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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240606BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020058815
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157635
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-03-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)新規会員希望者様向け説明会,2019年4月3日および2019年4月10日 (2)既存会員説明会,2019年5月8および2019年5月9日 (3)インテルエネルギーフォーラム,2019年7月17日 (4)第7回ビッグデータ等の利活用推進に関する産官学協議のための連携会議,2019年7月31日 (5)スマートグリッドEXPO関西,2019年9月25日から2019年9月27日 (6)中電テクノフェア,2019年10月31日から2019年11月1日 (7)イノベーションカンファレンス2020,2020年1月24日 (8)GDBL来訪者向け説明,2019年4月2日から2020年3月26日 (9)日刊工業新聞,ウェブサイト記事,2019年9月5日,https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00529917?twinews=20190905 (10)グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合,ウェブサイト掲載,2019年10月10日,https://www.gdb-lab.jp/wp-contentuploads/2019/10/%E8%B6%B3%E7%AB%8B%E5%8C%BA%E5%AE%9F%E8%A8%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9v3.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(73)【特許権者】
【識別番号】523286071
【氏名又は名称】株式会社NTTデータ
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲生
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】栗山 融
(72)【発明者】
【氏名】安井 威人
(72)【発明者】
【氏名】西尾 麻莉
(72)【発明者】
【氏名】林 孝尚
(72)【発明者】
【氏名】片岡 宏海
(72)【発明者】
【氏名】高倉 英亮
(72)【発明者】
【氏名】角谷 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大川 正人
(72)【発明者】
【氏名】中川 舞音
(72)【発明者】
【氏名】荒井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】松下 英俊
(72)【発明者】
【氏名】田端 志織
(72)【発明者】
【氏名】水沼 恵子
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-036262(JP,A)
【文献】特開2012-181789(JP,A)
【文献】特開2018-067217(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/113968(JP,A1)
【文献】特開2008-140284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された計器によって測定された電力消費量の測定結果と前記計器の識別情報とを含む電力情報を取得する電力情報取得部と、
前記電力情報取得部によって取得された前記電力情報と、前記計器の位置の情報と、地域毎の世帯人口の情報とに基づいて、前記地域毎に在宅世帯人口を算出する在宅世帯人口算出部と、
前記地域毎の前記在宅世帯人口と避難所の情報とを、地図情報とともに表示装置に表示させる表示制御部と、を備える
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記在宅世帯人口算出部は、単位時間当たり前記電力消費量の測定結果に基づいて、時間帯毎に前記在宅世帯人口を算出し、
前記表示制御部は、指定された時間帯の前記在宅世帯人口を前記表示装置に表示させる
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記在宅世帯人口算出部は、
前記単位時間当たりの前記電力消費量の測定結果に基づいて、時間帯毎に前記建物の在宅の有無を判定する在宅判定部と、
前記計器の位置の情報と、前記電力情報に含まれる前記計器の識別情報とに基づいて、当該計器が設置されている地域を特定する計器エリア特定部と、
前記在宅判定部の判定結果に基づいて、前記計器エリア特定部によって特定された地域における在宅率を算出する在宅率算出部と、
前記計器エリア特定部によって特定された地域における前記在宅率と、当該地域における前記世帯人口の情報とに基づいて、当該地域における前記在宅世帯人口を算出する在宅者数算出部と、を有する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の情報処理装置において、
前記地域毎に、前記在宅世帯人口と前記避難所の収容可能人数の情報とに基づいて、前記避難所の収容能力に関する第1の指標を算出し、前記第1の指標を含む避難所キャパシティ情報を生成する避難所キャパシティ評価部を更に備え、
前記表示制御部は、前記避難所キャパシティ情報に含まれる少なくとも一部の情報を、前記地図情報とともに前記表示装置に表示させる
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
前記避難所キャパシティ評価部は、前記在宅世帯人口から想定避難者数を算出し、前記想定避難者数と前記収容可能人数とに基づいて、前記第1の指標を算出し、
前記避難所キャパシティ評価部は、想定される災害毎に設定された前記避難所毎の避難者の割合と、前記在宅世帯人口とに基づいて、前記想定される災害毎に、前記避難所毎の前記想定避難者数を算出する
情報処理装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の情報処理装置において、
前記表示制御部は、前記地域毎の前記第1の指標をヒートマップにより表示する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項4乃至の何れか一項に記載の情報処理装置において、
入力された前記避難所の避難者数と、前記避難所の前記収容可能人数とに基づいて、前記避難所の空き状況を示す第2の指標を算出する避難状況評価部を更に備え、
前記表示制御部は、前記第2の指標を含む避難状況の情報を前記表示装置に表示させる
情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、
建物に設置された計器によって測定された電力消費量の測定結果と前記計器の識別情報とを含む電力情報を取得する電力情報取得部と、
前記電力情報取得部によって取得された前記電力情報と、前記計器の位置の情報と、地域毎の世帯人口の情報とに基づいて、前記地域毎に在宅世帯人口を算出する在宅世帯人口算出部と、
前記地域毎の前記在宅世帯人口と避難所の情報とを、地図情報とともに表示装置に表示させる表示制御部と、して機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関し、例えば、スマートメータによって測定された電力消費量に基づいて、災害生時に所定の地域における住民の適切な避難誘導に必要な情報を提供するための情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震や洪水等の災害が発生したとき、自治体等の機関によって様々な支援活動が行われる。例えば、各機関は、被災地における救助、インフラの復旧、住民の避難誘導などの災害救助活動を行う。近年、このような各機関による災害救助活動を支援するための情報処理技術が普及しつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、大規模な災害発生時に、各種センサの検出結果に基づいて、人や組織、車両や機材の動きに関する情報を抽出して、エリアごとに活動活性度を算出し、活動活性度を利用して支援すべきエリアを抽出するシステムが開示されている。また、特許文献2には、自治体が予め指定した指定避難所とは異なる指定外避難所における端末の通信の頻度に基づいて、その指定外避難所への支援の必要性を判定する被災者支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-210681号公報
【文献】特開2019-185345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害が発生したとき、各自治体は、被災状況に応じて学校等の大規模施設を避難所として開設し、住民をその避難所へと誘導する。この場合、避難が必要な地域における在宅者の人数は、災害が発生した時間帯によって異なるため、避難者数を想定した適切な避難所の開設は容易ではない。例えば、住宅街において日中に災害が発生した場合と夜間に災害が発生した場合とでは想定される避難者数が異なるため、避難所の開設数や誘導先の避難所を決定することは容易ではない。
【0006】
また、一方では、災害時に避難所を開設したにも関わらず、避難せずに在宅している住民が存在する。しかしながら、従来、避難せずに在宅している住民が多い地域を特定することができなかったため、好適な避難誘導を行うことが困難であった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、災害発生時の住民に対する適切な避難支援を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的な実施の形態に係る情報処理装置は、建物に設置された計器によって測定された電力消費量の測定結果と前記計器の識別情報とを含む電力情報を取得する電力情報取得部と、前記電力情報取得部によって取得された前記電力情報と、前記計器の位置の情報と、地域毎の世帯人口の情報とに基づいて、前記地域毎に在宅世帯人口を算出する在宅世帯人口算出部と、前記地域毎の前記在宅世帯人口と避難所の情報とを、地図情報とともに表示装置に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る情報処理装置によれば、災害発生時の住民に対する適切な避難支援を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る情報処理装置を備えた避難支援システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る情報処理装置1の機能ブロック構成を示す図である。
図3A】電力情報40に含まれるデータの一例を示す図である。
図3B】計器位置情報41に含まれるデータの一例を示す図である。
図3C】地域情報42に含まれるデータの一例を示す図である。
図3D】住民情報43に含まれるデータの一例を示す図である。
図3E】避難所情報45に含まれるデータの一例を示す図である。
図3F】想定災害情報44に含まれるデータの一例を示す図である。
図3G】危険度情報46に含まれるデータの一例を示す図である。
図4】在宅世帯人口算出部12の構成を示す図である。
図5A】在宅判定結果60に含まれるデータの一例を示す図である。
図5B】計器種別判定結果61に含まれるデータの一例を示す図である。
図5C】計器エリア情報62に含まれるデータの一例を示す図である。
図5D】在宅世帯統計データ63に含まれるデータの一例を示す図である。
図5E】在宅世帯人口統計データ65に含まれるデータの一例を示す図である。
図5F】避難所在宅世帯人口集計データ66に含まれるデータの一例を示す図である。
図5G】避難所キャパシティ情報67に含まれるデータの一例を示す図である。
図5H】避難状況情報69に含まれるデータの一例を示す図である。
図6】避難所キャパシティ評価部14の構成を示す図である。
図7A】表示装置3に表示される在宅世帯人口に関する情報の一例を示す図である。
図7B】表示装置3に表示される避難所キャパシティ評価表の一例を示す図である。
図7C】表示装置3に表示される避難状況表の一例を示す図である。
図8A】実施の形態に係る情報処理装置1による避難所に関する情報の表示制御の流れを示すフローチャートである。
図8B】実施の形態に係る情報処理装置1による避難所に関する情報の表示制御の流れを示すフローチャートである。
図9】在宅人口算出処理(ステップS2)の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0012】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報処理装置(1)は、建物に設置された計器(4_1~4_n)によって測定された電力消費量の測定結果と前記計器の識別情報とを含む電力情報(40)を取得する電力情報取得部(11)と、前記電力情報取得部によって取得された前記電力情報と、前記計器の位置の情報(41)と、地域毎の世帯人口の情報(43)とに基づいて、前記地域毎に在宅世帯人口(65)を算出する在宅世帯人口算出部(12)と、前記地域毎の前記在宅世帯人口と避難所の情報(45)とを、地図情報(47)とともに表示装置(3)に表示させる表示制御部(16)と、を備えることを特徴とする。
【0013】
〔2〕上記〔1〕に記載の情報処理装置において、前記在宅世帯人口算出部は、単位時間当たりの前記電力消費量の測定結果に基づいて、時間帯毎に前記在宅世帯人口を算出し、前記表示制御部は、指定された時間帯の前記在宅世帯人口を前記表示装置に表示させてもよい。
【0014】
〔3〕上記〔2〕に記載の情報処理装置において、前記在宅世帯人口算出部(12)は、単位時間当たりの前記電力消費量の測定結果に基づいて、時間帯毎に前記建物の在宅の有無を判定する在宅判定部(121)と、前記計器の位置の情報(41)と、前記電力情報に含まれる前記計器の識別情報(計器ID)とに基づいて、当該計器が設置されている地域を特定する計器エリア特定部(123)と、前記在宅判定部の判定結果に基づいて、前記計器エリア特定部によって特定された地域における在宅率を算出する在宅率算出部(125)と、前記計器エリア特定部によって特定された地域における前記在宅率(63)と、当該地域における前記世帯人口の情報(43,64)とに基づいて、当該地域における前記在宅世帯人口を算出する在宅者数算出部(126)と、を有することを特徴とする。
【0015】
〔4〕上記〔1〕乃至〔3〕の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記地域毎に、前記在宅世帯人口(65)と前記避難所の収容可能人数の情報(45)とに基づいて、前記避難所の収容能力に関する第1の指標(充足者数、充足率)を算出し、前記第1の指標を含む避難所キャパシティ情報(67)を生成する避難所キャパシティ評価部(14)を更に備え、前記表示制御部は、前記避難所キャパシティ情報に含まれる少なくとも一部の情報(520)を、前記地図情報とともに前記表示装置に表示させてもよい。
【0016】
〔5〕上記〔4〕に記載の情報処理装置において、前記避難所キャパシティ評価部は、前記在宅世帯人口から想定避難者数を算出し、前記想定避難者数と前記収容可能人数とに基づいて、前記第1の指標を算出してもよい。
【0017】
〔6〕上記〔5〕に記載の情報処理装置において、前記避難所キャパシティ評価部は、想定される災害毎に設定された前記避難所毎の避難者の割合と、前記在宅世帯人口とに基づいて、前記想定される災害毎に、前記避難所毎の前記想定避難者数を算出してもよい。
【0018】
〔7〕上記〔4〕乃至〔6〕の何れか一項に記載の情報処理装置において、前記表示制御部は、前記地域毎の前記第1の指標をヒートマップにより表示してもよい。
【0019】
〔8〕上記〔4〕乃至〔7〕の何れか一項に記載の情報処理装置において、入力された前記避難所の避難者数(50)と、前記避難所の前記収容可能人数とに基づいて、前記避難所の空き状況を示す第2の指標(空き人数、空き割合)を算出する避難状況評価部(15)を更に備え、前記表示制御部は、前記第2の指標を含む避難状況の情報(530)を前記表示装置に表示させてもよい。
【0020】
〔9〕本発明の代表的な実施の形態に係るプログラムは、コンピュータ(1)を、建物に設置された計器によって測定された電力消費量の測定結果と前記計器の識別情報とを含む電力情報を取得する電力情報取得部(11)と、前記電力情報取得部によって取得された前記電力情報と、前記計器の位置の情報と、地域毎の世帯人口の情報とに基づいて、前記地域毎に在宅世帯人口を算出する在宅世帯人口算出部(12)と、前記地域毎の前記在宅世帯人口と避難所の情報とを、地図情報とともに表示装置に表示させる表示制御部(16)と、して機能させることを特徴とする。
【0021】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置を備えた避難支援システムの構成を示す図である。
【0023】
図1に示す避難支援システム100は、建物に設置された計器によって測定された電力消費量に基づいて地域毎の在宅世帯人口を算出し、地域毎の避難所の収容能力や収容状況を可視化するシステムである。
【0024】
図1に示すように、避難支援システム100は、情報処理装置1、記憶装置2、表示装置3、計器(SM)4_1~4_n、およびネットワーク5を備えている。
【0025】
計器4_1~4_nは、住宅や事業所等の建物に設置され、その建物で消費された電力を計測する電力量計である。計器4_1~4_nは、例えば、ネットワーク5に接続可能にされ、ネットワーク5を介して外部と双方向通信可能なスマートメータ(SM)である。
【0026】
計器4_1~4_nは、例えば、単位時間(例えば30分間)当たりの電力消費量(30分電力量)を計測し、情報処理装置1からの要求に応じて、電力消費量の計測結果をネットワーク5を介して送信する。
【0027】
なお、以下の説明において、計器4_1~4_nのそれぞれを区別しない場合には、単に「計器4」と表記する場合がある。
【0028】
情報処理装置1は、有線通信または無線通信によってネットワーク5に接続可能に構成され、ネットワーク5を介して計器4_1~4_nやサーバ等の外部装置と双方向通信が可能となっている。ネットワーク5は、例えばインターネットに代表される広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)である。
【0029】
情報処理装置1は、例えば、サーバやパーソナルコンピュータ、タブレット端末等のプログラム処理装置(コンピュータ)である。情報処理装置1は、ネットワーク5を介して各計器4_1~4_nから取得した単位時間毎の電力消費量の測定結果と記憶装置2に記憶されている各種情報とに基づいて、計器4_1~4_nが設置された地域毎の在宅世帯人口を算出し、地域毎の避難所の収容能力や避難状況等を示す情報を出力装置としての表示装置3に表示させる。
【0030】
表示装置3としては、LCD(Liquid Crystal Display)および有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を例示することができる。
【0031】
記憶装置2は、情報処理装置1によるデータ処理に必要なパラメータやプログラム等を格納する装置である。記憶装置2は、例えば、SSDやHDD等の情報処理装置1の外部記憶装置であってもよいし、情報処理装置1からの要求に応じて必要なデータをネットワークを介して情報処理装置1に供給するデータベースサーバであってもよい。
【0032】
記憶装置2には、例えば、計器位置情報41、地域情報42、住民情報43、想定災害情報44、避難所情報45、危険度情報46、および地図情報47が記憶されている。図3A図3Gには、電力情報40、計器位置情報41、地域情報42、住民情報43、避難所情報45、想定災害情報44、および危険度情報46に含まれているデータの一例が示されている。各情報の詳細については、後述する。
【0033】
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の機能ブロック構成を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、計器4_1~4_nによる電力消費量の測定結果に基づいて地域毎の在宅世帯人口を算出し、地域毎の避難所の収容能力や避難状況等を示す情報を表示装置3に表示させる機能を実現するための機能ブロックとして、電力情報取得部11、在宅世帯人口算出部12、避難情報取得部13、避難所キャパシティ評価部14、避難状況評価部15、および表示制御部16を有している。
【0034】
これらの各機能ブロックは、情報処理装置1を構成するハードウェア資源が、情報処理装置1にインストールされたプログラム(ソフトウエア)にしたがって動作することによって実現される。すなわち、情報処理装置(コンピュータ)1は、情報処理装置1にインストールされたプログラムによって、電力情報取得部11、在宅世帯人口算出部12、避難情報取得部13、避難所キャパシティ評価部14、避難状況評価部15、および表示制御部16として機能する。
【0035】
電力情報取得部11は、計器4_1~4_nによって測定された単位時間当たりの電力消費量の測定結果を含む電力情報40を各計器4_1~4_nから取得する機能部である。
【0036】
図3Aに示すように、電力情報40は、例えば、各計器4を識別するための情報である計器IDと、その計器IDによって特定される計器4によって測定された単位時間当たりの電力消費量(30分電力量)の測定結果と、測定日時の情報とを含む。
【0037】
在宅世帯人口算出部12は、電力情報取得部11によって取得した電力情報40と、計器4の位置の情報と、地域毎の世帯人口の情報とに基づいて、地域毎に在宅世帯人口を算出する機能部である。
【0038】
図4は、在宅世帯人口算出部12の構成を示す図である。
在宅世帯人口算出部12は、単位時間当たりの電力消費量の測定結果に基づいて、時間帯毎に在宅世帯人口を算出する。具体的に、在宅世帯人口算出部12は、図4に示すように、在宅判定部121、計器種別判定部122、計器エリア特定部123、世帯人数算出部124、在宅率算出部125、および在宅者数算出部126を有している。
【0039】
在宅判定部121は、時間帯毎の電力消費量の測定結果に基づいて、時間帯毎に建物の在宅の有無を判定する機能部である。在宅判定部121は、電力情報取得部11によって取得した電力情報40に含まれる単位時間毎の電力消費量の測定結果を用いて、時間帯毎に、その電力消費量を測定した計器4が設置された建物内に人が存在するか否かを判定し、在宅判定結果60を出力する。例えば、在宅判定部121は、判定対象の時間帯における単位時間当たりの電力消費量と、その直前の複数の時間帯における単位時間当たりの電力消費量とから、電力消費量の時間変化を算出し、算出した電力消費量の時間変化に基づいて、計器4が設置された建物における判定対象の時間帯の在宅の有無を判定する。
【0040】
例えば、直近の一定期間(例えば1ヶ月間)の電力の使用傾向から、不在時と在宅時の電力消費量の閾値を設定する。そして、時間帯毎(例えば30分毎)の電量消費量と設定した閾値とを比較することにより、時間帯毎に在宅であるか否かを判定する。
なお、夜間の就寝時等のように在宅しているが電気の使用がない(電力消費量が少ない)時間帯については、“就寝時の在宅”と判定できるように適切な補正を行ってもよい。
【0041】
なお、在宅判定部121による在宅判定の手法としては、上述した手法の代わりに、電力消費量を用いた公知の手法を用いることも可能である。
【0042】
図5Aは、在宅判定部121による在宅判定結果60に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Aに示すように、在宅判定結果60には、例えば、在宅判定対象の建物に設置された計器4の識別情報(計器ID)、年月日、時間帯毎の在宅判定結果(在宅/不在)の情報が含まれる。
【0043】
計器種別判定部122は、電力情報取得部11によって取得した電力情報40内の電力量から、その計器4の種別(例えば、世帯用スマートメータ、事業所用スマートメータ)を判定し、計器種別判定結果61を出力する機能部である。
【0044】
図5Bは、計器種別判定部122による計器種別判定結果61に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Bに示すように、計器種別判定結果61には、例えば、判定対象の建物に設置された計器4の識別情報(計器ID)、年月日、計器の種別(世帯用スマートメータ/事業所用スマートメータ)を示す情報が含まれる。
【0045】
計器エリア特定部123は、計器の位置の情報と、電力情報40に含まれる計器IDとに基づいて、当該計器4が設置されている地域を特定し、計器エリア情報62を生成する機能部である。
【0046】
先ず、計器エリア特定部123は、計器の位置の情報として、計器位置情報41と地域情報42とを記憶装置2から読み出す。計器位置情報41は、計器4が設置されている建物の位置を示す情報である。図3Bに示すように、計器位置情報41は、例えば、計器IDと、計器4の地図上の位置を示す情報(緯度および経度あるいはその他の座標)とを含む。
【0047】
地域情報42は、在宅世帯人口の算出対象の地域の地図情報である。図3Cに示すように、地域情報42は、在宅世帯人口の算出対象の各地域の地域名(例えば町丁名)と、地図上における各地域の範囲を特定するためのポリゴン(データ)とを含む。
【0048】
計器エリア特定部123は、取得した電力情報40に含まれる計器IDに対応する計器の位置情報(緯度および経度)を計器位置情報41に基づいて特定し、特定した位置情報と地域情報42とに基づいて、取得した電力情報40に係る計器4の地域を特定し、計器エリア情報62として出力する。
【0049】
図5Cは、計器エリア情報62に含まれるデータの一例を示す図である。
計器エリア情報62には、例えば、計器IDと、その計器IDで特定される計器4が設置されている地域の地域名の情報とが含まれる。
【0050】
在宅率算出部125は、在宅判定部121の在宅判定結果60と計量種別判定部122の計器種別判定結果61に基づいて、計器エリア特定部123によって特定された計器4が設置された地域における在宅率を算出する。具体的に、在宅率算出部125は、計器エリア特定部123によって特定された計器4が設置された地域毎および時間帯毎に、在宅世帯数と在宅率を算出し、在宅世帯統計データ63として出力する。
【0051】
例えば、A地域の午前9:00から午前9:30までの時間帯における在宅率を算出する場合を考える。この場合、A地域に設置された計器4のうち計器の種別が“世帯”と判定された計器4の個数をA地域における全世帯数とする。また、A地域に設置された計器4のうち計器の種別が“世帯”と判定され、且つ午前9:00から午前9:30までの時間帯において“在宅”と判定された計器の個数をA地域の在宅世帯数とする。在宅率算出部125は、A地域の在宅世帯数をA地域における全世帯数によって除算することにより、午前9:00から午前9:30までの時間帯における地域Aの在宅率を算出し、A地域の在宅世帯数および在宅率を含む在宅世帯統計データ63を出力する。
【0052】
図5Dは、在宅世帯統計データ63に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Dに示すように、在宅世帯統計データ63には、例えば、地域名、日時、在宅世帯数、および在宅率の情報が含まれる。
【0053】
世帯人数算出部124は、住民情報43に基づいて、地域毎に一世帯当たりの人数(世帯平均人数)を算出する。図3Dに示すように、住民情報43は、地域毎の世帯数および世帯人口の情報を含む。住民情報43は、例えば、住宅基本台帳の地域毎の人口に関するデータを含む。
【0054】
具体的に、世帯人数算出部124は、住民情報43に含まれる地域毎の世帯数および人口に基づいて、各地域の一世帯当たりの平均人数を算出し、世帯平均人数64として出力する。
【0055】
在宅者数算出部126は、計器エリア特定部123によって特定された地域における在宅率と、当該地域における世帯数および人口の情報とに基づいて、当該地域における在宅者数(在宅世帯人口)を算出する。例えば、上述の例と同様に、A地域の午前9:00から午前9:30までの時間帯における在宅率を算出する場合を考える。この場合、在宅者数算出部126は、在宅世帯統計データ63に含まれるA地域の午前9:00から午前9:30までの時間帯における在宅世帯数と、世帯人数算出部124によって算出されたA地域の世帯平均人数64とを乗算することにより、A地域の午前9:00から午前9:30までの時間帯における在宅世帯人口を算出する。在宅者数算出部126は、算出した在宅世帯人口を含む在宅世帯人口統計データ65を出力する。
【0056】
図5Eは、在宅世帯人口統計データ65に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Eに示すように、在宅世帯人口統計データ65は、例えば、地域名、日時、在宅世帯数、在宅率、および在宅世帯人口の情報が含まれる。
【0057】
避難所キャパシティ評価部14は、地域毎の在宅世帯人口と避難所の収容可能人数とに基づいて避難所の収容能力に関する第1の指標を算出し、第1の指標を含む避難所キャパシティ情報67を生成する。具体的に、避難所キャパシティ評価部14は、在宅世帯人口に基づいて、実際に避難する人数の推定値である想定避難者数を算出し、想定避難者数と収容可能人数とに基づいて、避難所の収容能力に関する第1の指標を算出する。避難所の収容能力に関する第1の指標としては、避難所の充足率や、充足者数を例示することができる。
【0058】
図6は、避難所キャパシティ評価部14の構成を示す図である。
例えば、避難所キャパシティ評価部14は、避難所周辺世帯情報生成部141と指標算出部142とを含む。
【0059】
避難所周辺世帯情報生成部141は、在宅世帯人口算出部12によって生成された在宅世帯人口統計データ65と避難所情報45とに基づいて、避難所毎に、避難所周辺の在宅世帯人口を集計した避難所在宅世帯人口集計データ66を生成する。
【0060】
図3Eに示すように、避難所情報45は、避難所が設置される地域名(町丁名)、避難所の名称、避難所を運営する運営組織、および収容可能人数の情報を含む。避難所周辺世帯情報生成部141は、地域毎に、在宅世帯人口統計データ65と避難所情報45とを合成して避難所在宅世帯人口集計データ66を生成する。
【0061】
図5Fは、避難所在宅世帯人口集計データ66に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Fに示すように、避難所在宅世帯人口集計データ66は、例えば、避難所名、運営組織、収容可能人数、日時、在宅世帯数、在宅率、および在宅世帯人口の情報が含まれる。
【0062】
指標算出部142は、避難所在宅世帯人口集計データ66と想定災害情報44とに基づいて、想定避難者数を算出するとともに、避難所の収容能力に関する指標として、避難所の充足率および充足者数を算出する。
【0063】
想定災害情報44は、想定する災害が発生したときの各避難所に避難する人数に関する情報である。図3Fに示すように、想定災害情報44は、例えば、想定する災害、避難所名、および、地域毎の想定避難割合の情報を含む。
【0064】
想定する災害の情報としては、集中豪雨、川の氾濫、地震、および火災等を例示することができる。想定避難割合は、想定する災害が発生したときに、その避難所周辺の地域の在宅者のうち実際に避難すると考えられる人の割合である。想定避難割合は、例えば、過去に実際に起きた災害時の実績(記録)や他所での事例等に基づいて、任意に設定が可能である。想定避難割合は、地域毎に記録されている。
【0065】
指標算出部142は、先ず、避難所在宅世帯人口集計データ66に含まれる避難所周辺の在宅世帯人口と想定災害情報44に含まれる想定避難割合とを乗算して、想定した災害が発生したときの想定避難者数を算出する。指標算出部142は、算出した想定避難者数と、避難所在宅世帯人口集計データ66に含まれる避難所の収容可能人数とに基づいて、避難所の充足率および充足者数を算出する。例えば、指標算出部142は、想定避難者数に対する避難所の収容可能人数の割合を充足率として算出するとともに、避難所の収容可能人数から想定避難者数を減算した数を充足者数として算出する。指標算出部142は、算出した避難所の充足率および充足者数等を含むデータを、避難所キャパシティ情報67として出力する。
【0066】
図5Gは、避難所キャパシティ情報67に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Gに示すように、避難所キャパシティ情報67には、例えば、避難所名、収容可能人数、想定する災害、日時、在宅世帯数、在宅率、在宅世帯人口、想定避難者数、充足者数、および充足率の情報が含まれる。例えば、図5Gに示すように、避難所(○○小学校)の収容可能人数が950、想定避難者数が1324であるとき、充足率は71.75%(=950/1324×100%)、充足者数は-374(=950-1324)となる。
【0067】
避難情報取得部13は、避難所に避難した人数(実避難者数)の情報を取得する。避難情報取得部13は、例えば、ユーザがキーボード等の入力インターフェースを介して入力した避難者数を取得する。
【0068】
避難状況評価部15は、避難情報取得部13によって取得した避難所毎の避難者数(実避難者数)と、避難所情報45に含まれる避難所毎の収容可能人数とに基づいて、各避難所の空き状況を示す第2の指標を算出し、第2の指標を含む避難状況情報69を出力する。
【0069】
避難所の空き状況を示す第2の指標としては、避難所に収容可能な残りの人数(空き人数)や、避難所の全収容可能人数に対する収容可能な残りの人数の割合(空き割合)を例示することができる。
【0070】
避難状況評価部15は、避難所毎に、収容可能人数から避難情報取得部13によって取得した避難者数(実避難者数)を減算することにより、空き人数を算出する。また、避難状況評価部15は、避難所毎に、算出した空き人数を収容可能人数で除算することにより、空き割合を算出する。
【0071】
図5Hは、避難状況情報69に含まれるデータの一例を示す図である。
図5Hに示すように、避難状況情報69には、例えば、避難所名、日時、収容可能人数、実避難者数、空き人数、空き割合が含まれる。例えば、避難所(△△小学校)の収容可能人数が1314、この避難所に避難している実避難者数が245であるとき、空き人数は1069(=1314-245)、空き割合は84.2%(=1069/1314×100%)となる。
【0072】
表示制御部16は、情報処理装置1内で処理された情報を表示装置3の表示画面に表示させる制御を行うための機能部である。
【0073】
図7Aは、表示装置3に表示される在宅世帯人口に関する情報の一例を示す図である。
図7Aに示すように、表示装置3の表示画面500は、例えば、地図情報等を表示させるための第1の表示領域501と、第1の表示領域501等に表示させる情報の選択や切替のためのメニュー情報や、第1の表示領域501に表示された地図上のアイコンの選択に応じた情報を表示させるための第2の表示領域502とを含む。
【0074】
表示制御部16は、在宅世帯人口算出部12によって算出された在宅世帯人口と地域毎の避難所の情報とを、地図情報とともに表示装置3に表示させる。例えば、図7Aに示すように、表示制御部16は、在宅世帯人口統計データ65と、避難所キャパシティ情報67と、記憶装置2に記憶された地図情報47とに基づいて、第1の表示領域501に表示された地図上に、各地域の在宅世帯人口512と、各地域に開設される避難所および当該避難所の位置を示す避難所アイコン511とを表示させる。
【0075】
このとき、表示制御部16は、例えば、第1の表示領域501に表示させる避難所の種類(例えば、一時集合場所、第1次避難所、および第2避難所)を選択するための表示対象選択アイコン503と、表示させる在宅世帯人口の時間帯(時刻)を指定するための時間帯選択用アイコン504と、想定する災害を選択するための想定災害選択用アイコン505と、後述する避難所キャパシティ評価表の表示の有無を選択するためのアイコン506とを、第2の表示領域502に表示させる。
【0076】
例えば、図7Aの第2の表示領域502には、表示対象の避難所として第1次避難所および第2避難所が選択され、表示させる在宅世帯人口の時間帯(時刻)として午前9:00が選択され、想定される災害として、“xxxx年x月x日の集中豪雨”が選択され、避難所キャパシティ評価表の“表示なし”が選択された場合が示されている。
【0077】
このように、地域毎に在宅世帯人口を地図上に表示させることにより、ユーザは地域毎の在宅世帯人口(在宅者数)を視覚的に把握することができる。これにより、例えば、災害が発生したときに、在宅者が多い地域に対して重点的に避難を呼びかける等の効果的な避難誘導を行うことが可能となる。
【0078】
また、地図上に各地域の避難所の情報を表示させることにより、ユーザは、各地域の避難所の数と位置を視覚的に理解することができる。
【0079】
更に、時間帯毎に算出した在宅世帯人口が地図上に表示されるので、ユーザは、災害が発生した時間帯に応じた適切な避難支援計画を立てることが可能となる。
【0080】
また、表示制御部16は、避難所キャパシティ情報67に基づいて、地域毎に避難所の収容能力に関する第1の指標をヒートマップにより表示してもよい。例えば、図7Aに示すように、表示制御部16は、避難所キャパシティ情報67に含まれる避難所の“充足率”の値が小さく(危険度が高く)なるほど色が濃くなるように、各地域の表示を調整する。これにより、ユーザは、在宅世帯人口に対して避難所の収容能力が不足している危険な地域を視覚的に理解することができる。
【0081】
時間帯選択用アイコン504の“自動更新”が選択されている場合には、表示制御部16は、所定の時間間隔で、単位時間(30分)毎の各地域の在宅世帯人口の情報とヒートマップ表示を更新する。例えば、表示制御部16は、“自動更新”が選択されている場合、午前9:00における在宅世帯人口とヒートマップを表示してから所定時間の経過後に、午前9:30における在宅世帯人口とヒートマップを表示する。このように、地図上に表示させる情報を所定の時間間隔で更新することにより、ユーザは、時間経過に伴う在宅世帯人口の変化と避難所の充足状況の変化を視覚的に理解することが可能となる。
【0082】
また、表示制御部16は、避難所キャパシティ情報67に基づいて、避難所キャパシティ評価表を表示装置3に表示させる。
【0083】
図7Bは、表示装置3に表示される避難所キャパシティ評価表の一例を示す図である。
図7Bに示すように、表示制御部16は、例えば、ユーザによって第2の表示領域におけるアイコン506が選択されたとき、避難所キャパシティ情報67に含まれる情報の少なくとも一部を避難所キャパシティ評価表520として表示画面500に表示させる。例えば、図7Bに示すように、避難所キャパシティ評価表520は、避難所名、運営組織、収容可能人数、避難所の周辺の在宅世帯人口、充足者数、充足率の情報を含む。
【0084】
このように、避難所毎の充足状況を一覧表とした避難所キャパシティ評価表520を表示画面500に表示させることにより、ユーザは、収容能力が足りている避難所と収容能力が足りていない避難所を容易に知ることが可能となる。
【0085】
また、上述したように、時間帯毎に算出した在宅世帯人口に基づいて各避難所の充足者数および充足率を算出することにより、昼間と夜間のように在宅世帯人口が全く異なる状況下における各避難所の収容能力を適切に評価することが可能となる。
【0086】
更に、上述したように、在宅世帯人口に基づいて想定する災害毎に算出した想定避難者数を算出し、想定避難者数と避難所の収容可能人数とに基づいて、各避難所の充足者数および充足率を算出することにより、災害の種類に応じた各避難所の収容能力を適切に評価することが可能となる。
【0087】
また、図7Bに示すように、避難所キャパシティ評価表520において、充足率が100%以上の避難所と充足率が100%より低い避難所とを色分けして表示してもよい。これにより、ユーザは、収容能力が足りている避難所と収容能力が足りていない避難所とを容易に見分けることが可能となる。
【0088】
なお、表示画面500に表示される避難所キャパシティ評価表520は、図7Aに示した在宅世帯人口の情報と同様に、表示対象選択アイコン503、時間帯選択用アイコン504、想定災害選択用アイコン505によって、表示内容が可能であってもよい。
【0089】
表示制御部16は、避難状況評価部15から出力された避難状況情報69に基づいて、避難状況表530を表示装置3に表示させる。
【0090】
図7Cは、表示装置3に表示される避難状況表の一例を示す図である。
表示制御部16は、避難状況に関する情報を表示装置3に表示させるとき、例えば、表示画面500における第2の表示領域502に、表示させる在宅世帯人口の時間帯(時刻)を指定するための時間帯選択用アイコン521、第1の表示領域501の地図上で選択された地域の地域名および世帯人口を含む地域情報522、地域情報522に示された地域の在宅世帯人口(在宅率)を含む在宅世帯人口情報523、表示させる地域を危険度別に応じて選択(フィルタ)するための危険度別表示制御アイコン524、避難状況表の表示の有無を選択するためのアイコン525等を表示させる。
【0091】
図7Cには、一例として、表示させる避難状況の時刻(時間帯)として2019年4月1日の午前9:00が指定され、避難状況を表示させる地域として“xx2丁目”が選択され、“xx2丁目”の世帯人口および在宅世帯人口(在宅率)が表示されている場合が示されている。
【0092】
図7Cに示すように、表示制御部16は、例えば、ユーザによって第2の表示領域502におけるアイコン525が選択されたとき、避難状況情報69に含まれる情報の少なくとも一部を避難状況表530として表示画面500に表示させる。例えば、図7Cに示すように、避難状況表530には、開設の有無を示すアイコン531、避難所名、収容可能人数、避難者数の入力フォーム532、空き人数、および空き割合〔%〕を含む。
【0093】
また、表示制御部16は、第1の表示領域501の地図上に在宅世帯人口等や避難所の情報等を表示させる地域を、地域毎に設定された危険度に応じて変更してもよい。例えば、図3Gに示すような、災害が発生したときの危険度合(危険度ランク)を地域毎に設定した危険度情報46を記憶装置2に予め記憶しておく。表示制御部16は、記憶装置2から読み出した危険度情報46に基づいて、危険度別表示制御アイコン524によって選択された危険度の地域のみ、在宅世帯人口等や避難所の情報等を第1の表示領域501の地図上に表示させる。例えば、図7Cには、一例として、危険度ランクが“3”から“5”までの地域が表示対象として選択されている場合が示されている。
【0094】
ユーザが避難者数の入力フォーム532を選択して避難者数(実避難者数)を入力し、登録アイコン533を選択することにより、避難状況表530が更新される。具体的には、避難状況評価部15が、避難情報取得部13によって取得された実避難者数に基づいて避難所の空き人数および空き割合を算出し、表示制御部16が、表示画面500に表示されている避難状況表530の避難者数、空き人数、および空き割合を更新する。
【0095】
このように、避難状況表530を表示画面500に表示させることにより、ユーザは、各避難所の空き状況を容易に知ることができる。
【0096】
また、ユーザが避難状況表530における避難所毎のアイコン531を選択することにより、避難所が開設済みか否かを切り換えることができる。例えば、図7Cの参照符号534に示すように、開設済みの避難所を表すアイコンと未開設の避難所を表すアイコンを相違させることにより、ユーザは、開設されている避難所と未開設の避難所とを地図上で容易に見分けることが可能となる。
【0097】
次に、情報処理装置1による避難所に関する情報の表示制御の流れについて説明する。
【0098】
図8Aおよび図8Bは、情報処理装置1による避難所に関する情報の表示制御の流れを示すフローチャートである。
【0099】
先ず、情報処理装置1は、ネットワーク5を介して各計器(スマートメータ)4_1~4_nから電力情報40を取得する(ステップS1)。具体的には、電力情報取得部11が、電力情報40に含まれる計器ID、単位時間当たりの電力消費量(30分電力量)の測定結果、および測定日時の情報を取得する。
【0100】
次に、情報処理装置1は、ステップS1で取得した電力情報40に基づいて、在宅人口算出処理を実行する(ステップS2)。
【0101】
図9は、在宅人口算出処理(ステップS2)の流れを示すフローチャートである。
【0102】
図9に示すように、在宅人口算出処理では、先ず、在宅判定部121が、ステップS1で取得した電力情報40に基づいて、在宅判定を行う(ステップS21)。具体的には、在宅判定部121が、ステップS1で取得した電力情報40に含まれる単位時間毎の電力消費量の測定結果に基づいて、上述した手法により、計器4_1~4_n毎に、時間帯毎の在宅の有無を判定し、在宅判定結果60を生成する。
【0103】
次に、計器種別判定部122が、計器4_1~4_nの種別を判定する(ステップS22)。具体的には、計器種別判定部122が、上述した手法により、ステップS1で取得した電力情報40内の電力量から、その計器4_1~4_nの種別を判定し、計器種別判定結果61を生成する。
【0104】
次に、計器エリア特定部123が、計器4_1~4_nが設置されている地域を特定する(ステップS23)。具体的には、計器エリア特定部123が、上述した手法により、計器4_1~4_nが設置されている地域を計器4_1~4_n毎に特定し、計器エリア情報62を生成する。
【0105】
次に、在宅率算出部125が、在宅率を算出する(ステップS24)。具体的には、在宅率算出部125が、ステップS21で生成した在宅判定結果60と、ステップS22で生成した計器種別判定結果61と、ステップS23で生成した計器エリア情報62とに基づいて、地域および時間帯毎に在宅世帯数および在宅率を算出し、在宅世帯統計データ63として出力する。
【0106】
次に、世帯人数算出部124が、世帯平均人数を算出する(ステップS25)。具体的には、世帯人数算出部124が、上述した手法により、住民情報43に含まれる地域毎の世帯数および人口に基づいて、地域毎の世帯平均人数64を算出する。
【0107】
次に、在宅者数算出部126が、在宅世帯人口を算出する(ステップS26)。具体的には、在宅者数算出部126が、上述した手法により、ステップS24で算出された地域毎の在宅率および在宅世帯数とステップS25で算出された世帯平均人数とに基づいて、在宅世帯人口を算出し、在宅世帯人口統計データ65を生成する。
以上の手順により、在宅人口算出処理(ステップS2)が実行される。
【0108】
在宅人口算出処理(ステップS2)の後、情報処理装置1は、図8Aに示すように、在宅世帯人口情報の表示が指示されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0109】
例えば入力インターフェースを介して、ユーザから在宅世帯人口情報の表示命令が入力されていない場合には(ステップS3:No)、情報処理装置1は表示命令が入力されるまで待機する。
【0110】
一方、ユーザから在宅世帯人口情報の表示命令が入力された場合には(ステップS3:Yes)、情報処理装置1は、在宅人口情報として、ステップS2において算出された在宅世帯人口および地域毎の避難所の情報を地図情報とともに表示装置3に表示させる(ステップS4)。具体的には、表示制御部16が、地図上に、各地域の在宅世帯人口512と、各地域に開設される避難所および当該避難所の位置を示す避難所アイコン511とを表示させる(図7A参照)。
【0111】
次に、情報処理装置1は、在宅世帯人口情報の更新の指示があるか否かを判定する(ステップS5)。例えば、表示する時間帯の変更指示等があった場合や表示の自動更新が設定されているときに所定時間が経過した場合には(ステップS5:Yes)、報処理装置1は、ステップS4に戻り、指定された時間帯の在宅世帯人口の情報に基づいて、表示装置3に表示されている在宅世帯人口情報を更新する(ステップS4)。
【0112】
一方、在宅世帯人口情報の更新の指示がない場合(ステップS5:No)、避難所キャパシティ評価表520の表示が指示されたか否かを判定する(ステップS6)。
【0113】
例えば入力インターフェースを介して、ユーザから避難所キャパシティ評価表520の表示命令が入力された場合には(ステップS7:Yes)、情報処理装置1は、避難所キャパシティ情報67を生成する(ステップS7)。具体的には、避難所キャパシティ評価部14が、上述した手法により、避難所毎、避難所名、運営組織、収容可能人数、日時、在宅世帯数、在宅率、および在宅世帯人口の情報を含む避難所在宅世帯人口集計データ66を生成するとともに、避難所在宅世帯人口集計データ66と想定災害情報44とに基づいて、想定避難者数、避難所の充足率、および充足者数を含む避難所キャパシティ情報67を生成する。
【0114】
次に、情報処理装置1は、表示制御部16によって、ステップS7において生成した避難所キャパシティ情報67に含まれる各種情報を避難所キャパシティ評価表520として表示装置3に表示させる(ステップS8、図7B参照)。
【0115】
次に、情報処理装置1は、避難所キャパシティ評価表520の更新の指示があるか否かを判定する(ステップS9)。例えば、表示する時間帯の変更指示等があった場合や表示の自動更新が設定されているときに所定時間が経過した場合には(ステップS9:Yes)、報処理装置1は、ステップS4に戻り、指定された時間帯の避難所キャパシティ情報67を生成し、表示装置3に表示されている避難所キャパシティ評価表520を更新する(ステップS7、S8)。
【0116】
一方、避難所キャパシティ評価表520の更新の指示がない場合(ステップS9:No)、または避難所キャパシティ評価表520の表示の指示がなかった場合(ステップS6:No)には、情報処理装置1は、避難状況表530の表示が指示されたか否かを判定する(ステップS10)。
【0117】
例えば入力インターフェースを介して、ユーザから避難状況表530の表示命令が入力された場合には(ステップS10:Yes)、情報処理装置1は、避難状況情報69を生成する(ステップS11)。具体的には、避難状況評価部15が、上述した手法により、避難所毎の収容可能人数、避難者数、空き人数、および空き割合の情報を含む避難状況情報69を生成する。
【0118】
次に、情報処理装置1は、表示制御部16によって、ステップS11において生成した避難状況情報69に含まれる各種情報を避難状況表530として表示装置3に表示させる(ステップS12、図7C参照)。
【0119】
次に、情報処理装置1は、避難状況表530の更新の指示があるか否かを判定する(ステップS13)。例えば、入力インターフェースを介して、ユーザから避難所に避難した人数(実避難者数)の情報が入力された場合には(ステップS13:Yes)、ステップS11に戻り、避難状況評価部15が、避難情報取得部13によって取得した実避難者数に基づいて、上述した手法により、実避難者数が入力された避難所の避難者数、空き人数、および空き割合を再計算し、避難状況表530の情報を更新する(ステップS11,S12)。
【0120】
一方、避難状況表530の更新の指示がなかった場合(ステップS13:No)、または避難状況表530の表示の指示がなかった場合(ステップS10:No)には、情報処理装置1は、上述した避難所に関する情報の表示制御に係るプログラムの終了命令が入力されたか否かを判定する(ステップS14)。
【0121】
プログラムの終了命令が入力されていない場合には(ステップS14:No)、情報処理装置1は、ステップS3に戻り、上述した一連の処理を繰り返し実行する。一方、プログラムの終了命令が入力された場合には(ステップS14:Yes)、情報処理装置1は、避難所に関する情報の表示制御を終了する。
【0122】
以上の手順により、情報処理装置1による、地域毎の避難所の収容能力や避難状況等の情報の生成および表示が行われる。
【0123】
なお、上述のフローチャートは具体例であって、このフローチャートに限定されるものではなく、例えば、各ステップ間に他の処理が挿入されていてもよいし、処理が並列化されていてもよい。
【0124】
以上、本実施の形態に係る情報処理装置1によれば、各世帯に設置された計器4によって測定された時間帯毎の電力消費量を取得するので、各地域の時間帯毎の在宅世帯人口を容易に算出することができる。これにより、上述したように、各地域の避難所の収容能力について昼間や夜間等の時間帯に応じた適切な評価を行うことができ、且つ在宅世帯人口に応じた適切な避難誘導を行うことができるので、災害発生時の住民に対する適切な避難支援を実現することが可能となる。
【0125】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0126】
例えば、上記実施の形態では、情報処理装置1が一台のコンピュータによって実現される場合を例示したが、これに限られず、情報処理装置1は、互いにネットワークで通信可能に構成された複数台のコンピュータによって実現されていてもよい。例えば、情報処理装置1によって実現される機能部のうち、計器4_1~4_nから電力消費量の測定結果を取得する電力情報取得部11を電力供給業者側のサーバによって実現し、その他の機能部を自治体側のコンピュータによって実現してもよい。
【0127】
あるいは、在宅判定部121、計器種別判定部122、計器エリア特定部123、在宅率算出部125、および電力情報取得部11を電力供給業者側のコンピュータによって実現し、世帯人数算出部124、在宅者数算出部126、避難所キャパシティ評価部14、表示制御部16、避難情報取得部13、および避難状況評価部15を自治体側のコンピュータによって実現してもよい。この場合、記憶装置2も複数のデータベースサーバによって構成され、ネットワークを介して電力供給業者側のサーバおよび自治体側のコンピュータに接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…情報処理装置、2…記憶装置、3…表示装置、4,4_1~4_n…計器、5…ネットワーク、11…電力情報取得部、12…在宅世帯人口算出部、13…避難情報取得部、14…避難所キャパシティ評価部、15…避難状況評価部、16…表示制御部、40…電力情報、41…計器位置情報、42…地域情報、43…住民情報、44…想定災害情報、45…避難所情報、46…危険度情報、47…地図情報、60…在宅判定結果、61…計器種別判定結果、62…計器エリア情報、63…在宅世帯統計データ、64…世帯平均人数、65…在宅世帯人口統計データ、66…避難所在宅世帯人口集計データ、67…避難所キャパシティ情報、69…避難状況情報、100…避難支援システム、121…在宅判定部、122…計器種別判定部、123…計器エリア特定部、124…世帯人数算出部、125…在宅率算出部、126…在宅者数算出部、141…避難所周辺世帯情報生成部、142…指標算出部、511…避難所アイコン、512…在宅世帯人口、520…避難所キャパシティ評価表、530…避難状況表
図1
図2
図3A
図3B
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図4
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