(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20240606BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20240606BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E03C1/22 C
A47K1/14 B
E03C1/23 Z
(21)【出願番号】P 2020141109
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥澤 慶太
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-61264(JP,U)
【文献】実開昭54-162440(JP,U)
【文献】実開昭62-103877(JP,U)
【文献】特開2000-220190(JP,A)
【文献】実開昭53-61333(JP,U)
【文献】実開昭51-146041(JP,U)
【文献】特開2002-146876(JP,A)
【文献】実開昭63-5074(JP,U)
【文献】特開2002-229654(JP,A)
【文献】特開2012-211449(JP,A)
【文献】特開2014-148831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
E03C 1/18-1/184
E03C 1/20-1/298
A47K 1/14
A47K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部の周囲から立設された側壁部と、
前記側壁部の下端において、外側に向けて延設された飛び出し部と、
前記飛び出し部に形成された排水口
とを有する槽体と、
前記排水口を開閉する栓蓋と、
前記栓蓋の操作を行う操作部と、
前記操作部の操作を
前記栓蓋へと伝達する伝達部材と、
前記伝達部材と
前記栓蓋を連結する連結部を備え、
前記連結部は
前記伝達部材が接続される接続部を有し、
前記接続部は、
前記排水口の開口時における
前記栓蓋の変位方向に設けられ
、
前記接続部は前記飛び出し部の外側において前記伝達部材と接続されることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
底壁部の周囲から立設された側壁部と、
前記側壁部の下端において、外側に向けて延設された飛び出し部と、
前記飛び出し部に形成された排水口
とを有する槽体と、
前記排水口を開閉する栓蓋と、
前記栓蓋の操作を行う操作部と、
前記操作部の操作を
前記栓蓋へと伝達する伝達部材と、
前記伝達部材と
前記栓蓋を連結する連結部を備え、
前記連結部は
前記伝達部材が接続される接続部を有し、
前記接続部は、
前記排水口よりも高い位置に設けられ
、
前記接続部は前記飛び出し部の外側において前記伝達部材と接続されることを特徴とする排水栓装置。
【請求項3】
底壁部の周囲から立設された側壁部と、
前記側壁部の下端において、外側に向けて延設された飛び出し部と、
前記飛び出し部に形成された排水口
とを有する槽体と、
前記排水口を開閉する栓蓋と、
前記栓蓋の操作を行う操作部と、
前記操作部の操作を
前記栓蓋へと伝達する伝達部材と、
前記伝達部材と
前記栓蓋を連結する連結部を備え、
前記連結部は
前記伝達部材が接続される接続部を有し、
前記伝達部材の端部は
前記栓蓋と
前記接続部の間に配置され
、
前記接続部は前記飛び出し部の外側において前記伝達部材と接続されることを特徴とする排水栓装置。
【請求項4】
前記接続部は、
前記栓蓋の上方に設けられ、
前記伝達部材は、
前記接続部を押し上げることで
前記栓蓋を変位させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記伝達部材は、
筒状のアウターチューブと、
前記アウターチューブ内を進退するインナーワイヤを有し、
前記インナーワイヤが
前記栓蓋の変位方向に向けて突出するように屈曲された状態で
前記接続部に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記伝達部材は、
端部が
前記接続部の下方に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記排水口は
前記飛び出し部の底面に形成されているとともに、
前記接続部は
前記飛び出し部の上面よりも上方において
前記伝達部材と接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【請求項8】
前記伝達部材は、
前記槽体に対して相対回転自在となるように取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を開閉する排水栓装置に関するものである。
【0002】
槽体の排水口を開閉する排水栓装置として、排水口の開閉を行う栓蓋と、槽体に取り付けられた操作部と、操作部の操作を栓蓋へと伝達する伝達部を備えた構造が知られている。
特許文献1に記載の排水栓装置は、筒状のアウターチューブと、アウターチューブ内を進退するインナーワイヤから構成された伝達部材を備え、操作部に加えられた押動操作によってインナーワイヤが突出し、栓蓋を押し上げることで排水口を開口させる構造となっている。又、栓蓋の昇降状態はロック機構によって保持され、操作部への操作の都度、排水口の開閉を切り替えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の排水栓装置において、伝達部材の一端は槽体の縁部又は側面に取り付けられた操作部に接続され、他端は栓蓋の下方に形成された接続部に対して接続される。従って、伝達部材は槽体の下方において、端部が上方を向くように屈曲する必要があるが、槽体の下方に広い空間を確保することが困難な場合、伝達部材の曲げ半径が小さくなってしまう。この時、施工が困難となるとともに、伝達部材はインナーワイヤが進退する際に生じる摩擦が大きくなることから、栓蓋の開閉に必要な応力が増大し、操作性の低下、インナーワイヤの座屈による部材の破損等の問題が生じる。
【0005】
本発明は上記問題に鑑み、排水栓装置において、施工性を向上させるとともに、栓蓋の開閉に必要な応力を低減させ、操作性の低下や部材の破損を防止する排水栓装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、底壁部の周囲から立設された側壁部と、
前記側壁部の下端において、外側に向けて延設された飛び出し部と、
前記飛び出し部に形成された排水口とを有する槽体と、
前記排水口を開閉する栓蓋と、
前記栓蓋の操作を行う操作部と、
前記操作部の操作を前記栓蓋へと伝達する伝達部材と、
前記伝達部材と前記栓蓋を連結する連結部を備え、
前記連結部は前記伝達部材が接続される接続部を有し、
前記接続部は、前記排水口の開口時における前記栓蓋の変位方向に設けられ、
前記接続部は前記飛び出し部の外側において前記伝達部材と接続されることを特徴とする排水栓装置である。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、底壁部の周囲から立設された側壁部と、
前記側壁部の下端において、外側に向けて延設された飛び出し部と、
前記飛び出し部に形成された排水口とを有する槽体と、
前記排水口を開閉する栓蓋と、
前記栓蓋の操作を行う操作部と、
前記操作部の操作を前記栓蓋へと伝達する伝達部材と、
前記伝達部材と前記栓蓋を連結する連結部を備え、
前記連結部は前記伝達部材が接続される接続部を有し、
前記接続部は、前記排水口よりも高い位置に設けられ、
前記接続部は前記飛び出し部の外側において前記伝達部材と接続されることを特徴とする排水栓装置である。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、底壁部の周囲から立設された側壁部と、
前記側壁部の下端において、外側に向けて延設された飛び出し部と、
前記飛び出し部に形成された排水口とを有する槽体と、
前記排水口を開閉する栓蓋と、
前記栓蓋の操作を行う操作部と、
前記操作部の操作を前記栓蓋へと伝達する伝達部材と、
前記伝達部材と前記栓蓋を連結する連結部を備え、
前記連結部は前記伝達部材が接続される接続部を有し、
前記伝達部材の端部は前記栓蓋と前記接続部の間に配置され、
前記接続部は前記飛び出し部の外側において前記伝達部材と接続されることを特徴とする排水栓装置である。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、前記接続部は、
前記栓蓋の上方に設けられ、
前記伝達部材は、
前記接続部を押し上げることで前記栓蓋を変位させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【0010】
請求項5に記載の本発明は、前記伝達部材は、
筒状のアウターチューブと、前記アウターチューブ内を進退するインナーワイヤを有し、前記インナーワイヤが前記栓蓋の変位方向に向けて突出するように屈曲された状態で前記接続部に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【0011】
請求項6に記載の本発明は、前記伝達部材は、
端部が前記接続部の下方に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【0012】
請求項7に記載の本発明は、前記排水口は前記飛び出し部の底面に形成されているとともに、
前記接続部は前記飛び出し部の上面よりも上方において前記伝達部材と接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【0013】
請求項8に記載の本発明は、前記伝達部材は、
前記槽体に対して相対回転自在となるように取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明によれば、伝達部材を屈曲させるための空間を広く使用することが可能となるため、施工性が向上する。又、伝達部材の曲げ半径を大きく取ることが可能となることから、作動時における摩擦を低減し、操作性を向上させるとともに、座屈による部材の破損を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の排水栓装置を説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって発明が制限して理解されるものではない。
【0017】
図1乃至
図5に示すように、本発明の排水栓装置は、槽体1、操作部2、ロック機構3、伝達部材4、連結部5、栓蓋9から構成される。
【0018】
槽体1は浴室に配置される浴槽であり、洗い場に隣接して配置されている。又、槽体1の底壁部11に形成された排水口15は縁部に取り付けられた操作部2によって遠隔的に開閉可能となっている。槽体1は平面視矩形を成す底壁部11と、当該底壁部11の四隅から上方へ向けて立設された側壁部12から成り、当該側壁部12の内、洗い場と隣接する側壁部12の下端であって、底壁部11と交差する角部13において、飛び出し部14を有している。
飛び出し部14は、平面視側壁部12の中央であって、側壁部12の外側、即ち洗い場側に向けて平面視略コ字状に突出する様に形成されている。又、飛び出し部14は排水口15の直上より上方に向けて延設された筒状の挿通部16が形成されており、当該挿通部16内に連結部5が配置されている。
図2に示すように、排水口15は飛び出し部14の底面を上下方向に貫通する円形の開口であり、槽体1の底壁部11と飛び出し部14の底面の内、最も低い位置に形成されている。当該排水口15は側壁部12の内側面よりも外側に配置されており、平面視において使用者からは目視不可能となっている。
【0019】
操作部2は槽体1の縁部より浴室内に露出するスイッチ部21を有し、当該スイッチ部21に対して押動操作が加えられることによって排水栓装置を作動させ、栓蓋9を昇降させることで排水口15を開閉する。
【0020】
ロック機構3は上端より延設された軸がスイッチ部21裏面に嵌合されており、スイッチ部21に対する押動操作に伴い内部のギアの噛合及び当該噛合の解除が繰り返されることによって、操作の都度排水口15の開口状態の保持と、保持の解除を切り替えることが可能となる。又、ロック機構3は内部にリターンスプリングが配置されており、後述するインナーワイヤをスイッチ部21へと付勢している。
【0021】
伝達部材4は樹脂製且つ筒状のアウターチューブ及びアウターチューブ内に配置された金属製のインナーワイヤから成るレリースワイヤ41と、レリースワイヤ41端部に形成された内筒43及び外筒44から成る筒部42を有している。当該伝達部材4は槽体1の外側且つ飛び出し部14の上方であって、排水口15の開閉時における栓蓋9の変位方向において約180度屈曲し、連結部5の接続部51と接続されるとともに、連結部5を介して栓蓋9へと操作を伝達する。上記伝達部材4は、操作部2に加えられた押動に連動してインナーワイヤがアウターチューブ内を進退するとともに、当該進退に応じて内筒43が外筒44から突出することで操作を伝達する。
【0022】
図3及び
図4に示すように、連結部5は伝達部材4と栓蓋9を連結させる部材であって、伝達部材4が接続される接続部51を有し、連結上部52、連結中部54、連結下部59、支持軸8から構成されている。
連結上部52は円筒状の部材であって、連結中部54を覆う様に取り付けられ、その下端には支持軸8を支承するコ字状の保持部53が形成されているとともに、上端裏面には伝達部材4が接続される接続部51が形成されている。
接続部51は操作部2に対する操作に連動して内筒43が突出した際に当接し、連結上部52を上下方向に変位させる。尚、接続部51は排水口15の開口時における栓蓋9の変位方向であって、本実施形態においては排水口15及び栓蓋9の上方、即ち排水口5よりも高い位置に設けられる。
連結中部54は上端に筒部42が配置される収納部55が形成されているとともに、下端には連結下部59と係合する爪部56が形成されている。収納部55は側面が開放された半円状であり、筒状のカバー57が取り付けられることで当該開放された側面が覆われる。尚、筒部42は収納部55に収納された状態において、筒部42は自身の軸を中心として回転可能となっている。又、連結中部54は下端内部にスプリング58が配置されている。
連結下部59は上方に外鍔部60を有するとともに、下端には飛び出し部14の挿通部16内周と当接するOリングが嵌着されている。又、連結下部59の外周には連結中部54の爪部56と係合する切り欠き61が形成されている。
支持軸8は飛び出し部14の上面を貫通し、下端に形成された溝部81において栓蓋9と係合する棒状であり、上端が保持部53によって連結上部52に支承されている。尚、支持軸8は連結中部54内に配置されたスプリング58によって栓蓋9側に向けて常に付勢されている。
【0023】
上記連結部5は、伝達部材4が挿通されるため、収納部55下方において側面の一部が開口されている。又、連結部5は飛び出し部14に取り付けられた状態において、槽体1に対して回動可能となっている。従って、連結部5は操作部2の取り付け位置に合わせて開口の向きを適宜調整することができる。
【0024】
栓蓋9は排水口15を開閉するパッキンが嵌着された板状の蓋体であって、操作部2からの操作を受けて上下方向に変位する。又、栓蓋9は上面に係合部91、ガイド部92、取手93が形成されている。
係合部91は切り欠きを有する平面視略C字状であって、施工完了時には支持軸8が係合されている。尚、係合部91の内径は支持軸8の外径よりも小径且つ支持軸8下端に形成された溝部81の外径よりも大径である。
ガイド部92は係合部91の両端部から栓蓋9の一端側に向けて平面視扇状に延設されたリブであり、支持軸8を係合部91へ誘導するよう形成されている。
取手93は栓蓋9の他端側へと延設され、栓蓋9と支持軸8を着脱させる際に把持することが可能となっている。
【0025】
上記栓蓋9は係合部91が支持軸8の溝部81に係合されることによって連結されており、排水栓装置の作動時において、支持軸8によって上方より引き上げられることで排水口15を開口するとともに、支持軸8により上方より押し下げられることによって排水口15を閉塞する。
【0026】
以下に、排水栓装置の組み立てについて説明する。
【0027】
まず、槽体1の縁部に操作部2を取り付ける。この時、操作部2から連続する伝達部材4は下方へ向けて延びている。
次に、上記伝達部材4の端部を約180度屈曲させ、上方に向けた状態で連結中部54の収納部55に筒部42を配置し、カバー57を上方から連結中部54に覆い被せることで伝達部材4を連結部5に取り付ける。この時、伝達部材4は排水口15や栓蓋9より上方で屈曲することから、槽体1の外側等の広い空間で伝達部材4を屈曲させることができる。尚、連結部5に取り付けられた状態において、筒部42は回動可能となっている。
次に、連結上部52を上方より連結中部54に覆い被せ、連結中部54下端にスプリング58を配置した後、保持部53に支持軸8を取り付ける。この時、支持軸8はスプリング58によって下方へ向けて付勢される。
次に、連結下部59内に連結中部54を挿入し、爪部56を切り欠き61に係合させることで連結部5の組み立てが完了する。
次に、連結下部59を挿通部16に挿通し、支持軸8を飛び出し部14内に突出させた状態で、C字リング10によって挿通部16に連結部5を取り付ける。この時、操作部2が取り付けられた方向に筒部42や連結部5を回動させることによって、レリースワイヤ41を無理なく屈曲させることができる。
最後に、栓蓋9を側方から支持軸8の溝部81に押し付け、栓蓋9の係合部91を係合させることで施工が完了する。この時、接続部51は栓蓋9の上方に設けられており、伝達部材4の端部である筒部42は栓蓋9と接続部51の間に配置されている。
【0028】
上記排水栓装置は、以下の様に作動する。
【0029】
図4に示すように、栓蓋9が下降状態にある時において、栓蓋9はパッキンが排水口15周縁に当接することによって排水口15を閉塞している。ここで、スイッチ部21に対して押動操作が加えられると、インナーワイヤがアウターチューブ内を栓蓋9側へと摺動するとともに、筒部42の内筒43が外筒44より上方へ向けて突出し、連結上部52の接続部51を上方に向けて押圧する。押圧された連結上部52及び支持軸8が上昇すると、支持軸8と係合された栓蓋9が上方より引き上げられることによって上昇し、排水口15が開口する。又、この時ロック機構3は内部のギアが噛合し、栓蓋9は上昇状態が保持される。
次に、
図5に示すように、上記栓蓋9が上昇した状態より再度スイッチ部21に押動操作が加えられると、ロック機構3内のギアの噛合が解除され、ロック機構3内のリターンスプリングの作用によってインナーワイヤが後退するとともに、内筒43が下降する。この時、連結下部59内のスプリング58によって支持軸8が下方へ向けて付勢され、栓蓋9が下方へ向けて変位するとともに、嵌着されたパッキンが排水口15の周縁に当接することにより、排水口15が閉塞される。
【0030】
上記本発明の排水栓装置は、接続部51が栓蓋9や排水口15よりも上方であって、排水口15の開口時における栓蓋9の変位方向に設けられており、伝達部材4は接続部51を内筒43の突出によって押し上げることで、栓蓋9を変位させて排水口15を開閉させる構造となっている。又、伝達部材4の端部である筒部42は栓蓋9と接続部51の間に配置されている。このように構成することで、伝達部材4を上方に向けて屈曲させ、インナーワイヤを栓蓋9の変位方向に向けて突出させる際に、槽体1の下方の狭い空間に代えて、飛び出し部14の上方等の広い空間を利用することができる。
【0031】
本発明の第一実施形態は以上であるが、本発明は上記第一実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の設計変更を加えても良い。例えば、上記第一実施形態において、栓蓋は上下方向に変位することによって排水口を開閉していたが、排水栓装置の作動による栓蓋の変位方向は上下方向に限られるものではなく、斜め方向に変位することによって排水口を開閉しても良く、
図6に示す第二実施形態のように、略水平方向に変位することによって排水口15を開閉しても良い。この第二実施形態においては、
図6より明らかなように、略水平方向に配置された接続部51と栓蓋9の間に、伝達部材4の端部である筒部42が配置され、栓蓋9が略水平方向に変位することで、排水口15を開閉する構造としている。同様に、伝達部材4の屈曲方向は栓蓋9の変位方向等に応じて適宜設定されても良い。
又、第一実施形態において、排水口は槽体の底壁部に形成されていたが、第二実施形態のように槽体1の底壁部11と側壁部12が交差する角部13に形成されていても良い。
又、本発明の槽体は浴槽に限られるものではなく、洗面ボウルや流し台その他の槽体であっても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 槽体
11 底壁部
12 側壁部
13 角部
14 飛び出し部
15 排水口
16 挿通部
2 操作部
21 スイッチ部
3 ロック機構
4 伝達部材
41 レリースワイヤ
42 筒部
43 内筒
44 外筒
5 連結部
51 接続部
52 連結上部
53 保持部
54 連結中部
55 収納部
56 爪部
57 カバー
58 スプリング
59 連結下部
60 外鍔部
61 切り欠き
8 支持軸
81 溝部
9 栓蓋
91 係合部
92 ガイド部
93 取手
10 C字リング