(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 25/08 20060101AFI20240606BHJP
B63J 2/08 20060101ALI20240606BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B63B25/08 G
B63J2/08 B
F17C13/00 302A
(21)【出願番号】P 2020179607
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 義典
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0112709(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0112708(KR,A)
【文献】特開2014-141155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/08 - 25/16
B63J 2/08
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、
前記タンクへ気体を送る複数の圧縮部と、
前記複数の圧縮部と前記タンクとを接続する気体供給系を備え、
前記気体供給系は、前記タンクへ第1の気体を供給する第1の動作モード、及び前記タンクへ第2の気体を供給する第2の動作モードにて動作し、
前記気体供給系は、
前記第1の動作モードにおいて前記複数の圧縮部のうちの第1の圧縮部、及び第2の圧縮部を用いて前記第1の気体を前記タンクに供給し、
前記第2の動作モードにおいて前記第1の圧縮部を用いて前記第2の気体を前記タンクに供給する第1の供給系と、
前記第2の動作モードにおいて前記第2の圧縮部を用いて前記第2の気体を前記タンクに供給する第2の供給系と、を備え
、
前記第1の供給系には、前記第2の気体を供給する場合に、前記圧縮部の数を規制する規制部が設けられ、
前記第2の供給系は、前記規制部を回避して前記第2の圧縮部と前記タンクとを接続可能とする流路を有し、
前記規制部は、前記第1の動作モードにおいて、前記第1の圧縮部、及び前記第2の圧縮部を用いて前記第1の気体を流す定格容量を有し、前記第2の気体を供給する場合に、流量が前記定格容量以下となるように、前記圧縮部の数を規制する、船舶。
【請求項2】
タンクと、
前記タンクへ気体を送る複数の圧縮部と、
前記複数の圧縮部と前記タンクとを接続する気体供給系を備え、
前記気体供給系は、前記タンクへ第1の気体を供給する第1の動作モード、及び前記タンクへ第2の気体を供給する第2の動作モードにて動作し、
前記気体供給系には、前記圧縮部の数を規制する規制部が設けられ、
前記気体供給系は、前記規制部を回避して、前記複数の圧縮部の少なくとも一つと前記タンクとを接続可能とする流路を有
し、
前記規制部は、前記第1の動作モードにおいて、前記複数の圧縮部を用いて前記第1の気体を流す定格容量を有し、前記第2の気体を供給する場合に、流量が前記定格容量以下となるように、前記圧縮部の数を規制する、船舶。
【請求項3】
前記第1の動作モードは、N
2を発生して前記第1の気体として前記タンクへ供給するN
2発生モードであり、
前記第2の動作モードは、前記タンクを乾燥するための乾燥空気を前記第2の気体として前記タンクへ供給する乾燥モードである、請求項1
又は2に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、以下の特許文献1に記載のように、貨物対象物を収容するタンクを有する船舶が知られている。このような船舶では、例えば、タンクに対してN2ガスを供給したり、乾燥空気を供給するなどが行われる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、船舶においては、複数の圧縮部を用いて、N2ガスを発生してタンクへ供給する動作モードと、乾燥空気をタンクへ供給する動作モードなどのように、動作モードを切り替える場合がある。このような構成において、各動作モードにおける、タンクに対する処理の時間を短くすることが求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、各動作モードにおける、タンクに対する処理の時間を短くすることができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る船舶は、タンクと、タンクへ気体を送る複数の圧縮部と、複数の圧縮部とタンクとを接続する気体供給系を備え、気体供給系は、タンクへ第1の気体を供給する第1の動作モード、及びタンクへ第2の気体を供給する第2の動作モードにて動作し、気体供給系は、第1の動作モードにおいて複数の圧縮部のうちの第1の圧縮部、及び第2の圧縮部を用いて第1の気体をタンクに供給し、第2の動作モードにおいて第1の圧縮部を用いて第2の気体をタンクに供給する第1の供給系と、第2の動作モードにおいて第2の圧縮部を用いて第2の気体をタンクに供給する第2の供給系と、を備える。
【0007】
この船舶では、気体供給系は、タンクへ第1の気体を供給する第1の動作モード、及びタンクへ第2の気体を供給する第2の動作モードにて動作する。また、第1の供給系は、第1の動作モードにおいて第1の圧縮部、及び第2の圧縮部を用いて第1の気体をタンクに供給する。ここで、第1の供給系が、第2の動作モードにおいて第2の気体を供給しようとする場合、圧縮部の数が規制されることがあり、第2の圧縮部を用いることができないことがある。当該場合に、規制された第2の圧縮部を第2の動作モードにおいて停止したままだと、第2の気体の供給において機能しない圧縮部が生じてしまう。これに対し、気体供給系は、第1の供給系に加えて、第2の供給系を備える。第2の供給系は、第2の動作モードにおいて第2の圧縮部を用いて第2の気体をタンクに供給する。この場合、第2の動作モードにおいて停止したままとなる圧縮部を低減、または無くすことができるため、第2の動作モードにおけるタンクに対する処理の時間を短くすることができる。以上より、各動作モードにおける、タンクに対する処理の時間を短くすることができる。
【0008】
第1の供給系には、第2の気体を供給する場合に、圧縮部の数を規制する規制部が設けられ、第2の供給系は、規制部を回避して第2の圧縮部とタンクとを接続可能とする流路を有してよい。この場合、第2の動作モードにおいて、規制部の存在によって動作が停止したままとなる圧縮部の数を低減又は無くすことができる。
【0009】
本発明に係る船舶は、タンクと、タンクへ気体を送る複数の圧縮部と、複数の圧縮部とタンクとを接続する気体供給系を備え、気体供給系は、タンクへ第1の気体を供給する第1の動作モード、及びタンクへ第2の気体を供給する第2の動作モードにて動作し、気体供給系には、圧縮部の数を規制する規制部が設けられ、気体供給系は、規制部を回避して、複数の圧縮部の少なくとも一つとタンクとを接続可能とする流路を有する。
【0010】
この船舶では、気体供給系は、タンクへ第1の気体を供給する第1の動作モード、及びタンクへ第2の気体を供給する第2の動作モードにて動作する。ここで、気体供給系が、第2の動作モードにおいて第2の気体を供給しようとする場合、規制部にて圧縮部の数が規制され、一部の圧縮部を用いることができないことがある。当該場合に、規制された圧縮部を第2の動作モードにおいて停止したままだと、第2の気体の供給において機能しない圧縮部が生じてしまう。これに対し、気体供給系は、規制部を回避して、複数の圧縮部の少なくとも一つとタンクとを接続可能とする流路を有する。気体供給系は、流路を介して圧縮部をタンクと接続することで、規制部による規制の影響を低減、又は無くした状態で、タンクへ第2の気体を供給することができる。この場合、第2の動作モードにおいて停止したままとなる圧縮部を低減、または無くすことができるため、第2の動作モードにおけるタンクに対する処理の時間を短くすることができる。以上より、各動作モードにおける、タンクに対する処理の時間を短くすることができる。
【0011】
第1の動作モードは、N2を発生して第1の気体としてタンクへ供給するN2発生モードであり、第2の動作モードは、タンクを乾燥するための乾燥空気を第2の気体としてタンクへ供給する乾燥モードであってよい。この場合、乾燥モードにおける圧縮部の数を増やすことができるため、タンクの乾燥時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各動作モードにおける、タンクに対する処理の時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る船舶を示す側面図である。
【
図2】
図1に示す気体供給装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
【
図3】変形例に係る船舶の気体供給装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、「前」「後」「左」「右」「上」「下」の語は、船体の前後方向、左右(幅)方向及び上下方向にそれぞれ対応したものである。また、図面においては、便宜上、各部材の板厚を省略している場合がある。また、図面において、側面図とは船体の左右方向から見た図であり、正面図とは船体の前後方向から見た図である。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る船舶1を示す側面図である。
図1に示すように、本実施形態の船舶1は、ケミカルタンカー等であり、船体10を備えている。船体10は、船体10の上面を形成する上甲板11と、船体10の底面及び側面を形成する外壁12と、によって外面部が形成されている。船体10の内部には、隔壁13によって複数のタンク14が形成される。但し、タンク14の数は特に限定されない。
【0016】
タンク14には、貨物対象物が収容される。貨物対象物は特に限定されないが、例えば、石油精製品(CPP:Clean Petroleum Product)、芳香族炭化水素(BTX:Benzene/Toluene/Xylene)などが採用される。船舶1は、各タンク14に対して、貨物対象物を外部から供給すると共に、収容された貨物対象物を外部へ取り出す機構(不図示)を備えている。
【0017】
船舶1は、各タンク14に対してN
2ガスや乾燥空気などの気体を供給する気体供給装置20を備える。気体供給装置20は、各タンク14へ供給する気体の発生や供給態様を調整する気体供給ユニット21と、気体供給ユニット21からの気体を各タンク14へ分配する供給ライン22と、を備える。気体供給ユニット21は、船体10の任意の位置に設けられる。
図1においては、最後尾のタンク14の後側に設けられているが、気体供給ユニット21の船体10における位置は特に限定されるものではない。また、
図1においては、供給ライン22を概念的に示しているが、供給ライン22が船体10のどの位置を通るかなどは特に限定されず、船体10の構造に応じて適宜変更すればよい。
【0018】
次に、
図2を参照して、
図1に示す気体供給装置20の構成について説明する。
図2は、
図1に示す気体供給装置20のブロック構成を示すブロック構成図である。
図2に示すように、気体供給装置20は、圧縮部23A,23B,23C,23Dと、乾燥部24A,24B,24C,24Dと、N
2発生装置26と、コントロールユニット27と、気体供給系29と、制御部30と、を備える。
【0019】
圧縮部23A,23B,23C,23Dは、タンク14へ気体を供給する機器である。圧縮部23A,23B,23C,23Dは、空気を圧縮してタンク14側へ圧送するコンプレッサなどによって構成される。乾燥部24A,24B,24C,24Dは、圧縮部23A,23B,23C,23Dから圧送された空気から水分を除去して、乾燥させることで、乾燥空気(第2の気体)とする機器である。
【0020】
N2発生装置26は、乾燥部24A,24B,24C,24Dから供給された乾燥空気を用いて、N2を発生する機器である。N2発生装置26が空気からN2を発生する方式は特に限定されない。
【0021】
コントロールユニット27は、N2発生装置26からのN2ガス、又は乾燥部24A,24B,24C,24Dからの乾燥空気の流量をコントロールする機器である。コントロールユニット27には定格容量が設定されている。コントロールユニット27は、N2ガス又は乾燥空気をタンク14へ供給する。
【0022】
気体供給系29は、圧縮部23A,23B,23C,23Dとタンク14とを接続する配管系である。気体供給系29は、ラインL1,L2,L3,L4,L5と、を備える。
【0023】
ラインL1は、各圧縮部23A,23B,23C,23DとN2発生装置26とを接続する配管である。ラインL1は、分岐点P1から乾燥部24Aを介して圧縮部23Aと接続される分岐ラインL10Aと、分岐点P2から乾燥部24Bを介して圧縮部23Bと接続される分岐ラインL10Bと、分岐点P3から乾燥部24Cを介して圧縮部23Cと接続される分岐ラインL10Cと、分岐点P4から乾燥部24Dを介して圧縮部23Dと接続される分岐ラインL10Dと、を備える。なお、N2発生装置26から近い順に、分岐点P1,P2,P3,P4が配置される。
【0024】
ラインL2は、N2発生装置26とコントロールユニット27とを接続する配管である。ラインL3は、ラインL1からコントロールユニット27へ分岐する配管である。ラインL3は、ラインL1のうち、分岐点P1とN2発生装置26との間に配置される分岐点P5から分岐する。ラインL4は、コントロールユニット27とタンク14とを接続する配管である。ラインL5は、ラインL1からコントロールユニット27を回避してタンク14に接続される配管である。ラインL5は、ラインL1において分岐点P4から分岐する。なお、ラインL4,L5の下流側の部分は、前述の供給ライン22を構成する。
【0025】
気体供給系29は、バルブ41,42,43,44を備える。バルブ41は、ラインLにおいて、分岐点P5とN2発生装置26との間に設けられる。バルブ42は、ラインL3に設けられる。バルブ43は、ラインL1のうち、圧縮部23Bと圧縮部23Cとの間、すなわち分岐点P2と分岐点P3との間に設けられる。バルブ44は、ラインL5に設けられる。バルブ41,42,43は、玉形弁などによって構成される。バルブ44は、逆止弁によって構成される。バルブ44は、開状態において、圧縮部23C,23D側からのタンク14へ向かう気体の流れを許容し、タンク14から圧縮部23C,23D側への気体の流れは遮断する。
【0026】
制御部30は、気体供給装置20全体の動作を制御する機器である。制御部30は、各圧縮部23A,23B,23C,23D、乾燥部24A,24B,24C,24D、及びN2発生装置26の起動・停止を制御する。また、制御部30は、バルブ41,42,43,44の開閉を制御する。制御部30は、第1の動作モード、及び当該第1の動作モードとは異なる動作態様である第2の動作モードを切り替えて、気体供給装置20を制御する。第1の動作モードは、N2を発生してタンク14へ供給するN2発生モードである。第2の動作モードは、タンク14を乾燥するための乾燥空気をタンク14へ供給する乾燥モードである。
【0027】
制御部30は、第1の動作モードにおいては、バルブ41,43を開とし、バルブ42,44を閉とする。これにより、圧縮部23A,23B,23C,23Dからの空気は、乾燥部24A,24B,24C,24Dにて乾燥空気となり、ラインL1を通過して、N2発生装置26に供給される。N2発生装置26にて発生したN2ガスは、ラインL2、コントロールユニット27、及びラインL4を介してタンク14に供給される。N2ガスは、タンク14内に残存するガスと置換するための不活性ガスとして機能する。
【0028】
制御部30は、第2の動作モードにおいては、バルブ42,44を開とし、バルブ41,43を閉とする。これにより、圧縮部23A,23Bからの空気は、乾燥部24A,24Bにて乾燥空気となり、ラインL1(分岐点P5より上流側の部分)、ラインL3、コントロールユニット27、及びラインL4を介してタンク14へ供給される。また、圧縮部23C,23Dからの空気は、乾燥部24C,24Dにて乾燥空気となり、ラインL1(バルブ43よりもバルブ44側)、及びラインL5を介してタンク14へ供給される。
【0029】
以上のような構成により、気体供給系29は、第1の供給系50、及び第2の供給系60を備える。第1の供給系50は、第1の動作モードにおいて圧縮部23A,23B(第1の圧縮部)、及び圧縮部23C,23D(第2の圧縮部)を用いてN2ガスをタンク14に供給する。また、第1の供給系50は、第2の動作モードにおいて圧縮部23A,23Bを用いて乾燥空気をタンク14に供給する。第2の供給系60は、第2の動作モードにおいて圧縮部23C,23Dを用いて乾燥空気をタンク14に供給する。
【0030】
本実施形態では、第1の供給系50は、気体供給系29のうち、ラインL5及びバルブ44を除く構成要素によって構成される。また、第1の供給系50には、N2発生装置26、及びコントロールユニット27が設けられる。
【0031】
ここで、第1の供給系50に設けられるコントロールユニット27は、第1の供給系50を用いて乾燥空気を供給する場合に、圧縮部の数を規制する規制部として機能する。具体的に、本実施形態では、気体供給装置20は、四つの圧縮部23A,23B,23C,23Dを備えており、第1の動作モードにおいては、四つの圧縮部23A,23B,23C,23D全てが第1の供給系50に空気を送る。これにより、N2発生装置26は、四つ分の圧縮部の空気を用いてN2ガスを発生し、コントロールユニット27を介してタンク14へ供給される。ここで、コントロールユニット27は、定格容量を有しているため、第1の動作モードと第2の動作モードにおいて流すことの流量の上限は決められている。四つ分の圧縮部を用いて発生したN2ガスに合わせて定格容量が決められた場合、四つ分の圧縮部を用いた乾燥空気の流量は、当該定格容量よりも多くなる。従って、コントロールユニット27は、第1の供給系50を用いて乾燥空気を供給する場合には、二つ分の圧縮部23A,23Bの乾燥空気を許容し、二つ分の圧縮部23C,23Dの乾燥空気を制限する。すなわち、コントロールユニット27は、第1の供給系50を用いてタンク14に乾燥空気を供給する場合の圧縮部の数を二つに規制する。その結果、第1の供給系50は、第2の動作モードにおいて圧縮部23A,23Bを用いて乾燥空気をタンク14に供給する。
【0032】
第2の供給系60は、第2の動作モードにおいて圧縮部23C,23Dを用いて乾燥空気をタンク14に供給する。第2の供給系60は、ラインL1(バルブ43よりも圧縮部23C,23D側の部分)、分岐ラインL10C,L10D、及びラインL5を有する。このうち、第2の供給系60は、圧縮部23C,23Dとタンク14とをコントロールユニット27を回避して接続可能とする流路として、ラインL5を有する。また、第2の供給系60は、圧縮部23C,23Dからの乾燥空気がコントロールユニット27側へ流れることを規制するバルブ43と、乾燥空気がラインL5へ流れるようにするバルブ44と、を備える。
【0033】
次に、本実施形態に係る船舶1の作用・効果について説明する。
【0034】
本実施形態に係る船舶1では、気体供給系29は、タンク14へN2ガスを供給する第1の動作モード、及びタンク14へ乾燥空気を供給する第2の動作モードにて動作する。また、第1の供給系50は、第1の動作モードにおいて圧縮部23A,23B(第1の圧縮部)、及び圧縮部23C,23D(第2の圧縮部)を用いてN2ガスをタンク14に供給する。ここで、第1の供給系50が、第2の動作モードにおいて乾燥空気を供給しようとする場合、コントロールユニット27などによって圧縮部の数が規制されることがあり、圧縮部23C,23Dを用いることができないことがある。当該場合に、規制された圧縮部23C,23Dを第2の動作モードにおいて停止したままだと、乾燥空気の供給において機能しない圧縮部が生じてしまう。これに対し、気体供給系29は、第1の供給系50に加えて、第2の供給系60を備える。第2の供給系60は、第2の動作モードにおいて圧縮部23C,23Dを用いて乾燥空気をタンク14に供給する。この場合、第2の動作モードにおいて停止したままとなる圧縮部を低減、または無くすことができるため、第2の動作モードにおけるタンク14に対する処理の時間を短くすることができる。以上より、各動作モードにおける、タンク14に対する処理の時間を短くすることができる。
【0035】
第1の供給系50には、乾燥空気を供給する場合に、圧縮部の数を規制する規制部としてのコントロールユニット27が設けられ、第2の供給系60は、コントロールユニット27を回避して圧縮部23C,23Dとタンク14とを接続可能とするラインL5を有する。この場合、第2の動作モードにおいて、コントロールユニット27の存在によって動作が停止したままとなる圧縮部の数を低減又は無くすことができる。
【0036】
また、本実施形態に係る船舶1では、気体供給系29は、タンク14へN2ガスを供給する第1の動作モード、及びタンク14へ乾燥空気を供給する第2の動作モードにて動作する。ここで、気体供給系29が、第2の動作モードにおいて乾燥空気を供給しようとする場合、コントロールユニット27にて圧縮部の数が規制され、一部の圧縮部を用いることができないことがある。当該場合に、規制された圧縮部を第2の動作モードにおいて停止したままだと、乾燥空気の供給において機能しない圧縮部が生じてしまう。これに対し、気体供給系29は、コントロールユニット27を回避して、複数の圧縮部の少なくとも一つ(ここでは、二つの圧縮部23C,23D)とタンク14とを接続可能とする流路であるラインL5を有する。気体供給系29は、ラインL5を介して圧縮部23C,23Dをタンク14と接続することで、コントロールユニット27による規制の影響を低減、又は無くした状態で、タンク14へ乾燥空気を供給することができる。この場合、第2の動作モードにおいて停止したままとなる圧縮部を低減、または無くすことができるため、第2の動作モードにおけるタンク14に対する処理の時間を短くすることができる。以上より、各動作モードにおける、タンク14に対する処理の時間を短くすることができる。
【0037】
第1の動作モードは、N2を発生して第1の気体としてタンク14へ供給するN2発生モードであり、第2の動作モードは、タンク14を乾燥するための乾燥空気を第2の気体としてタンク14へ供給する乾燥モードであってよい。この場合、乾燥モードにおける圧縮部の数を増やすことができるため、タンクの乾燥時間を短縮することができる。
【0038】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0039】
例えば、第2の動作モードにおいて用いることができる圧縮部の数を増やす機構は、上述の実施形態に限定されない。例えば、
図3に示す気体供給装置20を採用してもよい。
図3に示す気体供給装置20は、第2の供給機構としてラインL5を有しておらず、乾燥部24が四つの圧縮部23A,23B,23C,23Dの空気をまとめて乾燥している点で、上述の実施形態に係る気体供給装置20と主に相違している。
【0040】
具体的に、ラインL3は、ラインL4における、コントロールユニット27よりもタンク14側の位置の分岐点P6に接続される。これにより、ラインL3は、N2発生装置26及びコントロールユニット27をバイパスする。そして、乾燥部24は、ラインL4における、分岐点P6よりもタンク14側に設けられる。ラインL4のうち、乾燥部24とタンク14との間には、逆止弁によって構成されるバルブ46が設けられる。また、ラインL4の乾燥部24とバルブ46との間の分岐点P7からは、ラインL6が分岐してタンク14に接続される。ラインL6には、玉形弁によって構成されるバルブ47、及び逆止弁によって構成されるバルブ48が設けられる。
【0041】
制御部30は、第1の動作モードにおいては、バルブ41,46を開とし、バルブ42,47,48を閉とする。これにより、圧縮部23A,23B,23C,23Dからの空気は、ラインL1を通過して、N2発生装置26に供給される。N2発生装置26にて発生したN2ガスは、ラインL2、コントロールユニット27、及びラインL4を介してタンク14に供給される。
【0042】
制御部30は、第2の動作モードにおいては、バルブ42,46,47,48を開とし、バルブ41を閉とする。これにより、圧縮部23A,23B,23C,23Dからの空気は、ラインL1(分岐点P5より上流側の部分)、ラインL3、ラインL4を介して乾燥部24へ供給される。乾燥部24では、圧縮部23A,23B,23C,23Dからの空気がまとめて乾燥されることで乾燥空気となる。乾燥空気の一部はバルブ46及びラインL4を介してタンク14へ供給され、他の一部はバルブ47,48及びラインL6を介してタンク14へ供給される。
【0043】
図3に示す形態では、気体供給系29は、コントロールユニット27を回避して、全部の圧縮部23A,23B,23C,23Dとタンク14とを接続可能とする流路であるラインL3を有する。
【0044】
以上のように、
図3に示す形態では、気体供給系29は、タンク14へN
2ガスを供給する第1の動作モード、及びタンク14へ乾燥空気を供給する第2の動作モードにて動作する。ここで、気体供給系29が、第2の動作モードにおいて乾燥空気を供給しようとする場合、コントロールユニット27にて圧縮部の数が規制され、一部の圧縮部を用いることができないことがある。当該場合に、規制された圧縮部を第2の動作モードにおいて停止したままだと、乾燥空気の供給において機能しない圧縮部が生じてしまう。これに対し、気体供給系29は、コントロールユニット27を回避して、全部の圧縮部23A,23B,23C,23Dとタンク14とを接続可能とする流路であるラインL3を有する。気体供給系29は、ラインL3を介して圧縮部23A,23B,23C,23Dをタンク14と接続することで、コントロールユニット27による規制の影響を低減、又は無くした状態で、タンク14へ乾燥空気を供給することができる。この場合、第2の動作モードにおいて停止したままとなる圧縮部を低減、または無くすことができるため、第2の動作モードにおけるタンク14に対する処理の時間を短くすることができる。以上より、各動作モードにおける、タンク14に対する処理の時間を短くすることができる。
【0045】
なお、
図3に示す変形例に対し、ラインL6を省略して、四つ分の圧縮部の乾燥空気をまとめてラインL4にてタンク14へ供給してもよい。また、ラインL3は、ラインL4に合流させることなく、そのままタンク14に接続されてもよい。この場合、ラインL3に乾燥部24を設ける。
【0046】
なお、第2の動作モードにおいて動作する圧縮部の数は限定されない。例えば、四つの圧縮部の中の一つを、敢えて第2の動作モードにおいて停止させてもよい。例えば、乾燥を行いつつ、停止させた圧縮部をメンテナンスなどしてもよい。
【0047】
また、圧縮部の数も特に限定されず、2台以上であればよい。
【0048】
また、気体供給系の配管構成は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、船舶に応じて適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…船舶、14…タンク、23A,23B…圧縮部(第1の圧縮部)、23C,23D…圧縮部(第2の圧縮部)、27…コントロールユニット(規制部)、29…気体供給系、50…第1の供給系、60…第2の供給系、L3,L5…ライン(流路)。