(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】振動付与装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/34 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A61C17/34 K
(21)【出願番号】P 2022111528
(22)【出願日】2022-07-12
【審査請求日】2022-11-14
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-07
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522445181
【氏名又は名称】株式会社HAM
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】北村 公
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】伊藤 秀行
【審判官】窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3170570号(JP,U)
【文献】特開2010-246854号(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/22
A46B13/02
A61B17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシを挟持する
一対の腕部を有する挟持部と、
前記腕部内に内包され、当該腕部を振動させる加振部と、
前記加振部に電力を供給する電力供給部と、を備え、
一対の前記腕部は、所定の支点を中心として互いに回動可能であり、当該一対の腕部の先端部を開いた状態で前記歯ブラシを装着でき、
前記支点は、前記加振部よりも、当該加振部を内包する前記腕部の前記先端部から遠い位置に設けられている
振動付与装置。
【請求項2】
前記電力供給部は、前記挟持部により少なくとも一部が囲われている、請求項1に記載の振動付与装置。
【請求項3】
前記挟持部を開閉させる開閉操作部を備え、
前記開閉操作部は、被覆部材により被覆されている、請求項1に記載の振動付与装置。
【請求項4】
前記開閉操作部は、使用者により押圧されることにより前記挟持部の開閉状態を変更し、
前記被覆部材は、前記開閉操作部が前記使用者により押圧された場合に変形可能な柔軟部材からなる、請求項3に記載の振動付与装置。
【請求項5】
前記挟持部は、当該挟持部の開閉状態が閉とされている状態において
前記支点から基準方向にそれぞれ延在する一対の
前記腕部を有し、前記基準方向に沿って配置される長尺状の前記歯ブラシを一対の前記腕部により挟持し、
一対の前記腕部のそれぞれには、挟持される前記歯ブラシが接触する接触面に、前記基準方向に沿った溝が形成されている、請求項1に記載の振動付与装置。
【請求項6】
前記溝の容積は、当該溝を除いた前記挟持部の体積よりも小さい、請求項5に記載の振動付与装置。
【請求項7】
一対の前記腕部のそれぞれの前記接触面には、凹凸が形成されている、請求項5に記載の振動付与装置。
【請求項8】
前記基準方向が上下方向となるように当該振動付与装置の本体部を載置可能な載置部を備える、請求項5に記載の振動付与装置。
【請求項9】
前記本体部は、前記載置部に対して取付け及び取外しが可能である、請求項8に記載の振動付与装置。
【請求項10】
前記載置部と係合することにより少なくとも前記挟持部を覆うカバー部を備える、請求項8に記載の振動付与装置。
【請求項11】
前記カバー部は、カップ状に形成されている、請求項10に記載の振動付与装置。
【請求項12】
前記挟持部は、当該挟持部の開閉状態が閉とされている状態において
前記支点から基準方向にそれぞれ延在する一対の前記腕部を有し、前記基準方向に沿って配置される長尺状の前記歯ブラシを一対の前記腕部により挟持し、
一対の前記腕部のそれぞれは、前記支点側である基端部側から
前記先端部側に向かって、前記挟持部の開閉方向における厚さが大きくなる、請求項1に記載の振動付与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシを用いて口腔内を清掃する場合、歯ブラシのブラシ毛部分を歯に押し当てた状態で当該歯ブラシを振動(例えば往復動)させる。このように歯ブラシを振動させる動作を自動化することにより、より効率的に口腔内を清掃する技術が種々提案されている。例えば、歯ブラシ自体を電動化することによって、当該歯ブラシの振動を自動化した電動歯ブラシが知られている。
【0003】
また、歯ブラシ自体は従来の汎用品を用いつつ、当該歯ブラシを振動させる機器を装着することによって、当該歯ブラシの往復動を自動化させる技術が提案されている。例えば特許文献1には、歯ブラシの外周を取り囲むように当該歯ブラシに装着されるC型部材と、そのC型部材の更に外側に設けられた電池ホルダ及び振動モータを備える歯ブラシ用振動具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した歯ブラシ用振動具では、電池ホルダ及び振動モータがC型部材の外側に露出して設けられている。このため、電池ホルダ及び振動モータが手指又は口腔周辺に干渉しやすく、口腔内を清掃する際の取り扱い性が悪化するおそれがある。そこで、歯ブラシに装着されても取り扱い性を損ないにくい装置が求められている。
【0006】
本開示に係る振動付与装置は、歯ブラシに装着されても取り扱い性を損ないにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)は、歯ブラシ(B)を挟持する挟持部(40)と、挟持部(40)を振動させる加振部(50)と、加振部(50)に電力を供給する電力供給部(60)と、を備え、加振部(50)及び電力供給部(60)の少なくともいずれかは、挟持部(40)により少なくとも一部が囲われている。
【0008】
この振動付与装置(100)によれば、まず、挟持部(40)により歯ブラシ(B)を挟持することによって、振動付与装置(100)が歯ブラシ(B)に装着される。そして、電力供給部(60)により電力を供給されることにより加振部(50)が動作し、挟持部(40)を振動させる。これにより、加振部(50)において発生した振動が挟持部(40)を介して歯ブラシ(B)に伝達されるため、口腔内を清掃するために歯ブラシ(B)を振動させる動作が自動化される。ここで、加振部(50)及び電力供給部(60)の少なくともいずれかは、挟持部(40)により少なくとも一部が囲われている。これにより、振動付与装置(100)が歯ブラシ(B)に装着された状態において加振部(50)及び電力供給部(60)の全体が完全に露出することを防止することができる。したがって、加振部(50)及び電力供給部(60)が手指又は口腔周辺に干渉しにくくなる。よって、歯ブラシ(B)に装着されても取り扱い性を損ないにくくすることが可能となる。
【0009】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、加振部(50)及び電力供給部(60)の少なくともいずれかは、挟持部(40)に内包されていてもよい。これによれば、振動付与装置(100)が歯ブラシ(B)に装着された状態において加振部(50)及び電力供給部(60)が露出することを十分に防止することができる。したがって、加振部(50)及び電力供給部(60)が手指又は口腔周辺に一層干渉しにくくなる。よって、歯ブラシ(B)に装着されても取り扱い性を一層損ないにくくすることが可能となる。また、加振部(50)及び電力供給部(60)が使用者の目に触れることを抑制することができるため、美観が改善される。さらに、使用者が加振部(50)及び電力供給部(60)に直接触れることを抑制することができる。
【0010】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)は、挟持部(40)を開閉させる開閉操作部(30)を備え、開閉操作部(30)は、被覆部材(90)により被覆されていてもよい。これによれば、開閉操作部(30)が使用者の目に触れることを抑制することができるため、美観が改善される。さらに、使用者が開閉操作部(30)に直接触れることを抑制することができる。
【0011】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、開閉操作部(30)は、使用者により押圧されることにより挟持部(40)の開閉状態を変更し、被覆部材(90)は、開閉操作部(30)が使用者により押圧された場合に変形可能な柔軟部材からなっていてもよい。これによれば、開閉操作部(30)を被覆する被覆部材(90)が柔軟部材からなるため、開閉操作部(30)が被覆された状態であっても当該開閉操作部(30)を操作可能となる。
【0012】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、挟持部(40)は、当該挟持部(40)の開閉状態が閉とされている状態において支点(X)から基準方向(D)にそれぞれ延在する一対の腕部(41)を有し、基準方向(D)に沿って配置される長尺状の歯ブラシ(B)を一対の腕部(41)により挟持し、一対の腕部(41)のそれぞれには、挟持される歯ブラシ(B)が接触する接触面(41a)に、基準方向(D)に沿った溝(41b)が形成されていてもよい。これによれば、接触面(41a)に基準方向(D)に沿った溝(41b)が形成されていることで歯ブラシ(B)を安定して挟持することが可能となる。また、歯ブラシ(B)を挟持したときの接触面(41a)と歯ブラシ(B)との接触面積を大きくすることができるため、摩擦力を発生させやすくなり、挟持した歯ブラシ(B)が脱落しにくくなる。
【0013】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、溝(41b)の容積は、当該溝(41b)を除いた挟持部(40)の体積よりも小さくてもよい。これによれば、振動付与装置(100)の大型化を抑制しつつ腕部(41)の剛性を確保することができる。
【0014】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、一対の腕部(41B)のそれぞれの接触面(41Ba)には、凹凸(42B)が形成されていてもよい。接触面(41Ba)と歯ブラシ(B)との間の全体に水が介在した状態になると、接触面(41Ba)上で歯ブラシ(B)が滑りやすくなる。一方、上記の構成によれば、接触面(41Ba)に形成された凹凸(42B)の凸部(42Ba)において、接触面(41Ba)と歯ブラシ(B)との間に水が介在しにくくなるため、接触面(41Ba)上で歯ブラシ(B)を滑りにくくすることができる。
【0015】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)は、基準方向(D)が上下方向となるように当該振動付与装置(100)の本体部(1)を載置可能な載置部(2)を備えてもよい。これによれば、長手方向が上下方向になるように載置可能となるため、利便性が向上する。
【0016】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、本体部(1)は、載置部(2)に対して取付け及び取外しが可能であってもよい。これによれば、本体部(1)の使用時には載置部(2)から取り外すことができるため、利便性が向上する。
【0017】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)は、載置部(2)と係合することにより少なくとも挟持部(40)を覆うカバー部(3)を備えてもよい。これによれば、本体部(1)を載置部(2)に載置した状態において挟持部(40)を保護することができる。
【0018】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、カバー部(3)は、カップ状に形成されていてもよい。これによれば、歯ブラシ(B)を用いて口腔内を清掃する際に水等をカバー部(3)に溜めることができるため、利便性が向上する。
【0019】
本開示の一態様に係る振動付与装置(100)では、挟持部(40C)は、当該挟持部(40C)の開閉状態が閉とされている状態において支点(X)から基準方向(D)にそれぞれ延在する一対の腕部(41C)を有し、基準方向(D)に沿って配置される長尺状の歯ブラシ(B)を一対の腕部(41C)により挟持し、一対の腕部(41C)のそれぞれは、支点(X)側である基端部(41Cs)側から支点(X)とは反対側の先端部(41Ct)側に向かって、挟持部(40C)の開閉方向における厚さが大きくなってもよい。これによれば、挟持部(40C)の大型化を抑制しつつ、歯ブラシ(B)を安定して挟持することが可能となる。
【0020】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0021】
このように、本開示に係る振動付与装置は、歯ブラシに装着されても取り扱い性を損ないにくくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る振動付与装置を示す図である。
【
図2】
図2は、振動付与装置の使用態様の一例であり、振動付与装置の本体部が歯ブラシに装着された状態を示す図である。
【
図3】
図3は、本体部が載置された載置部からカバー部が取り外された状態を示す図である。
【
図4】
図4は、挟持部の開閉状態が閉とされている状態の本体部を示す図である。
【
図5】
図5は、挟持部の開閉状態が開とされている状態の本体部を示す図である。
【
図6】
図6は、腕部の先端部側から見た本体部を示す図である。
【
図7】
図7は、本体部の内部構造体及び被覆部材を示す図である。
【
図8】
図8は、本体部の内部構造体を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る振動付与装置の本体部を示す図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態に係る振動付与装置の本体部を示す図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る振動付与装置の本体部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
[第1実施形態]
[全体構成]
図1は、第1実施形態に係る振動付与装置100を示す図である。
図2は、振動付与装置100の使用態様の一例であり、振動付与装置100の本体部1が歯ブラシBに装着された状態を示す図である。
図3は、本体部1が載置された載置部2からカバー部3が取り外された状態を示す図である。
図1~
図3に示されるように、振動付与装置100は、歯ブラシBに装着され、使用者による口腔内の清掃(すなわち、歯みがき)を補助する装置である。振動付与装置100は、歯ブラシBを振動させることができる。これにより、使用者が自ら歯ブラシBを動かさなくても、振動付与装置100によって歯ブラシBが振動(例えば往復動)することとなる。つまり、振動付与装置100によれば、非電動の歯ブラシBを、いわゆる電動歯ブラシのように機能させることが可能となる。
【0025】
振動付与装置100は、本体部1、載置部2、及びカバー部3を具備している。本体部1は、載置部2に対して取り付け及び取り外しが可能である。本体部1は、例えば非使用時には載置部2に取り付けられ(載置され)、使用時には載置部2から取り外される。カバー部3は、載置部2に対して係合(取り付け)及び係合解除(取り外し)が可能である。カバー部3は、載置部2に本体部1が取り付けられているか否かにかかわらず、載置部2に係合可能である。
【0026】
以下の説明において、本体部1に関して、例えば
図1の上下方向に対応する方向を基準方向Dと称する。より詳細には、「基準方向D」とは、後述するように挟持部40の開閉状態が閉とされている状態において一対の腕部41が支点Xから延在する方向である。基準方向Dは、挟持部40により挟持される歯ブラシBの延在方向(具体的には、歯ブラシBの柄の延在方向)に対応している。
【0027】
振動付与装置100(又は、本体部1)は、携帯可能であることが好ましい。つまり、振動付与装置100は、使用者の鞄又はポケット等に入れられることが好ましい。このことから、振動付与装置100(又は、本体部1)の基準方向Dにおける長さは3cm以上30cm以下であることが好ましく、3cm以上20cm以下であることがより好ましく、3cm以上10cm以下であることが更に好ましい。加えて、振動付与装置100(又は、本体部1)の重量は、50g以上500g以下であることが好ましく、50g以上300g以下であることがより好ましく、50g以上200g以下であることが更に好ましい。
【0028】
図4は、挟持部40の開閉状態が閉とされている状態の本体部1を示す図である。
図5は、挟持部40の開閉状態が開とされている状態の本体部1を示す図である。
図4及び
図5に示されるように、本体部1は、歯ブラシBを挟持するための挟持部40の開閉状態を開いた状態(開)と閉じた状態(閉)との間で変更可能である。ここでは、挟持部40は、通常時には開閉状態が閉となるように付勢力が付与されており、当該付勢力に逆らう外力が付与されることで開閉状態が開となる。
【0029】
図6は、腕部41の先端部41t側から見た本体部1を示す図である。
図7は、本体部1の内部構造体10及び被覆部材90を示す図である。
図8は、本体部1の内部構造体10を示す図である。以下、
図1~
図8を参照して本体部1について説明する。本体部1は、被覆部材90により被覆された内部構造体10を具備している。
【0030】
内部構造体10は、内部基体部20N、開閉操作部30、内部挟持部40N、加振部50、電力供給部60、本体部充電デバイス70、及び電源操作部80を備えている。内部構造体10が被覆部材90により被覆されている状態においては、被覆部材90により被覆された内部基体部20Nを単に基体部20と称し、被覆部材90により被覆された内部挟持部40Nを単に挟持部40と称する。
【0031】
基体部20は、開閉操作部30、挟持部40、加振部50、及び電力供給部60の少なくともいずれかを保持する部分である。ここでは、基体部20は、開閉操作部30を介して挟持部40、加振部50、及び電力供給部60を保持している。基体部20は、本体部1が装着された歯ブラシBを用いて使用者が口腔内の清掃を行う際に、使用者が主として把持する部分であってもよい。基体部20は、本体部1が載置部2に載置される場合に、載置部2に接して置かれる部分である。
【0032】
内部基体部20N及び基体部20は、基準方向Dに延在する概略楕円筒状を呈している。基体部20は、基準方向Dにおいて挟持部40とは反対側において凸状に湾曲した底面20aを有している。内部基体部20N及び基体部20は、中空であり、内部に開閉操作部30又は電源操作部80等の少なくとも一部が配置されている。内部基体部20Nの基準方向Dと交差する方向の両側面20Nbには一対の開口20Ncが形成されている。これらの一対の開口20Ncに対応する位置に、後述する開閉操作部30の被押圧部32が位置している。
【0033】
開閉操作部30は、挟持部40を開閉させるための機構である。すなわち、開閉操作部30は、使用者により押圧されることにより挟持部40の開閉状態を変更する。開閉操作部30は、一対の腕部保持部31、及び、各腕部保持部31とそれぞれ連動する一対の被押圧部32を有している。一方の腕部保持部31と一方の被押圧部32とは一体に構成された部品(一方の部品)からなり、他方の腕部保持部31と他方の被押圧部32とは一体に構成された部品(他方の部品)からなる。これらの一方の部品及び他方の部品は、支点Xを中心として互いに回動可能となるように組み合わされている。
【0034】
腕部保持部31は、腕部41を保持する部分である。一方の腕部保持部31は、一方の腕部41(一方の腕部41の内部挟持部40Nの部分)に対して固定されている。また、他方の腕部保持部31は、他方の腕部41(他方の腕部41の内部挟持部40Nの部分)に対して固定されている。被押圧部32は、挟持部40の開閉状態を変更するために使用者によって押圧される部分である。
【0035】
一方の被押圧部32が押圧されると、当該一方の被押圧部32と連動する一方の腕部保持部31が動作する。具体的には、一方の被押圧部32が押圧されると、当該一方の被押圧部32と連動する一方の腕部保持部31が挟持部40の開閉状態を開とする方向に姿勢を変更する。同様に、他方の被押圧部32が押圧されると、当該他方の被押圧部32と連動する他方の腕部保持部31が動作する。具体的には、他方の被押圧部32が押圧されると、当該他方の被押圧部32と連動する他方の腕部保持部31が挟持部40の開閉状態を開とする方向に姿勢を変更する。
【0036】
開閉操作部30において、一方の被押圧部32と他方の被押圧部32とは、互いに反対方向に付勢されている。これにより、開閉操作部30において、一方の腕部保持部31と他方の腕部保持部31とは、それぞれ挟持部40の開閉状態を閉とする方向に付勢されている。これらの付勢力は、例えばバネ等の弾性部材により実現されてもよい。
【0037】
挟持部40は、歯ブラシB(具体的には、歯ブラシBの柄)を挟持する部分である。挟持部40は、一対の腕部41を有している。一対の腕部41のそれぞれは、挟持部40の開閉状態が閉とされている状態において支点Xから基準方向Dにそれぞれ延在している(
図4及び
図5の一点鎖線を参照)。挟持部40は、基準方向Dに沿って配置される長尺状の歯ブラシBを一対の腕部41により挟持する。これにより、本体部1が歯ブラシBに装着されることとなる。挟持部40は、例えばプラスチック、ゴム、又は金属等により構成されていてもよい。
【0038】
挟持部40(具体的には、腕部41)は、中空に構成されている。そして、挟持部40の中空空間内には、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれか配置されている(詳しくは後述)。
【0039】
一対の腕部41のそれぞれには、挟持される歯ブラシBが接触する接触面41aに、基準方向Dに沿った溝41bが形成されている。接触面41aは、一対の腕部41のそれぞれにおいて、他方の腕部41に臨む面である。つまり、一対の腕部41のそれぞれの接触面41aどうしは、互いに対面している。一対の腕部41のそれぞれの接触面41aどうしは、挟持部40の開閉状態が閉とされている。
【0040】
溝41bは、歯ブラシBが配置されるための凹部構造である。溝41bは、基準方向D方向に見て例えば円弧を描くように形成されている。溝41bは、一対の腕部41のそれぞれの基端部41s側から先端部41t側まで延在している。溝41bの深さは、腕部41の基端部41s側から先端部41t側まで一定であってもよい。
【0041】
溝41bの容積は、溝41bを除いた挟持部40の体積よりも小さくてもよい。「溝41bを除いた挟持部40」とは、腕部41の体積のうち、基準方向Dにおいて溝41bが形成されている範囲の体積である。ここで、腕部41の体積とは、腕部41が中空に構成されている場合には、当該腕部41が中実であると仮定したときの体積である。
【0042】
加振部50は、挟持部40を振動させる機構である。加振部50は、種々のバイブレータであってもよい。一例として、加振部50は、回転軸に対して偏心して配置された錘を当該回転軸まわりに回転させることで振動を発生させる回転式バイブレータであってもよい。加振部50は、電力供給部60から供給される電力により駆動される。
【0043】
電力供給部60は、加振部50に電力を供給する。電力供給部60は、例えば充電式のバッテリである。電力供給部60は、加振部50及び本体部充電デバイス70と電気的に接続されている。
【0044】
ここで、加振部50及び電力供給部60の配置について説明する。加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、挟持部40により少なくとも一部が囲われている。「囲う」とは、外部の力が及ばないように(及びにくいように)、周りを塞ぐことであってもよい。本実施形態においては、加振部50及び電力供給部60の両方について、挟持部40により全体が囲われている。
【0045】
さらに、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、挟持部40に内包されていてもよい。「内包されている」とは、完全に囲われていることを意味していてもよい。本実施形態においては、加振部50及び電力供給部60の両方が、挟持部40に内包されている。
【0046】
加振部50及び電力供給部60の配置について換言して説明する。加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、挟持部40により少なくとも一部が覆われている(すなわち、囲われている)。つまり、挟持部40は、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかの外周の少なくとも一部を覆っている。
【0047】
例えば、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、少なくとも一部が挟持部40(具体的には、腕部41)の中空空間内に位置している。加振部50又は電力供給部60の外周面と挟持部40の内周面とが全面にわたって接していてもよく、加振部50又は電力供給部60の外周面と挟持部40の内周面とが一部のみ接していてもよく、加振部50又は電力供給部60の外周面と挟持部40の内周面とが全面にわたって離間していてもよい。
【0048】
ここでは、加振部50は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基端部41sと先端部41tとの中間位置(すなわち、腕部41の基準方向Dにおける中央を跨ぐ位置)に配置されている。このため、加振部50により腕部41の全域にわたってバランス良く加振することが可能となる。なお、加振部50は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基端部41sと先端部41tとの中間位置よりも基端部41s側の位置(すなわち、腕部41の基準方向Dにおける中央よりも基端部41s側の位置)に配置されていてもよい。これによれば、加振部50の重心が基体部20側に位置するため、使用者にとって重く感じにくくなる。あるいは、加振部50は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基端部41sと先端部41tとの中間位置よりも先端部41t側の位置(すなわち、腕部41の基準方向Dにおける中央よりも先端部41t側の位置)に配置されていてもよい。これによれば、加振部50が腕部41の先端部41t付近を加振するため、挟持部40を大きな振幅で加振することが可能となる。
【0049】
ここでは、電力供給部60は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基端部41sと先端部41tとの中間位置(すなわち、腕部41の基準方向Dにおける中央を跨ぐ位置)に配置されている。このため、電力供給部60を配置するレイアウトを自由に設計しやすい。なお、電力供給部60は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基端部41sと先端部41tとの中間位置よりも基端部41s側の位置(すなわち、腕部41の基準方向Dにおける中央よりも基端部41s側の位置)に配置されていてもよい。これによれば、電力供給部60の重心が基体部20側に位置するため、使用者にとって重く感じにくくなる。あるいは、電力供給部60は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基端部41sと先端部41tとの中間位置よりも先端部41t側の位置(すなわち、腕部41の基準方向Dにおける中央よりも先端部41t側の位置)に配置されていてもよい。これによれば、電力供給部60が基体部20から離れた位置に配置され、しかも使用時に水等がかかりやすいため、電力供給部60を効果的に冷却することが可能となる。
【0050】
また、ここでは、加振部50及び電力供給部60は、挟持部40の腕部41の内部空間内において、基準方向Dにおいて同等の位置(対応する位置、換言すると、略一致する位置)に配置されている。つまり、加振部50の重心位置及び電力供給部60の重心位置は、基準方向Dにおいて同等の位置に配置されている。これにより、本体部1全体として好適な重量バランスが実現される。
【0051】
本体部充電デバイス70は、電力供給部60を充電するためのデバイスである。電力供給部60を充電するためには任意の技術を適用可能であり、本体部充電デバイス70は、適用された技術に応じて異なるデバイスであってよい。ここでは、電力供給部60を充電するために一般的なワイヤレス充電の技術が用いられている。すなわち、ここでは、電力供給部60を充電するために、送電コイルを備えた送電パネルに通電することで磁束を発生させ、受電コイルを備えた受電デバイスにおいて磁束に基づく電力を発生させて、発生させた電力により電力供給部60を充電する。この場合、本体部充電デバイス70は、受電デバイスに相当する。
【0052】
電源操作部80は、加振部50の電源の入切を操作する操作機構である。例えば、電源操作部80はスイッチとして構成されている。電源操作部80が操作されると、電力供給部60から加振部50への電力が供給されて加振部50が振動を開始する。その後、再度電源操作部80が操作されると、電力供給部60から加振部50への電力の供給が遮断されて50が振動を停止する。なお、電源操作部80は、加振部50に加えて、加振部50以外の装置についての電源の入切も操作可能であってもよい。例えば、本体部1がLED等によるイルミネーションを備えている場合には、当該イルミネーションの点灯及び消灯を操作可能であってもよい。
【0053】
内部構造体10は、被覆部材90により被覆されている。より詳細には、内部構造体10を構成する内部基体部20N、開閉操作部30、内部挟持部40N、及び電源操作部80は、被覆部材90により被覆されている。内部構造体10は、被覆部材90により完全に(全周にわたって)被覆されていてもよく、被覆部材90により部分的に被覆されていてもよい。
【0054】
被覆部材90は、柔軟部材からなる。例えば、被覆部材90はシリコンゴムにより構成されていてもよい。具体的には、開閉操作部30を被覆する被覆部材90は、開閉操作部30(開閉操作部30の被押圧部32)が使用者により押圧された場合に変形可能な程度の柔軟性を有している。
【0055】
被覆部材90は、防水部材からなる。被覆部材90は、内部構造体10の全体を隙間なく被覆していることが好ましい。これにより、使用時に水等が内部構造体10に浸入することを抑制することができる。
【0056】
図9は、載置部2を示す図である。
図1、
図3、及び
図9に示されるように、載置部2は、振動付与装置100の本体部1を載置可能な台である。載置部2は、基準方向Dが上下方向(鉛直方向)となるように本体部1を保持する。載置部2は、上側が開放された凹部2aを有している。凹部2aは、本体部1の基体部20よりも若干大きく形成されている。これにより、本体部1の基体部20を載置部2の凹部2aに上から差し込むと、差し込まれた本体部1は基準方向Dが上下方向となる状態で安定して載置される。
【0057】
載置部2は、充電部2b及び基板2cを有している。充電部2bは、受電デバイスである本体部充電デバイス70と協働して電力供給部60を充電するためのデバイスである。充電部2bは、送電コイルを備えた送電パネルに相当する。充電部2bは、外部電源に接続されており、当該外部電源からの電力を用いて磁束を発生させる。基板2cは、充電部2bの動作を制御するためのものである。
【0058】
図1に示されるように、カバー部3は、載置部2の蓋として機能する構造体である。カバー部3は、カップ状に形成され、載置部2の凹部2aを上から覆った状態で載置部2と係合する。また、カバー部3は、載置部2と係合した状態から係合解除可能である。カバー部3は、載置部2に本体部1が載置されている状態において、本体部1の上から載置部2に係合可能である。カバー部3は、載置部2と係合することにより少なくとも挟持部40を覆い、ここでは載置部2と係合することにより本体部1の全体を覆う。このとき、カバー部3の内面が本体部1の外面(特に、腕部41の先端部41t)と接触してもよく、これによれば載置部2上における本体部1の揺動を抑制することができる。
【0059】
上述したようにカバー部3はカップ状に形成されているため、載置部2から係合解除された状態ではコップとして利用可能である。特に、カバー部3は、載置部2と係合した状態における上面3a(すなわち、コップとして利用する状態における下面)が平坦であるため、コップとして利用する場合に水等を入れた状態で載置することができる。
【0060】
[作用及び効果]
以上説明したように、振動付与装置100は、歯ブラシBを挟持する挟持部40と、挟持部40を振動させる加振部50と、加振部50に電力を供給する電力供給部60と、を備え、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、挟持部40により少なくとも一部が囲われている。
【0061】
振動付与装置100によれば、まず、挟持部40により歯ブラシBを挟持することによって、振動付与装置100が歯ブラシBに装着される。そして、電力供給部60により電力を供給されることにより加振部50が動作し、挟持部40を振動させる。これにより、加振部50において発生した振動が挟持部40を介して歯ブラシBに伝達されるため、口腔内を清掃するために歯ブラシBを振動させる動作が自動化される。ここで、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、挟持部40により少なくとも一部が囲われている。これにより、振動付与装置100が歯ブラシBに装着された状態において加振部50及び電力供給部60の全体が完全に露出することを防止することができる。したがって、加振部50及び電力供給部60が手指又は口腔周辺に干渉しにくくなる。よって、歯ブラシBに装着されても取り扱い性を損ないにくくすることが可能となる。
【0062】
振動付与装置100では、加振部50及び電力供給部60の少なくともいずれかは、挟持部40に内包されている。これによれば、振動付与装置100が歯ブラシBに装着された状態において加振部50及び電力供給部60が露出することを十分に防止することができる。したがって、加振部50及び電力供給部60が手指又は口腔周辺に一層干渉しにくくなる。よって、歯ブラシBに装着されても取り扱い性を一層損ないにくくすることが可能となる。また、加振部50及び電力供給部60が使用者の目に触れることを抑制することができるため、美観が改善される。さらに、使用者が加振部50及び電力供給部60に直接触れることを抑制することができる。
【0063】
振動付与装置100は、挟持部40を開閉させる開閉操作部30を備え、開閉操作部30は、被覆部材90により被覆されている。これによれば、開閉操作部30が使用者の目に触れることを抑制することができるため、美観が改善される。さらに、使用者が開閉操作部30に直接触れることを抑制することができる。
【0064】
振動付与装置100では、開閉操作部30は、使用者により押圧されることにより挟持部40の開閉状態を変更し、被覆部材90は、開閉操作部30が使用者により押圧された場合に変形可能な柔軟部材からなっている。これによれば、開閉操作部30を被覆する被覆部材90が柔軟部材からなるため、開閉操作部30が被覆された状態であっても当該開閉操作部30を操作可能となる。
【0065】
振動付与装置100では、挟持部40は、当該挟持部40の開閉状態が閉とされている状態において支点Xから基準方向Dにそれぞれ延在する一対の腕部41を有し、基準方向Dに沿って配置される長尺状の歯ブラシBを一対の腕部41により挟持し、一対の腕部41のそれぞれには、挟持される歯ブラシBが接触する接触面41aに、基準方向Dに沿った溝41bが形成されている。これによれば、接触面41aに基準方向Dに沿った溝41bが形成されていることで歯ブラシBを安定して挟持することが可能となる。また、歯ブラシBを挟持したときの接触面41aと歯ブラシBとの接触面積を大きくすることができるため、摩擦力を発生させやすくなり、挟持した歯ブラシBが脱落しにくくなる。
【0066】
振動付与装置100では、溝41bの容積は、当該溝41bを除いた挟持部40の体積よりも小さい。これによれば、振動付与装置100の大型化を抑制しつつ腕部41の剛性を確保することができる。
【0067】
振動付与装置100は、基準方向Dが上下方向となるように当該振動付与装置100の本体部1を載置可能な載置部2を備えている。これによれば、長手方向が上下方向になるように載置可能となるため、利便性が向上する。
【0068】
振動付与装置100では、本体部1は、載置部2に対して取付け及び取外しが可能である。これによれば、本体部1の使用時には載置部2から取り外すことができるため、利便性が向上する。
【0069】
振動付与装置100は、載置部2と係合することにより少なくとも挟持部40を覆うカバー部3を備えている。これによれば、本体部1を載置部2に載置した状態において挟持部40を保護することができる。
【0070】
振動付与装置100では、カバー部3は、カップ状に形成されている。これによれば、歯ブラシBを用いて口腔内を清掃する際に水等をカバー部3に溜めることができるため、利便性が向上する。
【0071】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る振動付与装置100Aについて説明する。
図10は、第2実施形態に係る振動付与装置100Aの本体部1Aを示す図である。第2実施形態に係る振動付与装置100Aの本体部1Aは、第1実施形態に係る振動付与装置100の本体部1と比較して、加振部50Aが設けられている位置が主として相違し、その他の点において共通している。
【0072】
本体部1Aにおいて、加振部50Aは、基体部20の内部空間内に配置されている。具体的には、加振部50Aは、基体部20の内部空間内において、開閉操作部30に対して挟持部40とは反対側に配置されている。より詳細には、加振部50Aは、開閉操作部30の一方の被押圧部32と他方の被押圧部32との間に、各被押圧部32からそれぞれ離間して配置されている。このためスペース効率が向上する。
【0073】
ここでは、加振部50Aは、回転軸51Aに対して偏心して配置された錘52Aを当該回転軸51Aまわりに回転させることで振動を発生させる回転式バイブレータである。そして、回転軸51Aは、基準方向Dに沿って、基体部20の中心軸線上に配置されている。これにより、本体部1Aをバランス良く加振することが可能となるとともに、歯ブラシBを挟持部40の一番奥(一対の腕部41Aが繋がる股部分40a)に突き当てて挟持することで歯ブラシBに振動を効率良く伝達可能となる。このように歯ブラシBを股部分40aに安定して突き当てることができるように、股部分40aには平坦部又は凹部からなるブラシ突当部40bが形成されていてもよい。
【0074】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る振動付与装置100Bについて説明する。
図11は、第3実施形態に係る振動付与装置100Bの本体部1Bを示す図である。第3実施形態に係る振動付与装置100Bの本体部1Bは、第1実施形態に係る振動付与装置100の本体部1と比較して、一対の腕部41Bのそれぞれの接触面41Baの形状が主として相違し、その他の点において共通している。
【0075】
本体部1Bにおいて、一対の腕部41Bのそれぞれの接触面41Baには、凹凸42Bが形成されている。具体的には、凹凸42Bは、他方の腕部41に向かって凸状に形成された複数の凸部42Ba、及び、隣り合う凸部42Baどうしの間において凹状に形成された複数の凹部42Bbを有している。
【0076】
一方の腕部41Bに形成された各凸部42Baは、他方の腕部41Bに形成された凸部42Baと対応する位置に設けられている。また、一方の腕部41Bに形成された各凹部42Bbは、他方の腕部41Bに形成された凹部42Bbと対応する位置に設けられている。これにより、挟持部40Bの開閉状態が閉とされている状態において、一対の腕部41Bのそれぞれは、互いの凸部42Baどうしで接触することとなる。また、一対の腕部41Bのそれぞれの接触面41Baは、挟持部40Bにより歯ブラシBが挟持されている状態において、凸部42Baが歯ブラシBに接触しており凹部42Bbが歯ブラシBに接触していない。
【0077】
このように、振動付与装置100Bでは、一対の腕部41Bのそれぞれの接触面41Baには、凹凸42Bが形成されている。接触面41Baと歯ブラシBとの間の全体に水が介在した状態になると、接触面41Ba上で歯ブラシBが滑りやすくなる。一方、上記の構成によれば、接触面41Baに形成された凹凸42Bの凸部42Baにおいて、接触面41Baと歯ブラシBとの間に水が介在しにくくなるため、接触面41Ba上で歯ブラシBを滑りにくくすることができる。
【0078】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る振動付与装置100Cについて説明する。
図12は、第4実施形態に係る振動付与装置100Cの本体部1Cを示す図である。第4実施形態に係る振動付与装置100Cの本体部1Cは、第1実施形態に係る振動付与装置100の本体部1と比較して、一対の腕部41Cのそれぞれの厚さに関する形状が主として相違し、その他の点において共通している。
【0079】
本体部1Cにおいて、一対の腕部41Cのそれぞれは、支点X側である基端部41Cs側から支点Xとは反対側の先端部41Ct側に向かって、挟持部40Cの開閉方向における厚さが大きくなる。より詳細には、一対の腕部41Cのそれぞれは、基端部41Cs側から先端部41Ct側に向かって挟持部40Cの開閉方向における厚さが大きく厚さ増大部41Ccを有している。厚さ増大部41Ccは、腕部41Cの基準方向Dにおける全長のうち、好ましくは連続した70%以上の領域であってもよく、より好ましくは連続した80%以上の領域であってもよく、更に好ましくは連続した90%以上の領域であってもよい。ここでは、一対の腕部41Cのそれぞれの接触面41Caは、基端部41Cs側で互いに離間しており、先端部41Ct側で互いに接触している。これにより、挟持部40Cの外形を維持したままで(すなわち、挟持部40Cの外形が先端部41Ct側で幅広になることを抑制しつつ)、腕部41Cの先端部41Ct側における厚さを42Cs側における厚さよりも大きくすることができる。
【0080】
このように、振動付与装置100Cでは、挟持部40Cは、当該挟持部40Cの開閉状態が閉とされている状態において支点Xから基準方向Dにそれぞれ延在する一対の腕部41Cを有し、基準方向Dに沿って配置される長尺状の歯ブラシBを一対の腕部41Cにより挟持し、一対の腕部41Cのそれぞれは、支点X側である基端部41Cs側から支点Xとは反対側の先端部41Ct側に向かって、挟持部40Cの開閉方向における厚さが大きくなる。これによれば、挟持部40Cの大型化を抑制しつつ、歯ブラシBを安定して挟持することが可能となる。
【0081】
[変形形態]
上述した各実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0082】
例えば、上述した各実施形態に含まれる個々の特徴は、それぞれ単独又は組み合わせて別の実施形態に適用可能である。
【0083】
また、上述した各実施形態において、電力供給部60は、充電式のバッテリであって、本体部充電デバイス70を介して充電可能である。しかし、電力供給部60は、非充電式のバッテリであってもよい。例えば、電力供給部60は、乾電池であってもよい。電力供給部60が非充電式のバッテリである場合、本体部充電デバイス70は設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1, 1A,1B,1C 本体部
2 載置部
3 カバー部
30 開閉操作部
40,40B,40C 挟持部
41,41B,41C 腕部
41a,41Ba,41Ca 接触面
41b 溝
41s,41Cs 基端部
41t,41Ct 先端部
42B 凹凸
50,50A 加振部
60 電力供給部
90 被覆部材
100,100A,100B,100C 振動付与装置
B 歯ブラシ
D 基準方向
X 支点