(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】リチウム2次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20240606BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240606BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20240606BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240606BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240606BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/66 A
H01M10/0585
H01M50/105
H01M50/184 C
H01M50/186
H01M50/536
H01M50/54
H01M50/548 301
H01M50/55 301
H01M50/591 101
(21)【出願番号】P 2023580627
(86)(22)【出願日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 JP2023022782
【審査請求日】2023-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522369728
【氏名又は名称】TeraWatt Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】三宅 実
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛輔
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7123221(JP,B1)
【文献】特表2022-554113(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093588(WO,A1)
【文献】特開2012-212506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0373584(US,A1)
【文献】国際公開第2012/102220(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/056846(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/052-10/0585
H01M 4/64-4/66
H01M 50/105
H01M 50/184
H01M 50/186
H01M 50/536
H01M 50/54
H01M 50/548
H01M 50/55
H01M 50/591
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを介して正極と負極とが積層方向に複数積層された積層体であって、前記正極及び前記負極の一方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第1集電体を含み、前記第1集電体は、前記積層方向と異なる第1方向に延びる第1端部を備える、積層体と、
前記第1端部と電気的に接続される第1電極タブであって、前記第1電極タブは、前記第1端部との接合による第1接合痕と、前記第1接合痕から前記第1方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第1絶縁部とを含む、第1電極タブと、
シール部を備える密封容器であって、前記密封容器は、前記シール部の内側に前記積層体を封入しつつ、前記シール部において前記第1電極タブの前記第1絶縁部を挟み前記第1電極タブの一部を前記密封容器の外部に取り出すように構成される、密封容器と、
を備
え、
前記積層体に含まれる前記第1集電体の総数をXとし、前記第1端部における前記第1接合痕と前記第1端部の前記第1方向の外縁との間の距離をYとしたときに、Y>0.048X+1.3の関係が成り立つ、リチウム2次電池。
【請求項2】
前記第1端部における前記第1接合痕は、前記第1端部の前記第1方向の外縁から2mm以上内側に設けられている、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項3】
前記第1端部における前記第1接合痕は、前記第1端部の前記第1方向の外縁から2.5mm以上内側に設けられている、請求項1に記載のリチウム2次電池。
【請求項4】
前記Xは、10以上である、請求項
1に記載のリチウム2次電池。
【請求項5】
前記第1接合痕は、溶接痕である、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のリチウム2次電池。
【請求項6】
前記第1接合痕は、前記積層方向の断面において、前記1対の導電層どうしが一体化した領域を含む、請求項
5に記載のリチウム2次電池。
【請求項7】
前記第1端部と前記第1電極タブとが金属シートを介して互いに接合される、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のリチウム2次電池。
【請求項8】
前記第1接合痕は、溶接痕である、請求項
7に記載のリチウム2次電池。
【請求項9】
前記第1接合痕は、前記積層方向の断面において、前記1対の導電層及び前記金属シートが複数層にわたり一体化した領域を含む、請求項
8に記載のリチウム2次電池。
【請求項10】
前記第1端部は、前記金属シートとの接合による予備接合痕を有し、前記予備接合痕は、前記積層方向からみて前記第1接合痕と異なる位置に設けられている、請求項
7に記載のリチウム2次電池。
【請求項11】
前記第1集電体は、前記負極の負極集電体であり、前記第1電極タブは、前記負極集電体に接続される負極電極タブである、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のリチウム2次電池。
【請求項12】
前記密封容器は、アルミラミネートフィルムで構成されている、請求項
11に記載のリチウム2次電池。
【請求項13】
前記正極及び前記負極の他方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第2集電体を含み、前記第2集電体は、前記積層方向と異なる第2方向に延びる第2端部を備える、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のリチウム2次電池。
【請求項14】
前記第2集電体の前記第2端部と電気的に接続される第2電極タブをさらに備え、前記第2電極タブは、前記第2端部との接合による第2接合痕と、前記第2接合痕から前記第2方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第2絶縁部とを含み、
前記密封容器は、前記シール部において前記第2電極タブの前記第2絶縁部を挟み前記第2電極タブの一部を前記密封容器の外部に取り出すように構成される、請求項
13に記載のリチウム2次電池。
【請求項15】
前記第1方向と前記第2方向とが同一方向である、請求項
13に記載のリチウム2次電池。
【請求項16】
前記第1方向と前記第2方向とが異なる方向である、請求項
13に記載のリチウム2次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、リチウム2次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂フィルムの両面に金属層が形成された集電体を用いることで電池セルの安全性を向上させることが開示されている。樹脂フィルムは、フィルムの表/裏が絶縁性の樹脂層により隔てられており、電気的な導通がとれない。そのため配線を引き出す用の電極タブと電極フィルムを接続する際に、電極の表/裏、さらに、複数電極と電極タブ間での導通がとれない。この点、特許文献2では、樹脂層を隔てた各金属層を配線引き出し用の電極タブに接続するために、集電体を複数折り畳んで各金属層に積層させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-102711号公報
【文献】特開2013-016321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、リチウム2次電池の出力特性及び生産性の低下を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態において、セパレータを介して正極と負極とが積層方向に複数積層された積層体であって、正極及び負極の一方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第1集電体を含み、第1集電体は、積層方向と異なる第1方向に延びる第1端部を備える、積層体と、第1端部と電気的に接続される第1電極タブであって、第1電極タブは、第1端部との接合による第1接合痕と、第1接合痕から第1方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第1絶縁部とを含む、第1電極タブと、シール部を備える密封容器であって、密封容器は、シール部の内側に積層体を封入しつつ、シール部において第1電極タブの第1絶縁部を挟み第1電極タブの一部を密封容器の外部に取り出すように構成される、密封容器と、を備えるリチウム2次電池が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、リチウム2次電池の出力特性及び生産性の低下を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】2次電池1の構成例を説明するための平面図である。
【
図2】積層体STの構成例を説明するための分解斜視図である。
【
図5】負極電極タブ40、負極端部P及び金属シートM1の接合状態を説明するための図である。
【
図13】負極10の他の積層例を説明するための斜視図である。
【
図14】負極10の他の積層例を説明するための斜視図である。
【
図16A】実験1において金属材料のはみ出しがあった場合の例である。
【
図16B】実験1において金属材料のはみ出しがなかった場合の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、セパレータを介して正極と負極とが積層方向に複数積層された積層体であって、正極及び負極の一方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第1集電体を含み、第1集電体は、積層方向と異なる第1方向に延びる第1端部を備える、積層体と、第1端部と電気的に接続される第1電極タブであって、第1電極タブは、第1端部との接合による第1接合痕と、第1接合痕から第1方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第1絶縁部とを含む、第1電極タブと、シール部を備える密封容器であって、密封容器は、シール部の内側に積層体を封入しつつ、シール部において第1電極タブの第1絶縁部を挟み第1電極タブの一部を密封容器の外部に取り出すように構成される、密封容器と、を備えるリチウム2次電池が提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、第1端部における第1接合痕は、第1端部の第1方向の外縁から2mm以上内側に設けられている。
【0011】
一つの例示的実施形態において、第1端部における第1接合痕は、第1端部の第1方向の外縁から2.5mm以上内側に設けられている。
【0012】
一つの例示的実施形態において、積層体に含まれる第1集電体の総数をXとし、第1端部における第1接合痕と第1端部の第1方向の外縁との間の距離をYとしたときに、Y>0.048X+1.3の関係が成り立つ。
【0013】
一つの例示的実施形態において、Xは、10以上である。
【0014】
一つの例示的実施形態において、第1接合痕は、溶接痕である。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第1接合痕は、積層方向の断面において、1対の導電層どうしが一体化した領域を含む。
【0016】
一つの例示的実施形態において、第1端部と第1電極タブとが金属シートを介して互いに接合される。
【0017】
一つの例示的実施形態において、第1接合痕は、溶接痕である。
【0018】
一つの例示的実施形態において、第1接合痕は、積層方向の断面において、1対の導電層及び金属シートが一体化した領域を含む。
【0019】
一つの例示的実施形態において、第1端部は、金属シートとの接合による予備接合痕を有し、予備接合痕は、積層方向からみて第1接合痕と異なる位置に設けられている。
【0020】
一つの例示的実施形態において、第1集電体は、負極の負極集電体であり、第1電極タブは、負極集電体に接続される負極電極タブである。
【0021】
一つの例示的実施形態において、密封容器は、アルミラミネートフィルムで構成されている。
【0022】
一つの例示的実施形態において、正極及び負極の他方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第2集電体を含み、第2集電体は、積層方向と異なる第2方向に延びる第2端部を備える。
【0023】
一つの例示的実施形態において、第2集電体の第2端部と電気的に接続される第2電極タブをさらに備え、第2電極タブは、第2端部との接合による第2接合痕と、第2接合痕から第2方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第2絶縁部とを含み、密封容器は、シール部において第2電極タブの第2絶縁部を挟み第2電極タブの一部を密封容器の外部に取り出すように構成される。
【0024】
一つの例示的実施形態において、第1方向と第2方向とが同一方向である。
【0025】
一つの例示的実施形態において、第1方向と第2方向とが異なる方向である。
【0026】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0027】
上述したとおり、特許文献2には、樹脂層を隔てた各金属層を配線引き出し用の電極タブに接続するために、集電体を複数折りたたんで各金属層に積層させることが提案されている。しかし、この方法では、金属層毎に集電体端部を折り返しながら積層する新たな装置機構が必要となる。また積層と連動させながら集電体端部を折り返す必要があり、生産性が著しく悪化する。またこの方法では、電極タブと集電体及び各金属層とを機械的に接合できたとしても、接合部の抵抗が高くなり出力特性が低下する。一実施形態にかかるリチウム2次電池1(以下「2次電池1」ともいう。)では、このような問題を解消し得る。
【0028】
<2次電池の構成例>
図1は、2次電池1の構成例を説明するための平面図である。
図1に示すように、2次電池1は、密封容器100と、積層体STと、負極電極タブ40と、正極電極タブ42とを含んで構成される。積層体STは、セパレータを介して正極と負極とが積層方向(
図1においてはz方向)に複数積層されて構成される。
【0029】
密封容器100は、シール部102と収容部104とを含む。シール部102は、密封容器100の外周全体に沿って設けられ、収容部104を密封容器100の外部と隔離する。
【0030】
密封容器100は、シール部102において負極電極タブ40の絶縁部40Bを挟みつつ、負極電極タブ40の他端部40Cを密封容器100の外部に取り出すように構成される。同様に、密封容器100は、シール部102において正極電極タブ42の絶縁部42Bを挟みつつ、正極電極タブ42の他端部42Cを密封容器100の外部に取り出すように構成される。
【0031】
密封容器100の収容部104は、積層体STを収容するための密閉された空間を提供する。一実施形態において、密封容器100は、1対のシート部材を互いに重ね合わせて両者を外周にわたって接合することで構成されてよい。シート部材は、複数の層から構成されてよく、例えば、アルミラミネートフィルムであってよい。
【0032】
負極電極タブ40は、積層体STの各負極の負極端部Pに電気的に接続される。一実施形態において、負極電極タブ40は、積層体STの積層方向とは異なる第1方向(
図1ではx方向)に延びる帯状体である。
【0033】
負極電極タブ40は、第1方向に沿って、一端部40A、絶縁部40B及び他端部40Cを有してよい。一端部40Aは、積層体STの各負極の負極端部Pに接合され、当該接合により第1接合痕W1が形成されている。第1接合痕W1は、1又は複数の点(スポット)であってよく、また連続する線や面であってもよい。
【0034】
絶縁部40Bは、例えば、シーラントフィルム等の絶縁材ILに覆われている。絶縁部40Bは、第1接合痕W1から第1方向に所定の距離以上離間して設けられる。他端部40Cは、絶縁部40Bから第1方向に延び、密封容器100の外部に配置される。他端部40Cは、外部回路に接続されてよい。
【0035】
一実施形態において、負極電極タブ40は、Cu、Ni、Ti、Fe、及び、その他Liと反応しない金属、及び、これらの合金、並びに、ステンレス鋼(SUS)からなる群より選択される少なくとも1種から構成されてよい。
【0036】
正極電極タブ42は、積層体STの各正極の正極端部Qに電気的に接続される。一実施形態において、正極電極タブ42は、積層体STの積層方向とは異なる第2方向(
図1に示す例では、第1方向と同じくx方向であるが、これに限られず、第1方向と異なる方向、例えば、第1方向と逆向きの方向であってよい)に延びる帯状体である。正極電極タブ42は、第2方向に沿って、一端部42A、絶縁部42B及び他端部42Cを有してよい。
【0037】
一端部42Aは、積層体STの各正極の正極端部Qに接合され、当該接合により第2接合痕W2が形成されている。第2接合痕W2は、1又は複数の点(スポット)であってよく、また連続する線や面であってもよい。
【0038】
絶縁部42Bは、例えば、シーラントフィルム等の絶縁材ILに覆われている。絶縁部42Bは、第2接合痕W2から第2方向に所定の距離以上離間して設けられる。他端部42Cは、絶縁部42Bから第1方向に延びて、密封容器100の外部に配置される。他端部42Cは、外部回路に接続されてよい。
【0039】
一実施形態において、正極電極タブ42は、アルミニウム、チタン、ステンレス、ニッケル及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一種の材料から構成されてよい。
【0040】
積層体STは、収容部104の密閉空間に配置される。一実施形態において、積層体STは、電解液とともに密封容器100内に配置されてよい。電解液は、溶媒及び電解質を含む液体であり、リチウムイオンの導電経路として作用する。なお、電解液は、積層体STのセパレータに浸潤されてよく、また高分子に保持されることでポリマー電解質又はゲル電解質を構成していてもよい。
【0041】
以下、
図2~
図6を用いて、積層体STの構成例について詳細に説明する。
図2は、積層体STの構成例を説明するための分解斜視図である。
図2に示すように、積層体STは、負極10及び正極30がセパレータ20を介して交互に積層方向(
図2のz方向)複数積層されて構成される。
図2に示すように、複数の負極10は、それぞれが1枚の平板状のシートから構成されてよい。また複数の正極30は、それぞれが1枚の平板状のシートから構成されてよい。なお、複数の負極10及び/又は複数の正極30は、全体として一枚の平板状のシートを折り畳んで又は巻回して構成されてもよい(このような態様の一例については、
図13及び
図14を用いて後述する)。
【0042】
一実施形態において、積層体STにおける正極及び負極の積層数は、それぞれ、5以上、10以上、又は、20以上でよい。一実施形態において、積層体STにおける正極及び負極の積層数は、それぞれ、50以下、40以下又は30以下でよい。積層体STにおける正極及び負極の積層数は、2次電池1のエネルギー密度や定格容量に応じて適宜設定されてよい。ここで、2次電池1のエネルギー密度は、例えば、300Wh/kg以上であってよい。また2次電池1の定格容量は、例えば、1.5Ah以上であってよく、また5Ah以上であってもよい。
【0043】
図2に示すように、負極電極タブ40は、各負極10の負極端部Pに対して積層方向に並ぶように配置される。例えば、負極電極タブ40は、負極端部Pよりも積層方向上方又は下方に配置されてよい。また例えば、負極電極タブ40は、ある負極端部Pとこれに隣接する負極端部Pとの間に配置されてもよい。同様に、正極電極タブ42は、各正極30の正極端部Qに対して積層方向に並ぶように配置される。例えば、正極電極タブ42は、正極端部Qよりも積層方向上方又は下方に配置されてよい。また例えば、正極電極タブ42は、ある正極端部Qとこれに隣接する正極端部Qとの間に配置されてもよい。
【0044】
図2に示すように、セパレータ20は、積層方向において、負極10と正極30との間に配置される。セパレータ20は、負極10と正極30とを物理的及び/又は電気的に隔離するとともに、リチウムイオンのイオン伝導性を確保する。一実施形態において、セパレータ20は、絶縁性の多孔質部材、ポリマー電解質、ゲル電解質、及び、無機固体電解質からなる群より選択される少なくとも1種でよい。セパレータ20は、1種の部材を単独で用いてよく、2種以上の部材を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
(負極10)
図3は、負極10の一例を示す斜視図である。一実施形態において、負極10は、負極集電体12と負極集電体12上に配置される負極活物質層14を含んで構成される。
【0046】
負極集電体12は、負極絶縁層120と負極絶縁層120を挟むように配置される一対の負極導電層122とで構成されてよい。
【0047】
一実施形態において、負極絶縁層120は、例えば、シート状(フィルム状)又は繊維状の樹脂で構成されてよい。樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリアミド等の熱可塑性樹脂の少なくとも1つであってよい。負極絶縁層120は、当該樹脂の少なくとも1つ以上が複数積層されて構成されてもよい。一実施形態において、負極絶縁層120は、融点が150℃以上300℃以下の材料から形成される。一実施形態において、負極絶縁層120の厚さは、3μm以上10μm以下でよく、また4μm以上8μm以下でもよい。負極集電体12が負極絶縁層120を含むことで、負極10を軽量化しつつ、その剛性(厚み)を大きくすることができる。
【0048】
負極導電層122は、負極絶縁層120を挟むようにその両面に形成される。負極導電層122は、負極活物質層14に物理的及び/又は電気的に接触し、負極活物質層14に対して電子を授受するように機能する。一実施形態において、負極導電層122は、Cu、Ni、Ti、Fe及びLiと反応しない金属、及び、これらの合金、並びに、ステンレス鋼からなる群より選択される少なくとも1種から形成される。ここで「Liと反応しない金属」は、2次電池1の作動状態においてリチウムイオン又はリチウム金属と反応して合金化することがない金属でよい。負極導電層122は、一例ではCuである。一実施形態において、負極導電層122は、上記材料を負極絶縁層120の両側の表面に、蒸着、スパタリング、電解めっき又は貼り合わせすることで形成される。一実施形態において、負極導電層122の厚さは、0.5μm以上5μm以下、0.7μm以上3μm以下、0.8μm以上2.0μm以下でよい。
【0049】
負極活物質層14は、負極集電体12の両面にそれぞれ配置されてよく、また負極集電体12の片面にのみに配置されてもよい。負極活物質層14は、負極において電極反応、すなわち酸化反応及び還元反応を生じる負極活物質を含む。負極活物質は、例えば、リチウム金属及びリチウム金属を含む合金、炭素系物質、金属酸化物、並びにリチウムと合金化する金属及び該金属を含む合金等を含んでよい。上記炭素系物質は、例えば、グラフェン、グラファイト、ハードカーボン、カーボンナノチューブ等でよい。上記金属酸化物は、例えば、酸化チタン系化合物、酸化コバルト系化合物等でよい。上記リチウムと合金化する金属は、例えば、ケイ素、酸化ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アルミニウム、及びガリウム、及びこれらにリチウムがプレドープされたものでよい。
【0050】
図3に示すように、負極集電体12は、負極端部Pを有する。一実施形態において、負極端部Pは、負極集電体12の一部として、負極集電体12の側面から、積層方向とは異なる第1方向(
図3ではx方向)に延出して構成される。負極端部P上には、負極活物質層14は配置されていない。
【0051】
一実施形態において、負極端部P上に、負極用の金属シートM1が設けられてよい。金属シートM1は、
図3に示すように負極端部Pの一面に接合されてよく、また負極端部Pの両面にそれぞれ接合されてもよい。金属シートM1は、一部の負極10の負極端部Pのみに設けられてよく、また全部の負極10の負極端部Pに設けられてもよい。金属シートM1は、負極導電層122と同一の材料で構成されてよく、一例では、Cuである。一実施形態において、金属シートM1の厚さは、3μm以上、5μm以上又は7μm以上でよい。一実施形態において、金属シートM1の厚さは、15μm以下、12μm以下又は10μm以下でよい。
【0052】
図3に示すように、金属シートM1及び負極端部Pには、負極電極タブ40との接合による第1接合痕W1が形成されている。また、一実施形態において、金属シートM1及び負極端部Pには、両者の接合による予備接合痕WP1が形成されてもよい。予備接合痕WP1は、負極電極タブ40との接合に先立って、金属シートM1と負極端部Pとを接合しておく場合(以下「予備接合」ともいう。)に形成される接合痕である。第1接合痕W1と、予備接合痕WP1とは、積層方向(z方向)からみて互いに異なる位置に形成されうる。予備接合痕WP1は、負極端部Pに沿ってライン状に一列又は複数列形成されてよく、また複数のドット状に形成されてもよい。なお、予備接合を行わず、金属シートM1、負極端部P及び負極電極タブ40を一度に接合する場合は、第1接合痕W1のみが形成され、予備接合痕WP1は形成されない。
【0053】
一実施形態において、第1接合痕W1及び/又は予備接合痕WP1は、溶接による接合痕、すなわち溶接痕であってよい。溶接は、例えば、超音波溶接、レーザ溶接、抵抗溶接又はスポット溶接であってよい。溶接は、一例では、超音波溶接である。一実施形態において、金属シートM1と負極端部Pの負極導電層122とは、第1接合痕W1及び/又は予備接合痕WP1において一部又は全部が熱等により融合して一体化されてよい。
(正極30)
図4は、正極30の一例を示す斜視図である。一実施形態において、正極30は、正極集電体32と正極集電体32上に配置される正極活物質層34を含んで構成される。
【0054】
正極集電体32は、正極絶縁層320と正極絶縁層320を挟むように配置される一対の正極導電層322とで構成されてよい。
【0055】
正極絶縁層320は、例えば、シート状(フィルム状)又は繊維状の樹脂で構成されてよい。樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリアミド等の熱可塑性樹脂の少なくとも1つであってよい。正極絶縁層320は、当該樹脂の少なくとも1つ以上が複数積層されて構成されてもよい。一実施形態において、正極絶縁層320は、融点が150℃以上300℃以下の材料から形成される。一実施形態において、正極絶縁層320の厚さは、3μm以上10μm以下でよく、また4μm以上8μm以下でもよい。
【0056】
正極絶縁層320は、過充電状態や高温状態で異常発熱が発生した場合等に溶融し、正極30を破損させ、電池内部の短絡電流を遮断するように機能し得る。これにより、2次電池1の使用に際して、積層体ST内部の急激な温度上昇を抑制し、電池の発火を抑制し得る。すなわち、正極絶縁層320は2次電池1の安全性向上に寄与し得る。
【0057】
正極導電層322は、正極絶縁層320を挟むようにその両面に形成される。正極導電層322は、正極活物質層34に物理的及び/又は電気的に接触し、正極活物質層34に対して電子を授受するように機能する。正極導電層322は、2次電池1においてリチウムイオンと反応しない導電体から構成される。一実施形態において、正極導電層322は、アルミニウム、チタン、ステンレス、ニッケル及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一種の材料から構成される。一例では、正極導電層322は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。一実施形態において、正極導電層322は、上記材料を正極絶縁層320の両側の表面に、蒸着、スパタリング、電解めっき又は貼り合わせすることで形成される。一実施形態において、正極導電層322の厚さは、0.5μm以上5μm以下、0.7μm以上3μm以下、0.8μm以上2.0μm以下でよい。
【0058】
正極活物質層34は、リチウムイオンを保持するための正極活物質を含んでよく、電池の充放電により当該正極活物質にリチウムイオンが充填及び脱離される。正極活物質は、金属酸化物又は金属リン酸塩でよい。金属酸化物は、例えば、酸化コバルト系化合物、酸化マンガン系化合物、又は、酸化ニッケル系化合物でよい。金属リン酸塩は、例えば、リン酸鉄系化合物、又はリン酸コバルト系化合物でよい。一実施形態において、正極活物質は、LiCoO2、LiNixCoyMnzO(x+y+z=1)、LiNixCoyAlzO(x+y+z=1)、LiNixMnyO(x+y=1)、LiNiO2、LiMn2O4、LiFePO4、LiCoPO4、LiFeOF、LiNiOF、及びLiTiS2からなる群から選択される少なくとも1つでよい。正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。一実施形態において、正極活物質層34は、犠牲正極材、ゲル電解質、ポリマー電解質、導電助剤及び/又はバインダー等、正極活物質以外の成分を1つ以上含んでよい。
【0059】
図4に示すように、正極集電体32は、正極端部Qを有する。一実施形態において、正極端部Qは、正極集電体32の一部として、正極集電体32の側面から、積層方向とは異なる第2方向(
図4に示す例では、第1方向と同じくx方向であるが、これに限られない)に延出して構成される。正極端部Q上には、正極活物質層34は配置されていない。
【0060】
一実施形態において、正極端部Q上に、正極用の金属シートM2が設けられてよい。金属シートM2は、
図4に示すように正極端部Qの一面に接合されてよく、また正極端部Qの両面にそれぞれ接合されてもよい。また金属シートM2は、一部の正極30の正極端部Qのみに設けられてよく、また全部の正極30の正極端部Qに設けられてもよい。一実施形態において、金属シートM2は、正極導電層322と同一の材料で構成される。金属シートM2は、一例では、アルミニウム又はアルミニウム合金である。金属シートM2は、一例では、硬質アルミ箔でよく、また軟質アルミ箔でもよい。軟質アルミ箔は、硬質アルミ箔に高温(400℃前後)の熱処理を施すことで形成されてよい。一実施形態において、金属シートM2の厚さは、3μm以上、5μm以上又は7μm以上でよい。一実施形態において、金属シートM2の厚さは、15μm以下、12μm以下又は10μm以下でよい。
【0061】
図4に示すように、金属シートM2及び正極端部Qには、正極電極タブ42との接合による第2接合痕W2が形成されている。また、一実施形態において、金属シートM2及び正極端部Qには、両者の接合による予備接合痕WP2が形成されてもよい。予備接合痕WP2は、正極電極タブ42との接合に先立って、金属シートM2と正極端部Qとを接合しておく場合に形成される接合痕である。第2接合痕W2と、予備接合痕WP2とは、積層方向(z方向)からみて互いに異なる位置に形成されうる。予備接合痕WP2は、正極端部Qに沿ってライン状に一列又は複数列形成されてよく、また複数のドット状に形成されてもよい。なお、予備接合を行わず、金属シートM2、正極端部Q及び正極電極タブ42を一度に接合する場合は、第2接合痕W2のみが形成され、予備接合痕WP2は形成されない。
【0062】
一実施形態において、第2接合痕W2及び/又は予備接合痕WP2は、溶接による接合痕、すなわち溶接痕であってよい。溶接は、例えば、超音波溶接、レーザ溶接、抵抗溶接又はスポット溶接であってよい。溶接は、一例では、超音波溶接である。一実施形態において、金属シートM2と正極端部Qの正極導電層322とは、第2接合痕W2及び/又は予備接合痕WP2において一部又は全部が熱等により融合して一体化されてよい。
【0063】
(第1接合痕W1及び予備接合痕WP1)
図5は、負極電極タブ40、負極端部P及び金属シートM1の接合状態を説明するための図である。
図5は、負極端部Pのうち第1接合痕W1及び予備接合痕WP1を含む箇所をxz面に沿って切った断面を模式的に示す。
【0064】
図5に示すように、第1接合痕W1と予備接合痕WP1とは、積層方向からみて互いに異なる位置に設けられる。第1接合痕W1は、負極電極タブ40、各負極端部P及び各金属シートM1全体にわたって形成される。すなわち、第1接合痕W1は、負極電極タブ40から最下層の負極端部Pまで積層方向に一気通貫して形成される。これに対し、予備接合痕WP1は、負極端部Pごとに形成される。言い換えると、一つの予備接合痕WP1は、複数の負極端部Pにまたがって形成はされない。
【0065】
図5に示すように、負極端部Pにおいて、第1接合痕W1は、負極端部Pの第1方向の外縁から所定の距離Y以上内側に配置される。一実施形態において、距離Yは、2.0mmであってよく、2.5mmであってよく、また3.0mmであってよい。一実施形態において、積層体STにおける負極10の積層数(すなわち負極端部Pの総数)をXとしたときに、上記所定の距離Yは、Y>0.048X+1.3の関係が成り立つよう設定されてよい。一実施形態において、Xは10以上であってよく、15以上であってよく、また20以上であってもよい。
【0066】
図6は、第1接合痕W1の断面を示す図である。
図6は、第1接合痕W1をzy面に沿って切った断面(
図5のA-A断面)を模式的に示す。
図6に示すように、第1接合痕W1の断面は、第1領域R1と第2領域R2とを含む。一実施形態において、第1接合痕W1の断面は、積層方向の一方に窪んだ凹部を有してよい。
【0067】
第1領域R1では、負極導電層122と金属シートM1とが一体化して積層され、負極電極タブ40に接合される。ここで、一体化して積層されることは、各負極導電層122及び金属シートM1の一部又は全部が熱等により融合した状態(各層の区別がつかない状態)を含む。
【0068】
一実施形態において、第1領域R1は、積層方向に沿って負極絶縁層120を実質的に含まなくてよい。第1領域R1は、負極電極タブ40と各負極導電層122及び金属シートM1との間を電気的に接続するための物理的なパスを提供する。
【0069】
一実施形態において、第1領域R1は、2つの第2領域R2の間に構成されてよい。一実施形態において、第1領域R1の最大厚さは、第2領域R2の最大厚さの半分以下であってよい。
【0070】
第2領域R2では、負極絶縁層120を挟む一対の負極導電層122と金属シートM1とが積層される。すなわち、第2領域R2は、積層方向に沿って負極絶縁層120を含む領域である。
【0071】
一実施形態において、第1接合痕W1は、負極電極タブ40、負極端部P及び金属シートM1を積層方向に沿って押圧することで形成される。このとき押圧箇所に熱が加えられてよい。例えば、第1接合痕W1は、溶接により形成されてよい(この場合、第1接合痕W1は、溶接痕である)。これにより、押圧箇所において負極絶縁層120が軟化して押圧箇所から幅方向(
図6の左右方向)外側に向かって押し出される。また押圧箇所において、各負極導電層122と金属シートM1とが熱溶融して一体化される。これにより第1領域R1及び第2領域R2が形成され得る。
【0072】
ここで、第1接合痕W1の形成時に、負極導電層122及び/又は金属シートM1を構成する金属材料の一部が、押圧箇所から第1方向(
図5及び
図6のx方向)に向かって押し出される場合がある。このとき、金属材料が負極端部Pの外方に飛び出して、負極電極タブ40の絶縁部40Bの絶縁材IL(
図1、
図5参照)まで到達してしまうと、負極10と密封容器100のシール部102(
図1参照)との間で絶縁不良が生じ得る。例えば、負極端部Pから飛び出した金属材料が絶縁部40Bに存在する状態で、シール部102(例えばアルミラミネートフィルム)にクラック等が生じると、負極10の負極端部Pと密封容器100とが短絡してしまう。その場合、シール部102が損傷して、2次電池1の性能ないし寿命が低下する要因になり得る。
【0073】
この点、2次電池1では、上述したとおり、第1接合痕W1は、負極端部Pの外縁から所定の距離Y以上内側に配置される。そのため、第1接合痕W1の形成時に金属材料の一部が押圧箇所から第1方向に向かって押し出されたとしても、当該金属材料が、負極端部Pの外縁から飛び出し、さらに負極電極タブ40の絶縁部40Bまで到達することが抑制される。これにより、上述したような負極10と密封容器100のシール部102(
図1参照)との間の絶縁不良が抑制されうる。
【0074】
また上述したとおり、一実施形態において、負極端部P上に、負極用の金属シートM1が設けられてよい。この場合、金属シートM1は、第1接合痕W1において、負極導電層122の追加の導電層として機能し、負極絶縁層120に対する導電層の割合を増加させる。そのため第1接合痕W1における抵抗増加が抑制され、2次電池1の出力特性が向上され得る。また負極10の総数(積層数)が多い場合は、負極電極タブ40と各負極端部Pとをより強い力で押圧して接合する必要があるが、金属シートM1が負極導電層122の保護層として機能するので、負極導電層122が破損ないし破断することが抑制され得る。これにより2次電池1の生産歩留まりが向上され得る。一実施形態において、第1接合痕W1の抵抗は、5.0mΩ以下であってよく、3.0mΩ以下であってよく、1.0mΩ以下であってよく、また0.5mΩ以下であってもよい。
【0075】
(第2接合痕W2及び予備接合痕WP2)
正極電極タブ42、正極端部Q及び金属シートM2の第2接合痕W2及び予備接合痕WP2は、
図5及び
図6で説明した第1接合痕W1及び予備接合痕WP1と同様に構成されてよい。例えば、一実施形態において、第2接合痕W2は、正極端部Qの外縁から所定の距離Y以上内側に配置されてよい。これにより、正極30と密封容器100のシール部102(
図1参照)との間の絶縁不良が抑制されうる。
【0076】
<2次電池1の製造方法>
次に
図7~
図10を用いて、2次電池1の製造方法の一例(以下「本製法」ともいう。)を説明する。
図7は、本製法の一例を示すフローチャートである。
図8A及び
図8Bは、
図7の工程ST1を説明するための図である。
図9A~
図9Dは、
図7の工程ST2を説明するための図である。
図10は、
図7の工程ST3を説明するための図である。
【0077】
図7に示すように、本製法は、負極シートS1を準備する工程ST1と、金属シートM1を接合する工程ST2と、複数の負極10を切り出す工程ST3と、正極シートS2を準備する工程S4と、金属シートM2を接合する工程ST5と、複数の正極30を切り出す工程ST6と、積層体STを形成する工程ST7と、電極タブと集電体とを接合する工程ST8と、積層体STを密封容器100に封入する工程ST9とを含んでよい。
【0078】
まず、工程ST1において、
図8A及び
図8Bに示すように、負極シートS1が準備される。
図8Aは負極シートS1の平面図である。
図8Bは、
図8AのB-B断面図である。
図8Aに示すように、負極シートS1は、長手方向(y方向)と短手方向(x方向)を有する帯状のシートであってよい。一実施形態において、負極シートS1は、
図8A及び
図8Bに示すように、負極集電体12と、負極集電体12の両面に塗布された負極活物質層14とで構成されてよい。負極シートS1の短手方向(x方向)の一端は、負極活物質層14が形成されておらず、負極集電体12の負極導電層122が露出されている。
【0079】
なお、一実施形態において、負極活物質層14の一面(負極導電層122が形成されていない側の面)に、最初からセパレータ20が設けられていてもよい。この場合、工程ST7において、セパレータ20を負極10と正極30との間に位置合わせして配置することが不要になる。
【0080】
次に、工程ST2において、
図9A~
図9Dに示すように、負極シートS1の短手方向一端に金属シートM1が接合される。
図9Aは、金属シートM1が接合された負極シートS1の平面図である。
図9B~
図9Dは、
図9AのC-C断面の一例である。
【0081】
工程ST2における接合により、
図9Aに示すように、予備接合痕WP1が長手方向に沿って例えばライン状に形成される。金属シートM1は、負極シートS1に溶接により接合されてよい。溶接は、例えば、超音波溶接、レーザ溶接、抵抗溶接又はスポット溶接であってよい。溶接は、一例では、超音波溶接である。
【0082】
一実施形態において、工程ST2における接合は、金属シートM1を負極集電体12に対して押し付けることで実行されてよい。例えば、
図9Bや
図9Cに示すように、予備接合痕WP1は、金属シートM1が負極集電体12側に向かって窪むように形成されてよい。一実施形態において、予備接合痕WP1は、
図9Bに示すように、金属シートM1と(当該金属シートM1が接する)一方の負極導電層122との間に設けられてよい。この場合、予備接合痕WP1においては、金属シートM1は他方の負極導電層122とは電気的に接続されない。一実施形態において、予備接合痕WP1は、
図9Cに示すように、金属シートM1と双方の負極導電層122との間に設けられてよい。この場合、予備接合痕WP1において、金属シートM1は、双方の負極導電層122と電気的に接続される。
【0083】
一実施形態において、工程ST2における接合は、負極集電体12を金属シートM1に対して押し付けることで実行されてよい。例えば、
図9Dに示すように、予備接合痕WP1は、負極集電体12が金属シートM1側に向かって窪むように形成されてよい。この場合、予備接合痕WP1において、金属シートM1は、双方の負極導電層122と電気的に接続される。
【0084】
次に工程ST3において、負極シートS1から複数の負極10が切り出される。具体的には、カット刃やレーザ等を用いて、
図10に示すように、負極シートS1から所与の形状の負極10が複数切り出される。これにより、金属シートM1が予備接合された複数の負極10が得られる。
【0085】
工程ST4~工程ST6は、工程ST1~工程ST3と同様に実行されてよい。すなわち、正極集電体32及び正極活物質層34を含む正極シートS2を準備し(工程ST4)、当該正極シートS2の短手方向一端に金属シートM2を接合し(工程ST5)、当該金属シートM2から複数の正極30を切り出してよい(工程ST6)。
【0086】
次に工程ST7において、積層体STが形成される。具体的には、工程ST1及び工程ST3で準備した負極10及び正極30を、
図2に示すようにセパレータ20を介して、積層方向に互いに離間するように交互に配置する。
【0087】
次に工程ST8において、電極タブと集電体とが接合される。具体的には、負極集電体12の負極端部P及び金属シートM1が負極電極タブ40に、上述した第1接合痕W1を形成するように接合される。このとき、負極電極タブ40との接合箇所は、負極端部Pの外縁から所定の距離Y以上内側の位置にされる。なお、この接合箇所は、積層方向において予備接合痕WP1と重ならない位置であってよい。また正極集電体32の正極端部Q及び金属シートM2が正極電極タブ42に、上述した第2接合痕W2を形成するように接合される。このとき、正極電極タブ42との接合箇所は、正極端部Qの外縁から所定の距離Y以上内側の位置にされる。なお、この接合箇所は、第2接合痕W2が、積層方向において予備接合痕WP2と重ならない位置であってよい。電極タブと集電体との接合は、超音波溶接、レーザ溶接、抵抗溶接又はスポット溶接によりされてよい。
【0088】
次に工程ST9において、工程ST8で形成した積層体STが密封容器100に封入される。このとき、
図1に示すように、負極電極タブ40の絶縁部40Bが密封容器100のシール部102に配置されて、負極電極タブ40の他端部40Cが、密封容器100の外部に取り出される。また正極電極タブ42の絶縁部42Bが密封容器100のシール部102に配置されて、正極電極タブ42の他端部42Cが、密封容器100の外部に取り出される。一実施形態において、積層体STとともに電解液が密封容器100に封入されてよい。以上により、2次電池1が製造される。
【0089】
本製法においては、工程ST8において、負極電極タブ40との接合箇所は、負極端部Pの外縁から所定の距離Y以上内側の位置とされる。これにより、負極導電層122及び/又は金属シートM1を構成する金属材料の一部が負極端部Pの外縁から飛び出して負極電極タブ40の絶縁部40Bまで到達することが抑制される。これにより、負極10と密封容器100のシール部102との間の絶縁不良が抑制されうる。本製法においては、工程ST8において、正極電極タブ42との接合箇所が、正極端部Qの外縁から所定の距離Y以上内側の位置とされるので、以上の点は、正極30についても同様に妥当する。
【0090】
また本製法においては、工程ST2において、負極シートS1に、金属シートM1を事前に接合しておく。そのため、工程ST3において、金属シートM1を、負極端部Pの形状にあわせて同時に切り出すことが可能になる。すなわち金属シートM1を負極端部Pの形状にあわせて切り出す別の工程が不要になる。また工程ST9において、金属シートM1と負極端部Pとの位置合わせが不要になるので、負極電極タブ40と負極端部Pとの接合が容易になる。さらに工程ST9において、第1接合痕W1を、予備接合痕WP1と積層方向において重ならないように設けることが原理的に可能になる。第1接合痕W1を予備接合痕WP2と積層方向において重ならないように設けることで、両者を重ねて設ける場合に比べて、第1接合痕W1の接合状態が改善され、第1接合痕W1の抵抗の増加が抑制され得る。本製法においては、工程ST4において、正極シートS2に金属シートM2を事前に接合しておくため、以上の点は、正極30についても同様に妥当する。
【0091】
<2次電池1の使用方法>
2次電池1は、負極電極タブ40を外部回路の一端に接続し、正極電極タブ42を外部回路の他端に接続することで充放電される。外部回路は、例えば抵抗、電源、装置、デバイス、別の電池、又はポテンショスタット等でよい。複数の負極10の各負極端部Pは、外部回路に互いに同電位で接続されてよい。また複数の正極30の各正極端部Qは、外部回路に互いに同電位で接続されてよい。
【0092】
負極電極タブ40と正極電極タブ42との間に、負極電極タブ40から外部回路を通り正極電極タブ42への電流が流れるような電圧を印加すると、2次電池1が充電され、負極10にリチウム金属が析出する。充電後の2次電池1について、所望の外部回路を介して負極電極タブ40及び正極電極タブ42を接続すると、2次電池1が放電され、負極10のリチウム金属が電解溶出する。
【0093】
一実施形態において、2次電池1は、電池の組み立て後の第1回目の充電(初期充電)により、負極10の表面又はセパレータ20の表面(すなわち、負極10とセパレータ20との界面)に固体電解質界面層(SEI層)が形成されてよい。SEI層は、例えば、リチウムを含む無機化合物、又はリチウムを含む有機化合物等を含んでよい。一実施形態において、SEI層の厚さは、1.0nm以上10μm以下である。2次電池1にSEI層が形成されている場合、充放電により、負極10及び/又はセパレータ20とSEI層との界面においてリチウム金属が析出又は溶解する。
【0094】
以上説明した2次電池1によれば、電池の出力特性及び生産性が向上され得る。
【0095】
<変形例>
2次電池1は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。
【0096】
(負極10)
図11A~
図11Cは、それぞれ、負極10の他の例を示す斜視図である。例えば、
図11Aや
図11Cに示すように、負極10の負極端部Pに金属シートが設けられなくてもよい。
【0097】
例えば、
図11Bや
図11Cに示すように、負極10が、負極集電体12で構成され、負極活物質を実質的に有しなくてもよい。ここで、負極10が「負極活物質を実質的に有しない」ことは、例えば、放電終了時(例えば電池の開回路電圧が2.5V以上3.6V以下である状態)に負極10に析出する負極活物質の層厚が、25μm以下であることを含む。なお、放電終了時の負極活物質の層厚は、20μm以下、15μm以下、10μm以下、又は、5μm以下であってよく、また0μmであってもよい。負極10が負極活物質を実質的に有しないことにより、重量エネルギー密度に加え、体積当たりのエネルギー密度が向上し得る。なお、この場合、2次電池1は、「アノードフリーリチウム電池」、「ゼロアノードリチウム電池」、又は「アノードレスリチウム電池」ということもできる。
【0098】
図11Bや
図11Cに示す例では、負極10は、電池の初期充電前(電池が組み立てられてから第1回目の充電をするまでの状態)に負極活物質を有しない。すなわち、2次電池1は、初期充電後に、リチウム金属が負極上に析出し、及び、その析出したリチウム金属が電解溶出することにより充放電が行われてよい。この場合、負極活物質が占める体積及び質量が抑制され、電池全体の体積及び質量が小さくなり、エネルギー密度が原理的に高くなる。なお、「リチウム金属が負極上に析出」することは、負極の表面にリチウム金属が析出することだけでなく、後述する固体電解質界面(SEI)層の表面や緩衝機能層の表面又は内部にリチウム金属が析出することも包む。
【0099】
図11Bや
図11Cに示す例では、負極10は、電圧が4.2Vの状態において負極上に析出しているリチウム金属の質量をM
4.2とし、電圧が3.0Vの同質量をM
3.0とした場合、M
3.0/M
4.2は、40%以下又は35%以下であってよい。一実施形態において、比M
3.0/M
4.2は、1.0%以上、2.0%以上、3.0%以上、又は、4.0%以上であってよい。
【0100】
図11Bや
図11Cに示す例では、負極10の厚さは、1.0μm以上30μm以下でよい。これにより、2次電池1において負極10の占める体積を減少させ、エネルギー密度を向上させ得る。負極10の厚さは、2.0μm以上20μm以下、2.0μm以上18μm以下、又は、3.0μm以上15μm以下でもよい。
【0101】
(緩衝機能層)
一実施形態において、負極10とセパレータ20との間に、多孔質状又はファイバ状の緩衝機能層が設けられてよい。緩衝機能層は、イオン伝導性及び電気伝導性を有する固体部分(ゲル状の部分を含む)と、この固体部分の隙間により構成される空孔部分とを有する。この場合、リチウム金属は、負極10の表面(負極10と緩衝機能層との界面)及び/又は緩衝機能層の内部(緩衝機能層の固体部分の表面)に析出しうる。
【0102】
(正極30)
図12は、正極30の他の例を示す斜視図である。例えば、
図12に示すように、正極30の正極端部Qに金属シートが設けられなくてもよい。
【0103】
(積層体ST)
図13及び
図14は、複数の負極10の他の積層例を説明するための斜視図である。
図13及び
図14に示すように、複数の負極10は、それぞれが一枚の平板状のシートではなく、全体として1枚の平板上のシートとして構成されてよい。例えば、
図13に示すように、複数の負極10は、負極シートS1が複数回巻回されて構成されてよい。また例えば、
図14に示すように、複数の負極10は、負極シートS1が複数回鋭角で交互に折り曲げられて構成されてよい。なお、負極シートS1は、
図8Aに示すように構成されてよく、また
図9Aに示すように金属シートM1が接合されて構成されてよい。
【0104】
複数の正極30についても同様に、それぞれが一枚の平板状のシートではなく、全体として1枚の平板上のシートとして構成されてよい。例えば、複数の正極30は、
図13と同様に、正極シートS2が複数回巻回されて構成されてよい。また例えば、複数の正極30は、
図14と同様に、正極シートS2が複数回鋭角で交互に折り曲げられて構成されてよい。
【0105】
以下、本開示の効果を検証するために行った実験について説明する。本開示は、以下の実験によって何ら限定されるものではない。
【0106】
<実験1>
図15は、実験1の結果を示す図である。
図16Aは、実験1において金属材料のはみ出しがあった場合の例である。
図16Bは、実験1において金属材料のはみ出しがなかった場合の例である。
図16A及び
図16Bは、負極端部P側から電極タブ40を見た場合(
図2でいえば、z方向最下端の負極端部Pから電極タブ40を見た場合)の例である。
【0107】
実験1では、
図2に示す構造の積層体STを複数準備した。各積層体STは、負極10の積層数X(11枚又は21枚)、負極端部Pの外縁から第1接合痕W1までの距離Y(
図5参照、0.5mm~4.45mm)、金属シートM1の有無が異なる。各積層体STについて共通の構成は以下のとおりである。
【0108】
各積層体STにおいて、負極絶縁層120としては、6μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた。負極導電層122としては、1.0μm厚の銅箔を用いた。負極活物質層14としては、溶剤としての水に、グラファイトを97質量部、導電助としてカーボンブラックを0.5質量部、およびバインダーとして、カルボキシメチルセルロース(CMC)を1.5質量部、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)を1.0質量部混合した混合材料を用いた。金属シートM1を配置する積層体については、金属シートM1として4μm厚の銅箔を用いた。負極電極タブ40としては、厚さ0.2mm厚のニッケル鍍金が施された銅を用いた。
【0109】
各積層体STにおいて、セパレータ20としては、ポリビニリデンフロライド(PVDF)及びAl2O3の混合物で表面がコーティングされたシートを用いた。
【0110】
各積層体STにおいて、正極絶縁層320としては、6μm厚のフィルム状のポリエチレンテレフタレートを用いた。正極導電層322としては、1.0μm厚のアルミニウムを用いた。正極活物質層34としては、溶剤としてのN-メチル-ピロリドン(NMP)に、正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.05O2を96質量部、導電助剤としてカーボンブラックを2質量部、及びバインダーとしてポリビニリデンフロライド(PVDF)を2質量部混合したものを用いた。また金属シートM2としては、アルミニウムを用いた。正極電極タブ42としては、0.2mm厚のアルミニウムを用いた。
【0111】
以上のように準備した各積層体STについて、負極端部Pからの金属材料の「はみだし」の有無を評価した。
図16Aに示すように、負極端部Pからの金属材料が負極電極タブ40の絶縁部40Bに接触した場合を「はみ出しあり」とした。また
図16Bに示すように、負極端部Pからの金属材料が負極電極タブ40の絶縁部40Bに接触しない場合を「はみ出しなし」とした。
【0112】
図15に示すように、積層数Xが11枚の場合には、Yが2.0mm以上の積層体STにおいて金属材料の「はみ出し」が生じなかった。また積層数Xが21枚の場合には、距離Yが2.7mm以上の積層体STにおいて金属材料の「はみ出し」が生じなかった。
図15の結果からすれば、はみ出しが生じないようにするためには、距離Yと積層数Xとが、Y>0.048X+1.3の関係とすることが必要と考えられる。積層数Xが増えるに連れて、はみ出しを生じさせない距離Yが大きくなるのは、積層数Xが増えることで接合界面が増加し、これにより接合に必要な押圧力が大きくなり、結果として金属材料が押し出されやすくなるためと考えられる。
【0113】
<実験2>
図17は、実験2の結果を示す図である。実験2では、実験1で作成した複数の積層体ST(
図15でE1~E4、R1~R3として示したもの)を用いて、
図1に示す構造の2次電池をそれぞれ作成し、サイクル試験を行った。サイクル試験では、25℃の恒温槽内で2次電池1に50kPaの圧力を加えながら、0.3C充電-0.3C放電を100サイクル繰り返した。そして100サイクル時の容量維持率(%)を測定した。容量維持率(%)は、1サイクル終了時の容量(A1)に対する100サイクル終了時の2次電池1の容量(A2)の比率(A2/A1×100)である。
【0114】
図17に示すように、金属材料のはみ出しが生じていなかった積層体E1~E4から形成した2次電池は、容量維持率はいずれも98%以上であり、金属材料のはみ出しが生じていた積層体R1~R3から形成した2次電池に比べて極めて良好なものであった。これは、負極10と密封容器100のシール部102との間で絶縁不良が生じなかったためであると考えられる。
【0115】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0116】
(付記1)
セパレータを介して正極と負極とが積層方向に複数積層された積層体であって、前記正極及び前記負極の一方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第1集電体を含み、前記第1集電体は、前記積層方向と異なる第1方向に延びる第1端部を備える、積層体と、
前記第1端部と電気的に接続される第1電極タブであって、前記第1電極タブは、前記第1端部との接合による第1接合痕と、前記第1接合痕から前記第1方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第1絶縁部とを含む、第1電極タブと、
シール部を備える密封容器であって、前記密封容器は、前記シール部の内側に前記積層体を封入しつつ、前記シール部において前記第1電極タブの前記第1絶縁部を挟み前記第1電極タブの一部を前記密封容器の外部に取り出すように構成される、密封容器と、
を備える、リチウム2次電池。
【0117】
(付記2)
前記第1端部における前記第1接合痕は、前記第1端部の前記第1方向の外縁から2mm以上内側に設けられている、付記1に記載のリチウム2次電池。
【0118】
(付記3)
前記第1端部における前記第1接合痕は、前記第1端部の前記第1方向の外縁から2.5mm以上内側に設けられている、付記1に記載のリチウム2次電池。
【0119】
(付記4)
前記積層体に含まれる前記第1集電体の総数をXとし、前記第1端部における前記第1接合痕と前記第1端部の前記第1方向の外縁との間の距離をYとしたときに、Y>0.048X+1.3の関係が成り立つ、付記1に記載のリチウム2次電池。
【0120】
(付記5)
前記Xは、10以上である、付記4に記載のリチウム2次電池。
【0121】
(付記6)
前記第1接合痕は、溶接痕である、付記1から付記5のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0122】
(付記7)
前記第1接合痕は、前記積層方向の断面において、前記1対の導電層どうしが一体化した領域を含む、付記1から付記6のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0123】
(付記8)
前記第1端部と前記第1電極タブとが金属シートを介して互いに接合される、付記1から付記5のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0124】
(付記9)
前記第1接合痕は、溶接痕である、付記8に記載のリチウム2次電池。
【0125】
(付記10)
前記第1接合痕は、前記積層方向の断面において、前記1対の導電層及び前記金属シートが一体化した領域を含む、付記8又は付記9に記載のリチウム2次電池。
【0126】
(付記11)
前記第1端部は、前記金属シートとの接合による予備接合痕を有し、前記予備接合痕は、前記積層方向からみて前記第1接合痕と異なる位置に設けられている、付記8から付記10のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0127】
(付記12)
前記第1集電体は、前記負極の負極集電体であり、前記第1電極タブは、前記負極集電体に接続される負極電極タブである、付記1から付記11のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0128】
(付記13)
前記密封容器は、アルミラミネートフィルムで構成されている、付記1から付記12のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0129】
(付記14)
前記正極及び前記負極の他方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第2集電体を含み、前記第2集電体は、前記積層方向と異なる第2方向に延びる第2端部を備える、付記1から付記13のいずれか1つに記載のリチウム2次電池。
【0130】
(付記15)
前記第2集電体の前記第2端部と電気的に接続される第2電極タブをさらに備え、前記第2電極タブは、前記第2端部との接合による第2接合痕と、前記第2接合痕から前記第2方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第2絶縁部とを含み、
前記密封容器は、前記シール部において前記第2電極タブの前記第2絶縁部を挟み前記第2電極タブの一部を前記密封容器の外部に取り出すように構成される、付記14に記載のリチウム2次電池。
【0131】
(付記16)
前記第1方向と前記第2方向とが同一方向である、付記14又は付記15に記載のリチウム2次電池。
【0132】
(付記17)
前記第1方向と前記第2方向とが異なる方向である、付記14又は付記15に記載のリチウム2次電池。
【符号の説明】
【0133】
1……リチウム2次電池、10……負極、20……セパレータ、30……正極、40……負極電極タブ、40B……絶縁部、42……正極電極タブ、42B……絶縁部、100……密封容器、102……シール部、IL……絶縁材、M1、M2……金属シート、P……負極端部、Q……正極端部、ST……積層体、W1……第1接合痕、W2……第2接合痕、WP1、WP2……予備接合痕
【要約】
セパレータを介して正極と負極とが積層方向に複数積層された積層体であって、正極及び負極の一方は、樹脂層を1対の導電層で挟んで構成される第1集電体を含み、第1集電体は、積層方向と異なる第1方向に延びる第1端部を備える、積層体と、第1端部と電気的に接続される第1電極タブであって、第1電極タブは、第1端部との接合による第1接合痕と、第1接合痕から第1方向に離間して配置され、絶縁材で覆われる第1絶縁部とを含む、第1電極タブと、シール部を備える密封容器であって、密封容器は、シール部の内側に積層体を封入しつつ、シール部において第1電極タブの第1絶縁部を挟み第1電極タブの一部を密封容器の外部に取り出すように構成される、密封容器と、を備えるリチウム2次電池が提供される。