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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】床構造体
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240606BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E04F15/02 101H
E04B1/00 501Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020114467
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012551
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼野 瑳瑛子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一徳
(72)【発明者】
【氏名】藤山 滝丸
(72)【発明者】
【氏名】茂木 幸秀
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-278299(JP,A)
【文献】特開2005-023645(JP,A)
【文献】特開2017-071917(JP,A)
【文献】実開平06-010477(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0066409(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
E04B 1/00- 1/36
E04B 5/00- 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部と、
前記床部の一の側面に沿って配置され、前記床部の嵌合部に上方から嵌合されて取り付けられる第一の幕板と、
前記第一の幕板に交差する方向に延びる第二の幕板と、
前記床部の出隅部に配置され、前記第一の幕板及び前記第二の幕板を接合する平面視略L字型のコーナー取付部材と、を備え、
前記コーナー取付部材は、前記第一の幕板に固定される第一幕板取付部及び前記第二の幕板に固定される第二幕板取付部を有し、前記第二幕板取付部の上部には、下方に切り欠かれた切欠部が形成される、床構造体。
【請求項2】
前記第二の幕板は、前記第二の幕板の内側側面の上端から内側へ突出する突き当て部を有し、前記突き当て部に、前記第一幕板取付部及び前記第二幕板取付部を接続する角部の上端が当接する、請求項1に記載の床構造体。
【請求項3】
前記第一の幕板及び前記第二の幕板は、互いの端部を平面視略45度に傾斜するように切断し、傾斜した面を合わせる留め納まりで接合される、請求項1又は2に記載の床構造体。
【請求項4】
前記出隅部における前記第一の幕板及び前記第二の幕板のいずれか一方の幕板が、前記床部の左右方向又は奥行方向の一方から他方まで延び、
前記第一の幕板及び前記第二の幕板の他方の幕板の端部が、前記一方の幕板における端部近傍の側面に対向して配置される片勝ち納まりで接合される、請求項1又は2に記載の床構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、庭や屋上等の建物の室外に設置され、床のように使用される床構造体が知られている。床構造体は四角く構成される場合が多く、床構造体の出隅部には、互いに交差する方向に延びる板材を接合する箇所にキャップを取付け、板材同士の接合部を被覆する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-48625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャップは床構造体を構成する部材と異なる部材であるため、出隅部にキャップを取り付けると意匠性が低下するという問題があった。キャップを設けないで床構造体を構成する板材を接合する場合、施工を簡易に行えるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、床部と、前記床部の一の側面に沿って配置され、前記側面に設けられた嵌合部に上側から嵌合されて取り付けられる第一の幕板と、前記第一の幕板に交差する方向に延びる第二の幕板と、前記床部の出隅部に配置され、前記第一の幕板及び前記第二の幕板を接合する平面視略L字型のコーナー取付部材と、を備え、前記コーナー取付部材は、前記第一の幕板に固定される第一幕板取付部及び前記第二の幕板に固定される第二幕板取付部を有し、前記第二幕板取付部の上部には、下方に切り欠かれた切欠部が形成される、床構造体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の床構造体の斜視図である。
図2】第1実施形態の床構造体の平面図である。
図3A】第1実施形態の嵌合部の断面図であり、嵌合前の状態を示す。
図3B】第1実施形態の嵌合部の断面図であり、嵌合後の状態を示す。
図4A】第1実施形態のコーナー取付部材を取り付けた幕板の斜視図である。
図4B】第1実施形態のコーナー取付部材の第一幕板取付部を示す。
図4C】第1実施形態のコーナー取付部材の第二幕板取付部を示す。
図5A】第1実施形態の幕板にコーナー取付部材を取り付けた状態を示す。
図5B】第1実施形態の幕板と床板を取り付けた状態を示す。
図5C】第1実施形態の第一の幕板と第二の幕板を接続した状態を示す。
図6】第2実施形態の床構造体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。第1実施形態の床構造体1は、住宅等の室外に設置され、平坦な面を有するデッキである。床構造体1は、天然木を再現した人工木の板材等を組み立てて構成される。床構造体1は、床部10と、柱部15とを有する。本明細書において、図1に示す床構造体1における住宅から離れた室外側を手前側とし、手前側から視た面を正面とする。床構造体1における室内側を奥側とし、奥側から視た面を背面とする。手前側と奥側を結ぶ方向を奥行方向とし、奥行方向に交差して設置面に平行な方向を左右方向とする。
【0008】
柱部15は、設置面に略垂直に配置され、以下に説明する床部10を支持する基礎である。柱部15は、支持する面積の広さに応じて配置や数は変更されるが、縦及び横に間隔を空けて並んで配置される。柱部15は、束石151及び束柱152を有する。束石151は、柱部15を設置する位置で、地面等の設置面に穴を掘って設置され、モルタル等で固められる。束柱152は、束石151の上面に設置され、上方に延びる方形筒状の枠材である。
【0009】
床部10は、柱部15の上に配置され、略直方体に形成される。床部10の室外側の角に、出隅部20が形成される。床部10は、上面10aと、側面10bと、を有する。上面10aは後述する床板11により構成される。側面10bには、後述する幕板2が配置され、幕板2により側面10bが構成される。床部10の下面は、上面10aに対向する側に位置し、板材等は設けられていない。床部10は、床板11と、大引12と、幕板2と、嵌合部3及びコーナー取付部材4(図2参照)と、を有する。
【0010】
大引12は、図1に示すように、束柱152の上端に固定され、床部10の一方から他方に延びる長尺の枠材である。大引12は、床部10の左右方向に延びるように配置される。
【0011】
床板11は、大引12の上面に、大引12の延びる方向に略直交する方向に延びるように配置される。床板11は、上面11aと下面11bが長尺の平板で構成される。上面11a及び下面11bを接続する側面11cの高さ寸法は、上面11a及び下面11bの短手方向の長さよりも短く、床板11は薄い枠材である。床板11の上面11aは、床部10の上面10aとなる。側面11cは、上面11a及び下面11bを構成する平板の短手方向の端部よりも短手方向内側の位置で、上面11a及び下面11bを接続し、上下方向に延びている。床板11の上面11a及び下面11bの間は、内部に中空部110が形成され、短手方向に間隔を空けて仕切られたホロー構造となっている(図4B参照)。床板11は、床部10の左右方向の一方から他方まで複数並べて配置される。複数の床板11同士の間には、大引12に固定された横止め金具13が設けられる。横止め金具13と大引12により床板11が固定されている。
【0012】
幕板2は、床部10の側面10bに沿って配置される。幕板2は、第一の幕板21及び第二の幕板22を有する。第一の幕板21は、床部10の正面側に延びる。第一の幕板21は、床部10の左右方向が長手方向となり、床部10の上下方向が短手方向となるように配置される長尺の部材である。第二の幕板22は、第一の幕板21に交差する方向に延び、床部10の左右方向の両端で奥行方向に延びる。第二の幕板22は、床部10の奥行方向が長手方向となり、床部10の上下方向が短手方向となるように配置される長尺の部材である。幕板2は、内部がホロー構造を有する。
【0013】
幕板2は、図2に示すように、床部10の左右方向の一方から他方の端部まで配置するにあたり、複数の幕板2を並べる場合がある。この場合は、隣接する幕板2同士の間は、例えば5mm前後隙間を設ける。幕板2が熱や気温差によって膨張又は収縮することがあるので、隣接する幕板2同士が膨張により押し合うことを避けるためである。
【0014】
幕板2は、出隅部20で第一の幕板21及び第二の幕板22が接続され、留め納まりにより接合される。第一の幕板21及び第二の幕板22の互いの端部2gは、平面視略45度に傾斜するように切断される。第一の幕板21及び第二の幕板22のそれぞれの切断によって傾斜した面を合わせることで、略90度の角が形成される。幕板2は、図3A及び図3Bに示すように、外側側面2cと、内側側面2dと、上面部2aと、底面2bと、中空部2eと、仕切り部2fと、端部2gと、内側端縁2hと、を有する。
【0015】
外側側面2cは、床部10の側面10bを構成する面であり、上下方向に延びるように配置される。内側側面2dは、床板11の小口側に対向する面である。内側側面2dには、後述する嵌合部3が取り付けられる。中空部2eは、外側側面2cと内側側面2dとの間に配置される空間である。仕切り部2fは、中空部2eを複数の空間に仕切る部分であり、外側側面2cと内側側面2dとを接続する。端部2gは、幕板2の長手方向の端部である。底面2bは、外側側面2c及び内側側面2dを接続する下側の面である。
【0016】
上面部2aは、床部10の上面10aの一部を構成する部分であり、底面2bに対向する。上面部2aは、床側延出部24と、突き当て部25とを有する。上面部2aにおける最も床板11側に位置する端縁が内側端縁2hであり、内側端縁2hは、内側側面2dよりも床板11側で、幕板2の長手方向に沿って延びている。
【0017】
床側延出部24は、床板11の上面における小口側の端部を覆うように延びる。図3Aに示すように、幕板2の側面視では、床側延出部24は、内側側面2dよりも内側へ突出し、床板11に当接可能に形成されている。床側延出部24の上面は、上面部2aにおける上面の一部である。床側延出部24の小口側の端縁は、内側端縁2hである。
【0018】
突き当て部25は、床側延出部24の下面と、内側側面2dとが交差する角に形成される突起である。突き当て部25は、内側側面2dの上端から内側に向かって突出し、床側延出部24の下面における基端側へ上方向に延びる。突き当て部25は、側面断面視で略四角形である。突き当て部25には、後述するコーナー取付部材4が突き当てられて当接する。
【0019】
嵌合部3は、床部10の側面10bに設けられ、幕板2を床板11に取り付けるための部材である。嵌合部3は、床板側嵌合部31及び幕板側嵌合部32を有し、両者が嵌合することで幕板2が床板11に接続されるように構成されている。嵌合部3は、図2に示すように、第一の幕板21及び第二の幕板22の両方に設けられている。すなわち、嵌合部3は、床部10の正面側及び側面側の両方に設けられている。第一の幕板21に設けられる嵌合部3と第二の幕板22に設けられる嵌合部3とは、若干形状及び配置に異なる部分があるが、同様の機能及び構成を有する。ここでは、第一の幕板21に設けられる嵌合部3について説明し、第二の幕板22に設けられる嵌合部3については説明を省略する。
【0020】
床板側嵌合部31は、床板11の小口から、床板11のホロー構造を構成する中空部110にねじにて固定される。床板側嵌合部31は、固定部311と、下垂部312と、溝部313とを有する。固定部311は、図3A及び図3Bに示すように、床板11の小口の端面から奥側へ傾斜して形成されるねじの保持部を有する。固定部311には、床板11の中空部110から挿入したねじが羅合される。下垂部312は、床板11の小口の端面から下方へ垂れる板状の面である。下垂部312の内側面は、固定部311に支持されている。溝部313は、板状の下垂部312の外側表面に配置され、下垂部312の左右方向の一方から他方へ延びるように形成される。溝部313は、下垂部312の表面と、下垂部312の外側表面から上方に向かって突出する突起313aとの間に形成される略U字の溝である。溝部313は、下垂部312に、上下方向に離れて二列形成されている。
【0021】
幕板側嵌合部32は、第一の幕板21の内側側面2dにねじにより固定される金具である。幕板側嵌合部32は、取付部321と、爪部322と、を有する。取付部321は、内側側面2dよりも小さな面積を有し、内側側面2dに当接可能な平板状の部分である。爪部322は、取付部321から下方に向かって突出する突起である。爪部322は、取付部321の左右方向の一方の端部から他方の端部へ延びるように形成される。爪部322は、取付部321の基端側から先端側に向かうにしたがって取付部321より離れるように傾斜している。爪部322は、溝部313と位置が合うように、上下方向に離れて二列形成されている。幕板側嵌合部32の爪部322は、床板側嵌合部31の溝部313に嵌合される。
【0022】
コーナー取付部材4は、第一の幕板21及び第二の幕板を接合する金具である。コーナー取付部材4は、床部10の出隅部20に配置される。コーナー取付部材4は、平面視略L字型に形成され、第一幕板取付部41と、第二幕板取付部42と、角部43と、を有する。
【0023】
第一幕板取付部41は、図4A及び図4Bに示すように、第一の幕板21に固定される長方形の板面である。第一幕板取付部41は、長手方向が第一の幕板21の上下方向に沿うように配置される。第一幕板取付部41の上端は、第一の幕板21の突き当て部25の下面に当接するように配置される。その位置で、第一の幕板21の内側からねじで固定される。
【0024】
角部43は、平面視略L字型に形成されるコーナー取付部材4の第一幕板取付部41及び第二幕板取付部42を接続する部分である。角部43は、コーナー取付部材4が第一の幕板21及び第二の幕板22に取り付けられる際、上端が突き当て部25に当接する。
【0025】
第二幕板取付部42は、図4A及び図4Cに示すように、第二の幕板22に固定される概ね長方形の板面である。図2に示すように、第二幕板取付部42は、長手方向が第二の幕板22の上下方向に沿うように配置され、第二の幕板22の外側からねじで固定される。第二幕板取付部42は、切欠部421と、当接部422と、を有する。
【0026】
切欠部421は、第二幕板取付部42の上部が下方に切り欠かれて形成される。具体的には、切欠部421は、略長方形の形状を有し、第二幕板取付部42の角部43から短手方向の遠位側へ離れた位置を基点として、奥側の遠位端まで切り欠かれる。切欠部421は、長手方向が第二幕板取付部42の短手方向に沿うように形成される。
【0027】
当接部422は、第二幕板取付部42の上部で角部43から切欠部421までの間に配置される。当接部422の上端は、第一幕板取付部41の上端と同じ位置にある、当接部422が配置された位置における第二幕板取付部42の上端と下端との間の長さは、第一幕板取付部41の上端と下端の間の長さと同じである。図4Cに示すように、当接部422は、角部43とともに第二の幕板22の上面部2aの裏側に形成された突き当て部25に当接する。当接部422及び角部43と床側延出部24との間には、突き当て部25の高さ方向の分の隙間が形成されている。床板11の上面11aは、床側延出部24に対向し、床側延出部24に当接するように配置される。床板11は熱により収縮又は膨張するので、当接部422及び角部43と床側延出部24との間の隙間が、床板11の伸びを吸収する。
【0028】
幕板2の取付け方法について説明する。幕板2は、図2及び図4A等に示すように、予め留め納まりで接合できるように、端部2gを45度の角度に切断しておく。図5Aに示すように、最初に第一の幕板21にコーナー取付部材4の第一幕板取付部41をねじで固定する。床板11の小口側に床板側嵌合部31を固定し、第一の幕板21の内側側面2dに、幕板側嵌合部32をねじで固定する。床板11の側面11c側に床板側嵌合部31を固定し、第二の幕板22の内側側面2dに、幕板側嵌合部32を固定しておく。
【0029】
ねじの固定は、図4Cに示されるように、第一の幕板21及び第二の幕板22の仕切り部2fにねじが挿入されるように位置を決める。幕板2が床板11に取り付けられた際、幕板側嵌合部32を幕板2に取り付ける位置と、コーナー取付部材4の第一幕板取付部41及び第二幕板取付部42を幕板2に取り付ける位置が、図1に示すように、幕板2の高さ方向の同じ位置に配置され、左右方向及び奥行方向に同じ高さで並ぶように固定する。
【0030】
図3Aに示すように、第一の幕板21を、上部が下部よりも床板11から離れるように角度をつけて床板11の小口に接近させ、爪部322を溝部313の上側から接近させる。図3Bに示すように、爪部322と溝部313を合わせたところで、第一の幕板21の姿勢を鉛直方向に向けながら上から下へ押圧する。これにより、爪部322と溝部313が嵌合し、第一の幕板21が床板11に取り付けられる。
【0031】
図3Aの状態から図3Bの状態へ第一の幕板21が移行する際、第一の幕板21の上部が、床板11から離れた状態から近接し、その後第一の幕板21が上から下方へ移動する。このとき、図3A及び図3Bには示されていないが、第一の幕板21の長手方向の端部では、第一の幕板21の内側側面2dから奥側へ向かって第二幕板取付部42が突出している。第二幕板取付部42に切欠部421が形成されているため、第一の幕板21の上端を、床板11から離れた状態から近接させ、下方へ押圧しても、第二幕板取付部42の移動する軌道を床板11や第二の幕板22に干渉させずに取り付けることが可能である。
【0032】
図5Bに示すように、第一の幕板21を床板11に取り付けた状態では、第二幕板取付部42は第一の幕板21の端部から突出している。次に、第二幕板取付部42を、第二の幕板22の内側側面2dと、床板11の側面11cとの間の空間に挿入し、第二の幕板22を設置面に略平行に、角部43に近づけるようにスライドさせる。その後、取り付けて置いた第二の幕板22の幕板側嵌合部32を床板11の床板側嵌合部31に嵌合させ、固定する。
【0033】
図5Cに示すように、第二の幕板22を嵌合部3で固定した後、コーナー取付部材4の第二幕板取付部42を、第二の幕板22の外側側面2cからねじで固定する。これにより、第一の幕板21と第二の幕板22はコーナー取付部材4を介して留め納まりで接合され、床板側嵌合部31と幕板側嵌合部32を介して床板11に接合される。
【0034】
仮に、施工者が取付手順を誤って、先に第二の幕板22を床板11に固定してしまったとする。すると、第一の幕板21から突出する第二幕板取付部42が移動できる範囲は、床板11の側面11cと第二の幕板22の間のみの空間に予め規定されてしまう。この場合、第一の幕板21を、床板11の上方から近接させて幕板側嵌合部32を床板側嵌合部31に嵌合させる際、もしもコーナー取付部材4の第二幕板取付部42に切欠部421が形成されていなかったら、第二幕板取付部42の上端が床板11の上端に干渉してしまい、取り付けることができない。このため、先に第二の幕板22を床板11に固定してしまった場合は、第二の幕板22を外してから取り付け直す必要が生じる。しかし、本実施形態では、第二幕板取付部42に切欠部421が形成されていることで、第一の幕板21と第二の幕板の取付けの手順を間違ったとしても、取り付けることが可能である。
【0035】
第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。床構造体1を、床部10と、床部10の一の側面10bに沿って配置され、側面に設けられた嵌合部3に上側から嵌合されて取り付けられる第一の幕板21と、第一の幕板21に交差する方向に延びる第二の幕板22と、床部10の出隅部20に配置され、第一の幕板21及び第二の幕板22を接合する平面視略L字型のコーナー取付部材4と、を含んで構成した。コーナー取付部材4を、第一の幕板21に固定される第一幕板取付部41及び第二の幕板22に固定される第二幕板取付部42を含んで構成し、第二幕板取付部42の上部には、下方に切り欠かれた切欠部421を形成した。第一の幕板21と第二の幕板22を、平面視略L字型のコーナー取付部材4で接続することで、第一の幕板21と第二の幕板22の接続部をキャップ等で覆う必要がなくなる。よって、床構造体1の意匠性が向上する。コーナー取付部材4の第二幕板取付部42に切欠部421が形成されているので、第一の幕板21が床部10に設けられた嵌合部3に上側から嵌合されるように取り付けられる際、第二幕板取付部42の取付けの軌道に干渉せず、スムーズに取付けが可能になる。また、幕板2の取付手順を間違えた場合にも、切欠部421が形成されていることで、先に組み付けられた構造物を避けて第二幕板取付部42を取り付けることが可能になる。よって、施工性が向上する。
【0036】
第1実施形態によれば、第二の幕板22を、第二の幕板22の内側側面2dの上端から内側へ突出する突き当て部25を含んで構成した。突き当て部25に、第一幕板取付部41及び第二幕板取付部42を接続する角部43の上端を当接させた。角部43を突き当て部25に当接させることで、幕板2に対してコーナー取付部材4を取り付ける位置を、計測等せずに決めることができる。よって、施工性が向上する。
【0037】
第1実施形態によれば、第一の幕板21及び第二の幕板22を、互いの端部2gを平面視略45度に傾斜するように切断し、傾斜した面を合わせる留め納まりで接合させた。第一の幕板21及び第二の幕板22の両面を合わせる留め納まりで接合できるので、キャップ等の覆いを被せる必要がなくなる。よって、意匠性が向上する。
【0038】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。図6は、第2実施形態に係る床構造体1Aの平面図である。第2実施形態では、床構造体1Aは、片勝ち納まりで取り付けられる。例えば、図6に示すように、第一の幕板21Aは、床部10Aにおける左右方向の一方の端部から他方の端部まで延出する。第二の幕板22Aは、奥行方向における手前側の端部2gが、第一の幕板21Aの左右方向の端部近傍の側面に対向して配置される。ここでいう「側面」とは、第一の幕板21Aの内側側面2d及び内側端縁2hにより構成される。第一の幕板21Aと第二の幕板22Aとの間は、幕板2が熱による膨張及び収縮により変形してぶつかり合うことを避けるため、例えば2.5mm程度の隙間を空けて配置させる。
【0039】
第2実施形態では、第一の幕板21Aの端部2gには、端部2gに露出する中空部2eを塞ぐため、第一の幕板21Aの樹脂製の端部キャップ5が取り付けられる。片勝ち納まりによっても、コーナー取付部材4の形状は第1実施形態と同様であり、第1実施形態と同じ効果を奏する。床構造体1Aを配置する場所や設計によって、第二の幕板22Aを床部10Aの手前側まで延出させ、第一の幕板21Aの端部を第二の幕板22Aの側面に対向させるように配置して、床部の側面側が「勝ち」となる片勝ち納まりに配置してもよい。ここでいう「側面」とは、第二の幕板22Aの内側側面2d及び内側端縁2hにより構成される。
【符号の説明】
【0040】
1 床構造体、 2d 内側側面(側面)、 2g 端部、 2h 内側端縁(側面)、 3 嵌合部、 4 コーナー取付部材、 10 床部、 10b 側面、 20 出隅部、 21 第一の幕板、 22 第二の幕板、 25 突き当て部、 41 第一幕板取付部、 42 第二幕板取付部、 43 角部、 421 切欠部、
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6