(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20240605BHJP
【FI】
H01L25/00 B
(21)【出願番号】P 2023037611
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2018224608の分割
【原出願日】2018-11-30
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】西村 勇
(72)【発明者】
【氏名】山上 守
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092443(JP,A)
【文献】特表2017-505999(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203804(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/135349(WO,A1)
【文献】特開2008-016729(JP,A)
【文献】特開2005-026311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/00-25/18
H01L 23/12-23/15
H01L 23/48-23/50
H01L 23/52-23/538
H02M 3/00
H05K 3/32-3/34
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有する基板と、
前記基板に埋め込まれ、かつ前記主面および前記裏面の各々から露出する第1埋込部と、前記主面に接し、かつ前記第1埋込部につながる搭載部と、を各々が有する複数の第1配線と、
各々が前記複数の第1配線のいずれかの前記搭載部に接合された複数の電極を有する第1素子と、
前記基板に埋め込まれ、かつ前記主面および前記裏面の各々から露出する第2埋込部と、前記第2埋込部から前記厚さ方向において前記主面が向く側に突出する柱状部と、を各々が有するとともに、前記厚さ方向に視て前記第1素子よりも外方に位置する複数の第2配線と、
前記第1素子よりも前記厚さ方向において前記主面が向く側に位置し、かつ前記複数の第2配線に導通する第2素子と、
前記基板、前記複数の第1配線、前記第1素子、および前記複数の第2配線の各々の一部ずつを覆う第1封止樹脂と、
前記第2素子を覆う第2封止樹脂と、を備え、
前記厚さ方向に視て、前記第2素子は、前記第1素子に重なっており、
前記第2素子は、前記複数の第2配線の各々の前記柱状部に支持されており、
前記第1素子は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く素子表面を有し、
前記複数の第2配線の各々の前記柱状部は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く頂面を有し、
前記第1封止樹脂は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く外面と、前記厚さ方向に対して直交する方向を向く第1側面と、を有し
前記第2封止樹脂は、前記厚さ方向に対して直交する方向において前記第1側面と同じ側を向き、かつ前記厚さ方向を面内方向とする第2側面を有し、
前記素子表面および前記頂面の各々は、前記外面と面一であり、
前記第2封止樹脂は、前記外面に接し、かつ前記素子表面を覆っており、
前記厚さ方向に視て、前記第2側面は、前記第1側面よりも前記第2素子が位置する側に離れている、半導体モジュール。
【請求項2】
前記基板は、真性半導体材料からなる、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記複数の第2配線は、前記厚さ方向に対して直交する第1方向の両側に位置する、請求項
1または2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記複数の第2配線は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されている、請求項
3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1方向において互いに離れた一対の再配線をさらに備え、
前記一対の再配線の各々は、前記外面と、前記複数の第2配線の各々の前記頂面のいずれかと、に接しており、
前記第2素子は、前記一対の再配線に接合されている、請求項
3または4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記基板は、前記主面および前記裏面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向において前記第1側面と同じ側を向く端面を有し、
前記端面は、前記第1側面と面一である、請求項
1ないし5のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記複数の第1埋込部の各々は、前記厚さ方向において前記裏面と同じ側を向く第1底面を有し、
前記複数の第2埋込部の各々は、前記厚さ方向において前記裏面と同じ側を向く第2底面を有し、
前記第1底面および前記第2底面の各々は、前記裏面と面一である、請求項
1ないし6のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記裏面を覆う保護膜をさらに備える、請求項
7に記載の半導体モジュール。
【請求項9】
複数の端子をさらに備え、
前記複数の端子の各々は、前記第1底面および前記第2底面のいずれかに接している、請求項
7または8に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
前記複数の端子の各々は、前記第1底面および前記第2底面のいずれかに接する基部と、前記基部から前記厚さ方向に突出するバンプ部と、を有し、
前記基部は、金を含み、
前記バンプ部は、錫を含む、請求項9に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素子が搭載された半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子および受動素子(特許文献1ではチップ部品)が搭載された半導体モジュールの一例が開示されている。これらの素子は、リードフレームから形成された導電パターンの上に搭載されている。厚さ方向に沿って視て、受動素子は、半導体素子よりも外方に位置する。半導体素子は、厚さ方向に沿って視て受動素子よりもさらに外方に位置する複数の導電パターンに、複数のワイヤを介して導通している。
【0003】
このため、特許文献1に開示されている半導体モジュールは、厚さ方向に沿って視た寸法が拡大するため、装置の大型化を招く。したがって、当該半導体モジュールの大型化を抑制する対策が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情に鑑み、複数の素子が搭載された場合であっても、モジュールの大型化を抑制することが可能な半導体モジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有する基板と、前記基板に埋め込まれ、かつ前記主面および前記裏面の双方から露出する第1埋込部、および前記主面に接し、かつ前記第1埋込部につながる搭載部を有する複数の第1配線と、前記主面に対向する素子裏面、および前記素子裏面に設けられた複数の電極を有し、前記複数の電極が前記複数の搭載部に接合された半導体素子と、前記基板に埋め込まれ、かつ前記主面および前記裏面の双方から露出する第2埋込部、および前記第2埋込部から前記厚さ方向において前記主面が向く側に突出する柱状部を有するとともに、前記厚さ方向に沿って視て前記半導体素子よりも外方に位置する複数の第2配線と、前記半導体素子よりも前記厚さ方向において前記主面が向く側に位置し、かつ前記複数の第2配線に導通する受動素子と、を備え、前記厚さ方向に沿って視て、前記受動素子の一部が前記半導体素子に重なり、前記受動素子は、前記複数の柱状部に支持されていることを特徴とする半導体モジュールが提供される。
【0007】
本発明の実施において好ましくは、前記受動素子は、インダクタである。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記基板は、真性半導体材料からなる。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第2配線は、前記半導体素子の前記厚さ方向に対して直交する第1方向の両側に位置する。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第2配線は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に対して直交する第2方向に沿って配列されている。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く外面を有し、かつ前記基板、前記複数の第1配線、前記半導体素子、および前記複数の第2配線のそれぞれ一部を覆う第1封止樹脂をさらに備え、前記複数の柱状部の各々は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く頂面を有し、前記複数の頂面は、前記外面と面一である。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記第1方向において互いに離間し、かつ前記外面および前記複数の頂面に接する一対の再配線をさらに備え、前記受動素子は、前記一対の再配線に接合されている。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記半導体素子は、前記素子裏面とは反対側を向く素子表面を有し、前記素子表面は、前記外面と面一である。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記受動素子を覆う第2封止樹脂をさらに備え、前記第2封止樹脂は、前記外面に接している。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記第2封止樹脂の一部が前記半導体素子と前記受動素子との間に介在している。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記基板は、前記主面および前記裏面の双方につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向を向く複数の端面を有し、前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の端面は、前記第2封止樹脂よりも外方に位置する。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記第1封止樹脂は、前記外面につながり、かつ前記厚さ方向に対して直交する方向を向く複数の側面を有し、前記側面は、前記端面と面一である。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1埋込部の各々は、前記厚さ方向において前記裏面と同じ側を向く第1底面を有し、前記複数の第2埋込部の各々は、前記厚さ方向において前記裏面と同じ側を向く第2底面を有し、前記複数の第1底面、および前記複数の第2底面は、前記裏面と面一である。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記裏面を覆う保護膜をさらに備える。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1底面、および前記複数の第2底面に個別に接する複数の端子をさらに備える。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の端子の各々は、前記第1底面および前記第2底面のいずれかに接する基部と、前記基部から前記厚さ方向において前記裏面が向く側に突出するバンプ部と、を有し、前記基部は、金を含み、前記バンプ部は、錫を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる半導体モジュールが具備する構成によれば、複数の素子が搭載された場合であっても、モジュールの大型化を抑制することが可能となる。
【0023】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体モジュールの平面図(第2封止樹脂を透過)である。
【
図2】
図1に対して、一対の第2接合層、および受動素子を透過した平面図である。
【
図3】
図2に対して、半導体素子、第1封止樹脂および一対の再配線を透過した平面図である。
【
図4】
図1に示す半導体モジュールの底面図である。
【
図5】
図1に示す半導体モジュールの正面図である。
【
図6】
図1に示す半導体モジュールの右側面図である。
【
図7】
図2のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】
図2のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図11】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図12】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図13】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図14】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図17】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図18】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図19】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図20】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図21】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図23】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図24】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図25】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図26】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図27】
図1に示す半導体モジュールの製造工程を説明する断面図である。
【
図28】本発明の第2実施形態にかかる半導体モジュールの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1~
図10に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体モジュールA10について説明する。半導体モジュールA10は、基板11、複数の第1配線12、複数の第2配線13および受動素子41を備える。これらに加え、半導体モジュールA10は、複数の第1接合層14、保護膜15、複数の端子16、第1封止樹脂31、一対の再配線32、一対の第2接合層33および第2封止樹脂42をさらに備える。これらの図が示す半導体モジュールA10は、様々な電子機器の配線基板に表面実装される樹脂パッケージ形式によるものである。半導体モジュールA10が示す例においては、半導体モジュールA10は、抵抗器およびコンデンサとともにDC/DCコンバータの回路を構成する。ここで、
図1は、理解の便宜上、第2封止樹脂42を透過し、かつ透過した第2封止樹脂42を想像線(二点鎖線)で示している。
図2は、理解の便宜上、
図1に対して一対の第2接合層33、および受動素子41を透過している。
図3は、理解の便宜上、半導体素子20、第1封止樹脂31および一対の再配線32を透過し、かつ透過した半導体素子20を想像線で示している。
【0027】
半導体モジュールA10の説明においては、基板11の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。
図1に示すように、半導体モジュールA10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。第1方向xは、半導体モジュールA10の長手方向に対応する。第2方向yは、半導体モジュールA10の短手方向に対応する。
【0028】
基板11は、
図7および
図8に示すように、複数の第1配線12、複数の第2配線13および保護膜15を搭載している。半導体素子20は、複数の第1配線12および複数の第1接合層14を介して基板11に支持されている。基板11は、真性半導体材料からなる。半導体モジュールA10が示す例においては、当該真性半導体材料は、Si(シリコン)である。基板11は、主面11A、裏面11Bおよび複数の端面11Cを有する。主面11Aおよび裏面11Bは、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。このうち、主面11Aは、半導体素子20に対向している。複数の端面11Cの各々は、主面11Aおよび裏面11Bの双方につながり、かつ第1方向xおよび第2方向yのいずれかを向く。複数の端面11Cは、第1封止樹脂31から露出している。
【0029】
複数の第1配線12は、
図3、
図7および
図8に示すように、基板11に配置されている。複数の第1配線12は、半導体素子20に電力供給をするため、かつ信号を入出力するための導電経路を構成している。複数の第1配線12の各々は、第1埋込部121および搭載部122を有する。第1埋込部121は、基板11に埋め込まれている。第1埋込部121は、基板11の主面11Aおよび裏面11Bの双方から露出している。
図10に示すように、第1埋込部121は、第1底面121Aを有する。第1底面121Aは、厚さ方向zにおいて裏面11Bと同じ側を向き、かつ裏面11Bから露出している。搭載部122は、主面11Aに接している。搭載部122は、第1埋込部121につながっている。
【0030】
図10に示すように、複数の第1配線12の各々は、下地層12Aおよびめっき層12Bにより構成されている。下地層12Aは、バリア層と、当該バリア層に積層されたシード層からなる金属薄膜である。当該バリア層は、たとえばチタン(Ti)からなる。当該シード層は、たとえば銅(Cu)からなる。めっき層12Bは、たとえば銅からなる。第1配線12の第1埋込部121においては、下地層12Aは、厚さ方向zに沿って視て第1埋込部121の周縁に形成され、かつ基板11に接している。めっき層12Bは、下地層12Aに囲まれている。第1配線12の搭載部122においては、下地層12Aは、基板11の主面11Aに接している。めっき層12Bは、下地層12Aに積層されている。
【0031】
複数の第2配線13は、
図3、
図7および
図8に示すように、基板11に配置されている。複数の第2配線13は、受動素子41に電力を供給するための導電経路を構成している。
図2および
図3に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の第2配線13は、半導体素子20よりも外方に位置する。複数の第2配線13は、半導体素子20の第1方向xの両側に位置する。半導体モジュールA10が示す例においては、複数の第2配線13は、第1方向xの一方側に4つ、かつ第1方向xの他方側に4つ位置する。複数の第2配線13は、第2方向yに沿って配列されている。複数の第2配線13の各々は、第2埋込部131および柱状部132を有する。第2埋込部131は、基板11に埋め込まれている。第2埋込部131は、基板11の主面11Aおよび裏面11Bの双方から露出している。
図9に示すように、第2埋込部131は、第2底面131Aを有する。第2底面131Aは、厚さ方向zにおいて裏面11Bと同じ側を向き、かつ裏面11Bから露出している。柱状部132は、第2埋込部131から厚さ方向zにおいて主面11Aが向く側に突出している。柱状部132は、頂面132Aを有する。頂面132Aは、第1封止樹脂31から露出している。
【0032】
図9に示すように、複数の第2配線13の各々は、下地層13Aおよびめっき層13Bにより構成されている。下地層13Aは、バリア層と、当該バリア層に積層されたシード層からなる金属薄膜である。当該バリア層は、たとえばチタンからなる。当該シード層は、たとえば銅からなる。めっき層13Bは、たとえば銅からなる。第2配線13の第2埋込部131においては、下地層13Aは、厚さ方向zに沿って視て第2埋込部131の周縁に形成され、かつ基板11に接している。めっき層13Bは、下地層13Aに囲まれている。第2配線13の柱状部132においては、下地層13Aは、厚さ方向zに沿って視て第2埋込部131につながる柱状部132の端部の周縁に形成されている。めっき層13Bは、下地層13Aに囲まれた領域と、当該領域よりも上方に位置する領域とに形成されている。
【0033】
複数の第1接合層14は、
図7、
図8および
図10に示すように、複数の第1配線12の搭載部122に配置されている。第1接合層14は、たとえば錫(Sn)および銀(Ag)を含む合金である。複数の第1接合層14により、半導体素子20の複数の電極21(説明は後述)は、複数の搭載部122に接合されている。これにより、半導体素子20は、複数の第1配線12に導通している。
【0034】
保護膜15は、
図4、
図7および
図8に示すように、基板11の裏面11Bを覆っている。保護膜15は、電気絶縁性を有する。保護膜15は、たとえばポリイミドを含む絶縁材料からなる。
図9および
図10に示すように、保護膜15は、複数の開口151を有する。複数の開口151は、保護膜15を厚さ方向zに貫通している。
図4に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の開口151は、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121A、および複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aに重なっている。
【0035】
複数の端子16は、
図4、
図9および
図10に示すように、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121A、および複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aに個別に接している。複数の端子16は、半導体モジュールA10を配線基板に実装するために利用される。半導体モジュールA10においては、複数の端子16は、保護膜15の複数の開口151に収容されている。また、半導体モジュールA10においては、端子16は、金属層からなる。半導体モジュールA10が示す例においては、端子16は、第1底面121Aおよび第2底面131Aのいずれかに接するニッケル(Ni)層と、当該ニッケル層に積層されたパラジウム(Pd)層と、当該パラジウム層に積層された金(Au)層とからなる。なお、端子16は、当該パラジウム層を設けず、当該ニッケル層に直接、当該金層が積層された構成でもよい。
【0036】
半導体素子20は、
図7および
図8に示すように、複数の第1配線12の搭載部122に接合されている。半導体モジュールA10が示す例においては、半導体素子20には、スイッチング回路と、当該スイッチング回路を駆動させるためのゲートドライバと、当該スイッチング回路に流れる電流や温度を検出する各種検出回路となどが構成されたLSIである。当該スイッチング回路は、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)および還流ダイオードにより構成される。
【0037】
図7、
図8および
図10に示すように、半導体素子20は、素子表面20A、素子裏面20Bおよび複数の電極21を有する。素子表面20Aは、素子裏面20Bとは反対側を向く。素子表面20Aは、第1封止樹脂31から露出している。素子裏面20Bは、基板11の主面11Aに対向している。複数の電極21は、素子裏面20Bに設けられている。複数の電極21は、半導体素子20に構成されたスイッチング回路などに導通している。電極21は、たとえばアルミニウム(Al)を含む導電材料からなる。
【0038】
第1封止樹脂31は、
図7および
図8に示すように、基板11、複数の第1配線12、複数の第2配線13、および半導体素子20のそれぞれ一部を覆っている。第1封止樹脂31は、電気絶縁性を有する。第1封止樹脂31は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。第1封止樹脂31は、外面31A、内面31Bおよび複数の側面31Cを有する。
【0039】
図5~
図8に示すように、外面31Aは、厚さ方向zにおいて基板11の主面11Aと同じ側を向く。外面31Aは、受動素子41に対向している。複数の柱状部132(第2配線13)の頂面132Aと、半導体素子20の素子表面20Aとは、外面31Aと面一である。内面31Bは、外面31Aとは反対側を向く。内面31Bは、主面11Aに接している。複数の側面31Cの各々は、外面31Aおよび内面31Bの双方につながり、かつ第1方向xおよび第2方向yのいずれかを向く。
図1に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数の側面31Cは、第2封止樹脂42よりも外方に位置する。基板11の端面11Cは、側面31Cと面一である。
【0040】
一対の再配線32は、
図2および
図7に示すように、第1封止樹脂31の上に配置されている。一対の再配線32は、複数の第2配線13とともに、受動素子41に電力を供給するための導電経路を構成している。一対の再配線32は、第1方向xにおいて互いに離間している。一対の再配線32は、複数の柱状部132(第2配線13)の頂面132A、および第1封止樹脂31の外面31Aの双方に接している。一対の再配線32は、第2方向yに延びる帯状である。
【0041】
図9に示すように、一対の再配線32の各々は、下地層32Aおよびめっき層32Bにより構成されている。下地層32Aは、複数の頂面132A、および外面31Aの双方に接している。下地層32Aは、バリア層と、当該バリア層に積層されたシード層からなる金属薄膜である。当該バリア層は、たとえばチタンからなる。当該シード層は、たとえば銅からなる。めっき層32Bは、下地層32Aに積層されている。めっき層32Bは、たとえば銅からなる。
【0042】
一対の第2接合層33は、
図7および
図9に示すように、一対の再配線32に配置されている。第2接合層33は、たとえば鉛フリーハンダである。一対の第2接合層33により、受動素子41の一対の電極411(説明は後述)は、一対の再配線32に接合されている。これにより、受動素子41は、一対の再配線32を介して複数の第2配線13の柱状部132に支持され、かつ複数の第2配線13に導通している。
【0043】
受動素子41は、
図7および
図9に示すように、一対の再配線32に接合されている。受動素子41は、半導体素子20よりも厚さ方向zにおいて基板11の主面11Aが向く側に位置する。
図1および
図2に示すように、厚さ方向zに沿って視て、受動素子41の少なくとも一部が半導体素子20に重なっている。半導体モジュールA10においては、受動素子41は、半導体素子20を跨いでいる。受動素子41は、一対の再配線32を介して複数の第2配線13の柱状部132に支持されている。受動素子41は、インダクタである。なお、受動素子41は、インダクタに限定されず、たとえばコンデンサでもよい。受動素子41は、一対の電極411を有する。一対の電極411は、第1方向xにおいて互いに離間している。
【0044】
第2封止樹脂42は、
図7および
図8に示すように、一対の再配線32、および受動素子41を覆っている。第2封止樹脂42は、第1封止樹脂31の外面31Aに接している。第2封止樹脂42の一部は、半導体素子20と受動素子41との間に介在している。半導体モジュールA10においては、当該一部は、半導体素子20の素子表面20A、および受動素子41の双方に接している。第2封止樹脂42は、電気絶縁性を有する。第2封止樹脂42は、たとえばエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。
【0045】
次に、
図11~
図27に基づき、半導体モジュールA10の製造方法の一例について説明する。なお、
図11~
図27の断面位置は、
図7の断面位置と同一である。
【0046】
最初に、
図11に示すように、基材81の厚さ方向zを向く片面にマスク層89を形成する。マスク層89は、厚さ方向zに貫通する複数の開口891を有する。基材81は、シリコンウエハである。マスク層89は、厚さが0.5μm~1.0μmの酸化膜(SiO
2)からなる。まず、熱酸化法により基材81の厚さ方向を向く両面に酸化膜を成膜す
る。次いで、リソグラフィパターニングと、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive
Ion Etching)とにより、成膜された酸化膜を部分的に除去する。この工程で除去された箇所が、複数の開口891となる。最後に、リソグラフィパターニングで用いたレジストを除去する。これにより、複数の開口891を有するマスク層89が形成される。
【0047】
次いで、
図12に示すように、基材81に複数の穴811を形成し、かつマスク層89を全て除去する。複数の穴811は、基材81の厚さ方向zを向く片面から凹んでいる。まず、複数の穴811を深掘りRIE(Reactive Ion Etching)、または水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いたウエットエッチングにより形成する。当該深堀RIEとして、ボッシュプロセス(Bosch process)が挙げられる。最後に、マスク層89を除去する。
マスク層89は、フッ化水素酸(HF)を用いたウエットエッチングにより除去される。
【0048】
次いで、
図13に示すように、基材81の厚さ方向zを向く片面と、複数の穴811に接する基材81の表面とを覆う酸化膜(図示略)を熱酸化法により形成する。当該酸化膜の厚さは、1.0μm~2.0μmである。次いで、当該酸化膜を覆う第1下地層821を形成する。第1下地層821は、スパッタリング法により基材81を覆うバリア層を成膜させた後、スパッタリング法により当該バリア層にシード層を積層させることにより形成される。なお、当該バリア層は、厚さが100nm~300nmのチタンからなる。当該シード層は、厚さが200nm~600nmの銅からなる。
【0049】
次いで、
図14に示すように、基材81の複数の穴811を埋める複数の第1配線層831を形成する。同時に、複数の第1配線層831の一部に対し、これらにつながる複数の第2配線層832を形成する。複数の第1配線層831、および複数の第2配線層832は、第1下地層821を導電経路とした電解めっきにより形成される。なお、複数の第1配線層831は、銅からなる。複数の第2配線層832は、厚さが10μm~30μmの銅からなる。
【0050】
次いで、
図15に示すように、複数の第2配線層832の上に複数の第1接合層14を形成する。複数の第1接合層14は、第1下地層821および複数の第2配線層832を導電経路とした電解めっきにより形成される。
【0051】
次いで、
図16に示すように、複数の第2配線層832がつながっていない複数の第1配線層831に対し、これらにつながる複数の第3配線層833を形成する。複数の第3配線層833は、第1下地層821、および複数の第3配線層833がつながる複数の第1配線層831を導電経路とした電解めっきにより柱状に形成される。なお、第3配線層833は、銅からなる。
【0052】
次いで、
図17に示すように、第1下地層821の一部を除去する。除去対象は、複数の第2配線層832および複数の第3配線層833のいずれにも覆われていない部分である。第1下地層821は、硫酸(H
2SO
4)および過酸化水素(H
2O
2)の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、複数の第2配線層832と、それらに接する複数の第1下地層821とが、複数の第1配線12の搭載部122となる。
【0053】
次いで、
図18に示すように、複数の第1配線12の搭載部122に半導体素子20を接合する。本工程では、フリップチップボンディングにより半導体素子20を搭載する。まず、フリップチップボンダを用いて、半導体素子20の複数の電極21を複数の第1接合層14に仮付けする。次いで、リフローにより複数の第1接合層14を溶融させる。最後に、複数の第1接合層14を冷却により固化させることにより、半導体素子20の接合が完了する。
【0054】
次いで、
図19に示すように、複数の第1配線12の搭載部122、半導体素子20および複数の第3配線層833を覆う封止樹脂84を、基材81の厚さ方向zの片側の上に形成する。封止樹脂84は、コンプレッション成型により形成される。なお、封止樹脂84は、黒色のエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。
【0055】
次いで、
図20に示すように、封止樹脂84の厚さ方向zの片側を機械研削により部分除去する。本工程においては、複数の第3配線層833も部分除去される。本工程を経ることにより、複数の第3配線層833が、複数の第2配線13の柱状部132となる。あわせて、複数の柱状部132の頂面132Aと、半導体素子20の素子表面20Aとが、封止樹脂84から露出する。このとき、半導体素子20厚さは、40μm~100μmとなる。
【0056】
次いで、
図21に示すように、複数の柱状部132(第2配線13)の頂面132Aと、封止樹脂84との双方に接する一対の再配線32を形成する。まず、複数の頂面132A、半導体素子20の素子表面20A、および封止樹脂84を覆う第2下地層822を形成する。第2下地層822の構成および形成方法は、第1下地層821の場合と同一である。次いで、第2下地層822の一部を覆う一対の第4配線層834を形成する。一対の第4配線層834は、第2下地層822を導電経路とした電解めっきにより形成される。なお、第4配線層834は、銅からなる。最後に、第2下地層822の一部を除去する。除去対象は、一対の第4配線層834に覆われていない部分である。除去方法は、
図18に示す工程における第1下地層821の除去方法と同一である。本工程を経て、残存した一対の第2下地層822と、それらを覆う一対の第4配線層834とが、一対の再配線32となる。
【0057】
次いで、
図22に示すように、一対の再配線32に受動素子41を接合する。まず、一対の再配線32の上に、一対の第2接合層33を形成する。一対の第2接合層33は、マスクを用いた印刷により形成される。次いで、受動素子41の一対の電極411を一対の第2接合層33に接触させた上で、一対の第2接合層33をリフローにより溶融させる。最後に、一対の第2接合層33を冷却により固化させることにより、受動素子41の接合が完了する。
【0058】
次いで、
図23に示すように、一対の再配線32、および受動素子41を覆う第2封止樹脂42を形成する。第2封止樹脂42は、トランスファモールド成型により形成される。本工程を経て、半導体素子20の素子表面20Aと、封止樹脂84の表面の一部とが第2封止樹脂42に覆われる。
【0059】
次いで、
図24に示すように、基材81の厚さ方向zの片側を機械研削により部分除去する。本工程においては、複数の第1配線層831と、それらに接する複数の第1下地層821とも部分除去される。本工程を経て、複数の第1配線12の搭載部122につながる複数の第1配線層831と、それらに接する複数の第1下地層821とが、複数の第1配線12の第1埋込部121となる。複数の第2配線13の柱状部132につながる複数の第1配線層831と、それらに接する第1下地層821とが、複数の第2配線13の第2埋込部131となる。あわせて、複数の第1埋込部121の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131の第2底面131Aとが、基材81から露出する。このとき、基材81の厚さは、20μm~100μmとなる。
【0060】
次いで、
図25に示すように、基材81の厚さ方向zの片面を覆う保護膜85を形成する。保護膜85は、厚さ方向zに貫通する複数の開口851を有する。まず、スピンコータを用いて基材81の厚さ方向zの片面に感光性ポリイミドを塗布する。この際、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aとが、当該感光性ポリイミドに覆われる。次いで、リソグラフィパターニングにより、複数の開口851を当該感光性ポリイミドに形成する。この際、複数の第1埋込部121の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131の第2底面131Aとが、複数の開口851から露出する。これにより、保護膜85の形成が完了する。
【0061】
次いで、
図26に示すように、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aとに個別に接する複数の端子16を形成する。複数の端子16は、無電解めっきにより形成される。
【0062】
最後に、
図27に示すように、基材81、封止樹脂84および保護膜85を切断線CLに沿ってダイシングブレードなどで切断することにより、複数の個片に分割する。当該個片は、1つの半導体素子20と、1つの受動素子41とが含まれるようにする。本工程を経て、個片となった基材81、封止樹脂84および保護膜85が、基板11、第1封止樹脂31および保護膜15となる。以上の工程を経ることにより、半導体モジュールA10が製造される。
【0063】
次に、半導体モジュールA10の作用効果について説明する。
【0064】
半導体モジュールA10は、厚さ方向zに沿って視て半導体素子20よりも外方に位置する複数の第2配線13を備える。複数の第2配線13の各々は、柱状部132を有する。柱状部132は、第2埋込部131から厚さ方向zにおいて基板11の主面11Aが向く側に突出している。半導体モジュールA10は、半導体素子20よりも厚さ方向zにおいて主面11Aが向く側に位置し、かつ複数の第2配線13に導通する受動素子41を備える。厚さ方向zに沿って視て、受動素子41の一部が半導体素子20に重なっている。受動素子41は、複数の柱状部132に支持されている。これにより、半導体モジュールA10において、半導体素子20および受動素子41は、厚さ方向zに沿って二段配置されるため、厚さ方向zに沿って視た半導体モジュールA10の寸法の拡大が抑制される。したがって、半導体モジュールA10によれば、半導体素子20および受動素子41が搭載された場合であっても、装置の大型化を抑制することが可能である。
【0065】
半導体素子20は、素子裏面20Bに設けられた複数の電極21を有する。複数の電極21は、複数の第1配線12の搭載部122に接合されている。このため、半導体モジュールA10においては、半導体素子20と複数の第1配線12との導電経路において、複数のワイヤが不要である。このことは、厚さ方向zに沿って視た半導体モジュールA10の寸法の拡大の抑制に効果的である。
【0066】
基板11は、シリコンウエハなどの真性半導体材料からなる。これにより、半導体素子20の製造と同様の手法を用いて、複数の第1配線12の第1埋込部121、および複数の第2配線13の第2埋込部131を形成することができる。このため、リードフレームを用いた場合と比較して、厚さ方向zに沿って視た半導体モジュールA10の寸法を縮小することができる。さらに、ガラスエポキシ基板を用いた場合と比較して、基板11の厚さを小とすることができる。
【0067】
複数の第1配線12の第1埋込部121の各々は、厚さ方向zにおいて基板11の裏面11Bと同じ側を向く第1底面121Aを有する。複数の第2配線13の第2埋込部131の各々は、厚さ方向zにおいて裏面11Bと同じ側を向く第2底面131Aを有する。複数の第1底面121A、および複数の第2底面131Aは、裏面11Bと面一である。これにより、基板11の厚さがさらに小となる。
【0068】
複数の第2配線13は、半導体素子20の第1方向xの両側に位置する。これにより、受動素子41が半導体素子20を跨ぐ構成となり、かつ厚さ方向zに沿って視て半導体素子20に重なる受動素子41の部分が増加するため、厚さ方向zに沿って視た半導体モジュールA10の寸法の拡大を効果的に抑制できる。
【0069】
半導体モジュールA10は、基板11、複数の第1配線12、半導体素子20、および複数の第2配線13のそれぞれ一部を覆う第1封止樹脂31をさらに備える。第1封止樹脂31は、厚さ方向zにおいて基板11の主面11Aと同じ側を向く外面31Aを有する。複数の柱状部132(第2配線13)の頂面132Aと、半導体素子20の素子表面20Aとは、外面31Aと面一である。これにより、複数の柱状部132の高さ(厚さ方向zの寸法)を、半導体素子20に干渉しない範囲内で極力小とできる。したがって、半導体モジュールA10の厚さ方向zの寸法の拡大を抑制できる。
【0070】
半導体モジュールA10は、第1方向xにおいて互いに離間する一対の再配線32をさらに備える。一対の再配線32は、第1封止樹脂31の外面31Aと、複数の柱状部132(第2配線13)の頂面132Aとに接する。受動素子41は、一対の再配線32に接合されている。これにより、受動素子41の一対の電極411の接合面積が増加するため、受動素子41を複数の頂面132Aに直接接合させた場合よりも、接合強度を向上させることができる。
【0071】
半導体モジュールA10は、受動素子41を覆う第2封止樹脂42をさらに備える。第2封止樹脂42の一部は、半導体素子20と受動素子41との間に介在している。受動素子41がインダクタである場合、半導体モジュールA10の使用時において、受動素子41からノイズが発生する。これにより、受動素子41から半導体素子20に伝播するノイズが低減されるため、半導体素子20のスイッチング遅れなどを抑制することができる。
【0072】
基板11は、主面11Aおよび裏面11Bの双方につながり、かつ厚さ方向zに対して直交する方向を向く複数の端面11Cを有する。厚さ方向zに沿って視て、複数の端面11Cは、第2封止樹脂42よりも外方に位置する。これにより、
図28に示す半導体モジュールA10の製造工程において、基材81、封止樹脂84および保護膜85を切断する際、ダイシングブレードなどが第2封止樹脂42に接触することを防止できる。
【0073】
半導体モジュールA10は、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aとに個別に接する複数の端子16を備える。これにより、半導体モジュールA10を配線基板に実装する際、ハンダ接合に起因した熱衝撃から複数の第1埋込部121および複数の第2埋込部131を保護することができる。
【0074】
〔第2実施形態〕
図28~
図32に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体モジュールA20について説明する。これらの図において、先述した半導体モジュールA10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図29の断面位置は、先述した半導体モジュールA10の
図7の断面位置と同一である。
図30の断面位置は、先述した半導体モジュールA10の
図8の断面位置と同一である。
【0075】
半導体モジュールA20においては、複数の端子16の構成が、先述した半導体モジュールA10における構成と異なる。
【0076】
図28、
図31および
図32に示すように、複数の端子16の各々は、基部161およびバンプ部162を有する。基部161は、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aとのいずれかに接する。基部161の構成は、第1底面121Aおよび第2底面131Aのいずれかに接するニッケル層と、当該ニッケル層に積層されたパラジウム層と、当該パラジウム層に積層された金層とからなる。なお、基部161は、当該パラジウム層を設けず、当該ニッケル層に直接、当該金層が積層された構成でもよい。このため、基部161は、金を含む。バンプ部162は、基部161から厚さ方向zにおいて基板11の裏面11Bが向く側に突出している。バンプ部162は、半球体状である。バンプ部162は、錫を含む。
【0077】
次に、半導体モジュールA20の作用効果について説明する。
【0078】
半導体モジュールA20は、半導体モジュールA10と同じく、厚さ方向zに沿って視て半導体素子20よりも外方に位置する複数の第2配線13を備える。複数の第2配線13の各々は、柱状部132を有する。柱状部132は、第2埋込部131から厚さ方向zにおいて基板11の主面11Aが向く側に突出している。半導体モジュールA20は、半導体素子20よりも厚さ方向zにおいて主面11Aが向く側に位置し、かつ複数の第2配線13に導通する受動素子41を備える。厚さ方向zに沿って視て、受動素子41の一部が半導体素子20に重なっている。受動素子41は、複数の柱状部132に支持されている。したがって、半導体モジュールA20によっても、半導体素子20および受動素子41が搭載された場合であっても、装置の大型化を抑制することが可能である。
【0079】
半導体モジュールA20においては、複数の端子16の各々は、基部161およびバンプ部162を有する。基部161は、複数の第1埋込部121(第1配線12)の第1底面121Aと、複数の第2埋込部131(第2配線13)の第2底面131Aとのいずれかに接する。基部161は、金を含む。バンプ部162は、基部161から厚さ方向zにおいて基板11の裏面11Bが向く側に突出している。バンプ部162は、錫を含む。これにより、ハンダを用いずに半導体モジュールA20を配線基板に実装することができる。また、半導体モジュールA20の実装の際、基部161により、バンプ部162に作用する熱衝撃から複数の第1埋込部121および複数の第2埋込部131を保護することができる。
【0080】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0081】
A10,A20:半導体モジュール
11:基板
11A:主面
11B:裏面
11C:端面
12:第1配線
12A:下地層
12B:めっき層
121:第1埋込部
121A:第1底面
122:搭載部
13:第2配線
13A:下地層
13B:めっき層
131:第2埋込部
131A:第2底面
132:柱状部
132A:頂面
14:第1接合層
15:保護膜
151:開口
16:端子
161:基部
162:バンプ部
20:半導体素子
20A:素子表面
20B:素子裏面
21:電極
31:第1封止樹脂
31A:外面
31B:内面
31C:側面
32:再配線
32A:下地層
32B:めっき層
33:第2接合層
41:受動素子
411:電極
42:第2封止樹脂
81:基材
811:穴
821:第1下地層
822:第2下地層
831:第1配線層
832:第2配線層
833:第3配線層
834:第4配線層
84:封止樹脂
85:保護膜
851:開口
89:マスク層
891:開口
CL:切断線
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向