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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】接触式検知器
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240606BHJP
   G01K 1/143 20210101ALI20240606BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/143
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020188158
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077343
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000117814
【氏名又は名称】安立計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】小林 生至郎
(72)【発明者】
【氏名】原 悠季
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020194(JP,A)
【文献】特開2008-190916(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220593(WO,A1)
【文献】特開昭60-256021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/14
G01K 1/143
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知体、継手体、および、支持体が、その先端から末端に向けて一方向に配置され、前記検知体はその先端が被検知体に直に接触してその被検知体の状態を電気信号に変換する手段を有し、前記検知体の末端と前記継手体の先端とが固定されると共に前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とが連結された接触式検知器において、
少なくとも三つの連結棒を含む複数の連結棒を備え、
前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とのどちらか一方の端部が他方の端部に挿入された状態で前記一方向に見て前記一方の端部の外周と前記他方の端部の内周との間に環状の隙間が形成され、
前記一方の端部は、前記一方向に直交する横断面視で、前記複数の連結棒の数と同数で前記一方の端部の中央部から前記一方向に直交する径方向外側に向かって延在する複数の内側連結用孔を有し、それぞれの前記内側連結用孔が前記横断面視で前記中央部を中心にして放射状に配置され、前記他方の端部は前記一方の端部が前記他方の端部に挿入された状態で各々の前記内側連結用孔と対向して連通する複数の外側連結用孔を有し、前記内側連結用孔の孔径は前記連結棒が抜去可能な範囲で前記連結棒の棒径に近く、前記外側連結用孔の孔径は前記内側連結用孔の孔径よりも大きく、
前記複数の連結棒のそれぞれは、対向連通した前記内側連結用孔および前記外側連結用孔の両方の孔に遊嵌されて、前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とを傾動可能に連結することを特徴とする接触式検知器。
【請求項2】
前記外側連結用孔の孔径は、前記一方向に見て前記複数の連結棒のうちの最も離間した連結棒どうしの外側端を結ぶ線分の長さと、前記継手体が前記支持体に対して最も傾動したときの傾動角度に対する正接と、を乗算した長さよりも長い請求項1に記載の接触式検知器。
【請求項3】
前記環状の隙間はその環幅が前記連結棒の棒径よりも短い請求項1または2に記載の接触式検知器。
【請求項4】
前記支持体が前記継手体に対して最も傾動し、前記一方の端部を有する部材の外周と前記他方の端部を有する部材の内周とが当接したときに、前記複数の連結棒は前記外側連結用孔に接触しない構成である請求項1~3のいずれか1項に記載の接触式検知器。
【請求項5】
前記継手体はその末端の中央部に配置されてその末端から窪んだ遊嵌孔を有し、
前記支持体は、前記一方向に向って延在する押圧用孔と、この押圧用孔に挿通されるとともに前記継手体の末端部および前記支持体の先端部が連結された状態で前記遊嵌孔に先端部が挿入される押圧棒と、この押圧棒を前記遊嵌孔に向けて付勢する付勢部材とを有し、
前記押圧棒は、前記検知体を被検知体に押圧した場合に前記遊嵌孔に押圧されて前記付勢部材に向って後退し、前記検知体を被検知体から離間した場合に前記付勢部材に付勢されて前記遊嵌孔に向って前進して前記遊嵌孔を押圧して前記継手体および前記検知体を前記押圧棒の前進する方向に押圧する構成である請求項1~4のいずれか1項に記載の接触式検知器。
【請求項6】
前記複数の内側連結用孔の各々の孔軸が存在する平面と前記遊嵌孔の孔底との前記一方向における離間距離は前記複数の連結棒の棒径以下の距離である請求項5に記載の接触式検知器。
【請求項7】
前記一方の端部が前記継手体の末端部であるとともに前記他方の端部が前記支持体の先端部である場合に、前記複数の内側連結用孔と前記遊嵌孔とは連通し、前記複数の内側連結用孔どうしは前記遊嵌孔を介して互いに連通する請求項6に記載の接触式検知器。
【請求項8】
前記押圧棒は前記遊嵌孔に接する先端押圧部と前記付勢部材に接する末端押圧部とからなり、前記先端押圧部の棒径が前記末端押圧部の棒径よりも長く、前記先端押圧部と前記末端押圧部との境に段差が形成されており、
前記押圧用孔は前記先端押圧部が挿入される先端押圧用孔と前記末端押圧部の少なくとも末端部が挿入される末端押圧用孔とからなり、前記先端押圧用孔の孔径が前記末端押圧用孔の孔径よりも長く、前記先端押圧用孔と前記末端押圧用孔との境に段差が形成されており、
前記押圧棒は前記検知体を被検知体に押圧した場合に前記押圧用孔の段差と前記押圧棒の段差とが当接するまで前記付勢部材に向かって後退する請求項5~7のいずれか1項に記載の接触式検知器。
【請求項9】
前記先端押圧部と前記末端押圧部とは別体の棒で構成され、前記付勢部材が前記末端押圧部の末端を付勢する請求項8に記載の接触式検知器。
【請求項10】
前記検知体を被検知体に押圧して、前記押圧用孔の段差および前記押圧棒の段差が当接したときに、前記複数の連結棒は前記外側連結用孔に接触しない構成である請求項8または9に記載の接触式検知器。
【請求項11】
前記検知体は、被検知体側に突出して被検知体に接触したときに弾性変形する接触板と、この接触板に接合された温度検出素子と、を有し、
前記検知体を被検知体に押圧したときの前記付勢部材の弾性変形により生じる付勢力は、前記検知体を被検知体に押圧したときの前記接触板の弾性変形により生じる弾性力よりも小さく、前記検知体を被検知体に押圧したときに前記押圧棒の後退が生じた以後に前記接触板の弾性変形が生じる構成である請求項5~10のいずれか1項に記載の接触式検知器。
【請求項12】
前記継手体および前記支持体のそれぞれは前記一方向に延在して前記検知体から導出された素線が挿通される素線用孔を有し、その素線用孔が前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とが連結された状態で前記一方向から見て周方向に隣り合う連結棒どうしの間に配置される請求項1~11のいずれか1項に記載の接触式検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式検知器に関し、より詳細には、被検知体の状態を電気信号に変換して測定する際の測定精度を向上する接触式検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
接触式検知器は被検知体に直接に検知体を接触させ、その検知体で科学的原理を応用して被検知体の温度などを電機信号に変換する装置であり、熱電対を用いた接触式温度計などが例示される。この接触式検知器として、支持体の先端に突設した支点部材を継手体の末端に形成された遊嵌孔に傾動可能に当接させて、支点部材と遊嵌孔とが傾動自在な継手として機能させて首振り自在にしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-020194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の接触式検知器は検知体をその末端側を継手体の先端側に固定するだけでよく、被検知体との接触面積を大きくしたり、先端に弾性変形する接触板を用いたりすることが可能になる。つまり、被検知体の態様に合わせて検知体を様々な形状や大きさに設計することが可能となり、測定精度を向上している。
【0005】
また、特許文献1に記載の接触式検知器は支持体の先端に突設した支点部材を継手体の末端に形成された遊嵌孔に傾動可能に当接させるようにしたことで、その継手を支点にした支持体の傾動可能な角度を大きくしている。これにより、測定中に測定者により大きな姿勢変化が生じても、支持体が検知体及び継手体に対してより大きな角度で傾動するので、被検知体と直接に接触する検知体の片当たりを回避して、測定精度を向上している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の接触式検知器は継手体と支持体とを連結する構造が一本のピンによる二点連結である。また、特許文献1に記載の接触式検知器は継手体および支持体の傾動の支点と継手体および支持体の連結点とが離間している。それ故、支持部材および遊嵌孔の加工、棒状の支持部材に形成される長孔や形状が複雑な位置決め孔の加工が難儀であった。
【0007】
本発明の課題は、測定中に測定者により大きな姿勢変化が生じても検知体の片当たりを回避して、測定精度を向上しつつ、製造容易性を向上する接触式検知器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の接触式検知器は、検知体、継手体、および、支持体が、その先端から末端に向けて一方向に配置され、前記検知体はその先端が被検知体に直に接触してその被検知体の状態を電気信号に変換する手段を有し、前記検知体の末端と前記継手体の先端とが固定されると共に前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とが連結された接触式検知器において、少なくとも三つの連結棒を含む複数の連結棒を備え、前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とのどちらか一方の端部が他方の端部に挿入された状態で前記一方向に見て前記一方の端部の外周と前記他方の端部の内周との間に環状の隙間が形成され、前記一方の端部は、前記一方向に直交する横断面視で、前記複数の連結棒の数と同数で前記一方の端部の中央部から前記一方向に直交する径方向外側に向かって延在する複数の内側連結用孔を有し、それぞれの前記内側連結用孔が前記横断面視で前記中央部を中心にして放射状に配置され、前記他方の端部は前記一方の端部が前記他方の端部に挿入された状態で各々の前記内側連結用孔と対向して連通する複数の外側連結用孔を有し、前記内側連結用孔の孔径は前記連結棒が抜去可能な範囲で前記連結棒の棒径に近く、前記外側連結用孔の孔径は前記内側連結用孔の孔径よりも大きく、前記複数の連結棒のそれぞれは、対向連通した前記内側連結用孔および前記外側連結用孔の両方の孔に遊嵌されて、前記継手体の末端部と前記支持体の先端部とを傾動可能に連結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連結棒を三つ以上とし、対向連通する内側連結用孔の孔径よりも外側連結用孔の孔径を大きくして、それらに遊嵌された連結棒の外側端部が継手体および支持体の傾動に合わせて外側連結用孔の内部を移動する。それ故、複雑な加工を必要とせずに継手体および支持体を傾動可能に連結することが可能となる。これにより、測定中に測定者により大きな姿勢変化が生じても検知体の片当たりを回避して、測定精度を向上しつつ、製造容易性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の接触式検知器の実施形態を例示する斜視図である。
図2図1の接触式検知器を分解した状態を例示する斜視図である。
図3図1の接触式検知器を例示する縦断面図であり、検知体を被検知体から離間した状態を示す。
図4図3の一部を拡大した拡大図である。
図5図1の接触式検知器を例示する縦断面図であり、検知体を被検知体に押圧した状態を示す。
図6図1の接触式検知器を例示する縦断面図であり、検知体を被検知体に押圧して、支持体を傾動させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の接触式検知器の実施形態について説明する。図中において、X方向は接触式検知器1の先端から末端に向かう方向であり、Y方向およびZ方向はX方向に直交する平面において互いに直交する方向である。また、図2図6において、接触式検知器1の各部材における先端は図中の下方側であり、末端は図中の上方側であり、内側および外側はX方向に見て接触式検知器1の径方向における内側および外側である。なお、図中では、構成が分かり易いように寸法を変化させており、必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
【0012】
図1に例示するように、実施形態の接触式検知器1はその末端から導出された信号線2が測定装置3に接続され、信号線2を介して図1で図示しない被検知体4の状態を示す電気信号を測定装置3に送り、測定装置3で電気信号を数値に変換して表示するものである。被検知体4の状態としては温度が例示される。接触式検知器1と測定装置3とは信号線2を介して接続されていればよく、測定装置3が接触式検知器1の末端に接合された一体型のものでもよい。
【0013】
接触式検知器1は、検知体10、継手体20、支持体30、および、図1で図示しない複数の連結棒40を備えて構成される。接触式検知器1は継手体20の先端が検知体10の末端に固定されるとともに継手体20の末端部が支持体30の先端部に挿入されて、継手体20および支持体30が複数の連結棒40により傾動可能に連結されてなる。
【0014】
検知体10は先端が被検知体4に直に接触し、末端が継手体20の先端に固定される。検知体10は、接触板11、および、被検知体4の温度を電気信号に変換する手段として温度検出素子12を有する。接触板11は被検知体4に向って突出して被検知体4に接触したときに弾性変形する。温度検出素子12としては、+極にクロメル、-極にアルメルを用いたタイプK、+極にクロメル、-極にコンスタンタンを用いたタイプE、+極に白金ロジウム合金(ロジウム含有量30%)、-極に白金ロジウム合金(ロジウム含有量6%)を用いたタイプBなどの様々な種類がある熱電対、あるいは、白金、ニッケル、銅、ニッケルおよび鉄の合金、および、タングステンなどの様々な種類がある測温抵抗体が例示される。本実施形態の温度検出素子12は熱電対であり、異種金属からなる各々の素線13を接合して形成された測温部14が接触板11の被検知体4に接触する部分の中央部の裏側にスポット溶接や接着で固定されて被検知体4の温度を電気信号に変換する。
【0015】
図2に例示するように、温度検出素子12の各々の素線13は継手体20および支持体30のそれぞれに形成された素線用孔15に挿通されて、支持体30の末端から一本の信号線2として支持体30の末端から導出される。素線用孔15は継手体20をX方向に貫通するとともに、支持体30の支持部材31をX方向に貫通してなる。素線用孔15は、X方向に連通する素線用孔15に一つの素線13が挿通されるように、素線13ごとに形成されることが望ましく、実施形態において継手体20および支持体30のそれぞれに二つずつ形成される。素線用孔15が素線13ごとに形成されることで、継手体20および支持体30に形成された素線用孔15を挿通する部分において素線13を被覆する必要がなくなる。
【0016】
複数の連結棒40のそれぞれは軸方向がX方向視で継手体20および支持体30の径方向に向いた棒である。複数の連結棒40の数は三つ以上であればよいが、数が偶数であることが望ましい。複数の連結棒40としては、平行ピン、内側から外側に向かって拡径するテーパーピン、ロールピン、あるいは、スプリングピンが例示される。
【0017】
継手体20はX方向に軸方向が向いた円柱を成し、先端が検知体10に固定されるとともに末端部が支持体30の先端部に挿入されて支持体30に対して傾動可能に連結される。継手体20の先端は検知体10と固定されて一体化していればよく、継手体20および検知体10とが一体成型されてもよく、それぞれ別体で構成されてもよい。継手体20はその末端部に複数の内側連結用孔21および一つの遊嵌孔22を有して構成される。
【0018】
複数の内側連結用孔21のそれぞれは継手体20の末端部において支持体30の先端部に挿入される部分に形成される。複数の内側連結用孔21のそれぞれは孔軸が継手体20の径方向に向いた孔であり、継手体20の中央部から径方向外側に向かって継手体20の円柱面を突き抜けて形成される。複数の内側連結用孔21は同径で、かつ、継手体20の末端から孔軸までの距離が等しく、X方向視で継手体20周方向に等間隔に配置される。つまり、複数の内側連結用孔21はX方向視で継手体20の中央部から放射状に延在してなる。複数の内側連結用孔21の数は複数の連結棒40と同数であり、三つ以上の偶数であることが望ましい。本実施形態において四つの内側連結用孔21は継手体20の末端部にX方向視で十字状に配置される。
【0019】
遊嵌孔22はX方向視で継手体20の末端の中央部に配置されて、継手体20の末端から先端に向かって窪んでなる孔である。遊嵌孔22は複数の内側連結用孔21のそれぞれと連通しており、複数の内側連結用孔21どうしは遊嵌孔22を介して互いに連通する。遊嵌孔22の孔底22aはその形状として平坦状、あるいは、先端に向かって凹の椀状、すり鉢状、段付き孔などが例示される。
【0020】
支持体30は、先端部が継手体20を傾動可能に連結され、末端から信号線2が導出されてなる。支持体30は、支持部材31、筒状部材32、環状部材33、管状部材34、把手35、押圧棒36、および、付勢部材37で構成される。
【0021】
支持部材31はそれぞれが両端開口の円筒状を成す第一筒部31a、第二筒部31b、および、第三筒部31cが先端から末端に向かって配置されてなる。支持部材31は、第一筒部31aの筒壁が第二筒部31bの筒壁より径方向外側に突出し、第二筒部31bの筒壁が第三筒部31cの筒壁より径方向外側に突出し、外筒面がその順に段々に縮経してなる。また、支持部材31は先端側に挿入孔31dが形成され、中途位置に複数の外側連結用孔38が形成され、末端側に押圧用孔39が形成され、末端に設置部31eが形成される。具体的に、支持部材31は第一筒部31aおよび第二筒部31bの内部に継手体20の末端部が挿入される挿入孔31dが形成され、第二筒部31bの筒壁に複数の外側連結用孔38が形成され、第二筒部31bおよび第三筒部31cの内部に挿入孔31dに連通する押圧用孔39が形成される。
【0022】
筒状部材32は筒軸方向がX方向に向いた円筒形状を成す。環状部材33は円環の板状を成す。管状部材34は管軸方向がX方向に向いた円管形状を成す。把手35は管状部材34の末端側に配置される。本実施形態において、円筒形状と円管形状とは異なる形状として区別され、円筒形状は円管形状よりも径が太い形状を示し、円管形状は円筒形状よりもX方向の高さが高い形状を示す。
【0023】
押圧棒36はX方向に延在する棒状の部材であり、先端が凸状に形成され、押圧用孔39に挿通された状態で先端部が遊嵌孔22に挿入され、末端が付勢部材37により付勢される。押圧棒36は先端側に配置された先端押圧部36aと末端側に配置された末端押圧部36bとからなり、先端押圧部36aと末端押圧部36bとのそれぞれは別体の棒状の部材で構成される。先端押圧部36aは末端押圧部36bよりも太く、その先端部が遊嵌孔22に挿入される。末端押圧部36bは先端押圧部36aよりも細く、その末端が付勢部材37により付勢される。押圧棒36の先端の形状は、凸状に限定されず、平坦状でもよい。
【0024】
付勢部材37は設置部31eに設置される。付勢部材37は押圧棒36の末端に当接し、X方向先端から末端に向かって力が加わったときに弾性変形し、その力が取り除かれたときに元の形状に戻ろうとして押圧棒36に付勢力を付与するバネで構成される。付勢部材37は複数の板バネを積層して構成される。
【0025】
複数の外側連結用孔38のそれぞれは支持体30の先端部において継手体20の末端部が挿入される部分である第二筒部31bに形成される。複数の外側連結用孔38のそれぞれは孔軸が支持体30の径方向に向いた孔であり、第二筒部31bの筒壁を突き抜けて形成される。複数の外側連結用孔38は同径で、かつ、支持体30の先端から孔軸までの距離が等しく、その数が複数の内側連結用孔21と同数でX方向視で支持体30の周方向に等間隔に配置される。つまり、複数の外側連結用孔38は継手体20の末端部が支持体30の先端部に挿入された状態で各々の内側連結用孔21と対向して連通する。
【0026】
押圧用孔39はX方向視で支持部材31の中心に配置されてX方向に延在する。押圧用孔39は先端側に配置された先端押圧用孔39aと末端側に配置された末端押圧用孔39bとからなる。先端押圧用孔39aは末端押圧用孔39bよりも太い。
【0027】
図2および図3に例示するように、接触式検知器1の組み立て方法について説明する。検知体10の末端から導出された温度検出素子12の各々の素線13を継手体20および支持体30のそれぞれに形成された素線用孔15に挿通する。次いで、継手体20の遊嵌孔22に先端押圧部36aの先端部を挿入する。次いで、それらに支持部材31を被せて、支持部材31の挿入孔31dに継手体20の末端部を挿入するとともに先端押圧部36aを支持部材31の先端押圧用孔39aに挿入する。次いで、支持部材31の末端押圧用孔39bの末端側から末端押圧部36bを挿入し、設置部31eに付勢部材37を設置する。次いで、継手体20の複数の内側連結用孔21と支持部材31の複数の外側連結用孔38とをそれぞれ対向して連通させて、対向して連通させた内側連結用孔21および外側連結用孔38のそれぞれに連結棒40を挿入する。次いで、筒状部材32を第二筒部31bに外嵌めして、筒状部材32の先端を第一筒部31aの末端に当接させるとともに筒状部材32で複数の外側連結用孔38を塞ぐ。次いで、第二筒部31bの末端および筒状部材32の末端に環状部材33の末端を当接させて、筒状部材32を固定する。次いで、環状部材33の末端に管状部材34の末端が当接するように、管状部材34を支持部材31に被せて外嵌めする。次いで、支持部材31の第三筒部31cと管状部材34とを図示しないネジなどの締結具で固定する。次いで、管状部材34の末端側に把手35を固定し、温度検出素子12の各々の素線13を被覆して形成された信号線2を末端から導出して、接触式検知器1の組み立てが完了する。
【0028】
このように、接触式検知器1は支持部材31および管状部材34を固定する締結具が一つで組み立てられる。それ故、組み立てに要する時間を短縮するには有利になる。また、支持部材31を継手体20および先端押圧部36aに被せ、末端押圧部36bを挿入してから付勢部材37を設置することで、各部材の位置合わせも容易に確認しながら組み立てることが可能となる。
【0029】
組み立てられた接触式検知器1は、継手体20の末端部が支持体30の先端部に挿入された状態で、X方向視で継手体20の末端部の外周と支持体30の先端部の内周との間に環状の隙間が形成される。また、接触式検知器1は、対向連通した内側連結用孔21および外側連結用孔38の各々に連結棒40が遊嵌されて、継手体20および支持体30が傾動可能に連結される。本開示において、遊嵌とは挿抜可能に嵌められた状態であればよく、連結棒40と内側連結用孔21との間に隙間がある状態に加えて、連結棒40と内側連結用孔21との間に隙間がない状態も含むものとする。加えて、接触式検知器1は、検知体10を被検知体4に押圧した場合に押圧棒36が遊嵌孔22に押圧されて末端に向って後退し、検知体10を被検知体4から離間した場合に押圧棒36が付勢部材37に付勢されて先端に向って前進して遊嵌孔22を介して継手体20および検知体10を先端に向かって押圧する構成である。
【0030】
図4に例示するように、各部材の寸法を説明する。各部材の寸法を示す符号は各部材を示す符号に径を示すR、長さを示すLを付加することとする。なお、図4においては図面の煩雑さを避けるために断面を示すハッチングを省略している。
【0031】
連結棒40の棒長L40は接触式検知器1を組み立てたときに連結棒40が対向連通した内側連結用孔21および外側連結用孔38の両方の孔に遊嵌される長さである。具体的に、連結棒40の棒長L40は支持部材31の挿入孔31dの孔径R31から遊嵌孔22の直径R22を減算した値の半分の長さよりも長い。
【0032】
支持部材31の挿入孔31dの孔径R31は継手体20の直径R20よりも長い。具体的に、挿入孔31dの孔径R31は孔径R1と支持体30が継手体20に対して最も傾動したときの傾動角度αに対する正弦とを乗算した長さ(R31・sinα)が継手体20の直径R20よりも長いことが望ましい。
【0033】
X方向視において、内径が継手体20の直径R20で、外径が支持部材31の挿入孔31dの孔径R31である環状の隙間の環幅Laは、連結棒40の棒径R40よりも短いことが望ましく、棒径R40の半分の値さよりも短いことがより望ましい。環幅Laが狭くなることで、環状の隙間から連結棒40が脱落することを防止できる。
【0034】
内側連結用孔21の孔径R21は連結棒40の棒径R40以上である。具体的に、内側連結用孔21の孔径R21は連結棒40が挿抜可能な範囲で連結棒40の棒径R40に近いことが望ましい。本開示において、連結棒40が挿抜可能な範囲で連結棒40の棒径R40に近いとは、連結棒40が内側連結用孔21に挿入および抜去可能であれば連結棒40の棒径R40と等しいことを含む。例えば、連結棒40がロールピンやスプリングピンで構成される場合に内側連結用孔21の孔径R21は連結棒40の棒径R40と等しくてもよい。内側連結用孔21の孔径R21が連結棒40の棒径R40に近くなることで、連結棒40の振れの抑制には有利になる。なお、内側連結用孔21の孔径R21が連結棒40の棒径R40よりも小さいと連結棒40が抜去不可能となるおそれが高く、メンテナンス性が低くなる。
【0035】
外側連結用孔38の孔径R38は内側連結用孔21の孔径R21よりも長い。具体的に、外側連結用孔38の孔径R38はX方向視で複数の連結棒40のうちの最も離間した連結棒40どうしの外側端を結ぶ線分の長さLbと、支持体30が継手体20に対して最も傾動したときの傾動角度αに対する正接と、を乗算した長さ(La・tanα)よりも長いことが望ましい。外側連結用孔38の孔径R38が前述した長さ(La・tanα)よりも長いと、支持体30が継手体20に対して最も傾動した場合に、連結棒40と外側連結用孔38とが当接することを回避することができる。これにより、傾動時に連結棒40に掛かる負荷の低減には有利になる。
【0036】
遊嵌孔22の孔底22aは複数の内側連結用孔21の各々の孔軸Lcが存在する平面の近傍に位置する。本開示において、孔底22aが平面の近傍に位置するとは、遊嵌孔22の孔底22aと複数の内側連結用孔21の各々の孔軸Lcが存在する平面とのX方向における離間距離Ldが連結棒40の棒径R40以下の距離になることである。
【0037】
押圧棒36の先端押圧部36aの棒径R36aは末端押圧部36bの棒径R36bよりも長く、かつ、押圧用孔39の末端押圧用孔39bの孔径R39bよりも長い。また、押圧用孔39の先端押圧用孔39aの孔径R39aは末端押圧用孔39bの孔径39bよりも長く、かつ、押圧棒36の先端押圧部36aの棒径R36aよりも長い。つまり、押圧棒36は先端押圧部36aと末端押圧部36bとの境に段差が形成され、押圧用孔39は先端押圧用孔39aと末端押圧用孔39bとの境に段差が形成される。検知体10が被検知体4に押圧された場合に、押圧棒36は押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差とが当接するまで、つまり、先端押圧部36aの末端と先端押圧用孔39aの末端とが当接するまで、先端から末端に向かって後進する。
【0038】
押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差との当接は、連結棒40が外側連結用孔38に当接しないように設定される。具体的に、押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差との当接は連結棒40の棒軸が外側連結用孔38の孔軸に近接したときに生じることが望ましい。また、検知体10を被検知体4に押圧していない状態で、押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差との離間距離Leは外側連結用孔38の孔軸と連結棒40の棒軸との離間距離に等しくすることがより望ましい。このように、押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差との当接により連結棒40が外側連結用孔38に当接しないことで、連結棒40に力が作用することを回避することができる。さらに、押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差との当接により連結棒40の棒軸と外側連結用孔38の孔軸とが近接することで、支持体30が継手体20に対して最大限に傾動しても連結棒40と外側連結用孔38との当接を回避して、連結棒40に力が作用することを回避することができる。
【0039】
付勢部材37が弾性変形した場合に生じる付勢力は検知体10の重量に応じて設定するとよい。例えば、検知体10の重量が重い場合にはその付勢力を大きくし、一方、検知体10の重量が軽い場合にはその付勢力を小さくする。また、その付勢力は検知体10の接触板11の弾性力よりも弱くすることが望ましい。つまり、検知体10を被検知体4に押圧したときの付勢部材37から押圧棒36に掛かるX方向末端から先端に向かう付勢力が、検知体10を被検知体4に押圧したときの接触板11の弾性変形により生じる弾性力よりも弱いことが望ましい。付勢部材37の付勢力が接触板11の弾性力よりも強いと、場合に検知体10を被検知体4に押圧したときに、接触板11が過度に弾性変形してしまう。そこで、付勢部材37が弾性変形した場合に生じる付勢力を接触板11が弾性変形した場合に生じる弾性力よりも弱くすることで、検知体10を被検知体4に押圧したときに、押圧棒36の後退の後に接触板11の弾性変形が生じることになる。これにより、接触板11の過度の弾性変形を回避可能になる。
【0040】
図5に例示するように、接触式検知器1は、被検知体4の温度を測定する際に、測定者が支持体30の把手35を持って検知体10を被検知体4に押圧する。このとき、押圧棒36が遊嵌孔22に押圧されて、その押圧力が押圧棒36を介して付勢部材37に伝達されて付勢部材37がX方向上方に屈曲することに伴って押圧棒36が先端側から末端側に向って後退する。押圧棒36は押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差とが当接するまで後退する。この後退に伴って連結棒40の棒軸が外側連結用孔38の孔軸に近接する。このように、検知体10を被検知体4に押圧したときに、押圧棒36の段差と押圧用孔39の段差とが当接することで、押圧棒36の棒軸方向の力を段差どうしの当接により受けることが可能となる。
【0041】
押圧棒36の段差と押圧用孔39との段差とが当接して押圧棒36の後退が止まった状態になると、測定者から支持体30に伝達された押圧力は押圧棒36を経由して継手体20から検知体10に伝達される。そして、その伝達された押圧力により検知体10の接触板11が弾性変形し、その弾性変形による付勢力で接触板11が被検知体4に十分に面接触することになる。
【0042】
図6に例示するように、温度の測定中に測定者の姿勢変化が生じて検知体10を被検知体4に押圧しながら把手35を押圧方向以外に動かした際に、遊嵌孔22と当接した押圧棒36の先端を支点にして、継手体20の外筒面に支持部材31の挿入孔31dの内筒面とが当接するまで支持体30が継手体20に対して傾動する。このとき、連結棒40の外側端部のそれぞれは支持体30の傾動に合わせて外側連結用孔38の内部を移動する。そして、支持体30が継手体20に対して最も傾動したときに継手体20の外筒面に支持部材31の挿入孔31dの内筒面が当接する。このように、継手体20の外筒面と支持部材31の挿入孔31dの内筒面との当接により、連結棒40が外側連結用孔38に当接しないことで、連結棒40に力が作用することを回避することができる。
【0043】
図3に例示するように、接触式検知器1は、検知体10を被検知体4から離間したときに、付勢部材37に付勢された押圧棒36は押圧用孔39に挿通した状態で末端側から先端側に向って前進する。前進した押圧棒36は遊嵌孔22を押圧して検知体10及び継手体20を押圧棒36の前進する方向に一直線状になるように整列させる。
【0044】
以上のように、実施形態の接触式検知器1は、連結棒40を三つ以上とし、対向連通する内側連結用孔21の孔径R21よりも外側連結用孔38の孔径R38を大きくした構成である。それ故、対向連通した内側連結用孔21および外側連結用孔38に遊嵌された連結棒40の外側端部が継手体20および支持体30の傾動に合わせて外側連結用孔38の内部を移動することで、複雑な加工を必要とせずに継手体20および支持体30を傾動可能に連結することが可能となる。これにより、測定中に測定者により大きな姿勢変化が生じても検知体10の片当たりを回避して、測定精度を向上しつつ、製造容易性を向上することができる。
【0045】
接触式検知器1は検知体10をその末端側を継手体20の先端側に固定するだけでよく、被検知体4との接触面積を大きくしたり、先端に弾性変形する接触板11を用いたり、検知体10を防水仕様にしたりしてもよく、被検知体4の態様に合わせて様々な形状や大きさに設計することができ、また防水などの機能も追加することができる。
【0046】
例えば、本実施形態のように先端に弾性変形する接触板11を有する検知体10を用いても、検知体10を被検知体4に押圧したときに、測定者から伝達される押圧力を抑制されることなく検知体10に伝達することができる。そのため、接触板11を弾性変形させることで被検知体4に十分に面接触させることで、測定精度を向上することができる。このように、検知体10の形状を変更したり、検知体10を重厚長大化したりしても、その検知体10の末端と継手体20の先端とを固定して一体化すればよく、応用範囲が広く、様々な被検知体4の状態を精度良く測定することができる。
【0047】
接触式検知器1は、複数の内側連結用孔21の各々の孔軸が存在する平面からの離間距離Ldが連結棒40の棒径R40以下の距離となる位置に押圧棒36の先端が当接する遊嵌孔22の孔底22aを配置する構成である。それ故、継手体20および支持体30の連結点と傾動の支点とを略同一平面上に配置することが可能となり、複雑な加工をすることなく、支持体30の傾動可能な角度を大きくすることができる。これにより、測定中に測定者により大きな姿勢変化が生じても、支持体30が検知体10及び継手体20に対してより大きな角度で傾動するので、被検知体4と直接に接触する検知体10の片当たりを回避して、測定精度を向上することができる。
【0048】
接触式検知器1は、外側連結用孔38の孔径R38がX方向視で最も離間した連結棒40どうしの外側端を結ぶ線分の長さLaに支持体30が継手体20に対して最も傾動したときの傾動角度αに対する正接と、を乗算した長さよりも長い。それ故、検知体10を被検知体4に押圧したときに連結棒40は外側連結用孔38と非接触となる。また、接触式検知器1は検知体10を被検知体4に押圧したときに押圧棒36の段差および押圧用孔39の段差が当接することで、連結棒40は外側連結用孔38と非接触となる。さらに、接触式検知器1は支持体30が継手体20に対して最も傾動したときに継手体20の外周および支持体30の挿入孔31dの内周が当接することで、連結棒40は外側連結用孔38と非接触となる。
【0049】
このように、連結棒40を外側連結用孔38と非接触にすることで、連結棒40に押圧時の力が作用することを回避することができる。これにより、連結棒40をロールピンやスプリングピンなどの中空のピンで構成することが可能となる。
【0050】
また、押圧時のX方向に作用する力を押圧棒36の段差および押圧用孔39の段差の当接により受け、X方向に交差する方向に作用する力を継手体20の外周および支持体30の挿入孔31dの内周の当接により受ける。このように、押圧時に作用する力を連結棒40で受けずに構成することで、連結棒40をロールピンやスプリングピンなどの中空のピンで構成することが可能となる。
【0051】
接触式検知器1は検知体10を被検知体4から離間したときに、付勢部材37に付勢された押圧棒36が遊嵌孔22を押圧することで、検知体10、継手体20、及び支持体30が一直線状に整列した状態にすることができる。これにより、常に、検知体10、継手体20、及び支持体30が一直線状に整列した状態になるので、温度を測定する際の押圧方向を常に一方向(支持体30の軸方向)にでき、また、検知体10及び継手体20が支持体30に対してふらつくことも回避できるので、扱い易さを向上できる。
【0052】
接触式検知器1において、複数の連結棒40の数は三つ以上であればよいがその数が偶数であることが望ましい。複数の連結棒40の数が偶数の場合に、一回の有孔加工(孔あけ加工ともいう)により二つの内側連結用孔21を形成可能になり、複数の内側連結用孔21の有孔加工(孔あけ加工ともいう)の加工工数の削減に有利になる。同様に、複数の外側連結用孔38の有孔加工の加工工数の削減にも有利になる。
【0053】
既述した実施形態では、継手体20の末端部を支持体30の先端部に挿入する構成を例示したが、継手体20の末端部に挿入孔を形成し、継手体20の末端部に支持体30の先端部を挿入する構成にしてもよい。その場合に、継手体20の末端部に複数の外側連結用孔38を形成し、支持体30の先端部に複数の内側連結用孔21を形成する。このように、継手体20の末端部に支持体30の先端部を挿入する構成も可能であるが、本実施形態の継手体20の末端部を支持体30の先端部に挿入する構成に比して複雑な構造となる。
【0054】
複数の内側連結用孔21どうしは遊嵌孔22を介して互いに連通しない構成でもよい。その場合に、複数の内側連結用孔21の有孔加工の加工工数が孔の数分だけ必要になる。
【0055】
押圧棒36および押圧用孔39のそれぞれは段差を有さない構成としてもよい。ただし、その場合に、付勢部材37が押圧時に作用する力を受けることになり、付勢部材37の耐久性が低くなるおそれがある。
【0056】
押圧棒36の先端押圧部36aと末端押圧部36bとが別体ではなく、押圧棒36を中途位置に段差が形成された一体的な構造としてもよい。ただし、先端押圧部36aと末端押圧部36bとが別体の構成とすることで、棒状の部材を切削により段差を形成する手間を省くには有利になる。また、組立時において、先端押圧部36aと末端押圧部36bとが別体の構成とすることで、一体的な構造に比して組み立て易くなる。
【0057】
付勢部材37は末端押圧部36bの末端を付勢する構成に限定されずに、末端押圧部36bおよび末端押圧用孔39bが無い構成で、先端押圧部36aの末端を付勢する構成にしてもよい。この場合に、付勢部材37は圧縮コイルばねで構成されることが望ましい。ただし、付勢部材37が先端押圧部36aの末端を付勢する構成にすると組立時に先端押圧用孔39bの内部に付勢部材37を設置した状態で、支持部材31を被せる工程で付勢部材37の位置決めが難しくなる。また、支持部材31の内部で付勢部材37の位置ズレにより、押圧棒36を付勢できない状態が生じるおそれがある。
【符号の説明】
【0058】
1 接触式検知器
4 被検知体
10 検知体
20 継手体
21 内側連結用孔
22 遊嵌孔
30 支持体
36 押圧棒
37 付勢部材
38 外側連結用孔
39 押圧用孔
40 連結棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6