(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】地盤材料の分取装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/04 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G01N1/04 C
(21)【出願番号】P 2021028772
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 喬之
(72)【発明者】
【氏名】西 智宏
(72)【発明者】
【氏名】新井 博之
(72)【発明者】
【氏名】増村 悠馬
(72)【発明者】
【氏名】平出 敬信
(72)【発明者】
【氏名】片山 三郎
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-098297(JP,A)
【文献】実開昭53-162106(JP,U)
【文献】実開昭57-146045(JP,U)
【文献】国際公開第89/011090(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベア上を搬送される地盤材料の分取装置であって、
前記ベルトコンベアから投下される前記地盤材料を取り込む開口部を有する筒状の本体部と、
前記本体部の内部に上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部と、を備え、
前記第一分取部は、前記地盤材料が二分される方向に沿って移動可能であり、
前記開口部に取り込まれ前記本体部内を通過した前記地盤材料が、前記第一分取部の上に落下して、分取用の搬送装置上と、本流用の搬送装置上と、に二分されること、
を特徴とする地盤材料の分取装置。
【請求項2】
ベルトコンベア上を搬送される地盤材料の分取装置であって、
前記ベルトコンベアから投下される前記地盤材料を取り込む開口部を有する筒状の本体部と、
前記本体部の内部に上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部と、を備え、
前記本体部の内部には、仕切板が設けられ、
前記開口部は、前記仕切板を境界として、前記ベルトコンベアの上流側から見て奥側に位置する奥側開口部と手前側に位置する手前側開口部とに二分され、
前記奥側開口部は、前記手前側開口部よりも開口面積が小さく、前記地盤材料の一部を取り込む第二分取部を構成していて、
前記開口部に取り込まれ前記本体部内を通過した前記地盤材料が、前記第一分取部の上に落下して、分取用の搬送装置上と、本流用の搬送装置上と、に二分されること、
を特徴とする地盤材料の分取装置。
【請求項3】
前記奥側開口部の前記ベルトコンベアの上流側から見て左側及び右側に、前記本体部内の通路の一部を閉塞する左側閉塞部材及び右側閉塞部材がそれぞれ設けられ、
前記第二分取部は、前記左側閉塞部材と前記右側閉塞部材との間に形成されていること、
を特徴とする請求項
2に記載の地盤材料の分取装置。
【請求項4】
前記手前側開口部には、該手前側開口部の一部を閉塞する板状部材が設けられていること、
を特徴とする請求項
2または請求項
3に記載の地盤材料の分取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤材料の分取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダム等を建設する工事において、工事現場付近から調達した様々な粒径の粒状材が混在する地盤材料を、そのままあるいは適度に粉砕してコンクリートの製造に用いることがある。ダム等の建設においてコンクリートを製造する工程では、バッチャープラントやCSG(Cemented Sand and Gravel)混合プラントなどが用いられている。
これらのプラントでは、コンクリートの品質管理上、地盤材料の粒度分布を把握する必要がある。そこで、搬送される地盤材料を撮影し、その撮影結果に基づいて地盤材料の粒度分布を測定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地盤材料の粒度分布を測定する際には、搬送される地盤材料を撮影して得られた画像が解析される。
しかしながら、工事に使用するために搬送される地盤材料の全量を用いて解析することは、解析対象が多くなり過ぎて困難である。このため、搬送される地盤材料の一部を解析に必要な量だけ効率良く分取することが好ましい。
本発明は、前記した課題を解決し、搬送される地盤材料の一部を解析用に効率良く分取できる地盤材料の分取装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、ベルトコンベア上を搬送される地盤材料の分取装置である。この地盤材料の分取装置は、前記ベルトコンベアから投下される前記地盤材料を取り込む開口部を有する筒状の本体部と、前記本体部の内部に上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部と、を備える。前記開口部に取り込まれ前記本体部内を通過した前記地盤材料が、前記第一分取部の上に落下して、分取用の搬送装置上と、本流用の搬送装置上と、に二分される。
本発明では、ベルトコンベアから投下される地盤材料が、本体部の開口部に取り込まれて該本体部内を通過し、上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部の上に落下する。第一分取部の上に落下した地盤材料は、分取用の搬送装置上と、本流用の搬送装置上とに二分される。分取用の搬送装置で搬送される地盤材料は解析に使用され、本流用の搬送装置で搬送される地盤材料は工事に使用されることになる。
これにより、ベルトコンベア上を搬送される地盤材料から解析に必要な量を分取することが可能となる。したがって、本発明によれば、搬送される地盤材料の一部を解析用に効率良く分取できる地盤材料の分取装置を提供することができる。
【0006】
前記した地盤材料の分取装置において、前記第一分取部は、前記地盤材料が二分される方向に沿って移動可能であることが好ましい。
この構成では、分取用の搬送装置上に導かれる地盤材料の量と、本流用の搬送装置上に導かれる地盤材料の量との割合を調整できる。これにより、解析用により適した量の地盤材料を効率良く分取することが可能となる。
【0007】
前記した地盤材料の分取装置において、前記本体部の内部には、仕切板が設けられていることが好ましい。この場合、前記開口部は、前記仕切板を境界として、前記ベルトコンベアの上流側から見て奥側に位置する奥側開口部と手前側に位置する手前側開口部とに二分される。前記奥側開口部は、前記手前側開口部よりも開口面積が小さく、前記地盤材料の一部を取り込む第二分取部を構成している。
この構成では、奥側開口部として構成される第二分取部を通して、地盤材料の一部が取り込まれる。これにより、解析用に分取される地盤材料の量を絞ることができる。
【0008】
前記した地盤材料の分取装置において、前記奥側開口部の前記ベルトコンベアの上流側から見て左側及び右側に、前記本体部内の通路の一部を閉塞する左側閉塞部材及び右側閉塞部材がそれぞれ設けられていることが好ましい。この場合、前記第二分取部は、前記左側閉塞部材と前記右側閉塞部材との間に形成されている。
この構成では、本体部内の通路の一部を閉塞する左側閉塞部材及び右側閉塞部材を設けることで、適宜な開口面積を持つ第二分取部を容易に形成することができる。また、左側閉塞部材と右側閉塞部材との間を通過して、地盤材料の一部が効率良く取り込まれる。
【0009】
前記した地盤材料の分取装置において、前記手前側開口部には、該手前側開口部の一部を閉塞する板状部材が設けられていることが好ましい。
ベルトコンベアから投下される地盤材料のうち、粒径が大きく重量の大きい粗粒材はベルトコンベアの上流側から見て遠方の奥側に落下し、粒径が小さく重量の小さい細粒材は手前側に落下する傾向がある。板状部材で手前側開口部の一部を閉塞することで、手前側に落下しやすい細粒材を板状部材上でバウンドさせて奥側開口部として構成される第二分取部へ導くことができる。このため、奥側開口部として構成される第二分取部に取り込まれる地盤材料は、粗粒材と細粒材とを適度に混合させたものとなる。したがって、分取されて解析に使用される地盤材料の粒度分布と、工事に使用される地盤材料の粒度分布との差異を低減できる。これにより、分取された地盤材料を使用した解析の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送される地盤材料の一部を解析用に効率良く分取できる地盤材料の分取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る地盤材料の分取装置を概略で示す側面図である。
【
図2】
図1に示される地盤材料の分取装置の一次分流シュートを概略で示す斜視図である。
【
図3】
図2に示される一次分流シュートを概略で示す平面図である。
【
図4】
図2に示される一次分流シュートを概略で示す奥側から見た図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る地盤材料の分取方法の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面において、同一または同種の部材については、同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズ及び形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係る地盤材料の分取装置(以下、単に「分取装置」ともいう)100を概略で示す側面図である。本実施形態に係る分取装置100は、主にダムの工事現場付近から調達した様々な粒径の粒状材が混在する地盤材料102の中から粒度分布の解析に使用する地盤材料102を分取する装置である。
図1に示すように、分取装置100は、ベルトコンベア101上をA方向に搬送される地盤材料102の分取装置である。この分取装置100は、本体部1と、第一分取部2とを備えている。本体部1は、筒状を呈しており、ベルトコンベア101から投下される地盤材料102を取り込む開口部3を有している。本体部1は、一次分流シュート10と、二次分流シュート30と、接続用シュート40と、本流シュート50とを備えている。
【0014】
開口部3は、一次分流シュート10に形成されている。二次分流シュート30は、一次分流シュート10の下方にベルトコンベア101の上流側から見て奥側(以下、単に「奥側」ともいう)に配置されている。二次分流シュート30の下方の奥側には、接続用シュート40が接続されている。本流シュート50は、一次分流シュート10の下方にベルトコンベア101の上流側から見て手前側(以下、単に「手前側」ともいう)に配置されている。
【0015】
第一分取部2は、楔状を呈しており、本体部1の二次分流シュート30の内部に、上向きに突(凸)になるように配置されている。第一分取部2は、具体的には、稜線2aが水平方向に延在する三角屋根形状を呈している。第一分取部2の稜線2aは、上方から見て地盤材料102がベルトコンベア101上を搬送される方向に直交している。第一分取部2は、稜線2aから奥側に向かって下方に傾斜する分流側傾斜面2bと、稜線2aから手前側に向かって下方に傾斜する本流側傾斜面2cとを備えている。
地盤材料102が第一分取部2の上に落下すると、稜線2aの奥側に落下した地盤材料102は、分流側傾斜面2b上を滑り落ちて、接続用シュート40を通って分取用の搬送装置103上に導かれる。一方、稜線2aの手前側に落下した地盤材料102は、本流側傾斜面2c上を滑り落ちて、二次分流シュート30と本流シュート50との境界に位置する仕切板に形成された開口(図示省略)を通って本流シュート50に入る。本流シュート50を通った地盤材料102は、本流用の搬送装置104上に導かれる。つまり、開口部3の奥側開口部4に取り込まれ本体部1内を通過した地盤材料102が、第一分取部2の上に落下して、分取用の搬送装置103上と、本流用の搬送装置104上と、に二分されるように構成されている。
【0016】
第一分取部2は、地盤材料102が二分される方向、すなわち上方から見て地盤材料102がベルトコンベア101上を搬送される方向に平行な水平方向(
図1に示すB方向)に沿って移動可能である。第一分取部2は、例えばモータやシリンダ装置等の駆動手段によって移動させられるが、手動で移動させられてもよい。分取用の搬送装置103や本流用の搬送装置104として、ここではベルトコンベアが使用されるが、これに限定されるものではなく、例えば搬送用車両等の他の搬送装置が使用されてもよい。なお、本流用の搬送装置104として使用されるベルトコンベアは、ここでは
図1の紙面に直交する方向に延びている。
【0017】
また、分取装置100は、本体部1に打撃振動等の各種の振動を与える振動体6を備えている。振動体6は、ここでは二次分流シュート30に設置されているが、設置個所は特に限定されるものではなく、例えば一次分流シュート10等の本体部1の他の箇所に設置され得る。
【0018】
図2は、
図1に示される分取装置100の一次分流シュート10を概略で示す斜視図である。
図3は、
図2に示される一次分流シュート10を概略で示す平面図である。
図4は、
図2に示される一次分流シュート10を概略で示す奥側から見た図である。
図1、
図2に示すように、本体部1の一次分流シュート10の内部には、仕切板11が設けられている。仕切板11は、上方から見て地盤材料102がベルトコンベア101上を搬送される方向に直交する鉛直面に沿うように設けられている。開口部3は、仕切板11を境界として、奥側に位置する奥側開口部4と、手前側に位置する手前側開口部5とに二分される。
【0019】
図2~
図4に示すように、一次分流シュート10は、略四角筒形状を呈しており、奥側に位置する奥側面12及び手前側に位置する手前側面13を備えている。また、一次分流シュート10は、ベルトコンベア101(
図1参照、以下同様)の上流側から見て左側及び右側(以下、単に「左側」「右側」ともいう)にそれぞれ位置する左側面14及び右側面15を備えている。仕切板11の左右両端は、左側面14及び右側面15にそれぞれ固定されている。
【0020】
奥側開口部4は、手前側開口部5よりも開口面積が小さく、地盤材料102の一部を取り込む第二分取部を構成している。奥側開口部4の左側及び右側に、本体部1内の通路の一部を閉塞する左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17がそれぞれ設けられている。左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17は、本実施形態では水平に配置された板材である。奥側開口部4として構成される第二分取部は、左側閉塞部材16と右側閉塞部材17との間に形成されている。第一分取部2(
図1参照)は、仕切板11で仕切られた二つの空間のうちの奥側の空間において、奥側開口部4として構成される第二分取部の下方に配置されている。
【0021】
手前側開口部5には、該手前側開口部5の一部を閉塞する板状部材18が設けられている。板状部材18は、奥側開口部4の手前側に、上方から見て地盤材料102(
図1参照、以下同様)がベルトコンベア101上を搬送される方向に沿って手前側開口部5に装架されるように設けられている。板状部材18は、仕切板11に向かって下方に傾斜している。板状部材18は、ここでは矩形の板が使用されているが、形状や大きさは特に限定されるものではない。
【0022】
左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17の奥側開口部4側、すなわち中央寄りの両端縁には、側板19,19がそれぞれ対向するように立設されている。つまり、奥側開口部4として構成される第二分取部は、具体的には、対向する二つの側板19,19の間に形成されている。側板19は、略直角三角形を呈しており、その斜辺に相当する傾斜端面19aは、奥側から仕切板11に向かって下方に傾斜している。
【0023】
側板19、左側面14(右側面15)、奥側面12及び左側閉塞部材16(右側閉塞部材17)に囲まれた空間は、デッドストック部20を形成している。デッドストック部20に堆積した地盤材料102によって、その後に投下される地盤材料102の落下の衝撃が緩和される。デッドストック部20に堆積した地盤材料102の上に投下される地盤材料102は、主として手前側開口部5の方へ流れ込む。手前側開口部5から取り込まれた地盤材料102は、本流シュート50を通って、本流用の搬送装置104上に落下する。側板19の傾斜端面19aには、地盤材料102の落下の衝撃から保護するために、補強用部材(図示省略)が取り付けられることが望ましい。
側板19の傾斜端面19aは、上方から見て地盤材料102がベルトコンベア101上を搬送される方向に平行に配置されている。一方、側板19の略直角の角部19bは、上方から見て傾斜端面19aよりも外側、すなわち互いに対向する側板19から離れる側に位置される。つまり、対向する二つの側板19,19の間の距離は、奥側下方において若干広くなっている。これに応じて、左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17は、ここでは台形を呈しており、両者間の距離も奥側の方が手前側よりも広くなっている。
【0024】
次に、このように構成された分取装置100を用いた地盤材料102の分取方法について説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る地盤材料の分取方法の内容を示すフローチャートである。
図5に示すように、本実施形態に係る地盤材料の分取方法は、取込ステップS1と、一部取込(一次分取)ステップS2と、落下ステップS3と、二分(二次分取)ステップS4と、搬送ステップS5とを含む。
取込ステップS1では、ベルトコンベア101から投下される地盤材料102が、筒状の本体部1に備えられた開口部3に取り込まれる。
一部取込(一次分取)ステップS2では、奥側開口部4として構成される第二分取部を通して、投下された地盤材料102の一部が取り込まれる。
落下ステップS3では、開口部3の奥側開口部4に取り込まれ本体部1内を通過した地盤材料102が本体部1の内部に上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部2の上に落下する。
二分(二次分取)ステップS4では、第一分取部2の上に落下した地盤材料102が、分取用の搬送装置103上と、本流用の搬送装置104上と、に二分される。
搬送ステップS5では、分取用の搬送装置103上に導かれた地盤材料102が、解析用に分取されたものとして、解析装置(図示省略)に向けて搬送される。一方、本流用の搬送装置104上に導かれた地盤材料102は、工事用に使用されるために、ストックヤード(図示省略)等の所定場所に向けて搬送される。
【0025】
前記したように、本実施形態に係る分取装置100は、ベルトコンベア101上を搬送される地盤材料102の分取装置である。この分取装置100は、ベルトコンベア101から投下される地盤材料102を取り込む開口部3を有する筒状の本体部1と、本体部1の内部に上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部2とを備える。開口部3に取り込まれ本体部1内を通過した地盤材料102が、第一分取部2の上に落下して、分取用の搬送装置103上と、本流用の搬送装置104上と、に二分される。
本実施形態では、ベルトコンベア101から投下される地盤材料102が、本体部1の開口部3に取り込まれて該本体部1内を通過し、上向きに突になるように配置された楔状の第一分取部2の上に落下する。第一分取部2の上に落下した地盤材料102は、分取用の搬送装置103上と、本流用の搬送装置104上とに二分される。分取用の搬送装置103で搬送される地盤材料102は解析に使用され、本流用の搬送装置104で搬送される地盤材料102は工事に使用されることになる。
これにより、ベルトコンベア101上を搬送される地盤材料102から解析に必要な量を分取することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、搬送される地盤材料102の一部を解析用に効率良く分取できる地盤材料の分取装置100を提供することができる。
【0026】
また、本実施形態では、第一分取部2は、地盤材料102が二分される方向に沿って移動可能である。この構成では、分取用の搬送装置103上に導かれる地盤材料102の量と、本流用の搬送装置104上に導かれる地盤材料102の量との割合を調整できる。これにより、解析用により適した量の地盤材料102を効率良く分取することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態では、本体部1の内部には、仕切板11が設けられている。この場合、開口部3は、仕切板11を境界として、ベルトコンベア101の上流側から見て奥側に位置する奥側開口部4と手前側に位置する手前側開口部5とに二分される。奥側開口部4は、手前側開口部5よりも開口面積が小さく、地盤材料102の一部を取り込む第二分取部を構成している。この構成では、奥側開口部4として構成される第二分取部を通して、地盤材料102の一部が取り込まれる。これにより、解析用に分取される地盤材料102の量を絞ることができる。
【0028】
また、本実施形態では、奥側開口部4の左側及び右側に、本体部1内の通路の一部を閉塞する左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17がそれぞれ設けられている。この場合、奥側開口部4として構成される第二分取部は、左側閉塞部材16と右側閉塞部材17との間に形成されている。本体部1内の通路の一部を閉塞する左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17を設けることで、適宜な開口面積を持つ第二分取部を容易に形成することができる。また、左側閉塞部材16と右側閉塞部材17との間を通過して、地盤材料102の一部が効率良く取り込まれる。
【0029】
また、本実施形態では、手前側開口部5には、該手前側開口部5の一部を閉塞する板状部材18が設けられている。ベルトコンベア101から投下される地盤材料102のうち、粒径が大きく重量の大きい粗粒材は、
図1のC矢印に沿うように落下し、仕切版11よりも遠方に至り、粒径が小さく重量の小さい細粒材は、
図1のD矢印に沿うように落下し、仕切版11の手前側に至る傾向がある。板状部材18で手前側開口部5の一部を閉塞することで、手前側に落下しやすい細粒材を板状部材18上でバウンドさせて奥側開口部4として構成される第二分取部へ導くことができる。このため、奥側開口部4として構成される第二分取部に取り込まれる地盤材料102は、粗粒材と細粒材とを適度に混合させたものとなる。したがって、分取されて解析に使用される地盤材料102の粒度分布と、工事に使用される地盤材料102の粒度分布との差異を低減できる。これにより、分取された地盤材料102を使用した解析の信頼性が向上する。
【0030】
また、本実施形態では、板状部材18は、奥側開口部4の手前側に、上方から見て地盤材料102がベルトコンベア101上を搬送される方向に沿って設けられている。この構成では、ベルトコンベア101から投下される地盤材料102のうち、手前側に落下しやすい細粒材は、板状部材18上でバウンドして奥側開口部4として構成される第二分取部へ導かれやすくなる。これにより、第二分取部に取り込まれる細粒材の量を増やすことができる。
また、本実施形態では、板状部材18は、仕切板11に向かって下方に傾斜している。この構成では、ベルトコンベア101から投下される地盤材料102のうち、手前側に落下しやすい細粒材は、板状部材18に衝突した後に、奥側開口部4として構成される第二分取部の方へ跳ね返りやすくなる。これにより、第二分取部に取り込まれる細粒材の量を増やすことができる。
【0031】
また、本実施形態では、第一分取部2は、仕切板11で仕切られた二つの空間のうち、ベルトコンベア101の上流側から見て奥側の空間において、奥側開口部4として構成される第二分取部の下方に配置されている。この構成では、まず奥側開口部4として構成される第二分取部によって地盤材料102の量を絞ることで一次分取を行った後に、第一分取部2によって解析に必要な量を調整することで二次分取を行うことができる。これにより、第一分取部2及び奥側開口部4として構成される第二分取部の各々にかかる負担を軽減できるとともに、分取を二段階に分けることで、より適した量の分取が可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、手前側開口部5から取り込まれた地盤材料102は、本流用の搬送装置104上に落下する。この構成では、奥側開口部4として構成される第二分取部に取り込まれずに解析に使用されないこととなった地盤材料102を、工事に使用されるものとして本流用の搬送装置104で速やかに搬送することができる。
【0033】
また、本実施形態は、本体部1に振動を与える振動体6を備えている。地盤材料102の分取を行う部分は、地盤材料102の一部を取り分ける必要があるため、構造上複雑化する。そのため、地盤材料102が流れる部分に地盤材料102との接触箇所が多く存在し、地盤材料102の付着による閉塞が起こる可能性がある。振動体6を備えることによって、地盤材料102が接触する部分に振動を加えることができ、地盤材料102が付着しにくくなる。これにより、地盤材料102が流れる部分における地盤材料102の付着による閉塞を抑制でき、分取装置100のメンテナンス性が向上する。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17が水平に配置されていて、その上にデッドストック部20が形成されているが、これに限定されるものではない。左側閉塞部材16及び右側閉塞部材17は、仕切板11に向かって下方に傾斜して設けられてもよい。この場合、側板19及びデッドストック部20は省略され得る。
【符号の説明】
【0035】
1 本体部
2 第一分取部
3 開口部
4 奥側開口部(第二分取部)
5 手前側開口部
6 振動体
11 仕切板
16 左側閉塞部材
17 右側閉塞部材
18 板状部材
100 分取装置
101 ベルトコンベア
102 地盤材料
103 分取用の搬送装置
104 本流用の搬送装置