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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ベーカリー食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 8/04 20060101AFI20240606BHJP
   A21D 8/06 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A21D8/04
A21D8/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019233094
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100403
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】播間 良記
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】関 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 高司
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】秦 太郎
【審査官】石田 傑
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-116907(JP,A)
【文献】PRO BAKERS プロのレシピ 1,Vol.1,株式会社小学館,1999年,pp.80-91
【文献】乳酸菌と発酵,Kin's,Vol.6,2011年,pp.1-11,[online], [令和5年11月9日検索], <URL:https://rd.asahigroup-holdings.com/research/2020/12/vol6.pdf>
【文献】グルメ:パンのおいしい香りは「パンの耳」から出ていた!――『パンの科学』(GetNavi web),毎日新聞,2018年,[online], [令和5年11月9日検索], <URL:https://mainichi.jp/articles/20180809/gnw/00m/040/001000c>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラストを含む発酵基質と、水と、酵母を含む微生物との混合物を発酵させて得られる発酵混合物を、発酵種として用いることを特徴とする、ベーカリー食品用生地の製造方法であって、
該発酵基質における該クラストの含有量が50~100質量%である、
方法
【請求項2】
前記微生物がさらに乳酸菌を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記混合物に含まれるベーカリー食品が発酵ベーカリー食品である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記混合物における水の量が、前記発酵基質100質量部に対して50~250質量部である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
原料粉100質量部と前記発酵種3~60質量部とを含む生地を調製することを含む、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記生地を発酵させることをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法で製造されたベーカリー食品用生地を加熱することを含む、ベーカリー食品の製造方法。
【請求項8】
クラストを含む発酵基質と、水と、酵母を含む微生物との混合物を発酵させることを含み、
該発酵基質における該クラストの含有量が50~100質量%である
ベーカリー食品用発酵種の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発酵種法は、酵母や乳酸菌などの微生物を含む発酵種を用いて生地を発酵させる製パン法である。発酵種としては、小麦粉、ライ麦粉などの穀粉を酵母や乳酸菌で発酵させたサワードウや、米を麹や酵母で発酵させた酒種などが主に用いられている(特許文献1、2を参照)。発酵種法で製造されたパン類は、発酵種由来の成分によって優れた風味を有する。
【0003】
一方、穀粉の代わりに混捏した生地の粉がパンの原料粉に添加されることがある。特許文献3には、乾燥パスタ粉砕物を添加した原料粉を用いることで歯切れのよいベーカリー製品を得られることが記載されている。
【0004】
焼成されたパン類は、通常、焼き色のついた外皮部分に相当するクラストと、白い内相部分に相当するクラムから形成される。クラストは、パンの芳ばしい香りに寄与し、パンの風味に重要な部位であるが、一方でクラムと比べて硬い食感を有する。そのため、サンドイッチなどの調理パンでは、クラスト部分を切り落としてクラム部分だけ用いられることも多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-073219号公報
【文献】特開2013-153663号公報
【文献】特開2007-116907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、良好な風味と食感を有するベーカリー食品を製造することができる発酵種、及びそれを用いて製造したベーカリー食品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、ベーカリー食品と酵母を含む微生物とから調製した発酵種を用いることにより、良好な風味と食感を有するベーカリー食品を製造できることを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、ベーカリー食品と酵母を含む微生物との混合物を発酵させて得られる発酵混合物を、発酵種として用いることを特徴とする、ベーカリー食品用生地の製造方法を提供する。
また本発明は、前記ベーカリー食品用生地を用いたベーカリー食品の製造方法を提供する。
また本発明は、ベーカリー食品と酵母を含む微生物との混合物を発酵させることを含む、ベーカリー食品用発酵種の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供されるベーカリー食品用発酵種を用いることで、良好な甘味と食感を有するベーカリー食品を製造することができる。さらに、該発酵種をクラストから調製することで、さらにベーカリー食品のロースト風味と旨味を向上させることができる。また本発明は、サンドイッチなどの調理パンの製造の際に余ったクラストの有効活用という点でも利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、ベーカリー食品とは、穀粉を主体とする生地を加熱(例えば、焼成、蒸し、揚げ等)して得られる食品をいう。ベーカリー食品には、発酵生地から得られる発酵ベーカリー食品:例えば、食パン(角型食パン、イギリスパン等)、ロールパン、菓子パン(あんパン、クリームパン等)や総菜パン(カレーパン等)、フランスパン(バゲット、バタール等)、ドイツパン(カイザーゼンメル、ライ麦パン等)、ベーグル、クロワッサン、デニッシュ、ピザ、イタリアパン(フォカッチャ、パネトーネ等)、ベルギーパン(ワッフル等)、中近東パン(ナン、ピタパン等)などのパン類;中華まん及び蒸しパン;イーストドーナツ、発酵クラッカー、発酵ビスケット等の発酵菓子、など、ならびに、非発酵生地から得られる非発酵ベーカリー食品:例えば、パイ、クッキー、マフィン、ケーキ等の非発酵焼き菓子など、が包含される。
【0011】
本発明においては、ベーカリー食品と微生物との発酵混合物を、ベーカリー食品用の発酵種として用いる。該発酵混合物は、ベーカリー食品と微生物を含む混合物を発酵させることによって調製することができる。
【0012】
該発酵混合物に用いる微生物は、発酵種に用いることができるものであればよく、好ましい例として酵母、乳酸菌、麹菌、酢酸菌などが挙げられる。好ましくは、該発酵混合物に用いる微生物は、少なくとも酵母を含み、より好ましくは酵母及び乳酸菌を含む。酵母としては、飲食品の製造に使用され得る酵母であれば特に限定されないが、例えばパン酵母、ビール酵母、ワイン酵母、清酒酵母などが好ましく、これらを単独又は組み合わせて用いることができる。パン酵母がより好ましい。また乳酸菌としては、飲食品の製造に使用され得る乳酸菌であれば特に限定されず、例えばラクトバチルス属、ロイコノストック属、ラクトコッカス属、オエノコックス属などの乳酸菌が挙げられ、これらを単独又は組み合わせて用いることができる。ラクトバチルス属の乳酸菌が好ましい。あるいは、該微生物として、パネトーネ種、ルヴァン種、サワー種、ホップス種、果実種などの酵母と乳酸菌を含む成分(発酵種)を用いてもよい。酵母及び乳酸菌は、それぞれ、ベーカリー食品に甘み及び酸味を付与し得る。
【0013】
該発酵混合物に用いるベーカリー食品には、上述のようなベーカリー食品の生地部分(フィリングやトッピングを含まない)を用いることができる。好ましくは、該原料ベーカリー食品は、焼成ベーカリー食品である。また好ましくは、該原料ベーカリー食品は、発酵ベーカリー食品である。該原料ベーカリー食品のより好ましい例としては、発酵生地を焼成して得られたベーカリー食品であり、その例としてはパン類、発酵クラッカー、及び発酵ビスケットが挙げられるが、これらに限定されない。該ベーカリー食品は、いずれの生地部分を使用してもよく、すなわちクラム及びクラストのいずれも使用することができる。本発明の発酵種を用いて製造されるベーカリー食品のロースト風味及び旨味向上の観点からは、好ましくはクラストが使用される。入手容易性、及び余ったクラストの有効活用という観点からは、食パンのクラストがより好ましい。
【0014】
本明細書において、クラストとは、ベーカリー製品の表皮部分に相当する、焼き色のついた箇所を含む部位を指す。ベーカリー製品の種類又は製造条件により、クラストの厚さは異なり得る。例えば通常の食パンであれば、表皮から内側7mmまでの範囲をクラストとして用いることができ、それより内側の部分はクラムとして使用することができる。
【0015】
発酵基質を均質化し、又は発酵を促進する観点から、該発酵混合物に用いる原料ベーカリー食品は粉砕されていることが好ましい。ベーカリー食品の粉砕は、ミルやミキサーなど通常の手段で行うことができる。ベーカリー食品は単独で粉砕されてもよいが、水と混合したのちに粉砕されてもよい。粉砕物のサイズは、発酵に利用できる限り特に限定されないが、細かいほうが生地加工性の点で好ましく、例えば目開き6mmの篩いを通過することが好ましく、より好ましくは目開き1mmの篩いを通過する。
【0016】
該ベーカリー食品は、該微生物のための発酵基質の成分として用いられる。該発酵基質(発酵開始時)における該ベーカリー食品の含有量は、該基質の全量中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、なお好ましくは100質量%である。該発酵基質は、該ベーカリー食品の他に、小麦粉、ライ麦粉等の穀粉、澱粉類、副原料などを混合していてもよい。該副原料としては、脱脂粉乳等の乳製品、モルトシロップ、モルト粉末、砂糖等の糖類、油脂、塩分、などが挙げられる。このうちモルトシロップやモルト粉末は、微生物による発酵を促進させ、又は甘味や風味を向上させる点で副原料として好ましく、また該発酵基質におけるその含有量は、該ベーカリー食品100質量部に対して0~5質量部が好ましい。
【0017】
当該発酵基質と、水、及び上記微生物を含む混合物を発酵させることで、該発酵混合物を調製する。該混合物における水の量は、発酵基質100質量部に対して50~500質量部が好ましく、50~250質量部がより好ましいが、一般的に液種と呼ばれる高加水の発酵種が得られるような多量の水を発酵基質に添加してもよい。水を50質量部以上用いることで、発酵が促進されて、発酵種を用いて得られたベーカリー食品の風味がより増強される。なお、該ベーカリー食品の粉砕を水の存在下で実施した場合は、該粉砕に用いた水を混合物の調製用の水として用いてもよい。該発酵の条件は、微生物種などに応じて適宜調整することができる。好ましい条件の例としては、温度0~40℃、好ましくは5~30℃、より好ましくは10~30℃、湿度60~90%で、6~72時間、好ましくは6~48時間、より好ましくは6~36時間、が挙げられる。
【0018】
得られた発酵混合物を、ベーカリー食品用発酵種として用いる。したがって、本発明により製造されるベーカリー食品は、発酵生地から得られる発酵ベーカリー食品であり、好ましくは、発酵生地を焼成して得られるベーカリー食品である。本発明のベーカリー食品用発酵種を用いて製造されるベーカリー食品の例としては、上記に例示したパン類及び発酵菓子が挙げられる。
【0019】
本発明のベーカリー食品用発酵種(以下、本発明の発酵種ともいう)を用いたベーカリー食品の製造は、発酵種を用いたベーカリー食品の製法についての通常の手順に従って、行うことができる。すなわち、本発明の発酵種を含むベーカリー食品用生地を調製すればよい。例えば、原料粉に本発明の発酵種、及び水分を添加し、混捏してベーカリー食品用生地を製造すればよい。あるいは、予め原料粉と水分とを混捏して粗生地を調製してから、該粗生地に本発明の発酵種を添加し、さらに混捏してベーカリー食品用生地を製造してもよい。生地が中種法で製造される場合は、本発明の発酵種を本捏工程で生地に添加することが好ましい。
【0020】
該ベーカリー食品用生地の原料粉は、穀粉と、必要に応じて副原料を含有する。該原料粉に含まれる穀粉の例としては、小麦粉、ライ麦粉、ライ小麦粉、大麦粉、コーンフラワー、米粉等、及びそれらのいずれか2種以上の組合せが挙げられる。該小麦粉としては、パン類の製造に通常用いる小麦粉、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、全粒粉、デュラム小麦粉、及びそれらのいずれか2種以上の組合せが挙げられるが、中でも、強力粉、準強力粉、中力粉、全粒粉、デュラム小麦粉、及びそれらのいずれか2種以上の組合せが好ましい。該穀粉は、熱処理粉を含んでいてもよいが、得られた生地の弾力及び伸展性、ならびに得られたベーカリー食品の風味の観点からは、非熱処理粉であることが好ましい。また、該穀粉は、一部にα化穀粉を含んでいてもよい。
【0021】
該原料粉に含まれ得る副原料には、ベーカリー食品の製造に通常用いられる副原料、例えば砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、麦芽糖、乳糖等の糖類;卵又は卵粉;加工もしくは未加工の澱粉類;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ粉末、ヨーグルト粉末、ホエー粉末などの乳製品;ショートニングやバター、マーガリンやその他の動植物油等の油脂類;イースト(生イースト、ドライイースト等)、ベーキングパウダー等の膨張剤;イーストフード;乳化剤、増粘剤、甘味料、香料、着色料、アスコルビン酸等の添加剤;食塩等の無機塩類;グルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素類;食物繊維、などを適宜使用することができる。本発明のベーカリー食品用生地の製造に使用される水分は、水道水、天然水、精製水など、ベーカリー食品用生地の製造に通常使用することができる水であれば、特に限定されない。又は水の代わりに牛乳、豆乳等のミルクを使用することもできる。生地の製造に用いる水分の量は、製造するパンの種類や、発酵種の量及びその水分量により適宜調整することができる。
【0022】
本発明によるベーカリー食品用生地の製造方法においては、生地に本発明の発酵種を配合すること以外は、生地の製造の手法は特に限定されず、例えば、ストレート法、中種法、速成法、液種法、冷凍生地法などの各種常法に従って行うことができる。例えば中種法の場合、本発明の発酵種は、中種、本捏のどちらの段階で添加してもよいが、本捏の段階で添加することが好ましい。好ましくは、原料粉(本発明の発酵種の調製に用いた粉成分は含まない)100質量部に対して、本発明の発酵種を、好ましくは1~80質量部、より好ましくは3~60質量部含む生地を調製する。該発酵種の配合量が少ないと、得られたベーカリー食品の風味又は食感が不足することがある。他方、該発酵種の配合量が多すぎると、生地の弾力が弱くなり製パン性が低下する。
【0023】
次いで、該発酵種を配合した生地を、常法に従って、発酵させ、さらに成形、ホイロして、その後加熱することで、ベーカリー食品を製造することができる。加熱の方法としては、焼成、蒸し、揚げ(油ちょう)などが挙げられるが、風味の観点から焼成が好ましい。あるいは、本発明で得られたベーカリー食品用生地を、そのまま、又は発酵もしくは成形した状態、又は半焼成した状態で冷蔵又は冷凍保存し、必要に応じて解凍及び加熱してベーカリー食品を製造してもよい。
【実施例
【0024】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0025】
参考例1 ベーカリー食品粉砕物の製造
強力粉100質量部、生イースト3質量部、パン用品質改良剤0.25質量部、食塩2質量部、砂糖6質量部、脱脂粉乳2質量部、マーガリン5質量部、水72質量部を材料として、下記手順にて食パンを製造した。
(製造手順)
ミキシング:低速2分→中速6分→高速5分
捏上げ温度:27℃
発酵(27℃、75%):60分
分割重量:450g
ベンチタイム:25分
ホイロ(38℃、85%):50分
焼成(上200℃/下230℃):30分
製造した食パンをクラストとクラムに分け、それぞれをフードプロセッサー(ロボクープ magimix 4100)にて5.6mmの篩いを通過する程度に粉砕した。なお、クラストについては、食パンの表皮から内側7mmまでの部分を使用し、残りはクラムとして使用した。
【0026】
実施例1 食パン
1)発酵種の製造
参考例1で製造したクラスト又はクラムの粉砕物を用いて発酵種を製造した。表1の材料をまとめてミキシング(低速2分→高速1分、23℃)し、得られた混合物を表1に示す温度と時間(湿度75%)で発酵させた。得られた発酵混合物を発酵種として用いた。
【0027】
2)食パンの製造
1)で製造した発酵種を含む表1の材料から、下記の手順にて食パンを製造した。
(食パン製造手順)
ミキシング:低速2分→中速6分→高速5分
捏上げ温度:27℃
発酵(27℃、75%):60分
分割重量:450g
ベンチタイム:25分
ホイロ(38℃、85%):50分
焼成(上200℃/下230℃):30分
【0028】
3)パンの評価
2)で製造したパンの風味、味わい及び食感を評価した。評価は、訓練した10人のパネラーにより下記評価基準に従って行い、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
<評価基準>
風味(ロースト香)
5点:ロースト風味が強い
4点:ロースト風味がやや強い
3点:ロースト風味をやや有する
2点:ロースト風味がやや乏しい
1点:対照例と同等で、ロースト風味が乏しい味わい
(旨味)
5点:対照例よりも旨味が強い
4点:対照例よりもやや旨味が強い
3点:対照例と同等の旨味である
2点:対照例よりもやや旨味が弱い
1点:対照例よりも旨味が弱い
味わい(甘味)
5点:対照例よりも甘味が強い
4点:対照例よりもやや甘味が強い
3点:対照例と同等の甘味である
2点:対照例よりもやや甘味が弱い
1点:対照例よりも甘味が弱い
食感(しっとりさ)
5点:対照例よりもしっとりしている
4点:対照例よりもややしっとりしている
3点:対照例と同等のしっとりさである
2点:対照例よりもややしっとりさが弱い
1点:対照例よりもしっとりさが弱い
【0029】
【表1】
【0030】
実施例2 食パン
実施例1と同様の手順で、ただし表2の配合に従って発酵種及び食パンを製造し、評価した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
実施例3 バタール
1)発酵種の製造
参考例1で製造したクラスト粉砕物を用いて発酵種を製造した。表3の材料をまとめてミキシング(低速2分→高速1分、23℃)し、得られた混合物を表1に示す温度と時間(湿度75%)で発酵させた。得られた発酵混合物を発酵種として用いた。
【0033】
2)バタールの製造
1)で製造した発酵種を含む表3の材料から、下記の手順にてバタールを製造した。
(バタール製造手順)
ミキシング:低速7分→高速5分
捏上げ温度:25℃
発酵(27℃、75%):60分、パンチ30分
分割重量:350g
ベンチタイム:30分
ホイロ(38℃、85%):50分
焼成(上240℃/下220℃):23分
【0034】
3)パンの評価
2)で製造したパンの風味、味わい及び食感を、実施例1と同様の手順で評価した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例4 クロワッサン
表4の材料から下記の手順にてクロワッサンを製造し、実施例1と同様の手順で評価した。発酵種には、製造例1-1と同じ手順で、但し発酵温度27℃で発酵させた発酵混合物を用いた。結果を表4に示す。
(クロワッサン製造手順)
ミキシング:低速5分→高速2分
捏上げ温度:25℃
発酵(27℃、75%):45分
リタード:-40℃、10分→-3℃
折込み:3つ折り3回、最終厚3mm
分割重量:55g(20×10cm)
ラックタイム:15分
ホイロ(32℃、80%):90分
焼成(上220℃/下210℃):17分
【0037】
【表4】
【0038】
実施例5 ロールパン
表5の材料から下記の手順にてロールパンを製造し、実施例1と同様の手順で評価した。発酵種には実施例4で用いたものを用いた。結果を表5に示す。
(ロールパン製造手順)
ミキシング:低速3分→中速5分→高速1.5分→油脂添加
→低速2分→中速6分→高速4分
捏上げ温度:27℃
発酵(27℃、75%):60分
分割重量:50g
ベンチタイム:20分
ホイロ(38℃、85%):60分
焼成(上220℃/下210℃):8分
【0039】
【表5】
【0040】
実施例6 ブリオッシュ
表6の材料から下記の手順にてブリオッシュを製造し、実施例1と同様の手順で評価した。発酵種には実施例4で用いたものを用いた。結果を表6に示す。
(ブリオッシュ製造手順)
ミキシング:低速5分→中速1.5分→油脂添加→中速15分
捏上げ温度:27℃
発酵(27℃、75%):45分→4℃オーバーナイト(15時間)
分割重量:40g
ベンチタイム:40分
ホイロ(28℃、80%):60分
焼成(上200℃/下220℃):15分
【0041】
【表6】