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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ダイカストマシン
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B22D17/32 J
B22D17/32 A
B22D17/32 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020099985
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021194643
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】屋城 正樹
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-027763(JP,A)
【文献】特開昭58-125353(JP,A)
【文献】特開平04-105761(JP,A)
【文献】特開2000-033472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 15/00 - 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯が注湯される注湯口を有する筒形状の射出スリーブと、
前記射出スリーブ内に摺動可能に嵌め込まれるプランジャチップと、前記射出スリーブ内に進退移動されることにより、前記プランジャチップを摺動させるプランジャロッドとを含み、前記射出スリーブに注湯された溶湯を射出するプランジャと、
前記プランジャを前記射出スリーブ内に進退移動させるプランジャ駆動機構と、
前記プランジャに印加される圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部によって検知された圧力値に基づいて、前記プランジャチップのかじりを検知する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記プランジャ駆動機構によって前記プランジャが定速で移動される定速区間のうち、前記プランジャチップのかじり以外に起因して前記圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間において検知された圧力値に基づいて、前記プランジャチップのかじりを検知するように構成されており、
前記制御部は、前記射出スリーブの前記注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動が生じる区間を前記定速区間から取り除くことにより、前記検出区間を設定するように構成されている、ダイカストマシン。
【請求項2】
前記制御部は、前記溶損に起因する圧力値の変動が生じる区間とともに、前記プランジャの移動開始に起因する圧力値の変動が生じる区間または、前記プランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が生じる区間を前記定速区間から取り除くことにより、前記検出区間を設定するように構成されている、請求項1に記載のダイカストマシン。
【請求項3】
前記制御部は、前記プランジャチップのかじり以外に起因して前記圧力検知部によって圧力値の変動が検知される区間を除外することにより、前記定速区間よりも短くなるように設定された前記検出区間において圧力値の変動が検知された場合に、前記プランジャチップにかじりが生じていると判定するように構成されている、請求項2に記載のダイカストマシン。
【請求項4】
前記検出区間は、区間開始のタイミングを前記定速区間の区間開始のタイミングよりも、所定の第1時間分、遅らせるか、または、区間終了のタイミングを前記定速区間の区間終了のタイミングよりも、所定の第2時間分、早くすることにより、前記定速区間よりも短くなるように設定された区間である、請求項3に記載のダイカストマシン。
【請求項5】
前記第1時間の長さは、前記プランジャチップが、前記定速区間の区間開始位置から前記注湯口を塞ぐ位置まで移動される際に要する時間以上の時間長さである、請求項4に記載のダイカストマシン。
【請求項6】
前記第2時間の長さは、前記プランジャが、前記定速区間において前記プランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出されるタイミングから、前記定速区間の区間終了まで移動される際に要する時間以上の時間長さである、請求項4または5に記載のダイカストマシン。
【請求項7】
前記制御部は、前記圧力検知部による圧力値の変動を検知したタイミング、および、圧力値の変動を検知した回数のうち、少なくともいずれかに基づいて、前記検出区間の長さを変更するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のダイカストマシン。
【請求項8】
前記制御部は、前記プランジャチップが前記定速区間の区間開始から前記注湯口を塞ぐ位置までの区間を移動される際に、前記圧力検知部によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、前記検出区間の区間開始のタイミングを遅らせる制御を行うように構成されている、請求項7に記載のダイカストマシン。
【請求項9】
前記制御部は、前記プランジャチップが前記プランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出される位置から、前記定速区間が終了するまでの区間を移動される際に、前記圧力検知部によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、前記検出区間の区間終了のタイミングを早める制御を行うように構成されている、請求項7または8に記載のダイカストマシン。
【請求項10】
前記プランジャ駆動機構は、第1速度と、前記第1速度よりも大きい速度である第2速度とによって、前記プランジャを進退移動可能に構成されており、
前記制御部は、前記第1速度によって前記プランジャが移動させられる区間としての前記定速区間から、前記プランジャチップのかじり以外に起因して圧力値の変動が検出される区間を除いた前記検出区間において検知された圧力値の変動に基づいて、前記プランジャチップのかじりを検知するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のダイカストマシン。
【請求項11】
溶湯が注湯される注湯口を有する筒形状の射出スリーブと、
前記射出スリーブ内に摺動可能に嵌め込まれるプランジャチップと、前記射出スリーブ内に進退移動されることにより、前記プランジャチップを摺動させるプランジャロッドとを含み、前記射出スリーブに注湯された溶湯を射出するプランジャと、
前記プランジャを前記射出スリーブ内に進退移動させるプランジャ駆動機構と、
前記プランジャに印加される圧力を検知する圧力検知部と、
前記圧力検知部によって検知された圧力値に基づいて、前記プランジャチップのかじりを検知する制御部と、
前記プランジャチップにかじりが生じていることを報知する報知部とを備え、
前記制御部は、前記プランジャ駆動機構によって前記プランジャが定速で移動される定速区間のうち、前記プランジャチップのかじり以外に起因して前記圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間において検知された圧力値に基づいて、前記プランジャチップのかじりを検知するように構成されており、
前記制御部は、前記検出区間において検知された圧力値の変動が、圧力値の第1閾値以上となった場合に前記プランジャチップにかじりが生じていることを報知するとともに、前記検出区間において検知された圧力値の変動が、前記第1閾値よりも大きい値である第2閾値以上となった場合に、前記プランジャチップの交換時期であることを報知するように構成されている、ダイカストマシン。
【請求項12】
前記制御部は、前記プランジャの移動開始に起因する圧力値の変動、前記射出スリーブの前記注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動、および、前記プランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動のうち、少なくともいずれかが生じる区間を前記定速区間から取り除くことにより、前記検出区間を設定するように構成されている、請求項11に記載のダイカストマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイカストマシンに関し、特に、スリーブ内の溶湯を金型内に射出するためのチップを備えるダイカストマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スリーブ内の溶湯を金型内に射出するためのチップを備えるダイカストマシンが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、溶湯により鋳造品を製造するダイカストマシンが開示されている。このダイカストマシンは、金型内に溶湯を供給するための射出スリーブと、射出スリーブ内に設けられ、射出スリーブ内の溶湯を金型内に射出するための射出プランジャとを備えている。また、上記特許文献1に開示されている射出プランジャの先端には、プランジャチップが設けられている。
【0004】
上記特許文献1に開示されているダイカストマシンは、射出プランジャの移動速度に基づいて、プランジャチップのかじり(焼き付き)を検出するように構成されている。具体的には、上記特許文献1に開示されているダイカストマシンは、射出スリーブ内において、所定の検出区間を設定する。また、上記特許文献1に開示されているダイカストマシンは、設定された検出区間を所定の時間幅で分割する。また、上記特許文献1に開示されているダイカストマシンは、検出区間を所定の時間幅で分割した各ブロックにおける射出プランジャの最高速度と最低速度との差に基づいて、プランジャチップのかじりを検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平3-106550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、上記特許文献1に記載されるような一般的なダイカストマシンでは、溶湯を射出する際に、溶湯の揺れを低減すること、および、溶湯に空気が巻き込まれることを抑制するために、プランジャの移動速度をフィードバックし、一定の速度でプランジャを移動させるように制御されている。すなわち、プランジャチップのかじりが生じたことを精度よく検出できる程度に大きな速度差が生じにくい。しかしながら、上記特許文献1に開示されているダイカストマシンでは、検出区間を所定の時間幅で分割したブロック毎に、プランジャの移動速度に基づいてプランジャチップのかじりを検出する構成であるため、プランジャチップのかじりを精度よく検出することが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、プランジャチップのかじりを精度よく検出することが可能なダイカストマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるダイカストマシンは、溶湯が注湯される注湯口を有する筒形状の射出スリーブと、射出スリーブ内に摺動可能に嵌め込まれるプランジャチップと、射出スリーブ内に進退移動されることにより、プランジャチップを摺動させるプランジャロッドとを含み、射出スリーブに注湯された溶湯を射出するプランジャと、プランジャを射出スリーブ内に進退移動させるプランジャ駆動機構と、プランジャに印加される圧力を検知する圧力検知部と、圧力検知部によって検知された圧力値に基づいて、プランジャチップのかじりを検知する制御部と、を備え、制御部は、プランジャ駆動機構によってプランジャが定速で移動される定速区間のうち、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間において検知された圧力値に基づいて、プランジャチップのかじりを検知するように構成されており、制御部は、射出スリーブの注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動が生じる区間を定速区間から取り除くことにより、検出区間を設定するように構成されている。
【0009】
この発明の第1の局面によるダイカストマシンでは、上記のように、プランジャ駆動機構によってプランジャが定速で移動される定速区間のうち、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間において検知された圧力値に基づいて、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いたプランジャチップのかじりを検知する制御部を備え、制御部は、射出スリーブの注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動が生じる区間を定速区間から取り除くことにより、検出区間を設定するように構成されている。これにより、検出区間における圧力値に基づいてプランジャチップのかじりを検知することが可能となるので、プランジャの移動速度に基づいてプランジャチップのかじりを検知する構成と比較して、プランジャチップのかじりを精度よく検知することができる。また、プランジャが定速で移動される定速区間のうち、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いた区間が検出区間として設定されるため、プランジャチップのかじり以外に起因する圧力値をプランジャチップのかじりであると誤検知することを抑制することができる。その結果、プランジャチップのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0010】
上記第1の局面によるダイカストマシンにおいて、好ましくは、制御部は、溶損に起因する圧力値の変動が生じる区間とともに、プランジャの移動開始に起因する圧力値の変動が生じる区間または、プランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が生じる区間を定速区間から取り除くことにより、検出区間を設定するように構成されている。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値の変動が検知される区間を除外することにより、定速区間よりも短くなるように設定された検出区間において圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップにかじりが生じていると判定するように構成されている。このように構成すれば、検出区間において圧力値の変動を検知することにより、容易にプランジャチップのかじりを検知することができる。
【0012】
上記プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除外することにより、定速区間よりも短くなくなるように設定された検出区間において圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップにかじりが生じていると判定する構成において、好ましくは、検出区間は、区間開始のタイミングを定速区間の区間開始のタイミングよりも、所定の第1時間分、遅らせるか、または、区間終了のタイミングを定速区間の区間終了のタイミングよりも、所定の第2時間分、早くすることにより、定速区間よりも短くなるように設定された区間である。このように構成すれば、所定の第1時間分、区間開始のタイミングを遅らせることにより、検出区間を定速区間よりも容易に短くすることができる。また、所定の第2時間分、区間終了のタイミングを早くすることにより、検出区間を定速区間よりも容易に短くすることができる。その結果、検出区間を定速区間よりも容易に短くすることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、第1時間の長さは、プランジャチップが、定速区間の区間開始位置から注湯口を塞ぐ位置まで移動される際に要する時間以上の時間長さである。このように構成すれば、検出区間の区間開始のタイミングが、プランジャチップによって注湯口が塞がれたタイミングとなるため、プランジャチップの移動開始に伴って検出される圧力値、および、射出スリーブの注湯口近傍における溶損に起因する圧力値が検出される区間を、検出区間から除外することができる。したがって、プランジャチップの移動開始に伴って検出される圧力値の変動、および、射出スリーブの注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動を、プランジャチップのかじりに起因して生じる圧力値の変動として誤検知することを抑制することができる。その結果、検出区間の区間開始の位置の近傍において生じるプランジャチップのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0014】
上記検出区間の区間開始を所定の第1時間分遅らせるか、または、検出区間の区間終了のタイミングを所定の第2時間分早くすることにより、検出区間を定速区間よりも短く設定する構成において、好ましくは、第2時間の長さは、プランジャが、定速区間においてプランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出されるタイミングから、定速区間の区間終了まで移動される際に要する時間以上の時間長さである。このように構成すれば、定速区間においてプランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が生じる区間を、検出区間から除外することができる。したがって、定速区間においてプランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動を、プランジャチップのかじりに起因して生じる圧力値の変動として誤検知することを抑制することができる。その結果、検出区間の区間終了の位置の近傍において生じるプランジャチップのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0015】
上記第1の局面によるダイカストマシンにおいて、好ましくは、制御部は、圧力検知部による圧力値の変動を検知したタイミング、および、圧力値の変動を検知した回数のうち、少なくともいずれかに基づいて、検出区間の長さを変更するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、射出スリーブを交換した際など、定速区間の両端において、プランジャチップのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動が生じる可能性が低い場合には、検出区間の長さを定速区間の長さと同様の長さにすることができる。その結果、検出区間を長くすることが可能となるので、プランジャチップのかじりを検知可能な範囲を大きくすることができる。また、射出回数が増加し、プランジャチップのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動が生じる可能性が高くなった場合には、検出区間を定速区間よりも短くすることにより、プランジャチップのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動をプランジャチップのかじりに起因して生じる圧力値の変動として誤検知することを抑制することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、制御部は、プランジャチップが定速区間の区間開始から注湯口を塞ぐ位置までの区間を移動される際に、圧力検知部によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、検出区間の区間開始のタイミングを遅らせる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、プランジャの移動開始に起因する圧力値の変動、および、射出スリーブの注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動が、所定の回数生じるまでは、検出区間の区間開始のタイミングを、定速区間の区間開始のタイミングと同様のタイミングとすることができる。その結果、検出区間の区間開始のタイミングを早くすることが可能となるので、検出区間を長くすることができる。
【0017】
上記圧力検知部による圧力値の変動を検知したタイミングおよび回数のうち、少なくともいずれかに基づいて、検出区間の長さを変更する構成において、好ましくは、制御部は、プランジャチップがプランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出される位置から、定速区間が終了するまでの区間を移動される際に、圧力検知部によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、検出区間の区間終了のタイミングを早める制御を行うように構成されている。このように構成すれば、プランジャチップがプランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が所定の回数生じるまでは、検出区間の区間終了のタイミングを、定速区間の区間終了のタイミングと同様のタイミングとすることができる。その結果、検出区間の区間終了のタイミングを遅らせることが可能となるので、検出区間を長くすることができる。
【0018】
上記第1の局面によるダイカストマシンにおいて、好ましくは、プランジャ駆動機構は、第1速度と、第1速度よりも大きい速度である第2速度とによって、プランジャを進退移動可能に構成されており、制御部は、第1速度によってプランジャが移動させられる区間としての定速区間から、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力値の変動が検出される区間を除いた検出区間において検知された圧力値の変動に基づいて、プランジャチップのかじりを検知するように構成されている。このように構成すれば、プランジャチップのかじりが生じ易い、第1速度によってプランジャが移動させられる定速区間のうち、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力値の変動が検出される区間を除いた検出区間における圧力値の変動を検知することにより、容易に、かつ、精度よくプランジャチップのかじりを検知することができる。
【0019】
この発明の第2の局面によるダイカストマシンは溶湯が注湯される注湯口を有する筒形状の射出スリーブと、射出スリーブ内に摺動可能に嵌め込まれるプランジャチップと、射出スリーブ内に進退移動されることにより、プランジャチップを摺動させるプランジャロッドとを含み、射出スリーブに注湯された溶湯を射出するプランジャと、プランジャを射出スリーブ内に進退移動させるプランジャ駆動機構と、プランジャに印加される圧力を検知する圧力検知部と、圧力検知部によって検知された圧力値に基づいて、プランジャチップのかじりを検知する制御部と、プランジャチップにかじりが生じていることを報知する報知部とを備え、制御部は、プランジャ駆動機構によってプランジャが定速で移動される定速区間のうち、プランジャチップのかじり以外に起因して圧力検知部によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間において検知された圧力値に基づいて、プランジャチップのかじりを検知するように構成されており、制御部は、検出区間において検知された圧力値の変動が、圧力値の第1閾値以上となった場合にプランジャチップにかじりが生じていることを報知するとともに、検出区間において検知された圧力値の変動が、第1閾値よりも大きい値である第2閾値以上となった場合に、プランジャチップの交換時期であることを報知するように構成されている。このように構成すれば、第1閾値以上の圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップのかじりが生じたことがユーザに報知されるので、ユーザは、プランジャチップのかじりが生じたことを容易に認識することができる。また、第2閾値以上の圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップの交換時期であることがユーザに報知されるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
この場合、好ましくは、制御部は、プランジャの移動開始に起因する圧力値の変動、射出スリーブの注湯口近傍における溶損に起因する圧力値の変動、および、プランジャロッドに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動のうち、少なくともいずれかが生じる区間を定速区間から取り除くことにより、検出区間を設定するように構成されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、プランジャチップのかじりを精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態によるダイカストマシンの全体構成を模式的に示した図である。
図2】第1実施形態によるダイカストマシンの射出工程を説明するための模式図である。
図3】第1実施形態によるダイカストマシンの射出工程におけるプランジャの移動速度の変化を説明するための模式的なグラフである。
図4】第1実施形態による圧力センサによって検出される圧力値の変動を説明するための模式的なグラフである。
図5】第1実施形態による制御部がプランジャチップに起因する圧力値と閾値とを比較する処理を説明するための模式的なグラフである。
図6】第1実施形態による制御部がプランジャチップにかじりが生じていることを報知する処理を説明するためのフローチャートである。
図7】第2実施形態によるダイカストマシンの全体構成を模式的に示した図である。
図8】第2実施形態による制御部が検出区間の区間開始のタイミングを調整する前の検出区間を説明するための模式的なグラフである。
図9】第2実施形態による制御部が検出区間の区間開始のタイミングを調整した後の検出区間を説明するための模式的なグラフである。
図10】第2実施形態による制御部が検出区間の区間終了のタイミングを調整する前の検出区間を説明するための模式的なグラフである。
図11】第2実施形態による制御部が検出区間の区間終了のタイミングを調整した後の検出区間を説明するための模式的なグラフである。
図12】第2実施形態による制御部が検出区間の区間開始のタイミングを調整する処理を説明するためのフローチャートである。
図13】第2実施形態による制御部が検出区間の区間終了のタイミングを調整する処理を説明するためのフローチャートである。
図14第3実施形態によるダイカストマシンの全体構成を模式的に示した図である。
図15第3実施形態による制御部がプランジャチップに起因する圧力値と閾値とを比較する処理を説明するための模式的なグラフである。
図16第3実施形態による制御部がプランジャチップのかじり、プランジャチップの交換時期、および、射出スリーブのメンテナンス時期を報知する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1図11を参照して、第1実施形態によるダイカストマシン1の構成について説明する。なお、図面では、Z方向を上下方向とし、Z方向のうちのZ1方向を上方向、Z方向のうちのZ2方向を下方向としている。また、X方向を水平方向とし、X方向のうちのX1方向を後述するプランジャ6の前進方向とし、X方向のうちのX2方向をプランジャ6の後進方向としている。
【0024】
(ダイカストマシンの構成)
図1に示すように、ダイカストマシン1は、移動金型21が水平方向に移動される横型のマシンである。また、ダイカストマシン1は、コールドチャンバ方式のマシンであり、ダイカストマシン1に取り付けられた金型2内(移動金型21と固定金型22とにより形成されるキャビティC)に、液状の金属材料である溶湯を射出することによりダイカスト製品(成形品)を製造するように構成されている。
【0025】
ダイカストマシン1は、金型2と、射出スリーブ3と、注湯機構4と、蓋機構5と、プランジャ6と、射出シリンダ7と、圧力センサ8と、制御部9と、記憶部10と、表示部11と、表示灯12とを備えている。なお、射出シリンダ7は、特許請求の範囲の「プランジャ駆動機構」の一例である。また、圧力センサ8は、特許請求の範囲の「圧力検知部」の一例である。また、表示部11および表示灯12の各々は、特許請求の範囲の「報知部」の一例である。
【0026】
金型2は、ダイカスト製品(成形品)を成形するためのキャビティC(空洞部分)を形成するように構成されている。
【0027】
具体的には、金型2は、移動金型21と、固定金型22とを含んでいる。固定金型22は、固定ダイプレート23に固定されている。移動金型21は、固定金型22に当接または離間する方向(X方向)に移動可能に移動ダイプレート24に取り付けられている。キャビティCは、固定金型22に移動金型21を当接させることにより形成されている。
【0028】
射出スリーブ3は、筒形状を有している。また、射出スリーブ3は、X方向に延びている。また、射出スリーブ3は、金型2内に溶湯を供給するために設けられている。また、射出スリーブ3は、プランジャ6をX方向に移動可能に収容するとともに溶湯を注湯可能に構成されている。
【0029】
具体的には、射出スリーブ3は、注湯口3aと、溶湯通路3bとを含んでいる。注湯口3aは、注湯機構4により溶湯を溶湯通路3b内に注湯するために設けられている。注湯口3aは、射出スリーブ3の上側(Z1方向側)の部分をZ方向に貫通している。溶湯通路3bは、射出スリーブ3をX方向に貫通する貫通孔である。溶湯通路3bは、X1方向においてキャビティCに連通している。
【0030】
注湯機構4は、保持炉(図示せず)から液状の金属材料である溶湯を汲み取って、射出スリーブ3に供給(注湯)するように構成されている。
【0031】
具体的には、注湯機構4は、ラドル4aと、アーム4bとを備えている。ラドル4aは、保持炉から液状の金属材料である溶湯を汲み取るように構成されている。アーム4bは、射出スリーブ3の注湯口3aまでラドル4aを移動させるとともに、ラドル4aを傾けて溶湯を射出スリーブ3内に注湯するように構成されている。
【0032】
蓋機構5は、注湯機構4により射出スリーブ3内に溶湯が注湯された後、注湯口3aを塞ぐように構成されている。
【0033】
具体的には、蓋機構5は、蓋部5aと、アーム5bとを含んでいる。蓋部5aは、Z1方向から視て、注湯口3aの形状に沿った形状を有している。蓋部5aは、アーム5bの先端部に配置されている。アーム5bは、蓋部5aを注湯口3aまで移動させるように構成されている。
【0034】
プランジャ6は、プランジャチップ6aと、プランジャロッド6bとを含む。プランジャチップ6aは、射出スリーブ3内に摺動可能に嵌め込まれる。プランジャチップ6aの外径の大きさは、射出スリーブ3の内径の大きさと略同一の大きさを有している。言い換えると、プランジャチップ6aの外形の大きさ、および射出スリーブ3の内径の大きさは、プランジャチップ6aが射出スリーブ3内に、嵌め込まれた際に、プランジャチップ6aと射出スリーブ3との隙間が略ない状態となるような大きさを有している。また、プランジャチップ6aの摺動性を向上させるために、射出スリーブ3内には、予め、潤滑剤が散布される。
【0035】
また、プランジャロッド6bは、X方向に沿って延びる柱形状を有している。プランジャロッド6bの一端部であるX1方向側の端部には、プランジャチップ6aが連結されている。プランジャロッド6bは、射出スリーブ3内に進退移動されることにより、プランジャチップ6aを摺動させる。プランジャ6は、射出スリーブ3内をX方向に沿って直線的に進退移動可能に構成され、射出スリーブ3内の溶湯を金型2内に射出するように構成されている。
【0036】
射出シリンダ7は、プランジャ6を射出スリーブ3内に進退移動させるように構成されている。射出シリンダ7は、液圧(油圧)により動作する液圧シリンダ(油圧シリンダ)である。射出シリンダ7は、油圧回路7aに接続されており、油圧回路7aにより動作されるように構成されている。なお、射出シリンダ7の詳細な構成は、後述する。
【0037】
圧力センサ8は、プランジャ6に印加される圧力を検知するように構成されている。圧力センサ8は、たとえば、油圧センサなどを含む。圧力センサ8がプランジャ6に印加される圧力を検知する構成の詳細については、後述する。
【0038】
制御部9は、ダイカストマシン1の各部の駆動を制御するように構成されている。また、制御部9は、圧力センサ8によって検知された圧力値に基づいて、プランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。制御部9は、ダイカストマシン1の各部に電気的に接続されている。制御部9は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリとを含んでいる。制御部9がプランジャチップ6aのかじりを検知する構成の詳細については、後述する。
【0039】
記憶部10は、フラッシュメモリなどの記録媒体を含み、情報を記憶するように構成されている。
【0040】
表示部11は、液晶モニタなどの表示媒体を含み、情報を表示するように構成されている。
【0041】
表示灯12は、ランプなどの発光部を含み、点灯または点滅することにより、ユーザへの報知を行うように構成されている。
【0042】
(射出シリンダの構成)
図2に示すように、射出シリンダ7は、ピストン7bと、カップリング7cと、シリンダ部7dと、後室であるヘッド側室7eと、前室であるロッド側室7fとを含んでいる。
【0043】
また、プランジャロッド6bは、X2方向側の端部において、カップリング7cを介してピストン7bと連結されている。ピストン7bは、シリンダ部7d内をX方向に沿って直線的に往復移動(進退移動)可能に設けられている。すなわち、ピストン7bが進退移動されることにより、プランジャロッド6bが進退移動される。シリンダ部7dは、X方向に沿って延びる筒形状を有し、内部にピストン7bを保持するように設けられている。
【0044】
ヘッド側室7eは、ピストン7bによって区切られたシリンダ部7dの後側(X2方向側)の部屋である。ロッド側室7fは、ピストン7bによって区切られたシリンダ部7dの前側(X1方向側)の部屋である。ヘッド側室7eおよびロッド側室7fは、油圧が供給されたり、油圧が開放されたりされるように構成されている。ヘッド側室7eの油圧およびロッド側室7fの油圧は、それぞれ、圧力センサ8および圧力センサ13により検出される。圧力センサ8は、ヘッド側室7eの圧力の検出結果を制御部9に送信するように構成されている。同様に、圧力センサ13は、ロッド側室7fの圧力の検出結果を制御部9に送信するように構成されている。圧力センサ13は、たとえば、油圧センサを含む。
【0045】
射出シリンダ7は、射出工程を行うように、プランジャ6を駆動する。射出工程は、射出前進工程と、射出戻り工程とを含んでいる。なお、図2では、射出前進工程を示している。射出前進工程は、射出スリーブ3内においてプランジャ6を前進させて(すなわち、X1方向側へ移動させて)、金型2内に溶湯を射出する工程である。また、射出戻り工程は、射出前進工程において前進させたプランジャ6を射出スリーブ3内において後進させて(すなわち、X2方向側へ移動させて)、プランジャ6を次の溶湯の射出のための待機位置に移動させる工程である。なお、1回の射出工程のことを、「1ショット」とも称する。
【0046】
射出前進工程では、射出シリンダ7は、プランジャ6を前進させるように駆動する。具体的には、射出シリンダ7は、ヘッド側室7eに油圧が供給され、ロッド側室7fの油圧が開放されることにより、ピストン7bがX1方向に移動されるように構成されている。これにより、射出シリンダ7は、ピストン7bに連結されたプランジャロッド6bを介して、プランジャ6にX1方向に移動するような駆動力を伝達するように構成されている。その結果、射出シリンダ7は、プランジャ6を前進させるように構成されている。また、射出シリンダ7は、第1速度v1(図3参照)と、第1速度v1よりも大きい速度である第2速度v2(図3参照)とによって、プランジャ6を進退移動可能に構成されている。射出前進工程は、低速前進工程と、高速前進工程とを含んでいる。射出前進工程では、第1速度v1を目標速度としてプランジャ6を前進させる。また、高速前進工程では、第2速度v2を目標速度として、プランジャ6を前進させる。低速前進工程から高速前進工程への切り替える位置は、プランジャチップ6aが、注湯口3aを塞ぐ位置である。具体的には、図2に示すように、プランジャチップ6aのX1方向側の面60が、注湯口3aのX1方向側の壁面30の位置に到達する位置が、注湯口3aを塞ぐ位置である。なお、低速前進工程は、射出スリーブ3内における溶湯の充填率を高めるために行われる。また、高速前進工程は、溶湯を金型2(キャビティC)内に行き渡らせるために行われる。
【0047】
同様に、射出戻り工程では、射出シリンダ7は、射出前進工程において前進されたプランジャ6を後進させるように駆動する。具体的には、射出シリンダ7は、ヘッド側室7eの油圧が開放され、ロッド側室7fに油圧が供給されることにより、ピストン7bがX2方向に移動されるように構成されている。これにより、射出シリンダ7は、ピストン7bに連結されたプランジャロッド6bを介して、プランジャ6にX2方向に移動するような駆動力を伝達するように構成されている。その結果、射出シリンダ7は、プランジャ6を後進させるように構成されている。射出戻り工程では、射出前進工程とは異なり、プランジャ6は、射出前進工程よりも小さい速度である一定速度により、移動される。
【0048】
(プランジャチップのかじり)
ここで、射出工程を行うたびに、射出スリーブ3とプランジャチップ6aとがスムーズに摺動しなくなる。このように、射出スリーブ3とプランジャチップ6aとがスムーズに摺動しなくなる状態を、かじりが生じているという。なお、かじりの原因としては、プランジャチップ6aの劣化がある。プランジャチップ6aは、射出工程を行うたびに、高温の溶湯と触れるため劣化する。プランジャチップ6aが劣化すると、プランジャチップ6aと射出スリーブ3との間の隙間が大きくなり、その隙間に溶湯の一部が入り込む。隙間に入り込んだ溶湯は、冷却され、固まる。このような状態でプランジャ6を進退移動させると、固まった溶湯に起因して、射出スリーブ3とプランジャチップ6aとがスムーズに摺動しなくなる。このようにして生じるかじりを、プランジャチップ6aのかじりとする。
【0049】
プランジャチップ6aのかじりが生じると、プランジャ6がスムーズに進退移動されなくなる。プランジャ6がスムーズに進退移動されない場合、プランジャチップ6aに振動が生じ、射出スリーブ3内において、溶湯が揺れる(波立つ)場合がある。溶湯が揺れた場合、空気を巻き込む可能性がある。溶湯に空気を巻き込んだ状態で成形された製品は、内部に空洞を含む場合があり、強度不足など、品質が低下する。
【0050】
(プランジャチップのかじりの検知)
そこで、第1実施形態による制御部9は、プランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。なお、プランジャチップ6aのかじりは、低速前進工程においてに生じ易い。
【0051】
第1実施形態では、制御部9は、図3に示すように、プランジャ6が第1速度v1によって射出スリーブ3内を移動している定速区間Se1においてプランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。なお、図3に示すグラフG1は、プランジャ6の移動速度の変化を示すグラフである。グラフG1の、縦軸は移動速度であり、横軸は時間である。
【0052】
グラフG1に示すように、プランジャ6は、射出開始後、プランジャ6の移動速度が第1速度v1になるまで加速される。その後、プランジャ6は、第1速度v1において、定速区間Se1を移動される。定速区間Se1を移動した後、プランジャ6は、目標速度として、第2速度v2まで加速され、射出動作が完了する。
【0053】
第1実施形態では、プランジャ6が第1速度v1によって定速で移動される区間を定速区間Se1とする。なお、プランジャ6の移動速度が、第1速度v1の所定の割合となる速度に達した際に、定速区間Se1の開始としてもよい。たとえば、プランジャ6の移動速度が第1速度v1の約95%の速度に達したタイミングt1を、定速区間Se1の開始としてもよい。また、定速区間Se1の終了のタイミングは、プランジャ6の低速前進工程から高速前進工程に切り替わるタイミングt2である。
【0054】
ここで、定速区間Se1の区間開始のタイミングt1の近傍、および、定速区間Se1の区間終了のタイミングt2の近傍では、プランジャチップ6a以外に起因して、プランジャ6に印加される圧力に変動が生じる場合がある。具体的には、プランジャ6の移動開始時において、ヘッド側室7eの圧力と、ロッド側室7fの圧力との関係により、プランジャ6が所定の加速度以上の加速度でわずかに移動する場合がある。このような現象は、プランジャ6の飛び出しと呼ばれる。プランジャ6の飛び出しが生じた場合、圧力センサ8において、圧力値の変動が検知される。
【0055】
また、溶湯を注湯口3aから注湯する際に、注湯口3aの近傍に、溶損が生じる場合がある。具体的には、射出スリーブ3内部のZ2側の面3c(図1参照)のうち、注湯口3aに対応する面3d(図1参照)が、溶湯による溶損によってへこむ場合がある。射出スリーブ3内部のZ2側の面3cのうち、注湯口3aに対応する面3dがへこんだ状態で、プランジャチップ6aを射出スリーブ3内において摺動させると、射出スリーブ3内部の注湯口3aに対応する面3dの位置のへこみに起因して、プランジャチップ6aに抵抗が生じる場合がある。ここで、制御部9は、定速区間Se1において、プランジャチップ6aを第1速度v1を維持した状態で移動させる制御を行っている。したがって、プランジャチップ6aに抵抗が生じた場合、抵抗によってプランジャチップ6aの移動速度が低下しないように、圧力を印加する。すなわち、プランジャチップ6aに抵抗が生じる場合、プランジャ6に印加される圧力に変動が生じるため、圧力センサ8において、圧力値の変動が検知される。なお、溶損とは、溶湯によって射出スリーブ3が浸食され、減耗する現象である。
【0056】
また、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因して圧力センサ8によって検知される圧力値の変動が生じる場合がある。具体的には、低速前進工程では、射出スリーブ3内における溶湯の充填率を高める。その後、高速前進工程に切り替えることにより、溶湯を金型2に行き渡らせる。すなわち、低速前進工程から高速前進工程に切り替わるタイミングt2において、プランジャロッド6bに印加される圧力が増圧される。そのため、低速前進工程から高速前進工程に切り替わるタイミングt2において、圧力センサ8によって検知される圧力値に変動が生じる。
【0057】
プランジャチップ6aのかじりの検知精度を向上させるためには、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動と、プランジャチップ6aのかじりに起因して生じる圧力値の変動とを区別することが好ましい。
【0058】
そこで、第1実施形態では、制御部9は、射出シリンダ7によってプランジャ6が定速で移動される定速区間Se1のうち、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力センサ8によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間Se2において検知された圧力値に基づいて、プランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。具体的には、制御部9は、プランジャ6の移動開始(飛び出し)に起因する圧力値の変動、射出スリーブ3の注湯口3a近傍における溶損に起因する圧力値の変動、および、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動のうち、少なくともいずれかが生じる区間を定速区間Se1から取り除くことにより、検出区間Se2を設定するように構成されている。
【0059】
(検出区間の設定)
第1実施形態では、図3に示すように、制御部9は、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力センサ8によって圧力値が検知される区間を除外する。すなわち、検出区間Se2は、区間開始のタイミングt3を定速区間Se1の区間開始のタイミングt1よりも、所定の第1時間p1分、遅らせるか、または、区間終了のタイミングt4を定速区間Se1の区間終了のタイミングt2よりも、所定の第2時間p2分、早くすることにより、定速区間Se1よりも短くなるように設定された区間である。図3に示す例では、検出区間Se2は、区間開始のタイミングt3を定速区間Se1の区間開始のタイミングt1よりも、所定の第1時間p1分、遅らせるとともに、区間終了のタイミングt4を定速区間Se1の区間終了のタイミングt2よりも、所定の第2時間p2分、早くすることにより、定速区間Se1よりも短くなるように設定される。
【0060】
第1時間p1の長さは、プランジャチップ6aが、定速区間Se1の区間開始位置から注湯口3aを塞ぐ位置まで移動される際に要する時間以上の時間長さである。なお、第1実施形態では、プランジャチップ6aが定速区間Se1の区間開始位置から第1時間p1分移動する区間を、第1区間Se3とする。
【0061】
また、第2時間p2の長さは、プランジャ6が、定速区間Se1においてプランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出されるタイミングt4から、定速区間Se1の区間終了まで移動される際に要する時間以上の時間長さである。なお、第1実施形態では、プランジャチップ6aが、定速区間Se1においてプランジャロッド6bに印加される圧力の増圧された溶湯に起因する圧力値の変動が検出されるタイミングt4から、第2時間p2分移動する区間を、第2区間Se4とする。
【0062】
第1区間Se3の長さは、検出区間Se2の長さよりも小さい。また、第2区間Se4の長さは、検出区間Se2の大きさ長さよりも小さい。また、第1区間Se3および第2区間Se4を足し合わせた長さは、検出区間Se2の長さよりも小さい。なお、検出区間Se2の長さ、第1区間Se3の長さ、および、第2区間Se4の長さは、時間長さのことである。また、定速区間Se1の長さも、時間長さである。
【0063】
図3に示すように、第1実施形態では、制御部9は、定速区間Se1よりも短くなるように設定された検出区間Se2において圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップ6aにかじりが生じていると判定するように構成されている。具体的には、制御部9は、第1速度v1によってプランジャ6が移動させられる区間としての定速区間Se1から、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力値の変動が検出される第1区間Se3および第2区間Se4を除いた検出区間Se2において検知された圧力値の変動に基づいて、プランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。
【0064】
図4に示すグラフG2は、プランジャ6の移動に伴って生じる圧力値の変動を示している。ピーク80は、プランジャチップ6aのかじりに起因する圧力値の変動を示している。また、ピーク81は、プランジャ6の飛び出しに起因する圧力値の変動を示している。また、ピーク82は、射出スリーブ3の溶損に起因する圧力値の変動を示している。また、ピーク83は、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動を示している。なお、高速前進工程の後には、増圧工程が行われるため、図4のグラフG2に示すように、ピーク83を検知した後には、圧力値が上昇する。
【0065】
第1実施形態では、制御部9は、定速区間Se1から予め第1区間Se3および第2区間Se4を除外した検出区間Se2において、圧力値の変動を示すピーク80が検知され、圧力値の変動を示すピーク80が第1閾値Th1よりも大きい場合に、プランジャチップ6aのかじりが生じていると判定する。なお、グラフG2は、縦軸が圧力値であり、横軸が時間のグラフである。
【0066】
(かじりが生じていることを報知)
制御部9は、検出区間Se2において圧力値の変動が検知された場合に報知するように構成されている。具体的には、制御部9は、表示部11または表示灯12によって、プランジャチップ6aのかじりが生じていることを報知する。たとえば、制御部9は、表示部11において、プランジャチップ6aのかじりが生じている可能性が高い旨のメッセージを表示することにより報知するように構成されていてもよい。また、制御部9は、表示灯12を点灯または点滅させることによって報知するように構成されていてもよい。
【0067】
また、第1実施形態では、制御部9は、図5に示すように、検出区間Se2において検知された圧力値と、圧力値の第1閾値Th1とに基づいて、表示部11および表示灯12による報知内容を変更するように構成されている。図5に示すグラフG3は、圧力センサ8によって検知された圧力値と、第1閾値Th1との関係を示すグラフである。グラフG3は、縦軸が圧力値であり、横軸が時間である。
【0068】
第1実施形態では、制御部9は、ピーク80aに示すように、圧力センサ8によって、検出区間Se2において検知された圧力値の変動が、第1閾値Th1以上となった場合にプランジャチップ6aのかじりが生じていることを報知する。具体的には、制御部9は、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が、第1閾値Th1以上で、かつ、第2閾値Th2未満の場合、プランジャチップ6aのカジリが生じていることを報知する。
【0069】
なお、ピーク80aに示すように、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が第1閾値Th1以上で、かつ、第2閾値Th2未満となるような場合とは、プランジャチップ6aにかじりが生じているものの、ダイカストマシン1の射出動作に与える影響が大きくない状態である。そのため、ピーク80aに示すように、第1閾値Th1以上、かつ、第2閾値Th2未満となるような圧力値が検知される場合には、ダイカストマシン1の射出動作を継続しておこなうことが可能である。しかしながら、プランジャチップ6aにかじりが生じているため、制御部9は、射出動作を継続しつつ、ユーザに注意喚起するため、プランジャチップ6aのかじりが生じている可能性が高いことを報知する。
【0070】
また、制御部9は、ピーク80bに示すように、圧力センサ8によって、検出区間Se2において検知された圧力値の変動が、第1閾値Th1よりも大きい値である第2閾値Th2以上となった場合に、プランジャチップ6aの交換時期であることを報知する。ピーク80bに示すように、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が第2閾値Th2以上となる場合とは、プランジャチップ6aにかじりが生じており、かつ、ピーク80aに示すような圧領地の変動が検知される状態よりもプランジャチップ6aの劣化が進行しており、プランジャチップ6aの交換が必要な状態である。そのため、ピーク80bに示すように、第2閾値Th2以上となる圧力値の変動が検知される場合には、ダイカストマシン1の次の射出動作を一旦停止し、プランジャチップ6aの交換が必要である旨を報知する。
【0071】
次に、図6を参照して、制御部9がプランジャチップ6aのかじりが生じていることを報知する処理について説明する。
【0072】
ステップS1において、制御部9は、検出区間Se2において、圧力値の変動を検知したか否かを判定する。具体的には、制御部9は、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3(図4参照)から、区間終了のタイミングt4(図4参照)の間において、圧力センサ8において、圧力値の変動を検知したか否かを判定する。検出区間Se2において圧力値の変動を検知した場合、処理は、ステップS2へ進む。検出区間Se2において圧力値の変動を検知しなかった場合、処理は、終了する。
【0073】
ステップS2において、制御部9は、検知した圧力値の変動の値(ピーク80aの値)が、第1閾値Th1以上か否かを判定する。検知したピーク80aの値が第1閾値Th1以上の場合、処理は、ステップS3へ進む。検知したピーク80aの値が第1閾値Th1未満の場合、処理は、終了する。
【0074】
ステップS3において、制御部9は、検知したピーク80aの値が第2閾値Th2以上か否かを判定する。検知したピーク80aの値が第2閾値Th2以上の場合、処理は、ステップS4へ進む。検知したピーク80aの値が第2閾値Th2未満の場合、処理は、ステップS5へ進む。
【0075】
ステップS4において、制御部9は、プランジャチップ6aのかじりが生じている可能性が高いことを報知するとともに、プランジャチップ6aの交換時期であることを報知する。その後、処理は、終了する。
【0076】
また、ステップS3からステップS5へ処理が進んだ場合、ステップS5において、制御部9は、プランジャチップ6aのかじりが生じている可能性が高いことを報知する。その後、処理は、終了する。
【0077】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の効果について説明する。
【0078】
第1実施形態では、上記のように、ダイカストマシン1は、溶湯が注湯される注湯口3aを有する筒形状の射出スリーブ3と、射出スリーブ3内に摺動可能に嵌め込まれるプランジャチップ6aと、射出スリーブ3内に進退移動されることにより、プランジャチップ6aを摺動させるプランジャロッド6bとを含み、射出スリーブ3に注湯された溶湯を射出するプランジャ6と、プランジャ6を射出スリーブ3内に進退移動させる射出シリンダ7と、プランジャ6に印加される圧力を検知する圧力センサ8と、圧力センサ8によって検知された圧力値に基づいて、プランジャチップ6aのかじりを検知する制御部9と、を備え、制御部9は、射出シリンダ7によってプランジャ6が定速で移動される定速区間Se1のうち、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力センサ8によって圧力値が検知される区間を除いた所定の検出区間Se2において検知された圧力値に基づいて、プランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。これにより、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力センサ8によって圧力値が検知される区間を除いた検出区間Se2における圧力値に基づいてプランジャチップ6aのかじりを検知することが可能となるので、プランジャ6の移動速度に基づいてプランジャチップ6aのかじりを検知する構成と比較して、プランジャチップ6aのかじりを精度よく検知することができる。また、プランジャ6が定速で移動される定速区間Se1のうち、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力センサ8によって圧力値が検知される区間を除いた区間が検出区間Se2として設定されるため、プランジャチップ6aのかじり以外に起因する圧力値をプランジャチップ6aのかじりであると誤検知することを抑制することができる。その結果、プランジャチップ6aのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9は、プランジャ6の移動開始に起因する圧力値の変動、射出スリーブ3の注湯口3a近傍における溶損に起因する圧力値の変動、および、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動のうち、少なくともいずれかが生じる区間を定速区間Se1から取り除くことにより、検出区間Se2を設定するように構成されている。これにより、検出区間Se2から、プランジャ6の移動開始に起因する圧力値の変動、射出スリーブ3の注湯口3a近傍における溶損に起因する圧力値の変動、および、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動のうち、少なくともいずれかが生じる区間が除外されるので、これらプランジャチップ6aのかじり以外の要因に基づいて生じる圧力値を、プランジャチップ6aのかじりに起因する圧力値であると誤検知することを抑制することができる。その結果、プランジャチップ6aのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、制御部9は、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力センサ8によって圧力値が検知される区間を除外することにより、定速区間Se1よりも短くなくなるように設定された検出区間Se2において圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップ6aにかじりが生じていると判定するように構成されている。これにより、検出区間Se2において圧力値の変動を検知することにより、容易にプランジャチップ6aのかじりを検知することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、検出区間Se2は、区間開始のタイミングt3を定速区間Se1の区間開始のタイミングt1よりも、所定の第1時間p1分、遅らせるか、または、区間終了のタイミングt4を定速区間Se1の区間終了のタイミングt2よりも、所定の第2時間p2分、早くすることにより、定速区間Se1よりも短くなるように設定された区間である。これにより、所定の第1時間p1分、区間開始のタイミングt3を遅らせることにより、検出区間Se2を定速区間Se1よりも容易に短くすることができる。また、所定の第2時間p2分、区間終了のタイミングt4を早くすることにより、検出区間Se2を定速区間Se1よりも容易に短くすることができる。その結果、検出区間Se2を定速区間Se1よりも容易に短くすることができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、第1時間p1の長さは、プランジャチップ6aが、定速区間Se1の区間開始位置から注湯口3aを塞ぐ位置まで移動される際に要する時間以上の時間長さである。これにより、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3が、プランジャチップ6aによって注湯口3aが塞がれたタイミングとなるため、プランジャチップ6aの移動開始に伴って検出される圧力値、および、射出スリーブ3の注湯口3a近傍における溶損に起因する圧力値が検出される区間を、検出区間Se2から除外することができる。したがって、プランジャチップ6aの移動開始に伴って検出される圧力値の変動、および、射出スリーブ3の注湯口3a近傍における溶損に起因する圧力値の変動を、プランジャチップ6aのかじりに起因して生じる圧力値の変動として誤検知することを抑制することができる。その結果、検出区間Se2の区間開始の位置の近傍において生じるプランジャチップ6aのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、第2時間p2の長さは、プランジャ6が、定速区間Se1においてプランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出されるタイミングから、定速区間Se1の区間終了まで移動される際に要する時間以上の時間長さである。これにより、定速区間Se1においてプランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が生じる区間を、検出区間Se2から除外することができる。したがって、定速区間Se1においてプランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動を、プランジャチップ6aのかじりに起因して生じる圧力値の変動として誤検知することを抑制することができる。その結果、検出区間Se2の区間終了の位置の近傍において生じるプランジャチップ6aのかじりの検知精度を向上させることができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、射出シリンダ7は、第1速度v1と、第1速度v1よりも大きい速度である第2速度v2とによって、プランジャ6を進退移動可能に構成されており、制御部9は、第1速度v1によってプランジャ6が移動させられる区間としての定速区間Se1から、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力値の変動が検出される区間を除いた検出区間Se2において検知された圧力値の変動に基づいて、プランジャチップ6aのかじりを検知するように構成されている。これにより、プランジャチップ6aのかじりが生じ易い、第1速度v1によってプランジャ6が移動させられる定速区間Se1のうち、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して圧力値の変動が検出される区間を除いた検出区間Se2における圧力値の変動を検知することにより、容易に、かつ、精度よくプランジャチップ6aのかじりを検知することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、プランジャチップ6aにかじりが生じていることを報知する表示部11および表示灯12をさらに備え、制御部9は、検出区間Se2において検知された圧力値の変動が、圧力値の第1閾値Th1以上となった場合にプランジャチップ6aにかじりが生じていることを報知するとともに、検出区間Se2において検知された圧力値の変動が、第1閾値Th1よりも大きい値である第2閾値Th2以上となった場合に、プランジャチップ6aの交換時期であることを報知するように構成されている。これにより、第1閾値Th1以上の圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップ6aのかじりが生じたことがユーザに報知されるので、ユーザは、プランジャチップ6aのかじりが生じたことを容易に認識することができる。また、第2閾値Th2以上の圧力値の変動が検知された場合に、プランジャチップ6aの交換時期であることがユーザに報知されるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、図7図11を参照して、第2実施形態におけるダイカストマシン101の構成について説明する。定速区間Se1から第1区間Se3および第2区間Se4を予め除外することにより、検出区間Se2を定速区間Se1よりも短く設定した第1実施形態と異なり、第2実施形態におけるダイカストマシン101は、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動の検知タイミング、および、圧力値の変動を検知した回数に基づいて、検出区間Se2を設定するよう構成されている。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0087】
第2実施形態によるダイカストマシン101は、制御部9の代わりに、制御部19を備える点で、上記第1実施形態によるダイカストマシン1とは異なる。
【0088】
定速区間Se1から第1区間Se3および第2区間Se4を予め除外する制御部9とは異なり、制御部19は、圧力センサ8による圧力値の変動を検知したタイミング、および、圧力値の変動を検知した回数のうち、少なくともいずれかに基づいて、検出区間Se2の長さを変更するように構成されている。
【0089】
(検出区間の長さの調整)
次に、図8図11を参照して、第2実施形態による制御部19が、検出区間Se2の長さを変更する構成について説明する。
【0090】
まず、図8および図9を参照して、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を調整することにより、検出区間Se2の長さを調整する構成について説明する。
【0091】
図8に示すグラフG4は、区間開始のタイミングt3を調整する前の検出区間Se2を示している。なお、グラフG4は、縦軸が圧力値であり、横軸が時間である。
【0092】
図8に示すように、区間の長さを調整する前の検出区間Se2の区間開始のタイミングt3は、定速区間Se1の区間開始のタイミングt1(図3参照)と同様のタイミングである。
【0093】
図8に示すように、制御部19は、プランジャチップ6aが定速区間Se1の区間開始から注湯口3aを塞ぐ位置までの区間を第3区間Se5として設定しておく。なお、第3区間Se5は、第1区間Se3と同様の区間である。第2実施形態では、図8に示すように、制御部19は、プランジャチップ6aが第3区間Se5を移動させる際に、圧力センサ8によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を遅らせる制御を行うように構成されている。なお、所定の回数は、射出スリーブ3の素材、および、プランジャチップ6aの素材などによって予め設定される回数である。所定の回数は、たとえば、10回である。すなわち、制御部19は、図8に示すような所定のタイミングt5でピーク81が検知され、検知回数が所定の回数を超えた場合に、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を調整する。
【0094】
具体的には、図9に示すように、制御部19は、圧力値の変動(ピーク81)を検知した第3区間Se5が、検出区間Se2から外れるように、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を遅らせる。すなわち、制御部19は、定速区間Se1から、第3区間Se5を除外する制御を行う。
【0095】
次に、図10および図11を参照して、制御部19が検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を調整することにより、検出区間Se2の長さを調整する構成について説明する。
【0096】
図10に示すグラフG6は、区間終了のタイミングt4を調整する前の検出区間Se2を示している。また、図11に示すグラフG7は、区間終了のタイミングt4を調整後の検出区間Se2を示している。なお、グラフG6およびグラフG7は、縦軸が圧力値であり、横軸が時間である。
【0097】
図10に示すように、長さを調整する前の検出区間Se2の区間終了のタイミングt4は、定速区間Se1の区間終了のタイミングt2(図3参照)と同様のタイミングである。
【0098】
第2実施形態では、図10に示すように、制御部19は、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出される位置から、定速区間Se1が終了するまでの区間を第4区間Se6として設定しておく。なお、第4区間Se6は、第2区間Se4と同様の区間である。また、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出される位置は、低速前進工程から高速前進工程に切り替わる位置である。低速前進工程から高速前進工程に切り替わる位置は、金型2などによって予め設定されている。そのため、制御部19は、プランジャチップ6aの位置を位置センサ(図示せず)などによって取得することにより、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が検出される位置に到達したことを検知することができる。制御部19は、プランジャチップ6aが第4区間Se6を移動させる際に、圧力センサ8によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を早める制御を行うように構成されている。すなわち、制御部19は、図10に示すピーク83のように、所定のタイミングt6で圧力値の変動が検知され、検知回数が所定の回数を超えた場合に、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を調整する。
【0099】
具体的には、図11に示すように、制御部19は、圧力値の変動(ピーク83)が検知される第4区間Se6が、検出区間Se2から外れるように、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を早める。すなわち、制御部19は、定速区間Se1から、第4区間Se6を除外する制御を行う。
【0100】
第2実施形態では、制御部19は、検出区間Se2から第3区間Se5および第4区間Se6を1度ずつ除去することにより、検出区間Se2を短くする制御を行うように構成されている。
【0101】
次に、図12を参照して、制御部19が検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を調整する処理について説明する。
【0102】
ステップSにおいて、制御部19は、第3区間Se5において、圧力センサ8によって圧力値の変動(ピーク82(図4参照))が検知されたか否かを判定する。第3区間Se5においてピーク82が検知された場合、処理は、ステップSへ進む。第3区間Se5において圧力値が検知されなかった場合、処理は、終了する。
【0103】
ステップSにおいて、制御部19は、第3区間Se5において、ピーク82を検知した回数が、所定の回数を超えたか否かを判定する。第3区間Se5において、ピーク82を検知した回数が所定の回数を超えた場合、処理は、ステップSへ進む。第3区間Se5において、ピーク82を検知した回数が所定の回数を超えなかった場合、処理は、終了する。
【0104】
ステップSにおいて、制御部19は、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を遅らせる。その後、処理は、終了する。
【0105】
次に、図13を参照して、制御部19が検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を調整する処理について説明する。
【0106】
ステップSにおいて、制御部19は、第4区間Se6において、圧力センサ8によって圧力値の変動(ピーク83(図4参照)で示す圧力値の変動)が検知されたか否かを判定する。第4区間Se6において圧力値の変動が検知された場合、処理は、ステップS10へ進む。第4区間Se6において圧力値の上変動が検知されなかった場合、処理は、終了する。
【0107】
ステップS10において、制御部19は、第4区間Se6において、圧力値の変動を検知した回数が、所定の回数を超えたか否かを判定する。第4区間Se6において、圧力値の変動を検知した回数が、所定の回数を超えた場合、処理は、ステップS11へ進む。第4区間Se6において、圧力値の変動を検知した回数が、所定の回数を超えなかった場合、処理は、終了する。
【0108】
ステップS11において、制御部19は、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を早める。その後、処理は、終了する。
【0109】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様の構成である。
【0110】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の効果について説明する。
【0111】
第2実施形態では、上記のように、制御部9は、圧力センサ8による圧力値の変動を検知したタイミング、および、圧力値の変動を検知した回数のうち、少なくともいずれかに基づいて、検出区間Se2の長さを変更するように構成されている。これにより、たとえば、射出スリーブ3を交換した際など、定速区間Se1の両端において、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動が生じる可能性が低い場合には、検出区間Se2の長さを定速区間Se1の長さと同様の長さにすることができる。その結果、検出区間Se2を長くすることが可能となるので、プランジャチップ6aのかじりを検知可能な範囲を大きくすることができる。また、射出回数が増加し、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動が生じる可能性が高くなった場合には、検出区間Se2を定速区間Se1よりも短くすることにより、プランジャチップ6aのかじり以外に起因して生じる圧力値の変動をプランジャチップ6aのかじりに起因して生じる圧力値の変動として誤検知することを抑制することができる。
【0112】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部9は、プランジャチップ6aが第3区間Se5を移動される際に、圧力センサ8によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を遅らせる制御を行うように構成されている。これにより、プランジャ6の移動開始に起因する圧力値の変動、および、射出スリーブ3の注湯口3a近傍における溶損に起因する圧力値の変動が、所定の回数生じるまでは、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を、定速区間Se1の区間開始のタイミングt1と同様のタイミングとすることができる。その結果、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を早くすることが可能となるので、検出区間Se2を長くすることができる。
【0113】
また、第2実施形態では、上記のように、制御部9は、プランジャチップ6aが第4区間Se6を移動される際に、圧力センサ8によって圧力値の変動が検知された回数が所定の回数を超えたことに基づいて、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を早める制御を行うように構成されている。これにより、プランジャチップ6aがプランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が所定の回数生じるまでは、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を、定速区間Se1の区間終了のタイミングt2と同様のタイミングとすることができる。その結果、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を遅らせることが可能となるので、検出区間Se2を長くすることができる。
【0114】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態の効果と同様である。
【0115】
[第3実施形態]
次に、図14および図15を参照して、第3実施形態におけるダイカストマシン111の構成について説明する。圧力センサ8によって検知された圧力値が第1閾値Th1を超えるか否かによって報知内容を変更する第1実施形態と異なり、第3実施形態におけるダイカストマシン111は、圧力センサ8によって検知された圧力値を、第1閾値Th1および第2閾値Th2と比較することにより、報知内容を変更するよう構成されている。なお、第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0116】
第3実施形態におけるダイカストマシン111は、図14に示すように、制御部9の代わりに、制御部29を備える点で、上記第1実施形態によるダイカストマシン1とは異なる。
【0117】
ここで、射出回数が増加した場合などにおいて、圧力センサ8は、第2閾値Th2よりも、さらに大きな値である第3閾値Th3を超える圧力値の変動を検知する場合がある。このような圧力値の変動が生じる要因としては、たとえば、溶湯通路3bに溶湯が固着した場合、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4の近傍において、溶湯通路3bに固着した溶湯に起因して、プランジャ6に抵抗が加わり、圧力センサ8によって検知される圧力値が変動する場合が考えられる。
【0118】
そこで、第3実施形態による制御部29は、上記第1実施形態による制御部9とは異なり、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動と、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および、第3閾値Th3を比較することにより、報知する内容を変更するように構成されている。なお、第3閾値Th3は、第1閾値Th1および第2閾値Th2よりも、大きな値である。
【0119】
具体的には、図15のグラフG8に示すように、ピーク80aのように、第1閾値Th1以上、第2閾値Th2未満となる圧力値が検知される場合、プランジャチップ6aにかじりが生じている可能性が高いことを報知する。報知内容は、上記第1実施形態による制御部9が報知する内容と同様である。また、グラフG8は、縦軸が圧力値であり、横軸が時間である。
【0120】
また、グラフG8に示すように、ピーク80bのように、第2閾値Th2以上、第3閾値Th3未満となる圧力値が検知される場合、制御部29は、プランジャチップ6aにかじりが生じている可能性が高いことを報知するとともに、プランジャチップ6aの交換時期であると報知する。
【0121】
また、グラフG8に示すように、ピーク80cのように、第3閾値Th3以上となる圧力値の変動が検知される場合、制御部29は、射出スリーブ3のメンテナンスが必要である可能性が高いことを報知する。
【0122】
次に、図16を参照して、第3実施形態による制御部29が行う報知処理について説明する。なお、上記第1実施形態による制御部9と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0123】
ステップS1~S3、および、ステップS5に示すように、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が第1閾値Th1以上、第2閾値Th2未満の場合、制御部29は、プランジャチップ6aのかじりが生じている可能性が高いことを報知する。
【0124】
ステップS3の処理において、圧力センサ8によって検知された圧力値が第2閾値Th2以上の場合、処理は、ステップS12へ進む。
【0125】
ステップS12において、制御部29は、圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が第3閾値Th3以上であるか否かを判定する。圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が第3閾値Th3未満である、処理は、ステップS4へ進み、プランジャチップ6aのかじりが生じていることを報知するとともに、プランジャチップ6aの交換時期であることを報知する。その後、処理は、終了する。圧力センサ8によって検知された圧力値の変動が第3閾値Th3以上である場合、処理は、ステップS13へ進む。
【0126】
ステップS13において、制御部29は、射出スリーブ3のメンテナンスが必要である可能性が高いことを報知する。その後、処理は、終了する。
【0127】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態の構成と同様の構成である。
【0128】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態の効果について説明する。
【0129】
第3実施形態では、上記のように、制御部29は、検出区間Se2において検知された圧力値と、圧力値の第1閾値Th1および第2閾値Th2とに基づいて、表示部11および表示灯12による報知内容を変更するように構成されている。これにより、プランジャチップ6aのかじりが生じた場合のみならず、射出スリーブ3のメンテナンスが必要であることなどを報知することができる。その結果、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0130】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0131】
たとえば、上記第1~第3実施形態では、ダイカストマシン1(101、111)を横型に構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、ダイカストマシンを縦型に構成してもよい。
【0132】
また、上記第1~第3実施形態では、制御部9(19、29)が、定速区間Se1から、プランジャ6の移動開始に起因する圧力値の変動が生じる区間(第1区間Se3および第3区間Se5)、射出スリーブ3の注湯口3a近傍(射出スリーブ3内部のZ2側の面3c)における溶損に起因する圧力値の変動が生じる区間(第1区間Se3および第3区間Se5)、および、プランジャロッド6bに印加される圧力の増圧に起因する圧力値の変動が生じる区間(第2区間Se4および第4区間Se6)の両方の区間を除外する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、第1区間および第3区間と、第2区間および第4区間とのうち、第1区間および第3区間、または、第2区間および第4区間を定速区間から除外することにより、検出区間を設定するように構成されていてもよい。
【0133】
また、上記第1および第3実施形態では、制御部9(29)が、検出区間Se2の区間開始のタイミングt3を所定の第1時間p1分、遅らせるとともに、検出区間Se2の区間終了のタイミングt4を所定の第2時間p2分、早くすることにより、検出区間Se2を定速区間Se1よりも短くするように設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、検出区間の区間開始のタイミングを所定の第1時間分、遅らせるか、または、検出区間の区間終了のタイミングを所定の第2時間分、早くすることにより、検出区間を定速区間よりも短くするように設定するように構成されていてもよい。
【0134】
また、上記第1~第3実施形態では、射出シリンダ7が、プランジャ6の移動速度を、第1速度v1から第2速度v2に切り替えて射出する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、射出シリンダは、第1速度から第2速度に切り替えることなく、第1速度でプランジャを移動させるように構成されていてもよい。
【0135】
また、上記第1実施形態では、制御部9が、検出区間Se2において検知された圧力値と、第1閾値Th1とを比較し、報知する内容を変更する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、検出区間において圧力値の変動が検知された場合、圧力値の変動と第2閾値とを比較することなく、プランジャチップのかじりが生じた旨を報知するように構成されていてもよい。すなわち、制御部は、検出区間において検知された圧力値の変動が第1閾値以上の場合に、報知する内容を変更しないように構成されていてもよい。
【0136】
また、上記第2実施形態では、制御部19が、予め第3区間Se5および第4区間Se6を設定し、第3区間Se5および第4区間Se6において、圧力値が所定の回数検知された場合に、定速区間Se1から、第3区間Se5および第4区間Se6を除外する構成例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、検出区間の区間開始のタイミングの近傍において、圧力値が所定の回数検知された場合に、検知されたタイミングが最も遅い圧力値の検知タイミングが検出区間から外れるように、検出区間の区間開始のタイミングを調整するように構成されていてもよい。また、制御部は、たとえば、検出区間の区間終了のタイミングの近傍において、圧力値が所定の回数検知された場合に、検知されたタイミングが最も早い圧力値の検知タイミングが検出区間から外れるように、検出区間の区間終了のタイミングを調整するように構成されていてもよい。すなわち、制御部は、予め第3区間および第4区間を設定するのではなく、検出区間の区間開始のタイミングおよび区間終了のタイミングの近傍において検知された圧力値のタイミングに基づいて、検出区間の長さを調整するように構成されていてもよい。
【0137】
また、上記第2実施形態では、制御部19が、検出区間Se2から第3区間Se5および第4区間Se61度ずつ除去することにより、検出区間Se2の長さを調整する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部は、検出区間から第3区間および第4区間を1度ずつ除去した後、検出区間の区間開始のタイミングおよび検出区間の区間終了のタイミングを、再度調整するように構成されていてもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部9(19、29)の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0139】
1、101、111 ダイカストマシン
3 射出スリーブ
6 プランジャ
6a プランジャチップ
6b プランジャロッド
7 射出シリンダ(プランジャ駆動機構)
8 圧力センサ(圧力検知部)
9、19、29 制御部
11 表示部(報知部)
12 表示灯(報知部)
31 注湯口
p1 第1時間
p2 第2時間
Se1 定速区間
Se2 検出区間
Th1 第1閾値
Th2 第2閾値
v1 第1速度
v2 第2速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16