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  • 特許-導電接続材料及び太陽電池セル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】導電接続材料及び太陽電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20240606BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240606BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALI20240606BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01L31/04 264
H01B1/22 A
H01L31/04 262
H01L31/06 455
H05K1/09 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020096878
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021190641
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 紳平
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳一
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-293952(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0017642(KR,A)
【文献】特開2017-224602(JP,A)
【文献】特開2005-071825(JP,A)
【文献】特開2019-141878(JP,A)
【文献】特開2000-353424(JP,A)
【文献】特表2015-511888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0034141(US,A1)
【文献】特開2013-073890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01B 1/00-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田粒子と、
少なくとも表面に前記半田粒子の融点よりも高い融点を有する金属を有する導電性粒子と、
前記半田粒子の融点よりも低い硬化温度を有する熱硬化性樹脂と、
を含む、導電接続材料から形成される第1バスバー及び第2バスバーと、
半導体基板と、
前記半導体基板の裏面に交互に積層される帯状の複数の第1半導体層及び複数の第2半導体層と、
前記第1半導体層にそれぞれ積層される複数の第1フィンガー電極及び前記第2半導体層にそれぞれ積層される複数の第2フィンガー電極と、
前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第1フィンガー電極及び前記第2フィンガー電極の裏面側を覆い、前記第1フィンガー電極を部分的に露出するよう形成された複数の第1接続開口及び前記第2フィンガー電極を部分的に露出するよう形成された複数の第2接続開口を有する絶縁層と、
を備え、
前記第1バスバーは、前記絶縁層の裏面に積層され、前記第1接続開口から露出する複数の前記第1フィンガー電極を接続し、
前記第2バスバーは、前記絶縁層の裏面に積層され、前記第2接続開口から露出する複数の前記第2フィンガー電極を接続する、太陽電池
【請求項2】
前記半田粒子100質量部に対する前記導電性粒子の含有量は、5質量部以上1500質量部以下である、請求項1に記載の太陽電池
【請求項3】
前記半田粒子100質量部に対する前記熱硬化性樹脂の含有量は、0.8質量部以上300質量部以下である、請求項1又は2に記載の太陽電池
【請求項4】
前記導電性粒子100質量部に対する前記熱硬化性樹脂の含有量は、5質量部以上50質量部以下である、請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電接続材料及び太陽電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板への電子部品の実装等に、銀ペースト等の導電性粒子と、熱硬化性樹脂からなるバインダとを含む導電性ペーストが用いられる。また、導電性ペーストは、所望の導電パターンを形成するためにも用いることができる。例として、銀ペーストを用いて電極パターンを形成した太陽電池セルが存在する。しかしながら、導電性ペーストは、比較的電気抵抗が大きく、高価であるというデメリットを有する。
【0003】
電子部品の実装には、半田粒子とフラックスとを含む半田ペーストも利用されている。半田ペーストは、比較的安価であり、電気抵抗が小さい。半田ペーストは、絶縁基板等の濡れ性が小さい材料の表面には積層できないため、導電パターンの形成には利用できない。特許文献1には、半田ペーストに、半田粒子の融点よりも低い硬化温度を有する熱硬化性樹脂を含有させることによって、比較的濡れ性が低い材料に対する半田ペーストの接着性を向上する技術が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の半田ペーストは、電極等に対する密着性を向上することはできるが、ソルダレジストのように半田をはじく材料には積層することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-141878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池セルでは、極性が異なる電極が入り組んで配設され得るため、短絡を防止するために電極間にソルダレジストのような絶縁材料が配設され得る。この場合、絶縁材上にも導電パターンを形成する必要がある。そこで、本発明は、絶縁材料の表面に低抵抗の導電パターンを形成できる安価な導電接続材料及び安価な太陽電池セルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る導電接続材料は、半田粒子と、使用温度域で溶融しない金属で覆われた導電性粒子と、前記半田粒子の融点よりも低い硬化温度を有する熱硬化性樹脂と、を含む。
【0007】
前記導電接続材料において、前記半田粒子100質量部に対する前記導電性粒子の含有量は、5質量部以上1500質量部以下であってもよい。
【0008】
前記導電接続材料において、前記半田粒子100質量部に対する前記熱硬化性樹脂の含有量は、0.8質量部以上300質量部以下であってもよい。
【0009】
前記導電接続材料において、前記導電性粒子100質量部に対する前記熱硬化性樹脂の含有量は、5質量部以上50質量部以下であってもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る太陽電池セルは、半導体基板と、前記半導体基板の裏面に交互に積層される帯状の複数の第1半導体層及び複数の第2半導体層と、前記第1半導体層にそれぞれ積層される複数の第1フィンガー電極及び前記第2半導体層にそれぞれ積層される複数の第2フィンガー電極と、前記第1半導体層、前記第2半導体層、前記第1フィンガー電極及び前記第2フィンガー電極の裏面側を覆い、前記第1フィンガー電極を部分的に露出するよう形成された複数の第1接続開口及び前記第2フィンガー電極を部分的に露出するよう形成された複数の第2接続開口を有する絶縁層と前記絶縁層の裏面に積層され、前記第1接続開口から露出する複数の前記第1フィンガー電極を接続する第1バスバー及び前記絶縁層の裏面に積層され、前記第2接続開口から露出する複数の前記第2フィンガー電極を接続する第2バスバーと、を備え、前記第1バスバー及び前記第2バスバーは、半田と、少なくとも表面に前記半田の融点よりも高い融点を有する金属を有する導電性粒子と、前記導電性粒子を分散して保持する熱硬化性樹脂と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、絶縁材料の表面に導電パターンを形成できる安価な導電接続材料及びを安価な太陽電池セルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池セルの構成を示す模式平面図である。
図2図1の太陽電池セルの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る導電接続材料は、半田粒子と、少なくとも表面に半田粒子の融点よりも高い融点を有する金属を有する導電性粒子と、半田粒子の融点よりも低い硬化温度を有する熱硬化性樹脂と、を含む。「融点」とは、JIS-Z3198-1(2014)に規定される固相線温度を意味する。また、「硬化温度」とは、JIS-K7121(1987)に規定される示差走査熱量測定において示差熱量がピークとなる温度を意味する。
【0015】
この導電接続材料は、基材の表面に所望のパターンに塗布され、加熱されることによってパターン形状を保持したまま導電体を形成する。具体的には、導電接続材料を加熱すると、先ず熱硬化性樹脂が硬化して半田粒子及び導電性粒子を分散状態に保持する。さらに加熱すると、半田粒子がリフローして導電性粒子を濡らすことにより、導電性粒子を接続するよう連続した層を形成する。このため、この導電接続材料は、半田に対する濡れ性を有しない基材の表面に塗布された場合であっても、リフローした半田がはじかれて分断することがないので、連続する導電体を形成できる。
【0016】
半田粒子の組成としては、特に限定されないが、中温系又は中低温系のものが好適に用いられる。半田粒子の融点の下限としては、150℃が好ましく、160℃がより好ましい。一方、半田粒子の融点の上限としては、217℃が好ましく、200℃がより好ましい。半田粒子の融点を前記下限以上とすることによって、後述する熱硬化性樹脂の選択が容易となる。また、半田粒子の融点を前記上限以下とすることによって、導電接続材料の利用範囲が制限されにくくなる。
【0017】
半田粒子の平均粒径(顕微鏡観察における円相当径)の下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましい。一方、半田粒子の平均粒径の上限としては、50μmが好ましく、30μmがより好ましい。半田粒子の平均粒径を前記下限以上とすることによって、半田粒子のコストを低減できる。また、半田粒子の平均粒径を前記上限以下とすることによって、導電接続材料を印刷等によって選択的に塗布することが可能になる。
【0018】
導電接続材料における半田粒子の含有率の下限としては、5質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましい。一方、半田粒子の含有率の上限としては、95質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。半田粒子の含有率を前記下限以上とすることにより、形成される導電体の電気抵抗を低くできると共に製造コストを抑制できる。また、半田粒子の含有率を前記上限以下とすることにより、十分な導電性粒子及び熱硬化性樹脂を含有させられる。
【0019】
少なくとも導電性粒子の表面は、半田に対する濡れ性を有し、半田粒子のリフロー時に溶融しない金属で形成される。つまり、導電性粒子は表面が金属で被覆されていてもよく、全体が同一の金属によって形成されていてもよい。導電性粒子の表面の金属の融点と半田粒子の融点との差の下限としては、半田粒子のリフロー温度に余裕を持たせるために、50℃が好ましく、100℃がより好ましい。導電性粒子の表面の金属の材質としては、例えば銀、金、銅、ニッケル、アルミニウム等を挙げることができ、中でも導電性に優れる銀が特に好適に用いられる。
【0020】
導電性粒子の平均粒径の下限としては、1μmが好ましく、3μmがより好ましい。一方、導電性粒子の平均粒径の上限としては、30μmが好ましく、20μmがより好ましい。導電性粒子の平均粒径を前記下限以上とすることによって、導電性粒子のコストを低減できる。また、導電性粒子の平均粒径を前記上限以下とすることによって、導電性粒子の表面積を大きくして半田の分断を効果的に防止できる。
【0021】
半田粒子100質量部に対する導電性粒子の含有量の下限としては、5質量部が好ましく、7質量部がより好ましい。一方、半田粒子100質量部に対する導電性粒子の含有量の上限としては、1500質量部が好ましく、100質量部がより好ましく、50質量部がさらに好ましい。導電性粒子の含有量を前記下限以上とすることによって、半田の分断を効果的に防止することができる。また、導電性粒子の含有量を前記上限以下とすることによって、比較的高価な導電性粒子の使用量を低減してコストを抑制できる。
【0022】
熱硬化性樹脂は、半田粒子がリフローする前に硬化して導電性粒子を移動しないように保持できるよう、半田粒子の融点よりも低い硬化温度を有する。半田粒子が溶融する前に確実に導電性粒子を保持できるよう、熱硬化性樹脂の硬化温度と半田粒子の融点との差の下限としては、25℃が好ましく、30℃がより好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0023】
半田粒子100質量部に対する熱硬化性樹脂の含有量の下限としては、0.8質量部が好ましく、1.0質量部がより好ましい。一方、半田粒子100質量部に対する熱硬化性樹脂の含有量の上限としては、300質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。熱硬化性樹脂の含有量を前記下限以上とすることによって、導電性粒子を適切に保持することができる。また、熱硬化性樹脂の含有量を前記上限以下とすることによって、形成される導電体の電気抵抗の増大を抑制できる。
【0024】
導電性粒子100質量部に対する熱硬化性樹脂の含有量の下限としては、5質量部が好ましく、10質量部がより好ましい。一方、導電性粒子100質量部に対する熱硬化性樹脂の含有量の上限としては、50質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。熱硬化性樹脂の含有量を前記下限以上とすることによって、導電性粒子を適切に保持することができる。また、熱硬化性樹脂の含有量を前記上限以下とすることによって、溶融した半田が導電性粒子を確実に濡らすことができる。
【0025】
また、導電性接続材料はフラックスを含んでいてもよい。フラックスは接合金属表面の酸化膜や異物を除去し、接着効果を高めることができる。はんだ付け性を低下させるものでなければ、特に種類は限定されない。導電接続材料は、溶剤等をさらに含んでもいてもよい。
【0026】
以上のような組成を有する導電接続材料は、半田粒子と、導電性粒子と、半田粒子の融点よりも低い温度で硬化する熱硬化性樹脂と、を含むため、半田粒子が溶融する前に熱硬化性樹脂が硬化して導電性粒子を保持し、その後に溶融した半田が導電性粒子を核にして連続する層を形成するので、半田に対する濡れ性を有しない基材の表面に連続する導電体を形成できる。また、前記導電接続材料は、比較的高価な導電性粒子の使用量が少ないため、比較的安価である。さらに、前記導電接続材料は、電気抵抗が小さい半田によって電気的接続を行うことができるため、抵抗が小さい導電パターンを形成することができる。
【0027】
続いて、添付の図面を参照して、本発明の太陽電池セルの実施形態について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、簡略化のために、部材の図示、符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。図1は、上述の導電接続材料を用いた本発明の一実施形態に係る太陽電池セル1の構成を示す模式平面図である。図2は、太陽電池セル1の模式断面図である。
【0028】
太陽電池セル1は、いわゆるヘテロ接合バックコンタクト型の太陽電池セルである。太陽電池セル1は、半導体基板11と、半導体基板11の裏面側(光の入射面と反対側)に、それぞれ第1方向に延びる帯状に形成され、第1方向と交差する第2方向に交互に設けられる複数の第1半導体層21及び複数の第2半導体層22と、第1半導体層21及び第2半導体層22の裏面側の第2方向中央部にそれぞれ第1方向に延びる帯状に積層される複数の第1フィンガー電極31及び複数の第2フィンガー電極32と、第1半導体層21、第2半導体層22、第1フィンガー電極31及び第2フィンガー電極32の裏面側を覆い、第1フィンガー電極31を部分的に露出するよう形成された複数の第1接続開口411及び第2フィンガー電極32を部分的に露出するよう形成された複数の第2接続開口412を有する絶縁層41と、絶縁層41の裏面に積層され、第1接続開口411から露出する複数の第1フィンガー電極31を接続する第1バスバー51及び絶縁層41の裏面に積層され、第2接続開口412から露出する複数の第2フィンガー電極32を接続する第2バスバー52と、を備える。
【0029】
半導体基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。半導体基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の半導体基板である。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。半導体基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子及び正孔)を生成する光電変換基板として機能する。半導体基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
【0030】
第1半導体層21及び第2半導体層22は、互いに異なる導電型を有する。例として、第1半導体層21はp型半導体から形成され、第2半導体層22はn型半導体から形成される。第1半導体層21及び第2半導体層22は、例えば所望の導電型を付与するドーパントを含有するアモルファスシリコン材料で形成することができる。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられ、n型ドーパントとしては、例えば上述したリン(P)が挙げられる。
【0031】
第1半導体層21及び第2半導体層22は、それぞれ第1方向に延びる帯状に形成される。太陽電池セル1では、複数の第1半導体層21及び複数の第2半導体層22が第1方向と交差する第2方向に交互に設けられる。第1半導体層21及び第2半導体層22は、半導体基板11の略全面を覆うように配設されることが好ましい。第1半導体層21及び第2半導体層22は、半導体基板11内に発生したキャリアを誘引して電荷を収集する。
【0032】
第1フィンガー電極31は、それぞれ第1半導体層21の裏面に第1方向に延びるよう積層され、第2フィンガー電極32は、それぞれ第2半導体層22の裏面に第1方向に延びるよう積層される。第1フィンガー電極31及び第2フィンガー電極32は、第1半導体層21及び第2半導体層22から電荷を取り出す。第1フィンガー電極31及び第2フィンガー電極32は、例えば銅等の金属から形成される。
【0033】
絶縁層41は、例えばエポキシ樹脂等を主成分とする絶縁性を有する材料から形成される。第1接続開口411は、第2方向に並んだ1又は複数の列状に形成される。第2接続開口412は、第1接続開口411の列とずらして第2方向に並んだ1又は複数の列状に形成される。
【0034】
第1バスバー51及び第2バスバー52は、第1フィンガー電極31及び第2フィンガー電極32をそれぞれ接続し、太陽電池セル1から外部に電力を取り出すための電路となる。
【0035】
第1バスバー51及び第2バスバー52は、半田と、少なくとも表面に半田の融点よりも高い融点を有する金属を有する導電性粒子と、導電性粒子を分散して保持する熱硬化性樹脂と、を含む。このような第1バスバー51及び第2バスバー52は、上述の導電接続材料によって形成することができる。
【0036】
以上のような構成を有する太陽電池セル1は、第1バスバー51及び第2バスバー52を比較的安価な導電接続材料を用いて、塗布及び加熱だけの簡単な処理で形成することができるため、比較的安価でありながら集電抵抗が小さい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。例えば、本発明に係る導電接続材料は上述した以外の添加剤を含んでもよい。また、本発明に係る太陽電池セルは、例えば半導体層とフィンガー電極との間に介設される透明電極等のさらなる構成要素を備えていてもよい。
【実施例
【0038】
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
【0039】
市販の半田ペーストに、他の材料を添加することによって、次の表1に示すように、組成が異なる試作番号1~15の導電接続材料を試作した。含有量については、半田粒子100質量部当たりの質量含有量で示す。ベースとした半田ペーストは、半田粒子100質量部に対して13質量部のフラックスを含む。半田粒子の粒子径は25~55μmであった。なお、表中の「-」は、含有していないため記載事項が存在しないことを示す。
【0040】
【表1】
【0041】
基板上に銀ペーストにより、幅550μm、厚さ25μ、間隔210μmのストライプ状に電極を形成し、その上にさらに絶縁ペーストにより、電極の中央部を幅300μmに亘って露出するよう、幅300μm、厚さ35μm、間隔460μmのストライプ状の絶縁層を積層した試験片を作成した。この試験片の表面に電極に垂直な方向に導電接続材料の試作品をディスペンサーによって幅550μm、高さ30~100μm、長さ156mmの線状に塗布し、ホットプレート上で加熱した。これを冷却した後、導電接続材料によって形成された導電体の抵抗率を測定した。なお、表中の抵抗率の「∞」は、連続する導電体が形成できなかったため、導通が得られなかったことを意味する。
【0042】
以上のように、半田粒子に対して、使用温度域で溶融しない金属で覆われた導電性粒子と、半田粒子の融点よりも低い硬化温度を有する熱硬化性樹脂と、を十分に含む、試作番号2~4及び6~8の導電接続材料は、連続する導電体を形成することができたが、これら以外の導電接続材料は、連続する導電体を形成することができなかった。連続する導電体を形成するための導電性粒子の必要量としては、製造条件等にもよるが、半田粒子100質量部に対して5質量部程度と考えられる。
【0043】
導電接続材料によって形成される導電体の抵抗率は、導電性粒子の含有率が多い程大きくなっている。また、導電接続材料において、導電性粒子の単価が特に高い。このため、電気抵抗及びコストの観点から、導電接続材料における導電性粒子の含有率は必要以上に大きくしないことが望ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 太陽電池セル
11 半導体基板
21 第1半導体層
22 第2半導体層
31 第1フィンガー電極
32 第2フィンガー電極
41 絶縁層
411 第1接続開口
412 第2接続開口
51 第1バスバー
52 第2バスバー
図1
図2