(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】スクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定方法および測定装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/17 20060101AFI20240606BHJP
B01D 29/25 20060101ALI20240606BHJP
B01D 29/37 20060101ALI20240606BHJP
C02F 11/125 20190101ALI20240606BHJP
B30B 9/14 20060101ALI20240606BHJP
G01N 5/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B01D29/30 501
C02F11/125 ZAB
B30B9/14 Z
G01N5/00 B
(21)【出願番号】P 2021112497
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】山下 学
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-337344(JP,A)
【文献】特開2020-146614(JP,A)
【文献】特開平03-245808(JP,A)
【文献】特公昭40-023078(JP,B1)
【文献】特開昭63-232810(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1916388(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-37/04
C02F11/00-11/20
B30B9/00-9/32
G01N5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン(2)の内部にスクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(4)を回転自在に内設してろ過室(5)を形成し、ろ過室(5)の一端側から供給された原液を脱水しながら他端側に搬送して脱水ケーキを排出するスクリュープレス(1)において、
予めマーキング装置(10)から検視装置(12)の間のろ過室(5)の全体容積(V)と、脱水ケーキの固形物真比重(ρ2)を算出し、
ろ過室(5)の脱水ケーキにマーキングを施すと同時に、開閉ゲート(17)を閉止して脱水ケーキを計測管(16)に貯留し、
脱水ケーキに施したマーキング部位を排出部(9)にて検知すると同時に、脱水ケーキが計測管(16)に流入する開閉ゲート(15)を閉止して、計測管(16)に貯留している脱水ケーキの全体重量(W)を計測し、
全体容積(V)と、全体重量(W)と、固形物真比重(ρ2)から脱水ケーキの含水率(δ)を算出する
ことを特徴とするスクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定方法。
【請求項2】
前記全体容積(V)を、
マーキング開始時とマーキング部位検知時に、
排出部(
9)で落下せずに付着している脱水ケーキを撮像装置(
13)で撮影して脱水ケーキ量を画像解析
し、
付着脱水ケーキ量の増減分の容積(ΔV)を加味した脱水ケーキ全体容積(V)とする
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定方法。
【請求項3】
前記マーキングは、スクリュー羽根(3)と干渉しない時に施す
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定方法。
【請求項4】
スクリーン(2)の内部にスクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(4)を回転自在に内設してろ過室(5)を形成し、ろ過室(5)の一端側から供給された原液を脱水しながら他端側に搬送して脱水ケーキを排出するスクリュープレス(1)において、
ろ過室(5)内の脱水ケーキにマーキングを施すマーキング装置(10)と、
排出部(9)でマーキングした脱水ケーキを検知する検視装置(12)と、
押圧板(8)周りに付着している脱水ケーキを撮影する撮像装置(13)と、
排出部(9)の下方に開閉ゲート(15,17)を有する計測管(16)と、
計測管(16)に貯留した脱水ケーキの重量を計測する重量計(18)と、
マーキング装置(10)と、検視装置(12)と、撮像装置(13)と、計測管(16)と、重量計(18)と、から脱水ケーキの含水率(δ)を算出する制御装置(19)と、
を備える
ことを特徴とするスクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュープレスから排出される脱水ケーキの測定に関し、特に、排出される脱水ケーキの含水率を連続的に測定する測定方法および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水、し尿、あるいは食品生産加工排水等の有機性汚泥を濃縮・脱水するスクリュープレスは一般に知られている。スクリュープレスは円筒状のスクリーンにスクリュー羽根を内挿してあり、スクリュー羽根を回転して汚泥を搬送しつつスクリーンにて固液分離を行っている。
【0003】
脱水機から排出される脱水ケーキは、主に埋立や焼却、コンポスト等として処理されている。脱水ケーキの含水率が変動すると、処理場からの運送量や運送費に影響するだけでなく、埋立地の容量や焼却処分のための燃料費、コンポスト時間や品質に影響を及ぼす。スクリュープレスに供給される汚泥は季節や時間等により性状が変動しており、スクリュープレスの安定的な運転を行うために、スクリュープレスから排出される脱水ケーキの含水率をリアルタイムに測定する含水率測定方法および測定装置が求められていた。
【0004】
特許文献1には、連続圧入式脱水機の排出部に一対の送受信アンテナを備えたマイクロ波含水率計を設け、脱水ケーキの含水率を直接的かつ連続的に測定する含水率測定方法および装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、スクリュープレスから排出される脱水ケーキに白色光を照射し、反射光の中から脱水ケーキに吸収された波長を測定して含水率を算出する含水率測定方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-337344号公報
【文献】特開昭58-32599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、スクリュープレスの脱水ケーキの含水率測定は、排出部から排出された脱水ケーキの一部をサンプリングし、手動にて含水率計で測定していた。時間も手間も掛かるだけでなく、リアルタイムに汚泥性状の変動に対応できなかった。
【0008】
特許文献1は、マイクロ波含水率計を用いて脱水ケーキの含水率を直接的かつ連続的に測定できるものであるが、手動分析による実際の含水率による補正が定期的に必要であり、長時間補正せずに使用し続けると計測値との誤差が大きくなり、実用的に使えないという問題があった。
【0009】
特許文献2は、詳細な説明に記載のように、汚泥の種類、質によって反射光測定値と含水率が異なる。したがって、単一物から成形されている汚泥には有効であるが、下水汚泥等の多様な固形物で成形されている汚泥には精度が低くなる。また、あらかじめ他の測定器で脱水ケーキの含水率を測定し補正する必要があるので手間が掛かる。
【0010】
本発明は、スクリュープレスから排出される脱水ケーキの含水率の測定について、多様な固形物で成形されている汚泥に対しても、定期的な補正無しで、連続的に自動で測定する測定方法および測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本方法は、スクリーンの内部にスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を回転自在に内設してろ過室を形成し、ろ過室の一端側から供給された原液を脱水しながら他端側に搬送して脱水ケーキを排出するスクリュープレスにおいて、予めマーキング装置から検視装置の間のろ過室の全体容積と、脱水ケーキの固形物真比重を算出し、ろ過室の脱水ケーキにマーキングを施すと同時に、開閉ゲートを閉止して脱水ケーキを計測管に貯留し、脱水ケーキに施したマーキング部位を排出部にて検知すると同時に、脱水ケーキが計測管に流入する開閉ゲートを閉止して、計測管に貯留している脱水ケーキの全体重量を計測し、全体容積と、全体重量と、固形物真比重から脱水ケーキの含水率を算出するもので、連続的にリアルタイムな含水率を計測できる。
【0012】
前記全体容積を、マーキング開始時とマーキング部位検知時に、排出部で落下せずに付着している脱水ケーキを撮像装置で撮影して脱水ケーキ量を画像解析し、付着脱水ケーキ量の増減分の容積を加味した脱水ケーキ全体容積とすると、高精度な含水率の計測が可能となる。
【0013】
前記マーキングをスクリュー羽根と干渉しない時に施すと測定不良を防止できる。
【0014】
本装置は、スクリーンの内部にスクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を回転自在に内設してろ過室を形成し、ろ過室の一端側から供給された原液を脱水しながら他端側に搬送して脱水ケーキを排出するスクリュープレスにおいて、ろ過室内の脱水ケーキにマーキングを施すマーキング装置と、排出部でマーキングした脱水ケーキを検知する検視装置と、押圧板周りに付着している脱水ケーキを撮影する撮像装置と、排出部の下方に開閉ゲートを有する計測管と、計測管に貯留した脱水ケーキの重量を計測する重量計と、マーキング装置と、検視装置と、撮像装置と、計測管と、重量計と、から脱水ケーキの含水率を算出する制御装置と、を備えるもので、連続的にリアルタイムな含水率を高精度に計測できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定方法および測定装置は、ろ過室で搬送されている脱水ケーキにマーキングを施し、所定時間後のマーキング部位が搬送された距離分の脱水ケーキの容積および重量を計測し、確実にリアルタイムな含水率を算出するものである。連続的に自動で測定可能であり、多様な固形物で成形されている汚泥に対しても高精度な含水率の計測が可能となる。測定機器の定期的な補正が不要であり、手間やランニングコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るスクリュープレスの制御フロー図である。
【
図2】同じく、スクリュープレスの排出側の拡大図である。
【
図3】同じく、スクリュープレスのケーキシュートの拡大図である。
【
図4】水を含有する固形物の重量、容積、真比重の関係図である。
【
図5】本発明に係るスクリュープレスのマーキング開始前の概略状態図である。
【
図6】同じく、スクリュープレスのマーキング開始時の概略状態図である。
【
図7】同じく、スクリュープレスのマーキング検知時の概略状態図である。
【
図8】同じく、スクリュープレスの含水率算出後の概略状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係るスクリュープレスの制御フロー図である。符号1はスクリュープレスであって、周部にろ過面を有するスクリーン2にスクリュー羽根3を巻き掛けたスクリュー軸4を内設しており、その間でろ過室5を形成している。スクリーン2の内部に配設したスクリュー軸4は始端側から終端側に向かってテーパー状にその径を増大させ、スクリーン2とスクリュー軸4を延伸方向に向かって相対的な間隔を減少させるようにしている。図示しないスクリュー駆動機にてスクリュー軸4は回転する。
【0018】
スクリュー軸4の始端部には供給管6が連結しており、供給管6はスクリーン2の始端側に開口したスクリュー軸4の供給孔7に連通させている。供給管6から供給孔7を介してろ過室5の始端部に原液を供給する。供給管6は円筒状のスクリーン2、あるいはろ過室5の始端壁に接続してろ過室5に原液を供給してもよい。
【0019】
ろ過室5に供給された原液は、スクリュー羽根3によって始端側から終端側に向かって移送され、スクリーン2からろ液を分離させながら濃縮・脱水するようになっている。ろ過室5で脱水された脱水ケーキは、スクリーン2端部と押圧板8の間に形成された排出部9から排出される。
【0020】
図2はスクリュープレスの排出側の拡大図である。
スクリュープレス1の排出部9近傍のスクリーン2には、ろ過室5内の脱水ケーキにマーキングを施すマーキング装置10を備えている。マーキング装置10はろ過室5内で搬送されている脱水ケーキの一部に着色を施すもので、スクリーン2を貫通して直接的にろ過室5内の脱水ケーキにマーキングを施しても、スクリーン2の外部からろ過面(細孔)を透過して脱水ケーキにマーキングを施してもよい。
【0021】
マーキング装置10は排出部9からスクリュー羽根3の1ピッチ分以内の距離に位置させることが望ましい。
【0022】
なお、マーキング装置10の本体を別部材に取り付けて、本体から延出した供給部の可撓管等のみをスクリーン2に配設してもよい。また、スクリーン2の排出側端部に着脱可能な接続管11を設け、その接続管11にマーキング装置10を配設してもよい。
【0023】
本実施例では無機凝集剤をマーキング液として用いることで脱水ケーキ表面の一部を着色しているが、脱水ケーキと異なる色に着色させるものであれば任意に選択可能である。また、マーキング液にて着色するのではなく、例えば、ろ過室5内の脱水ケーキを加熱または冷却することで変色・温度変化を作用させてもよい。
【0024】
脱水ケーキが搬送されるろ過室5の容積について、予めマーキング装置10から検視装置12(スクリーン2端部近傍の排出部9)の間の容積を算出しておく。後述するように、この容積を占める脱水ケーキの全体重量Wを計測することにより、脱水ケーキの含水率を算出することが可能となる。
【0025】
スクリュープレス1の排出部9ではスクリーン2端部と押圧板8との間隙から脱水ケーキが排出される。スクリーン2端部近傍の排出部9に対向する位置に検視装置12を備え、着色された脱水ケーキを検知するようにしている。
本実施例の検視装置12は光センサーを用い、非接触にて排出される脱水ケーキの色を識別しているが、マーキング装置10の作用に応じて温度・臭気等を検出してもよい。
【0026】
検視装置12の後段に撮像装置13を備えてあり、排出部9から排出される脱水ケーキが落下せずに押圧板8の周りに付着している様子を撮影している。撮像装置13で撮影された画像をもとに、スクリーン2端部から外部に排出されている脱水ケーキの容積を推測する。
【0027】
ろ過室5から排出されて落下していない付着脱水ケーキについて、マーキング開始時の付着脱水ケーキ容積と、マーキング検知時の付着脱水ケーキ容積を比較・解析し、増減分の容積ΔVを算出する。マーキング装置10から検視装置12の間のろ過室容積に増減分の容積ΔVを加味して全体容積Vを算出する。
なお、必要に応じて排出部9の周囲に複数台の撮像装置13…を配置してもよい。
【0028】
図3はスクリュープレスのケーキシュートの拡大図である。
スクリュープレス1の排出部9の下方には、排出部9から排出される脱水ケーキを受けるケーキシュート14を備えている。ケーキシュート14は脱水ケーキを受け易くするために上方を拡開させている。
【0029】
ケーキシュート14の下方には計測管16を連設してあり、計測管16の上部流入側および下部排出側にはそれぞれ開閉ゲート15,17を設けている。開閉ゲート15を開放するとケーキシュート14から脱水ケーキが計測管16に流入し、閉止すると計測管16への脱水ケーキの流入が防止される。また、開閉ゲート17を閉止すると計測管16内に脱水ケーキを貯留し、開放すると脱水ケーキを底部から下方へ排出する。計測管16には重量計18を付設してあり、開閉ゲート17を閉止した際に一時的に貯留した脱水ケーキの重量を計測できる。
【0030】
図4は水を含有する固形物の重量、容積、真比重の関係図である。スクリュープレスから排出される脱水ケーキも水を含有する固形物であり、それぞれの重量W1,W2、容積V1,V2、真比重ρ1,ρ2から求めることができる。
【0031】
脱水ケーキの含水率δは、水重量W1と全体重量Wから下記の式にて算出することができる。
δ=W1/W・・・式1
【0032】
全体容積Vは、水容積V1と固形物容積V2から下記の式にて算出することができる。
V=V1+V2・・・式2
【0033】
ここで、全体容積Vはスクリーン2の内径Dとスクリュー軸4の外径dと、マーキング装置10から検視装置12(スクリーン2端部近傍の排出部9)までの距離Lから下記の式にて算出することができる。
V=(D2-d2)×L×π/4
【0034】
全体重量Wは、水重量W1と固形物重量W2から下記の式にて算出することができる。
W=W1+W2・・・式3
【0035】
水重量W1は、水容積V1と水真比重ρ1から下記の式にて算出することができる。
W1=V1×ρ1
【0036】
ここで、水真比重ρ1は1であるため、水重量W1は水容積V1となる。
W1=V1・・・式4
【0037】
固形物重量W2は、固形物容積V2と固形物真比重ρ2から下記の式にて算出することができる。
W2=V2×ρ2・・・式5
【0038】
式3,4,5より、全体重量Wは、下記の式にて算出することができる。
W=W1+W2
=V1+W2
=V1+V2×ρ2・・・式6
【0039】
式2,6より、全体重量Wは、下記の式にて算出することができる。
W=V1+(V-V1)ρ2
=V1(1-ρ2)+Vρ2
【0040】
したがって、水容積V1は、全体重量Wと固形物真比重ρ2から下記の式にて算出することができる。
V1=(W-V×ρ2)/(1-ρ2)・・・式7
【0041】
式1,4より、脱水ケーキの含水率δは、下記の式にて算出することができる。
δ=W1/W
=V1/W・・・式8
【0042】
式7,8より、脱水ケーキの含水率δは、全体重量Wと全体容積Vと固形物真比重ρ2から下記の式にて算出することができる。
δ=V1/W
=(W-V×ρ2)/((1-ρ2)W)・・・式9
【0043】
ここで、全体容積Vはマーキング装置10から検視装置12(スクリーン2端部近傍の排出部9)の間のろ過室5の容積である。但し、マーキング開始時とマーキング検知時では、押圧板8近傍に付着している脱水ケーキ量に増減がある。これは、マーキング開始からマーキング検知までの間に実際に排出部9から計測管16に落下した脱水ケーキ量が、ろ過室5内の全体容積Vと誤差があることを示している。そのため、それぞれの時の押圧板8近傍の付着脱水ケーキ量を撮像装置13により画像解析し、画像解析から実際に落下した全体重量Wの増減分の容積ΔVを推測して全体容積Vを補正する。
【0044】
固形物真比重ρ2はあらかじめ計測することが可能であり、リアルタイムにスクリュープレス1から排出される全体重量Wと、そのときの全体容積Vを計測すれば、脱水ケーキの含水率δを式9から算出することができる。
【実施例】
【0045】
図5から
図8は、本発明に係るスクリュープレスの一連の概略状態図である。
なお、スクリュープレス
1の運転開始時に、予めマーキング装置
10から検視装置12の間のろ過室5の全体容積Vと、脱水ケーキの固形物真比重ρ2を算出しておく。
【0046】
図5はスクリュープレスのマーキング開始前の概略状態図である。
スクリュープレス1に汚泥を供給し、スクリーン2にて固液分離しつつ排出部9から連続的に脱水ケーキを排出する。排出部9から排出された脱水ケーキは下方のケーキシュート14に落下し、計測管16を通過して外部に搬送される。この時、ケーキシュート14と計測管16の開閉ゲート15,17は開放されている。
【0047】
図6はスクリュープレスのマーキング開始時の概略状態図である。
安定したスクリュープレス1の運転を確認後、マーキング装置10からマーキング液(無機凝集剤)をろ過室5の脱水ケーキ表面に注入する。本実施例の無機凝集剤を注入すると、混合生汚泥ではマーキング部位がイエローに、消化汚泥ではマーキング部位がライトグレーに変色し、目視でも容易に識別できる。
【0048】
注入口径、注入量、注入時間、マーキング液の種類等は、汚泥やスクリュープレスの仕様に応じて適宜選択する。また、マーキング液がスクリュー羽根3と干渉することがないように、予め注入時のスクリュー軸4の回転位置を制御装置19に組み込んでいてもよい。
【0049】
マーキング液の注入と同時に、排出部9からケーキシュート14に落下せずにろ過室5から排出される脱水ケーキと連なって押圧板8近傍に付着している脱水ケーキを撮像装置13で撮影する。付着状況から画像解析して制御装置19にて排出部9以降の脱水ケーキ量を算出する。
【0050】
マーキング液の注入と同時に、計測管16の開閉ゲート17を閉止する。スクリュープレス1から排出される脱水ケーキはケーキシュート14を介して計測管16に貯留される。計測管16に付設した重量計18により計測管16内の脱水ケーキの重量を計測できる。
【0051】
図7はスクリュープレスのマーキング検知時の概略状態図である。
マーキング液を注入後、スクリュープレス1の運転を継続すると、マーキング部位が排出部9に到達し、スクリーン2外部に排出されると同時にマーキング部位を検視装置12にて検知する。
【0052】
マーキング部位の検知と同時に、排出部9からケーキシュート14に落下せずにろ過室5から排出される脱水ケーキと連なって押圧板8の近傍に付着している脱水ケーキを撮像装置13で撮影する。付着状況から画像解析して制御装置19にて排出部9以降の脱水ケーキ量を算出する。
マーキング液注入時とマーキング部位検知時との付着脱水ケーキ量を比較し、増減分の容積ΔVを算出する。増減分の容積ΔVを補正し、実際に計測管16に落下した脱水ケーキの全体容積Vを算出する。
【0053】
マーキング部位の検知と同時に、ケーキシュート14の開閉ゲート15を閉止し、検知時以降の脱水ケーキの計測管16への流入を防止する。
【0054】
計測管16に付設した重量計18により計測管16内の脱水ケーキの全体重量Wを計測する。このとき、計測管16にはマーキング開始からマーキング検知までに排出された脱水ケーキが貯留されている。
【0055】
脱水ケーキの全体容積Vと、脱水ケーキ全体重量Wと、予め算出した固形物真比重ρ2から脱水ケーキの含水率δを算出する。
【0056】
図8はスクリュープレスの含水率算出後の概略状態図である。
脱水ケーキの含水率を算出した後、計測管16の開閉ゲート15,17を開放し、それぞれに貯留されている脱水ケーキを外部に排出する。
【0057】
スクリュー羽根3の厚みによる容積の誤差を減少させるため、マーキング装置10から検視装置12までの距離を乗じてスクリュー羽根3のピッチの整数倍となる距離分だけ測定し、平均化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のスクリュープレスにおける脱水ケーキ含水率測定方法および測定装置は、スクリュープレスのろ過室内の汚泥性状にリアルタイムに応じて脱水ケーキの含水率を計測するもので、安定した含水率の測定精度を維持できる。したがって、処理原液の性状が季節や天候等で刻々と変動し、特に多様な固形物で成形されている下水汚泥を固液分離する連続式のスクリュープレスに対して有効である。
【符号の説明】
【0059】
1 スクリュープレス
2 スクリーン
3 スクリュー羽根
4 スクリュー軸
5 ろ過室
8 押圧板
9 排出部
10 マーキング装置
12 検視装置
13 撮像装置
15,17 開閉ゲート
16 計測管
18 重量計
19 制御装置
V 全体容積
W 全体重量
ρ2 固形物真比重
ΔV 付着脱水ケーキ量の増減分の容積
δ 脱水ケーキの含水率