(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20240606BHJP
B05B 1/08 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A47K3/00 E
B05B1/08
(21)【出願番号】P 2020153848
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】新村 雄三
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118442(JP,A)
【文献】特開2017-064393(JP,A)
【文献】特開2008-136589(JP,A)
【文献】特開2019-130080(JP,A)
【文献】特開2009-153908(JP,A)
【文献】特開2004-275985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00 - 4/00
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
A61H 19/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口を有する噴射部材と、
前記噴射部材を回転可能に支持すると共に前記噴射部材に向けて湯水を流通させる供給流路を有する支持部材と、を備え、
前記噴射部材は、前記供給流路を流通する湯水の水圧を受ける受圧部と、前記支持部材に接触する接触部と、を有し、
前記受圧部は、前記供給流路側が開放する断面視U字形状に形成され、
前記接触部は、前記受圧部が受けた湯水の水圧により該噴射部材が押圧されることで前記支持部材に押圧される、吐水装置。
【請求項2】
噴射口を有する噴射部材と、
前記噴射部材を回転可能に支持すると共に前記噴射部材に向けて湯水を流通させる供給流路を有する支持部材と、を備え、
前記噴射部材は、前記供給流路を流通する湯水の水圧を受ける受圧部と、前記支持部材に接触する接触部と、を有し、
前記接触部は、前記受圧部が受けた湯水の水圧により該噴射部材が押圧されることで前記支持部材に押圧され
、
前記接触部及び前記支持部材における前記接触部に接触する部分のいずれか一方は、前記噴射部材の回転方向に延びる円環状のリブを有する、吐水装置。
【請求項3】
噴射口を有する噴射部材と、
前記噴射部材を回転可能に支持すると共に前記噴射部材に向けて湯水を流通させる供給流路を有する支持部材と、を備え、
前記噴射部材は、前記供給流路を流通する湯水の水圧を受ける受圧部と、前記支持部材に接触する接触部と、を有し、
前記接触部は、前記受圧部が受けた湯水の水圧により該噴射部材が押圧されることで前記支持部材に押圧され
、
前記接触部及び前記支持部材における前記接触部に接触する部分のいずれか一方は、前記噴射部材の回転方向に沿って間欠的に設けられる複数の凸部を有する、吐水装置。
【請求項4】
噴射口を有する噴射部材と、
前記噴射部材を回転可能に支持すると共に前記噴射部材に向けて湯水を流通させる供給流路を有する支持部材と、を備え、
前記噴射部材は、前記供給流路を流通する湯水の水圧を受ける受圧部と、前記支持部材に接触する接触部と、を有し、
前記接触部は、前記受圧部が受けた湯水の水圧により該噴射部材が押圧されることで前記支持部材に押圧され
、
前記接触部及び前記支持部材における前記接触部に接触する部分のいずれか一方は、前記噴射部材の回転方向に沿って間欠的に設けられる複数の凹部を有する、吐水装置。
【請求項5】
前記噴射部材は、前記受圧部の上流側に配置され前記受圧部に湯水を導く誘導部を有する、請求項1
~4のいずれかに記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、噴射部材と、噴射部材を回転可能に支持する支持部材と、を備える吐水装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の吐水装置は、噴射部材の回転角度を所定角度毎に位置決めすることで、噴流の大きさを変更可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吐水装置においては、噴射部材の回転方向の位置決めがされておらず、噴流の噴射時に、噴射部材が回転してしまう可能性がある。そのため、噴射部材の回転位置により噴流の大きさや角度が異なる構成を備える吐水装置においては、噴射部材が回転しまうと、使用者が意図しない大きさや向きの噴流が、噴射部材から噴射してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、噴射時において噴射部材の回転を抑制できる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、噴射口を有する噴射部材と、前記噴射部材を回転可能に支持すると共に前記噴射部材に向けて湯水を流通させる供給流路を有する支持部材と、を備え、前記噴射部材は、前記供給流路を流通する湯水の水圧を受ける受圧部と、前記支持部材に接触する接触部と、を有し、前記接触部は、前記受圧部が受けた湯水の水圧により該噴射部材が押圧されることで前記支持部材に押圧される、吐水装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のノズル装置が設けられた浴槽を示す斜視図である。
【
図3】ノズル装置を前方側から見た場合の分解斜視図である。
【
図4】ノズル装置を後方側から見た場合の分解斜視図である。
【
図7】第2実施形態のノズル装置の縦断面図である。
【
図8】第2実施形態のノズル装置の噴射部材を後部側から見た斜視図である。
【
図10】第4実施形態の噴射部材及びリング部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、浴槽装置100に設けられた第1実施形態のノズル装置3について、図面を参照しながら説明する。浴槽装置100は、
図1に示すように、上縁面120を有する浴槽110と、肩首用吐水装置2と、2つのノズル装置3(吐水装置)と、吸水口130と、排水口140と、備える。
【0009】
浴槽110は、上部が開口した略直方体の形状を有し、湯水を貯水可能に形成される。上縁面120は、浴槽110の上端から四周の外側へ延出する部分である。上縁面120は、概ね平坦に形成される。
【0010】
浴槽110は、底面部111と、側壁部112と、を有する。底面部111は、略長方形に形成され、四隅が湾曲している。側壁部112は、底面部111から上方に延びる。側壁部112の浴槽110の内部側の面は、浴槽110の側面150を構成する。浴槽110内の側面150は、一対の短辺側側面151と、一対の長辺側側面152と、から形成される。本実施形態においては、浴槽110の短辺に沿う方向を短辺方向D1といい、浴槽110の長辺に沿う方向を長辺方向D2という。
【0011】
肩首用吐水装置2は、一対の短辺側側面151のうちの一方の短辺側側面151aの上方において上縁面120の上に配置される。肩首用吐水装置2は、枕部21と、本体部22と、を有する。
【0012】
枕部21は、使用者が頭部を載せることが可能な高さを有し、上縁面120から凸となるように配置される。枕部21は、幅方向に長い横長の形状を有する。
【0013】
本体部22は、浴槽110の上縁面120上に設けられる。本体部22は、枕部21の下方及び内部に配置される。本体部22は、第1吐水口23と、一対の第2吐水口24と、を有する。第1吐水口23及び一対の第2吐水口24は、ともに浴槽110の上縁面120に設けられる。
【0014】
第1吐水口23は、使用者の肩へと湯水を吐水する吐水口である。第1吐水口23は、浴槽110の短辺方向D1に略直線状に延び、細長いスリット状に下方に開口して形成される。第1吐水口23から吐水される湯水は、薄い膜状に形成される。
【0015】
一対の第2吐水口24は、本体部22の長手方向の略中央において、浴槽110の短辺方向D1に離れて2つ形成される開口部である。第2吐水口24からは、それぞれ、使用者の首に向かって一本の水の流れが波打つように吐水される。
【0016】
2つのノズル装置3は、一対の短辺側側面151のうちの一方の短辺側側面151aの下方に配置される。2つのノズル装置3は、同じ高さで2つ形成される。2つのノズル装置3は、浴槽110の短辺側側面151の短辺方向D1の略中央に、短辺方向D1に離れて配置される。
【0017】
吸水口130は、一対の長辺側側面152のうちの一方の長辺側側面152aの下方に配置される。吸水口130は、
図2に示すように、浴槽110の長辺方向D2において、一方の短辺側側面151aから、浴槽110の長辺方向D2の長さの4分の1程度の長さの位置に配置されている。
【0018】
ノズル装置3について説明する。
図1及び
図2に示すように、ノズル装置3は、浴槽110の側壁部112に形成された取付孔112a(
図5参照)に取り付けられる。ノズル装置3は、側壁部112の外側において循環ポンプ(図示省略)に接続される。ノズル装置3は、循環ポンプにより浴槽110内の湯水を吸い込むと共に、循環ポンプにより供給された湯水を浴槽110内に噴出する。
【0019】
図2に示すように、ノズル装置3は、噴射出口孔511(噴射口)を有する噴射部材5と、噴射部材5を回転可能に支持し浴槽110に固定される固定体4と、固定体4に固定された噴射部材5を覆うように固定体4の先端側に取り付けられるカバー6と、を備える。
【0020】
図3~
図6に示すように、固定体4は、外側連結部材41と、内側連結部材42と、支持部材43と、を有する。固定体4は、側壁部112に形成された取付孔112aに固定される。
【0021】
外側連結部材41は、側壁部112の外側に設けられ、側壁部112の取付孔112aに貫通して配置される内側連結部材42とともに側壁部112を挟んで、ノズル装置3を浴槽110に固定する。
【0022】
外側連結部材41は、
図5及び
図6に示すように、胴体部411と、供給部412と、吸入部413と、内部管状部414と、を有する。胴体部411は、筒状に形成され、側壁部112側の一端部にフランジ411aを有する。フランジ411aと側壁部112の間には、パッキン411bが設けられている。胴体部411の内周面には、内側連結部材42に螺合する雌ねじが形成される。
【0023】
胴体部411の内部には、同軸上に内部管状部414が形成されている。内部管状部414は、浴槽110側の一端部が開口しており、他端部が供給部412に連通している。供給部412の端部に位置する供給口412aには、循環ポンプの配管が接続される。供給口412aには、循環ポンプから湯水が供給される。内部管状部414の内側には、湯水の供給流路401の一部が形成される。
【0024】
胴体部411の内側であって、内部管状部414の外側には、吸入流路402が形成される。吸入流路402は、吸入部413に連通している。吸入部413の端部に位置する吸入口413aには、循環ポンプの配管が接続される。吸入口413aからは、循環ポンプにより湯水を吸入する。内部管状部414には、空気取り込み部415が連通する。空気取り込み部415は、外部空気を取り入れて噴流内に気泡を混入する場合に、空気を取り込むために用いられる。
【0025】
内側連結部材42は、両端が開口した円筒状に形成される。内側連結部材42は、浴槽110の内部側の一端部に形成されるフランジ421を有する。内側連結部材42は、他端部の外周面に雄ねじが形成されており、側壁部112に設けた取付孔112aに挿入された状態で、他端部が外側連結部材41に螺合される。フランジ421と側壁部112との間には水密に封じるためのパッキン422が挟み込まれる。内側連結部材42の内側であって、支持部材43の外側には、吸入流路402の一部が形成される。
【0026】
フランジ421の外縁部分421aは、カバー6が引っ掛かるように係合する。フランジ421の外縁部分421aの僅かに径方向の内側には、浴槽110内に向かって立設する突起部421bが形成される。突起部421bは、周方向に沿って形成され、支持部材43を支持する。
【0027】
支持部材43は、支持部材本体44と、リング部材45と、を有する。支持部材43は、ノズル装置3の先端側において、支持部材本体44とリング部材45とにより、噴射部材5の径方向の外側の端部に形成される外端径方向突出部512を挟み込んで、噴射部材5を支持する。
【0028】
支持部材本体44は、筒状に形成され、内側連結部材42に固定される。支持部材本体44は、
図5及び
図6に示すように、基端筒部441と、第1拡径部442と、中間筒部443と、第2拡径部444と、パッキン配置溝445と、リング部材配置面446と、フランジ部447と、環状筒部448と、連通部449と、を有する。基端筒部441、第1拡径部442及び中間筒部443の内側には、噴射部材5に向けて湯水を流通させる湯水の供給流路401の一部が形成される。
【0029】
基端筒部441は、固定体4の内部管状部414に挿入されて接続される。基端筒部441の内側には、供給流路401の一部が形成される。基端筒部441の外周には円環状のパッキン441aが配置され、供給流路401と吸入流路402とが連通しないように水密に封止されている。
【0030】
第1拡径部442は、基端筒部441の先端に接続され、浴槽110内側に向かって拡径して延びる筒状に形成される。中間筒部443は、第1拡径部442の先端に接続され、浴槽110内側に向かって同径で延びる筒状に形成される。第2拡径部444は、中間筒部443の先端に接続され、浴槽110内側に向かって拡径して延びる筒状に形成される。
【0031】
パッキン配置溝445は、第2拡径部444の先端に配置され、浴槽110内側に開放する環状の溝状に形成される。パッキン配置溝445には、パッキン445aが配置される。パッキン配置溝445に配置されるパッキン445aには、板材445bを介して、噴射部材5の外端径方向突出部512が押圧される。
【0032】
リング部材配置面446は、パッキン配置溝445の浴槽110の内部側においてパッキン配置溝445の径方向の外側に配置される。リング部材配置面446は、浴槽110の内部側を向く円環の面状に形成される。リング部材配置面446には、リング部材45が配置される。
【0033】
リング部材配置面446に配置されたリング部材45は、円環部分の幅部分の後部側の環状当接面451が、リング部材配置面446と噴射部材5の外端径方向突出部512の先端側の接触部512aとに跨って配置される。環状当接面451は、径方向の内側において、外端径方向突出部512の接触部512aに接触し、径方向の外側において、リング部材配置面446に当接する。
【0034】
これにより、噴射部材5は、外端径方向突出部512が、リング部材配置面446に配置されたリング部材45とパッキン配置溝445に配置されたパッキン445aとの間に挟まれた状態で、支持部材43に回転可能に支持される。
【0035】
フランジ部447は、リング部材配置面446の浴槽110の内部側の端部から径方向の外側に延びる。環状筒部448は、フランジ部447の外周縁から側壁部112に向かって筒状に延びる。環状筒部448の側壁部112側の端部は、内側連結部材42のフランジ421の突起部421bに係合する。
【0036】
環状筒部448には、径方向に貫通する複数の連通部449が設けられる。連通部449は、外部側に配置されるカバー6の吸込口621(
図3及び
図4参照)に連通している。連通部449は、内部側に形成される吸入流路402に連通している。吸入流路402は、内側連結部材42の内側で且つ支持部材本体44の外側に設けられる。
【0037】
噴射部材5は、先端側に形成される円板部51と、円板部51の後部側に突出する後部凸部52と、を備える。円板部51の中央には、浴槽110の内部側に開口する噴射出口孔511(噴射口)が形成される。円板部51の浴槽110内側の面には、操作部53が形成される。円板部51の径方向の外側の端部には、支持部材43に支持される外端径方向突出部512が形成される。外端径方向突出部512の浴槽110の内部側の面には、接触部512aが形成される。接触部512aは、支持部材43に接触する。接触部512aは、第1壁部56(後述)が受けた湯水の水圧により噴射部材5が押圧されることで支持部材43に押圧される。
【0038】
噴射部材5の浴槽110の内部側の先端側の部分は、カバー6に覆われる。噴射部材5の操作部53は、カバー6の中央開口611から浴槽110内に露出する。操作部53を回転操作することで、噴射部材5の噴射出口孔511の向きを変更できる。
【0039】
カバー6は、
図3~
図6に示すように、前面環状板部61と、外側筒部62と、係合部63と、を有する。前面環状板部61は、径方向に所定幅を有した円環状に形成される。前面環状板部61の中央には、中央開口611が形成される。中央開口611からは、噴射部材5の操作部53が露出して配置される。
【0040】
外側筒部62は、前面環状板部61の径方向の外側の端部から側壁部112側に延びる。外側筒部62には、浴槽110内の湯水を吸い込むために径方向に貫通した吸込口621が複数形成される。係合部63(
図4参照)は、外側筒部62の側壁部112側の端部に爪状に形成され、内側連結部材42のフランジ421の外側の端部に係合される。これにより、カバー6を、噴射部材5を支持した状態の固定体4の先端に取り付けることができる。
【0041】
噴射部材5は、
図5及び
図6に示すように、噴流を噴射させるための噴射流路55を有する。噴射流路55は、噴射出口孔511と供給流路401とを連通させる。噴射流路55は、供給流路401から湯水が流入する一対の入口流路551と、一対の入口流路551それぞれから流入する湯水が合流する合流室552と、を有する。
【0042】
噴射部材5は、供給流路401からの湯水の流れを遮ると共に供給流路401を流通する湯水の水圧を受ける第1壁部56(受圧部)と、合流室552内において下流側に向かう湯水の流れの一部を遮る一対の第2壁部57と、を有する。
【0043】
第1壁部56は、湯水の供給流路401の下流側に配置される。第1壁部56は、噴射部材5の後端部に形成される。第1壁部56は、浴槽110の外部側が開放する略U字形状に形成される。
【0044】
第1壁部56は、噴射部材5の径方向に延びる受け板561と、受け板561の所定の径方向の両端部から、後部側に向かうに従って径方向の内側から外側に向かうように傾斜して所定長さ延びる一対の傾斜板562と、を有する。第1壁部56の所定の径方向の両方の外側には、一対の入口流路551が形成される。
【0045】
一対の第2壁部57は、合流室552の浴槽110の内部側に形成される。一対の第2壁部57は、径方向の中央に設けられた噴射出口孔511で挟んで、所定の径方向の外側に配置され、径方向に延びる。合流室552において合流した湯水は、一部が一対の第2壁部57に遮られながら、噴射出口孔511から外部に噴射される。
【0046】
供給流路401により噴射部材5に供給された湯水の流れについて説明する。供給流路401を流れる湯水は、噴射部材5の第1壁部56に衝突する。第1壁部56(受圧部)は、供給流路401を流通する水の水圧の一部を受ける。これにより、第1壁部56が浴槽110の内部側に押圧されることで、第1壁部56(受圧部)により水圧が受けられることにより、噴射部材5は、浴槽110の内部側に押圧される。
【0047】
そのため、噴射部材5の外端径方向突出部512の接触部512aがリング部材45に押圧された状態で接触することで、噴射部材5の回転が抑制される。よって、噴射部材5の噴射出口孔511の向きが移動しないため、噴射部材5の回転移動が抑制される。
【0048】
第1壁部56に衝突した湯水は、2方向に分岐して、一対の入口流路551に流入する。一対の入口流路551に流入した湯水は、合流室552内に流入する。合流室552内に流入した湯水は、合流室552における浴槽110側の噴射出口孔511側において、第2壁部57により湯水の流れの一部が遮られながら、噴射出口孔511から噴射される。
【0049】
本実施形態においては、一対の入口流路551に流入した湯水は、一対の入口流路551のうちの一方側の入口流路551aから流入する湯水の水流の勢いが強い流れと、一対の入口流路551のうちの他方側の入口流路551bから流入する湯水の水流の勢いが強い流れとが周期的に切り替わることで、噴射出口孔511から噴射される湯水の噴流は、
図6に示すように、平面内において揺動する揺動噴射となる。
【0050】
これにより、噴射部材5から噴射される噴流は、平面内において揺動するため、噴流が揺動する平面の向きが、噴射部材5の回転位置により異なる。そのため、使用者は、噴流が揺動する平面の向きを変更したい場合がある。この場合には、使用者が操作部53により噴射部材5を回転させることで、噴射出口孔511の向きを自由に変更できる。
【0051】
以上説明した本実施形態のノズル装置3によれば、以下のような効果を奏する。
【0052】
本実施形態のノズル装置3は、噴射出口孔511を有する噴射部材5と、噴射部材5を回転可能に支持すると共に噴射部材5に向けて湯水を流通させる供給流路401を有する支持部材43と、を備え、噴射部材5は、供給流路401を流通する湯水の水圧を受ける第1壁部56と、支持部材43に接触する接触部512aと、を有し、接触部512aは、第1壁部56が受けた湯水の水圧により噴射部材5が押圧されることで支持部材43に押圧される。これにより、接触部512aが、第1壁部56が受けた湯水の水圧により噴射部材5が押圧された状態で支持部材43に接触するため、噴射時において、噴射部材5が回転方向に動きにくくなる。よって、噴射時において噴射部材5の回転を抑制できる。
【0053】
第2実施形態のノズル装置3Aについて説明する。第2実施形態のノズル装置3Aは、第1実施形態と比べて、噴射部材5Aの構成が主に異なる。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。第2実施形態の構成の説明において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0054】
図7に示すように、第2実施形態の噴射部材5Aは、第1壁部56(受圧部)の上流側に配置される誘導部58を備える。誘導部58は、第1壁部56に湯水を導くことができる。誘導部58は、
図8に示すように、第1壁部56の上流側において、径方向に離れて配置される一対の誘導傾斜部581を有する。
【0055】
一対の誘導傾斜部581は、第1壁部56の後部側において、噴射部材5Aにおける第1壁部56が径方向に延びて形成される部分を空けて、径方向に離れて配置される。一対の誘導傾斜部581は、後部側に向かうに従って、径方向の内側から外側に向かうように傾斜する円弧面状に形成される。言い換えると、一対の誘導傾斜部581は、第1壁部56の後部側において、後部側に向かうに従って拡径する円錐状の部分から、第1壁部56に対応する径方向に延びる部分を切り取った形状に形成される。
【0056】
第2実施形態によれば、第1壁部56(受圧部)の上流側に配置される誘導部58を備える。そのため、誘導部58により誘導された湯水が噴射部材5Aの第1壁部56に水圧を掛けるため、第1実施形態よりも、第1壁部56に水圧が一層掛かりやすくなり、噴射時において噴射部材5Aが回転方向に一層動きにくくなる。
【0057】
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態と比べて、噴射部材5Bの構成が主に異なる。
【0058】
図9に示すように、第3実施形態の噴射部材5Bの外端径方向突出部512の接触部512aは、第1実施形態の外端径方向突出部512の接触部512aとリング部材45との接触面積よりも小さい接触面積を有する円環状の円環リブ513を有する。円環リブ513は、噴射部材5Bの外端径方向突出部512の接触部512aにおいて、回転方向の全域に延びる。
【0059】
第3実施形態によれば、接触部512aに円環リブ513を設けることで、リング部材45と接触部512aとの接触面積を小さくすることできる。これにより、噴射部材5の回転の摩擦抵抗を調整できる。よって、噴射部材5Bを回転させる力を調整できる。
【0060】
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態~第3実施形態に比べて、噴射部材5C及びリング部材45Aの構成が主に異なる。
【0061】
図10に示すように、第4実施形態の噴射部材5Cの外端径方向突出部512の接触部512aは、噴射部材5Cの回転方向に沿って間欠的に設けられる複数の突起リブ514(凸部)を有する。リング部材45Aの環状当接面451は、噴射部材5Cの回転方向に沿って間欠的に設けられる複数の凹部452を有する。複数の凹部452は、噴射部材5Cの複数の突起リブ514に嵌り合うことが可能である。
【0062】
噴射部材5Cの接触部512a及びリング部材45Aの環状当接面451は、互いに同じ径の円環状に形成され、互いが対向して接触するように配置される。噴射部材5Cの接触部512aの複数の突起リブ514及びリング部材45Aの環状当接面451の複数の凹部452は、互いに同じ間隔で配置される。
【0063】
これにより、噴射部材5Cを回転させた場合に、噴射部材5Cの接触部512aの複数の突起リブ514がリング部材45Aの環状当接面451の複数の凹部452に嵌り合う位置と、噴射部材5Cの接触部512aの複数の突起リブ514がリング部材45Aの環状当接面451の複数の凹部452を乗り越える位置と、に交互に移動される。
【0064】
第4実施形態よれば、噴射部材5Cの外端径方向突出部512の接触部512aに、複数の突起リブ514を設け、リング部材45Aの環状当接面451に、複数の凹部452を設けた。これにより、噴射部材5Cを回転させることで、噴射部材5Cの複数の突起リブ514及びリング部材45Aの複数の凹部452を、互いが嵌り合う位置と乗り越える位置とに移動させることができる。よって、噴射部材5Cを回転する場合にクリック感を得ることできると共に、噴射部材5Cを回転方向の止めたい位置で止めやすくなる。複数の突起リブ514の間隔や複数の凹部452の間隔を調整することで、噴射部材5Cの回しやすさを調整できる。
【0065】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0066】
例えば、前記実施形態においては、吐水装置の噴射に関する構成を、ノズル装置3に適用した一例について説明した。吐水装置の噴射に関する構成は、前記実施形態に限定されない。吐水装置の噴射に関する構成を、肩首用吐水装置2の第2吐水口24に適用してもよい。
【0067】
前記第3実施形態においては、噴射部材5B側に円環リブ513を設けた。これに限定されない。リング部材45側に円環リブを設けてもよい。
【0068】
前記第4実施形態においては、噴射部材5Cの外端径方向突出部512の接触部512aに、複数の突起リブ514を設け、リング部材45Aの環状当接面451に、複数の突起リブ514に嵌り合うことが可能な複数の凹部452を設けた。これに限定されない。噴射部材5Cの外端径方向突出部512の接触部512aに、複数の凹部を設け、リング部材45Aの環状当接面451に、複数の突起リブ514を設けてもよい。噴射部材5Cの外端径方向突出部512の接触部512a及びリング部材45Aの環状当接面451のいずれか一方に複数の凸部を設けてもよいし、又は、いずれか一方に複数の凹部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0069】
3 ノズル装置(吐水装置)、5 噴射部材、43 支持部材、55 噴射流路、56 第1壁部(受圧部)、58 誘導部、401 供給流路、511 噴射出口孔(噴射口)、512a 接触部、513 円環リブ(円環状のリブ)、514 突起リブ(凸部)、452 凹部