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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A47L9/28 L
A47L9/28 K
A47L9/28 U
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020089695
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183054
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】坪井 雅倫
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-022085(JP,A)
【文献】特開昭63-315018(JP,A)
【文献】特開2012-152303(JP,A)
【文献】特開2012-55364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を電気掃除機内に吸引するように設けられたファン及びそのファンを回転させる第1モータを有する電動送風機と、回転ブラシと、前記回転ブラシを回転させるように設けられた第2モータと、切り替え可能な運転モードで前記電気掃除機を制御するように設けられた制御部とを備え、
前記制御部は、被掃除面の種類を判定するように設けられ、
前記被掃除面の種類は、第1被掃除面と、第2モータの回転に対する負荷が第1被掃除面より大きい第2被掃除面とを含み、
前記運転モードは、高吸引力モードと、第1モータと第2モータへの供給電力が前記高吸引力モードよりも小さい低吸引力モードとを含み、
前記制御部は、第1及び第2モータに電力を供給しながら前記高吸引力モードで第1被掃除面を掃除しているとき前記被掃除面が第1被掃除面から第2被掃除面に変わったことを検出すると、第2モータの回転数、前記高吸引力モードで第被掃除面を掃除しているときの第2モータの回転数に比べ大きくするような制御パラメータの設定値で前記電気掃除機を制御するように設けられ、
前記制御部は、第1及び第2モータに電力を供給しながら前記電気掃除機を前記低吸引力モードで制御しているとき前記被掃除面の種類が第1被掃除面から第2被掃除面に変わったことを検出したとしても第1モータ及び第2モータへの供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変更せずに前記電気掃除機を制御するように設けられたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記運転モードは、前記被掃除面の種類に応じて第1モータと第2モータへの供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変化させる自動切り替えモードを含み、
前記制御部は、前記自動切り替えモードで第1被掃除面を掃除しているとき、前記自動切り替えモードで第2被掃除面を掃除しているときに比べ第1モータの回転数及び第2モータの回転数の両方が小さくなるような制御パラメータの設定値で前記電気掃除機を制御するように設けられた請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記電気掃除機が吸引する塵埃の量を検出するように設けられたゴミ検知センサをさらに備え、
前記制御部は、前記電気掃除機を前記低吸引力モードで制御しているとき前記ゴミ検知センサのセンサ出力に基づき吸引する塵埃が増加したことを検出した場合でも第1モータ及び第2モータへの供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変更せずに前記電気掃除機を制御するように設けられた請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気掃除機は、高吸引力モード、低吸引力モード、自動切り替えモードなどの運転モードを備えている(例えば、特許文献1参照)。これらの運転モードは、ユーザが掃除をする際に切り替えスイッチを用いて切り替えている。例えば、ユーザができるだけ静かに掃除をしたい場合、ユーザは低吸引力モードを選択する。例えば、ユーザが強力にゴミを吸引したい場合、ユーザは高吸引力モードを選択する。例えば、ユーザが消費電力を抑えて掃除したい場合、ユーザは自動切り替えモードを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-152303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電気掃除機は、高吸引力モードで運転しているときに被掃除面の種類が変わった場合でも、回転ブラシを回転させるモータへの供給電力や電動送風機のモータへ供給する電力を変化させない。このため、必要以上に電力を消費する場合が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電力消費を抑えることができる電気掃除機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、空気を電気掃除機内に吸引するように設けられたファン及びそのファンを回転させる第1モータを有する電動送風機と、回転ブラシと、前記回転ブラシを回転させるように設けられた第2モータと、切り替え可能な運転モードで前記電気掃除機を制御するように設けられた制御部とを備え、前記制御部は、被掃除面の種類を判定するように設けられ、前記被掃除面の種類は、第1被掃除面と、第2モータの回転に対する負荷が第1被掃除面より大きい第2被掃除面とを含み、前記運転モードは、高吸引力モードと、第1モータへの供給電力が前記高吸引力モードよりも小さい低吸引力モードとを含み、前記制御部は、前記高吸引力モードで第1被掃除面を掃除しているときの第2モータの回転数が、前記高吸引力モードで第2被掃除面を掃除しているときの第2モータの回転数に比べ小さくなるような制御パラメータの設定値で前記電気掃除機を制御するように設けられたことを特徴とする電気掃除機を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電気掃除機は、電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態の電気掃除機の概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態の電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の電気掃除機は、空気を電気掃除機内に吸引するように設けられたファン及びそのファンを回転させる第1モータを有する電動送風機と、回転ブラシと、前記回転ブラシを回転させるように設けられた第2モータと、切り替え可能な運転モードで前記電気掃除機を制御するように設けられた制御部とを備え、前記制御部は、被掃除面の種類を判定するように設けられ、前記被掃除面の種類は、第1被掃除面と、第2モータの回転に対する負荷が第1被掃除面より大きい第2被掃除面とを含み、前記運転モードは、高吸引力モードと、第1モータへの供給電力が前記高吸引力モードよりも小さい低吸引力モードとを含み、前記制御部は、前記高吸引力モードで第1被掃除面を掃除しているときの第2モータの回転数が、前記高吸引力モードで第2被掃除面を掃除しているときの第2モータの回転数に比べ小さくなるような制御パラメータの設定値で前記電気掃除機を制御するように設けられたことを特徴とする。
【0009】
前記制御部は、電気掃除機を低吸引力モードで制御しているとき被掃除面の種類が変わったとしても第1モータ及び第2モータへの供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変更せずに前記電気掃除機を制御するように設けられたことが好ましい。このような低吸引力モードで電気掃除機を制御することにより、被掃除面の種類に関係なく静音性を保って掃除を行うことができ、夜間に掃除を行う際など静音が好ましい状況における電気掃除機の使用性を向上させることができる。
前記運転モードは、被掃除面の種類に応じて第1モータと第2モータへの供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変化させる自動切り替えモードを含むことが好ましい。また、前記制御部は、自動切り替えモードで第1被掃除面を掃除しているとき、自動切り替えモードで第2被掃除面を掃除しているときに比べ第1モータの回転数及び第2モータの回転数の両方が小さくなるような制御パラメータの設定値で電気掃除機を制御するように設けられることが好ましい。このことにより、電気掃除機のゴミ除去効率を向上させることができる。
【0010】
前記電気掃除機は、電気掃除機が吸引する塵埃の量を検出するように設けられたゴミ検知センサを備えることが好ましい。また、前記制御部は、電気掃除機を低吸引力モードで制御しているときゴミ検知センサのセンサ出力に基づき吸引する塵埃が増加したことを検出した場合でも第1モータ及び第2モータへの供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変更せずに電気掃除機を制御するように設けられることが好ましい。このような低吸引力モードで電気掃除機を制御することにより、塵埃増加の検出の有無に関係なく静音性を保って掃除を行うことができ、夜間に掃除を行う際など静音が好ましい状況における電気掃除機の使用性を向上させることができる。
【0011】
以下、複数の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
【0012】
第1実施形態
図1は本実施形態の電気掃除機の概略断面図であり、図2は電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態の電気掃除機50は、空気を電気掃除機50内に吸引するように設けられたファン2及びファン2を回転させる第1モータ3を有する電動送風機4と、回転ブラシ17と、回転ブラシ17を回転させるように設けられた第2モータ18と、切り替え可能な運転モードで電気掃除機50を制御するように設けられた制御部8とを備え、制御部8は、被掃除面の種類を判定するように設けられ、被掃除面の種類は、第1被掃除面と、第2モータ17の回転に対する負荷が第1被掃除面より大きい第2被掃除面とを含み、前記運転モードは、高吸引力モードと、第1モータ3への供給電力が前記高吸引力モードよりも小さい低吸引力モードとを含み、制御部8は、前記高吸引力モードで第1被掃除面を掃除しているときの第2モータ18の回転数が、前記高吸引力モードで第2被掃除面を掃除しているときの第2モータ18の回転数に比べ小さくなるような制御パラメータの設定値で電気掃除機50を制御するように設けられたことを特徴とする。
【0013】
本実施形態の電気掃除機50は、スティック型であってもよく、キャニスタ型であってもよくハンディタイプであってもよく、自走式掃除機(ロボット掃除機)であってもよい。また、電気掃除機50の集塵方式は、紙パック式であってもよく、サイクロン式であってもよく、フィルタ式であってもよい。また、電気掃除機50は、バッテリ13を駆動電源とするコードレス掃除機であってもよく、電気コードによりコンセントと接続するコード付掃除機であってもよい。図1に例示した電気掃除機50は、集塵方式がサイクロン式であり、バッテリを駆動電源とするスティック型コードレス掃除機である。
【0014】
電動送風機4は、吸気及び排気をする部材であり、ファン2と、ファン2を回転させる第1モータ3とを備える。また、電動送風機4は、集塵部11の風の流れの下流側に配置することができる。電動送風機4には、電動送風機用駆動回路などを備えた制御基板が取り付けられていてもよい。第1モータ3は、カーボンブラシを有するモータであってもよく、ブラシレスモータであってもよい。
【0015】
電気掃除機50では、電動送風機4のファン2が回転することにより、吸込口5から外気を塵埃と一緒に電気掃除機50内に吸込み、床、畳、絨毯などの被掃除面を掃除することができる。吸込口5から電気掃除機50内に吸い込んだ空気は、空気流路を流れ集塵部11に流入し、空気と共に吸い込んだ塵埃は集塵部11の内部に集塵され、空気中の塵埃が取り除かれる。集塵部11を通過した後の空気は、排気口から排出される。
電気掃除機50の吸引力は、制御部8の第1調節部37により電源部12から電動送風機4の第1モータ3に供給する電力又は電流を調節しファン2の回転数を調節することにより制御することができる。
また、回転ブラシ17の回転数は、制御部8の第2調節部38により電源部12から第2モータ18に供給する電力又は電流を調節することにより制御することができる。
【0016】
電気掃除機50の集塵方式が紙パック式である場合、集塵部11は紙パックである。また、電気掃除機50の集塵方式がサイクロン式である場合、集塵部11はサイクロン集塵器である。電気掃除機50の集塵方式がフィルタ方式である場合、集塵部11はフィルタ及びダストカップを有することができる。
【0017】
電源部12は、直流電源部であってもよく、交流電源部であってもよい。また、電源部12は、電力線により制御部8と接続し、制御部8を介して電動送風機4の第1モータ3などに電力を供給することができる。
電源部12が直流電源部である場合、電源部12はバッテリ13を備えることができ、バッテリ13から直流電力を電動送風機4の第1モータ3などに供給することができる。バッテリ13の種類は、充放電が可能な二次電池であれば特に限定されないが、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などである。また、制御部8は、バッテリ13の放電又は充電を制御するように設けられた電源回路14を備えることができる。
【0018】
電源部12が交流電源部である場合、電源部12は電源コードを介してコンセントから供給される交流電流を利用した電源部とすることができる。この交流電源部から交流電力又はAC-DCコンバータで変換した直流電力を電動送風機4の第1モータ3などに供給することができる。
【0019】
吸込口体16は、吸込口5を有する部分であり、被掃除面の塵埃を吸込口5から吸引できるように設けられる。吸込口体16は、床・カーペット掃除用吸込口体とすることができる。
吸込口体16は、回転ブラシ17を有する。回転ブラシ17は、吸込口体16を移動させながら被掃除面を掃除する際に回転するブラシである。回転する回転ブラシ17により被掃除面の塵埃を掻き出すことができ、掻き出した塵埃を吸込口5から吸引することができる。このため、被掃除面の塵埃をしっかりと除去することができる。回転ブラシ17は、第2モータ18により回転するパワーブラシである。
【0020】
操作部10は、オペレータが電気掃除機50を操作する部分である。操作部10は、ハンドグリップ6及びスイッチ部9を有することができる。
ハンドグリップ6は、吸込口体16を動かすためにオペレータが手で握る部分である。ハンドグリップ6は、オペレータが手で握りやすいような形状を有する。
【0021】
スイッチ部9は、オペレータが電気掃除機50のオン・オフ、運転モードの切り替えなどの操作を行うことができるように設けられた部分である。スイッチ部9は、信号線などにより制御部8に接続することができる。オペレータがスイッチ部9のボタンを押すと、制御部8はボタンが押されたことを検出し電気掃除機50を制御する。
スイッチ部9は、例えば、強運転ボタンや弱運転ボタンや自動運転ボタンなどの運転モード切り替えボタン、切ボタンなどを備えることができる。電気掃除機50は、例えば、低吸引力モード、高吸引力モード、自動切り替えモードなどの運転モードを有することができ、スイッチ部9は、低吸引力モードでの運転を行うための弱運転ボタン、高吸引力モードでの運転を行うための強運転ボタン、自動切り替えモードで運転を行うための自動運転ボタンなどの運転モード切り替えボタン、切ボタンなどを備える。電気掃除機50の運転停止している際にオペレータが運転モード切り替えボタンを押圧することで電気掃除機50は押されたボタンのモードにあわせて運転を開始する。なお、あるモードで運転中に別モードのボタンを押すと、新たに押されたモードで運転を継続する。切ボタンを押圧することで運転を停止する。また、スイッチ部9は、スマートフォンなどの外部機器を利用して電気掃除機50を操作する部分であってもよい。運転モードが、例えば、低吸引力モード、自動切り替えモード、高吸引力モードを含む場合、オペレータは、スイッチ部9を用いてこれらの運転モードのうちいずれか1つに切り替えることができる。
スイッチ部9は、オペレータがハンドグリップ6を握った状態で親指を使ってスイッチ部9のボタンを押すことができる位置に配置することができる。
【0022】
制御部8は、電気掃除機50を制御する部分であり、例えば、演算部、記憶部36、第1調節部37、第2調節部38などを有する。制御部8は、制御モジュール19を有することができる。制御モジュール19は、例えば、演算部、記憶部36、タイマー、入出力ポートなどを有するマイクロコントローラである。演算部は、例えば、CPU、GPU、FPGAなどである。記憶部36は、マスクROM, EPROM, EEPROM, フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)などのROMと、FeRAM, SRAM, DRAMなどのRAMを含むことができる。
制御部8は、複数の制御基板から構成されてもよい。これらの複数の制御基板は信号線又は電力線で接続することができる。制御部8は、例えば、電動送風機用駆動回路を備えた制御基板、回転ブラシ用駆動回路を備えた制御基板、電源回路14を備えた制御基板、マイクロコントローラなどから構成される。また、これらの回路などは、同じ制御基板に搭載されていてもよい。
【0023】
制御部8の記憶部36には、電気掃除機50を制御するための制御ソフトウェアがインストールされている。制御ソフトウェアは制御システムを含むことができる。また、制御ソフトウェアは、電動送風機4、第2モータ18、電源回路14、第1調節部37、第2調節部38、スイッチ部9などを制御するファームウェアを含むことができる。また、ファームウェアは、電動送風機4、第2モータ18、電源回路14、第1調節部37、第2調節部38、スイッチ部9などの一部とみなすこともできる。制御ソフトウェアは、第1調節部37を用いて第1モータ3に供給する電力又は電力を調節するための制御パラメータ及び第2調節部38を用いて第2モータ18に供給する電力又は電力を調節するための制御パラメータを含むことができる。記憶部36が運転モードごとにこれらの制御パラメータの設定値を記憶している。
【0024】
制御部8は、電源部12から電動送風機4の第1モータ3に供給する電力又は電流を調節するように設けられた第1調節部37を有することができる。この第1調節部37を用いて電気掃除機50の吸引力を調節(制御)することができる。
第1調節部37は、例えば、電動送風機用駆動回路の一部である。第1調節部37は、トランジスタを有するPWM回路を含むことができる。このトランジスタのオンオフを繰り返す周期又はデューティー比を調節することにより、電源部12から第1モータ3に供給する電力を調節することができる。また、第1調節部37は、電源部12から第1モータ3への電力の供給を停止するように設けることができる。また、第1調節部37は、双方向サイリスタを有する位相制御回路を含んでもよい。
【0025】
第1調節部37は、例えば、安定運転時において、記憶部36に記憶している設定値を制御パラメータに設定して第1モータ3へ供給する電力又は電流を調節(制御)することができる。制御パラメータは、例えば、第1モータ3の回転数、第1モータ3へ供給する電力値又は第1モータ3を流れる電流値とすることができる。この制御パラメータの設定値は、運転モードごとに設定することができ、記憶部36が記憶している。また、第1調節部37は、制御パラメータに対応する測定値に基づきフィードバック制御をすることができる。
【0026】
制御部8は、電源部12から回転ブラシ17を回転させる第2モータ18に供給する電力又は電流を調節するように設けられた第2調節部38を有することができる。この第2調節部38を用いて回転ブラシ17の回転数を調節することができる。
第2調節部38は、トランジスタを有するPWM回路を含むことができる。このトランジスタのオンオフを繰り返す周期又はデューティー比を調節することにより、電源部12から第2モータ18に供給する電力を調節することができる。また、第2調節部38は、電源部12から第2モータ18への電力の供給を停止するように設けることができる。
また、第2調節部38は、双方向サイリスタを有する位相制御回路を含んでもよい。
第2調節部38は、例えば、安定運転時において第2モータ18の回転数が実質的に一定となるように第2モータ18へ供給する電力又は電流を調節することができる。
【0027】
第2調節部38は、例えば、安定運転時において、記憶部36に記憶している設定値を制御パラメータに設定して第2モータ18へ供給する電力又は電流を調節することができる。制御パラメータは、例えば、第2モータ18の回転数、第2モータ18へ供給する電力値又は第2モータ18を流れる電流値とすることができる。この制御パラメータの設定値は、運転モードごとに設定することができ、記憶部36が記憶している。
また、第2調節部38は、制御パラメータに対応する測定値に基づきフィードバック制御をすることができる。
【0028】
制御部8は、第2モータ18に流れる電流の電流量、電圧又は電力に基づき被掃除面の種類を判定するように設けられる。
第2モータ18により駆動する回転ブラシ17は、回転しながら被掃除面の塵埃を掻き出すため、回転する回転ブラシ17と被掃除面との間に摩擦抵抗が生じる。この摩擦抵抗の大きさは、被掃除面の種類によって変化する。例えば、被掃除面がフローリングや畳(第1被掃除面)の場合、被掃除面に凹凸が少ないため、摩擦抵抗は小さくなる。このため、第2モータ18にかかる負荷も小さくなる。例えば、被掃除面が絨毯(第2被掃除面)である場合、被掃除面に凹凸が多いため、摩擦抵抗は大きくなる。このため、第2モータ18にかかる負荷も大きくなる。
【0029】
第2モータ18への供給電力の制御パラメータを第2モータ18の回転数とした場合、第2調節部38は、第2モータ18の回転数が制御パラメータの設定値(回転数)で一定となるように供給電力を調節する。このような制御下で被掃除面の掃除を進めているとき、被掃除面がフローリング又は畳(第1被掃除面)から絨毯(第2被掃除面)に変わると、第2モータ18にかかる負荷が増大し、第2モータ18に流れる電流量が増大する。この電流量は電流センサで検出することができる。また、被掃除面が絨毯(第2被掃除面)からフローリング又は畳(第1被掃除面)に変わると、第2モータ18にかかる負荷が減少し、第2モータ18に流れる電流量が減少する。このため、制御部8は、第2モータ18に流れる電流量に基づき、被掃除面がフローリング又は畳(第1被掃除面)であるか又は絨毯(第2被掃除面)であるかを判定することができる。
【0030】
例えば、被掃除面の種類を判定するための閾値(電流量)を記憶部36に記憶させることができる。そして、制御部8は、第2モータ18を流れる電流量が閾値より小さいと被掃除面がフローリング又は畳(第1被掃除面)であると判定し、第2モータ18を流れる電流量が閾値より大きいと被掃除面が絨毯(第2被掃除面)であると判定することができる。そして、制御部8は、被掃除面の種類の判定結果に基づいて、制御パラメータの設定値を変更し、電気掃除機50の吸引力(第1モータ3のパワー)又は回転ブラシ17の回転数(第2モータ18のパワー)を変えることができる。
ここでは、電流量に基づき被掃除面を判定する例について説明しているが、第2モータ18へ供給される電力又は第2モータ18に印加される電圧に基づき被掃除面を判定することもできる。また、制御部8は、被掃除面を撮影するように設けられたカメラなどの画像又は動画に基づき被掃除面の種類を判定してもよい。
【0031】
制御部8は、切り替え可能な運転モードで電気掃除機50を制御するように設けられる。運転モードは、電気掃除機50の運転方式であり、掃除対象、時間帯、消費電力などに基づいて、ユーザが運転モードを切り替えて電気掃除機50を動作させることができる。電気掃除機50の運転モードは、高吸引力モード、低吸引力モード、自動切り替えモードを含むことができる。高吸引力モード、低吸引力モード及び自動切り替えモードにおける第1モータ3のパワー(電気掃除機50の吸引力)及び第2モータ18のパワー(回転ブラシ17の回転数)を表1に例示している。
【0032】
【表1】
【0033】
この例では、第1モータ3のパワー(電気掃除機50の吸引力)を大、中、小の三段階で切り替えることができるように制御部8が設けられている。この場合、第1モータ3のパワーの大、中、小のそれぞれに対応する制御パラメータの設定値を記憶部36が記憶している。また、第2モータ18のパワー(回転ブラシ17の回転数)を大、中、小の三段階で切り替えることができるように制御部8が設けられている。この場合、第2モータ18のパワーの大、中、小のそれぞれに対応する制御パラメータの設定値を記憶部36が記憶している。
ここでは、制御部8が第1モータ3のパワー、第2モータ18のパワーのそれぞれを3段階で切り替える例を示しているが、制御部8は、第1モータ3のパワー又は第2モータ18のパワーをより細かく調節できるように設けられてもよい。
【0034】
制御部8は、オペレータがスイッチ部9を用いて運転モードを切り替える(選択する)と、記憶部36に記憶している設定値を読み込み、制御パラメータをこの設定値に設定することにより、第1モータ3のパワー(電気掃除機50の吸引力)及び第2モータ18のパワー(回転ブラシ17の回転数)を変えることができる。また、制御部8は、被掃除面の種類が変わったことを検出すると、記憶部36に記憶している設定値を読み込み、制御パラメータをこの設定値に設定することにより、第1モータ3のパワー(電気掃除機50の吸引力)及び第2モータ18のパワー(回転ブラシ17の回転数)を変えることができる。
【0035】
例えば、オペレータがスイッチ部9を押して高吸引力モードでフローリング又は畳(第1被掃除面)の掃除を開始する際(又は、低吸引力モード或いは自動切り替えモードから高吸引力モードに切り替えた際)には、制御部8は、第1モータ3のパワー「大」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第1調節部37により第1モータ3に電力を供給する。このことにより、オペレータが高吸引力で掃除を行うことができる。また、制御部8は、第2モータ18のパワー「中」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第2調節部38により第2モータ18に電力を供給する。この結果、回転ブラシ17は、回転数「中」で回転する。フローリング又は畳(第1被掃除面)は凹凸が少ないため、回転ブラシ17の回転数が「中」であっても第1被掃除面の塵埃を十分に除去することが可能である。また、回転ブラシ17の回転数を「中」とすることにより、回転ブラシ17が第1被掃除面に与える衝撃を小さくすることができ、第1被掃除面が傷つくことを抑制することができる。さらに、第2モータ18の電力消費を抑えることができ、バッテリ13の残量低下速度を遅くすることができる。
【0036】
その後、被掃除面が第1被掃除面から第2被掃除面(絨毯)に変わったことを制御部8が検出すると、制御部8は、第1モータ3のパワー「大」に対応する設定値を制御パラメータとして用いて第1調節部37により第1モータ3に電力を供給する。つまり、被掃除面が変わったとしてもこの制御パラメータの設定値は変えない。また、被掃除面が第1被掃除面から第2被掃除面(絨毯)に変わったことを制御部8が検出すると、制御部8は、第2モータ18のパワー「大」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第2調節部38により第2モータ18に電力を供給する。つまり、回転ブラシ17の回転数を「中」から「大」に上昇させる。回転ブラシ17の回転数を大きくすることにより、絨毯の中に入り込んだ塵埃を回転ブラシ17によりしっかり掻き出すことができ、第2被掃除面の塵埃をしっかりと除去することができる。
【0037】
このように、高吸引力モードで第1被掃除面を掃除しているときの第2モータ18の回転数が、高吸引力モードで第2被掃除面を掃除しているときの第2モータ18の回転数に比べ小さくなるような制御パラメータの設定値で電気掃除機50を制御するように制御部8を設けることにより、第1被掃除面及び第2被掃除面をしっかり掃除でき、かつ、第1被掃除面が傷つくことを抑制することができ、かつ、第2モータ18の電力消費を抑えることができる。
なお、被掃除面が第2被掃除面から第1被掃除面に変わったときは制御方法が逆になる。
【0038】
オペレータがスイッチ部9を用いて高吸引力モード又は自動切り替えモードから低吸引力モードに切り替えてフローリング又は畳(第1被掃除面)を掃除する際(又は低吸引力モードで掃除を開始する際)には、制御部8は、第1モータ3のパワー「小」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第1調節部37により第1モータ3に電力を供給する。また、制御部8は、第2モータ18のパワー「小」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第2調節部38により第2モータ18に電力を供給する。このことにより、電気掃除機50の運転音を抑えて(静音性を保って)第1被掃除面を掃除することができる。
【0039】
その後、被掃除面が第1被掃除面から第2被掃除面(絨毯)に変わったことを制御部8が検出したとしても、制御部8は、第1モータ3及び第2モータ18への供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変更せずに第1モータ3及び第2モータ18に電力を供給する。このことにより、電気掃除機50の運転音を抑えて(静音性を保って)第2被掃除面を掃除することができる。つまり、低吸引力モードでは、被掃除面の種類に関係なく、静音性を保って掃除を行うことができる。この結果、夜間に掃除を行う際など静音が好ましい状況における電気掃除機50の使用性を向上させることができる。
なお、被掃除面が第2被掃除面から第1被掃除面に変わったときも同様である。
【0040】
オペレータがスイッチ部9を用いて低吸引力モード又は高吸引力モードから自動切り替えモードに切り替えてフローリング又は畳(第1被掃除面)を掃除する際(又は自動切り替えモードで掃除を開始する際)には、制御部8は、第1モータ3のパワー「中」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第1調節部37により第1モータ3に電力を供給する。また、制御部8は、第2モータ18のパワー「中」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第2調節部38により第2モータ18に電力を供給する。第1モータ3のパワーと第2モータ18のパワーの両方を「中」とすることにより、第1モータ3及び第2モータ18の電力消費を抑えることができ、バッテリ13の残量低下速度を遅くすることができる。
【0041】
その後、被掃除面が第1被掃除面から第2被掃除面(絨毯)に変わったことを制御部8が検出すると、制御部8は、第1モータ3のパワー「大」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第1調節部37により第1モータ3に電力を供給し、第2モータ18のパワー「大」に対応する設定値を制御パラメータに設定して第2調節部38により第2モータ18に電力を供給する。このことにより、電気掃除機50の吸引力と回転ブラシ17の回転数の両方を大きくすることができ、第2被掃除面の塵埃をしっかりと除去することができる。
【0042】
第2実施形態
第2実施形態の電気掃除機50は、ゴミ検知センサ20を備える。
ゴミ検知センサ20は、吸込口5から吸い込んだ空気が流れる空気流路を通過する塵埃を検出するように設けられたセンサである。ゴミ検知センサ20は、制御部8により制御される。ゴミ検知センサ20は、例えば、発光部と光電変換部とを有することができる。また、発光部及び光電変換部は、電気掃除機50内に吸引した空気及び塵埃が通過する空気流路を挟んで対向するように配置され、発光部が発した光を光電変換部が受光するように設けられる。発光部が発光する光は赤外線であってもよい。
空気流路を塵埃が空気と共に流れると、塵埃が発光部から光電変換部へ照射される光又は赤外線を遮る。このため、空気流路を流れる塵埃の量に応じて光電変換部の出力(センサ出力)が変化する。従って、制御部8は、ゴミ検知センサ20を用いて、電気掃除機50が吸い込んだ塵埃の量を検出することができる。
【0043】
制御部8は、ゴミ検知センサ20のセンサ出力に基づいて電気掃除機50が吸い込んだ塵埃の量が増加したことを検出するように設けることができる。例えば、ゴミ検知センサ20のセンサ出力が閾値より大きくなった場合又はセンサ出力が閾値よりも小さくなった場合に制御部8は、塵埃の量が増加したと判断して塵埃の増加を検出する。
【0044】
また、制御部8は、ゴミ検知センサ20を用いる塵埃の増加の検出の有無に基づいて、制御パラメータの設定値を変更し、電気掃除機50の吸引力(第1モータ3のパワー)又は回転ブラシ17の回転数(第2モータ18のパワー)を変えることができる。
【0045】
第2実施形態の電気掃除機50について、低吸引力モード、自動切り替えモード及び高吸引力モードにおける第1モータ3のパワー(電気掃除機50の吸引力)及び第2モータ18のパワー(回転ブラシ17の回転数)を表2に例示している。
【0046】
【表2】
【0047】
制御部8が塵埃の増加を検出していないときの第1モータ3のパワー及び第2モータ18のパワーは第1実施形態と同様である。
高吸引力モード又は自動切り替えモードにおいて、制御部8が第1モータ3のパワー「中」又は第2モータ18のパワー「中」で電気掃除機50を制御しているとき、ゴミ検知センサ20のセンサ出力に基づき塵埃の増加を検出すると、制御部8は、制御パラメータの設定値を変更し第1モータ3のパワー又は第2モータ18のパワーを「中」から「大」に切り替える。このことにより、塵埃が増加したときに電気掃除機50の吸引力又は回転ブラシ17の回転数を大きくすることができ、電気掃除機50のゴミ除去効率を向上させることができる。
【0048】
低吸引力モードにおいて、制御部8が第1モータ3のパワー「小」及び第2モータ18のパワー「小」で電気掃除機50を制御しているとき、ゴミ検知センサ20のセンサ出力に基づき塵埃の増加を検出したとしても制御部8は第1モータ3及び第2モータ18への供給電力を調節するための制御パラメータの設定値を変更せずに第1モータ3及び第2モータ18に電力を供給する。このことにより、電気掃除機50の運転音を抑えて被掃除面を掃除することができる。つまり、低吸引力モードでは、塵埃の増加の検出の有無に関係なく、静音性を保って掃除を行うことができる。この結果、夜間に掃除を行う際など静音が好ましい状況における電気掃除機50の使用性を向上させることができる。
その他の構成は第1実施形態と同様である。また、第1実施形態についての記載は矛盾がない限り第2実施形態についても当てはまる。
【符号の説明】
【0049】
2:ファン 3:第1モータ 4:電動送風機 5:吸込口 6:ハンドグリップ 8:制御部 9:スイッチ部 10:操作部 11:集塵部 12:電源部 13:バッテリ 14:電源回路 16:吸込口体 17:回転ブラシ 18:第2モータ 19:制御モジュール 20:ゴミ検知センサ 25:延長管 36:記憶部 37:第1調節部 38:第2調節部 50:電気掃除機
図1
図2