(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ワークピースの熱特性に応じて調整して冷却するアディティブマニュファクチャリング
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20240606BHJP
B29C 64/364 20170101ALI20240606BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240606BHJP
B22F 10/30 20210101ALI20240606BHJP
B22F 10/32 20210101ALI20240606BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240606BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240606BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240606BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240606BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/364
B29C64/153
B22F10/30
B22F10/32
B22F10/28
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020048033
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・エイチ・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ビー・キャッスル
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エルウィン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ジョセフ・イーズリー
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0047089(US,A1)
【文献】特開2017-056724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0001437(US,A1)
【文献】特開2019-048450(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106799832(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B22F 10/00 - 12/90
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元ワークピース(30)のアディティブマニュファクチャリング用の方法(700)であって、
アディティブマニュファクチャリングプロセスに従ってワークピース(30)の形状を成すように基板(28)上に物質(M)を堆積させることと、
前記アディティブマニュファクチャリングプロセス中に前記ワークピース(30)の少なくとも一つの部分(42)の熱特性(40)を決定することと、
前記少なくとも一つの部分(42)の熱特性(40)が該部分(42)に関連する閾値(50)を超えているかどうか決定することと、
前記少なくとも一つの部分(42)の熱特性(40)が該部分(42)に関連する閾値(50)を超えているとの決定に応じて、前記ワークピース(30)に適用される冷却流の冷却パラメータを調整することと、
前記ワークピース(30)の前記少なくとも一つの部分(42)に調整済みの冷却パラメータで冷却流を適用することと、を備え、
前記熱特性(40)が時間温度特性であり、前記閾値(50)が、閾値温度を超えていた閾値期間を含む、方法(700)。
【請求項2】
前記冷却パラメータが冷却剤流量と冷却剤温度とのうちの少なくとも一方である、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項3】
前記部分(42)の表面温度を測定することによって、前記部分(42)の熱特性(40)が決定される、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項4】
前記熱特性(40)が、前記ワークピース(30)のアディティブマニュファクチャリングプロセスの熱モデル(48)を用いたコンピュータシミュレーションに基づいて決定され、又は、前記部分(42)の表面温度と内部温度とのうちの少なくとも一方をモデル化することによって決定される、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項5】
前記部分(42)が第一部分(42)であり、
前記閾値(50)が第一閾値であり、
前記ワークピース(30)が第二部分(44)を更に含み、
前記冷却パラメータが第一冷却パラメータであり、
前記方法(700)が、
少なくとも前記第一部分(42)の熱特性(40)が前記第一部分(42)に関連する第一閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質(M)の堆積を続けることと、
前記第二部分(44)の熱特性(40)が、前記第二部分(44)に関連する第二閾値であって前記第一閾値とは異なるように構成された第二閾値を超えているかどうかを決定することと、
前記第二部分(44)の熱特性(40)が前記第二部分(44)に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じて、前記ワークピース(30)に適用される冷却流の第二冷却パラメータであって前記第一冷却パラメータとは異なるように構成された第二冷却パラメータを調整することと、
前記第二冷却パラメータで前記ワークピース(30)の第二部分(44)に冷却流を適用することと、
前記第二部分(44)の熱特性(44)が前記第二部分(44)に関連する第二閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質(M)の堆積を続けることと、を更に備える、請求項1に記載の方法(700)。
【請求項6】
後の時点において前記熱特性(40)の後続値を決定することと、
前記熱特性(40)の後続値が前記部分(42)に関連する閾値未満であるかどうかを決定することと、
前記熱特性(40)の後続値が前記閾値(50)未満であるとの決定に応じて、前記ワークピース(30)の少なくとも前記部分(42)に適用される冷却流の調整済みの冷却パラメータを低減することと、を更に備える請求項1に記載の方法(700)。
【請求項7】
アディティブマニュファクチャリング用のシステム(10)であって、
アディティブマニュファクチャリング用の堆積ヘッド(14)と、
冷却剤(C)を適用するように構成された冷却アプリケータ(18)と、
前記堆積ヘッド(14)及び前記冷却アプリケータ(18)に動作可能に結合されたプロセッサ(22)と
命令(26)を記憶しているメモリ(24)と、を備え、
前記命令(26)は、前記プロセッサ(22)によって実行されると、
アディティブマニュファクチャリングプロセスに従ってワークピース(30)の形状を成すように基板上に物質(M)を堆積させることと、
前記アディティブマニュファクチャリングプロセス中に前記ワークピース(30)の少なくとも一つの部分(42)の熱特性(40)を決定することと、
前記少なくとも一つの部分(42)の熱特性(40)が該部分(42)に関連する閾値(50)を超えているかどうか決定することと、
前記少なくとも一つの部分(42)の熱特性(40)が該部分(42)に関連する閾値(50)を超えているとの決定に応じて、前記ワークピース(30)に適用される冷却流の冷却パラメータを調整することと、
前記ワークピース(30)の前記少なくとも一つの部分(42)に調整済みの冷却パラメータで冷却流を適用することと、をシステム(10)に行わせる、システム(10)
であって、
前記熱特性(40)が時間温度特性であり、前記閾値(50)が、閾値温度を超えていた閾値期間を含む、システム(10)。
【請求項8】
前記部分(42)が第一部分(42)であり、
前記閾値(50)が第一閾値であり、
前記ワークピース(30)が第二部分(44)を更に含み、
前記冷却パラメータが第一冷却パラメータであり、
前記メモリ(24)が記憶している命令(26)は、前記プロセッサ(22)によって実行されると、
少なくとも前記第一部分(42)の熱特性(40)が前記第一部分(42)に関連する第一閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質(M)の堆積を続けることと、
前記第二部分(44)の熱特性(40)が、前記第二部分(44)に関連する第二閾値であって前記第一閾値とは異なるように構成された第二閾値を超えているかどうかを決定することと、
前記第二部分(44)の熱特性(40)が前記第二部分(44)に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じて、前記ワークピース(30)に適用される冷却流の第二冷却パラメータであって前記第一冷却パラメータとは異なるように構成された第二冷却パラメータを調整することと、
前記第二冷却パラメータで前記ワークピース(30)の第二部分(44)に冷却流を適用することと、
前記第二部分(44)の熱特性(40)が前記第二部分(44)に関連する第二閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質(M)の堆積を続けることと、をシステム(10)に更に行わせる、請求項
7に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記少なくとも一つの部分(42)の熱履歴(40)が、前記ワークピース(30)の熱履歴(62)の一部としてメモリ(24)に記憶される、請求項
7に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記熱履歴(62)が、前記ワークピース(30)の前記少なくとも一つの部分(42)の測定温度と、前記部分(42)に関連する閾値と、製造中に用いられる冷却設定(110)と、製造中に発令される冷却命令(52)とのうちの少なくとも一つを含む、請求項
9に記載のシステム(10)。
【請求項11】
複数のワークピース(30)についての熱履歴(62)を含むトレーニング用データセット(96)でのトレーニング時間においてトレーニング用計算デバイスを用いてトレーニングされることによって、トレーニング済みの分類器(98)を生成する機械学習モデル(94)を更に備え、
前記分類器(98)は、前記プロセッサ(22)で実行されると、現在のワークピース(30)の製造中に用いられている冷却命令(52)及び/又は冷却設定(110)の実行時入力が、現在のワークピースが所定の品質試験に合格することをもらすのか又は不合格となることをもたらすのかを実行時において予測する、請求項
10に記載のシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アディティブマニュファクチャリング(AM,additive manufacturing)システム及び方法に係り、特に、アディティブマニュファクチャリングプロセス中のワークピースの制御された冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
アディティブマニュファクチャリング(AM)とは、3Dモデルデータから部品を製造するように物質同士を接合する、通常は層毎に積層するプロセスを称する。近年では、アディティブ技術は、航空宇宙、自動車、医療、消費者向け製品などの多種多様な製造分野において採用されてきている。
【0003】
AMプロセスでワークピースを生成するのに使用可能な物質は多種多様であり、プラスチック、金属、セラミック、複合材が挙げられる。こうした物質は、通常は、液体又は粉末状で供給され、AMプロセス中に加熱され、互いに接合される。例えば、溶融物質系では、予熱チャンバが物質の温度を融点まで上げて、物質が伝送系を介して流れることができるようにする。熱可塑性物質が使用される場合、AMプロセスはレーザー焼結法を含むことが多く、パワー源としてレーザーを用いて、粉末状物質を焼結させ、物質を互いに接合させて、固体構造体を形成する。金属部品を構築する際によく用いられる手法として、部分溶融プロセスと完全溶融プロセスが挙げられる。残存熱応力を低減したり、製造される金属部品の微細構造を最適化したりするために熱処理が適用され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各AMプロセスでは、ワークピースの異なる部分の無制御な加熱と冷却が、例えば、結果物のワークピースにおける異なる微細構造や粒径に起因して、ワークピース全体にわたって一貫性のない物理的特性、熱的特性、機械的特性及び/又は化学的特性をもたらし得る。このため、アディティブマニュファクチャリングで製造された部品は、空間的に変動している加熱と冷却に起因して歪んでいることが多い。層状にアディティブマニュファクチャリングで製造される一部の物質にとっては、ワークピース全体にわたって一貫性のある異方性を維持することが重要であるが、無制御の冷却はこうした特性に悪影響を与え得る。上記の点に鑑みると、高品質のワークピースを製造するためには、AMプロセス中においてワークピースの加熱及び冷却を適切に制御することという課題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の点に対処するため、本開示の一態様によると、三次元ワークピースのアディティブマニュファクチャリング用の方法が提供される。本態様の方法は、アディティブマニュファクチャリングプロセスにおいてワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることと、アディティブマニュファクチャリングプロセス中にワークピースの少なくとも一つの部分の熱特性を決定することを含む。本方法は、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えているかどうかを決定することと、その決定に応じてワークピースに適用される冷却流の冷却パラメータを調整することとを更に含む。本方法は、ワークピースの少なくとも一つの部分に調整済みの冷却パラメータで冷却流を適用することを更に含む。
【0006】
本開示の他の態様は、アディティブマニュファクチャリング用の堆積ヘッドと、冷却剤を適用するように構成された冷却アプリケータと、堆積ヘッド及び冷却アプリケータに動作可能に結合されたプロセッサと、プロセッサによって実行されると上述の方法を装置に行わせる命令を記憶しているメモリとを有するアディティブマニュファクチャリング装置に関する。
【0007】
本開示の更に他の態様は、以下のとおりの三次元ワークピースのアディティブマニュファクチャリング用の方法に関する。本態様の方法は、アディティブマニュファクチャリングプロセスに従ってワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることと、物質の複数の部分の熱特性を測定することと、を含む。複数の部分の各々は、対応上限閾値と、対応下限閾値と、対応閾値期間を有する。本方法は、複数の部分のうちの所与の部分の熱特性が、所与の部分に関連する対応上限閾値を対応閾値期間(その対応閾値期間において対応上限閾値を超えている)にわたって超えているかどうかを決定することを更に含む。本方法は、所与の部分の熱特性が対応閾値期間にわたって対応上限閾値を超えているとの決定に応じて、物質の堆積を一時停止して、所与の部分に対する冷却剤の適用を増やすことを更に含む。本方法は、所与の部分の熱特性が所与の部分に関連する対応下限閾値未満であると決定されるまで冷却剤を適用することと、所与の部分の熱特性が対応閾値期間にわたって対応下限閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質の堆積を再開することを更に含む。
【0008】
上述の特徴、機能及び利点は、多様な実施形態において独立して達成可能であり、他の実施形態においては組み合わせ可能であるが、その詳細は以下の説明及び図面を参照して明らかとなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に係るAMシステムを表す例示を示す。
【
図2】
図1のAM装置のロボットアームに備わった堆積ヘッドと冷却剤アプリケータと熱センサの部分的な例示を示す。
【
図3】
図2の堆積ヘッドとその近傍に位置する熱センサの部分的断面図を示す。
【
図4】
図1のAMシステムの冷却サブシステムを表す例示を示す。
【
図5】
図1のAMシステムの出力データに含まれるワークピースの熱履歴の例示を示す。
【
図6】ワークピースのボクセル範囲について熱履歴内に含まれるデータのプロットを示す。
【
図7】
図1のAMシステムによって行われる機械学習の例示を示す。
【
図8】本開示の例示的な実施形態に従って行われる方法の工程の例示を示す。
【
図9】
図8に示される方法に従って行われる追加工程の例示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記検討事項に鑑み、アディティブマニュファクチャリングで製造されるワークピースの部分を冷却するためのシステムと方法が提供される。ワークピースの温度や時間温度特性(time‐at‐temperature)等の熱特性が、測定やコンピュータシミュレーションを介して、閾値を超えていると決定されると、ワークピースを適切に冷却するようにワークピースの冷却が調整される。結果として、目標とする機械的特性及び寸法特性をより確実に達成することができる。ワークピースが示す熱特性とAMプロセス中にワークピースに対して行われる冷却についての熱履歴データを記録して、以下で詳述するように後で参照するために出力する。この熱履歴情報は多様な目的で使用され、例えば、製造されたワークピースの異常を検出したり、品質を改善するための下流の製造工程を変更したりするのに使用される。
【0011】
まず、
図1を参照すると、AMシステム10が、物質Mを堆積させるように構成されたAM堆積ヘッド14を含む堆積サブシステム12と、冷却剤Cを適用するように構成された冷却アプリケータ18を含む冷却サブシステム16と、コントローラ20とを備えて提供され、そのコントローラ20は、堆積ヘッド14及び冷却アプリケータ18に動作可能に結合されたプロセッサ22と、命令26を記憶しているメモリ24とを含み、命令26は、プロセッサ22によって実行されると、プロセッサ22がシステム10を制御して、本願記載のAMプロセスの工程を行うようにする。
【0012】
プロセッサ22はマイクロプロセッサであり、中央処理ユニット(CPU,central processing unit)、グラフィック処理ユニット(GPU,graphical processing unit)、特定用途向け集積回路(ASIC, application specific integrated circuit)、システムオンチップ(SOC,system on chip)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA,field programmable gate array)、論理回路、又は本願記載の機能を行うように構成された他の適切な種類のマイクロプロセッサのうちの一つ以上を含む。メモリは、典型的には、外部印加電力がなくても記憶されたデータを保持する不揮発性メモリ、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、リードオンリメモリ(ROM,read only memory)、エレクトリカリーイレーサブルプログラマブルメモリ(EEPROM,electrically erasable programmable memory)等や、プログラムの実行中に電力が印加されている限りにおいてのみデータを一時的に記憶する揮発性メモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM,random access memory)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM,static random access memory)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM,dynamic random access memory)等を含む。命令26は、一つ以上のプログラムと、本願記載の工程を行うのに十分なようにそうしたプログラムによって用いられるデータを含む。
【0013】
コントローラ20のプロセッサ22は、ワークピース30の形状を成すように基板28上に物質Mを堆積させることを含むAMプロセスをAM製造システム10に行わせるように構成される。ワークピース30の形状は、コンピュータ支援描画(CAD,computer aided drafting)モデル32で典型的には定められ、そのCADモデル32は、スタンダードテッセレーションランゲージ(STL,standard tessellation language)やアディティブマニュファクチャリングフォーマット(AMF,additive manufacturing format)等の多様なフォーマットのものであり得る。ワークピース30は事実上無制限の多種多様な形態とサイズを取り得て、ギア、シャフト、チューブ、フレーム、筐体が挙げられ、その長さは数ミリメートル、数センチメートル、更には数メートルに及ぶ。制御プログラム34がCADモデル32を解釈して、付加的にワークピースを形成するように積層される複数の堆積経路を含む製造計画を立てる。層の堆積中における堆積ヘッド14とワークピースの相対的な移動によって、各堆積経路が一層で生じる。制御プログラム34は、堆積命令36を堆積サブシステム12に送信することをプロセッサ22に行わせて、堆積サブシステム12は、製造計画に従って、堆積経路に沿った適切な位置に堆積ヘッド14を移動させ、物質供給源38から物質供給ライン39を介して引き込んだ物質Mを堆積させる。
【0014】
AMプロセス中において、プロセッサ22は、ワークピース30の少なくとも一つの部分、例えば第一部分42や第二部分44等の熱特性40を決定するように構成される。以下では、第一部分42に関する熱特性の決定とその後の冷却を説明するが、その説明は第二部分44にも等しく適用可能なものである。第一部分42の多様な熱特性が決定可能である。例えば、熱特性40は、時間温度特性(time‐at‐temperature)、つまり、ワークピークの一部分が或る閾値温度において経過した累積的な期間であり得る。決定可能な熱特性40の他の例として、温度勾配、時間に対する又は或る領域内のピーク温度、時間に対する又は或る領域内の平均温度が挙げられる。
【0015】
部分の熱特性40は、例えば、その部分の表面温度を測定することによって決定可能である。第一部分42の表面温度は熱センサ46によって測定可能である。適切な熱センサの例として、パイロメータ46A、赤外線カメラ46B、サーモメータ46Cが挙げられるが、代わりに他の種類の熱センサを使用してもよい。一つの具体例では、非接触赤外線パイロメータ46Aが使用され得る。ワークピースの直接測定の代わりに、ワークピース用のAMプロセスの熱モデル48を用いたコンピュータシミュレーションに基づいて熱特性40を決定することができ、第一部分42の内部温度と外部温度の両方を推定することができる。コンピュータシミュレーションは、AMプロセス中の物質の堆積によって生じる熱伝達の有限要素分析を含む。従って、本例では、熱モデル48は、CADモデル32に基づいた有限要素モデル(FEM,finite element model)を含み、これは、付加的な堆積要素がワークピース30の各層に加えられる毎の各製造段階におけるワークピース30の表現を含む。
【0016】
プロセッサ22は、少なくとも部分42の熱特性40が第一部分42に関連する閾値50を超えているかどうかを決定するように構成される。一例として、熱特性40が時間温度特性(time‐at‐temperature)である場合には、閾値50は、閾値温度を超えていた閾値期間を含む。コンピュータシミュレーションを用いてワークピースの温度を推定する場合、閾値50は、例えば、FEMモデルにおける有限要素又はそのような要素の領域の閾値温度、温度勾配、平均温度、時間温度特性(time‐at‐temperature)等であり得る。
【0017】
プロセッサ22は、少なくとも第一部分42の熱特性40が第一部分42に関連する閾値50を超えているとの決定に応じて、冷却サブシステム16に冷却命令52を発令して、ワークピース30に適用される冷却剤Cの冷却流の冷却パラメータを調整するように更に構成される。また、プロセッサ22は、ワークピース30の少なくとも第一部分42に対して調整された冷却パラメータで冷却剤Cの冷却流を冷却サブシステム16を介して適用するように構成される。冷却剤Cの冷却流は、冷却タンク54から、冷却ライン56とバルブV5を介して、圧縮器58と冷却器60を通って、アプリケータ18によってワークピース30に向けて放出される。ワークピース30の第一部分42の決定された熱特性40は、ワークピース30の熱履歴62の一部としてメモリ24に記憶され得る。熱履歴62のより詳細な説明については、以下で
図5と
図6を参照して示す。熱履歴62は、出力データとしてプロセッサ22によって出力され得て、その出力データは、データファイルやデータコレクションであり得て、媒体に記憶され、又は、コンピュータネットワーク上で受信計算デバイスに送信される。熱履歴62は、製造中において、例えば、部品を使い始める前の検査中において、又は、部品を使い始めた後の検査中において、ワークピースの実際の条件の下流での試験を可能にし得る。他の例として、一組のワークピース30の熱履歴62を比較して、その組の中での品質特性の分布を決定し得る。
【0018】
閾値50は、ワークピース30内での第一部分52の位置に応じて異なり得て、また、ワークピース30を形成するように堆積される物質Mに応じても異なり得る。更に、閾値50は、AMプロセスの現段階に基づいて異なり得る。閾値50は、固化したワークピースの物質特性に対して影響を有する動作温度に設定され得る。具体的な一例では、チタン合金はα相とβ相の主な二つの相を有する。チタン合金のβトランザス温度は略1800°F又はそれ以上である。エイジング温度(時効温度)は略1200~1400°Fである。製造されるワークピース30の微細構造と後の物質特性は、βトランザスを超える又はちょうど下回る温度での経過時間(time‐at‐temperature)、こうした高温からの冷却率、エイジング温度やその付近での経過時間(time‐at‐temperature)に応じて顕著に異なり得る。熱処理は、こうした相のサイズや形状や割合に影響し、また後の物質特性に影響する。製造中にワークピース30の熱条件を制御することによって、最終的なワークピース30の微細構造を制御することができる。この制御を達成するため、例えば、閾値50は、物質Mのβトランザス温度(例えば、1800°F)に設定され、又は、βトランザス温度未満の所定の値に設定され、又は、エイジング温度範囲内の或る温度(例えば、1300°F)に設定され得る。
【0019】
冷却パラメータは、冷却剤流量と冷却剤温度とのうちの少なくとも一方であり得る。冷却剤Cは、液体と気体とのうちの少なくとも一方であり得て、例えばアルゴン等である。冷却流は、少なくとも第一部分42の熱特性40が第一部分42に関連する閾値50未満であるとプロセッサ22が決定するまで、適用され得る。この時点において、冷却剤の適応を減らして、物質Mの堆積を続行し得る。
【0020】
冷却パラメータの調整は、冷却剤の温度を調整すること及び/又は冷却流を調整することによって行われ得る。冷却剤の温度は、冷却剤のガス又は液体の温度を変更することによって調整され得る。冷却流は、放出される冷却剤の流量を変更することによって調整され得る。冷却剤の流量の変更は、冷却剤のCの圧力を制御する冷却剤圧縮器58を調整することによって達成され得る。第一部分42は、冷却剤Cの温度に応じて急速冷却されるか又はより穏やかなペースで冷却され得る。冷却の適用は、AMプロセスに応じて断続的に又は連続的に進行し得る。
【0021】
従って、制御された冷却の適用が、第一部分42が熱くなり過ぎることを防止する。このように制御された冷却の適用の利点として、調整された機械的特性と微細構造、一貫した堆積層の厚さ、少ない欠陥数、少ない粒成長、少ない残留応力、予測可能な開始ストックの提供が挙げられる。こうした利点は、最終的なワークピース30の機械加工、プログラミング、検査の節約に繋がり得て、堆積後処理を低減又は排除する可能性がある。熱特性40の閾値50、冷却剤の流量及び冷却剤の温度は、使用される物質と所望の機械的特性に基づいて設定され得る。
【0022】
特定の実施形態では、ワークピースの部分は上述のように第一部分42であり得て、閾値50は第一閾値であり得て、冷却剤パラメータが第一冷却パラメータであり得て、ワークピース30が第二部分44を更に含み得る。AMプロセスは、第二部分44の熱特性が第二部分44に関連する第二閾値を超えているかどうかを決定することを更に含み得て、第二閾値は、第一閾値とは異なるように構成され、第二部分44の熱特性が第二部分44に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じてワークピース30に適用される冷却流の第二冷却パラメータを調整し、第二冷却パラメータは、第一冷却パラメータとは異なるように構成され、第二冷却パラメータを有する冷却流をワークピース30の第二部分44に適用し、第二部分44の熱特性が第二部分44に関連する第二閾値未満であるとの決定に応じて冷却剤の適用を減らし、物質の堆積を続行する。このようにして、ワークピース30の冷却が、ワークピースの空間的構成に基づいて調整され得て、第一部分42と第二部分44に異なる閾値が適用されるので、異なる冷却命令が生成されるようになる。
【0023】
図2は、
図1のAMシステム10の堆積ヘッド14と冷却アプリケータ18の構成の一例を示す。図示されるように、物質Mは、物質供給源38から物質供給ライン39を介して堆積ヘッド14に供給されるので、堆積ヘッド14が、一連の堆積で物質Mを堆積させて、3Dワークピース30を一欠片毎で一層毎に構築することが可能になる。物質供給源38は、例えば粉末供給容器であり得る。他の例では、フィラメントのスプールやカセットが使用され得る。堆積ヘッド14は、例えば、粉末状の物質Mを放出するための固定又は可変のノズル直径を有するノズルであり得る。他の構成では、押し出しノズルが使用され得る。更に、代替案では、図示されているノズルが二つ以上、堆積ヘッド14に含まれ得る。つまり、ノズルの直径とノズルの数は機器毎に異なり得る。一部構成では、ノズル14は、テーパ状の円錐設計の同軸ヘッドとして構成され得て、レーザーによって形成される溶融プールの周りの360度全体に粉末状物質を提供し、レーザーによって形成された溶融プールに粉末状物質を向ける。
【0024】
レーザー源63や他の光源が堆積ヘッド14内に提供され得て、放出された粉末状物質Mを焼結し、物質M同士を接合し、焼結物質の固体構造を形成するレーザービームLを放出するためのパワー源として使用される。ロボット65のロボットアームが、ワークピース30に対して相対的な堆積方向において堆積ヘッド14を移動させるにつれて、粉末状物質MがレーザービームLによって接合されて、固化した物質Mのラインが形成される。基板28上に堆積される物質Mは特に限定されず、金属、例えば、鋼やその合金、チタンやその合金、ニッケル、アルミニウム、銅、マグネシウム、コバルト‐クロム、タングステン等であり得る。更に、物質Mはポリマーや複合材であってもよい。図示されている実施形態では、堆積ヘッド14と冷却剤アプリケータ18が、ロボット65の多関節ロボットアームの先端に取り付けられている。しかしながら、代わりに、堆積ヘッド14と冷却剤アプリケータ18を別々のロボットアームに提供してもよいことは理解されたい。また、堆積ヘッド14の移動も、ロボットのロボットアームによる移動に限定されず、代わりに、堆積ヘッド14を、例えば、ガントリーやプラットフォームを介して移動させてもよい。他の実施形態では、堆積ヘッド14と冷却剤アプリケータ18は設置箇所に固定され、移動式プラットフォームが基板28上のワークピース30を移動させて、AMプロセスを促進する。
図2では、熱センサ46はロボットアームに取り付けられたものとして図示されている。代わりに、熱センサを、冷却剤アプリケータ18と堆積ヘッド14とは別のロボットアームに取り付けたり、他の表面、例えば、製造エンクロージャの壁に取り付けたりしてもよいことを理解されたい。熱センサ46は、熱センサ46の測定範囲66がワークピース30の少なくとも第一部分42と第二部分44を含むようにして位置決めされる。
【0025】
図3は、
図1と
図2の例示的な実施形態の堆積ヘッド14と冷却アプリケータ18の断面図を示す。図示されるように、粉末状物質Mが堆積ヘッド14の内部通路68を通って運ばれて、堆積サイトにおいて溶融ゾーン70に流れ、その堆積サイトの箇所において、レーザービームLが、粉末状物質Mを溶融及び焼結させるエネルギーを提供して、(加熱の際に)粉末状物質を接合させて、(冷却の際に)固化物質Mに固化させる。堆積ヘッド14は堆積中にワークピース30に対して相対的な堆積方向に移動し、堆積ヘッド14とワークピース30の一方又は両方の移動がこの相対的な移動を可能にする。堆積物質の冷却は、堆積物質MがレーザービームLの溶融ゾーン70の外に移動した後、及び/又は、レーザービームLをオフにした後に生じる。冷却剤Cは、冷却アプリケータ18を流れて、堆積物質Mを冷却するように向けられる。
図3に示されるように、熱センサ46は、堆積物質Mの少なくとも一つの部分を含む測定範囲66を有するものとして図示されていて、ワークピース30の部分の堆積物質Mの熱特性40を測定することができる。測定された熱特性40に基づいた冷却流のフィードバック制御について以下説明する。
【0026】
図4は、
図1の例示的な実施形態の一つの想定される冷却流の経路を示す。図示されるように、レーザー自由造形製造技術(LFMT,laser freeform manufacturing technology)エンクロージャとして示されているエンクロージャ72内に含まれる冷却剤タンク54から冷却剤Cが供給される。エンクロージャ72は典型的には実質的に気密性であり、つまり密封されていて、アルゴン等の不活性ガスで実質的に充填されている。本実施形態では、冷却剤Cはアルゴン等の不活性ガスであり、一時的な保管と冷却のために濾過されて、冷却タンク54内に入れられている。他の実施形態では、他のガスや液体が冷却剤Cとして使用され得る。冷却剤タンク54内の冷却剤Cは、圧縮器58が発生させた圧力下においてエンクロージャ72の外に流れ、冷却用の冷却器60に入り、エンクロージャ72内に戻り、エンクロージャ72の端においてホース連結器74を通過する。圧縮器58は、ブートストラップ圧縮器であり、外部空気圧縮器75を介して作動圧力に加圧された周囲環境からの空気である工場空気(shop air,ショップエア)を動力とする。代わりに、他の種類の圧縮器を用いてもよい。工場空気は、連結器74を介してエンクロージャ72内に供給され、工場空気ループライン76を介して圧縮器58を通り、圧縮器58内のタービン78に動力を与える。圧縮器58内のタービン78が、冷却ライン56内のインペラ80に機械的に接続され、インペラ80を回転させることによって、冷却ライン56を加圧する。工場空気は、工場空気ループライン76を介して圧縮器58の外に流れ、他の連結器74を介してエンクロージャ72を通過して、周囲環境に排気される。バルブV1とV2が、工場空気ループライン76の流入側とエンクロージャ72内に提供されて、圧縮器58に向かう工場空気の流れを制御する。バルブV1とV2は手動で調整されるか、又はコントローラ20の命令下で作動され得る。
【0027】
図4では、冷却器60は渦状冷却器として図示されている。冷却器60は、図示されているように、冷却剤Cからの熱を、工場空気冷却器ライン79を通し、冷却器60を通して工場空気に伝え、高温の工場空気を周囲環境に排気する。エンクロージャ72の外部から流れ込み、クリアボウル81と圧力調整器82とバルブV2を通って流れる工場空気によって圧縮器58に動力が与えられる。工場空気が工場空気ループライン76に提供される際の圧力は、冷却ライン56内の圧力に比例し、圧力設定84に従って設定され、その圧力設定84は、コントローラ20のプロセッサ22が発令する冷却命令52の一部として設定される。
【0028】
コントーラ20が発令する冷却命令52は、流量命令86と温度命令88のうちの一方又は両方を含む。流量命令86は一つ以上のバルブ設定90を含む。流量命令に含まれる一つの具体的なバルブ設定90は、冷却剤アプリケータバルブ設定であり、アプリケータバルブ92に送信され、冷却ライン56によって供給されワークピース30に向けて放出される冷却剤Cの流量を制御する。冷却ライン56の流量の変化を達成するために、他のバルブ設定90が流量命令に含まれて、バルブV1、V2、V3に送信され得る。温度命令TMPは、冷却器60に送信され、冷却器の設定温度を所望の温度に設定し、及び/又は、バルブV4のバルブ設定を調整し得る。このようにして、冷却ライン56中の冷却剤の温度を制御することができる。代わりに、複数の独立した冷却ライン56を提供して、異なる温度に冷却し、混合バルブをアプリケータバルブAVとして提供して、温度命令が混合バルブ用のバルブ設定を含むことによって、異なる冷却ラインからの異なる温度の二種の冷却剤Cを所望の混合比で混合して、ワークピースに向けて放出される冷却剤Cの所望の温度を達成してもよい。
【0029】
冷却器60の後の冷却ライン56の流入側の結合器74の間には十分フレキシブルなホースが冷却ライン56に提供されて、Xパワートラック、Yパワートラック、Zパワートラックの順に沿ったロボット65による冷却剤アプリケータ18の移動に適応する。図示されている実施形態では、冷却剤アプリケータ18と堆積ヘッド14と熱センサ46が一つの多関節ロボットアームに共に取り付けられている。代わりに、複数のロボットアームを提供して、これらの部品をそれぞれ別のロボットアームに独立して取り付けてもよい。更に、多関節ロボットアーム以外の他の種類のメカニズムを用いて、ワークピースと堆積ヘッド14、冷却アプリエータ18、熱センサ46との間の相対的な移動を達成してもよい。例えば、垂直軸や平行軸のフライス盤と同様にして、これら三つの部品をトラニオン型の機器や回転スイベル型の機器に取り付け得る。こうした構成のいずれを用いても、冷却剤アプリケータは三次元の全可動域を実現して、冷却剤Cを供給したままで三次元ワークピース30に作用することができる。
【0030】
図5は、三次元ワークピース30の一部分についての例示的な熱履歴62を示す。熱履歴62は、ワークピースの部分の測定温度(グラフでは実線で示されている)を含む。また、熱履歴62は、第一閾値温度(一点鎖線で示されている)を含み、その第一閾値温度においてワークピースの部分に対する冷却剤の流量が調整され、また、第二閾値温度(二点鎖線で示されている)を含み、その第二閾値温度において冷却剤の温度が調整される。温度が第一閾値温度を超えている時間にわたって、冷却剤流量(点線で示される)を上げる。この区間は、第一閾値温度の温度超過時間と称される。温度が第一閾値温度未満に低下すると、冷却剤流量が下がる。更に、温度が第二閾値温度未満に低下すると、冷却剤温度(破線で示される)を減少させる。各パラメータに関するデータは、後の基準と比較のために熱履歴62に記憶され得る。
【0031】
次いで、
図6を参照すると、出力データ64に出力された熱履歴62の他の例が示されている。図示されるように、ワークピース30は複数の三次元ボクセルに分割され得て、そのボクセルは、最小堆積サイズ、つまり、アディティブマニュファクチャリングプロセスの堆積分解能にほぼ対応する。図示されている熱履歴62は、ボクセル毎に測定された熱データを含む。代わりに、熱履歴62は、ワークピースの或るボクセル範囲についての熱データ、又はワークピース全体の熱データを含み得る。
図1に示される第一部分42と第二部分44は、ワークピース30内の各ボクセルであり得て、又は各ボクセル範囲であり得ることを理解されたい。図示されている熱履歴62は、各ボクセルについて、製造プロセス中の温度超過時間の測定値と、冷却剤流量を含む。冷却流が適用されるにつれて、冷却流の温度、流量、圧力等が測定され得る。
【0032】
図7に示されるように、システム10は、トレーニング用計算デバイスのプロセッサ及び関連メモリを用いて機械学習アルゴリズムを実施して、ワークピース30に行われる冷却工程が何時不適切になる可能性があるのかを学習して、製造プロセス中に適切な測定を行い、冷却工程の適切性を保証し得る。例えば、トレーニング用データセット96に基づいて、畳み込みニューラルネットワーク等の機械学習モデル94のトレーニングを行って、トレーニング済み分類器98を生成し、その分類器98をアディティブマニュファクチャリングシステム10において実行時(ランタイム)に用いて、潜在的な冷却の不適切性を特定し得る。トレーニング用データセット96は、出力データ64の熱履歴62と、CADモデル32と、テストデータ100を含む。熱履歴62は、例えば、各ワークピースについて、製造中に用いられる冷却設定110、製造中に発令される冷却命令52、製造中に取られるワークピース30の熱特性40の熱測定値111を含む。CADモデル32は、各ワークピースについて、ワークピースの幾何学的形状を含む。また、CADモデル32は、ワークピース30の製造に用いられる堆積経路データを含み得る。図示されている例では、トレーニング用データセット96はテストデータ100を含み、そのテストデータ100は、各ワークピース30について、製造後品質試験の所定の品質試験の結果115を含む。こうした結果は、合格と不合格で表され得て、又は、高品質、中品質、低品質等の他のカテゴリーのものとなり得る。試験結果115は、機械学習モデル94のトレーニングにおけるグラウンドトゥルースとして機能する。各ワークピースの製造中に熱センサ46で取られた熱特性40の熱測定値111もグラウンドトゥルースとして使用され得る。畳み込みニューラルネットワークの場合に機械学習モデル94をトレーニングするためには、冷却設定110と命令52を含む入力ベクトルを生成し、出力分類を試験の結果となるように設定する。一実施形態では、熱測定値111をフィルタリングして、グラウンドトゥルース出力分類として使用し得る。例えば、熱測定値111は二つの分類にフィルタリングされ、具体的には、ワークピースについて「許容時間温度特性(permitted time‐at‐temperature)を超えた」と「許容時間温度特性(permitted time‐at‐temperature)を超えなかった」にフィルタリングされ得る。熱測定値111を試験データとして使用することで、畳み込みニューラルネットワークによる消費用のトレーニング用データセット96を準備するのに必要な時間をカットダウンすることによって、ニューラルネットワークのトレーニング時間を大幅に削減することができる。多数のワークピース30についてトレーニング用データセット96を試すことによって、トレーニング済み分類器98を生成することができ、その分類器98を用いて、製造間近のワークピース30に何時不良が生じる可能性があるのかを予測することができる。具体的には、複数のワークピースについての熱履歴62を含むトレーニング用データセット96でのトレーニング時間でトレーニング用計算デバイスを用いて、機械学習モデル94のトレーニングを行うことによって、トレーニング済み分類器98を生成し、その分類器98は、プロセッサ22によって実行されることによって、実行時(ランタイム)において、現在のワークピースの製造中に使用される一組の冷却命令52及び/又は冷却設定110の実行時(ランタイム)入力102が、現在のワークピースが所定の品質試験に合格となることにつながるのか、不合格となることにつながるのかを予測する。
【0033】
このため、実行時(ランタイム)において、AMシステム10のプロセッサ22が実行時(ランタイム)入力102を受信する。実行時(ランタイム)入力102は、トレーニング済み分類器98に入力可能な入力ベクトルを含み、メモリ24にロードされて、実行時(ランタイム)においてプロセッサ22によって実行される。入力ベクトルは、現在のワークピース30についてCADモデル32から製造される現在のワークピース30の幾何学的形状113の態様を含み、また、冷却設定110(例えば、流量命令86用のバルブ設定90と圧力設定84や、温度命令88用の温度設定)、現在のワークピース用の熱モデル48からの冷却命令52を含む。ワークピース30の幾何学的形状113の特徴が特定され得て、そうした特徴が特徴ベクトルに記憶され得ることを理解されたい。上述の冷却設定110のベクトル及び現在のワークピース30用の冷却命令52のベクトルと特徴ベクトルを連結することによって、実行時(ランタイム)入力ベクトルが生成され得る。実行時(ランタイム)入力102を受信する際に、トレーニング済み分類器98は、分類結果104を出力するように構成されている。分類結果104は、合格106又は潜在的不良108を示すものとして図示されていて、各結果は、典型的には、それに関連する信頼値を有し、典型的にはパーセント形式で表示される(例えば、潜在的不良(51%)、合格(78%)等)。
【0034】
結果104が合格を示す場合、無変更の設定114が、
図1に関して説明したプロセスと同様に、制御プログラムによって比較用に用いられる。結果が、少なくとも閾値信頼値(50%等)で潜在的不良108を示す場合には、冷却命令52を生成するのに用いられる熱特性40との比較の前に、上述の冷却設定(閾値50や、
図5に示した第一及び第二の閾値等)を変更し得る。その変更は、システム10のオペレータによって手動で行われるか、又は、例えば、予め設定された規則に従って、若しくは生成的ニューラルネットワークの結果や、試験条件下で不良に繋がらない冷却設定を生成するようにトレーニングさせた他のモデルに従ってプログラムして行われ得る。変更された設定112が用いられる場合、制御プログラム34は、熱特性40を変更された閾値50Aと比較して、変更された閾値50Aを超えている場合には、116において、変更された冷却温度や変更された流量等の変更された冷却パラメータに基づいて冷却流を調整するように構成される。制御プログラム34は、変更された冷却パラメータに基づいて冷却命令52を出力することによって、冷却剤でワークピースを適切に冷却する。
【0035】
他の態様では、システム10を用いて、二つの異なるワークピース30に対して行われた冷却工程を比較し得る。例えば、プロセッサ22は、冷却剤Cの流量を設定する流量命令と、冷却剤を適用する持続時間を出力し得る。冷却流を適用した後に、冷却流の量をメモリ24に記憶し得る。冷却流の量は、第一ワークピースの熱履歴62に記憶され得て、例えば、将来のAMプロセスにおいて冷却パラメータの設定を知らせ得る。従って、第二ワークピースが第一ワークピースと同じAMプロセスを用いて製造される場合、第一ワークピースと第二ワークピースの熱履歴62を比較して、第一ワークピースと第二ワークピースの物質特性が同様であることを検証し得る。熱履歴62に含まれるものとして本願に記載されているデータに加えて、本態様では、熱履歴62は、時間スタンプと場所スタンプを含み得て、冷却流がAMプロセス中に何時適用されたのか、ワークピース上の何処に冷却流が適用されたのか、冷却流が適用される毎にどの位多くの冷却流がワークピースに適用されたのかを示す。また、熱履歴62は、AMプロセスの各時点における部分の熱特性を示す時間スタンプと場所スタンプを含み得る。このようにして複数の熱履歴が収集される場合には、
図7に関して説明したもの等のニューラルネットワークを熱履歴に適用して、ワークピースのどの部分が冷却を必要としていて、ワークピースの各部分がどの位多くの冷却流を必要としているのかを予測するようにトレーニングされた機械学習モデルを開発し得る。
【0036】
図8は、本開示の一態様に係る第一方法700の例示的な構成のフローチャートを示す。方法700の以下の説明は、
図1~
図6に示されて上述したソフトウェア及びハードウェアの構成要素を参照して提供される。方法700を、他の適切なハードウェア及びソフトウェアの構成要素を用いた他の流れで行ってもよいことを理解されたい。
【0037】
ステップ702では、方法は、AMプロセスに従ってワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることを含む。ステップ704では、方法は、AMプロセス中にワークピースの少なくとも一つの部分の熱特性を決定することを含む。ステップ720では、方法は、ワークピースの部分の決定された熱特性をワークピースの熱履歴の一部としてメモリに記憶することを含む。この決定中においては、熱特性を連続的にモニタリングし得る。ステップ706では、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えているかどうかを決定する。ステップ708では、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えていないとの決定に応じて、冷却適用を低減し又はオフにする。ステップ702では、物質の堆積を続行する。
【0038】
ステップ710では、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連した閾値を超えているとの決定に応じて、ワークピースに適用される冷却流の冷却パラメータを調整する。ステップ712では、調整済みの冷却パラメータで冷却流をワークピースの少なくとも一つの部分に適用する。ステップ712において冷却流の量を追跡又は測定してもよい。ステップ714では、ワークピースの少なくとも一つの部分の温度特性を再び決定する。ステップ706の閾値はステップ716の閾値と異なり得て、又は、閾値同士は互いに異なるように構成され得る。連続モニタリングを行う場合には、方法700の全ステップ中において熱特性の決定を連続的に行い得ることを理解されたい。冷却流の量を追跡又は測定し得る。冷却流を適用した後に、ステップ720において冷却流の量をメモリに記憶し得る。冷却流の量は、ワークピースの熱履歴として記憶され、将来の製造プロセスにおける冷却パラメータの設定を知らせ得る。熱履歴は時間スタンプと場所スタンプを含み、AMプロセス中に何時冷却流が適用されたのか、冷却流がワークピース上の何処に適用されたのか、冷却流が適用される毎にどの位多くの冷却流がワークピースに適用されたのかを示す。また、熱履歴は、AMプロセスの各時点における部分の熱特性を示す時間スタンプと場所スタンプを含み得る。従って、第二ワークピースを第一ワークピースと同じAMプロセスを用いて製造する場合には、第一ワークピースと第二ワークピースの熱履歴を比較して、第一ワークピースと第二ワークピースの物質特性が同様であることを検証し得る。
【0039】
ステップ716では、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えているかどうかを決定する。少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えているとの決定に応じて、方法700はステップ710に戻り、冷却流の冷却パラメータを調整する。少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えていないとの決定に応じて、方法700はステップ702に戻り、物質の堆積を続行する。しかしながら、他の実施形態では、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えていないとの決定に応じて、方法700は、ステップ718に進み、その部分が完成したのか否か、又はその部分の更なる堆積が不要であるのか否かを決定し得る。この決定が否定的である場合には、方法700はステップ702に続き、その部分における物質の堆積を続行する。決定が肯定的である場合には、方法は、
図9に示されるステップ702Aに続き得る。
【0040】
方法700は、部分の熱特性に基づいて冷却流の冷却パラメータを調整するものとして説明されているが、代わりに、冷却流の冷却パラメータは、後の時点において決定される熱特性の後続値に基づいて調整されてもよい。従って、ステップ704及びステップ714において、部分の熱特性を決定する代わりに、後の時点において熱特性の後続値を決定し得る。ステップ706及びステップ716において、部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えているかどうかを決定する代わりに、熱特性の後続値がその部分に関連する閾値よりも低いかどうかを決定し得る。ステップ710では、代わりに、熱特性の後続値が閾値よりも低いとの決定に応じて、ワークピースの少なくとも一つの部分に適用される冷却流の調整済みの冷却パラメータを低下させ得る。
【0041】
図9は、
図8の方法700に続いて行われる工程のフローチャートを示す。方法700の以下の説明は、
図1~
図6に示されて上述したソフトウェア及びハードウェアの構成要素を参照して提供される。方法700を、他の適切なハードウェア及びソフトウェアの構成要素を用いた他の流れで行ってもよいことを理解されたい。方法700は、少なくとも一つの部分の熱特性がその部分に関連する閾値を超えていないとの決定に応じて、ステップ718から続く。
【0042】
ステップ702Aでは、方法は、AMプロセスに従ってワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることを含む。物質は、
図8の工程で用いられた物質と同じであるか、又は異なり得る。物質の堆積はワークピースの第二部分において行われる。ステップ704Aでは、ワークピースの第二部分の熱特性を決定する。ステップ720Aでは、ワークピースの第二部分の決定された熱特性を、ワークピースの熱履歴の一部としてメモリに記憶し得る。この決定中に熱特性が連続的にモニタリングされ得る。ステップ706Aでは、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているかどうかを決定するが、第二閾値は第一閾値とは異なるように構成される。本実施形態では、
図8に関連して説明した部分、閾値、冷却パラメータが、それぞれ、第一部分、第一閾値、第一冷却パラメータとなる。ステップ708Aでは、少なくとも一部分の熱特性の熱特性がその部分に関連する閾値を超えていないとの決定に応じて、冷却適用を低減又はオフにする。ステップ702Aでは、物質の堆積を続行する。
【0043】
ステップ710Aでは、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じて、ワークピースに適用される冷却流の第二冷却パラメータを調整するが、その第二冷却パラメータは第一冷却パラメータと異なるように構成される。ステップ712Aでは、ワークピースの第二部分に第二冷却パラメータで冷却流を適用する。ステップ712Aでは、冷却流の量を追跡又は測定し得る。ステップ714Aでは、ワークピースの第二部分の熱特性を再び決定する。連続的モニタリングを行う場合には、方法700の全ステップ中において熱特性の決定を連続的に行い得ることを理解されたい。冷却流を適用した後に、ステップ720Aにおいて冷却流の量をメモリに記憶し得る。冷却流の量はワークピースの熱履歴として記憶され、将来の製造プロセスにおいて冷却パラメータの設定を知らせ得る。熱履歴は時間スタンプと場所スタンプを含み、AMプロセス中において冷却流が何時適用されたのか、ワークピース上の何処に冷却流が適用されたのか、冷却流が適用される毎にどの位多くの冷却流がワークピースに適用されたのかを示し得る。また、熱履歴は、AMプロセスの各時点における部分の熱特性を示す時間スタンプと場所スタンプを含み得る。ステップ706Aの閾値はステップ716Aの閾値と異なり得て、又はこれら閾値は互いに異なるように構成され得る。
【0044】
ステップ716Aでは、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているかどうかを決定する。第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じて、方法はステップ710Aに戻り、冷却流の第二冷却パラメータを調整する。ステップ718Aでは、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えていないとの決定に応じて、第二部分が完成したのか否か、又は第二部分の更なる堆積が不要であるのか否かを決定する。その決定が否定的な場合には、方法700はステップ702Aに続き、第二部分に物質を堆積することを続行する。決定が肯定的な場合には、方法700は終了し得る。
【0045】
図面には第一部分42と第二部分44のみが示されているが、二つよりも多くの複数の部分の熱特性を測定し得て、複数の部分の各々は対応上限閾値、対応下限閾値、対応閾値期間を有するようになることを理解されたい。複数の部分のうちの所与の部分の熱特性が、その所与の部分に関連する対応上限閾値を対応閾値期間(その期間において対応上限閾値を超える)にわたって超えているかどうかを決定した後に、所与の部分の熱特性がその所与の部分に関連する対応上限閾値を所与の部分に関連する対応閾値期間にわたって超えているとの決定に応じて、その所与の部分に対する物質の堆積を一時停止して、冷却剤適用を増やし得る。所与の部分の熱特性が所与の部分に関連する対応下限閾値未満になっていると決定されるまで、冷却剤が適用され得る。所与の部分の熱特性が所与の部分に関連する対応閾値期間にわたって所与の部分に関連する対応下限閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤適用を低減して、物質の堆積を再開し得る。
【0046】
AM構成要素の積極的なプロセス中での熱冷却にわたって、冷却率、微細構造、機械特性、歪み、構築形状、安定性を更に洗練させたり制御したりし得る。一部応用では、プロセス中の冷却が、部分が処理中に熱くなり過ぎることを抑制し得る。AM構成要素の冷却と、処理中に部分が受ける熱プロファイルを制御することによって、所望の機械特性を達成するように結果物の微細構造を変更することができる。プロセス中の冷却方法を確立することは、構成要素の幾何学的形状の熱質量の違いに起因する影響を均等化するという潜在的利点を有し得る。
【0047】
本開示のシステムとプロセスは、典型的に必要とされる熱処理プロセスや応力緩和を排除することによって、AM構成要素のサイクル時間を顕著に低減し、AM構成要素の調整された微細構造を可能にし、必要とされるとおりに機械特性を上昇させるという潜在的利点を有する。
【0048】
更に、本開示は、以下の項に係る例を有する。
【0049】
項1
三次元ワークピースのアディティブマニュファクチャリング用の方法であって、アディティブマニュファクチャリングプロセスに従ってワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることと、アディティブマニュファクチャリングプロセス中にワークピースの少なくとも一つの部分の熱特性を決定することと、少なくとも一つの部分の熱特性が該部分に関連する閾値を超えているかどうかを決定することと、少なくとも一つの部分の熱特性が該部分に関連する閾値を超えているとの決定に応じて、ワークピースに適用される冷却流の冷却パラメータを調整することと、ワークピースの少なくとも一つの部分に調整済みの冷却パラメータで冷却流を適用することと、を備える方法。
【0050】
項2
冷却パラメータが冷却剤流量と冷却剤温度のうちの少なくとも一方である、項1に記載の方法。
【0051】
項3
前記部分の表面温度を測定することによって、前記部分の熱特性が決定される、項1に記載の方法。
【0052】
項4
パイロメータと赤外線カメラとサーモメータのうちの少なくとも一つによって、前記部分の表面温度が測定される、項3に記載の方法。
【0053】
項5
熱特性が時間温度特性(time‐at‐temperature)であり、閾値が、閾値温度を超えていた閾値期間を含む、項1に記載の方法。
【0054】
項6
ワークピースのアディティブマニュファクチャリングプロセスの熱モデルを用いたコンピュータシミュレーションに基づいて熱特性が決定される、項1に記載の方法。
【0055】
項7
前記部分の表面温度と内部温度のうちの少なくとも一方をモデル化することによって、前記部分の熱特性が決定される、項6に記載の方法。
【0056】
項8
冷却流の冷却剤が液体又はガスであり、物質が金属である、項1に記載の方法。
【0057】
項9
前記部分が第一部分であり、閾値が第一閾値であり、ワークピースが第二部分を更に含み、冷却パラメータが第一冷却パラメータであり、前記方法が、少なくとも第一部分の熱特性が第一部分に関連する第一閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質の堆積を続けることと、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているかどうかを決定すること(第二閾値は第一閾値と異なるように構成される)と、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じて、ワークピースに適用される冷却流の第二冷却パラメータを調整すること(第二冷却パラメータは第一冷却パラメータと異なるように構成させる)と、ワークピースの第二部分に第二冷却パラメータで冷却流を適用することと、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らし、物質の堆積を続けることと、を更に備える、項1に記載の方法。
【0058】
項10
後の時点において熱特性の後続値を決定することと、熱特性の後続値が前記部分に関連する閾値未満であるかどうかを決定することと、熱特性の後続値が閾値未満であるとの決定に応じて、ワークピースの少なくとも一つの部分に適用される冷却流の調整済みの冷却パラメータを低減することと、を更に備える項1に記載の方法。
【0059】
項11
アディティブマニュファクチャリング用の堆積ヘッドと、冷却剤を適用するように構成された冷却アプリケータと、堆積ヘッド及び冷却アプリケータに動作可能に結合されたプロセッサと、命令を記憶しているメモリとを備えるアディティブマニュファクチャリング用のシステムであって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、アディティブマニュファクチャリングプロセスに従ってワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることと、アディティブマニュファクチャリングプロセス中にワークピースの少なくとも一つの部分の熱特性を決定することと、少なくとも一つの部分の熱特性が該部分に関連する閾値を超えているかどうかを決定することと、少なくとも一つの部分の熱特性が該部分に関連する閾値を超えているとの決定に応じて、ワークピースに適用される冷却流の冷却パラメータを調整することと、ワークピースの少なくとも一つの部分に調整済みの冷却パラメータで冷却流を適用することとを装置に行わせる、システム。
【0060】
項12
冷却パラメータが冷却剤流量と冷却剤温度とのうちの少なくとも一方である、項11に記載のシステム。
【0061】
項13
前記部分が第一部分であり、閾値が第一閾値であり、ワークピースが第二部分を更に含み、冷却パラメータが第一冷却パラメータであり、メモリが記憶している命令が、プロセッサによって実行されると、少なくとも第一部分の熱特性が第一部分に関連する第一閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らして、物質の堆積を続けることと、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているかどうかを決定すること(第二閾値は第一閾値と異なるように構成される)と、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値を超えているとの決定に応じて、ワークピースに適用される冷却流の第二冷却パラメータを調整すること(第二冷却パラメータは第一冷却パラメータと異なるように構成させる)と、ワークピースの第二部分に第二冷却パラメータで冷却流を適用することと、第二部分の熱特性が第二部分に関連する第二閾値未満であるとの決定に応じて、冷却剤の適用を減らし、物質の堆積を続けることと、を更に装置に行わせる、項11に記載のシステム。
【0062】
項14
前記部分の表面温度を測定することによって前記部分の熱特性を決定する、項11に記載のシステム。
【0063】
項15
パイロメータと赤外線カメラとサーモメータとのうちの少なくとも一つによって前記部分の表面温度を測定する、項14に記載のシステム。
【0064】
項16
少なくとも一つの部分の熱特性をワークピースの熱履歴の一部としてメモリに記憶する、項11に記載のシステム。
【0065】
項17
熱履歴が、ワークピースの少なくとも一つの部分の測定温度と、該部分に関連する閾値と、製造中に用いられる冷却設定と、製造中に発令される冷却命令とのうちの少なくとも一つを含む、項16に記載のシステム。
【0066】
項18
複数のワークピースについての熱履歴を含むトレーニング用データセットでのトレーニング時間においてトレーニング用計算デバイスを用いてトレーニングされることによって、トレーニング済みの分類器を生成する機械学習モデルを更に備え、分類器は、プロセッサで実行されると、現在のワークピースの製造中に用いられている冷却命令及び/又は冷却設定の実行時(ランタイム)入力が、現在のワークピースが所定の品質試験に合格することをもらすのか又は不合格となることをもたらすのかを実行時(ランタイム)において予測する、項17に記載のシステム。
【0067】
項19
熱特性が時間温度特性(time-at-temperature)であり、閾値が、閾値温度を超えていた閾値期間を含む、項11に記載のシステム。
【0068】
項20
三次元ワークピースのアディティブマニュファクチャリング用の方法であって、アディティブマニュファクチャリングプロセスに従ってワークピースの形状を成すように基板上に物質を堆積させることと、物質の複数の部分の熱特性を測定すること(複数の部分の各々が、対応上限閾値と、対応下限閾値と、対応閾値期間を有する)と、複数の部分のうちの所与の部分の熱特性が、所与の部分に関連する対応上限閾値を、その対応上限閾値を超えている対応閾値期間にわたって超えているかどうかを決定することと、所与の部分の熱特性が所与の部分に関連する対応上限閾値を所与の部分が関連する対応閾値期間にわたって超えているとの決定に応じて物質の堆積を一時停止して、所与の部分に対する冷却剤の適用を増やすことと、所与の部分の熱特性が所与の部分に関連する対応下限閾値未満であると決定されるまで冷却剤を適用することと、所与の部分の熱特性が所与の部分が関連する対応閾値期間にわたって所与の部分に関連する対応下限閾値未満であるとの決定に応じて冷却剤の適用を減らして、物質の堆積を再開することと、を備える方法。
【0069】
本開示は、本開示の多様な特徴と方法の全ての新規であって非自明な組み合わせとサブコンビネーションを含む。本開示の多様な特徴と方法は本開示の全ての例において必ずしも必要とされるものではない。更に、本開示の多様な特徴と方法は、本開示の例とは離れて特許可能な主題を定め得るものであって、本開示では明示されていない他の実施形態における有用性を見出すものである。
【符号の説明】
【0070】
10 システム
14 堆積ヘッド
18 冷却剤アプリケータ
28 基板
30 ワークピース
42 第一部分
44 第二部分