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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】船舶監視システム、及び船舶監視装置
(51)【国際特許分類】
   B63B 79/00 20200101AFI20240606BHJP
   B63B 43/00 20060101ALI20240606BHJP
   B63B 79/10 20200101ALI20240606BHJP
   B63B 45/08 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B63B79/00
B63B43/00 Z
B63B79/10
B63B45/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021017440
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120509
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】青葉 多夏輝
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181281(JP,A)
【文献】特開2019-116133(JP,A)
【文献】特開2007-286898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0016380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 79/00
B63B 43/00
B63B 79/10
B63B 45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の状態を監視する船舶監視システムであって、
前記船舶の状態に関する船舶状態情報を取得する船舶状態取得部と、
前記船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部と、
前記アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいて前記アラームの解除を行うアラーム解除部と、
前記船舶に設けられ、乗組員による前記アラームの解除の承認を行う第1の承認部と、
管理者による前記アラームの解除の承認を行う第2の承認部と、を備え、
前記アラーム解除部は、前記第1の承認部での承認、及び前記第2の承認部での承認がなされた場合、前記アラームの解除を行う、船舶監視システム。
【請求項2】
前記第1の承認部は、前記アラームの発生原因、及び対処内容を取得し、
前記第2の承認部は、第2の承認をする承認者に対して、前記発生原因、及び前記対処内容を提供する、請求項1に記載の船舶監視システム。
【請求項3】
前記第2の承認部は、前記船舶の外部に設けられる、請求項1又は2に記載の船舶監視システム。
【請求項4】
前記第2の承認部は、陸上に設けられる、請求項3に記載の船舶監視システム。
【請求項5】
前記第2の承認部は、承認者に対して、前記船舶状態情報を提供する、請求項1~4の何れか一項に記載の船舶監視システム。
【請求項6】
船舶の状態を監視する船舶監視装置であって、
前記船舶の状態に関する船舶状態情報を取得する船舶状態取得部と、
前記船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部と、
前記アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいて前記アラームの解除を行うアラーム解除部と、
乗組員による前記アラームの解除の承認を行う第1の承認部と、
前記第1の承認部と異なる、管理者による前記アラームの解除の承認を行う第2の承認部からの、前記アラームの解除の承認情報を受信する受信部と、を備え、
前記アラーム解除部は、前記第1の承認部での承認、及び前記第2の承認部での承認がなされた場合、前記アラームの解除を行う、船舶監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶監視システム、及び船舶監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の船舶として、特許文献1に記載されたものが知られている。この船舶は、荷を積んだ状態で所定の航路を長距離航海したり、船内で様々な機器を用いて各種作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-132974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、船舶においては、航海や機器を用いた作業を行っている一方で、船舶の状態を監視し、異常が発見された場合は、船内でアラームを出力する。ここで、アラームの中には、他のアラームよりも重要度が高いものが含まれる場合がある。このようなアラームについては、発生理由や対処内容が十分に確認された上で、確実に対処することが求められる。従って、アラームに対する対処の確実性を向上することが求められていた。
【0005】
そこで、本発明は、アラームに対する対処の確実性を向上できる船舶監視システム、及び船舶監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る船舶監視システムは、船舶の状態を監視する船舶監視システムであって、船舶の状態に関する船舶状態情報を取得する船舶状態取得部と、船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部と、アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいてアラームの解除を行うアラーム解除部と、船舶に設けられ、アラームの解除の承認を行う第1の承認部と、アラームの解除の承認を行う第2の承認部と、を備え、アラーム解除部は、第1の承認部での承認、及び第2の承認部での承認がなされた場合、アラームの解除を行う。
【0007】
船舶監視システムは、船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部と、アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいてアラームの解除を行うアラーム解除部と、を備える。従って、アラーム解除部は、アラームが出力されたら、アラーム解除のための必要な対処がなされ、承認がなされたことをもってアラームを解除する。ここで、アラーム解除部が、船舶に設けられ、アラームの解除の承認を行う第1の承認部での承認だけでアラームを解除する場合、船内の乗務員にとっては、独断で容易にアラームを解除できる可能性がある。容易にアラームが解除できてしまうと、アラームの内容によっては、解除のための確認や対処の確実性が不十分になる場合もある。これに対し、本発明においては、アラーム解除部は、第1の承認部での承認、及び第2の承認部での承認がなされた場合、アラームの解除を行う。従って、アラーム解除部は、第1の承認部での承認のみならず、第2の承認部での承認も、アラーム解除の条件とすることができる。この場合、乗務員が第1の承認部で承認を行ったとしても、第2の承認部での承認がなされない限り、アラームが解除されない。すなわち、乗務員にとっては、独断で容易にアラーム解除を行うことができなくなるため、十分に確認を行った上でアラーム解除のための対処及び承認を行う。以上より、アラームに対する対処の確実性を向上できる。
【0008】
第1の承認部は、アラームの発生原因、及び対処内容を取得し、第2の承認部は、第2の承認をする承認者に対して、発生原因、及び対処内容を提供してよい。この場合、第2の承認部の承認者は、乗務員が正しくアラームの発生原因を把握し、正しい対処を行っているかを確認することができる。また、第1の承認部で承認を行う乗務員にとっては、第2の承認部の承認者に内容を確認されるため、十分に確認を行った上でアラーム解除のための対処及び承認を行う。
【0009】
第2の承認部は、船舶の外部に設けられてよい。この場合、船舶の外部の承認者が第2の承認部での承認を行うこととなる。この場合、船舶の内部だけでアラーム解除のための対処が完結するのではなく、船舶の乗務員以外の承認者も、アラーム解除のための確認を行えるようになる。従って、アラームに対する対処の確実性を向上できる。
【0010】
第2の承認部は、陸上に設けられてよい。この場合、第2の承認部の承認者が航海に出ている人間に限定されず、陸上に存在している人間の中から、より適切な承認者を選ぶ事が可能になる。
【0011】
第2の承認部は、承認者に対して、船舶状態情報を提供してよい。この場合、第2の承認部の承認者も、船舶状態情報を参照することで、問題が確実に解決したかを確認した上で、承認を行うことが可能となる。
【0012】
本発明に係る船舶監視装置は、船舶の状態を監視する船舶監視装置であって、船舶の状態に関する船舶状態情報を取得する船舶状態取得部と、船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部と、アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいてアラームの解除を行うアラーム解除部と、アラームの解除の承認を行う第1の承認部と、第1の承認部と異なる第2の承認部からの、アラームの解除の承認情報を受信する受信部と、を備え、アラーム解除部は、第1の承認部での承認、及び第2の承認部での承認がなされた場合、アラームの解除を行う。
【0013】
この船舶監視装置によれば、上述の船舶監視システムと同様な作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アラームに対する対処の確実性を向上できる船舶監視システム、及び船舶監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る船舶監視システムの構成を示すブロック図である。
図2】船舶監視システムにおける通信の様子を示す模式図である。
図3】船舶監視装置の制御処理の内容を示すフローチャートである。
図4】船舶の航路が逸脱している状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る船舶監視システム100の構成を示すブロック図である。図2は、船舶監視システム100における通信の様子を示す模式図である。図1に示す船舶監視システム100は、船舶1に搭載された船舶監視装置10と、端末20と、を備える。船舶監視装置10と端末20とは、ネットワークNWを介して情報の送受信が可能となっている。本実施形態では、図2に示すように、ネットワークNWは、人口衛星Sによる衛生通信、クラウドサーバCDを用いた通信などによって構成されている。また、端末20は、船舶1の外に設置されている。ここでは、端末20は、陸上のオフィスなどに設置されている。これにより、船舶1の乗組員は、陸上のオフィスに存在している管理者と、ネットワークNW及び端末20を介して情報の共有を行うことができる。なお、図1及び図2には、一隻の船舶1だけが示されているが、船舶監視システム100は、複数の船舶1の船舶監視装置10が含まれてよい。すなわち、陸上のオフィスの管理者が、端末20を用いて複数の船舶1の管理を行ってよい。
【0018】
船舶1は、船舶1の各種状態を検出するための各種検出部2を備える。検出部2は、検出した船舶1の状態に関する船舶状態情報を船舶監視装置10へ送信する。
【0019】
船舶監視装置10は、船舶1の異常の監視を行うと共に、ネットワークNWを介して端末20との通信を行う。船舶監視装置10は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。通信インターフェースは、データ通信を実現する通信機器である。ユーザインターフェースは、液晶やスピーカなどの出力器、及び、キーボードやタッチパネルやマイクなどの入力器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを統括し、後述する船舶監視装置10の機能を実現する。船舶監視装置10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。船舶監視装置10は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0020】
図1に示すように、船舶監視装置10は、船舶状態取得部11と、アラーム部12と、アラーム解除部13と、第1の承認部14と、送受信部16と、を備える。
【0021】
船舶状態取得部11は、船舶1の状態に関する船舶状態情報を取得する。船舶状態取得部11は、各種検出部2の検出結果を取得して、それらの検出結果に基づいて演算を行うことによって、船舶1に異常がないかを判定するための船舶状態情報を取得する。
【0022】
アラーム部12は、船舶状態情報に基づいてアラームを出力する。アラーム部12は、船舶状態情報を参照することで、船舶1に何かしらの異常が発生していないかを判定する。そして、アラーム部12が、船舶1に異常が発生していると判定したら、アラームを出力する。なお、アラーム部12によるアラームの出力方法は特に限定されず、例えば、モニタに警告を示すような文章、画像などを表示してよいし、ブザーなどの音によって警告を発してもよい。このとき、アラーム部12は、異常の内容、異常を解消するために確認すべき事項なども出力してよい。
【0023】
アラーム解除部13は、アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいてアラームの解除を行う。アラーム解除部13は、船内での第1の承認部14での承認、及び後述の陸上の端末20の第2の承認部21での承認がなされた場合、アラームの解除を行う。
【0024】
ここで、アラーム解除部13は、船内での第1の承認部14だけで解除可能なアラーム内容と、船内での第1の承認に加えて陸上での第2の承認が必要なアラーム内容とを分類してよい。アラーム解除部13は、陸上での第2の承認が必要なアラーム内容である場合に、陸上の端末20へアラームを送信してよい。アラーム解除部13は、送受信部16を介して、陸上のオフィスの端末20(図2参照)へアラームを送信する。このとき、アラーム解除部13は、アラーム内容に加えて、発生原因、船内での対処内容などの情報(乗組員によって入力される情報)を含めて送信する。更に、陸上の管理者により問題が実際に解消されているかを確認できるように、アラーム解除部13は、船舶状態取得部11によって取得された船舶状態情報を端末20へ送信してもよい。
【0025】
船内での第1の承認及び陸上での第2の承認(以降、二段階承認と称する場合がある)が必要なアラーム内容の一例について説明する。例えば、アラーム解除部13は、船舶1の航路逸脱のアラームを、二段階承認が必要なアラーム内容に分類してよい。具体的に、図4に示すように、実際の航路P1が、想定航路P2から所定の閾値以上に逸脱した場合、アラーム部12は航路逸脱と判定してアラームを出力する。この場合、検出部2は、実際の航路を演算することで検出する。
【0026】
また、アラーム解除部13は、機器異常のアラームを二段階承認が必要なアラーム内容に分類してよい。例えば、ジェネレータエンジン(Generator Engine:G/E)の過負荷アラームなどが挙げられる。検出部2は、ジェネレータエンジンの負荷を検出する。ジェネレータエンジンは、運航のコンディションにより、使用台数が変更される。例えば、3台設置中1台が使用されている状態から、2台使用されている状態に変更されるなどの場合がある。そのため、故障や、切り替え誤動作などによって、1台のジェネレータエンジンに過負荷がかかる可能性がある。このような故障や誤動作に関するアラームが出た際は、基本的に自動でジェネレータエンジンの切替制御がなされるが、マニュアルでの緊急停止が必要なこともある。そのため、アラーム解除部13は、このようなアラームを二段階承認が必要なアラーム内容に分類してよい。なお、アラーム解除部13は、機器の情報を陸上の端末20に送信して共有してもよい。これにより、陸上の管理者は、乗組員による入力情報のみならず、共有された情報に基づいて、問題が実際に解決したかを確認した上で、第2の承認を行うことができる。
【0027】
また、アラーム解除部13は、ガス検知のアラームを二段階承認が必要なアラーム内容に分類してよい。この場合、検出部2は、ガス濃度などに基づいて漏れなどを検出する。ガス検知は安全性確保のために、厳重な確認が求められる。また、将来的にも様々な新燃料が登場するので、例えアラームが無視されることなく対処されたとしても、各燃料のガス漏洩に対して間違った対処がなされてしまう可能性がある。そのため、安全性を高めたり、新燃料に対応したりすることができるように、アラーム解除部13は、ガス検知に係るアラームを二段階承認が必要なアラーム内容に分類してよい。なお、アラーム解除部13は、ガス検知用のセンサの検知情報を陸上の端末20に送信して共有してもよい。これにより、陸上の管理者は、乗組員による入力情報のみならず、共有された情報に基づいて、問題が実際に解決したかを確認した上で、第2の承認を行うことができる。
【0028】
第1の承認部14は、アラームの解除の承認を行う。第1の承認部14は、乗組員からの承認のための入力操作を取得することによって、船内側でのアラーム解除の承認を行う。第1の承認部14は、乗組員から、アラームの発生原因、及び対処内容の入力を取得する。
【0029】
送受信部16は、各種情報の送受信を行う。送受信部16は、ネットワークNWを介して、陸上の端末20との間で、情報の送受信を行う。送受信部16は、アラーム内容、及び第1の承認部14で入力されたアラームの発生原因、及び対処内容の情報を送信する。また、送受信部16は、第1の承認部14と異なる位置(陸上)に設けられる第2の承認部21からの、アラームの解除の承認情報を受信する受信部として機能する。
【0030】
端末20は、上述した船舶監視装置10と同様に、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを備える。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを統括し、後述する端末20の機能を実現する。端末20は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。端末20は、第2の承認部21と、送受信部22を備える。
【0031】
第2の承認部21は、アラームの解除の承認を行う。第2の承認部21は、陸上のオフィスの管理者からの承認のための入力操作を取得することによって、陸上側でのアラーム解除の承認を行う。第2の承認部21は、管理者(承認者)に対して、アラーム内容を提供すると共に、船舶1側で入力されたアラームの発生原因、及び対処内容を提供する。なお、アラーム解除部13が端末20に船舶状態情報を送信した場合、第2の承認部21は、管理者に対して、船舶状態情報を提供する。なお、第2の承認部21が管理者に対して各情報を提供する場合の提供方法は特に限定されない。例えば、第2の承認部21は、船舶1の識別情報、アラーム内容、発生原因、対処内容、船舶状態情報などを表形式にまとめて、当該表をモニタに表示してよい。また、第2の承認部21は、管理者がクリックすれば容易に承認できるように、承認ボタンをモニタに表示してよい。
【0032】
送受信部22は、各種情報の送受信を行う。送受信部22は、ネットワークNWを介して、船舶1との間で、情報の送受信を行う。送受信部22は、第2の承認部21による承認情報を送信する。また、送受信部22は、管理者が承認を行うために提供するための、上述のような各種情報を受信する。
【0033】
次に、図3を参照して、船舶監視システム100の制御処理の内容の一例について説明する。図3に示す制御処理は、船舶監視装置10によって実行される。
【0034】
図3に示すように、まず、船舶状態取得部11は、各検出部2から船舶状態情報を取得する(ステップS10)。アラーム部12は、ステップS10で取得した船舶状態情報に基づいて、船舶1内で異常が発生しているか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20において異常が発生していないと判定された場合、図3に示される制御処理は終了する。一方、ステップS20において異常が発生していると判定された場合、アラーム部12は、アラームを出力する(ステップS30)。
【0035】
次に、アラーム解除部13は、船内での第1の承認がなされることを待機すると共に、第1の承認がなされた場合に当該承認情報を取得する(ステップS40)。アラーム解除部13は、第1の承認部14にて乗務員による承認がなされた場合、承認がなされた旨の情報に加え、乗務員によって入力された発生原因、及び対処内容の情報を取得する。
【0036】
アラーム解除部13は、アラーム内容、発生原因、対処内容、及び船舶状態情報を端末20へ送信することによって、第2の承認部21での第2の承認を依頼する(ステップS50)。次に、アラーム解除部13は、陸上の端末20での第2の承認がなされることを待機すると共に、第2の承認がなされた場合に当該承認情報を取得する(ステップS60)。アラーム解除部13は、第2の承認部21にて陸上の管理者による承認がなされた場合、承認がなされた旨の情報を取得する。
【0037】
アラーム解除部13は、ステップS60の処理が完了することにより、第1の承認部14での承認、及び第2の承認部21での承認がなされたと判定し、アラームの解除を行う(ステップS70)。以上により、図3に示す制御処理が終了し、再びS10から処理を繰り返す。
【0038】
次に、本実施形態に係る船舶監視システム100、及び船舶監視装置10の作用・効果について説明する。
【0039】
船舶監視システム100は、船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部12と、アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいてアラームの解除を行うアラーム解除部13と、を備える。従って、アラーム解除部13は、アラームが出力されたら、アラーム解除のための必要な対処がなされ、承認がなされたことをもってアラームを解除する。ここで、アラーム解除部13が、船舶1に設けられ、アラームの解除の承認を行う第1の承認部での承認だけでアラームを解除する場合、船内の乗務員にとっては、独断で容易にアラームを解除できる可能性がある。容易にアラームが解除できてしまうと、アラームの内容によっては、解除のための確認や対処の確実性が不十分になる場合もある。これに対し、本実施形態においては、アラーム解除部13は、第1の承認部14での承認、及び第2の承認部21での承認がなされた場合、アラームの解除を行う。従って、アラーム解除部13は、第1の承認部14での承認のみならず、第2の承認部21での承認も、アラーム解除の条件とすることができる。この場合、乗務員が第1の承認部14で承認を行ったとしても、第2の承認部21での承認がなされない限り、アラームが解除されない。すなわち、乗務員にとっては、独断で容易にアラーム解除を行うことができなくなるため、十分に確認を行った上でアラーム解除のための対処及び承認を行う。以上より、アラームに対する対処の確実性を向上できる。
【0040】
第1の承認部14は、アラームの発生原因、及び対処内容を取得し、第2の承認部21は、承認者に対して、発生原因、及び対処内容を提供してよい。この場合、第2の承認部21の承認者は、乗務員が正しくアラームの発生原因を把握し、正しい対処を行っているかを確認することができる。また、第1の承認部14で承認を行う乗務員にとっては、第2の承認部21の承認者に内容を確認されるため、十分に確認を行った上でアラーム解除のための対処及び承認を行う。
【0041】
第2の承認部21は、船舶1の外部に設けられてよい。この場合、船舶1の外部の承認者が第2の承認部21での承認を行うこととなる。この場合、船舶1の内部だけでアラーム解除のための対処が完結するのではなく、船舶1の乗務員以外の承認者も、アラーム解除のための確認を行えるようになる。従って、アラームに対する対処の確実性を向上できる。
【0042】
第2の承認部21は、陸上に設けられてよい。この場合、第2の承認部21の承認者が航海に出ている人間に限定されず、陸上に存在している人間の中から、より適切な承認者を選ぶ事が可能になる。例えば、オフィスに船舶1の異常に詳しい人物が存在している場合、当該人物が、第2の承認部21での承認を行うことができる。
【0043】
第2の承認部21は、承認者に対して、船舶状態情報を提供してよい。この場合、第2の承認部21の承認者も、船舶状態情報を参照することで、問題が確実に解決したかを確認した上で、承認を行うことが可能となる。
【0044】
本実施形態に係る船舶監視装置10は、船舶1の状態を監視する船舶監視装置10であって、船舶1の状態に関する船舶状態情報を取得する船舶状態取得部11と、船舶状態情報に基づいてアラームを出力するアラーム部12と、アラームの解除についての承認がなされたか否かに基づいてアラームの解除を行うアラーム解除部13と、アラームの解除の承認を行う第1の承認部14と、第1の承認部14と異なる第2の承認部からの、アラームの解除の承認情報を受信する送受信部16(受信部)と、を備え、アラーム解除部13は、第1の承認部14での承認、及び第2の承認部21での承認がなされた場合、アラームの解除を行う。
【0045】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、図1に示される船舶監視システム100、及び船舶監視装置10の構成は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更してもよい。
【0047】
また、図2に示す例では、第2の承認部21を有する端末20が、陸上に設けられていたが、これに限定されない。例えば、端末20は、他の船舶や、海上施設などに設けられてもよい。例えば、管理者が乗っている船舶と、作業員が乗っている船舶が存在している場合、管理者が乗っている船舶に第2の承認部21を設けて、管理者が承認者となってよい。また、第2の承認部21は船舶1の外部に設けられていたが、これに限定されない。すなわち、第2の承認部21が同じ船舶1に設けられてもよい。例えば、船舶1における責任者(船長など)が、第2の承認部21で承認を行ってよい。この場合、責任者の部屋のPCなどに第2の承認部21が設けられてもよく、責任者が所持する携帯端末に第2の承認部21が設けられてもよい。あるいは、第1の承認部14と第2の承認部21とが、同一の端末に設けられてもよい。この場合、第1の承認部14での承認を行うことができる乗務員と、第2の承認部21で承認を行うことができる責任者とを区別できるようにしてよい。例えば、第2の承認部21での承認を行うときには、承諾者を認証するための処理が行われてよい。
【符号の説明】
【0048】
1…船舶、10…船舶監視装置、11…船舶状態取得部、12…アラーム部、13…アラーム解除部、14…第1の承認部、16…送受信部(受信部)、21…第2の承認部、100…船舶監視システム。
図1
図2
図3
図4