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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240606BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240606BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240606BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240606BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20240606BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240606BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B15/00 U
H04N23/68
H04N23/50
H04N23/54
G03B30/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020106665
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001906
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0018624(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0083231(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0290242(US,A1)
【文献】特開2010-156814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G03B 15/00 - 15/035
G03B 15/06 - 15/16
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を備える可動体と、
前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、
前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、
前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、前記磁石と前記コイルは、前記光学素子の光軸と交差する方向で対向し、
前記揺動支持機構は、
前記可動体の前記光軸方向の一方側の端部と前記固定体とを接続する第1の板ばねと、
前記可動体の前記光軸方向の他方側の端部と前記固定体とを接続する第2の板ばねと、を備え、
前記磁石および前記コイルは、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねの間に配置され
前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケースを備え、
前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、それぞれ、前記可動体に連結される可動体側連結部と、前記ケースに連結される固定体側連結部と、前記可動体側連結部と前記固定体側連結部とを接続するアーム部と、を備え、
前記第1の板ばねの前記アーム部は、前記可動体側連結部から前記固定体側連結部に向かうに従って前記光軸方向の一方側に向かう方向に傾斜し、
前記第2の板ばねの前記アーム部は、前記可動体側連結部から前記固定体側連結部に向かうに従って前記光軸方向の他方側に向かう方向に傾斜することを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記可動体の揺動中心は、前記光軸と直交する方向から見た場合に、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは同一形状であり、
前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、前記光軸方向で逆向きに配置されることを特徴とする請求項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記磁気駆動機構は、
前記光軸と交差する第1揺動軸回りに前記可動体を揺動させる第1磁気駆動機構と、
前記光軸と交差し且つ前記第1揺動軸と交差する第2揺動軸回りに前記可動体を揺動させる第2磁気駆動機構と、を備え、
前記第1磁気駆動機構と前記第2磁気駆動機構は、それぞれ、前記磁石と前記コイルを備えることを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末や移動体に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や車両、無人ヘリコプターなどの移動体に搭載される光学ユニットの中には、光学ユニットの振れに起因する撮影画像の乱れを抑制するために、光学素子を揺動させて振れを補正する振れ補正機能を備えるものがある。特許文献1に記載の光学ユニットは、光学素子を備える可動体(可動モジュール)と、可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構(板状ばね部材)と、揺動支持機構を介して可動体を外周側から支持する固定体と、可動体を揺動させる磁気駆動機構(可動モジュール駆動機構)と、を備える。磁気駆動機構は、可動体に固定されたコイルと、固定体に固定されてコイルに対向する磁石とを備えている。
【0003】
特許文献1の光学ユニットは、揺動支持機構として、矩形枠状の可動モジュール側連結部および固定体側連結部と、可動モジュール側連結部と固定体側連結部とを接続する4本のアーム部を備えた板状ばね部材を用いる。板状ばね部材は、可動モジュールの光軸方向の略中央において可動モジュールと固定体とを接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-27949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の光学ユニットは、揺動支持機構によって光学ユニット全体の光軸方向の高さが増大することを抑制するため、板状ばね部材を可動モジュールの光軸方向の略中央に配置している。
【0006】
しかしながら、特許文献1は、1か所で可動モジュールを吊る構造であるため、可動モジュールの揺動中心がずれやすく、可動体の傾きを精度良く補正できない。また、可動モジュールを揺動させる磁気駆動機構は、板状ばね部材の光軸方向の両側に分割配置されているので、構造が複雑になっている。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、光学ユニットの光軸方向の薄型化を図るとともに、可動体の傾きを精度良く補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、光学素子を備える可動体と、前記可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構と、前記揺動支持機構を介して前記可動体を支持する固定体と、前記可動体を揺動させる磁気駆動機構と、を有し、前記磁気駆動機構は、前記可動体および前記固定体の一方に固定されたコイルと、前記可動体および前記固定体の他方に固定された磁石と、を備え、前記磁石と前記コイルは、前記光学素子の光軸と交差する方向で対向し、前記揺動支持機構は、前記可動体の前記光軸方向の一方側の端部と前記固定体とを接続する第1の板ばねと、前記可動体の前記光軸方向の他方側の端部と前記固定体とを接続する第2の板ばねと、を備え、前記磁石および前記コイルは、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねの間に配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明では、可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構は、可動体の光軸方向の一方側の端部と固定体とを接続する第1の板ばねと、可動体の光軸方向の他方側の端部と固定体とを接続する第2の板ばねを備えている。このように、可動体の光軸方向の一端と他端を板ばねによって吊る構造にすることで、可動体をバランス良く支持でき、安定した状態で支持できる。従って、可動体の揺動中心がずれにくいので、可動体の傾きを精度良く補正できる。また、板ばねは設置スペースが小さく、可動体の外周側に配置できるため、光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることができる。また、第1の板ばねと第2の板ばねの間に磁気駆動機構の設置スペースを確保できるので、光学ユニットの小型化を図ることができる。
【0010】
本発明において、前記可動体の揺動中心は、前記光軸と直交する方向から見た場合に、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねの間に位置する。このように、揺動中心の光軸方向の一方側と他方側に板ばねを配置して可動体を吊ることにより、可動体が揺動する際の板ばねの変形量を小さくすることができ、揺動負荷を小さくすることができる。従って、磁気駆動機構の消費電力を小さくすることができる。
【0011】
本発明において、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケースを備え、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、それぞれ、前記可動体に連結される可動体側連結部と、前記ケースに連結される固定体側連結部と、前記可動体側連結部と前記固定体側連結部とを接続するアーム部と、を備え、前記アーム部は、前記光軸と交差する平面内で延在する。このようにすると、板ばねの設置スペースの光軸方向の高さが小さいので、光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることができる。また、磁気駆動機構の配置スペースを確保しやすい。
【0012】
本発明において、前記固定体は、前記可動体の外周側を囲むケースを備え、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、それぞれ、前記可動体に連結される可動体側連結部と、前記ケースに連結される固定体側連結部と、前記可動体側連結部と前記固定体側連結部とを接続するアーム部と、を備え、前記第1の板ばねの前記アーム部は、前記可動体側連結部から前記固定体側連結部に向かうに従って前記光軸方向の一方側に向かう方向に傾斜し、前記第2の板ばねの前記アーム部は、前記可動体側連結部から前記固定体側連結部に向かうに従って前記光軸方向の他方側に向かう方向に傾斜する構成を採用することができる。このように、第1の板ばねと第2の板ばねを光軸方向で逆向きに傾斜させると、可動体の揺動中心が安定するので、精度良く振れ補正を行うことができる。また、第1の板ばねが配置される仮想面と揺動中心との距離、および、第2の板ばねが配置される仮想面と揺動中心との距離が小さくなるので、可動体を傾けるための板ばねの変形量が小さい。つまり、板ばねが傾斜していた方が、可動体を揺動させるための揺動負荷が小さいので、磁気駆動機構の消費電力を小さくすることができる。
【0013】
この場合に、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは同一形状であり、前記第1の板ばねと前記第2の板ばねは、前記光軸方向で逆向きに配置されることが好ましい。このようにすると、揺動中心を基準として第1の板ばねと第2の板ばねが対称に配置されるので、可動体をより安定して支持でき、より精度良く振れ補正を行うことができる。
【0014】
本発明において、前記磁気駆動機構は、前記光軸と交差する第1揺動軸回りに前記可動体を揺動させる第1磁気駆動機構と、前記光軸と交差し且つ前記第1揺動軸と交差する第2揺動軸回りに前記可動体を揺動させる第2磁気駆動機構と、を備え、前記第1磁気駆動機構と前記第2磁気駆動機構は、それぞれ、前記磁石と前記コイルを備えることが好ましい。このようにすると、可動体を2方向に揺動させることができる。従って、ピッチ方向(縦揺れ方向)の振れ補正、および、ヨー方向(横揺れ方向)の振れ補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、可動体を揺動可能に支持する揺動支持機構は、可動体の光軸方向の一方側の端部と固定体とを接続する第1の板ばねと、可動体の光軸方向の他方側の端部と固定体とを接続する第2の板ばねを備えている。このように、可動体の光軸方向の一端と他端を板ばねによって吊る構造にすることで、可動体をバランス良く支持でき、安定した状態で支持できる。従って、可動体の揺動中心がずれにくいので、可動体の傾きを精度良く補正できる。また、板ばねは設置スペースが小さく、可動体の外周側に配置できるため、光学ユニットの光軸方向の薄型化を図ることができる。また、第1の板ばねと第2の板ばねの間に磁気駆動機構の設置スペースを確保できるので、光学ユニットの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した振れ補正機能付きユニットを模式的に示す平面図である。
図2図1の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸を含む面で切断した断面図である。
図3】他の実施形態の振れ補正機能付き光学ユニットを光軸を含む面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の実施形態を説明する。図1は、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニット1の平面図である。図2は、図1の振れ補正機能付き光学ユニット1を光軸Lを含む面で切断した断面図である。図1図2は、振れ補正機能付き光学ユニット1の構成を模式的に示している。
【0018】
図1図2に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、光学ユニット1という)は、光学素子2および撮像素子10を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、を備える。また、光学ユニット1は、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6を備える。
【0019】
可動体3は、揺動支持機構4により、予め定めた軸線Z0と光学素子2の光軸Lとが一致する原点位置、および、軸線Z0に対して光軸Lが所定の角度(例えば、3°)傾斜する最大傾斜位置の間で揺動可能に支持される。光学ユニット1では、磁気駆動機構6に通電する駆動電流を制御して、原点位置と最大傾斜位置との間で可動体3を揺動させる。本形態では、軸線Z0は固定体5の中心軸線である。図1図2は、可動体3が原点位置に停止し、光軸Lと軸線Z0が一致している状態を示す。
【0020】
図1に示すように、光軸L方向の一方側L1は光学ユニット1の被写体側であり、光軸L方向の他方側L2は反被写体側(像側)である。本明細書において、軸線X0、軸線Y0、および軸線Z0は互いに直交する。軸線X0および軸線Y0は、可動体3の揺動軸であり、軸線X0と軸線Y0の交点は、可動体3の揺動中心Pである。光学ユニット1は、可動体3を軸線X0回りおよび軸線Y0回りに揺動させて振れ補正を行う。本明細書において、軸線X0は第1揺動軸であり、軸線Y0は第2揺動軸である。
【0021】
光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、光学素子2の傾きを補正する。
【0022】
(固定体)
図1図2に示すように、固定体5は、可動体3の外周側を囲む筒状の第1ケース11と、第1ケース11の光軸L方向の他方側L2(反被写体側)の端部に固定される第2ケース12を備える。第1ケース11は、軸線X0方向に対向する側板13、14と、軸線Y0方向に対向する側板15、16とを備える。軸線Y0方向に対向する側板15、16の内周面には、それぞれ、第1駆動用磁石61Xが固定される。また、軸線X0方向に対向する側板13、14の内周面には、それぞれ、第2駆動用磁石61Yが固定される。第1ケース11は磁性材料から構成されているので、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yに対するヨークとして機能する。
【0023】
第1ケース11は、周方向で隣り合う側板同士が略直角につながる角部を4箇所に備えており、各角部には、揺動支持機構4を接続するための第1板ばね固定部17が設けられている。また、第2ケース12において第1板ばね固定部17と光軸L方向に重なる4箇所には、それぞれ、揺動支持機構4を接続するための第2板ばね固定部18が設けられている。第1板ばね固定部17は、第1ケース11の光軸L方向の一方側L1の端部に設けられている。また、第2板ばね固定部18は、第1ケース11の光軸L方向の他方側L2の端部の内周側に配置されている。第1板ばね固定部17および第2板ばね固定部18は、可動体3の外周側に配置される。
【0024】
(可動体)
図2に示すように、可動体3は、レンズなどの光学素子2と、光学素子2の光軸L上に配置される撮像素子10を備える。図1に示すように、可動体3は、光軸L方向から見た形状が円形である。可動体3の外周面には、コイル固定部30が設けられている。コイル固定部30は、X方向の一方側および他方側と、Y方向の一方側および他方側の4箇所に設けられている。Y方向の一方側および他方側の各コイル固定部30には、それぞれ、第1駆動用コイル62Xが固定される。また、X方向の一方側および他方側の各コイル固定部30には、それぞれ、第2駆動用コイル62Yが固定される。
【0025】
可動体3の光軸L方向の他方側L2の部分からは、図示しないフレキシブルプリント基板が引き出されている。フレキシブルプリント基板は、可動体3の揺動が可能となるように撓んだ形状に引き回されており、第1ケース11および第2ケース12の外部に引き出されている。フレキシブルプリント基板には、撮像素子10に接続される信号線や給電線、ならびに、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yに接続される給電線が設けられている。
【0026】
(磁気駆動機構)
磁気駆動機構6は、可動体3を軸線X0回り(第1揺動軸回り)に揺動させる第1磁気駆動機構6X、および、可動体3を軸線Y0回り(第2揺動軸回り)に揺動させる第2磁気駆動機構6Yを備える。第1磁気駆動機構6Xは、軸線Y0方向で対向する第1駆動用磁石61Xと第1駆動用コイル62Xとからなる組を2組備える。2つの第1駆動用コイル62Xは、通電時に軸線X0回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続される。また、第2磁気駆動機構6Yは、軸線Y0方向で対向する第2駆動用磁石61Yと第2駆動用コイル62Yとからなる組を2組備える。2つの第2駆動用コイル62Yは、通電時に軸線Y0回りの同一方向の磁気駆動力が発生するように配線接続される。
【0027】
図2に示すように、第2駆動用磁石61Yは、Z軸方向に2つに分極着磁されている。また、第1駆動用磁石61Xも同様に、Z軸方向に2つに分極着磁されている。従って、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yは、内周面側の磁極が軸線Z0と垂直で周方向に延びる着磁分極線61aを境にして異なるように着磁されている。第1駆動用
コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yは空芯コイルであり、+Z方向側および-Z方向側の長辺部分が有効辺として利用される。
【0028】
磁気駆動機構6は、第1駆動用コイル62Xに通電することにより、可動体3を軸線X0回りに揺動させる。また、第2駆動用コイル62Yに通電することにより、可動体3を軸線Y0回りに揺動させる。これにより、軸線X0回りの振れ補正、および軸線Y0回りの振れ補正を行う。
【0029】
なお、磁気駆動機構6は、第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Yが固定体5に設けられ、第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Yが可動体3に設けられている構成を採用してもよい。
【0030】
(揺動支持機構)
図2に示すように、揺動支持機構4は、可動体3の光軸L方向の一方側L1の端部に配置される第1の板ばね41と、可動体3の光軸L方向の他方側L2の端部に配置される第2の板ばね42を備える。揺動支持機構4は、第1の板ばね41と第2の板ばね42によって可動体3を吊る構造である。本形態では、第1の板ばね41と第2の板ばね42は同一形状である。第1の板ばね41と第2の板ばね42は、可動体3と第1ケース11との径方向の隙間に配置される。第1の板ばね41と第2の板ばね42は、磁気駆動機構6と光軸L方向に重なっている。磁気駆動機構6を構成するコイル(第1駆動用コイル62Xおよび第2駆動用コイル62Y)および磁石(第1駆動用磁石61Xおよび第2駆動用磁石61Y)は、第1の板ばね41と第2の板ばね42の間に配置される。
【0031】
第1の板ばね41と第2の板ばね42は、それぞれ、可動体3に連結される可動体側連結部43と、固定体5に連結される固定体側連結部44と、可動体側連結部43と固定体側連結部44とを接続するアーム部45を備える。図1に示すように、可動体側連結部43は円環状の枠部であり、可動体3の外周面に固定される。アーム部45は、周方向に等間隔に4本配置されている。各アーム部45の外周側の端部には、固定体側連結部44が設けられている。4本のアーム部45と4か所の固定体側連結部44は同一形状であり、光軸Lを中心として点対称に配置される。
【0032】
なお、アーム部45の位置、形状、および数は、図2に示す形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、固定体側連結部44は、可動体側連結部43と同様に枠状に形成されていてもよい。
【0033】
各アーム部45は、蛇行しながら周方向の一方側に延びる蛇行部を備え、蛇行部の外周側で周方向の他方側へ折り返されている。第1の板ばね41および第2の板ばね42に外力が加わらない状態では、各アーム部45は、光軸Lに対して直交する平面内に配置される。固定体側連結部44は、固定体5の第1板ばね固定部17、もしくは第2板ばね固定部18に設けられた突起部が嵌まる孔を備える。第1の板ばね41は、第1板ばね固定部17に設けられた突起部が固定体側連結部44の孔に嵌まることによって固定体5に連結される。また、第2の板ばね42は、第2板ばね固定部18に設けられた突起部が固定体側連結部44の孔に嵌まることによって固定体5に連結される。
【0034】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態の光学ユニット1は、光学素子2を備える可動体3と、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4と、揺動支持機構4を介して可動体3を支持する固定体5と、可動体3を揺動させる磁気駆動機構6と、を有する。磁気駆動機構6は、可動体3に固定されたコイル(第1駆動用コイル62X、第2駆動用コイル62Y)と、固定体5に固定された磁石(第1駆動用磁石61X、第2駆動用磁石61Y)と、を備えてお
り、磁石(第1駆動用磁石61X、第2駆動用磁石61Y)とコイル(第1駆動用コイル62X、第2駆動用コイル62Y)は、光学素子2の光軸Lと交差する方向で対向する。揺動支持機構4は、可動体3の光軸L方向の一方側L1の端部と固定体5とを接続する第1の板ばね41と、可動体3の光軸L方向の他方側L2の端部と固定体5とを接続する第2の板ばね42と、を備えており、磁石(第1駆動用磁石61X、第2駆動用磁石61Y)とコイル(第1駆動用コイル62X、第2駆動用コイル62Y)は、第1の板ばね41と第2の板ばね42の間に配置される。
【0035】
このように、本形態では、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4を板ばねによって構成している。板ばねは設置スペースが小さく、可動体3の外周側に配置して可動体3を吊ることができる。従って、光学ユニット1の光軸L方向の薄型化を図ることができる。また、可動体3の光軸L方向の一端と他端を第1の板ばね41と第2の板ばね42によって吊ることにより、第1の板ばね41と第2の板ばね42の間に磁気駆動機構6の設置スペースを確保できる。従って、光学ユニット1の小型化を図ることができる。また、可動体3の光軸L方向の一端と他端を第1の板ばね41と第2の板ばね42によって吊ることにより、可動体3をバランス良く支持でき、安定した状態で支持できる。従って、可動体3の揺動中心Pがずれにくいので、可動体3の傾きを精度良く補正できる。
【0036】
本形態では、可動体3の揺動中心Pは、光軸Lと直交する方向から見た場合に、第1の板ばね41と第2の板ばね42の間に位置する。このように、揺動中心Pに対して光軸L方向の一方側L1に第1の板ばね41を配置し、光軸L方向の他方側L2に第2の板ばね42を配置して可動体3を吊ることにより、可動体3が揺動する際の板ばねの変形量を小さくすることができる。従って、揺動負荷を小さくすることができるので、磁気駆動機構6の消費電力を小さくすることができる。
【0037】
本形態では、固定体5は、可動体3の外周側を囲むケース(第1ケース11および第2ケース12)を備え、第1の板ばね41と第2の板ばね42は、それぞれ、可動体3に連結される可動体側連結部43と、ケース(第1ケース11および第2ケース12)に連結される固定体側連結部44と、可動体側連結部43と固定体側連結部44とを接続するアーム部45と、を備えており、アーム部45は、光軸Lと交差する平面内で延在する。従って、第1の板ばね41と第2の板ばね42は、いずれも全体として薄板状になっているため、光軸L方向の設置スペースが小さい。よって、光学ユニット1の光軸L方向の薄型化を図ることができる。また、磁気駆動機構6の配置スペースを確保しやすい。
【0038】
本形態では、磁気駆動機構6は、光軸Lと交差する軸線X0(第1揺動軸)回りに可動体3を揺動させる第1磁気駆動機構6Xと、光軸Lと交差し且つ軸線X0(第1揺動軸)と交差する軸線Y0(第2揺動軸)回りに可動体3を揺動させる第2磁気駆動機構6Yと、を備え、第1磁気駆動機構6Xと第2磁気駆動機構6Yは、それぞれ、磁石とコイルを備える。従って、可動体3を2方向に揺動させることができるので、ピッチ方向(縦揺れ方向)の振れ補正、および、ヨー方向(横揺れ方向)の振れ補正を行うことができる。
【0039】
(他の実施形態)
図3は、他の実施形態の振れ補正機能付き光学ユニット1Aを光軸Lを含む面で切断した断面図である。振れ補正機能付き光学ユニット1A(以下、光学ユニット1Aという)は、可動体3を揺動可能に支持する揺動支持機構4Aを備える。揺動支持機構4Aは、第1の板ばね41Aと、第2の板ばね42Aを備える。上記形態では、揺動支持機構4を構成する第1の板ばね41と第2の板ばね42が光軸Lに対して垂直な面内に配置されるのに対して、本形態では、第1の板ばね41と第2の板ばね42は、光軸Lに垂直な面に対して傾斜している。他の構成は、上記形態と同一であるため、説明を省略する。
【0040】
本形態では、固定体5は、可動体3の外周側を囲むケース(第1ケース11および第2ケース12)を備える。第1の板ばね41Aと第2の板ばね42Aは、それぞれ、可動体3に連結される可動体側連結部43Aと、ケース(第1ケース11および第2ケース12)に連結される固定体側連結部44Aと、可動体側連結部43Aと固定体側連結部44Aとを接続するアーム部45Aを備える。
【0041】
図3に示すように、第1の板ばね41Aのアーム部45Aは、可動体側連結部43Aから固定体側連結部44Aに向かうに従って光軸L方向の一方側L1に向かう方向に傾斜している。また、第2の板ばね42Aのアーム部45Aは、可動体側連結部43Aから固定体側連結部44Aに向かうに従って光軸L方向の他方側L2に向かう方向に傾斜している。本形態では、第1の板ばね41Aと第2の板ばね42Aは同一形状であり、光軸L方向で逆向きに配置される。従って、第1の板ばね41Aのアーム部45Aの光軸Lに対する傾斜角度と、第2の板ばね42Aのアーム部45Aの光軸Lに対する傾斜角度は、同一である。
【0042】
本形態では、第1の板ばね41と第2の板ばね42が傾斜しているので、可動体3は、第1の板ばね41と第2の板ばね42によって光軸L方向で逆向きに引っ張られる。従って、可動体3の揺動中心Pが安定するので、精度良く振れ補正を行うことができる。
【0043】
また、本形態では、各板ばねが配置される仮想面Qと揺動中心Pとの距離Hが上記の形態での距離よりも小さい。これにより、可動体3を所定角度傾けるための板ばねの変形量は、上記形態での板ばねの変形量よりも小さくなる。つまり、本形態のように板ばねが傾斜していた方が、可動体3を揺動させるための揺動負荷が小さい。従って、上記形態よりも、磁気駆動機構6の消費電力を小さくすることができる。
【0044】
さらに、本形態では、第1の板ばね41と第2の板ばね42は同一形状であり、第1の板ばね41と第2の板ばね42は、光軸L方向で逆向きに配置される。従って、揺動中心Pを基準として第1の板ばね41と第2の板ばね42が対称に配置されるので、可動体3をより安定して支持でき、より精度良く振れ補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0045】
1、1A…振れ補正機能付き光学ユニット(光学ユニット)、2…光学素子、3…可動体、4、4A…揺動支持機構、5…固定体、6…磁気駆動機構、6X…第1磁気駆動機構、6Y…第2磁気駆動機構、10…撮像素子、11…第1ケース、12…第2ケース、13、14、15、16…側板、17…第1板ばね固定部、18…第2板ばね固定部、30…コイル固定部、43、43A…可動体側連結部、44、44A…固定体側連結部、45、45A…アーム部、61X…第1駆動用磁石、61Y…第2駆動用磁石、61a…着磁分極線、62X…第1駆動用コイル、62Y…第2駆動用コイル、L…光軸、L1…光軸方向の一方側、L2…光軸方向の他方側、P…揺動中心、Q…仮想面
図1
図2
図3