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  • 特許-食器洗浄機 図1
  • 特許-食器洗浄機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20240606BHJP
   A47L 15/23 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A47L15/42 T
A47L15/23
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020105223
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021194451
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】大橋 龍成
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-279139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
A47L 15/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、
洗浄ノズルは、洗浄槽の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズルと、下ノズルの長手方向中央部に立設された上方にのびる上下動不能な上ノズルとを有し、洗浄槽の形状が平面視でほぼ長方形であるものにおいて、
洗浄ポンプから供給される洗浄水の下ノズルと上ノズルとへの分配比率を下ノズルの旋回位置に応じて可変する分配手段を備え、洗浄槽の平面視の形状である長方形の長辺に平行な方向をX軸方向、短辺に平行な方向をY軸方向として、分配手段は、下ノズルの長手方向がX軸方向に沿う旋回位置では、下ノズルの長手方向がY軸方向に沿う旋回位置よりも、下ノズルからの洗浄水の噴射量が多くなるように構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、
洗浄ノズルは、洗浄槽の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズルと、下ノズルの長手方向中央部に立設された上方にのびる上ノズルとを有し、洗浄槽の形状が平面視でほぼ長方形であるものにおいて、
洗浄ポンプから供給される洗浄水の下ノズルと上ノズルとへの分配比率を下ノズルの旋回位置に応じて可変する分配手段を備え、洗浄槽の平面視の形状である長方形の長辺に平行な方向をX軸方向、短辺に平行な方向をY軸方向として、分配手段は、下ノズルの長手方向がX軸方向に沿う旋回位置では、下ノズルの長手方向がY軸方向に沿う旋回位置よりも、下ノズルからの洗浄水の噴射量が多くなるように構成され、
前記洗浄槽の底部に、前記下ノズルの底板部の長手方向中央部に設けられた上方に凹入するソケット部に下方から挿入される、前記洗浄ポンプに接続される中空のジョイント部材が設けられ、ジョイント部材の上端に、ソケット部の上端に開設した上ノズル用連通口を介して洗浄水を上ノズルに分配する上ノズル用分配口が開設されると共に、ジョイント部材の周面に、下ノズルの長手方向を向くソケット部の周面部分に開設した下ノズル用連通口を介して洗浄水を下ノズルに分配する下ノズル用分配口が開設されて、ジョイント部材で前記分配手段が構成され、下ノズルの長手方向が前記X軸方向に沿う旋回位置では、下ノズルの長手方向が前記Y軸方向に沿う旋回位置よりも、下ノズルからの洗浄水の噴射量が多くなるように、ジョイント部材の周方向位置によって下ノズル用分配口の開口面積が異なることを特徴とする食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食器洗浄機において、洗浄ノズルとして、洗浄槽の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズルと、下ノズルの長手方向中央部に立設された上方にのびる上ノズルとを有するものを用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、洗浄槽の形状が平面視でほぼ長方形である場合、この長方形の長辺に平行な方向をX軸方向、短辺に平行な方向をY軸方向として、下ノズルの長手方向がX軸方向に沿う旋回位置における下ノズルの長手方向端部とこれに対向する洗浄槽の壁面(洗浄槽のX軸方向各側の壁面)との間の距離が、下ノズルの長手方向がY軸方向に沿う旋回位置における下ノズルの長手方向端部とこれに対向する洗浄槽の壁面(洗浄槽のY軸方向各側の壁面)との間の距離よりも長くなる。従って、洗浄槽のX軸方向各側の壁面近傍に置かれた食器類の洗浄能力が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-63334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、洗浄槽内の特定箇所に置かれた食器類の洗浄能力を向上できるようにした食器洗浄機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、食器類を支持する食器かごが収納された洗浄槽と、洗浄槽内に設けられた洗浄ノズルと、洗浄槽内の洗浄水を洗浄ノズルに供給する洗浄ポンプとを備える食器洗浄機であって、洗浄ノズルは、洗浄槽の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズルと、下ノズルの長手方向中央部に立設された上方にのびる上下動不能な上ノズルとを有し、洗浄槽の形状が平面視でほぼ長方形であるものにおいて、洗浄ポンプから供給される洗浄水の下ノズルと上ノズルとへの分配比率を下ノズルの旋回位置に応じて可変する分配手段を備え、洗浄槽の平面視の形状である長方形の長辺に平行な方向をX軸方向、短辺に平行な方向をY軸方向として、分配手段は、下ノズルの長手方向がX軸方向に沿う旋回位置では、下ノズルの長手方向がY軸方向に沿う旋回位置よりも、下ノズルからの洗浄水の噴射量が多くなるように構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、分配手段を、上記の如く下ノズルの長手方向がX軸方向に沿う旋回位置では、下ノズルの長手方向がY軸方向に沿う旋回位置よりも、下ノズルからの洗浄水の噴射量が多くなるように構成するため、洗浄能力が不足し勝ちな洗浄槽のX軸方向各側の壁面近傍に置かれた食器類の洗浄能力を向上させることができる。
【0009】
尚、分配手段の構造を簡素化するには、分配手段を以下の如く構成すればよい。即ち、洗浄槽の底部に、下ノズルの底板部の長手方向中央部に設けられた上方に凹入するソケット部に下方から挿入される、洗浄ポンプに接続される中空のジョイント部材を設け、ジョイント部材の上端に、ソケット部の上端に開設した上ノズル用連通口を介して洗浄水を上ノズルに分配する上ノズル用分配口を開設すると共に、ジョイント部材の周面に、下ノズルの長手方向を向くソケット部の周面部分に開設した下ノズル用連通口を介して洗浄水を下ノズルに分配する下ノズル用分配口を開設して、ジョイント部材で分配手段を構成する。そして、下ノズルの長手方向がX軸方向に沿う旋回位置では、下ノズルの長手方向がY軸方向に沿う旋回位置よりも、下ノズルからの洗浄水の噴射量が多くなるように、ジョイント部材の周方向位置によって下ノズル用分配口の開口面積を異ならせればよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の切断側面図。
図2図1のII-II線で切断した切断平面図。
図3】実施形態の食器洗浄機に設けられた下ノズルとジョイント部材の分離状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す本発明の実施形態の食器洗浄機は、システムキッチンに組み込んで設置されるビルトイン式のものであり、前面が開放されたハウジング1内に前方に引出し自在に収納される洗浄槽2を備えている。洗浄槽2内には、食器類を支持する食器かご3が収納されると共に、食器かご3に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル4が設けられている。尚、洗浄槽2の前面には、ハウジング1の前面を閉塞する前蓋21が取付けられている。また、ハウジング1内の上部には、洗浄槽2の開放された上面を閉塞するシール蓋11が設けられている。
【0012】
洗浄槽2の底部には、残菜フィルタ22を介して洗浄槽2内に連通する洗浄水の溜り部23が設けられている。洗浄槽2の底部下側には、溜り部23に連通する洗浄ポンプ5が設置されている。そして、洗浄ポンプ5を正転させたとき、洗浄槽2内の洗浄水が溜り部23と洗浄ポンプ5とを介して洗浄ノズル4に供給され、洗浄ポンプ5を逆転させたとき、洗浄水が洗浄槽2から排水されるようにしている。
【0013】
洗浄ノズル4は、洗浄槽2の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズル41と、下ノズル41の長手方向中央部に立設された上方にのびる上下動不能な上ノズル42とを有している。下ノズル41は、これに形成した複数のノズル孔411から洗浄水を噴射する。また、下ノズル41の長手方向の各端部近傍に形成した、回転接線方向を向くノズル孔412からの洗浄水の噴射反力により、下ノズル41が図2で時計回り方向に旋回する。上ノズル42は、その上部に形成した複数のノズル孔421から洗浄水を噴射する。
【0014】
また、食器かご3として、洗浄槽2の下部に、下ノズル41の上方に位置させて配置された、大皿、小皿、中鉢、椀等の比較的大型の食器W1を支持する下かご31と、洗浄槽2の上部であって、上ノズル42の後方に隣接した部分に配置された、コップや湯飲みに代表される有底の筒状食器W2を支持する上かご32とが設けられている。下かご31の中央部には、これに載置する食器W1が上ノズル42に干渉することを防止できるように、上ノズル42を囲うノズルガード枠311が立設されている。
【0015】
図2を参照して、洗浄槽2の形状は、平面視でほぼ長方形である。ここで、この長方形の長辺に平行な方向をX軸方向(本実施形態では前後方向)、短辺に平行な方向をY軸方向(本実施形態では横方向)として、下ノズル41の長手方向がX軸方向に沿う旋回位置(以下、X軸方向旋回位置と記す)における下ノズル41の長手方向端部とこれに対向する洗浄槽2のX軸方向各側の壁面との間の距離が、下ノズル41の長手方向がY軸方向に沿う旋回位置(以下、Y軸方向旋回位置と記す)における下ノズル41の長手方向端部とこれに対向する洗浄槽2のY軸方向各側の壁面との間の距離よりも長くなる。従って、洗浄槽2のX軸方向各側の壁面近傍に置かれた食器類の洗浄能力が不足し勝ちになる。
【0016】
そこで、本実施形態では、洗浄ポンプ5から供給される洗浄水の下ノズル41と上ノズル42とへの分配比率を下ノズル41の旋回位置に応じて可変する分配手段6を設けている。そして、分配手段6を、下ノズル41のX軸方向旋回位置では、下ノズル41のY軸方向旋回位置よりも、下ノズル41からの洗浄水の噴射量(下ノズル41の複数のノズル孔411,412からの洗浄水の合計噴射量)が多くなるように構成している。これによれば、洗浄能力が不足し勝ちな洗浄槽2のX軸方向各側の壁面近傍に置かれた食器類の洗浄能力を向上させることができる。
【0017】
以下、図3も参照して、分配手段6について詳述する。洗浄槽2の底部には、下ノズル41の底板部41aの長手方向中央部に設けられた上方に凹入するソケット部413に下方から挿入される、洗浄ポンプ5に接続される中空のジョイント部材61が設けられている。ジョイント部材61は、下ノズル41をソケット部413を介して旋回自在に支持する軸支部材としても機能している。
【0018】
ジョイント部材61の上端には、ソケット部413の上端に開設した上ノズル用連通口413aを介して洗浄水を上ノズル42に分配する上ノズル用分配口62が開設されている。また、ジョイント部材61の周面には、下ノズル42の長手方向を向くソケット部413の周面部分に開設した下ノズル用連通口413bを介して洗浄水を下ノズル41に分配する下ノズル用分配口63が開設されている。そして、ジョイント部材61により分配手段6が構成されている。このようにジョイント部材61で分配手段6を構成すれば、構造が簡素化され、コストダウンを図る上で有利である。
【0019】
ここで、下ノズル用分配口63は、下ノズル41のX軸方向旋回位置では、下ノズル41のY軸方向旋回位置よりも、下ノズル41からの洗浄水の噴射量が多くなるように、ジョイント部材61の周方向位置によって開口面積が異なっている。より具体的に説明すれば、下ノズル41がX軸方向旋回位置から下ノズル41の旋回方向と逆方向に若干ずれた旋回位置に存するときに下ノズル用連通口413bに正対するジョイント部材61の周面部分に開口面積の大きな第1の下ノズル用分配口63を開設し、また、下ノズル41がY軸方向旋回位置から下ノズル41の旋回方向と逆方向に若干ずれた旋回位置に存するときに下ノズル用連通口413bに正対するジョイント部材61の周面部分に開口面積の小さな第2の下ノズル用分配口63を開設している。
【0020】
これによれば、下ノズル41がX軸方向旋回位置から下ノズル41の旋回方向と逆方向に若干ずれた旋回位置に存するときに、第1の下ノズル用分配口63を介して下ノズル41に洗浄水が分配されて、下ノズル41への洗浄水の分配比率が最も大きくなり、下ノズル41がY軸方向旋回位置から下ノズル41の旋回方向と逆方向に若干ずれた旋回位置に存するときに、第2の下ノズル用分配口63を介して下ノズル41に洗浄水が分配されて、下ノズル41への洗浄水の分配比率が最も小さくなる。尚、下ノズル41への洗浄水の分配比率が変化してから下ノズル41からの洗浄水の噴射量が変化するまでには多少の応答遅れがある。従って、上記の如く下ノズル41がX軸方向旋回位置から下ノズル41の旋回方向と逆方向に若干ずれた旋回位置に存するときに、下ノズル41への洗浄水の分配比率が最大になることで、下ノズル41がX軸方向旋回位置に存するときに、下ノズル41からの洗浄水の噴射量が最大になる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、第1と第2の各下ノズル用分配口63,63の形状が方形であるが、4隅にアールを付けた形状や楕円形であってもよい。また、ジョイント部材61とソケット部413との間の隙間を上記実施形態のものよりも大きくし、ジョイント部材61の外面に、上ノズル用分配口62と第1と第2の下ノズル用分配口63,63とを夫々囲うようにして、ソケット部413の内面に近接対向する突条を突設し、或いは、ソケット部413の内面に、上ノズル用連通口413aと下ノズル用連通口413bとを夫々囲うようにして、ジョイント部材61の外面に近接対向する突条を突設してもよい。これによれば、ゴマなどの細かな残菜がジョイント部材61とソケット部413との間の隙間に入っても、隙間が大きいため、下ノズル41の旋回が妨げられることはなく、且つ、ジョイント部材61とソケット部413との接触箇所が突条のみになって、摩擦が少なくなり、下ノズル41がスムーズに旋回する。更に、下ノズル41からの洗浄水の噴射量を、下ノズル41がX軸方向旋回位置に存するときにY軸方向旋回位置に存するときよりも多くなるようにしつつ、下ノズル41の長手方向が洗浄槽2の平面視形状である長方形の対角方向に沿う旋回位置に存するときに最大になるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0023】
2…洗浄槽、3…食器かご、4…洗浄ノズル、41…下ノズル、413…ソケット部、413a…上ノズル用連通口、413b…下ノズル用連通口、42…上ノズル、5…洗浄ポンプ、6…分配手段、61…ジョイント部材、62…上ノズル用分配口、63…下ノズル用分配口。
図1
図2
図3