(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20240606BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L9/28 E
(21)【出願番号】P 2021004256
(22)【出願日】2021-01-14
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】井芹 崇樹
(72)【発明者】
【氏名】坪井 雅倫
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-079082(JP,A)
【文献】特開2010-110344(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02569313(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0143175(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02584521(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00~ 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であ
り、
前記電動送風機および前記制御部を内蔵する駆動部と前記集塵部とを有する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または接続パイプを介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、底部に前記吸込口が設けられた筐体と、前記筐体における前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記筐体内に設けられた前記一対の駆動モータとを有し、
前記掃除機本体または前記接続パイプは、操作部を有しており、
前記制御部は、運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であり、
前記電動送風機および前記制御部を内蔵する駆動部と前記集塵部とを有する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または接続パイプを介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、底部に前記吸込口が設けられた筐体と、前記筐体における前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記筐体内に設けられた前記一対の駆動モータとを有し、
前記掃除機本体または前記接続パイプは、操作部を有しており、
前記制御部は、運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのうちの少なくとも一方の回転数が変化した後、前記一対の回転ブラシのそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であり、
前記電動送風機および前記制御部を内蔵する駆動部と前記集塵部とを有する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または接続パイプを介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、底部に前記吸込口が設けられた筐体と、前記筐体における前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記筐体内に設けられた前記一対の駆動モータとを有し、
前記掃除機本体または前記接続パイプは、操作部を有しており、
前記制御部は、
運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのそれぞれの回転数の変化タイミングおよびそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であり、
前記電動送風機と前記集塵部と前記制御部とを有すると共に、底部に前記吸込口を有する床面上を走行可能な筐体を備え、
前記筐体は、前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記一対の駆動モータとを有し、
前記筐体は、前記筐体に設けられた操作部または前記筐体とは別体の操作部によって操作可能であり、
前記制御部は、
運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項5】
吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であり、
前記電動送風機と前記集塵部と前記制御部とを有すると共に、底部に前記吸込口を有する床面上を走行可能な筐体を備え、
前記筐体は、前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記一対の駆動モータとを有し、
前記筐体は、前記筐体に設けられた操作部または前記筐体とは別体の操作部によって操作可能であり、
前記制御部は、
運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのうちの少なくとも一方の回転数が変化した後、前記一対の回転ブラシのそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項6】
吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であり、
前記電動送風機と前記集塵部と前記制御部とを有すると共に、底部に前記吸込口を有する床面上を走行可能な筐体を備え、
前記筐体は、前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記一対の駆動モータとを有し、
前記筐体は、前記筐体に設けられた操作部または前記筐体とは別体の操作部によって操作可能であり、
前記制御部は、
運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのそれぞれの回転数の変化タイミングおよびそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項7】
前記制御部は、前記所定の操作の開始から
前記所定制御時間の間、前記電動送風機の駆動を維持しながら前記一対の駆動モータのそれぞれを制御する、請求項
1~6のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記制御部は、前記一対の回転ブラシについての前記変化タイミングの先後順または前記停止タイミングの先後順が、前記所定の操作が所定回数行われる毎に交互に変わるように制御する、請求項
3または6に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記制御部は、前記所定の操作の開始から
前記所定制御時間の間、出力を増加させるように前記電動送風機を制御する、請求項
1~8のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記所定の操作が運転停止操作であり、
前記制御部は、前記所定制御時間経過後に運転を停止させるよう前記電動送風機を制御する、請求項
1~9のいずれか1つに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機として、例えば、特許文献1では、吸込口体の吸込口の左右中間位置に仕切り部が設けられ、この仕切り部の左右側に一対の回転ブラシが回転可能に設けられ、仕切り部の内部に設けられた動力伝達機構を介して駆動モータによって一対の回転ブラシを回転させるように構成された電気掃除機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気掃除機では、一対の回転ブラシに巻き付いた繊維状ダストが仕切り部側へ移動して絡みついた場合、ユーザが絡みついた繊維状ダストを解しながら取り除かなければならない。
【0005】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能である、ことを特徴とする電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機によれば、一対の回転ブラシの間の隙間部に繊維状ダストが溜まりにくくなるため、吸込口体のメンテナンスにかかる手間を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態の電気掃除機を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の電気掃除機における吸込口体の底面側を示す一部端面底面図である。
【
図4】第2実施形態の電気掃除機の底面側を示す一部端面底面図である。
【
図5】第2実施形態の電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】他の実施形態の電気掃除機における吸込口体の上方から視た概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0010】
本発明の電気掃除機は、少なくとも構成要素として、吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、電動送風機にて吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、一対の駆動モータおよび電動送風機を制御可能な制御部とを備える。
これらの構成要素を備える電気掃除機としては、ユーザが使用することによって掃除が行われる非自走式の電気掃除機と、自律的に掃除を行う自走式の電気掃除機とが含まれ、非自走式の電気掃除機としてはハンディ型、スティック型、キャニスター型、アップライト型等が含まれる。
以下、各種態様の電気掃除機について具体的に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の電気掃除機を示す斜視図であり、
図2は第1実施形態の電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
【0012】
図1と
図2に示すように、第1実施形態の電気掃除機1は、スティック型のコードレス電気掃除機であり、バッテリ40を備えた掃除機本体10と、掃除機本体10と接続パイプとしての延長管60を介して接続される吸込口体70とを備える。なお、この電気掃除機1は、延長管60を介さずに吸込口体70を直接掃除機本体10に接続してハンディ型として使用することもできる。
【0013】
詳しく説明すると、掃除機本体10は、駆動部としての駆動装置20と、駆動装置20に着脱可能に装着される集塵部としての集塵装置30とを備える。
駆動装置20は、電動送風機11や制御部12を構成する回路基板等を収納する電気部品収納部21aと、電気部品収納部21aに連設されたハンドル部21b、バッテリ装着部21cおよびとパイプ部21dと、ハンドル部21bに連設された操作部21eとを有する。
【0014】
また、操作部21eには複数のスイッチ21ea、21eb、21ecが設けられている。なお、電気掃除機1全体の電気制御系および複数のスイッチ21ea、21eb、21ecについて詳しくは後述する。
【0015】
集塵装置30は、集塵容器30aと、集塵容器30aと着脱可能なフィルタ部30bとを有するサイクロン方式の集塵装置であり、駆動装置20のパイプ部21dに沿って着脱可能に装着される。
【0016】
延長管60は、管本体61と、管本体61に沿って設けられた図示しない導電ケーブルとを備える。
延長管60に吸込口体70を接続した状態において、延長管60の導電ケーブルはバッテリ40から吸込口体70の後述の第1駆動モータ74および第2駆動モータ75(
図2参照)へ電力を供給可能である。
【0017】
〈吸込口体について〉
図3は第1実施形態の電気掃除機における吸込口体の底面側を示す一部端面底面図である。なお、
図1と
図3において、吸込口体70を使用するユーザから視た吸込口体70の前後左右上下方向を矢印にて示している。吸込口体70の構造をこれに基づいて説明する。
【0018】
吸込口体70は、底部71qに吸込口71aが設けられた筐体(吸込口本体)71と、筐体71における吸込口71aの左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた基端部72a、73aをそれぞれ有する第1回転ブラシ72および第2回転ブラシ73と、筐体71内に設けられた第1回転ブラシ72用の第1駆動モータ74および第2回転ブラシ73用の第2駆動モータ75と、第1駆動モータ74の回転力を第1回転ブラシ72に伝達する第1動力伝達機構76と、第2駆動モータ75の回転力を第2回転ブラシ73に伝達する第2動力伝達機構77とを有する。
【0019】
第1および第2回転ブラシ72、73は、それらの先端部72b、73bの間に隙間部71sが設けられるように対向すると共に、それらの基端部72a、73aから先端部72b、73bに向かって細くなる略円錐台形に形成されている。なお、
図3に示すように、第1および第2回転ブラシ72、73のそれぞれは、円錐台形の芯部72k、73kの外周部に2点鎖線で示す複数のブラシ72v、73vが螺旋方向に延びて設けられることにより構成されている。
【0020】
この吸込口体70は、このような一対の第1および第2回転ブラシ72、73を個別に回転制御可能として備えることにより、次のような清掃が可能となる。
清掃中に吸込口体70の第1および第2回転ブラシ72、73に巻き付いた繊維状ダストの大部分は、第1および第2回転ブラシ72、73が回転する(例えば、左側から視て反時計回りに回転する)ことによって先端部72b、73b側の隙間部71sへ移動するため吸引除去可能である。なお、繊維状ダストには、糸屑、髪の毛、動物(ペット)の毛等が含まれる。
【0021】
また、隙間部71sに集まった繊維状ダストが毛玉となって隙間部71sに挟まり吸引除去しにくくなった場合でも、第1および第2回転ブラシ72、73の状態が異なるよう第1および第2駆動モータ74、75を制御可能であるため、この制御によって毛玉が隙間部71sから抜けやすくなって吸引除去されやすくなる。つまり、例えば、第1および第2回転ブラシ72、73について、それらの停止タイミングを異ならせる、回転数を異ならせる、回転数の上昇タイミングを異ならせるなどして、一対の回転ブラシの状態が異なるようする。これにより、隙間部に挟まった毛玉が捻じられて各回転ブラシの先端部から抜け(離れ)やすくなり、その結果、吸引除去されやすくなる。なお、第1および第2駆動モータ74、75の制御について詳しくは後述する。
【0022】
さらに、本実施形態の場合、第1回転ブラシ72の回転軸心P1と第2回転ブラシ73の回転軸心P2とは、左右方向の同一軸心上には設けられておらず、それらの回転軸心P1、P2の先端側が基端側よりも少し前方に位置するように交わっている。このように各回転軸心P1、P2を配置することにより、吸込口体70の筐体71の前端71bに第1および第2回転ブラシ72、73のブラシ72v、73vを接近させて前端71b付近のダストを第1および第2回転ブラシ72、73にて吸込口71a内へ掻き込むことができる。
【0023】
第1動力伝達機構76は、第1回転ブラシ72を回転軸心P1を中心として回転可能に筐体71に枢支する支軸76aと、支軸76aに固定された第1プーリ76bと、第1駆動モータ74の出力軸に固定された第2プーリ76cと、第1プーリ76bと第2プーリ76cとを連結するタイミングベルト76dとを有する。
第2動力伝達機構77は、第2回転ブラシ73を回転軸心P2を中心として回転可能に筐体71に枢支する支軸77aと、支軸77aに固定された第1プーリ77bと、第2駆動モータ75の出力軸に固定された第2プーリ77cと、第1プーリ77bと第2プーリ77cとを連結するタイミングベルト77dとを有する。
なお、第1および第2動力伝達機構76、77は、プーリ・ベルト方式に限定されず、複数のギアを含むギア方式であってもよい。
【0024】
また、吸込口体70において、筐体71の底部71qの後端には後輪80が設けられると共に、底部71qの吸込口71aの後方には床面検知スイッチ81が設けられている。床面検知スイッチ81は、吸込口体70が床面から浮き上がると第1および第2駆動モータ74、75の駆動を停止させるものである。なお、床面検知スイッチ81は、吸込口体70が床面から浮き上がると電動送風機11も停止させるものであってもよい。
【0025】
また、
図1に示すように、吸込口体70は、吸込口本体である筐体71の後部に前後方向の軸心を中心として回転可能に設けられた関節部71Jと、関節部71Jの後部に左右方向の軸心を中心として回転可能に設けられた接続パイプ部71Pとを備える。なお、吸込口体70の内部において、吸込口71aから接続パイプ部71Pの内部までの間はダストを含む空気が流れる通風路となっている。
【0026】
〈電気掃除機の動作および動作を制御する電気制御系について〉
図1~3に示すように、電気掃除機1では、電動送風機11のファンが回転することにより、吸込口71aから外気をダストと一緒に電気掃除機1内に吸込み、床、畳、絨毯などの被掃除面を掃除することができる。吸込口71aから電気掃除機1内に吸い込んだ空気は、空気流路を流れ集塵装置30に流入し、空気と共に吸い込んだダストは集塵容器30a内に集塵され、空気中のダストが取り除かれる。集塵容器30aからフィルタ部30bを通過した後の空気は、駆動装置20の電機部品収納部21aに設けられた図示しない排気口から排出される。
【0027】
電気掃除機1の吸引力は、制御部12に設けられた第1調節部13により電源部14から電源回路17を介して電動送風機11のモータに供給する電力又は電流を調節しファンの回転数を調節することにより制御することができる。
また、第1回転ブラシ72の回転数は、制御部12に設けられた第2調節部15により電源部14から電源回路17を介して第1駆動モータ74に供給する電力又は電流を調節することにより制御することができる。
また、第2回転ブラシ73の回転数は、制御部12に設けられた第3調節部16により電源部14から電源回路17を介して第2駆動モータ75に供給する電力又は電流を調節することにより制御することができる。
【0028】
電源部14は、直流電源部であってもよく、交流電源部であってもよい。また、電源部14は、電力線により制御部12と接続し、制御部12を介して電動送風機11などに電力を供給することができる。
電源部14が直流電源部である場合、電源部14はバッテリ40を備えることができ、バッテリ40から直流電力を電動送風機11などに供給することができる。バッテリ40の種類は、充放電が可能な二次電池であれば特に限定されないが、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などである。また、制御部12は、バッテリ40の放電又は充電を制御するように設けられた電源回路17を備えることができる。
【0029】
電源部14が交流電源部である場合、電源部14は電源コードを介してコンセントから供給される交流電流を利用した電源部とすることができる。この交流電源部から交流電力又はAC-DCコンバータで変換した直流電力を電動送風機11などに供給することができる。
【0030】
操作部21eは、ユーザが電気掃除機1のオン・オフ、運転モードの切り替えなどの操作を行うことができるように設けられた部分であり、複数のスイッチ21ea、21eb、21ecを有している。操作部21eは、信号線などにより制御部12に接続することができる。ユーザがいずれかのスイッチのボタンを押すと、制御部12はボタンが押されたことを検出し電気掃除機1を制御する。
【0031】
電気掃除機1は、例えば、低吸引力モード、高吸引力モード、自動切り替えモードなどの運転モードを有することができ、複数のスイッチ21ea、21eb、21ecは、低吸引力モードでの運転を行うための弱運転ボタン、高吸引力モードでの運転を行うための強運転ボタン、自動切り替えモードで運転を行うための自動運転ボタンなどの運転モード切り替えボタン、切ボタンなどを備える。電気掃除機1の運転が停止している際にユーザが運転モード切り替えボタンを押圧することで電気掃除機1は押されたボタンのモードにあわせて運転を開始する。なお、あるモードで運転中に別モードのボタンを押すと、新たに押されたモードで運転を継続する。切ボタンを押圧することで運転を停止する。また、操作部21eは、スマートフォンなどの外部機器を利用して電気掃除機1を操作する部分であってもよい。運転モードが、例えば、低吸引力モード、自動切り替えモード、高吸引力モードを含む場合、ユーザは、操作部21eを用いてこれらの運転モードのうちいずれか1つに切り替えることができる。
操作部21eは、ユーザがハンドル部21bを握った状態で親指を使って複数のスイッチ21ea、21eb、21ecのボタンを押すことができる位置に配置することができる。
【0032】
制御部12は、電気掃除機1を制御する部分であり、例えば、演算部、記憶部18、第1調節部13、第2調節部15などを有する。制御部12は、制御モジュール19を有することができる。制御モジュール19は、例えば、演算部、記憶部18、タイマー、入出力ポートなどを有するマイクロコントローラである。演算部は、例えば、CPU、GPU、FPGAなどである。記憶部18は、マスクROM, EPROM, EEPROM, フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)などのROMと、FeRAM, SRAM, DRAMなどのRAMを含むことができる。
制御部12は、複数の制御基板から構成されてもよい。これらの複数の制御基板は信号線又は電力線で接続することができる。制御部12は、例えば、電動送風機用駆動回路を備えた制御基板、回転ブラシ用駆動回路を備えた制御基板、電源回路17を備えた制御基板、マイクロコントローラなどから構成される。また、これらの回路などは、同じ制御基板に搭載されていてもよい。
【0033】
制御部12の記憶部18には、電気掃除機1を制御するための制御ソフトウェアがインストールされている。制御ソフトウェアは制御システムを含むことができる。また、制御ソフトウェアは、電動送風機11、第1および第2駆動モータ74、75、電源回路17、第1~第3調節部13、15、16、操作部21eなどを制御するファームウェアを含むことができる。また、ファームウェアは、電動送風機11、第1および第2駆動モータ74、75、電源回路17、第1~第3調節部13、15、16、操作部21eなどの一部とみなすこともできる。制御ソフトウェアは、第1調節部13を用いて電動送風機11に供給する電力又は電力を調節するための制御パラメータ、第2調節部15を用いて第1駆動モータ74に供給する電力又は電力を調節するための制御パラメータ、および第3調節部16を用いて第2駆動モータ75に供給する電力又は電力を調節するための制御パラメータを含むことができる。記憶部18が運転モードごとにこれらの制御パラメータの設定値を記憶している。
【0034】
第1調節部13は、例えば、電動送風機用駆動回路の一部である。第1調節部13は、トランジスタを有するPWM回路を含むことができる。このトランジスタのオンオフを繰り返す周期又はデューティー比を調節することにより、電源部14から電動送風機11に供給する電力を調節することができる。また、第1調節部13は、電源部14から電動送風機11への電力の供給を停止するように設けることができる。また、第1調節部13は、双方向サイリスタを有する位相制御回路を含んでもよい。
【0035】
第1調節部13は、例えば、安定運転時において、記憶部18に記憶している設定値を制御パラメータに設定して電動送風機11へ供給する電力又は電流を調節(制御)することができる。制御パラメータは、例えば、電動送風機11の回転数、電動送風機11へ供給する電力値又は電動送風機11を流れる電流値とすることができる。この制御パラメータの設定値は、運転モードごとに設定することができ、記憶部18が記憶している。また、第1調節部13は、制御パラメータに対応する測定値に基づきフィードバック制御をすることができる。
【0036】
制御部12は、電源部14から第1回転ブラシ72を回転させる第1駆動モータ74に供給する電力又は電流を調節するように設けられた第2調節部15を有することができる。この第2調節部15を用いて第1回転ブラシ72の回転数を調節することができる。
第2調節部15は、トランジスタを有するPWM回路を含むことができる。このトランジスタのオンオフを繰り返す周期又はデューティー比を調節することにより、電源部14から第1駆動モータ74に供給する電力を調節することができる。また、第2調節部15は、電源部14から第1駆動モータ74への電力の供給を停止するように設けることができる。
また、第2調節部15は、双方向サイリスタを有する位相制御回路を含んでもよい。
第2調節部15は、例えば、安定運転時において第1駆動モータ74の回転数が実質的に一定となるように第1駆動モータ74へ供給する電力又は電流を調節することができる。
【0037】
第2調節部15は、例えば、安定運転時において、記憶部18に記憶している設定値を制御パラメータに設定して第1駆動モータ74へ供給する電力又は電流を調節することができる。制御パラメータは、例えば、第1駆動モータ74の回転数、第1駆動モータ74へ供給する電力値又は第1駆動モータ74を流れる電流値とすることができる。この制御パラメータの設定値は、運転モードごとに設定することができ、記憶部18が記憶している。
また、第2調節部15は、制御パラメータに対応する測定値に基づきフィードバック制御をすることができる。
【0038】
制御部12は、電源部14から第2回転ブラシ73を回転させる第2駆動モータ75に供給する電力又は電流を調節するように設けられた第3調節部16を有することができる。この第3調節部16を用いて第2回転ブラシ73の回転数を調節することができる。
第3調節部16は、トランジスタを有するPWM回路を含むことができる。このトランジスタのオンオフを繰り返す周期又はデューティー比を調節することにより、電源部14から第2駆動モータ75に供給する電力を調節することができる。また、第3調節部16は、電源部14から第2駆動モータ75への電力の供給を停止するように設けることができる。
また、第3調節部16は、双方向サイリスタを有する位相制御回路を含んでもよい。
第3調節部16は、例えば、安定運転時において第2駆動モータ75の回転数が実質的に一定となるように第2駆動モータ75へ供給する電力又は電流を調節することができる。
【0039】
第3調節部16は、例えば、安定運転時において、記憶部18に記憶している設定値を制御パラメータに設定して第2駆動モータ75へ供給する電力又は電流を調節することができる。制御パラメータは、例えば、第2駆動モータ75の回転数、第2駆動モータ75へ供給する電力値又は第2駆動モータ75を流れる電流値とすることができる。この制御パラメータの設定値は、運転モードごとに設定することができ、記憶部18が記憶している。
また、第3調節部16は、制御パラメータに対応する測定値に基づきフィードバック制御をすることができる。
【0040】
また、本実施形態において、制御部12は、前記のように第1および第2回転ブラシ72、73の間の隙間部71sに挟まった繊維状ダストの毛玉の吸引除去のために、運転中に操作部21eによる所定の操作が行われると、第1回転ブラシ72および第2回転ブラシ73の状態が異なるように第1駆動モータ74および第2駆動モータ75をそれぞれ異なる状態に個別に制御可能とされている。
【0041】
運転中の操作部21eによる所定の操作は、清掃終了時に行われる運転停止操作と、清掃中に行われる毛玉除去操作とを含むことができる。
本実施形態では、操作部21eに3つのスイッチ21ea、21eb、21ecが設けられており、例えば、スイッチ21eaは「運転/停止スイッチ」であり、スイッチ21ebは「ハイパワーモードスイッチ」であり、スイッチ21ecは「毛玉除去モードスイッチ」である。なお、これらのスイッチ21ea、21eb、21ecの配置順は
図1に示された配置順に限定されるものではなく自由に設定可能である。
【0042】
スイッチ21ea(運転/停止スイッチ)は、運転停止中に押されると通常運転モードに切り替え、運転中に再度押されると(すなわち、運転停止操作すると)運転停止モードに切り替えるスイッチであり、このように通常運転モードと運転停止モードを交互に切り替える。
通常運転モードでは、電動送風機11、第1および第2駆動モータ74、75が通常の出力で駆動する。
また、運転停止モードでは、後述するように所定制御時間の間に毛玉除去が行われ、所定制御時間経過すると運転が停止する。なお、「所定制御時間」について詳しくは後述する。
【0043】
スイッチ21eb(ハイパワーモードスイッチ)は、運転中に押されると電動送風機11の出力を通常出力よりも増加(例えば1.3~1.5倍程度に増加)させるハイパワーモードに切り替えるスイッチであり、再度押されると通常出力に切り替え、このようにハイパワーモードと通常モードを交互に切り替える。なお、ハイパワーモードでは、第1および第2駆動モータ74、75の出力(回転数)を通常出力よりも増加(例えば1.3~1.5倍程度に増加)させるようにしてもよい。
【0044】
スイッチ21ec(毛玉除去モードスイッチ)は、運転中に押されると後述するように所定制御時間の間に毛玉除去を行う毛玉除去モードに切り替えるスイッチである。なお、毛玉除去モード開始から所定制御時間経過すると通常運転に戻るように設定されている。
【0045】
制御部12は、ユーザが各スイッチ21ea、21eb、21ecを押すと電動送風機11、第1および第2駆動モータ74、75が前記の各モードに応じた状態となるように駆動(出力状態)と停止を制御する。
【0046】
特に、この電気掃除機1においては、運転中にスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)またはスイッチ21ec(毛玉除去モードスイッチ)が押されると、制御部12は、前述のように第1および第2回転ブラシ72、73の間の隙間部71sに挟まった繊維状ダストの毛玉の吸引除去のために、第1回転ブラシ72および第2回転ブラシ73の状態が異なるように第1駆動モータ74および第2駆動モータ75をそれぞれ異なる状態に個別に制御する。
【0047】
次に、
図1~3を参照しながら、運転中にスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)が押されたときの毛玉除去動作を含む運転停止モードについて説明する。
毛玉除去動作を含む運転停止モード(以下、単に「運転停止モード」という場合がある)は、以下の表1~4で示すように複数の運転停止モードが挙げられる。なお、表1~4で示された時間(秒数)は一例であり、任意の時間に設定することができる。
【0048】
<第1の運転停止モード>
まず、表1に示す第1の運転停止モードについて説明すると、第1の運転停止モードでは、制御部12は、所定の操作の開始から所定制御時間の間、電動送風機11の駆動を維持しながら第1および第2駆動モータ74、75を制御する。
【0049】
つまり、第1の運転停止モードでは、通常運転モードまたはハイパワーモードでの運転中にスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作をすると、この操作の開始から所定制御時間である1~2秒の間、電動送風機11は通常出力で駆動し、所定制御時間が経過すると電動送風機11が停止する。
また、この操作をすると、第1駆動モータ74および第1回転ブラシ72が停止する。
また、この操作をすると、第2駆動モータ75および第2回転ブラシ73は通常回転数(通常出力)で0.5秒回転した後に停止する。
「所定制御時間」とは、このように(例えば、表1のように)予め記憶した毛玉除去に関するプログラムにしたがって電動送風機11、第1駆動モータ74および第2駆動モータ75の駆動と停止を制御部12が制御する期間であり、表1の場合は第1の運転停止モードを実行する期間である。なお、以下で説明する各種の運転停止モードおよび毛玉除去モードにおいても同様である。
【0050】
【0051】
このように、第1の運転停止モードでは、電動送風機11が通常出力で駆動している間、第1回転ブラシ72が先に停止し第2回転ブラシ73が後に停止するように(すなわち、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73の状態が異なるように)、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75とは異なる状態に制御部12にて制御される。なお、第1および第2回転ブラシ72、73の停止タイミングの先後順は逆であってもよい。
【0052】
制御部12によるこのような制御によって、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73との間の隙間部71sに集まった繊維状ダストが毛玉となって隙間部71sに挟まり吸引除去しにくくなった場合でも、第1および第2回転ブラシ72、73の停止タイミングを異ならせる(ずらす)ことにより、隙間部71sに挟まった毛玉が捻じられて第1および第2回転ブラシ72、73の先端部72b、73bから抜け(離れ)やすくなり、その結果、吸引除去されやすくなる。
【0053】
また、この第1の運転停止モードでは、制御部12は、第1および第2回転ブラシ72、73についての停止タイミングの先後順が、運転停止するときのスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作が所定回数行われる毎に(例えば、1回毎、2回毎等に)交互に変わるように制御してもよい。
【0054】
<第2の運転停止モード>
次に、表2に示す第2の運転停止モードについて説明すると、第2の運転停止モードでは、制御部12は、所定の操作の開始から所定制御時間の間、第1および第2回転ブラシ72、73のうちの少なくとも一方の回転数が変化した後、第1および第2回転ブラシ72、73の停止タイミングが異なるように第1および第2駆動モータ74、75を制御する。
【0055】
つまり、第2の運転停止モードでは、通常運転モードまたはハイパワーモードでの運転中にスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作をすると、この操作の開始から所定制御時間である1~2秒の間、電動送風機11は通常出力で駆動し、所定制御時間が経過すると電動送風機11が停止する。
また、この操作をすると、第1駆動モータ74および第1回転ブラシ72は通常回転数(通常出力)よりも高回転数(例えば、通常回転数の1.3~1.5倍程度)で0.5秒回転した後に停止する。
また、この操作をすると、第2駆動モータ75および第2回転ブラシ73は通常回転数(通常出力)よりも高回転数(例えば、通常回転数の1.3~1.5倍程度)で1.0秒回転した後に停止する。
【0056】
【0057】
このように、第2の運転停止モードでは、電動送風機11が通常出力で駆動している間、第1および第2回転ブラシ72、73は共に回転数が増加するが、第1回転ブラシ72が先に停止し第2回転ブラシ73が後に停止するように(すなわち、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73の状態が異なるように)、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75とは異なる状態に制御部12にて制御される。なお、第1および第2回転ブラシ72、73の停止タイミングの先後順は逆であってもよい。
【0058】
制御部12によるこのような制御によっても、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73との間の隙間部71sに挟まった毛玉が捻じられて第1および第2回転ブラシ72、73の先端部72b、73bから抜け(離れ)やすくなり、その結果、吸引除去されやすくなる。
【0059】
また、この第2の運転停止モードでは、制御部12は、第1および第2回転ブラシ72、73についての停止タイミングの先後順が、運転停止するときのスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作が所定回数行われる毎に(例えば、1回毎、2回毎等に)交互に変わるように制御してもよい。
【0060】
<第3の運転停止モード>
次に、表3に示す第3の運転停止モードについて説明すると、第3の運転停止モードでは、制御部12は、所定の操作の開始から所定制御時間の間、第1および第2回転ブラシ72、73の回転数の変化タイミングおよび停止タイミングが異なるように第1および第2駆動モータ74、75を制御する。
【0061】
つまり、第3の運転停止モードでは、通常運転モードまたはハイパワーモードでの運転中にスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作をすると、この操作の開始から所定制御時間である1~2秒の間、電動送風機11は通常出力で駆動し、所定制御時間が経過すると電動送風機11が停止する。
また、この操作をすると、第1駆動モータ74および第1回転ブラシ72は通常回転数(通常出力)よりも高回転数(例えば、通常回転数の1.3~1.5倍程度)で0.5秒回転した後に停止する。
また、この操作をすると、第2駆動モータ75および第2回転ブラシ73は通常回転数(通常出力)で0.5秒回転した後、通常回転数よりも高回転数(例えば、通常回転数の1.3~1.5倍程度)で0.5秒回転し、その後停止する。
【0062】
【0063】
このように、第3の運転停止モードでは、電動送風機11が通常出力で駆動している間、先に第1回転ブラシ72の回転数が増加し、その後で第2回転ブラシ73の回転数が増加するとほぼ同時に第1回転ブラシ72が停止し、その後で第2回転ブラシが停止するように(すなわち、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73の状態が異なるように)、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75とは異なる状態に制御部12にて制御される。なお、第1および第2回転ブラシ72、73の回転数の変化タイミングの先後順および停止タイミングの先後順は逆であってもよい。
【0064】
制御部12によるこのような制御によっても、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73との間の隙間部71sに挟まった毛玉が捻じられて第1および第2回転ブラシ72、73の先端部72b、73bから抜け(離れ)やすくなり、その結果、吸引除去されやすくなる。
【0065】
また、この第3の運転停止モードでは、制御部12は、第1および第2回転ブラシ72、73についての回転数の変化タイミングの先後順および停止タイミングの先後順が、運転停止するときのスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作が所定回数行われる毎に(例えば、1回毎、2回毎等に)交互に変わるように制御してもよい。
【0066】
<第4の運転停止モード>
次に、表4に示す第4の運転停止モードについて説明すると、第4の運転停止モードでは、制御部12は、所定の操作の開始から所定制御時間の間、出力を増加させるように電動送風機11を制御する。
【0067】
つまり、第4の運転停止モードでは、通常運転モードまたはハイパワーモードでの運転中にスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作をすると、この操作の開始から所定制御時間である1~2秒の間、電動送風機11は通常出力よりも高出力(例えば、通常出力の1.3~1.5倍程度)で駆動し、所定制御時間が経過すると電動送風機11が停止する。
また、この操作をすると、第1駆動モータ74および第1回転ブラシ72は通常回転数(通常出力)よりも高回転数(例えば、通常回転数の1.3~1.5倍程度)で0.5秒回転した後に停止する。
また、この操作をすると、第2駆動モータ75および第2回転ブラシ73は通常回転数(通常出力)で0.5秒回転した後、通常回転数よりも高回転数(例えば、通常回転数の1.3~1.5倍程度)で0.5秒回転し、その後停止する。
【0068】
【0069】
このように、第4の運転停止モードでは、電動送風機11が高出力で駆動している間、先に第1回転ブラシ72の回転数が増加し、その後で第2回転ブラシ73の回転数が増加するとほぼ同時に第1回転ブラシ72が停止し、その後で第2回転ブラシが停止するように(すなわち、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73の状態が異なるように)、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75とは異なる状態に制御部12にて制御される。なお、第1および第2回転ブラシ72、73の回転数の変化タイミングの先後順および停止タイミングの先後順は逆であってもよい。
【0070】
制御部12によるこのような制御によっても、第1回転ブラシ72と第2回転ブラシ73との間の隙間部71sに挟まった毛玉が捻じられて第1および第2回転ブラシ72、73の先端部72b、73bから抜け(離れ)やすくなり、その結果、吸引除去されやすくなる。特に、第4の運転停止モードでは、電動送風機11がハイパワーモードのときのように強い吸引力にて毛玉を吸引できるため、毛玉の吸引除去効果が高くなる。
【0071】
なお、この第4の運転停止モードでは、第3の運転停止モードと同様に、制御部12は、第1および第2回転ブラシ72、73についての回転数の変化タイミングの先後順および停止タイミングの先後順が、運転停止するときのスイッチ21ea(運転/停止スイッチ)を押す操作が所定回数行われる毎に(例えば、1回毎、2回毎等に)交互に変わるように制御してもよい。
【0072】
<他の運転停止モード>
1.第4の運転停止モードにおいて、第1駆動モータ74(第1回転ブラシ72)および第2駆動モータ75(第2回転ブラシ73)の回転数の変化タイミングや停止タイミングは、第1~3の運転停止モードに準じて制御してもよい。
2.第2~4の運転停止モードにおいて、第1駆動モータ74(第1回転ブラシ72)および第2駆動モータ75(第2回転ブラシ73)の回転数の変化タイミングでは、通常回転数よりも低回転(例えば、通常回転数の0.8~0.5倍程度)であってもよい。
3.第1~4の運転停止モードにおいて、第1および第2駆動モータ74、75が異なる状態に制御されて毛玉除去動作を行っている間、電動送風機11は停止状態にあってもよい。この場合、毛玉除去動作が終了した後に、例えば1~2秒間電動送風機11が通常出力または高出力で駆動し、その後停止するように制御することが好ましい。
【0073】
4.第1~4の運転停止モードにおいて、第1および第2駆動モータ74、75の回転は、通常運転時とは逆方向の回転であってもよい。
例えば、第1~第4の運転停止モードにおいて、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75の回転方向は通常運転モードと同じ方向の回転であるが、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75の回転方向は運転停止モード時において通常運転モードと逆方向の回転であってもよい。
あるいは、第1~第4の運転停止モードにおいて、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75のいずれか一方の回転方向は通常運転モードと同じ方向の回転とし、他方は通常運転モードと逆方向の回転としてもよい。
あるいは、第1~第4の運転停止モードにおいて、一定時間が経過するまでは通常運転モードと同じ方向の回転とし、一定時間が経過すると通常運転モードと逆方向の回転となるようにしてもよいし、一定時間が経過するまでは通常運転モードと逆方向の回転とし、一定時間が経過すると通常運転モードと同じ方向の回転となるようにしてもよい。なお、第1駆動モータ74と第2駆動モータ75のいずれか一方または両方がこのように制御されてもよく、さらには第1駆動モータ74と第2駆動モータ75とが互いに逆方向に回転するようにしてもよい。
このように、第1~4の運転停止モードにおいて、第1および第2駆動モータ74、75の回転方向は、通常時とは逆方向の回転を含んでいてもよい。
【0074】
<毛玉除去モード>
次に、
図1~3を参照しながら、運転中にスイッチ21ec(毛玉除去モードスイッチ)が押されたときの毛玉除去動作をについて説明する。
毛玉除去モードでは、通常運転モードまたはハイパワーモードで清掃しているときにスイッチ21ec(毛玉除去モードスイッチ)が押されると、第1~4の運転停止モードおよび他の運転停止モードで説明した動作制御(電動送風機11、第1および第2駆動モータ74、75の動作制御)が所定制御時間行われ、所定制御時間が経過すると運転を停止するのではなく、再び通常運転モードまたはハイパワーモードに戻って掃除を継続可能とする。
【0075】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態の電気掃除機の底面側を示す一部端面底面図であり、
図5は第2実施形態の電気掃除機の電気的構成を示すブロック図である。
第2実施形態の電気掃除機101は、自律的に掃除を行う自走式の電気掃除機である。なお、
図4において、床面清掃時の状態視た電気掃除機101の前後左右方向を矢印にて示している。電気掃除機101の構造をこれに基づいて説明する。
【0076】
第2実施形態の電気掃除機101は、
図4と
図5を参照しながら説明すると、電動送風機111と集塵装置(不図示)と制御部112とバッテリとを内蔵し、底部171bに吸込口171aを有する床面上を走行可能な筐体171を備える。バッテリは、筐体171に電力を供給する電源部114である。なお、
図4では、筐体171は、平面視円形の外郭を有しているが、平面視略三角形または略四角形等の外郭を有するものであってもよい。
【0077】
筐体171は、吸込口171aの左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた基端部172a、173aをそれぞれ有する第1回転ブラシ172および第2回転ブラシ173と、第1回転ブラシ172を回転駆動する第1駆動モータ174および第2回転ブラシ173を回転駆動する第2駆動モータ175と、第1駆動モータ174の回転力を第1回転ブラシ172に伝達する第1動力伝達機構176および第2駆動モータ175の回転力を第2回転ブラシ173に伝達する第2動力伝達機構177とを有する。
【0078】
この自走式の電気掃除機101において、第1および第2回転ブラシ172、173の構成、第1および第2駆動モータ174、175の構成、第1および第2動力伝達機構176、177の構成等は、基本的に第1実施形態の電気掃除機1と同様である。なお、
図4では、第1および第2動力伝達機構176、177がプーリ・ベルト方式の場合を例示しているが、複数のギアを含むギア方式であってもよい。
【0079】
さらに、筐体171は、左駆動輪用モータ181にて正逆回転可能な左駆動輪182を有する左駆動輪ユニットと、右駆動輪用モータ183にて正逆回転可能な右駆動輪184を有する右駆動輪ユニットと、後輪185と、左右一対のサイドブラシ186と、複数の床面検知センサ187とが底部171bに設けられ、前方の障害物を検知する複数の超音波センサ188が外周部の前面側に設けられ、操作部121eが筐体171の上面に設けられている。なお、筐体171の上面には排気口(不図示)が設けられており、排気口と吸込口171aとは通風路にて接続されており、通風路における吸込口171aの近傍に集塵装置(不図示)が設けられ、通風路における集塵装置よりも気流方向の下流側に電動送風機111が設けられている。なお、左右一対のサイドブラシ186は、第1および第2駆動モータ174、175を動力源として回転するように構成されているが、専用のモータにて回転するように構成されてもよい。
【0080】
操作部121eは、電気掃除機101の所定の各種動作(例えば、ランダム走行モード、旋回走行モード等)を選択可能でありかつタイマー設定や吸引力設定等の各種設定が可能なスイッチを備える。なお、筐体171とは別体のリモートコントローラ(不図示)でも各種設定が可能であるように構成されている。リモートコントローラも各種設定が可能なスイッチを備えており、操作部121eに相当する。
【0081】
制御部112は、第1実施形態の電気掃除機1の制御部12と同様に、記憶部118等を含む制御モジュール119と、第1調節部113と、第2調節部115と、第3調節部116と、電源回路117とを備える。
【0082】
また、制御部112は、運転中に操作部121eによる所定の操作が行われると、第1実施形態の電気掃除機1の制御部12と同様に、第1および第2回転ブラシ172、173の状態が異なるように第1および第2駆動モータ174、175をそれぞれ異なる状態に個別に制御する。
【0083】
すなわち、この自走式の電気掃除機101においても、円錐台形の第1および第2回転ブラシ172、173の先端部172b、173bの方へ巻き付いた繊維状ダストが移動して吸引除去されるが、先端部172b、173bの間の隙間部171sに繊維状ダストの毛玉が挟まって吸引除去されにくくなる場合がある。そのため、第2実施形態でも第1実施形態と同様に、毛玉除去を行うことができる。
【0084】
つまり、自走式の電気掃除機101において、第1および第2回転ブラシ172、173の状態が異なるように第1および第2駆動モータ174、175をそれぞれ異なる状態に個別に制御する際は、第1実施形態で説明した毛玉除去モードでの毛玉除去と運転停止モードでの毛玉除去とを行うことができる。
【0085】
自走式の電気掃除機101の場合、毛玉除去モードでの毛玉除去は、ユーザが操作部121eを操作する、例えば、「毛玉除去スイッチ」を押すことにより毛玉除去モードに移行することにより行われる。なお、この場合、ユーザが操作部121eを操作することにより、自走式の電気掃除機101の運転が再開可能である。
【0086】
また、運転停止モードでの毛玉除去は、自走式の電気掃除機101が充電台に帰還する帰還モードに移行する直前あるいは移行直後での毛玉除去とすることができる。この場合、プログラムにより帰還モードに移行するときと、ユーザが操作部121eを操作することにより帰還モードに移行するときとが含まれる。
【0087】
さらに、この自走式の電気掃除機101においては、制御部112の記憶部118に予め記憶されたプログラムによって、例えば、所定の累積運転時間毎に、毛玉除去が行われるように制御することができる。
【0088】
(第3実施形態)
第1実施形態ではスティック型の電気掃除機1の掃除機本体10に操作部21eを設け(
図1参照)、操作部21eを操作すると、制御部12が吸込口体70の第1および第2回転ブラシ72、73が異なる状態となるように第1および第2駆動モータ74、75を個別に制御する場合を説明したが、このような制御はキャニスター型の電気掃除機においても同様に行うことができる。
この場合、キャニスター型の電気掃除機は、電動送風機および制御部を内蔵する駆動部と集塵部とを有する掃除機本体と、延長管および手元管からなる接続パイプを介して掃除機本体と接続される吸込口体とを備え、吸込口体は第1実施形態と同様に構成されると共に、手元管には第1実施形態と同様に構成された操作部が設けられる。また、このキャニスター型の電気掃除機においても、制御部によって第1実施形態と同様に第1および第2回転ブラシが異なる状態となるように第1および第2駆動モータを個別に制御すること、さらには電動送風機も含めて制御することが可能である。なお、この場合のキャニスター型の電気掃除機には、サイクロン方式、紙パック方式などの各種の集塵方式が含まれる。
【0089】
(他の実施形態)
図6は他の実施形態の電気掃除機における吸込口体の上方から視た概略断面図である。なお、
図6において、吸込口体270を使用するユーザから視た吸込口体270の前後左右上下方向を矢印にて示している。吸込口体270の構造をこれに基づいて説明する。
本実施形態の電気掃除機は、第1実施形態の電気掃除機1(
図1参照)とは、吸込口体270の構成および制御部の構成が異なる以外は、概ね第1実施形態と同様である。以下、本実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0090】
この吸込口体270は、底部271qに左右一対の吸込口271aが設けられた筐体(吸込口本体)271と、筐体271における吸込口271aに回転可能に設けられた左右一対の第1回転ブラシ272および第2回転ブラシ273と、筐体271内に設けられた第1および第2回転ブラシ272、273用の駆動モータ274と、駆動モータ274の回転力を第1および第2回転ブラシ272、273に伝達する動力伝達機構276とを有する。
【0091】
第1および第2回転ブラシ272、273のそれぞれは、円錐台形の芯部272k、273kの外周部に2点鎖線で示す複数のブラシ272v、273vが螺旋方向に延びて設けられることにより構成されている。なお、第1および第2回転ブラシ272、273は、それらの基端部272a、273aから先端部272b、273bに向かって細くなる略円錐台形に形成されている。
また、第1および第2回転ブラシ272、273は、それらの芯部272k、273kの基端部272a、273aが連結軸277によって左右方向の同一回転軸心P3を中心として一体回転可能に連結されている。
【0092】
筐体271の底部271q上において、左右一対の吸込口271aの間とその後部には、連結軸277を回転可能に支持すると共に、駆動モータ274および動力伝達機構276を収納するカバー部278が設けられている。このカバー部278によって第1および第2回転ブラシ272、273はそれぞれ片持ち梁状に軸支されている。なお、第1および第2回転ブラシ272、273のそれぞれの先端部272b、273bと、筐体271の左右の側壁271L、271Rとの間にはそれぞれ隙間部271s、271tが設けられている。
【0093】
動力伝達機構276は、駆動モータ274の出力軸に固定された第1プーリ276aと、カバー部278内の連結軸277に設けられた第2プーリ276bと、第1プーリ276aと第2プーリ276bとを連結するタイミングベルト276cとを有してなる。なお、動力伝達機構276は、プーリ・ベルト方式に限定されず、複数のギアを含むギア方式であってもよい。
【0094】
また、第1実施形態と同様に、吸込口体270は、吸込口本体である筐体271の後部に前後方向の軸心を中心として回転可能に設けられた関節部(不図示)と、関節部の後部に左右方向の軸心を中心として回転可能に設けられた接続パイプ部271Pとを備える。吸込口体270の内部において、左右一対の吸込口271aから接続パイプ部271Pの内部までの間はダストを含む空気が流れる通風路となっている。なお、
図6では、図示の簡略化のために、関節部の図示を省略しかつ筐体271と接続パイプ部271Pとが一体化された断面図で示されている。
【0095】
この吸込口体270は、第1および第2回転ブラシ272、273をそれらの基端部272a、273aで連結する連結軸277が、筐体271の左右方向のほぼ中間位置で枢支(軸支)されており、連結軸277を1つの駆動モータ274および1つの動力伝達機構276によって回転することにより第1および第2回転ブラシ272、273を一体回転可能としている。また、第1および第2回転ブラシ272、273は、互いに左右側に離れて位置するそれらの先端部272b、273bが細くなる円錐台形となっている。
【0096】
このように構成された吸込口体270にて繊維状ダストが付着した床面を清掃すると、回転する第1および第2回転ブラシ272、273に繊維状ダストが巻き付いたとしても、繊維状ダストは、第1および第2回転ブラシ272、273の基端部272a、273a側から先端部272b、273b側へ移動し、さらに先端部272b、273bから隙間部271s、271tへ移動して左右の吸込口271aから吸引された空気と共に接続パイプ部271Pへ吸引される。この際、カバー部278によって駆動モータ274および動力伝達機構276に繊維状ダストを含む各種ダストが付着しない。
【0097】
つまり、第1および第2回転ブラシ272、273の回転によって、床面から繊維状ダストが除去され、かつ、第1および第2回転ブラシ272、273からも繊維状ダストが自動的に除去される。したがって、ユーザによる第1および第2回転ブラシ272、273のメンテナンス(清掃作業)が軽減する。
【0098】
また、この吸込口体270では、筐体271の左右の側壁271L、271Rには第1および第2回転ブラシ272、273を軸支する部材を設ける必要がないため、左の吸込口271aの左端部を左の側壁271L近傍まで延ばし、かつ、右の吸込口271aの右端部を右の側壁271R近傍まで延ばすことができる。さらに、第1および第2回転ブラシ272、273の先端部272b、273bを左右の側壁271L、271R近傍まで延ばすことができる。したがって、吸込口体270の左右の側壁271L、271R側の吸込み性能、すなわち、床面上の壁際にあるダストの吸引除去性能が向上する。
【0099】
(まとめ)
以上に述べたように、
(1)本発明による電気掃除機は、吸込口に設けられた左右一対の回転ブラシと、前記一対の回転ブラシをそれぞれ個別に回転させる一対の駆動モータと、電動送風機と、前記電動送風機にて前記吸込口から吸引したダストを空気と共に集塵する集塵部と、前記一対の駆動モータおよび前記電動送風機を制御可能な制御部とを備え、
前記一対の回転ブラシは、それらの先端部の間に隙間部が設けられるように対向すると共に、それらの基端部から前記先端部に向かって細くなる略円錐台形に形成されており、
前記制御部は、前記一対の回転ブラシの状態が異なるように前記一対の駆動モータをそれぞれ異なる状態に個別に制御可能であるものである。
【0100】
この構成によれば、清掃中に吸込口体の左右一対の回転ブラシに巻き付いた繊維状ダストの大部分は、各回転ブラシが回転することによって先端部側の隙間部へ移動するため吸引除去可能である。
また、隙間部に集まった繊維状ダストが毛玉となって隙間部に挟まり吸引除去しにくくなった場合でも、一対の回転ブラシの状態が異なるように一対の駆動モータを制御可能であるため、この制御によって毛玉が隙間部から抜けやすくなって吸引除去されやすくなる。つまり、例えば、一対の回転ブラシについて、それらの停止タイミングを異ならせる、回転数を異ならせる、回転数の上昇タイミングを異ならせるなどして、一対の回転ブラシの状態が異なるようする。これにより、隙間部に挟まった毛玉が捻じられて各回転ブラシの先端部から抜け(離れ)やすくなり、その結果、吸引除去されやすくなる。
したがって、吸込口体のメンテナンス(各回転ブラシの清掃作業)にかかる手間を大幅に抑えることができる。なお、仮に隙間部に挟まった毛玉が吸引除去されない場合でも、毛玉をピンセット等で摘んで簡単に取り除くことができる。
また、この電気掃除機によれば、吸込口体の吸込口の左右中間位置には特許文献1のような仕切り部が存在しないため、吸込口の左右中間位置の開口面積が小さくならず、吸引性能を低下させることがない。
【0101】
また、本発明の電気掃除機は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(2)前記電動送風機および前記制御部を内蔵する駆動部と前記集塵部とを有する掃除機本体と、前記掃除機本体と直接または接続パイプを介して接続される吸込口体とを備え、
前記吸込口体は、底部に前記吸込口が設けられた筐体と、前記筐体における前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記筐体内に設けられた前記一対の駆動モータとを有し、
前記掃除機本体または前記接続パイプは、操作部を有しており、
前記制御部は、運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記一対の駆動モータをそれぞれ前記異なる状態に個別に制御してもよい。
この構成によれば、ハンディタイプ、スティックタイプ、キャニスタータイプ等の電気掃除機に本発明を適用することができる。また、電気掃除機の前記所定の操作は、例えば、操作部に設けられた「毛玉除去スイッチ」、「停止スイッチ」または「運転・停止スイッチ」を押すことであってもよい。なお、運転中、「毛玉除去スイッチ」を押すと、一対の回転ブラシが異なる状態となって毛玉除去動作した後、通常運転に戻り、「停止スイッチ」または「運転・停止スイッチ」を押すと、一対の回転ブラシが異なる状態となって毛玉除去動作した後、運転が停止する。
【0102】
(3)前記電動送風機と前記集塵装置と前記制御部とを有すると共に、底部に前記吸込口を有する床面上を走行可能な筐体を備え、
前記筐体は、前記吸込口の左側端部と右側端部に回転可能に取り付けられた前記基端部をそれぞれ有する前記一対の回転ブラシと、前記一対の駆動モータとを有し、
前記筐体は、前記筐体に設けられた操作部または前記筐体とは別体の操作部によって操作可能であり、
前記制御部は、運転中に前記操作部による所定の操作が行われると、前記一対の駆動モータをそれぞれ前記異なる状態に個別に制御してもよい。
この構成によれば、自走式の電気掃除機に本発明を適用することができる。また、電気掃除機の前記所定の操作は、例えば、操作部および/またはリモートコントローラに設けられた「毛玉除去スイッチ」、「停止スイッチ」または「運転・停止スイッチ」を押すことであってもよい。なお、運転中、「毛玉除去スイッチ」を押すと、一対の回転ブラシが異なる状態となって毛玉除去動作した後、通常運転に戻り、「停止スイッチ」または「運転・停止スイッチ」を押すと、一対の回転ブラシが異なる状態となって毛玉除去動作した後、運転が停止する。
【0103】
(4)前記制御部は、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記電動送風機の駆動を維持しながら前記一対の駆動モータのそれぞれを制御してもよい。
この構成によれば、例えば、多くの繊維状ダストが付着したカーペットの清掃中に所定の操作をする(例えば、「毛玉除去スイッチ」を押す)ことによって、一対の回転ブラシの間の隙間部に挟まった毛玉を一旦吸引除去した後、引き続き清掃を継続することができる。すなわち、掃除性能を維持しながら清掃を継続することができる。また、例えば、清掃終了時に所定の操作をする(例えば、「停止スイッチ」または「運転・停止スイッチ」を押す)ことによって、一対の回転ブラシの間の隙間部に挟まった毛玉を吸引除去してから清掃を終えることができる。
【0104】
(5)前記制御部は、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御してもよい。
この構成によれば、一対の回転ブラシの停止タイミングをずらすことによって各回転ブラシの状態を異ならせる、つまり、所定制御時間の間に一対の回転ブラシのうちの一方は回転させ他方は停止させて状態を異ならせることができる。なお、所定制御時間内には一方の回転ブラシも停止する。
【0105】
(6)前記制御部は、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのうちの少なくとも一方の回転数が変化した後、前記一対の回転ブラシのそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御してもよい。
この構成によれば、一対の回転ブラシのうちの少なくとも一方の回転数を通常回転数よりも増加または減少させた後、一対の回転ブラシの停止タイミングをずらすことにより、一対の回転ブラシの間の隙間部に挟まった毛玉をより抜けやすくすることができる。
【0106】
(7)前記制御部は、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、前記一対の回転ブラシのそれぞれの回転数の変化タイミングおよびそれぞれの停止タイミングが異なるように前記一対の駆動モータのそれぞれを制御してもよい。
この構成によれば、例えば、一方の回転ブラシの回転数が上昇し、次いで他方の回転ブラシの回転数が上昇すると同時に一方の回転ブラシが停止し、その後、他方の回転ブラシも停止するというように制御することができ、これによって一対の回転ブラシの間の隙間部に挟まった毛玉をより抜けやすくすることができる。
【0107】
(8)前記制御部は、前記一対の回転ブラシについての前記変化タイミングの先後順および前記停止タイミングの先後順が、前記所定の操作が所定回数行われる毎に交互に変わるように制御してもよい。
この構成によれば、一対の回転ブラシについての繊維状ダストの除去を同じ程度にすることができる。
【0108】
(9)前記制御部は、前記所定の操作の開始から所定制御時間の間、出力を増加させるように前記電動送風機を制御してもよい。
この構成によれば、通常運転時の吸引力よりも強い吸引力で一対の回転ブラシの間の隙間部に挟まった毛玉を吸引除去することができる。
【0109】
(10)前記所定の操作が運転停止操作であり、
前記制御部は、前記所定制御時間経過後に停止させるよう前記電動送風機を制御してもよい。
この構成によれば、一対の回転ブラシの間の隙間部から毛玉を吸引除去した状態(掃除性能を維持した状態)で清掃を終えることができる。
【0110】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0111】
1:電気掃除機、 10:掃除機本体、 11:電動送風機、 12:制御部、 13:第1調節部、 14:電源部、 15:第2調節部、 16:第3調節部、 17:電源回路、 18:記憶部、 19:制御モジュール、 20:駆動装置、 21a:電機部品収納部、 21b:ハンドル部、 21c:バッテリ装着部、 21d:パイプ部、 21e:操作部、 21ea:スイッチ、 21eb:スイッチ、 21ec:スイッチ、 30集塵装置、 30a:集塵容器、 30b:フィルタ部、 40:バッテリ、 60:延長管、 61:管本体、 70:吸込口体、 71:筐体、 71a:吸込口、 71b:前端、 71q:底部、 71J:関節部、 71P:接続パイプ部、 71s:隙間部、 72:第1回転ブラシ、 72a:基端部、 72b:先端部、 72k:芯部、 72v:ブラシ、 73:第2回転ブラシ、 73a:基端部、 73b:先端部、 73k:芯部、 73v:ブラシ、 74:第1駆動モータ、 75:第2駆動モータ、 76:第1動力伝達機構、 76a:支軸、 76b:第1プーリ、 76c:第2プーリ、 76d:タイミングベルト、 77:第2動力伝達機構、 77a:支軸、 77b:第1プーリ、 77c:第2プーリ、 77d:タイミングベルト、 80:後輪、 81:床面検知スイッチ、 101:電気掃除機、 111:電動送風機、 112:制御部、 113:第1調節部、 114:電源部、 115:第2調節部、 116:第3調節部、 117:電源回路、 118:記憶部、 119:制御モジュール、 121e:操作部、 171:筐体、 171a:吸込口、 171b:底部、 171s:隙間部、 172:第1回転ブラシ、 172a:基端部、 172b:先端部、 173:第2回転ブラシ、 173a:基端部、 173b:先端部、 174:第1駆動モータ、 175:第2駆動モータ、 176:第1動力伝達機構、 177:第2動力伝達機構、 181:左駆動輪用モータ、 182:左駆動輪、 183:右駆動輪用モータ、 184:右駆動輪、 185:後輪、 186:サイドブラシ、 187:床面検知センサ、 188:超音波センサ、 270:吸込口体、 271:筐体、 271a:吸込口、 271L:側壁、 271P:接続パイプ部、 271q:底部、 271R:側壁、 271s:隙間部、 271t:隙間部、 272:第1回転ブラシ、 272a:基端部、 272b:先端部、 272k:芯部、 272v:ブラシ、 273:第2回転ブラシ、 273a:基端部、 273b:先端部、 273k:芯部、 273v:ブラシ、 274:駆動モータ、 276:動力伝達機構、 276a:第1プーリ、 276b:第2プーリ、 276c:タイミングベルト、 277:連結軸、 278:カバー部、 P1:回転軸心、 P2:回転軸心、 P3:回転軸心