(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-04
(45)【発行日】2024-06-12
(54)【発明の名称】トレイを用いた、薬瓶およびそれらの閉塞具の滅菌包装
(51)【国際特許分類】
B65D 75/34 20060101AFI20240605BHJP
B01L 9/00 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
B65D75/34
B01L9/00
(21)【出願番号】P 2023539319
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 US2021065324
(87)【国際公開番号】W WO2022146993
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-22
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517229774
【氏名又は名称】ウエスト ファーマスーティカル サービシーズ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】323014775
【氏名又は名称】ケロッグ・アンドリュー
(73)【特許権者】
【識別番号】323014786
【氏名又は名称】リン・ロバート
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】ケロッグ・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】リン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】オッテ・オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ビエン・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】スクラン・サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー・マシュー・ディラン
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-528344(JP,A)
【文献】特開2020-081872(JP,A)
【文献】特表2010-538924(JP,A)
【文献】国際公開第2019/126827(WO,A1)
【文献】特開2020-069399(JP,A)
【文献】国際公開第2014/069244(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209956447(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/34
B65D 23/00
B65D 19/38
B01L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
瓶シールを1つずつ取り外し可能に固定するように構成されている複数の器が、間隔を開けて配置されている器列
を複数含む器配列を上面が形作っている本体と、
前記上面に設置されており、前記複数の器の間を繋げている接続網と
を備えている瓶シール用トレイであって、
各器は、
前記上面から下方へ広がっており、瓶シールの一部を収容するように構成されている空洞と、
閉じている下端と
を形作っており、
各器の閉じている下端の中央部からは、瓶シールを支持するための領域が上方へ突出しており、
各器列には、
間隔を開けて配置されている複数の器の中を伸びており、各器に保持されている瓶シールを掴むのに便利な隙間を当該器の両側に開けている溝
が設置されている
ことを特徴とする瓶シール用トレイ。
【請求項2】
複数の器列が互いに平行であり、互いに横方向へずれることにより、隣接する器列の間で各器の位置を互いにずらしている、請求項1に記載の瓶シール用トレイ。
【請求項3】
前記瓶シール用トレイの周から外側へ突出しているフランジを形作っている基盤
を含む、
請求項1に記載の瓶シール用トレイ。
【請求項4】
前記上面と前記基盤との間を前記瓶シール用トレイの周に沿って広がっているトレイ壁
を更に含む、
請求項3に記載の瓶シール用トレイ。
【請求項5】
前記上面が、前記瓶シール用トレイの周に沿って面取りされた縁を含む、請求項1から
請求項4までのいずれか1項に記載の瓶シール用トレイ。
【請求項6】
瓶栓を1つずつ取り外し可能に固定するように構成されている複数の器が、間隔を開けて配置されている器列
を複数含む器配列を上面が形作っている本体と、
前記上面に設置されており、前記複数の器の間を繋げている接続網と
を備えている瓶栓用トレイであって、
各器は、
前記上面から下方へ広がっており、瓶栓の一部を収容するように構成されている空洞と、
閉じている下端と
を形作っており、
各器の閉じている下端の中央部からは、瓶栓を支持するための領域が上方へ突出しており、
各器列には、
間隔を開けて配置されている複数の器の中を伸びており、各器に保持されている瓶栓を掴むのに便利な隙間を当該器の両側に開けている溝
が設置されている
ことを特徴とする瓶栓用トレイ。
【請求項7】
各器が、
前記空洞の中に瓶栓の一部を取り外し可能に固定するように構成されている緩衝部
を含む、
請求項6に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項8】
前記緩衝部が器の内壁から内周方向へ広がり、前記空洞の開口部を狭めている、
請求項7に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項9】
前記溝が更に、各器列に配置されている各瓶栓を殺菌するために蒸気を当該器列に沿って流すように構成されている、
請求項6から
請求項8までのいずれか1項に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項10】
前記上面に設置されており、前記溝に対して垂直に広がっている、前記上面の剛性を高めるための補強リブ
を更に含む、
請求項6から
請求項8までのいずれか1項に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項11】
前記瓶栓用トレイの周から外側へ突出しているフランジを形作っている基盤
を含む、
請求項6から
請求項8までのいずれか1項に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項12】
前記上面と前記基盤との間を前記瓶栓用トレイの周に沿って広がっているトレイ壁
を更に含む、
請求項11に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項13】
前記瓶栓用トレイの周に沿って面取りされた縁を含む、
請求項6から
請求項8までのいずれか1項に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項14】
前記本体に取り外し可能に取り付けられるように構成されている蓋を含む、
請求項6から
請求項8までのいずれか1項に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項15】
前記蓋が、
自身の周に沿って広がっている側壁を含む基盤と、
前記側壁の一部から伸びており、前記本体の一部と対を成すように引っ掛かるためのロック用突起と
を含む、
請求項14に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項16】
前記蓋が、
複数の保持領域を突出させている底面
を含み、
各保持領域は、前記蓋が前記瓶栓用トレイに取り付けられると1つの器の中に嵌まるように、サイズと形とが設計されている、
請求項14に記載の瓶栓用トレイ。
【請求項17】
瓶用トレイと、瓶シール用トレイと、瓶栓用トレイとを備えているキットであって、
前記瓶用トレイが、瓶用器配列を含む基盤を有し、
前記瓶用器配列が複数の瓶用器列を含み、各瓶用器列が、
間隔を開けて配置されている複数の瓶用器であり、それぞれが1本の瓶の上部を収容するように構成されている瓶用器
を含み、
前記瓶シール用トレイは、
上面がシール用器配列を形作っている本体
を有し、
前記シール用器配列が複数のシール用器列を含み、各シール用器列が、
間隔を開けて配置されている複数のシール用器であり、それぞれが1つの瓶シールを収容するように構成されているシール用器
を含み、
各シール用器列には、
間隔を開けて配置されている複数のシール用器の中を伸びており、各シール用器に保持されている瓶シールを掴むのに便利な隙間を当該器の両側に開けている溝
が設置されており、
前記瓶栓用トレイは、
上面が栓用器配列を形作っている本体
を有し、
前記栓用器配列が複数の栓用器列を含み、各栓用器列が、
間隔を開けて配置されている複数の栓用器であり、それぞれが1つの瓶栓を収容するように構成されている栓用器
を含み、
各栓用器列には、
間隔を開けて配置されている複数の栓用器の中を伸びており、各栓用器に保持されている瓶栓を掴むのに便利な隙間を当該器の両側に開けている溝
が設置されている
ことを特徴とするキット。
【請求項18】
前記瓶用トレイが更に、
1本の瓶の底部を収容するように配置されている凹みを複数含む蓋
を有する、
請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記瓶用トレイの蓋の外周は、前記基盤の開口部の内側に嵌まって前記瓶用トレイの中の各瓶を密封するように、形と寸法とが設計されている、
請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記瓶シール用トレイを収容するように構成されている1次コンテナ
と、
前記瓶シール用トレイと前記1次コンテナとを収容するように構成されている2次コンテナと
を更に備えている、
請求項17から
請求項19までのいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年12月28日を出願日とする米国仮特許出願第63/131,151号に基づく優先権の主張を伴うものであり、その内容の全体が参照により、この明細書に組み込まれる。
【0002】
この出願は瓶とその閉塞具とに関し、特に薬瓶の栓用およびシール用の滅菌トレイに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な遺伝子治療薬等、新規な生物学的薬剤の開発および製造では、閉塞具付きの容器に薬剤を詰める作業を、手動または半自動で少数ずつ行わなければならない。この作業のうち、ガラス瓶またはプラスチック瓶等の容器に薬剤を詰める段階、それらの瓶をエラストマー栓で閉じる段階、およびそれらの瓶に襞付きのアルミニウムシールで蓋をする段階は、一般に、生物安全対策が施された小型のキャビネット、フード付きの実験机等、コンパクトな作業空間において少数ずつ手作業で行われる。しかし、薬瓶の栓とシールとは一般に多数ずつ製造され、滅菌バッグのような大量包装によって多数ずつ搬送される。たとえば、細胞治療薬および遺伝子治療薬の製造元は一般に、比較的多数ずつ包装されている形でのみ入手可能な薬剤用閉塞具を使用する。これらの閉塞具の包装は、自動充填機で多数ずつ詰められて仕上げられるように開発されていた。これにより、閉塞具の包装を解く作業が、閉塞具を無菌状態で瓶の上へ搬送する作業と共に、生物安全対策が施された小型のキャビネットで行われる際には複雑かつ困難になり得る。その結果、組み立てられて中身が詰められた薬瓶が微生物や微粒子によって汚染される危険性は高い。
【0004】
さらに、そのような大量包装では、瓶の閉塞具が多数詰められているパッケージから少数を利用者が取り出し、使用前に生物安全対策済みのキャビネットの中に入れなければならない。この荷解作業は往々にして利用者に閉塞具を実験机の上に落とさせ、または、大量包装のパッケージの内容物を無菌状態のまま、ガラス皿等、別の入れ物に詰め直させる結果となる。そのような作業も厄介である。コンパクトな実験設備または生物安全対策済みのキャビネットの中では、包装されている一塊が大きいほど取り扱いが難しいからである。その上、大量包装の中から個々の閉塞具を探すことには多数の手順が必要であり、これにより、多数の閉塞具が触れられて移動させられることになる場合が多い。その結果、この作業では、閉塞具に望まれる無菌状態が壊される危険性が高い。
【0005】
それ故、発明の目的は、コンパクトな作業空間において利用者に作業中、瓶シールと瓶栓との両方を少数ずつ収められているトレイから容易に取り出させることにある。そのような作業は、シールと栓とに対する従来の包装方法を使わなければならない場合よりもずっと容易であろう。その場合はシールと栓とがバッグの中に大量包装されているので、利用者がまず作業空間の表面から物を取り除かねばならず、続いて閉塞具を1つずつ瓶の上に置けるように、作業空間の表面に広げなければならないからである。そのような従来の作業は、生物安全対策済みのキャビネットの中や実験机の上の限られた空間では特に実行が難しい。さらに、利用者が大量包装のバッグの中に手を伸ばして閉塞具を1つ以上掴まねばならない場合、汚染の危険性が高い。バッグ内の無菌状態が壊されるので、バッグ内の他の物が汚染される危険性が高いからである。
【0006】
医薬準備品の保管に使用される従来のトレイには一般に大型のものが使用されるが、そのようなトレイは通常、薬剤の製造元や工場へ届けられた後、ある支持構造の中に保持され、または収容される等、所定の配置において取り扱われる。しかし、そのような従来のトレイは、実験設備または生物安全対策済みのキャビネットの中での利用にはあまり適していない。したがって、すぐに使えるように滅菌されている閉塞具を少数ずつ与える新規なトレイと、それらに関連するキットとは明らかに必要性が高い。これらのトレイとキットとは、たとえば少数の細胞治療薬および遺伝子治療薬を対象とするもののように、実験机または生物安全対策済みのキャビネットを含むコンパクトな環境で充填作業と仕上げ作業とが行われる際、取り扱いが容易かつ安全であるように設計されている。さらに、トレイに保存されている部品を1つずつ利用者に触れさせることにより、従来の大量包装よりも安全で取り扱いやすいトレイとキットとが必要である。
【発明の概要】
【0007】
上記の必要性は、この明細書で開示される発明による包装用トレイによって大いに満たされる。これらのトレイには瓶シール用トレイがある。この瓶シール用トレイは、上面が器配列を形作っている本体を備えている。この器配列は複数の器列を含む。各器列には複数の器が間隔を開けて配置されている。各器は、瓶シールを1つずつ取り外し可能に固定するように構成されている。この瓶シール用トレイは更に接続網を備えている。この接続網は瓶シール用トレイの上面に配置され、複数の器の間を繋げている。各器は、瓶シール用トレイの上面から下方へ広がっている空洞と、閉じている下端とを形作っている。この空洞は、瓶シールの一部を収容するように構成されている。各器には瓶シールを支持するための領域が、閉じている下端の中央部から上方へ突出している。各器列に間隔を開けて配置されている複数の器の中を溝が伸びている。この溝は、各器に保持されている瓶シールを掴むのに便利な隙間をその器の両側に開けている。
【0008】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、複数の器列が互いに平行であり、互いに横方向へずれることにより、隣接する器列の間で各器の位置を互いにずらしている。
【0009】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、各器はほぼ筒形である。
【0010】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶シール用トレイは、その周から外側へ突出しているフランジを形作っている基盤を含む。
【0011】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶シール用トレイの上面と基盤との間をトレイ壁が、瓶シール用トレイの周に沿って伸びている。
【0012】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、トレイ壁が、別の瓶シール用トレイの積載に便利なように構成されている凹みを含む。
【0013】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶シール用トレイの上面が、別の瓶シール用トレイの積載に便利なように、瓶シール用トレイの周に沿って面取りされた縁を含む。
【0014】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、各器の上記の領域が半球形の先端部を含む。
【0015】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイが本体を備えている。この本体は上面が器配列を形作っている。この器配列は複数の器列を含む。各器列には複数の器が間隔を開けて配置されており、各器は、瓶栓を1つずつ取り外し可能に固定するように構成されている。この瓶栓用トレイは更に接続網を備えている。この接続網は瓶栓用トレイの上面に配置され、複数の器の間を繋げている。各器は、瓶栓用トレイの上面から下方へ広がっている空洞と、閉じている下端とを形作っている。この空洞は、瓶栓の一部を収容するように構成されている。各器には瓶栓を支持するための領域が、閉じている下端の中央部から上方へ突出している。各器列に間隔を開けて配置されている複数の器の中を溝が伸びている。この溝は、各器に保持されている瓶栓を掴むのに便利な隙間をその容器の両側に開けている。
【0016】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、各器が、空洞の中に瓶栓の一部を取り外し可能に固定するように構成されている緩衝部を含む。
【0017】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、緩衝部が器の内壁から内周方向へ広がっており、空洞の開口部を狭めている。
【0018】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、緩衝部が、瓶栓の一部とスナップフィット方式で引っ掛かるように構成されている。
【0019】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、上記の溝が更に、各器列に配置されている各瓶栓を殺菌するために蒸気をその器列に沿って流すように構成されている。
【0020】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの上面の剛性を高めるために補強リブがその上面に配置され、溝に対して垂直に広がっていてもよい。
【0021】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、各器がほぼ筒形である。
【0022】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイが、その周から外側へ突出しているフランジを形作っている基盤を含む。
【0023】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、トレイ壁が瓶栓用トレイの上面と基盤との間を瓶栓用トレイの周に沿って広がっている。
【0024】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、トレイ壁が、別の瓶栓用トレイの積載に便利なように構成されている凹みを含む。
【0025】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、トレイ壁が、瓶栓用トレイの安定性を高めるように構成されている襞を含む。
【0026】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイが、別の瓶栓用トレイの積載に便利なように、その周に沿って面取りされた縁を含む。
【0027】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、各器の上記の領域が半球形の先端部を含む。
【0028】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの蓋が、その本体に取り外し可能に取り付けられるように構成されている。
【0029】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの蓋が、その本体にスナップフィット方式で取り付けられるように構成されている。
【0030】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの蓋が、自身の周に沿って広がっている側壁を含む基盤と、その側壁の一部から伸びており、瓶栓用トレイの本体の一部と対を成すように引っ掛かるためのロック用突起とを含む。
【0031】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの蓋が、その周から外側へ広がっているフランジを含む。
【0032】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの蓋が、複数の保持領域を突出させている底面を含む。各保持領域は、蓋が瓶栓用トレイに取り付けられると1つの器の中に嵌まるように、サイズと形とが設計されている。
【0033】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶栓用トレイの蓋が、その底面から突出している補強リブを含む。
【0034】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、1組のキットが瓶用トレイを備えている。この瓶用トレイが、瓶用器配列を含む基盤を有する。この瓶用器配列が複数の瓶用器列を含み、各器列には、間隔を開けて配置されており、瓶の上部を1つずつ収容するように構成されている複数の瓶用器が含まれる。このキットは瓶シール用トレイも備えている。この瓶シール用トレイは、上面がシール用器配列を形作っている本体を有する。このシール用器配列が複数のシール用器列を含み、各器列には、間隔を開けて配置され、瓶シールを1つずつ収容するように構成されている複数のシール用器が含まれる。各シール用器列には、間隔を開けて配置されている複数のシール用器の中を溝が伸びており、各シール用器に保持されている瓶シールを掴むのに便利な隙間をその器の両側に開けている。このキットは瓶栓用トレイも備えている。瓶栓用トレイは、上面が栓用器配列を形作っている本体を有する。この栓用器配列が複数の栓用器列を含み、各器列には、間隔を開けて配置され、瓶栓を1つずつ収容するように構成されている複数の栓用器が含まれる。各栓用器列には、間隔を開けて配置されている複数の栓用器の中を溝が伸びており、各栓用器に保持されている瓶栓を掴むのに便利な隙間をその器の両側に開けている。
【0035】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶用トレイが更に、1本の瓶の底部を収容するように設置されている凹みを複数含む蓋を有する。
【0036】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶用トレイの蓋の外周は、瓶用トレイの基盤の開口部の内側に嵌まって瓶用トレイの中の各瓶を密封するように、形と寸法とが設計されている。
【0037】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、瓶用トレイの蓋が、その基盤とスナップフィット方式で引っ掛かるように構成されている。
【0038】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、1次コンテナが、瓶シール用トレイを収容するように構成されている。
【0039】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、1次コンテナが、第1滅菌障壁を形成するための第1滅菌バッグである。
【0040】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、2次コンテナが、瓶シール用トレイと1次コンテナとを収容するように構成されている。
【0041】
この明細書で開示される発明の別の特徴によれば、2次コンテナが第2滅菌バッグである。第2滅菌バッグが瓶シール用トレイに対する第2滅菌障壁として機能してもよい。
【0042】
以上のように、この明細書で開示される発明について特定の実施形態の概略が説明されてきた。これらにより、以下の詳細な説明がよりよく理解され、発明の技術分野への貢献がよりよく認識されるだろう。この明細書で開示される発明には、以下で説明される他の実施形態もある。これらは、この明細書に添付されている特許請求の範囲の要旨を成す。
【0043】
この点について、包装用トレイの少なくとも1つの特徴を詳細に説明する前に次のことが理解されるべきである。包装用トレイの適用は、以下の説明に与えられ、または図面に描かれている要素の構成の詳細と配置とには限定されない。包装用トレイには、説明されている特徴以外の特徴もあり得、様々な方法で実施され、実行されることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
この明細書で開示される発明がすぐに理解されるように、包装用トレイの特徴が例として添付の図面に描かれている。これらの図面ではそれらの全体にわたり、同じ部分が同じ参照番号で引用されている。
【0045】
【
図1】この明細書で開示される発明による瓶シール用トレイの上面側から見える斜視図である。
【
図2】
図1が示す瓶シール用トレイの底面側から見える斜視図である。
【
図3】
図1が示す瓶シール用トレイの上面図である。
【
図4】
図3が示す直線IV-IVに沿った瓶シール用トレイの断面図である。
【
図5】この明細書で開示される発明の別の実施形態による瓶シール用トレイの上面側から見える斜視図である。
【
図6】
図5が示す瓶シール用トレイの底面側から見える斜視図である。
【
図7】
図5が示す瓶シール用トレイの上面図である。
【
図8】
図7が示す直線VIII-VIIIに沿った瓶シール用トレイの断面図である。
【
図9】この明細書で開示される発明による瓶栓用トレイの上面側から見える斜視図である。
【
図10】
図9が示す瓶栓用トレイの底面側から見える斜視図である。
【
図12】
図11が示す直線XII-XIIに沿った瓶栓用トレイの断面図である。
【
図13】この明細書で開示される発明の別の実施形態による瓶栓用トレイの上面側から見える斜視図である。
【
図14】
図13が示す瓶栓用トレイの底面側から見える斜視図である。
【
図16】
図15が示す直線XVI-XVIに沿った瓶栓用トレイの断面図である。
【
図17】この明細書で開示される発明の別の実施形態による瓶栓用トレイとその蓋との上面側から見える斜視図である。
【
図19】
図17が示す直線XIX-XIXに沿った瓶栓用トレイの断面図である。
【
図22】この明細書で開示される発明による瓶用トレイの上面側から見える斜視図である。
【
図24】
図22が示す瓶用トレイの底面側から見える斜視図である。
【
図25】この明細書で開示される発明による瓶用トレイの蓋の底面図である。
【
図26】この明細書で開示される発明の別の実施形態による瓶用トレイの上面側から見える斜視図である。
【
図28】
図26が示す瓶用トレイの底面側から見える斜視図である。
【
図29】
図26が示す瓶用トレイの蓋の底面側から見える斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
この明細書の開示内容は、薬瓶に使用される、栓、シール等の閉塞具に対する滅菌トレイの様々な構成を説明するものである。
図1-
図4は瓶シール用トレイ100を示す。トレイ100は器配列110を含み、器配列110は複数の器120を含む。各器は、1つの瓶シールを取り外し可能に収容して固定するように構成されている。瓶シール用トレイ100は、瓶シールを保護するためのコンテナの中に配置されてもよい。たとえば、瓶シール用トレイ100の中に収められている各瓶シールが、薬瓶と組み合わされるには不適合な汚染から保護される。このコンテナが殺菌に適した材料から形成されていてもよい。ある例では、このコンテナが1以上の滅菌バッグを含み、各バッグが、瓶シール用トレイを収容できるサイズと形とであってもよい。各バッグは、その中にトレイが収められると熱融着で閉じられる。たとえば、瓶シール用トレイ100が熱融着式の1次バッグの中に収められてもよい。この1次バッグは減圧されており、そこから余分な空気が除去されている。別の特徴によれば、1次バッグ内の瓶シール用トレイ100が更に熱融着式の2次バッグの中に収められてもよい。
【0047】
瓶シール用トレイ100は箱状の本体を備え、その上面112が実質的に矩形であり、基盤114が、瓶シール用トレイの周から外側へ突出している滅菌フランジを形作っている。上面112と基盤114との間にはトレイ壁116が瓶シール用トレイの周に沿って広がっている。瓶シール用トレイの上面112が、その周に沿って面取りされている縁113を含み、別の瓶シール用トレイの積載に便利になっていてもよい。同様に、別の瓶シール用トレイの積載に便利なように、トレイ壁116には1以上の切り込み、すなわち凹み115が含まれていてもよい。さらに、瓶シール用トレイ100の各角117が切り落とされ、包装作業の際、1次バッグの中にトレイを入れるのに便利になっていてもよい。角117の切り落としはまた、トレイの製造に必要な原材料の量と関連するコストとを減らすと共に、トレイを積載しやすくするのにも役立つだろう。
【0048】
器配列110は、間隔を開けて配置されている複数の直線的な器列130を含む。これら複数の器列130の間は、瓶シール用トレイ100の上面112に配置されている接続網140によって接続されている。各器列130は、間隔を開けて配置されている複数の器120を含む。各器列130は更に、間隔を開けて配置されている器120のそれぞれを接続する浅い溝132を形作っている。溝132は、ピンセットまたは利用者の指が入る隙間を形成している。この隙間は、トレイから瓶シールを取り外すのに便利である。これについては後で更に説明する。実施形態の中には、トレイ壁に襞が含まれ、トレイの剛性が高められているものがあってもよい。
【0049】
各器120は、瓶シールの一部を収容するように構成されており、実質的に円筒形であってもよい。直線的な器列130は互いに平行に配置され、互いに横方向へずれているので、隣接する器列の間では器の位置も同様に互いにずれている。この配置により、器列130の間に配置されている接続網140の量が最小限に抑えられるので、トレイの全体の設置面積が減少する。これにより、瓶シール用トレイの上面112の上のスペースが削減される。その結果、この配置は瓶シールの包装密度を高くすることができる。こうして、隣接する器列130の間における器120の千鳥配置は、器配列110が瓶シール用トレイに占めるスペースを狭めることができるので、瓶シール用トレイを従来の大量包装用トレイよりも小型にできる。
【0050】
実施形態の1つでは器配列110が、間隔を開けて配置されている4つの器列130を含んでいてもよい。そのうちの2列は器120を8つ含み、残りの2列は器120を7つ含む。各器120は、20mmの瓶シールが1つずつ収容されるサイズと形とであってもよい。このように器配列110は、トレイ1枚当たり最多で30個の瓶シールを取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では器配列110がより多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。瓶シール用トレイは箱状の矩形トレイとして示されているが、他の実施形態ではそれが用途に適している別の形状であってもよい。たとえばトレイの外周が、方形、円形、楕円形、または他の様々な形であってもよい。ある実施形態では20mm瓶シール用のトレイが雌型の熱成形用器具で製造されていてもよい。
【0051】
各器120は実質的に円柱形の空洞122を含む。空洞122は、トレイの上面112に位置する接続網140から下方へ広がっており、器120の閉じている下端124を境とする側壁128によって形成されている。瓶シール用トレイの上面112の下側に位置する円弧状の縁は、その上に瓶シールの底が載る支持台を形成している。中央の狭い突出した領域126は閉じている下端124の中央領域から上方へ伸びている。領域126の含む先端部127は、空洞122に剛性と安定性とを与えるように構成されている。ある特徴として、領域126と先端部127とは、瓶シールが器の中にほぼ上下方向に沿って収容された際にその瓶シールを支持するように構成されていてもよい。領域126の先端部127は、様々な形の中でも特に半球形、すなわちドーム形であってもよい。1つの器列130の中で器120の間を接続する浅い溝132は、その器列の中で隣接する器の間に十分な隙間、すなわち把持用空隙134を形成している。同様に、器に隣接する器列の端にも十分な隙間、すなわち把持用空隙135を形成している。
【0052】
これらの把持用空隙134、135により利用者は、器120に配置されている瓶シールの両側を手で掴むことができる。その結果、利用者は、自身の指または把持用器具を使って各瓶シールを1つずつトレイから容易に取り外すことができる。さらに、これらの把持用空隙134、135により、1つの器列の中で隣接する瓶シールに間隔を開けさせることもできる。その結果、瓶シール相互の汚染が防止され、または最小限に抑えられる。たとえば、把持用空隙134、135は、利用者が1つの瓶シールの両側をつまんでその瓶シールを瓶シール用トレイの器120から取り外すのに十分な隙間を与える。利用者に把持用空隙134、135を利用させることにより、同じ器列130に属する隣の器120に配置されている瓶シール等、瓶シール用トレイに配置されている他の瓶シールに触れさせること、すなわち他の瓶シールを汚染させることもない。このようなトレイの構成により利用者は、生物安全対策済みのキャビネット等の狭い作業空間でも、トレイから個々の瓶シールを取り外す作業を容易に行うことができる。各器列130の中で隣接する器120は溝132の幅だけ間隔を開けて配置されている。一方、隣接する器列130の間で隣接する器120は接続網140の幅だけ離れている。
【0053】
瓶シール用トレイ100は1種類以上の硬質または半硬質のポリマー材で形成されている。このポリマー材には、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、および/または、瓶シールが保管されている間、その完全な状態を維持するように選択された材料の組み合わせが含まれる。ただし、それらには限られない。さらに、γ線に対して安定なポリプロピレン等、γ線照射による殺菌処理が行われても安定な材料が、瓶シール用トレイの形成に利用されてもよい。
【0054】
図5-
図8には、この明細書で開示される発明による瓶シール用トレイの別の実施形態200が描かれている。瓶シール用トレイ200は器配列210を備えており、器配列210は複数の器220を含む。各器は、瓶シールを取り外し可能に収容して固定するように構成されている。瓶シール用トレイ200が、瓶シールを汚染から保護するためのコンテナの中に配置されてもよい。たとえばそのコンテナが、瓶シール用トレイを収容できるサイズと形とである滅菌バッグを1つ以上含んでいてもよい。滅菌バッグは、その中にトレイが収められたら熱融着で閉じられる。瓶シール用トレイ200は、減圧によって余分な空気が除去された状態で熱融着されている1次バッグの中に収められていてもよい。別の特徴としては、瓶シール用トレイ200が1次バックの中で更に、熱融着されている2次バッグの中に収められていてもよい。
【0055】
瓶シール用トレイ200は箱状の本体を備え、その上面212が実質的に矩形であり、基盤214が、瓶シール用トレイの周から外側へ突出している滅菌フランジを形作っている。上面212と基盤214との間にはトレイ壁216が瓶シール用トレイの周に沿って広がっている。瓶シール用トレイの上面212が、その周に沿って面取りされている縁213を含み、別の瓶シール用トレイの積載に便利になっていてもよい。同様に別の瓶シール用トレイの積載に便利なように、トレイ壁216には1以上の切り込み、すなわち凹み215が含まれていてもよい。さらに、瓶シール用トレイ200の各角217が切り落とされ、包装作業の際、1次バッグの中にトレイを入れるのに便利になっていてもよい。角217の切り落としはまた、トレイの製造に必要な原材料の量と関連するコストとを減らすと共に、トレイを積載しやすくするのにも役立つだろう。
【0056】
器配列210は、間隔を開けて配置されている複数の直線的な器列230を含む。これら複数の器列230の間は、瓶シール用トレイ200の上面212に配置されている接続網240によって接続されている。各器列230は、間隔を開けて配置されている複数の器220を含む。各器列230は更に、間隔を開けて配置されている器220のそれぞれを接続する浅い溝232を形作っている。溝232は、ピンセットまたは利用者の指が入る隙間を形成している。この隙間は、トレイから瓶シールを取り外すのに便利である。これについては後で更に説明する。各器220は、瓶シールの一部を収容するように構成されており、実質的に円筒形であってもよい。複数の器列230は互いに平行に、間隔を開けて配置されている。これにより、上面212では接続網240が器列230の間を接続している。
【0057】
器配列210が、間隔を開けて配置されている4つの器列230を含んでいてもよい。各器列は器220を10個ずつ含む。各器220は、13mmの瓶シールが1つずつ収容されるサイズと形とであってもよい。このように器配列210は、トレイ1枚当たり最多で40個の瓶シールを取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では器配列210がより多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。瓶シール用トレイは箱状の矩形トレイとして示されているが、他の実施形態では、それが用途に適している別の形状であってもよい。たとえばトレイの外周が、方形、円形、楕円形、または他の様々な形であってもよい。ある実施形態では13mm瓶シール用のトレイが雄型の熱成形用器具で製造されていてもよい。
【0058】
各器220は実質的に円柱形の空洞222を含む。空洞222は、トレイの上面212に位置する接続網240から下方へ広がっており、器220の閉じている下端224を境とする側壁228によって形成されている。瓶シール用トレイの上面212の下側に位置する円弧状の縁は、その上に瓶シールの底が載る支持台を形成している。中央の狭い突出した領域226は閉じている下端224の中央領域から上方へ伸びている。領域226の含む先端部227は、空洞222に剛性と安定性とを与えるように構成されている。ある特徴として、領域226と先端部227とは、瓶シールが器の中にほぼ上下方向に沿って収容された際にその瓶シールを支持するように構成されていてもよい。領域226の先端部227は、様々な形の中でも特に半球形、すなわちドーム形であってもよい。1つの器列230の中で器220の間を接続する浅い溝232は、その器列の中で隣接する器の間に十分な隙間、すなわち把持用空隙234を形成している。同様に、器に隣接する器列の端にも十分な隙間、すなわち把持用空隙235を形成している。
【0059】
これらの把持用空隙234、235により利用者は、器220に配置されている瓶シールの両側を手で掴むことができる。その結果、利用者は、自身の指または把持用器具を使って各瓶シールを1つずつトレイから容易に取り外すことができる。さらに、これらの把持用空隙234、235により、1つの器列の中で隣接する瓶シールに間隔を開けさせることもできる。その結果、瓶シール相互の汚染が防止され、または最小限に抑えられる。たとえば、把持用空隙234、235は、利用者が1つの瓶シールの両側をつまんでその瓶シールを瓶シール用トレイの器220から取り外すのに十分な隙間を与える。利用者に把持用空隙234、235を利用させることにより、同じ器列230に属する隣の器220に配置されている瓶シール等、瓶シール用トレイに配置されている他の瓶シールに触れさせること、すなわち他の瓶シールを汚染させることもない。このようなトレイの構成により利用者は、生物安全対策済みのキャビネット等の狭い作業空間でも、トレイから個々の瓶シールを取り外す作業を容易に行うことができる。各器列230の中で隣接する器220は溝232の幅だけ間隔を開けて配置されている。一方、隣接する器列230の間で隣接する器220は接続網240の幅だけ離れている。
【0060】
瓶シール用トレイ200は1種類以上の硬質または半硬質のポリマー材で形成されている。このポリマー材には、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、および/または、瓶シールが保管されている間、その完全な状態を維持するように選択された材料の組み合わせが含まれる。ただし、それらには限られない。さらに、γ線に対して安定なポリプロピレン等、γ線照射による殺菌処理が行われても安定な材料が、瓶シール用トレイの形成に利用されてもよい。
【0061】
図9-
図12へ移ると、この明細書に開示されている発明による瓶栓用トレイ300が示されている。瓶栓用トレイ300は器配列310を備え、器配列310は複数の器320を含む。各器は、瓶栓を取り外し可能に収容して固定するように構成されている。上記の瓶シール用トレイと同様、瓶栓用トレイ300は、瓶栓を汚染から守る目的でコンテナの中に配置されてもよい。そのようなコンテナが、瓶栓用トレイを収容するのに適したサイズと形とである滅菌バッグを1以上含んでいてもよい。ある特徴として滅菌バッグは、その中にトレイが収められたら熱融着で閉じられる。上記の瓶シール用トレイと同様、瓶栓用トレイ300は1種類以上の硬質または半硬質のポリマー材で形成されている。このポリマー材には、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、および/または、瓶栓が保管されている間、その完全な状態を維持するように選択された材料の組み合わせが含まれる。ただし、それらには限られない。
【0062】
瓶栓用トレイ300は箱状の本体を備え、その上面312が実質的に矩形であり、基盤314が、瓶栓用トレイの周から外側へ突出している滅菌フランジを形作っている。上面312と基盤314との間には、トレイ壁316が瓶栓用トレイの周に沿って広がっている。瓶栓用トレイの上面312が、その周に沿って面取りされている縁313を含み、別の瓶栓用トレイの積載に便利になっていてもよい。同様に別の瓶栓用トレイの積載に便利なように、トレイ壁316には1以上の切り込み、すなわち凹み315が含まれていてもよい。ある実施形態ではトレイ壁316が上面312の上方へ広がり、瓶栓用トレイを積み上げるのに便利な空間を形成していてもよい。さらに、瓶栓用トレイ300の各角317が切り落とされ、包装作業の際、1次バッグの中にトレイを入れるのに便利になっていてもよい。角317の切り落としはまた、トレイの製造に必要な原材料の量と関連するコストとを減らすと共に、トレイを積載しやすくするのにも役立つだろう。トレイ壁316が更に襞318を1以上含んでいてもよい。襞318は、トレイ壁の剛性を高めてトレイに安定性を加えるように構成されている。
【0063】
器配列310は、間隔を開けて配置されている複数の器列330を含む。器列330の間は、瓶栓用トレイ300の上面312に形成されている接続網340により接続されている。各器列330は、間隔を開けて配置されている複数の器320を含む。各器列330は更に、これら複数の器320の間を接続している浅い溝332を形作っている。各器320は瓶栓の一部を収容するように構成されており、実質的に円筒形である。器列330は直線的であり、互いに平行に間隔を開けて配置されている。これにより、上面312の接続網340は器列330の間を接続している。
【0064】
器配列310には間隔を開けて配置されている器列330が5つ含まれていてもよく、各器列には器320が6つずつ含まれていてもよい。各器320が20mmの瓶栓を収容するようなサイズと形とであってもよい。こうして器配列310は、トレイ1枚当たり最多で30個の瓶栓を取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では器配列310が、より多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。瓶栓用トレイは箱状の矩形トレイとして示されているが、他の実施形態では用途に適している別の形状であってもよい。たとえばトレイの外周が、方形、円形、楕円形、または他の様々な形であってもよい。
【0065】
各器320は実質的に円柱形の空洞322を含む。空洞322は、トレイの上面312に位置する接続網340から下方へ広がっており、器320の閉じている下端324を境とする側壁328によって形成されている。ある特徴として空洞322が、第1部分すなわち上部と、第2部分すなわち底部とを含んでいてもよい。上部の直径は底部の直径よりも大きい。これにより、瓶栓が上部の中に固定される一方、底部が空のままであってもよい。ある実施形態では、閉じている下端324の中央領域から中央の狭い突出領域が上方へ伸びている。この突出領域の含む先端部が、空洞に剛性と安定性とを与えるように構成されていてもよい。突出領域はまた、瓶栓が器の中に収容されるとその瓶栓を支持する。突出領域の先端部は、様々な形の中でも特に半球形、すなわちドーム形であってもよい。その上、各器320は、空洞322の内側へ突き出している保持具、すなわち緩衝部329を含む。緩衝部329は、空洞322の中に瓶栓の一部を取り外し可能に固定するように構成されている。
【0066】
したがって、各緩衝部329は、各器の上端に設置されている保持部として機能する。緩衝部は器の空洞内を内周方向へ広がっているので、器の開口部が狭まって首部を形成する結果、瓶栓が固定される。たとえば瓶栓は、器の緩衝部に引っ掛かるまで押し込まれることにより、その器にスナップフィット方式で嵌められてもよい。さらに、各器が緩衝部329を1以上含んでいてもよい。たとえば各器が緩衝部を2つ含み、それらが直径方向で向かい合っていてもよい。これらの緩衝部は能動的なロック構造により、器に収容されている瓶栓の軸方向への移動を制限する。このロック構造は器内の瓶栓をほぼ上下方向に沿った状態に固定して保持する一方、利用者に瓶栓を、緩衝部から外して器から取り出すのには十分な力で引っ張らせることも可能にする。
【0067】
1つの器列330の中で各器320に繋がっている浅い溝332には、2つの機能がある。第1の機能は、瓶栓用トレイの各器から瓶栓を1つずつ手で取り出すのに便利である十分な隙間、すなわち把持用空隙を与えることである。第2の機能は、瓶栓用トレイ内に配置されている瓶栓のいずれについても、蒸気による殺菌を可能にすることである。
【0068】
特に溝332は、器列内で隣接する器の間に十分な隙間、すなわち把持用空隙334を与えると共に、器に隣接する器列の端にも十分な隙間、すなわち把持用空隙335を与える。たとえば、把持用空隙334、335により利用者は、器320に配置されている瓶栓の両側を手で掴むことができる。その結果、利用者は、自身の指または把持用器具を使って各瓶栓を1つずつトレイから容易に取り外すことができる。さらに、これらの把持用空隙334、335により、1つの器列の中で隣接する瓶栓に間隔を開けさせることもできる。その結果、瓶栓相互の汚染が防止され、または最小限に抑えられる。
【0069】
たとえば、把持用空隙334、335は、利用者が1つの瓶栓の両側をつまんでその瓶栓を瓶栓用トレイの器320から取り外すのに十分な隙間を与える。利用者に把持用空隙334、335を利用させることにより、同じ器列330に属する隣の器320に配置されている瓶栓等、瓶栓用トレイに配置されている他の瓶栓に触れさせること、すなわち他の瓶栓を汚染させることもない。このようなトレイの構成により利用者は、生物安全対策済みのキャビネット等の狭い作業空間でも、トレイから個々の瓶栓を取り外す作業を容易に行うことができる。各器列330の中で隣接する器320は溝332の幅だけ間隔を開けて配置されている。一方、隣接する器列330の間で隣接する器320は接続網340の幅だけ離れている。
【0070】
さらに、浅い溝332は、瓶栓用トレイに配置されている瓶栓の蒸気による殺菌を可能にする。特に殺菌用の蒸気は各溝332の中へ導入されるので、各溝をその長さ方向に沿って移動する間、各瓶栓と接触するように流れる(たとえば瓶栓の上と周囲とを流れる)ことができる。空である器の第2部分すなわち底部は、殺菌用の蒸気が溝に沿って流れるのを助けると共に、器の第1部分すなわち上部の中に固定されている瓶栓の下側に接触するのを助ける。瓶栓用トレイ300はまた、トレイに安定性を与えるように構成されている補強リブ350も1以上含む。各補強リブ350は瓶栓用トレイの上面312に配置されており、器列330に対してほぼ垂直に伸びている。この配置により、各補強リブ350は瓶栓用トレイの上面に剛性を加え、トレイの望ましくないたわみを防ぐ。たとえば、瓶栓用トレイ300は補強リブ350を5つ含んでいてもよい。各補強リブ350は1つの器列の隣接する器の間に配置され、5つの器列のすべてにわたってそれらに対して垂直に伸びている。
【0071】
図13-
図16を参照すると、瓶栓用トレイの別の実施形態400が示されている。瓶栓用トレイ400は、先に説明された瓶栓用トレイ300と様々な特徴を共有している。特に瓶栓用トレイ400は器配列410を備えており、器配列410は複数の器420を含む。たとえば、瓶栓用トレイ400が備えている器配列410は、間隔を開けて配置されている7つの器列430を含んでいてもよい。器列430のうち5つは器420を6つずつ含み、残り2つは器420を5つずつ含む。各器420は13mmの瓶栓を1つずつ収容するサイズと形とであってもよい。こうして器配列410は、トレイ1枚当たり最多で40個の瓶栓を取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では器配列410がより多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。瓶栓用トレイ400が更に複数の補強リブ450、たとえば7つの補強リブを含んでいてもよい。各補強リブは1つの器列の各器の両側の傍でそれらから間隔を開け、トレイの上面に対して垂直に配置されている。
【0072】
器配列410の各器420は、瓶栓を1つずつ取り外し可能に収容して固定するように構成されている。瓶栓用トレイ400は、瓶栓を汚染から守るコンテナの中に配置されてもよい。そのようなコンテナには、瓶栓用トレイを収容するサイズと形とである滅菌バッグが1以上含まれていてもよい。ある特徴として滅菌バッグは、その中に瓶栓用トレイが収容されると熱融着で閉じられてもよい。瓶栓用トレイ400は1種類以上の硬質または半硬質のポリマー材で形成されている。このポリマー材には、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、および/または瓶栓が保管されている間、その完全な状態を維持するように選択された材料の組み合わせが含まれる。ただし、それらには限られない。
【0073】
瓶栓用トレイ400は箱状の本体を備え、その上面412が実質的に矩形であり、基盤414が、瓶栓用トレイの周から外側へ突出している滅菌フランジを形作っている。上面412と基盤414との間には、トレイ壁416が瓶栓用トレイの周に沿って広がっている。瓶栓用トレイの上面412が、その周に沿って面取りされている縁413を含み、別の瓶栓用トレイの積載に便利になっていてもよい。同様に別の瓶栓用トレイの積載に便利なように、トレイ壁416には1以上の切り込み、すなわち凹み415が含まれていてもよい。ある実施形態では、トレイ壁416が上面412の上方まで広がり、瓶栓用トレイの積載に便利な空間を形成していてもよい。さらに、瓶栓用トレイ400の各角417が切り落とされ、包装作業の際、1次バッグの中にトレイを入れるのに便利になっていてもよい。角217の切り落としはまた、トレイの製造に必要な原材料の量と関連するコストとを減らすと共に、トレイを積載しやすくするのにも役立つだろう。その上、トレイ壁416が、その剛性を高めるように構成されている襞418を1以上含み、その結果、トレイの安定性を高めていてもよい。
【0074】
器配列410には、間隔を開けて配置されている複数の直線的な器列430が含まれている。器列430の間は、瓶栓用トレイ400の上面412に形成されている接続網440によって接続されている。各器列430は、間隔を開けて配置されている複数の器420を含む。各器列430は更に、間隔を開けて配置されている複数の器420のそれぞれに接続されている浅い溝432を形作っている。各器420は、瓶栓の一部を収容するように構成されており、ほぼ円筒形であってもよい。直線的な器列430は互いに平行に間隔を開けて配置されており、それらの間を上面412の接続網440が接続している。
【0075】
各器420はほぼ円柱形の空洞422を含む。空洞422は、トレイの上面412に位置する接続網440から下方へ広がっており、器420の閉じている下端424を境とする側壁428によって形成されている。ある特徴として空洞422が、第1部分すなわち上部と、第2部分すなわち底部とを含んでいてもよい。上部の直径は底部の直径よりも大きい。ある特徴として、閉じている下端424の中央領域から中央の狭い突出領域が上方へ伸びていてもよい。この突出領域の含む先端部が、トレイに剛性と安定性とを与えるように構成されていてもよい。突出領域はまた、瓶栓が器の中に収容されるとその瓶栓を支持してもよい。突出領域の先端部は、様々な形の中でも特に半球形、すなわちドーム形であってもよい。その上、各器420は、空洞422の内側へ突き出している保持具、すなわち緩衝部429を含む。緩衝部429は、空洞422の中に瓶栓の一部を取り外し可能に固定するように構成されている。
【0076】
各緩衝部429は、各器の上端に設置されている保持部として機能する。緩衝部が器の空洞内を内周方向へ広がっているので器の開口部が狭まり、瓶栓を固定するための首部が形成される。たとえば瓶栓が器の緩衝部に引っ掛かるまで押し込まれることにより、その器にスナップフィット方式で嵌まってもよい。さらに、各器が緩衝部429を1以上含んでいてもよい。たとえば、各器が緩衝部を2つずつ含み、それらが直径方向で向かい合っていてもよい。これらの緩衝部は能動的なロック構造により、器に収容されている瓶栓の軸方向への移動を制限する。このロック構造は、器内の瓶栓をほぼ上下方向に沿った状態に固定して保持する一方、利用者に瓶栓を、緩衝部から外して容器から取り出すのには十分な力で引っ張らせることも可能にする。
【0077】
1つの器列430の中で各器420に繋がっている浅い溝432には、2つの機能がある。第1の機能は、瓶栓用トレイの各器から瓶栓を1つずつ手で取り出しやすくする十分な隙間、すなわち把持用空隙を開けることである。第2の機能は、瓶栓用トレイ内に配置されている瓶栓のいずれについても、蒸気による殺菌を可能にすることである。
【0078】
特に溝432は、器列内で隣接する器の間に十分な隙間、すなわち把持用空隙434を与えると共に、器の隣に位置する器列の端にも十分な隙間、すなわち把持用空隙435を与える。たとえば、把持用空隙434、435により利用者は、器420に配置されている瓶栓の両側を手で掴むことができる。その結果、利用者は、自身の指または把持用器具を使って各瓶栓を1つずつトレイから容易に取り外すことができる。さらに、これらの把持用空隙434、435により、1つの器列の中で隣接する瓶栓に間隔を開けさせることもできる。その結果、瓶栓相互の汚染が防止され、または最小限に抑えられる。
【0079】
たとえば、把持用空隙434、435は、利用者が1つの瓶栓の両側をつまんでその瓶栓を瓶栓用トレイの器420から取り外すのに十分な隙間を与える。利用者に把持用空隙434、435を利用させることにより、同じ器列430に属する隣の器420に配置されている瓶栓等、瓶栓用トレイに配置されている他の瓶栓に触れさせること、すなわち他の瓶栓を汚染させることもない。このようなトレイの構成により利用者は、生物安全対策済みのキャビネット等の狭い作業空間でも、トレイから個々の瓶栓を取り外す作業を容易に行うことができる。各器列430の中で隣接する器420は溝432の幅だけ間隔を開けて配置されている。一方、隣接する器列430の間で隣接する器420は接続網440の幅だけ離れている。
【0080】
さらに、浅い溝432は、瓶栓用トレイに配置されている瓶栓の蒸気による殺菌を可能にする。特に殺菌用の蒸気は各溝432の中へ導入されるので、各溝に沿って移動する間に流れが各瓶栓と接触する(たとえば瓶栓の上と周囲とを流れる)。瓶栓用トレイ400はまた、トレイに安定性を与えるように構成されている補強リブ450も1以上含む。各補強リブ450は瓶栓用トレイの上面412に配置されており、上面を器列430に対してほぼ垂直に横切っている。この配置により、各補強リブ450はトレイの上面に剛性を加え、トレイの望ましくないたわみを防ぐ。たとえば、瓶栓用トレイ400は補強リブ450を5つ含んでいてもよい。各補強リブ450は1つの器列の隣接する器の間に配置され、5つの器列のすべてにわたってそれらに対して垂直に伸びている。
【0081】
図17-
図21を参照すると、瓶栓用トレイの別の実施形態400aが示されている。瓶栓用トレイ400aは、先に説明された瓶栓用トレイ400と様々な特徴を共有している。瓶栓用トレイの蓋すなわちカバー460は、瓶栓用トレイ400aに取り外し可能に取り付けられ、瓶栓用トレイ400aに配置されている瓶栓を固定して保護するように構成されている。瓶栓用トレイ400aは器配列410aを備えており、器配列410aは複数の器420aを含む。たとえば、瓶栓用トレイ400aが備えている器配列410aは、間隔を開けて配置されている7つの器列430aを含んでいてもよい。それらのうち5つは器を6つずつ含み、残り2つは器420aを5つずつ含む。各器420aは13mmの瓶栓を1つずつ収容するサイズと形とであってもよい。こうして器配列410aは、トレイ1枚当たり最多で40個の瓶栓を取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では、器配列410aがより多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。瓶栓用トレイ400aが更に複数の補強リブ450a、たとえば7つの補強リブを含んでいてもよい。各補強リブは1つの器列の各器の両側の傍で、それらから間隔を開け、トレイの上面に対して垂直に配置されている。
【0082】
器配列410aの各器420aは、瓶栓を1つずつ取り外し可能に収容するように構成されている。瓶栓用トレイ400aは箱状の本体を備え、その上面412aが実質的に矩形であり、基盤414aが、瓶栓用トレイの周から外側へ突出している安定化用フランジを形作っている。上面412aと基盤414aとの間にはトレイ壁416aが瓶栓用トレイの周に沿って広がっている。トレイ壁416の内側には、蓋460の突起462aを収容するための1以上の切り込み、すなわち凹み415aが設けられていてもよい。ある実施形態では、トレイ壁416aが上面412aの上方まで広がり、瓶栓用トレイの上部に蓋460を積載するのに便利な空間を形成していてもよい。
【0083】
器配列410aには、間隔を開けて配置されている複数の直線的な器列430aが含まれている。器列430aの間は、瓶栓用トレイ400aの上面412aに形成されている接続網440aによって繋がっている。各器列430aは、間隔を開けて配置されている複数の器420aを含む。各器列430aは更に、間隔を開けて配置されている複数の器420aのそれぞれに繋がっている浅い溝432aを形作っている。各器420aは瓶栓の一部を収容するように構成され、実質的に円筒形であってもよい。直線的な器列430aは互いに平行に間隔を開けて配置されており、それらの間を上面412aの接続網440aが繋げている。
【0084】
各器420aはほぼ円柱形の空洞422aを含む。空洞422aは、トレイの上面412aに位置する接続網440aから下方へ広がっており、器420aの閉じている下端424aを境とする側壁428aによって形成されている。ある特徴として、空洞422aが、第1部分すなわち上部と、第2部分すなわち底部とを含んでいてもよい。上部の直径は底部の直径よりも大きい。これにより、瓶栓が第1部分すなわち上部の中に固定される一方、第2部分すなわち底部は空のままに残される。
【0085】
1つの器列430aの中で各器420aに繋がっている浅い溝432aには、2つの機能がある。第1の機能は、瓶栓用トレイの各器から瓶栓を1つずつ手で取り出しやすくする十分な隙間、すなわち把持用空隙を開けることである。第2の機能は、瓶栓用トレイ内に配置されている瓶栓のいずれについても蒸気による殺菌を可能にすることである。
【0086】
特に溝432aは、器列内で隣接する器の間に十分な隙間、すなわち把持用空隙434aを与えると共に、器に隣接する器列の端にも十分な隙間、すなわち把持用空隙435aを与える。たとえば、把持用空隙434a、435aにより利用者は、器420aに配置されている瓶栓の両側を手で掴むことができる。その結果、利用者は、自身の指または把持用器具を使って各瓶栓を1つずつトレイから容易に取り外すことができる。さらに、これらの把持用空隙434a、435aにより、1つの器列の中で隣接する瓶栓に間隔を開けさせることもできる。その結果、瓶栓相互の汚染が防止され、または最小限に抑えられる。
【0087】
たとえば、把持用空隙434a、435aは、利用者が1つの瓶栓の両側をつまんでその瓶栓を瓶栓用トレイの器420aから取り外すのに十分な隙間を与える。これにより利用者に、同じ器列430aに属する隣の器420aに配置されている瓶栓等、瓶栓用トレイに配置されている他の瓶栓に触れさせること、すなわち他の瓶栓を汚染させることもない。このようなトレイの構成により利用者は、生物安全対策済みのキャビネット等の狭い作業空間でも、トレイから個々の瓶栓を取り外す作業を容易に行うことができる。各器列430aの中で隣接する器420aは浅い溝432aの幅だけ間隔を開けて配置されている。一方、隣接する器列430aの間で隣接する器420aは接続網440aの幅だけ離れている。さらに、浅い溝432aは、瓶栓用トレイに配置されている瓶栓の蒸気による殺菌を可能にする。特に殺菌用の蒸気は各溝432aの中へ導入されるので、各溝に沿って移動する間、(たとえば各瓶栓の上と周囲とを流れることにより)各瓶栓と接触するように流れることができる。空である器の第2部分すなわち底部は、殺菌用の蒸気が溝に沿って流れるのを助けると共に、器の第1部分すなわち上部の中に固定されている瓶栓の下側に接触するのを助ける。
【0088】
瓶栓用トレイ400aはまた、トレイに安定性を与えるように構成されている補強リブ450aも1以上含む。各補強リブ450aは瓶栓用トレイの上面412aに配置されており、器列430aに対して実質上垂直に上面を横切っている。この配置により各補強リブ450aは瓶栓用トレイの上面に剛性を加え、トレイの望ましくないたわみを防ぐ。たとえば、瓶栓用トレイ400aは補強リブ450aを5つ含んでいてもよい。各補強リブ450aは1つの器列の隣接する器の間に配置され、5つの器列のすべてにわたってそれらに対して垂直に伸びている。
【0089】
瓶栓用トレイの蓋460は瓶栓用トレイ400aに取り外し可能に取り付けられ、トレイの各器420aに配置されている瓶栓を固定して保護するように構成されている。蓋460は基盤461を含み、基盤461はその周に沿って広がっている側壁462を含む。側壁462の一部からは1本以上のロック用突起462aが伸びており、トレイ壁416aの内側の切り込み、すなわち凹み415aに嵌まり込み、トレイにその蓋を取り外し可能に固定する。たとえば、ロック用突起462aと切り込み415aとの間の結合は干渉嵌めであってもよい。蓋のフランジ464は蓋の周に沿って側壁462から外側へ突き出ている。フランジ464には広めの把持部464aが含まれ、利用者にトレイから蓋を外しやすくしている。
【0090】
蓋の基盤461の底面からは複数の保持領域466が突出している。各保持領域には瓶栓用トレイ400aの器420aが1つずつ対応付けられている。各保持領域466のサイズと形とは、トレイにその蓋が取り付けられると保持領域466が器420aの中に嵌まるようになっている。さらに、各保持領域466には先端部467が含まれる。先端部467は、トレイにその蓋が取り付けられると、トレイの器420aの中に瓶栓が正しく保持されるように構成されている。各先端部467は実質的に平坦であり、その結果、各瓶栓に接触する表面積が最大限に確保されていてもよい。
【0091】
蓋の基盤461には補強リブ468が1本以上設けられており、蓋に安定性を与えている。各補強リブ468が蓋の基盤の底面から突き出ていてもよい。その上、各補強リブ468が器列430aに対して実質的に垂直に蓋の基盤を横切っていてもよい。たとえば補強リブ468がトレイの補強リブ450aと同じ方向に伸びていてもよい。この配置により蓋の各補強リブ468が蓋の基盤に剛性を加え、望ましくないそのたわみを防ぐ。ある実施形態では、たとえば、トレイの蓋が含む補強リブ468の本数が、トレイの補強リブ450aの本数と同じであってもよい。
【0092】
瓶栓用トレイ400aにその蓋460が取り付けられた後、トレイと蓋とが、1つの滅菌バッグ等、1つのコンテナの中に保存されてもよい。ある特徴として滅菌バッグは、その中にトレイと蓋との組み合わせが収容されたら熱融着で閉じられてもよい。その上、瓶栓用トレイ400aとその蓋460との両方が1種類以上の硬質または半硬質のポリマー材で形成されている。このポリマー材には、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、および/または、瓶栓が保管されている間、その完全な状態を維持するように選択された材料の組み合わせが含まれる。ただし、それらには限られない。
【0093】
更なる実施形態では、所定数の薬瓶を収容する瓶用トレイと共に上記の瓶シール用トレイと瓶栓用トレイとの様々な組み合わせを含む1組のキットが設けられてもよい。このようなトレイ群がたとえば、生物学的な詰め物等に適した小型のキットを形成してもよい。このようなキットにより利用者は、生物安全対策済みのキャビネットやフード付きの実験机等、狭い作業空間での作業の間、各トレイから瓶シールと瓶栓とを1つずつ容易に取り出すことができる。このようなキットの構成により利用者は、瓶シールおよび/または瓶栓の従来の包装方法よりもずっと容易に、各瓶にシールと栓とを組み合わせることができる。さらに、このようなキットにより利用者が各トレイから各部品を個別に取り出すことができるので、瓶シールと瓶栓との汚染の危険性が有意に除去され、または最小限に抑えられる。特に様々な瓶シール用トレイ、瓶栓用トレイ、および瓶用トレイがそれぞれ、瓶シール、瓶栓、および瓶を、間隔を保ってラックのように保持する構造にして、生物安全対策済みのキャビネットを操作する者に、利用に適した状態で(すなわち、各シールと各栓とを掴みやすく、取り付け先の瓶まで運びやすく、その瓶の上に置きやすくして)提供することができる。たとえば、瓶シールはそれらの柔らかい底が上に向けられていてもよく、瓶栓はそれらの上部のフランジが上に向けられていてもよい。それに比べると、従来の大量包装の中から作業台の表面に取り出された瓶用閉塞具は、正しい方向を向いているとは限らない。それらの中には、逆さまであったり、横を向いたりするものがあるはずだからである。
【0094】
図22-
図25を参照すると瓶用トレイの実施形態500が示されている。瓶用トレイ500はほぼ箱形の基盤510を備えており、基盤510は底壁512と、基盤の周に沿って広がっている側壁514とを含む。側壁514の上面は、側壁から横方向へ迫り出しているほぼ平坦なフランジ516を成している。底壁512は、複数の器520を含む瓶保持具配列518を形作っている。各器520は、瓶を1本ずつ取り外し可能に収容して固定するように構成されている。その結果、瓶保持具配列518には複数の瓶600が保持可能である。瓶保持具配列518は、間隔を開けて配置されている複数の直線的な器列530を含み、それらの間は接続網540によって繋がっている。各器列530は、間隔を開けて配置されている複数の器520を含む。各器列530は更に、間隔を開けて配置されている複数の器520のそれぞれに繋がる溝532を形作っている。
【0095】
各器520は、瓶の上部を収容するように構成されている。言い換えると、各器の中に瓶は上下逆さまに挿入される。1つの実施形態では瓶保持具配列518に5つの器列520が間隔を開けて配置されていてもよく、各器列には5つの器520が間隔を開けて配置されていてもよい。各器520のサイズと形とは、そこに収容される瓶と同じサイズと形とであってもよい。こうして瓶保持具配列518は、トレイ1枚当たり最多で25本の瓶を取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では瓶保持具配列518がより多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。瓶用トレイは箱状の方形トレイとして示されているが、他の実施形態ではそれが用途に適している別の形状であってもよい。たとえばトレイの外周が、他の様々な形の中でも、矩形、円形、または楕円形であってもよい。
【0096】
各器520はほぼ円柱形の空洞522を含む。空洞522は接続網540によって形作られており、接続網540は器520の閉じている下端524を形成している。中央に位置して中柱を形成している突出領域526は、閉じている下端524の中央領域から上方へ伸びている。突出領域526は、器520の中に瓶がほぼ上下方向に向き付けられた状態で収容されたときにその瓶を支持するように構成されている。突出領域526は数ある形の中でも、ほぼ十字形であってもよい。各器の断面は、1本の瓶を取り外し可能に保持して固定するように構成されている。ある実施形態では、この構成が隙間嵌めで実現されていてもよい。その場合、各中柱が瓶の位置決めに役立つ。各器列内で各器520に繋がっている溝532は、その器列内で隣接する器の間に十分な隙間を与える。他の実施形態では瓶が干渉嵌めによって固定されてもよい。更に別の実施形態では中柱が省略されてもよい。
【0097】
瓶用トレイ500が更に、蓋すなわちカバー550も備えていてもよい。蓋550は複数の下向きの凹み554を含む。凹み554は互いに、瓶保持具配列518の中の瓶が成す間隔と同じ間隔を開けて配置されている。瓶用トレイの各器520の中では瓶が逆さまであるので、蓋の各凹み554は、各瓶の底部を保持するように配置されている。瓶用トレイの蓋550は基盤510の開口部の中に嵌まる形と寸法とであるので、基盤を閉じてその中に瓶を密封する。
【0098】
先に説明された瓶シール用トレイと瓶栓用トレイと同様に、瓶用トレイ500は1種類以上の硬質または半硬質のポリマー材で形成されている。このポリマー材には、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、および/または、瓶が保管されている間、その完全な状態を維持するように選択された材料の組み合わせが含まれる。ただし、それらには限られない。さらに、γ線に対して安定なポリプロピレン等、γ線照射による殺菌処理が行われても安定な材料が瓶用トレイの形成に利用されてもよい。
【0099】
図26-
図30は瓶用トレイの別の実施形態500aが示されている。瓶用トレイ500aは基盤トレイ510aを備えており、基盤トレイ510aは、その周から横方向へ迫り出しているほぼ平坦なフランジ516aを含む。底部512aは、複数の器520aを含む瓶保持具配列518aを形作っている。各器520aは、瓶600を1本ずつ取り外し可能に収容して固定するように構成されている。その結果、瓶保持具配列518aには複数本の瓶600が保持可能である。瓶保持具配列518aは、間隔を開けて配置されている複数の直線的な器列530aを含み、それらの間は接続網540aによって繋がっている。各器列530aは、間隔を開けて配置されている複数の器520aを含む。各器列530aは更に、間隔を開けて配置されている複数の器520aのそれぞれに繋がる溝532aを形作っている。
【0100】
各器520aは、瓶の上部を収容するように構成されている。すなわち、各器520aの中に瓶は上下逆さまに挿入される。1つの実施形態では、瓶保持具配列518aに5つの器列530aが間隔を開けて配置されていてもよく、各器列に器520aが5つずつ、間隔を開けて配置されていてもよい。各器520aのサイズと形とは、そこに収容される瓶と同じサイズと形とであってもよい。こうして瓶保持具配列518aは、トレイ1枚当たり最多で25本の瓶を取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。他の実施形態では、瓶保持具配列518aがより多数の、またはより少数の器列と器とを含むように構成されていてもよい。
【0101】
各器520aはほぼ円柱形の空洞522aを含む。空洞522aは接続網540aによって形作られており、接続網540aは器520aの閉じている下端524aを形成している。空洞522aの底面は、瓶の上部との接触面積が十分に確保されるように平坦であってもよい。ある実施形態では各器が、瓶を1本ずつ干渉嵌めによって取り外し可能に収容して固定するように構成されていてもよい。1つの器列530aの中で各器520aに繋がっている溝532aは、その器列内で隣接する器の間に十分な隙間を与える。
【0102】
瓶用トレイ500aが更に、蓋すなわちカバー550aも備えていてもよい。蓋550aは、ある実施形態ではたとえばスナップフィット方式により基盤トレイ510aに取り外し可能に取り付けられるように構成されている。他の実施形態では真空バッグがトレイと蓋とを共に保持してもよい。真空バッグ内では、蓋の縁の周りに広がっている分割壁により横方向(すなわちx方向とy方向)においてトレイと蓋との相対位置が制御される。(z方向においては干渉はしない。トレイから蓋は自由に取り外されるからである。)この分割壁は各縁の中央部が1つの切り込み部によって途切れている。瓶用トレイの蓋550aは更に、基盤トレイ510aの器520aのそれぞれに対応付けられている複数の器560aを含む。各器560aは、接続網564aによって形作られているほぼ円柱形の空洞562aを含み、上端566が閉じている。上端566aは、瓶の底部との十分な接触面積が確保されるように平坦面を含む。ある実施形態では蓋の各器が、1本の瓶を干渉嵌めによって取り外し可能に収容して固定するように構成されている。蓋の各器560aに繋がっている溝568aが、器列内で隣接する器の間に十分な隙間を与える。したがって、瓶の上部が基盤トレイ510aの器520aの中に置かれている状態では、瓶の底部が蓋550aの器560aの中に収容されるように、蓋が基盤トレイ510aに取り付け可能である。蓋の器の閉じている上端566aが各瓶の底部に接触し、それを正しい位置に固定する。その結果、瓶用トレイは閉じられた状態では、瓶の上部を上に向けたり下に向けたり等、瓶を違う方向へ向かせることができる。これにより、瓶用トレイまたはその蓋を、互いに接触させることなく取り外すこともできる。
【0103】
この明細書で開示される発明の特定の側面が考慮されているものとして、瓶シール用トレイ、瓶栓用トレイ、瓶用トレイ、およびそれらを組み合わせたキットの特定の実施形態が説明されてきたが、開示されている側面に発明は限定されない。上記のトレイ群とキットとに更なる変形および改良を加えてもよいことは、当業者には自明であろう。さらに、この明細書の詳細な説明からは、この明細書で開示される発明の多くの特徴と利点とが明らかであるので、その発明のそれらの特徴と利点(その発明の意義と範囲とに属するもの)のすべてを添付の特許請求の範囲は目的としている。