む。前部コネクタ172は、外側接触部178、内側接触部180、リテーナ要素182、シム184、第1のばね要素188、第2のばね要素186、上部絶縁材部分190、および下部絶縁材部分192を含むことができる。同軸ケーブル176は、外側導体194と、絶縁材スリーブ196と、内側導体198とを含むことができる。後部コネクタ174は、飛行体100の外壁にわたるように構成することができ、図16Aおよび図16Bに関して以下でより詳細に説明される。いくつかの実施形態では、ケーブル組立体114は、後部コネクタを含まなくてもよいが、飛行体100の外壁にわたる第2のコネクタを含んでもよく、第2のコネクタは、アンテナ組立体102および/または飛行体100の設計によって必要とされる(例えば、設計に都合のよい)どこかの位置に接続されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、前部コネクタ172の外側接触部178は、同軸ケーブル176の外側導体194に動作可能に結合することができ、前部コネクタ172の内側接触部180は、同軸ケーブル176の内側導体198に動作可能に結合することができる。いくつかの実施形態では、外側接触部178は、概ね円筒状の形状を有することができ、内側チャンバ179を画定することができる。内側接触部180は、内側チャンバ179内に少なくとも部分的に配置することができ(すなわち、外側接触部178は、内側接触部180の少なくとも一部分を収容することができ)、内側接触部180は、円筒形状(例えば、軸形状)を有することができ、外側接触部178の内側チャンバ179内を軸方向に並進可能とすることができる。さらに、1つまたは複数の実施形態では、外側接触部178と内側接触部180は、長手方向中心軸線181を共有してもよい。例えば、外側接触部178と内側接触部180は、互いに概ね同心であってもよい。加えて、上部絶縁材部分190は、内側接触部180の周りで、かつ、前部コネクタ172の内側接触部180と外側接触部178との間に配置することができる。同様に、下部絶縁材部分192は、同軸ケーブル176の内側導体198の周りで、かつ、同軸ケーブル176の内側導体198と前部コネクタ172の外側接触部178との間に配置することができる。
【0070】
1つまたは複数の実施形態では、リテーナ要素182は、外側接触部178および内側接触部180を挿入することができる受入開口183を有することができる。加えて、リテーナ要素182は、接続リング106の複数の受入構造144a、144b、144cのそれぞれの受入構造内に挿入されて固定されるような大きさおよび形状とすることができる。例えば、リテーナ要素182は、円形中央部分202と、2つの両側の翼部分204、206とを有することができる。外側接触部178および内側接触部180とともにリテーナ要素182の円形中央部分202は、所与の受入構造144aの段付き円形凹部146に挿入されるような大きさおよび形状とすることができ、リテーナ要素182の2つの両側の翼部分204、206は、所与の受入構造144aの両側の翼凹部152、154に挿入されるような大きさおよび形状とすることができる。さらに、リテーナ182は、所与の受入構造144aの締結具受入開口156、158と位置合わせされたリテーナ要素182の開口を通って延びる締結具208a、208bによって接続リング106に固定することができる。代替の実施形態では、複数の受入構造144a、144b、144cは、外側ねじ付きナットがねじ込まれ、コネクタを接続リング106に保持することができるねじ付き開口を含んでもよい。
【0071】
さらに、図15C図15Eに示すように、ケーブル組立体114が接続リング106に固定されると、外側接触部178は、接続リング106の開口148を通って、第1および第2のスロットライン117a、117bの概ね円形のスロット部分134のすぐ周り(すなわち、アンテナ素子118の開始部分119)のフェアリング構成要素104(およびコーティング116)の領域(すなわち、開始部分119の第1の領域)と位置が合って接触することができ、内側接触部180は、接続リング106の開口148を通って、アンテナ素子118のコネクタ接触領域136(すなわち、開始部分119の第2の領域)と位置が合って接触することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ケーブル組立体114の外側接触部178は、外側接触部178の本体から半径方向外向きに延びる部分環状突出部210を含むことができる。加えて、シム184および第2のばね要素186は、外側接触部178の部分環状突出部210とリテーナ要素182との間に配置することができる。その結果、ケーブル組立体114の外側接触部178は、接続リング106に締結されると、外側接触部178がフェアリング構成要素104(例えば、フェアリング構成要素104に形成されたコーティング116)の方へ付勢され、フェアリング構成要素104に押し付けられるように、リテーナ要素182に対して外側接触部178の軸方向に付勢することができる。1つまたは複数の実施形態では、第2のばね要素186は、1つまたは複数のばね座金(例えば、皿ばね座金)を含んでもよい。他の実施形態では、第2のばね要素186は、複数の圧縮ばね(例えば、コイルばね)を含んでもよい。
【0073】
加えて、いくつかの実施形態では、第1のばね要素188は、内側接触部180に結合されてもよく、第1ばね要素188は、ケーブル組立体114の内側接触部180と外側接触部178との間に配置されてもよい。その結果、ケーブル組立体114の内側接触部180は、ケーブル組立体114の外側接触部178に対して付勢することができ、外側接触部178は、リテーナ要素182に対して付勢され、リテーナ要素182は、接続リング106に取り付けられている。さらに、上述したように、外側接触部178は、内側チャンバ179を画定することができ、内側接触部180および上部絶縁材部分190は、外側接触部178に対して内側チャンバ179に沿って軸方向に並進することができる。内側接触部180は外側接触部178に対して付勢され、外側接触部178はアンテナ組立体102の残りの部分に対して付勢されるので、ケーブル組立体114が接続リング106に固定されると、ケーブル組立体114は、内側接触部180とアンテナ素子118のコネクタ接触領域136との間の接触を少なくとも実質的に維持することができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1のばね要素188は、圧縮ばねを含んでもよい。例えば、第1のばね要素188は、コイルばねを含んでもよい。他の実施形態では、第1のばね要素188は、竹の子ばねまたは座金ばねの集合体を含んでもよい。
【0075】
内側接触部180を外側接触部178に対して付勢し、外側接触部178をアンテナ組立体102の残りの部分に対して付勢することは、内側接触部180および外側接触部178が、アンテナ素子118のコネクタ接触領域136およびフェアリング構成要素104とそれぞれ接触しなくなる可能性を減少させることができる。さらに、内側接触部180を外側接触部178に対して付勢し、外側接触部178をアンテナ組立体102の残りの部分に対して付勢することは、柔軟性のない、または付勢しない接触に対して、内側接触部180とアンテナ素子118のコネクタ接触領域136との間の接触を改善することができる。加えて、内側接触部180を外側接触部178に対して付勢し、外側接触部178をアンテナ組立体102の残りの部分に対して付勢することは、空中動作中の内側接触部180とアンテナ素子118のコネクタ接触領域136との間の接触を維持することができる。さらに、内側接触部180を外側接触部178に対して付勢し、外側接触部178をアンテナ組立体102の残りの部分に対して付勢することは、内側接触部180の長手方向端部の平坦面と、フェアリング構成要素104の内面から形成されたアンテナ素子118のコネクタ接触領域136の湾曲面との間の接触を改善することができる。
【0076】
加えて、ケーブル組立体114の接触部とアンテナ素子118との間を付勢して接続することは、アンテナ組立体102が比較的高い温度で動作することをさらに容易にする。例えば、一般的なはんだ接続は、高温はんだ合金を使用しても、315.6℃(600°F)を超える温度で溶融する可能性が高い。同様に、溶接接続は、コーティング116(例えば、導電性コーティング)を損ない、アンテナ素子118を動作不能にする可能性が高い。したがって、ケーブル組立体114の接触部とアンテナ素子118との間を付勢して接続することは、アンテナ組立体102が比較的高い温度での構造的および動作的完全性を維持することを少なくとも部分的に可能にする。
【0077】
図15A図15Fをさらに参照すると、いくつかの実施形態では、外側接触部178は、第1および第2のスロットライン117a、117bの概ね円形のスロット部分134のすぐ周りのフェアリング構成要素104(およびコーティング116)の領域に接触するように構成された外側接触部178の上部に形成された凹部214を含むことができる。凹部214は、外側接触部178内に軸方向に延在してもよい。ケーブル組立体114が接続リング106に固定されると、凹部214は、アンテナ素子118のコネクタ接触領域136と位置が合うことができ、したがって、外側接触部178がアンテナ素子118のコネクタ接触領域136で短絡することを防止する。
【0078】
加えて、外側接触部178は、外側接触部178の部分環状突出部210に形成されたノッチ216を含むことができる。ノッチ216は、接続リング106の位置合わせピン150と位置が合う(例えば、位置合わせピン150を受け入れる)ように構成することができる。言い換えれば、外側接触部178は、キー止めすることができる。外側接触部178のノッチ216および接続リング106の位置合わせピン150は、外側接触部178の凹部214をアンテナ素子118のコネクタ接触領域136と適切に位置合わせすることを助けることができ、これにより、上述のように、外側接触部178がアンテナ素子118のコネクタ接触領域136で短絡することを防止する。
【0079】
図16Aは、飛行体100の一部分に取り付けられたアンテナ組立体102の側面断面図である。図16Bは、飛行体100の上記部分に取り付けられたアンテナ組立体102の拡大断面図である。図16Aおよび図16Bをともに参照すると、いくつかの実施形態では、ケーブル組立体114が接続リング106に取り付けられると、後部コネクタ174は、飛行体100の外壁218にわたることができる。さらに、後部コネクタ174は、飛行体100の外部を飛行体100の内部から隔離する電磁干渉ガスケットを提供してもよい。いくつかの実施形態では、後部コネクタ174は、ケーブル組立体114を飛行体100の制御システムに結合するためのねじ付き接続部220を提供することができる。
【0080】
図1図16Bを一緒に参照すると、本開示のアンテナ組立体102は、従来のアンテナ組立体を超える利点を提供することができる。例えば、アンテナ組立体102は、比較的高い温度での構造的および動作的完全性を維持するので、アンテナ組立体102は、アンテナ組立体102が取り付けられ、アンテナ組立体102が利用される飛行体および/または機体(例えば、飛行体100)によって実行することができる動作を向上させる。例えば、飛行体および/または機体(例えば、飛行体100)は、従来のアンテナ組立体と比較して、より高い温度の環境に曝すことができる。さらに、アンテナ組立体102は、高温においてアンテナ組立体102の機能性を維持することができ、その結果、予期しない高温に曝された場合でも、外部構成要素/コントローラとの無線周波数通信が維持される。その結果、アンテナ組立体102は、従来のアンテナ組立体と比較して、高い信頼性を提供する。さらに、アンテナ組立体102は、従来のアンテナ組立体と比較して、アンテナ組立体102の用途(例えば、使用方法)の数を増やす。
【0081】
図17および図18は、本発明者らによって行われた試験を通じて得られた本開示の1つまたは複数の実施形態によるアンテナ組立体の温度サイクルの前、途中、および終了時に対応する時間にプロットされた例示的なSパラメータ振幅(この場合、s22パラメータ振幅)を示すプロットを含む。図17および図18は、アンテナ組立体の性能が、アンテナ組立体の温度上昇時、顕著には変化しないことを示している。例えば、図17および図18は、通信時の環境変化および飛行体の動きに起因するより大きな変動を有する平均約1~2dBの変化を示している。
【0082】
上記で説明し、添付図面に示した本開示の実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、添付の特許請求の範囲およびその法的同等物によって包含されるものである。いかなる同等な実施形態も本開示の範囲内である。実際、本明細書に示され説明されたものに加えて、説明された要素の代替の有用な組合せなどの本開示の様々な修正は、本説明から当業者には明らかになるであろう。そのような修正および実施形態もまた、添付の特許請求の範囲および同等物の範囲内である。
(1)本発明の第1の態様によると、飛行体は、機体と、前記機体に取り付けられたアンテナ組立体であって、中空の本体を備えるフェアリング構成要素と、前記フェアリング構成要素の少なくとも内面に形成された導電性コーティングと、前記導電性コーティングに形成された複数のアンテナ素子であって、各アンテナ素子が、第1の伝送路を画定する第1のスロットラインと、第2の伝送路を画定する第2のスロットラインとを備える、複数のアンテナ素子と、前記フェアリング構成要素内に配置された断熱材スリーブであって、前記断熱材スリーブの外面が、前記フェアリング構成要素の内面に少なくとも実質的に一致する、断熱材スリーブと、前記複数のアンテナ素子に動作可能に結合された複数のケーブル組立体であって、各ケーブル組立体がそれぞれのアンテナ素子に結合されている、複数のケーブル組立体とを備える、アンテナ組立体とを備える。
(2)本発明の第2の態様では、第1の態様において、前記導電性コーティングが、前記フェアリング構成要素の外面の周りを包み、前記外面の一部分を覆う。
(3)本発明の第3の態様では、第1の態様において、前記断熱材スリーブ内に配置された吸収材スリーブをさらに備え、前記吸収材スリーブの外面が前記断熱材スリーブの内面に少なくとも実質的に一致する。
(4)本発明の第4の態様では、第3の態様において、前記吸収材スリーブが、マトリックスと、セラミック充填材とを備える。
(5)本発明の第5の態様では、第1の態様において、前記フェアリング構成要素がアルミノ珪酸塩マトリックスを備える。
(6)本発明の第6の態様では、第1の態様において、前記断熱材スリーブが低誘電材料を備える。
(7)本発明の第7の態様では、第1の態様において、前記第1のスロットラインが、原点から延びる第1の正弦波のスロットラインを備え、前記第1の正弦波のスロットラインの振幅が、前記原点から延びる方向に第1の割合で増大し、前記第1の正弦波のスロットラインの周波数が、前記原点から延びる方向に第2の割合で減少する。
(8)本発明の第8の態様では、第7の態様において、前記第1のスロットラインと前記第2のスロットラインとが、前記原点を通って延びるアンテナ中心軸線に対して概ね鏡像関係である。
(9)本発明の第9の態様では、第7の態様において、前記第1の割合および前記第2の割合が、前記フェアリング構成要素の材料の誘電率によって少なくとも部分的に決められる。
(10)本発明の第10の態様では、第1の態様において、前記フェアリング構成要素内に配置され、前記フェアリング構成要素の前記内面に当接する接続リングをさらに備え、前記接続リングが、前記複数のアンテナ素子のコネクタ接触領域と軸方向に位置合わせされた。
(11)本発明の第11の態様では、第10の態様において、前記接続リングが、鉄鋼、チタン、またはハステロイのうちの1つまたは複数を含む。
(12)本発明の第12の態様では、第10の態様において、前記接続リングが複数の受入構造を備え、各受入構造がアンテナ素子に相互に関係し、段付き円形凹部と、前記段付き円形凹部の最底部表面から前記接続リングを貫通して延びる開口と、前記最底部表面から上向きに延び、前記段付き円形凹部の側壁に当接する位置合わせピンと、前記段付き円形凹部から半径方向外向きに延びる両側の2つの翼凹部とを備える。
(13)本発明の第13の態様によると、アンテナ素子は、誘電体の両側に形成された導電性コーティングと、前記導電性コーティングに形成され、第1の伝送路を画定する第1のスロットラインであって、原点から延びる第1の正弦波のスロットラインを備え、振幅および周波数が変化する第1のスロットラインであり、前記原点から延びる方向に、前記第1の正弦波のスロットラインの前記振幅が、前記周波数が減少するにつれて増大する、第1のスロットラインとを備える。
(14)本発明の第14の態様では、第13の態様において、前記導電性コーティングに形成され、第2の伝送路を画定する第2のスロットラインであって、前記原点から延びる第2の正弦波のスロットラインを備え、振幅および周波数が変化する第2のスロットラインであり、前記原点から延びる方向に、前記第2の正弦波のスロットラインの前記振幅が、前記周波数が減少するにつれて増大する、第2のスロットラインをさらに備える。
(15)本発明の第15の態様では、第15の態様において、前記第1のスロットラインが、前記第1の正弦波のスロットラインの開始部から前記原点を通り過ぎて延びる第1の直線スロットを備え、前記第2のスロットラインが、前記第2の正弦波のスロットラインの開始部から前記原点を通り過ぎて延びる第2の直線スロットを備え、前記第1のスロットラインと前記第2のスロットラインとが実質的に平行であり、円形スロット部分で交わる。
(16)本発明の第16の態様では、第15の態様において、前記第1のスロットラインと、前記第2のスロットラインと、前記円形スロット部分とが、前記アンテナ素子のコネクタ接触領域を画定する。
(17)本発明の第17の態様では、第13の態様において、前記誘電体がセラミックマトリックス複合体を含む。
(18)本発明の第18の態様では、第13の態様において、前記導電性コーティングが、金、銀、または白金のうちの1つまたは複数を含む。
(19)本発明の第19の態様では、第13の態様において、前記第1のスロットラインが、細長い三角形のスロット部分で終端する。
(20)本発明の第20の態様によると、アンテナ組立体は、中空のフェアリング構成要素と、前記フェアリング構成要素の内面に形成された導電性コーティングと、前記導電性コーティングに形成された複数のアンテナ素子であって、各アンテナ素子が、第1のスロットラインと、前記アンテナ素子の開始部分において前記第1のスロットラインに接続された第2のスロットラインとを備える、複数のアンテナ素子と、前記フェアリング構成要素内に配置された断熱材スリーブと、前記断熱材スリーブ内に配置された吸収材スリーブと、前記吸収材スリーブ内に配置された内側スリーブと、前記フェアリング構成要素内に配置され、前記導電性コーティングに当接する接続リングであって、複数の受入構造を画定する接続リングであり、前記受入構造のそれぞれが、それぞれのアンテナ素子の開始部分と位置合わせされた、接続リングと、前記複数のアンテナ素子に動作可能に結合された複数のケーブル組立体であって、各ケーブル組立体が、前記それぞれのアンテナ素子に結合され、同軸から同平面への接続部である、複数のケーブル組立体とを備える。
(21)本発明の第21の態様では、第20の態様において、各ケーブル組立体が、それぞれのアンテナ素子に動作可能に結合される前部コネクタと、第2のコネクタと、前記前部コネクタと前記第2のコネクタとの間を延びる同軸ケーブルとを備える。
(22)本発明の第22の態様では、第21の態様において、前記アンテナ組立体の前記前部コネクタが、前記それぞれのアンテナ素子の前記開始部分の第1の領域に接触するように構成された外側接触部と、前記それぞれのアンテナ素子の前記開始部分の第2の領域に接触するように構成された内側接触部であって、前記前部コネクタの前記外側接触部に対して前記それぞれのアンテナ素子の方へ付勢された内側接触部とを備える。
(23)本発明の第23の態様では、第22の態様において、前記アンテナ組立体の前記前部コネクタが、前記ケーブル組立体を前記アンテナ組立体の前記接続リングのそれぞれの受入構造に固定するリテーナ要素をさらに備える。
(24)本発明の第24の態様では、第23の態様において、前記外側接触部が、前記リテーナ要素に対して前記それぞれのアンテナ素子の方へ付勢される。
(25)本発明の第25の態様では、第24の態様において、前記内側接触部を前記外側接触部に対して付勢する第1のばね要素と、前記外側接触部を前記リテーナ要素に対して付勢する第2のばね要素とをさらに備える。
(26)本発明の第26の態様では、第25の態様において、前記第1のばね要素が圧縮ばねを備える。
(27)本発明の第27の態様では、第25の態様において、前記第2のばね要素が少なくとも1つのばね座金を備える。
(28)本発明の第28の態様によると、アンテナ組立体を形成する方法は、セラミックマトリックス複合体を備えるフェアリング構成要素を形成するステップと、前記フェアリング構成要素の内面と、前記フェアリング構成要素の外面の一部分とに導電性コーティングを印刷するステップと、第1のスロットラインおよび第2のスロットラインを画定するために前記フェアリング構成要素の前記内面の前記導電性コーティングの一部分を除去するステップであって、前記第1のスロットラインが、アンテナ素子の第1の伝送路を形成し、前記第2のスロットラインが、前記アンテナ素子の第2の伝送路を形成する、ステップとを含む。
(29)本発明の第29の態様では、第28の態様において、第1のスロットラインおよび第2のスロットラインを画定するために前記フェアリング構成要素の前記内面の前記導電性コーティングの一部分を除去するステップが、前記導電性コーティングをレーザーエッチングするステップを含む。
(30)本発明の第30の態様では、第28の態様において、前記フェアリング構成要素の前記外面の前記導電性コーティングの境界の少なくとも一部分を覆ってはみ出る終端パターンを形成するステップをさらに含む。
(31)本発明の第31の態様では、第30の態様において、終端パターンを形成するステップが、抵抗性金属材料を有する前記終端パターンを形成するステップを含む。
(32)本発明の第32の態様によると、ケーブル組立体は、準平面導波路に動作可能に結合されるように構成されたケーブル組立体であって、前部コネクタであって、外側接触部と、前記外側接触部内に少なくとも部分的に配置され、前記外側接触部内の長手方向中心軸線を共有する内側接触部と、前記外側接触部と前記内側接触部との間に配置され、前記内側接触部を前記外側接触部に対して軸方向に付勢する第1のばね要素と、前記ケーブル組立体を機体に固定するための保持要素と、前記外側接触部の少なくとも一部分と前記保持要素の少なくとも一部分との間に配置され、前記外側接触部を前記保持要素に対して前記軸方向に付勢する第2のばね要素とを備える前部コネクタと、第2のコネクタと、前記前部コネクタと前記第2のコネクタとの間を延び、それらに動作可能に結合された同軸ケーブルとを備える。
(33)本発明の第33の態様によると、アンテナ組立体を形成する方法は、セラミックマトリックス複合体を備えるフェアリング構成要素を形成するステップと、前記フェアリング構成要素の内面、および前記フェアリング構成要素の外面の一部分に導電性コーティングを形成するステップであって、前記導電性コーティングが、第1のスロットラインおよび第2のスロットラインを画定し、前記第1のスロットラインが、アンテナ素子の第1の伝送路を形成し、前記第2のスロットラインが、前記アンテナ素子の第2の伝送路を形成する、ステップとを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16A
図16B
図17
図18