(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】熱処理システム
(51)【国際特許分類】
F27D 3/12 20060101AFI20240605BHJP
F27B 9/38 20060101ALI20240605BHJP
F27B 9/39 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
F27D3/12 E
F27B9/38
F27B9/39
(21)【出願番号】P 2023191519
(22)【出願日】2023-11-09
【審査請求日】2024-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
(72)【発明者】
【氏名】幸浦 彰伸
(72)【発明者】
【氏名】小牧 毅史
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7343243(JP,B1)
【文献】特開平4-136686(JP,A)
【文献】特開平3-175286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 3/12
F27B 9/38
F27B 9/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入口と搬出口を有しており、複数の匣鉢が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される内部空間を有する熱処理炉と、
前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の匣鉢を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンラインと、を備えており、
前記リターンラインは、
第1区間に配置され、前記複数の匣鉢を搬送する第1搬送装置と、
前記第1区間と異なる第2区間に配置され、前記複数の匣鉢をビームまたはバーにより搬送する第2搬送装置と、を備えている、熱処理システム。
【請求項2】
前記第2区間内に配置され、前記第2搬送装置で搬送される前記匣鉢を処理する処理装置をさらに備えており、
前記第2搬送装置は、搬送方向に並ぶ前記複数の匣鉢を載置可能であり、前記搬送方向と、前記搬送方向の反対の後退方向と、前記搬送方向に直交する上方向と、前記上方向と反対の下方向とに移動可能な移動装置と、を備えている、請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項3】
前記処理装置により処理される前記匣鉢が載置される載置台をさらに備えており、
前記移動装置は、前記搬送方向と前記上方向と前記下方向に移動するときに、前記匣鉢を前記載置台上に移動させる、請求項2に記載の熱処理システム。
【請求項4】
前記第1搬送装置は、
前記第2搬送装置よりも前記リターンラインの上流に配置されている上流コンベアと、
前記第2搬送装置よりも前記リターンラインの下流に配置されている下流コンベアと、をさらに備えており、
前記移動装置は、前記搬送方向と前記上方向と前記下方向に移動するときに、前記上流コンベアにより搬送される前記匣鉢を前記載置台上に移動させ、前記載置台上の前記匣鉢を前記下流コンベア上に移動させる、請求項3に記載の熱処理システム。
【請求項5】
前記上流コンベア上の前記匣鉢の姿勢を調整する姿勢調整装置をさらに備えている、請求項4に記載の熱処理システム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記匣鉢を清掃する清掃装置と、前記匣鉢内に被処理物を充填する充填装置と、前記匣鉢内の前記被処理物の表面を均す表面均し装置と、を含む群から選択される、請求項2から5のいずれか一項に記載の熱処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、熱処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱処理システムが開示されている。熱処理システムは、複数の匣鉢が搬入口から搬出口に向けて搬送される内部空間を有する熱処理炉と、熱処理炉の外部に配置されており、複数の匣鉢を搬出口から搬入口まで送るリターンラインと、を備えている。リターンラインは、ローラコンベアとチェーンコンベアを用いて複数の匣鉢を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の熱処理システムでは、複数の匣鉢は、搬送方向に密着された状態でローラコンベア上やチェーンコンベア上に載置され、搬送方向に搬送される。この構成では、匣鉢の姿勢は、搬送時に変化することがある。また、リターンラインにおいては、空になった匣鉢に熱処理前の被処理物を供給する等の種々の作業を行う必要がある。このとき、複数の匣鉢を搬送方向に離すともに、匣鉢の姿勢を所定の方向に調整する必要がある。複数の匣鉢を搬送方向に離す作業と匣鉢の姿勢を調整する作業の少なくとも一方が、匣鉢に作業を行う位置や匣鉢に作業を行う直前に行われると、リターンラインにおいて、匣鉢の搬送に時間を要する。
【0005】
本明細書は、匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する技術の第1の態様では、熱処理システムは、搬入口と搬出口を有しており、複数の匣鉢が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される内部空間を有する熱処理炉と、前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の匣鉢を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンラインと、を備えている。前記リターンラインは、第1区間に配置され、前記複数の匣鉢を搬送する第1搬送装置と、前記第1区間と異なる第2区間に配置され、前記複数の匣鉢をビームまたはバーにより搬送する第2搬送装置と、を備えている。
【0007】
上記の構成によれば、第2搬送装置では複数の匣鉢がビームまたはバーにより搬送されるため、複数の匣鉢を搬送する間に、匣鉢の姿勢が変化することが抑制される。このため、リターンライン内の所定の位置(例えば第2区間)において、匣鉢の姿勢を調整する必要をなくすことができる。また、第2搬送装置では複数の匣鉢がビームまたはバーにより搬送されるため、匣鉢間の距離を維持することができる。これにより、匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施例の熱処理システムの概略図である。
【
図7】第1実施例の熱処理システムにおいて、匣鉢が載置台上に配置されており、匣鉢が第2上流ローラコンベア上に配置されているときの上面図である。
【
図8】第1実施例の熱処理システムにおいて、匣鉢が載置台上に配置されており、匣鉢が第1上流ローラコンベア上に配置されているときの側面図である。
【
図9】第1実施例の熱処理システムにおいて、ストッパが第2位置に配置されているときの側面図である。
【
図10】第1実施例の熱処理システムにおいて、匣鉢が載置台上に配置されており、匣鉢が第1上流ローラコンベア上に配置されているときの上面図である。
【
図11】第1実施例の熱処理システムにおいて、移動装置が搬送方向に移動する前であって、匣鉢が移動装置に載置されているときの側面図である。
【
図12】第1実施例の熱処理システムにおいて、移動装置が搬送方向に移動した後であって、匣鉢が移動装置に載置されているときの側面図である。
【
図13】第1実施例の熱処理システムにおいて、匣鉢が第1下流ローラコンベア上に配置されており、匣鉢が載置台上に配置されているときの側面図である。
【
図14】第2実施例の熱処理システムの概略図である。
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する技術の第2の態様では、上記の第1の態様において、熱処理システムは、前記第2区間内に配置され、前記第2搬送装置で搬送される前記匣鉢を処理する処理装置をさらに備えている。前記第2搬送装置は、搬送方向に並ぶ前記複数の匣鉢を載置可能であり、前記搬送方向と、前記搬送方向の反対の後退方向と、前記搬送方向に直交する上方向と、前記上方向と反対の下方向とに移動可能な移動装置と、を備えている。上記の構成によれば、処理装置により匣鉢を処理するときに、匣鉢の姿勢を調整する必要をなくすことができる。これにより、匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる。
【0011】
本明細書に開示する技術の第3の態様では、上記の第2の態様において、熱処理システムは、前記処理装置により処理される前記匣鉢が載置される載置台をさらに備えている。前記移動装置は、前記搬送方向と前記上方向と前記下方向に移動するときに、前記匣鉢を前記載置台上に移動させる。上記の構成によれば、載置台上の匣鉢を処理する前に、匣鉢の姿勢を調整する必要をなくすことができる。これにより、匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる。
【0012】
本明細書に開示する技術の第4の態様では、上記の第3の態様において、前記第1搬送装置は、前記第2搬送装置よりも前記リターンラインの上流に配置されている上流コンベアと、前記第2搬送装置よりも前記リターンラインの下流に配置されている下流コンベアと、をさらに備えている。前記移動装置は、前記搬送方向と前記上方向と前記下方向に移動するときに、前記上流コンベアにより搬送される前記匣鉢を前記載置台上に移動させ、前記載置台上の前記匣鉢を前記下流コンベア上に移動させる。上記の構成によれば、第1コンベア上の匣鉢が第1コンベアから載置台に移動すると同時に、載置台上の匣鉢が載置台から第2コンベアに移動する。これにより、匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる。
【0013】
本明細書に開示する技術の第5の態様では、上記の第4の態様において、熱処理システムは、前記上流コンベア上の前記匣鉢の姿勢を調整する姿勢調整装置をさらに備えている。上記の構成によれば、姿勢が調整された匣鉢を第1コンベアから載置台に移動させることができる。
【0014】
本明細書に開示する技術の第6の態様では、上記の第2から第5の態様のいずれか1つにおいて、前記処理装置は、前記匣鉢を清掃する清掃装置と、前記匣鉢内に被処理物を充填する充填装置と、前記匣鉢内の前記被処理物の表面を均す表面均し装置と、を含む群から選択される。通常、清掃装置と充填装置と表面均し装置により匣鉢を処理するとき、匣鉢毎の処理のバラツキを抑制するために、匣鉢の姿勢を調整する必要がある。上記の構成によれば、処理装置として清掃装置と充填装置と表面均し装置が選択されるときでも、匣鉢の姿勢を調整する必要がないとともに、匣鉢間の距離を維持することができる。これにより、匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる。
【0015】
(第1実施例)
図1に示すように、熱処理システム2は、熱処理炉10と、リターンライン12と、を備えている。
【0016】
熱処理炉10は、匣鉢4内に充填される被処理物6(
図4参照)を焼成する、即ち熱処理する。被処理物6は、例えば、セラミックコンデンサの原料や、リチウムイオン電池の正極材と負極材である。
【0017】
熱処理炉10は、略直方体形状の断熱構造体である。熱処理炉10は、内部に内部空間14を有する。また、熱処理炉10は、熱処理炉10の一端に配置される搬入口16と、熱処理炉10の他端に配置される搬出口18と、を有する。内部空間14は、搬入口16と搬出口18のそれぞれを介して、熱処理炉10の外部と連通している。複数の匣鉢4は、積み重ねられた状態で、ローラ20により内部空間14を搬送方向D1に搬送される。これにより、複数の匣鉢4は、搬入口16から搬出口18に向かって搬送される。
【0018】
リターンライン12は、熱処理炉10の外部に配置されている。リターンライン12は、複数の匣鉢4を、搬送方向D1に搬送することにより、搬出口18から搬入口16に送る。
【0019】
リターンライン12は、複数の(本実施例では4個の)第1区間22と、複数の(本実施例では3個の)第2区間24と、を備えている。第1区間22と第2区間24は、交互に並んでいる。熱処理炉10の搬入口16と搬出口18のそれぞれは、第1区間22に接続されている。
【0020】
リターンライン12は、第1搬送装置28と、第2搬送装置30と、を備えている。第1搬送装置28は、第1区間22に配置されている。第1搬送装置28は、両端が回転可能に支持されている複数のローラ31を備えている。複数のローラ31が回転することにより、複数の匣鉢4は、複数のローラ31上を搬送方向D1にローラ搬送される。第2搬送装置30は、移動装置32を備えている。例えば、複数の匣鉢4は、移動装置32により搬送方向D1にウォーキングビーム搬送される。移動装置32の構成と匣鉢4の搬送方法については、後で詳しく説明する。
【0021】
熱処理システム2は、段バラシ装置34と、冷却装置36と、解砕装置38と、回収装置40と、積み重ね装置42と、を備えている。段バラシ装置34と、冷却装置36と、解砕装置38と、回収装置40と、積み重ね装置42は、第1区間22に配置されている。段バラシ装置34と、冷却装置36と、解砕装置38と、回収装置40と、積み重ね装置42は、リターンライン12の上流から下流に向かって順番に並んでいる。段バラシ装置34と、冷却装置36と、解砕装置38と、回収装置40は、最も上流側に位置する第2区間24よりも上流側に配置されている。積み重ね装置42は、最も下流側に位置する第2区間24よりも下流側に配置されている。
【0022】
段バラシ装置34は、複数の匣鉢4が搬出口18から搬出された後、上下方向に積み重ねられた複数の匣鉢4を、複数の匣鉢4が積み重ねられていない状態にばらす。これにより、匣鉢4は、搬送方向D1に一列に並んで搬送される。上下方向は、搬送方向D1に対して略直交している。
【0023】
冷却装置36は、その内部を匣鉢4が通過可能に構成されている。冷却装置36は、冷却パイプ(図示省略)内を流れる冷媒(例えば、空気または水等)により、匣鉢4と匣鉢4内に充填される被処理物6を冷却する。
【0024】
図2に示すように、解砕装置38は、ピン38aを備えている。ピン38aは、匣鉢4内に充填されている被処理物6に刺される。これにより、被処理物6が砕かれる。
【0025】
図3に示すように、回収装置40は、反転部44と、回収容器部46と、を備えている。反転部44は、匣鉢4を把持する。反転部44は、回動軸AX0周りを回動することにより、匣鉢4を上下に反転させる。匣鉢4の開口4aが下側を向くことにより、被処理物6が匣鉢4から排出されて回収容器部46に回収される。
【0026】
図1に示すように、積み重ね装置42は、複数の匣鉢4を上下方向に積み重ねる。その後、積み重ねられた匣鉢4は、搬入口16に搬送される。
【0027】
熱処理システム2は、清掃装置50と、充填装置52と、表面均し装置54と、をさらに備えている。清掃装置50と、充填装置52と、表面均し装置54は、第2区間24に配置されている。清掃装置50と、充填装置52と、表面均し装置54は、リターンライン12の上流から下流に向かって順番に並んでいる。清掃装置50と、充填装置52と、表面均し装置54は、回収装置40と積み重ね装置42との間に配置されている。充填装置52は、3個の第2区間24のうちの最も上流側に位置する第2区間24に配置されている。充填装置52は、3個の第2区間24のうちの中央に位置する第2区間24に配置されている。表面均し装置54は、3個の第2区間24のうちの最も下流側に位置する第2区間24に配置されている。清掃装置50と充填装置52との間および充填装置52と表面均し装置54との間のそれぞれには、第1区間22が配置されている。以下では、清掃装置50と充填装置52と表面均し装置54をまとめて処理装置56と呼ぶことがある。
【0028】
図4に示すように、清掃装置50は、反転部60と、清掃部62と、を備えている。反転部60は、匣鉢4を把持する。反転部60は、回動軸AX1周りを回動することにより、匣鉢4を上下に反転させる。
【0029】
清掃部62は、反転部60により反転された匣鉢4と上下方向に対向する位置に配置されている。清掃部62は、匣鉢4の開口4aに向けて上側に気体を吐出する。これにより、匣鉢4の内部に残存する被処理物6が匣鉢4から除去される。
【0030】
図5に示すように、充填装置52は、収容部66と、供給部68と、を備えている。収容部66は、匣鉢4に充填される焼成前の被処理物6を収容する。
【0031】
供給部68は、収容部66の排出口66aに接続されている。供給部68は、匣鉢4の開口4aから匣鉢4の内部に被処理物6を所定量だけ供給する。これにより、焼成前の被処理物6が匣鉢4内に充填される。
【0032】
図6に示すように、表面均し装置54は、回転軸72と、羽根部74と、を備えている。回転軸72は、軸AX2周りを回転する。
【0033】
羽根部74は、回転軸72に接続されている。羽根部74は、回転軸72とともに軸AX2周りを回転する。これにより、匣鉢4内に充填される被処理物6の表面が羽根部74により均される。
【0034】
図7および
図8に示すように、移動装置32は、複数の第2区間24のそれぞれに配置されている。移動装置32は、互いに隣り合う2個の第1区間22の間に配置されている。移動装置32は、2個のビーム32a(またはバー32a)を備えている。ビーム32aは、搬送方向D1に細長い形状を有する。搬送方向D1におけるビーム32aの長さは、搬送方向D1における匣鉢4の長さの2.5倍以上である。これにより、複数の匣鉢4が移動装置32(すなわち、ビーム32a)上に載置可能である。搬送方向D1におけるビーム32aの長さは、搬送方向D1における匣鉢4の長さの3倍以上であってもよい。また、搬送方向D1におけるビーム32aの長さは、搬送方向D1における匣鉢4の長さの4倍以下であってもよい。ビーム32aは、図示省略の駆動装置の動作により、搬送方向D1と、搬送方向D1の反対の後退方向D2と、搬送方向D1に略直交する上方向D3と、上方向D3と反対の下方向D4に移動可能である。
【0035】
第1搬送装置28は、上流ローラコンベア80と、下流ローラコンベア82と、を備えている。上流ローラコンベア80と下流ローラコンベア82のそれぞれは、複数のローラ31からなる。上流ローラコンベア80は、移動装置32よりもリターンライン12の上流に配置されている。下流ローラコンベア82は、移動装置32よりもリターンライン12の下流に配置されている。
【0036】
上流ローラコンベア80は、第1上流ローラコンベア84と、第2上流ローラコンベア86と、を備えている。第1上流ローラコンベア84は、第2上流ローラコンベア86よりもリターンライン12の下流に配置されている。第1上流ローラコンベア84は、移動装置32と第2上流ローラコンベア86との間に配置されている。第1上流ローラコンベア84の幅は、2個のビーム32aの間隔(2個のバー32aの間隔)よりも小さい。
【0037】
下流ローラコンベア82は、第1下流ローラコンベア88と、第2下流ローラコンベア90と、を備えている。第1下流ローラコンベア88は、第2下流ローラコンベア90よりもリターンライン12の上流に配置されている。第1下流ローラコンベア88は、移動装置32と第2下流ローラコンベア90との間に配置されている。第1下流ローラコンベア88は、2個のビーム32aの間隔(2個のバー32aの間隔)よりも小さい。
【0038】
熱処理システム2は、ストッパ94と、姿勢調整装置96と、載置台98と、をさらに備えている。ストッパ94は、第1上流ローラコンベア84よりもリターンライン12の下流に配置されている。ストッパ94は、第1位置(
図8参照)と第2位置(
図9参照)との間で切り替わる。
図8に示すように、ストッパ94は、第1位置にあるとき、第1上流ローラコンベア84上の匣鉢4と当接する。これにより、匣鉢4が第1上流ローラコンベア84上で停止する。このため、匣鉢4が第1上流ローラコンベア84から脱落することが抑制される。
図9に示すように、第2位置は、第1位置(
図6参照)よりも下側に配置されている。ストッパ94は、第2位置にあるとき、第1上流ローラコンベア84上の匣鉢4と当接しない。
【0039】
図10に示すように、姿勢調整装置96は、第1区間22に配置されている。姿勢調整装置96は、第1プッシャ96aと、第2プッシャ96bと、を備えている。第1上流ローラコンベア84は、第1プッシャ96aと第2プッシャ96bとの間に挟まれている。第1プッシャ96aと第2プッシャ96bが互いに近づく方向に動くことにより、第1上流ローラコンベア84上の匣鉢4は、第1プッシャ96aと第2プッシャ96bの間に挟まれる。これにより、第1上流ローラコンベア84上の匣鉢4の姿勢が調整される。
【0040】
載置台98は、第2区間24に配置されている。載置台98は、処理装置56の近傍に配置されている。ストッパ94は、載置台98と第1上流ローラコンベア84との間に配置されている。載置台98には、1個の匣鉢4が載置可能である。匣鉢4は、載置台98上で処理装置56により処理される。具体的には、
図4から
図6に示すように、載置台98(
図10参照)上の匣鉢4が清掃装置50により清掃され、被処理物6が充填装置52により載置台98上の匣鉢4内に充填され、または、匣鉢4内の被処理物6の表面が載置台98上で表面均し装置54により均される。
【0041】
図7から
図13を参照して、複数の匣鉢4を移動装置32により上流ローラコンベア80から下流ローラコンベア82に移動させる流れを説明する。1個の匣鉢4が載置台98上に載置されており、他の匣鉢4が上流ローラコンベア80上を移動している時点から説明する。この時点では、ストッパ94は、第1位置に配置されている。以下では、一方の匣鉢4を匣鉢4Aと呼び、他方の匣鉢4を匣鉢4Bと呼ぶ。
【0042】
図7に示すように、載置台98上の匣鉢4Aは、処理装置56により処理されている。匣鉢4Aが処理されている間、匣鉢4Bは、ローラ31が回転することにより、上流ローラコンベア80上を第2上流ローラコンベア86、第1上流ローラコンベア84の順に移動する。その後、
図8に示すように、匣鉢4Bは、第1位置に配置されているストッパ94に当接する。
【0043】
次に、
図10に示すように、ローラ31の回転が停止した後、第1プッシャ96aと第2プッシャ96bが互いに近づく方向に動く。これにより、第1上流ローラコンベア84上の匣鉢4Bの姿勢が調整される。載置台98上の匣鉢4Aが処理装置56により処理されている間に第1上流ローラコンベア84上の匣鉢4Bの姿勢が調整されるため、匣鉢4の搬送に要する時間が短くなる。
【0044】
次に、
図9に示すように、処理装置56による匣鉢4Aの処理が完了した後、ストッパ94は、第1位置から第2位置に移動する。
【0045】
次に、
図11に示すように、移動装置32(すなわち、ビーム32a)が初期位置から上方向D3に移動する。ビーム32aが載置台98の上端と第1上流ローラコンベア84の上端よりも上側に移動することにより、匣鉢4Aが載置台98から離れてビーム32a上に載置されるとともに、匣鉢4Bが第1上流ローラコンベア84から離れてビーム32a上に載置される。
【0046】
次に、
図12に示すように、ビーム32aが搬送方向D1に移動する。このとき、ビーム32aの前部が第1下流ローラコンベア88の直上に配置され、ビーム32aの後部が載置台98の直上に配置される。ビーム32aの搬送方向D1の移動により、匣鉢4Aと匣鉢4Bは、搬送方向D1における匣鉢4Aと匣鉢4Bとの間の距離が所定値に維持された状態で(即ち、匣鉢4Aと匣鉢4Bが離れた状態で)搬送方向D1に同時に移動する。また、匣鉢4Bは、匣鉢4Bの後方の匣鉢4(即ち、上流ローラコンベア80上の匣鉢4)から離れる。匣鉢4Aを載置台98から移動させると同時に、匣鉢4Bを後方の匣鉢4から離すことができるため、匣鉢4Aと匣鉢4Bが別々に搬送される構成と比較して、匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送に要する時間が短くなる。また、搬送中に匣鉢4Aの姿勢と匣鉢4Bの姿勢が変化することが抑制される。さらに、搬送中に匣鉢4Aと匣鉢4Bとの間の距離が変化することが抑制される。また、ビーム32aによる匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送速度は、ローラ31による匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送速度よりも速い。
【0047】
次に、
図11に示すように、ビーム32aが下方向D4に移動する。ビーム32aが第1下流ローラコンベア88の上端と載置台98の上端よりも下側に移動することにより、匣鉢4Aがビーム32aから離れて第1下流ローラコンベア88上に載置されるとともに、匣鉢4Bがビーム32aから離れて載置台98上に載置される。その後、第1下流ローラコンベア88上の匣鉢4Aは、ローラ31の回転により、第1下流ローラコンベア88、第2下流ローラコンベア90の順に移動する。また、匣鉢4Bの姿勢がビーム32aに搬送されている間に変化しないため、匣鉢4Bは、載置台98上で姿勢が調整されることなく、処理装置56(
図5参照)により処理される。
【0048】
次に、
図5に示すように、ビーム32aが後退方向D2に移動する。これにより、ビーム32aが初期位置に復帰する。ビーム32aが上方向D3と搬送方向D1と下方向D4と後退方向D2に順番に移動することにより、匣鉢4が連続して搬送される。
【0049】
(効果)
上記の実施例では、匣鉢4Aと匣鉢4Bは、移動装置32の2個のビーム32a(2個のバー32a)により搬送方向D1に搬送される。この構成では、匣鉢4Aの姿勢と匣鉢4Bの姿勢は、搬送される間に変化しない。このため、匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送後に、匣鉢4Aの姿勢と匣鉢4Bの姿勢を調整する必要がない。また、匣鉢4Aと匣鉢4Bが2個のビーム32a(2個のバー32a)により搬送されるため、匣鉢4Aと匣鉢4Bとの間の距離が維持される。さらに、ビーム32aによる匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送速度は、ローラ31による匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送速度よりも速い。これにより、匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送に要する時間を短くすることができる。
【0050】
(第2実施例)
図13を参照して、第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみを説明する。
図13に示すように、解砕装置38と回収装置40は、第2区間24に配置されている。解砕装置38が配置される第2区間24と回収装置40が配置される第2区間24との間には、第1区間22が配置されている。解砕装置38により処理される匣鉢4と、回収装置40により処理される匣鉢4は、移動装置32(ビーム32aまたはバー32a)により搬送される。匣鉢4は、移動装置32により、上流ローラコンベア80(
図7参照)から載置台98(
図7参照)に搬送され、解砕装置38と回収装置40により処理された後に、載置台98から下流ローラコンベア82に搬送される。このため、匣鉢4の姿勢を載置台98上で調整する必要がない。また、匣鉢4Bは、匣鉢4Bの後方の匣鉢4(即ち、上流ローラコンベア80上の匣鉢4)から離れる。匣鉢4Aを載置台98から移動させると同時に、匣鉢4Bを後方の匣鉢4から離すことができるため、匣鉢4Aと匣鉢4Bの搬送に要する時間が短くなる。
【0051】
(変形例)
一実施形態では、第1搬送装置28は、複数の匣鉢4をチェーンにより搬送してもよい。
【0052】
一実施形態では、移動装置32は、3個以上の匣鉢4を同時に搬送してもよい。
【0053】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0054】
2 :熱処理システム
4 :匣鉢
4A :匣鉢
4B :匣鉢
4a :開口
6 :被処理物
10 :熱処理炉
12 :リターンライン
14 :内部空間
16 :搬入口
18 :搬出口
20 :ローラ
22 :第1区間
24 :第2区間
28 :第1搬送装置
30 :第2搬送装置
31 :ローラ
32 :移動装置
32a :ビーム、バー
34 :段バラシ装置
36 :冷却装置
38 :解砕装置
40 :回収装置
42 :積み重ね装置
50 :清掃装置
52 :充填装置
54 :表面均し装置
56 :処理装置
60 :反転部
62 :清掃部
66 :収容部
66a :排出口
68 :供給部
72 :回転部
74 :羽根部
80 :上流ローラコンベア
82 :下流ローラコンベア
84 :第1上流ローラコンベア
86 :第2上流ローラコンベア
88 :第1下流ローラコンベア
90 :第2下流ローラコンベア
94 :ストッパ
96 :姿勢調整装置
96a :第1プッシャ
96b :第2プッシャ
98 :載置台
AX1 :回動軸
AX2 :回転軸
D1 :搬送方向
D2 :後退方向
D3 :上方向
D4 :下方向
【要約】
【課題】匣鉢の搬送に要する時間を短くすることができる技術を開示する。
【解決手段】熱処理システムは、搬入口と搬出口を有しており、複数の匣鉢が前記搬入口から前記搬出口に向けて搬送される内部空間を有する熱処理炉と、前記熱処理炉の外部に配置されており、前記複数の匣鉢を前記搬出口から前記搬入口まで送るリターンラインと、を備えている。前記リターンラインは、第1区間に配置され、前記複数の匣鉢を搬送する第1搬送装置と、前記第1区間と異なる第2区間に配置され、前記複数の匣鉢をビームまたはバーにより搬送する第2搬送装置と、を備えている。
【選択図】
図7