(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】静脈治療集成体及び装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/22 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A61B18/22
(21)【出願番号】P 2020544145
(86)(22)【出願日】2018-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2018080857
(87)【国際公開番号】W WO2019092228
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-02
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519208373
【氏名又は名称】エルエスオー メディカル
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ローション, フィリップ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-517508(JP,A)
【文献】国際公開第2011/046028(WO,A1)
【文献】特開2005-253983(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0105714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 18/22 - 18/28
A61N 5/067
A61M 25/01
A61M 25/08
A61M 25/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用量送出用ワイヤー要素(1)、及び位置決め及び案内部分(2A)を含む静脈治療集成体であって、治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、可撓性でありかつ
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの一部にわたって血管(V)中に長手方向に挿入されることができ、位置決め及び案内部分(2A)が、この位置決め及び案内部分(2A)によって治療用量送出用ワイヤー要素(1)の操作を可能にするように治療用量送出用ワイヤー要素(1)と一体化され、前記位置決め及び案内部分(2A)が、
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向に治療用量送出用ワイヤー要素(1)
を治療用量送出用ワイヤー要素(1)の第一部分(110a)
において並進で案内するための少なくとも一つの第一案内手段(200a,200b,200c)を含み、治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、前記位置決め及び案内部分(2A)の前記第一案内手段(200a,200b,200c)に対して
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向にスライドすることができ、前記位置決め及び案内部分(2A)が、駆動システム(4)に対して
前記位置決め及び案内部分(2A)の除去可能な装着を可能にする第一機械的集成手段(202,203)を含み、治療用量送出用ワイヤー要
素(1)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)を
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向で少なくとも第一方向(R)で駆動するために駆動システム(4)の駆動手段と
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前記第一部分(110a)において直接接触して係合されることができるように位置決め及び案内部分(2A)によって位置決めされかつ案内されることができる、静脈治療集成体。
【請求項2】
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前記第一部分(110a)が、アクセス可能であるか、又はアクセス可能にすることができる、請求項1に記載の静脈治療集成体。
【請求項3】
治療用量送出用ワイヤー要素(1)が前記駆動手段に対して
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向の変位を持つように、治療用量送出用ワイヤー要素(1)を
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向で少なくとも一つの第一方向(R)に駆動するために駆動システム(4)の駆動手段と係合させることができるように、治療用量送出用ワイヤー要素(1)
が、前記第一部分(110a)
において、位置決め及び案内部分(2A)によって位置決め及び案内されることができる、請求項1又は2に記載の静脈治療集成体。
【請求項4】
静脈治療集成体が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の第二部分の第二案内手段(201)を含むものであり、第二案内手段(201)が、それを少なくとも1/4回転、好ましくは少なくとも1/2回転させることによって治療用量送出用ワイヤー要素(1)の第二部分を並進で案内するか、及び/又は、位置決め及び案内部分(2A)の一体化部分を形成する、請求項1~3のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項5】
治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、第三部分(110c)を含み、第三部分(110c)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の後端まで延び、かつ第三部分(110c)が、位置決め及び案内部分(2A)と一体化されていないか、又は位置決め及び案内部分(2A)と一体化されているが、位置決め及び案内部分(2A)から分離されることができる、請求項4に記載の静脈治療集成体。
【請求項6】
位置決め及び案内部分(2A)が、単一部分、より好ましくは成形部分であるか、又はモノリシック集成体によって構成される、請求項1~5のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項7】
静脈治療集成体が、可撓性ガイド(3)を含み、可撓性ガイド(3)の中に治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前部分に通されており、前記治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、可撓性ガイド(3)に対して長手方向にスライドすることができ、好ましくは可撓性ガイド(3)の後端(31)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の少なくとも第一駆動方向(R)において、かつ好ましくは治療用量送出用ワイヤー要素(1)の第一駆動方向(R)とは反対の方向(F)においても可撓性ガイド(31)の後部分を軸方向にブロックするように、位置決め及び案内部分(2A)と一体化されている、請求項1~6のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項8】
静脈治療集成体が、貯蔵支持体(2B)を含み、
貯蔵支持体(2B)の上に、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前端から治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前記第一部分(110a)まで延びる治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前部分の全て又は一部が巻かれており、好ましくは可撓性ガイド(3)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前部分が通されており、前記治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、可撓性ガイド(3)に対して長手方向にスライドすることができ、可撓性ガイド(3)と、可撓性ガイド(3)中に通された治療用量送出用ワイヤー要素(1)の部分が、貯蔵支持体(2B)の上に巻かれている、請求項1~7のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項9】
治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、光ファイバーである、請求項1~8のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項10】
第一機械的集成手段(202,203)が、少なくとも一対の駆動ローラー(40,41)を含む駆動システム(4)に対して位置決め及び案内部分(2A)の除去可能な装着を可能にし、治療用量送出用ワイヤー要素(1)
が、前記第一部分(110a)
において、治療用量送出用ワイヤー要素(1)を
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向で少なくとも第一方向(R)で駆動するため、駆動ローラー(40,41)間に位置決め及び案内部分(2A)によって位置決め及び案内されることができる、請求項1~9のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項11】
静脈治療集成体が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の挿入領域(7)の近くで、患者の身体に対して可撓性ガイド(3)の前端部分(30)を一時的に保持することを可能にする保持システム(5)をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項12】
保持システム(5)が、保持部分(50)を含み、保持部分(50)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の挿入領域(7)の近くで、患者の身体に対して可撓性ガイド(3)の前端部分(30)を一時的に保持するように患者の身体に付与されるように適応され、かつ可撓性ガイド(3)の前端部分(30)に固定されるか、又は固定されることができる、請求項11に記載の静脈治療集成体。
【請求項13】
保持システム(5)が、固定手段(51)を含み、固定手段(51)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の挿入領域(7)の近くで、患者の身体に付与される保持部分(50)を一時的に固定することを可能にし、好ましくは皮膚に接着されるために好適な接着剤を含む、請求項12に記載の静脈治療集成体。
【請求項14】
位置決め及び案内部分(2A)、治療用量送出用ワイヤー要素(1)、任意選択的に可撓性ガイド(3)、及び任意選択的に貯蔵支持体(2B)が、滅菌され、かつ気密包装中に置かれている、請求項1~13のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項15】
第一機械的集成手段(202,203)が、位置決め及び案内部分(2A)の迅速かつ工具不要の組み立てを可能にする、請求項1~14のいずれかに記載の静脈治療集成体。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかに記載の静脈治療集成体、及び駆動手段(40,41)を含む、好ましくは電動化された、駆動システム(4)を含む静脈治療装置であって、静脈治療装置が、駆動システム(4)に対する位置決め及び案内部分(2A)の除去可能な装着を可能にするように位置決め及び案内部分(2A)の第一機械的集成手段(202,203)と協働するように適応された第二機械的集成手段(42,43)をさらに含み、治療用量送出用ワイヤー要素(1)
が、前記第一部分(110a)
において、駆動システム(4)の駆動手段と係合されることができるように位置され、駆動システム(4)の駆動手段が、好ましくは治療用量送出用ワイヤー要素(1)が前記駆動手段に対して
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向の変位を持つように、治療用量送出用ワイヤー要素(1)が
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の長さの方向で少なくとも第一方向(R)に駆動することを可能にする、静脈治療装置。
【請求項17】
駆動システム(4)の駆動手段が、少なくとも一対の駆動ローラー(40,41)を含み、第二機械的集成手段(42,43)が、駆動ローラー(40,41)の間の治療用量送出用ワイヤー要素(1)の第一部分(110a)の位置決めを可能にするように位置決め及び案内部分(2A)の第一機械的集成手段(202,203)と協働するように適応される、請求項16に記載の静脈治療装置。
【請求項18】
駆動システム(4)の駆動手段が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の摩擦駆動を可能にする、請求項16又は17に記載の静脈治療装置。
【請求項19】
静脈治療装置が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の後端に接続されることができる治療用量源(L)をさらに含み、好ましくは駆動システム(4)及び治療用量源(L)が、同じモノリシック集成体(E)の一体化部分である、請求項16又は17に記載の静脈治療装置。
【請求項20】
治療用量送出用ワイヤー要素(1)が、光ファイバーであり、治療用量源(L)が、電磁放射線源である、請求項19に記載の静脈治療装置。
【請求項21】
請求項16~20のいずれかに記載の静脈治療装置を調製するための方法であって、位置決め及び案内部分(2A)が、駆動システム(4)に対して除去可能に装着され、治療用量送出用ワイヤー要素(1
)が、治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前記第一部分(11a)において位置決め及び案内部分(2A)によって位置決めされかつ案内され、かつ駆動システムの駆動手段と
治療用量送出用ワイヤー要素(1)の前記第一部分(11a)において直接接触して係合されかつ少なくとも第一駆動方向に駆動されることができるように位置決めされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性ワイヤー要素によって血管中へ治療用量を送出することによって静脈治療を行なう分野に関する。治療用量は、限定されずかつ網羅的でない態様では、音波又は超音波、高周波による、例えば電磁放射線の形で送出されるエネルギーの用量、又は輻射及び/又は接触によって送出される熱エネルギーの用量、又は血管の治療を可能にする化合物の用量からなることができる。可撓性ワイヤー要素は、中空又は中実であることができ、特に限定されずかつ網羅的でない態様では、光ファイバー、ケーブル型ワイヤー要素、可撓性プローブ、又は可撓性カニューレであることができる。
【背景技術】
【0002】
静脈治療の分野では、可撓性ワイヤー要素による治療用量の血管中への送出による血管の治療は、可撓性ワイヤー要素が血管中に長手方向に挿入され、その引き抜きが治療時に制御されなければならないが、この治療は、従来技術を構成する。特に、静脈レーザー治療の分野では、頭字語でEVLTによってさらに知られているが、静脈レーザーによって血管を治療すること(例えば静脈レーザーによる伏在静脈溜の閉塞)は、一般的であり、その可撓性ワイヤー要素は、血管中に電磁放射線を放出するために使用される光ファイバーである。他のタイプの静脈治療については、可撓性ワイヤー要素は、限定されずかつ網羅的でない態様では、可撓性ケーブルもしくはプローブ又は可撓性カニューレであることができる。
【0003】
静脈治療装置の例は、例えばUS2005/0131400,US2008/0097224,US2008/0097408,US6814727に記載されている。
【0004】
通常、血管中に長手方向に挿入された可撓性ワイヤー要素(例えば光ファイバー)の除去は、引き抜きスピードを制御することによって可撓性ワイヤー要素の端部分(患者の身体から最も遠い部分)で長手方向に引っ張るために電動駆動システム(引き抜きシステムとも称される)によって実践者によって治療時に制御されることができる。かかる引き抜きは、連続的に又は段階的に実施されることができる。一般に使用される電動引き抜きシステムは、少なくとも一対の駆動ローラー(又はローラー)の形の駆動手段を含み、それらの駆動ローラー(ローラー)の間に可撓性ワイヤー要素が通過し、それらの駆動ローラー(ローラー)が摩擦によってこのワイヤー要素の駆動を可能にする。
【0005】
可撓性ワイヤー要素が、例えば(限定されないが)少なくとも第一方向にその長さの方向に、好ましくは逆方向にも駆動手段による駆動のために、ローラー又は駆動ローラーのような駆動手段と係合されることによって摩擦などによって駆動されることができる駆動システムの実施は、極めて長いストロークにわたって、特に可撓性ワイヤー要素のほとんど全長さにおそらく達しうるストロークにわたって可撓性ワイヤー要素の動きを可能にする利点を持つ。
【0006】
光ファイバーのような可撓性ワイヤー用量送出装置は、通常、それらが使用された後に廃棄される単回使用の消費物である。
【0007】
実際には、各処置において、実践者は、滅菌包装から治療用量送出用ワイヤー要素(例えば光ファイバー)を取り出し、この可撓性ワイヤー要素を手によって正確に駆動システムの駆動ローラー間に位置決めしなければならない。
【0008】
駆動システムの駆動ローラーに対する治療用量送出用ワイヤー要素の取り扱い及び位置決めのこれらの操作は、実践者にとって制限的でかつ煩わしく、特に治療用量送出用ワイヤー要素が光ファイバーであるときにそれの予想外の劣化を引き起こしうる。加えて、実践者は、最初の試みにおいて駆動システムの駆動ローラーに対して治療用量送出用ワイヤー要素を正確に位置決めできないこと、そしてそれらが数回繰り返されなければならないことが起こりうる。
【0009】
さらに、電動引き抜きシステム及び治療用量送出システムを、例えば静脈レーザーの場合にはレーザー源のように滅菌手術野の外側に容易に位置させることができるように、有意な長さを有するワイヤー要素を操作することができることが有利である。しかしながら、この大きな長さのワイヤー要素は、特にワイヤー要素の除去の操作時に空間条件の問題を課す。
【0010】
国際特許出願WO99/15237では、光ファイバーのための駆動システムに対して光ファイバーを位置決めしかつ案内するための部分を使用する技術解決策もまた提案されている。この解決策では、光ファイバーは、摩擦によって駆動されず、位置決め及び案内部分の内側に装着されるピストンに取り付けられる。位置決め及び案内部分は、並進移動可能なロッドを有する駆動システムに除去可能に取り付けられるように適応され、従って前記ロッドは、ピストンを押すことができ、それによってピストンに取り付けられた光ファイバーの長さ方向で第一方向への移動を起こす。位置決め及び案内部分には、戻りばねも装着され、ピストン位置の戻り、従ってピストンに取り付けられた光ファイバーの反対方向への移動を可能にする。
【0011】
国際特許出願WO99/15237に記載されたこの解決策は、治療用量送出用ワイヤー要素が摩擦などによって、例えば(これらに限定されない)少なくとも第一方向でその長さ方向に、好ましくは逆方向にも駆動手段による駆動のためにローラー又は駆動ローラーのような駆動手段と係合されることによって、駆動されることができる駆動システムで使用されることができない。
【0012】
さらに、問題なことは、国際特許出願WO99/15237に記載された解決策では、治療用量送出用ワイヤー要素の移動のストロークは、極めて小さく、駆動ピストンのストロークに制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、一般に、静脈装置の駆動システムの駆動手段に対する治療用量送出用可撓性ワイヤー要素の位置決め及び取り扱いの操作を単純化し、信頼性あるものにすることができる新しい技術解決策を静脈治療の分野において提案することである。
【0014】
より特別な任意選択的な目的は、国際特許出願WO99/15237に記載された解決策に固有の治療用量送出用ワイヤー要素の移動ストロークを制限する上述の欠点を持たない新しい技術解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
それゆえ、本発明の主題は、治療用量送出用ワイヤー要素、及び位置決め及び案内部分を含む静脈治療集成体であって、治療用量送出用ワイヤー要素が、可撓性でありかつその長さの一部にわたって血管中に長手方向に挿入されることができ、位置決め及び案内部分が、この位置決め及び案内部分によって治療用量送出用ワイヤー要素の操作を可能にするように治療用量送出用ワイヤー要素と一体化され、前記位置決め及び案内部分が、その長さの方向に治療用量送出用ワイヤー要素の第一部分を並進で案内するための少なくとも一つの第一案内手段を含み、治療用量送出用ワイヤー要素が、前記位置決め及び案内部分の前記第一案内手段に対してその長さの方向にスライドすることができ、前記位置決め及び案内部分が、駆動システムに対してその除去可能な装着を可能にする第一機械的集成手段を含み、治療用量送出用ワイヤー要素の前記第一部分が、治療用量送出用ワイヤー要素をその長さの方向で少なくとも第一方向で駆動するために駆動システムの駆動手段と係合されることができるように位置決め及び案内部分によって位置決めされかつ案内されることができる、静脈治療集成体である。
【0016】
本発明はまた、治療用量送出用ワイヤー要素、及び位置決め及び案内部分を含む静脈治療集成体であって、治療用量送出用ワイヤー要素が、可撓性でありかつその長さの一部にわたって血管中に長手方向に挿入されることができ、位置決め及び案内部分が、この位置決め及び案内部分によって治療用量送出用ワイヤー要素の操作を可能にするように治療用量送出用ワイヤー要素と一体化され、治療用量送出用ワイヤー要素が、前記位置決め及び案内部分に対してその長さの方向にスライドすることができ、前記位置決め及び案内部分が、その長さの方向に治療用量送出用ワイヤー要素の第一部分を並進で案内するための少なくとも一つの第一案内手段を含み、前記位置決め及び案内部分が、少なくとも一対の駆動ローラーを含む駆動システムに対してその除去可能な装着を可能にする第一機械的集成手段を含み、治療用量送出用ワイヤー要素の前記第一部分が、治療用量送出用ワイヤー要素をその長さの方向で少なくとも第一方向で駆動するため、駆動ローラー間に位置決め及び案内部分によって位置決め及び案内されることができる、静脈治療集成体に関する。
【0017】
特に、本発明の静脈治療集成体は、以下の追加の任意の特徴を単独で又は互いに組み合わせて含むことができる:
- 治療用量送出用ワイヤー要素の前記第一部分が、アクセス可能であるか、又はアクセス可能にすることができる。
- 治療用量送出用ワイヤー要素が前記駆動手段に対してその長さの方向の変位を持つように、治療用量送出用ワイヤー要素をその長さの方向で少なくとも一つの第一方向に駆動するために駆動システムの駆動手段と係合させることができるように、治療用量送出用ワイヤー要素の前記第一部分が、位置決め及び案内部分によって位置決め及び案内されることができる。
- 第一機械的集成手段が、位置決め及び案内部分の迅速かつ工具不要の組み立てを可能にする。
- 静脈治療集成体が、治療用量送出用ワイヤー要素の第二部分の第二案内手段を含む。
- 第二案内手段が、それを少なくとも1/4回転、好ましくは少なくとも1/2回転させることによって治療用量送出用ワイヤー要素の第二部分を並進で案内する。
- 第二案内手段が、位置決め及び案内部分の一体化部分を形成する。
- 治療用量送出用ワイヤー要素が、第三部分を含み、第三部分が、治療用量送出用ワイヤー要素の後端まで延び、かつ第三部分が、位置決め及び案内部分と一体化されていないか、又は位置決め及び案内部分と一体化されているが、位置決め及び案内部分から分離されることができる。
- 静脈治療集成体が、カップラ―を含み、カップラ―が、治療用量送出用ワイヤー要素の後端に取り付けられ、かつ治療用量送出用ワイヤー要素を治療用量源に接続することを可能にする。
- 位置決め及び案内部分が、単一部分、より好ましくは成形部分である。
- 位置決め及び案内部分が、モノリシック集成体によって構成される。
- 静脈治療集成体が、可撓性ガイドを含み、可撓性ガイドの中に治療用量送出用ワイヤー要素の前部分が通されており、前記治療用量送出用ワイヤー要素が、可撓性ガイドに対して長手方向にスライドすることができる。
- 可撓性ガイドの後端が、治療用量送出用ワイヤー要素の少なくとも第一駆動方向において、かつ好ましくは治療用量送出用ワイヤー要素の第一駆動方向とは反対の方向においても可撓性ガイドの後部分を軸方向にブロックするように、位置決め及び案内部分と一体化されている。
- 静脈治療集成体が、貯蔵支持体を含み、その上に、治療用量送出用ワイヤー要素の前端から治療用量送出用ワイヤー要素の前記第一部分まで延びる治療用量送出用ワイヤー要素の前部分の全て又は一部が巻かれている。
- 可撓性ガイドと、可撓性ガイド中に通された治療用量送出用ワイヤー要素の部分が、貯蔵支持体の上に巻かれている。
- 貯蔵支持体及び位置決め及び案内部分が、分離されているか、又は、貯蔵支持体及び位置決め及び案内部分が、組み立て式であり、かつ互いから分離可能である。
- 治療用量送出用ワイヤー要素が、光ファイバーである。
- 静脈治療集成体が、治療用量送出用ワイヤー要素の挿入領域の近くで、患者の身体に対して可撓性ガイドの前端部分を一時的に保持することを可能にする保持システムをさらに含む。
- 保持システムが、保持部分を含み、保持部分が、治療用量送出用ワイヤー要素の挿入領域の近くで、患者の身体に対して可撓性ガイドの前端部分を一時的に保持するように患者の身体に付与されるように適応され、かつ可撓性ガイドの前端部分に固定されるか、又は固定されることができる。
- 保持システムが、保持部分を含み、保持部分が、治療用量送出用ワイヤー要素の挿入領域の近くで、患者の身体に対して可撓性ガイドの前端部分を一時的に保持するように患者の身体に付与されるように適応され、かつ可撓性ガイドの前端部分に固定されるか、又は固定されることができる。
- 保持システムが、固定手段を含み、固定手段が、治療用量送出用ワイヤー要素の挿入領域の近くで、患者の身体に付与される保持部分を一時的に固定することを可能にし、好ましくは皮膚に接着されるために好適な接着剤を含む。
- 位置決め及び案内部分、治療用量送出用ワイヤー要素、任意選択的に可撓性ガイド、及び任意選択的に貯蔵支持体が、滅菌され、かつ気密包装中に置かれている。
【0018】
本発明はまた、上述の静脈治療集成体の一方又は他方、及び駆動手段を含む、好ましくは電動化された、駆動システムを含む静脈治療装置であって、静脈治療装置が、駆動システムに対する位置決め及び案内部分の除去可能な装着を可能にするように位置決め及び案内部分の第一機械的集成手段と協働するように適応された第二機械的集成手段をさらに含み、治療用量送出用ワイヤー要素の前記第一部分が、駆動システムの駆動手段と係合されることができるように位置され、駆動システムの駆動手段が、好ましくは治療用量送出用ワイヤー要素が前記駆動手段に対してその長さの方向の変位を持つように、治療用量送出用ワイヤー要素がその長さの方向で少なくとも第一方向に駆動することを可能にする、静脈治療装置に関する。
【0019】
特に、本発明を構成する装置は、以下の追加の任意の特徴を単独で又は互いに組み合わせて含むことができる:
- 第二機械的集成手段が、駆動システムと一体化されているか、又は駆動システムの一体化部分を形成する。
- 駆動システムの駆動手段が、少なくとも一対の駆動ローラーを含み、第二機械的集成手段が、駆動ローラーの間の治療用量送出用ワイヤー要素の第一部分の位置決めを可能にするように位置決め及び案内部分の第一機械的集成手段と協働するように適応される。
- 駆動システムの駆動手段が、治療用量送出用ワイヤー要素の摩擦駆動を可能にする。
- 静脈治療装置が、治療用量送出用ワイヤー要素の後端に接続されることができる治療用量源をさらに含む。
- 駆動システム及び治療用量源が、同じモノリシック集成体の一体化部分である。
- 治療用量送出用ワイヤー要素が、光ファイバーであり、治療用量源が、電磁放射線源である。
【0020】
本発明はまた、血管を治療するため、特に電磁放射線によって血管を治療するための上述の静脈治療装置の使用に関する。
【0021】
本発明の主題はまた、上述の静脈治療装置を調製するための方法、又は上述の静脈治療装置によって静脈治療を行なうための方法であって、位置決め及び案内部分が、駆動システムに対して、好ましくは駆動システムの上に除去可能に装着され、治療用量送出用ワイヤー要素の第一部分が、駆動システムの駆動手段と係合されかつ少なくとも第一駆動方向に駆動されることができるように位置決めされる、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の特徴及び利点は、添付図面を参照して、本発明の限定されないかつ網羅的でない例として記載された本発明の複数の特別な実施形態の以下の詳細な記述を読むことから明らかになるだろう。
【
図1】
図1は、脚の血管のレーザー治療のための、静脈レーザータイプの、本発明に関する静脈治療装置の実施の一例を示す概略一般図である。
【
図2】
図2は、その輸送及び/又は保管構成で包装された、本発明の静脈治療集成体の特別な例の等角図である。
【
図3】
図3は、貯蔵支持体が位置決め及び案内部分から分離され、位置決め及び案内部分が駆動システムに装着された後の
図2の集成体の等角図である。
【
図4】
図4は、
図2の集成体の貯蔵支持体(光ファイバーなしで鞘なし)の等角図である。
【
図6】
図6は、
図5の駆動システムの上に位置決め及び案内部分を組み立てた時の
図3の集成体の等角図である。
【
図7】
図7は、位置決め及び案内部分が駆動システムの上に装着された後の
図3の集成体の等角図である。
【
図8】
図8は、位置決め及び案内部分への鞘の後部の取り付けを示す詳細図である。
【
図9】
図9は、駆動システムに対する位置決め及び案内部分の集成タブの割り出しを示す横断面図である。
【
図10】
図10は、人間の身体の一部の上に配置されかつそれに取り付けられ、光ファイバーが皮膚内に挿入された鞘保持システムの一例の等角図である。
【
図11】
図11は、特に血管、及び血管中に挿入された光ファイバーを示す、
図10の縦断面図である。
【
図12】
図12は、導入カテーテルによる血管内への光ファイバーの前端部分の挿入の段階を示す等角図である。
【
図13】
図13は、光ファイバーの前端部分が血管内に挿入された後の血管から除去された
図12の導入カテーテルを示す等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
静脈の治療のために使用する、本発明による、引き抜き制御静脈治療装置の概略図が
図1に示されている。
【0024】
この引き抜き制御静脈治療装置は、以下のものを含む:
- 静脈内への治療用量を送出するための可撓性ワイヤー要素1、この可撓性ワイヤー要素1は、以下の詳細に記載された特定の例では光ファイバーである、
- 光ファイバー1に対して後方に(方向Rに)制御された態様で引張力を及ぼすことができる電動駆動システム4、
- 位置決め及び案内部分2A、それは、以下に詳細に記載され、電動駆動システム4の駆動手段に対して光ファイバー1の並進において迅速かつ信頼性のある位置決め及び案内を可能にする、
- 光ファイバー1の後端1aに結合されるレーザー源タイプの電磁放射線源L、
- 可撓性ガイド鞘3、それは、その長さの前部分にわたって光ファイバーを包囲しかつ案内し、光ファイバー1は、鞘3に対して長手方向にスライドすることができる。
【0025】
図1を参照すると、可撓性ガイド鞘3は、後端部分31と、その反対側に前端部分30とを有し、前端部分30は、光ファイバー1の通過を可能にする前開口30aで終わる。光ファイバー1は、ガイド鞘3中に通され、ガイド鞘3は、その長さの一部にわたって光ファイバー1を包囲しかつ案内し、ガイド鞘3の外側には、光ファイバー1の後端部分11と、その反対側に前端部分10を有する。従って、血管中に電磁放射線の放出を可能にする光ファイバー1の前端は、ガイド鞘3の外側に位置される。
【0026】
可撓性鞘の後端部分31は、光ファイバー1の少なくとも引き抜き方向Rにおいて、かつ好ましくは光ファイバー1の反対の進行方向Fにおいても、光ファイバー1に対してガイド鞘3のこの後端部分31を軸方向にブロックするように、位置決め及び案内部分2Aと一体化され、光ファイバー1は、ガイド鞘3に対して長手方向にスライドすることができる。従って、電動駆動システム4は、光ファイバー1を鞘3に対してスライドすることによって光ファイバー1を後方に(矢印Rに)引っ張ることを可能にする。
【0027】
鞘3は、好ましくは最小の摩擦で光ファイバー1のスライドを可能にし、生体適合性であることが好ましい。鞘3の内径はまた、鞘3内での光ファイバー1の半径方向の動きを制限し、長手方向の動きの効率的な伝達を可能にするために、光ファイバー1の外径に対して調整されなければならない。もし鞘3の内径と光ファイバー1の外径の間の差が大きすぎるなら、駆動システム4のモーターが活性化されるときの動きと、鞘に対する光ファイバーの実際のスライドの動きの間で有害な相違が起こりうる。限定されずかつ網羅的でない例によれば、900μmの外径を有する光ファイバー1と、例えば1000μmの内径を有する鞘3の例、及び600μmの外径を有する光ファイバーと、例えば700μmの内径を有する鞘3の例が使用される。
【0028】
鞘3のために様々な材料が使用されることができ、限定されずかつ網羅的でない態様では、シリコーン、ポリウレタン、PTFE、PET、ETFE、ラテックス、熱可塑性エラストマーが使用されることができる。
【0029】
図1の特定の実施形態であるが、本発明のために限定されない態様では、装置はまた、保持システム5を具備し、保持システム5は、ガイド鞘3の前端部分30を患者の身体C(この場合には
図1では脚であるが限定されない)に、身体Cの光ファイバーの挿入点7の近くに一時的に取り付けることを可能にする。
【0030】
本発明の文脈では、可撓性ガイド鞘3及び/又は保持部分5は、任意であり、本発明の別の実施形態の例において実施されなくてもよいことが注目されるべきである。
【0031】
駆動システム4は、二対の回転駆動ローラー40,41を含み、それらの間に光ファイバー1の第一直線部分110aが部分2Aによって位置決めされかつ案内される。ローラー40は、例えば電動駆動ローラーであり、ローラー41は、例えば回転自在に装着されるローラーである。これらの回転駆動ローラー40,41は、治療される血管からの光ファイバーの制御された取り出し中にローラー40,41の回転スピードに依存する制御されたスピードで光ファイバー1を後方に(方向Rに)摩擦駆動することを可能にする。この特定の実施形態の例では、光ファイバー1が回転ローラー40,41によって摩擦によって駆動されるとき、それは、これらのローラーに対してその長さの方向に移動する。
【0032】
別の実施形態の例では、駆動システム4は、一対の回転駆動ローラー40,41のみを含むことができる。より一般的には、回転駆動ローラー40,41は、光ファイバーをその長さの方向に、好ましくは前記駆動手段に対してその長さの方向に光ファイバーを移動させて、駆動する機能を満たす、いずれかの等価な手段によって置き換えられることができる。光ファイバーのこの駆動は、必ずしも摩擦によって実施されず、より一般的には光ファイバーと係合されることができる、いずれかの駆動手段によって実施される。駆動手段は、例えばクランプを含むことができ、それは、二つの最端位置間の前後の動きで並進移動可能であり、第一最端位置から他方の最端位置までのクランプの並進移動時に光ファイバー1の第一アクセス可能部分110aを把持し、反対方向にクランプが戻る移動時には光ファイバー1ともはや係合されないように制御される。
図1の実施形態の例では、光ファイバー1の制御された引き抜きのための駆動システム4及び電磁放射線源Lは、同じモノリシック集成体Eの一体化部分を形成することが有利である。しかし、別の実施形態の例では、駆動システム4は、電磁放射線源Lから分離されかつ遠くに離れることができる。
【0033】
図2及び3を参照すると、この特別な実施形態では、静脈装置はまた、貯蔵支持体2Bを含み、その上に、光ファイバー1の前端から光ファイバー1の前記第一部分110aまで延びる光ファイバー1の全て又は一部が巻かれ、可撓性鞘3の全て又は一部に光ファイバーが通っている。この貯蔵支持体2Bは、光ファイバー1の輸送、貯蔵、及び取り扱いを容易にすることを可能にする。
【0034】
図2~4に示された特別な実施形態の例では、この貯蔵支持体2B及び位置決め及び案内部分2Aは、分離されており、特に輸送時のそれらのサイズを制限するように互いに平らに積み重ねられることができる。特に、この貯蔵支持体2B及び位置決め及び案内部分2Aは、実施形態の例では、例えば挟むことによって一時的に組み立てられることができ、容易に分離可能である。
【0035】
図2の集成体は、予め滅菌された後に例えばサシェ(sachet)又は「ブリスター(blister)」タイプのブリスター包装のような気密包装(図示せず)においてその輸送のために包装されることが好ましい。
図2のこの集成体は、静脈治療を進める前に、滅菌手術野で実践者によってその包装から取り出される。
【0036】
図2のこの集成体は、使い捨てでありかつ単回使用であることが有利であるが、必須ではない。
【0037】
図に示された特別な実施形態の例では、貯蔵支持体2Bは、四つの枝部21aを有する十字の形状において硬い部分を形成し(
図4)、例えばプラスチックの単一部分である。鞘3及び光ファイバー1は、この十字の上に巻かれ(
図2)、十字の腕21aの各端の弾性クリップ21b間に挿入されかつブロックされる。いったん貯蔵支持体2Bが位置決め及び案内部分2Aから分離されると(
図3)、鞘3及びこの貯蔵支持体2Bの上に巻かれた光ファイバー1の部分は、操作者によって貯蔵支持体2Bから手で容易に取り出され、それらの使用のために解かれることができる。
【0038】
本発明の文脈では、貯蔵支持体2Bの機能を有するこの部分を作るためのいずれかの他の形態及び/又はいずれかのタイプの材料を考えることができる。
【0039】
さらに、本発明の文脈では、この貯蔵支持体2Bは、任意であり、静脈集成体は、位置決め及び案内部分2A及び治療用量送出用ワイヤー要素1のみを含み、ワイヤー要素1は、適切な場合には可撓性ガイド3内に通される。
【0040】
添付図面における特別な実施形態の例では、位置決め及び案内部分2Aは、硬いワンピースの平らな部分、例えばプラスチック成形部分である。この位置決め及び案内部分2Aを作るためのいずれかの他の形態及び/又はいずれかの他の材料を考えることができる。
【0041】
位置決め及び案内部分2Aは、必ずしもワンピースである必要はなく、別の例では、それらの間の複数の要素の硬いモノリシック集成体であってもよい。
【0042】
鞘3は、その後端31に、位置決め及び案内部分2Aの上に嵌合されるように適応されたコネクター6(
図8)を有し、鞘3の後部分の軸方向のブロッキングを少なくとも治療用量送出用ワイヤー要素1の後方に向かって引き抜きの第一方向Rに、好ましくは光ファイバー1の引き抜きの方向Rと反対の方向F(前方向)にも得ることによって、位置決め及び案内部分2Aと一体化した鞘3の後端31を作る。このコネクター6はまた、例えば接着によって部分2Aに永久的に取り付けられることができるが、必須ではない。
【0043】
鞘3の後端から突出する光ファイバー1の後部分11は、位置決め及び案内部分2Aによって光ファイバー1の操作を可能にするように位置決め及び案内部分2Aと一体化され、光ファイバー1は、前記位置決め及び案内部分2Aに対してその長さの方向にスライドすることができ、詳述されるようにこの位置決め及び案内部分2Aによって部分的に案内される。
【0044】
特に、
図2を参照すると、光ファイバー1の後部分11は、光ファイバー1の前部分110aを含み、それは、コネクター6を与えられた鞘3の後端から光ファイバー1の後の方に延び、それは直線的であることが好ましい。
【0045】
位置決め及び案内部分2Aは、三つの案内要素200a,200b,200cの形で第一案内手段を含み、それらは、整列され、そこには光ファイバー1の第一部分110aが通される。これらの案内要素200a,200b,200cは、光ファイバー1をその長さの方向にスライドするときにこの第一直線部分110aにおいて光ファイバー1を並進で案内することによって光ファイバー1を部分2Aに固定することを可能にする。
【0046】
別の例では、位置決め及び案内部分2Aは、一つだけの案内要素200a,200b又は200c、又は二つの間隔をあけられた案内要素、又は三つより多い間隔をあけられた案内要素を含むことができる。
【0047】
光ファイバー1のこの第一部分110aは、駆動システム4の駆動手段と係合されることができるように、その位置決めを可能にするように、即ち図に示される特別な例ではローラー又は駆動ローラー40,41の間のその位置決めを可能にするようにアクセス可能であることが好ましい。
【0048】
通常、駆動システムは、駆動ローラー又はローラー40,41をクラッチ係合/脱係合するための手段を備えている。部分2Aが駆動システムに装着されるとき、駆動ローラー又はローラー40,41は、それらが自由に回転できるように脱係合される。光ファイバー1の第一部分110aは、ローラー又は駆動ローラー40,41との係合なしでローラー又は駆動ローラー40,41の間に位置され、それは、手によって光ファイバーをスライドすることを可能にする。そのとき、操作者は、電動駆動のために二つのローラー又は駆動ローラー40,41のうちの少なくとも一つと係合し、従って光ファイバー1の第一部分110aは、ローラー又は駆動ローラー40,41と係合され、駆動ローラー又はローラーによって摩擦駆動されることができる。
【0049】
別の例では、駆動システムは、ローラー又は駆動ローラー40,41の間の中央距離を調整する手段を通常の方法で備えており、それは、操作者がローラー又は駆動ローラー40,41を離れた位置と接近した位置の間で移動することを可能にする。接近した位置では、それらは、光ファイバー1と係合され、それを摩擦によって駆動することができる。駆動システムの上に部分2Aを装着するとき、ローラー又は駆動ローラー40,41は、離れた位置にあり、光ファイバー1の第一部分110aは、ローラー又は駆動ローラー40,41と係合されることなくローラー又は駆動ローラー40,41の間に位置され、それは、手によって光ファイバーをスライドすることを可能にする。そのとき、操作者は、ローラー又は駆動ローラー40,41の接近を制御し、従って光ファイバー1の第一部分110aは、ローラー又は駆動ローラー40,41と係合され、ローラー又は駆動ローラー40,41によって摩擦によって駆動されることができる。
【0050】
別の例では、光ファイバー1のこの第一部分110aは、保護手段によって一時的に保護されることができ、保護手段は、位置決め及び案内部分2Aから分離されることができるか、又は保護手段は、駆動システム4の駆動手段に対して位置決め及び案内部分2Aを装着する前にもしくは位置決め及び案内部分2Aが駆動システム4の駆動手段に対して装着された後に光ファイバー1の第一部分110aをアクセス可能にするように位置決め及び案内部分2Aに対して移動可能であることができる。
【0051】
この例では、光ファイバー1の第一部分110aは、第二部分110b(
図6)まで後方に延ばされ、部分2Aは、第二案内手段201を含み、それは、光ファイバー1を部分2Aに対してその長さの方向にスライドするとき、光ファイバー1を部分2Aに固定し、この第二部分110bにおいて光ファイバー1を並進で案内することを可能にする。
【0052】
特に、この実施形態の例では、この第二部分110bは、湾曲され、第二案内手段は、光ファイバー1の第二部分110bを、有利にはそれを半回転することによって並進で案内する。
【0053】
光ファイバー1の第二部分110bは、第三部分110c(
図2及び6)まで光ファイバー1の後端1aに延びる。光ファイバー1のこの後端には、レーザー源Lに光ファイバーを結合する光学カップラ―112が取り付けられる。この実施形態の例では、光ファイバー1のこの第三部分110c及び光学カップラ―112は、一時的に部分2Aと一体化され、部分2A中にしまわれ、操作者によって部分2Aから手で容易に取り出されることができ(
図3)、レーザー源Lに光ファイバー1を結合するために解かれることができる。
【0054】
別の実施形態の例では、光ファイバー1のこの第三部分110c及び光学カップラ―112は、いつでも部分2Aから分離されることができる。
【0055】
図2を参照すると、位置決め及び案内部分2Aは、第二機械的集成手段42,43と協働することができる第一機械的集成手段202,203を含み、第二機械的集成手段42,43は、この例では、駆動システム4の一体化部分を形成する(
図5及び9)。これらの第一機械的集成手段202,203及び第二機械的集成手段42,43は、駆動システム4に対して位置決め及び案内部分2Aの除去可能、迅速、及び工具不要の装着を可能にし、特にこの例では駆動システム4への部分2Aの除去可能、迅速、及び工具不要の装着を可能にする。
【0056】
いったん位置決め及び案内部分2Aが駆動システム4に対して装着されると、光ファイバー1の前記第一部分110aは、駆動ローラー40,41によって光ファイバー1の後方の摩擦駆動(矢印R)のために駆動システム4の駆動ローラー40,41の間に位置される。
【0057】
図2及び9を参照する本発明を限定しない特別な実施形態の例では、第一機械的集成手段は、部分2A中に凹所203を含み、さらに二つの集成体タブ202を含む。集成体タブ202は、部分2Aの一体化部分を形成し、半球形ハウジング202aを少なくとも一つの面に含む(
図9)。
図5,6,7及び9を参照すると、この例では、第二機械的集成手段は、駆動システム4の一体化部分を形成し、フック要素43を含む。フック要素43は、部分2Aにおける凹所203及び各集成体タブ202のための二つの割り出し要素42と協働するように適応され(
図9)、それらは、部分2Aが駆動システム4に装着されるとき、集成体タブ202のいずれかの側に位置される。
【0058】
図9を参照すると、各割り出し要素42は、円筒体42bに収容されるばね(見ることができず)によって、
図9のロック位置に集成体タブ202の方向に弾性的に押されるボール42aを含む。部分2Aが駆動システム4に装着されるとき、二つのボール42aの一つ(
図9の右側のボール)は、集成体タブ202の半球形ハウジング202aに部分的に収納されるように弾性的に押し戻され、他方のボール42a(
図9の左側のボール)は、集成体タブ202に対して当接するように弾性的に押される。
【0059】
最初に、
図2を参照すると、鞘3によって包囲される光ファイバー1の最も大きい部分は、貯蔵支持体2Bに巻かれることによって状態調整される。鞘3の後端31におけるコネクター6は、前述したように、位置決め及び案内部分2Aと一体化される。鞘3のない光ファイバー1の後部分11は、前述したように、位置決め及び案内部分2Aと一体化される。貯蔵支持体2Bは、位置決め及び案内部分2Aと積み重ねられる。従って、集成体は、コンパクトであり、容易に取り扱い及び/又は保管及び/又は輸送されることができる。
【0060】
駆動システム4に対してこの集成体の光ファイバーを位置決めするための手順は、以下の通りである。
【0061】
もし必要なら、貯蔵支持体2Bと位置決め及び案内部分2Aを分離する。
【0062】
光ファイバーの第三部分110cは、位置決め及び案内部分2A(その端で光学カップラー112を持つ)から除去される(
図3)。
【0063】
位置決め及び案内部分2Aは、駆動システム4の上に光ファイバー1とともに装着され、それは、駆動ローラー40,41の間の光ファイバーの第一直線部分110aを容易に、素早く、かつ正確に位置決めすることを可能にする。
【0064】
この特別な例では、この組み立ては、二つの段階で実施される。第一段階(
図6)では、部分2Aは、
図6に示されるように、フック要素43に対して部分2Aの凹所203を鉛直方向に及び水平方向に整列することによって駆動システム4に対して位置決めされる。第二段階(
図7)では、部分2Aは、フック要素43に凹所203の上縁を挿入するように駆動システム4に対して鉛直方向に下げられる。
【0065】
下方への動きの間、集成体タブ202は、それらの割り出し要素42の間に位置される。部分2Aのこの下方への動きは、
図9の割り出し位置にある限り、実施される。
【0066】
部分2Aのこの除去可能な装着は、操作者が駆動ローラー40,41の間に光ファイバー1の第一部分110aを素早くかつ信頼性高く位置させることを可能にする。これらのローラー40,42が第一部分110a上で引っ張ることによって光ファイバー1を駆動するとき、光ファイバー1は、部分2Aの案内手段200a,200b,200c及び201によって案内されながら鞘3に対してスライドする。
【0067】
いったん部分2Aが組み立てられると、鞘3の前部分30は、保持システム5の保持部分50(
図10)に固定されることができ、装置は、次いで静脈治療を行なうために使用される状態にある。本発明では限定されないが、例えば以下の方法で行なわれる。
(a)鞘の前端部分30が、例えば接着剤51(
図10)を使用することによって、光ファイバー1の挿入点7の近くで人間の身体Cに保持部分50を固定することによって、身体Cに対して取り付けられる。
(b)先端が超音波プローブによって超音波で局所化される穿刺針として一般に知られる中空針が、ルーチン的に皮膚を通って治療される血管中に押し込まれる。この針の挿入点は、上で参照した挿入点7に相当する。
(c)ガイドワイヤーが、この中空針の中を通って治療される血管中に挿入され、次いで中空針が除去される。
(d)導入カテーテル8が、ガイドワイヤーの上に載せて血管Vの入口まで入れられ、ガイドワイヤーが除去される(
図12)。
(e)いったん導入カテーテル8が挿入されると(
図12)、鞘3の前端部分30の外側に突出する光ファイバー1の前端部分10が、導入カテーテル8中に挿入され、光ファイバー1が、光ファイバー1の前端部分10の端が血管中に長手方向に入り、血管V中を進み、挿入点7から最も遠い治療領域に到達するまで鞘3に対して前方にスライドされる。この操作中、駆動システム4のローラーの駆動モーターは、脱係合されている。
(f)いったん光ファイバー1が血管V内に導入され、位置決めされると、カテーテル8が、それを光ファイバー1に沿って後方にスライドすることによって血管Vから引き出される(
図13)。任意選択的に、カテーテル8は、例えば裂けることができるカテーテルの場合にはそれを二つに裂くことによって光ファイバー1から除去される。別の例では、カテーテルは、治療手順の完了後に除去されることができる。
【0068】
実践者は、次いで光ファイバー1の近位部分の端の領域において血管中に電磁放射線を放出するためにレーザー源Lを手で操作することによって、及び引き抜きシステム4によって光ファイバーの連続的な又は段階的な引き抜きを制御することによって静脈治療を行なうことができる。
【0069】
ガイド鞘3の前端部分30が光ファイバー1の挿入点7の近くで身体Cに一時的に取り付けられ、ガイド鞘3の後端部分31がコネクター6によって光ファイバー1に対して軸方向にロックされるおかげで、静脈治療は、光ファイバー1を緊張させずに有利に実施されることができ、治療される血管に対する光ファイバーの不意の動きの危険を減少することができる。
【0070】
いったんレーザー治療が完了すると、光ファイバー1は、血管から完全に除去され、保持システム5は、人間の身体から分離される。実践者は、次いで光ファイバー1をレーザー源Lから切り離し、光ファイバー1とともに部分2Aを駆動システム4から除去することができる。
【0071】
図1の実施形態の例では、光ファイバー1の後部分11は、光ファイバー1の第二後部分110bによって実施される半回転のおかげで、部分2Aの第二案内手段201によって有利に案内され、前方に戻される。従って、光ファイバー1が後方に(矢印Rに)引き戻されるとき、光ファイバー1は、第二案内手段201によって維持されかつ案内され、人又は物体による光ファイバー中の偶然のキャッチングが避けられる。
【0072】
より一般的には、第二案内手段201は、治療用量送出用ワイヤー要素1の第二部分110bを少なくとも1/4回転させることによって第二部分110bを並進で案内するように設計されることができる。
【0073】
別の実施形態の例では、少なくとも1/4回転するように案内される光ファイバー1の第二部分110bは、必ずしも光ファイバー1の第一部分110aの後方の範囲に位置されず、光ファイバー1の第一部分110aの前方の範囲に位置されることができる。さらに、第二案内手段202は、必ずしも部分2Aの一体化部分である必要はなく、この部分2Aから案内手段を分離してもよい。
【0074】
好ましくは、第二機械的集成手段42,43は、駆動システム4と一体であるか又は駆動システム4と一体化部分を形成する。しかしながら、別の実施形態の例では、第二機械的集成手段42,43は、駆動システム4から分離されることができ、例えばテーブル型の支持体に取り付けられるか、又はテーブル型の支持体の一体化部分を形成し、その上に駆動システム4が置かれるだろう。
【0075】
本発明は、静脈レーザー治療装置に限定されない。本発明によってカバーされる他の例では、光ファイバーは、例えばケーブル又は可撓性プローブ又は可撓性カニューレタイプのワイヤー要素(中実又は中空)によって置き換えられることができる。治療は、必ずしもレーザー治療である必要はなく、血管内への治療用量の送出、特にエネルギー用量の送出、例えば音波又は超音波、高周波によって電磁放射線の形で送出されるもの、又は輻射及び/又は接触によって送出される熱エネルギーの用量の送出、又は血管の治療を可能にする化合物、例えば液体、半液体又は泡の用量の送出からなるいずれの治療であってもよい。
【0076】
除去システム4は、より一般的には治療用量送出用ワイヤー要素1を少なくとも一つの所定の駆動方向Rに引っ張ることを可能にするいずれかの駆動システムによって置き換えられることができる。装置のこの駆動システム4は、必ずしも電動化される必要はなく、手で操作される駆動システムであることができる。
【0077】
本発明の文脈では、ガイド鞘3は、鞘3と同じ案内機能を満たす、いずれかの等価な可撓性ガイドによって置き換えられることができる。例えば、網羅的でないが、鞘3は、例えばU形状の横断面を有する可撓性溝形状ガイドによって、又は光ファイバー又は等価物のまわりでねじられる可撓性ワイヤーガイドによって、又は治療用量送出用ワイヤー要素1に固定可能とするために磁化された可撓性ガイドによって置き換えられてもよい。
【0078】
可撓性ガイド3は、必ずしもワンピースで作られなくてもよく、複数の組み立てられる要素を含んでもよい。例えば、ガイド3は、可撓性ガイド鞘又は等価物を含むことができ、その前端には硬い導入カテーテルが取り付けられ、保持システム5は、患者の身体にこの導入カテーテルを一時的に保持することを可能にする。
【0079】
保持システム5は、保持部分50又は等価物のみを含んでもよく、固定手段51又は等価物を含まなくてもよい。この場合において、保持部分50は、治療用量送出用ワイヤー要素1の挿入点7の近くで患者の身体に対して手でガイド3の近位端部分30を一時的に保持するために使用される。治療用量送出用ワイヤー要素1の挿入点7の近くで患者の身体に対して手でガイド3の近位端部分30を一時的に保持することは、保持部分50又は等価物を患者と接触して位置させることによって、又は保持部分50又は等価物を手の中に保持し、保持部分50又は等価物を保持する手を患者と接触させることによってなされることができる。
【0080】
保持システムは、保持部分50の使用なしで、治療用量送出用ワイヤー要素1の挿入点7の近くで、患者の身体にガイド3の近位端部分30を一時的に取り付けるための取り付け器具を含むことができる。例えば、保持システムは、ガイド3の前端部分30に直接付与されることができる一種以上の接着剤から形成されることができ、患者の身体に接着され、治療用量送出用ワイヤー要素1の挿入点7の近くで患者の身体に対してガイド3の前端部分30を一時的に取り付けられることができる。