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特許7498816レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダー
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240605BHJP
   G01S 17/10 20200101ALI20240605BHJP
   G01S 17/42 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/10
G01S17/42
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023030065
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2021537973の分割
【原出願日】2019-12-28
(65)【公開番号】P2023081912
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】201811639922.1
(32)【優先日】2018-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910581553.3
(32)【優先日】2019-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シー,グワーンユエン
(72)【発明者】
【氏名】ズオン,リー
(72)【発明者】
【氏名】シヤオ,シンホワ
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/055449(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第109031243(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0275249(US,A1)
【文献】特開2010-151958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0101645(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0328563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー測定モジュールであって、当該レーザー測定モジュールは、N個のレーザー測距コンポーネント、M個の反射器、および微小電気機械システム(MEMS)マイクロミラーを含み、Nは2以上の正の整数であり、Mは正の整数であり、
前記N個のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、前記反射器上に発出光ビームを放出するように構成されており;
前記M個の反射器は、前記発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームを前記MEMSマイクロミラー上に放出するように構成されており;
前記MEMSマイクロミラーは、二次元走査を実施するよう前記発出光ビームの方向を変更するように構成され;さらに、エコー光ビームの方向を変更し、前記エコー光ビームを前記反射器上に放出するように構成され、前記エコー光ビームは、目標物体上に放出された前記発出光ビームによって反射された光ビームであり;
前記反射器は、前記エコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームを前記N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれに放出するようにさらに構成されており;
前記N個のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、前記エコー光ビームを受信し、前記発出光ビームと前記エコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行するようにさらに構成されており
前記N個のレーザー測距コンポーネントが位置する平面と、前記MEMSマイクロミラーが位置する平面とは、異なる平面であり、
垂直面上で前記反射器上での入射光ビームと発出光ビームとの間のはさまれる角度αは、前記MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角βおよび前記MEMSマイクロミラーの垂直旋回角ωと次の関係:
α≧ε(2β+ω)
を有し、ここで、εは、前記反射器と前記MEMSマイクロミラーの設置誤差因子である、
レーザー測定モジュール。
【請求項2】
前記N個のレーザー測距コンポーネントおよび前記MEMSマイクロミラーが、前記反射器に対して同じ側に配置され、かつ、
前記N個のレーザー測距コンポーネントが、前記MEMSマイクロミラーを中心として使って、前記MEMSマイクロミラーの左右の側に対称的に分布する、
請求項1に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項3】
水平面上での前記N個のレーザー測距コンポーネントのうちの2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビームの間のはさまれる角度θが、前記MEMSマイクロミラーの片側の水平旋回角χと次の関係:
θ≦2χ
を有する、請求項1および2のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項4】
前記レーザー測距コンポーネントの数Nは、前記レーザー測定モジュールの水平方向走査角度φ、前記MEMSマイクロミラーの片側の水平方向旋回角度χ、および水平面上での2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの前記発出光ビームの間の前記はさまれる角度θと次の関係:
N≧(φ-2χ)/θ
を有する、請求項1ないし3のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項5】
直面上で前記反射器上での前記N個のレーザー測距コンポーネントの入射光ビームと発出光ビームとの間のはさまれる角度αは等しく、
αは10°以上50°以下である、
請求項1ないしのうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項6】
前記MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角は、5°以上45°以下である、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項7】
NがMより大きい場合、前記N個のレーザー測距コンポーネントのうちの少なくとも2つが同じ反射器に対応する、
請求項1ないしのうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項8】
前記N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、レーザー、受領/放出手段、および検出器を備え;
前記レーザーは、前記発出光ビームを生成するように構成され、前記発出光ビームは、前記受領/放出手段を通じて前記反射器上に放出され;
前記受領/放出手段は、前記反射器によって放出された前記エコー光ビームを受け、前記エコー光ビームを前記検出器上に放出するように構成され;
前記検出器は、前記エコー光ビームを受信するように構成され、前記発出光ビームと前記エコー光ビームとの間の前記時間差に基づいて測距を実行するように構成されている、
請求項1ないしのうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項9】
前記N個のレーザー測距コンポーネントおよび前記MEMSマイクロミラーの両方がデータ処理回路に接続されている、請求項1ないしのうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項10】
NがMに等しく;
前記N個のレーザー測距コンポーネントは前記M個の反射器であるN個の反射器に一対一対応し;
前記N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれの発出光ビームが、前記N個の反射器のうちの対応する反射器上に放出され;
前記N個の反射器のそれぞれは、対応するレーザー測距コンポーネントの発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームを前記MEMSマイクロミラー上に放出するように構成され;前記MEMSマイクロミラーによって送られた前記エコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームを前記対応するレーザー測距コンポーネント上に放出するようにさらに構成されている、
請求項1に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項11】
前記レーザー測定モジュールは、N個の光ビーム偏向素子をさらに備え;
前記N個の光ビーム偏向素子は、前記N個の反射器に一対一対応し;
前記N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、前記発出光ビームを対応する光ビーム偏向素子を通じて前記対応する反射器上に放出するように構成されている、
請求項10に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項12】
前記光ビーム偏向素子が偏向ミラーである、請求項11に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項13】
前記レーザー測定モジュールは、光ビーム偏向素子をさらに備え、
前記光ビーム偏向素子は、前記レーザー測距コンポーネントの前記発出光ビームを屈折させ、屈折した発出光ビームを前記対応する反射器に放出するように構成されており、
前記光ビーム偏向素子は、前記反射器によって反射された前記エコー光ビームを前記対応するレーザー測距コンポーネント上に放出するようにさらに構成されている、
請求項10に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項14】
前記光ビーム偏向素子が屈折ミラーである、請求項13に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項15】
前記N個の反射器は同じ直線上に位置しており、Nが5以上の奇数の場合、((N+1)/2)番目の反射器が中心として使用され;
iが2より大きく、(N+1)/2以下の整数である場合、前記N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間隔は、前記N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間隔より小さくない;または
iが(N+1)/2より大きくN以下の整数である場合、前記N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、前記N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない、
請求項10ないし14のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項16】
前記N個の反射器は同じ直線上に位置し、Nが6以上の偶数の場合、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器の間の中点が中心として使用され;
iが2より大きくN/2以下の整数である場合、前記N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、前記N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きい;または
iがN/2より大きくN以下の整数である場合、前記N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、前記N個の反射器の(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より小さい、
請求項10ないし14のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項17】
前記N個の反射器におけるi番目の反射器の鏡面法線方向と、前記N個の反射器における前記i番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、前記N個の反射器における前記(i+1)番目の反射器の鏡面法線方向と、前記N個の反射器における前記(i+1)番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度に等しく、
iはN以下の正の整数である、
請求項10ないし16のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項18】
前記MEMSマイクロミラーは:二次元走査を実施するために、前記N個の反射器によってそれぞれ送られる発出光ビームを受け、前記N個の反射器によってそれぞれ送られる該発出光ビームの方向を変え、前記N個の反射器にそれぞれ対応する前記発出光ビームを送るように構成されており;
前記MEMSマイクロミラーによって送られる前記N個の発出光ビームにおける2つの隣接する発出光ビームの間のはさまれる角度は等しい、
請求項10ないし17のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項19】
前記N個のレーザー測距コンポーネントは互いに平行である、請求項10ないし18のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュール。
【請求項20】
レーザー・レーダーであって、当該レーザー・レーダーは、請求項1ないし19のうちいずれか一項に記載のレーザー測定モジュールと、データ処理回路とを備え、
前記N個のレーザー測距コンポーネントおよび前記MEMSマイクロミラーの両方が前記データ処理回路に接続されており;
前記データ処理回路は、前記N個のレーザー測距コンポーネントおよび前記MEMSマイクロミラーから別個にデータを取得し、該データを処理するように構成されている、
レーザー・レーダー。
【請求項21】
当該レーザー・レーダーは、ベースプレート、支持体、および接続棒をさらに備え、
前記N個のレーザー測距コンポーネントおよび前記反射器は前記ベースプレート上に位置し;
前記支持体は前記ベースプレート上に位置し、前記MEMSマイクロミラーは前記支持体上に位置し;
前記接続棒の両端は、それぞれ前記ベースプレートおよび前記データ処理回路に接続されており、前記接続棒は前記データ処理回路を支持するように構成されている、
請求項20に記載のレーザー・レーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年12月29日に中国特許庁に出願され、「マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダー」と題される中国特許出願第201811639922.1号に対する優先権を主張する。同出願は、ここに参照によりその全体において組み込まれる。
【0002】
本願は、2019年6月29日に中国特許庁に出願され、「レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダー」と題される中国特許出願第201910581553.3号に対する優先権を主張する。同出願は、ここに参照によりその全体において組み込まれる。
【0003】
技術分野
本願は、光通信技術の分野に関し、特に、レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダーに関する。
【背景技術】
【0004】
レーザー・レーダーは、測定光源としてレーザーを用いた能動的リモートセンシング機器であり、長い測定距離、高精度、高分解能、フルタイム測定などの利点を有し、そのため、レーザー・レーダーは、地理情報調査および地図作成、無人ビークル自律運転、デジタル都市などの分野で重要な役割を果たす。近年、自律運転技術が急速に発展し、レーザー・レーダーは徐々に機械化から固体化へと変化しつつある。微小電気機械システム(micro electro mechanical system、MEMS)マイクロミラーを光ビームポインティング・コントローラとして用いる固体レーザー・レーダーは、高い測定精度、高速な走査速度、柔軟で構成可能な走査線数、低い機械的摩耗、低いコスト、大量生産などの利点を有し、将来の発達方向を表わしている。さらに、MEMSレーザー・レーダーは、高集積化、小さなサイズ、低い電力消費を特徴とし、ビークル本体に統合されることで、無人ビークルの外観を大幅に向上させることができる。
【0005】
固体レーザー・レーダーには大きな可能性があるが、固体レーザー・レーダーは、走査角度および分解能などの主要な技術仕様において、機械的なレーザー・レーダーにはほど遠い。無人運転の技術的要求を満たすためには、システムの走査角度および分解能がさらに改善される必要がある。よって、最も直接的で効果的な技術的方法は、レーザー・レーダー内にレーザー走査コンポーネントのグループを複数、統合することである。換言すれば、レーザー走査コンポーネントの数を増加させて、システムの走査角度および分解能を改善することができる。
【0006】
従来技術では、レーザー走査コンポーネントの複数のグループを含む典型的な同軸MEMSレーザー・レーダーが提供され、レーザー走査コンポーネントの各グループは、レーザー光源、検出器、およびMEMSマイクロミラーを含む。レーザー走査コンポーネントの各グループの測定光ビームは、光学窓を通じて放出され、走査点群のスプライシングを実装するために、レーザー走査コンポーネントの各グループに対して構造レイアウトが実行される。独立したMEMSマイクロミラーがレーザー走査コンポーネントの各グループに配置されるので、レーザー・レーダー全体の集積度は比較的低く、レーザー・レーダーの製造コストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の実施形態は、レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダーを提供し、レーザー測定モジュールの集積度およびコンパクト性を改善し、レーザー・レーダーの製造コストを効果的に低減する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的問題を解決するために、本願の実施形態は、以下の技術的解決策を提供する。
【0009】
第1の側面によれば、本願のある実施形態は、N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、および1つの微小電気機械システムMEMSマイクロミラーを含むレーザー測定モジュールを提供する。ここで、Nは、2以上の正の整数である。N個のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、反射器上に発出光ビームを放出するように構成される。反射器は、発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームをMEMSマイクロミラー上に放出するように構成される。MEMSマイクロミラーは、二次元走査を実施するために発出光ビームの方向を変更するように構成され;さらに、エコー光ビームの方向を変更し、該エコー光ビームを反射器上に放出するように構成され、ここで、エコー光ビームは、目標物体上に放出された発出光ビームによって反射された光ビームである。反射器はさらに、エコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームをN個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれに放出するように構成されている。N個のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、エコー光ビームを受信し、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行するようにさらに構成される。
【0010】
本願のこの実施形態では、レーザー測定モジュールは、N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、および1つのMEMSマイクロミラーを含む。N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれの発出光ビームは、反射器によってMEMSマイクロミラー上に放出されてもよく、MEMSマイクロミラーは、発出光ビームの方向を変化させて、二次元走査を実施する。発出光ビームがMEMSマイクロミラーから放出された後、発出光ビームは目標物体上に放出され、エコー光ビームを生成する。MEMSマイクロミラーは、エコー光ビームの方向をさらに変化させ、反射器によってN個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれにエコー光ビームを放出することができる。よって、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、エコー光ビームを受信し、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を行なうことができる。本願のこの実施形態では、レーザー測定モジュールの反射器は、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれの発出光ビームおよびエコー光ビームを反射してもよく、その結果、N個のレーザー測距コンポーネントは、1つのMEMSマイクロミラーを共有してもよい。よって、1つのMEMSマイクロミラーがレーザー測定モジュールに配置だけでよく、各レーザー測距コンポーネントについて対応するMEMSマイクロミラーが配置される必要はない。反射器は、複数のレーザー測距コンポーネントと単一のMEMSマイクロミラーとの間の光路接続を実現するように構成される。これは、レーザー測定モジュールの集積化およびコンパクト性を改善し、レーザー・レーダーの製造コストを効果的に低減する。レーザー測定モジュールは、自律運転やインテリジェント運転などの分野で使用できる。
【0011】
第1の側面のある可能な実施では、レーザー測定モジュールは、N個の光ビーム偏向素子をさらに含む。N個の光ビーム偏向素子は、N個の反射器に一対一対応する。N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、発出光ビームを、対応する光ビーム偏向素子を介して対応する反射器上に放出するように構成される。レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの数とレーザー測定モジュール内の反射器の数は等しく、両方ともNである。1つのレーザー測距コンポーネントは1つの反射器に対応する。具体的には、各レーザー測距コンポーネントの発出光ビームは、そのレーザー測距コンポーネントに対応する反射器のみに送られる。同様に、MEMSマイクロミラーから反射器によって受光されたエコー光ビームも、その反射器に対応するレーザー測距コンポーネントにのみ送られる。本願のこの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントは、同じMEMSマイクロミラーを共有し、各レーザー測距コンポーネントは、1つの独立した反射器に対応する。このようにして、レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの位置が常に固定されることができ、レーザー・レーダーの走査角度、光放出方向、外観等は、反射器の設計を調整することによってのみ、変更されうる。柔軟光路アーキテクチャーは、レーザー・レーダーの適用スケーラビリティを大幅に改善する。さらに、本願のこの実施形態では、各レーザー測距コンポーネントは、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを対応する反射器に送ることができる。よって、レーザー測距コンポーネントの位置は固定され、受動的な反射器のみが、光路キャリブレーションを実行するために調整され、光路コミッショニングの安定性および利便性を改善する。
【0012】
第1の側面のある可能な実装では、レーザー測定モジュールは、N個の光ビーム偏向素子をさらに含む。N個の光ビーム偏向素子は、N個の反射器に一対一対応する。N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、発出光ビームを、対応する光ビーム偏向素子を介して対応する反射器上に放出するように構成される。具体的には、レーザー測定モジュールは、N個の光ビーム偏向素子をさらに含む。レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの数とレーザー測定モジュール内の反射器の数は両方ともNである。よって、レーザー測定モジュール内の光ビーム偏向素子の数は、レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの数に等しく、レーザー測定モジュール内の光ビーム偏向素子の数も、レーザー測定モジュール内の反射器の数に等しい。N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、各レーザー測距コンポーネントの発出光ビームを、1つの光ビーム偏向素子を通じて対応する反射器に送る。
【0013】
第1の側面のある可能な実装では、光ビーム偏向素子は偏向ミラーである。
【0014】
第1の側面のある可能な実装では、レーザー測定モジュールは、光ビーム偏向素子をさらに含む。光ビーム偏向素子は、レーザー測距コンポーネントの発出光ビームを屈折させ、屈折した発出光ビームを反射器に放出するように構成される。光ビーム偏向素子は、反射器によってレーザー測距コンポーネント上に送られたエコー光ビームを放出するようにさらに構成される。光ビーム偏向素子は、該素子によって受け取られた光ビームを偏向させるように構成される。たとえば、光ビーム偏向素子は、光ビーム屈折機能を有しており、該素子が受け取る光ビームの方向が変更されることができる。光ビーム偏向素子は、レーザー測距コンポーネントからの発出光ビームを受け、発出光ビームを屈折させてもよい。光ビーム偏向素子は、反射器からエコー光ビームを受け、次いでエコー光ビームを屈折させ、最後にエコー光ビームをレーザー測距コンポーネントに送る。レーザー測距コンポーネントは測距を実行する。
【0015】
第1の側面のある可能な実装では、光ビーム偏向素子は屈折ミラーである。
【0016】
第1の側面のある可能な実装では、Nの値が5以上の奇数である場合、レーザー測定モジュールは、(N-1)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。iが(N+1)/2未満である場合、N個のレーザー測距コンポーネントのうちのi番目のレーザー測距コンポーネントは、(N-1)個の光ビーム偏向素子のうちのi番目の光ビーム偏向素子を通じて、N個の反射器のうちのi番目の反射器に接続される。あるいはまた、iが(N+1)/2より大きい場合、N個のレーザー測距コンポーネントのうちのi番目のレーザー測距コンポーネントは、(N-1)個の光ビーム偏向素子のうちの(i-1)番目の光ビーム偏向素子を通じて、N個の反射器のうちのi番目の反射器に接続される。ここで、iは、N以下の正の整数である。具体的には、Nの値が5以上の奇数である場合、レーザー測定モジュールは、(N-1)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数およびレーザー測定モジュールにおける反射器の数は両方ともNであるので、レーザー測定モジュールにおける光ビーム偏向素子の数は、レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数より1少ない。N個のレーザー測距コンポーネントの中央に位置する、((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントは、((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを、光ビーム偏向素子を使用することなく直接、((N+1)/2)番目の反射器に送る。N個のレーザー測距コンポーネントのうちの((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネント以外のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、発出光ビームを光ビーム偏向素子を通じて対応する反射器に送る。
【0017】
第1の側面のある可能な実装では、Nの値が6以上の偶数である場合、レーザー測定モジュールは、(N-2)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。iがN/2未満である場合、N個のレーザー測距コンポーネントのうちのi番目のレーザー測距コンポーネントは、(N-2)個の光ビーム偏向素子のうちのi番目の光ビーム偏向素子を通じて、N個の反射器のうちのi番目の反射器に接続される。あるいはまた、iが(N+2)/2より大きい場合、N個のレーザー測距コンポーネントのうちのi番目のレーザー測距コンポーネントは、(N-2)個の光ビーム偏向素子のうちの(i-2)番目の光ビーム偏向素子を通じて、N個の反射器のうちのi番目の反射器に接続される。ここで、iは、N以下の正の整数である。具体的には、Nの値が6以上の偶数である場合、レーザー測定モジュールは、(N-2)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数および反射器の数は両方ともNであるので、レーザー測定モジュールにおける光ビーム偏向素子の数は、レーザー測距コンポーネントの数より2少ない。N個のレーザー測距コンポーネントの中央に位置する((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび(N/2)番目のレーザー測距コンポーネントはそれぞれ、光ビーム偏向素子を使用することなく、直接、((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを((N+2)/2)番目の反射器に、(N/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを(N/2)番目の反射器に送る。N個のレーザー測距コンポーネントのうちの((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび(N/2)番目のレーザー測距コンポーネント以外のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、発出光ビームを光ビーム偏向素子を通じて対応する反射器に送る。
【0018】
第1の側面のある可能な実装では、N個の反射器は同じ直線上に位置し、Nが5以上の奇数である場合、((N+1)/2)番目の反射器が中心として使用される。iが2より大きく、(N+1)/2以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間隔より小さくない。あるいはまた、iが(N+1)/2より大きくN以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。N個の反射器は同じ直線上に位置する。たとえば、N個の反射器の鏡面中心は同じ直線上に位置してもよく、N個の反射器は対称的に分布し、N個の反射器におけるどの2つの隣接する反射器の間の間隔も等しくない。Nの値が5以上の奇数である場合、((N+1)/2)番目の反射器が中心として使用される。たとえば、Nの値が5である場合、第3の反射器が中心として使用される。N個の反射器における((N+1)/2)番目の反射器以外の反射器は、不等間隔で対称的に分布する。N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は、等しくても、等しくなくてもよい。たとえば、Nが3に等しい場合、N個の反射器におけるどの2つの隣接する反射器の間の間隔も等しい。別の例では、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。中心に近い2つの反射器間の間隔ほど小さく、中心からより遠く離れた2つの反射器間の間隔ほど大きい。たとえば、iが2より大きく、(N+1)/2以下である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔よりも小さくない。(i-2)番目の反射器、(i-1)番目の反射器、およびi番目の反射器は、順次、中心(すなわち(N+1)/2)番目の反射器)に近くなる。したがって、(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間隔より大きくない。同様に、iが(N+1)/2より大きく、N以下である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。
【0019】
第1の側面のある可能な実装では、N個の反射器は同じ直線上に位置し、Nの値が6以上の偶数である場合、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器との間の中点が中心として使用される。iが2より大きくN/2以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より小さくない。あるいはまた、iがN/2より大きくN以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。N個の反射器は同じ直線上に位置する。たとえば、N個の反射器の鏡面中心は同じ直線上に位置してもよく、N個の反射器は対称的に分布し、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。Nの値が6以上の偶数であれば、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器との間の中点が中心として使用され、N個の反射器における(N/2)番目の反射器および(N/2+1)番目の反射器以外の反射器が不等間隔で対称的に分布する。N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は、等しくても等しくなくてもよい。たとえば、Nが3に等しい場合、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しい。別の例では、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。中心に近い2つの反射器の間の間隔ほど小さく、中心から遠く離れた2つの反射器の間の間隔ほど大きい。たとえば、iが2より大きく、N/2以下である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より小さくない。(i-2)番目の反射器、(i-1)番目の反射器、およびi番目の反射器は、順次、中心(すなわち、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器の間の中点)に近くなる。したがって、(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間隔より大きくない。同様に、iがN/2より大きく、N以下である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。
【0020】
第1の側面のある可能な実装では、N個の反射器におけるi番目の反射器の鏡面法線方向と、N個の反射器におけるi番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、N個の反射器における(i+1)番目の反射器の鏡面法線方向と、N個の反射器における(i+1)番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度に等しい。ここで、iはN個以下の正の整数である。本願のこの実施形態では、N個の反射器におけるi番目の反射器と(i+1)番目の反射器とは、2つの隣接する反射器であり、i番目の反射器の発出光ビームと(i+1)番目の反射器の発出光ビームとの両方がMEMSマイクロミラーに送られる。N個の反射器におけるi番目の反射器の鏡面法線方向と、N個の反射器におけるi番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、第1のはさまれる角度であり、N個の反射器における(i+1)番目の反射器の鏡面法線方向と、N個の反射器における(i+1)番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、第2のはさまれる角度である。第1のはさまれる角度は、第2のはさまれる角度に等しい。すなわち、N個の反射器の鏡面法線方向とN個の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は同じであり、このことは、N個の反射器の発出光ビームが同じ方向でMEMSマイクロミラー上に放出されることを確実にする。このようにして、MEMSマイクロミラーは、同じ方向からN個の発出光ビームを受けることができることが保証される。
【0021】
第1の側面のある可能な実装では、MEMSマイクロミラーは:N個の反射器によってそれぞれ送られる発出光ビームを受け、N個の反射器によってそれぞれ送られる発出光ビームの方向を変え、N個の反射器にそれぞれ対応する発出光ビームを送って、二次元走査を実施するように構成される。MEMSマイクロミラーによって送られるN個の発出光ビームのうちの2つの隣接する発出光ビームの間のはさまれる角度は等しい。具体的には、レーザー測定モジュールは、N個の反射器を含んでいてもよく、N個の反射器は、N個の発出光ビームを放出することができる。MEMSマイクロミラーは:N個の反射器によって送られた発出光ビームを別々に受け、N個の反射器によって送られた発出光ビームの方向をそれぞれ変えて、二次元走査を実施し、N個の反射器にそれぞれ対応する発出光ビームを送るように構成される。N個の反射器にそれぞれ対応し、MEMSマイクロミラーによって送られる発出光ビームのうちの、2つの隣接する反射器によって送られる発出光ビームの間の角度は等しい。すなわち、MEMSマイクロミラーによって送られるN個の発出光ビームの間のはさまれる角度は等しい。
【0022】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントは互いに平行である。換言すれば、レーザー測定モジュールにおけるN個のレーザー測距コンポーネントは互いに平行であり、よって、複数のレーザー測距コンポーネントが互いに平行であれば、複数のレーザー測距コンポーネントは、レーザー測定モジュール内で便利に配置される。よって、本願の実施形態において提供されるレーザー測定モジュールの内部コンポーネントは、よりコンパクトであり、レーザー測定モジュールの小型化が実現される。
【0023】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーは、反射器の同じ側に位置する。N個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って、MEMSマイクロミラーの左側および右側に対称的に分布する。
【0024】
レーザー測定モジュールにおいて、MEMSマイクロミラーが中心として使用されてもよく、N個のレーザー測距コンポーネントは、左側および右側に対称的に分布する。たとえば、Nの値が偶数である場合、最初のN/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って左半平面内に位置してもよく、他のN/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って右半平面内に位置してもよい。このようにして、N個のレーザー測距モジュールは、左側および右側に対称的に分布する。別の例では、Nの値が奇数である場合、最初の(N-1)/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って左半平面に位置してもよく、((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーは、MEMSマイクロミラーを中心として使って同じ垂直面に位置し、他の(N-1)/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って右半平面に位置してもよい。このようにして、N個のレーザー測距モジュールは、左側および右側に対称的に分布する。
【0025】
第1の側面のある可能な実装では、水平面上のN個のレーザー測距コンポーネントのうちの2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビーム間のはさまれる角度θは、MEMSマイクロミラーの水平旋回角χと以下の関係:
θ≦2χ
をもつ。
【0026】
MEMSマイクロミラーの水平旋回角χと、水平面上の任意の隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビームの間のはさまれる角θとは、上記の関係を満たす必要がある。これは、レーザー測距コンポーネントの複数のグループの点群走査トラックが水平方向においてシームレスにスプライシングされることを確実にすることができる。
【0027】
第1の側面のある可能な実装では、レーザー測距コンポーネントの数Nは、レーザー測定モジュールの水平走査角φ、MEMSマイクロミラーの水平旋回角χ、および水平面上の2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビーム間のはさまれる角度θと次の関係:
N≧(φ-2χ)/θ
をもつ。
【0028】
レーザー測定モジュールの水平走査角度φ、MEMSマイクロミラーの水平旋回角度χ(MEMSマイクロミラーの旋回範囲は-χ/2からχ/2まで)、および水平面上の隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビームの間のはさまれる角度θは、上記の関係を満たす。Nは、レーザー測定モジュールの水平走査角度範囲を確実にするために、上記の制約関係を満たす必要がある。たとえば、レーザー測定モジュールの水平走査角度φが106°であり、χ=8°、θ=15°である場合、Nの値は6または7でありうる。
【0029】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントが位置する平面およびMEMSマイクロミラーが位置する平面は、異なる平面である。N個のレーザー測距コンポーネントおよび支持体はすべてベースプレート上に固定され、MEMSマイクロミラーは支持体上に設置される。N個のレーザー測距コンポーネントが位置する平面とMEMSマイクロミラーが位置する平面は異なる平面であるため、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーは階層的に配置されることができる。よって、レーザー測距コンポーネントによる垂直走査角をブロックするリスクを効果的に回避でき、レーザー・レーダーの垂直走査角が最大化される。
【0030】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントのうちの各レーザー測距コンポーネントの、垂直面上の反射器上での、入射光ビームと発出光ビームとの間のはさまれる角度αは、MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角βおよびMEMSマイクロミラーの垂直旋回角ωと次の関係:
α≧ε(2β+ω)
をもつ。
【0031】
εは、反射器とMEMSマイクロミラーの設置誤差因子である。
【0032】
MEMSマイクロミラーの垂直旋回角はωであり、MEMSマイクロミラーの旋回範囲は-ω/2からω/2である。レーザー・レーダーの走査角が垂直方向においてブロックされないことを確実にするために、α、β、ωは上記の関係を満たす。εは、反射器およびMEMSマイクロミラーの設置誤差因子であり、εは、反射器およびMEMSマイクロミラーの全体的な寸法によって引き起こされる設置誤差に基づいて決定される。たとえば、εの値は1.05から1.3までの任意の値であってもよく、εの特定の値は限定されない。たとえば、α=20°、β=5°、ω=15°およびε=1の場合、レーザー・レーダーの垂直走査角度範囲は-5°から25°であり、具体的には、垂直走査角度は30°である。この場合、角度ブロックは発生しない。
【0033】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントの、垂直面上の反射器上の、入射光ビームおよび発出光ビームのはさまれる角度αは等しい。αは10°以上50°以下である。
【0034】
第1の側面のある可能な実装では、MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角βは、5°以上45°以下である。
【0035】
レーザー測距コンポーネントの、垂直面上の反射器上の、入射光ビームおよび発出光ビームの間のはさまれる角度αは10°から50°の範囲で制御されるべきである。たとえば、はさまれる角度αは、20°、25°または40°である。MEMSマイクロミラーの傾斜角βの値範囲は、5°から45°である。たとえば、はさまれる角度βは、10°、15°または30°である。αは10°から50°の範囲であり、βは5°から45°の範囲である。αおよびβの角度が小さすぎる場合は、MEMSマイクロミラーと反射器の間の距離が大きくなり、レーザー・レーダーの体積が大きくなる。αおよびβの角度が大きすぎる場合は、MEMSマイクロミラー上の入射光ビームの角度も非常に大きくなり、点群走査画像が歪む。よって、αは10°から50°の範囲であり、βは5°から45°の範囲であり、レーザー・レーダーの音量を下げることができ、点群走査画像の歪みを回避することができる。
【0036】
第1の側面のある可能な実装では、反射器の数はMであり、Mは正の整数である。NがMに等しい場合、レーザー測距コンポーネントは反射器に一対一対応する。換言すれば、N個の反射器は、レーザー測定モジュール内に配置されてもよい。N個のレーザー測距コンポーネントがレーザー測定モジュール内に配置されるので、各レーザー測距コンポーネントは、専用の反射器を使用して、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを送り、そのレーザー測距コンポーネントのエコー光ビームを受けることができる。
【0037】
第1の側面のある可能な実装では、反射器の数はMであり、Mは正の整数である。NがMより大きい場合、N個のレーザー測距コンポーネントのうちの少なくとも2つは、同じ反射器に対応する。換言すれば、M(MはNに等しくない)個の反射器は、レーザー測定モジュール内に配置されてもよい。N個のレーザー測距コンポーネントはレーザー測距モジュール内に配置され、N個がM個より大きいので、少なくとも2個のレーザー測距コンポーネントは確実に、レーザー測定モジュール内で同じ反射器を共有し、各レーザー測距コンポーネントは、対応する反射器を使用して、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを送り、そのレーザー測距コンポーネントのエコー光ビームを受けることができる。
【0038】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、レーザー、分光器、および検出器を含む。レーザーは、発出光ビームを生成するように構成され、発出光ビームは、分光器を通じて反射器上に放出される。分光器は、反射器によって放出されたエコー光ビームを受け、該エコー光ビームを検出器上に放出するように構成される。検出器は、エコー光ビームを受け、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行するように構成される。レーザー、分光器、および検出器は、各レーザー測距コンポーネント内に配置される。レーザーは、光ビームを生成するように構成されてもよく、該光ビームは、前記発出光ビームとして定義される。本願のこの実施形態では、レーザーによって生成された発出光ビームは、MEMSマイクロミラー上に直接放出されなるのではなく、発出光ビームは、まず、分光器を通じて反射器上に放出される。反射器は、光路反射を実行することができ、発出光ビームは、反射器の光路反射を通じてMEMSマイクロミラー上に放出されてもよい。
【0039】
第1の側面のある可能な実装では、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーの両方が、データ処理回路に接続される。
【0040】
第2の側面によれば、本願のある実施形態は、さらに、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーを提供する。マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーは、第1の側面のいずれかによるレーザー測定モジュールと、データ処理回路とを含む。N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーの両方がデータ処理回路に接続される。データ処理回路は、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーから別々にデータを取得し、該データを処理するように構成される。
【0041】
本願のこの実施形態において提供されるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーは、レーザー測定モジュールおよびデータ処理回路を含み、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーの両方がデータ処理回路に接続される。N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーから別々にデータを得た後、データ処理回路が該データを処理してもよい。データ処理回路は、レーザー測距コンポーネントから目標の距離値を取得し、MEMSマイクロミラーから目標の角度値を取得する。目標の空間座標は、距離値と角度値に基づいた変換を通じて得られてもよい。
【0042】
第2の側面のある可能な実装では、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーは、ベースプレート、支持体、および接続棒をさらに含む。N個のレーザー測距コンポーネントおよび反射器はベースプレート上に位置する。支持体はベースプレート上に位置し、MEMSマイクロミラーは支持体上に位置する。接続棒の両端は、それぞれベースプレートおよびデータ処理回路に接続されており、接続棒は、データ処理回路を支持するように構成されている。
【0043】
後続の実施形態では、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの三次元構造図が提供される。マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの三次元構造を用いて、ベースプレート、支持体、および接続棒が詳細に記載される。N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、および支持体はすべてベースプレートに固定されている。MEMSマイクロミラーは、支持体上に位置し、支持体は、MEMSマイクロミラーおよびN個のレーザー測距コンポーネントが階層的に配置されることができるよう、MEMSマイクロミラーの位置を、ベースプレートが位置する平面に対して上昇させるように構成される。さらに、反射器および支持体は、N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、およびMEMSマイクロミラーの間の位置関係が、レーザー測定モジュールの最適な光学性能を実現するように調整されることができるように配置される。N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、およびMEMSマイクロミラーの間の発出光ビームの角度関係は、後続の例において記載される。
【0044】
本願のこの実施形態では、接続棒の両端は、それぞれベースプレートおよびデータ処理回路に接続される。接続棒は、データ処理回路を支持するように構成され、その結果、データ処理回路およびベースプレートは階層的に配置され、データ処理回路およびレーザー測定モジュールは、同じ三次元空間内に位置してもよい。よって、これは、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの集積化およびコンパクト性を促進し、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの製造コストを低減する。
【0045】
以下は、本願のこの実施形態において提供されるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダー(略してレーザー・レーダー)を説明するために例を使用する。本願のこの実施形態は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーに関するものであり、光路接続を実現するために、レーザー測距コンポーネントの複数のグループとMEMSマイクロミラーとの間に、反射器のグループが配置される。よって、レーザー測距コンポーネントは、対称的に配置でき、システム・レイアウトは、よりコンパクトで、柔軟である。このようにして、レーザー測距コンポーネントの複数のグループおよびMEMSマイクロミラーが階層的に配置されることができ、それにより、走査角をブロックすることを効果的に回避できる。
【0046】
第3の側面によれば、本願のある実施形態は、第1の側面によるレーザー測定モジュールに基づいて実装されるレーザー走査方法を提供する。レーザー走査方法は:N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれの発出光ビームを反射器上に放出し;発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームをMEMSマイクロミラー上に放出し;発出光ビームの方向を変えて、二次元走査を実行し;MEMSマイクロミラーを使用することによって目標物体からのエコー光ビームを受信し、次いでエコー光ビームの方向を変え、該エコー光ビームを前記反射器上に放出し、ここで、エコー光ビームは、目標物体上に放出された発出光ビームにより反射された光ビームであり;エコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームをN個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれに放出し;N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれによってエコー光ビームを受け、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行することを含んでいてもよい。
【0047】
本願のこの実施形態において提供されるレーザー走査方法は、さらに:第1の側面によるレーザー測定モジュールに基づく別の方法手順を実行することを含む。詳細については、第1の側面のレーザー測定モジュールの構成構造の機能説明を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本願のある実施形態によるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの概略構造図である。
【0049】
図2】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの概略構造図である。
【0050】
図3】本願のある実施形態によるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの概略構造図である。
【0051】
図4】本願のある実施形態によるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーにおける光ビームの伝搬経路の概略図である。
【0052】
図5】本願のある実施形態によるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの概略三次元構造図である。
【0053】
図6】本願のある実施形態によるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの水平走査範囲の概略図である。
【0054】
図7】本願のある実施形態による、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーとの間の相対位置関係の概略図である。
【0055】
図8】本願のある実施形態による別のマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの概略三次元構造図である。
【0056】
図9】本願のある実施形態による、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーとの間の別の相対位置関係の概略図である。
【0057】
図10】本願のある実施形態による、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーとの間の別の相対位置関係の概略図である。
【0058】
図11】本願のある実施形態による、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダー内に配置された複数の反射器の概略構造図である。
【0059】
図12】本願のある実施形態による、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダー内に配置された複数の反射器の別の概略構造図である。
【0060】
図13】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【0061】
図14】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【0062】
図15】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【0063】
図16】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【0064】
図17】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【0065】
図18】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの三次元図である。
【0066】
図19】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの上面図である。
【0067】
図20】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの側面図である。
【0068】
図21】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の三次元図である。
【0069】
図22】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【0070】
図23】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の上面図である。
【0071】
図24】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の三次元図である。
【0072】
図25】本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの別の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本願の実施形態は、レーザー測定モジュールの集積性およびコンパクト性を改善し、レーザー・レーダーの製造コストを効果的に低減する、レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダーを提供する。
【0074】
下記は、添付の図面を参照して、本願の実施形態を記載する。
【0075】
本願の明細書、特許請求の範囲、および添付の図面において、「第1」、「第2」などの用語は、同様の対象を区別することを意図しているが、必ずしも特定の順序または序列を示すものではない。そのような仕方で使用される用語は、適正な状況においては交換可能であり、これは単に、本願の実施形態において同じ属性を有する対象が記載される場合に使用される区別方法であることを理解しておくべきである。さらに、「含む」、「包含する」、およびその他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意味し、よって、一連の単位を含むプロセス、方法、システム、製品、または装置は、必ずしもそれらの単位に限定されるものではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、システム、製品、または装置に内在する他の単位を含んでいてもよい。
【0076】
図1に示されるように、本願のある実施形態は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール100を提供する。マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール100は、N個のレーザー測距コンポーネント101と、反射器102と、1つのMEMSマイクロミラー103とを含み、Nは、2以上の正の整数である。
【0077】
N個のレーザー測距コンポーネント101はそれぞれ、反射器102上に発出光ビームを放出するように構成される。
【0078】
反射器102は、発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームをMEMSマイクロミラー103上に放出するように構成される。
【0079】
MEMSマイクロミラー103は、二次元走査を実施するために発出光ビームの方向を変えるように構成され、さらに、エコー光ビームの方向を変更し、該エコー光ビームを反射器102上に放出するように構成され、ここで、エコー光ビームは、目標物体上に放出された発出光ビームによって反射された光ビームである。
【0080】
反射器102はさらに、エコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームをN個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれに放出するように構成される。
【0081】
N個のレーザー測距コンポーネント101はそれぞれ、エコー光ビームを受信し、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行するようにさらに構成される。
【0082】
本願のこの実施形態において提供されるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールは、複数のレーザー測距コンポーネントを含み、レーザー測距コンポーネントの数はNで表わされる。たとえば、3つのレーザー測距コンポーネントがマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置されてもよい。別の例では、6つのレーザー測距コンポーネントが、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置されてもよい。これは、適用シナリオに依存する。レーザー測距コンポーネントは、光ビームを生成するように構成され、該光ビームは、発出光ビームとして定義される。さらに、本願のこの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれによって生成された発出光ビームは、MEMSマイクロミラー上に直接放出されず、発出光ビームは、レーザー測距コンポーネントによってまず反射器上に放出される。反射器は、光路反射を実行することができ、発出光ビームは、反射器の光路反射を通じてMEMSマイクロミラー上に放出されうる。よって、1つのMEMSマイクロミラーが配置されるだけでよく、各レーザー測距コンポーネントについて対応するMEMSマイクロミラーが配置される必要はない。反射器は、複数のレーザー測距コンポーネントと単一のMEMSマイクロミラーとの間の光路接続を実現するように構成される。これは、レーザー測定モジュールの集積性およびコンパクト性を改善し、レーザー・レーダーの製造コストを効果的に低減し、体積、サイズおよびコストに関する厳しい要求をもつビークル環境に適用可能である。
【0083】
本願のこの実施形態では、発出光ビームがMEMSマイクロミラーから放出された後、発出光ビームが目標物体上に放出され、エコー光ビームが生成される。MEMSマイクロミラーは、エコー光ビームの方向をさらに変化させ、反射器によって該エコー光ビームをN個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれに放出することができる。よって、N個のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、エコー光ビームを受信し、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行することができる。レーザー測距コンポーネントによって使用される測距アルゴリズムは、本願のこの実施形態では限定されない。時間差は、レーザー測距コンポーネントが発出光ビームを放出する時刻と、レーザー測距コンポーネントがエコー光ビームを受信する時刻との間の時間差であってもよいことが理解されるべきである。
【0084】
本願のこの実施形態では、MEMSマイクロミラーは、二次元走査を実施するために、発出光ビームの方向を変化させることができる。二次元走査は、MEMSマイクロミラーが互いに垂直な二方向に旋回でき、MEMSマイクロミラーの旋回を通じて光ビームの二次元走査が実施されることを意味する。
【0085】
本願のこの実施形態では、反射器は、平面反射器であってもよく、または金属膜もしくは誘電体膜でめっきされたプリズムであってもよく、または双方向光ビーム反射機能をもつ光学素子、たとえば、光学回折格子もしくはナノメートル光アンテナであってもよい。
【0086】
本願のこの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントは、同じMEMSマイクロミラーを共有することができる。レーザー測距コンポーネントによって生成された発出光ビームは、MEMSマイクロミラー上に直接放出されるのではなく、発出光ビームは、レーザー測距コンポーネントによってまず反射器上に放出される。反射器は、光路反射を実装することができ、N個のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームは、反射器の光路反射を通じて同じMEMSマイクロミラー上に放出されうる。N個のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームは、MEMSマイクロミラー上に直接放出される必要はなく、反射器によって反射された後にMEMSマイクロミラー上に放出される必要がある。したがって、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーが、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置される場合、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーとの間の位置関係は柔軟である。よって、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールは、高集積で、よりコンパクトな構造を実現することができ、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの製造コストを削減することができる。前記マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールがマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーに適用されると、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの製造コストを削減できる。
【0087】
本願のいくつかの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーは、反射器の同じ側に位置する。さらに、Nレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使用することにより、MEMSマイクロミラーの左側および右側に対称的に分布する。マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールでは、MEMSマイクロミラーが中心として使用されることができ、N個のレーザー測距コンポーネントは、左側および右側に対称的に分布する。たとえば、Nの値が偶数である場合、最初のN/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って左半平面内に位置してもよく、他のN/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って右半平面内に位置してもよい。このようにして、N個のレーザー測距モジュールは、左右の側に対称的に分布する。別の例では、Nの値が奇数である場合、最初の(N-1)/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って左半平面内に位置してもよく、(N+1)/2番のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーは、MEMSマイクロミラーを中心として使って同じ垂直面上に位置し、残りの(N-1)/2個のレーザー測距コンポーネントは、MEMSマイクロミラーを中心として使って右半平面上に位置してもよい。このようにして、N個のレーザー測距モジュールは、左右の側に対称的に分布する。
【0088】
本願のいくつかの実施形態では、図2は、本願のある実施形態によるレーザー測距コンポーネントの概略構造図である。N個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれは、レーザー1011、分光器1012、および検出器1013を含む。
【0089】
レーザー1011は、前記発出光ビームを生成するように構成され、発出光ビームは、分光器を通じて反射器上に放出される。
【0090】
分光器1012は、反射器によって放出されたエコー光ビームを受信し、該エコー光ビームを検出器1013上に放出するように構成される。
【0091】
検出器1013は、エコー光ビームを受信するように構成され、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行する。
【0092】
レーザー、分光器、および検出器は、各レーザー測距コンポーネント内に配置される。レーザーは、光ビームを生成するように構成されてもよく、該光ビームは、前記発出光ビームとして定義される。本願のこの実施形態では、レーザーによって生成された発出光ビームは、MEMSマイクロミラー上に直接放出されるのではなく、発出光ビームは、まず、分光器を通じて反射器上に放出される。反射器は、光路反射を実行することができ、発出光ビームは、反射器の光路反射を通じてMEMSマイクロミラー上に放出されてもよい。分光器のタイプは、本願のこの実施形態において限定されない。
【0093】
本願のこの実施形態では、発出光ビームがMEMSマイクロミラーから放出された後、発出光ビームが目標物体上に放出され、エコー光ビームが生成される。MEMSマイクロミラーは、エコー光ビームの方向をさらに変化させることができ、エコー光ビームは、反射器によって分光器上に放出される。分光器は、エコー光ビームを受信し、該エコー光ビームを検出器に放出してもよい。最後に、検出器は、発出光ビームとエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行する。検出器によって使用される測距アルゴリズムは、本願のこの実施形態において限定されない。
【0094】
本願のいくつかの実施形態では、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置される反射器の数はMであり、Mは整数である。たとえば、Mは正の整数である。NがMに等しい場合、レーザー測距コンポーネントは反射器に一対一対応する。換言すれば、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内にN個の反射器が配置されてもよい。N個のレーザー測距コンポーネントは、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置されるので、各レーザー測距コンポーネントは、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを送信し、そのレーザー測距コンポーネントのエコー光ビームを受信するために、専用の反射器を使用することができる。
【0095】
限定されるものではないが、本願のいくつかの他の実施形態では、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置される反射器の数はMであり、Mは正の整数であってもよい。NがMより大きい場合、N個のレーザー測距コンポーネントのうちの少なくとも2つは、同じ反射器に対応する。換言すれば、M(MはNと等しくない)個の反射器が、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置されてもよい。N個のレーザー測距コンポーネントがマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置され、NがMよりも大きいので、少なくとも2個のレーザー測距コンポーネントは、確実に、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内で同じ反射器を共有し、各レーザー測距コンポーネントは、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを送信し、そのレーザー測距コンポーネントのエコー光ビームを受信するために、対応する反射器を使用することができる。後続の実施形態では、複数の反射器がマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール内に配置されている場合について詳細に説明する。
【0096】
本願のいくつかの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーの両方がデータ処理回路に接続される。データ処理回路によって使用されるデータ処理アルゴリズムは、レーザー・レーダーの具体的な要件に基づいて構成されてもよく、データ処理のために使用されるアルゴリズムは、ここでは一つずつ説明しない。
【0097】
上記の実施形態は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールを詳細に記載する。下記は、例を用いて、本願のある実施形態において提供されるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダー10について説明する。図3に示されるように、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダー10は、上記の諸実施形態で説明したマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール100と、データ処理回路200とを含む。
【0098】
マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュール100は、N個のレーザー測距コンポーネント101、反射器102、および1つのMEMSマイクロミラー103を含む。
【0099】
N個のレーザー測距コンポーネント101とMEMSマイクロミラー103の両方がデータ処理回路200に接続される。
【0100】
反射器102は、N個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれの発出光ビームをMEMSマイクロミラー103に反射し、エコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームをN個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれに放出するように構成される。
【0101】
データ処理回路200は、N個のレーザー測距コンポーネント101およびMEMSマイクロミラー103から別々にデータを取得し、該データを処理するように構成される。
【0102】
本願のこの実施形態において提供されるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーは、前記マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールおよび前記データ処理回路を含み、N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーの両方がデータ処理回路に接続される。N個のレーザー測距コンポーネントおよびMEMSマイクロミラーから別々にデータを得た後、データ処理回路は該データを処理することができる。データ処理回路は、レーザー測距コンポーネントから目標の距離値を取得し、MEMSマイクロミラーから目標の角度値を取得する。目標の空間座標は、距離値および角度値に基づいて変換を通じて得られてもよい。データ処理回路によって使用されるデータ処理アルゴリズムは、レーザー・レーダーの具体的な要件に基づいて構成されてもよく、データ処理のために使用されるアルゴリズムは、ここでは一つずつ説明しない。
【0103】
本願のいくつかの実施形態では、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールおよびデータ処理回路に加えて、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーはさらに、ベースプレート、支持体、および接続棒を含む。
【0104】
N個のレーザー測距コンポーネントおよび反射器はベースプレート上に位置する。
【0105】
支持体はベースプレート上に位置し、MEMSマイクロミラーは支持体上に位置する。
【0106】
接続棒の両端は、それぞれベースプレートおよびデータ処理回路に接続され、接続棒は、データ処理回路を支持するように構成される。
【0107】
後続の実施形態では、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの三次元構造図が提供される。ベースプレート、支持体、および接続棒は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの三次元構造を用いて詳細に記載される。N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、および支持体はすべてベースプレートに固定されている。MEMSマイクロミラーは、支持体上に位置し、支持体は、MEMSマイクロミラーの位置を、ベースプレートが位置する平面に対して高くするように構成され、それにより、MEMSマイクロミラーおよびN個のレーザー測距コンポーネントが階層的に配置されることができる。さらに、反射器および支持体は、レーザー測定モジュールの最適な光学性能を実現するために、N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、およびMEMSマイクロミラーの間の位置関係が調整されることができるように配置される。N個のレーザー測距コンポーネント、反射器、およびMEMSマイクロミラーの間での発出光ビームの関係が、後続の例において説明される。
【0108】
本願のこの実施形態では、接続棒の両端は、それぞれベースプレートおよびデータ処理回路に接続される。接続棒は、データ処理回路およびベースプレートが階層的に配置されることができ、データ処理回路およびマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールが同じ三次元空間内に位置することができるように、データ処理回路を支持するように構成される。よって、これは、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの集積性およびコンパクト性を促進し、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの製造コストを低減する。
【0109】
下記は、例を使って、本願のこの実施形態において提供されるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダー(略してレーザー・レーダー)を説明する。この出願のこの実施形態は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーに関し、光路接続を実現するために、レーザー測距コンポーネントの複数のグループとMEMSマイクロミラーとの間に、反射器のグループが配置される。よって、レーザー測距コンポーネントは、対称的に配置されることができ、システム・レイアウトは、よりコンパクトで、柔軟である。このようにして、レーザー測距コンポーネントの複数のグループおよびMEMSマイクロミラーは階層的に配置されることができ、それにより、走査角をブロックすることを効果的に回避することができる。
【0110】
本願のこの実施形態は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーに関する。図4に示されるように、レーザー・レーダーに含まれるレーザー測距コンポーネントの数Nが3である例が説明のために使用される。それぞれ100a、100b、および100cであるレーザー測距コンポーネントのn個のグループ(この例ではn=3)、反射器110、MEMSマイクロミラー120、およびデータ処理回路130が含まれる。レーザー測距コンポーネントのn個のグループの構成は、完全に同じである。100aが例として使用される。100aは、主に、レーザー101a、分光器102a、および検出器103aを含む。同様に、100bは主にレーザー101b、分光器102b、および検出器103bを含み、100cは主にレーザー101c、分光器102c、検出器103cを含む。レーザー測距コンポーネント100a内の発出光ビーム104aは、反射器110上に放出される。反射器110は、光路反射を実行し、反射された光ビームをMEMSマイクロミラー120上に放出する。MEMSマイクロミラー120は、二次元旋回を通じて光ビーム140aの走査を実施する。同様に、レーザー測距コンポーネント100bによって生成された光ビーム140bはMEMSマイクロミラー120上に放出され、レーザー測距コンポーネント100cによって生成された光ビーム140cはMEMSマイクロミラー120上に放出される。MEMSマイクロミラー120は、二次元旋回を通じて光ビーム140bおよび光ビーム140cの走査を実施する。MEMSマイクロミラー120によって方向が調節される発出光ビーム104aは、目標物体に当たる。発出光ビーム104aのエコー光ビーム105aは、もとの経路に沿って戻り、MEMSマイクロミラー120、反射器110、および分光器102aを通過した後、検出器103aによって受信される。レーザー測距コンポーネント100a、100b、および100cの3つのグループは、同じ構造を有し、時分割方式でレーザー光ビームを放出する。データ処理回路130は、レーザー測距コンポーネント100a、100b、および100cのn個のグループとMEMSマイクロミラー120の制御およびデータ処理のために構成される。
【0111】
本願のこの実施形態では、レーザー・レーダーのレイアウトがよりコンパクトであり、空間利用率がより高いように、反射器のグループ110がレーザー測距コンポーネント100のn個のグループとMEMSマイクロミラー120との間に配置される。反射器は光ビーム反射機能を有するので、レーザー測距コンポーネント100の複数のグループおよびMEMSマイクロミラー120は、回路基板のケーブル配線を促進するために、同じ側に配置される。さらに、MEMSマイクロミラー120が中心として使用されてもよく、レーザー測距コンポーネント100は、MEMSマイクロミラーを中心として使って、MEMSマイクロミラー120の両側に対称的に配置され、それにより、レーザー・レーダーの構造は、より美しく、合理的で、便利である。この構造では、レーザー・レーダーの構成は、レーザー測距コンポーネント100の数を単に増減することによって柔軟に調整することができる。さらに、前記反射器が追加され、レーザー測距コンポーネント100およびMEMSマイクロミラー120は、反射器の光ビーム反射機能を使用することによって階層的に配置されることができる。よって、レーザー測距コンポーネント100によって走査角をブロックしてしまうリスクを効果的に回避することができ、レーザー・レーダーの走査角は最大化される。反射器が追加されない場合、前記複数のコンポーネントおよびMEMSマイクロミラーは、同じ平面上に配置される。前記複数のコンポーネントおよびMEMSマイクロミラーが互いに近すぎる場合、走査角度がブロックされることがある。前記複数のコンポーネントとMEMSマイクロミラーが互いから遠く離れすぎている場合、レーザー・レーダー全体の構造は十分にコンパクトではない。よって、反射器は、前記複数のコンポーネントとMEMSマイクロミラーとの間の階層的配置を実現するよう光路を折り畳むために追加される必要がある。
【0112】
図5は、本願のある実施形態によるマルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの概略三次元構造図である。レーザー測距コンポーネント(100a、100b、100c、100d、100e、100f、および100g)の7つのグループおよび反射器110がベースプレート140上に配置されている。レーザー測距コンポーネント100aが例として使用される。レーザー測距コンポーネント100aの発出光ビーム104aは、水平に、反射器110上に放出される。反射器110は、発出光ビーム104aを反射し、反射された発出光ビーム104aがMEMSマイクロミラー120上に放出される。光ビーム走査が、MEMSマイクロミラー120の二次元旋回を通じて実施され、目標物体によって散乱されたエコー光ビーム105aがもとの光路に沿って戻る。レーザー測距モジュールの光路は、互いに独立しており、互いに干渉しない。支持体1201の機能は、MEMSマイクロミラー120およびレーザー測距コンポーネントが階層的に配置されうるように、MEMSマイクロミラー120の位置を高くすることである。
【0113】
本願のこの実施形態では、反射器110は、光路を接続するために使用され、それにより、MEMSマイクロミラー120およびレーザー測距コンポーネント100のn個のグループは同じ側に配置されることができ、レーザー測距コンポーネント100およびMEMSマイクロミラー120は、同じケーブル・チャネルを有する。これは、レーザー測距レーダーの回路基板配線と熱散逸を促進する。
【0114】
本願のこの実施形態では、MEMSマイクロミラー120、レーザー測距コンポーネント100、および反射器110の間の位置関係を記述するために、MEMSマイクロミラー120を使用することによって座標系が確立される。図5において、MEMSマイクロミラー120は三次元xyz空間に位置し、xz平面は水平面であり、yz平面は垂直面である。MEMSマイクロミラー120は、主に、鏡面1201、外側フレーム底面1202、および外側フレーム前面1203、水平旋回軸1205、および垂直旋回軸1204を含む。水平旋回軸1205および垂直旋回軸1204は互いに垂直であり、鏡面1201が静止している場合、鏡面1201は、外側フレーム前面1203に対して平行であり、外側フレーム底面1202に対して垂直である。説明の簡単のため、鏡面1201の旋回角は、MEMSマイクロミラー120の旋回角と等価である。具体的には、MEMSマイクロミラー120は、水平旋回軸1205に沿って旋回〔スイング〕し、MEMSマイクロミラー120の水平旋回角はχである。MEMSマイクロミラー120は、垂直旋回軸1204に沿って旋回し、MEMSマイクロミラー120の垂直旋回角はωである。任意的に、水平旋回角および垂直旋回角は、通常の作動状態においてMEMSマイクロミラー120によってサポートされる旋回角であってもよい。
【0115】
本願のこの実施形態では、反射器110は、レーザー測距コンポーネント100の複数のグループが、MEMSマイクロミラー120を中心として使って(たとえば、MEMSマイクロミラーの水平旋回軸1205が中心として使用されると考えられてもよい)、ベースプレート140の左側および右側に対称的に配置されることを可能にするために使用される。詳細は、図6を参照されたい。図6では、レーザー測距コンポーネントの合計7つのグループがある。レーザー測距コンポーネント100dが中央に位置し、レーザー測距コンポーネント100a、100bおよび100cと、レーザー測距コンポーネント100e、100fおよび100gは、レーザー測距コンポーネント100dの両側に対称に配置されている。水平面上の隣接するレーザー測距モジュールの発出光ビーム間のはさまれる角度は、指定された水平走査角の要件を満たすように柔軟に設計されることができる。たとえば、MEMSマイクロミラーの水平旋回角が10°である場合、1つのレーザー測距コンポーネントが1つのMEMSマイクロミラーと一緒に動作し、20°の水平方向の角度を測定する。3つのレーザー測距コンポーネントが1つのMEMSマイクロミラーを共有して、水平角度スプライシングを実行し、60°の水平角度が達成される。MEMSマイクロミラーの水平旋回角が5°に変更された場合、1つのレーザー測距コンポーネントは、1つのMEMSマイクロミラーと一緒に動作し、たった10°の水平方向の角度を測定する。6つのレーザー測距コンポーネントが1つのMEMSマイクロミラーを共有し、水平角度スプライシングを実行し、この条件下でも60°の水平角度が達成できる。しかしながら、この条件下でのレーザー・レーダーの分解能は、MEMSマイクロミラーの水平旋回角が10°のときのレーザー・レーダーの分解能と比較して2倍にできる。これは、レーザー測距コンポーネントの数が3から6に増やされたためである。レーザー測距コンポーネント100の7つのグループの発出光ビーム104a、104b、104c、104d、104e、104f、および104gは、それぞれ異なる領域を走査し、水平方向において角度スプライシングされる。詳細については、図6を参照されたい。
【0116】
本願のいくつかの実施形態では、図5を参照すると、上記の三次元空間座標系は、MEMSマイクロミラーを中心として使用することによって定義され、水平面上のN個のレーザー測距コンポーネントのうちの2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビーム間のはさまれる角度θは、MEMSマイクロミラーの水平旋回角χと次の関係:
θ≦2χ
をもつ。
【0117】
図6に示されるように、たとえば、水平面上でのレーザー測距コンポーネント100cおよびレーザー測距コンポーネント100dの発出光ビームの間のはさまれる角度はθである。MEMSマイクロミラーの水平旋回角χと、水平面上の任意の隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビームの間のはさまれる角θとは、上記の関係を満たす必要がある。これは、レーザー測距コンポーネントの複数のグループの点群走査トラックが水平方向にシームレスにスプライシングされることを確実にすることができる。
【0118】
本願のいくつかの実施形態では、レーザー測距コンポーネントの数Nは、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの水平走査角度φ、MEMSマイクロミラーの水平旋回角度χ、および水平面上の2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビームの間のはさまれる角度θと次の関係:
N≧(φ-2χ)/θ
をもつ。
【0119】
図6に示されるように、たとえば、水平面上でのレーザー測距コンポーネント100cおよびレーザー測距コンポーネント100dの発出光ビームの間のはさまれる角度はθであり、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの水平走査角度はφであり、使用されるレーザー測距コンポーネントの数はNである。マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの水平走査角度φ、MEMSマイクロミラー120の水平旋回角χ(MEMSマイクロミラーの旋回範囲は-χ/2からχ/2)、水平面上の隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビーム間のはさまれる角度θは、上記の関係を満たす。Nは、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの水平走査角度範囲を確実にするために、前述の制約関係を満たす必要がある。たとえば、レーザー測定モジュールの水平走査角度φが106°であり、χ=8°、θ=15°である場合、Nの値は6または7でありうる。レーザー測距コンポーネントの数は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー測定モジュールの水平走査角φ、MEMSマイクロミラーの水平旋回角χ、および水平面上の2つの隣接するレーザー測距コンポーネントの発出光ビーム間のはさまれる角度θの間の上記の満たされる関係を使用することによって決定されうる。
【0120】
本願のいくつかの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントが位置する平面およびMEMSマイクロミラーが位置する平面は、異なる平面である。図5に示されるように、N個のレーザー測距コンポーネントおよび支持体はすべてベースプレート上に固定され、MEMSマイクロミラーは支持体上に設置される。N個のレーザー測距コンポーネントが位置する平面とMEMSマイクロミラーが位置する平面は異なる平面であるため、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーは階層的に配置されることができる。よって、レーザー測距コンポーネントによって垂直走査角をブロックしてしまうリスクを効果的に回避でき、レーザー・レーダーの垂直走査角が最大化される。
【0121】
本願のこの実施形態では、反射器110の別の機能は、垂直走査角のブロックを効果的に回避することである。詳細は、図7を参照されたい。図7では、レーザー測距コンポーネント100dの発出光ビーム104dは、水平に、反射器110上に放出され、垂直面上での反射器110における入射光ビームと発出光ビームとの間のはさまれる角度はαである。発出光ビームが依然としてMEMSマイクロミラー120上に放出されるようにするために、MEMSマイクロミラーは、支持体1201を使って上昇させられる必要がある。MEMSマイクロミラー120およびレーザー測距コンポーネント100dは、階層的に配置され、それにより、垂直走査において、発出光ビーム104dの角度ブロッキングは効果的に回避される。
【0122】
MEMSマイクロミラー120の外側フレーム底面1202がベースプレート140の平面に平行である場合、垂直面上の反射器での入射光ビームと発出光ビームとの間のはさまれる角度αは、MEMSマイクロミラーの鏡面1201上での発出光ビーム104dの垂直入射角である。垂直面上の反射器での入射光ビームと発出光ビームとの間にはさまれる角度αが過大であると、点群走査トラックが歪み、点群画像品質が影響を受ける。この問題を解決するために、本願のこの実施形態では、MEMSマイクロミラー120は、固定角度、すなわち、MEMSマイクロミラー120の垂直旋回軸1204に沿ったMEMSマイクロミラーの垂直傾斜角βだけ垂直方向に下方に傾斜して、鏡面上での光ビームの入射角を低減することができる。傾斜角βはαに関係する。
【0123】
本願のいくつかの実施形態では、入射光ビームと、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれの、垂直面上で反射器での、入射光ビームと発出光ビームの間のはさまれる角度αは、MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角βおよびMEMSマイクロミラーの垂直旋回角ωと次の関係:
α≧ε(2β+ω)
をもつ。
【0124】
εは、反射器とMEMSマイクロミラーの設置誤差係数である。
【0125】
図7に示されるように、MEMSマイクロミラー120の垂直旋回角はωであり、MEMSマイクロミラーの旋回範囲は-ω/2からω/2である。レーザー・レーダーの走査角が垂直方向においてブロックされないことを確実にするために、α、β、ωは、上記の関係を満たす。εは、反射器およびMEMSマイクロミラーの設置誤差係数であり、εは、反射器およびMEMSマイクロミラーの全体的な寸法に起因する設置誤差に基づいて決定される。たとえば、εの値は1.05から1.3の任意の値であってもよく、εの特定の値は限定されない。たとえば、α=20°、β=5°、ω=15°、ε=1である場合、レーザー・レーダーの垂直走査角度範囲は-5°から25°であり、具体的には、垂直走査角度は30°である。この場合、角度ブロックは発生しない。
【0126】
本願のいくつかの実施形態では、垂直面上の反射器での、N個のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームと入射光ビームのはさまれる角度αは、等しい。
【0127】
αは10°以上50°以下である。
【0128】
本願のいくつかの実施形態では、MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角は、5°以上45°以下である。
【0129】
垂直面上の反射器での、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれの、入射光ビームと発出光ビームとの間のはさまれる角度αは、10°から50°の範囲において制御されるべきである。たとえば、はさまれる角度αは、20°、25°または40°である。MEMSマイクロミラーの垂直傾斜角βの値範囲は、5°から45°である。たとえば、はさまれる角度βは、10°、15°または30°である。αは10°から50°の範囲であり、βは5°~45°の範囲である。αおよびβの角度が小さすぎると、MEMSマイクロミラーと反射器の間の距離が大きくなり、レーザー・レーダーの体積が大きくなる。αおよびβの角度が大きすぎると、MEMSマイクロミラー上の入射光ビームの角度も非常に大きくなり、点群走査画像が歪む。よって、αは10°から50°の範囲であり、βは5°から45°の範囲であり、それにより、レーザー・レーダーの体積を低減でき、点群走査画像の歪みが回避できる。
【0130】
図8に示されるように、レーザー測距コンポーネント100の7つのグループ、反射器110、およびMEMSマイクロミラー120の空間位置は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーを構成するために設計される。図8では、レーザー測距コンポーネント100、反射器110、MEMSマイクロミラー120、および支持体が、ベースプレート140上に配置されている。接続棒150が、データ処理回路130を支持するように構成される。データ処理回路130は、ケーブル160を通じてレーザー測距コンポーネント100に接続される。データ処理回路130は、ケーブル170を通じてMEMSマイクロミラー120に接続される。データ処理回路130は、コンポーネントを制御し、データを送信するように構成される。レーザー測距コンポーネントの7つのグループの発出光ビームは、ハウジング窓180を通じて目標上に放出される。
【0131】
図5から図8における反射器がさらに図示されている。反射器110の具体的な機能は、光ビーム方向角を変えることである。発出光ビーム104aおよびエコー光ビーム105aの両方は、反射器110を通じてある角度で反射されることができる。反射器110は、平面反射器または金属膜もしくは誘電体膜でめっきされたプリズムであってもよく、または双方向光ビーム反射機能を有する光学素子、たとえば光学回折格子またはナノメートル光アンテナであってもよい。
【0132】
本願のいくつかの実施形態では、レーザー・レーダーの走査角度および分解能を柔軟に調整するために、レーザー測距コンポーネントの数および配置位置が柔軟に変更されてもよい。使用されるレーザー測距コンポーネントの数が多く、配置が高密度であるほど、レーザー・レーダーが得ることができる点群分解能が高くなるが、それに応じてコストおよびサイズが増大する。図9および図10は、それぞれ、レーザー測距コンポーネントの4つのグループが使用される場合およびレーザー測距コンポーネントの3つのグループが使用される場合の、レーザー・レーダーの光路構造を示す。図9では、レーザー測距コンポーネント100aおよび100b、ならびにレーザー測距コンポーネント100cおよび100dは、MEMSマイクロミラー120を中心として使って、左側および右側に対称に分布している。図10では、レーザー測距コンポーネント100aおよびレーザー測距コンポーネント100cは、MEMSマイクロミラー120を中心として使って左側および右側に対称に分布し、レーザー測距コンポーネント100bおよびMEMSマイクロミラー120は、同じ垂直面上に位置する。
【0133】
図5図6および図8において、レーザー測距コンポーネントの複数のグループは、1つだけの反射器110に対応する。場合によっては、反射器110のサイズを小さくするために、反射器110が分割されてもよく、レーザー測距コンポーネントの各グループが1つの反射器に対応するようにしてもよい。詳細は、図11を参照されたい。図11では、レーザー測距コンポーネント100b、100d、および100fの合計3つのグループが使用され、レーザー測距コンポーネントの該3つのグループの発出光ビーム104b、104d、および104fは、それぞれ、反射器110b、110d、および110fに当たり、発出光ビームは反射され、次いでMEMSマイクロミラー120上に放出される。
【0134】
図12では、レーザー測距コンポーネントの複数のグループは、複数の反射器に対応しうる。図12では、レーザー測距コンポーネントの合計7つのグループが使用される。レーザー測距コンポーネント100aおよび100bの発出光ビーム104aおよび104bは、反射器110aに当たる。レーザー測距コンポーネント100c、100d、および100eの発出光ビーム104c、104d、および104eは、反射器110bに当たる。レーザー測距コンポーネント100fおよび100gの発出光ビーム104fおよび104gは、反射器110cに当たる。すなわち、レーザー測距コンポーネントの7つのグループの発出光ビームを反射するために合計3つの反射器が使用され、7つのグループの光ビームはMEMSマイクロミラー120に導かれる。
【0135】
本願のある実施形態は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーを提供する。マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーは、主に、レーザー測距コンポーネントの複数のグループ、反射器、単一のMEMSマイクロミラー、およびデータ処理回路を含む。反射器は、レーザー測距コンポーネントの複数のグループの発出光ビームをMEMSマイクロミラー上に反射し、MEMSマイクロミラーの二次元的な旋回を通じて光ビーム走査が実施される。反射器は光路を反射するように構成され、それにより、MEMSマイクロミラーおよびレーザー測距コンポーネントの複数のグループは、同じ側に配置され、レーザー測距コンポーネントの複数のグループは、MEMSマイクロミラーの両側に対称的に配置される。これは、システムの集積を改善する助けとなる。反射器は、レーザー測距コンポーネントによって放出される光ビームを固定した角度で反射し、光ビームの値は10°から50°である。よって、レーザー測距コンポーネントによる光ビーム走査角度のブロックを回避するために、レーザー測距コンポーネントの複数のグループおよびMEMSマイクロミラーは階層的に配置される。MEMSマイクロミラーは、MEMSマイクロミラー上の光ビームの入射角を小さくするために、5°から45°の固定した角度で下方に傾斜し、それにより点群画像の歪みが回避される。
【0136】
さらに、本願のこの実施形態では、レーザー測距コンポーネントの複数のグループは、一つまたは複数の反射器を共有してもよい。
【0137】
反射器は、平面反射器または金属膜もしくは誘電体膜でめっきされたプリズムであってもよく、または双方向光ビーム反射機能を有する光学素子、たとえば、光学回折格子またはナノメートル光アンテナであってもよい。
【0138】
ある応用は、マルチスレッド・マイクロミラー・レーザー・レーダーの構造を提案する。この構造では、レーザー測距コンポーネントの複数のグループと単一のMEMSマイクロミラーとの間の光路接続が反射器を通じて実現されるので、レーザー・レーダー・システムの集積化およびコンパクト性が大幅に改善され、コストが効果的に低減される。本願のある実施形態は、マルチスレッド・レーザー・レーダーを提供する。このマルチスレッド・レーザー・レーダーの特徴は、単一の反射器では表わされないが、前記反射器は、レーザー・レーダーの全体的な構造の集積化およびコンパクト性を著しく改善できるようにするために使用される。
【0139】
図13に示されるように、本願のある実施形態は、レーザー測定モジュール100を提供する。レーザー測定モジュール100は、N個のレーザー測距コンポーネント101と、N個の反射器102と、MEMSマイクロミラー103とを含み、Nは2以上の正の整数である。
【0140】
N個のレーザー測距コンポーネント101は、N個の反射器102に一対一対応する。
【0141】
N個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれの発出光ビームは、N個の反射器102のうちの対応する反射器102上に放出される。
【0142】
N個の反射器102のそれぞれは、対応するレーザー測距コンポーネント101の発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームをMEMSマイクロミラー103上に放出するように構成される。
【0143】
MEMSマイクロミラー103は:N個の反射器によって送られた発出光ビームを別々に受け取り、N個の反射器によってそれぞれ送られた発出光ビームの方向を変え、N個の反射器にそれぞれ対応する発出光ビームを送って、走査を実施するように構成され;さらに、エコー光ビームの方向を変え、該エコー光ビームを対応する反射器102上に放出するように構成される。エコー光ビームは、目標物体上に放出された発出光ビームによって反射された光ビームである。
【0144】
N個の反射器102のそれぞれは、MEMSマイクロミラー103によって送られたエコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームを対応するレーザー測距コンポーネント101上に放出するように構成される。
【0145】
N個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれは、対応する反射器102によって送られたエコー光ビームを受信し、各レーザー測距コンポーネント101によって放出された発出光ビームと受信されたエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行するようにさらに構成される。
【0146】
本願のこの実施形態において提供されるレーザー測定モジュールは、複数のレーザー測距コンポーネントを含み、レーザー測距コンポーネントの数はNによって表わされる。たとえば、3つのレーザー測距コンポーネントがレーザー測定モジュール内に配置されてもよい。別の例では、6つのレーザー測距コンポーネントがレーザー測定モジュール内に配置されてもよい。これは、適用シナリオに依存する。レーザー測距コンポーネントは、光ビームを生成するように構成され、該光ビームは、前記発出光ビームとして定義される。さらに、本願のこの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれによって生成された発出光ビームは、MEMSマイクロミラー上に直接放出されるのではなく、発出光ビームは、レーザー測距コンポーネントによってまず反射器上に放出される。反射器は、光路反射を実行することができ、発出光ビームは、反射器の光路反射を通じて、MEMSマイクロミラー上に放出されることができる。よって、1つのMEMSマイクロミラーが配置される必要があるだけであり、各レーザー測距コンポーネントについて対応するMEMSマイクロミラーが配置される必要はない。反射器は、複数のレーザー測距コンポーネントと単一のMEMSマイクロミラーとの間の光路接続を実現するように構成される。これは、レーザー測定モジュールの集積性およびコンパクト性を改善し、レーザー・レーダーの製造コストを効果的に低減し、体積、サイズおよびコストに関する厳しい要件を有するビークル環境に適用可能である。
【0147】
レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数とレーザー測定モジュールにおける反射器の数は等しい。たとえば、レーザー測距コンポーネントの数および反射器の数は、両方ともNである。1つのレーザー測距コンポーネントは、1つの反射器に対応する。具体的には、各レーザー測距コンポーネントの発出光ビームは、そのレーザー測距コンポーネントに対応する反射器のみに送られる。同様に、MEMSマイクロミラーから反射器によって受け取られたエコー光ビームも、その反射器に対応するレーザー測距コンポーネントのみに送られる。本願のこの実施形態では、N個のレーザー測距コンポーネントは、同じMEMSマイクロミラーを共有し、各レーザー測距コンポーネントは、1つの完全に独立した反射器に対応する。このようにして、レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの位置が常に固定されることができ、レーザー・レーダーの走査角度、光放出方向、外観等が、反射器の設計を調整することにより変更されうる。柔軟な光路アーキテクチャーは、レーザー・レーダーの適用スケーラビリティを大幅に改善する。さらに、本願のこの実施形態では、各レーザー測距コンポーネントは、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを対応する反射器に送ることができる。よって、レーザー測距コンポーネントの位置は固定され、受動的な反射器のみが、光路キャリブレーションを実行するために調整され、光路コミッショニングの安定性および利便性を改善する。
【0148】
たとえば、N個のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、第1のレーザー測距コンポーネント、第2のレーザー測距コンポーネント、…および第Nのレーザー測距コンポーネントである。N個の反射器は、それぞれ、第1の反射器、第2の反射器、…および第Nの反射器である。下記は、i番目のレーザー測距コンポーネントとi番目の反射器との間の光ビーム伝送について詳細に説明する。ここで、iは、N以下の正の整数である。
【0149】
たとえば、N個のレーザー測距コンポーネントのうちのi番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームが、N個の反射器のうちのi番目の反射器上に放出される。
【0150】
i番目の反射器は、i番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームに対して光路反射を実行し、反射された発出光ビームをMEMSマイクロミラー上に放出するように構成される。
【0151】
i番目の反射器は、MEMSマイクロミラーによって送られたエコー光ビームに対して光路反射を実行し、反射されたエコー光ビームをi番目のレーザー測距コンポーネント上に放出するように構成される。
【0152】
i番目のレーザー測距コンポーネントは、i番目の反射器によって送られたエコー光ビームを受信し、i番目のレーザー測距コンポーネントによって放出された発出光ビームと受信されたエコー光ビームとの間の時間差に基づいて測距を実行するようにさらに構成される。
【0153】
図13を参照すると、各レーザー測距コンポーネントは、1つの反射器に対応する。たとえば、i番目のレーザー測距コンポーネントは、i番目の反射器に対応する。本願のこの実施形態では、各レーザー測距コンポーネントは、そのレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを対応する反射器に送ることができる。よって、レーザー測距コンポーネントの位置は固定され、受動的な反射器のみが光路較正を実行するために調節される。i番目のレーザー測距コンポーネントによって実行される測距アルゴリズムについては、上記の実施形態における説明を参照されたい。詳細は、ここでは再度説明しない。
【0154】
本願のいくつかの実施形態では、複数の光ビーム偏向素子が、レーザー測定モジュール内にさらに配置されてもよい。光ビーム偏向素子は、光ビーム偏向素子によって受け取られた光ビームを偏向させるように構成される。たとえば、光ビーム偏向素子は、光ビーム反射機能または光ビーム屈折機能を有しており、そのため、該素子によって受け取られた光ビームの方向を変えることができる。本願のこの実施形態では、光ビーム偏向素子は、レーザー測距コンポーネントと反射器との間に配置されてもよい。限定されるものではないが、本願のこの実施形態において、光ビームは、レーザー測距コンポーネントと反射器との間で直接伝送されてもよい。換言すれば、光ビーム偏向素子を使用する必要はない。あるいはまた、光ビームは、光ビーム偏向素子を通じてレーザー測距コンポーネントと反射器との間で伝送されてもよい。下記は、説明のための詳細な例を与える。
【0155】
本願のこの実施形態では、光ビームが、光ビーム偏向素子を通じてレーザー測距コンポーネントと反射器との間で伝送されうる場合、光ビーム偏向素子および反射器は、まとめて反射器グループと称されてもよいことに留意しておくべきである。後続の実施形態では、光ビーム偏向素子および反射器がまとめて反射器グループと呼ばれる例が説明のために使用される。
【0156】
本願のいくつかの実施形態では、図14を参照すると、図14での説明のためには、Nが7以上である例が使用される。限定されるものではないが、Nの値はそれに限定されず、Nの値は代替的に、3、5などであってもよい。レーザー測定モジュールは、(N-1)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。
【0157】
Nの値が5以上の奇数である場合、iが(N+1)/2未満の正の整数である場合、N個のレーザー測距コンポーネント101のうちのi番目のレーザー測距コンポーネント101は、出力光ビームを、(N-1)個の光ビーム偏向構成要素のうちのi番目の光ビーム偏向構成要素を通じて、N個の反射器102のうちのi番目の反射器102に送る;または
iが(N+1)/2よりも大きい正の整数である場合、N個のレーザー測距コンポーネント101のうちのi番目のレーザー測距コンポーネント101は、出力光ビームを、(N-1)個の光ビーム偏向素子のうちの(i-1)番目の光ビーム偏向素子を通じて、N個の反射器102のうちのi番目の反射器102に送る。
ここで、iはN以下の正の整数である。
【0158】
具体的には、Nの値が奇数である場合、レーザー測定モジュールは、(N-1)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数およびレーザー測定モジュールにおける反射器の数は両方ともNであるので、レーザー測定モジュールにおける光ビーム偏向素子の数は、レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数より1つ少ない。N個のレーザー測距コンポーネントの中心に位置する((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントは、((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを直接出力し、光ビーム偏向素子を使用することなく((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを((N+1)/2)番目の反射器に送る。N個のレーザー測距コンポーネントのうちの((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネント以外のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、発出光ビームを、光ビーム偏向素子を通じて対応する反射器に送る。
【0159】
図14では、レーザー測定モジュールにおける最初の(N-1)/2個のレーザー測距コンポーネントおよび最初の(N-1)/2個の反射器は、それぞれ、(N-1)/2個の光ビーム偏向素子を通じて光路接続を実現することができる。レーザー測定モジュールにおける((N+1)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび((N+1)/2)番目の反射器は、光ビーム偏向素子を用いずに光路接続を直接実現する。レーザー測定モジュールにおける((N+3)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび((N+3)/2)番目の反射器は、((N+1)/2)番目の光ビーム偏向素子を通じて光路接続を実現することができる。同様に、レーザー測定モジュールにおけるN番目のレーザー測距コンポーネントおよびN番目の反射器は、(N-1)番目の光ビーム偏向素子を通じて光路接続を実現することができる。
【0160】
本願のいくつかの実施形態では、i番目の反射器とi番目のレーザー測距コンポーネントとの間のはさまれる角度は、事前設定された第1の角度閾値よりも小さい。この場合、図14に示されるレーザー測定モジュールが存在する。第1の角度閾値の値は、レーザー測定モジュールでの反射器とレーザー測距コンポーネントとの間の位置関係に基づいて決定されてもよい。たとえば、第1の角度閾値は、20°から50°の範囲内の任意の角度値であってもよい。
【0161】
たとえば、レーザー測定モジュールは、N個の反射器グループを含む。Nの値が5以上の奇数である場合、iが(N+1)/2に等しくなければ、i番目の反射器グループは、反射器と光ビーム偏向素子とを含み;または、iが(N+1)/2と等しければ、i番目の反射器グループは反射器を含むが、i番目の反射器グループは光ビーム偏向素子を含まない。たとえば、図14を参照すると、iの値が(N+1)/2に等しい場合には、((N+1)/2)番目の反射器は1つの反射器グループを構成している;またはiが(N+1)/2に等しくない場合には、1つの反射器および1つの光ビーム偏向素子が1つの反射器グループを構成している。
【0162】
本願のいくつかの実施形態では、図15を参照すると、図15の説明のために、Nが8以上である例が使用される。限定されるものではないが、Nの値はそれに限定されず、Nの値は、2、4、6などであってもよい。レーザー測定モジュールは、(N-2)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。
【0163】
Nの値が6以上の偶数である場合、iがN/2未満であれば、N個のレーザー測距コンポーネント101のうちのi番目のレーザー測距コンポーネント101は、出力光ビームを、(N-2)個の光ビーム偏向構成要素のうちのi番目の光ビーム偏向構成要素を通じて、N個の反射器102のうちのi番目の反射器102に送る;または
iが(N+2)/2より大きい場合、N個のレーザー測距コンポーネント101のうちのi番目のレーザー測距コンポーネント101は、出力光ビームを、(N-2)個の光ビーム偏向素子のうちの(i-2)番目の光ビーム偏向素子を通じて、N個の反射器102のうちのi番目の反射器102に送る。
ここで、iはN以下の正の整数である。
【0164】
具体的には、Nの値が偶数の場合、レーザー測定モジュールは、(N-2)個の光ビーム偏向素子をさらに含む。レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数および反射器の数は両方ともNであるので、レーザー測定モジュールにおける光ビーム偏向素子の数は、レーザー測定モジュールにおけるレーザー測距コンポーネントの数よりも2つ少ない。それぞれN個のレーザー測距コンポーネントの中心に位置する((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび(N/2)番目のレーザー測距コンポーネントは、光ビーム偏向素子なしで、((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを((N+2)/2)番目の反射器に、また(N/2)番目のレーザー測距コンポーネントの発出光ビームを、(N/2)番目の反射器に送る。N個のレーザー測距コンポーネントのうちの((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび(N/2)番目のレーザー測距コンポーネント以外のレーザー測距コンポーネントは、それぞれ、発出光ビームを、光ビーム偏向素子を通じて、対応する反射器に送る。
【0165】
図15では、レーザー測定モジュールにおける最初の(N-2)/2個のレーザー測距コンポーネントおよび最初の(N-2)/2個の反射器は、(N-2)/2個の光ビーム偏向素子を通じて光路接続を実現することができる。レーザー測定モジュールにおける(N/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび(N/2)番目の反射器は、光ビーム偏向素子なしで光路接続を直接実現する。同様に、レーザー測定モジュールにおける((N+2)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび((N+2)/2)番目の反射器は、光ビーム偏向素子なしで光路接続を直接実現する。レーザー測定モジュールにおける((N+4)/2)番目のレーザー測距コンポーネントおよび((N+4)/2)番目の反射器は、(N/2)番目の光ビーム偏向素子を通じて光路接続を直接実現してもよい。同様に、レーザー測定モジュールにおけるN番目のレーザー測距コンポーネントおよびN番目の反射器は、(N-2)番目の光ビーム偏向素子を通じて光路接続を直接実現してもよい。
【0166】
本願のいくつかの実施形態では、i番目の反射器とi番目のレーザー測距コンポーネントとの間のはさまれる角度は、事前設定された第1の角度閾値よりも小さい。この場合、図15に示すレーザー測定モジュールが存在する。第1の角度閾値の値は、レーザー測定モジュール上の反射器とレーザー測距コンポーネントとの間の位置関係に基づいて決定されてもよい。たとえば、第1の角度閾値は、20°から50°の範囲内の任意の角度値であってもよい。
【0167】
たとえば、レーザー測定モジュールは、N個の反射器グループを含む。Nの値が6以上の偶数である場合、iが(N+2)/2に等しくなく、N/2に等しくなければ、i番目の反射器グループは、反射器および光ビーム偏向素子を含み;または、iが(N+2)/2に等しいか、N/2に等しければ、i番目の反射器グループは反射器を含むが、i番目の反射器グループは光ビーム偏向素子を含まない。たとえば、図15を参照すると、iの値が(N+2)/2またはN/2に等しい場合には、((N+2)/2)番目の反射器が1つの反射器グループを構成し、(N/2)番目の反射器が1つの反射器グループを構成し;または、iが(N+2)/2に等しくないか、またはN/2に等しくなければ、1つの反射器および1つの光ビーム偏向素子が1つの反射器グループを構成する。
【0168】
本願のいくつかの実施形態では、光ビーム偏向素子104は、レーザー測距コンポーネント101の発出光ビームを屈折させ、屈折した発出光ビームを反射器102上に放出するように構成される。
【0169】
光ビーム偏向素子104は、さらに、反射器102によって送られたエコー光ビームを、レーザー測距コンポーネント101上に放出するように構成される。
【0170】
光ビーム偏向素子104は、光ビーム偏向素子104によって受け取られた光ビームを偏向させるように構成されてもよい。たとえば、光ビーム偏向素子104は、光ビーム屈折機能を有しており、それにより、光ビーム偏向素子104が受け取る光ビームの方向を変えることができる。光ビーム偏向素子104は、レーザー測距コンポーネント101から発出光ビームを受け取り、発出光ビームを屈折させることができる。光ビーム偏向素子104は、反射器102からのエコー光ビームを受け取り、次いでエコー光ビームを屈折させ、最後に、エコー光ビームをレーザー測距コンポーネント101に送る。レーザー測距コンポーネント101は、測距を実行する。
【0171】
本願のこの実施形態では、光ビーム偏向素子は、屈折ミラーであってもよく、屈折ミラーは、光ビーム屈折機能を有し、屈折ミラーは、レーザー測距コンポーネントと反射器との間に配置されてもよい。たとえば、屈折ミラーはプリズムを含む。後続の実施形態では、光路屈折機能を実現するためにプリズムが使用される例が説明のために使用される。限定されるものではないが、図14および図15に示される光ビーム偏向素子は、代替的に、光ビーム屈折機能を有する別のデバイスであってもよい。これは、本明細書における単なる一例に過ぎず、本願のこの実施形態を限定することを意図するものではない。
【0172】
図16を参照すると、本願のいくつかの実施形態では、レーザー測定モジュールは、N個の光ビーム偏向素子をさらに含む。
【0173】
N個の光ビーム偏向素子は、N個の反射器102に一対一対応する。
【0174】
N個のレーザー測距コンポーネント101のそれぞれは、発出光ビームを対応する光ビーム偏向素子を通じて対応する反射器102上に放出するように構成される。
【0175】
具体的には、レーザー測定モジュールは、該N個の光ビーム偏向素子をさらに含む。レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの数およびレーザー測定モジュール内の反射器の数は両方ともNであるので、レーザー測定モジュール内の光ビーム偏向素子の数は、レーザー測定モジュール内のレーザー測距コンポーネントの数に等しく、レーザー測定モジュール内の光ビーム偏向素子の数は、レーザー測定モジュール内の反射器の数にも等しい。N個のレーザー測距コンポーネントのそれぞれは、レーザー測距コンポーネントの発出光ビームを、1つの光ビーム偏向素子を通じて対応する反射器に送る。
【0176】
図16において、レーザー測定モジュール内の各レーザー測距コンポーネントおよび各反射器は、1つの光ビーム偏向素子を通じた光路接続を実装することができる。たとえば、レーザー測距コンポーネント1および反射器1は、光ビーム偏向素子1を通じて光路接続を実装し、レーザー測距コンポーネント2および反射器2は、光ビーム偏向素子2を通じて光路接続を実装し、レーザー測距コンポーネントNおよび反射器Nは、光ビーム偏向素子Nを通じて光路接続を実装する。
【0177】
本願のいくつかの実施形態では、i番目の反射器とi番目のレーザー測距コンポーネントとの間のはさまれる角度は、あらかじめ設定された第1の角度閾値よりも大きい。この場合、図16に示されるレーザー測定モジュールが存在する。第1の角度閾値の値は、レーザー測定モジュール上の反射器とレーザー測距コンポーネントとの間の位置関係に基づいて決定されてもよい。たとえば、第1の角度閾値は、20°から50°の範囲の任意の角度値であってもよい。
【0178】
たとえば、レーザー測定モジュールは、N個の反射器グループを含む。iがN以下の任意の正の整数である場合、i番目の反射器グループは、反射器と光ビーム偏向素子とを含む。たとえば、図16を参照すると、iの値が(N/2+1)に等しい場合、(N/2+1)番目の反射器が1つの反射器グループを構成する。ここで、iの値は、代替的に、N以下の別の値であってもよい。これは、単に記述のための例であり、本願のこの実施形態を限定することは意図されていない。
【0179】
図16に示されるように、光ビーム偏向素子は、該素子によって受け取られた光ビームを偏向させるように構成される。たとえば、光ビーム偏向素子は、光ビーム反射機能を有しており、該素子によって受け取られる光ビームの方向を変えることができる。光ビーム偏向素子104は、レーザー測距コンポーネント101からの発出光ビームを受け取り、該発出光ビームを反射することができる。光ビーム偏向素子104は、反射器102からエコー光ビームを受け、次いで、該エコー光ビームを反射し、最後に、該エコー光ビームをレーザー測距コンポーネント101に送る。レーザー測距コンポーネント101は、測距を実行する。
【0180】
本願のいくつかの実施形態において、光ビーム偏向素子は、偏向ミラーであってもよく、偏向ミラーは、光ビーム反射機能を有し、偏向ミラーは、レーザー測距コンポーネントと反射器との間に配置されてもよい。後続の実施形態では、光ビーム反射機能を実装するために偏向ミラーが使用される例が記述のために使用される。限定されるものではないが、図16に示される光ビーム偏向素子は、代替的に、光ビーム反射機能を有する別のデバイスであってもよい。これは、単に本明細書における一例であり、本願のこの実施形態を限定することは意図されていない。
【0181】
本願のいくつかの実施形態において、N個の反射器は、同じ直線上に位置する。Nの値が5以上の奇数である場合、
iが2より大きく、(N+1)/2以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より小さくない;または
iが(N+1)/2より大きくN以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。
【0182】
任意的に、(N+1)/2番目の反射器が中心として使用され、N番目の反射器における((N+1)/2)番目の反射器以外の反射器は対称的に分布する。
【0183】
N個の反射器は同じ直線上に位置する。たとえば、N個の反射器の鏡面中心は、同じ直線上に位置してもよく、N個の反射器は、対称的に分布する。たとえば、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。Nの値が5以上の奇数である場合、((N+1)/2)番目の反射器が中心として使用される。たとえば、Nの値が5である場合、第3の反射器が中心として使用される。N個の反射器の((N+1)/2)番目の反射器以外の反射器は、不等間隔で対称的に分布する。
【0184】
本願の実施形態において、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は、等しくても等しくなくてもよい。たとえば、Nが3に等しい場合、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しい。別の例では、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。中心に近い2つの反射器の間の間隔ほど小さく、中心から離れた2つの反射器間の間隔ほど大きい。たとえば、iが2より大きく、(N+1)/2以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔よりも小さくない。(i-2)番目の反射器、(i-1)番目の反射器、およびi番目の反射器は、順次、中心(すなわち(N+1)/2)番目の反射器)に近くなる。したがって、(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔は、(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間隔より大きくない。同様に、iが(N+1)/2よりも大きく、N以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔よりも大きくない。
【0185】
本願のいくつかの実施形態において、N個の反射器は、同じ直線上に位置する。Nの値が6以上の偶数である場合、
iが2より大きくN/2以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より小さくない;または
iがN/2より大きくN以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。
【0186】
任意的に、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器との間の中点が中心として使用され、N個の反射器における(N/2)番目の反射器および(N/2+1)番目の反射器以外の反射器を対称的に分布する。
【0187】
N個の反射器は同じ直線上に位置する。たとえば、N個の反射器の鏡面中心は、同じ直線上に位置してもよく、N個の反射器は、対称的に分布する。たとえば、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。Nの値が6以上の偶数であれば、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器の中点が中心として使用されて、N個の反射器における(N/2)番目の反射器および(N/2+1)番目の反射器以外の反射器は不等間隔で対称的に分布する。
【0188】
本願のいくつかの実施形態において、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は、等しくても等しくなくてもよい。たとえば、Nが3に等しい場合、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しい。別の例では、N個の反射器におけるすべての2つの隣接する反射器の間の間隔は等しくない。中心に近い2つの反射器の間の間隔ほど小さく、中心から離れた2つの反射器の間の間隔ほど大きい。たとえば、iが2より大きくN/2以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔よりも小さくない。(i-2)番目の反射器、(i-1)番目の反射器、およびi番目の反射器は、順次、中心(すなわち、(N/2)番目の反射器と(N/2+1)番目の反射器の間の中点)に近くなる。したがって、(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔は、(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間隔より大きくない。同様に、iがN/2より大きくN以下の整数である場合、N個の反射器における(i-2)番目の反射器と(i-1)番目の反射器との間の間隔は、N個の反射器における(i-1)番目の反射器とi番目の反射器との間の間隔より大きくない。
【0189】
たとえば、Nの値は5である。レーザー測距コンポーネントの5つのグループの走査領域が連続的にスプライシングされ、走査された画像において不整合〔ミスマッチ〕が生じないことを確実にするために、MEMSマイクロミラーを通過した後の発出光ビームの5つのグループは、水平方向(X軸)において等しい角度で分布し、垂直方向(Y軸)における発出角度は同じであることが必要とされる。X軸に沿った直線において5つの反射器が配置される必要がある。たとえば、第3の反射器が中心として使用され、最初の2つの反射器と最後の2つの反射器が左右のミラー関係にあり、5つの反射器は不等間隔で配置される。2つの側のそれぞれにある2つの隣接する反射器の間の間隔は、比較的大きい。中心に近い2つの隣接する反射器の間の間隔は、比較的小さい。5つの反射器の間隔および形状のようなパラメータは、MEMSマイクロミラー上に放出される光ビームの角度が特定の走査角度を出力するように変更できるように、変更される。
【0190】
本願のいくつかの実施形態において、N個の反射器におけるi番目の反射器の鏡面法線方向とN個の反射器におけるi番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、N個の反射器における(i+1)番目の反射器の鏡面法線方向とN個の反射器における(i+1)番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度に等しい。ここで、
iはN以下の正の整数である。
【0191】
本願のこの実施形態では、N個の反射器におけるi番目の反射器および(i+1)番目の反射器は、2つの隣接する反射器であり、i番目の反射器の発出光ビームおよび(i+1)番目の反射器の発出光ビームの両方がMEMSマイクロミラーに送られる。N個の反射器におけるi番目の反射器の鏡面法線方向とN個の反射器におけるi番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、第1のはさまれる角度であり、N個の反射器における(i+1)番目の反射器の鏡面法線方向とN個の反射器における(i+1)番目の反射器の発出光ビームとの間のはさまれる角度は、第2のはさまれる角度である。第1のはさまれる角度は、第2のはさまれる角度に等しい。すなわち、N個の反射器の鏡面法線方向とN個の反射器の発出光ビームとの間にはさまれる角度は等しく、N個の反射器の発出光ビームが同じ方向においてMEMSマイクロミラー上に放出されることを保証している。このようにして、MEMSマイクロミラーが同じ方向からN個の発出光ビームを受けることができることが保証される。
【0192】
本明細書において第1のはさまれる角度が第2のはさまれる角度と等しいということは、誤差が無視され、精度が同じである場合に、該2つのはさまれる角度が等しいことを意味することを注意しておくべきである。たとえば、第1のはさまれる角度が32°であり、第2のはさまれる角度も32°である場合、第1のはさまれる角度は第2のはさまれる角度に等しくなる。特定の誤差が存在する場合、やはり第一のはさまれる角度が第二のはさまれる角度に等しいと考えられてもよい。たとえば、誤差が0.1°であり、第1のはさまれる角度が32.01°であり、第2のはさまれる角度が32.03°である場合、第1のはさまれる角度が第2のはさまれる角度と等しいと考えられてもよい。
【0193】
たとえば、Nの値が5である例が使用される。5つの反射器およびMEMSマイクロミラーによって反射された後、5つの発出光ビームは、同一平面400上で等しい角度で放出される。角度間の間隔は15°であり、平面400は、レーザー測距コンポーネントがその上に配置される底面に平行である。MEMSマイクロミラーは、二次元空間においてある角度で旋回する。たとえば、ある次元方向(たとえば、水平方向)でのMEMSマイクロミラーの旋回角は20°であり、別の次元方向(たとえば、垂直方向)でのMEMSマイクロミラーの旋回角は20°である。この場合、MEMSマイクロミラーの旋回角は、20×20°と略されてもよい。レーザー測距コンポーネントの5つのグループおよび5つの反射器が、100×20°の走査範囲を実現するために使用されることができる。ここで、100×20°は、ある次元方向での旋回角が100°であり、別の次元方向での旋回角が20°であることを表わす。
【0194】
本願のいくつかの実施形態では、MEMSマイクロミラーは:N個の反射器によって送られた発出光ビームを別々に受信し、二次元走査を実施するようN個の反射器によってそれぞれ送られた発出光ビームの方向を変更し、N個の反射器にそれぞれ対応する発出光ビームを送るように構成される。
【0195】
N個の反射器にそれぞれ対応し、MEMSマイクロミラーによって送られる発出光ビームにおける、2つの隣接する反射器によって送られる発出光ビーム間のはさまれる角度は等しい。
【0196】
具体的には、レーザー測定モジュールは、N個の反射器を含むことができ、N個の反射器は、N個の発出光ビームを放出することができる。MEMSマイクロミラーは、N個の反射器によって送られた発出光ビームを別々に受け取り、二次元走査を実施するよう、N個の反射器によってそれぞれ送られた発出光ビームの方向をそれぞれ変更し、N個の反射器にそれぞれ対応する発出光ビームを送るように構成される。N個の反射器にそれぞれ対応し、MEMSマイクロミラーによって送られる発出光ビームにおける、2つの隣接する反射器によって送られる発出光ビーム間のはさまれる角度は等しい。すなわち、MEMSマイクロミラーによって送られるN個の発出光ビーム間のはさまれる角度は等しい。詳細については、後続の実施形態における三次元図の説明を参照されたい。
【0197】
本願のいくつかの実施形態において、N個のレーザー測距コンポーネントは、互いに平行である。換言すれば、レーザー測定モジュール内のN個のレーザー測距コンポーネントは互いに平行であり、よって、複数のレーザー測距コンポーネントが互いに平行である限り、複数のレーザー測距コンポーネントはレーザー測定モジュール内に便利に配置される。よって、本願の実施形態において提供されるレーザー測定モジュールの内部コンポーネントは、よりコンパクトであり、レーザー測定モジュールの小型化が実現される。詳細については、後続の実施形態においける三次元図における複数のレーザー測距コンポーネント間の平行関係の例を参照されたい。
【0198】
下記は、詳細な適用シナリオを使用することにより、本願の実施形態において提供されるレーザー測定モジュールを詳細に説明する。
【0199】
本願のある実施形態は、MEMSマイクロミラー・レーザー測定モジュールに関し、該MEMSマイクロミラー・レーザー測定モジュールは、高いスケーラビリティを有する。同じMEMSマイクロミラーを共有するために複数のレーザー測距コンポーネントが使用されてもよく、各レーザー測距コンポーネントは1つの反射器グループに対応する。反射器グループは、レーザー測距コンポーネントとMEMSマイクロミラーとの間の光路接続を実現するために使用される。各レーザー測距コンポーネントは、1つの完全に独立した反射器グループに対応する。このようにして、レーザー測距コンポーネントの位置を常に固定されてもよく、レーザー・レーダーの走査角、光放出方向、外観等は、単に反射器グループの設計を調整することによって変更されうる。柔軟光路アーキテクチャーは、MEMSレーザー・レーダーの適用スケーラビリティを大幅に改善する。さらに、レーザー測距コンポーネントの位置は固定され、受動的な反射器のみが、光路キャリブレーションを実行するために調整され、光路コミッショニングの安定性および利便性を改善する。
【0200】
たとえば、図17に示されるMEMSマイクロミラー・レーザー測定モジュールは、レーザー測距コンポーネントのN個のグループ(ここで、N=4)、すなわち、レーザー測距コンポーネント100a、100b、100cおよび100d、4つの反射器グループ110a、110b、110cおよび110d、および1つのMEMSマイクロミラー120を含む。レーザー測距コンポーネントの4つのグループの構成は、完全に同じである。100aが例として使用される。100aは、主に、レーザー101a、分光器102a、検出器103a、別の必要な光学素子(従来の素子、たとえば、コリメーションレンズまたは集束レンズは図示していない)、および駆動回路を含む。反射器グループは、主に、光ビーム偏向素子(たとえば、光ビーム偏向素子は、偏向ミラーおよび屈折ミラーであってもよい)および反射器などの光学素子を含む。光ビーム偏向素子が屈折ミラーである場合、反射器グループは、屈折ミラー・グループとも称されうる。反射器グループ110aが例として使用され、屈折ミラーがプリズムである例が使用される。反射器グループは、プリズム111aおよび反射器112aを含む。4つの反射器グループ110a、110b、110c、および110dにおけるプリズムおよび反射器のパラメータまたは空間位置は異なる。
【0201】
レーザー測距コンポーネント100aにおける発出光ビーム104aは、反射器グループ110a上に放出され、発出光ビーム104aは、まずプリズム111aによって屈折され、次いで、屈折した発出光ビーム104aは、反射器112a上に放出される。反射器112aを通過する発出光ビーム104aは、MEMSマイクロミラー120上に放出され、MEMSマイクロミラー120は、二次元旋回を通じて光ビーム走査130aを実施する。MEMSマイクロミラー120によって方向が変えられた発出光ビーム104aは、目標物体に当たる。発出光ビーム104aのエコー光ビーム105aが、もとの経路に沿って戻り、MEMSマイクロミラー120、反射器112a、プリズム111a、および分光器102aなどの光学素子を再度通過した後、最後に検出器103aによって受け取られる。
【0202】
レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、および100dの4つのグループは、4つの反射器グループ110a、110b、110c、および110dに一対一対応する。4つのグループのレーザー測距コンポーネントの発出光ビーム104a、104b、104c、および104dは、方向がそれぞれ反射器グループ110a、110b、110c、および110dを通過することによって調整された後、MEMSマイクロミラー120上に放出され、その結果、4つのグループの光ビーム走査130a、130b、130c、および130dが水平方向において角度スプライシングされる。正確な角度スプライシングを実施するために、屈折ミラー・グループは、対応するレーザー測距コンポーネントの位置および光放出方向に基づいて設計される必要がある。
【0203】
図18は、本願の個別的な実施形態1を示す。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100d、および100eの5つのグループ、反射器グループ110a、110b、110c、110d、および110e、1つのMEMSマイクロミラー120、および支持体121がベースプレート200上に配置される。5つのレーザー測距コンポーネントは、5つの反射器グループに一対一対応する。レーザー測距コンポーネントの発出光ビームの方向がZ方向として定義され、ベースプレートに垂直な上向きの方向がY方向として定義され、X方向は右手則を満たす。
【0204】
レーザー測距コンポーネント100aが例として使用され、レーザー測距コンポーネント100aの発出光ビーム104aは、反射器グループ110aを通過し、次いでMEMSマイクロミラー120上に放出される。残りのレーザー測距コンポーネント100b、100c、100d、および100eの発出光ビームの経路は、レーザー測距コンポーネント100aの経路と同様であり、レーザー測距コンポーネント100b、100c、100d、および100eの発出光ビームはすべて、対応するそれぞれの反射器グループ110b、110c、110d、および110eを通過することによって、MEMSマイクロミラー120上に放出される。反射器グループ110a、110b、110c、110d、および110eの機能は、レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100d、および100eの発出光ビームの方向を変更して、発出光ビームが指定された経路に従ってMEMSマイクロミラー120に当たることを可能にすることであり、MEMSマイクロミラー120が二次元旋回を実行すると、複数のレーザー測距モジュールの走査角スプライシングが実施される。MEMSマイクロミラー120の旋回角が20×20°である場合、100×20°の走査角度範囲を実現するために、レーザー測距コンポーネントの5つのグループおよび5つの反射器グループを使用することによって走査角度スプライシングが実行される。
【0205】
図19は、本願の個別的な実施形態1の上面図である。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100d、および100eは、X軸に沿って平行であり、等間隔に配置され、その結果、それらのコンポーネントによって占有される空間サイズが最小化される。レーザー測距コンポーネントの5つのグループの発出光ビームは、それぞれ、反射器グループ110a、110b、110c、110d、および110eを通過し、次いでMEMSマイクロミラー120上に放出される。レーザー測距コンポーネント100aの発出光ビーム104aが例として使用される。発出光ビーム104aは、プリズム111a上で屈折され、プリズム111aの機能は、発出光ビーム104aを中心に近くし、光路の長さを短くする効果を達成することである。プリズム111aを通過する発出光ビーム104aは、反射器112aに入射する。反射器112aの機能は、発出光ビーム104aがMEMSマイクロミラー120上に放出されるように、発出光ビーム104aの方向を変更することである。反射器グループ110b、110d、および110eの機能的特徴は、反射器グループ110aと同じであるが、中間の反射器グループ110cは、反射器グループ110b、110d、110e、および100aとは異なる。具体的には、反射器グループ110cはプリズムを有さず、単一の反射器112cを有するだけである。屈折ミラー・グループ110cが中心として使用される場合、屈折ミラー・グループ110aおよび110b、ならびに屈折ミラー・グループ110dおよび110eは、左右のミラー関係にある。
【0206】
実施形態1では、反射器112a、112b、112c、112d、および112eは、5つの反射器グループ100a、100b、100c、100d、および100eにおける必要な光学素子であり、それぞれ、レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100d、および100eの発出光ビーム104a、104b、104c、104d、および104eをMEMSマイクロミラー120に反射して、光路を折り畳み、光路の長さを大幅に短くするように構成される。図19に示されるように、300は、5つの反射器が位置する直線を表わす。
【0207】
レーザー測距コンポーネントの5つのグループの走査領域が連続的にスプライシングされ、走査画像において不整合が生じないことを確実にするために、MEMSマイクロミラー120を通過する発出光ビーム104a、104b、104c、104d、および104eの5つのグループは、水平方向(X軸)において等しい角度で分布し、垂直方向(Y軸)における発出角度が同じであることが必要とされる。この制約条件の下で、5つの反射器112a、112b、112c、112d、112eは、X軸に沿って直線上に配置される必要がある。反射器112cが中心として使用され、反射器112a、112bと反射器112d、112eが左右ミラー関係であり、反射器112a、反射器112b、反射器112c、反射器112d、反射器112eを不等間隔に配置される。2つの側の一方にある反射器112aと反射器112bとの間の間隔は、比較的大きい。中心に近い反射器112bと反射器112cとの間の間隔は比較的小さい。反射器112a、112b、112c、112d、および112eの間隔および形状などのパラメータは、MEMSマイクロミラー120上に放出される光ビームの角度が特定の走査角度を出力するように変更できるように、変更される。
【0208】
図20は、本願の個別的な実施形態1の側面図である。中心に位置するレーザー測距コンポーネント100cが例として使用され、レーザー測距コンポーネント100cの発出光ビーム104cが反射器112c上に放出され、1121cは反射器112cの反射面である。反射面1121cを通過する発出光ビーム104cは、MEMSマイクロミラー120を指し、1201は、MEMSマイクロミラー120の鏡面を表わす。光路がブロックされないことを保証するために、MEMSマイクロミラー120とレーザー測距コンポーネント110cおよび反射器112cとの間には高さの差が存在する。よって、MEMSマイクロミラー120は、支持体121上に配置される必要がある。図20のYZ平面上では、反射器112cの反射面1121cは、MEMSマイクロミラー120のミラー面1201に平行であり、よって、レーザー測距コンポーネント100cの発出光ビーム104cが2回反射された後では、光ビームの方向は変化しない。
【0209】
図21は、本願の個別的な実施形態1の光路図である。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100d、および100eの初期の発出光ビーム104a、104b、104c、104d、および104eの方向は、Z軸を指しており、ベースプレート200に対して平行であり、ベースプレートはXZ平面上にある。反射器グループおよびMEMSマイクロミラーによって反射された後、発出光ビーム104a、104b、104c、104d、および104eは、平面400上で等しい角度で放出される。ここで、2つの隣接する発出光ビームの間の角度間隔は15°であり、平面400はベースプレート200に対して平行である。この個別的な実施形態1では、MEMSマイクロミラーの旋回角が20×20°である場合、レーザー測距コンポーネントの5つのグループおよび5つの反射器グループを使用することによって、100×20°の走査範囲が実現されうる。
【0210】
図22は、本願の個別的な実施形態2を示す。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100cおよび100d、反射器グループ110a、110b、110cおよび110d、1つのMEMSマイクロミラー120、および支持体121の4つのグループがベースプレート200上に配置される。MEMSマイクロミラー120は、支持体121上に配置され、各レーザー測距コンポーネントは、1つの反射器グループに対応する。レーザー測距コンポーネントの発出光ビームの方向はX方向として定義され、ベースプレートに垂直な上向きの方向はY方向として定義され、Z方向は右手則を満たす。
【0211】
レーザー測距コンポーネント100aは、一例として使用され、レーザー測距コンポーネント100aの発出光ビーム104aは、反射器グループ110aを通過し、次いでMEMSマイクロミラー120上に放出される。残りのレーザー測距コンポーネント100b、100c、および100dの発出光ビームの経路は、レーザー測距コンポーネント100aの経路と同様であり、レーザー測距コンポーネント100b、100c、および100dの発出光ビームはすべて、対応するそれぞれの反射器グループ110b、110c、および110dを通過することによってMEMSマイクロミラー120上に放出される。反射器グループ110a、110b、110c、および110dの機能は、発出光ビームが指定された経路に従ってMEMSマイクロミラー120に入射することを可能にするようにレーザー測距コンポーネントの発出光ビームの方向を変更することであり、MEMSマイクロミラー120が二次元旋回を実行するとき、複数のレーザー測距モジュールの走査角スプライシングが実施される。MEMSマイクロミラーは、二次元空間においてある角度で旋回する。たとえば、ある次元方向(たとえば、水平方向)でのMEMSマイクロミラーの旋回角は15°であり、別の次元方向(たとえば、垂直方向)でのMEMSマイクロミラーの旋回角は30°である。この場合、MEMSマイクロミラーの旋回角は、15×30°と略されてもよい。60×30°の走査角度範囲を実現するために、レーザー測距コンポーネントの4つのグループおよび4つの反射器グループを用いて走査角度スプライシングが実行される。ここで、60×30°は、ある次元方向での旋回角が60°であり、別の次元方向での旋回角が30°であることを表わす。
【0212】
図23は、本願の個別的な実施形態2の上面図である。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、および100dは、X軸に沿って平行であり、等間隔に配置され、その結果、それらのコンポーネントによって占有される空間サイズが最小化される。レーザー測距コンポーネントの4つのグループの発出光ビーム104a、104b、104c、および104dは、それぞれ、反射器グループ110a、110b、110c、および110dを通過し、次いで、MEMSマイクロミラー120上に放出される。レーザー測距コンポーネント100cの発出光ビーム104cは、一例として用いられる。発出光ビーム104cは、レーザー測定モジュールの光放出方向を変更するために、偏向ミラー111c上で方向転換される。偏向ミラー111cを通過する発出光ビーム104cは、反射器112cに入射し、反射器112cは、角度スプライシングを実施するために、発出光ビーム104cをMEMSマイクロミラー120に導く。
【0213】
上記の実施形態1と比較すると、実施形態2では、図23に示されるように、反射器112a、112b、112c、112dはそれぞれ、レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100dの発出光ビーム104a、104b、104c、104dをMEMSマイクロミラー120上に反射し、光路を折り畳み、光路の長さを大幅に短くする。同様に、レーザー測距コンポーネントの4つのグループの走査領域が連続的にスプライシングされ、走査される画像において不整合が生じないことを確実にするために、MEMSマイクロミラー120を通過する発出光ビーム104a、104b、104c、および104dの4つのグループは、水平方向(X軸)において等しい角度で分布し、垂直方向(Y軸)における発出角度は同じであることが必要とされる。この制約条件の下で、4つの反射器112a、112b、112c、および112dは、X軸に沿って直線上に配置される必要がある。
【0214】
MEMSマイクロミラー120は中心として使用され、反射器112a~112bおよび反射器112c~112dは、左右のミラー関係にあり、反射器112a、112b、112cおよび112dは、不等間隔に配置される。反射器112aと反射器112bとの間の間隔は、2つの側の一方にある場合には、比較的大きい。中心に近い反射器112bと反射器112cとの間の間隔は比較的小さい。反射器112a、112b、112c、112d、および112eの間隔および形状などのパラメータは、MEMSマイクロミラー120上に放出される光ビームの角度が特定の走査角度を出力するように変更できるように、変更される。
【0215】
図24は、本願の個別的な実施形態2の光路図である。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、および100dの初期の発出光ビーム104a、104b、104c、および104dの方向は、Z軸を指し、ベースプレート200に対して平行であり、ベースプレートはXZ平面上にある。反射器グループおよびMEMSマイクロミラー120によって反射された後、発出光ビーム104a、104b、104c、および104dは、平面400上で等しい角度で放出される。ここで、2つの隣接する発出光ビームの間の角度間隔が15°であり、平面400はベースプレート200に対して平行である。MEMSマイクロミラーの旋回角が15×30°の場合、レーザー測距コンポーネントの4つのグループおよび4つの反射器グループを使用することによって、60×30°の走査範囲が実現されうる。
【0216】
図25は、本願の個別的な実施形態3を示す。レーザー測距コンポーネント100a、100b、100c、100d、および100eの5つのグループ、反射器グループ110a、110b、110c、110d、および110e、および1つのMEMSマイクロミラー120が図25に示されている。実施形態1とは異なり、反射グループにはプリズムがなく、1つの反射器のみが存在する。しかしながら、反射器は不等間隔に配置されるので、レーザー測距コンポーネントの対応する5つのグループも不等間隔に配置される。レーザー測距コンポーネント100bとレーザー測距コンポーネント100cとの間の間隔、およびレーザー測距コンポーネント100cとレーザー測距コンポーネント100dとの間の間隔は、比較的小さい。レーザー測距コンポーネント100b、レーザー測距コンポーネント100c、およびレーザー測距コンポーネント100dは、中心(MEMSマイクロミラー120)に近い。レーザー測距コンポーネント100aとレーザー測距コンポーネント100bとの間の間隔、およびレーザー測距コンポーネント100dと100eとの間の間隔は、比較的大きい。レーザー測距コンポーネント100aおよびレーザー測距コンポーネント100eは、中心の2つの側にある。
【0217】
本願の実施形態において、N個の反射器グループは、レーザー測距コンポーネントのN個のグループと単一のMEMSマイクロミラーとの間に配置される。反射器グループは、プリズムおよび反射器のような一つまたは複数の光学素子を含む。N個の反射器グループは、レーザー測距コンポーネントのN個のグループに一対一対応する。反射器グループは、正確な走査角度スプライシングを実施し、レーザー・レーダーの走査角度を増加させるために、レーザー測距コンポーネントの発出光ビームをMEMSマイクロミラーにガイドすることができる。
【0218】
本願の実施形態では、N個の反射器グループは、N個のレーザー測距コンポーネントと単一のMEMSマイクロミラーとの間に追加される。反射器グループは、光路が少なくとも1回反射するよう少なくとも1つの反射器を含み、光路が冗長であることを回避し、レーザー・レーダーのサイズをさらに小さくする。各レーザー測距コンポーネントは、1つの独立した反射器グループに対応する。レーザー・レーダーの開発において、レーザー測距コンポーネントの位置は固定されてもよく、レーザー・レーダーの走査角、光放出方向等は、反射器グループのパラメータ設計を調整だけで変更される。柔軟な光路アーキテクチャーは、コンポーネントおよび回路基板を変えることなく、MEMSレーザー・レーダーの製品外観と設置モードを豊富にする。これは、応用スケーラビリティを改善する。さらに、本願の実施形態では、レーザー測距コンポーネントの位置は固定され、受動的な反射器グループのみが、光路コミッショニングの安定性および利便性を改善するために、光路キャリブレーションを実施するために使用される。
【0219】
さらに、記載された装置実施形態は、単に一例であることに留意しておくべきである。別個の部分として記載されたユニットは、物理的に別個であってもなくてもよく、ユニットとして表示された部分は、物理的なユニットであってもなくてもよく、1つの位置に配置されていてもよく、または複数のユニット上に分散されていてもよい。いくつかのまたはすべてのモジュールは、実施形態の解決策の目的を達成するために、実際のニーズに基づいて選択されうる。
【0220】
上記の諸実施形態では、レーザー測定モジュールおよびレーザー・レーダーは、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせの全部または一部を使用して実装されうる。
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