(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】建物通気構造
(51)【国際特許分類】
E04D 11/00 20060101AFI20240606BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E04D11/00 M
E04B1/70 Z
(21)【出願番号】P 2020093453
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】511004542
【氏名又は名称】株式会社アイ・レック
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128141
【氏名又は名称】飯田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】池村 博海
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-236668(JP,A)
【文献】特開2010-236332(JP,A)
【文献】特開2000-240620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 11/00
E04B 1/62- 1/99
E04D 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における設置面に固定されると共に、前記設置面側を向く面とは反対側の反対側面から凸となる複数の土台側凸部、及び/又は、前記反対側面から凹となる土台側凹部を有する土台部と、
前記土台部に被さって前記土台部に重畳する土台側重畳領域、及び前記設置面に被さって前記設置面に重畳する設置面側重畳領域を有すると共に、前記土台側重畳領域及び前記設置面側重畳領域のそれぞれにおいて前記土台部及び前記設置面に向かって凸となる複数の通気路構成側凸部を有する通気路構成部と、
前記土台側重畳領域において、前記通気路構成部を前記土台部に固定する固定部と、
を備え、
前記通気路構成側凸部は、前記土台側重畳領域において、前記土台側凸部に隣接する領域、及び/又は、前記土台側凹部に位置し、且つ、前記設置面側重畳領域において、前記設置面に接触して、前記設置面側を向く前記通気路構成側凸部の基準面と前記設置面の間に間隔を設けることにより、前記設置面と前記通気路構成部の間に通気路を形成させ、
前記固定部は、前記通気路構成部を前記土台部に接着する接着材料により構成され、
前記接着材料は、前記土台部と前記通気路構成部の間で、接着層を形成することを特徴とする、
建物通気構造。
【請求項2】
前記接着層は、前記通気路構成側凸部の周面と、前記土台側凸部の周面の間に介在して、前記通気路構成側凸部及び前記土台側凸部に接着する周面介在領域を有することを特徴とする、
請求項
1に記載の建物通気構造。
【請求項3】
建物における設置面に固定されると共に、前記設置面側を向く面とは反対側の反対側面から凸となる複数の土台側凸部、及び/又は、前記反対側面から凹となる土台側凹部を有する土台部と、
前記土台部に被さって前記土台部に重畳する土台側重畳領域、及び前記設置面に被さって前記設置面に重畳する設置面側重畳領域を有すると共に、前記土台側重畳領域及び前記設置面側重畳領域のそれぞれにおいて前記土台部及び前記設置面に向かって凸となる複数の通気路構成側凸部を有する通気路構成部と、
を備え、
前記通気路構成側凸部は、前記土台側重畳領域において、前記土台側凸部に隣接する領域、及び/又は、前記土台側凹部に位置し、且つ、前記設置面側重畳領域において、前記設置面に接触して、前記設置面側を向く前記通気路構成側凸部の基準面と前記設置面の間に間隔を設けることにより、前記設置面と前記通気路構成部の間に通気路を形成させ、
隣接する前記土台側凸部のピッチ、又は隣接する前記通気路構成側凸部のピッチは、それぞれの間に位置する前記通気路構成側凸部の幅、又は、前記土台側凸部の幅と同じであるか、又は、より小さいことを特徴とする、
建物通気構造。
【請求項4】
前記土台側重畳領域において、前記土台部に対して前記通気路構成部を着脱させる着脱機構を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の建物通気構造。
【請求項5】
建物における設置面に固定されると共に、前記設置面側を向く面とは反対側の反対側面から凸となる複数の土台側凸部、及び/又は、前記反対側面から凹となる土台側凹部を有する土台部と、
前記土台部に被さって前記土台部に重畳する土台側重畳領域、及び前記設置面に被さって前記設置面に重畳する設置面側重畳領域を有すると共に、前記土台側重畳領域及び前記設置面側重畳領域のそれぞれにおいて前記土台部及び前記設置面に向かって凸となる複数の通気路構成側凸部を有する通気路構成部と、
を備え、
前記通気路構成側凸部は、前記土台側重畳領域において、前記土台側凸部に隣接する領域、及び/又は、前記土台側凹部に位置し、且つ、前記設置面側重畳領域において、前記設置面に接触して、前記設置面側を向く前記通気路構成側凸部の基準面と前記設置面の間に間隔を設けることにより、前記設置面と前記通気路構成部の間に通気路を形成させ、
前記設置面は、前記通気路構成部の前記通気路構成側凸部が設けられる面とは反対側の面であり、
前記土台部及び前記通気路構成部が複数積層されることを特徴とする、
建物通気構造。
【請求項6】
前記土台部は、間隔を空けて前記設置面に複数設けられ、
前記通気路構成部は、前記設置面に複数設けられ、
隣接する前記通気路構成部のうち少なくとも一部は、互いの境界、又はその近傍において、共通の前記土台部に被さることを特徴とする、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の建物通気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の通気構造である建物通気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、コンクリート建物の屋上には、防水層及び断熱層が設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。コンクリート建物の屋上面には、防水層が設けられ、その上に断熱層を構成する断熱材が敷き詰められる。これらは、屋上面から突設するアンカーボルトに取り付けられた押さえ板により防水層及び断熱層をコンクリート建物の屋上面に押さえ付けて、防水層及び断熱層を屋上面に固定する。
【0003】
また、本願発明者が発明した水分除去装置では、コンクリート建物の屋上面に複数の凸部を有する床部が設置されている(特許文献2)。そして、床部と建物の屋上面との間で、蒸気通路が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平06―9179号公報
【文献】特許第5757516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記水分除去装置における床部を建物の屋上面に固定する際、アンカーボルトに取り付けられた押さえ板により床部を建物の屋上面に押さえ付けることが考えられる。しかしながら、アンカーボルトをコンクリート建物の屋上面に取り付ける際、コンクリート建物の屋上面に、アンカーボルトを設置するための穴を開ける工事が必要になる。この工事では、コンクリートに穴を開けるため、大きな騒音が生じると共に、熟練された技能を要する。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、建物の設置面に通気路を容易に構成可能な建物通気構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の建物通気構造は、建物における設置面に固定されると共に、前記設置面側を向く面とは反対側の反対側面から凸となる複数の土台側凸部、及び/又は、前記反対側面から凹となる土台側凹部を有する土台部と、前記土台部に被さって前記土台部に重畳する土台側重畳領域、及び前記設置面に被さって前記設置面に重畳する設置面側重畳領域を有すると共に、前記土台側重畳領域及び前記設置面側重畳領域のそれぞれにおいて前記土台部及び前記設置面に向かって凸となる複数の通気路構成側凸部を有する通気路構成部と、前記土台側重畳領域において、前記通気路構成部を前記土台部に固定する固定部と、を備え、前記通気路構成側凸部は、前記土台側重畳領域において、前記土台側凸部に隣接する領域、及び/又は、前記土台側凹部に位置し、且つ、前記設置面側重畳領域において、前記設置面に接触して、前記設置面側を向く前記通気路構成側凸部の基準面と前記設置面の間に間隔を設けることにより、前記設置面と前記通気路構成部の間に通気路を形成させ、前記固定部は、前記通気路構成部を前記土台部に接着する接着材料により構成され、前記接着材料は、前記土台部と前記通気路構成部の間で、接着層を形成することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の建物通気構造において、前記土台側重畳領域において、前記通気路構成部を前記土台部に固定する固定部を備えることを特徴とする。
また、本発明の建物通気構造において、前記固定部は、前記通気路構成部を前記土台部に接着する接着材料により構成され、前記接着材料は、前記土台部と前記通気路構成部の間で、接着層を形成することを形成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の建物通気構造において、前記接着層は、前記通気路構成側凸部の周面と、前記土台側凸部の周面の間に介在して、前記通気路構成側凸部及び前記土台側凸部に接着する周面介在領域を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の建物通気構造は、建物における設置面に固定されると共に、前記設置面側を向く面とは反対側の反対側面から凸となる複数の土台側凸部、及び/又は、前記反対側面から凹となる土台側凹部を有する土台部と、前記土台部に被さって前記土台部に重畳する土台側重畳領域、及び前記設置面に被さって前記設置面に重畳する設置面側重畳領域を有すると共に、前記土台側重畳領域及び前記設置面側重畳領域のそれぞれにおいて前記土台部及び前記設置面に向かって凸となる複数の通気路構成側凸部を有する通気路構成部と、を備え、前記通気路構成側凸部は、前記土台側重畳領域において、前記土台側凸部に隣接する領域、及び/又は、前記土台側凹部に位置し、且つ、前記設置面側重畳領域において、前記設置面に接触して、前記設置面側を向く前記通気路構成側凸部の基準面と前記設置面の間に間隔を設けることにより、前記設置面と前記通気路構成部の間に通気路を形成させ、隣接する前記土台側凸部のピッチ、又は隣接する前記通気路構成側凸部のピッチは、それぞれの間に位置する前記通気路構成側凸部の幅、又は、前記土台側凸部の幅と同じであるか、又は、より小さいことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の建物通気構造において、前記土台側重畳領域において、前記土台部に対して前記通気路構成部を着脱させる着脱機構を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の建物通気構造において、建物における設置面に固定されると共に、前記設置面側を向く面とは反対側の反対側面から凸となる複数の土台側凸部、及び/又は、前記反対側面から凹となる土台側凹部を有する土台部と、前記土台部に被さって前記土台部に重畳する土台側重畳領域、及び前記設置面に被さって前記設置面に重畳する設置面側重畳領域を有すると共に、前記土台側重畳領域及び前記設置面側重畳領域のそれぞれにおいて前記土台部及び前記設置面に向かって凸となる複数の通気路構成側凸部を有する通気路構成部と、を備え、前記通気路構成側凸部は、前記土台側重畳領域において、前記土台側凸部に隣接する領域、及び/又は、前記土台側凹部に位置し、且つ、前記設置面側重畳領域において、前記設置面に接触して、前記設置面側を向く前記通気路構成側凸部の基準面と前記設置面の間に間隔を設けることにより、前記設置面と前記通気路構成部の間に通気路を形成させ、前記設置面は、前記通気路構成部の前記通気路構成側凸部が設けられる面とは反対側の面であり、前記土台部及び前記通気路構成部が複数積層されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の建物通気構造において、前記土台部は、間隔を空けて前記設置面に複数設けられ、前記通気路構成部は、前記設置面に複数設けられ、隣接する前記通気路構成部のうち少なくとも一部は、互いの境界、又はその近傍において、共通の前記土台部に被さることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の建物通気構造によれば、建物の設置面に通気路を容易に構成することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)は、本発明の第一実施形態における建物通気構造が屋上に施された建物の斜視図である。(B)は、本発明の第一実施形態における建物通気構造が屋上に施された建物の平面図である。
【
図2】(A)は、施工前の本発明の第一実施形態における建物通気構造の斜視図である。(B)は、施工後の本発明の第一実施形態における建物通気構造の斜視図である。(C)は、(B)におけるF-F矢視断面図である。
【
図3】(A)~(C)は、本発明の第一実施形態における建物通気構造を組み立てる過程の状態図を時系列に示す建物の平面図である。
【
図4】(A)~(C)は、本発明の第一実施形態における建物通気構造を側面側から見た際、土台部と通気構成の位置関係を説明するための断面図である。そのうち、(A),(B)は、
図2(C)に示す点線領域T1,T2を拡大した拡大図である。
【
図5】(A)は、施工後の本発明の第一実施形態における建物通気構造の変形例の斜視図である。(B)は、(A)におけるG-G矢視断面図である。
【
図6】(A)は、施工後の本発明の第二実施形態における建物通気構造の断面図である。(B)は、施工後の本発明の第二実施形態における建物通気構造の平面図である。
【
図7】(A)は、施工後の本発明の第三実施形態における建物通気構造の断面図である。(B)は、施工後の本発明の第三実施形態における建物通気構造の変形例の断面図である。
【
図8】(A)は、施工前の本発明の第四実施形態における建物通気構造の斜視図である。(B)は、施工後の本発明の第四実施形態における建物通気構造の斜視図である。(C)は、(B)におけるH-H矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1~
図7は発明を実施する形態の一例であって、図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成は図に示す従来のものと同様である。
【0017】
<全体構成>
本発明の実施形態における建物通気構造1は、建物の設置面に、通気のための通気路を設けるものである。本実施形態における建物通気構造1には、
図1(A)に示すように、建物通気構造1における通気路に空気の流れを生成する空気流生成部6と、通気路に外気を取り入れる外気取入れ部7と、併せて設置されてもよい。空気流生成部6には、ファンが含まれる。ファンの回転により(図示しない)通気路に強制的に空気の流れを生じさせることができる。空気流生成部6のファンが回転すると、
図1(B)に示すように、建物通気構造1の内部の通気路に、
図1(B)の矢印方向に空気の流れが生じる。屋上面120上の空気の流れは、建物100に含まれる水分を蒸気化させ、その水蒸気を外部に排出する。
【0018】
本実施形態において建物は、
図1(A)に示すように、陸屋根110を有するコンクリート製の建物100であり、設置面は、陸屋根110の屋上面120であるものとして説明する。ただし、建物及び設置面は、これに限定されるものではなく、建物は木造等その他の種類のものであってもよいし、設置面は、建物のその他の面(例えば、壁面)や建物に設置された部材の所定の面等であってもよい。建物通気構造1は、
図1(B)に示すように、土台部2と、通気路構成部3と、固定部4と、を有する。
【0019】
<土台部>
土台部2は、
図2(A)に示すように、屋上面120(設置面;以下省略する)に通気路構成部3を固定する土台となるものであり、屋上面120に固定される。本実施形態において土台部2は、の凸シート部材20と、土台側固定部21と、を有する。
【0020】
<土台部の凸シート部材>
凸シート部材20は、
図2(A)に示すように、シート状のシート部22と、複数の土台側凸部23と、を有する。本実施形態においてシート部22は、所定の材料により土台側凸部23と一体形成されているが、両者は別部材であってもよい。土台側凸部23は、シート部22の一方の平面22Aを起点(基準)として、平面22Aに垂直な方向に凸となる。つまり、平面22Aは、土台側凸部23の凸に関する基準面となる。
【0021】
土台側凸部23は、平面22Aに垂直な方向に沿って平面22Aから離れるに従って断面積が減少するような形状となる。土台側凸部23は、例えば、錐体状、又は部分錐体状に形成される。部分錐体とは、錐体の頂部を含まない錐体の途中区間部分を指す。また、錐体状は、頂部が尖っているいるより曲面状になだらかになっている方が好ましい。なお、土台側凸部23の形状は、錐体状、又は部分錐体状に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。また、各土台側凸部23は、凸方向の長さ(高さ)の方が、径方向又はそれに相当する方向の長さよりも大きくなるように形成されることが好ましい。また、各土台側凸部23は、全て同じ高さであってもよいし、異なる高さのものが含まれていてもよい。そして、複数の土台側凸部23は、シート部22の平面22Aにマトリクス状又は、格子状に配設される。
【0022】
また、凸シート部材20の材質は、、例えば、ポリプロピレン等の樹脂が想定されるが、これに限るものではない。また、凸シート部材20は、樹脂ではなく、金属・その他の硬質性防水材質により形成されていてもよい。そのうち、凸シート部材20は、特に、硬質性防水材質により形成されることが好ましい。従来の硬質ウレタンフォーム断熱材のような一般的な断熱材は、熱・湿気の多い場所ではその断熱性能が短期間で劣化するが、上記のような硬質性防水材質で形成される本発明の凸シート部材20であれば、熱・湿気の多い場所であってもその断熱性能が短期間で劣化することはなく、長期間、断熱性能を維持することができるからである。
【0023】
また、凸シート部材20は、
図2(B)に示すように、シート部22の他方の平面22Bが屋上面120側を向き、土台側凸部23(平面22A)側が上空側を向くように屋上面120に設置される。その状態で、凸シート部材20は、土台側固定部21により固定される。
【0024】
<土台側固定部>
土台側固定部21は、例えば、接着材料により構成される。土台側固定部21を構成する接着材料として、例えば、例えば、加硫接着による接着材料(未加硫ゴム)を用いた両面加硫接着テープ400(
図2(A)参照)、その他の接着材料により両面が粘着性を有するように構成される両面テープが挙げられる。土台側固定部21を構成する接着材料は、シート部22の平面22B、又は屋上面120に塗布又は貼付け等される。これにより、シート部22と屋上面120との間には、
図2(B),(C)に示すように、土台側固定部21としての接着材料により接着層が設けられる。接着材料により凸シート部材20を屋上面120に固定すれば、施工の際に騒音を出さずに済む。ただし、土台側固定部21は、以上に限定されるものではなく、屋上面120に凸シート部材20を固定可能なアンカーボルト等の固定具又は連結可能な連結具により構成されてもよい。
【0025】
<通気路構成部>
通気路構成部3は、設置面である屋上面120と協働して、通気路200を構成するものである。通気路構成部3は、
図2(A)に示すように、シート状の凸シート部材30を有する。
【0026】
凸シート部材30は、
図2(A)に示すように、シート状のシート部32と、複数の通気路構成側凸部33と、を有する。本実施形態においてシート部32は、所定の材料により通気路構成側凸部33と一体形成されているが、両者は別部材であってもよい。通気路構成側凸部33は、シート部32の一方の平面32Aを起点(基準)として、平面32Aに垂直な方向に凸となる。つまり、平面32Aは、通気路構成側凸部33の凸に関する基準面となる。
【0027】
通気路構成側凸部33は、平面32Aに垂直な方向に沿って平面32Aから離れるに従って断面積が減少するような形状となる。通気路構成側凸部33は、例えば、錐体状、又は部分錐体状に形成される。なお、土台側凸部23の形状は、錐体状、又は部分錐体状に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。また、各通気路構成側凸部33は、凸方向の長さ(高さ)の方が、径方向又はそれに相当する方向の長さよりも大きくなるように形成されることが好ましい。また、各通気路構成側凸部33は、全て同じ高さであってもよいし、異なる高さのものが含まれていてもよい。そして、複数の通気路構成側凸部33は、平面32Aにマトリクス状又は、格子状に配設される。また、凸シート部材30の材質は、凸シート部材20の材質での説明が適用可能である。
【0028】
なお、凸シート部材20及び凸シート部材30は、同じ構造、材質のものが用いられることが好ましい。
【0029】
また、凸シート部材30は、
図2(B)に示すように、他方の平面32Bが上空側を向き、通気路構成側凸部33(平面32A)側が屋上面120側を向くように屋上面120に設置される。この際、凸シート部材30は、
図2(C)に示すように、土台部2に被さって土台部2に重畳する土台側重畳領域34、及び屋上面120に被さって屋上面120に重畳する設置面側重畳領域35を有する。
【0030】
凸シート部材20に凸シート部材30の一部領域(土台側重畳領域34)を被せる際、凸シート部材30の一部領域(土台側重畳領域34)における通気路構成側凸部33は、
図2(C)に示すように、土台側凸部23に隣接する凸シート部材20の土台側谷部24に入り込む。これにより、土台側重畳領域34において凸シート部材30の通気路構成側凸部33は、凸シート部材20の土台側凸部23に隣接する凸シート部材30の土台側谷部24に位置する。
【0031】
また、凸シート部材20に凸シート部材20の一部領域(土台側重畳領域34)を被せる際、凸シート部材30の残りの領域(設置面側重畳領域35)は、屋上面120に被さる。そして、凸シート部材30の残りの領域(設置面側重畳領域35)における通気路構成側凸部33の頂部33Bは、屋上面120に接触する。これにより、屋上面120と通気路構成側凸部33の基準面(平面32A)との間に間隔が設けられて、屋上面120と通気路構成部3の間に通気路200が形成される。つまり、設置面側重畳領域35において、凸シート部材30は、屋上面120と協働して、互いの間に通気路200を形成する。
【0032】
<固定部>
固定部4は、土台側重畳領域34において、通気路構成部3を土台部2に固定するものである。固定部4は、例えば、接着材料により構成される。固定部4を構成する接着材料として、例えば、例えば、加硫接着による接着材料(未加硫ゴム)を用いた両面加硫接着テープ400(
図2(A)参照)、その他の接着材料により両面が粘着性を有するように構成される両面テープが挙げられる。固定部4を構成する接着材料は、凸シート部材20の土台側凸部23が設けられる側、又は、凸シート部材30の通気路構成側凸部33が設けられる側に塗布又は貼付け等される。これにより、凸シート部材20と凸シート部材30との間には、接着材料により接着層が設けられる。接着材料により凸シート部材30を凸シート部材20に固定すれば、施工の際に騒音を出さずに済む。ただし、固定部4は、以上に限定されるものではなく、その他の固定具又は連結可能な連結具により構成されてもよい。
【0033】
<土台部、通気路構成部及び固定部の構造>
次に、土台部2、通気路構成部3に固定部4を用いた後の構造について説明する。
図2(C)に示す点線領域T1を拡大した
図3(A)に示すように、通気路構成側凸部33は、隣接する一方の土台側凸部23と互いの周面23A,33Aで接触する。また、通気路構成側凸部33は、隣接する一方の土台側凸部23とは接触せず、通気路構成側凸部33と土台側凸部23が並ぶ配列方向において、その土台側凸部23との間にわずかな隙間D1を空けて、その土台側凸部23の近傍に位置する。つまり、上記配列方向において、通気路構成側凸部33と土台側凸部23の間には、隙間領域が形成される。
【0034】
また、通気路構成側凸部33の頂部33Bは、土台部2におけるシート部22の平面22Aに接触せずに、平面22Aから離れている。つまり、通気路構成側凸部33の凸方向において、通気路構成側凸部33と土台部2におけるシート部22の間には、隙間領域が形成される。さらに、土台側凸部23の頂部23Bは、通気路構成部3におけるシート部32の平面32Aに接触せずに、平面32Aから離れている。つまり、土台側凸部23の凸方向において、土台側凸部23と通気路構成部3におけるシート部32の間には、隙間領域が形成される。そして、通気路構成側凸部33、土台側凸部23、シート部22及びシート部32のいずれかで取り囲まれた領域上記隙間領域を含む)には、固定部4を構成する接着材料が配置され、接着層40が形成される。つまり、土台部2と通気路構成部3の間に接着層40が介在する。このため、
図3(A)に示す接着層40は、周面介在領域N1と、通気路構成側頂部介在領域N2と、土台側頂部介在領域N3と、を有する。周面介在領域N1は、通気路構成側凸部33の周面33Aと土台側凸部23の周面23Aの間に介在して、通気路構成側凸部33(周面33A)及び土台側凸部23(周面23A)に接着する領域である。通気路構成側頂部介在領域N2は、通気路構成側凸部33の頂部(頂部に対応する面)33B及びその近傍とシート部22(平面22A)の間に介在して、通気路構成側凸部33の頂部(頂部に対応する面)33B及びその近傍、並びにシート部22(平面22A)に接着する領域である。土台側頂部介在領域N3は、土台側凸部23の頂部(頂部に対応する面)23B及びその近傍とシート部32(平面32A)の間に介在して、土台側凸部23の頂部(頂部に対応する面)23B及びその近傍、並びにシート部32(平面32A)に接着する領域である。
【0035】
また、
図2(C)に示す点線領域T2を拡大した
図3(B)に示すように、通気路構成側凸部33は、隣接する双方の土台側凸部23とは接触せず、通気路構成側凸部33と土台側凸部23が並ぶ方向において、隣接する双方の土台側凸部23との間にわずかな隙間D2,D3を空けて、隣接する双方の土台側凸部23の近傍に位置する。つまり、上記配列方向において、通気路構成側凸部33と隣接する2つの土台側凸部23の間には、隙間領域が形成される。
【0036】
また、点線領域T2においても、通気路構成側凸部33の凸方向において、通気路構成側凸部33と土台部2におけるシート部22の間には、隙間領域が形成される。また、点線領域T2においても、土台側凸部23の凸方向において、土台側凸部23と通気路構成部3におけるシート部32の間には、隙間領域が形成される。そして、通気路構成側凸部33、土台側凸部23、シート部22及びシート部32のいずれかで取り囲まれた領域(上記隙間領域を含む)には、固定部4を構成する接着材料が充填され、接着層40が形成される。つまり、土台部2と通気路構成部3の間に接着層40が位置する。このため、
図3(A)に示す接着層40と同様に、
図3(B)に示す接着層40も、周面介在領域N1と、通気路構成側頂部介在領域N2と、土台側頂部介在領域N3と、を有する。
【0037】
本実施形態における土台側凸部23及び通気路構成側凸部33が凸方向に細長く延在する形状であることを考慮すると、
図3(A),(B)に示す接着層40のように、周面介在領域N1を十分に確保できれば、接着層40が凸シート部材20,30に接着する接着面積を十分に確保することができるため、凸シート部材20,30の間の固定力を強固なものにすることができる。さらに、通気路構成側頂部介在領域N2及び土台側頂部介在領域N3をも確保できれば、接着面積をさらに確保できるため、凸シート部材20,30の間の固定力をより強固なものにすることができる。
【0038】
図3(C)に示すように、通気路構成側凸部33は、隣接する双方の土台側凸部23と互いの周面23A,33Aで接触してもよい。また、通気路構成側凸部33の頂部33Bは、土台部2におけるシート部22の平面22Aに接触してもよい。また、土台側凸部23の頂部23Bは、通気路構成部3におけるシート部32の平面32Aに接触してもよい。なお、通気路構成側凸部33の頂部33B、及び土台側凸部23の頂部23Bのいずれか一方が上記接触をしている態様であってもよい。以上の場合でも、通気路構成側凸部33、土台側凸部23、シート部22及びシート部32のいずれかで取り囲まれた領域には、固定部4を構成する接着材料が充填され、接着層40が形成される。そして、
図3(C)に示す接着層40は、介在領域N4及び介在領域N5を有する。介在領域N4は、通気路構成側凸部33の頂部(頂部に対応する面)33Bの近傍、シート部22(平面22A)、及び土台側凸部23(周面23A)との間に介在して、通気路構成側凸部33の頂部(頂部に対応する面)33Bの近傍、シート部22(平面22A)、及び土台側凸部23(周面23A)のそれぞれに接着する領域である。介在領域N5は、土台側凸部23の頂部(頂部に対応する面)23Bの近傍、シート部32(平面32A)、及び通気路構成側凸部33(周面33A)との間に介在して、土台側凸部23の頂部(頂部に対応する面)23Bの近傍、シート部32(平面32A)、及び通気路構成側凸部33(周面33A)のそれぞれに接着する領域である。ただし、点線領域T1,T2の場合と比べて、凸シート部材20,30の間で、接着層40が凸シート部材20,30に接着する接着面積は、小さくなる。それでも、後述する第二実施形態における場合のように、隣接する通気路構成側凸部33が土台側凸部23を挟持する挟持力が加われば、凸シート部材20,30の間の固定力は十分なものになる。
【0039】
もし、土台部2が無い場合、通気路構成部3を屋上面120に被せると、通気路構成側凸部33は、その頂部33B又はその近傍で屋上面120と接触する。本実施形態の建物通気構造1のように、騒音低減のため、固定部4を構成する接着材料で通気路構成側凸部33と屋上面120を接着しても、通気路構成側凸部33は、自身の頂部33B又はその近傍との間でしか屋上面120と接着しないので、接着力が弱い。一方、本実施形態の建物通気構造1によれば、土台部2の土台側凸部23があるので、通気路構成側凸部33は、自身の頂部33B又はその近傍が土台部2のシート部22と接着し、自身の周面33Aが土台部2の土台側凸部23の周面23Aと接着する。つまり、通気路構成側凸部33は、屋上面120に固定された土台部2を介して、自身の頂部33B又はその近傍以外にも接着面積を確保している。結果、通気路構成部3は、土台部2及び固定部4を介して屋上面120に強固に固定される。
【0040】
<施工例>
次に、建物100の陸屋根110への土台部2、通気路構成部3及び固定部4の施工について説明する。まず、ロール状に巻かれた(図示しない)凸シートロールから複数の凸シート部材20を切り出す。なお、凸シートロールは、凸シート部材20が延長されたものがロール状に巻かれた部材である。複数の凸シート部材20は、それぞれ長方形状に切り出される。
【0041】
各凸シート部材20は、
図4(A)に示すように、例えば、凸シート部材20の長手方向が梁間方向Yと平行になると共に、凸シート部材20の幅方向(短手方向)が桁行方向Xと平行になるような姿勢で屋上面120に設置される。そして、各凸シート部材20は、建物100の桁行方向Xに沿って等間隔に間隔を空けて設置される。また、各凸シート部材20は、建物100の梁間方向Yに沿って等間隔に間隔を空けて設置される。結果、各凸シート部材20は、屋上面120にマトリクス状、又は、格子状に設置される。凸シート部材20が屋上面120で位置決めされると、(図示しない)土台側固定部21としての接着材料により凸シート部材20が屋上面120に固定される。
【0042】
次に、上記凸シート部材20で用いられた(図示しない)凸シートロールから複数の凸シート部材30が切り出される。この時、凸シート部材30は、
図4(B)に示すように、自身の幅方向(桁行方向X)の両端近傍が隣接する凸シート部材20に被さるような幅方向(桁行方向X)の長さを有すると共に、凸シート部材20の長さ方向(梁間方向Y)の長さよりも長くなるような自身の長さ方向(梁間方向Y)の長さを有する四角形となるように切り出される。つまり、凸シート部材20及び凸シート部材30は、サイズが異なるが、同じ構造をしている。このため、凸シート部材20及び凸シート部材30は、同一の凸シートロールから所望の大きさに切り出すだけでよいため、コストを低減することができる。
【0043】
以上のようなサイズ・形状に切り出された凸シート部材30が屋上面120に設置される。この時、
図4(B)に示すように、凸シート部材30は、建物100の桁行方向Xにおいて、自身の幅方向(桁行方向X)の両端近傍が隣接する凸シート部材20に被さるように設置する。また、隣接する凸シート部材30の間に位置する凸シート部材20は、隣接する凸シート部材30で共用される。具体的に、隣接する一方の凸シート部材30は、凸シート部材20の幅方向の半分又はそれ以下の領域に被さり、隣接する他方の凸シート部材30は、凸シート部材20の幅方向の残り又はそれ以下の領域に被さる。また、凸シート部材30は、建物100の梁間方向Yにおいて、凸シート部材20全体に被さり、且つ、一部が凸シート部材20からはみ出すように設置される。そして、凸シート部材20及び屋上面120に設置された凸シート部材30は、
図4(C)に示すように、固定部4により凸シート部材20に固定される。これにより、建物通気構造1が完成する。建物通気構造1に空気流生成部6及び外気取入れ部7を設置して施工が終了する。
【0044】
凸シート部材20及び凸シート部材30が重畳する土台側重畳領域34では、凸シート部材20と凸シート部材30が接着しているため、十分に機能する通気路200が形成されづらい。しかしながら、凸シート部材20は、梁間方向Yにおいて間隔を空けて配置されており、その間隔に対応する隣接する凸シート部材20間の領域は、凸シート部材30が被さった設置面側重畳領域35となっている。このため、上記間隔に対応する隣接する凸シート部材20間の領域には、十分に機能する通気路200が形成される。結果、建物通気構造1では、他から遮断された領域がなく、全体が繋がった通気路200を形成することができる。このため、空気流生成部6を動作させると、屋上面120全体において空気の流れを生じさせることができる。屋上面120上の空気の流れは、建物100に含まれる水分を蒸気化させ、その水蒸気を外部に排出する。
<変形例>
なお、
図5(A),(B)に示すように、屋上面120を起点として、凸シート部材20、凸シート部材30の順に、凸シート部材20及び凸シート部材30が複数積層されていてもよい。2層目の凸シート部材20にとって、設置面は、凸シート部材30におけるシート部32の平面32Bとなる。このようなものも本発明の範囲に含まれる。
【0045】
<第二実施形態>
図6を参照して、本発明の第二実施形態における建物通気構造1について説明する。本実施形態における建物通気構造1では、
図6(A)に示すように、凸シート部材30は、凸シート部材20における隣接する土台側凸部23で通気路構成側凸部33が挟持されることにより凸シート部材20に固定される。また、本実施形態における建物通気構造1では、凸シート部材30は、隣接する通気路構成側凸部33で隣接する土台側凸部23が挟持されることにより凸シート部材20に固定されてもよい。
【0046】
例えば、凸シート部材20の土台側凸部23及び凸シート部材30の通気路構成側凸部33の配列は、
図6(B)に示すように、千鳥配列となることが好ましい。凸シート部材20の土台側凸部23及び凸シート部材30の通気路構成側凸部33の配列が千鳥配列となる場合、凸シート部材20に凸シート部材30を被せると、土台側重畳領域34では、
図6(B)の点線領域R1に示すように、通気路構成側凸部33が四方から4つの土台側凸部23に取り囲まれる。そして、4つの土台側凸部23で通気路構成側凸部33が挟持されるようなピッチで4つの土台側凸部23は配設される。つまり、通気路構成側凸部33を挟んで一列に列方向に並ぶ土台側凸部23間のピッチが、そのピッチに対応する列方向における通気路構成側凸部33の幅と同じであるか、又は、より小さくなるように、土台側凸部23は配設される。言い換えると、上記ピッチは、対応する上記幅以下となる。結果、4つの土台側凸部23に取り囲まれる領域に通気路構成側凸部33が挿入される際、4つの土台側凸部23は、通気路構成側凸部33により押圧される。そして、通気路構成側凸部33は、その反力(土台側凸部23の復元力)により4つの土台側凸部23で挟持される。
【0047】
なお、
図6(B)の点線領域R2に示すように、土台側凸部23を四方に取り囲む4つの通気路構成側凸部33で土台側凸部23が挟持されるようなピッチで、4つの通気路構成側凸部33が配設されてもよい。つまり、土台側凸部23を挟んで一列に列方向に並ぶ通気路構成側凸部33間のピッチが、そのピッチに対応する列方向における土台側凸部23の幅と同じか、より小さくなるように、通気路構成側凸部33が配設されてもよい。言い換えると、上記ピッチは、対応する上記幅以下となってもよい。結果、4つの通気路構成側凸部33に取り囲まれる領域に土台側凸部23が挿入される際、4つの通気路構成側凸部33は、土台側凸部23により押圧される。そして、土台側凸部23は、その反力(通気路構成側凸部33の復元力)により4つの通気路構成側凸部33で挟持される。
【0048】
以上のように凸シート部材20の土台側凸部23及び凸シート部材30の通気路構成側凸部33が配列されれば、固定部4を用いなくても、凸シート部材20に凸シート部材30を被せるだけで、凸シート部材30は凸シート部材20で固定される。
【0049】
<第三実施形態>
図7を参照して、本発明の第実施形態における建物通気構造1について説明する。本実施形態における建物通気構造1は、着脱機構5を備える。着脱機構5は、土台部2に対して通気路構成部3を着脱させるものである。着脱機構5は、
図7(A)に示すように、例えば、通気路構成側凸部33の周面33Aから凸となる着脱凸部50と、土台側凸部23の周面23Aから凹となる着脱凹部51と、により構成される。
【0050】
着脱凸部50は、弾性を有する材料により構成される。凸シート部材20に凸シート部材30を被せると、通気路構成側凸部33が土台側凸部23に隣接する土台側谷部24に挿入される過程で、着脱凸部50が弾性変形して通気路構成側凸部33の着脱凸部50が土台側凸部23の着脱凹部51内に入り込んで嵌合し、着脱凸部50は、着脱凹部51で拘束された状態になる。一方、凸シート部材30を凸シート部材20から外す方向に所定の大きさ以上の力を加えると、着脱凸部50は弾性変形して着脱凹部51から外れる。所定の大きさ以下の力では、着脱凸部50は着脱凹部51から外れるほどの弾性変形をしない。このため、所定の大きさ以下の力では、着脱凸部50は着脱凹部51に拘束された状態となり、凸シート部材30は、凸シート部材20から外れない。
【0051】
また、着脱機構5は、
図7(B)に示すように、例えば、通気路構成側凸部33の頂部33Bから凸となる着脱凸部50と、シート部22の表面(平面22A)を起点として凹となる着脱凹部51と、により構成されてもよい。
【0052】
図7(B)に示す着脱凸部50の最大径は、外力が加わらない状態では、着脱凹部51の開口51Aの径よりも大きい。このため、着脱凸部50は、押し込まれて着脱凹部51に入り込む際に、弾性変する。これにより着脱凸部50の最大径は変位して小さくなり、着脱凸部50は、着脱凹部51に入り込む。同様に、着脱凸部50が着脱凹部51に入り込んだ状態から、通気路構成側凸部33が上方に引っ張られると、着脱凸部50は、着脱凹部51から加えられる力により弾性変形して着脱凸部50の最大径が開口51Aの径と同じか、わずかに小さくなる。り弾性変形して着脱凸部50の最大径が開口51Aの径と同じか、わずかに小さくなる。結果、着脱凸部50は、着脱凹部51から脱出して、土台部2から通気路構成部3は外れる。
【0053】
また、着脱機構5は、
図7(B)に示すように、例えば、土台側凸部23の頂部23Bから凸となる着脱凸部52と、シート部32の表面(平面32A)を起点として凹となる着脱凹部53と、により構成されてもよい。着脱凸部52及び着脱凹部53は、着脱凸部50及び着脱凹部51における上記説明を適用することができる。
【0054】
なお、着脱機構5は、以上のものに限定されず、土台部2に通気路構成側凸部33が係合することにより、通気路構成部3が土台部2に取り付けられれば、以上以外のものであってもよい。
【0055】
<第四実施形態>
図8を参照して、本発明の第実施形態における建物通気構造1について説明する。本実施形態における建物通気構造1では、土台部2の構造が他の実施形態とは異なる。本実施形態における土台部2は、
図8(A)に示すように、直方体状に形成され、土台側凹部25を有する。土台側凹部25は、土台部2の所定の平面を起点として凹む。土台部2の形状は、直方体状に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。なお、土台部2の所定の平面は、土台部2を屋上面120の設置した際、設置面とは反対側の反対側面に相当し、上空側を向く。
【0056】
土台側凹部25の形状は、
図8(B),(C)に示すように、通気路構成部3の通気路構成側凸部33を挿入可能(受け入れ可能)な形状を有する。そして、通気路構成部3の通気路構成側凸部33が土台側凹部25に挿入された時、土台側凹部25は、通気路構成側凸部33との間に遊び(隙間)を有し、通気路構成側凸部33が遊び(隙間)の範囲で移動可能な形状・大きさであってもよい。つまり、もし、通気路構成側凸部33が略円錐状、又は、部分円錐状に形成された場合、土台側凹部25の内径は、通気路構成側凸部33よりも外径よりも大きな略円錐状、又は、部分円錐状に形成される。この場合、通気路構成側凸部33は遊びを持った状態で土台側凹部25に嵌め込まれるので、遊びの程度にもよるが、固定部4を用いて、通気路構成側凸部33を土台側凹部25に固定する方が好ましい。固定部4として接着材料を用いた場合、本実施形態においても土台部2と通気路構成部3の間に接着層40が形成される。この場合、
図8(C)に示すように、本実施形態における接着層40は、周面介在領域N1、通気路構成側頂部介在領域N2、及び介在領域N4の少なくとも一つを有する。
【0057】
また、通気路構成部3の通気路構成側凸部33が土台側凹部25に挿入された時、土台側凹部25は、通気路構成側凸部33の周面33Aに接触して通気路構成側凸部33が移動できない状態で拘束される形状・大きさであってもよい。つまり、もし、通気路構成側凸部33が略円錐状、又は、部分円錐状に形成された場合、土台側凹部25の内径は、通気路構成側凸部33よりも外径と同じか、わずかに小さい略円錐状、又は、部分円錐状に形成される。この場合、通気路構成側凸部33は土台側凹部25で移動不能な状態で拘束されるので、固定部4を用いなくてもよい。なお、土台側凹部25が弾性変形可能な材料で構成されれば、通気路構成側凸部33を土台側凹部25に挿入することにより、土台側凹部25は、弾性変形して径方向外側に広がり、且つ復元力により通気路構成側凸部33を周面側から強固に挟持する。
【0058】
以上の第一~四実施形態の建物通気構造1によれば、屋上面120に固定された土台部2と通気路構成部3の間で、接着材料による十分な接着面積を確保することができるため、接着材料による施工を行っても強固に通気路構成部3を固定することができる。また、第二,三実施形態の建物通気構造1によれば、接着材料が無くても、設置面としての屋上面120に対して強固に通気路構成部3を固定することができる。この場合でも、接着材料を用いれば、より強固に通気路構成部3を固定することができる。
【0059】
尚、本発明の建物通気構造は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以上の第一~四実施形態における各要素を適宜、組合わせた全てのものが本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 建物通気構造
2 土台部
3 通気路構成部
4 固定部
5 着脱機構
6 空気流生成部
7 外気取入れ部
20 凸シート部材
21 土台側固定部
22,32 シート部
22A,32A 平面(基準面)
23 土台側凸部
24 土台側谷部
25 土台側凹部
30 凸シート部材
33 通気路構成側凸部
34 土台側重畳領域
35 設置面側重畳領域
50 着脱凸部
51 着脱凹部
100 建物
110 陸屋根
120 屋上面
200 通気路
N1 周面介在領域
N2 通気路構成側頂部介在領域
N3 土台側頂部介在領域
N4,N5 介在領域
X 建物の桁行方向
Y 建物の梁間方向