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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】試料採取装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/08 20060101AFI20240606BHJP
   E02D 5/50 20060101ALI20240606BHJP
   E02D 1/04 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G01N1/08 Z
E02D5/50
E02D1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020171508
(22)【出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2021060404
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2019186048
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】394008846
【氏名又は名称】大起理化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】大石 正行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 稔
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04372382(US,A)
【文献】特開2007-126914(JP,A)
【文献】特開2012-237192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/08
E02D 5/50
E02D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる様に地盤に設けられた掘削穴から試料を採取する試料採取装置であって、
自身の軸方向の下端において該軸方向に開口した、前記試料を導入する導入口を有することで、前記試料を収容可能な筒状の試料側収容部と、
前記試料側収容部の内部側から前記導入口を閉じることが可能な栓部と、
前記栓部が先端に設けられると共に、前記試料側収容部の内部において前記軸方向に延在する軸部と、
前記試料側収容部の上端側に配置され、前記軸部を介して前記栓部を前記試料側収容部の前記軸方向に移動させて、前記導入口を開閉する駆動部と、
前記試料側収容部における基準位置からの前記軸部の前記軸方向の移動量に基づいて、前記導入口の開閉状態を検知する開閉側検知部と、
を備えることを特徴とする、
試料採取装置。
【請求項2】
上下方向に延びる様に地盤に設けられた掘削穴から試料を採取する試料採取装置であって、
自身の軸方向の下端において該軸方向に開口した、前記試料を導入する導入口を有することで、前記試料を収容可能な筒状の試料側収容部と、
前記試料側収容部の内部側から前記導入口を閉じることが可能な栓部と、
前記栓部が先端に設けられると共に、前記試料側収容部の内部において前記軸方向に延在する軸部と、
前記試料側収容部の上端側に配置され、前記軸部を介して前記栓部を前記試料側収容部の前記軸方向に移動させて、前記導入口を開閉する駆動部と、
前記試料側収容部から外部に排気される空気の排気量を計測し、該排気量に基づいて前記試料側収容部における前記試料の充填量を検出する充填量検出部と、
を備えることを特徴とする、
試料採取装置。
【請求項3】
上下方向に延びる様に地盤に設けられた掘削穴から試料を採取する試料採取装置であって、
自身の軸方向の下端において該軸方向に開口した、前記試料を導入する導入口を有することで、前記試料を収容可能な筒状の試料側収容部と、
前記試料側収容部の内部側から前記導入口を閉じることが可能な栓部と、
前記栓部が先端に設けられると共に、前記試料側収容部の内部において前記軸方向に延在する軸部と、
前記試料側収容部の上端側に配置され、前記軸部を介して前記栓部を前記試料側収容部の前記軸方向に移動させて、前記導入口を開閉する駆動部と、
前記試料側収容部の内部に洗浄用液体を供給する洗浄用液体供給部と、
前記試料側収容部の内部を外部空間に開放する洗浄側通気部と、
前記試料側収容部に振動を与える振動部と、
を備えることを特徴とする、
試料採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレボーリング工法の代表的なものとして、セメントミルク工法がある。セメントミルク工法では、掘削液を注入しながら地盤を掘削して上下方向に延びる掘削穴を設ける。その後、根固め、杭周りの固定のためのセメントミルクを掘削穴に注入する。そして、セメントミルクが固化する前に掘削穴に既製の杭を埋め込む。
【0003】
そして、根固め、杭周の固定のためのセメントミルクの品質を確認するために、固化していない未固結のセメントミルクの試料を採取することが行われている。未固結の試料を採取するものとして、従来、採取された試料を収容するためのタンクと、上記タンクと自身の内部が連通するように上記タンクよりも上方側に設けられると共に、自身の側面に未固結の試料を取り入れるための採取口が設けられる胴体部と、上記採取口を開閉するピストン部と、上記ピストン部を引き上げ操作可能なワイヤー部材と、を有する未固結試料採取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記ワイヤー部材により上記ピストン部を引き上げると上記採取口が開く。この状態で、上記採取口を通じて取り入れられた未固結試料は、上記タンクで収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3221101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記未固結試料採取装置では、上記採取口を通じて上方側から下方側に試料が流れ込む方式のため、上記ピストン部と上記採取口の近傍との間に石等が挟まって上記ピストン部と上記採取口との間に隙間ができてしまう場合、隙間から大量の試料が上記タンクの内部に流れ込んできてしまう。
【0006】
また、上記未固結試料採取装置では、上記採取口を通じて取り入れられた試料が上記タンクに流れ込む際、上記タンクの内部の空気が上記採取口を通じて外に排気されるようになっている。しかしながら、上記未固結試料採取装置の周囲がセメントミルクで占められて、空気の逃げ場がないこともあり得る。この場合、上記採取口を通じて上記タンクの内部に試料が流れ込むことが妨げられる。また、上記タンクの内部の空気を外に排気できてもその空気が上記タンク周囲のセメントミルク内に残留すると、セメントミルクが固化した後に、空隙として残る恐れがある。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、地下の所望の位置で所望の量の試料を確実に採取することができる試料採取装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の試料採取装置は、上下方向に延びる様に地盤に設けられた掘削穴から試料を採取する試料採取装置であって、自身の軸方向の下端において該軸方向に開口した、前記試料を導入する導入口を有することで、前記試料を収容可能な筒状の試料側収容部と、前記試料側収容部の内部側から前記導入口を閉じることが可能な栓部と、前記栓部が先端に設けられると共に、前記試料側収容部の内部において前記軸方向に延在する軸部と、前記試料側収容部の上端側に配置され、前記軸部を介して前記栓部を前記試料側収容部の前記軸方向に移動させて、前記導入口を開閉する駆動部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の試料採取装置において、前記試料側収容部の内周面は、前記導入口の近傍において、上方から下方に進むに従って前記試料側収容部の中心に向かって傾斜する内周面傾斜領域を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の試料採取装置において、前記栓部は、前記導入口を閉じたときに前記試料側収容部の前記内周面傾斜領域に当接する当接領域を有し、前記当接領域を含む前記栓部の少なくとも一部は、可撓性の材料で形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の試料採取装置は、更に、前記試料側収容部の内部の前記軸方向の一部区間において、前記軸部の近傍で前記軸部の軸周りを取り囲むと共に、前記軸方向に延在する案内面を有する案内部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の試料採取装置は、更に、前記試料側収容部における基準位置からの前記軸部の前記軸方向の移動量に基づいて、前記導入口の開閉状態を検知する開閉側検知部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の試料採取装置は、更に、一端側が地上の外部空間に開放され、他端側が前記試料側収容部の内部と地上の外部空間とが連通するように前記試料側収容部に接続される配管を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の試料採取装置は、更に、前記配管を通じて前記試料側収容部の内部を地上の外部空間に対して開放および遮断するように開閉する弁を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の試料採取装置は、更に、前記試料側収容部に接続される配管と、前記配管に接続され、前記配管を通じて前記試料側収容部の内部の空気を地上の外部空間に排気するポンプと、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の試料採取装置は、更に、前記試料側収容部の基準位置からの前記試料側収容部に収容された前記試料の前記軸方向における高さが所定の閾値に達したことを検知する試料検知部を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の試料採取装置は、更に、前記試料側収容部から外部に排気される空気の排気量を計測し、該排気量に基づいて前記試料側収容部における前記試料の充填量を検出する充填量検出部を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の試料採取装置は、前記試料側収容部の内部に洗浄用液体を供給する洗浄用液体供給部と、前記試料側収容部の内部を外部空間に開放する洗浄側通気部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の試料採取装置は、前記試料側収容部に振動を与える振動部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の試料採取装置によれば、地下の所望の位置で所望の量の試料を確実に採取することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態における試料採取装置を地盤に設けられた掘削穴に設置した状態を示す図である。
図2】本発明の第一実施形態における試料採取装置の断面斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態における試料採取装置の断面図である。上段図は、板状体を基端側がら見たときの板状体の平面図であり、中段図は試料採取装置の断面図であり、下段図は栓部を先端側から見たときの栓部の平面図である。
図4】(A)は、栓部の当接領域と、試料側収容部の内周面傾斜領域との間に砂利等が挟み込まれて、栓部の当接領域と試料側収容部の内周面傾斜領域との間に隙間が生じる様子を示す図である。(B)は、栓部の当接領域と、試料側収容部の内周面傾斜領域との間に砂利等が挟み込まれたときに、栓部の当接領域が弾性変形している様子を示す図である。
図5】(A),(B)は、地盤に設けられた掘削穴に設置した本発明の第一実施形態における試料採取装置が導入口を開く様子を時系列に並べた図である。
図6】地盤に設けられた掘削穴に設置した本発明の第一実施形態における試料採取装置が導入口を開く過程で、通気側切替え弁を真空ポンプモードに切り替えた様子を示す
図7】(A),(B)は、地盤に設けられた掘削穴に設置した本発明の第一実施形態における試料採取装置が導入口を閉じる様子を時系列に並べた図である。
図8】(A)は、地盤に設けられた掘削穴に設置した本発明の第一実施形態における試料採取装置を地上に引き上げる様子を示す図である。(B)は、導入口が不完全に閉じられた状態で、本発明の第一実施形態における試料採取装置を地上に引き上げる様子を示す図である。
図9】本発明の第二実施形態における試料採取装置の断面斜視図である。
図10】(A)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置の洗浄用液体供給モードを示す図である。(B)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置の洗浄用液体停止モードを示す図である。(C)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置の洗浄停止モードを示す図である。
図11】(A)~(D)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置の変形例である。
図12】(A),(B)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置から採取した試料を取り出す様子を時系列に並べた図である。
図13】(A),(B)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置における試料側収容部の内部の洗浄を開始する様子を時系列に並べた図である。
図14】(A),(B)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置における試料側収容部の内部の洗浄を終了する様子を時系列に並べた図である。
図15】(A),(B)は、本発明の第二実施形態における試料採取装置における試料側収容部の内部から洗浄用液体及び除去した残試料を外部に取り出す様子を時系列に並べた図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
<第一実施形態>
図1および図2を参照して、本発明の第一実施形態における試料採取装置1について説明する。試料採取装置1は、図1に示すように、上下方向に延びる様に地盤1000に設けられた掘削穴910から試料を採取するものである。なお、本発明において上下方向とは、鉛直方向の成分を含む全ての方向を指す。したがって、上下方向には、鉛直方向のみならず、鉛直方向に対して傾斜する方向も含まれる。掘削穴910には、例えば、セメントミルク法により根固め部920および杭周固定部930が形成される。なお、根固め部920は、セメントミルクにより構成される根固め液を含む。杭周固定部930は、セメントミルクにより構成される杭周固定液を含む。なお、根固め液、杭周固定液は、セメントミルク以外のもので構成されていてもよい。
【0024】
試料採取装置1は、(図示しない)クレーン、または、セメントミルクに圧入することができる装置により掘削穴910の奥行方向Bに沿って上昇、または下降に操作されるロッド200に取り付けられる。これにより、試料採取装置1は、根固め部920および杭周固定部930のいずれの位置から試料を採取することができる。試料採取装置1は、図2に示すように、例えば、試料側収容部2と、栓部3と、開閉部4と、開閉側収容部5と、通気部6と、試料検知部7と、開閉側検知部8と、充填量検出部9と、を有する。
【0025】
<試料側収容部>
図1図3を参照して、試料側収容部2について説明する。試料側収容部2は、図2および図3に示すように、内部空間22を有する。そして、試料側収容部2は、掘削穴910から採取される試料を内部空間22で収容する。試料側収容部2は、例えば、筒状(例えば、円筒状)の試料側筒状体20により構成される。試料側筒状体20は、軸方向Aの先端側に、試料を外部から導入するための導入口21を有する。試料が内部空間22に取入れられる際に、試料は導入口21を通過する。導入口21は、軸方向Aに開口している。このため、外部と、試料側筒状体20の内部空間22とは、導入口21を介して軸方向Aにおいて連通する。
【0026】
また、試料側筒状体20の軸方向Aの基端側(上端側)は、板状体26により閉じられている。板状体26は、後述する軸部40を貫通させるための貫通孔26Aを有する。軸部40と貫通孔26Aとの間をシールするため、貫通孔26Aの近傍には、パッキン等の封止部材が取り付けられる。これにより、試料側筒状体20の軸方向Aの基端側は封止される。なお、板状体26は、試料側筒状体20と一体形成されてもよいし、後述する開閉側筒状体50と一体形成されてもよい。なお、試料側筒状体20の軸方向Aの基端側は、封止された状態でなくてもよく、そのようなものも本発明に含まれる。
【0027】
試料側筒状体20は、掘削穴910に設置される。図1に示すように、設置時において、試料側筒状体20は、軸方向Aの基端側よりも先端側(導入口21側)が掘削穴910の奥行方向Bの奥側に位置するように設置される。試料側筒状体20は、掘削穴910に設置されると、軸方向Aの先端側(導入口21側)は下端側または下方側と読み替え可能となり、軸方向Aの基端側は上端側または上方側と読み替え可能となり、以下の説明では適宜そのように読み替えるものとする。そして、試料側収容部2は、軸方向Aが掘削穴910の奥行方向Bに沿うように配置されることが好ましい。この場合、試料は、導入口21を通じて掘削穴910の奥行方向Bの奥側から手前側に向かって(下方側から上方側に向かって)内部空間22を移動して採取される。
【0028】
試料側筒状体20の内周面23は、図2および図3に示すように、軸方向Aの所定区間Sにおいて傾斜する内周面傾斜領域24を有する。内周面傾斜領域24では、内周面23は、軸方向Aの試料側筒状体20の上方側から下方側に進むに従って試料側筒状体20の中心軸25に接近するように傾斜する。内周面23は、試料側筒状体20の周方向に延在する全領域において傾斜していることが好ましいが、一部領域だけが傾斜してもよい。
【0029】
所定区間Sは、導入口21の近傍であることが好ましい。所定区間Sは、導入口21又はその近傍を起点として軸方向Aの上端側に延在してもよい。内周面傾斜領域24における傾斜面は、栓部3を導入口21の中心に案内する(センタリングする)案内面として機能する。つまり、内周面傾斜領域24における傾斜面は、確実に導入口21が閉じられるような位置に栓部3を案内する。
【0030】
なお、所定区間Sよりも軸方向Aの上端側の区間では、内周面23は、概ね軸方向Aに平行に延在する。また、所定区間Sよりも軸方向Aの下端側の区間がある場合、同様に、内周面23は、概ね軸方向Aに平行に延在する。
【0031】
<栓部>
図2図4を参照して、栓部3について説明する。栓部3は、図2および図3に示すように、試料側収容部2の内部側から導入口21を閉じる。そして、栓部3は、図2および図3に示すように、内周面傾斜領域24に当接可能な当接領域30を有する。当接領域30は、図3の下段図に示すように、試料側収容部2の軸周りを一周する環状の領域となる。
【0032】
栓部3の当接領域30が内周面傾斜領域24に当接すると、導入口21は、栓部3により閉じられた状態になる。結果、内部空間22はほぼ密閉された状態になる。また、栓部3は、軸方向Aにおいて、内周面傾斜領域24と対向する対向面31に当接領域30が含まれていれば、如何なる形状であってもよい。
【0033】
図4(A)に示すように、当接領域30と内周面傾斜領域24との間に、例えば、複数の砂利940等が挟み込まれた場合、当接領域30が弾性変形しないと、当接領域30と内周面傾斜領域24との間に隙間33が生じる。図4(B)に示すように、砂利940等を栓部3の内部側に押し込めれば、この隙間が生じない。このため、栓部3の当接領域30を起点として栓部3の内部側に延在する領域32は、可撓性を有する材質により構成されることが好ましい。可撓性を有する材質として、エラストマーが挙げられる。これにより、栓部3は、当接領域30において砂利940等を栓部3の内部側に押し込めることができ、隙間33を生じさせない。領域32は、当接領域30に略直角な方向に延在することが好ましい。また、領域32は、中心軸25の周りを一周する環状領域となる。ただし、栓部3の製造コストの観点からは、栓部3は、略全体が可撓性を有する材質により形成されることが好ましい。
【0034】
<開閉部>
図2図4を参照して、開閉部4について説明する。開閉部4は、栓部3を試料側収容部2の軸方向Aに移動させて、導入口21を開閉する。開閉部4は、例えば、軸部40と、駆動部41と、保護部42と、開閉側操作部43と、案内部44と、を有する。なお、案内部44は、あれば好ましいが、無くてもよい。
【0035】
<軸部>
軸部40は、図2および図3に示すように、軸方向Aに延在する。軸部40は、例えば、棒状体により構成される。栓部3は、軸部40の先端に設けられる。栓部3は、軸部40の先端側において軸部40に連結されてもよいし、軸部40と一体形成されてもよい。また、軸部40の中心軸と、試料側筒状体20の中心軸25とは、略一致することが好ましい。
【0036】
<駆動部>
駆動部41は、軸部40を軸方向Aに移動させるものである。駆動部41は、図2および図3に示すように、例えば、ピストン45と、シリンダ46と、ピストン駆動部47と、を有する。ピストン45は、自身の先端側に軸部40が設けられる。ピストン45は、自身の下端側において軸部40に連結されてもよいし、軸部40と一体形成されてもよい。このため、軸部40は、ピストン45の動作に連動して移動する。
【0037】
シリンダ46は、ピストン45を軸方向Aに案内するように、ピストン45を収容する。ピストン駆動部47は、流体供給部470と、ピストン前進側配管471と、ピストン後退側配管472と、を有する。
【0038】
流体供給部470は、開閉側操作部43で受け付けた操作に応じて流体をシリンダ46に供給する。流体供給部470は、例えば、流体源473と、開閉側切替え弁474と、を有する。流体源473は、流体を送るものである。流体として、例えば、空気が想定されるが、これに限定されるものではなく、油であってもよい。流体源473は、例えば、流体が空気ならコンプレッサを有し、流体が油なら油圧ポンプを有する。なお、以下において流体は空気であり、流体源473は空気を送ることを前提に説明する。
【0039】
開閉側切替え弁474は、流体源473に接続される流体源側ポート475と、地上の外部空間に開放される大気開放側ポート476と、ピストン前進側配管471に接続されるピストン前進側ポート477と、ピストン後退側配管472に接続されるピストン後退側ポート478と、を有する。そして、開閉側切替え弁474は、開閉側操作部43で受け付けられる操作に応じて、閉モード、開モードおよび開閉停止モードを切り替える。なお、流体が油の場合、大気開放側ポート476は、油を保持するタンクに開放されるタンク側ポートに置き換えられる。
【0040】
閉モードとは、試料側筒状体20の導入口21を閉じるモードである(図7参照)。そして、閉モードでは、開閉側切替え弁474は、流体源側ポート475とピストン前進側ポート477との間を開通させると共に、大気開放側ポート476とピストン後退側ポート478との間を開通させる。結果、ピストン前進側配管471が流体源473に繋がり、ピストン後退側配管472が地上の外部空間に開放される。
【0041】
開モードは、試料側筒状体20の導入口21を開くモードである(図6参照)。そして、開モードでは、開閉側切替え弁474は、流体源側ポート475とピストン後退側ポート478との間を開通させると共に、大気開放側ポート476とピストン前進側ポート477との間を開通させる。結果、ピストン後退側配管472が流体源473に繋がり、ピストン前進側配管471が地上の外部空間に開放される。
【0042】
開閉停止モードは、ピストン45の動作を停止するモードである(図8参照)。そして、開閉停止モードでは、開閉側切替え弁474は、流体源側ポート475、大気開放側ポート476、ピストン前進側ポート477、およびピストン後退側ポート478のいずれも相互に開通させず、それぞれ他のポートとの開通を遮断した状態にする。結果、ピストン前進側配管471、ピストン後退側配管472は、流体源473および地上の外部空間に開放されず、閉じられた状態になる。
【0043】
開閉側切替え弁474は、例えば、4ポート3位置電磁弁により構成することができる。4ポートのうち3ポートには、それぞれ流体源473、ピストン前進側配管471、ピストン後退側配管472が接続され、残りの1ポートは地上の外部空間に開放された状態になる。
【0044】
以上の駆動部41は、ピストン45と、シリンダ46と、ピストン駆動部47を用いて軸部40を直動させたが、ボールねじ機構とモーターを用いて軸部40を軸方向Aに直動させてもよい。
【0045】
また、ピストン前進側配管471は、ピストン前進側外部流路471Aと、ピストン前進側内部流路471Bと、を有する。ピストン前進側外部流路471Aは、地上から開閉側収容部5まで掘削穴910の奥行方向B(上下方向)に延在する。また、ピストン前進側外部流路471Aは、開閉側切替え弁474のピストン前進側ポート477に接続される。ピストン前進側内部流路471Bは、開閉側収容部5の内部に設けられ、開閉側収容部5の内部においてピストン前進側外部流路471Aに繋がると共に、シリンダ46のピストン前進側接続部46Aに接続される。
【0046】
ピストン後退側配管472は、ピストン後退側外部流路472Aと、ピストン後退側内部流路472Bと、を有する。ピストン後退側外部流路472Aは、地上から開閉側収容部5まで掘削穴910の奥行方向B(上下方向)に延在する。また、ピストン後退側外部流路472Aは、開閉側切替え弁474のピストン後退側ポート478に接続される。ピストン後退側内部流路472Bは、開閉側収容部5の内部に設けられ、開閉側収容部5の内部においてピストン後退側外部流路472Aに繋がると共に、シリンダ46のピストン後退側接続部46Bに接続される。
【0047】
<保護部>
保護部42は、シリンダ46の内部に試料が入り込まないように保護する(シールする)ものである。保護部42は、図2および図3に示すように、例えば、シリンダ46の開口45Aの外側近傍に設けられる蛇腹カバーにより構成される。蛇腹カバーは、軸部40の軸周りを覆うと共に、板状体26の内部空間22側の面を起点として軸方向Aの先端側に延在する。また、蛇腹カバーは、蛇腹状に形成され、軸方向Aに伸縮自在である。
【0048】
<開閉側操作部>
開閉側操作部43は、閉モード、開モードおよび開閉停止モードに対応する操作である閉操作、開操作、開閉停止操作を外部から受け付けて、その操作を指示信号に変換して、流体供給部470(開閉側切替え弁474)に伝達する。従って、開閉側操作部43は、閉モード、開モードおよび開閉停止モードを切り替えるような操作ボタン、操作レバー、タッチパネル等を備えることが好ましい。また、開閉側操作部43は、外部の制御装置(例えば、PC)からの操作信号を受け付けて、その操作信号を指示信号に変換して、流体供給部470(開閉側切替え弁474)に送信してもよい。また、開閉側操作部43自身が制御装置となっており、後述する試料検知部7や開閉側検知部8からの検知信号を受け付けて、これらの信号に基づいて指示信号に変化して、流体供給部470(開閉側切替え弁474)に伝達してもよい。すなわち、手動操作と自動操作の双方に適用可能である。
【0049】
<案内部>
案内部44は、軸部40を軸方向Aに案内する。案内部44は、試料側筒状体20の内部に設けられる。案内部44は、例えば、板状に形成されることが好ましい。試料側筒状体20の内部空間22における試料収容可能体積をなるべく大きくするためである。案内部44は、図2および図3に示すように、試料側筒状体20の内部空間22を軸方向Aに2分するように仕切る。また、案内部44は、軸方向Aに貫通するピストン側貫通孔440を有する。ピストン側貫通孔440は、軸部40を通す。ピストン側貫通孔440を構成するピストン側貫通孔構成面は、軸方向Aの一部区間において、軸部40の軸回りの周面を取り囲むと共に、軸方向Aに延在する。また、ピストン側貫通孔440の直径は、軸部40の直径よりもわずかに大きい。このため、ピストン側貫通孔構成面は、軸部40を軸方向Aに案内する案内面として機能する。また、案内部44がない場合、試料等により軸部40に力が加わり、軸部40は、軸方向とはずれた方向に移動するおそれがある。軸部40が軸方向とはずれた方向に移動すると、栓部3は導入口21を閉じることができない。一方で、案内部44があれば、軸部40は、軸方向に案内されることを保証されるため、栓部3は、確実に導入口21を閉じることができる。
【0050】
また、案内部44には、試料を通すための試料側貫通孔441が少なくとも1つ設けられる。導入口21を通じて、試料が内部空間22に取入れられていくと、試料側筒状体20の内部空間22における導入口21を基準とした試料の高さが段々高くなっていく。このとき、試料側貫通孔441がないと、案内部44よりも上方側に試料は移動できない。このため、試料側貫通孔441が設けられる。これにより、試料は、試料側貫通孔441を通過して案内部44よりも上方側に移動することができる。
【0051】
<開閉側収容部>
図2および図3を参照して、開閉側収容部5について説明する。開閉側収容部5は、収容空間52を有する。収容空間52には、ピストン45およびシリンダ46が収容される。開閉側収容部5は、筒状の開閉側筒状体50により構成される。
【0052】
開閉側筒状体50は、自身の中心軸55と、試料側筒状体20の中心軸25とが略一致するように配設される。また、開閉側筒状体50は、軸方向Aの試料側筒状体20に近位な端部は、板状体26により閉じられ、軸方向Aの試料側筒状体20に遠位な端部は、板状体56により閉じられる。板状体56は、開閉側筒状体50とは別部材としてネジ56Dにより開閉側筒状体50に取り付けられてもよいし、開閉側筒状体50と一体形成されてもよい。
【0053】
板状体56には、図2および図3に示すように、ピストン前進側配管471、ピストン後退側配管472、後述する通気配管60通すための3つの貫通孔56A~56Cが設けられる。
【0054】
<通気部>
図2および図3を参照して、通気部6について説明する。通気部6は、外部と、試料側筒状体20の内部との間の通気を行う。通気部6は、図2および図3に示すように、通気配管60と、通気側切替え弁61と、真空ポンプ62と、通気側操作部63と、を有する。通気配管60は、地上の外部空間と、試料側収容部2の内部との間を通気するための配管である。通気配管60は、外部側通気流路60Aと、内部側通気流路60Bと、を有する。
【0055】
外部側通気流路60Aは、通気側切替え弁61に接続されると共に、地上から開閉側収容部5まで掘削穴910の奥行方向B(上下方向)に延在する。内部側通気流路60Bは、開閉側収容部5の内部に設けられ、一端が外部側通気流路60Aに繋がり、他端が板状体26に設けられる通気側接続部20Aに接続される。そして、内部側通気流路60Bの内部空間は、試料側筒状体20の内部空間22に連通した状態となる。
【0056】
通気側切替え弁61は、真空ポンプ62に接続される真空ポンプ側ポート64と、地上の外部空間に開放される大気開放側ポート65と、通気配管60に接続される通気配管側ポート66と、を有する。そして、通気側切替え弁61は、通気側操作部63で受け付けられる操作に応じて、大気開放モード(図7参照)、真空ポンプモード(図6参照)および通気停止モード(図8参照)を切り替える。なお、通気側切替え弁61は、例えば、3ポート3位置電磁弁により構成することができる。
【0057】
大気開放モードは、試料側筒状体20の内部を地上の外部空間に開放するモードである。大気開放モードでは、通気側切替え弁61は、大気開放側ポート65と通気配管側ポート66との間を開通させる共に、真空ポンプ側ポート64と他のポートの開通を遮断した状態にする。つまり、通気配管60は、一端側が地上の外部空間に開放され、他端側が試料側収容部2の内部と地上の外部空間とが連通するように試料側収容部2に接続された状態になる。結果、通気配管60を通じて試料側筒状体20の内部が地上の外部空間に開放される。この場合、試料側筒状体20の内部空気は、地上の外部空間の大気圧と同程度の圧力になる。以上のように構成される通気配管60によれば、試料側筒状体20の内部の空気を地上の外部空間に排気できるため、試料側筒状体20の外部の試料内に空気を残留させることを防止することができる。
【0058】
真空ポンプモードは、試料側筒状体20の内部を真空ポンプ62に繋げるモードである。真空ポンプモードでは、通気側切替え弁61は、真空ポンプ側ポート64と通気配管側ポート66とを開通させると共に、大気開放側ポート65と他のポートの開通を遮断した状態にする。結果、通気配管60を通じて試料側筒状体20の内部が真空ポンプ62に繋がる。この場合、真空ポンプ62が動作すると、試料側筒状体20の内部の空気は外部に排気されて、大気圧よりも低圧状態となる。
【0059】
通気停止モードは、試料側筒状体20の内部を閉じて、試料側筒状体20の内部を外部空間から遮断するモードである。通気停止モードでは、通気側切替え弁61は、真空ポンプ側ポート64、大気開放側ポート65および通気配管側ポート66の間における開通を遮断した状態にする。
【0060】
なお、真空ポンプ62はなくてもよい。この場合、通気側切替え弁61は、2ポート電磁弁で構成され、地上の外部空間に対して通気配管60の開放・遮断のいずれかのみを行う。また、地上の外部空間に開放する部分をなくして、真空ポンプ62のみにしてもよい。この場合、通気側切替え弁61は、2ポート電磁弁で構成され、真空ポンプ62に対して通気配管60の開放・遮断のいずれかのみを行うものであってもよい。また、本実施形態において真空ポンプ62は、空気を外部に排気するために用いられており、空気排気機能を有するものであれば、他のものに置き換えてもよい。
【0061】
真空ポンプ62を作動させると、試料側筒状体20の内圧が下がるため、試料側筒状体20の内部に試料を吸い上げる力を大きくすることができる。このため、導入口21を開いたときに、試料側収容部2の内部への試料を吸い上げる力が小さい場合に、真空ポンプ62を作動させることは有用である。
【0062】
通気側操作部63は、大気開放モード、真空ポンプモードおよび通気停止モードに対応する操作である大気開放操作、真空ポンプ操作、通気停止操作を外部から受け付けて、その操作を指示信号に変換して、通気側切替え弁61に伝達する。従って、通気側操作部63は、大気開放モード、真空ポンプモードおよび通気停止モードを切り替えるような操作ボタン、操作レバー、タッチパネル等を備えることが好ましい。また、外部の制御装置(例えばPC)からの操作信号を受け付けて、その操作信号を指示信号に変換して、通気側操作部63に送信してもよい。また、通気側操作部63自身が制御装置となっており、試料検知部7や開閉側検知部8からの検知信号を受け付けて、これらの信号に基づいて指示信号に変化して、通気側切替え弁61に伝達してもよい。すなわち、手動操作と自動操作の双方に適用可能である。また、通気側操作部63と開閉側操作部43を一体化することも可能である。この際、通気側操作部63の開モードと、開閉側操作部43の大気開放モード又は真空ポンプモードとを連動させることができる。また、通気側操作部63の閉モードと、開閉側操作部43の大気開放モード又は通気停止モードとを連動させることができる。更に、通気側操作部63の開閉停止モードと、開閉側操作部43の大気開放モード又は通気停止モードとを連動させることができる。
【0063】
<試料検知部>
試料検知部7は、試料側収容部2の基準位置(以下、試料高さ側基準位置と呼ぶ。)からの試料側収容部2に収容された試料の軸方向Aにおける高さが所定の閾値に達したことを検知する。なお、試料高さ側基準位置は、例えば、導入口21が挙げられるが、これに限定されるものではなく、試料側収容部2におけるその他の位置であってもよい。試料検知部7は、例えば、水位計、浮き球式のフロートスイッチにより構成される。試料検知部7における検知結果は、(図示しない)報知部を通じて作業者に知らされる。報知部での報知態様として、例えば、表示部への表示、または、音の出力、検知灯の点灯等が挙げられる。なお、検知信号を、通気側操作部63や開閉側操作部43に伝達することも好ましい。以上のように構成される試料検知部7によれば、試料側収容部2において収容される試料の充填量を地上からでも把握することができる。
【0064】
<開閉側検知部>
開閉側検知部8は、導入口21の開閉について検知する。開閉側検知部8は、試料側収容部2の基準位置(以下、移動量側基準位置と呼ぶ。)からの軸部40の軸方向Aの移動量に基づいて、導入口21の開閉状態を検知する。本実施形態では、開閉側検知部8は、基準位置からの軸部40の軸方向Aの移動量を、シリンダ46に対するピストン45の基準位置からのストローク量と見做し、当該ストローク量に基づいて導入口21の開閉状態を検知する。なお、開閉側検知部8は、ピストン45の基準位置からのストローク量を直接計測する態様であってもよい。例えば、栓部3が導入口21を閉じている状態の軸部40(ピストン45)の位置を移動量側基準位置とした場合、軸部40(ピストン45)が移動量側基準位置から軸方向Aの上端側に移動すると、導入口21は開いた状態になる。したがって、開閉側検知部8は、軸部40(ピストン45)の位置が移動量側基準位置からずれている場合、導入口21は開いていると検知する。一方、開閉側検知部8は、軸部40(ピストン45)の位置が移動量側基準位置にある場合、導入口21は閉じていると検知する。開閉側検知部8における検知結果は、(図示しない)報知部を通じて作業者に知らされる。報知部での報知態様として、例えば、表示部への表示、または、音の出力、検知灯の点灯等が挙げられる。なお、検知信号を、通気側操作部63や開閉側操作部43に伝達することも好ましい。
【0065】
また、例えば、栓部3の当接領域30と、試料側収容部2の内周面傾斜領域24との間に小さな石が挟み込まれた状態で導入口21が閉じた状態になる場合、軸部40(ピストン45)が移動量側基準位置からわずかにずれて位置することになる場合がある。この場合でも、当接領域30と内周面傾斜領域24との間の隙間がわずかならば、導入口21が閉じられた状態にあると見做していい。このため、開閉側検知部8は、上記移動量側基準位置からの軸部40(ピストン45)の移動量(ストローク量)が所定の閾値以下なら、導入口21が閉じられた状態とし、それ以外では、導入口21が開いた状態と検知するように構成されてもよい。以上のように構成される開閉側検知部8によれば、開閉部4により導入口21を閉じる動作を行ったが、栓部3の当接領域30と試料側収容部2の内周面傾斜領域24との間に大きな石が挟み込まれた等の理由で、導入口21が閉じられていないことを把握することができる。
【0066】
<充填量検出部>
試料側収容部2に試料が収容されると、その分だけ、通気配管60を通じて試料側筒状体20の内部の空気が外部に排気される。このことを利用して、充填量検出部9は、試料側収容部2から外部に排気される空気の排気量を計測し、該排気量に基づいて試料側収容部2における試料の充填量を検出する。具体的に充填量検出部9は、図2に示すように、例えば、排気量計測部90と、充填量計算部91と、を有する。
【0067】
排気量計測部90は、通気配管60を通じて試料側収容部2から外部に排気される空気の排気量を計測する。なお、本実施形態において排気量計測部90は、大気開放側ポート65に接続される配管67に設けられているが、これに限定されるものではなく、通気配管側ポート66に接続される通気配管60のいずれかの位置に設けられてもよい。排気量計測部90は、例えば、流量計で構成される。充填量計算部91は、導入口21が開いた以降に排気量計測部90で計測された空気の排気量に基づいて、試料側収容部2における試料の充填量を計算する。充填量計算部91は、例えば、PC等の計算機で構成される。
【0068】
充填量検出部9における検出結果は、(図示しない)報知部を通じて作業者に知らされる。報知部は、具体的な充填量の報知や、充填量が所定の閾値を超えたことの報知など様々な報知を行う。具体的な充填量の報知態様として、例えば、具体的な充填量の表示部への表示が挙げられる。充填量が所定の閾値を超えたことの報知として、音の出力や報知灯の点灯等が挙げられる。なお、検出信号を、通気側操作部63や開閉側操作部43に伝達することも好ましい。以上のように構成される充填量検出部9によれば、試料側収容部2において収容される試料の充填量を地上からでも把握することができる。
【0069】
<試料採取装置の動作>
図1および図5図8を参照して、試料採取装置1を用いて試料を採取する手順について説明する。なお、図5図8に示す試料採取装置1では、図2および図3に示す試料採取装置1とは、開閉側操作部43、開閉側切替え弁474、通気側操作部63、および通気側切替え弁61の配置が異なるが、これは図を描く都合上、配置を異ならせているだけで、いずれも実質的に同じものである。
【0070】
まず、図1に示すように、(図示しない)クレーン、または、セメントミルクに圧入することができる装置により試料採取装置1を掘削穴910の所望の深さまで下降させる。その後、図5(A)に示すように、開閉側操作部43で作業者による開操作が受け付けられると、開閉側切替え弁474は開モードになり、ピストン後退側配管472を流体源473に開放し、ピストン前進側配管471を地上の外部空間に開放する。これにより、栓部3は軸部40と共に、軸方向Aの上方側に移動する。これにより、導入口21が開く。なお、このとき、図5(A)に示すように、通気側操作部63で作業者による大気開放モードが受け付けられ、通気側切替え弁61は、大気開放モードに切り替えられた状態になっていることが好ましい。この場合、地上の外部空間と、試料側収容部2の内部との間は、通気可能な状態になっている。このため、試料側収容部2の内部は、地上の外部空間の大気圧と同程度の圧力になっている。そして、試料側収容部2の内部の空気は、試料側収容部2の周囲の試料内にではなく、地上の外部空間に排気されるため、試料側収容部2の周囲の試料に空隙を生じさせない。
【0071】
この状態において導入口21が開くと、地下の試料採取場所における試料の水圧の方が、内部空間22内の空気の圧力(地上の外部空間の大気圧と一致)よりも大きいため、図5(A)に示すように、試料が試料側収容部2の内部に流れ込む。なお、試料の粘度が高い場合や、試料採取場所が比較的浅い位置であって、試料の水圧と、試料側収容部2の内部空間22内の空気の圧力の圧力差が小さい場合などは、試料が試料側収容部2の内部に流れ込み難くなり、試料が試料側収容部2の内部に十分な量、入り込まないことがあり得る。この場合、図6に示すように、作業者は、通気側操作部63に対して真空ポンプ操作を行い、通気側切替え弁61を真空ポンプモードに切り替える。これにより、試料を試料側収容部2の内部に吸い上げることができる。
【0072】
そして、試料側収容部2の内部に十分な量の試料を採取して、試料高さ側基準位置からの試料の高さが所定の閾値に達すると、そのことが試料検知部7で検知される。そして、試料検知部7における検知結果は、(図示しない)報知部を通じて作業者に知らされる。また、充填量検出部9では、導入口21が開いた以降に通気配管60を通じて試料側収容部2から外部に流れてくる空気の流量に基づいて、試料側収容部2における試料の充填量が検出される。充填量検出部9における検知結果は、(図示しない)報知部を通じて作業者に知らされる。このとき、開閉側操作部43で作業者による閉操作が受け付けられると、図7(A)に示すように、開閉側切替え弁474は閉モードになり、ピストン前進側配管471を流体源473に開放し、ピストン後退側配管472を地上の外部空間に開放する。これにより、図7(B)に示すように、栓部3は軸部40と共に、軸方向Aの下方側に移動して、導入口21は栓部3により栓をされる。なお、試料検知部7で検知されると、開閉側切替え弁474は、自動的に閉モードになるよう構成されてもよい。同時に、真空ポンプモードや大気開放モードも、自動的に通気停止モードとなるように構成されてもよい。
【0073】
その後、図8(A)に示すように、試料が収容された試料採取装置1を(図示しない)クレーンにより地上まで上昇させる。なお、栓部3の当接領域30と、試料側収容部2の内周面傾斜領域24との間に大きな石が挟み込まれて、導入口21が十分に閉じられない状況があり得る。この場合、試料採取装置1を地上まで上昇させる過程で、導入口21から試料が外部に漏れ出てしまう。しかしながら、本実施形態における試料採取装置1では、導入口21が十分に閉じられない状態にある場合、そのことが開閉側検知部8で検知されて、(図示しない)報知部を通じて作業者に知らされる。それを受けて作業者は、通気側操作部63に対して通気停止操作を行い、図8(B)に示すように、通気側切替え弁61を通気停止モードに切り替えることが好ましい。試料側収容部2の内部を地上の外部空間と通気させなければ、導入口21から試料が外部に漏れ出そうとしても、内部空間22に残留する空気が負圧状態となって、導入口21から試料が外部に漏れ出ていかない。なお、開閉側検知部8で検知されると、通気側切替え弁61は、自動的に通気停止モードになるよう構成されてもよい。また、試料採取装置1において、導入口21が十分に閉じられないことが開閉側検知部8で検知される場合、開モードと閉モードを繰り返すことで、導入口21近傍の砂利を強制的に移動させることも好ましい。
【0074】
そして、地上において、開モードによって、栓部3を軸部40と共に、軸方向Aの上方側に移動させて、導入口21から試料を取り出す。この際は、大気開放モードにすることが好ましい。これにより、地下における試料を地上で採取することができる。
【0075】
以上のように、本発明の第一実施形態における試料採取装置1によれば、圧力差を利用して、試料採取装置1の下端の導入口を通じて、試料を下方側から上方側に吸い上げることができる。このため、圧力差を調整すれば、導入口に隙間があっても吸い上げる試料の量を制御することができる。
【0076】
<第二実施形態>
図9を参照して、本発明の第二実施形態における試料採取装置1について説明する。本実施形態における試料採取装置1は、第一実施形態における試料採取装置1に、更に、洗浄用液体により試料側筒状体20(試料側収容部2)の内部を洗浄する洗浄部10を加えたものである。洗浄部10は、例えば、洗浄用液体供給部11と、洗浄側通気部12と、振動部13と、洗浄側操作部14と、洗浄用液体検知部15と、報知部16と、圧力検知部17と、を備える。
【0077】
<洗浄用液体供給部>
洗浄用液体供給部11は、洗浄側操作部14で受け付けた操作に応じて試料側筒状体20の内部に洗浄用液体を供給するものであり、例えば、洗浄用液体源111と、洗浄用液体配管112と、洗浄側切替え弁113と、を有する。
【0078】
洗浄用液体源111は、洗浄用液体を供給するものである。洗浄用液体として、例えば、水が挙げられるが、これに限定されるものではなく、その他の液体であってもよい。洗浄用液体源111は、水道が挙げられるが、これに限定されるものではなく、液体が貯められたタンクや、川、湖等の自然水源の水源と、水源の水を送り出すポンプにより構成されてもよい。
【0079】
洗浄用液体配管112は、外部側液体流路114と、内部側液体流路115と、を有する。外部側液体流路114は、一端が洗浄側切替え弁113に接続され、他端が内部側液体流路115に接続される。外部側液体流路114は、例えば、変形自在な材料で形成されたチューブで構成され、洗浄側切替え弁113及び内部側液体流路115に着脱可能に接続される。内部側液体流路115は、開閉側収容部5の内部に設けられ、一端が外部側液体流路114に繋がり、他端が板状体26に設けられる液体側接続部20Bに接続される。液体側接続部20Bは、試料側筒状体20の内部空間22側に通じる(図示しない)内部通路を有する。そして、内部側液体流路115は、液体側接続部20Bの内部通路を介して試料側筒状体20の内部空間22に連通した状態となる。
【0080】
洗浄側切替え弁113は、洗浄用液体源111に接続される洗浄用液体源側ポート1130と、地上の外部空間に開放される大気開放側ポート1131と、洗浄用液体配管112(外部側液体流路114)に接続される洗浄用液体配管側ポート1132と、通気配管60(外部側通気流路60A)から分岐する洗浄側通気配管60Cに接続される洗浄側通気配管側ポート1133と、を有する。洗浄側切替え弁113は、洗浄側操作部14で受け付けられる操作に応じて、洗浄用液体供給モード、洗浄用液体停止モード、及び洗浄停止モードを切り替える。
【0081】
<洗浄側通気部>
洗浄側通気部12は、洗浄側操作部14で受け付けた操作に応じて試料側筒状体20の内部を外部空間に開放するものである。洗浄側通気部12は、図9に示すように、例えば、洗浄側切替え弁113と、これに接続される洗浄側通気配管60Cを有する。洗浄側通気配管60Cは、通気配管60(外部側通気流路60A)の途中に合流している。即ち、通気配管60の一部が、洗浄側通気配管60Cを兼ねる構造となっている。洗浄側通気配管60Cは、洗浄用液体源111から試料側筒状体20の内部に洗浄用液体が流れ込んだ際、その試料側収容部2の内部に流れ込んだ液体に相当する分の空気を外部空間に排出する役割を有すする。一方で、開閉側収容部5の内部に洗浄側内部側通気流路を専用で設けておき、これに洗浄側通気配管60Cを直接接続することで、試料を採取する際に内部空気を排気する通気配管60から完全に独立させても良い。
【0082】
<振動部>
振動部13は、洗浄側操作部14で受け付けられる操作に応じて、試料側収容部2に振動を与えるものである。振動部13は、例えば、圧電セラミックス等の圧電体に加えられた電圧を力に変換する圧電素子を有する。圧電素子に超音波に相当する周波数の交流電圧を加えると、圧電素子は超音波振動を行う。
【0083】
振動部13は、試料側筒状体20、又は、開閉側筒状体50(開閉側収容部5)に、直接、又は、所定の部材を介して間接的に繋がるように設けられる。なお、本実施形態では、試料採取装置1が下端に接続されるロッド200を保持する把持機構側に振動部13が設けられる。これにより、振動部13における振動が試料側筒状体20に伝達して、試料側筒状体20は振動する。なお、振動部13は、試料採取装置1に設けられてもよいが、これに限定されるものではない。つまり、振動部13は、例えば、試料採取装置1に設けられるのではなく、試料採取装置1を移動させるクレーン等のアームや、その他の外部装置に設けられてもよい。この場合、試料側筒状体20の内部を洗浄する際に、振動部13は、外部装置の操作部からの指示により動作して、試料採取装置1に対して振動を与える。なお、外部装置の操作部は、洗浄側操作部14から独立したものであり、洗浄側操作部14とは電気的なつながりはない。ただし、外部装置の振動部13は、洗浄側操作部14で受け付けられる操作に対応する操作信号を洗浄側操作部14から受けて、その操作信号に連動して自動的に動作するように構成されてもよい。このようなものも本発明の範囲に含まれる。
【0084】
<洗浄側操作部>
洗浄側操作部14は、洗浄用液体供給モード、洗浄用液体停止モード、及び洗浄停止モードに対応する操作である洗浄操作、洗浄用液体停止操作、及び洗浄停止操作を外部から受け付けて、その操作を指示信号に変換して、洗浄用液体供給部11(洗浄側切替え弁113)及び振動部13に伝達する。従って、洗浄側操作部14は、洗浄用液体供給モード、洗浄用液体停止モード、及び洗浄停止モードを切り替えるような操作ボタン、操作レバー、タッチパネル等を備えることが好ましい。
【0085】
また、洗浄側操作部14は、外部の制御装置(例えば、PC)からの操作信号を受け付けて、その操作信号を指示信号に変換して、洗浄用液体供給部11(洗浄側切替え弁113)及び振動部13に送信してもよい。また、洗浄側操作部14自身が制御装置となっており、洗浄用液体検知部15からの検知信号を受け付けて、これらの信号に基づいて指示信号に変化して、洗浄用液体供給部11(洗浄側切替え弁113)及び振動部13に伝達してもよい。すなわち、手動操作と自動操作の双方に適用可能である。なお、<振動部>で説明したように、振動部13の動作は、洗浄側操作部14の操作に対応付けても、対応付けなくてもよい。
【0086】
<洗浄用液体検知部>
洗浄用液体検知部15は、試料側筒状体20の基準位置(以下、適宜、洗浄用液体高さ側基準位置と呼ぶ。)からの試料側筒状体20に収容された洗浄用液体の軸方向Aにおける高さ(水位)が所定の閾値に達したことを検知するものである。洗浄用液体検知部15は、例えば、試料側筒状体20の内部に設けられる水位センサにより構成される。栓部3で導入口21が閉じられた状態で洗浄用液体が試料側筒状体20の内部に供給され続けると、試料側筒状体20の内部は、洗浄用液体で一杯になる。洗浄用液体で一杯になった状態から、更に、試料側筒状体20の内部に洗浄用液体が供給され続けると、洗浄用液体が、洗浄側通気配管60C及び洗浄側通気配管60Cを通じて外部に排出される。この際、図9に示すように、洗浄用液体高さ側基準位置を基準とした洗浄用液体の水位が所定の閾値に達したことを洗浄用液体検知部15で検知し、その検知信号を洗浄側操作部14に伝達する。結果、報知部16によって外部にその旨を報知できる。報知部16は、例えば、光(LED等)や表示画面への表示により外部にその旨を報知してもよいし、音により外部にその旨を報知してもよい。これにより、作業者は、試料側筒状体20の内部が洗浄用液体で満たされたことを素早く認識できるため、洗浄用液体の供給を停止できる。結果、洗浄用液体が、洗浄側通気配管60Cや洗浄側切替え弁113に流出させることが無くなるので、洗浄側通気配管60Cの目詰まりや洗浄側切替え弁113の故障を抑制できる。なお、この洗浄用液体検知部15は、試料検知部7で代用することも可能である。
【0087】
<圧力検知部>
また、図9に示すように、洗浄用液体検知部15と同時に、又は、洗浄用液体検知部15に代えて、圧力検知部17を設けてもよい。この圧力検知部17は、洗浄用液体配管112又は試料側筒状体20の内部のいずれかの圧力を検知する。圧力検知部17が設けられる位置は、試料側筒状体20の内部であってもよいし、洗浄用液体配管112の内部であってもよいし、それらに連通する任意の位置であってもよい。圧力検知部17の圧力値を、洗浄側操作部14に伝達することで、洗浄用液体配管112又は試料側筒状体20の内部の圧力が所定の閾値に達したか否か判定できる。洗浄側操作部14で、内部の圧力が所定の閾値を超えたと判定されると、報知部16によって所望の報知を実行する。
【0088】
更に、洗浄用液体検知部15や圧力検知部17の信号によって、洗浄側操作部14が内部の洗浄用液体の状態を検知した際に、この洗浄側操作部14が、洗浄用液体供給部11(洗浄側切替え弁113)に洗浄用液体停止モード又は洗浄停止モードになるように指示信号を伝達することが好ましく、洗浄用液体の供給を自動停止できる。
【0089】
<洗浄用液体供給モード等の説明>
次に、洗浄用液体供給モード、洗浄用液体停止モード、及び洗浄停止モードについて詳細に説明する。洗浄用液体供給モードとは、試料側収容部2の内部を外部空間に開放した状態で試料側筒状体20の内部に洗浄用液体を供給するモードである。そして、洗浄用液体供給モードにおいて洗浄側切替え弁113は、図10(A)に示すように、洗浄用液体源側ポート1130と洗浄用液体配管側ポート1132の間を開通させると共に、大気開放側ポート1131と洗浄側通気配管側ポート1133の間を開通させる。結果、洗浄用液体源111と洗浄用液体配管112は繋がると共に、洗浄側通気配管60Cが地上の外部空間に開放される。そして、洗浄用液体配管112を通じて洗浄用液体源111から試料側筒状体20の内部に洗浄用液体が流れ込むと共に、洗浄側通気配管60Cを通じて流れ込んだ洗浄用液体に相当する分の空気又は洗浄用液体が試料側筒状体20の内部から外部空間に排出される。また、本実施形態において洗浄用液体供給モードでは、振動部13が動作(振動)することが好ましい。
【0090】
洗浄用液体停止モードとは、試料側筒状体20の内部に洗浄用液体を供給することを停止するモードである。そして、洗浄用液体停止モードにおいて洗浄側切替え弁113は、図10(B)に示すように、洗浄用液体源側ポート1130、大気開放側ポート1131、洗浄用液体配管側ポート1132、及び洗浄側通気配管側ポート1133のいずれも相互に開通させず、各ポート間の開通を遮断した状態にする。結果、洗浄側通気配管60Cは、外部空間に開放されないので、試料側収容部2の内部の空気は、外部空間に排出されない。また、洗浄用液体配管112は、洗浄用液体源111に繋がらないので、試料側筒状体20の内部には、洗浄用液体は供給されない。また、本実施形態において洗浄用液体停止モードでは、振動部13の動作(振動)が継続する。
【0091】
洗浄停止モードとは、試料側筒状体20の内部の洗浄を停止するモードである。そして、洗浄停止モードにおいて洗浄側切替え弁113は、図10(C)に示すように、洗浄用液体停止モードと同様に動作する。また、本実施形態において洗浄用液体停止モードでは、振動部13の動作(振動)が停止する。
【0092】
また、図11(A)~(D)に示すように、通気側切替え弁61及び洗浄側切替え弁113の機能を一つにして、5つのポートを有する多方弁120を設けてもよい。この場合、図11の通り、外部側通気流路60Aが、洗浄側通気配管60Cを兼ねることが好ましい。多方弁120の5つのポートは、それぞれ洗浄用液体源側ポート1130、大気開放側ポート65、真空ポンプ側ポート64、通気配管側ポート66、洗浄用液体配管側ポート1132となる。多方弁120は、切り替えることにより4つのモードを実現することができる。4つのモードとは、図11(A)に示す(試料採取時の)大気開放モード、図11(B)に示す(試料採取時の)真空ポンプモード、図11(C)に示す洗浄用液体供給モード、図11(D)に示す及び洗浄用液体停止モード(洗浄停止モード及び通気停止モード)である。
【0093】
<洗浄方法>
図12図15を参照して、試料側筒状体20の内部の洗浄方法について説明する。第一実施形態の説明の<試料採取装置の動作>で説明したように、試料採取装置1により地下で試料を採取した後に、試料採取装置1を地上900に移動させる。そして、図12(A)に示すように、試料採取装置1を大気開放モードにしつつ、開モードにして、栓部3を軸部40と共に、軸方向Aの上方側に移動させて、導入口21を通じて試料側筒状体20の内部から試料を容器800に取り出す。これにより、試料は自然落下して、図11(B)に示すように、容器800に試料が溜まる。この時、図12(B)に示すように、試料側筒状体20の内部の内周面23には、試料の残り(以下、残試料)700が付着した状態になる。試料側筒状体20の内部を洗浄して、このような残試料700を除去するのが洗浄部10である。
【0094】
試料側筒状体20の内部を洗浄するには、まず、開閉側操作部43に対して閉モードに対応する操作を行う。閉モードになると、図13(A)に示すように、栓部3は、軸部40と共に、軸方向Aの下方側に移動して、導入口21を閉じる。これにより、試料側筒状体20の内部は、閉じられた空間となる。導入口21が閉じられたことが開閉側検知部8で検知されると、開閉停止モードに切り替えられて、ピストン45(軸部40及び栓部3)の動作が停止する(図13(B)参照)。
【0095】
なお、後述するように、本実施形態において洗浄側通気部12は、洗浄用液体供給モードになると、洗浄側切替え弁113と、洗浄側通気配管60Cにより、試料側筒状体20の内部を外部空間に開放する。このため、洗浄用液体供給モードになるのに先立って、通気側切替え弁61は、通気停止モードになって、自身を通じて試料側筒状体20の内部が大気に開放される状態が解除されることが好ましい。ただし、試料側筒状体20の内部が大気に開放される状態を作るという意味では、洗浄側通気部12を別途設けなくても、洗浄側通気部12の機能を通気側切替え弁61及び洗浄側通気配管60Cによる大気開放モードにより代用できる。このため、洗浄側通気部12を設けない場合、このタイミングで通気停止モードにせずに、通気側切替え弁61は、継続して大気開放モードのままであってもよい。
【0096】
次に、洗浄側操作部14に対して洗浄操作をして、洗浄部10を洗浄用液体供給モードにする。なお、試料採取装置1は、開閉側操作部43に対して閉モードに対応する操作をわざわざ行わなくても、洗浄側操作部14に対して洗浄操作が行われると、制御装置として機能する開閉側操作部43が洗浄側操作部14から洗浄操作信号を受け取ることにより、閉モードになるように構成されてもよい。この場合、洗浄側操作部14に対する洗浄操作に連動して、栓部3と共に軸部40が軸方向Aの下方側に移動して導入口21を閉じる。同様に、試料採取装置1は、通気側操作部63に対して閉モードに対応する操作をわざわざ行わなくても、洗浄側操作部14に対して洗浄操作が行われると、制御装置として機能する通気側操作部63が洗浄側操作部14から洗浄操作信号を受け取ることにより、通気停止モードになるように構成されてもよい。この場合、洗浄側操作部14に対する洗浄操作に連動して、通気側切替え弁61の各ポート間の開通が遮断される。
【0097】
洗浄用液体供給モードになると、洗浄用液体供給部11は、試料側筒状体20の内部に洗浄用液体を供給する。本実施形態では、洗浄用液体供給モードになると、図13(B)に示すように、洗浄側切替え弁113は、洗浄用液体源側ポート1130と洗浄用液体配管側ポート1132の間を開通させると共に、大気開放側ポート1131と洗浄側通気配管側ポート1133の間を開通させるように切り替わる。結果、洗浄用液体源111と洗浄用液体配管112は繋がると共に、洗浄側通気配管60Cを通じて通気配管60が地上の外部空間に開放される。これにより、洗浄用液体配管112を通じて洗浄用液体源111から試料側筒状体20の内部に洗浄用液体が流れ込んで試料側筒状体20の内部に水が溜まる(図13(B)の洗浄用液体の水面600を参照)と共に、流れ込んだ液体に相当する分の空気が通気配管60を通じて試料側筒状体20の内部から外部空間に排出される。
【0098】
また、本実施形態において洗浄用液体供給モードになると、洗浄側操作部14から洗浄操作信号を受け取って、図13(B)に示すように、振動部13は試料側筒状体20に対して振動を与えるよう動作する。これにより、試料側筒状体20が振動して、試料側筒状体20の内部に溜まる洗浄用液体も振動する。結果、内周面23に付着した残試料700は、振動力により内周面23から剥がれて、洗浄用液体に溶け込んだ状態になるか、又は、洗浄用液体において浮遊する状態になる(図14(A)参照。)。
【0099】
なお、洗浄用液体配管112を通じて洗浄用液体源111から試料側筒状体20の内部に流れ込む洗浄用液体の勢いを強くすれば、その洗浄用液体の水圧で試料側筒状体20の内周面23に付着した残試料700を除去することができる。更に、試料側筒状体20の内周面23の各部を向く複数の噴射口を有する(図示しない)噴射アダプタを液体側接続部20Bに設ければ、勢いの強い洗浄用液体を試料側筒状体20の内周面23の各部に噴射することができる。噴射アダプタを用いれば、試料側筒状体20の内周面23に付着した残試料700を効率良く除去することができる。この場合、振動部13は有っても無くてもよい。
【0100】
試料側筒状体20の内部における洗浄用液体高さ側基準位置を基準とした洗浄用液体の水位が所定の閾値に達すると、洗浄用液体検知部15で検知されて、報知部16によりその旨が外部に報知される。これにより、作業者は、試料側筒状体20の内部が、洗浄用液体で一杯になったことを認識できる。また、洗浄用液体検知部15や圧力検知部17で洗浄用液体が満たされた状態が検知されると、制御装置としての洗浄側操作部14は、洗浄用液体供給部11(洗浄側切替え弁113)に対して洗浄用液体停止モードに対応する洗浄用液体停止信号を伝達する。本実施形態では、洗浄側切替え弁113は、図14(A)に示すように、洗浄用液体停止モードの洗浄用液体停止信号を受けると、洗浄用液体源側ポート1130、大気開放側ポート1131、洗浄用液体配管側ポート1132、及び洗浄側通気配管側ポート1133の相互の開通を遮断した状態に切り替える。これにより、試料側筒状体20の内部には、洗浄用液体は供給されない。更に、試料側筒状体20の内部は、外部空間とは遮断された状態になる。一方で、洗浄用液体停止モードにおいても、図14(A)に示すように、振動部13は、動作を継続する。洗浄に十分な量の洗浄用液体が収容された試料側筒状体20を振動させると、試料側筒状体20の内部の内周面23に付着した残試料700は、徐々に内周面23から剥がれて洗浄用液体に溶け込んだ状態になるか、又は、洗浄用液体において浮遊する状態になる。
【0101】
これを所定時間継続した後に、図14(B)に示すように、洗浄側操作部14に対して洗浄停止操作を行って、洗浄停止モードにする。なお、洗浄側操作部14に対する洗浄停止操作は、手動で行われてもよいが、これに限定されるものではない。つまり、(図示しない)タイマー部を設け、タイマー部で予め設定された時間が経過したと検知されると、制御装置としての洗浄側操作部14が洗浄停止操作信号を振動部13に伝達して、振動部13は動作を停止してもよい。
【0102】
その後、図15(A)に示すように、導入口21の直下の地上900に容器800を置いて、開閉側操作部43に対して開モードに対応する操作を行う。開モードになると、栓部3は、軸部40と共に、軸方向Aの上方側に移動して、導入口21を開く。すると、導入口21を通じて、試料側筒状体20の内部に収容された洗浄用液体は、残試料700と共に、容器800の内部に流れ出す。なお、この際に洗浄用液体供給モードを併用して、すすぎ用の新たな水を供給しても良い。図15(B)に示すように、一度の洗浄動作により試料側筒状体20の内部の内周面23に付着した残試料700が十分に除去できていないなら、再度、洗浄動作を繰り返せばよい。これにより、試料側筒状体20の内部がきれいになり、別の場所で再度、試料の採取を行うことができる。
【0103】
尚、本発明の試料採取装置1は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0104】
1 試料採取装置
2 試料側収容部
3 栓部
4 開閉部
5 開閉側収容部
6 通気部
7 検知部
8 開閉側検知部
9 充填量検出部
10 洗浄部
11 洗浄用液体供給部
12 洗浄側通気部
13 振動部
14 洗浄側操作部
15 洗浄用液体検知部
16 報知部
17圧力検知部
20 試料側筒状体
20A 通気側接続部
20B 液体側接続部
21 導入口
22 内部空間
23 内周面
24 内周面傾斜領域
25,55 中心軸
26,56 板状体
30 当接領域
31 対向面
32 可撓性領域
33 隙間
40 軸部
41 駆動部
42 保護部
43 開閉側操作部
44 案内部
45 ピストン
46 シリンダ
46A ピストン前進側接続部
46B ピストン後退側接続部
47 ピストン駆動部
50 開閉側筒状体
52 収容空間
60 通気配管
60A 外部側通気流路
60B 内部側通気流路
60C 分岐配管
61 通気側切替え弁
62 真空ポンプ
63 通気側操作部
64 真空ポンプ側ポート
65 大気開放側ポート
66 通気配管側ポート
111 洗浄用液体源
112 洗浄用液体配管
113 洗浄側切替え弁
114 外部側液体流路
115 内部側液体流路
120 多方弁
120 根固め部
130 杭周固定部
140 砂利
440 ピストン側貫通孔
441 試料側貫通孔
470 流体供給部
471 ピストン前進側配管
472 ピストン後退側配管
473 流体源
474 開閉側切替え弁
475 流体源側ポート
476 上開放側ポート
477 ピストン前進側ポート
478 ピストン後退側ポート
910 掘削穴
1000 地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図15