IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 十条ケミカル株式会社の特許一覧 ▶ 日本精機株式会社の特許一覧

特許7498926帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器
<>
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図1
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図2
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図3
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図4
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図5
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図6
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図7
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図8
  • 特許-帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】帯電防止表示装置、及び、それを備えた車両用計器
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20240606BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240606BHJP
【FI】
G01D11/28 L
G01D11/28 B
B60K35/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020155281
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049198
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】392008024
【氏名又は名称】十条ケミカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】引地 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寿朗
(72)【発明者】
【氏名】大越 徹
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-084502(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110251(WO,A1)
【文献】実開平03-029824(JP,U)
【文献】特開2016-205979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00-13/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に沿って、下方から、少なくとも表示素子と、光透過領域及び光遮蔽部を有する光遮蔽板と、レンズ部材と、を有する帯電防止表示装置を、アナログ計器及びデジタル計器、あるいはいずれか一方に隣接して備えてなる車両用計器であって、
前記光遮蔽板における、前記光遮蔽部が、透光性樹脂基材の所定箇所に、溶剤型遮蔽組成物又は光硬化型遮蔽組成物に由来してなる光遮蔽層を設けて構成してあるとともに、当該光遮蔽層を設けない箇所を光透過領域としてあり、
前記光遮蔽部に、マクベス濃度計で測定される透過濃度が6以上であって、かつ、抵抗率が5×1012Ω・cm以上、1×10 16 Ω・cm以下である光遮蔽層を有することを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
前記光遮蔽板を、前記表示素子の側から、少なくとも第1光遮蔽層と、透光性樹脂基材と、第2光遮蔽層と、を含む多層構造としてあることを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記第1光遮蔽層及び前記第2光遮蔽層が、それぞれ前記溶剤型遮蔽組成物又は前記光硬化型遮蔽組成物から構成してあり、かつ、前記第1光遮蔽層及び前記第2光遮蔽層が、異なる遮蔽組成物から構成してあることを特徴とする請求項2に記載の車両用計器。
【請求項4】
前記光遮蔽板と前記レンズ部材との最短距離が、10mmを超えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用計器。
【請求項5】
前記光遮蔽板と前記表示素子との最短距離が、0.1~3mmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用計器。
【請求項6】
前記透光性樹脂基材が、ポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂を主成分とする基材であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用計器。
【請求項7】
前記表示素子が液晶表示素子であって、前記鉛直方向に沿って、下方に、光源を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用計器。
【請求項8】
前記光遮蔽層を構成する、前記溶剤型遮蔽組成物又は光硬化型遮蔽組成物が、カーボンブラック及び金属酸化物を、それぞれ含有しており、
当該カーボンブラックの含有量を、前記光遮蔽層の全体量に対して、1~30重量%の範囲内の値としてあり、かつ、
前記金属酸化物の含有量を、前記光遮蔽層の全体量に対して、10~60重量%の範囲内の値としてあることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易構造であっても、静電気に起因する表示素子の誤作動と、表示装置内部からの光漏れに起因する表示品質の低下とを、それぞれバランス良く防止できる帯電防止表示装置、及び、そのような帯電防止表示装置を備えた車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として液晶表示素子を含む車両用計器では、静電気に起因する表示素子の誤作動が起きる場合がある。例えば、人に帯電している静電気が、人が車両用計器に触れた際に車両用計器に流入し、誤動作を起こす場合がある。
【0003】
そこで、図8(a)及び(b)に示したように、表示板101と回路基板105との電位差を小さくできるため、上ケース115等から静電気が計器装置100に及んでも、静電気に起因する液晶パネル103の誤動作を防止できる計器装置100が提案されている(特許文献1)。
より具体的には、かかる計器装置100は、開口部101aを備えた表示板101と、開口部101aを通して視認可能に配置された液晶パネル103と、液晶パネル103のバックライトユニット(図示せず)と、液晶パネル103に接続された回路基板105と、これらを保持する保持体107と、を備えている。
【0004】
そして、開口部101aに沿って配置された導電性印刷層109と、導電性印刷層109を回路基板105の基準電圧端子(アース端子)105aに接続する接続部材111と、表示板101の表面であって開口部101aの縁に沿った領域に設けた遮光部113と、を備えた計器装置である。
また、導電性印刷層109は、アルミフレーク等の導電性物質を含有した導電性インクによって形成され、接続部材111は金属材料からなる3つの部材で構成されている。
そして、基準電圧端子105aは、Z型形状の金属製オンボードコンタクトで構成され、遮光部113は黒色インクで構成されている。
【0005】
また、図9(a)及び(b)に示したように、文字板131の裏面の黒色印刷膜133bに滞留する静電気が液晶表示パネル(図示せず)に流入することを、非黒色印刷膜135によって抑止し、表示パネルの不適切な表示の発生を抑制できる車両用計器用の表示板130も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この表示板130は、文字板131と、文字板131に設けた液晶表示パネル用の開口部131aと、文字板131の表面に設けた遮光印刷である黒色印刷膜133aと、文字板131の裏面の開口部131aを囲う周辺部分に設けた非黒色印刷膜135と、文字板131の裏面の非黒色印刷膜135を設けた領域以外の領域に設けた遮光印刷である黒色印刷膜133bと、を備えた表示板である。
【0006】
この表示板130に対して、液晶表示パネル(図示を省略)は、文字板131の、裏面側の開口部131a付近に、密着させて配置される。
また、黒色印刷膜133a、133bは、導電性を有するカーボンブラックと絶縁材料とを含む黒インクで構成され、非黒色印刷膜135は、カーボンブラックを含む黒色印刷膜を有していない印刷膜(白色印刷膜)で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-205979号公報
【文献】特開2015-055502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された計器装置100の場合、帯電防止性のために、導電性印刷層109、接続部材111及び基準電圧端子105aという特別な部材が必要であった。しかも、これらの部材を正確な位置に設ける必要があるため、所定スペースが必要であって、計器装置100の構造が、複雑化及び大型化しやすいという問題が見られた。
また、特許文献1に開示された計器装置100の場合、バックライトユニットからの光漏れを防止するため、導電性印刷層109とは別に、遮光部113を更に設ける必要があり、これによっても、計器装置100の構造が、更に複雑化及び大型化しやすいという問題が見られた。
【0009】
一方、特許文献2に開示された車両用計器の表示板130の場合、文字板131の裏面の、液晶表示パネル133用の開口部131a付近に、非黒色印刷膜135を設け、かつ、文字板131の表面であって、裏面側の非黒色印刷膜135を設けた部分と対向する部分に、遮光性確保のために黒色印刷層を設ける必要があった。
そのため、表示板130の構造が複雑化するばかりか、製造工程が複雑になったり、製造コストを高めたりするという問題が見られた。
また、文字板131の、液晶表示パネル133用の開口部131a付近には、非黒色印刷膜(白色印刷膜)135が設けられているのみであって、液晶表示パネル用バックライトからの光漏れが生じやすいという問題も見られた。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、アース部材を省略した簡易構造であっても、静電気に起因した表示素子の誤作動と、表示装置内部からの光漏れ等に起因する表示品質の低下とを、それぞれバランス良く防止できる帯電防止表示装置、及びそれを備えた車両用計器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の帯電防止表示装置は、鉛直方向に沿って、下方から、少なくとも表示素子と、光透過領域及び光遮蔽部を有する光遮蔽板と、レンズ部材と、を有している。
そして、光遮蔽部に、マクベス濃度計で測定される透過濃度が6以上であって、かつ、抵抗率が5×1012Ω・cm以上の光遮蔽層を有することを特徴とする帯電防止表示装置である。
このような構成とすることにより、アース部材を省略したような簡易構造であっても、レンズ部材の側から表示素子への静電気の流入を防ぎ、誤動作を効果的に防止することができる。
また、表示素子における表示画像の出射面とは反対側である背面側に、所定光源を配置したような場合であっても、レンズ部材側への光漏れ等を、所定の光遮蔽層によってバランス良く抑制することができる。
【0012】
また、本発明の帯電防止表示装置を構成するにあたり、光遮蔽板を、表示素子の側から、少なくとも第1光遮蔽層と、透光性樹脂基材と、第2光遮蔽層と、を含む多層構造としてあることが好ましい。
すなわち、少なくとも透光性樹脂基材における表示素子の側の一方の面に設けた第1光遮蔽層と、透光性樹脂基材のもう一方の面に設けた第2光遮蔽層と、を含む多層構造としてあることが好ましい。
このような構成とすることにより、レンズ部材側から表示素子への静電気の流入、及び、表示素子の背面側からのレンズ部材側への光漏れを、複数の光遮蔽層で抑制することができ、更に良好な光遮蔽性を得ることができる。
【0013】
また、本発明の帯電防止表示装置を構成するにあたり、第1光遮蔽層及び第2光遮蔽層のいずれかが、溶剤型遮蔽組成物又は光硬化型遮蔽組成物であることが好ましい。
このように構成すると、例えば、溶剤型遮蔽組成物の場合、硬化後に、組成物中の含有物が表面に出やすいため、表面の粗さが光硬化型遮蔽組成物に比べて粗くなりやすい。
一方、光硬化型遮蔽組成物の場合、硬化は光照射にて早く完了するため、組成物中の含有物が内部に閉じ込められて、表面の粗さが溶剤型遮蔽組成物に比べて滑らかになりやすい。しかも、上述した硬化メカニズムの違いによって、光硬化型遮蔽組成物の抵抗率は、溶剤型遮蔽組成物に比べて、高くなりやすい。
従って、第1光遮蔽層及び第2光遮蔽層のいずれかを、溶剤型遮蔽組成物又は光硬化型遮蔽組成物で構成することにより、溶剤型遮蔽組成物が及び光硬化型遮蔽組成物が持つそれぞれ固有の特性を利用して、より帯電防止性や遮光性等に優れた帯電防止表示装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明の帯電防止表示装置を構成するにあたり、光遮蔽板とレンズ部材との最短距離が、10mmを超えることが好ましい。
光遮蔽板とレンズ部材との最短距離が所定距離以下の場合、レンズ部材側の静電気の影響が、所定の光遮蔽層による静電気の流入抑制機能を上回る可能性がある。従って、これを防止するためには、光遮蔽板とレンズ部材との最短距離が、10mmを超えることが好ましい。
【0015】
また、本発明の帯電防止表示装置を構成するにあたり、光遮蔽板と表示素子との最短距離が、0.1~3mmの範囲内の値であることが好ましい。
光遮蔽板と表示素子とが接触している場合、本発明の光遮蔽層により流入抑制を図ろうとする静電気が表示素子に流入する危険性が高まる場合がある。一方、光遮蔽板と表示素子との最短距離が広過ぎると光源の光がレンズ部材側に漏れやすくなる場合がある。従って、これらを防止するために、光遮蔽板と表示素子との最短距離を所定範囲内の値とすることが好ましい。
【0016】
また、本発明の帯電防止表示装置を構成するにあたり、透光性樹脂基材が、ポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂を主成分とする基材であることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂いずれも、透明性、耐久性及び光遮蔽層の密着性に優れるからであって、特に、ポリカーボネート樹脂は、耐久性及び光遮蔽層の密着性等に優れることから、好適である。
【0017】
また、本発明の帯電防止表示装置を構成するにあたり、表示素子が液晶表示素子であって、鉛直方向に沿って、当該液晶表示素子の下方に、光源を備えることが好ましい。
このように構成すると、表示素子としての液晶表示素子の背面側に設けた所定光源とともに、表示素子としての汎用品である液晶表示装置を用いることができ、比較的安価かつ安定的に、帯電防止表示装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの帯電防止表示装置を、アナログ計器及びデジタル計器、あるいはいずれか一方の計器に隣接して備えることを特徴とする車両用計器である。
このように構成することによって、簡易構造であっても、静電気に起因した表示素子の誤作動と、表示装置内部からの光漏れに起因する表示品質の低下とを、それぞれバランス良く防止できる帯電防止表示装置を備えた車両用計器を提供することができる。
なお、車両用計器の一部を構成するガイドリングが存在する場合、それと、第1光遮蔽層及び第2光遮蔽層、あるいはいずれか一方と部分的に重複接触させることによって、静電気が飛散しやすい通道にもなる。従って、このように重複接触させることにより、車両用計器における帯電防止表示装置の、静電気に起因した誤作動を更に有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1(a)は、帯電防止表示装置の正面図、図1(b)は、図1(a)中の表示素子及びその周辺部(M部分)を拡大して示した部分的正面図、図1(c)は、図1(a)~(b)中のM部分を図1(b)中のP-P線に沿って切った断面図、図1(d)は、光遮蔽板の一部分(図1(c)のQ部分)の厚み方向に沿った断面図である。
図2図2(a)は、レンズ部材の正面図、図2(b)は、光遮蔽板の正面図、図2(c)は、光源、表示素子及びスピードメーター等を実装する筐体の正面図、図2(d)は、光遮蔽板を厚さ方向に切った断面図である。
図3図3(a)は、レンズ部材の形状が特殊な場合の、レンズ部材との最短距離g2を説明するために供する図であり、図3(b)及び図3(c)は、図3(a)中のP-P線に沿った断面図である。
図4図4(a)は、変形例1の光遮蔽板及び変形例2の光遮蔽板を説明するために供する図であり、図4(b)は、図4(a)中のP-P線に沿った変形例1の光遮蔽板の断面図、図4(c)は、図4(a)中のP-P線に沿った変形例の光遮蔽板の断面図である。
図5図5(a)は、変形例3の光遮蔽板を説明するために供する平面図、図5(b)は、変形例4の光遮蔽板を説明するために供する平面図である。
図6図6は、透過濃度と、光遮蔽板の透け相対値との関係を説明するために供する図である。
図7図7は、抵抗率と、光遮蔽板の帯電防止性相対値との関係を説明するために供する図である。
図8図8(a)は、特許文献1に開示されている計器装置を説明するために供する正面図であり、図8(b)は、図8(a)中のP-P線に沿う計器装置の一部断面図である。
図9図9(a)は、特許文献2に開示された車両用計器の表示板の表面側の平面図、図9(b)は、表示板の裏面側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。また、説明に用いる各図は、本発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。更に、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の符号を付して示し、その説明を省略する場合もある。
【0021】
[第1の実施形態]
本発明の帯電防止表示装置10の実施態様を、液晶表示装置を例にとって、説明する。
すなわち、第1の実施形態は、図1(a)~(d)、図2(a)~(d)に示すように、鉛直方向に沿って、下方から、少なくとも光源11と、表示素子13と、光透過領域15及び光遮蔽部17を有する光遮蔽板19と、レンズ部材21と、を有する帯電防止表示装置10であって、光遮蔽部17に、マクベス濃度計で測定される透過濃度が6以上であって、かつ、抵抗率が5×1012Ω・cm以上の光遮蔽層23を有することを特徴とする帯電防止表示装置10である。
以下、帯電防止表示装置10の各構成部品等について、具体的に説明する。
【0022】
1.光源及び表示素子
(1)光源
表示素子13が、液晶表示素子の場合、所定の画像表示をするための光源11が、表示素子13の背面側に配置してある。
かかる表示素子13の光源11の大きさ、数、発光強度等は、当該表示素子13の表示面積等に応じて適宜変更することができるが、一例として、図2(c)に示すように、筐体33の、表示素子13を搭載する凹部33aの内側に、6個の光源11が、平面的に、所定間隔でもって、格子状に規則正しく配置してある。
また、かかる光源11は、典型的には、小型で、消費電力が少なく、かつ、発光輝度が高いことから、発光ダイオードで構成するのが好ましい。
更に、表示素子13の背面に平板状の導光板や光拡散板を配置して、その側面端部に、発光ダイオードやバックライト(蛍光灯)を配置しても良い。
【0023】
なお、帯電防止表示装置10における遮光性を考慮する光源としては、表示素子13の背面側に配置してある光源11が主対象である。
但し、各種計器である、スピードメーター、タコメーター、シートベルト警告灯等の視認表示ための光源31が存在する場合には、それについても含めることもできる。
そして、かかるスピードメーター等の光源31は、スピードメーター等の各々の位置に対応した、筐体33の適所に設けてある。
更に言えば、かかる光源31を設ける場合であっても、典型的には、小型で、消費電力が少なく、かつ、発光輝度が高いことから、発光ダイオードで構成するのが好ましい。
【0024】
(2)表示素子
また、表示素子13は、帯電防止表示装置10の設計に応じた、所定の画像表示をするための構成部材であって、液晶表示素子や有機EL素子が典型的である。
従って、より具体的に、走行距離、燃費、残留燃料、ギア種類等をはじめとする、種々の任意の情報を表示する構成部材であって、その表示領域が光遮蔽板19の光透過領域15である開口部15aから視認できるように、光源11の上方であって光遮蔽板19の裏面に、固定してある。
また、かかる表示素子13の一例として、平面形状が長方形の液晶表示素子等が好適である。
更に、光源11から出射された光を表示素子13の背面全域に均一に照射できるように、光源11と、表示素子13との間に、拡散板(図示せず)を設けることが好ましい。
【0025】
なお、表示素子13は、光遮蔽板19の裏面の一部(周囲や縁)に接触する場合があっても良いが、光遮蔽板19と表示素子13との最短距離g1(図1(c)参照)を、0.1~3mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光遮蔽板19と表示素子13とが接触している場合、光遮蔽層23により流入抑制を図ろうとする静電気が表示素子13に流入する危険性が高まって、本発明の目的とする効果が得られない場合があるためである。
一方、光遮蔽板19と表示素子13との最短距離g1が広過ぎると、光源11の光がレンズ部材21側に漏れてしまうためである。
従って、これらのことから、この実施形態では、光遮蔽板19と表示素子13との最短距離g1を0.2~1mmの範囲内の値にすることがより好ましく、0.25~0.4mmの範囲内の値にすることが更に好ましい。
【0026】
2.光遮蔽板
(1)主機能
光遮蔽板19は、少なくとも光透過領域15及び光遮蔽部17を有する構成部材である。
ここで光透過領域15とは、表示素子13の開口部15aや、帯電防止表示装置10の設計に応じて任意の領域に配置される領域のことである。
また、かかる光透過領域15は、具体的には、ウインカーの表示領域、シートベルト未固定時の警告表示領域、ガソリン残量低下時の警告表示領域等を表示する任意領域である。
一方、光遮蔽部17は、光透過領域15以外の領域において、光遮蔽板19の下方の光源11や光源31から光が光遮蔽板19から上方に漏れることを防止して、当該帯電防止表示装置10での表示品質を高める領域である。
更に、かかる光遮蔽板19は、当該帯電防止表示装置10に及ぶ静電気、典型的には、レンズ部材21側から表示素子13に及ぶ静電気に起因する表示素子13の誤動作を抑制するための構成部材である。
なお、光透過領域15及び光遮蔽部17を有する光遮蔽板19の構成の典型的としては、透光性樹脂基材19aの所定領域に、光遮蔽層23を設けて光遮蔽部17を形成し、光遮蔽層23を設けない箇所を光透過領域15としてなる構成である。
【0027】
(2)光遮蔽層
光漏れ防止及び表示素子13の誤作動防止のため、光遮蔽板19は、光遮蔽部17に、マクベス濃度計で測定される透過濃度が6以上であって、かつ、抵抗率が5×1012Ω・cm以上の光遮蔽層23を有していることを特徴とする。
この理由は、マクベス濃度計で測定される光遮蔽層23の透過濃度を6以上の値とするのは、それに対応して、光源11からの所定波長の光において、それと相当の相関関係を有する光透過率を0.0001%以下の値とすることができ、結果として、良好な遮光性(光漏れ防止)を得るためである。
従って、光遮蔽層23のマクベス濃度計で測定される透過濃度を6.1~8の範囲内の値とすることがより好ましく、6.2~7の範囲内の値とすることが更に好ましい。
ここで、図6に、透過濃度を横軸とし、後述の実施例における評価3-1である透け評価の相対値(◎:5、〇:3、△:1、×:0)を縦軸として、その相対値をグラフ化する。また、T1は、透光性樹脂基材19aの両面に光遮蔽層23を設けた光遮蔽板19に関するグラフであり、T2は、透光性樹脂基材19aの片面に光遮蔽層23を設けた光遮蔽板19に関するグラフである。
図6によれば、透過濃度の増加に伴って透け相対値も緩やかに上昇していることが理解できる。そして、同じ透過濃度であっても、透光性樹脂基材19aの両面に光遮蔽層23を設けた方が、透け評価の相対値が良くなっていることが理解できる。
【0028】
また、光遮蔽層23の抵抗率を5×1012Ω・cm以上の値が良いとするのは、このような抵抗率であれば、アース部材を省略したような簡易構造であっても、レンズ部材21の側から表示素子13への静電気の流入を防ぎ、誤動作を効果的に防止するためである。
より具体的には、GND板等のアース部材を省略し、特に設けなくとも、光遮蔽層23の抵抗率が所定値以上であることから、静電気の電荷移動速度が遅延され、レンズ部材側に静電気が発生したとしても、当該静電気が表示素子13に及ぶことを防止できると考えられるためである。
但し、光遮蔽層23の抵抗率が過度に大きくなると、静電気の電荷移動速度が過度に遅くなって、帯電防止性が不十分になる場合がある。
従って、光遮蔽層23の抵抗率を1×1013~1×1016Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1×1014~5×1015Ω・cmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、かかる抵抗率は、四端子法によって測定される値であり、具体的な測定条件については、後述する実施例1において詳細に記載する。
ここで、図7に、抵抗率(Ω・cm)を横軸(対数軸)とし、後述の実施例における評価4である帯電防止性評価の相対値(◎:5、〇:3、△:1、×:0)を縦軸として、その値をグラフ化する。また、U1は、透光性樹脂基材19aの両面に光遮蔽層23を設けた光遮蔽板19に関するグラフである。
図7によれば、抵抗率の増加とともに帯電防止性は向上し、抵抗率が1×1012~1×1013Ω・cmの範囲内において急激に上昇することが理解できる。また、帯電防止性は、抵抗率が1×1013~1×1014Ω・cmの範囲内において緩やかに上昇し、その後、抵抗率の上昇が飽和していることが理解できる。
【0029】
また、図1(d)及び図2(d)に示すように、光遮蔽板19を、透光性樹脂基材19aと、この透光性樹脂基材19aの第1面に設けた第1光遮蔽層23aと、透光性樹脂基材19aの第2面に設けた第2光遮蔽層23bと、を含んでなる多層構造としてあることも好ましい。
すなわち、透光性樹脂基材19aの片面に、マクベス濃度計で測定される透過濃度が6以上であって、かつ、抵抗率が5×1012Ω・cm以上の第1光遮蔽層23aを含むとともに、その反対面に、透過濃度が6以上であって、かつ、抵抗率が5×1012Ω・cm以上の第2光遮蔽層23bとを含む多層(透光性樹脂基材19aを含んで3層構造)とすることも好ましい。
なお、3層構造とする場合、第1光遮蔽層23aと第2光遮蔽層23bの透過濃度や抵抗率は、それぞれ同じでも、異なっていても良い。
【0030】
(3)透光性樹脂基材
透光性樹脂基材19aは、通常、可視光透過率が80%以上の樹脂材料から構成されてなるフィルム状基材とすることが好ましい。
この理由は、このようなフィルム状基材からなる透光性材料であれば、表示素子13から出射された画像表示光の視認性を過度に低下させることなく透過させることができるためである。また、フィルム状基材であれば、光遮蔽層23の形成が容易になって、厚さも均一化され、より効果的な遮光性が得られるためである。
従って、透光性樹脂基材19aは、可視光透過率が90%以上の樹脂材料から構成することがより好ましく、可視光透過率が95%以上の材料から構成されてなるフィルム状基材とすることが更に好ましい。
【0031】
また、より具体的な透光性樹脂基材19aとしては、ポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂を主成分とする基材であることが好ましい。
この理由は、ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂いずれも、透明性、耐久性及び光遮蔽層23の密着性に優れるためである。
特に、ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐久性及び光遮蔽層23の密着性に優れることから特に好ましい。
一方、ポリエステル樹脂は、ポリカーボネート樹脂に比べ、透明性にはより優れているものの、光遮蔽層23の密着性に劣る場合があるが、そのようなときは、易接着性ポリエステル樹脂を用いれば良い。また、ポリエステル樹脂は、比較的安価であって、汎用性が高いという利点もある。
【0032】
また、透光性樹脂基材19aの厚さは、強度・コスト等を考慮して、帯電防止表示装置10の設計に応じた所定厚さとすることができるが、通常、厚さを10~1000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、透光性樹脂基材19aの厚さが10μmとなると、光遮蔽層23を形成する際の取り扱い性や機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
一方、透光性樹脂基材19aの厚さが1000μmを超えると、逆に、光遮蔽層23を形成する際の取り扱い性や、帯電防止性が低下したりする場合があるためである。
従って、透光性樹脂基材19aの厚さを50~750μmの範囲内の値とすることがより好ましく、100~500μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0033】
(4)光遮蔽層の構成材料
光遮蔽層23の構成材料としては、通常、溶剤型遮蔽組成物及び又は光硬化型遮蔽組成物が好ましい。
ここで、溶剤型遮蔽組成物としては、例えば、熱可塑性樹脂と、透過濃度及び抵抗率を制御するための着色剤と、抵抗率をより細かく、かつ比較的高く制御するための金属酸化物と、を含んで構成することが好ましい。
【0034】
また、光硬化型遮蔽組成物としては、例えば、光硬化性樹脂と、透過濃度及び抵抗率を制御するための着色剤と、抵抗率をより細かく制御するための金属酸化物と、を含んで構成することが好ましい。
そして、光硬化性樹脂としては、所定の光硬化性モノマーやオリゴマー(典型的には、アクリル系モノマーやオリゴマー)、粘度調整剤としての熱可塑性樹脂や熱可塑性オリゴマー(典型的には、ウレタン系モノマーやオリゴマー)、更には、光開始剤等を含んで構成することができる。
【0035】
但し、光遮蔽層23を形成する前段階では、溶剤型遮蔽組成物、光硬化型遮蔽組成物いずれも、スクリーン印刷性や保存安定性が良好なことから、所定有機溶媒を含むことが好ましい。
そして、室温(25℃)で、粘度100~1000000mPa・Sの液状物であることが好ましい。
【0036】
また、光遮蔽層23の構成材料としての熱可塑性樹脂として、通常、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、また、それらを構造単位とする共重合体から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
更に、これらの中でも、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂の中から選ばれる一種、又は二種以上であることが好ましく、アクリル樹脂と、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂とを併用することが更に好ましい。
【0037】
また、着色剤としては、公知の顔料を使用することができ、例えば白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、及び硫化亜鉛、銀色顔料としては、アルミペースト、黒色顔料としては、カーボンブラック、アゾメチンアゾ系顔料、及びペリレン系顔料から選ばれる少なくとも一種を、それぞれ含有することが好ましい。
これらの中でも、特に隠蔽性に優れた光遮蔽層23を形成でき、更には、マクベス濃度計で測定される透過濃度及び抵抗率を精度良く制御することから、カーボンブラックを使用することがより好ましい。
【0038】
また、各種カーボンブラックのうち、結晶構造を有さず、反応性に富む無定形炭素物質、すなわち、末端を水素とのダングリングボンドとしてなる水素化無定形炭素であることが好ましい。
この理由は、このような水素化無定形炭素であれば、各種樹脂と反応しやすく、比較的少量の配合で、相当の隠蔽性や黒色外観を得ることができるためである。
従って、水素化無定形炭素の一例として、JIS K 6217-7に規定される、ガス吸着法に基づくSTSA(統計的厚さ比表面積)が30~60m2/g、DBP(フタル酸ジブチルエステル)吸収量が30~60ml/100gの水素化無定形炭素であることがより好適である。
【0039】
また、着色剤(カーボンブラック等)の含有量は、得られる光遮蔽層23の抵抗率や遮蔽性(透過濃度等)、更には、金属酸化物の併用量等を考慮して適宜定められるが、通常、光遮蔽層23の構成材料の全体量(固形分換算、以下同様である。)に対して、通常、1~30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる着色剤の含有量が1重量%未満となると、金属酸化物を相当量併用しても、得られる光遮蔽層23の抵抗率や遮蔽性(透過濃度等)は著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる着色剤の含有量が30重量%を超えると、均一に分散することが困難となるばかりか、得られる光遮蔽層23の抵抗率が過度に低くなる場合があるためである。
従って、かかる着色剤の含有量を、光遮蔽層23の構成材料の全体量に対して、3~12重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、5~20重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0040】
また、金属酸化物としては、絶縁性、及び遮光性が得られる等を考慮し、金属系の複合酸化物が好ましい。
このような、金属系の複合酸化物としては、例えば、Ti-Ni-Sb系、Fe-Zn、Fe-Zn-Ti系、Ti-Ba-Ni系、Co-Al系、Co-Cr-Al系、Ti-Co-Ni-Zn系、Co-Zn-Cr-Ti系、Co-Zn-Ni-Ti系、Ti-Cr-Sb系、Cr-Fe系、Fe-Zn-Cr系、Fe-Cr系、Co-Fe-Cr系、Cu-Cr-Mn系等が挙げられる。
すなわち、鉄、銅、クロム、ニッケル、アンチモン、マンガン、コバルト、アルミニウム、チタン、亜鉛などから選ばれる二種以上の金属元素からなる金属酸化物が挙げられ、これらは一種、又は複数種を用いることができる。
また、これらの金属酸化物の中でも、より良好な遮光性が得られ、かつ、所望の抵抗率が得られやすいことから、硬化膜とした場合に黒色膜が形成できるFe-Cr系、Co-Fe-Cr系、Cu-Cr-Mn系の複合酸化物を用いることがより好ましい。
【0041】
また、金属酸化物の含有量は、得られる光遮蔽層23の抵抗率や遮蔽性(透過濃度等)、更には、着色剤(カーボンブラック等)の併用量等を考慮して適宜定められるが、通常、光遮蔽層23の構成材料の全体量に対して、通常、10~60重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金属酸化物の含有量が10重量%未満となると、カーボンブラック等を相当量併用しても、得られる光遮蔽層23の抵抗率や遮蔽性(透過濃度等)が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる金属酸化物の含有量が60重量%を超えると、均一に分散することが困難となるばかりか、得られる光遮蔽層23の抵抗率が過度に低くなる場合があるためである。
従って、かかる金属酸化物の含有量を、光遮蔽層23の構成材料の全体量に対して、15~55重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、20~50重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0042】
また、金属酸化物の含有量は、着色剤(カーボンブラック等)と併用する場合、その併用量を考慮して定めることも好ましい。
すなわち、金属酸化物の含有量を、着色剤100重量部に対して、110~500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金属酸化物の含有量が110重量部未満になると、カーボンブラック等を相当量併用しても、得られる光遮蔽層23の抵抗率や遮蔽性(透過濃度等)が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる金属酸化物の含有量が500重量部を超えると、均一に分散することが困難となるばかりか、得られる光遮蔽層23の抵抗率が過度に低くなる場合があるためである。
従って、かかる金属酸化物の含有量を、着色剤100重量部に対して、150~450重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、200~400重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0043】
(5)光遮蔽層の形成方法
光遮蔽層23が、単層の場合には、典型的には、以下の方法で得ることができる。
先ず、透光性樹脂基材19a上に、例えばスクリーン印刷法によって、光硬化型遮蔽組成物又は溶剤型遮蔽組成物を塗布する。
次いで、用いた材料が溶剤型遮蔽組成物の場合は、加熱によって、また、光硬化型遮蔽組成物の場合は所定波長の光照射によって、塗布膜を硬化させることによって、光遮蔽層23を形成することができる。
そして、光遮蔽層23の厚さは、スクリーン印刷法に用いるスクリーンメッシュ、スクリーンの厚さ、固形分濃度、及び遮蔽組成物の粘度等を適宜調整することによって、所望範囲に制御することができる。
すなわち、光遮蔽層23の厚さを1~30μmの範囲内の値とすることが好ましく、3~15μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5~8μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
逆に言えば、光遮蔽層23の厚さが5~8μm程度の薄膜であっても、良好な帯電防止性(抵抗率)や遮光性との間の良好なバランスをとることができる。
【0044】
一方、光遮蔽層23が、透光性樹脂基材19aを挟んで、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bを含む多層の場合には、典型的には、以下の方法で得ることができる。
先ず、透光性樹脂基材19a上に、例えば、スクリーン印刷法によって、光硬化型遮蔽組成物又は溶剤型遮蔽組成物のいずれかを選択して塗布する。
次いで、用いた材料が溶剤型遮蔽組成物の場合は、加熱によって、また、光硬化型遮蔽組成物の場合は所定波長の光照射によって、塗布膜を硬化させることによって、先に第1光遮蔽層23aを形成する。
次いで、透光性樹脂基材19aの反対面に、例えば、スクリーン印刷法によって、光硬化型遮蔽組成物又は溶剤型遮蔽組成物のいずれかを選択して塗布する。
次いで、用いた材料が溶剤型遮蔽組成物の場合は、加熱によって、また、光硬化型遮蔽組成物の場合は所定波長の光照射によって、塗布膜を硬化させることによって、第2光遮蔽層23bを形成し、これにより多層の光遮蔽層23を形成することができる。
【0045】
なお、多層の場合であっても、第1光遮蔽層23a、第2光遮蔽層23bの各々の厚さにつき、それぞれ単層の場合と同様に、スクリーン印刷法に用いる組成物の粘度や固形分濃度等を適宜調整することによって、所望範囲に制御することができる。
すなわち、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bの合計厚さを1~30μmの範囲内の値とすることが好ましく、3~15μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5~8μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0046】
その他、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bを含む多層の場合に、双方を溶剤型遮蔽組成物で構成した場合、後に形成する層が最初に形成した層の溶媒の影響を受けて、光遮蔽層23の品質に好ましくない場合がある。
そのため、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bの一方を溶剤型遮蔽組成物で構成し、他方を光硬化型遮蔽組成物から構成すると、溶剤型遮蔽組成物を先に用いることによって、溶媒の影響を軽減することができる。
【0047】
また、溶剤型遮蔽組成物の場合、硬化後に、組成物中の含有物が表面に出やすいため、表面の粗さが光硬化型遮蔽組成物に比べて粗くなる場合がある。
一方、光硬化型遮蔽組成物の場合、硬化は光照射にて早く完了するため、組成物中の含有物が内部に閉じ込められて、表面の粗さが溶剤型遮蔽組成物に比べて滑らかとなる場合が多い。しかも、上述した硬化メカニズムの違いによって、溶剤型遮蔽組成物の抵抗率は、光硬化型遮蔽組成物に比べて、高くなる場合が多い。
よって、所定のこのような両者の特性の違いを利用して、単層あるいは多層の光遮蔽層23を形成することも好ましい。
【0048】
3.レンズ部材
レンズ部材21は、表示素子13に表示される表示を運転者に見や易くする部材であり、かつ、光遮蔽板19、スピードメーターやタコメーターの針等を保護する機能も有するものである。従って、レンズ部材21と言えど、拡大機能を有していてもいなくても、設計に応じて任意とできる。ただし、耐久性に優れることが要件である。
【0049】
かかるレンズ部材21は、任意好適な材料で構成することができるが、通常、透明性や機械的強度等が優れていることから、アクリル樹脂(MMA樹脂)、ポリカーボネート樹脂、又はポリエステル樹脂を主成分とする部材であることが好ましい。
これらのうち、特に、耐候性、汎用性に優れ、かつ、容易に射出成型等によって、所望の形態に加工できることから、アクリル樹脂(MMA樹脂)であることが特に好ましい。
【0050】
また、レンズ部材21は、図1(c)に示すように、光遮蔽板19の表面と平行な板状物であっても良いし、又は、図3(b)に示すように、光遮蔽板19の表面と非平行な板状物や、図3(c)に示すように、曲面を有したものであっても良い。
すなわち、レンズ部材21は、それが使用される各種車両用機器の態様に対応させて、各種形状とすることが好ましい。
【0051】
なお、図1(c)に示すように、光遮蔽板19と、レンズ部材21との最短距離g2を10mmを超すことが好ましい。
この理由は、光遮蔽板19とレンズ部材21との最短距離g2が10mm以下の至近距離の場合、レンズ部材21側の静電気の影響が本発明の光遮蔽層23による静電気の流入抑制機能を上回る可能性があり、静電気の影響の低減が図れない場合があるからである。
そして、かかる最短距離g2が10mmを超えるのが良いと言えども、その上限は当該帯電防止表示装置10に求められる厚さや、表示の見易さ等を考慮して決めることが好ましい。
従って、光遮蔽板19と、最短距離g2を11~20mmの範囲内の値とすることがより好ましく、更に好ましくは12~15mmの範囲内の値とすることである。
【0052】
[第2の実施形態]
第1の実施形態の帯電防止表示装置10では、光遮蔽板19を、透光性樹脂基材19aと第1光遮蔽層23aと第2光遮蔽層23bとの3層構造で構成したが、光遮蔽板19の構成はこれに限られない。
第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、光遮蔽板19の層構造が異なる変形例である。
具体的には、図4において、変形例1の光遮蔽板19bと変形例2の光遮蔽板19cの2つの変形例を示してある。
【0053】
ここで、図4(b)に示す、変形例1の光遮蔽板19bは、透光性樹脂基材19aと、その一方の主面に設けた、一つの光遮蔽層23との2層構造(この構造を単層と称する場合もある。)で構成したものである。
このように2層構造とすることによって、光遮蔽板19bの形成に際して、1回塗布、1回加熱処理、又は1回光照射によって形成することができ、工程数が減少し、製造上、極めて有利なためである。
また、かかる2層構造とすることによって、光遮蔽板19bのトータル厚さを薄くすることができ、帯電防止表示装置10、それを含む車両用計器30の薄型化、軽量化も図れるためである。
【0054】
また、図4(c)に示す、変形例2の光遮蔽板19cは、透光性樹脂基材19aと、その第1の面に設けた第1光遮蔽層23aと、第1の面と反対の面である第2の面に設けた第2光遮蔽層23bと、更に、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bのいずれかに積層した第3光遮蔽層23cの4層構造で構成したものである。
第3光遮蔽層23cも、所定のマクベス濃度計で測定される透過濃度及び抵抗率とするが、遮蔽組成物の配合組成は、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bと異なるものが好ましい。
この理由は、このように構成することによって、各種車両用機器に対応して、光遮蔽板19cの抵抗率や遮光性をより細かく制御できるとともに、光遮蔽層23自体の密着性や機械的強度を高めることもできるためである。
【0055】
[第3の実施形態]
第1の実施形態の帯電防止表示装置10では、光遮蔽層23を、光遮蔽板19の光透過領域15以外の全面に設けていたが、光遮蔽層23は、光遮蔽板19の光透過領域15以外の全面に設けず、光透過領域15である開口部15aの周辺を含む必要な領域に部分的に設ける場合があっても良い。
第3の実施形態は、第1の実施形態に対して、光遮蔽層23の設けられた領域が異なる変形例である。
具体的には、図5において、変形例3の光遮蔽板19dと変形例4の光遮蔽板19eの、2つの変形例を示してある。
【0056】
ここで、図5(a)に示す、変形例3の光遮蔽板19dは、光透過領域15である開口部15aに沿って幅dで、帯状に光遮蔽層23を設けたものである。
かかる幅dは、例えば光透過領域15である開口部15aの幅に対し0.5~1程度の比率の寸法にすることが好ましい。
この理由は、このように構成することによって、遮蔽組成物の最低限の塗布量によっても、所定幅の光遮蔽層23を形成することができ、ひいては、所定の帯電防止性や遮光性の効果を発揮できるためである。
【0057】
また、図5(b)に示す、変形例4の光遮蔽板19eは、光透過領域15である開口部15aの縁から、図1(a)に示す計器領域32としてのアナログ計器及びデジタル計器の設置予定領域までの範囲に光遮蔽層23設けたものである。
このように構成することによって、計器領域32に、アナログ計器及びデジタル計器の一部を構成するガイドリング32aが存在する場合、それと、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23b、あるいはいずれか一方と重複させて、部分的に接触させることができる。
より具体的には、第1光遮蔽層23a及び第2光遮蔽層23bと、ガイドリング32aとの重複部分の幅を0.1~5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3~3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.4~2mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
従って、このように重複部分を形成することによって、移動速度が低下した静電気が飛散する通道ともなり、帯電防止表示装置10における、静電気に起因した誤作動を更に有効に防止することができる。
【0058】
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、図1に示すように、上述した第1の実施形態~第3の実施形態のいずれかの帯電防止表示装置10を、アナログ計器及びデジタル計器、あるいはいずれか一方の計器に隣接して備えることを特徴とする車両用計器30である。
かかる車両用計器30であれば、簡易構造であっても、静電気に起因した表示素子13の誤作動と、表示装置内部からの光漏れに起因する表示品質の低下とを、それぞれバランス良く防止できる帯電防止表示装置10を備えた車両用計器30を提供することができる。
また、ここで「帯電防止表示装置を、計器に隣接して備える」とは、帯電防止表示装置と計器とを、水平方向に対して、接触又は一部を重複させて備えることを示す。なお、帯電防止表示装置と計器とを、水平方向に対して、10mm以内で離して配置する場合も含むものとする。
【0059】
ここで、アナログ計器としては、アナログ表示の車両情報を示す公知の計器であれば特に制限されるものではないが、例えば、指針を備えたスピードメーター、指針を備えたタコメーター、指針を備えたエンジン温度計、指針を備えた燃料計、指針を備えた距離計、指針を備えた時計等の少なくとも一つが対象である。
【0060】
また、デジタル計器としては、デジタル表示の車両情報を示す公知の計器であれば特に制限されるものではないが、例えば、デジタル表示のスピードメーター、デジタル表示のタコメーター、デジタル表示のエンジン温度計、デジタル表示の燃料計、デジタル表示の距離計、デジタル表示の時計、デジタル表示のシートベルト警告灯等の少なくとも一つが対象である。
【実施例
【0061】
以下、実施例をもとに、本発明を更に詳細に説明する。
但し、以下の説明中で述べる、本発明の構成部品等の形状、寸法、材質、測定装置等は、この発明の好適例にすぎない。従って、本発明は、特に理由なく、以下の記載に限定されるものではない。
【0062】
[実施例1]
1.遮光膜の形成
(1)第1光遮蔽層の形成
まず、図1及び図2に示す帯電防止表示装置10の作成において、透光性樹脂基材19aの厚さが400μmのポリカーボネート基板(パンライトPC-1151、帝人株式会社製)を準備した。
次いで、プロペラ攪拌装置を用いて、下記配合組成(A)~(E)を均一に混合し、溶剤型遮蔽組成物(表1中、溶剤組成1)を作成した。
(A1)アクリル系樹脂 100重量部
(A2)塩化ビニル系樹脂 10重量部
(B)金属複合酸化物(Co-Fe-Cr系) 90重量部
(C)カーボンブラック(水素化無定形炭素) 30重量部
(D)分散剤 5重量部
(E)有機溶剤 180重量部
【0063】
次いで、ポリエステル製の250メッシュのスクリーン印刷版を用い、スキージ速度が100mm/sec.、スキージ印圧が0.2MPaとなる条件で、ポリカーボネート基板の片方の表面上に、得られた溶剤型遮蔽組成物をスクリーン印刷した。
最後に、オーブンを用いて、80℃、30分の加熱乾燥を行い、厚さ10μmの第1光遮蔽層23aを形成し、遮光部材の第1評価サンプルとした。
【0064】
(2)第2光遮蔽層の形成
また、上述したポリカーボネート基板の片方の表面上に、紫外線硬化樹脂中に、カーボンブラック及び金属酸化物を含む、市販の紫外線硬化型遮蔽組成物(レイキュアーPF4200シリーズ92黒、十条ケミカル(株)製、表1中、紫外組成1)を、上述した溶剤型遮蔽組成物と同様にスクリーン印刷した。
次いで、露光装置を用いて、積算光量が400mJ/cm2となるように、紫外線を照射し、厚さ10μmの第2光遮蔽層23bを形成し、遮光部材の第2評価サンプルとした。
【0065】
(3)遮光部材の作成
また、上述したポリカーボネート基板の第1光遮蔽層23aがある面とは反対面に、市販の紫外線硬化型遮蔽組成物(レイキュアーPF4200シリーズ92黒、十条ケミカル(株)製、表1中、紫外組成1)を、上述した溶剤型遮蔽組成物と同様にスクリーン印刷した。
次いで、露光装置を用いて、積算光量が400mJ/cm2となるように、紫外線を照射し、厚さ10μmの第2光遮蔽層23bを形成し、ポリカーボネート基板を挟んで、第1光遮蔽層23aと対向する遮光部材を作成し、遮光部材の第3評価サンプルとした。
【0066】
2.遮光部材の評価
(1)評価1:透過濃度
得られた遮光部材の第1評価サンプル及び遮光部材の第2評価サンプルにつき、濃度測定装置であるTR-924(マクベス社製)を用いて、垂直に所定波長の入射光を当て、それぞれ透過濃度を測定し、下記基準に準じて評価した。得られた評価結果を表1に示す。
◎:透過濃度が6.2以上の値である。
〇:透過濃度が6.0以上の値である。
△:透過濃度が5.8以上の値である。
×:透過濃度が5.8未満の値である。
【0067】
(2)評価2:抵抗率
得られた遮光部材の第1評価サンプル及び遮光部材の第2評価サンプルにつき、超絶縁計(HIOKI製、SM-8215)を用いて、設定印加電圧を1000Vに設定し、4端子法により抵抗率を測定し、下記基準に準じて評価した。得られた評価結果を表1に示す。
◎:抵抗率が5×1013Ω・cm以上の値である。
〇:抵抗率が5×1012Ω・cm以上の値である。
△:抵抗率が5×1011Ω・cm以上の値である。
×:抵抗率が5×1011Ω・cm未満の値である。
【0068】
(3)評価3:遮光部材に対する官能試験
得られた遮光部材の第3評価サンプルにつき、評価3-1としての「透け」、評価3-2としての「黒味」の項目に対して、下記評価条件に準じて、官能試験を行った。得られた評価結果を表1に示す。
【0069】
(透け)
◎:全く透けが観察されない。
〇:ほとんど透けが観察されない。
△:少々透けが観察される。
×:顕著に透けが観察される。
【0070】
(黒味)
◎:他の色味のまじりけがない黒味が視認される。
〇:他の色味のまじりけがほとんどない黒味が視認される。
△:他の色味のまじりけが少々ある黒味が視認される。
×:他の色味のまじりけが顕著な黒味が視認される。
【0071】
(4)評価4:帯電防止性(液晶画面の白化試験)
得られた遮光部材の第3評価サンプルを用いて、図1に示す帯電防止表示装置を作成した。また、光遮蔽層23と、アナログ計器のガイドリング32aとの重複部分の幅を1mmとした。
次いで、レンズ部材に対し、30kVの静電気を印加し、静電気印加後の表示素子13(液晶表示素子)の白化現象が生じている時間を測定し、下記基準に沿って、帯電防止性を評価した。得られた帯電防止性の評価結果を表1に示す。
◎:白化現象が生じないか、1秒以内である。
〇:白化現象が1秒超え~10秒以内である。
△:白化現象が10秒超え~120秒以内である。
×:白化現象が120秒超えである。
【0072】
[実施例2]
実施例2において、光遮蔽層23を構成する溶剤型遮蔽組成物(表1中、溶剤組成2)を、下記配合組成及び配合比に変えたほかは、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
(A)アクリル系樹脂 100重量部
(B1)金属複合酸化物(Fe-Cr系) 50重量部
(B2)金属酸化物(酸化チタン) 30重量部
(C)カーボンブラック(水素化無定形炭素) 40重量部
(D)分散剤 5重量部
(E)有機溶剤 180重量部
【0073】
[実施例3]
実施例3において、光遮蔽板19の遮光層として、ポリカーボネート樹脂の表面に、溶剤組成1を使用して、単層(第1光遮蔽層23aのみ)を形成した以外は、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0074】
[実施例4]
実施例4において、光遮蔽板19の遮光層として、ポリカーボネート樹脂の背面に、紫外組成1を使用して、単層(第2光遮蔽層23bのみ)を形成した以外は、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた官能試験の評価結果を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
比較例1において、第1光遮蔽層23aを構成する組成物を、下記配合割合の溶剤型遮蔽組成物(表1中、溶剤組成3)に変え、第2光遮蔽層23bを構築する組成物を、市販の紫外線硬化型遮蔽組成物(レイキュアーUIM6200シリーズ92黒、十条ケミカル(株)製、表1中、紫外組成2)に変えたほかは、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
(A1)アクリル系樹脂 100重量部
(A2)塩化ビニル系樹脂 10重量部
(B)金属複合酸化物(Fe-Cr系) 60重量部
(C)カーボンブラック(水素化無定形炭素) 10重量部
(D)分散剤 5重量部
(E)有機溶剤 180重量部
【0076】
[比較例2]
比較例2において、第1光遮蔽層23aを構成する組成物を、下記配合割合の溶剤型遮蔽組成物(表1中、溶剤組成4)に変え、第2光遮蔽層23bを構築する組成物を、紫外組成2に変えたほかは、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
(A)アクリル系樹脂 100重量部
(B)金属複合酸化物(Co-Fe-Cr系) 80重量部
(C)カーボンブラック(水素化無定形炭素) 1重量部
(D)分散剤 5重量部
(E)有機溶剤 180重量部
【0077】
[比較例3]
比較例3において、第1光遮蔽層23aを構成する組成物を、下記配合割合の溶剤型遮蔽組成物(表1中、溶剤組成5)に変え、第2光遮蔽層23bを構築する組成物を、紫外組成2に変えたほかは、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
(A)アクリル系樹脂 100重量部
(B)金属複合酸化物(Fe-Cr系) 40重量部
(C)カーボンブラック(水素化無定形炭素) 60重量部
(D)分散剤 5重量部
(E)有機溶剤 180重量部
【0078】
[比較例4]
比較例4において、第1光遮蔽層23aを構成する組成物を、下記配合割合の溶剤型遮蔽組成物(表1中、溶剤組成6)に変え、第2光遮蔽層23bを構築する組成物を、紫外組成2に変えたほかは、実施例1と同様に、帯電防止表示装置を作成し、帯電防止性等を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
(A)アクリル系樹脂 100重量部
(B)金属複合酸化物(Co-Fe-Cr系) 5重量部
(C)カーボンブラック(水素化無定形炭素) 80重量部
(D)分散剤 5重量部
(E)有機溶剤 180重量部
【0079】
【表1】
評価1-1:透過濃度(第1光遮蔽層)、評価1-2:透過濃度(第2光遮蔽層)
評価2-1:抵抗率(第1光遮蔽層)、評価2-2:抵抗率(第2光遮蔽層)
評価3-1:透け、評価3-2:黒味
評価4:帯電防止性
【0080】
なお、実施例等において、表示素子13を液晶表示素子とした場合を説明したが、表示素子13が有機EL素子であっても、少なくとも静電気に起因する表示素子13の誤動作の防止に対しては、本発明を適用できることが判明している。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の帯電防止表示装置及び、それを備えた車両用計器は、光遮蔽板の光遮蔽部17に所定値以上の抵抗率及び透過濃度を有する光遮蔽層を設けるのみで、表示素子の静電気による誤動作と帯電防止表示装置内部からの光漏れ等に起因する表示品質の低下とを、それぞれ防止できる。
従って、従来の帯電防止表示装置に比べ、簡易構造であっても、静電気に起因する表示素子の誤作動と、表示装置における内部からの光漏れに起因する表示品質の低下とを、それぞれバランス良く防止することができる。
【0082】
その上、本発明によれば、帯電防止性、それに基づく表示性能に優れるばかりでなく、製造工程数や部品点数が少なく、コスト低減、小型化、軽量化も意図した帯電防止表示装置、及び、そのような帯電防止表示装置を備えた車両用計器を安定的に提供することができる。
従って、本発明の帯電防止表示装置及びそれを用いた車両用計器は、各種用途に適用することができるが、特に、自動車やオートバイなどの車両用計器の表示用途に最適であって、かつ、軽量性や経済性等にも優れていることから、産業上の利用可能性が極めて高いものである。
【符号の説明】
【0083】
10:帯電防止表示装置
11:光源 13:表示素子
15:光透過領域 17:光遮蔽部
19:光遮蔽板 19a:透光性樹脂基材
21:レンズ部材 23:光遮蔽層
23a:第1光遮蔽層 23b:第2光遮蔽層
30:車両用計器
32:計器領域
32a:ガイドリング
g1:光遮蔽板と表示素子との最短距離
g2:光遮蔽板とレンズ部材との最短距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9