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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】イヤーマフ
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/16 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A42B3/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020180250
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071347
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大塚 量弘
(72)【発明者】
【氏名】高杉 宗一知
(72)【発明者】
【氏名】山本 和
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-055030(JP,U)
【文献】実開昭63-073323(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護帽の帽体の外側であって前記帽体の側面下部で、前記帽体に設置されるアタッチメントと、
前記帽体の左右方向に延びている軸まわりで前記アタッチメントに対し回動自在なように、前記アタッチメントに支持されるローター部材と、
基端側部位と、この基端側部位の端部のそれぞれから延出している一対の先端側部位とを備えて「V」字状に形成されており、前記基端側部位が前記ローター部材に係合することで、前記帽体の上下方向に延びている軸まわりで前記ローター部材に対し回動自在なように、前記ローター部材に支持されるアーム部材と、
環状の接触面が形成されているクッションと前記クッションが設置されているカップとを具備して椀状に形成されており、前記一対の先端側部位の間で前記一対の先端側部位に係合することで、前記帽体の前後方向に延びている軸まわりで前記アーム部材に対し回動自在なように、前記アーム部材に支持されるマフ部と、
を有することを特徴とするイヤーマフ。
【請求項2】
請求項1に記載のイヤーマフであって、
前記マフ部は、前記帽体の上下方向で前記アーム部材に対し移動位置決め自在なように、前記先端側部位に支持されることを特徴とするイヤーマフ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のイヤーマフであって、
前記ローター部材は、アタッチメント係合体とアーム部材係合体とを備えて構成されており、
前記アタッチメント係合体が、アタッチメントに対し前記帽体の左右方向に延びている軸まわりで回動自在なように、前記アタッチメントに支持され、アーム部材係合体が、前記アタッチメント係合体に対し前記帽体の前後方向に延びている軸まわりで前記保護帽の着用者の耳側にまたは耳から離れる側に回動自在なように、前記アタッチメント係合体に支持されることを特徴とするイヤーマフ。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のイヤーマフであって、
前記マフ部のカップには被係合部が設けられており、
前記アーム部材の一対の先端側部位のそれぞれには係合部が設けられており、
前記一対の被係合部のそれぞれが前記一対の係合部のそれぞれに係合することで前記マフ部が前記アーム部材に支持され、
前記被係合部は、前記カップから突出している第1の凸部とこの第1の凸部とは反対側で前記カップから突出している第2の凸部とを備えて構成されており、
前記先端側部位は、この先端の部位である先部を備えて構成されており、
前記先部は、内側側壁部と外側側壁部と底壁部とを備えて構成されており、
前記内側側壁部と前記外側側壁部と前記底壁部とによって、前記先部の延伸方向に長く延びている細長凹部が形成されており、
前記内側側壁部には、前記内側側壁部を貫通し前記先部の延伸方向に長く延びている長孔貫通孔が設けられており、
前記係合部は、前記内側側壁部と前記細長凹部と前記長孔貫通孔とを備えて構成されており、
前記被係合部が前記係合部に係合している状態では、前記第1の凸部の基端部が前記一対の先端側部位のうちの一方の先端側部位の先部に形成されている長孔貫通孔を通り、前記第1の凸部の先端部が前記一対の先端側部位のうちの一方の先端側部位の先部に形成されている細長凹部に入り込んでおり、前記第2の凸部の基端部が前記一対の先端側部位のうちの他方の先端側部位の先部に形成されている長孔貫通孔を通り、前記第2の凸部の先端部が前記一対の先端側部位のうちの他方の先端側部位の先部に形成されている細長凹部に入り込んでおり、
前記内側側壁部および前記外側側壁部の厚さ方向で見ると、前記外側側壁部における前記細長凹部の開口部側の端面が、前記内側側壁部における前記細長凹部の開口部側の端面よりも前記底壁部側に凹んでいることで、前記長孔貫通孔の一部が見えるように構成されていることを特徴とするイヤーマフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤーマフに係り、特に、ヘルメット式のイヤーマフに関する。
【背景技術】
【0002】
厚生労働省では「騒音障害防止のためのガイドライン 平成4年10月1日付け第546号」にて騒音作業に従事する労働者の騒音性難聴の原因となる騒音についての防止対策ガイドラインを作成している。そして、作業環境(騒音値)により保護具(耳栓や耳纏やイヤーマフ)の使用を推奨している。保護具としてのイヤーマフは、ヘッドバンド式とヘルメット式とに分かれている。
【0003】
ヘッドバンド式のイヤーマフは、金属打撃作業(ハンマー)や金属研磨作業(ブラスト)等の騒音のみが問題となる作業現場で使用される。これに対して、ヘルメット式のイヤーマフは、林業での伐採作業(チェーンソー)やはつり作業(タガネ、ハンマー)等の騒音以外に頭部を保護する必要がある作業現場で使用される。なお、従来のヘルメット式のイヤーマフとして、特許文献1に記載のものを掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6046614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヘッドバンド式のイヤーマフは、一対のマフ部をつないでいる連結部が柔軟性を備えている。ヘルメット式のイヤーマフは、マフ部がマフ部支持体を介して保護帽の帽体に設置されている。したがって、ヘルメット式のイヤーマフは、ヘッドバンド式のイヤーマフに比べて、使用時におけるマフ部の姿勢の自由度が劣り、マフ部の作業者(着用者)の耳(耳部)への密着性が不十分になるおそれがある。
【0006】
そこで、ヘルメット式のイヤーマフにおいては、使用時におけるマフ部の着用者の耳への密着性を高めて遮音性を上げることが望まれる。
【0007】
本発明は、使用時におけるマフ部の着用者の耳への密着性を高めて遮音性を上げることができるヘルメット式のイヤーマフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、保護帽の帽体の外側であって前記帽体の側面下部で、前記帽体に設置されるアタッチメントと、前記帽体の左右方向に延びている軸まわりで前記アタッチメントに対し回動自在なように、前記アタッチメントに支持されるローター部材と、基端側部位と、この基端側部位の端部のそれぞれから延出している一対の先端側部位とを備えて「V」字状に形成されており、前記基端側部位が前記ローター部材に係合することで、前記帽体の上下方向に延びている軸まわりで前記ローター部材に対し回動自在なように、前記ローター部材に支持されるアーム部材と、環状の接触面が形成されているクッションと前記クッションが設置されているカップとを具備して椀状に形成されており、前記一対の先端側部位の間で前記一対の先端側部位に係合することで、前記帽体の前後方向に延びている軸まわりで前記アーム部材に対し回動自在なように、前記アーム部材に支持されるマフ部とを有するイヤーマフである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のイヤーマフであって、前記マフ部は、前記帽体の上下方向で前記アーム部材に対し移動位置決め自在なように、前記先端側部位に支持されるイヤーマフである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のイヤーマフであって、前記ローター部材は、アタッチメント係合体とアーム部材係合体とを備えて構成されており、前記アタッチメント係合体が、アタッチメントに対し前記帽体の左右方向に延びている軸まわりで回動自在なように、前記アタッチメントに支持され、アーム部材係合体が、前記アタッチメント係合体に対し前記帽体の前後方向に延びている軸まわりで前記保護帽の着用者の耳側にまたは耳から離れる側に回動自在なように、前記アタッチメント係合体に支持されるイヤーマフである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のイヤーマフであって、前記マフ部のカップには被係合部が設けられており、前記アーム部材の一対の先端側部位のそれぞれには係合部が設けられており、前記一対の被係合部のそれぞれが前記一対の係合部のそれぞれに係合することで前記マフ部が前記アーム部材に支持され、前記被係合部は、前記カップから突出している第1の凸部とこの第1の凸部とは反対側で前記カップから突出している第2の凸部とを備えて構成されており、前記先端側部位は、この先端の部位である先部を備えて構成されており、前記先部は、内側側壁部と外側側壁部と底壁部とを備えて構成されており、前記内側側壁部と前記外側側壁部と前記底壁部とによって、前記先部の延伸方向に長く延びている細長凹部が形成されており、前記内側側壁部には、前記内側側壁部を貫通し前記先部の延伸方向に長く延びている長孔貫通孔が設けられており、前記係合部は、前記内側側壁部と前記細長凹部と前記長孔貫通孔とを備えて構成されており、前記被係合部が前記係合部に係合している状態では、前記第1の凸部の基端部が前記一対の先端側部位のうちの一方の先端側部位の先部に形成されている長孔貫通孔を通り、前記第1の凸部の先端部が前記一対の先端側部位のうちの一方の先端側部位の先部に形成されている細長凹部に入り込んでおり、前記第2の凸部の基端部が前記一対の先端側部位のうちの他方の先端側部位の先部に形成されている長孔貫通孔を通り、前記第2の凸部の先端部が前記一対の先端側部位のうちの他方の先端側部位の先部に形成されている細長凹部に入り込んでおり、前記内側側壁部および前記外側側壁部の厚さ方向で見ると、前記外側側壁部における前記細長凹部の開口部側の端面が、前記内側側壁部における前記細長凹部の開口部側の端面よりも前記底壁部側に凹んでいることで、前記長孔貫通孔の一部が見えるように構成されているイヤーマフである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用時におけるマフ部の着用者の耳への密着性を高めて遮音性を上げることができるヘルメット式のイヤーマフを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るイヤーマフの斜視図である。
図2図1とは異なる方向から見た本発明の実施形態に係るイヤーマフの斜視図である。
図3図1で示すイヤーマフの分解斜視図である。
図4図2で示すイヤーマフの分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るイヤーマフの構成部材であるアタッチメント係合体とアーム部材係合体との係合状態を示す図であって、(b)は(a)におけるVB-VB断面を示す図である。
図6】(a)は本発明の実施形態に係るイヤーマフの構成部材であるアーム部材とマフ部とを示す斜視図であり、(b)は(a)のアーム部材を示しており、(c)は(a)のマフ部を示している。
図7】(a)は本発明の実施形態に係るイヤーマフの構成部材であるアーム部材とマフ部とを示す側面図であり、(b)は(a)のアーム部材を示しており、(c)は(a)のマフ部を示しており、(d)は(a)におけるVIID-VIID断面を示す図である。
図8】(a)は本発明の実施形態に係るイヤーマフと保護帽と着用者との正面図であり、(b)は本発明の実施形態に係るイヤーマフと保護帽と着用者との側面図である。
図9】(a)は図8(b)に対応する図であり、イヤーマフが退避している状態を示す図であり、(b)は(a)におけるIXB矢視図であり、(c)は、図8(a)におけるIXC矢視図である。
図10】着用者の頭部のサイズについて説明する図である。
図11】(a)は比較例に係るイヤーマフのマフ部の密着性を示す図であり、(b)は本発明の実施形態に係るイヤーマフのマフ部の密着性を示す図である。
図12】比較例に係るイヤーマフおよび本発明の実施形態に係るイヤーマフの遮音性について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係るイヤーマフ1は、図8図9で示すように、保護帽(ヘルメット)3の帽体5に設置されて使用されるヘルメット式のイヤーマフであって、図1図4等で示すように、マフ部(マフ)7とマフ部支持体(マフ支持体)9とを備えて構成されている。
【0020】
ここで、説明の便宜のための上下方向をZ方向とし、Z方向に対して直交する所定の一方向をX方向とし、Z方向とX方向とに対して直交する所定の一方向をY方向とする。X方向は保護帽の着用者4にあっては概ね左右方向になっており、Y方向は保護帽の着用者4にあっては概ね前後方向になっている。したがって、X方向を左右方向もしくは横方向とし、Y方向を前後方向としてもよい。
【0021】
なお、以下、1つのイヤーマフ1について説明するが、イヤーマフ1は、保護帽3の帽体5の左側に1つ設置され、保護帽3の帽体5の右側に1つ設置されて使用される。帽体5の左側に設置されるイヤーマフ1と、帽体5の右側に設置されるイヤーマフ1とは、同形状に形成されており、お互いが互換性を備えている。
【0022】
マフ部7には、環状に形成されている接触面11が設けられている。マフ部支持体9は、保護帽3の椀状の帽体5に設置されようになっている。
【0023】
また、マフ部支持体9は、所定の一方向(たとえば前後方向)まわり、および、所定の他の一方向(たとえば上下方向)まわりで、保護帽3(帽体5)に対するマフ部7の姿勢を変える(調整する)ことができるようにして、マフ部7を支持するようになっている。
【0024】
上記所定の一方向とは、環状の接触面11の中心軸に対して交差する方向である。なお、上記所定の一方向は、環状の接触面11の中心軸に対して、直交する方向や直角に近い角度(たとえば、±20°)で交差する方向も含む。
【0025】
上記所定の他の一方向とは、環状の接触面11の中心軸に対して交差しかつ上記所定の一方向に対して交差する方向である。なお、環状の接触面11の中心軸に対して交差する方向は、環状の接触面11の中心軸に対して、直交する方向や直角に近い角度(たとえば、±20°)で交差する方向も含む。また、上記所定の一方向に対して交差する方向も、上記所定の一方向に対して直交する方向や直角に近い角度(たとえば、±20°)で交差する方向も含む。
【0026】
また、詳しくは後述するが、マフ部支持体9は、アタッチメント13とローター部材15とアーム部材17とを備えて構成されており、ローター部材15は、アタッチメント係合体19とアーム部材係合体21とを備えて構成されている。
【0027】
マフ部7はカップ23とクッション25とを備えて椀状に形成されており、接触面11は、所定の幅をもった環状に形成されておりクッション25に設けられており、椀状のマフ部7の開口部の縁に位置している。椀状のマフ部7では、接触面11の内側に凹部27が形成されている。
【0028】
そして、図8図9で示すように、イヤーマフ1が設置されている保護帽3を着用者4が着用しイヤーマフ1で着用者4の耳29を覆うと、凹部27の中に着用者4の耳29が入り込み、環状の接触面11が保護帽3の着用者4の耳29の回りの皮膚に接するようになっている。これにより、保護帽3の着用者4の耳29が着用者4の皮膚とマフ部7とで形成された閉空間内に入り、遮音がされるようになっている。
【0029】
イヤーマフ1が保護帽3の着用者4の耳29を覆っている状態では、上記所定の一方向は、概ねY方向になっている。すなわち、上記所定の一方向は、概ねY方向と一致しているかもしくはY方向に対して小さな角度(たとえば、±20°以内の小さい角度)で交差している。また、上記所定の他の一方向は、概ねZ方向になっている。すなわち、上記所定の他の一方向は、概ねZ方向と一致しているかもしくはZ方向に対して僅かな角度(たとえば、±20°以内の小さい角度)で交差している。
【0030】
なお、以下で示す方向は、特にことわらない限り、イヤーマフ1が設置されている保護帽3を着用者4が着用しイヤーマフ1が保護帽3の着用者4の耳29を覆っている状態での方向を示すものとする。
【0031】
また、イヤーマフ1では、マフ部支持体9が、上記所定の他の一方向もしくは上記所定の他の一方向に対して僅かな角度で交差する方向(概ねZ方向)でマフ部支持体9に対しマフ部7が移動位置決めされるように、マフ部7を支持するようになっている。
【0032】
また、イヤーマフ1では、遮音対象となる音の種類(周波数や音色)に応じて用意されている複数種類のマフ部7のうちの選択されたマフ部7が、マフ部支持体9に設置されるようになっている。
【0033】
換言すれば、マフ部7がマフ部支持体9に対して容易に(たとえば工具を使用することなく素手で)着脱できるように構成されている。すなわち、マフ部支持体9に設置されているマフ部7を別のマフ部7に容易に交換することができるようになっている。
【0034】
ラインアップされている複数種類のマフ部7のうちの1つ目のマフ部7の例として、人の可聴範囲の総ての周波数にわたって音を概ね遮断することができるものを掲げることができる。また、複数種類のマフ部7のうちの2つ目のマフ部の例として、人の声が聞こえなくなるのは困るような作業現場で使用されるものであり、人を声はほとんど遮断しないが、その他の音を概ね遮断するものを掲げることができる。
【0035】
また、イヤーマフ1では、保護帽3の椀状の帽体5に設置されているマフ部支持体9が、マフ部支持体9が支持しているマフ部7を、保護帽3の帽体5の外面の後側の部位の所定の位置(図9(a)(b)参照)に退避させることができるように構成されている。
【0036】
イヤーマフ1についてさらに説明する。イヤーマフ1は、アタッチメント13とローター部材15とアーム部材17とマフ部7とを備えて構成されている。
【0037】
アタッチメント13は、保護帽3の帽体5の外側であって帽体5の側面下部で、帽体5に一体的に設置されるようになっている(図8等参照)。
【0038】
ローター部材15は、帽体5の左右方向(帽体5の左右方向に対して±20°以内の小さい角度で交差している方向を含む)に延びている軸まわりでアタッチメント13に対し回動自在なように、アタッチメント13に支持されるものである(図8(b)の二点鎖線L1参照)。
【0039】
アーム部材17は、基端側部位31と、この基端側部位31の両端部のそれぞれから帽体5の斜め下側(左右方向で見て斜め下側)に延出している一対の棒状の先端側部位33とを備えて「V」字状に形成されている。
【0040】
また、アーム部材17は、基端側部位31がローター部材15に係合することで、帽体5の上下方向(帽体5の上下方向に対して±20°以内の小さい角度で交差している方向を含む)に延びている軸まわりでローター部材15に対し回動自在なように、ローター部材15に支持されるようになっている。
【0041】
マフ部7は、環状の接触面11が形成されているクッション25とクッション25が設置されているカップ23とライナー24(図7(d)参照)とを具備して椀状に形成されている。マフ部7は、アーム部材17の一対の先端側部位33の間で一対の先端側部位33に係合するようになっている。そして、マフ部7が、帽体5の前後方向(帽体5の前後方向に対して±20°以内の小さい角度で交差している方向を含む)に延びている軸まわりでアーム部材17に対し回動自在なように、アーム部材17に支持されるようになっている。
【0042】
また、イヤーマフ1では、マフ部7が、帽体5の上下方向(帽体5の上下方向に対して±20°以内の小さい角度で交差している方向を含む)でアーム部材17に対し移動位置決め自在なように、アーム部材17の先端側部位33に支持されるようになっている。
【0043】
ローター部材15は、図5等で示すように、アタッチメント係合体19とアーム部材係合体21とを備えて構成されている。アタッチメント係合体19は、アタッチメント13に対し帽体5の左右方向(帽体5の左右方向に対して±20°以内の小さい角度で交差している方向を含む)に延びている軸まわりで回動自在なように、アタッチメント13に支持されるようになっている。
【0044】
また、アーム部材係合体21は、アタッチメント係合体19に対し帽体5の前後方向(帽体5の前後方向に対して±20°以内の小さい角度で交差している方向を含む)に延びている軸まわりで、保護帽3の着用者4の耳29側にまたは耳29から離れる側に回動自在なように、アタッチメント係合体19に支持されるようになっている(図1図5(b)、図8(a)の矢印A1、図8(a)の参照符号P1~P4参照)。
【0045】
また、図6図7等で示すように、マフ部7のカップ23には、一対の被係合部35が設けられており、アーム部材17の一対の先端側部位33のそれぞれには係合部37が設けられている。そして、一対の被係合部35のそれぞれが一対の係合部37のそれぞれに係合することでマフ部7がアーム部材17に支持されるように構成されている。
【0046】
被係合部35は、カップ23から突出している第1の凸部39とこの第1の凸部39とは反対側でカップ23から突出している第2の凸部41とを備えて構成されている。
【0047】
アーム部材17の先端側部位33は、図3(e)等で示すように、基端側部位31から先端側に延伸している一対の基部43と、これらの基部43のそれぞれから先端側に延出している一対の中間部45と、これらの中間部45のそれぞれから先端側に延出している一対の先部(先端側部位33の先端部位である先部)47とを備えて構成されている。
【0048】
基部43と中間部45と先部47との延伸方向はお互いが僅かに異なっている。たとえば、一対の基部43のうちの一方の基部43は、基端側部位31の前側の端から下側であって前側に向かう方向に延びており、たとえば、一対の基部43のうちの他方の基部43は、基端側部位31の後側の端から下側であって後側に向かう方向に延びている。
【0049】
一対の中間部45のうちの一方の中間部45は、一方の基部43の先端から下側であって帽体5に向かう方向に延びており、一対の中間部45のうちの他方の中間部45は、他方の基部43の先端から下側であって帽体5に向かう方向に延びている。
【0050】
また、一対の先部47のうちの一方の先部47は、一方の中間部45の先端から下側であって帽体5に向かう方向に延びており、一対の先部47のうちの他方の先部47は、他方の中間部45の先端から下側であって帽体5に向かう方向に延びている。一方の先部47と他方の先部47とはお互いがほぼ平行になって延伸している。
【0051】
なお、先部47の延伸方向は、中間部45の延伸方向よりも上下方向に近い方向になっている。換言すれば、中間部45の延伸方向は、先部47の延伸方向よりも左右方向に近い方向になっている。
【0052】
図3(e)等で示すように、先部47は、内側側壁部49と外側側壁部51と底壁部53と先端壁部55とを備えて構成されている。内側側壁部49と外側側壁部51と底壁部53と先端壁部55と中間部45とによって、先部47には、先部47の延伸方向(概ねZ方向)に長く延びている細長凹部57が形成されている。
【0053】
細長凹部57は、たとえばX方向(左右方向)で帽体5側に開口している。内側側壁部49には、内側側壁部49を貫通し先部47の延伸方向の長く延びている長孔貫通孔59が設けられている。
【0054】
さらに説明すると、内側側壁部49と外側側壁部51と底壁部53と先端壁部55と中間部45とで囲まれていることで、細長凹部57は細長い四角柱状になっている。また、先部47の断面形状(先部47の長手方向に対して直交する平面による断面の形状)は、内側側壁部49と外側側壁部51と底壁部53とによって「コ」字状になっている。
【0055】
マフ部7の係合部37は、内側側壁部49と細長凹部57と長孔貫通孔59とを備えて構成されている。
【0056】
アーム部材17の被係合部35がマフ部7の係合部37に係合している状態では、図7(d)等で示すように、第1の凸部39の基端部61が一対の先端側部位33のうちの一方の先端側部位33の先部47に形成されている長孔貫通孔59を通り、第1の凸部39の先端部63が一対の先端側部位33のうちの一方の先端側部位33の先部47に形成されている細長凹部57に入り込んでいる。
【0057】
また、被係合部35が係合部37に係合している状態では、第2の凸部41の基端部61が一対の先端側部位33のうちの他方の先端側部位33の先部47に形成されている長孔貫通孔59を通り、第1の凸部39の先端部63が一対の先端側部位33のうちの他方の先端側部位33の先部47に形成されている細長凹部57に入り込んでいる。
【0058】
また、内側側壁部49および外側側壁部51の厚さ方向(前後方向;内側側壁部49と細長凹部57と外側側壁部51とがならんでいる方向;Y方向)で見ると、外側側壁部51における細長凹部57の開口部側(帽体5側)の端面65が、内側側壁部49における細長凹部57の開口部側の端面67よりも底壁部53側(帽体5とは反対側)に凹んでいる(位置している)ことで、長孔貫通孔59の一部が見えるように構成されている(図3(e)、図6等を参照)。
【0059】
さらに、図3(e)等で示すように、内側側壁部49および外側側壁部51の厚さ方向で見ると、外側側壁部51における細長凹部57の開口部側の端面65は、円弧状に形成されている。さらに説明すると、端面65は、細長凹部57の長手方向における中央部が、細長凹部57の長手方向における端側よりも、底壁部53側に凹んでいる(位置している)円弧状に形成されている。
【0060】
また、外側側壁部51の外面には、複数の突起69が細長凹部57の長手方向にならんで設けられている。
【0061】
ここで、保護帽3とイヤーマフ1とについてさらに詳しく説明する。
【0062】
保護帽3は、帽体5とアジャスターとハンモックと耳紐(顎紐)とを備えて構成されている。なお、図8図9では、アジャスターとハンモックと耳紐(顎紐)との表示を省略している。また、保護帽3には、イヤーマフ1の他に、着用者4の顔面を覆って保護するための面体(図示せず)を設置することができようになっている。
【0063】
椀状の帽体5の縁(開口部のところの縁)には、一対の切り欠き部(凹部)71が設けられている。切り欠き部71は、帽体5の左右方向の両側に形成されている。一対の切り欠き部71が設けられていることで、イヤーマフ1が設置されている保護帽3を着用者4が着用しイヤーマフ1で着用者4の耳29を覆うときに、帽体5とイヤーマフ1(マフ部7)とがお互いに干渉することを避けることができるようになっている。
【0064】
帽体5の外側であって一対の切り欠き部71それぞれの上部には、アタッチメント13の一部(突出部位)73が差し込まれる凹部(図示せず)が形成されている。この凹部は、上側に開口しており、この凹部にアタッチメント13の突出部位73が差し込まれることで、アタッチメント13が帽体5に一体的に設置されるようになっている。
【0065】
アタッチメント13には、突出部位73の他に、アタッチメント係合体19を設置するためのアタッチメント係合体係合部75が設けられている。
【0066】
アタッチメント係合体19には、アタッチメント係合部77とアーム部材係合体係合部79と弾性体設置部81とが設けられている。アタッチメント係合部77は、アタッチメント13のアタッチメント係合体係合部75と係合するようになっており、この係合によってアタッチメント係合体19がアタッチメント13に回動自在に設置されるようになっている。
【0067】
アーム部材係合体21には、アタッチメント係合体係合部83とアーム部材係合部85と弾性体設置部87とが設けられている。アタッチメント係合体係合部83は、アタッチメント係合体19のアーム部材係合体係合部79と係合するようになっており、この係合によってアーム部材係合体21がアタッチメント係合体19に回動自在に設置されるようになっている。
【0068】
アタッチメント係合体19の弾性体設置部81とアーム部材係合体21の弾性体設置部87とには、たとえば、「U」字状に形成されている弾性体(U字バネ)90が設置されるようになっている(図5等参照)。
【0069】
また、図5(b)で示すように、アタッチメント係合体19のアーム部材係合体係合部79を構成している凹部89に、アーム部材係合体21のアタッチメント係合体係合部83を構成している凸部91が入り込むようになっている。そして、アタッチメント係合体19に対してアーム部材係合体21が、中心軸C1を回動中心にして、図5(b)に示す状態から矢印A1で示す方向に30°程度の角度回動するようになっている。なお、図5(a)では、U字バネ90の表示を省略している。
【0070】
なお、図5(b)に示す状態にあるときには、図8(a)の参照符号P1で示すところにマフ部7が位置しており、着用者4の耳29をマフ部7が覆っている。一方、図5(b)に示す状態から矢印A1で示す方向にアーム部材係合体21が30°回動した状態では、図8(a)の参照符号P2や参照符号P3や参照符号P4で示すところにマフ部7が位置しており、着用者4の耳29からマフ部7が離れている。
【0071】
また、図5(b)に示す状態や図5(b)に示す状態から矢印A1で示す方向にアーム部材係合体21が30°回動した状態では、U字バネ90が弾性変形してU字バネ90に歪エネルギーが蓄えられているものとする。
【0072】
さらに、図5(b)に示す状態から矢印A1で示す方向にアーム部材係合体21が30°回動した状態に至るまでの間の途中の状態では、U字バネ90がさらに弾性変形してU字バネ90に蓄えられている歪エネルギーの値が増加するようになっている。
【0073】
これにより、アタッチメント係合体19に対するアーム部材係合体21の回動位置が、図5(b)に示す位置と、図5(b)に示す状態から矢印A1で示す方向にアーム部材係合体21が30°回動した位置とで安定するようになっている。
【0074】
アーム部材係合体21のアーム部材係合部85は、円柱状の基端部93と円錐台状の先端部95とを備えて構成されている。基端部93の外径の値は、円錐台状の先端部95の外径(下面のところにおける外径;外径の最大値)の直径の値よりも小さくなっている。
【0075】
また、基端部93と先端部95とには、スリット101が形成されている。スリット101は、基端部93と先端部95との中心軸に沿って延びている。スリット101が設けられていることで、アーム部材係合部85の基端部93と先端部95とが、基端部93と先端部95との中心軸側に弾性変形しやすくなっており、弾性変形をしたことで、基端部93や先端部95の外径の値が小さくなるように構成されている。
【0076】
アーム部材17の基端側部位31には、アタッチメント係合体19のアーム部材係合体係合部79とは異なるアーム部材係合体係合部97が設けられている。アーム部材係合体係合部97は円柱状の貫通孔99で構成されている。
【0077】
アーム部材17のアーム部材係合体係合部97にアーム部材係合体21のアーム部材係合部85が係合することで、アーム部材17がアーム部材係合体21に設置されるようになっている。アーム部材係合体係合部97にアーム部材係合部85が係合している状態では、基端部93が貫通孔99に入り込んでおり、先端部95が、基端側部位31の下側に基端側部位31から突出している。そして、アーム部材17がアーム部材係合体21に対して上下方向に対して直交する軸まわりで回動するようになっている。
【0078】
カップ23は、椀状に形成されており、クッション25には、所定の幅を備えた長円環状の接触面11が形成されている。クッション25は、椀状のカップ23の開口部の縁のところでカップ23に一体的に設けられている。これにより、マフ部7も椀状に形成されており、椀状のマフ部7の凹部27内に、着用者4の耳29は入り遮音がされるようになっている。
【0079】
マフ部7の2つの被係合部35のうちの一方の被係合部35の第1の凸部39は、カップ23の外面のうちの前側の部位からカップ23の前側に突出している。また、第1の凸部39は、上述したように、円柱状の基端部61と、背の低い柱状に形成されている先端部63とを備えて構成されている。柱状の先端部63の底面(上面)の形状はたとえば長円状になっている。
【0080】
基端部61の円柱状の外径の値と、先端部63の長円の幅寸法の値とはお互いが一致している。先端部63の長円の長さ寸法の値は、基端部61の円柱状の外形の値よりも大きくなっている。また、第1の凸部39を所定の方向(たとえば上下方向)で見ると、「T」字状になっており、先端部63の長円の長さ方向の一方の端部が基端部61から突出しており、先端部63の長円の長さ方向の他方の端部が、上記一方の端部とは反対側に基端部61から突出している。
【0081】
マフ部7の2つの被係合部35のうちの他方の被係合部35の第2の凸部41は、上記一方の第1の凸部39と同形状に形成されている。また、他方の被係合部35の第2の凸部41は、カップ23の外面のうちの後側の部位からカップ23の後側に突出している。
【0082】
アーム部材17の係合部37の長孔貫通孔59の内面の所定の部位103(図3(e)参照)には、凸部(図示せず)が長孔貫通孔59の長手方向で一定の間隔をあけて複数設けられている。なお、長孔貫通孔59の内面は、お互いが平行になっている一対の細長い矩形状の平面と、お互いが対向している一対の半円弧状の平面とで形成されている。
【0083】
上記凸部が設けられている長孔貫通孔59の内面の所定の部位103は、一対の細長い矩形状の平面のうちの一方の平面である。上記凸部が設けられている所定の部位103は、図3(e)等では、上記凹部の表示を省略しているので平面状に描かれているが、所定の部位103は、実際には、複数の上記凸部がならんでいることで、たとえば、矩形波状(鋸刃状)になっている。
【0084】
上記一方の平面のうちの凸部が形成されている部位103と一対の細長い矩形状の平面のうちの他方の平面との間の距離の値は、上記一方の平面のうちの凸部が形成されていない箇所と一対の細長い矩形状の平面のうちの他方の平面との間の距離の値よりも小さくなっている。
【0085】
また、たとえば、上記一方の平面のうちの上記凸部が形成されている部位103と一対の細長い矩形状の平面のうちの他方の平面との間の距離の値は、第1の凸部39や第2の凸部41の基端部93の円柱状の外径の値よりもわずかに小さくなっている。
【0086】
さらに、上記一方の平面のうちの凸部が形成されていない部位103と一対の細長い矩形状の平面のうちの他方の平面との間の距離の値は、第1の凸部39や第2の凸部41の基端部61の円柱状の外径の値と等しいか、第1の凸部39や第2の凸部41の基端部61の円柱状の外径の値よりもわずかに大きくなっている。
【0087】
マフ部7をアーム部材17に設置する際には、まず、一対の先端側部位33(先部47)の間の間隔を弾性変形させて広げておく。この弾性変形をした状態で、マフ部7を図3(f)で示す姿勢から、第1の凸部39や第2の凸部41の中心軸を回動中心にして約90°回動させる。この回動をさせた状態で、長孔貫通孔59の幅寸法の値が大きくなるように、先端側部位33の先部47の肉部の一部をわずかに弾性変形させる。
【0088】
続いて、第1の凸部39を一方の長孔貫通孔59に挿入し、第2の凸部41を他方の長孔貫通孔59に挿入し、上記弾性変形をさせている力を加えることをやめて、一対の先端側部位33と先端側部位33の先部47の肉部の一部とを復元させ、第1の凸部39や第2の凸部41の中心軸を回動中心にしてマフ部7を約90°回動させ図3(f)で示す姿勢に戻す。
【0089】
これにより、第1の凸部39の基端部61が、長孔貫通孔59のお互いが隣接している一対の上記凸部の間に入り込み、第2の凸部41の基端部61が、長孔貫通孔59のお互いが隣接している一対の上記凸部の間に入り込み、マフ部7がアーム部材17に設置されるようになっている。そして、マフ部7がアーム部材17に対して、前後方向に延びている軸まわりで回動(回動のみ)できるようになる。この回動によって、マフ部7が、図8(a)に示す姿勢P1と姿勢P5との間の範囲、および、姿勢P1と姿勢P6との間の範囲で回動するようになっている。
【0090】
アーム部材17の先端側部位33の先部47の長手方向で先部47に対するマフ部7の位置を変える場合には、マフ部7を先部47の長手方向で先部47に対して移動すればよい。そして、第1の凸部39の基端部61が、長孔貫通孔59のお互いが隣接している別の一対の上記凸部の間に入り込み、第2の凸部41の基端部61が、長孔貫通孔59のお互いが隣接している別の一対の上記凸部の間に入り込むようにすればよい。
【0091】
ここで、図1図5図8で示す矢印A1~A5と、イヤーマフ1の構成部材との係合関係についてまとめる。
【0092】
アタッチメント係合体19とアーム部材係合体21との係合によって、矢印A1で示すイヤーマフ1の動作がされるようになっている。矢印A1は、前後方向(Y方向)に延びている軸まわりでの帽体5に対するマフ部7の回動である。
【0093】
アタッチメント13とアタッチメント係合体19との係合によって、矢印A2で示すイヤーマフ1の動作がされるようになっている。矢印A2は、左右方向に延びている軸まわりでの帽体5に対するマフ部7の回動である。
【0094】
アタッチメント係合体19とアーム部材17との係合によって、矢印A3で示すイヤーマフ1の動作がされるようになっている。矢印A3は、上下方向に延びている軸まわりでの帽体5に対するマフ部7の回動である。
【0095】
アーム部材17とマフ部7との係合によって、矢印A4で示すイヤーマフ1の動作がされるようになっている。矢印A4は、前後方向に延びている軸まわりでの帽体5に対するマフ部7の回動である。
【0096】
また、アーム部材17とマフ部7との係合によって、矢印A5で示すイヤーマフ1の動作がされるようになっている。矢印A5は、アーム部材17の先端側部位33の先部47の長手方向(上下方向)での、アーム部材17に対するマフ部7の移動である。
【0097】
矢印A4は、環状の接触面11の中心軸に対して交差する所定の一方向まわりでの、マフ部支持体9に対するマフ部7の回動を示しており、矢印A3は、環状の接触面11の中心軸に対して交差する所定の他の一方向まわりでの、マフ部支持体9に対するマフ部7の回動を示している。
【0098】
矢印A3、A4で示す回動によって、マフ部7の着用者4の耳29(耳周辺の環状の皮膚の部位)に対する姿勢を調整する(合わせる)ことができるようになっている。矢印A2で示す回動と矢印A5で示す移動とによって、マフ部7の着用者4の耳29に対する位置を調整する(合わせる)ことができるようになっている。マフ部7を退避させる場合には、矢印A1、A2で示す回動がされる。
【0099】
なお、マフ部7が帽体5に対し上述したような回動や移動をすることで、図10に参照符号4A~4B~4Cで示す頭部のサイズの着用者4の耳29を、マフ部7で覆うことができるようになっている。
【0100】
次に、イヤーマフ1が設置されている保護帽3の装着等について説明する。
【0101】
初期状態では、マフ部7が、図9(a)(b)で示すように、退避位置にあるものとする。
【0102】
この初期状態で、保護帽3を裏返し、耳紐を外側に開きアジャスターを緩めてから保護帽3を被り、アジャスターを調整し顎紐を締め、帽体5を着用者4の頭部に固定する。
【0103】
続いて、図9(a)(b)で示すような退避位置にあるマフ部7を矢印A1で示す方向に適宜回動し、マフ部7を帽体5から離す。
【0104】
続いて、マフ部7を矢印A2で示す方向に適宜回動し、図8(a)に参照符号P2、P3、P4等で示す位置に位置させる。
【0105】
続いて、マフ部7を矢印A1で示す方向に適宜回動し、矢印A2で示す方向に適宜回動するとともに、さらに、矢印A5で示す方向に適宜移動して、着用者4の耳29をマフ部7が覆うように、耳29に対するマフ部7に位置決めをする。これにより、マフ部7が着用者4の耳29を覆う。
【0106】
イヤーマフ1によれば、マフ部支持体9が所定の一方向まわりおよび所定の他一方向まわりで回動自在なようにマフ部7を支持しているので、マフ部7の姿勢の自由度が高くなっている。これにより、マフ部7が着用者4の耳29の周辺の皮膚の形状に応じて適宜姿勢を変えて追従することができ、使用時におけるマフ部7の着用者の耳29への密着性を高めて遮音性を上げることができる。
【0107】
また、イヤーマフ1によれば、所定の一方向でマフ部7が移動位置決めされるようにマフ部支持体9がマフ部7を支持しているので、着用者4の頭部のサイズ(耳29の位置)等に応じて、マフ部7の位置を着用者4の耳29の位置に適宜合わせることができ、使用時におけるマフ部7の着用者4の耳29への密着性を一層高めて遮音性を上げることができる。
【0108】
また、イヤーマフ1によれば、複数種類のマフ部7のうちの選択されたマフ部7をマフ部支持体9に設置することができるので、遮音対象となる音の種類(周波数や音色)に応じた遮音を的確に行うことができる。
【0109】
また、イヤーマフ1によれば、図9(a)(b)で示すように、マフ部支持体9が、マフ部7を保護帽3の帽体5の外面の後側の部位の所定の位置に退避させることができるので、保護帽3に設置されているイヤーマフ1の不使用時にイヤーマフ1が邪魔になることなくなる。
【0110】
また、イヤーマフ1によれば、アーム部材17が、帽体5の上下方向に延びている軸まわりでローター部材15に対し回動自在なように支持されており、マフ部7が、帽体5の前後方向に延びている軸まわりでアーム部材17に対し回動自在なように支持されているので、アーム部材17とマフ部7との係合部の構成を簡素化しつつ、帽体5に対するマフ部7の姿勢の自由度を高めることができる。
【0111】
また、イヤーマフ1によれば、前後方向で見て、外側側壁部51における細長凹部57の開口部側(帽体5側)の端面が、内側側壁部49における細長凹部57の開口部側の端面よりも底壁部53側(帽体5とは反対側)に凹んでいる(位置している)ことで長孔貫通孔59の一部が見えるように構成されているので、マフ部7の交換やマフ部7のアーム部材17に対する位置の調整がしやすくなっている。たとえば、着用者4が手袋をしたままマフ部7の交換やマフ部7のアーム部材17に対する位置の調整をすることができる。
【0112】
また、イヤーマフ1によれば、前後方向で見て、外側側壁部51における細長凹部57の開口部側の端面が、細長凹部57の長手方向における中央部で、細長凹部57の長手方向における端側よりも、底壁53部側に凹んでいる(位置している)円弧状に形成されているので、着用者4が手袋をしたままマフ7部の交換やマフ部7のアーム部材17に対する位置の調整をするときにおける手袋の引っ掛かり等を防ぐことができる。
【0113】
また、イヤーマフ1によれば、外側側壁部51の外面に複数の突起69が細長凹部57の長手方向にならんで設けられているので、外側側壁部51の剛性を高めることができるとともに、マフ部7の交換やマフ部7のアーム部材17に対する位置の調整をするときにおける手の滑りを防止することができる。
【0114】
ここで、図11図12を参照して、イヤーマフ1におけるマフ部7の耳29周辺皮膚への密着の具合と、1の遮音性能について説明する。
【0115】
図11に多数の点を打って示している箇所は、着用者の耳29周辺の皮膚に密着しているマフ部7(接触面11)の部位を示している。
【0116】
図11(a)は比較例に係るヘルメット式のイヤーマフにおけるマフ部7の耳29周辺皮膚への密着の具合を示しており、図11(b)は本発明の実施形態に係るイヤーマフ1におけるマフ部7の耳29周辺皮膚への密着の具合を示している。
【0117】
着用者(人)4の耳29の後側下方に傾斜がある(後側下方が若干凹んでいる)。したがって、クッション25の弾性だけでは、図11(a)で示す比較例に係るヘルメット式のイヤーマフのように、耳29の後側下方部位(図11(a)の二点鎖線内)でのクッション25の密着性が悪くなっている(皮膚とクッション25との間に隙間ができる場合もある)。
【0118】
しかし、本発明の実施形態に係るイヤーマフ1では、耳29の後側下方部位(図11(b)の二点鎖線内)でも、クッション25の密着性が良くなっている。
【0119】
図12の横軸は、音の周波数を示しており縦軸は遮音性能を示している。参照符号Bで示す棒は、比較例に係るヘルメット式のイヤーマフにおける遮音性能を示しており、参照符号Aで示す棒は、本発明の実施形態に係るイヤーマフ1におけるヘルメット式のイヤーマフにおける遮音性能を示している。
【0120】
周波数が125Hz、250Hzにおける遮音性能が、本発明の実施形態に係るイヤーマフ2では優れている。
【符号の説明】
【0121】
1 イヤーマフ
3 保護帽
5 帽体
7 マフ部
9 マフ部支持体
11 接触面
13 アタッチメント
15 ローター部材
17 アーム部材
19 アタッチメント係合体
21 アーム部材係合体
23 カップ
25 クッション
31 基端側部位
33 先端側部位
35 被係合部
37 係合部
39 第1の凸部
41 第2の凸部
47 先部
49 内側側壁部
51 外側側壁部
53 底壁部
57 細長凹部
59 長孔貫通孔
61 第1の凸部(第2の凸部)の基端部
63 第1の凸部(第2の凸部)の先端部
65 外側側壁部の端面
67 内側側壁部の端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12