IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オービックの特許一覧

特許7499113不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム
<>
  • 特許-不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム 図1
  • 特許-不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム 図2
  • 特許-不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム 図3
  • 特許-不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム 図4
  • 特許-不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム 図5
  • 特許-不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240606BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020139547
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035318
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 純
(72)【発明者】
【氏名】岩井 平良
(72)【発明者】
【氏名】関谷 拓麻
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-086895(JP,A)
【文献】特開2007-011782(JP,A)
【文献】不動産の売却における簿価とは?,[online],2018年06月18日,[2024年2月16日検索], インターネット<URL: https://www.rals.co.jp/invest/column/strategy/boka/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた不動産取引処理装置であって、
前記記憶部は、
不動産の売却時の帳簿価額、および、除去債務残高を設定した固定資産データを記憶する固定資産記憶手段、
を備え、
前記制御部は、
前記不動産の売却代金額を取得する売却代金取得手段と、
前記不動産の仮払金額を設定した支払データを取得し、前記仮払金額を振り替えた売却経費額および履行費用額を取得する売却経費取得手段と、
前記売却代金額から前記帳簿価額および前記売却経費額を差し引いた前記不動産の売却損益額、ならびに、前記除去債務残高から前記履行費用額を差し引いた履行差額を設定した売却データを取得する売却損益取得手段と、
を備えたことを特徴とする不動産取引処理装置。
【請求項2】
前記売却代金取得手段は、
前記不動産の仮受金額を設定した請求データを取得し、前記仮受金額の一部を振り替えた前記売却代金額を取得することを特徴とする請求項1に記載の不動産取引処理装置。
【請求項3】
前記売却代金取得手段は、
前記不動産の前記仮受金額を設定した前記請求データを取得し、前記仮受金額を損益対象外収益額および前記売却代金額に振り替え、
前記制御部は、
前記固定資産データ、前記仮受金額、前記仮払金額、前記履行差額、前記損益対象外収益額および前記売却損益額に基づいて、売却仕訳データを作成する売却仕訳手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項に記載の不動産取引処理装置。
【請求項4】
前記請求データは、
更に、精算金額が設定され、
前記制御部は、
前記請求データに対応する請求仕訳データを作成する請求仕訳手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項2に記載の不動産取引処理装置。
【請求項5】
前記支払データは、
更に、仲介料額が設定され、
前記制御部は、
前記支払データに対応する支払仕訳データを作成する支払仕訳手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項に記載の不動産取引処理装置。
【請求項6】
記憶部と制御部とを備えた不動産取引処理装置に実行させるための不動産取引処理方法であって、
前記記憶部は、
不動産の売却時の帳簿価額、および、除去債務残高を設定した固定資産データを記憶する固定資産記憶手段、
を備え、
前記制御部で実行さる、
前記不動産の売却代金額を取得する売却代金取得ステップと、
前記不動産の仮払金額を設定した支払データを取得し、前記仮払金額を振り替えた売却経費額および履行費用額を取得する売却経費取得ステップと、
前記売却代金額から前記帳簿価額および前記売却経費額を差し引いた前記不動産の売却損益額、ならびに、前記除去債務残高から前記履行費用額を差し引いた履行差額を設定した売却データを取得する売却損益取得ステップと、
を含むことを特徴とする不動産取引処理方法。
【請求項7】
記憶部と制御部とを備えた不動産取引処理装置に実行させるための不動産取引処理プログラムであって、
前記記憶部は、
不動産の売却時の帳簿価額、および、除去債務残高を設定した固定資産データを記憶する固定資産記憶手段、
を備え、
前記制御部において、
前記不動産の売却代金額を取得する売却代金取得ステップと、
前記不動産の仮払金額を設定した支払データを取得し、前記仮払金額を振り替えた売却経費額および履行費用額を取得する売却経費取得ステップと、
前記売却代金額から前記帳簿価額および前記売却経費額を差し引いた前記不動産の売却損益額、ならびに、前記除去債務残高から前記履行費用額を差し引いた履行差額を設定した売却データを取得する売却損益取得ステップと、
を実行させるための不動産取引処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、土地、建物等の不動産資産の売却について、売却額と簿価との比較から、売却損益を自動的に算出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-86895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、資産売却時において、売却経費を考慮して、売却損益を自動算出することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、不動産売却時に売却代金、売却経費、および、帳簿価額から売却損益を自動算出することができる不動産取引処理装置、不動産取引処理方法、および、不動産取引処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る不動産取引処理装置は、記憶部と制御部とを備えた不動産取引処理装置であって、前記記憶部は、不動産の売却時の帳簿価額を設定した固定資産データを記憶する固定資産記憶手段、を備え、前記制御部は、前記不動産の売却代金額を取得する売却代金取得手段と、前記不動産の売却経費額を取得する売却経費取得手段と、前記帳簿価額、前記売却代金額および前記売却経費額に基づいて、前記不動産の売却損益額を取得する売却損益取得手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記売却代金取得手段は、前記不動産の仮受金額を設定した請求データを取得し、前記仮受金額の一部を振り替えた前記売却代金額を取得することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記売却経費取得手段は、前記不動産の仮払金額を設定した支払データを取得し、前記仮払金額の一部を振り替えた前記売却経費額を取得することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記売却損益取得手段は、前記売却代金額から、前記売却経費額および前記帳簿価額を差し引いた額を、前記売却損益額として取得することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記固定資産データは、更に、除去債務残高が設定され、前記売却経費取得手段は、前記不動産の前記仮払金額を設定した前記支払データを取得し、前記仮払金額を前記売却経費額および履行費用額に振り替え、前記売却損益取得手段は、更に、前記除去債務残高から前記履行費用額を差し引いた履行差額を取得することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記売却代金取得手段は、前記不動産の前記仮受金額を設定した前記請求データを取得し、前記仮受金額を損益対象外収益額および前記売却代金額に振り替え、前記制御部は、前記固定資産データ、前記仮受金額、前記仮払金額、前記履行差額、前記損益対象外収益額および前記売却損益額に基づいて、売却仕訳データを作成する売却仕訳手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記請求データは、更に、精算金額が設定され、前記制御部は、前記請求データに対応する請求仕訳データを作成する請求仕訳手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る不動産取引処理装置において、前記支払データは、更に、仲介料額が設定され、前記制御部は、前記支払データに対応する支払仕訳データを作成する支払仕訳手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る不動産取引処理方法は、記憶部と制御部とを備えた不動産取引処理装置に実行させるための不動産取引処理方法であって、前記記憶部は、不動産の売却時の帳簿価額を設定した固定資産データを記憶する固定資産記憶手段、を備え、前記制御部で実行させる、前記不動産の売却代金額を取得する売却代金取得ステップと、前記不動産の売却経費額を取得する売却経費取得ステップと、前記帳簿価額、前記売却代金額および前記売却経費額に基づいて、前記不動産の売却損益額を取得する売却損益取得ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る不動産取引処理プログラムは、記憶部と制御部とを備えた不動産取引処理装置に実行させるための不動産取引処理プログラムであって、前記記憶部は、不動産の売却時の帳簿価額を設定した固定資産データを記憶する固定資産記憶手段、を備え、前記制御部において、前記不動産の売却代金額を取得する売却代金取得ステップと、前記不動産の売却経費額を取得する売却経費取得ステップと、前記帳簿価額、前記売却代金額および前記売却経費額に基づいて、前記不動産の売却損益額を取得する売却損益取得ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より精緻な損益を同一システム内で管理することが可能になるという効果を奏する。また、本発明によれば、仕訳作成を含め、会計処理までを一元的に処理可能になるという効果を奏する。また、本発明によれば、会計、ビルマネジメントおよび固定資産一体でのシームレスなデータ連携が可能になることで、資産データとビルマネジメントシステムとの連携での売却時の処理がスムーズになるという効果を奏する。それにより、本発明によれば、個別の打ち替えや表計算ソフトでの計算等の二重の業務の手間が無くなるという効果を奏する。また、本発明によれば、物件売却にかかる損益の早期把握と、会計処理までの業務効率の向上とを実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、業務処理比較の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態におけるシステム相関図の一例である。
図3図3は、本実施形態における不動産取引処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、本実施形態における不動産取引処理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態における不動産取引処理の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における不動産取引処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
まず、図1および図2を参照して、本発明の概要を説明する。図1は、業務処理比較の一例を示す図である。図2は、本実施形態におけるシステム相関図の一例である。
【0020】
従来、不動産取引における売買頻度が高くなかったため、システム間での処理は、複雑ではなかったが、近年の証券化等による不動産の流動化や売買取引の活性化から、物件売却が増えたため、同一システム内で処理できる業務ではなく、システム間の連携が必要となるケースが増えたことで、取引量が増大する中で業務負荷が拡大していた。
【0021】
例えば、図1に示すように、従来は、売却時に個別に固定資産システムにて除却処理を行い、別のシステムで管理していた売却代金および売却経費の結果を、担当者が表計算ソフト等を使って計算し、売却損益を算出していたため、仕訳は自動作成されず、仕訳起票や起票時に物件データを付帯させる等の手間が増え、非常に煩雑になっていた。
【0022】
そこで、図1に示すように、本実施形態においては、売却代金および売却経費と固定資産とのデータ連携により、売却案件登録から一括で売却損益および仕訳等の登録まで可能とする仕組みを提供している。また、図2に示すように、本実施形態においては、資産売却データと固定資産データとをシステム間で自動的に紐付けることにより、担当者によるチェック・確認作業および、Excel(登録商標)等での計算も不要としている。
【0023】
[2.構成]
本実施形態に係る不動産取引処理装置100の構成の一例について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における不動産取引処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、不動産取引処理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、不動産取引処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0025】
不動産取引処理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。不動産取引処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0026】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、不動産取引処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、不動産取引処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、固定資産データベース106aと取引データベース106bとを備えている。
【0028】
固定資産データベース106aは、固定資産データを記憶する。ここで、固定資産データベース106aは、不動産の売却時の帳簿価額が設定された固定資産データを記憶していてもよい。ここで、固定資産データは、物件識別子(例えば、物件コードおよび/または物件名等)、資産識別子(例えば、資産番号等)、および/または、除去債務残高等が設定されて(を含んで)いてもよい。
【0029】
取引データベース106bは、取引データを記憶する。ここで、取引データは、売却データ、請求データ、支払データ、仮受振替データ、仮払振替データ、売却資産データ、および/または、仕訳データ等を含んでいてもよい。ここで、売却データは、売却識別子(例えば、売却番号等)、物件識別子(例えば、物件コードおよび/または物件名等)、売却予定日、売却日、履行差額、および/または、売却損益等が設定されていてもよい。また、請求データは、売却識別子、物件識別子、計上区分(例えば、仮受金または精算金等)、入金予定日、計上日、および/または、請求金額(例えば、仮受金額または精算金額)等が設定されていてもよい。また、支払データは、売却識別子、物件識別子、計上区分(例えば、仮払金または仲介料等)、支払予定日、計上日、および/または、支払金額(例えば、仮払金額または仲介料額)等が設定されていてもよい。また、仮受振替データは、売却識別子、物件識別子、計上区分(例えば、売却代金または収益等)、損益対象識別子(例えば、対象または対象外等)、計上日、および/または、仮受振替金額(例えば、売却代金額または収益額)等が設定されていてもよい。また、仮払振替データは、売却識別子、物件識別子、計上区分(例えば、売却経費または履行費用等)、損益対象識別子、計上日、および/または、仮払振替金額(例えば、売却経費額または履行費用額)等が設定されていてもよい。また、売却資産データは、売却識別子、物件識別子、資産識別子、帳簿価額、および/または、除去債務残高等が設定されていてもよい。なお、売却資産データは、固定資産データに基づいて取得されたものであってもよい。また、仕訳データは、借方勘定科目、借方金額、貸方勘定科目、および/または、貸方金額等が設定されていてもよい。
【0030】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0031】
制御部102は、不動産取引処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、売却代金取得部102aと売却経費取得部102bと売却損益取得部102cと仕訳作成部102dとを備えている。
【0032】
売却代金取得部102aは、不動産の売却代金額を取得する。ここで、売却代金取得部102aは、不動産の仮受金額を設定した請求データを取得し、仮受金額の一部を振り替えた売却代金額を取得してもよい。また、売却代金取得部102aは、不動産の仮受金額を設定した請求データを取得し、仮受金額を損益対象外収益額および売却代金額に振り替えてもよい。
【0033】
売却経費取得部102bは、不動産の売却経費額を取得する。ここで、売却経費取得部102bは、不動産の仮払金額を設定した支払データを取得し、仮払金額の一部を振り替えた売却経費額を取得してもよい。また、売却経費取得部102bは、不動産の仮払金額を設定した支払データを取得し、仮払金額を売却経費額および履行費用額に振り替えてもよい。
【0034】
売却損益取得部102cは、不動産の売却損益額を取得する。ここで、売却損益取得部102cは、帳簿価額、売却代金額および売却経費額に基づいて、不動産の売却損益額を取得してもよい。また、売却損益取得部102cは、売却代金額から、売却経費額および帳簿価額を差し引いた額を、売却損益額として取得してもよい。また、売却損益取得部102cは、除去債務残高から履行費用額を差し引いた履行差額を取得してもよい。
【0035】
仕訳作成部102dは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102dは、固定資産データ、仮受金額、仮払金額、履行差額、損益対象外収益額および売却損益額に基づいて、売却仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、請求データに対応する請求仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、支払データに対応する支払仕訳データを作成してもよい。また、仕訳作成部102dは、仕訳データを取引データベース106bに登録してもよい。
【0036】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、図4から図6を参照して説明する。
【0037】
[不動産取引処理]
ここで、図4を参照して、本実施形態における不動産取引処理の一例について説明する。図4は、本実施形態における不動産取引処理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
図4に示すように、制御部102は、ユーザにより入力装置112を介して不動産の物件識別子および売却予定日付が入力された場合、売却識別子、物件識別子および売却予定日を設定した売却データを取引データベース106bに登録する(ステップSA-1)。
【0039】
そして、売却代金取得部102aは、ユーザにより入力装置112を介して不動産の仮受金額が入力された場合、不動産の仮受金額を設定した請求データを取得する(ステップSA-2)。
【0040】
そして、売却経費取得部102bは、ユーザにより入力装置112を介して不動産の仮払金額が入力された場合、不動産の仮払金額を設定した支払データを取得する(ステップSA-3)。
【0041】
そして、仕訳作成部102dは、請求データに対応する請求仕訳データ、および、支払データに対応する支払仕訳データを作成する(ステップSA-4)。
【0042】
そして、売却代金取得部102aは、請求データに設定された不動産の仮受金額を損益対象外収益額および売却代金額に振り替えた仮受振替データを取得する(ステップSA-5)。
【0043】
そして、売却経費取得部102bは、支払データに設定された不動産の仮払金額を売却経費額および履行費用額に振り替えた仮払振替データを取得する(ステップSA-6)。
【0044】
そして、売却損益取得部102cは、売却代金額から、固定資産データベース106aに記憶された帳簿価額および売却経費額を差し引いた額を、不動産の売却損益額として取得し、固定資産データベース106aに記憶された除去債務残高から履行費用額を差し引いた履行差額を取得し、売却損益額および履行差額を売却データに登録することで、取引データベース106bに記憶された売却データを更新する(ステップSA-7)。
【0045】
そして、仕訳作成部102dは、固定資産データベース106aに記憶された帳簿価額および除去債務残高、仮受金額、仮払金額、履行差額、損益対象外収益額ならびに売却損益額に基づいて、売却仕訳データを作成し(ステップSA-8)、処理を終了する。
【0046】
ここで、図5および図6を参照して、本実施形態における不動産取引処理の一例について説明する。図5および図6を参照して、本実施形態における不動産取引処理の一例を示す図である。
【0047】
図5に示すように、本実施形態においては、ユーザによる売却案件登録により、売却No、物件コード、物件名および売却予定日が設定された売却データが登録され、売却No、物件コード、物件名、計上区分、入金予定日、計上日および金額が設定された請求データが取得され、売却No、物件コード、物件名、計上区分、支払予定日、計上日および金額が設定された支払データが取得され、借方の勘定科目が現金、且つ、貸方の勘定科目が仮受金および精算金である請求仕訳データ、ならびに、借方の勘定科目が仮払金および仲介料、且つ、貸方の勘定科目が現金である支払仕訳データが作成される(ステップSB-1)。
【0048】
そして、図6に示すように、本実施形態においては、ユーザによる売却損益確定登録により、売却No、物件コード、物件名、計上区分、損益対象、計上日および金額が設定された仮受振替データが取得され、売却No、物件コード、物件名、計上区分、損益対象、計上日および金額が設定された仮払振替データが取得され、仮受振替データ。仮払振替データおよび固定資産データから取得された売却資産データに基づいて、売却日、履行差額および売却損益が売却データに登録されることで、売却データが更新され、借方の勘定科目が仮受金および除去債務、且つ、貸方の勘定科目が仮払金、建物、履行差額、収益(損益対象外)および売却損益である売却仕訳データが作成される(ステップSB-2)。
【0049】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0050】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0051】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0052】
また、不動産取引処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0053】
例えば、不動産取引処理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて不動産取引処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0054】
また、このコンピュータプログラムは、不動産取引処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0055】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0056】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0057】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0058】
また、不動産取引処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、不動産取引処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0059】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、不動産業界において有用である。
【符号の説明】
【0061】
100 不動産取引処理装置
102 制御部
102a 売却代金取得部
102b 売却経費取得部
102c 売却損益取得部
102d 仕訳作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 固定資産データベース
106b 取引データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6