(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】オキサ・サンダルウッド型の芳香化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 43/13 20060101AFI20240605BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20240605BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240605BHJP
C07C 47/277 20060101ALI20240605BHJP
C07C 47/198 20060101ALI20240605BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240605BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240605BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240605BHJP
C07C 43/178 20060101ALI20240605BHJP
C07C 41/30 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
C07C43/13 C CSP
C11B9/00 D
C11B9/00 G
C11B9/00 K
C11D3/50
C07C47/277
C07C47/198
A61Q13/00 101
A61K8/34
A61K8/35
C07C43/178 C
C07C41/30
(21)【出願番号】P 2022563878
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020061029
(87)【国際公開番号】W WO2021213627
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカラン,ヴィジャヤナンド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシャー,ベルント
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-036298(JP,A)
【文献】特開昭52-133947(JP,A)
【文献】特表2012-521409(JP,A)
【文献】CHAPUIS,C. et al.,Preparation of campholenal analogs: chirons for the lipophilic moiety of sandalwood-like odorant alcohols,Helvetica Chimica Acta,1992年,Vol.75, No.5,pp.1527-46,DOI:10.1002/hlca.19920750507
【文献】BRUNNER,G. et al.,Transition-Metal-Catalyzed Cyclopropanation of Nonactivated Alkenes in Dibromomethane with Triisobutylaluminum,European Journal of Organic Chemistry,2011年,Vol.2011, No.24,pp.4623-463,DOI:10.1002/ejoc.201100528
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
の化合物またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマー、または上記化合物のいずれかの混合物、または上記立体異性体のいずれかの混合物であって、
式中、
Rは
エーテル基を表し;
R1は水素原子またはアルキル基を表し;
R2は水素原子またはアルキル基を表し、
XはCH
2基またはC=CH
2基を表し;
C1~C4として示された鎖は飽和
であり、またはC1~C4として示された鎖は不飽和であって、C2とC3の間またはC3とC4の間に二重結合を1つ含有し;
C2とC3の間の鎖における点線の位置では、C2とC3の間の非環状C-C単結合、C2とC3の間のC=C二重結合またはC2とC3を包含するシクロプロパン環のいずれかがあり;
5-C環におけるC3’とC4’の間の他の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、C3’とC4’の間のC=C二重結合またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある、前記化合物またはその
立体異性体、または上記化合物のいずれかの混合物、または上記立体異性体のいずれかの混合物。
【請求項2】
XがCH
2基を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1及び/またはR2の前記アルキル基がメチル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記5-C環における前記点線の前記位置にてC=C二重結合がある、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
C2とC3の間の前記鎖における前記点線の前記位置にてC=C二重結合がある、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が以下の化合物
及びそれらの
立体異性体から成る群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
化合物が、光学的に活性がある純粋なエナンチオマー、エナンチオマーのラセミ混合物、または種々のエナンチオマーの光学的に活性がある混合物の状態で存在する、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
一般式(II)
の化合物、またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマー、または上記化合物のいずれかの混合物、または上記立体異性体のいずれかの混合物であって、
式中、
Rは
エーテル基を表し;
XはCH
2基またはC=CH
2基を表し;
5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置では、C3’とC4’の間の
C-C単結合、またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある、前記化合物、またはその
立体異性体、または上記化合物のいずれかの混合物、または上記立体異性体のいずれかの混合物。
【請求項9】
XがCH
2基を表す、請求項
8に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、以下の化合物
及びそれらの
立体異性体及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項
8または9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物またはそれらの
立体異性体を調製するための請求項
8~10のいずれか1項に記載の一般式(II)の化合物
、または5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置にC=C二重結合が存在する一般式(II)の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1~
7または請求項
8~10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物
、または5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置にC=C二重結合が存在する一般式(II)の化合物と、少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物。
【請求項13】
匂い分子としての、芳香化合物の定着性を改善するための、または香料入り製品を調製するための請求項1~
7のいずれか1項に記載のもしくは請求項
8~10のいずれか1項に記載の化合物
、または5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置にC=C二重結合が存在する一般式(II)の化合物の使用、または請求項12に記載の芳香組成物の使用。
【請求項14】
有効量の請求項1~
7のいずれか1項に記載のもしくは請求項
8~10のいずれか1項に記載の化合物
、または5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置にC=C二重結合が存在する一般式(II)の化合物、または請求項12に記載の芳香組成物と、担体または基材とを含む、香料入り製品。
【請求項15】
前記香料入り製品が香油、香料基剤、個人の衛生のために製剤、洗浄剤または洗濯剤である、請求項14に記載の香料入り製品、または請求項1~
7のいずれか1項に記載のもしくは請求項
8~10のいずれか1項に記載の化合物
、または5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置にC=C二重結合が存在する一般式(II)の化合物、または請求項12に記載の芳香組成物を含む香料入り製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は香料の分野にあり、天然サンダルウッドのような香調を持つ芳香化合物及び芳香組成物、これらの芳香または芳香混合物を含有する調製物、サンダルウッド様の香調を作り出すためのこれら新しい芳香化合物及び芳香組成物の使用に関する。
【0002】
本発明は、サンダルウッド様の芳香を示し、一般式(II)に係るカンホレンアルデヒド誘導体から誘導できる一般式(I)の新規の芳香化合物に関する。さらに、本発明は本発明の芳香化合物の1以上を含む組成物を開示する。本発明はまた、匂い分子としての、または芳香化合物もしくは芳香組成物の固定を改善するためのそのような化合物または本発明に係る化合物の1以上を含む芳香組成物の使用にも関する。さらに、本発明は香料入り製品の調製のためのそのような化合物または組成物の使用、と同様に香料入り製品それ自体に言及する。
【化1】
【背景技術】
【0003】
香料産業内には新しい芳香化合物についての持続する興味がある。
【0004】
加えて、高い人気があるが、評価するのが難しく、不十分であるすでに知られている匂い物質に対する安定した需要もある。例として、サンダルウッド油に言及する必要がある。
【0005】
サンダルウッドは最も古く知られ、評判が良い芳香材の1つである。それは元々インド、セイロン及びインドネシアで生産されていた。
【0006】
しかしながら、特徴的な長続きする強力な甘味臭及び木材臭を伴う天然油であるサンダルウッド油はふつう、サンダルウッド木の心材の蒸留によって、特に水蒸気蒸留によって抽出され、サンダルウッド木は、水蒸気蒸留を介した生産に使用される木材の必要とされる量に対しておよそ4~6.5%の間にすぎない範囲の油の総収量が得られるような費用効果を考慮して少なくとも30年の樹齢でなければならない。
【0007】
さらに、天然のサンダルウッド油は安定な固定剤であり、香水産業及び化粧品産業にてサンダルウッド油を一層さらに好評にしているので、一般に、比較できる一次及び二次の嗅覚特性(例えば、粘性、低い匂い閾値、影響力、すなわち、匂いの強度及び実質性)を持つ新しい芳香に対する非常に高い需要がある。
【0008】
しかしながら、過去10年間の経過では、常緑熱帯木である東インド産のサンダルウッド(ラテン語:Santalum album)の天然資源がサンダルウッド油の世界的に高い需要のせいで劇的に減少し、今やその木材は価値があると認識されるに至っているので、今日のサンダルウッド油は主としてオーストラリア産のサンダルウッド(ラテン語:Santalum spicatum)から抽出されている。しかしながら、長期間の生育を考慮して、サンダルウッド油の生産のためのこれらの資源も間もなく使い尽くされると見なすことができ、その結果、精油の原料としてのサンダルウッドは世界中で乏しくなるであろうから、高い需要を十分に満足させることはできない。
【0009】
さらに、オーストラリア産のサンダルウッド木から抽出した油は東インド産のサンダルウッド木から抽出した油と比べてウッディな及びクリーミィなニュアンスの特徴的な匂いに主として関与する構成成分であるサンタロールを顕著に低量で含有し、特徴的なサンダルウッドの香調を変える追加の構成成分も含有し、東インド産のサンダルウッドの水蒸気蒸留によって得られた精油と比べてバルサムのようなウッディな香調、及びむしろ辛口の苦み、やや樹脂状のトップノートを生じる。
【0010】
同様に将来の高い需要を満たすために、同等の匂いプロファイルを持つ合成で製造された多数の芳香が今日提供されている。しかしながら、これら合成芳香の多くは不十分な粘性を示すことが多いので固定剤としての同時使用には好適ではない。さらに、構造的側面の関係及び得られる匂いを考慮した以前の研究はサンダルウッドの匂いが構造細部にむしろ敏感なので、非常に小さな構造変化に敏感であることを明らかにした。
【0011】
そのような合成の芳香化合物は、例えば、(i)2-メチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-ブタン-1-オール(Brahmanol(登録商標)、Symrise AG)、(ii)2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール(Sandranol(登録商標)、Symrise AG)、(iii)3-メチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(Ebanol(登録商標)、Givaudan S.A.)、(iv)3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オール(Polysantol(登録商標)、Firmenich S.A.)、(v)3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エニル)ペンタン-2-オール(Sandalore(登録商標)、Givaudan S.A.)、(vi)2-メチル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)ペント-4-エン-1-オール(Firsantol(登録商標)、Firmenich S.A.)または(vii)2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ブト-2-エン-1-オール(Madrol(登録商標)、Symrise AG)である。
【0012】
EP0203528B1では、強烈なクリーミィな、ウッディな、麝香のサンダルウッドの匂いを呈する、且つカンホレンアルデヒドから導出されてもよい(E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)-ペント-4-エン-2-オールのジアステレオマーを低温で煮沸することが記載された。
【0013】
EP0829463B2は、上質のサンダルウッド様の匂いを有する光学活性がある化合物、(E)-(R)-2-アルキル-4-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)-2-ブテン-1-オールの調製、及び香料組成物と同様に種々の化粧品、芳香、洗面用具、及び他の衛生製品におけるこの化合物の使用を開示している。
【0014】
さらに、例えば、3-Mエチル-5-(1,2,2-トリメチルビシクロ[3.1.0]へクス-3-イル)ペンタン-2-オールまたは2,3-ジメチル-4-(1,2,2-トリメチルビシクロ[3.1.0]へクス-3-イル)ブタン-1-オールのような種々の構造的に関連する化合物が開示されており、これら化合物のほとんどはサンダルウッドの匂いを発揮するが、一部は単にウッディな/薫陸様でもある。
【0015】
US4052341は、サンダルウッド油を連想させる強い、貴重なウッディな匂いを持つ3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-シクロペント-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール及び6-(2,2,3-トリメチルシクロペント-3-エン-1-イル)ヘキサン-3-オールの組成物を開示している。
【0016】
US4610813は、サンダルウッド油に匹敵する匂いプロファイルを示し、香料及び香料入り製品の調製に適用される、例えば、(-)-(E)-3,3-ジメチル-5-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-4-ペンテン-2-オールのようなカンホレンアルデヒドの誘導体に言及している。
【0017】
WO2008/052379A2は、天然のサンダルウッド油の匂いを持つシクロプロパン化された2,2,3-トリメチルシクロペンタン誘導体に言及している。
【0018】
α-カンホレンアルデヒド(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテンアセトアルデヒド、C10H16O)は、例えば、Brahmanol(登録商標)(2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ブタノール;Symrise AG)のようないわゆる「カンホレンサンダルウッド」アロマ化学物質のための出発材料として役立つことが多い。しかしながら、カンホレンアルデヒドに由来するこれらの化合物はいずれも天然のサンダルウッド油に匹敵する粘性を伴う天然サンダルウッドのような芳香印象を完全には達成していない。
【0019】
サンダルウッドのような香りがする合成物質の探求は今のところ高い所にある。しかしながら、高い需要を満たすために、例えば、粘性、低臭気閾値、影響力、すなわち、匂いの強度及び実質性、好ましくは天然のサンダルウッド油の特性より優れていることのような比較できる一次及び二次の嗅覚特性を持つ新しい芳香化合物に対する高いニーズがある。
【0020】
したがって、本発明の目的は、環境に対して同時に無害でありながら、アクセスし易く、低臭気閾値及び高い固有の強度を有し、長期の粘性、優れた固定剤特性、高い影響力及び実質性を伴うので従来技術で知られるサンダルウッドの芳香物質と同等であるまたはそれよりさらに優れている天然のウッディなサンダルウッド様の芳香印象を有する新しい芳香化合物を提供することである。
【0021】
驚くべきことに、一般式(I)に係る新しいカンホレンアルデヒド誘導体は低臭気閾値及び長期の粘性と共に顕著な天然の及び強力なサンダルウッド油の匂いを有するので、優れた一次及び二次の嗅覚特性を示すことが今や見いだされている。
【発明の概要】
【0022】
第1の態様では、本発明は一般式(I):
の化合物またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマーまたは上記化合物のいずれかの混合物または上記立体異性体のいずれかの混合物に関するものであり、
式中、
Rはエーテル基、好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し;
R1は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR1は水素原子またはメチル基を表し;
R2は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR2は水素原子またはメチル基を表し;
XはCH
2基またはC=CH
2基を表し;
C1~C4として示された鎖は飽和
であり、またはC1~C4として示された鎖は不飽和であって、C2とC3の間またはC3とC4の間に二重結合を1つ含有し;
C2とC3の間の鎖での点線の位置では、C2とC3の間の非環状C-C単結合、C2とC3の間のC=C二重結合またはC2とC3を包含するシクロプロパン環のいずれかがあり;
5-C環におけるC3’とC4’の間の他の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、C3’とC4’の間のC=C二重結合またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある。
【0023】
第2の態様では、本発明は一般式(II):
【化3】
の化合物またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマーまたは上記化合物のいずれかの混合物または上記立体異性体のいずれかの混合物に関するものであり、
式中、
Rはエーテル基、好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し;
XはCH
2基またはC=CH
2基を表し;
5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、C3’とC4’の間のC=C二重結合またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある。
【0024】
第3の態様では、本発明は一般式(I)の化合物またはその立体異性体、特にエナンチオマーを調製するための一般式(II)の化合物の使用に関する。
【0025】
別の態様では、本発明は少なくとも1つの本発明に係る化合物と少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物に関する。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、匂い分子としての、または芳香化合物の固定を改善するための、または香料入り製品の調製のための、化合物または少なくとも1つの本発明に係る化合物を含む芳香組成物の使用に関する。
【0027】
最後に、本発明は、本発明に係る化合物、または少なくとも1つの本発明に係る化合物を含む芳香組成物と担体または基材とを含む香料入り製品に関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明によれば、上記の目的は一般式(I):
の化合物またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマーまたは上記化合物のいずれかの混合物または上記立体異性体のいずれかの混合物によって達成され、
式中、
Rはエーテル基、好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し;
R1は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR1は水素原子またはメチル基を表し;
R2は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR2は水素原子またはメチル基を表し;
XはCH
2基またはC=CH
2基を表し;
C1~C4として示された鎖は飽和
であり、またはC1~C4として示された鎖は不飽和であって、C2とC3の間またはC3とC4の間に二重結合を1つ含有し;
C2とC3の間の鎖での点線の位置では、C2とC3の間の非環状C-C単結合、C2とC3の間のC=C二重結合またはC2とC3を包含するシクロプロパン環のいずれかがあり;
5-C環におけるC3’とC4’の間の他の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、C3’とC4’の間のC=C二重結合またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある。
【0029】
式(I)の化合物は卓越した且つ独特な匂いプロファイルを有し、とりわけ、ウッディなサンダルウッド様の香調を有する。加えて、本発明に係る化合物は並外れて良好な粘性(長続きする)及び高い実質性によって納得させる。
【0030】
一般式(I)にてC1~C4として示される鎖は4炭素の鎖として定義され、前記鎖は好ましくは、X基(すなわち、C4として示される炭素原子)の末端炭素原子にてシクロプロパン環に接続し、鎖の他の末端炭素原子(すなわち、C1として示される炭素原子)にてヒドロキシ基(-OH基)に接続するn-ブチル鎖-X-CH2-CH2-CH2-である。
【0031】
それによって、4炭素の鎖のX基は好ましくは、5-C環の1’位でシクロペンタン環に結合されるCH2基またはC=CH2基を表す。XがC=CH2基を表す場合では、3級C原子はC1~C4として示されている4炭素の鎖にてC4として示されるC原子である。
【0032】
しかしながら、最良の嗅覚成績はXがCH2基を表す式(I)の実施形態について達成された。したがって、Xは好ましくはCH2基を表す。これらの化合物は一般に、高い強度及び強化した粘性でさらに顕著なサンダルウッド様のウッディな香調を示す。
【0033】
それによって、C1~C4として示される鎖は飽和であり、またはC1~C4として示される鎖は不飽和であって、C2とC3として示されるC原子間でC=C二重結合を1つ、またはC3とC4として示されるC原子間でC=C二重結合を1つ含有する。
【0034】
4炭素の鎖C1~C4が不飽和であり、C3とC4として示されるC原子間でC=C二重結合を1つ含有するならば、X基はCH2基を表す。
【0035】
さらに、一般式(I)の化合物は、C2とC3として示されるC原子間で非環状のC-C単結合、C2とC3の間でC=C二重結合、またはC2とC3で示されるC原子間のブチル鎖における点線の位置にてC2とC3として示される原子を包含するシクロプロパン環を示す。本明細書では、点線は上記構造式にてこれらの選択肢を表現する最も簡潔な方法である。したがって、一般式(I)にてC2とC3で示されるC原子間の3つの点線はこれらの位置での二重結合、またはこれらの位置を包含するシクロプロパン環を任意で表してもよく、または原子C2とC3の間での非環状単結合の場合に余分な機能を表さなくてもよく、すなわち、点線を無視することができ、私達は単に、C2とC3として示されるC原子間にC-C結合を形成する単結合を有する。この意味は以下に示す実施例及び実験セクションからも明らかである。
【0036】
C2とC3として示されるC原子間でC=C二重結合、またはC2とC3の間でC1~C4として示されるブチル鎖における点線の位置にてこれら原子C2とC3を包含するシクロプロパン環のいずれかがある場合、好ましくはC3とC4として示されるC原子間に二重結合はなく、すなわち、上記で示される一般式(I)は好ましくはアレン官能性を開示していない。
【0037】
しかしながら、驚くべきことに、所望のサンダルウッド様の香調を達成するために、一般に不飽和のブチル鎖、及びC2とC3として示されるC原子間で非環状単結合を示す飽和鎖の双方が特に上手く機能することが見いだされた。
【0038】
好ましくは、C1~C4として示される鎖は不飽和であり、二重結合を1つ含有する。不飽和ブチル鎖を示すこれらの化合物は卓越した粘性を示しながら高い強度でさらに典型的な且つ天然のサンダルウッドの香調を達成する。しかしながら、これらの場合、C=C二重結合は好ましくはC2とC3として示されるC原子間に位置し、さらに強い且つ特徴的なサンダルウッド様の匂いプロファイルをもたらす。
【0039】
したがって、本発明の特に好ましい実施形態は一般式(I)の化合物を記載し、その際、C2とC3として示されるC原子間の鎖における点線の位置では、C=C二重結合がある。
【0040】
一般式(I)では、R1基及び/またはR2基は互いに独立して水素原子及び/またはアルキル基を表す。
【0041】
好ましくは、アルキル基は、メチル基、またはさらに高級な直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、例えば、エチル基、プロピル基、n-ブチル基もしくはイソブチル基から成る群から選択される。
【0042】
さらに、一般式(I)の化合物では、R1は好ましくは水素原子またはメチル基を表し、及び/またはR2は互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、その双方とも所望のサンダルウッド様の芳香を達成するのに上手く機能することが見いだされた。しかしながら、特に好ましいのは、得られる優れた嗅覚特性のためにR1がメチル基を表す実施形態である。
【0043】
好ましい実施形態では、最も自然な且つ最強のサンダルウッド様のウッディな匂い印象を達成するためにR1及び/またはR2のアルキル基はメチル基である。
【0044】
一般式(I)では、Rはエーテル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはさらに高級な直鎖または分岐鎖のエトキシ基を表す。しかしながら、Rは好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し、強度及び粘性のような増強された二次的特性をもたらす。
【0045】
カンホレンアルデヒドに由来する以前に報告された芳香化合物のうちでメトキシ基を示すものは報告されていない。得られる匂いに対する構造的関係に関する以前の研究はサンダルウッドの匂いが構造変化にむしろ敏感であることを明らかにしたので、上記に示す本発明に係る化合物が顕著な強度及び優れた粘性でそのような天然のサンダルウッドの芳香印象を示すことは特に驚くべきことである。
【0046】
さらに、さらに長いエーテル鎖は高いlogKow値のせいで低下した嗅覚特性及び低下した環境適合性をもたらすことが見いだされた。
【0047】
置換基R、R1及びR2は上記に示す官能性を有することができる。しかしながら、最良の嗅覚成績はRがメトキシ基を表すときに達成されることが見いだされた。したがって、本発明の別の好ましい実施形態はRがメトキシ基を表す式(I)の化合物に関する。
【0048】
R2は好ましくは水素原子を表してさらなるサンダルウッド様の匂いプロファイルをもたらはずであることがさらに見いだされた。したがって、本発明のさらに特に好ましい実施形態はR2が水素原子を表す式(I)の化合物に関する。
【0049】
R1位でのメチル、エチルまたはプロピル等のようなアルキル基は強いサンダルウッドの芳香の原因となることがさらに観察された。特にそのような有利な効果はR1がメチル基を表す場合に観察された。
【0050】
結果的に、Rがメトキシ基を表し、R1がメチル基を表し、R2が水素原子を表す一般式(I)の化合物は粘性、強度及び天然のサンダルウッドの嗅覚プロファイルに対する適合性を考慮して最も有益な嗅覚特性を示すことが見いだされた。
【0051】
さらに、一般式(I)の化合物は、式(I)で示されるような5-C環にてC3’とC4’として示されるC原子間でC-C単結合、C3’とC4’の間でC=C二重結合、またはC3’とC4’として示されるC原子間での他の点線の位置でC原子C3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかを示す。これらの変異型はブチル鎖C1~C4の特徴と独立して存在し、それぞれ上記で定義された構造的特質を有してもよい。再び、点線は上記構造式にてこれらの選択肢を表現する最も簡潔な方法である。したがって、式(I)にてC3’とC4’として示されるC原子間での3つの点線は任意で、これらの位置でのC=C二重結合、またはこれらの位置を包含するシクロプロパン環を表してもよく、または原子C3’とC4’の間での非環状単結合の場合に余分な機能を表さなくてもよく、すなわち、点線を無視することができ、私達は単に、C3’とC4’として示されるC原子間のシクロペンタン環にてC-C結合を形成する単結合を有する。この意味は以下に示す実施例からも明らかである。
【0052】
別の好ましい実施形態では、一般式(I)の化合物は好ましくは、C3’とC4’として示されるC原子間の5-C環にて点線の位置でC=C二重結合を示し、高い粘性を伴ったさらに天然のサンダルウッド様の且つ強力な匂いをもたらす。
【0053】
好ましくは、ブチル鎖C1~C4が不飽和であるならば、そのときは、シクロペンタン環は好ましくはシクロペンタン環のC3’/C4’位にてC=C二重結合も含有する。そのさらに好ましい変異型では、一般式(I)の化合物はブチル鎖C1~C4のC2とC3として示されるC炭素間に好ましくは位置する二重結合を示す。
【0054】
さらに別の変異型では、シクロペンタン環は式(I)における点線で示されるようにモノシクロプロパン化される。この場合、好ましくはシクロペンタン環のC3’位とC4’位にて2つの角で形成されたシクロプロパン環がある。
【0055】
さらに好ましい変異型では、点線によって示される双方の位置はシクロプロパンの官能化を表すことができる。
【0056】
その上さらに好ましい変異型では、一般式(I)の化合物は分子全体で少なくとも2つのC=C二重結合を含む。
【0057】
本発明及び一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマーの別のさらに好ましい実施形態では、Rはエーテル基、好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し、R1は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR1は水素原子またはメチル基を表し、R2は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくはR2は水素原子またはメチル基を表し、XはCH2基またはC=CH2基を表し、C1~C4として示される鎖は飽和であり、またはC1~C4として示される鎖は不飽和であって、C2とC3の間またはC3とC4の間に二重結合を1つ含有し、C2とC3の間の鎖での点線の位置では、C2とC3の間の非環状C-C単結合、C2とC3の間のC=C二重結合またはC2とC3を包含するシクロプロパン環のいずれかがあり、5-C環におけるC3’とC4’の間の他の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある。
【0058】
さらなる実施形態では、一般式(I)の化合物の共通する特徴的な特長は、それらが原子C2とC3を包含するブチル鎖C1~C4及び/または原子C3’とC4’を包含するシクロペンタン環のいずれかにて少なくとも1つのシクロプロパン機能、及び/またはC2とC3として示されるC原子間またはC3とC4として示されるC原子間のブチル鎖C1~C4における少なくとも1つのC=C二重結合及び/またはシクロペンタンのC原子C3’とC4’を含むことである。
【0059】
好ましい変異型では、一般式(I)の化合物は
(a)シクロプロパン環及び
(b)二重結合から成る群から選択される少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの官能基を含む。
【0060】
代わりの一実施形態では、少なくとも2つの官能基はすべてシクロプロパン環またはすべてC=C二重結合のいずれかである。しかしながら、一般に、得られる合成芳香化合物の典型的なサンダルウッドの芳香を達成する強化された嗅覚特性のせいでC=C二重結合が好ましい。
【0061】
一般式(I)の化合物は一般に、シクロペンタン環のC1’として示されるC原子の位置でキラル中心を示し、そのため、異性体的に純粋な形態として、または対応する立体異性体、特にエナンチオマーの混合物で存在してもよい。結果的に、本記載にて式(I)の化合物が参照されるときはいつでも、異性体的に純粋な立体異性体またはその立体異性体のいずれかの混合物には無頓着に、これは立体異性体すべて、特にエナンチオマーすべてに言及すると見なされる。経済的な理由で、その立体異性体の混合物、特にそのエナンチオマーの混合物として化合物を使用することが好ましい。
【0062】
したがって、一般式(I)の化合物は好ましくは
(a)光学的に活性がある純粋なエナンチオマー;
(b)該エナンチオマーのラセミ混合物;または
(c)種々のエナンチオマーの光学的に活性がある混合物
の形態で存在する。
【0063】
さらに、本発明は、上記化合物のいずれかの混合物及び/または上記立体異性体のいずれかの混合物、と同様に本出願の意味でのそのような化合物及び/または混合物の使用を開示する。
【0064】
したがって、本発明の文脈では、「式(I)の化合物」という用語は個々の式(I)の化合物と同様に任意の混合比での式(I)の化合物の混合物すべての双方を意味する。換言すると、「式(I)の化合物」に関する以下の記載における発言は式(I)の単一化合物及び任意の混合比での式(I)の化合物から成るまたはそれを含む混合物の双方に適用される。
【0065】
本発明に従って上記で定義された式(I)の化合物は立体異性体としても存在してもよい。本発明の文脈では、「立体異性体」という用語は一般式(I)の化合物の考えられるジアステレオマーまたはエナンチオマーすべてを指す。
【0066】
さらに、式(I)の化合物の定義には、立体異性体、特にラセミ化合物の混合物、またはエナンチオマーで濃縮した混合物、と同様にエナンチオマーとして純粋な形態も含まれる。
【0067】
したがって、本発明は、それ自体個々に本発明に係る化合物に関するものであり、または本発明に係る化合物の混合物にも関する。
【0068】
式(I)の化合物によって付与される嗅覚印象は特に、高い粘性を伴ったサンダルウッドのウッディな香調に関して卓越した自然性及び強度を特徴とする。
【0069】
別の好ましい実施形態では、一般式(I)の化合物は表1に明記されている以下の化合物及びそれらの立体異性体、特にエナンチオマー及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0070】
【0071】
驚くべきことに、本発明に係る化合物は、天然のサンダルウッド精油に類似する強烈で且つ長続きするサンダルウッド様のウッディな香調を有し、晴れやかで魅力的な且つ天然のウッディなサンダルウッドの香調を達成するために必要な本発明の化合物の量が少なくて済む。さらに、これらの化合物は容易に且つ経済的に調製することができるので、サンダルウッドの芳香に対する香料産業のニーズを完全にカバーすることができる。
【0072】
一般式(I)に係る及び本発明に係る上記の好ましい化合物の構造はNMR測定を介して検証されている。応分のデータは実験セクションで提供される(以下を参照のこと)。
【0073】
上述の一般式(I)の化合物は、特有の匂い特性を示し、特に、やや麝香のニュアンスを伴うウッディな粘性の強いサンダルウッドの匂いを示すと記載され、α-カンホレンアルデヒドとプロパノールの縮合に基づいて調製されるBrahmanol(登録商標)(2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)ブタノール;Symrise AG)のような市販の及び構造的に関連する芳香化合物の強さを超える強さの強烈なサンダルウッド様の匂いプロファイルを示す。
【0074】
特に、一般式(I)によって記載される新しいアルコールは強く、晴れやかでウッディなサンダルウッドの香調を示し、それは高度な粘性を示す一方で天然のサンダルウッドの複雑で且つ特徴的な匂いプロファイルに強く似ている。
【0075】
一般式(I)の新規化合物の間で、5-C環にてC3’とC4’として示されるC原子間でC=C二重結合を示すそれら化合物は特に独特の天然のサンダルウッドの香調を示す。
【0076】
一般に、化合物1~8は実験セクションで示されるように、匂いのうちでサンダルウッドのウッディな一群に割り当てることができる嗅覚特性を示す。驚くべきことに、式(I)の化合物及び特に化合物1~8はサンダルウッドの天然のウッディな匂いプロファイルの複雑さに非常に近い嗅覚印象を付与することが見いだされている。
【0077】
驚くべきことに、特に式(I)の化合物及び特に化合物1~8はサンダルウッド様の芳香として好適であることが見いだされた。これらの化合物はさらに優れた二次的特性、例えば、粘性の上昇、低い匂い閾値、高い影響力(匂いの強さ)、と同様に実質性の上昇を示す。
【0078】
表1に明記された上記の化合物の間では、特に化合物1~4に特に関心がある。これらの化合物は表2に示すように、Brahmanol(登録商標)(Symrise AG)のようなサンダルウッド様の匂いを示す他の市販の物質と比べて卓越した強力な、すなわち、強烈で粘性のある天然のサンダルウッドの香調を付与することができ、上記の合成芳香化合物は均一性、安定性及び利用可能性で天然のものより優れている。
【0079】
匂い検出の閾値(以下で「ODT」と略す)は、標準条件下で感知できるので、ブランク参照とは確実に区別することができる特定の匂い化合物(気体様、知覚的に活性がある物質)の最低濃度として定義される。一般に、強い匂い印象を達成するために必要な芳香化合物の量が少ないので香り付けに使用される量が少ないために少ないODT値が好ましい。しかしながら、閾値は、例えば、濃度、溶解度、空気と嗅覚活性物質との間の分配係数、蒸気圧、極性、分子量等のような種々の因子に左右されるので、物質のODTに言及する予測は行うのが難しい。
【0080】
表2は市販のBrahmanol(登録商標)(Symrise AG)及びSandranol(登録商標)(Symrise AG)と比べた好ましい実施形態のODT値を示す。ODTは嗅覚計及びDIN標準のEN13725に係る少なくとも4人の専門家のパネルを使用して測定した。DIN標準のEN13725によれば、匂い閾値は定義された検査条件下で試料を知覚する確率が0.5、すなわち、検査官の50%が匂い知覚を示す匂い物質の濃度として定義される。それによって、定量的なODT値は匂いのない比較マトリクス、例えば、空気の匂いがまさに知覚できた試験マトリクスに対する体積分率の比、すなわち、希釈因子として与えられる。
【0081】
【0082】
驚くべきことに、一般式(I)の化合物は高い強度(芳香印象の相対的な強さ)でウッディな且つ天然のサンダルウッドの芳香印象を発することが見いだされた。
【0083】
表2によれば、式(I)の化合物及び特に化合物1~4によって付与される嗅覚印象は卓越した自然性及び高い強さを特徴とする。
【0084】
吸着能としても知られる芳香化合物の二次的な、しかし重要な特性である粘性(いわゆる長続きする効果)は基材に付着する化合物の能力を説明する。したがって、粘性は芳香が続く、または香調がその特徴的な匂いを保持する能力を説明する。したがって、粘性は通常、例えば、シャワージェル/化粧石鹸/体臭防止剤の使用後、皮膚に塗られる場合のような香料入り製品での芳香の長期間の有効性を指す。一般に、芳香化合物は長期の匂いの粘性を示すこと、すなわち、対応する芳香化合物はその匂いの特徴を失うことなく出来る限り長く持続することが好ましい。実質性は、ふつう水性相から基材上に吸着される物質の能力、または洗浄もしくはすすぎの操作の後に基材上に残るその能力を説明する。この効果は特に、皮膚、毛髪及び織物繊維(例えば、綿、リンネル、羊毛及び/または合成繊維)のような基材上に現れる。粘性は定義された期間にわたって測定され、専門家の単一メンバーまたはパネルによって調べられる定義された量、濃度、温度及び湿度にて吸い取り紙基材に付着する試料を参照する。粘性は匂いがもはや検出できなくなるまでの時間を参照する。当初、第1日目については粘性は時間ごとに測定され、その後、日単位で測定される。
【0085】
一般に、長続きする効果、すなわち、長時間にわたる心地よい匂いの放出、したがって皮膚からの緩慢な拡散を達成するために高い粘性が好ましい。
【0086】
【0087】
表2及び3によれば、上記化合物は強烈なサンダルウッド様の匂いを示し、これら化合物の卓越した粘性と実質性のせいで、かなりの長時間均一のままである。
【0088】
したがって、表1に明記された上記の新規化合物の間では、化合物1~4はその高い閾値強度及び優れた粘性に基づいた最も自然な、最も強い且つ最も持続するサンダルウッドの匂いを示すその特性に起因して好ましく、Brahmanol(登録商標)(Symrise AG)のようなサンダルウッドの匂いを示す既存の合成の市販の物質よりも優れている。しかしながら、表2及び3にて実証されているように上記に示す化合物のうちで最良の嗅覚特性を示す化合物3(2-エチル-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]ブト-2-エン-1-オール)は特に好ましい。
【0089】
市販のサンダルウッドの芳香物質であるBrahmanol(登録商標)(Symrise AG)と比べて、化合物3は実質的に低い閾値を示し、約10倍低いのでさらに高い特有の強さを示す。したがって、強烈で晴れやかで天然のウッディなサンダルウッドの香調をもたらすのに必要な化合物の量はさらに少なく、香り付けに必要な量はさらに少ない。
【0090】
さらに、化合物1~3は優れた粘性を示す。
【0091】
化合物2及び市販のBrahmanol(登録商標)(Symrise AG)は双方とも一般式(I)に由来することができる。双方の化合物ではR1基及びR2基は水素原子であり、C1~C4として示される鎖は飽和である、すなわち、ブチル鎖のC2及びC3として示されるC原子間の鎖にて点線の位置で非環状のC-C単結合を示す(点線の余分な機能はない)。さらに双方の化合物では、5-C環にてC3’及びC4’として示されるC原子間にC=C二重結合が存在する。しかしながら、Brahmanol(登録商標)(Symrise AG)ではRは水素である一方で、化合物2ではRはエーテル基、特にメトキシ基を表す。
【0092】
また化合物3及びSandranol(登録商標)(Symrise AG)は双方とも一般式(I)に由来することができる。双方の化合物では、R1及びR2はそれぞれメチル基及び水素原子であり、C1~C4として示される鎖は不飽和であり、ブチル鎖のC2及びC3として示されるC原子間の鎖にて点線の位置でC=C二重結合1つを含有する。さらに双方の化合物では、5-C環にてC3’及びC4’として示されるC原子間にC=C二重結合が存在する。しかしながら、Sandranol(登録商標)(Symrise AG)ではRは水素である一方で、化合物3ではRはエーテル基、特にメトキシ基を表す。
【0093】
表2及び3に示されるように、化合物2及び3は優れた閾値を示し、特にODT値は化合物2については3倍低い一方で同時に卓越した粘性を示し、一般式(I)の化合物を群を抜いた芳香材料として認定し、高い匂いの強さと優れた定着性を組み合わせて本発明の芳香化合物の長続きする品質を付与する。
【0094】
本発明の化合物の定着性は芳香化合物の揮発の遅延をもたらし、すなわち、揮発性の大きい成分の寿命延長を増強し、均一な揮発をもたらすので蒸発の際に均一な芳香印象をもたらし、長続きする且つ限定的な匂い効果を作り出す。「固定剤」として作用することができる特性(定着性)は対応する化合物が他の匂いを放つ物質の粘性をもたらすことを意味する。
【0095】
本発明の化合物の高い粘性に基づいて、長期間にわたってその特徴を保持する均一な芳香印象を達成することが可能である。
【0096】
この有利な且つ驚くべき効果は5-C環の3’位でのエーテル基(Rとして示される)の存在に基づく。
【0097】
その結果、本発明に基づいて、非常に特徴的で且つ調和した匂いを与え、顕著に変化することなくかなり長時間にわたって心地よい且つ特徴的な匂いを保持する芳香化合物及びその組成物を入手することが可能である。付与された顕著な長持ちに加えて、式(I)に係る化合物は固定剤としての植物サンダルウッド油よりも一層さらに効果的である。
【0098】
決定されたlogKow値に基づいて、したがって、対応する物質が生きている生物の脂肪組織にどれくらい速く且つどれくらい期待できて蓄積するかを推定することができる。さらに疎水性の化学物質、すなわち、さらに高いlogKow値を示す化学物質は一般に、生きている生物(すなわち、その脂肪組織)に蓄積する可能性が高いので、環境では、さらに水溶性の物質はさらに速く排出される一方で、ふつう、さらに低い生体蓄積能を示す。したがって一般に、低いlogKow値を示す物質が好ましい。
【0099】
驚くべきことに、式(I)に係る化合物は優れたlogKow値を示すので、低い生体蓄積能によって、一般式(I)に由来する本発明の化合物は環境的に高度に持続可能な芳香材料として認定されることが見いだされた。特に、Rがメトキシ基を表す式(I)の化合物が好都合である。
【0100】
一般式(I)の化合物は5-C環を示すカンホレンアルデヒドに関連する化合物から導き出せる。
【化5】
【0101】
上述の芳香化合物の合成に使用されるこれらの化合物は一般式(II)によって示される。
【0102】
したがって、本発明の別の態様は一般式(II):
【化6】
に係る化合物、またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマー、または上記化合物のいずれかの混合物、または上記立体異性体のいずれかの混合物に言及するものであり、
式中、
Rはエーテル基、好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し;
XはCH
2基またはC=CH
2基を表し;
5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、C3’とC4’の間のC=C二重結合またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある。
【0103】
X、Rの上述の好ましい変異型は、及び一般式(I)についてC3’とC4’として示されるC原子間の点線によって示される機能を考慮して、式(II)に係る本発明の構造についても好ましい。
【0104】
それによって、4炭素の鎖のX基は好ましくは環の1’位でシクロペンタン環に結合されるCH2基またはC=CH2基を表す。
【0105】
XがC=CH2基を表す場合、3級C原子はC1~C4として示される鎖にてC4として示されるC原子である。
【0106】
しかしながら、最良の嗅覚成績はXがCH2基を表す式(I)の実施形態について達成された。これらの化合物は一般に、増強した粘性と共に顕著なサンダルウッド様の芳香印象を示す一般式(I)の化合物を作り出すのに使用することができる。
【0107】
さらに、一般式(II)の化合物は、C3’及びC4’として示されるC原子間でのC-C単結合、C3’とC4’の間でのC=C二重結合、または式(II)で示されるような5-C環にてC3’及びC4’として示されるC原子間の点線の位置でC原子C3’及びC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかを示す。再び、点線は上記構造式におけるこれらの選択肢を表現する最も簡潔な方法である。したがって、式(I)にてC3’及びC4’として示されるC原子間の3つの点線は任意で、これらの位置でのC=C二重結合、またはこれらの位置を包含するシクロプロパン環を表してもよく、または原子C3’とC4’の間での非環状単結合の場合に余分な機能を表さなくてもよく、すなわち、点線を無視することができ、私達は単に、原子C3’とC4’との間のシクロペンタン環にてC-C単結合を有する。この意味は以下に示す実施例と同様に実験セクションからも明らかである。
【0108】
別の好ましい実施形態では、及び化合物1~4の有益な特性に基づいて、一般式(II)の化合物は好ましくは、C3’及びC4’として示されるC原子間の5-C環での点線の位置でC=C二重結合を示し、さらに自然なサンダルウッド様の且つ強烈な芳香印象を示す式(I)の化合物をもたらす。
【0109】
一般式(II)では、環構造の構造配置とは無関係に、Rはエーテル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはさらに高級な直鎖または分岐鎖のエトキシ基を表す。
【0110】
強さ及び粘性を考慮した最良の嗅覚成績はRがメトキシ基を表す場合に達成されることが見いだされた。したがって、Rは好ましくはメトキシ基(-OMe)を表す。
【0111】
さらに、好ましくは式(II)の化合物は化合物2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]アセトアルデヒドまたはその立体異性体を含まない。
【化7】
【0112】
しかしながら、この化合物は未だにその嗅覚特性に関して記載されていないことが言及されるべきである。本発明の文脈では、上記化合物はアルデヒド様の、乳状の、アーモンドのような、及びピスタチオの香調を示すことが分かっている。したがって、この化合物は香り付け目的で及び芳香化合物として、または芳香組成物にて同様に使用することができる。この化合物の感覚特性、及び特に特別な香調を持つ芳香としてのその好適性は今まで知られていなかった。したがって、その化合物の芳香としての使用は本発明の主題でもある。
【0113】
しかしながら、式(I)に係る化合物の製造のための別の好ましい出発材料は、新鮮な、ウッディな、フルーティな及び柑橘類の匂いプロファイルを示す、式(III)によって表されるアルコール誘導体2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]エタノール(化合物D)である。
【化8】
【0114】
カンホレンアルデヒドは光学的に活性がある形態で、またはそれを調製する出発材料として使用されるα-ピネンの特定の異性の機能としてのその立体異性体の混合物で存在することができることが知られている。これは、カンホレンアルデヒドに由来する化合物がさまざまな立体異性体の形態で存在することもできることを意味する。
【0115】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、一般式(II)の化合物は好ましくは、C3’及びC4’として示されるC原子間でのC-C単結合またはC炭素C3’及びC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかを示す。これらの化合物は並み外れた嗅覚特性を示すことが見いだされた。
【0116】
したがって、別の実施形態は一般式(II)の化合物、またはその立体異性体、好ましくはそのエナンチオマー、または上記化合物のいずれかの混合物、または上記立体異性体のいずれかの混合物を記載し、式中、Rはエーテル基、好ましくはメトキシ基(-OMe)を表し;XはCH2基またはC=CH2基を表し;5-C環におけるC3’とC4’の間の点線の位置では、C3’とC4’の間のC-C単結合、またはC3’とC4’を包含するシクロプロパン環のいずれかがある。
【0117】
一般式(II)または式(III)の化合物は一般に、シクロペンタン環のC1’として示されるC原子の位置でキラル中心を示し、それ自体、異性体として純粋な形態で、または対応する立体異性体、特にエナンチオマーの任意の混合物で存在してもよい。その結果、本記載にて一般式(II)または式(III)の化合物が参照される場合はいつでも、これは、異性体として純粋な立体異性体またはその立体異性体のいずれかの混合物とは無関係に立体異性体すべて、特にエナンチオマーすべてを指すと見なされる。経済的な理由で、その立体異性体の混合物として、特にそのエナンチオマーの混合物として化合物を使用することが好ましい。
【0118】
経済的な理由で、その立体異性体の混合物として、特にそのエナンチオマーの混合物として化合物を使用することが好ましい。しかしながら、個々の立体異性体を調製することが所望であるならば、これは当該技術分野で既知の方法、例えば、分取用HPLC、GCに従って、またはキラル出発材料から出発する、例えば、エナンチオマーとして純粋な物質から出発することによって達成されてもよい。この理由で、一般式(II)及び(III)は純粋な立体異性体、特にエナンチオマー、及び立体異性体の混合物、特にエナンチオマーの混合物の双方を包含すべきである。
【0119】
別の好ましい実施形態では、一般式(II)の化合物は表4に明記されているような以下の化合物及びそれらの立体異性体、特にエナンチオマー及びそれらの混合物から成る群から選択される。
【0120】
【0121】
一般に、上記化合物A、B及びDは新鮮で且つウッディな香調からかなりの強さのハーブのような若葉の芳香印象に及ぶ心地よい且つ強い嗅覚特性を示す。
【0122】
カンホレンアルデヒドの上記に示した誘導体は、一般式(I)に係る本発明の化合物の製造のための出発材料として、且つ本発明の実験セクションで示されるように役立つ。
【0123】
したがって、さらなる態様では、本発明はまた、一般式(I)の化合物、またはその立体異性体、特にエナンチオマーを調製するための、上記で定義されたような一般式(II)または式(III)の化合物の使用に関する。
【0124】
本発明に係る一般式(I)及び式(II)または(III)の化合物は、個々の物質として、または多数の芳香混合物で利用可能な天然物質及び合成物質の広い範囲から選択される少なくとも1つの他の既知の芳香との混合物で、及び/または芳香組成物における匂い分子と併せて従来使用されている1以上の成分または賦形剤、例えば、担体物質及び当該技術分野で一般に使用される他の補助剤との混合物で使用することができる。
【0125】
一般式(I)、(II)及び(III)に係る新規化合物の嗅覚特性は数多くの天然または合成の芳香物質と調和する。したがって、長続きする且つ強い新規の且つ初めての芳香印象を作り出すために特にその高い粘性及び低い閾値を考慮して種々の組成物にて芳香単位としてそれらを有利に組み合わせることができる。
【0126】
特に、一般式(I)及び(II)または(III)の化合物は花のような、ハーブのような及びウッディな香調すべてと特に上手く調和する。
【0127】
したがって、本発明はさらに、本発明に係るので式(I)及び/または(II)または(III)に係る少なくとも1つの化合物と、少なくとも1つのさらなる芳香物質とを含む芳香組成物に関する。
【0128】
それによって、以下で特定されている芳香物質は好ましくは、広範囲の天然及び合成の物質から選択される多数の種々の芳香混合物及び芳香組成物にて個々の物質として、または少なくとも1、2、3またはそれ以上の芳香物質との混合物で使用することができる。
【0129】
以下のリストは本発明の化合物及びそれらの混合物と組み合わせるのに有利に好適である既知の芳香物質の例を含む:
例えば、アンバーグリスチンキ;アミリス油;アンジェリカ種子油;アンジェリカ根油;アニス油;バレリアン油;バジル油;木コケアブソリュート;ベイ油;ヨモギ油;ベンゾイン樹脂;ベルガモット油;蜜蝋アブソリュート;バーチタール油;ビターアーモンド油;セイバリー油;ブッコリーフ油;カブリューバ油;カデ油;ショウブ油;樟脳油;カナンガ油;カルダモン油;カスカリラ油;カッシア油;キャシーアブソリュート;カストリウムアブソリュート;セダー葉油;セダーウッド油;シスタス油;シトロネラ油;レモン油;コパイババルサム;コパイババルサム油;コリアンダー油;コスタス根油;クミン油;サイプレス油;ダバナ油;ディルウィード油;ディル種子油;オーデブロウツアブソリュート;オークモスアブソリュート;エレミ油;トラゴン油;ユーカリシトリオドラ油;ユーカリ油;フェンネル油;トウヒ油;ガルバナム油;ガルバナム樹脂;ゼラニウム油;グレープフルーツ油;グアヤク木油;グルユンバルサム;グルユンバルサム油;ヘリクリサムアブソリュート;ヘリクリサム油;ジンジャー油;イリス根アブソリュート;イリス根油;ジャスミンアブソリュート;ショウブ油;カメリア油ブルー;カメリア油ローマン;ニンジン種子油;カスカリラ油;松葉油;スペアミント油;キャラウエイ油;ラブダナム油;ラブダナムアブソリュート;ラブダナム樹脂;ラバンジンアブソリュート;ラバンジン油;ラベンダーアブソリュート;ラベンダー油;レモングラス油;ロベージ油;蒸留ライム油;圧搾ライム油;リナロール油;アオモジ油;ベイリーフ油;マシ油;マジョラム油;マンダリン油;マッソイアバーク油;ミモザアブソリュート;アンブレット油;ムスクチンキ;クラリセージ油;ナツメグ油;没薬アブソリュート;没薬油;マートル油;クローブ葉油;クローブ花油;ネロリ油;オリバナムアブソリュート;オリバナム油;オポパナックス油;オレンジブロッサムアブソリュート;オレンジ油;オレガノ油;パルマローザ油;パチョリ油;シソ油;ペルーバルサム油;パセリ葉油;パセリ種子油;プチグレイン油;ペパーミント油;コショウ油;ピメント油;パイン油;ペニーロイヤル油;ローズアブソリュート;ローズウッド油;ローズ油;ローズマリー油;セージ油ダルメシアン;セージ油スペイン;サンダルウッド油;セロリ種子油;スパイクラベンダー油;スターアニス油;スチラックス油;タジェット油;ファーニードル油;ティーツリー油;テレピン油;タイム油;トルバルサム;トンカアブソリュート;チューベローズアブソリュート;バニラ抽出物;バイオレットリーフアブソリュート;バーベナ油;ベチバー油;ジュニパーベリー油;コニャック油;ヨモギ油;ウィンターグリーン油;イランイラン油;イソップ油;シベットアブソリュート;シナモン葉油;シナモンバルク油などの、精油、コンクリート、アブソリュート、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキなどの天然原材料からの抽出物、およびそれらの画分またはそれらから分離された成分;
例えば、3-カレン;α-ピネン;β-ピネン;α-テルピネン;γ-テルピネン;p-シメン;ビサボレン;カンフェン;カリオフィレン;セドレン;ファメセン;リモネン;ロンギフォレン;ミルセン;オシメン;バレンセン;(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン;スチレン;ジフェニルメタンのような炭化水素;
例えば、ヘキサノール;オクタノール;3-オクタノール;2,6-ジメチルヘプタノール;2-メチル-2-ヘプタノール;2-メチル-2-オクタノール;(E)-2-ヘキセノール;(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール;1-オクテン-3-オール;3,4,5,6,6-ペンタメチル-3,4-ヘプテン-2-オール及び3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オール;(E,Z)-2,6-ノナジエノールの混合物;3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール;9-デセノール;10-ウンデセノール;4-メチル-3-デセン-5-オールのよう脂肪族アルコール;
例えば、ヘキサナール;ヘプタナール;オクタナール;ノナナール;デハナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;2-メチルオクタナール;2-メチルノナナール;(E)-2-ヘキセナール;(Z)-4-ヘプテナール;2,6-ジメチル-5-ヘプテナール;10-ウンデセナール;(E)-4-デセナール;2-ドデセナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール;ヘプタナール ジエチルアセタール;1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン;シトロネリルオキシアセトアルデヒド;1-(1-メトキシプロポキシ)-(E/Z)-3-ヘキセンのような脂肪族アルデヒド及びそのアセタール;
例えば、2-ヘプタノン;2-オクタノン;3-オクタノン;2-ノナノン;5-メチル-3-ヘプタノン;5-メチル-3-ヘプタノン オキシム;2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン;6-メチル-5-ヘプテン-2-オンのような脂肪族ケトン及びそのオキシム;
例えば、3-メチルチオ-ヘキサノール;酢酸3-メチルチオヘキシル;3-メルカプトヘキサノール;酢酸3-メルカプトヘキシル;酪酸3-メルカプトヘキシル;酢酸3-アセチルチオヘキシル;1-メンテン-8-チオールのような脂肪族イオウ含有化合物;
例えば、2-ノネン酸ニトリル;2-ウンデセン酸ニトリル;2-トリデセン酸ニトリル;3,12-トリデカジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン酸ニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン酸ニトリルのような脂肪族ニトリル;
例えば、ギ酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;アセト酢酸エチル;酢酸イソアミル;酢酸ヘキシル;酢酸3,5,5-トリメチルヘキシル;酢酸3-メチル-2-ブテンyl;酢酸(E)-2-ヘキセニル;酢酸(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル;酢酸オクチル;酢酸3-オクチル;酢酸1-オクテン-3-イル;酪酸エチル;酪酸ブチル;酪酸イソアミル;酪酸ヘキシル;(E)-及び(Z)-3-ヘキセニル-イソ酪酸;クロトン酸ヘキシル;イソ吉草酸エチル;ペンタン酸エチル-2-メチル;ヘキサン酸エチル;ヘキサン酸アリル;ヘプタン酸エチル;ヘプタン酸アリル;オクタン酸エチル;エチル-(E,Z)-2,4-デカジエノエート;メチル-2-オクチネート;メチル-2-ノニネート;アリル-2-イソアミルオキシ酢酸;メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート;4-メチル-2-ペンチル-クロトネートのような脂肪族カルボン酸のエステル;
例えば、シトロネロール;ゲラニオール;ネロール;リナロール;ラバンデュロール;ネロリドール;ファルネソール;テトラヒドロリナロール;テトラヒドロゲラニオール;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチルオクタン-2-オール;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール;2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール;2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール;3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール;3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール;2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール;及びそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソ吉草酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、チグル酸塩及び3-メチル-2-ブテン酸塩のような非環式テルペンアルコール;
例えば、ゲラニアル;ネラル;シトロネラル;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール;7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール;2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール;ゲラニルアセトン;及びゲラニアル、ネラル、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチルアセタール及びジエチルアセタールのような非環式テルペンのアルデヒド及びケトン;
例えば、メントール;イソプレゴール;α-テルピネオール;テルピネノール-4;メンタン-8-オール;メンタン-1-オール;メンタン-7-オール;ボルネオール;イソボルネオール;酸化リナロール;ノポール;セドロール;アムブリノール;ベチベロール;グアイオール;及びそれらのギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、酪酸塩、イソ吉草酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、クロトン酸塩、チグル酸塩及び3-メチル-2-ブテン酸塩のような環状テルペンアルコール;
例えば、メントン;イソメントン;8-メルカプトメンタン-3-オン;カルボン;カンフォー;フェンコン;α-イオノン;β-イオノン;α-n-メチルイオノン;β-n-メチル イオノン;α-イソメチル イオノン;β-イソメチルイオノン;α-イロン;α-ダマスコン;β-ダマスコン;β-ダマスセノン;δ-ダマスコン;γ-ダマスコン;1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン;2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;ノートカトン;ジヒドロノートカトン;4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン;α-シネンサール;β-シネンサール;アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)のような環状テルペンのアルデヒド及びケトン;
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール;3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール;3-イソカムフィルシクロヘキサノール;2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール;2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールのような環状アルコール;
例えば、α-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール;1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)ブタノール;2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-2-ブテン-1-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-ペンタン-2-オール;3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペント-1-イル)-4-ペンテン-2-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール;1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールのような脂環式アルコール;
例えば、シネオール;セドリルメチルエーテル;シクロドデシルメチルエーテル;1,1-ジメトキシシクロドデカン;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;α-セドレンエポキシド;3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン;3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカ-ヒドロナフト[2,1-b]フラン;1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン;酸化ローズ;2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンのような環状及び脂環式のエーテル;
例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン;2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン;2-ヘプチルシクロペンタノン;2-ペンチルシクロ-ペンタノン;2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-シス-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン;3-メチル-4-シクロペンタデセノン;3-メチル-5-シクロペンタデセノン;3-メチルシクロペンタデカノン;4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン;4-tert-ペンチルシクロヘキサノン;5-シクロヘキサデセン-1-オン;6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン;8-シクロヘキサデセン-1-オン;9-シクロヘプタデセン-1-オン;シクロペンタデカノン;シクロヘキサデカノンのような環状及び大環状ケトン;
例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン カルボアルデヒド;2-メチル-4-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペントyl)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド;4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドのような脂環式アルデヒド;
例えば、1-(3,3-ジメチル-シクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン;2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン;1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン;メチル-2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン;tert-ブチル-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンのような脂環式ケトン;
例えば、酢酸2-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸4-tert-ブチルシクロヘキシル;酢酸2-tert-ペントylシクロヘキシル;酢酸4-tert-ペントylシクロヘキシル;酢酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル;酢酸デカヒドロ-2-ナフチル;クロトン酸2-シクロペンチルシクロペンチル;酢酸3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル;酢酸デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチル;酢酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;プロピオン酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;イソ酪酸4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-または6-インデニル;酢酸4,7-メタノオクタヒドロ-5-または6-インデニルのような環状アルコールのエステル;
例えば、クロトン酸1-シクロヘキシルエチルのような脂環式アルコールのエステル;
例えば、プロピオン酸アリル-3-シクロヘキシル;オキシ酢酸アリルシクロヘキシル;ジヒドロジャスミン酸cis-及びtrans-メチル;ジャスミン酸cis-及びtrans-メチル;カルボン酸メチル-2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタン;カルボン酸エチル-2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセン;カルボン酸エチル-2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセン;2-酢酸エチル-2-メチル-1,3-ジオキソランのような脂環式カルボン酸のエステル;
例えば、ベンジルアルコール;1-フェニルエチルアルコール;2-フェニルエチルアルコール;3-フェニルプロパノール;2-フェニルプロパノール;2-フェノキシエタノール;2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール;2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール;1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール;1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール;1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール;2-メチル-5-フェニルペンタノール;3-メチル-5-フェニルペンタノール;3-フェニル-2-propen-1-オール;4-メトキシベンジルアルコール;1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールのような芳香脂肪族アルコール;
例えば、酢酸ベンジル;プロピオン酸ベンジル;イソ酪酸ベンジル;イソ吉草酸ベンジル;酢酸2-フェニルエチル;プロピオン酸2-フェニルエチル;イソ酪酸2-フェニルエチル;イソ吉草酸2-フェニルエチル;酢酸1-フェニルエチル;酢酸α-トリクロロメチルベンジル;酢酸α,α-ジメチルフェニルエチル;酪酸α,α-ジメチルフェニル-エチル;酢酸シンナミル;イソ酪酸2-フェノキシエチル;酢酸4-メトキシベンジルのような芳香脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸のエステル;
例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル;2-フェニルエチルイソアミルエーテル;2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル;フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール;ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール;フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール;2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン;4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン;4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシンのような芳香脂肪族エーテル;
例えば、ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロパナール;ヒドラトロプアルデヒド;4-メチルベンズ-アルデヒド;4-メチルフェニルアセトアルデヒド;3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール;2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール;3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール;シンナムアルデヒド;α-ブチルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;3-メチル-5-フェニルペンタナール;4-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール;2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールのような芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド;
例えば、アセトフェノン;4-メチル-アセトフェノン;4-メトキシアセトフェノン;4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン;4-フェニル-2-ブタノン;4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン;1-(2-ナフタレニル)エタノン;2-ベンゾフラニルエタノン;(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン;ベンゾフェノン;1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン;6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン;1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン;5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-3’,5’,5’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-2-アセトナフトンのような芳香族及び芳香脂肪族ケトン;
例えば、安息香酸;フェニル酢酸;安息香酸メチル;安息香酸エチル;安息香酸ヘキシル;安息香酸ベンジル;酢酸メチルフェニル;酢酸エチルフェニル;酢酸ゲラニルフェニル;酢酸フェニルエチルフェニル;桂皮酸メチル;桂皮酸エチル;桂皮酸ベンジル;桂皮酸フェニルエチル;桂皮酸シンナミル;フェノキシ酢酸アリル;サリチル酸メチル;サリチル酸イソアミル;サリチル酸ヘキシル;サリチル酸シクロヘキシル;サリチル酸cis-3-ヘキセニル;サリチル酸ベンジル;サリチル酸フェニルエチル;メチル-2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸;グリシド酸エチル-3-フェニル;グリシド酸エチル-3-メチル-3-フェニルのような芳香族及び芳香脂肪族カルボン酸及びそれらのエステル;
例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン;3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセト-フェノン;シンナモニトリル;3-メチル-5-フェニル-2-ペンテン酸ニトリル;3-メチル-5-フェニルペンタン酸ニトリル;アントラニル酸メチル;アントラニル酸メチル-N-メチル;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナールまたは2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド6-イソプロピルキノリンとのアントラニル酸メチルのSchiff塩基;6-イソブチルキノリン;6-sec-ブチルキノリン;2-(3-フェニルプロピル)ピリジン;インドール;スカトール;2-メトキシ-3-イソプロピルピラジン;2-イソブチル-3-メトキシピラジンのような含窒素芳香族化合物;
例えば、エストラゴール;アネトール;ユーゲノール;ユーゲニルメチルエーテル;イソユーゲノール;イソユーゲニルメチルエーテル;チモール;カルバクロール;ジフェニルエーテル;β-ナフチルメチルエーテル;β-ナフチルエチルエーテル;β-ナフチルイソブチルエーテル;1,4-ジメトキシベンゼン;酢酸ユーゲニル;2-メトキシ-4-メチルフェノール;2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール;フェニル酢酸p-クレシルのようなフェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル;
例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン;2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン;3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン;2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンのような複素環化合物;
例えば、1,4-オクタノリド;3-メチル-1,4-オクタノリド;1,4-ノナノリド;1,4-デカノリド;8-デセン-1,4-オリド;1,4-ウンデカノリド;1,4-ドデカン-オリド;1,5-デカノリド;1,5-ドデカノリド;4-メチル-1,4-デカノリド;1,15-ペンタ-デカノリド;cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド;cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド;1,16-ヘキサデカノリド;9-ヘキサデセン-1,16-オリド;10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド;エチレン 1,12-ドデカンジオエート;エチレン 1,13-トリデカンジオエート;クマリン;2,3-ジヒドロクマリン;オクタヒドロクマリンのようなラクトン;を含む群に由来する個々の芳香物質ならびに上記物質の混合物。
【0130】
本発明に係る芳香物質組成物がサンダルウッドの匂いの香調として嗅覚的に知覚できる量の好ましくは一般式(I)の化合物から選択される本発明に係る化合物を含むことが絶対的に必須ではないにもかかわらず好ましいことは言うまでもない。しかしながら、高い粘性(二次的特性)と組み合わせた本発明の化合物の高い嗅覚強度(一次特性)に基づいて、一般に、環境の持続可能性の強化を伴う所望の匂い印象を達成するのに必要とされる本発明の化合物はごく少量である。
【0131】
芳香組成物では、使用される本発明に係る化合物の量は、芳香組成物の総量に対して約0.0001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%及び特に好ましくは0.1~50重量%である。
【0132】
本発明に係る少なくとも1つの化合物を含有する芳香組成物は希釈されていないまたは溶媒で希釈された液体形態で香り付け応用に使用されてもよい。この目的に好適な溶媒は、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、トリアセチン、植物油等である。
【0133】
さらに、本発明に係る1以上の化合物を含有する芳香組成物は、製品における芳香物質の微細分布及び使用の際の制御放出を保証する担体上に吸着されてもよい。そのような担体は、多孔性の無機物質、例えば、硫酸ナトリウム、シリカゲル、ゼオライト、石膏、粘土顆粒、気泡コンクリート等、または有機物質、例えば、木材、セルロース系物質、糖類、デキストリン(例えば、マルトデキストリン)、またはプラスチック、例えば、PVC、ポリ酢酸ビニル、もしくはポリウレタンであってもよい。
【0134】
式(I)及び(II)または(III)によって示される本発明に係る少なくとも1つの化合物を含有する芳香組成物はマイクロカプセル化されてもよく、噴霧乾燥させてもよく、封入複合体として、または押し出し製品(本発明に係る製品)として提供されてもよい。
【0135】
任意で、そのような方法で改変された芳香組成物の特性は、好適な物質による「コーティング」によってさらに標的を絞った芳香の放出に関してさらに最適化されてもよく、その目的で、蝋様プラスチック、例えば、ポリビニルアルコールが好ましくは使用される。得られる製品は今度は本発明に係る製品である。
【0136】
本発明に係る芳香組成物は、例えば、ポリウレタン型物質または軟質ゼラチンから出来たカプセル材の助けを借りたコアセルベーション法によってカプセル化されてもよい。
【0137】
噴霧乾燥させた芳香組成物は、例えば、芳香物質組成物を含有するエマルションまたは分散液を噴霧乾燥させることによって作り出されてもよく、その際、修飾デンプン、タンパク質、デキストリン及び植物ゴムが担体として使用されてもよい。封入複合体は、例えば、芳香物質組成物とシクロデキストリンまたは尿素誘導体の分散液を好適な溶媒、例えば、水に導入することによって作り出されてもよい。
【0138】
押し出し製品は芳香物質組成物を好適な蝋様物質と共に融解し、任意で好適は溶媒、例えば、イソプロパノールにて押し出し、その後固化させることによって作り出されてもよい。
【0139】
市販の合成のサンダルウッド代用品を考慮して強化された嗅覚特性、例えば、高い匂いの強さ(影響力)、低い匂い閾値及び高い粘性(定着性)に基づいて、式(I)、(II)及び(III)、特に式(I)に係る化合物、と同様にこれら本発明の化合物の1以上を含む組成物は、少量でしか使用されなくても心地よい匂い印象、特に高強度を伴った天然のようなサンダルウッドの芳香印象を達成するのに好適である。さらに、本出願に基づいて、天然の長続きする且つ晴れやかなサンダルウッド油の有益な嗅覚特性を示す(及びさらに超える)芳香化合物に対する現在と同様に将来のニーズを満たすことができる環境的に持続可能な芳香化合物を提供することができる。
【0140】
式(I)及び本発明に係る化合物はしたがって、驚くほど高い粘性と組み合わせた感覚刺激的に高度に有益な強烈な且つ自然なサンダルウッドの香調を有する。本発明の化合物の少なくとも1つを含む対応する芳香組成物では、化合物は組成物の天然のようなサンダルウッドの香調を明瞭に強化し、優れた粘性を同時に提供することによって芳香コード全体にわたって有益な作用を示す。したがって、本発明に係る及び特に式(I)に係る化合物は芳香組成物及び香料入り製品にて固定剤として特に使用される。
【0141】
別の態様では、したがって本発明は、着臭剤としての、または芳香化合物の定着性を改善するための、または香料入り製品の調製のための一般式(I)、(II)または(III)に係る化合物またはこれら化合物の少なくとも1つを含む芳香組成物の使用に関する。上記でもたらされたコメントはそれに応じて好ましい化合物または混合物に適用される。
【0142】
特有の匂いプロファイルを示す上記で示された化合物、と同様にその混合物、及び上記で定義されたような本発明に係る芳香組成物は香料入り製品の調製に特に好適である。これらの化合物、混合物及び組成物に基づいて、香料入り製品、特にウッディな、サンダルウッド様の匂い印象を発する製品を入手することが可能である。低い閾値と組み合わせた長期の粘性に起因して、香料入り製品から発する強い、晴れやかな、魅力的な、天然のウッディなサンダルウッド様の匂いを達成するのに必要な本発明の化合物、特に一般式(I)に由来する化合物はごく少量である。
【0143】
さらに、得られる完全な混合物にて天然のようなサンダルウッドの匂いを伝えるために、他の構成成分の組成物にて既存のサンダルウッドの匂いを増強するために、及び/または他の構成成分の組成物にて既存のサンダルウッドの匂いを改変するために、これらの芳香化合物及び芳香組成物を使用することができる。
【0144】
特に、一般に式(I)の化合物及び特に化合物1~4は、天然のサンダルウッド精油の匂いプロファイルと紛らわしいほど似ているウッディなサンダルウッド様の芳香を付与する、改変する及び/または増強するのに特に優れていることが見いだされた。化合物がそのような表現豊かな香り及び長期の粘性を有するという事実は驚くべきことである。さらに、高い強さと粘性の組み合わせは、種々の香料入り製品及びその製造に適用可能な、天然のサンダルウッドの記憶と共に調和した且つ長続きする全体的な匂い印象をもたらす芳香化合物の定着性の改善と併せて心地よい匂いを達成するための前記化合物及び組成物の使用を可能にする。
【0145】
本発明の化合物または芳香組成物は、少量で使用されたとしても強く且つ長続きするサンダルウッド様の香調を達成するために、香り付けされるまたは香り付けすることを目的とする製品、特に、例えば、洗浄剤、洗濯剤のような個人の衛生に役立つ製剤に組み込むことができる。
【0146】
本発明の化合物または芳香組成物を含有する本発明に係る香料入り製品は、溶媒を含まない固体物質として、溶液として、または固体もしくは液体の担体と任意で他の補助剤及び/または安定剤を伴った混合物の形態で本発明に係る化合物または組成物を組み込むことによって得ることができる。
【0147】
したがって、本発明はさらに、式(I)、(II)及び/または(III)に係る化合物、または有効量の少なくとも1つの前記化合物を含む芳香組成物と、担体または基材とを含む香料入り製品に言及する。この文脈で、本発明の化合物は個々に、または本発明に係る混合物もしくは芳香組成物の一部として使用される。
【0148】
感覚有効量は、式(I)、式(II)及び/または式(III)の物質、特に一般式(I)に係る化合物の比率が心地よい、知覚できる芳香印象、特にサンダルウッド様のウッディな匂い印象を発するのにすでに十分であることを意味する。この知覚可能な嗅覚印象は、少なくとも0.001重量%の式(I)、式(II)または式(III)の化合物が存在する場合に一般に達成される。
【0149】
本発明に係る香料入り製品は、香料入りの酸性、アルカリ性及び中性の洗浄剤、例えば、床洗浄剤、窓ガラス洗浄剤、皿洗い洗剤、風呂及びトイレ洗浄剤、汚れ落としクリーム、固形及び液体のトイレ洗浄剤、粉末及び泡状のカーペット洗浄剤、織物脱臭剤、アイロンがけ助剤、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯前処理剤、例えば、漂白剤、浸漬剤及び染み抜き剤、-洗濯柔軟剤-、洗濯石鹸、洗濯錠剤、消毒剤、表面消毒剤、-と同様に液体またはゲルの形態での空気清浄剤のためのものを含む、例えば、香料抽出物、オードパフューム、オードトワレ、髭剃り水、オーデコロン、髭剃り前製品、スプラッシュコロン及び香料入り清涼ワイプ;または固形担体、エアゾールスプレー、ワックス及び艶出し剤、例えば、家具艶出し剤、床ワックス及び靴磨き剤、と同様に、ボディケア製品、例えば、固形及び液状の石鹸、シャワージェル、シャンプー、髭剃り石鹸、シェービングフォーム、バスオイル、水中油、油中水及び水中油中水の型の化粧品エマルション、例えば、皮膚のクリーム及びローション、顔面のクリーム及びローション、日焼け止めのクリーム及びローション、-日焼け後クリーム及びローション、手のクリーム及びローション、足のクリーム及びローション、脱毛のクリーム及びローション、髭剃り後のクリーム及びローション、日焼けのクリーム及びローション、毛髪ケア製品、例えば、毛髪スプレー、毛髪ジェル、強化毛髪ローション、ヘアリンス、永続的な及び半永続的な毛髪染料、毛髪成形剤、例えば、コールドパーマ剤及び縮毛矯正剤、ヘアトニック、毛髪のクリーム及びローション、脱臭剤及び制汗剤、例えば、腋下スプレー、ロールオン、脱臭スティック、脱臭クリームまたは装飾的な化粧製品、例えば、アイシャドウ、マニキュア、メイク用品、リップスティック、マスカラ、と同様にロウソク、ランプ油、線香、殺虫剤、防虫剤及び燃料、または口腔及び/または歯科のケア製品、例えば、練り歯磨き、歯科ジェル、歯科粉末、洗口剤、チューインガム、及び他の経口ケア製品に適用されるものである。
【0150】
本発明に係る製品は、一般式(I)、(II)及び/または(III)の化合物または有効量の本発明に係る少なくとも化合物を含有する芳香組成物を含む半完成品であってもよい。
【0151】
少量の新規化合物またはそのような化合物を含む芳香組成物でさえ、豊かなサンダルウッドの、ウッディな及び/またはクリーミィな印象を提供するので、一般式(I)、(II)及び/または(III)の化合物または本発明に係る少なくとも化合物を含有する芳香組成物が使用される割合は、千分のわずかから広い制限の範囲内で変化してもよい。好ましくは、一般式(I)、(II)及び/または(III)の化合物または本発明に係る少なくとも化合物を含有する芳香組成物は最終製剤の総重量に基づいて0.0001~90重量%、好ましくは0.01~70重量%、特に好ましくは0.1~50重量%の量で使用される。
【0152】
最後に、さらに別の実施形態では、香料入り製品は好ましくは、香油、香料基剤、個人の衛生のために製剤、洗浄剤または洗濯剤である。
【実施例】
【0153】
化合物A~Dまたはそれらのエナンチオマーの調製及びそれらの実験データ
【0154】
化合物A:2-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-イル]アセトアルデヒド
【0155】
化合物AはHelvetica Chimica Acta,1998(81),1349-1358に記載された方法に従って調製した。
【化9】
【0156】
2-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-イル]アセトアルデヒドの実験データ
【0157】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,C6D6)δ9.30(dd,J=2.5,1.8Hz,1H),3.59(dd,J=10.4,1.5Hz,1H),3.06(s,3H),2.73(d,J=10.3Hz,1H),1.86(ddd,J=15.8,4.0,1.8Hz,1H),1.75(dd,J=12.2,6.8Hz,1H),1.65(ddd,J=15.9,10.4,2.5Hz,1H),1.47(tdd,J=10.7,6.8,3.9Hz,1H),1.21-1.13(m,1H),0.97(s,3H),0.91(dt,J=8.1,4.0Hz,1H),0.72(s,3H),0.52(ddd,J=5.5,3.8,1.4Hz,1H),0.38-0.33(m,1H).
13C-NMR(101MHz,C6D6)δ200.57,75.82,58.19,44.45,41.45,39.46,34.87,32.11,24.62,20.03,19.93,12.78.
【0158】
GC-MSデータ:196,181,149,137,120,99,79,67,45,29.
【0159】
匂いの表現:樟脳、マツ、ラズベリー、スパイシー、ヘリオトロピン
【0160】
化合物B:2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペンチル]アセトアルデヒド
【0161】
化合物Bは80℃で25バールの圧力下、0.2gのPd/C(5%)を使用して2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]アセトアルデヒド(30g,164.6mmol)を水素化することによって調製し、原料について28.7gの収量を得た。104℃及び1.4ミリバールでのバルブ・トゥ・バルブ蒸留によるその後の精製によって収量26.8g(88%)で純粋な化合物Bを得た。
【化10】
【0162】
2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペンチル]アセトアルデヒドの実験データ
【0163】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ9.78(t,J=2.9,1.5Hz,1H),3.44(dd,J=9.2,5.5Hz,1H),3.33(s,3H),3.24(dd,J=9.2,7.4Hz,1H),2.48(ddd,J=15.9,3.4,1.8Hz,1H),2.19(ddd,J=15.9,10.3,2.7Hz,1H),2.00-1.82(m,4H),1.38-1.30(m,1H),1.30-1.22(m,1H),1.02(s,3H),0.61(s,3H)
13C-NMR(151MHz,CDCl3)δ202.90,74.65,58.87,49.20,45.13,44.70,42.12,28.31,26.40,26.39,15.44.
【0164】
匂いの表現:ハーブのような、カタバミ、新緑の
【0165】
化合物C:2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-アセトアルデヒド
【0166】
化合物CはHelvetica Chimica Acta,1992(75)1527に記載された方法に従って調製した。
【化11】
【0167】
2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-アセトアルデヒドの実験データ
【0168】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ9.81(t,J=2.1Hz,1H),5.59(dq,J=3.1,1.5Hz,1H),3.93(dq,J=2.6,1.4Hz,2H),3.33(s,3H),2.54(ddd,J=15.1,3.8,1.9Hz,1H),2.52-2.46(m,1H),2.44-2.35(m,1H),2.38-2.29(m,1H),1.98(ddq,J=15.8,8.8,2.1Hz,1H),1.07(s,3H),0.89(s,3H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3):δ202.71,148.24,125.31,69.35,58.11,46.48,44.70,44.66,35.66,25.72,20.86.
【0169】
GC-MSのデータ:182,167,150,138,123,106,91,79,67,53,45.
【0170】
匂いの表現:アルデヒドのような、ミルクのような、アーモンドのような、ピスタチオ、食用。
【0171】
化合物D:2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-エタノール
【化12】
【0172】
2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-エタノールの実験データ
【0173】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,C6D6)δ5.59(p,J=2.9,1.5Hz,1H),3.86-3.80(m,2H),3.41(ddd,J=10.3,7.8,5.2Hz,1H),3.33(dt,J=10.3,7.3Hz,1H),3.13(s,3H),2.25-2.20(m,1H),1.86-1.81(m,1H),1.82-1.76(m,1H),1.52(dtd,J=12.8,7.3,3.4Hz,1H),1.28(dddd,J=13.1,11.0,7.2,5.2Hz,1H),1.03(s,3H),0.84(s,3H).
13C-NMR(151MHz,C6D6)δ149.30,125.47,69.74,62.16,57.75,47.82,46.51,35.83,33.05,25.86,20.80.
【0174】
匂いの表現:新鮮な、ウッディな、フルーティな、柑橘類
【0175】
化合物1~8及びそれらのエナンチオマーの調製ならびにそれらの実験データ
【0176】
化合物1:4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール
【0177】
工程1:-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エナール(中間体化合物)の調製
【0178】
先ず、室温にてナトリウムメトキシド溶液(75mL中0.78gのNaOH)を2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]アセトアルデヒド(25.0g,137.3mmol)にゆっくり加え(発熱反応:T<27℃)、プロパナール(18mL,260mmol)の緩慢な添加がそれに続いた。反応が完了するまで反応物を室温で保持した。その後、氷水を使用して反応混合物の反応を止め、MTBE(30mL×3)を使用して、得られた生成物を抽出した。それに続いて、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留し、原料として中間体化合物を得た(31.0g)。得られたままの生成物を直ちにトコフェロールで安定化し、さらに精製することなく以下の工程で使用した。
【0179】
工程2:4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール(化合物1)の調製
【0180】
約0~5℃の温度にてLAH(3.6mg,94.9mmol)の無水THF(100ml)懸濁液に得られたままの4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エナール(31.0g)の無水THF(50mL)溶液をゆっくり加えた。その後、反応が完了するまで反応物を室温で保持した。それに続いて反応混合物の反応を氷水で止め、25%H2SO4(25mL)を使用して、得られたままの塩を反応させ、MTBE(50mL×3)を使用して、得られた生成物を抽出した。次いで、有機相を飽和NaHCO3溶液(50mL)で洗浄した。最後に、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原産物(31.0g)を得たが、15cm-Vigreuxカラム(RT=104℃,VT=85~156℃,真空=0.41ミリバール)を使用してそれを精製して少量の異性化副産物4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-3-エン-1-オールと共に14.2gの生成物4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール(化合物1;全体の収率=46%)を得た。
【0181】
4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール(化合物1)の実験データ
【化13】
【0182】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ5.57(dp,J=3.2,1.8Hz,1H),5.44(tp,J=7.0,1.4Hz,1H),4.01(d,J=4.7Hz,2H),3.94-3.91(m,2H),3.33(s,3H),2.36(dddd,J=13.8,6.8,3.1,1.5Hz,1H),2.17(ddd,J=13.9,7.1,4.5Hz,1H),2.06-1.96(m,1H),1.96-1.80(m,2H),1.69(d,J=1.3Hz,3H),1.53-1.40(m,1H),1.06(s,3H),0.89(s,3H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3)δ148.70,134.91,125.73,125.42,69.50,69.07,58.07,50.92,46.35,35.69,27.75,26.01,20.58,13.80
【0183】
GC-MSのデータ:224,209,192,177,159,137,123,107,93,79,67,55,43.
【0184】
匂いの表現:サンダルウッド、ウッディな
【0185】
4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-3-エン-1-オール(副産物、化合物1a)の実験データ
【化14】
【0186】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,Benzene-d6)δ5.60(dq,J=3.1,1.6Hz,1H),5.52(ddd,J=15.4,8.7,1.1Hz,1H),5.25(ddd,J=15.4,7.7,1.0Hz,1H),3.84-3.79(m,2H),3.28(dd,J=10.3,6.2Hz,1H),3.25(dd,J=10.3,7.0Hz,1H),3.13(s,3H),2.42(tdd,J=9.2,8.7,7.9,0.9Hz,1H),2.29(dddt,J=15.9,7.8,2.9,1.4Hz,1H),2.23-2.18(m,1H),2.15(ddq,J=15.9,9.3,2.2Hz,1H),1.06(s,3H),0.91(d,J=6.8Hz,3H),0.91(s,3H).
13C-NMR(151MHz,ベンゼン-d6)δ148.8,134.2,131.7,125.1,69.8,67.6,57.8,55.3,47.7,40.2,35.9,25.7,21.6,16.8.
【0187】
化合物2:4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブタン-1-オール
【0188】
大気圧下の室温にて4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール(化合物1;10.0g,44.6mmol)とプロパン-2-オール(100mL)とRa-Ni B113W(0.5g)の混合物を水素化した。反応の完了後(約8時間)、濾過によって触媒を取り除き、得られた濾液を真空下で蒸発させて原産物を得たが、それをさらにバルブ・トゥ・バルブ蒸留(T=140℃、p=0.3ミリバール)によって精製して1:3の比率で水素化化合物4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペンチル]-2-メチル-ブタン-1-オールと共に8.6g(85%)の4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブタン-1-オール(化合物2)を得た。
【0189】
4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブタン-1-オール(化合物2)の実験データ
【化15】
【0190】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,C6D6)δ5.58(dd,J=3.1,1.7Hz,2H),3.92(dt,J=2.6,1.3Hz,4H),3.57-3.48(m,1H),3.47-3.41(m,1H),3.33(s,3H),2.41-2.34(m,1H),1.81-1.71(m,1H),1.69-1.57(m,1H),1.54-1.05(m,3H),1.03(s,3H),0.95(d,J=6.8Hz,3H),0.85(s,3H).
13C-NMR(151MHz,C6D6)δ148.94,125.44,69.54,68.22,58.09,51.36,46.38,36.28,35.89,32.33,26.91,25.90,20.60,16.85.
【0191】
GC-MSのデータ:226,211,179,161,139,121,107,84,69,55,45,29.
【0192】
匂いの表現:サンダルウッド、ウッディな、クリーミィな
【0193】
4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペンチル]-2-メチル-ブタン-1-オール(水素化した副産物)の実験データ
【0194】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,C6D6)δ3.51(mc,2H),3.32(s,3H),3.21(mc,2H),1.87(mc,2H),1.75(mc,1H),1.62(mc,1H),1.34-1.25(m,7H),0.91(d,J=6.8Hz,J=6.7Hz,3H),0.98(s,3H),0.57(s,3H).
13C-NMR(151MHz,C6D6)δ70.03,68.58,58.85,51.71,50.01,42.09,36.26,32.48,28.48,27.06,26.64,26.50,16.88,15.27.
【0195】
GC-MSのデータ:213,196,181,153,112,95,81,69,55,45,29.
【0196】
化合物3:2-エチル-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]ブト-2-エン-1-オール
【0197】
ブタナール及び化合物1について記載された以下の手順を使用してKugelrohr/バルブ・トゥ・バルブ蒸留(T=110℃、p=0.2ミリバール)とその後のカラムクロマトグラフィー(CH/EE、5:1)を介した精製の後、この化合物(化合物3)を得た。
【化16】
【0198】
2-エチル-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]ブト-2-エン-1-オール(化合物3)の実験データ
【0199】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ5.60-5.55(m,1H),5.41(t,J=7.2Hz,1H),4.05(s,2H),3.93(s,2H),3.33(s,3H),2.41-2.32(m,1H),2.24-2.10(m,3H),2.05-1.95(m,1H),1.95-1.79(m,2H),1.06(s,3H),1.01(t,J=7.6Hz,3H),0.89(s,3H)
13C-NMR(101MHz,CDCl3)δ148.71,140.85,125.68,125.41,69.51,66.94,58.09,51.10,46.38,35.70,27.37,25.99,21.11,20.59,13.17.
【0200】
GC-MSのデータ:238,223,206,191,175,159,137,123,107,93,79,67,57.
【0201】
匂いの表現:サンダルウッド、ウッディな、クリーミィな
【0202】
化合物4:4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ペント-4-エン-1-オール
【0203】
この化合物(化合物4)はUS4610813Aに記載された方法に従って調製された。
【0204】
工程1:2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル] プロップ-2-エナールの調製
【0205】
先ず、パラホルムアルデヒド(5.62g,1.8当量)及びジブチルアミン(2.69g,0.2当量)の混合物を40℃に加熱した。この温度で約10~15分以内に2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]アセトアルデヒド(20.0g,1.0当量)を加え、その後、還流で30~45分間前記温度を保持した。反応が完了した後、混合物の反応を水で止め、MTBE(60ml×3)で抽出し、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄した。それに続いて生成物をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して21.7gの原産物を得たが、それをさらに精製することなく次の工程で使用した。
【化17】
【0206】
2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル] プロップ-2-エナールの実験データ
【0207】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,C6D6)δ9.28(s,1H),5.79-5.73(m,1H),5.57(tt,J=2.4,1.4Hz,1H),5.46-5.40(m,1H),3.77-3.73(m,2H),3.34(td,J=8.1,1.0Hz,1H),3.10(s,3H),2.19(dq,J=8.2,2.1Hz,2H),1.17(s,3H),0.75(s,3H)
13C-NMR(101MHz,C6D6)δ194.11,151.03,148.11,134.52,124.86,69.63,57.83,47.89,47.63,34.80,26.97,22.42.
【0208】
GC-MSのデータ:194,179,162,147,133,119,105,91,77,67,53,41,29.
【0209】
工程2:2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル] プロップ-2-エン-1-オールの調製
【0210】
約0~5℃の温度にてLAH(2.9gm,0.67当量)の無水THF(100ml)懸濁液に無水THF(25mL)中の2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]プロップ-2-エナール(21.7g)をゆっくり加えた。反応が完了するまで反応物を室温で維持した(約4時間)。それに続いて、反応混合物の反応を氷水で止めた。得られた塩を25%のH
2SO
4(25mL)と反応させ、MTBE(20mL×3)を使用して抽出し、有機相を飽和NaHCO
3溶液(50mL)で洗浄した。その後、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原産物(18.2g)を得たが、それに続いて、Kugelrohr/バルブ・トゥ・バルブ蒸留を使用して17.5g(81.4%)の量で精製した(2工程での精製)。
【化18】
【0211】
2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル] プロップ-2-エン-1-オールの実験データ
【0212】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ5.66-5.62(m,1H),5.27-5.22(m,1H),5.02-5.00(m,1H),4.19-4.04(m,2H),3.93-3.90(m,2H),3.34(s,3H),2.65(t,J=8.5Hz,1H),2.48-2.30(m,2H),1.13(s,3H),0.86(s,3H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3)δ148.88,147.67,125.37,111.03,69.49,66.23,58.11,54.36,47.27,34.05,26.95,21.72.
【0213】
GC-MSのデータ:196,181,163,131,105,91,79,67,55,41,29.
【0214】
匂いの表現:新鮮な、フルーティな、弱い
【0215】
工程3:エチル-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ペント-4-エノエートの調製
【0216】
2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]プロップ-2-エン-1-オール(5.0g,1.0当量)とTriメチルorthoプロピオン酸(13.5gm,3.0当量)と2,2-ジメチルプロップionicacid(0.26g,0.1当量)との混合物を反応が完了するまで還流し(約3~4時間)、水で反応を止め、MTBE(25ml×3)で化合物を抽出し、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留し、異性体混合物(6.7g)として原産物を得たが、精製することなくそれを次の工程で使用した。
【化19】
【0217】
エチル-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ペント-4-エノエートの実験データ
【0218】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ5.64-5.61(m,2H),4.91(dq,J=13.1,1.2Hz,2H),4.90(d,J=16.9Hz,2H),4.15-4.07(m,4H),3.93-3.90(m,4H),3.33(s,6H),2.74-2.69(m,1H),2.69-2.63(m,1H),2.63-2.59(m,1H),2.59-2.55(m,1H),2.52-2.46(m,2H),2.44-2.38(m,2H),2.34-2.25(m,2H),2.14-2.07(m,2H),1.26-1.22(m,6H),1.18(d,J=7.0Hz,3H),1.16(s,6H),1.13(d,J=6.9Hz,3H),0.85(s,3H),0.84(s,3H).
13CNMR(151MHz,CDCl3)δ176.64,176.44,147.68,147.57,146.57,146.39,125.42,125.22,112.75,112.19,69.54,60.25,60.15,58.44,58.09,58.07,56.51,56.13,47.40,47.36,41.41,40.83,38.52,38.09,34.32,34.27,27.09,27.02,21.74,21.69,17.63,16.92,14.29,14.24.
【0219】
GC-MSのデータ:280,248,203,174,147,119,105,91,79,41,29.
【0220】
工程4:異性体混合物(2:1)としての4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ペント-4-エン-1-オール(化合物4)の調製
【0221】
0~5℃の温度にてLAH(0.6gm)の無水THF(40ml)懸濁液に無水THF(10mL)中のエチル-4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ペント-4-エノエート(6.7g)をゆっくり加えた。反応が完了するまで(約4時間)、反応物を室温で維持した。その後、反応混合物の反応を氷水で止め、25%H
2SO
4(5mL)を使用して生成塩を分解し、MTBE(20mL×3)を使用して化合物を抽出し、飽和NaHCO
3溶液(50mL)で有機相を洗浄した。中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原産物(5.2g)を得たが、それをカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル5:1→1:1)によって精製し、2.9g(2工程にわたって48%)の最終産物(化合物4)を得た。
【化20】
【0222】
異性体混合物(2:1)としての4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ペント-4-エン-1-オール(化合物4)の実験データ
【0223】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ5.64-5.58(m,2H),4.96-4.91(m,4H),3.93-3.90(m,2H),3.90-3.87(m,2H),3.53(dd,J=10.5,5.6Hz,1H),3.47(dd,J=10.5,6.0Hz,2H),3.43(dd,J=10.7,5.9Hz,1H),3.33(s,3H),3.33-3.32(m,3H),2.66-2.62(m,1H),2.62-2.57(m,1H),2.46-2.39(m,2H),2.32-2.21(m,3H),2.19-2.10(m,1H),1.97-1.92(m,2H),1.92-1.86(m,1H),1.86-1.81(m,1H),1.16(s,3H),1.15(s,3H),0.95(d,J=6.6Hz,3H),0.88(d,J=6.5Hz,3H),0.85(s,3H),0.84(s,3H).
13C-NMR(151MHz,CDCl3)δ147.96,147.64,147.59,147.31,125.41,125.38,112.49,112.32,69.54,69.24,69.21,68.49,68.09,58.06,56.22,55.69,47.38,47.31,41.84,41.36,34.44,34.30,34.22,34.06,27.16,27.05,21.81,21.76,17.27,16.32.
【0224】
GC-MSのデータ:238,223,206,191,163,147,133,119,105,91,80,67,55,41.
【0225】
匂いの表現:ウッディな、サンダルウッド、クリーミィな
【0226】
化合物5:4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロ-ペンチル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール
【化21】
【0227】
表題の化合物は、化合物1についての手順を適合させて2-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペンチル]アセトアルデヒドから15.9g(収率=52%)の量で得られた。
【0228】
4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペンチル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オールの実験データ。
【0229】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ5.41(tq,J=7.2,1.4Hz,1H),4.01-3.97(m,2H),3.45(dd,J=9.2,5.2Hz,1H),3.33(s,3H),3.21(dd,J=9.1,7.8Hz,1H),2.13(dddd,J=13.9,6.9,3.2,0.7Hz,1H),1.87-1.72(m,4H),1.68-1.65(m,3H),1.52-1.39(m,2H),1.33-1.16(m,2H),1.02(s,3H),0.61(s,3H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3)δ134.52,126.12,74.97,69.13,58.86,51.52,49.82,42.04,28.41,27.83,26.68,26.37,15.25,13.74.
【0230】
GC-MSのデータ:208,193,176,161,140,121,109,95,81,67,55,45,29.
【0231】
匂いの表現:ウッディな、化合物3よりも弱い
【0232】
化合物6:4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-イル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール
【0233】
工程1:エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0] ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エノエートの調製
【0234】
室温でNaH(1.5g,6.25mmol)の無水THF(50mL)懸濁液に2-ホスフォノプロピオン酸トリエチル(5.9g,24.8mmol)を加えた(発熱反応、温度は29℃まで上昇)。反応混合物を氷水で冷却し、室温で1時間維持し、次いで氷槽を使用して(発熱反応のために)冷却した反応混合物に2-[1-メトキシメチル]-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]アセトアルデヒド[Helv.Chimica Acta,1998,81,1349-1358に記載された](5.0g,25.5mmol)をゆっくり一滴ずつ加えた。反応が完了するまで(約3時間)、反応物を室温で維持した。その後、反応混合物の反応を冷水で止め、MTBE(100mL×3)を使用して化合物を抽出し、有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原産物(5.7g)を得たが、さらに精製することなくそれを以下の工程で使用した。
【化22】
【0235】
エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0] ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エノエートの実験データ
【0236】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ6.70(tq,J=7.6,1.5Hz,1H),4.18(q,2H),3.83(dd,J=10.5,1.5Hz,1H),3.31(s,3H),2.97(d,J=10.4Hz,1H),2.14(ddd,J=14.8,7.3,4.1Hz,1H),1.94-1.89(m,1H),1.82(s,3H),1.79(dd,J=12.3,6.8Hz,1H),1.42(td,J=11.8,4.2Hz,1H),1.33-1.22(m,4H),1.07-1.04(m,4H),0.92(s,3H),0.64(ddd,J=5.3,3.8,1.4Hz,1H),0.40(dd,J=8.1,5.2Hz,1H).
13C-NMR(151MHz,CDCl3)δ168.23,141.81,127.69,76.23,60.40,58.52,44.95,41.45,35.13,32.05,28.97,24.83,19.73,19.64,14.31,12.51,12.40.
GC-MSのデータ:280,265,235,219,189,161,121,99,79,67,45,29.
【0237】
工程2:4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0] ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エナールの調製
【0238】
NaOH(0.14g,0.15当量)のメタノール(15ml)溶液を2-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]アセトアルデヒド(5.0g,25.5mmol)にゆっくりと加え、氷槽を使用してそれを冷却し、その後プロパナール(2.7g,2.0eq)を加えた。完了まで(約5時間)、反応物を室温で維持した。その後、反応混合物の反応を氷水で止め、MTBE(30ml×3)を使用して、得られたままの化合物を抽出し、有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で溶媒を蒸留して原産物(6.5g)を得たが、さらに精製することなくそれを以下で使用した。
【化23】
【0239】
4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン-イル]-2-メチル-ブト-2-エナールの実験データ
【0240】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,C6D6)δ9.30(s,1H),5.88-5.80(m,1H),3.65(dd,J=10.3,1.4Hz,1H),3.11(s,3H),2.80(d,J=10.3Hz,1H),1.94-1.86(m,1H),1.75-1.66(m,1H),1.64(s,3H),1.54(dd,J=12.2,6.8Hz,1H),1.23-1.13(m,1H),1.07(s,3H),1.06-1.01(m,1H),0.95(dd,J=8.2,4.2Hz,1H),0.82(s,3H),0.54-0.50(m,1H),0.41(dd,J=8.0,5.1Hz,1H).
13C-NMR(101MHz,C6D6)δ193.95,152.79,139.58,75.85,58.27,45.04,41.64,35.37,32.22,29.24,25.00,19.85,19.74,12.82,9.30.
【0241】
GC-MSのデータ:221,191,153,99,79,67,45,29.
【0242】
工程3:4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0] ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール(化合物6)の調製
【0243】
この化合物は2つの方法によって調製することができる:(1)LAHの還元(化合物1について記載されたような):エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エノエートの還元は(全体の)収率=55%に等しい3.6gの化合物6を生じた;または(2)4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エナールの還元は2.5gm、収率=38%の化合物6を生じた。
【化24】
【0244】
4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0] ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エン-1-オール(化合物6)の実験データ
【0245】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ5.36(th,J=7.2,1.2Hz,1H),3.98(s,2H),3.83(dd,J=10.4,1.5Hz,1H),3.31(s,3H),2.96(d,J=10.5Hz,1H),2.02(ddd,J=14.0,7.2,4.2Hz,1H),1.77(dd,J=12.4,6.8Hz,1H),1.72(d,J=7.2Hz,1H),1.67-1.64(m,3H),1.40(td,J=12.0,4.2Hz,1H),1.20(tt,J=10.9,7.1,4.5Hz,1H),1.04(s,3H),1.03(dd,J=7.2,3.8Hz,1H),0.90(s,3H),0.63(td,J=4.5,3.7,1.4Hz,1H),0.38(dd,J=8.1,5.0Hz,1H).
13C-NMR(101MHz,CDCl3)δ134.6,126.0,76.3,69.1,58.5,45.5,41.3,35.3,32.0,27.8,24.9,19.7,19.6,13.7,12.5.
【0246】
GC-MSのデータ:238,220,193,175,147,121,99,79,67,55,43.
【0247】
匂いの表現:ウッディな、化合物3よりも弱い
【0248】
化合物7:2-エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0] ヘキサニル]ブト-2-エン-1-オール
【0249】
工程1:2-エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]ブト-2-エナールの調製
【0250】
NaOH(0.15g,0.15当量)のメタノール(15ml)溶液を2-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]アセトアルデヒド(5.0g,25.5mmol)にゆっくり加えた。反応物を氷槽で冷却した。それに続いて、ブタナール(3.6g,2.0当量)を加えた。反応が完了するまで反応物を室温で保持した(約5時間)。その後、反応混合物の反応を氷水で止め、MTBE(30ml×3)を使用して化合物を抽出し、有機相を水(30ml×2)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原産物(6.4)を得たが、さらに精製することなくそれをさらなる合成に使用した。
【化25】
【0251】
2-エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]ブト-2-エナールの実験データ
【0252】
GC-MSのデータ:221,191,153,99,79,67,45,29.
【0253】
工程2:2-エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]ブト-2-エン-1-オール(化合物7)の調製
【0254】
0~5℃の温度にてLAH(0.67gm,0.67当量)の無水THF(75ml)懸濁液に無水THF(55ml)中の得られたままの2-エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]ブト-2-エナール(6.4g)をゆっくり加えた。完了まで反応物を室温で保持した。その後、反応混合物の反応を氷水で止め、25%H
2SO
4(2mL)を使用して、得られた塩を分解し、MTBE(50mL×3)を使用して、得られた生成物を抽出し、有機相を飽和NaHCO
3溶液(50mL)で洗浄した。次いで、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原産物(6.0)を得たが、Kugelrohr蒸留(温度=170~190℃、真空=0.3ミリバール)を介してそれを精製して少量の異性化生成物4-[3-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-シクロペント-3-エン-1-イル]-2-メチル-ブト-3-エン-1-オールと共に3.1gの生成物(全体的な収率=48%)を得た(25:65)。
【化26】
【0255】
2-エチル-4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]ブト-2-エン-1-オール(化合物7)の実験データ
【0256】
NMRデータ
1H-NMR(600MHz,CDCl3)δ0.35-0.42(dd,J=8.3,5.1Hz,1H),0.60-0.67(m,1H),0.89-0.92(s,3H),0.96-1.02(t,J=7.6Hz,3H),1.02-1.08(m,1H),1.03-1.06(s,3H),1.14-1.23(tdd,J=11.9,10.7,6.7,3.8Hz,1H),1.35-1.45(td,J=11.9,4.2Hz,1H),1.70-1.81(ddd,J=14.1,10.7,7.3Hz,1H),1.75-1.82(dd,J=11.9,6.7Hz,1H),2.01-2.08(ddd,J=14.1,7.2,3.8Hz,1H),2.07-2.13(q,J=7.6Hz,2H),2.93-2.99(d,J=10.5Hz,1H),3.28-3.32(s,3H),3.81-3.86(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),4.01-4.04(d,J=4.4Hz,2H),5.29-5.34(t,J=7.2Hz,1H).
13C-NMR(151MHz,CDCl3)δ140.50,125.93,76.28,66.93,58.51,45.64,41.44,35.25,32.08,27.44,24.89,21.03,19.75,19.61,13.19,12.52.
【0257】
匂いの表現:ウッディな、化合物3よりも弱い
【0258】
化合物8:1-[2-[[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]-1-メチル-シクロプロピル]エタノール
【0259】
工程1:2-[[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]-1-メチル-シクロプロパンカルボアルデヒドの調製
【化27】
【0260】
NaH(2.13g,2.0eq)のヘキサン(60ml)懸濁液にDMSO(40ml)中のヨウ化トリメチルスルホオキソニウム(11.7g,2.0当量)をゆっくり加え(発熱反応:T<30℃)、その後、4-[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]-2-メチル-ブト-2-エナール(9.0g,38.14mmol)をゆっくり加えた(発熱反応:T<38℃)。ゆっくり冷却した後、反応混合物の温度を室温にし、反応が完了するまで(約4時間)その温度を保持した。その後、反応混合物の反応を氷水で止め、MTBE(50ml×3)を使用して、得られた化合物を抽出し、有機相を飽和NaCl溶液(50mL)で洗浄した。その後、中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原材料(9.1g)を得たが、Kugelrohr蒸留(T=240℃、p=1.1ミリバール)の後、9.0gの中間生成物を生じた。
【0261】
工程2:1-[2-[[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]-1-メチル-シクロプロピル]エタノール(化合物8)の調製
【0262】
0~5℃の温度にてLAH(0.74gm,0.67当量)の無水THF(25ml)懸濁液に無水THF(25ml)中の得られたままの2-[[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]-1-メチル-シクロプロパンカルボアルデヒド(4.8g,1.0当量)をゆっくり加えた。完了するまで反応物を室温で保持した。その後、反応混合物の反応を氷水で止め、25%H
2SO
4(2ml)を使用して、生成した塩を分解し、MTBE(50mL×3)を使用して化合物を抽出し、有機相を飽和NaHCO
3溶液(50mL)で洗浄した。中性pHに到達するまで合わせた有機相を水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で溶媒を蒸留して原材料(4.3g)を得たが、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル;10:1)によってそれを精製して異性体混合物(7:3)1-[2-[[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]-1-メチルシクロ-プロピル]エタノール(1.2g、収率=25%)を得た。
【化28】
【0263】
1-[2-[[1-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-3-ビシクロ[3.1.0]ヘキサニル]メチル]-1-メチル-シクロプロピル]エタノール(化合物8)の実験データ
【0264】
NMRデータ
1H-NMR(400MHz,C6D6)δ3.74(d,J=10.2Hz,1H),3.28(q,J=6.5Hz,1H),3.13(s,3H),2.87(d,J=10.3Hz,1H),1.99(mc,1H),1.56(ddd,J=13.6,5.8,2.7Hz,1H),1.40-1.35(m,2H),1.19(s,3H),1.17(s,3H),1.07(s,1H),0.92(s,6H),0.94(mc,1H),0.72(td,J=4.8,1.3Hz,1H),0.69(td,J=4.8,1.3Hz,1H),0.39(tt,J=8.2,7.5,5.5Hz,1H),0.28(t,J=5.7,4.5Hz,1H),0.26(t,J=6.0,4.6Hz,1H).
13C-NMR(101MHz,C6D6)δ76.07,70.38,70.24,58.25,46.56,45.96,41.69,41.49,35.74,35.57,32.71,32.60,28.88,28.31,26.23,25.82,25.70,25.10,25.06,24.45,20.39,20.21,20.16,20.08,19.91,19.78,18.42,17.75,12.94,12.91.
【0265】
GC-MSのデータ:266,251,233,203,165,147,121,99,79,55,43,29.
【0266】
匂いの表現:クリーミィな、花盛りの、甘い