(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】巻取装置、ベルト及び衣類
(51)【国際特許分類】
F16H 35/10 20060101AFI20240606BHJP
F16D 7/04 20060101ALI20240606BHJP
F16D 43/202 20060101ALI20240606BHJP
A43C 11/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
F16H35/10 G
F16D7/04 A
F16D43/202
A43C11/00
(21)【出願番号】P 2020184551
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】高山 和也
(72)【発明者】
【氏名】中溝 康平
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516673(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0343977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 35/10
F16D 7/04
F16D 43/202
A43C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォームギア機構を介して駆動源によって駆動されるウォームホイールと連動する駆動歯車と、
前記駆動歯車と噛み合う主動歯車と、
前記主動歯車の周りに配置され前記主動歯車と噛み合う複数の従動歯車と、を有し、
前記各従動歯車の各回転軸には共に回転可能に係合されつつ軸方向へスライド可能にトルク伝達部材を取り付け、この各トルク伝達部材に重ね合わせて前記各回転軸に対して回転可能に巻取紐を巻き付けた巻取リールを設け、前記各トルク伝達部材を弾性部材で前記各巻取リールへ所定圧力で押し付けると共に、この各巻取リールと前記各トルク伝達部材との間にラチェット機構を設けたことを特徴とする、
巻取装置。
【請求項2】
前記各トルク伝達部材は、前記巻取リールに対して当接を保って前記巻取紐を巻き取る巻取方向へ相対回転可能であり、
前記巻取リールと前記トルク伝達部材の当接面に、前記巻取リールと前記トルク伝達部材の所定ピッチの相対回転に伴って前記弾性部材の付勢に抗して前記トルク伝達部材を前記軸方向に往復させる凹凸が設けられている、
請求項1に記載の巻取装置。
【請求項3】
前記各従動歯車が前記巻取方向へ向けて回転する際には、前記各凹凸は、前記各当接面が前記各巻取リールから前記各トルク伝達部材に近づくように構成される側面視鋸歯状の面を複数有する、
請求項2に記載の巻取装置。
【請求項4】
前記各凹凸は、前記各従動歯車の回転軸に沿った方向に延びる面を有する、
請求項2又は3に記載の巻取装置。
【請求項5】
少なくとも前記各巻取リールのうちの1つは、他の巻取紐を巻き付けた、
請求項1から4のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項6】
前記駆動源は、モータ又は手動である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項7】
前記主動歯車は、平面視で前記駆動歯車及び前記各従動歯車に囲まれるように配置されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項8】
前記各トルク伝達部材は、前記巻取リールに対して当接を保って前記巻取紐を巻き戻す巻き戻し方向へ相対回転可能であり、
前記巻取リールと前記トルク伝達部材の当接面に、前記巻取リールと前記トルク伝達部材の所定ピッチの相対回転に伴って前記弾性部材の付勢に抗して前記トルク伝達部材を前記軸方向に往復させる凹凸が設けられている、
請求項
1に記載の巻取装置。
【請求項9】
前記各従動歯車のピッチ円直径は等しく、
前記各従動歯車の歯数は等しく、
前記各巻取リールの直径は等しく、
前記主動歯車の回転軸から前記各従動歯車の回転軸までの距離が等しい、
請求項1から8のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項10】
前記各従動歯車と前記主動歯車との速度伝達比とは等しく、
前記各巻取リールの直径は等しい、
請求項1から8のいずれか1項に記載の巻取装置。
【請求項11】
ユーザの腰、足又は腕に巻き付けるベルト本体部と、
請求項1から10のいずれか1項に記載の巻取装置と、を備え、
前記巻取紐は、それぞれ前記ベルト本体部の所定の位置を引張可能に取り付けられている、
ベルト。
【請求項12】
ユーザの上半身に着用する本体部と、
前記本体部から開閉可能な開閉部と、
請求項1から10のいずれか1項に記載の巻取装置と、を備え、
前記開閉部は、少なくとも前記巻取紐に前記本体部から開閉可能に接続されている、
衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取紐を所定の張力で複数の方向から巻き取り、又、巻き戻す巻取装置、及びこのような巻取装置を組み込んだベルト及び衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
巻取紐や紐を締めたり緩めたりして使用する様々な装置や用具が存在する。そのような用具の一例であるひも靴は、靴を履く際に一旦紐を緩めて、靴に足を入れた後にユーザが紐を締めて靴が脱げないようにする。
【0003】
特許文献1では、ユーザに代わってひも締めシステム22を用いて、靴の紐を締める動作を行う。特許文献1のひも締めシステム22を使用する靴は、はとめを使用する代わりにガイド部材50,52と断面形状が半円形である靴ひも通路とを使用することにより、靴の紐を容易に締めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のひも締めシステム22の締付け機構25は、靴ひも23の両端をスプール部102の溝104,106でまとめて巻き取るので、例えば靴ひも23の両端の緩みが異なる場合には、靴ひも23の両端で張力に差が出る。
【0006】
そこで、本発明は、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることのできる巻取装置、及びこのような巻取装置を組み込んだベルト及び衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]ウォームギア機構を介して駆動源によって駆動されるウォームホイールと連動する駆動歯車と、前記駆動歯車と噛み合う主動歯車と、前記主動歯車の周りに配置され前記主動歯車と噛み合う複数の従動歯車と、を有し、前記各従動歯車の各回転軸には共に回転可能に係合されつつ軸方向へスライド可能にトルク伝達部材を取り付け、この各トルク伝達部材に重ね合わせて前記各回転軸に対して回転可能に巻取紐を巻き付けた巻取リールを設け、前記各トルク伝達部材を弾性部材で前記各巻取リールへ所定圧力で押し付けると共に、この各巻取リールと前記各トルク伝達部材との間にラチェット機構を設けたことを特徴とする、巻取装置。
【0008】
[2]前記各トルク伝達部材は、前記巻取リールに対して当接を保って前記巻取紐を巻き取る巻取方向へ相対回転可能であり、前記巻取リールと前記トルク伝達部材の当接面に、前記巻取リールと前記トルク伝達部材の所定ピッチの相対回転に伴って前記弾性部材の付勢に抗して前記トルク伝達部材を前記軸方向に往復させる凹凸が設けられている、[1]に記載の巻取装置。
【0009】
[3]前記各従動歯車が前記巻取方向へ向けて回転する際には、前記各凹凸は、前記各当接面が前記各巻取リールから前記各トルク伝達部材に近づくように構成される側面視鋸歯状の面を複数有する、[2]に記載の巻取装置。
【0010】
[4]前記各凹凸は、前記各従動歯車の回転軸に沿った方向に延びる面を有する、[2]又は[3]に記載の巻取装置。
【0011】
[5]少なくとも前記各巻取リールのうちの1つは、他の巻取紐を巻き付けた、[1]から[4]のいずれか1項に記載の巻取装置。
【0012】
[6]前記駆動源は、モータ又は手動である、[1]から[5]のいずれか1項に記載の巻取装置。
【0013】
[7]前記主動歯車は、平面視で前記駆動歯車及び前記各従動歯車に囲まれるように配置されている、[1]から[6]のいずれか1項に記載の巻取装置。
【0014】
[8]前記各トルク伝達部材は、前記巻取リールに対して当接を保って前記巻取紐を巻き戻す巻き戻し方向へ相対回転可能であり、
前記巻取リールと前記トルク伝達部材の当接面に、前記巻取リールと前記トルク伝達部材の所定ピッチの相対回転に伴って前記弾性部材の付勢に抗して前記トルク伝達部材を前記軸方向に往復させる凹凸が設けられている、
[1]から[7]のいずれか1項に記載の巻取装置。
【0015】
[9]前記各従動歯車のピッチ円直径は等しく、前記各従動歯車の歯数は等しく、前記各巻取リールの直径は等しく、前記主動歯車の回転軸から前記各従動歯車の回転軸までの距離が等しい、[1]から[8]のいずれか1項に記載の巻取装置。
【0016】
[10]前記各従動歯車と前記主動歯車との速度伝達比とは等しく、前記各巻取リールの直径は等しい、[1]から[8]のいずれか1項に記載の巻取装置。
【0017】
[11]ユーザの腰、足又は腕に巻き付けるベルト本体部と、[1]から[10]のいずれか1項に記載の巻取装置と、を備え、前記巻取紐は、それぞれ前記ベルト本体部の所定の位置を引張可能に取り付けられている、ベルト。
【0018】
[12]ユーザの上半身に着用する本体部と、前記本体部から開閉可能な開閉部と、[1]から[10]のいずれか1項に記載の巻取装置と、を備え、前記開閉部は、少なくとも前記巻取紐に前記本体部から開閉可能に接続されている、衣類。
【発明の効果】
【0019】
本発明の巻取装置によれば、主動歯車の周りに配置された複数の従動歯車は主動歯車と噛み合い、各従動歯車の各回転軸には共に回転可能に係合されつつ軸方向へスライド可能にトルク伝達部材を取り付けている。この各トルク伝達部材に重ね合わせて各回転軸に対して回転可能に巻取紐を巻き付けた巻取リールを設け、各トルク伝達部材を弾性部材で各巻取リールへ所定圧力で押し付けると共に、この各巻取リールと各トルク伝達部材との間にラチェット機構を設けたので、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。又、巻取装置はウォームギア機構を有しているので、駆動力を伝達していないときにウォームギアのセルフロックによって巻取リールが勝手に回転することを抑制できる。
【0020】
[2]の巻取装置によれば、所定の張力を越えた場合、巻取リールとトルク伝達部材の当接面に設けられた凹凸が、トルク伝達部材の軸方向への上下動及び回転軸に対しての回転によってずれる。これにより、所定トルクを越えるトルクを逃がすことができ、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0021】
[3]の巻取装置によれば、各従動歯車が巻取方向へ向けて回転する際には、各凹凸は、各当接面が各巻取リールから各トルク伝達部材に近づくように構成される側面視鋸歯状の面を複数有する。従って、各従動歯車が巻取方向へ向けて回転する場合、所定トルクを越えるトルクを逃がすことができ、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0022】
[4]の巻取装置によれば、各凹凸は各従動歯車の回転軸に沿った方向に延びる面を有するので、各従動歯車が巻取方向の反対方向へ向けて回転する場合、所定トルクを越えるトルクがかかったとしても、そのままのトルクで巻取紐を巻き戻すことができる。
【0023】
[5]の巻取装置によれば、少なくとも各巻取リールのうちの1つは、他の巻取紐を巻き付けたものであるので、複数の巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0024】
[6]の巻取装置によれば、駆動源はモータ又は手動であるので、モータ又は手動によって巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0025】
[7]の巻取装置によれば、主動歯車は平面視で駆動歯車及び各従動歯車に囲まれるように配置されているので、1つの動力源で複数の従動歯車を動かすことができつつ、締付機構をコンパクトに構成することができる。
【0026】
[8]の巻取装置によれば、所定の張力を越えた場合、巻取リールとトルク伝達部材の当接面に設けられた凹凸が、トルク伝達部材の軸方向への上下動及び回転軸に対しての回転によってずれる。これにより、所定トルクを越えるトルクを逃がすことができ、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力を越えないようにしつつ巻き戻すことができる。
【0027】
[9]の巻取装置によれば、各従動歯車のピッチ円直径は等しく、各従動歯車の歯数は等しく、各巻取リールの直径は等しく、主動歯車の回転軸から各従動歯車の回転軸までの距離が等しい。従って、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0028】
[10]の巻取装置によれば、各従動歯車と主動歯車との速度伝達比とは等しく、各巻取リールの直径は等しい。従って、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0029】
本発明のベルトによれば、巻取紐は、それぞれベルト本体部の所定の位置を引張可能に取り付けられている。従って、巻取装置で巻取紐を巻き取ったり巻き戻すことにより、ベルト本体部によってユーザの腰、足又は腕を締め付け、緩めることができる。
【0030】
本発明の衣類によれば、開閉部が巻取紐に接続されているので、巻取紐が巻取装置に巻き取られ、又は巻き戻されることによって、本体部から開閉部を開閉することができ、衣類の内部を通風、換気できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る巻取装置を装備したベルトをユーザの腰部に装着した例の説明図である。
【
図2】(a)は、実施の形態1の巻取装置を装備したベルトの平面図である。(b)は、(a)の巻取装置の上部筐体を省略したベルトの平面図である。
【
図3】実施の形態1の巻取装置(上部筐体を省略)の平面図である。
【
図4】実施の形態1の巻取装置の分解斜視図である。
【
図5】
図3に示す矢印A-Aから見た巻取装置の基本構造の断面図である。
【
図6】巻取装置における回転部材と巻取リールの所定ピッチの相対回転に伴う回転抵抗の説明図である。(a)は、張力が所定の張力未満である状態、(b)は、張力が所定の張力に達した状態、(c)は、張力が所定の張力を超えた状態である。
【
図7】巻取部の構成を示す説明図である。(a)は、巻取部の分解斜視図、(b)は、(a)の正面断面図である。
【
図8】巻取リールに対する巻取紐の取付方法の説明図である。(a)及び(b)は、横孔を用いた実施の形態、(c)及び(d)は、溝を用いた実施の形態である。
【
図9】ラチェット機構の回転動作の説明図である。(a)は、二つの巻取部とも巻き取りを行っている状態の説明図、(b)は、一方の巻取部が巻き取りを終えた状態の説明図、(c)は、両方の巻取部が巻き取りを終えた状態の説明図である。
【
図10】本発明の実施の形態2に係る巻取装置(上部筐体を省略)を装備した衣類の背面図である。
【
図11】巻取部の配置例を示す説明図である。(a)は、巻取部が2ヶ所の場合の配置例の説明図、(b)は、巻取部が4ヶ所の場合の配置例の説明図、(c)は、巻取部が6ヶ所の場合の配置例の説明図である。
【
図12】変形例に係る巻取装置における回転部材と巻取リールの所定ピッチの相対回転に伴う回転抵抗の説明図である。(a)は張力が所定の張力未満である状態、(b)は張力が所定の張力に達した状態、(c)は張力が所定の張力を超えた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して、本発明の巻取装置を備えるベルト及び衣類の実施の形態について詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
実施の形態1では、例えば、ボディビルのトレーニングや重量挙げの際に、腰椎から骨盤にかけて巻き付けるトレーニングベルト或いはリフティングベルト等のベルトのベルト本体部にベルト本体部の所定の位置を引張可能に取り付けられている4本の巻取紐の張力を増加させる巻取装置の実施の形態を説明する。
【0034】
図1に示すように、腰椎から骨盤にかけて巻き付けるベルト1は、帯状体のベルト本体部10と、ベルト本体部10の中央に取り付けられた巻取装置20と、巻取装置20によって張力を締付され、ベルト本体部10を締め付けたり緩めたりする巻取紐70と、を備える。ユーザは、ベルト本体部10を自分の腰部に装着した後、巻取装置20を操作して巻取紐70の張力を増加させ、ベルト本体部10を締め付け、又、巻取紐70の張力を減少させ、ベルト本体部10を緩める。
【0035】
ベルト本体部10は、ユーザの腰周りに巻き付けるベルトである。
図2及び
図3に示すように、ベルト本体部10は、ベルト本体部10の中央に位置する背当部11と、背当部11の両端から左右対称に延出された延出部12、13と、を有する。ベルト本体部10は、一般的なボディビルのトレーニングや重量挙げの際に使用するベルトの締付け具合を調節する機構を除いたものとほぼ同等の形状及び構成である。
【0036】
背当部11は、ユーザの腰部の背中側に当接させる部分であり、内部にユーザの腰部を好適に支持するための硬質の板状体を有する。背当部11は、ユーザの腰部の背中側に当接させる当接面11aと、当接面11aの裏面である外周面11bと、を有する。当接面11aは、例えば、ナイロン糸を使用してダブルラッセル経編機で編み立てられたメッシュ素材を使用する。外周面11bには、巻取装置20が着脱可能に取り付けられる。
【0037】
また、外周面11bには、バッテリーを収納する図示しないバッテリー収納ポケットと、バッテリー及び巻取装置20を接続するコードを挿通する図示しないコードホールやコードループと、を有する。
【0038】
延出部12、13は、背当部11の両端から延出された帯状体である。背当部11をユーザの腰部の背側に当接させ、延出部12、13をユーザの胴体に巻き付け、延出部12、13の先端付近同士を係着させることにより、ベルト本体部10をユーザの腰部に固定することができる。
【0039】
延出部12、13は、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ナイロン等を使用した織地を使用する。延出部12の先端には、延出部13に係着させるための係着部12aが形成されている。係着部12aは、例えば、マジックテープ(登録商標)のフックであり、延出部13(ループ)とともに面ファスナーを形成する。
【0040】
巻取紐70は、本実施の形態においては、4本の巻取紐71、72、73、74を含んでおり、ステンレスの素線を撚り合わせて製造されたものである。巻取紐70は、巻取部30、40、50、60の回転に抵抗少なく追従し、案内部材90(第1から第3案内部材91、92、93)において容易に屈曲して、巻取装置20で実行された操作に従ってベルト本体部10を締め付け、又、緩める。
【0041】
巻取紐71の一端71aは、巻取部30に固定され、巻取紐72の一端72aは、巻取部40に固定され、巻取紐73の一端73aは、巻取部50に固定され、巻取紐74の一端74aは、巻取部60に固定される。
【0042】
案内部材90は、巻取紐70を案内する部材であり、第1から第3案内部材91、92、93を有する。案内部材90は、割れ目を有する筒状体(略U字溝状の部材)であり、筒状部分に巻取紐70を挿通させる。第1から第3案内部材91、92、93は、外周面11bから延出部12、13の先端に向けてベルト本体部10の左右にそれぞれ2ヶ所ずつ配置されている。
【0043】
ベルト固定部80は、第1から第3案内部材91、92、93に挿通された巻取紐71、72、73、74の他端71b、72b、73b、74bをベルト本体部10の両端付近に固定する。これにより、巻取紐71、72、73、74の一端71a、72a、73a、74aを巻取装置20で巻き取ることで、ベルト本体部10を締め付け、ユーザの腰部にベルト本体部10をフィットさせることができる。
【0044】
巻取装置20は、駆動装置24の動力を利用して巻取紐70を巻き取り、張力を増加させる。
図1から
図4に示すように、巻取装置20は、ベルト本体部10に固定され、駆動装置24や歯車等を収容する筐体21と、動力を供給する駆動装置24と、ウォーム25と、ウォームホイール26と、駆動歯車27と、主動歯車28と、巻取部30、40、50、60と、を有する。また、巻取装置20は、駆動装置24の動き(回転方向、回転速度等)を制御する図示しない操作ボタン(レバー)及び駆動装置24に電力を供給する図示しない電源(電池)を有する。
【0045】
筐体21は、巻取装置20の各種部品を収容し、下部筐体22と、上部筐体23と、を有する。下部筐体22は、基部22aと、ベルト本体部10に固定するためのベルト固定部22bと、上部筐体23を固定するための筐体固定部22cと、各歯車の軸を回転可能に支持する歯車軸孔22dと、巻取紐70の巻取方向及び巻戻し方向を規制する巻取紐ガイド部22eと、を備える。上部筐体23は、駆動装置24を覆う駆動装置カバー部23aと、各歯車の回転軸の一端を挿入可能な歯車カバー部23bと、上部筐体23を下部筐体22に固定するための取付ネジ23cと、を備える。
【0046】
駆動装置24は、巻取装置20の動力を供給し、ウォーム25に回転力を伝達する。駆動装置24は、駆動源であるモータ24aと、歯車24bと、を備える。モータ24aは、ブラシレスモータでも良いし、ブラシ及びコンミテータを有するブラシモータでも良い。
【0047】
ウォームギアを構成するウォーム25は、ウォームホイール26に駆動装置24の動力を伝達する。ウォーム25は、駆動装置24の軸に取り付けられた歯車24bと噛み合っている平歯車25aと、平歯車25aを取り付けられた軸25bと、軸25bに取り付けられ、ウォームホイール26に噛み合っている円筒ウォーム25cと、を備える。なお、円筒ウォームの代わりに鼓形ウォームを使用してもよい。また、平歯車と軸と円筒ウォームとは一体的に作られていてもよい。
【0048】
図3及び
図5に示すように、ウォームギアを構成するウォームホイール26は、円筒ウォーム25cと噛み合っている鼓形ホイール26aと、鼓形ホイール26aの中心に形成された孔26bと、を有する。ウォーム25とウォームホイール26を有するウォームギアのセルフロックにより、駆動装置24が停止した後の巻取リール側からの巻き戻り等を抑止し、巻取紐の張力の変化を抑制することができる。
【0049】
図4及び
図5に示すように、駆動歯車27は、ウォームホイール26の孔26bに一端を嵌合される軸27aと、軸27aを回転軸とする平歯車27bと、軸27aの他端を受ける軸受部材27cと、を有する。駆動歯車27は、ウォームホイール26の回転に合わせて回転し、ウォームホイール26の回転運動を主動歯車28に伝達する。
【0050】
主動歯車28は、駆動歯車27の回転運動を巻取部30、40、50、60に伝達する。主動歯車28は、平歯車28aと、軸28bと、軸受部材28cと、を備える。主動歯車28は、平面視で駆動歯車27、後述する第1から第4従動歯車36、46、56、66に囲まれるように配置されており、駆動歯車27、第1から第4従動歯車36、46、56、66と噛み合っている。言い換えると、駆動歯車27、第1から第4従動歯車36、46、56、66は、主動歯車28を中心にして主動歯車28の周囲を囲むように、且つ、主動歯車28に噛み合うように主動歯車28から等距離に配置されている。
【0051】
第1従動歯車36の回転軸31の芯C1と主動歯車28の軸28bとは距離Dであり、第2従動歯車46の回転軸41の芯C2と軸27aとの距離、第3従動歯車56の回転軸51の芯C3と軸28bとの距離、及び第4従動歯車36の回転軸61の芯C4と軸28bとの距離も同じく距離Dである。
【0052】
巻取部30、40、50、60は、主動歯車28を囲むように配置され、主動歯車28の回転に合わせて巻取紐71、72、73、74の一端71a、72a、73a、74aを巻き取り、又は巻き戻す。巻取部30は、巻取部40、50、60と同一の構成であるため、以下では、巻取部30を詳細に説明して巻取部40、50、60の一部に関する重複した説明を省略する。
【0053】
なお、省略した巻取部40、50、60の構成及び動作は、以下の説明における巻取紐71の一端71aを巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a又は巻取紐74の一端74aに置き換えて理解することができる。巻取部30の各部品の30番台の符号を40、50又は60番台に置き換え、第1を第2、第3又は第4に置き換えて理解することができる。
【0054】
図4から
図6に示すように、巻取装置20は、巻取紐71の一端71aを巻き取り可能な第1巻取リール32と、第1巻取リール32に巻取紐71の一端71aの第1巻取トルク及び第1巻戻しトルクを伝達し、第1巻取トルクが所定トルクを超えると第1巻取リール32に対して空転する第1トルク伝達装置33と、第1巻取リール32の回転を制御する回転制御装置29と、を有する。
【0055】
回転制御装置29は、ウォームギアと、駆動歯車27と、主動歯車28と、従動歯車36と、駆動装置24の動き(回転方向、回転速度等)を制御する図示しない操作ボタン(レバー)及び駆動装置24に電力を供給する図示しない電源(電池)と、を有する。回転制御装置29は、トルク伝達装置33に駆動装置24からの第1巻取トルク及び第1巻戻しトルクを伝達し、第1巻取トルク及び第1巻戻しトルクによる回転によって第1トルク伝達装置33を介して第1巻取リール32を巻取紐71の一端71aを巻取方向及び巻戻し方向へ回転させる。
【0056】
巻取部30は、巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力を越えないようにしながら主動歯車28の回転運動を利用して巻取紐71の一端71aを巻き取る。また、巻き戻しトルクをそのまま伝えながら巻き戻す。巻取部30は、第1巻取リール32、第1回転部材(トルク伝達部材)34及び第1従動歯車36の回転軸である回転軸31と、巻取紐71の一端71a側を巻き取り及び巻き戻す第1巻取リール32と、第1従動歯車36の回転トルクを第1巻取リール32に伝達する第1トルク伝達装置33と、主動歯車28に噛み合う第1従動歯車36と、軸受部材37と、を有する。
【0057】
巻取装置20は、巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aごとに第1から第4巻取リール32、42、52、62及び第1から第4トルク伝達装置33、43、53、63が筐体21に収容されて回転制御装置29を介して駆動装置24と連動して回転可能である。
【0058】
第1トルク伝達装置33は、第1巻取リール32と同一の回転軸31に設けられ、第1回転部材34及び第1付勢部材35を有する。第1回転部材34は、第1巻取リール32の軸線方向へ移動可能であって、第1巻取リール32に対して当接を保って巻き取り方向へ相対回転可能である。第1付勢部材35は、第1巻取リール32と同一の回転軸31に設けられ、第1回転部材34を軸線方向に付勢して第1巻取リール32に当接させる。
【0059】
第1巻取リール32と第1回転部材34の当接面に、第1巻取リール32と第1回転部材34の所定ピッチの相対回転に伴って第1付勢部材35の付勢に抗して第1回転部材34を軸線方向に往復させる第1凹凸32a、34aが設けられている。第1巻取リール32には、巻取紐71の一端71aを巻き付ける巻取溝32bと、回転軸31と緩合可能な断面円形の緩合孔32fと、が形成されている。
【0060】
図7(a)、(b)に示すように、回転軸31には、第1巻取リール32が緩合される高さを越える部分に、いわゆるDカットされた細径部31aが形成されており、第1従動歯車36には、この細径部31aに嵌合する軸受孔36aが形成されている。又、第1回転部材34には、この細径部31aに対して回転軸31の軸方向に移動可能に緩合可能な孔34bが形成され、孔34bの上部には第1付勢部材35の下部を収容可能な凹部34cが形成されている。
【0061】
なお、
図7(a)には、図上で縮径部分が見えるように回転軸31のDカット部分が正面側に、第1従動歯車36及び第1回転部材34のDカット部分が背面側に見えるように表記しているが、実際にはこれらのDカット部分が一致するように組み立てられている。
【0062】
巻取装置20は、第1から第4の4つのラチェット機構30R、40R、50R、60Rを用いたコンパクトな機構によって実現されている。
図6(a)、(b)、(c)に示すように、第1ラチェット機構30Rは、第1巻取リール32に形成された第1凹凸32aと、第1回転部材34に形成された第1凹凸34aと、を第1付勢部材35により付勢して噛み合わせる。これにより、所定のトルク以上のトルクを伴う場合に、第1付勢部材35の付勢力に抗して第1凹凸32aと第1凹凸34aとの噛み合わせがずれ、第1巻取リール32に対する第1回転部材34の巻取方向Rmへの相対回転を空転させる。
【0063】
なお、本実施形態において、第1回転部材34の巻取方向Rmと反対方向(巻戻し方向)への相対回転は、所定のトルク以上のトルクを伴う場合であっても、空転させない。
【0064】
第1ラチェット機構30Rは、所定の張力に達するまで第1巻取リール32に巻取紐71の一端71a側を巻き取らせ、所定の張力に達すると、第1回転部材34を第1巻取リール32に対して空転させる。これにより、所定の張力を超える張力が巻取紐71の一端71a側に掛かることを抑制する。
【0065】
第1ラチェット機構30Rは、回転軸31と一体に回転する第1回転部材34と、回転軸31に対して回転自在な第1巻取リール32と、が回転軸31に沿う方向に延びる面32a1、34a1及び回転軸31に沿う方向に交差する面32a2、34a2で構成される鋸歯状の第1凹凸32a、34aを噛み合わせている(
図6(a)、(c)参照)。
【0066】
第1凹凸32a、34aは、巻取方向Rmに対して斜め上方へ向けた噛み合わせ(面32a2、34a2)を形成し、第1付勢部材35は、第1回転部材34を下方へ向けて付勢している。このため、所定の張力を超える張力が第1凹凸32a、34aにかかると第1回転部材34の第1凹凸34aが巻取方向Rmに対して斜め上方へ向けた噛み合わせに沿って上昇することにより第1付勢部材35が上方に押し上げられる。さらに第1凹凸34aが第1凹凸32aからずれていき、第1凹凸34aは第1凹凸32aを1ピッチ分乗り越える。
【0067】
ここで、第1凹凸32a、34aが噛み合わされておらずにずれている間、第1巻取リール32は緩合孔32fが断面円形の回転軸31と緩合しているので、第1巻取リール32は回転軸31と同期した回転をしない。一方、第1回転部材34は、孔34bがDカット部分の細径部31aと緩合しているので、第1凹凸32a、34aが噛み合わされておらずにずれている間も、回転軸31と同期した回転をする。
【0068】
所定の張力を超える張力が生じる間は、この動作(第1回転部材34は回転軸31と同期して回転するが、第1巻取リール32は空転する)を繰り返すことにより、所定の張力を超える張力が巻取紐71の一端71a側にかからないようにすることができる。
【0069】
第1ラチェット機構30Rは、第1従動歯車36を巻取方向Rmへ回転させている場合、巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力以下のときに第1巻取リール32及び第1回転部材34を巻取方向Rmへ回転可能にする。一方、巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力を超えると、第1巻取リール32が停止して第1回転部材34が空転する。これにより、所定の張力を超えた過剰な張力が巻取紐71の一端71a側に設定されることを自律的に回避する。
【0070】
すなわち、第1巻取リール32は、巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力に到達するまでは第1回転部材34と一緒に回転する。その後、所定の張力に到達すると、第1回転部材34と第1巻取リール32とが空転する。
【0071】
このようにして、巻取紐71の一端71a側の張力を所定の張力にすることができる。同様に、第2ラチェット機構40Rも巻取紐72の一端72a側の張力を所定の張力にすることができる。また、第3ラチェット機構50Rは、巻取紐73の一端73a側の張力を所定の張力にすることができ、第4ラチェット機構60Rも巻取紐74の一端74a側の張力を所定の張力にすることができる。
【0072】
第1巻取リール32と第1回転部材34の当接面に設けられた略階段状の第1凹凸32a、34aは、その周方向の1ピッチ分の第1巻取リール32と第1回転部材34の相対回転に伴って軸方向に距離Tだけ第1回転部材34を一往復させる(
図6(c))。第1巻取リール32と第1回転部材34は、所定ピッチの相対回転に伴って、第1付勢部材35の伸縮を伴って軸方向に第1回転部材34を一往復させて、第1回転部材34の回転抵抗のピークを発生する。
【0073】
図6(a)に示すように、巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力未満である場合、第1巻取リール32と第1回転部材34は、第1凹凸32a、34aの斜面同士を密着させている。巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力に達すると、
図6(b)に示すように、第1巻取リール32の第1凹凸32aと第1回転部材34の第1凹凸34aの間に回転方向の隙間が形成される。
【0074】
巻取紐71の一端71a側の張力が所定の張力を超えると、
図6(c)に示すように、第1巻取リール32の第1凹凸32aと第1回転部材34の第1凹凸34aの間の回転方向の隙間が拡大し、第1凹凸32a、34aの噛み合わせが1ピッチずれる。そして、次の斜面同士(面32a2、34a2)を密着させることにより、巻取紐71の一端71a側の張力が緩んで、所定の張力以下に維持される。
【0075】
言い換えれば、第1巻取リール32と第1回転部材34と第1付勢部材35は、
図6(c)に示す状態で発生する回転抵抗のピークに対応するトルクを限界トルクとする第1ラチェット機構30Rを形成している。主動歯車28を回転させたとき、巻取紐71の一端71a側に大きな張力が作用して、このトルクリミッタの限界トルクを超えると、第1回転部材34が空転して、第1巻取リール32はそれ以上回転できなくなる。
【0076】
このため、張力測定装置を使用しないで、巻取紐71の一端71a側を一定の張力にすることができる。巻取紐71の一端71a側、巻取紐72の一端72a側、巻取紐73の一端73a側、巻取紐74の一端74a側の間に張力やたるみのばらつきがあっても、主動歯車28の回転により、巻取紐71の一端71a側、巻取紐72の一端72a側、巻取紐73の一端73a側、巻取紐74の一端74a側の張力を所定の張力にすることができる。
【0077】
巻取装置20は、主動歯車28の回転に伴って巻取紐71の一端71a側、巻取紐72の一端72a側、巻取紐73の一端73a側及び巻取紐74の一端74a側の張力が所定の張力に達したものから順番に第1から第4巻取リール32、42、52、62が停止して、巻取紐の張力を所定の張力にすることができる。
【0078】
このように、巻取装置20は、主動歯車28の回転によって、複数の巻取紐71、72、73、74を同時に巻き取り、巻取紐の数に関係なく、第1から第4巻取リール32、42、52、62に接続されるすべての巻取紐の張力を所定の張力にすることができる。
【0079】
また、巻取装置20は、主動歯車28を逆方向に回転させ、第1から第4巻取リール32、42、52、62を逆回転させることで、張力のかかった巻取紐71、72、73、74の張力を緩めることもできる。
【0080】
次に、第1から第4巻取リール32、42、52、62に対する巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aの固定方法について
図8各図を用いて説明する。なお、
図8各図では、第1巻取リール32について図示する。第2から第4巻取リール42、52、62については、
図8各図の30番台の符号を40、50又は60番台に置き換えて理解することができる。
【0081】
図8(a)に示すように、第1から第4巻取リール32、42、52、62の中心には緩合孔32f、42f、52f、62fが形成されている。第1から第4巻取リール32、42、52、62の巻取溝32b、42b、52b、62bの底には、接線方向の横孔32c、42c、52c、62cが形成されている。
【0082】
図8(b)に示すように、巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aには、タイコと呼ばれる金具71c、72c、73c、74cを、かしめて固定している。
【0083】
横孔32c、42c、52c、62cの出口側に拡径された金具受部32d、42d、52d、62dが設けられ、金具受部32d、42d、52d、62d側から巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aを挿入して金具受部32d、42d、52d、62dに金具71c、72c、73c、74cを突き当てる。これにより、巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aが第1から第4巻取リール32、42、52、62に固定されている。
【0084】
或いは、
図8(c)に示すように、第1から第4巻取リール32、42、52、62の巻取溝32b、42b、52b、62bの底には緩合孔32f、42f、52f、62fに貫通させた直径方向の溝32g、42g、52g、62gが形成されていてもよい。
【0085】
図8(d)に示すように、巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aの端部には、タイコと呼ばれる金具71c、72c、73c、74cを、かしめて固定していてもよい。
【0086】
溝32g、42g、52g、62gの出口側に拡径された金具受部32h、42h、52h、62hが設けられ、金具受部32h、42h、52h、62h側から巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aを挿入して金具受部32h、42h、52h、62hに金具71c、72c、73c、74cを突き当てる。これにより、巻取紐71の一端71a、巻取紐72の一端72a、巻取紐73の一端73a、巻取紐74の一端74aが第1から第4巻取リール32、42、52、62に固定されていてもよい。
【0087】
次に、
図9各図を用いて、巻取装置20によって巻取紐の各端部に所定の張力を掛ける動作の概要について説明する。なお、理解を容易にするために、4つの巻取部のうち巻取部30、40を用いて説明する。
【0088】
まず、
図9(a)に示すように、主動歯車28を時計回りに回転させることにより、巻取部30、40を巻取方向Rm(反時計回り)に回転させて巻取紐を巻き取り始める。
【0089】
例えば、巻取部40に巻き取られている巻取紐72の一端72aに先に所定の張力が掛かるようになり、
図9(b)に示すように、第2ラチェット機構40Rの働きによって、巻取部40が空転を始める。一方、巻取部30に巻き取られている巻取紐71の一端71aには未だ所定の張力が掛かっていないので、巻取部30は巻き取りを続ける。
【0090】
やがて、巻取部30に巻き取られている巻取紐71の一端71aにも所定の張力が掛かるようになると、
図9(c)に示すように、巻取紐71の一端71a及び巻取紐72の一端72aに所定の張力が掛かった状態になるので、第1ラチェット機構30Rの働きによって、巻取部30も空転するようになって締付が完了する。
【0091】
この後、主動歯車28が時計回りの回転を続けても、第1ラチェット機構30R及び第2ラチェット機構40Rの働きによって、巻取紐71の一端71a及び巻取紐72の一端72aに所定の張力以上の張力は掛からないようにすることができる。
【0092】
なお、実施の形態1では、第1凹凸32aと第1凹凸34aは、周方向の所定ピッチにて一周期を形成して第1巻取リール32と第1回転部材34の当接面を噛み合わせる逆方向の鋸歯状の傾斜面である。しかし、第1凹凸32aと第1凹凸34aは、斜面と起立面とを交互に配置する実施の形態には限らない。第2から第4凹凸も同様である。
【0093】
例えば、斜面と斜面とを交互に配置した凹凸の実施の形態でもよく、ばね付勢された半球状の突起と半球状の突起を落とし込む開口又は溝の組合せで形成された凹凸の実施の形態でもよく、両方向に相対回転が可能な凹凸の実施の形態でもよい。また、第1から第4トルク伝達装置33、43、53、63としてラチェット機構を使用する場合、ラチェット機構には、多数種類の公知例が存在しており、どの公知例を組み込んでも構わない。
【0094】
また、
図3,4等に示すように、実施の形態1では、4組の巻取部30、40、50、60を同一に構成し、巻取紐71の一端71a側、巻取紐72の一端72a側、巻取紐73の一端73a側及び巻取紐74の一端74a側に大きさの等しい張力を設定できるようにした。
【0095】
しかし、巻取装置20は、第1から第4付勢部材35、45、55、65の弾性係数、初期圧縮量、第1から第4回転部材34、44、54、64の直径等を異ならせてもよい。これにより、巻取紐71の一端71a側、巻取紐72の一端72a側、巻取紐73の一端73a側及び巻取紐74の一端74a側に大きさの異なる張力を設定できる。
【0096】
(実施の形態2)
実施の形態2では、
図10に示すように、例えば、ユーザが上半身に着用する作業着である衣類2に、衣類2の換気、温度調整等のために開閉可能に取り付けられた開閉部106の開閉具合を調整する巻取装置20Aについて説明を行う。巻取装置20Aは、巻取部の数が巻取部30,40の2つである点において実施の形態1で説明した巻取装置20と異なる。しかし、その他の点においては、巻取装置20Aは、巻取装置20と同一符号を付した部材について、同一部材である。
【0097】
衣類2は、例えば工事現場等で、ユーザが上半身に着用する長袖の綿とポリエステルとの混紡の作業着である。衣類2は、ユーザの胴体を収容する本体部100と、ユーザの腕を収容する腕部110と、を有する。
【0098】
本体部100は、上前身頃101と下前身頃102とをファスナー(スライドファスナー)等で開閉可能に接合される。上衣本体部100は、上前身頃101又は下前身頃102にバッテリーを収納する図示しないバッテリー収納ポケットと、バッテリー及び巻取装置20Aを接続するコードを挿通する図示しないコードホールやコードループと、を有する。
【0099】
また、本体部100は、後身頃103の襟104の直下付近には、巻取装置20Aを配置する巻取装置配置部105を有し、後身頃103の巻取装置配置部105の下部には開閉部106を有する。開閉部106は、後身頃103の上から3分の1程度の範囲に設けられており、本体部100から巻取装置20Aによって後身頃103から開閉可能に構成されている。
【0100】
開閉部106の左右の下端には、巻取紐75、76の端部が接合されており、巻取紐75、76の端部は、巻取装置20Aの巻取リール32、42に接続されている。巻取紐75、76が第1及び第2巻取リール32、42に巻き取られ、又は巻き戻されることにより、開閉部106は、本体部100の後身頃103から開閉具合を調整され、ユーザの背面が換気、温度調整等される。
【0101】
巻取装置20Aは、巻取部50、60を有しない点で巻取装置20と異なっているが、他の点においては巻取装置20と同一であるので、詳細な説明は省略する。巻取部30は、巻取紐75の一端を巻き取り及び巻き戻し、巻取部40は、巻取紐76の一端を巻き取り及び巻き戻す。
【0102】
実施の形態2の巻取装置20Aは、巻取紐75、76を介して開閉部106を開閉することにより、衣類2の内部の換気や温度調整等をすることができる。
【0103】
以上説明したように、実施の形態1、2の巻取装置20、20Aによれば、回転制御装置29によって、第1巻取リール32に巻取紐71の一端71a(又は巻取紐75)の第1巻取トルクを伝達し、第1巻取トルクが所定トルクを超えると第1巻取リール32に対して空転する第1トルク伝達装置33に第1巻取トルクを伝達して回転させる。また、第2巻取リール42に他の巻取紐72の一端72a(又は巻取紐76)の第2巻取トルクを伝達し、第2巻取トルクが所定トルクを超えると第2巻取リール42に対して空転する第2トルク伝達装置43に、第2巻取トルクを伝達して回転させる。
【0104】
これにより、第1巻取リール32及び第2巻取リール42を巻取方向及び巻戻し方向へ回転させることで、巻取紐71の一端71a、及び巻取紐72の一端72aの張力を掛け過ぎるのを防ぎつつ一定の張力にすることができる。
【0105】
また、実施の形態1では、さらに、回転制御装置29によって、第3巻取リール52に巻取紐73の一端73aの第3巻取トルクを伝達し、第3巻取トルクが所定トルクを超えると第3巻取リール52に対して空転する第3トルク伝達装置53と、第4巻取リール62に他の巻取紐74の一端74aの第4巻取トルクを伝達し、第4巻取トルクが所定トルクを超えると第4巻取リール62に対して空転する第4トルク伝達装置63とに、第3及び第4巻取トルクを伝達して回転させる。
【0106】
これにより、第3巻取リール52及び第4巻取リール62を巻取方向及び巻戻し方向へ回転させることで、巻取紐73の一端73a、及び巻取紐74の一端74aの張力についても掛け過ぎるのを防ぎつつ一定の張力にすることができる。
【0107】
つまり、巻取装置20、20Aによれば、主動歯車28の周りに配置された複数の従動歯車36、46又は36、46、56、66は主動歯車28と噛み合っている。従動歯車36、46又は36、46、56、66の各回転軸には共に回転可能に係合されつつ軸方向へスライド可能にトルク伝達部材34、44又は34、44、54、64を取り付けている。この各トルク伝達部材34、44又は34、44、54、64に重ね合わせて各回転軸31、41又は31、41、51、61に対して回転可能に巻取紐70を巻き付けた巻取リール32、42又は32、42、52、62を設けている。トルク伝達部材34、44又は34、44、54、64を弾性部材35、45又は35、45、55、65で巻取リール32、42又は32、42、52、62へ所定圧力で押し付けている。巻取リール32、42又は32、42、52、62とトルク伝達部材34、44又は34、44、54、64との間にラチェット機構30R、40R又は30R、40R、50R、60Rを設け、又、巻取装置20、20Aはウォームギア機構を有している。これにより、駆動源によって巻取紐70を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。又、駆動力を伝達していないときにウォームギアのセルフロックによって巻取リール32、42又は32、42、52、62が勝手に回転することを抑制できる。
【0108】
巻取装置20、20Aでは、所定圧力を越える張力が掛かった場合、巻取リール32、42又は32、42、52、62とトルク伝達部材34、44又は34、44、54、64の当接面に設けられた凹凸32a、42a、34a、44a又は32a、42a、52a、62a、34a、44a、54a、64aが、トルク伝達部材34、44又は34、44、54、64の軸方向への上下動及び回転軸31、41又は31、41、51、61に対しての回転によってずれる。これにより、所定トルクを越えるトルクを逃がすことができ、巻取紐70を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0109】
巻取装置20、20Aでは、従動歯車36、46又は36、46、56、66が巻取方向へ向けて回転する際には、凹凸32a、42a、34a、44a又は32a、42a、52a、62a、34a、44a、54a、64aは、各当接面が巻取リール32、42又は32、42、52、62からトルク伝達部材34、44又は34、44、54、64に近づくように構成される側面視鋸歯状の面を複数有する。従って、従動歯車36、46又は36、46、56、66が巻取方向へ向けて回転する場合、所定トルクを越えるトルクを逃がすことができ、巻取紐を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0110】
巻取装置20、20Aでは、凹凸32a、42a、34a、44a又は32a、42a、52a、62a、34a、44a、54a、64aは従動歯車36、46又は36、46、56、66の回転軸に沿った方向に延びる面を有する。従って、従動歯車36、46又は36、46、56、66が巻取方向の反対方向へ向けて回転する場合、所定トルクを越えるトルクがかかったとしても、そのままのトルクで巻取紐70を巻き戻すことができる。
【0111】
巻取装置20、20Aでは、少なくとも巻取リール32、42又は32、42、52、62のうちの1つは、他の巻取紐70を巻き付けたものである。従って、複数の巻取紐70を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0112】
巻取装置20、20Aでは、ウォームギア機構はモータ24a又は手動により駆動されるので、モータ24a又は手動によって巻取紐70を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0113】
巻取装置20、20Aでは、主動歯車28は平面視で駆動歯車27及び従動歯車36、46又は36、46、56、66に囲まれるように配置されている。従って、1つの動力源で複数の従動歯車36、46又は36、46、56、66を動かすことができつつ、巻取装置20、20Aをコンパクトに構成することができる。
【0114】
巻取装置20、20Aは、従動歯車36、46又は36、46、56、66のピッチ円直径は等しく、従動歯車36、46又は36、46、56、66の歯数は等しい。又、巻取リール32、42又は32、42、52、62の直径は等しく、主動歯車28の軸28bから従動歯車36、46又は36、46、56、66の回転軸31、41又は31、41、51、61までの距離が等しい。従って、巻取紐70を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0115】
巻取装置20、20Aは、従動歯車36、46又は36、46、56、66と主動歯車28との速度伝達比とは等しく、巻取リール32、42又は32、42、52、62の直径は等しい。従って、巻取紐70を複数の巻取リール32、42又は32、42、52、62によってそれぞれ一定の張力で巻き取った状態にすることができる。
【0116】
本発明のベルト1によれば、巻取紐71、巻取紐72、巻取紐73及び巻取紐74は、それぞれベルト本体部10の所定の位置を引張可能に取り付けられているので、巻取装置20で巻取紐71、巻取紐72、巻取紐73及び巻取紐74を巻き取ったり巻き戻すことにより、ベルト本体部10によってユーザの腰、足又は腕を締め付け、緩めることができる。
【0117】
本発明の衣類2によれば、開閉部106が巻取紐75、76に接続されているので、巻取紐75、76が巻取装置20Aに巻き取られ、又は巻き戻されることによって、本体部100から開閉部106を開閉することができ、衣類2の内部を通風、換気できる。
【0118】
(変形例)
上記実施の形態では、巻取装置20の巻取部は、巻取紐70を巻き取る場合だけ、巻取紐70の張力が所定の張力を越えないように巻取トルクを巻取リールに伝達していた。しかし、巻取装置の巻取部は、巻取紐70を巻き戻す場合にも巻取紐70の張力が所定の張力を越えないような構成とすることができる。具体的には、
図12(a)から(c)に示す、巻取部130のトルク伝達装置133のラチェット機構130Rのような構成にすると良い。
【0119】
この巻取部130の巻取リール132及び回転部材134は、回転軸31に沿う方向に延びる面を有さず、回転軸31に沿う方向に交差する面132a1、132a2、134a1、134a2で構成される鋸歯状の第1凹凸132a、134aを噛み合わせる。面132a2、134a2は、
図6(c)に示す、面32a2、34a2に対応した構成である。
【0120】
面132a1、134a1は、巻取方向Rmと逆方向に対して斜め上方へ向けた噛み合わせを形成するように、回転軸31に沿う方向に交差する。このため、第1回転部材34の巻取方向Rmと反対方向(巻戻し方向)への相対回転でも、所定のトルク以上のトルクを伴う場合には、第1回転部材134は回転軸31と同期して回転するが、
図12(c)に示すように、第1巻取リール132は空転する。
【0121】
この巻取装置によれば、巻取方向Rmと反対方向(巻戻し方向)への相対回転であっても、所定の張力を越える張力が掛かった場合、巻取リールとトルク伝達部材の当接面に設けられた凹凸が、トルク伝達部材の軸方向への上下動及び回転軸に対しての回転によってずれる。これにより、所定トルクを越えるトルクを逃がすことができ、巻取紐を複数の巻取リールによってそれぞれ一定の張力を越えないようにしつつ巻き戻すことができる。従って、巻取紐を巻き取る場合にも巻き戻す場合にも、巻取紐に所定の張力を越える張力が掛かることを抑制することができる。
【0122】
上記実施の形態では、巻取装置20は、駆動装置24、ウォーム25やウォームホイール26を備えていたが、巻取装置は、例えば、駆動装置、ウォーム、ウォームホイールを備えておらず、ユーザが手動で駆動歯車又は主動歯車を回転させる構成としてもよい。或いは、巻取装置は、駆動装置を備えておらず、ユーザが手動でウォームギアを回転させる構成としてもよい。或いは、巻取装置は、モータ等により自動で駆動させるか、手動により駆動させるか、駆動源を選択可能な構成としてもよい。
【0123】
上記実施の形態1では、巻取装置20は、4つの巻取部を有していたが、例えば、
図11各図に示すような数や配置の巻取部であっても良いし、5つ以上の巻取部を有していても良いし、3つ以下の巻取部を有していても良い。上記実施の形態2では、巻取装置20Aは、2つの巻取部を有していたが、3つ以上の巻取部を有していても良いし、1つの巻取部を有していても良い。巻取紐の数も変更可能である。
【0124】
また、実施の形態2においても、巻取部の数を3つ以上或いは1つにしても良いし、巻取紐の数も変更可能である。例えば、実施の形態2において、巻取紐の中間付近を開閉部に固定することにより、2つの巻取部に対して1本の巻取紐を使用することもできる。実施の形態1においても、巻取紐の両端を別々の巻取部で巻き取ってベルトを締め付ける構成とすることもできる。
【0125】
上記実施の形態1、2において、巻取部の径、歯数、速度伝達比やピッチ円直径は、全て同じであったが、全て異なっていても良いし、一部が異なる又は同じであっても良い。巻取部の回転軸と主動歯車の軸との距離も、全て異なっていても良いし、一部が異なっていても良い。
【0126】
また、上記実施の形態1、2では、各凹凸は、巻取方向へ向けて回転する際に各回転部材に近づくように構成される側面視鋸歯状の面と回転部材の回転軸に沿った方向に延びる面とをそれぞれ複数有していたが、巻取方向へ向けて回転する際に各回転部材に近づくように構成される側面視鋸歯状の面と各回転部材から遠ざかるように構成される側面視鋸歯状の面とをそれぞれ複数有していても良く、各巻取リールに所定の張力を越える場合に各巻取リールの凹凸と各回転部材の凹凸とが滑りを起こすことにより余分な張力を逃がすようにできれば良い。
【0127】
上記実施の形態1、2では、巻取装置20、20Aは、駆動装置24を有していたが、巻取装置は駆動装置を有さず、巻取紐の張力をユーザが任意に設定できる手動の操作ダイヤルを有するようにしても良い。
【0128】
上記実施の形態1、2では、巻取装置20、20Aは、駆動装置24を逆回転させて巻取紐を巻き戻すことにより巻取紐の張力を緩めていたが、例えば、主動歯車28を上方又は下方に移動可能な構造とすることにより従動歯車と噛み合わないようにして巻取紐の張力を緩めるようにしても良い。
【0129】
上記実施の形態2では、衣類2は、本体部100の開閉部106を開閉していたが、本体部100の代わりに腕部110に開閉部を設ける、或いは、本体部100及び腕部110に開閉部を設けても良い。
【0130】
上記実施の形態1の巻取装置が搭載されるベルトは、腰用としてだけでなく、足用や腕用としても使用され得る。また、巻取装置は、ベルトに限らず、コルセットやサポータ等に使用することができる。また、実施の形態2の巻取装置は、衣類として、シャツ、インナーや上衣等に使用することができる。
【0131】
なお、本発明の巻取装置は、ベルトには限らず、巻取紐、ワイヤ、ケーブル、ロープ、ベルト、歯付きベルト等、軟性の駆動伝達体を使用して所定の張力を設定することが必要な各種物品において、好適に利用することができる。
【0132】
本発明は、これらの駆動伝達体の張力を設定するとともに張力が所定の張力を超える状態を自律的に回避することが望ましい種々の各種機器において、その巻取装置として好適に利用することができる。例えば、医療用又は工業用のマニピュレータ、ロボットハンド、重量物の巻き上げ機、工作機械、医療用コルセット等における巻取装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0133】
1 ベルト
2 衣類
10 ベルト本体部
11 背当部
11a 当接面
11b 外周面
12、13 延出部
12a 係着部
20、20A 巻取装置
21 筐体
22 下部筐体
22a 基部
22b ベルト固定部
22c 筐体固定部
22d 歯車軸孔
22e 巻取紐ガイド部
23 上部筐体
23a 駆動装置カバー部
23b 歯車カバー部
23c 取付ネジ
24 駆動装置
24a モータ
25 ウォーム
26 ウォームホイール
27 駆動歯車
28 主動歯車
29 回転制御装置
30、40、50、60、130 巻取部
31、41、51、61 回転軸
32、42、52、62 第1から第4巻取リール
32a、42a、52a、62a 第1から第4凹凸
33、43、53、63 第1から第4トルク伝達装置
34、44、54、64 第1から第4回転部材(トルク伝達部材)
34a、44a、54a、64a 第1から第4凹凸
35、45、55、65 第1から第4付勢部材(弾性部材)
36、46、56、66 第1から第4従動歯車
37、47、57、67 軸受部材
30R 第1ラチェット機構
40R 第2ラチェット機構
50R 第3ラチェット機構
60R 第4ラチェット機構
70、71、72、73、74、75、76 巻取紐
80 ベルト固定部
90 案内部材
91 第1案内部材
92 第2案内部材
93 第3案内部材
100 本体部
101 上前身頃
102 下前身頃
103 後身頃
104 襟
105 巻取装置配置部
106 開閉部
110 腕部