IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東亞合成株式会社の特許一覧

特許7498889CTLA4とB7タンパク質との結合を抑制するペプチドおよびその利用
<>
  • 特許-CTLA4とB7タンパク質との結合を抑制するペプチドおよびその利用 図1
  • 特許-CTLA4とB7タンパク質との結合を抑制するペプチドおよびその利用 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】CTLA4とB7タンパク質との結合を抑制するペプチドおよびその利用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/47 20060101AFI20240606BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240606BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240606BHJP
【FI】
C07K14/47 ZNA
A61K38/17
A61P43/00 105
C12N15/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020013463
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120355
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-01-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人科学技術振興機構戦略的創造事業[細胞外微粒子](課題名:シグナルペプチド:細胞外微粒子機能の新規マーカー)の委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー小林 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 徹彦
【審査官】小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/093692(WO,A1)
【文献】特表2002-505673(JP,A)
【文献】Anjos S. et al.,J Biol Chem,2002年,Vol. 277,pp. 46478-46486
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTLA4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)と、B7タンパク質であって、B7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方のタンパク質との結合を抑制する人為的に合成された合成ペプチドであって、
配列番号34~36のうちのいずれかに示すアミノ酸配列からなる、合成ペプチド。
【請求項2】
CTLA4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)と、B7タンパク質であって、B7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方のタンパク質との結合を抑制するための組成物であって、
薬学上許容され得る少なくとも一種の担体と、
配列番号34~36のうちのいずれかに示すアミノ酸配列からなる、合成ペプチドと、
を含、組成物。
【請求項3】
インビトロにおいてCTLA4と、B7タンパク質であって、B7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方のタンパク質との結合を抑制する方法であって、
CTLA4と、B7-1またはB7-2とが共存する系に対して、請求項1に記載の合成ペプチドを少なくとも一回供給することを包含する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CTLA4とB7タンパク質との結合を抑制するペプチドおよびその利用に関する。詳しくは、B7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方との結合を抑制する構成のアミノ酸配列を備える合成ペプチドおよびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、がんの治療方法の一つとして、生体の免疫監視機構の働きを利用する、いわゆる「免疫療法」が着目されている。「免疫療法」に関する基礎研究および臨床研究が盛んに行われている。
免疫監視機構は、がん化した細胞(がん細胞、腫瘍細胞)を異物として認識し、除去することができる。このような免疫監視機構の働きによって、がん細胞の増殖、ひいては腫瘍組織の拡大が抑制および阻止され得る。免疫監視機構ががん細胞を除去するに際しては、種々の免疫細胞が関与している。なかでも、T細胞は、腫瘍細胞を除去して腫瘍組織の拡大を阻害する主体となり得る。T細胞は、がんの免疫療法に関する今日の諸研究の主なターゲットとされている。
【0003】
ところで、T細胞の活性化は、例えばT細胞受容体(T cell receptor;TCR)および補助刺激受容体を介したシグナルによって制御されている。例えば腫瘍抗原を提示する抗原提示細胞(樹状細胞等)が、TCRを介して腫瘍抗原の情報をT細胞に伝達するとき、抗原提示細胞上のB7タンパク質(例えば、B7-1:CD80、B7-2:CD86)がT細胞上の補助刺激受容体の1つであるCD28と結合する。そして、T細胞に活性化シグナルが伝達される。
一方、T細胞は、他の補助刺激受容体としてcytotoxic T lymphocyte antigen-4(CTLA4)を発現している。CTLA4は、B7-1およびB7-2と結合し得る。CTLA4は細胞内ドメインとして抑制性モチーフを有しているため、上記結合によって、T細胞に抑制性のシグナルを発生させる。そして、CTLA4とB7-1およびB7-2との結合によってT細胞の活性化が抑制されると、細胞傷害性T細胞の増殖が抑制される。これによって、腫瘍細胞の除去が阻害され得る。そして、このことは、腫瘍組織の拡大を促す要因となり得る。
【0004】
ところで、CTLA4は、今日のがんの免疫療法における重要なターゲットとなっている。特許文献1では、抗CTLA4抗体の投与によって、一部の腫瘍の増殖が抑制されることが確認されている。そして、臨床において、抗CTLA4抗体が治療薬として使用されている(特許文献1、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO00/32231
【非特許文献】
【0006】
【文献】CTLA-4 and PD-1/PD-L1 Blockade: New Immunotherapeutic Modalities with Durable Clinical Benefit in Melanoma Patients, 2013, Clinical Cancer Research, 19, 5300-5309
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、治療薬としての抗CTLA4抗体は、極めて高価である。そのため、当該治療薬による治療によって、例えば、がん医療にかかるコストが深刻な問題となっている。
【0008】
そこで本発明は、高価な抗体を使用しないで、CTLA4とB7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方との結合を抑制し得る技術、即ち、T細胞の表面に発現するCTLA4とB7タンパク質との結合を阻害することによって、T細胞の活性化抑制および細胞傷害性T細胞の増殖抑制を回避することを実現し得る比較的安価なペプチド医薬を提供することを課題(目的)として創出されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、T細胞の膜タンパク質であって、T細胞の機能を抑制し得るタンパク質に着目した。
そして、驚くべきことに、上記のような膜タンパク質であるCTLA4、TIM3、およびLAG3のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列を備えた合成ペプチドが、CTLA4とB7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方との結合を阻害することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、ここで開示される合成ペプチドは、CTLA4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)と、B7タンパク質であって、B7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方(以下、本明細書においては単に「B7タンパク質」ともいう。)との結合を抑制する人為的に合成された合成ペプチドである。
当該ペプチドは、CTLA4とB7タンパク質との結合を抑制するCTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列を備える。
上記CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列は、以下の(1)~(3)に示すアミノ酸配列:
(1)TIM3(T-cell immunoglobulin and mucin domain 3)のシグナルペプチド(signal peptide;SP)を構成するアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加された改変アミノ酸配列からなるTIM3-SP関連配列;
(2)LAG3(Lymphocyte Activation Gene-3)のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加された改変アミノ酸配列からなるLAG3-SP関連配列;および、
(3)CTLA4のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、または、該アミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加された改変アミノ酸配列からなるCTLA4-SP関連配列;
のうちのいずれかである。
好ましい一態様では、ここで開示される合成ペプチドは、総アミノ酸残基数が100以下である。製造コスト、合成のしやすさ、取り扱い性の観点からは、総アミノ酸残基数が80以下(例えば、70以下、60以下、50以下、40以下)であるものがさらに好ましい。
【0011】
好ましい一態様では、ここで開示される合成ペプチドは、上記CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列が、配列番号1~15のうちのいずれかに示すアミノ酸配列である。
【0012】
好ましい一態様では、ここで開示される合成ペプチドは、配列番号34~36のうちのいずれかに示すアミノ酸配列を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの合成ペプチド(CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド)と、薬学上許容され得る少なくとも一種の担体とを備える、CTLA4と、B7タンパク質との結合を抑制する組成物を提供する。
かかる組成物は、ここで開示される合成ペプチドを含むことにより、CTLA4-B7タンパク質結合抑制剤としての利用することができる。
【0014】
また、本発明は、インビトロまたはインビボにおいてCTLA4と、B7タンパク質であって、B7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方との結合を抑制する方法を提供する。
当該方法は、CTLA4と、B7-1またはB7-2とが共存する系に対して、上記合成ペプチドを少なくとも一回供給すること、を包含する。
かかる構成の方法では、ここで開示される合成ペプチドを供給することによって、CTLA4と、B7タンパク質との結合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】試験例2における、CTLA4とB7-1との結合試験の結果を示すグラフである。
図2】試験例3における、CTLA4とB7-2との結合試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。本明細書において特に言及している事項(例えばここで開示される合成ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチドの化学合成法、細胞培養技法、ペプチドを成分とする組成物の調製に関するような一般的事項)は、細胞工学、生理学、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、遺伝学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、アミノ酸を1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
本明細書中で引用されている全ての文献の全ての内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
【0017】
また、本明細書において「合成ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみ独立して自然界に安定的に存在するものではなく、人為的な化学合成あるいは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され、所定の組成物中で安定して存在し得るペプチド断片をいう。ここで「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されないが、典型的には全アミノ酸残基数が概ね100以下のような比較的分子量の小さいものをいう。
また、本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
なお、本明細書中に記載されるアミノ酸配列は、常に左側がN末端側であり右側がC末端側である。
【0018】
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「改変アミノ酸配列」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する機能(即ち、CTLA4と、B7タンパク質との結合抑制性)を損なうことなく、1個から数個(典型的には9個以下、好ましくは5個以下)のアミノ酸残基、例えば、1個、2個または3個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。
例えば、1個、2個または3個のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列:例えばリジン残基とアルギニン残基との相互置換)、あるいは、所定のアミノ酸配列について1個、2個または3個のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいうところの改変アミノ酸配列に包含される典型例である。
従って、ここで実施例として開示される合成ペプチドには、各配列番号のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列で構成される合成ペプチドに加え、各配列番号のアミノ酸配列において1個、2個または3個のアミノ酸残基が置換(例えば、上記の同類置換)、欠失又は付加された改変アミノ酸配列であって、同様にCTLA4-B7タンパク質結合抑制性を示すアミノ酸配列からなる合成ペプチドを包含する。
【0019】
ここで開示される人為的に合成される合成ペプチドは、B7タンパク質との結合を抑制すること(即ち、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性)が本発明者によって見出された天然には存在しない短鎖のペプチドであり、以下の(1)~(3)に示すアミノ酸配列;
(1)TIM3-SP関連配列、
(2)LAG3-SP関連配列、および、
(3)CTLA4-SP関連配列
のうちのいずれかを備えることで特徴付けられるペプチドである。
【0020】
ここで、TIM3-SP関連配列とは、TIM3(T-cell immunoglobulin and mucin domain 3)を構成するタンパク質の、シグナルペプチド(signal peptide;SP)を構成するアミノ酸配列またはその改変アミノ酸配列のことをいう。
TIM3は、典型的には、典型的には301程度のアミノ酸残基からなる膜タンパク質である(UniProtKB-Q8TDQ0)。上掲の非特許文献1には、TIM3はT細胞表面に発現しており、T細胞の機能を抑制し得ることが記載されている。
また、LAG3-SP関連配列とは、LAG3(Lymphocyte Activation Gene-3)を構成するタンパク質の、SPを構成するアミノ酸配列またはその改変アミノ酸配列のことをいう。
LAG3は、典型的には、典型的には525程度のアミノ酸残基からなる膜タンパク質である(UniProtKB-P18627)。上掲の非特許文献1には、TIM3はT細胞表面に発現しており、T細胞の機能を抑制し得ることが記載されている。
【0021】
CTLA4-SP関連配列とは、CTLA4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)を構成するタンパク質の、SPを構成するアミノ酸配列またはその改変アミノ酸配列のことをいう。
CTLA4は、典型的には223程度のアミノ酸残基からなる膜タンパク質である(UniProtKB-P16410)。上掲の特許文献1および非特許文献1には、CTLA4はT細胞表面に発現しており、例えば抗原提示細胞(例えば樹状細胞等)表面に発現するCD80/CD86(B7-1/B7-2)と結合することによって、例えば過剰なT細胞の活性化を抑制する負の調節因子として機能することが記載されている。
【0022】
しかしながら、TIM3、LAG3およびCTLA4のシグナルペプチドそれ自体が、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性を有することは見出されておらず、かかるシグナルペプチドのアミノ酸配列を合成し、人為的に合成されたCTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチドが得られることは、本願出願当時、全く予想されていないことであった。
【0023】
例えば、TIM3、LAG3およびCTLA4をコードする遺伝子(cDNAである場合を包含する。)の情報ならびにアミノ酸配列情報は、種々の公的な国際機関の知識ベース(データベース)にアクセスすることにより取得することができる。例えば、Universal Protein Resource (UniProt)において、種々の生物種由来のTIM3、LAG3およびCTLA4の全アミノ酸配列情報ならびにシグナルペプチドのアミノ酸配列情報を得ることができる。当該データベースによると、少なくともヒト、イヌ、マウス、ラット、ラビット、ブタ等の哺乳類におけるTIM3、LAG3およびCTLA4の情報を取得することができる。
【0024】
本発明の実施に当たって好ましく使用される上記(1)に係るTIM3-SP関連配列は、例えば配列番号1~3にそれぞれ示されている。
具体的には、配列番号1のアミノ酸配列は、ヒト(Homo sapiens)由来のTIM3のシグナルペプチドを構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
なお、上記配列番号1には、ヒト由来のTIM3のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列を示したが、当該配列はあくまでも例示であり、利用可能なアミノ酸配列はこれに限定されない。
【0025】
例えば、配列番号2のアミノ酸配列は、マウス(Mus musculus)由来のTIM3(UniProtKB-Q8VIMO)のシグナルペプチドを構成する合計19アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
例えば、配列番号3のアミノ酸配列は、ラット(Rattus norvegicus )由来のTIM3(UniProtKB-P0C0K5)のシグナルペプチドを構成する合計21アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
【0026】
本発明の実施に当たって好ましく使用される上記(2)に係るLAG3-SP関連配列は、例えば配列番号4~7にそれぞれ示されている。
具体的には、配列番号4のアミノ酸配列は、ヒト(Homo sapiens)由来のLAG3のシグナルペプチドを構成する合計22アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
なお、上記配列番号4には、ヒト由来のLAG3のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列を示したが、当該配列はあくまでも例示であり、利用可能なアミノ酸配列はこれに限定されない。
例えば、上記(2)に係るLAG3-SP関連配列としては、配列番号5に示すアミノ酸配列を使用してもよい。配列番号5のアミノ酸配列は、上記配列番号4のアミノ酸配列のN末端に、6アミノ酸残基が結合したアミノ酸配列である。
【0027】
また、例えば、配列番号6のアミノ酸配列は、マウス(Mus musculus)由来のLAG3(UniProtKB-Q61790)のシグナルペプチドを構成する合計23アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
例えば、配列番号7のアミノ酸配列は、ラット(Rattus norvegicus )由来のLAG3(UniProtKB-Q5BK54)のシグナルペプチドを構成する合計23アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
【0028】
本発明の実施に当たって好ましく使用される上記(3)に係るCTLA4-SP関連配列は、例えば配列番号8~15にそれぞれ示されている。
具体的には、配列番号8のアミノ酸配列は、ヒト(Homo sapiens)由来のCTLA4のシグナルペプチドを構成する合計35アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
なお、上記配列番号8には、ヒト由来のCTLA4のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列を示したが、当該配列はあくまでも例示であり、利用可能なアミノ酸配列はこれに限定されない。
【0029】
例えば、配列番号9のアミノ酸配列は、イヌ(Canis familiaris)由来のCTLA4(UniProtKB-Q9XSI1)のシグナルペプチドを構成する合計35アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号10のアミノ酸配列は、マウス(Mus musculus)由来のCTLA4(UniProtKB-P09793)のシグナルペプチドを構成する合計35アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
さらに、配列番号11のアミノ酸配列は、ラビット(Oryctilagus cuniculus)由来のCTLA4(UniProtKB-42072)のシグナルペプチドを構成する合計35アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号12のアミノ酸配列は、ブタ(Sus scrofa)由来のCTLA4(UniProtKB-Q9MYX7)のシグナルペプチドを構成する合計35アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
【0030】
なお、CTLA4をコードする遺伝子(cDNAである場合を包含する。)の情報ならびにアミノ酸配列情報を、National Center for Biotechnology information (NCBI)において取得することができる。
例えば、配列番号13のアミノ酸配列は、ナイトモンキー(Aotus trivirgatus)由来のCTLA4(GenBank:AAK37530.1)のシグナルペプチドを構成する合計37アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
また、配列番号14のアミノ酸配列は、アヌビスヒヒ(Papio anubis)由来のCTLA4(NP_001106104.1)のシグナルペプチドを構成する合計37アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
さらに、配列番号15のアミノ酸配列は、アカゲザル(Macaca mulatta)由来のCTLA4(NP_001038204.1)のシグナルペプチドを構成する合計37アミノ酸残基からなるアミノ酸配列である。
上記配列番号8~15に示すアミノ酸配列は、いずれもCTLA4-SP関連配列として好ましく採用され得る。
【0031】
ここで開示される合成ペプチドは、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性を失わない限りにおいて、上記CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列以外のその他の配列(アミノ酸残基)部分を含み得る。該その他の配列部分は、例えば、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列の機能(即ち、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性)を、より効果的に実現し得る補助的ペプチド配列であってよい。
【0032】
例えば、補助的ペプチド配列は、合成ペプチドを所定の溶媒に対する溶解性あるいは分散性を向上させることを目的として、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列に付加されるものであってよい。
上記所定の溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、生理食塩水およびリン酸緩衝液(PBS)等の緩衝液、細胞培養液、アルコール(エタノール等)水溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ならびにメタノールおよびエタノール等の低級アルコール等の有機溶媒が挙げられる。合成ペプチドを溶解あるいは分散させる溶媒に応じて、補助的ペプチド配列のアミノ酸配列を適宜決定することができる。補助的ペプチド配列は、例えば複数個(典型的には、例えば20個以下、10個以下、5個以下)の親水性アミノ酸残基を含むものであってよく、複数個(典型的には、例えば20個以下、10個以下、5個以下)の疎水性アミノ酸残基を含むものであってもよい。また、上記所定の溶媒への溶解性あるいは分散性を好ましく設定するために、親水性アミノ酸残基および疎水性アミノ酸残基を組み合わせて補助的ペプチド配列を設計してもよい。
なお、親水性アミノ酸としては、例えば極性アミノ酸(例えば極性無電荷アミノ酸、酸性アミノ酸、および塩基性アミノ酸)が挙げられる。疎水性アミノ酸残基としては、非極性アミノ酸)が挙げられる。
【0033】
補助的アミノ酸配列は、例えば、細胞膜透過性ペプチド(cell penetrating peptide;CPP)として機能するアミノ酸配列(即ち、CPP関連配列)であってもよい。
CPP関連配列としては、従来公知の種々のCPPが挙げられる。例えば、3個以上、好ましくは5個以上であって11個以下、好ましくは9個以下のアルギニン残基からなる、いわゆるポリアルギニン(Rn)は、ここで用いられるCPPとして好適である。その他、公知である種々のCPPを採用することができる。
CPPは、複数個の塩基性アミノ酸を含むことから極性(即ち、塩基性)が高く、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列の極性溶媒(例えば水、PBS、生理食塩水等)への溶解性を高めることができる。
【0034】
特に限定するものではないが、配列番号16~32にCPPとして機能するアミノ酸配列の好適例を示す。具体的には、以下のとおりである。
配列番号16のアミノ酸配列は、FGF2(塩基性線維芽細胞増殖因子)由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLS(核小体局在シグナル:Nucleolar localization signal)に対応する。
配列番号17のアミノ酸配列は、核小体タンパク質の1種(ApLLP)由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号18のアミノ酸配列は、HSV-1(単純ヘルペスウイルス タイプ1)のタンパク質(γ(1)34.5)由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号19のアミノ酸配列は、HIC(human I-mfa domain-containing protein)のp40タンパク質由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号20のアミノ酸配列は、MDV(Marek病ウイルス)のMEQタンパク質由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号21のアミノ酸配列は、アポトーシスを抑制するタンパク質であるSurvivin- deltaEx3由来の合計17アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号22のアミノ酸配列は、血管増殖因子であるAngiogenin由来の合計7アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号23のアミノ酸配列は、核リンタンパク質であってp53腫瘍抑制タンパク質と複合体を形成するMDM2由来の合計8アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号24のアミノ酸配列は、ベータノダウイルスのタンパク質であるGGNNVα由来の合計9アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号25のアミノ酸配列は、NF-κB誘導性キナーゼ(NIK)由来の合計7アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号26のアミノ酸配列は、Nuclear VCP-like protein由来の合計15アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号27のアミノ酸配列は、核小体タンパク質であるp120由来の合計18アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号28のアミノ酸配列は、HVS(ヘルペスウイルスsaimiri)のORF57タンパク質由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号29のアミノ酸配列は、細胞内情報伝達に関与するプロテインキナーゼの1種であるヒト内皮細胞に存在するキナーゼ2(LIM Kinase 2)の第491番目のアミノ酸残基から第503番目のアミノ酸残基までの合計13アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号30のアミノ酸配列は、IBV(トリ伝染性気管支炎ウイルス:avian infectious bronchitis virus)のNタンパク質(nucleocapsid protein)に含まれる合計8アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。
配列番号31のアミノ酸配列は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス:Human Immunodeficiency Virus)のTATに含まれるタンパク質導入ドメイン由来の合計9アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
配列番号32のアミノ酸配列は、上記TATを改変したタンパク質導入ドメイン(PTD4)の合計11アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
配列番号33のアミノ酸配列は、ショウジョウバエ(Drosophila)の変異体であるAntennapediaのANT由来の合計18アミノ酸配列から成る膜透過性モチーフに対応する。
これらのうち、特にNoLSやTATに関連するアミノ酸配列(又はその改変アミノ酸配列)が好ましい。例えば、配列番号29や配列番号30に示すようなNoLS関連のCPP配列、或いは配列番号32、33のTATやANT関連のCPP配列は、ここで開示される合成ペプチドを構築するために好適に用いることができる。
【0035】
上記のようなCPP関連配列を補助的ペプチド配列として備えることによって、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列を上記所定の溶媒に溶解および分散しやすくすることができる。また、例えばCTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列を細胞(培養細胞、培養組織等)等に供給する際、当該ペプチド配列が対象となる細胞の細胞膜を透過しやすくなり得る。例えば、ここで開示される合成ペプチドがCPP関連配列を備えることによって、外部から対象となる細胞へとアプローチしやすくなり得る。あるいは、当該合成ペプチドが細胞膜において局在し、CTLA4とB7タンパク質との結合を、より効果的に抑制し得る。
【0036】
ここで開示される合成ペプチドが、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列および補助的ペプチド配列をともに備える場合、補助的ペプチド配列は、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列の、相対的にN末端側あるいはC末端側に配置されていればよい。例えば、補助的ペプチド配列は、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列の、N末端側あるいはC末端側に、隣接して配置されていることが好ましい。
【0037】
具体的には、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列と補助的ペプチド配列との間に、両配列部分に包含されないアミノ酸残基が存在しないことが好ましい。あるいは、リンカーが存在していても、上記2つの配列を連結させるリンカーとしては、10個以下(より好ましくは5個以下、例えば1個または2個のアミノ酸残基)であることが好ましい。
【0038】
ここで開示される合成ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下であることが適当であり、80以下が好ましく、70以下(例えば、好ましくは40~60程度のペプチド鎖、40個以下のペプチド鎖)が好ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に合成ペプチドを提供することができる。特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はヘリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。
【0039】
合成したペプチド全体のアミノ酸配列に対するCTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列の占める割合は、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性を失わない限り特に限定されないが、当該割合は概ね35個数%以上が望ましく、40個数%以上が望ましく、45個数%以上が望ましく、50個数%以上が望ましく、55個数%以上が望ましく、60個数%以上が好ましい。
合成したペプチド全体のアミノ酸配列に対するCTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列および補助的ペプチド配列の占める割合は、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性を失わない限り特に限定されないが、当該割合は概ね60個数%以上が望ましく、70個数%以上が望ましく、80個数%以上が望ましく、90個数%以上が好ましい。
なお、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、CTLA4-B7タンパク質結合抑制性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部または全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
【0040】
好ましくは、ここで開示される合成ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、合成ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させることができる。例えば、合成ペプチドのC末端をCTLA4-B7タンパク質結合抑制性ペプチド配列部分が構成するとき、該配列部分のC末端アミノ酸残基をアミド化することが好ましい。一方、例えば合成ペプチドが補助的ペプチド配列を含み、該合成ペプチドのC末端を補助的ペプチド配列部分が構成するとき、該配列部分のC末端アミノ酸残基をアミド化することが好ましい。好ましい他の一態様では、例えば配列番号34~36のアミノ酸配列を有する合成ペプチドのC末端アミノ酸残基をアミド化して、合成ペプチドの安定性を向上することができる。
【0041】
ここで開示される合成ペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
ここで開示される合成ペプチドは、市販のペプチド合成機を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
【0042】
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて合成ペプチドを生合成により作製してもよい。即ち、所望する合成ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のポリヌクレオチド(典型的にはDNA)を合成する。そして、合成したポリヌクレオチド(DNA)と該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からペプチドを単離し、必要に応じてリフォールディング、精製等を行うことによって、目的の合成ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0043】
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち合成ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の(株)セルフリーサイエンスから入手可能)が市販されている。
【0044】
ここで開示される合成ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。即ち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、合成ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。また、ポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
こうして得られるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、合成ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
【0045】
ここで開示される合成ペプチドは、CTLA4と、B7タンパク質との結合を抑制する用途の組成物の有効成分として好適に使用し得る。なお、合成ペプチドは、上記結合抑制性を失わない限りにおいて塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る合成ペプチドの酸付加塩を使用することができる。従って、本明細書および特許請求の範囲に記載の「ペプチド」は、かかる塩形態のものを包含する。
【0046】
ここで開示される組成物は、有効成分である合成ペプチドの活性を失わない限りにおいて、使用形態に応じて薬学(医薬)上許容され得る種々の担体を含み得る。例えば、希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体を適用し得る。
ここで開示される組成物の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、水、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。あるいはリポソームであってもよい。また、組成物に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。
組成物(薬剤)の典型的な形態として、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル、軟膏、水性ジェル剤等が挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水または適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
なお、合成ペプチド(主成分)および種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の組成物(薬剤)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。この書籍の全内容は本明細書中に参照として援用されている。
【0047】
ここで開示される組成物(合成ペプチド)のCTLA4-B7タンパク質結合抑制性は、例えば以下のような方法で評価することができる。
CTLA4-B7タンパク質結合抑制性の評価方法は、おおまかにいって、基材表面にCTLA4を配置することと、CTLA4に対してここで開示される組成物(合成ペプチド)を供給することと、B7タンパク質を供給することと、CTLA4に結合したB7タンパク質を検出することとを包含する。
【0048】
当該方法では、まず初めに、基材表面にCTLA4を配置する。配置する手段は特に限定されず、種々のコーティング手段、および固相化手段を用いることができる。例えば、基材表面にCTLA4の溶液あるいは分散液等を所定の期間接触させることによって、基材表面にCTLA4を配置することができる。その条件は特に限定されないが、例えば4℃の温度条件で一晩程度の期間において基材表面とCTLA4を含む溶液(または分散液)とを接触させることが好ましい。
基材としては、その表面にCTLA4を配置できるものであれば、特に限定されないが、例えば樹脂製およびガラス製の基材を使用することができる。例えば、市販されるマイクロプレート、ディッシュ、マイクロビーズ等を好適に使用し得る。例えば基材表面におけるCTLA4の占有率(即ち、配置面積、コーティング率、存在率)を向上させるために、必要に応じて基材の表面に改質処理を行ってもよい。
なお、基材表面におけるCTLA4を配置させる程度は、特に限定されない。
【0049】
次いで、CTLA4に対して、適当量の、ここで開示される組成物(合成ペプチド)を、少なくとも一回供給する。1回当たりの供給量および供給回数は、CTLA4が配置された基材の種類、基材表面における存在率、温度条件等によって異なり得るため特に限定されない。例えば、CTLA4とのインキュベート時における合成ペプチドの最終濃度は、概ね0.1μM以上100μM以下の範囲内、好ましくは1μM以上50μM以下(例えば2.5μM以上25μM以下)の範囲内となることが好ましい。
【0050】
CTLA4に対するB7タンパク質の供給は、上記のようにCTLA4に対してここで開示される組成物(合成ペプチド)を供給した後に行ってもよく、当該組成物(合成ペプチド)の供給と同時に行ってもよい。
例えばCTLA4に対して組成物(合成ペプチド)を供給した後にB7タンパク質を供給する場合は、合成ペプチドが存在する状態でB7タンパク質を供給することが好ましい。
例えばCTLA4に対して合成ペプチドと、B7タンパク質とを同時に供給する場合は、あらかじめ合成ペプチドとB7タンパク質とを所定の期間接触させておいてもよい。
B7タンパク質の、1回当たりの供給量および供給回数は、CTLA4が配置された基材の種類、基材表面における占有率、温度条件等によって異なり得るため特に限定されない。
【0051】
CTLA4に結合したB7タンパク質を検出する方法としては、特に限定されないが、典型的には、例えばBiotin-Streptavidin結合を検出すること、および免疫学的検出方法等が挙げられる。例えばBiotin-Streptavidin結合に基づいてCTLA4に結合したB7タンパク質を検出することが好ましい。例えば、Biotin標識されたB7タンパク質を用い、さらに蛍光標識あるいは酵素標識(例えば、horseraddish由来peroxidase標識およびアルカリフォスファターゼ標識等)されたStreptavidinを好適に使用することができる。
なお、特に限定するものではないが、下記の実施例では、当該結合抑制評価方法の一例が示されている。
【0052】
ここで開示される組成物(合成ペプチド)を用いて、生体内(インビボ)、または、生体外(インビトロ)においてCTLA4と、B7タンパク質との結合を抑制する方法が提供される。当該方法では、CTLA4とB7タンパク質とが共存する系に対して、ここで開示される組成物(合成ペプチド)を少なくとも一回供給することを包含する。
上記「系」は、インビボにおいては、例えば種々の組織、臓器、器官、血液、およびリンパ液等を包含する。上記「系」は、インビトロにおいては、例えば生体から摘出された種々の細胞塊、組織、臓器、器官、血液、およびリンパ液ならびに、セルライン等を包含する。
【0053】
ここで開示される組成物は、従来のペプチド製剤と同様、その形態および目的に応じた方法や用量で使用することができる。例えば、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射によって患者(即ち生体)の患部(典型的には悪性腫瘍組織)に所望する量だけ投与することができる。あるいは、錠剤等の固体形態のものや軟膏等のゲル状若しくは水性ジェリー状のものを、直接所定の組織(即ち腫瘍細胞を含む組織や器官等の患部)に投与することができる。あるいは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。経口投与の場合は、消化管内での消化酵素分解を抑止すべくカプセル化や保護(コーティング)材の適用が好ましい。
【0054】
あるいは、生体外(インビトロ)において培養しているCTLA4発現細胞とB7タンパク質発現細胞に対し、例えばこれらの細胞の共培養下で、ここで開示される組成物の適当量(即ち合成ペプチドの適当量)を、少なくとも1回、対象とする培養細胞(組織等)の培地に供給するとよい。1回当たりの供給量および供給回数は、培養する細胞の種類、細胞密度(培養開始時の細胞密度)、継代数、培養条件、培地の種類、等の条件によって異なり得るため特に限定されないが、培地中の合成ペプチド濃度が概ね0.5μM以上100μM以下の範囲内、好ましくは3μM以上50μM以下(例えば6.25μM以上25μM以下)の範囲内となるように、1回、2回またはそれ以上の複数回添加することが好ましい。
なお、上記CTLA4発現細胞としては、例えばT細胞(培養細胞株、又は生体から摘出された細胞塊又はT細胞を含む組織又は器官である場合を包含する。)、培養細胞に対して従来公知の遺伝子操作(例えばトランスフェクション等)することによって作製されたCTLA4発現細胞等が挙げられる。また、上記B7タンパク質発現細胞としては、抗原提示細胞(培養細胞株、又は生体から摘出された細胞塊又はこれらの細胞を含む組織又は器官である場合を包含する。)、培養細胞に対して従来公知の遺伝子操作(例えばトランスフェクション等)することによって作製されたB7タンパク質発現細胞等が挙げられる。
【0055】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0056】
<試験例1:ペプチド合成>
表1に示す6種のサンプルペプチドを市販のペプチド合成機を用いて製造した。具体的には次のとおりである。
サンプル1は、CTLA4-SP関連配列として配列番号8に示されるヒトCTLA4のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、および、補助的アミノ酸配列として配列番号29に示すアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)をともに備える合成ペプチドである(配列番号34)。
サンプル2は、TIM3-SP関連配列として配列番号1に示されるヒトTIM3のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列、および、補助的アミノ酸配列として配列番号29に示すアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)をともに備える合成ペプチドである(配列番号35)。
サンプル3は、LAG3-SP関連配列として配列番号5に示されるヒトLAG3のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列を含むアミノ酸配列、および、補助的アミノ酸配列として配列番号29に示すアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)をともに備える合成ペプチドである(配列番号36)。
【0057】
サンプル4は、ヒトPD-1のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列である(配列番号37)。
サンプル5は、ヒトPD-1のシグナルペプチドを構成するアミノ酸配列のタンデムリピート配列からなる合成ペプチドである(配列番号38)。
サンプル6は、サンプル1~3の補助的アミノ酸配列である配列番号29に示すアミノ酸配列(LIMキナーゼ2)からなる合成ペプチドである(配列番号39)。
【0058】
【表1】
【0059】
上記サンプルペプチドは、市販のペプチド合成機を用いてマニュアルどおりに固相合成法(Fmoc法)を実施することによって、合成された。なお、ペプチド合成機の使用態様自体は本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。なお、表1に記載した合成ペプチドは、配列番号34~39に示すアミノ酸配列を有するペプチドにおいて、C末端アミノ酸残基のカルボキシル基(-COOH)はアミド化(-CONH)された。
合成したサンプルペプチドは、PBSに溶かされ、ストック液(濃度2.5mM)が調製された。
【0060】
<試験例2:CTLA4とB7-1との結合抑制性の評価試験>
上記試験例1で合成した6種類のサンプルペプチドについて、CTLA4とB7-1との結合抑制性を評価した。
本試験において、以下の表2に示すように、使用するサンプルペプチドの種類とペプチド濃度に応じて試験例2-1~2-9を設定した。また、試験例2-10として、ペプチド無添加区を設定した。以上合計10の区分の試験を、以下のとおり実施した。なお、表2の「No.」欄に記載される数字「1~10」は、本試験例2においては「試験例2-1~2-10」を表している。また、上記各例の試験ウェル数(n)は、いずれも2に設定した。
【0061】
【表2】
【0062】
-試験例2-1-
試験例2-1では、現在市場において入手可能な以下のキット:
CTLA4 B7-1(Biotinylated)inhibitor screening assay kit(BPS Bioscience社製、BPS#72009)
を用いた。上記キットのデータシートに記載された“ASSAY PROTOCOL”に基づき、本試験例を実施した。簡潔な手順を以下に示す。
まず、96穴プレートの各ウェルに、CTLA4をコーティングした。具体的には、96穴プレートの各ウェルに、CTLA4溶液(2μg/ml)を分注し、当該プレートを4℃で一晩インキュベートした。
次いで、CTLA4溶液を除去し、各ウェルを洗浄した。
次いで、ブロッキングを行った。具体的には、キットに含まれるBlocking bufferを各ウェルに分注し、プレートを室温で1時間インキュベートした。
【0063】
次いで、サンプル1の溶液を各ウェルに分注し、プレートを室温で1時間インキュベートした。
次いで、Biotin標識B7-1溶液(1.25ng/ml)を、96穴プレートの各ウェルに分注し、当該プレートを室温で2時間インキュベートした。
上記インキュベーションの後、ペプチド溶液を除去し、各ウェルを洗浄した。
その後、上記のようにブロッキングを行った。
【0064】
上記ブロッキングの後、各ウェルにStreptavidin-HRP溶液(1,000倍希釈液)を分注し、プレートを室温で45分間インキュベートした。
上記インキュベーションの後、Streptavidin-HRP溶液を除去し、各ウェルを洗浄した。
その後、10分間のブロッキングを行った。
【0065】
次いで、Blocking bufferを除去し、上記キットに含まれる化学発光試薬を各ウェルに分注し、各ウェルにおける化学発光強度をluminometerで測定した。
【0066】
各ウェルにおける化学発光強度の平均値から、ブランクウェルにおける化学発光強度の平均値を減じた値を試験例2-1の測定値とした。
【0067】
-試験例2-2-
サンプル1のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-2を行った。
-試験例2-3-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル2のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-3を行った。
-試験例2-4-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル2のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-4を行った。
-試験例2-5-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル3のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-5を行った。
-試験例2-6-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル4のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-6を行った。
-試験例2-7-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル5のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-7を行った。
-試験例2-8-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル6のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-8を行った。
-試験例2-9-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル6のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-9を行った。
-試験例2-10-
サンプルペプチドを添加しなかった以外は、試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例2-10を行った。
【0068】
上記得られた試験例2-1~2-10についての測定値を、図1に示す。
図1に示されるように、サンプルペプチドを添加しなかった試験例2-10では、CTLA4とB7-1との結合が確認された。一方、CTLA4とB7-1との結合は、今回実施したペプチド濃度(5μM、10μM)のいずれにおいても、サンプル1、サンプル2、サンプル3のいずれかを添加することによって、顕著に抑制されることが確認された(試験例2-1~試験例2-5)。一方、サンプル4およびサンプル5のいずれにも、CTLA4とB7-1との結合の抑制作用は確認されなかった(試験例2-6,試験例2-7)。さらに、各サンプル1~5の、補助的配列であるLIMK2のアミノ酸配列からなる合成ペプチドであるサンプル6は、CTLA4とB7-1との結合を抑制しなかった(試験例2-8,試験例2-9)。
上記結果より、サンプル1~3にそれぞれ示されるCTLA4-SP関連配列、TIM3-SP関連配列、およびLAG3-SP関連配列は、優れたCTLA4-B7-1結合抑制性を有することが確認された。
【0069】
<試験例3:CTLA4とB7-2との結合抑制性の評価試験>
上記試験例1で合成した6種類のサンプルペプチドについて、CTLA4とB7-2との結合抑制性を評価した。
本試験において、上掲の表2に示すように、使用するサンプルペプチドの種類とペプチド濃度に応じて試験例3-1~3-9を設定した。また、試験例3-10として、ペプチド無添加区を設定した。以上合計10の区分の試験を、以下のとおり実施した。なお、表2の「No.」欄に記載される数字「1~10」は、本試験例3においては「試験例3-1~3-10」を表している。また、上記各例の試験ウェル数(n)は、いずれも2に設定した。
【0070】
-試験例3-1-
試験例3-1では、現在市場において入手可能な以下のキット:
CTLA4 B7-2(Biotinylated)inhibitor screening assay kit(BPS#79658)
を用いた。上記キットのデータシートに記載された“ASSAY PROTOCOL”に基づき、本試験例を実施した。
なお、上記キットを使用したこと以外は試験例2-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-1を行った。
【0071】
-試験例3-2-
サンプル1のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-2を行った。
-試験例3-3-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル2のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-3を行った。
-試験例3-4-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル2のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-4を行った。
-試験例3-5-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル3のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-5を行った。
-試験例3-6-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル4のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-6を行った。
-試験例3-7-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル5のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-7を行った。
-試験例3-8-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル6のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-8を行った。
-試験例3-9-
サンプル1のペプチドに替えてサンプル6のペプチドを表2に示す濃度で使用した以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-9を行った。
-試験例3-10-
サンプルペプチドを添加しなかった以外は、試験例3-1と同じ材料およびプロセスで試験例3-10を行った。
【0072】
上記得られた試験例3-1~3-10についての測定値を、図2に示す。
図2に示されるように、サンプルペプチドを添加しなかった試験例3-10では、CTLA4とB7-2との結合が確認された。CTLA4とB7-2との結合は、今回実施したペプチド濃度(5μM、10μM)のいずれにおいても、サンプル1~5のいずれかを添加することによって、抑制されることが確認された(試験例3-1~3-7)。CTLA4とB7-2との結合は、サンプル1、サンプル2、サンプル3のいずれかを添加することによって、より強く抑制されることが確認された。各サンプル1~5の、補助的配列であるLIMK2のアミノ酸配列からなる合成ペプチドであるサンプル6は、CTLA4とB7-1との結合を抑制しなかった(試験例3-8,試験例3-9)。上記結果より、特にサンプル1~3にそれぞれ示されるCTLA4-SP関連配列、TIM3-SP関連配列、およびLAG3-SP関連配列は、優れたCTLA4-B7-2結合抑制性を有することが確認された。
【0073】
以上より、CTLA4-SP関連配列、LAG3-SP関連配列およびTIM3-SP関連配列が、優れたCTLA4-B7タンパク質結合抑制性を有することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0074】
上述したように、ここで開示される合成ペプチドおよび組成物によると、CTLA4とB7-1およびB7-2の少なくともいずれか一方との結合を抑制することができる。このように、本発明によって提供される合成ペプチドおよび組成物は、抗CTLA4抗体と同様の活性を有する。そのため、ここで開示される合成ペプチドおよび組成物を使用することによって、例えば、上記抗体を含む抗体医薬品と同様の活性を有する医薬組成物を提供することができる。そして、ここで開示される技術は、医療産業および医学研究等において好適に実施することができる。
【配列表フリーテキスト】
【0075】
配列番号1~39 合成ペプチド
図1
図2
【配列表】
0007498889000001.app