(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】梱包箱構造
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20240606BHJP
B65D 19/02 20060101ALI20240606BHJP
B65D 19/20 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
B65D19/02
B65D19/20
(21)【出願番号】P 2019156569
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】村上 巨樹
(72)【発明者】
【氏名】鳥本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】田村 勇樹
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-257649(JP,A)
【文献】実開昭60-090131(JP,U)
【文献】実公昭59-040259(JP,Y2)
【文献】実開平06-072871(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0267308(US,A1)
【文献】特開平09-142563(JP,A)
【文献】特開2001-031065(JP,A)
【文献】特開2005-343519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/68
B65D 19/02
B65D 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有蓋、有底のダンボール製四角状梱包箱(10、60)と、その梱包箱(10、60)内の底部に被梱包物(V
1、V
2)と一緒に収容されるパレット(20、70)とを備え、前記梱包箱(10)の表面下部にはフォークリフト爪を挿入可能な爪孔(14、64)がミシン目(15、65)によって形成されており、前記パレット(20、70)は、被梱包物(V
1、V
2)の下側に位置して下面に桁材(23、73)を有し、その桁材(23、73)は、前記爪孔(14、64)を塞がないように、フォークリフト爪の挿し込み方向(a)に長く設けられて
いる梱包箱構造であって、
上記被梱包物が仕切弁(V
1
、V
2
)であり、その仕切弁(V
1
、V
2
)は、弁箱(1)の一側に受口(2)、他側に挿し口(3)又は受口(2)を有するとともに、受口(2)の開口端縁に下方に延びるフランジ状脚(4)、弁箱(1)の挿し口(3)側下面に下方に延びる脚(4)をそれぞれ有し、上記パレット(20、70)の上面には前記両脚(4、4)が載置される負荷材(24、74)及び両脚(4、4)が係止する止め材(25)が設けられ、この止め材(25、24、74)と前記両脚(4、4)との係止によって、梱包箱(10、60)に対する仕切弁(V
1
、V
2
)の移動が抑制される梱包箱構造。
【請求項2】
上記梱包箱(10、60)内の上記仕切弁(V
1、V
2)の上方に板状の押さえパット(30)を嵌め込み、その押さえパット(30)に前記仕切弁の弁キャップ(5)が貫通する透孔(31)を形成し、その透孔(31)への弁キャップ(5)の貫通によって仕切弁の揺れを抑制するとともに仕切弁(V
1、V
2)の正しい梱包位置を示すようにした請求項
1に記載の梱包箱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、仕切弁等の被梱包物をダンボール(段ボール)箱で梱包する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
重い物品を収容した梱包箱は、積み重ねられて運搬されるのが一般的であり、その際、パレット上に積み重ねられてそのパレットをフォークリフトやクレーンで持ち上げる場合が多い。このようなフォークリフト等によって持ち上げ可能なダンボール箱装置として、側板下部にフォークリフト爪又はチェーン(ロープ)を挿入可能(掛け渡し可能)な爪孔が設けられた梱包箱と、この梱包箱の底部に被梱包物と一緒に収容される段ボール製のパレットとから成るものがある。この梱包箱装置は、前記爪孔を通して前記パレットの下方に挿入されたフォークリフト爪等により、被梱包物を梱包状態で持上げ可能となっている(特許文献1請求項1、
図1等参照)。
【0003】
ところで、重い物品には、例えば、GX形ソフトシール仕切弁Vがあり、この仕切弁Vは、
図9に示すように、弁箱1の一側に受口2、他側に挿し口3を有するものV
1(同図(a)、SE-25形)と、弁箱1の一側に受口2、他側にも受口2を有するものV
2(同図(b)、SE-20形、SF-20形)等がある(特許文献2等参照)。同図中、4はフランジ状脚、5は弁軸先端に被せた弁キャップである。
【0004】
この仕切弁V(V
1、V
2)も、従来、四角状ダンボール箱で梱包している。その梱包は、
図10に示すように、まず、ローラコンベア上などを移動してくる仕切弁Vを、目視によって外観検査(同図(a))した後、電動チェーンブロック等で吊り上げてパレット(ゲタ)7上に載置する(同図(b))。つぎに、その状態において、有蓋で下面開口の四角状ダンボール箱8を仕切弁Vに被せ(同図(c))、その被せた箱8及びパレット7をプラスチックバンド9により周囲を巻回締結して梱包している(同図(d))。梱包後、電動チェーンブロック等で吊り上げて運搬用パレットPに載せる(同図(e))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-289490号公報
【文献】特開2015-175514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記仕切弁Vのダンボール箱8による梱包は、ダンボール箱8の下面が開口しているため、梱包内部(箱内部)にゴミやチリが入り込み、被梱包物(仕切弁V)が汚れるため、商品価値を落としていた。
また、箱8は下面が開口して保形強度が低いうえに、バンド9により箱8とパレット7を一体化しても、前記下面開口等からその一体強度を十分に得られないため、段積みができず、運搬コスト面で問題があった。
さらに、バンド9の巻回締結は煩わしく、煩雑な梱包作業となっている。
【0007】
この発明は、以上の実状の下、作業性が良く、梱包内にゴミやチリの入り難いようにすることや運搬コスト低減を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、この発明は、特許文献1記載の梱包箱装置を採用することとしたのである。
具体的には、有蓋、有底のダンボール製四角状梱包箱と、その梱包箱内の底部に被梱包物と一緒に収容されるパレットとを備え、前記梱包箱の表面下部にはフォークリフト爪を挿入可能な爪孔がミシン目によって形成されており、前記パレットは、被梱包物の下側に位置して下面に桁材を有し、その桁材は、前記爪孔を塞がないように、フォークリフト爪の挿し込み方向に長く設けられている構成を採用したのである。
【0009】
この構成においては、特許文献1記載の梱包箱装置の爪孔は前もって形成されているのに対し、この発明の爪孔はミシン目で形成されているため、そのミシン目でもってその爪孔の位置の確認がし易い。また、ミシン目を介してその内側片を切り落とし又は切り起こして爪孔を開口させない限り、爪孔から梱包内にゴミやチリが入り難い。このため、被梱包物が汚れる恐れは少なく、商品価値も落ちない。
さらに、爪孔部分は、孔形成前(開口前)には、ミシン目を介して連結しているため、その爪孔部分の強度も大きく低下していないうえに、梱包箱内のパレットに被梱包物が載置され、そのパレットは下面に桁材を有して強度が高い物となっている。また、梱包箱は有蓋、有底の四角状であって、保形性もよく、その中のパレットによって被梱包物を支えるため、梱包箱構造全体の強度が高いことから、従来のようにバンド9による巻回締結をすることなく、段積みが可能であって、梱包箱の爪孔からフォークリフト爪をパレットに挿し込んで、そのパレットを介して被梱包物を吊り上げ・運搬することが可能であり、運搬コストの低減を図ることができる。
【0010】
この構成において、上記被梱包物がGX形ソフトシール仕切弁であり、その仕切弁は、弁箱の一側に受口、他側に挿し口又は受口を有するとともに、受口の開口端縁に下方に延びるフランジ状脚、弁箱の挿し口側下面に下方に延びる脚をそれぞれ有し、上記パレットの上面には前記両脚が係止する止め材を設け、この止め材と前記脚との係止によって、梱包箱に対する仕切弁の移動を抑制するようにすることができる。
このとき、上記梱包箱内の上記仕切弁の上方に板状の押さえパットを嵌め込み、その押さえパットに仕切弁の弁キャップが貫通する透孔を形成すれば、その透孔への弁キャップの貫通によって仕切弁の揺れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上のように構成したので、作業性が良く、梱包内にゴミやチリの入り難いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明に係る梱包箱構造の一実施形態の斜視図
【
図4】同実施形態のパレットを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図
【
図5】同実施形態の押さえパットを示し、(a)は平面図、(b)は斜視図
【
図8】同実施形態のパレットを示し、(a)は平面図、(b)は(a)の右側面図、(c)は正面図、(d)は斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明に係る梱包箱構造の一実施形態を
図1~
図5に示し、この実施形態は、
図9(a)に示す、弁箱1の一側に受口2、他側に挿し口3を有するGX形ソフトシール仕切弁V
1の梱包箱構造に係るものであり、
図1、
図2に示す、ダンボール製梱包箱10と、
図4に示す、木製パレット(ゲタ)20と、
図5に示す、ダンボール製押さえパット30とから成る。
【0014】
梱包箱10は、前板11a、側板11b、後板11c、側板11d、糊片11eを折り目線rを介して連結した箱本体11と、その前板11a、側板11b、後板11c、側板11dの上下縁に折り目線rを介して連接した底板12、蓋板13とからなるダンボール製ブランクから成る。このブランクの梱包箱10は、側板11bと後板11cの間の折り目線rを介して内側に折り畳むとともに、糊片11eを側板11dの裏面(内面)に貼着した扁平状態として運搬可能なものである。
【0015】
また、その扁平状態の梱包箱10は、
図1、
図3に示すように、前板11aと側板11bをその間の折り目線rを介して、後板11cと側板11dをその間の折り目線rを介してそれぞれ内側に起立させて四角筒状の箱本体11とし、底板12、蓋板13を内側に折り畳む、従来と同様のダンボール箱と同一構造である。
【0016】
この梱包箱10は、
図3に示すように、有底の四角箱状に組み立てると、下部にパレット20を収納し、そのパレット20上に仕切弁V
1を載置し、その仕切弁の弁キャップ5に押さえパット30を嵌め込むことができる大きさとなっている。この実施形態においては、高さH:693mm、横幅(
図1において前後方向)B:310mm、左右幅(
図1において左右方向)W:700mmとし、K6W-474ダンボールを使用し、トムソン加工によって下記ミシン目15等を形成した。
【0017】
この梱包箱10の前後板11a、11cの下部両側には、横向きL字状のミシン目15で形成された爪孔14が形成されており、この爪孔14内のダンボール片(内側片)14aをミシン目15を介し外側又は内側に切り落とし又は切り起こすことによってフォークリフト爪を挿入可能な開口を形成する(
図1の鎖線状態参照)。ミシン目15は四角枠状として爪孔14の全周に亘るものとしてその内側片14aを切除可能とすることができる。
この両爪孔14の間隔は、使用するフォークリフトの爪(フォーク)の間隔に対応させる。この実施形態においては、側面(側板11b、11d)の縁に横方向のミシン目15が至って縦方向内側のミシン目15は底板12まで至っている。
【0018】
パレット20は、木材製であって、
図4に示すように、左右方向に長い上下板21、22と、その間に固定された前後方向に長い桁材23と、上板21に固定された負荷材(止め板)24と、一方(
図4(a)において左側)の負荷材24に固定された止め材25とからなる。各板(材)21、22、23、24、25の相互間の固定はねじ釘や接着等と十分な固定強度が得られる限りにおいて任意な手段を採用できる。
【0019】
上板21は前後方向の両端と中央に位置して計3枚からなり、下板22は前後方向の両端に位置して計2枚である。この上下板21、22の数は4枚等と強度を考慮して支障が無い限りにおいて任意である。この実施形態では、上下板21、22の左右方向(
図4(a)において左右方向)長さL
2:695mm、同幅(
図4(a)において上下方向)w
2:75mm、高さ(厚み)t
2:14mmとした。
【0020】
桁材23は左右とその中央に位置して計3枚(本)からなる。この桁材23の間隔は、このパレット20を梱包箱10に入れた際、その両側の桁材23が上記爪孔14を塞ぐことなく、フォークリフト爪が挿入可能となるように設定する(桁材23はフォークリフト爪の挿し込み方向aに長く設けられている)。この桁材23の数は4枚(本)等と強度や前記爪孔14を考慮して支障が無い限りにおいて任意である。この実施形態では、桁材23の前後方向長さL3:305mm、同左右方向の幅w3:50mm、同高さ(厚み)t3:50mm、桁材23の間隔T3:152.5mmとした。
【0021】
負荷材24は前後方向に長い板材であり、左右方向の中央と、一方の端(
図4(a)において左端)に設けている。この負荷材24の数も強度を考慮して支障が無い限りにおいて任意である。この実施形態では、負荷材24の前後方向長さL
4:305mm、同左右方向の幅w
4:85mm、同高さ(厚さ)t
4:20mm、同間隔T
4:225mm、桁材23から上下板21、22の端(
図4(a)において左右端)の間隔T
1:120mmとした。
【0022】
止め材25は端の負荷材24の上に位置し、この位置は、仕切弁V
1を載置した際、受口2側の脚4がその前側((
図4(a)において左側)に係止するように設定する。この実施形態では止め材25の前後方向長さL
5:305mm、同左右方向の幅w
5:27mm、同高さ(厚み)t
5:20mm、負荷材24の左端からT
5:25mm離れたものとした。
【0023】
押さえパット30は、ダンボール製であって、
図5に示すように、ほぼ中央に孔31が形成され、前後方向両側に折り目線32を介して側板33が設けられ、同図(b)、
図1鎖線に示すように、梱包箱10に嵌めると、側板33が折り目線32を介し弾力を持って上側に折れ曲がって梱包箱10の前後板11a、11b内面に圧接して位置決めされる。この実施形態では、押さえパット30の折り目線32の間隔w
6:300mm、左右方向の長さL
6:515mm、側板33の幅(前後方向)h
6:48mmとし、K6W-640ダンボールを使用し、トムソン加工によって折り目線32等を形成した。
【0024】
この実施形態の梱包箱構造は以上の構成であり、つぎに、上記梱包箱10等によってGX形ソフトシール仕切弁V
1を梱包する作用について、
図6に基づいて説明する。
まず、
図6(a)に示すように、梱包箱10を蓋板13が起立した開いた状態に組み立てる。このとき、底板12、12は内側に折り込んでその先端縁をテープ16で貼着する。この有底の梱包箱10内の下部にパレット20を装填する。
【0025】
この梱包箱10の組立及びパレット20の装填が終了すると、又は組立前に、
図6(b)に示すように、ローラコンベア等で運ばれてくる仕切弁V
1の外観検査を行い、その後、同図(c)に示すように、電動チェーンブロック等によって仕切弁V
1を吊り上げて梱包箱10内に装入する。このとき、仕切弁V
1の受口2の脚4がパレット20の止め材25にその前側(
図4(a)において左側)で係止するように、仕切弁V
1をパレット20上に載置する。
【0026】
仕切弁V
1を梱包箱10に装入すれば、押さえパット30を梱包箱10内に嵌め込む。このとき、押さえパット30の中央の孔31に弁キャップ5を貫通させる。梱包箱10に仕切弁V
1を収納すれば、蓋板13、13を内側に折り曲げてその先端縁をテープ16で貼着して梱包を終了する(
図6(d))。
【0027】
この梱包状態は、仕切弁V
1の受口2の脚4がパレット20の止め材25にその前側(
図4(a)において左側)で係止し、挿し口3側の脚4は右側の負荷材24の上面に係止し、押さえパット30によって仕切弁V
1の上下左右の動きが規制される。このため、仕切弁V
1が安定して梱包され、この梱包状態において段積みが可能である。
【0028】
この梱包時、仮に、
図6(e)に示すように、受口2と挿し口3を左右に間違えてパレット20に載置すると、挿し口3側の脚4が負荷材24上に載置され、仕切弁V
1はその受口2側に傾く。このため、押さえパット30を梱包箱10内に嵌め込んでも、中央の孔31に弁キャップ5が貫通せず(差し込めず)、仕切弁V
1の装入位置が間違っていることが分かる。
【0029】
以上の実施形態は
図9(a)に示す弁箱1の一側に受口2、他側に挿し口3を有する仕切弁V
1であったが、同図(b)に示す、弁箱1の一側に受口2、他側にも受口2を有する仕切弁V
2の梱包について、
図7、
図8に基づいて説明する。
この仕切弁V
2の梱包箱構造の場合も、
図7に示す、ダンボール製梱包箱60と、
図8に示す、木製パレット(ゲタ)70と、
図5に示したダンボール製押さえパット30とから成る。
【0030】
梱包箱60は、同様に、
図7に示すように、四角筒状の箱本体61に上下縁に底板62、蓋板63を折り畳み可能に連接した、従来と同様のダンボール箱と同一構造であって、扁平状態として運搬可能なものである(
図2、
図3参照)。
この梱包箱60も、
図7に示すように、四角状に組み立てると、下部にパレット70を収納し、そのパレット70上に仕切弁V
2を載置し、その仕切弁V
2の弁キャップ5に押さえパット30を嵌め込むことができる大きさとなっている。この実施形態においては、高さH
2:693mm、横幅(
図7において前後方向)B
2:310mm、左右幅(
図7において左右方向)W
2:530mmとし、K6W-474ダンボールを使用し、トムソン加工によって下記ミシン目65等を形成した。
【0031】
この梱包箱60の前後側面(側板)の下部両側には、下向きコ字状のミシン目65で形成された孔64が形成されており、この孔64内のダンボール片64aをミシン目65を介して外側又は内側に切り倒すことによってフォークリフト爪を挿入可能な爪孔64が形成される(
図7の鎖線状態参照)。
この両爪孔64の間隔は、使用するフォークリフトの爪(フォーク)の間隔に対応させる。この実施形態においては、上記実施形態に比べて側面(側板)の縁より内側に縦方向のミシン目65が位置して底板まで至っている。
【0032】
パレット70は、
図8に示すように、左右方向に長い上下板71、72と、その間に固定された前後方向に長い桁材73と、上板71に固定された負荷材74とからなる。各板(材)71、72、73、74の相互間の固定はねじ釘や接着等と十分な固定強度が得られる限りにおいて任意な手段を採用できる。
【0033】
上板71は前後方向の両端と中央に位置して計3枚からなり、下板72は前後方向の両端に位置して計2枚である。この上下板71、72の数は5枚等と強度を考慮して支障が無い限りにおいて任意である。この実施形態では、上下板71、72の左右方向(
図8(a)において左右方向)長さL
7:515mm、同幅(
図8(a)において上下方向)w
7:75mm、高さ(厚み)t
7:14mmとした。
【0034】
桁材73は左右とその中央に位置して計3枚(本)からなる。この桁材73の間隔は、このパレット70を梱包箱60に入れた際、その両側の桁材63が上記爪64を塞ぐことなく、フォークリフト爪が挿入可能となるように設定する。この桁材73の数は4枚(本)等と強度や前記爪孔64を考慮して支障が無い限りにおいて任意である。この実施形態では、桁材73の前後方向長さL8:305mm、同左右方向の幅w8:50mm、同高さ(厚み)t8:50mm、間隔T8:182.5mmとした。
【0035】
負荷材74は前後方向に長い板材であり、左右方向の両端(
図8(a)において左右端)に設けている。この負荷材74の数も強度を考慮して支障が無い限りにおいて任意である。この実施形態では、負荷材74の前後方向長さL
9:305mm、同左右方向の幅w
9:40mm、同高さ(厚さ)t
9:20mmとした。
【0036】
この実施形態の梱包箱構造は以上の構成であり、その梱包作用は上記実施形態のGX形ソフトシール仕切弁V1の場合と同じであるが、この梱包状態は、仕切弁V2の両受口2のフランジ状脚4、4がパレット70の左右の負荷材74、74の上面に係止して、仕切弁V2の左右の動きを少なからず抑制し、押さえパット30によって仕切弁V2の上下左右の動きが規制される。このため、仕切弁V2が安定して梱包され、この梱包状態において段積みが可能である。
【0037】
なお、この発明に係る上記各実施形態の梱包箱構造によると、従来の
図10に示す梱包箱構造に比べて梱包時間がほぼ半減し、費用においても大きく低減できた。
【0038】
上記各実施形態において、爪孔14、64は、ミシン目15、65を介してそのミシン目周りにダンボール片を押し込み・切り倒して形成しても、その切り倒したダンボール片を外側に引き出して良い。 上記パレット20、70の下板22、72は省略し得る。そのパレットの材料は木材に限らず、弁の重さに耐える強度を有する限りにおいて、プラスチック、ダンボール等を採用し得る。
また、押さえパット30もダンボールに限らず、木材やプラスチックを採用することができ、その形状は、梱包箱10、60の大きさに適宜に対応させることは勿論である。
【0039】
因みに、爪孔14、64はフォークリフトのホーク(爪)を挿し通す以外に、チェーンやロープを通して梱包箱10、60を吊り上げる場合もある。このため、例えば、
図2のように、梱包箱10、60の側板(表面)の爪孔14、64の近傍に、「OPEN」の文字やチェーンやロープの絵を描いて、ミシン目15、65で囲まれた部分を切り落とし又は切り起こして爪孔を開口し、その爪孔にチェーン、ロープを通して吊り上げ得ることを示すことが好ましい。この文字及び絵は、上記各実施形態の梱包箱10、60に限らず、ミシン目15、65で囲まれた爪孔14、64の機能を示すためであるから、爪孔14、64を有する種々の梱包箱に採用することができる。また、その文字及び絵の態様は、意匠的に斬新であり、この実施形態の梱包箱に限らず、種々の大きさ・態様の梱包箱に採用し得る。
【0040】
また、上記実施形態において、例えば、
図2に示すように、ミシン目15(65)を上部に2条形成し、その両ミシン目15間を打ち破ってその穴に手を入れて内側片14a、64aを外側に切り倒すこともできる。
【0041】
上記各実施形態は、GX形ソフトシール仕切弁V1、V2のSE-20形、SE-25形の梱包の場合であったが、他のソフトシール仕切弁、例えば、SE-1形、SE-2形、SE-40形、SE-45形、SE-E0形、SE-E5形、SE-85形、SE-65形、SE-70形等の梱包にも、この発明を採用できることも勿論である。
また、弁以外の被梱包物であって、フォークリフトによって持ち上げ・運搬される各種の物品の梱包にこの発明は採用することができる。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
V1、V2 GX形ソフトシール仕切弁
1 弁箱
2 受口
3 挿し口
4 フランジ状脚(板状脚)
5 弁キャップ
10、60 梱包箱
11、61 梱包箱の箱本体
12、62 同底板
13、63 同蓋板
14、64 爪孔
15、65 爪孔形成ミシン目
20、70 パレット
21、71 パレットの上板
22、72 同下板
23、73 同桁材
24、74 同負荷材
25 止め材
30 押さえパット(中蓋)
31 押さえパットの中央孔(弁軸(弁キャップ)貫通孔)