(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/06 20060101AFI20240606BHJP
G09F 7/16 20060101ALI20240606BHJP
G09F 7/18 20060101ALI20240606BHJP
G09F 19/18 20060101ALI20240606BHJP
G09F 19/22 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G09F13/06 A
G09F7/16 E
G09F7/18 R
G09F19/18 H
G09F19/22 Z
(21)【出願番号】P 2020061093
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】金馬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】三角 兼一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮里 咲彩
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-067034(JP,A)
【文献】特開2017-162581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0155953(US,A1)
【文献】影を利用した表札看板です,[online],2020年01月29日,https://artplan-web.jp/blogs/影を利用した表札看板です/,検索日:2023年10月12日
【文献】荻窪カフェ「wood good brothers」の斬新なピクトグラム,[online],2019年01月05日,https://watanabedesign511.info/archives/3513,検索日:2024年05月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/16- 7/18
G09F 13/00-13/46
G09F 19/00-27/00
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲を照射する光源と、
前記光源から照射された光を受光し生成される影に基づいて対象面に対してサインを表示し、前記光源との位置関係に基づいて前記対象面に生成される前記影が予め設定された前記サインの形状となるように補正された補正形状に形成されているサイン生成部と、を備え、
前記サイン生成部に設けられ、前記サインに関連した情報を伝達する形状に形成され、該サイン生成部から立設された立体表示部をさらに備え、
前記立体表示部は、板状に形成され、板面が前記対象面の直交方向に沿うように配置されていることを特徴とする、
表示装置。
【請求項2】
前記立体表示部は、前記サイン生成部の枠部に設けられ、
前記光が照射され
て生成される前記立体表示部の影
は、前記枠部の上に生成され、前記対象面に生成されないように前記サイン生成部における
前記立体表示部の取り付け位置が調整されている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記立体表示部は、前記影に正対する方向に沿って配置されている、
請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者を誘導するサインを表示するための表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者をトイレ等の設備に誘導するための表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された表示装置は、設備を表示する表示板と、表示板を発光させる光源とを備えている。表示板は、壁面から鉛直方向に沿って配置されており、利用者は、表示板の表裏側から表示対象を視認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によれば、利用者は表示板の表裏方向から表示対象を視認できるが、表示板の突出方向に沿った方向から表示対象を視認できないという課題がある。また、設備を案内する表示装置は、継続的に利用するものであり、修理や清掃等の手間がかからずに構成がなるべく簡素であることが望ましい。
【0005】
本発明は、構成を簡便にしつつ、多方向から表示対象を視認できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、本発明は、所定の範囲を照射する光源と、前記光源から照射された光を受光し生成される影に基づいて対象面に対してサインを表示し、前記光源との位置関係に基づいて前記対象面に生成される前記影が予め設定された前記サインの形状となるように補正された補正形状に形成されているサイン生成部と、を備え、前記サイン生成部に設けられ、前記サインに関連した情報を伝達する形状に形成され、該サイン生成部から立設された立体表示部をさらに備え、前記立体表示部は、板状に形成され、板面が前記対象面の直交方向に沿うように配置されていることを特徴とする表示装置である。
【0007】
本発明によれば、光源からの光によりサイン生成部により生成される影を用いて設備等へ案内するサインを表示できる。サイン生成部は、光源との位置関係に基づいて補正形状に形成されているため、壁面に生成される影は、予め設定された形状に表示することができる。
また、立体表示部が設けられていることにより、利用者は、サイン生成部により生成される影が見えにくい角度からでもサインの内容を認識できる。
【0016】
また、本発明の前記立体表示部は、前記立体表示部は、前記サイン生成部の枠部に設けられ、前記光が照射されて生成される前記立体表示部の影は、前記枠部の上に生成され、前記対象面に生成されないように前記サイン生成部における前記立体表示部の取り付け位置が調整されていてもよい。
【0017】
本発明によれば、立体表示部が設けられていても壁面に生成される影には立体表示部の影が生成されず、予め設定されたサインの形状を影により正確に再現できる。
【0018】
また、本発明の前記立体表示部は、前記影に正対する方向に沿って配置されていてもよい。
【0019】
本発明によれば、影を正対して見た場合に立体表示部が見えにくく配置されているため、意匠性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、構成を簡便にしつつ、多方向から表示対象を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の構成を示す側面図である。
【
図4】表示装置により壁面に生成される影を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る表示装置の実施形態について説明する。表示装置は、トイレなどの設備に利用者を誘導するサインを表示するものである。
【0023】
図1から
図3に示されるように、表示装置1は、天井Tに設けられた光源10と、壁面Bに設けられたサイン生成部2と、サイン生成部2に設けられた立体表示部5とを備える。光源10は、例えば、所定の範囲を照射するようにビーム角が挟角に調整されたスポットライトである。光源10は、例えば、LEDを光源に有する。光源10は、天井Tに形成された開口Hから光を照射する。光源10は、天井Tから壁面Bの照射範囲を照射するように光軸が鉛直方向から所定角度傾けられるように天井に取り付けられている。光源10は、サイン生成部2を照射する。
【0024】
サイン生成部2は、板状に形成されている。サイン生成部2は、壁面Bに固定部材Kを介して固定されている。固定部材Kは、例えば、L断面形状に形成されている。固定部材Kとサイン生成部2とは、例えば、ネジCにより固定される。固定部材Kと壁面Bとは、接着剤やネジ等により固定される。サイン生成部2は、水平方向に沿って配置された板状に形成されている。サイン生成部2は、壁面Bから水平方向に突出して取り付けられている。サイン生成部2は、壁面Bだけでなく、壁面Bの下地となる軽量鉄骨等の構造部材に取り付けられていてもよい。サイン生成部2は、壁面B以外の場所に取り付けられていてもよい。固定部材Kは、天井に取り付けられるものであってもよい。
【0025】
サイン生成部2は、表示対象となるサインの情報を含むように形成されている。サイン生成部2は、例えば、枠状に形成された枠部3と情報を伝達するためのサイン部4とを備える。サイン部4は、例えば、様々な設備に誘導するサインを生成する。サイン部4は、例えば、トイレに案内する情報を伝達する形状に形成されている。図においてサイン部4は、女性用トイレのサインが例示されている。
【0026】
サイン生成部2は、光源から照射された光を受光し壁面B(対象面)に影を生成するように形成されている。サイン生成部2は、生成される影に基づいて壁面Bに対してサインを表示する。サイン生成部2において、予め設定されたサインの形状に形成して影を生成しようとすると、壁面Bとの距離が離間するに従って壁面Bに生成される影の形状が拡大される。
【0027】
そのため、サイン生成部2は、光源10との位置関係に基づいて壁面Bに生成される影が予め設定されたサインの形状となるように補正された補正形状に形成されている。補正形状は、光源10との位置関係に基づいて予め演算により決定されている。補正形状は、例えば、壁面Bとの距離が離間するに従って幅が縮小するように台形状に補正されて形成されている。
【0028】
枠部3は、固定部材Kに固定された基端側の辺3Aから先端側の辺3Bに向かうほど幅が縮小する台形状に形成されている。枠部3は、基端側の辺3Aと先端側の辺3Bを架設する一対の辺3C,3Dを有する。枠部3の中には、サイン部4が形成されている。サイン部4も、光源10との位置関係に基づいて補正形状に形成されている。
【0029】
サイン生成部2は、例えば、透明アクリル板により形成されている。枠部3及びサイン部4は、切り出された透明アクリル板の表面に塗装やフィルムの貼り付けにより形成されている。サイン生成部2は、サインの補正形状に切り出された板状に形成されている。
【0030】
サイン生成部2において枠部3及びサイン部4は、サインの補正形状の外形に沿って切り出されて形成されている。枠部3及びサイン部4は、透明アクリル板に表面に塗装やフィルムの貼り付けだけにより形成されていてもよいが、使用期間の経過に従って透過アクリル板の表面に埃が堆積する。そうすると、サイン生成部2により生成される影において埃の影響が生じる。
【0031】
枠部3及びサイン部4の形状が透明アクリル板により切り出されて形成されていることにより、サイン生成部2表面に埃が堆積しても壁面Bに生成される影への影響を低減できる。サイン部4は、例えば、色付きの半透明のフィルムが表面に貼り付けられている。これにより、サイン部4を透過した光により壁面Bに色付きの影が生成される。
【0032】
枠部3には、立体表示部5が設けられている。サイン部4は、補強用に枠部3との接続部4Cが適宜設けられている。接続部4Cは、塗装やフィルムによる加工がされておらず透明に形成されている。接続部4Cは、光を透過するので壁面Bには、接続部4Cの影が生成されない。
【0033】
立体表示部5は、枠部3の辺3Bと辺3Cとの角から上方に向かって立設されている。立体表示部5は、利用者に視認されるようにサインに関連した情報を伝達する形状に形成されている。立体表示部5は、例えば、壁面Bに生成される影が見えにくい水平方向から見て設備に案内する情報が視認されるように形成されている。立体表示部5は、影に正対する方向に沿って配置された板状に形成されている。立体表示部5は、板面が壁面Bの直交方向に沿うように配置されている。
【0034】
立体表示部5は、例えば、サイン部4に関連した情報を伝達する形状に形成されている。図において立体表示部5は、女性用のトイレのサインが例示されている。立体表示部5は、男性用のトイレのサイン等の他のサインや文字が形成されていてもよい。立体表示部5は、光源10から光が照射されて壁面Bに生成される影(他の影)がサイン生成部2により生成される影に重複するようにサイン生成部2における取り付け位置や形状が調整されている。
【0035】
立体表示部5により壁面Bに生成される影は、例えば、枠部3の辺3Cにより壁面Bに生成される影に重なり、壁面Bには見かけ上、立体表示部5により生成される影が写らない。
【0036】
次に、表示装置1により生成される影について説明する。
【0037】
図4に示されるように、光源10からサイン生成部2に光が照射される。壁面Bには、サイン生成部2により影Gが生成される。壁面Bに生成された影Gは、予め設定されたサインの形状に表示される。サインは、例えば、矩形の枠G1内に女性用のトイレを表示する情報G2が表示される。枠G1に立体表示部5の影が重なっているので、枠G1には、立体表示部5の形状が表示されない。サイン生成部2は、台形状の補正形状に形成されているため、影Gは、矩形に形成されている。
【0038】
情報G2は、透明なサイン部4を透過した光により彩色されて表示される。影Gは、利用者から見てあらゆる角度から視認される。立体表示部5は、影Gが見えにくい水平方向に沿った方向から視認される。立体表示部5は、影Gと正対して見た方向からは見えにくく配置されている。
【0039】
上述したように、表示装置1によれば、構成を簡便にしつつ、他方向から表示対象となるサインを視認できる。表示装置1によれば、壁面Bに生成される影Gにより、設備に案内するサインを視認できる。表示装置1によれば、サイン生成部2が光源10との位置に基づいて補正形状に形成されているため、影Gは、予め設定されたサインの形状に表示される。表示装置1によれば、影Gが見えにくい角度においては、立体表示部5が視認されるため、利用者を設備にあらゆる角度から案内することができる。表示装置1によれば、サイン生成部2がサインの補正形状に切り出されて形成されているため、埃が堆積しても生成される影に対する影響が低減できメンテナンスに係る作業を低減できる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、サイン生成部2は、アクリル板だけでなく、金属板により形成してもよい。サイン生成部2は、矩形の枠を有する影を生成するものを例示したが、影が予め設定された形状に生成されるのであれば他の形状に形成されていてもよい。表示装置1は、非常口の案内、看板、表札等様々な情報伝達の用途に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 表示装置
2 サイン生成部
3 枠部
3A-3D 辺
4 サイン部
4C 接続部
5 立体表示部
10 光源
B 壁面
C ネジ
G 影
G1 枠
G2 情報
H 開口
K 固定部材
L 光
T 天井