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  • 特許-壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造 図1
  • 特許-壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造 図2
  • 特許-壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造 図3
  • 特許-壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/02 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
F16L5/02 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020129749
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022026340
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏又 智明
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-017284(JP,A)
【文献】特開2002-048489(JP,A)
【文献】特開2018-189241(JP,A)
【文献】特開2010-266067(JP,A)
【文献】特開2016-211668(JP,A)
【文献】西独国実用新案公開第29616552(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に雄螺子が形成され、壁に形成された取付孔を貫通する継手本体と、
前記壁の一方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第1ナットと、
前記壁の他方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第2ナットと、
外径が前記取付孔よりも小径に形成され、前記第1ナットと前記第2ナットとの間で前記雄螺子に螺合する第3ナットと、
前記壁の外側で、かつ前記第2ナットと前記第3ナットとの間に配置され、弾性材料で形成されて前記第2ナットと前記第3ナットとで挟持することで内周部が径方向内側へ膨出して前記雄螺子の谷部を埋めるように内径が減少する環状パッキンと、
を有する壁貫通継手。
【請求項2】
前記環状パッキンの内径は、自由状態において、前記雄螺子の外径以下に設定されている、請求項1に記載の壁貫通継手。
【請求項3】
前記環状パッキンの外径は、前記第2ナットの外径以下に設定されている、請求項1または請求項2に記載の壁貫通継手。
【請求項4】
壁貫通継手の固定構造であって、
外周部に雄螺子が形成され、壁に形成された取付孔を貫通する継手本体と、
前記壁の一方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第1ナットと、
前記壁の他方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第2ナットと、
前記取付孔の内部に配置され、前記雄螺子に螺合する第3ナットと、
前記第2ナットと前記第3ナットとの間に配置され弾性材料で形成された環状パッキンと、
を備え、
前記環状パッキンは、前記第2ナットと前記壁との間に挟持されて圧縮されることで側面が前記壁に密着していると共に、前記第2ナットと前記第3ナットとの間に挟持されて圧縮され、前記雄螺子の谷部を埋めるように内周部が径方向内側へ膨出している、
壁貫通継手の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁の取付孔を貫通させて壁に取り付けられる壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁体に形成された貫通孔に貫通した状態で取り付けられる壁貫通継手が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の管継手は、壁体に形成された貫通孔に管継手の筒状部を挿入し、筒状部の外周面に形成された雄ねじ部に螺合させたフランジ部材と固定リングで壁体を締め付けることで、壁体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-189241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この管継手では、固定リングと壁体と間に止水リング(所謂パッキン)を挟み、固定リングと壁体とで圧縮することで、壁面部との止水性を確保し、また、ねじ部の止水性は、コーキングにより確保している。
このため、管継手を施工した後、ねじ部にコーキング処理を施す必要があり、また、コーキングは、施工者の技量に左右され易く、施工品質、即ち、止水性能が安定しない、という課題があった。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、施工性が向上し、安定した止水性能が得られる壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の壁貫通継手は、外周部に雄螺子が形成され、壁に形成された取付孔を貫通する継手本体と、前記壁の一方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第1ナットと、前記壁の他方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第2ナットと、外径が前記取付孔よりも小径に形成され、前記第1ナットと前記第2ナットとの間で前記雄螺子に螺合する第3ナットと、前記壁の外側で、かつ前記第2ナットと前記第3ナットとの間に配置され、弾性材料で形成されて前記第2ナットと前記第3ナットとで挟持することで内周部が径方向内側へ膨出して前記雄螺子の谷部を埋めるように内径が減少する環状パッキンと、を有する。
【0008】
請求項1に記載の壁貫通継手は、以下のように取り付けることで、安定した止水性能が簡単な施工で得ることができる。
【0009】
施工の一例として、壁に形成された取付孔に、第1ナット、及び第3ナットを雄螺子にさせた継手本体を壁の一方側から貫通させる。なお、第3ナットは、取付孔の内部に配置されるように、予め継手本体の位置決めしておく。
壁の他方側に突出した継手本体の雄螺子に環状パッキンを嵌め、第2ナットを螺合させる。
【0010】
また、第2ナットを締め付けて環状パッキンを壁との間で圧縮することで環状パッキンの側面が壁に密着して壁面との間の止水性が確保される。
【0011】
さらに、第2ナットを締め付けて第2ナットと第3ナットとの間で環状パッキンを挟持して圧縮する。これにより、環状パッキンの内周部が径方向内側へ膨出して雄螺子の谷部が埋められ、コーキングを施すことなく、ねじ部の止水性を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記環状パッキンの内径は、自由状態において、前記雄螺子の外径以下に設定されている、請求項1に記載の壁貫通継手。
【0013】
環状パッキンの膨出させた内周部を雄螺子の谷間を埋めるようにするには、環状パッキンの内径を、雄螺子の外径以下に設定することが好ましい。環状パッキンの内径が、雄螺子の外径よりも大径になるほど、環状パッキンの内周部を膨出させても、雄螺子の谷間を埋めることが困難になる。
【0014】
環状パッキンの内径を、雄螺子の外径以下に設定することで、環状パッキンの内周部が雄螺子の谷底に近づき、環状パッキンの内周部を膨出させた際に雄螺子の谷間を埋めやすくなる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の壁貫通継手において、前記環状パッキンの外径は、前記第2ナットの外径以下に設定されている。
【0016】
請求項3に記載の壁貫通継手では、環状パッキンの外径を、第2ナットの外径以下に設定することで、環状パッキンの外周部分が第2ナットの外周部よりも径方向外側へ突出することを抑制できる。
【0017】
なお、環状パッキンの外周部分が第2ナットの外周部よりも径方向外側へ突出すると、第2ナットの外周部よりも径方向外側へ突出した環状パッキンの外周部分に損傷、劣化等を生ずる懸念がある。
【0018】
環状パッキンの外周部分が第2ナットの外周部よりも径方向外側へ突出することを抑制することで、環状パッキンの外周部分の損傷、劣化等を抑制することができ、また、見栄えを良くすることもできる。
【0019】
請求項4に記載の発明は壁貫通継手の固定構造であって、外周部に雄螺子が形成され、壁に形成された取付孔を貫通する継手本体と、前記壁の一方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第1ナットと、前記壁の他方側に配置され、外径が前記取付孔よりも大径に形成されて前記雄螺子に螺合する第2ナットと、前記取付孔の内部に配置され、前記雄螺子に螺合する第3ナットと、前記第2ナットと前記第3ナットとの間に配置され弾性材料で形成された環状パッキンと、を備え、前記環状パッキンは、前記第2ナットと前記壁との間に挟持されて圧縮されることで側面が前記壁に密着していると共に、前記第2ナットと前記第3ナットとの間に挟持されて圧縮され、前記雄螺子の谷部を埋めるように内周部が径方向内側へ膨出している。
【0020】
請求項4に記載の壁貫通継手の固定構造では、継手本体が、壁に形成された取付孔に貫通している。
【0021】
壁の一方側には、継手本体の雄螺子に螺合した第1ナットが配置され、壁の他方側には、雄螺子に螺合した第2ナットが配置されており、取付け孔の内部には、雄螺子に螺合した第3ナットが配置されている。
【0022】
また、第2ナットと第3ナットとの間には、弾性材料で形成された環状パッキンが配置され、該環状パッキンは、第2ナットと壁との間に挟持されて圧縮されることで側面が壁に密着して壁面との間の止水性を確保している。
【0023】
さらに、環状パッキンは、第2ナットと第3ナットとの間に挟持されて圧縮されて、内周部が径方向内側へ膨出して雄螺子の谷部を埋めており、コーキングを施すことなく、ねじ部の止水性を確保している。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明の壁貫通継手、及び壁貫通継手の固定構造によれば、施工性が向上し、安定した止水性能が得られる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】壁に取り付けられた実施形態の壁貫通継手を示す断面図である。
図2】実施形態に係る壁貫通継手を示す分解斜視図である。
図3】(A)は外側弾性パッキンを圧縮する前の状態を示す壁貫通継手の要部を示す断面図であり、(B)は外側弾性パッキンを圧縮した後の状態を示す壁貫通継手の要部を示す断面図である。
図4】他の実施形態に係る壁貫通継手の中側固定リング周辺を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図3を用いて、本発明の一実施形態に係る壁貫通継手10について説明する。
図1には、壁12に形成された取付孔14に取り付けられた一実施形態に係る壁貫通継手10が断面図にて示されている。図1において、壁12を境にして図面左側は一例として屋外OUTであり、図面右側は室内INある。
【0027】
図1、及び図2に示すように、壁貫通継手10は、継手本体15、第2ナットの一例としての外側固定リング16、外側滑りパッキン18、環状パッキンの一例としての外側弾性パッキン20、第3ナットの一例としての中側固定リング22、第1ナットの一例としての内側固定リング24、内側弾性パッキン26、内側滑りパッキン28を含んで構成されている。
【0028】
継手本体15は、一例として金属で形成されており、外周に雄螺子30A、内周に雌螺子30Bが形成された直線状の筒状部材30を備えている。筒状部材30の室内側には90°に屈曲された屈曲部32が一体的に形成されており、屈曲部32の先端には、一例としてワンタッチ継手34が取り付けられている。なお、筒状部材30の室内側は、屈曲されていなくてもよく、また、外周に雄螺子が形成されていてもよく、内周に雌螺子が形成されていてもよく、ワンタッチ継手34以外の継手、配管等が取り付けられるように構成されていてもよい。言い換えれば、継手本体15は、全体が図1に示すような字形状であってもよく、直線形状等、その他の形状であってもよい。
【0029】
筒状部材30の雄螺子30Aには、屋外側に、一例として金属で形成された外側固定リング16、及び中側固定リング22が螺合されている。
【0030】
外側固定リング16は、外径が取付孔14の内径よりも大径に形成されており、屋外に配置されている。外側固定リング16の内周には、雌螺子16Aが形成されている。また、外側固定リング16には、一対のピン孔17が形成されており、このピン孔17には、外側固定リング16を回すための図示しない治具に設けられたピンが挿入可能となっている。
【0031】
中側固定リング22は、取付孔14よりも若干小径とされ、取付孔14の内部に配置されている。中側固定リング22の内周には、雌螺子22Aが形成されている。また、中側固定リング22には、例えば、一対のピン孔23が形成されており、このピン孔23には、中側固定リング22を回すための図示しない治具に設けられたピンが挿入可能となっている。
【0032】
外側固定リング16と中側固定リング22との間には、外側滑りパッキン18、及び外側弾性パッキン20が介在している。外側弾性パッキン20は、一例として、合成樹脂、ゴム等の弾性体でリング状に形成されている。また、外側滑りパッキン18は、外側固定リング16、及び外側弾性パッキン20を構成する材料よりも摩擦係数の小さい、一例として、ポリエチレン等の合成樹脂材料でリング状に形成されている。
【0033】
外側弾性パッキン20は、図1、及び図3(B)に示す取付状態において、外側固定リング16と中側固定リング22とで挟持されて圧縮されており、自由状態(圧縮されていない状態)に対して内周部が径方向内側に膨出して、内周部が筒状部材30の雄螺子30Aの谷部(ネジ山の傾斜面、及び谷底)に対して少なくとも1周方向以上に渡って密着している。
【0034】
このように、外側弾性パッキン20を外側固定リング16と中側固定リング22とで挟持して、外側弾性パッキン20の内周部を筒状部材30の雄螺子30Aのネジ山の傾斜面、及び谷底に密着させるために、外側弾性パッキン20の内径φd(図2参照)は、筒状部材30の雄螺子30Aの外径φD(図2参照)と同一、または若干小径(但し、外側弾性パッキン20に筒状部材30を挿入できる寸法)であることが好ましい。なお、外側弾性パッキン20の内周部を筒状部材30の雄螺子30Aのネジ山の傾斜面、及び谷底に密着できるのであれば、外側弾性パッキン20の内径φdは、筒状部材30の雄螺子30Aの外径φDよりも若干大径であってもよい。
【0035】
内側固定リング24は、外形が六角形であり、片面に円環状のボス25が一体的に形成されている。内側固定リング24の外径(最大径)は、取付孔14よりも大径とされ、ボス25の外径は、取付孔14に挿入可能とするため、取付孔14の内径よりも若干小径とされている。内側固定リング24の内周には、雌螺子24Aが形成されている。
なお、一例として、取付孔14の孔径がφ40mmであった場合、取付孔14とボス25との間の隙間は、孔径の12.5%以下、孔径の2.5~5%(実寸法で1~2mm)が好ましいが、隙間の寸法はこれに限らない。
【0036】
壁12と内側固定リング24との間には、内側弾性パッキン26、及び内側滑りパッキン28が挟持されている。
【0037】
内側弾性パッキン26は、一例として、合成樹脂、ゴム等の弾性体でリング状に形成されている。また、内側滑りパッキン28は、内側固定リング24、及び内側弾性パッキン26を構成する材料よりも摩擦係数の小さい、一例として、ポリエチレン等の合成樹脂でリング状に形成されている。
【0038】
(壁貫通継手10の取り付け手順)
次に、壁貫通継手10を壁12に取り付ける手順を説明する。
(1) 継手本体15の雄螺子30Aに内側固定リング24を螺合し、図1に示すように、内側固定リング24を屈曲部側に配置する。
【0039】
(2) 内側固定リング24のボス25に内側弾性パッキン26、及び内側滑りパッキン28を嵌めて取り付ける。
【0040】
(3) 継手本体15の雄螺子30Aに中側固定リング22を螺合する。中側固定リング22は、筒状部材30の端部寄りに配置する(図1参照)。
【0041】
(4) 施工者は、内側固定リング24、内側弾性パッキン26、内側滑りパッキン28、及び中側固定リング22を取り付けた継手本体15を把持して、室内側から筒状部材30を取付孔14に挿入する(図1参照)。
【0042】
(5) 取付孔14に中側固定リング22が取り付けられた筒状部材30を挿入して、施工者が継手本体15が手を離すと、中側固定リング22の外周部が取付孔14の孔壁に引っ掛かるので、継手本体15は取付孔14に同軸的に保持(言い換えれば、仮止め、または仮固定)され、取付孔14からの脱落が抑制される。なお、取付孔14と中側固定リング22との間の隙間は、一例として1~2mm程度が実用的であるが、この隙間の寸法に限定されるものではない。
【0043】
(6) 次に、施工者は、屋外側へ移動し、中側固定リング22の側面が、屋外側の壁面と面一、または壁面よりも若干突出するように、中側固定リング22の位置を調整し、壁12から突出している筒状部材30の端部分に、外側弾性パッキン20、外側滑りパッキン18を取り付けると共に、外側固定リング16を雄螺子30Aに螺合する。
【0044】
(7) 次に、治具を用いて外側固定リング16を締め込み、壁12と外側固定リング16との間、及び中側固定リング22と外側固定リング16との間で外側弾性パッキン20を強く圧縮する。
なお、外側固定リング16を外側滑りパッキン18に接触させながら締め込む(回転させる)際には、外側固定リング16の壁側の側面と外側滑りパッキン18との間で回転方向に滑りが生じ、外側弾性パッキン20が回転して捩れることはない。
【0045】
外側弾性パッキン20を強く圧縮すると、図3(B)に示すように、外側弾性パッキン20の側面が壁12に密着すると共に、中側固定リング22と外側固定リング16との間で強く挟持された外側弾性パッキン20の内周部が径方向内側へ膨出し、外側弾性パッキン20の内周部が、雄螺子30Aの谷部、言い換えれば、ネジ山の斜面、及び谷底に1周方向以上に渡って密着し、谷部を埋める。なお、外側弾性パッキン20は、螺子部の隙間を環状にシールするための厚さに設定されている。また、
この外側弾性パッキン20は、施工者が通常の力で外側固定リング16を締め付けた際に、内周部が膨出してネジ部の谷間を埋めるように硬さが調整されている。
【0046】
これにより、屋外から取付孔14へ浸入しようとする水(一例として雨水等)の浸入経路、より詳しくは、外側弾性パッキン20と壁12との間の隙間、外側弾性パッキン20の内周部と雄螺子30Aとの間の隙間が無くなり、屋外の水が取付孔14に浸入することを抑制することができる。よって、屋外の水が屋内に浸入することを抑制することができる。
【0047】
本実施形態の壁貫通継手10によれば、コーキング剤で隙間をシールする煩雑な作業を必要とせず、外側固定リング16を締め込んで外側弾性パッキン20を圧縮するという簡単な作業で、上記のように屋外の水の浸入を抑制することができる。
【0048】
なお、外側弾性パッキン20の外周部分が外側固定リング16の外周部よりも径方向外側へ突出すると、外側固定リング16の外周部よりも径方向外側へ突出した外側弾性パッキン20の外周部分に損傷、劣化等を生ずる懸念がある。外側弾性パッキン20の外周部分が外側固定リング16の外周部よりも径方向外側へ突出することを抑制することで、外側弾性パッキン20の外周部分の損傷、劣化等を抑制することができ、また、見栄えを良くすることもできる。
【0049】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0050】
上記実施形態において、室内側の内側固定リング24、内側弾性パッキン26、内側滑りパッキン28を、屋外側の外側固定リング16、外側滑りパッキン18、外側弾性パッキン20に置き換え、室内側を屋外側と同様の止水構造としてもよい。
【0051】
上記実施形態の壁貫通義手10において、図4に示すように、中側固定リング22の側面に、外側弾性パッキン20の内周側側面に当接する、環状の突起22Bを形成してもよい。環状の突起22Bを外側弾性パッキン20の内周側の側面に当接させることで、突起22Bが無い場合に比較して、圧縮時の外側弾性パッキン20の膨出変形量を増大させることができる。なお、図示はしないが、外側弾性パッキン20の内周側の厚みを他の部分に比較して増やしてもよく、これによっても、圧縮時の外側弾性パッキン20の膨出変形量を増大させることができる。
【0052】
上記実施形態では、外側固定リング16の外形が円形であったが、スパナ等の工具を使用して回転できるように外形を6角形にしてもよい。また、上記実施形態では、内側固定リング24の外形が6角径であったが、円形にしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…壁貫通継手、12…壁、14…取付孔、15…継手本体、16…外側固定リング(第2ナット)、20…外側弾性パッキン(環状パッキン)、22…中固定リング(第3ナット)、24…内側固定リング(第1ナット)
図1
図2
図3
図4