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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電池交換可能な電気機器
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240606BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A47L9/28 U
A47L5/24 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021080783
(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公開番号】P2022174808
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏原 裕
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-005372(JP,A)
【文献】特開2006-004911(JP,A)
【文献】特開2007-095107(JP,A)
【文献】特開2019-141120(JP,A)
【文献】特表2020-532021(JP,A)
【文献】特表2009-531977(JP,A)
【文献】特開2008-102883(JP,A)
【文献】特開2009-194980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0329934(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第112292794(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を着脱可能な電池装着部と、
前記電池装着部に装着された前記二次電池が蓄える電力で駆動される負荷と、
前記電池装着部に装着された前記二次電池から前記二次電池に関する情報を取得可能な電池情報取得部と、
前記電池情報取得部が取得する前記情報に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかを実行する電力制御部と、を備え、
前記情報は、前記二次電池の電池特性に関連付けられるバージョン番号を含み、
前記バージョン番号は、前記電池装着部に装着された前記二次電池から前記電力制御部へ電力が供給されることによって識別される、または前記電池情報取得部が取得する前記情報に記述されるメジャーバージョン番号と、同一の前記メジャーバージョン番号を有する前記二次電池の電池特性の変更および前記二次電池の電池特性の付加を識別可能なよう前記情報に記述されるマイナーバージョン番号と、を含み、
前記情報は、下位の前記マイナーバージョン番号に対応する前記二次電池の電池特性を包含し、
前記電力制御部は、対応可能な前記バージョン番号に制限があって、同一の前記メジャーバージョン番号を有する前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御に前記情報を利用可能である一方、対応可能な前記マイナーバージョン番号に上限があって、この上限よりも上位の前記マイナーバージョン番号を有する前記二次電池が接続された場合には、前記情報に記述されている、対応可能な上限の前記マイナーバージョン番号に対応する前記二次電池の電池特性に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御を実行する電池交換可能な電気機器。
【請求項2】
前記電力制御部は、対応可能な前記バージョン番号と前記二次電池のバージョン番号とが一致している場合には、前記情報に記述されている、最上位の前記マイナーバージョン番号に対応する前記二次電池の電池特性に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御を実行する請求項1に記載の電池交換可能な電気機器。
【請求項3】
前記電力制御部は、対応可能な前記マイナーバージョン番号より下位の前記マイナーバージョン番号を有する前記二次電池が接続された場合には、前記情報に記述されている最新の前記二次電池の電池特性に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御を実行する請求項1または2に記載の電池交換可能な電気機器。
【請求項4】
前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第二閾値を記憶する記憶部を備え、
前記電力制御部は、前記情報に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第一閾値を設定する一方、前記二次電池の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について前記第一閾値および前記第二閾値の両方が存在する場合には、前記第二閾値を採用して前記二次電池の充放電の制御を実行する請求項1から3のいずれか1項に記載の電池交換可能な電気機器。
【請求項5】
前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第二閾値を記憶する記憶部を備え、
前記電力制御部は、前記情報に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第一閾値を設定する一方、前記二次電池の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について前記第一閾値および前記第二閾値の両方が存在する場合には、前記二次電池にとって安全側の閾値を採用して前記二次電池の充放電の制御を実行する請求項1から3のいずれか1項に記載の電池交換可能な電気機器。
【請求項6】
前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第二閾値を記憶する記憶部を備え、
前記電力制御部は、前記情報に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第一閾値を設定する一方、前記二次電池の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について前記第一閾値および前記第二閾値の両方が存在する場合には、前記電気機器にとって安全側の閾値を採用して前記二次電池の充放電の制御を実行する請求項1から3のいずれか1項に記載の電池交換可能な電気機器。
【請求項7】
前記情報は、前記マイナーバージョン番号が大きいほど、
前記二次電池の温度上限値、
前記二次電池の温度下限値、
前記二次電池の放電電流上限値、
前記二次電池の充電電流上限値、
前記二次電池の放電電圧下限値、および
前記二次電池の充電電圧上限値のいずれかに対応する前記第一閾値を設定可能な情報をより多く含む請求項4から6のいずれか1項に記載の電池交換可能な電気機器。
【請求項8】
前記負荷として電動送風機を備える電気掃除機である請求項1から7のいずれか1項に記載の電池交換可能な電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、電池交換可能な電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池が掃除機本体に装着されると、二次電池へ確認信号を送信し、この確認信号を切っ掛けに二次電池が送信する信号を受信信号として受信し、この受信信号と照合用情報とを比較して装着された二次電池の真贋を判断する電気掃除機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-064059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蓄電池、充電式電池、および充電池とも呼ばれる二次電池は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、コバルトチタンリチウム二次電池など多様な種類を含んでいる。それら二次電池における使用可能な温度範囲、放電電流上限値、充電電流上限値、放電電圧下限値、充電電圧上限値などの電池特性は、同一ではなく異なっている。また、それら二次電池のエネルギー効率を向上させる技術開発が進められている。つまり、異なる種類の二次電池は、異なる電池特性を有し、同じ種類の電池であっても、製造時期が異なれば異なる電池特性を有する場合がある。例えば、充電可否の温度範囲は、二次電池の種類によって異なり、また同一種の二次電池であっても製造時期によって異なる場合がある。
【0005】
異種間、同一種間を問わず、同一の照合用情報で二次電池の真贋を判断する場合には、従来の電気掃除機は、装着された二次電池の電池特性の差異を知ることができない。この場合、従来の電気掃除機は、装着された二次電池の性能を十分に活かすことができなかったり、装着された二次電池に許容される使用範囲を逸脱して寿命を損なったり、破損を招いたりする虞がある。
【0006】
他方、二次電池の電池特性に応じて照合用情報を異ならせる場合には、従来の電気掃除機は、既知の電池特性を有する二次電池に対応する複数の照合用情報を出荷時に予め記憶しておく必要がある。その場合、従来の電気掃除機は、既知の二次電池の電池特性に応じる適切な制御を実行可能である一方、将来的に開発される、未知の二次電池の電池特性に応じる適切な制御を実行することは難しい。
【0007】
例えば、既知の二次電池を第一照合用情報で識別し、この第一照合用情報に対応する電池特性を予め記憶しておくことで、第一照合用情報で識別される二次電池を適切に利用できる。しかしながら、出荷時点では未知であって、新たに開発される二次電池を第二照合用情報で識別した場合には、この第二照合用情報に対応する電池特性を予め記憶しておくこと、第二照合用情報で識別される二次電池を正規品と判断すること、はいずれも難しく、新開発の二次電池を適切に利用できない。
【0008】
また、例えば、既知の二次電池では、使用可能な温度範囲のみを監視して使用されていたところ、新たな二次電池では、使用可能な温度範囲に加えて放電電流上限値を監視することで、より好ましい使用が可能になるような場合、従来の電気掃除機は、照合用情報の変更による監視項目の付加に対応することも難しい。
【0009】
そこで、本発明は、電池特性の異なる種々の電池、および同じ種類であっても電池特性の異なる電池を、出荷時点で既知であるか未知であるかを問わず、より適切な設定で利用可能な電池交換可能な電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器は、二次電池を着脱可能な電池装着部と、前記電池装着部に装着された前記二次電池が蓄える電力で駆動される負荷と、前記電池装着部に装着された前記二次電池から前記二次電池に関する情報を取得可能な電池情報取得部と、前記電池情報取得部が取得する前記情報に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかを実行する電力制御部と、を備えている。前記情報は、前記二次電池の電池特性に関連付けられるバージョン番号を含み、前記バージョン番号は、前記電池装着部に装着された前記二次電池から前記電力制御部へ電力が供給されることによって識別される、または前記電池情報取得部が取得する前記情報に記述されるメジャーバージョン番号と、同一の前記メジャーバージョン番号を有する前記二次電池の電池特性の変更および前記二次電池の電池特性の付加を識別可能なよう前記情報に記述されるマイナーバージョン番号と、を含んでいる。前記情報は、下位の前記マイナーバージョン番号に対応する前記二次電池の電池特性を包含している。前記電力制御部は、対応可能な前記バージョン番号に制限があって、同一の前記メジャーバージョン番号を有する前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御に前記情報を利用可能である一方、対応可能な前記マイナーバージョン番号に上限があって、この上限よりも上位の前記マイナーバージョン番号を有する前記二次電池が接続された場合には、前記情報に記述されている、対応可能な上限の前記マイナーバージョン番号に対応する前記二次電池の電池特性に基づいて前記二次電池の放電量の制御および充電量の制御を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器の一例の斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器のブロック図。
図3】本発明の実施形態に係る電気機器の動作を示すフローチャート。
図4】本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池のバージョン番号と電池特性との関連付けの一例を説明する図。
図5】本実施形態に係る電気機器が実行する初期設定におけるバージョン照合処理のフローチャート。
図6】本発明の実施形態に係る電気機器の動作設定処理を示すフローチャートの一例。
図7】本発明の実施形態に係る電気機器の初期設定を示す他の例のフローチャート。
図8】本発明の実施形態に係る電気機器の初期設定を示す他の例のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電池交換可能な電気機器の実施形態について図1から図8を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器の一例の斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、着脱可能な電源としての二次電池2と、二次電池2が蓄える電力で駆動される負荷、例えば電動機3と、を備えている。二次電池2は、蓄電池、充電式電池、および充電池とも呼ばれる。電気機器1は、例えばスティック型の電気掃除機5であって、電動機3が一体化された負荷としての電動送風機6を備えている。
【0015】
電気掃除機5は、把手11を有して手持ち操作可能な掃除機本体12と、掃除機本体12に着脱可能な二次電池2と、掃除機本体12に接続される延長管15と、延長管15に接続される吸込口体16と、を備えている。
【0016】
なお、電気機器1は、着脱可能な二次電池2を電源とするキャニスター型の電気掃除機5、アップライト型の電気掃除機5、またはハンディ型の電気掃除機5であっても良い。電気機器1は、電動機3の回転駆動力を利用する工具であっても良い。
【0017】
また、電気機器1、電気掃除機5、および掃除機本体12は、掃除機本体12を手に持つ使用者によって、様々な姿勢で利用される。そこで、図1中、実線矢印P方向視を平面視(上面視)とし、実線矢印Pの反対方向視を底面視とする。図1中、実線矢印F方向視を正面視(前面視)とし、実線矢印Fの反対方向視を背面視とする。図1中、実線矢印L方向視を左側面視とし、実線矢印Lの反対方向視を右側面視とする。
【0018】
掃除機本体12は、把手11を有する本体ケース17と、本体ケース17に収容されて吸込負圧を生じさせる電動送風機6と、本体ケース17に着脱自在に設けられる塵埃分離集塵部19と、二次電池2を着脱可能な電池装着部21と、二次電池2の充電端子22と、主に電動送風機6の駆動および二次電池2の充放電を制御する本体制御部23と、を備えている。
【0019】
掃除機本体12は、二次電池2が蓄える電力によって電動送風機6を駆動させ、電動送風機6の駆動によって負圧を発生させ、発生した吸込負圧を塵埃分離集塵部19に作用させる。塵埃分離集塵部19に作用する吸込負圧は、延長管15、および吸込口体16に順次に作用する。吸込口体16に達した吸込負圧は、吸込口体16の吸込口31に作用する。吸込口31に作用する吸込負圧は、床面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸込口31に吸い込む。吸込口31に吸い込まれた含塵空気は、吸込口体16および延長管15を通じて塵埃分離集塵部19へ流入する。塵埃分離集塵部19は、吸込負圧によって吸い込まれる含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに塵埃が分離された空気を電動送風機6へ送る。電動送風機6は、塵埃が分離された空気を本体ケース17外へ排気する。
【0020】
また、掃除機本体12は、充電端子22から供給される電力によって二次電池2を充電する。充電端子22は、本体制御部23の充電回路を介して二次電池2に接続されている。
【0021】
さらに、掃除機本体12は、把手11を握った使用者が、その手指を動かせる範囲に配置される入力部27を備えている。
【0022】
本体ケース17は、延長管15の延長線上に配置され、かつ延長管15の延長線に沿って延びる柱状の前部17aと、前部17aから下斜め後方へ垂れ下がる中央部17bと、中央部17bの背面の下半部から後方へ延びる筒状の後部17cと、中央部17bの背面の上半部から後方へ延び、円弧形状に湾曲して後部17cの上面の後端に繋がる把手11と、を備えている。
【0023】
本体ケース17の前部17aと中央部17bとは、協働して塵埃分離集塵部19を着脱可能に保持している。塵埃分離集塵部19は、全体で筒状の外観を有する。前部17aと中央部17bとは、塵埃分離集塵部19の中心線C、換言すると長手方向を延長管15の中心線の延長線に平行させて塵埃分離集塵部19を保持している。本体ケース17に延長管15および塵埃分離集塵部19が装着された状態では、延長管15の中心線の延長線および塵埃分離集塵部19の中心線Cは、本体ケース17を左右に実質的に均等に分断する中央縦断面上に配置されている。つまり、長手状の前部17aと筒状の塵埃分離集塵部19とは、中心線が平行するように併設されている。
【0024】
本体ケース17の前部17aは、延長管15の長手方向、つまり延伸方向の延長上に配置されて管状に延びている。前部17aは、延長管15を着脱可能な継手構造を備えている。前部17aは、掃除機本体12の流体的な入口である本体接続口25を有し、かつ延長管15と塵埃分離集塵部19とを流体的に接続している。掃除機本体12から延長管15を取り外すことによって、本体接続口25は、掃除機本体12を単体で使用する際の吸込口としても機能する。
【0025】
本体ケース17の後部17cは、電動送風機6および本体制御部23を収容している。後部17cは、電動送風機6の排気を本体ケース17内から吐出させる排気口26を有している。後部17cの底部には、二次電池2を着脱可能な電池装着部21が設けられている。
【0026】
本体ケース17の中央部17bは、前部17aに併設される塵埃分離集塵部19の後端部の一部を覆い隠すように保持し、かつ塵埃分離集塵部19と電動送風機6とを繋ぐ風路(図示省略)を収容している。中央部17bは、実質的に直線状に延びる前部17aの後端部に連接して本体ケース17の下斜め後方へ向かって膨らんでいる。中央部17bは、本体ケース17の後方へ向かって後ろ下がりに傾斜する外観を有している。
【0027】
把手11は本体ケース17に一体に設けられている。把手11は、電気掃除機5で床面を掃除するために、使用者が手で把持する部分である。そのため、把手11は、人の手指で把持し易い適宜の形状を有することが好ましい。
【0028】
把手11は、本体ケース17の前部17aと後部17cとの間に架設されている。把手11は、前部17aの後端から延長管15の延長方向へ延び、かつ弧状に湾曲して後部17cの後端部に繋がっている。把手11と本体ケース17の中央部17bの背面との間、および把手11と本体ケース17の後部17cの天面との間には、一続きの空間が、本体ケース17の左右方向(幅方向)へ貫通している。この空間には、把手11を握る使用者の手指、もっぱら人差し指、中指、薬指、および小指を含む四指が配置される。
【0029】
入力部27は、把手11の近傍であって、把手11を握った使用者がその手指を動かせる範囲に設けられている。入力部27は、電動送風機6の動作要求を受け付けるスイッチを備えている。このスイッチは、本体制御部23に電気的に接続されている。電気掃除機5の使用者は、入力部27を操作して電動送風機6の運転と停止とを交互に切り換えることができる。
【0030】
入力部27は、電動送風機6の運転モードを切り換えるスイッチを備えていても良い。この場合、本体制御部23は、運転モード切替スイッチから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、入力部27は、運転モード切替スイッチに代えて、強運転スイッチ、中運転スイッチ、および弱運転スイッチを個別に備えていても良い。
【0031】
塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前部17aと本体ケース17の中央部17bとが成すL文字形状の収容空間に配置されている。塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機6へ送る。塵埃分離集塵部19は、塵埃と空気との質量の差異を利用して塵埃と空気とを遠心分離する遠心分離方式である。塵埃分離集塵部19の下流側に含塵空気から塵埃を濾し取る濾過分離方式のフィルターが設けられていても良い。
【0032】
また、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前後方向に沿って筒状に延伸している。換言すると、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前後方向に延びる中心線Cを有する筒形状の容器である。塵埃分離集塵部19の中心線Cに沿う方向、塵埃分離集塵部19の延伸方向、塵埃分離集塵部19の長手方向は、実質的に同意であり、本体ケース17の前後方向に実質的に一致している。したがって、塵埃分離集塵部19の中心線Cは、延長管15の中心線に実質的に平行している。また、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前部17aに併設されている。つまり、塵埃分離集塵部19の長手方向は、本体ケース17の前部17aの長手方向に倣っている。塵埃分離集塵部19の直径は、本体ケース17の前部17aの幅寸法よりも大きく、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前部17aよりも掃除機本体12の左右方向(幅方向)に突出している。なお、掃除機本体12の左右方向(幅方向)は、掃除機本体12の中央縦断面の法線方向に相当する。筒状の塵埃分離集塵部19の中心線Cは、掃除機本体12の中央縦断面に実質的に含まれている。
【0033】
本体ケース17の中央部17bは、塵埃分離集塵部19の排気側に流体的に接続される連結口と、連結口と電動送風機6とを流体的に接続する分離部下流風路管と、を備えている。中央部17bは、塵埃分離集塵部19と本体ケース17の後部17cとの間に挟み込まれている部位を含んでいる。この部位に連結口および分離部下流風路管が配置されている。
【0034】
連結口は、中央部17bの正面を臨む部位に配置されている。連結口は、塵埃分離集塵部19が本体ケース17に装着された状態で、塵埃分離集塵部19の後ろ側の端面に正対する。したがって、連結口は、塵埃分離集塵部19が本体ケース17に装着された状態で、塵埃分離集塵部19の中心線Cの延長線上に配置される。
【0035】
電動送風機6の吸込側は、連結口および分離部下流風路管を介して塵埃分離集塵部19に接続される。電動送風機6は、塵埃分離集塵部19から空気を吸い込んで吸込負圧を発生させる。電動送風機6は、羽根車と、羽根車の回転駆動力を発生する電動機3と、電動機3から羽根車へ回転駆動力を伝達する回転軸と、を備えている。
【0036】
羽根車は、例えばターボファンであり、複数の羽根を備えている。それぞれの羽根は、円錐状のハブの中心部からハブの外縁部へ向かって徐々にハブの径方向へ向かって起立する、捻れた形状を有している。換言すると、それぞれの羽根は、前縁から後縁に掛けて翼型(airfoil)または翼断面(wing section)が変化する、いわゆる3次元翼である。羽根車は、吸込口を有するケースに覆われている。
【0037】
電動送風機6は、回転軸を中心とする円筒状、または円柱状の形状を有している。回転軸の中心線を本体ケース17の前後方向へ向け、かつ吸込口を前方へ向けて本体ケース17に収容されている。また、電動送風機6の回転軸の中心線は、実質的に塵埃分離集塵部19の中心線Cの延長線上に配置されている。
【0038】
本体制御部23は、電動送風機6の真後ろに配置されている。本体制御部23は、マイクロプロセッサー、およびマイクロプロセッサーが実行する各種演算プログラム、パラメーターなどを記憶する記憶部としての記憶装置28を備えている。複数の運転モードから電動送風機6の運転モードを択一的に選択可能な制御を実装する場合には、記憶装置28は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶する。複数の運転モードは電動送風機6の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機6の入力値、電動送風機6に流れる電流目標値)が設定されている。それぞれの運転モードは、入力部27が受け付ける動作要求に関連付けられている。本体制御部23は、入力部27の動作要求に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択し、選択した運転モードの設定を記憶装置28から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機6を運転する。
【0039】
なお、電動送風機6の入力値は、二次電池2の放電量に相当する。二次電池2の放電量は、二次電池2の放電電流または放電電圧の高低によって制御される。二次電池2の放電電流の高低によって二次電池2の放電量を制御することが簡便で好ましい。
【0040】
また、本体制御部23は、掃除機本体12の充電端子22が電源、例えば充電器に接続された場合には、二次電池2の充電を制御する。二次電池2の充電量は、二次電池2の充電電流または充電電圧の高低によって制御される。
【0041】
二次電池2は、いわゆるバッテリーパックである。二次電池2が蓄える電力を放電することによって、電動送風機6や本体制御部23が駆動され、二次電池2へ電力を充電することによって、電動送風機6や本体制御部23で消費される電力が二次電池2に蓄えられる。二次電池2は、本体ケース17に着脱できる。換言すると、電気掃除機5は、複数の二次電池2を適宜に交換して利用できる。電気掃除機5に装着されている二次電池2の充電率が低下した場合には、この二次電池2を、充電済みの二次電池2に交換することによって、電気掃除機5は、運転を継続できる。つまり、二次電池2は、本体ケース17に装着したまま充電することもできるし、本体ケース17から一旦取り外し、電気掃除機5とは異なる充電器に装着して充電し、充電後に本体ケース17へ再装着することもできる。
【0042】
報知部29は、本体制御部23によって制御され、二次電池2の充電状態、例えば二次電池2が充電中であること、二次電池2が満充電であること、二次電池2の充電率が所定の充電率よりも低下し、いわゆる電池切れであること、を報知する。報知部29は、例えば、文字などの情報を表示するディスプレイ、点灯または点滅するランプやLED(Light Emitting Diode)など電気掃除機5の使用者の視覚に訴えるもの、電気的に合成された音声やブザー音などを発する発音器など電気掃除機5の使用者の聴覚に訴えるもの、バイブレーターなど電気掃除機5の使用者の触覚に訴えるもの、の少なくともいずれかである。報知部29は、入力部27の近傍に設けられていることが好ましい。そのように配置することによって、報知内容の認知性が高められる。
【0043】
延長管15および吸込口体16は、電動送風機6から作用する負圧によって、床面上の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除機本体12へ案内する。
【0044】
延長管15は、本体ケース17の本体接続口25および塵埃分離集塵部19を介して電動送風機6の吸込側に流体的に接続されている。延長管15は、使用者が掃除機本体12の把手11を把持した状態で実質的に床面に届く長さを有する。延長管15の一方の端部は、掃除機本体12の本体接続口25に着脱自在な継手構造を有している。延長管15の他方の端部は、掃除機本体12の吸込口体16を着脱自在な継手構造を有している。延長管15は、伸縮可能であっても良いし、伸縮不能な一定の長さを有していても良い。
【0045】
吸込口体16は、木床やカーペットなどの床面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において床面に対向する底面に吸込口31を有する。また、吸込口体16は、吸込口31に配置される回転自在な回転清掃体32と、回転清掃体32を駆動させる電動機33と、を備えている。吸込口体16の一方の端部は、延長管15の他方の端部に着脱自在な継手構造を有している。吸込口体16は、延長管15を介して電動送風機6の吸込側に流体的に接続されている。吸込口体16、延長管15、および塵埃分離集塵部19は、電動送風機6から吸込口31へ至る吸込風路である。
【0046】
なお、吸込口体16は、電動機33に代えて回転清掃体32を駆動させる風車(図示省略)を備えていても良い。この風車は、電気掃除機5に吸い込まれる空気の流動によって回転し、回転清掃体32を駆動させる。
【0047】
電気掃除機5は、電動送風機6が停止している状態で入力部27が操作されると、電動送風機6を始動させる。運転モード切替スイッチが実装されている場合には、電気掃除機5は、先ず電動送風機6を強運転モードで始動させ、運転モード切替スイッチが操作されると電動送風機6の運転モードを中運転モードに変更し、再度、運転モード切替スイッチが操作されると電動送風機6の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードである。電動送風機6に対する入力値は、強運転モードが最も大きく、弱運転モードが最も小さい。始動した電動送風機6は、塵埃分離集塵部19から空気を吸込み、塵埃分離集塵部19内を負圧にする。
【0048】
塵埃分離集塵部19内の負圧は、本体接続口25、延長管15、および吸込口体16を順次に通じて吸込口31に作用する。電気掃除機5は、吸込口31に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機5に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機6へ送る。電動送風機6は、塵埃分離集塵部19から吸い込んだ空気を掃除機本体12外へ排気する。
【0049】
図2は、本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器のブロック図である。
【0050】
図2に示すように、本実施形態に係る電気機器1は、二次電池2を着脱可能な電池装着部21と、電池装着部21に装着された二次電池2から二次電池2に関する情報を取得可能な電池情報取得部41と、二次電池2の状態を取得可能な電池状態取得部42と、電池装着部21に装着された二次電池2が蓄える電力で駆動される負荷としての電動機3と、電池情報取得部41が取得する情報に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかを実行する電力制御部としての本体制御部23と、入力部27と、を備えている。なお、説明の便宜のため「二次電池2に関する情報」を以下「電池特性情報」と言う。「二次電池2に関する情報」と同意である「電池情報取得部41が取得する情報」も以下「電池特性情報」と言う。
【0051】
電池装着部21は、電気機器1の本体、つまり電気掃除機5の掃除機本体12に設けられている。電池装着部21は、二次電池2を機械的に着脱可能に保持する機構と、二次電池2と電気機器1内の電気回路とを電気的に接続する端子と、を備えている。電池装着部21の機械的な機構は、例えば嵌合された二次電池2に解除可能なロックを掛けて二次電池2の離脱および脱落を防ぐ。
【0052】
二次電池2は、バッテリーパックであって、少なくとも1つの素電池45と、電池特性情報が記された情報記録部46と、を備えている。
【0053】
素電池45は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、コバルトチタンリチウム二次電池など多様な種類から採用される。電気機器1の負荷に所望の電力を供給するために、複数の素電池45が二次電池2に搭載される。二次電池2に複数の素電池45を搭載する場合には、複数の素電池45は、実質的に同一の電池特性を有することが好ましい。
【0054】
電池特性情報は、使用可能な温度上限値、使用可能な温度下限値、使用可能な温度上限値と温度下限値とを組み合わせた温度範囲、放電電流上限値、充電電流上限値、放電電圧下限値、充電電圧上限値などの二次電池2の電池特性の少なくとも1つ、または、二次電池2の電池特性の少なくとも1つを算出するための根拠情報を含んでいる。なお、二次電池2の電池特性は、素電池45の電池特性に基づいている。説明の便宜のため、以下の説明では、二次電池2の電池特性そのもの、および二次電池2の電池特性を算出するための根拠情報を、一括して「二次電池2の電池特性」と記載する。
【0055】
また、二次電池2が分類のための文字、数字、記号、またはこれらを組み合わせたコードで識別可能な電池特性を有する素電池45を搭載している場合には、電池特性情報は、このコード、および素電池45の数量を含む情報であっても良い。その場合には、記憶装置28は、コード、およびコードで識別される素電池45の電池特性を関連付けたテーブル情報を記憶するテーブルデータ記憶部である。
【0056】
さらに、電池特性情報は、二次電池2の電池特性に関連付けられるバージョン番号51を含んでいる。つまり、二次電池2は、バージョン番号51によってバージョン管理されている。バージョン番号51は、メジャーバージョン番号52と、マイナーバージョン番号53と、を有している。
【0057】
図2において「AAA」の文字列で記述されるメジャーバージョン番号52は、電池装着部21に装着された二次電池2から本体制御部23へ電力が供給されることによって識別される機械的、および電気的なインタフェースの整合であっても良いし、電池情報取得部41が取得する電池特性情報に記述される情報であっても良い。
【0058】
図2において「BBB」の文字列で記述されるマイナーバージョン番号53は、同一のメジャーバージョン番号52を有する二次電池2の電池特性の変更および二次電池2の電池特性の付加を識別可能なよう電池特性情報に記述される情報である。
【0059】
なお、図2では、メジャーバージョン番号52とマイナーバージョン番号53とを区別しやすいよう、メジャーバージョン番号52とマイナーバージョン番号53との間に「.」(ピリオド、ドット)を記載した。
【0060】
メジャーバージョン番号52が機械的、および電気的なインタフェースの整合で規定される場合、二次電池2が電池装着部21に装着可能であり、かつ二次電池2と本体制御部23とが電気的に正常に電力および信号を授受可能であれば、その二次電池2は、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号52を有していると解釈する。
【0061】
情報で記述されるメジャーバージョン番号52およびマイナーバージョン番号53は、単純な整数値であっても良いし、分類のための文字、数字、記号、またはこれらを組み合わせたコードであっても良い。これら番号52、53は、過去から未来へ時系列に昇順、または降順に付与される。昇順および降順のいずれで付与される場合であっても、時系列において過去のものを下位とし、未来のものを上位として管理される。
【0062】
そして、メジャーバージョン番号52が情報で記述される場合、電池情報取得部41を介して二次電池2から取得されるメジャーバージョン番号52と記憶装置28に記憶されているメジャーバージョン番号52とが一致していれば、その二次電池2は、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号52を有していると解釈する。
【0063】
また、メジャーバージョン番号52が情報で記述される場合、二次電池2と本体制御部23との間で信号を授受し合って二次電池2の真贋を判断し、装着された二次電池2が正規品であると判断されれば、その二次電池2は、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号52を有していると解釈しても良い。
【0064】
情報記録部46は、例えば非接触型ICチップ、一次元バーコード、二次元バーコードなど非接触で電池特性情報を提供可能な記録媒体、または記録方式であっても良いし、接触型ICチップなど接触して電池特性情報を提供可能な記録媒体、または記録方式であっても良い。また、情報記録部46は、二次電池2に内蔵されて電池特性情報を記憶するメモリーであっても良い。
【0065】
電池情報取得部41は、例えば非接触型ICチップのリーダー、一次元バーコードのリーダー、二次元バーコードのリーダー、接触型ICチップのリーダーであり、二次電池2に内蔵または貼付されている情報記録部46から電池特性情報を読み取り可能な装置である。電池情報取得部41は、信号線を介して二次電池2に内蔵されるメモリーから電池特性情報を取得する入力装置であっても良い。
【0066】
電池状態取得部42は、二次電池2の状態として二次電池2の温度、二次電池2の放電電流、放電電圧、二次電池2の充電電流、充電電圧などの監視項目の少なくともいずれかを測定する。電池状態取得部42は、監視項目の物理量を測定するセンサー部と、センサー部の出力を読み取って監視項目の物理量に変換する回路と、を備えている。そして、電池状態取得部42は、センサー部および回路を二次電池2側に設けるのか、掃除機本体12側に設けるのか、二次電池2側および掃除機本体12側に別々に設けるのか、によって大きく3つの方式に分類される。第一取得方式の電池状態取得部42は、二次電池2側に設けられるセンサー部と、掃除機本体12側に設けられる回路と、を備えている。第一取得方式は、例えば、二次電池2内に設けられて素電池45の温度を測定するサーミスターと、掃除機本体12内に設けられてサーミスターの抵抗値を読み取って温度に変換する回路と、を備えている。第二取得方式の電池状態取得部42は、掃除機本体12側に設けられるセンサー部と、掃除機本体12側に設けられる回路と、を備えている。第二取得方式は、例えば、掃除機本体12内に設けられて二次電池2から負荷への放電電流を測定するシャント抵抗と、掃除機本体12内に設けられてシャント抵抗の抵抗値を読み取って放電電流に変換する回路と、を備えている。第三取得方式の電池状態取得部42は、二次電池2側に設けられるセンサー部と、二次電池2側に設けられる回路と、を備えている。第三取得方式の電池状態取得部42は、回路で変換した物理量を電気信号に変換して掃除機本体12側の回路へ出力する。第三取得方式は、例えば、二次電池2内に設けられて素電池45の温度を測定するサーミスターと、二次電池2内に設けられてサーミスターの抵抗値を読み取って温度に変換し、この測定温度を掃除機本体12側の回路へ出力する回路と、を備えている。
【0067】
図3は、本発明の実施形態に係る電気機器の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図3に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、二次電池2が掃除機本体12の電池装着部21に装着されると、二次電池2から供給される電力で起動する。
【0069】
なお、二次電池2のメジャーバージョン番号52が機械的、および電気的なインタフェースの整合で規定される場合、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号52と二次電池2のメジャーバージョン番号52とが一致していれば、本体制御部23が起動する。掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号52と二次電池2のメジャーバージョン番号52とが不一致していれば、本体制御部23は起動できない。
【0070】
起動した本体制御部23は、電池情報取得部41を介して電池特性情報を取得し(ステップS1)、電気機器1の初期設定を行う(ステップS2)。初期設定では、負荷である電動送風機6の動作状態が「停止」に設定され、入力部27の動作要求が「操作なし」に設定される。
【0071】
また、初期設定では、二次電池2のバージョン番号51に依拠して二次電池2の充放電の制御に用いる二次電池2の電池特性が設定される。
【0072】
電池特性情報が二次電池2の電池特性そのものを記述している場合には、二次電池2の電池特性の少なくとも1つが電池特性情報から設定される。電池特性情報が二次電池2の電池特性を算出するための根拠情報を記述している場合には、二次電池2の電池特性の少なくとも1つが電池特性情報から算出されて設定される。説明の便宜のため、例えば二次電池2の使用可能な温度上限値および温度下限値が設定されるものとする。
【0073】
なお、初期設定される二次電池2の電池特性は、素電池45の電池特性に対して安全マージンを見込んだ値であることが好ましい。例えば、電池特性情報から取得される二次電池2の使用可能な温度上限値が素電池45の電池特性そのものである摂氏70度の場合には、初期設定される二次電池2の使用可能な温度上限値は、摂氏70度であっても良いし、安全マージンを見込んだ摂氏69度であっても良い。また、電池特性情報は、予め安全マージンを見込んだ値である摂氏69度に設定されていても良い。
【0074】
さらに、電池特性情報が二次電池2の素電池45を識別するコードと、素電池45の数量と、を含んでいる場合には、記憶装置28が記憶するテーブルデータと電池特性情報とを照合して、二次電池2の電池特性の少なくとも1つが設定される。
【0075】
次いで、本体制御部23は、入力部27の操作を検知すると、入力部27の動作要求を「操作あり」に設定し(ステップS3)、電池状態取得部42を介して二次電池2の状態、ここでは二次電池2の温度を取得する(ステップS4)。
【0076】
次いで、本体制御部23は、入力部27の動作要求の内容、および二次電池2の状態と二次電池2の電池特性との比較結果に基づいて電動送風機6の動作状態を設定する(ステップS5)。ステップS5の動作設定処理では、入力部27の動作要求の内容、および二次電池2の状態と二次電池2の電池特性との比較結果に基づいて電動送風機6の動作状態が「停止」または「運転」に設定される。
【0077】
なお、説明の便宜のために電動送風機6の動作状態を「停止」または「運転」のいずれかとして以下の説明をするが、電動送風機6の動作状態は、電動送風機6の運転モードを含んでいても良い。つまり、電動送風機6の動作状態は、「停止」、「強モード運転」、「中モード運転」、および「弱モード運転」のように、2つ以上の運転状態を含んでいても良い。その場合には、入力部27の動作要求は、「操作なし」、「操作あり」に加えて、「強モード操作あり」、「中モード操作あり」、および「弱モード操作あり」のように、運転モードを選択する操作を含んでいることが好ましい。
【0078】
次いで、本体制御部23は、電動送風機6の動作状態に従って電動送風機6の運転を制御する(ステップS6)。換言すると、本体制御部23は、電動送風機6の動作状態に従って二次電池2の放電量を制御する。
【0079】
そして、本体制御部23は、ステップS3からステップS6を予め定める周期で繰り返す。
【0080】
ここで、電池特性情報に記述されるバージョン番号51と電池特性との関連付けについて説明する。
【0081】
図4は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池のバージョン番号と電池特性との関連付けの一例を説明する図である。
【0082】
図4に示すように、バージョン番号51が「1.0」であり、電池特性として使用可能な温度上限値が記述された電池特性情報を有する二次電池2と、このバージョン「1.0」の二次電池2を適切に制御可能な電気機器1の本体がある。このバージョン「1.0」対応の本体は、二次電池2の温度を監視し、この温度が温度上限値より大きくなることのないようバージョン「1.0」の二次電池2を放電させたり、充電したりする。
【0083】
その後、バージョン番号51が「1.1」であり、電池特性として使用可能な温度上限値と温度下限値とが記述された電池特性情報を有する二次電池2と、このバージョン「1.1」の二次電池2を適切に制御可能な電気機器1の本体が製造可能になったとする。バージョン「1.1」の二次電池2は、バージョン「1.0」の二次電池2の上位バージョンの二次電池2であり、バージョン「1.0」の二次電池2は、バージョン「1.1」の二次電池2の下位バージョンの二次電池2である。「温度上限値」は、バージョン「1.0」の二次電池2およびバージョン「1.1」の二次電池2で共通する。換言すると、バージョン「1.1」の二次電池2に記述される電池特性情報は、下位のバージョン「1.0」の電池特性を包含している。バージョン「1.0」の電池特性情報は「温度下限値」を含まず、上位のバージョン「1.1」の電池特性情報は「温度下限値」を含んでいる。 バージョン「1.1」対応の本体は、二次電池2の温度を監視し、この温度が温度上限値より大きくなることのないよう、かつ温度下限値よりも小さくなることのないようバージョン「1.1」の二次電池2を放電させたり、充電したりする。
【0084】
次いで、ステップS2の初期設定処理におけるバージョン照合処理および電池特性の設定処理ついて説明する。
【0085】
図5は、本実施形態に係る電気機器が実行する初期設定におけるバージョン照合処理のフローチャートである。
【0086】
図5は、図3のステップS2の初期設定の一部を詳細に示している。図5に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、対応可能なバージョン番号51に制限を有している。本体制御部23は、同一のメジャーバージョン番号52を有する二次電池2の放電量の制御および充電量の制御に電池特性情報を利用可能である一方、対応可能なマイナーバージョン番号53に上限がある。本体制御部23は、この上限よりも上位のマイナーバージョン番号53を有する二次電池2が接続された場合には、電池特性情報に記述されている、対応可能な上限のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。
【0087】
また、本体制御部23は、対応可能なバージョン番号51と二次電池2のバージョン番号51とが一致している場合には、電池特性情報に記述されている、最上位のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。
【0088】
さらに、本体制御部23は、対応可能なマイナーバージョン番号53より下位のマイナーバージョン番号53を有する二次電池2が接続された場合には、二次電池2の電池特性情報に記述されている最新の電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。
【0089】
なお、電池特性情報に記述されている最新の電池特性は、最上位のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性に相当する。したがって、本体制御部23は、対応可能なマイナーバージョン番号53と同位または下位のマイナーバージョン番号53を有する二次電池2が接続された場合には、二次電池2の電池特性情報に記述されている、最上位のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。
【0090】
具体的には、本体制御部23は、二次電池2の電池特性を設定する前に、先ず二次電池2の電池特性情報からバージョン番号51を取得し(ステップS11)、二次電池2のメジャーバージョン番号52と本体が対応可能なメジャーバージョン番号52とが一致するか否かを判断する(ステップS12)。二次電池2のメジャーバージョン番号52が機械的、および電気的なインタフェースの整合で規定される場合、ステップS12は省略できる。例えば、バージョン番号「1.N」(Nは任意のマイナーバージョン番号53)対応の本体では、二次電池2のメジャーバージョン番号52が「1」の場合には、ステップS12の判断が肯定され、メジャーバージョン番号52が「1」以外の場合には、ステップS12の判断が否定される。
【0091】
二次電池2のメジャーバージョン番号52と本体が対応可能なメジャーバージョン番号52とが不一致する場合には(ステップS12 No)、本体制御部23は、ステップS2を異常終了させる。ステップS2が異常終了する場合には、本体制御部23は、入力部27の動作要求に係わらず、電動送風機6の運転を行わない。なお、ステップS11、S12は、二次電池2のメジャーバージョン番号52と本体が対応可能なメジャーバージョン番号52とが一致するか否かにかかわらず、二次電池2から供給される電源で本体制御部23を起動し、処理されることが好ましい。
【0092】
他方、二次電池2のメジャーバージョン番号52と本体が対応可能なメジャーバージョン番号52とが一致する場合には(ステップS12 Yes)、本体制御部23は、二次電池2のマイナーバージョン番号53が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号53より大きいか否かを判断する(ステップS13)。本体が対応可能なマイナーバージョン番号53は、本体が対応可能な上限のマイナーバージョン番号53と同意である。
【0093】
そして、二次電池2のマイナーバージョン番号53が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号53より大きい場合には(ステップS13 Yes)、本体制御部23は、電池特性情報に記述されている、本体が対応可能な上限のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性に基づいて、二次電池2の充放電の制御に用いる第一閾値を設定し(ステップS14)、ステップS2を終了させる。この場合、電池特性情報に記述されている電池特性のうち、本体が対応可能な上限のマイナーバージョン番号53より大きいマイナーバージョン番号53に関連付けられている電池特性は、二次電池2の充放電の制御に用いられない。
【0094】
換言すると、上位バージョンの二次電池2を下位バージョン対応の本体に装着した場合、つまり、バージョン「1.1」の二次電池2をバージョン「1.0」対応の本体に装着した場合には、本体は、バージョン「1.1」の二次電池2に記述される電池特性情報から、対応可能な上限であるバージョン「1.0」の二次電池2と共通する電池特性のみを利用してバージョン「1.1」の二次電池2を制御する。
【0095】
図4に示すように、バージョン「1.1」の二次電池2の電池特性情報は、「温度上限値」、および「温度下限値」を含んでいるが、バージョン「1.1」の二次電池2をバージョン「1.0」対応の本体に装着した場合(図4中の矢印A)には、本体制御部23は、二次電池2の温度を監視し、この温度が温度上限値より大きくなることのないようバージョン「1.1」の二次電池2を放電させたり、充電したりする一方、温度下限値に係る判断を行わない。
【0096】
他方、二次電池2のマイナーバージョン番号53が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号53以下の場合には(ステップS13 No)、本体制御部23は、電池特性情報に記述されている、最上位のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性に基づいて、二次電池2の充放電の制御に用いる第一閾値を設定し(ステップS15)、ステップS2を終了させる。電池特性情報に記述されている、最上位のマイナーバージョン番号53に対応する電池特性は、電池特性情報に記述されている最新の電池特性に相当する。
【0097】
換言すると、下位バージョンの二次電池2を上位バージョン対応の本体に装着した場合、つまり、バージョン「1.0」の二次電池2をバージョン「1.1」対応の本体に装着した場合には、本体は、バージョン「1.0」の二次電池2に記述される電池特性情報を利用してバージョン「1.0」の二次電池2を制御する。
【0098】
図4に示すように、バージョン「1.0」の二次電池2の電池特性情報は、「温度上限値」を含む一方、「温度下限値」を含んでいない。バージョン「1.0」の二次電池2をバージョン「1.1」対応の本体に装着した場合には(図4中の矢印B)、本体制御部23は、二次電池2の温度を監視し、この温度が温度上限値より大きくなることのないようバージョン「1.0」の二次電池2を放電させたり、充電したりする一方、温度下限値に係る判断を行わない。
【0099】
なお、バージョン「1.0」の二次電池2の温度上限値とバージョン「1.1」の二次電池2の温度上限値とは、異なっていても良い。そのような場合には、本体が対応可能なバージョン番号51と同位、または下位のバージョン番号51に適合する温度上限値のうち、最新の情報が利用される。
【0100】
また、図4に例示されているとおり、電池特性情報は、二次電池2のバージョン番号51が大きいほど、記述される二次電池2の電池特性が多い。電池特性情報は、マイナーバージョン番号53が大きいほど、二次電池2の電池特性のいずれかに対応する第一閾値を設定可能な情報をより多く含んでいる。
【0101】
次いで、ステップS5の動作設定処理について説明する。
【0102】
図6は、本発明の実施形態に係る電気機器の動作設定処理を示すフローチャートの一例である。
【0103】
図6は、図3のステップS5の動作設定処理を詳細に示している。図6に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、入力部27の動作要求が「操作あり」の場合には(ステップS21 Yes)、入力部27の動作要求を「操作なし」に設定する(ステップS22)。
【0104】
次いで、本体制御部23は、電動送風機6の動作状態を判断する(ステップS23)。本体制御部23は、電動送風機6の動作状態が「運転」の場合には(ステップS23 Yes)、電動送風機6の動作状態を「停止」に設定し(ステップS24)、電動送風機6の動作状態が「停止」の場合には(ステップS23 No)、電動送風機6の動作状態を「運転」に設定し(ステップS25)、二次電池2のマイナーバージョン番号53の照合処理へ移行する(ステップS27)。
【0105】
また、本体制御部23は、入力部27の動作要求が「操作なし」(ステップS21 No)、かつ電動送風機6の動作状態が「運転」の場合には(ステップS26 Yes)、二次電池2のマイナーバージョン番号53の照合処理へ移行する(ステップS27)。本体制御部23は、入力部27の動作要求が「操作なし」(ステップS21 No)、かつ電動送風機6の動作状態が「停止」(ステップS26 No)の場合には、ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0106】
次いで、本体制御部23は、二次電池2のマイナーバージョン番号53が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号53より大きいか否かを判断する(ステップS27)。二次電池2のマイナーバージョン番号53が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号53より大きい場合には(ステップS27 Yes)、本体制御部23は、二次電池2の状態とステップS14で設定した第一閾値との比較処理を実行する(ステップS28)。
【0107】
例えば、バージョン「1.1」の二次電池2がバージョン「1.0」対応の本体に装着されている場合には(図4中の矢印A)、本体制御部23は、二次電池2の状態として電池状態取得部42を介して取得する二次電池2の温度と、第一閾値である二次電池2の温度上限値と、を比較する。本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度上限値より大きい場合、つまり(二次電池2の温度)>(二次電池2の温度上限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を肯定し(ステップS28 Yes)、電動送風機6の動作状態を「停止」に設定して(ステップS29)ステップS5の動作設定処理を終了する。このとき、バージョン「1.0」対応の本体制御部23は、バージョン「1.1」の二次電池2が有している「温度下限値」を比較処理に利用しない。
【0108】
本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度上限値以下の場合、つまり(二次電池2の温度)≦(二次電池2の温度上限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を否定し(ステップS28 No)、電動送風機6の動作状態を「運転」に維持したまま、ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0109】
他方、二次電池2のマイナーバージョン番号53が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号53以下の場合には(ステップS27 No)、本体制御部23は、二次電池2の状態とステップS15で設定した第一閾値との比較処理を実行する(ステップS30)。
【0110】
例えば、バージョン「1.1」の二次電池2がバージョン「1.1」対応の本体に装着されている場合には、本体制御部23は、二次電池2の状態として電池状態取得部42を介して取得する二次電池2の温度と、第一閾値である二次電池2の温度下限値と、を比較する。本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度下限値より小さい場合、つまり(二次電池2の温度)<(二次電池2の温度下限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を肯定し(ステップS30 Yes)、電動送風機6の動作状態を「停止」に設定して(ステップS31)ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0111】
また、本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度下限値以上の場合、つまり(二次電池2の温度)≧(二次電池2の温度下限値)の場合には、本体制御部23は、二次電池2の温度と、もう一つの第一閾値である二次電池2の温度上限値と、を比較する。この比較処理は、バージョン「1.0」対応の本体制御部23と同じ処理である。本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度上限値より大きい場合、つまり(二次電池2の温度)>(二次電池2の温度上限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を肯定し(ステップS30 Yes)、電動送風機6の動作状態を「停止」に設定して(ステップS31)ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0112】
さらに、本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度上限値以下の場合、つまり(二次電池2の温度)≦(二次電池2の温度上限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を否定し(ステップS30 No)、電動送風機6の動作状態を「運転」に維持したまま、ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0113】
また、バージョン「1.0」の二次電池2がバージョン「1.1」対応の本体に装着されている場合には(図4中の矢印B)、本体制御部23は、二次電池2の状態として電池状態取得部42を介して取得する二次電池2の温度と、第一閾値である二次電池2の温度上限値と、を比較する。このとき、バージョン「1.0」の二次電池2は、バージョン「1.1」対応の本体制御部23が比較処理に利用可能な「温度下限値」を含んでいない。そこで、バージョン「1.1」対応の本体制御部23は、バージョン「1.0」の二次電池2が含んでいない「温度下限値」を二次電池2の状態と第一閾値との比較処理に利用しない。
【0114】
つまり、本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度上限値より大きい場合、つまり(二次電池2の温度)>(二次電池2の温度上限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を肯定し(ステップS30 Yes)、電動送風機6の動作状態を「停止」に設定して(ステップS31)ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0115】
また、本体制御部23は、二次電池2の温度が二次電池2の温度上限値以下の場合、つまり(二次電池2の温度)≦(二次電池2の温度上限値)の場合には、二次電池2の状態と第一閾値との比較処理を否定し(ステップS30 No)、電動送風機6の動作状態を「運転」に維持したまま、ステップS5の動作設定処理を終了する。
【0116】
なお、ステップS28、S30において、二次電池2の状態が二次電池2の電池特性、つまり電池情報取得部41を介して取得する電池特性情報から設定される第一閾値(温度条件)を逸脱すると、直ちに電動送風機6の動作状態を「停止」に設定したが、電動送風機6入力を段階的に減少させる、つまり二次電池2の放電量を段階的に減少させて二次電池2の状態を継続監視し、所定時間経過後に二次電池2の状態が第一閾値を逸脱すれば、負荷である電動送風機6を停止させ、二次電池2の状態が第一閾値内に納まれば、負荷である電動送風機6の運転を維持しても良い。
【0117】
以上のように構成される本実施形態に係る本体制御部23は、二次電池2のバージョン番号51と本体が対応可能なバージョン番号51との照合処理に基づいて二次電池2の電池特性を設定し(ステップS2)、二次電池2の状態と二次電池2の電池特性との比較処理を実行する(ステップS5)。この比較処理において、本体制御部23は、二次電池2の状態が二次電池2の電池特性、つまり電池情報取得部41を介して取得する電池特性情報から設定される第一閾値を逸脱すれば、負荷である電動送風機6の入力を下げ、または電動送風機6を停止させ、二次電池2の状態が第一閾値内にあれば、負荷である電動送風機6の運転を維持する。つまり、本体制御部23は、電池情報取得部41を介して二次電池2から取得するバージョン番号51と第一閾値とを用いて二次電池2の放電量を制御する。そのような制御は、第一閾値として温度上限値および温度下限値からなる温度範囲、放電電流上限値、放電電圧下限値などの電池特性を閾値として二次電池2の放電量(負荷への給電量と同意)を制御する場合であっても同様に実行できる。また、そのような制御は、温度範囲、充電電流上限値、充電電圧上限値などの電池特性を第一閾値として二次電池2の充電量を制御する場合であっても同様に実行できる。
【0118】
換言すると、本体制御部23は、電池情報取得部41を介して二次電池2から取得する電池特性情報に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第一閾値を設定し、かつ電池状態取得部42で取得する二次電池2の状態が放電量の第一閾値を超える場合には、二次電池2の放電量を減じ、または放電を終了させ、電池状態取得部42で取得する二次電池2の状態が充電量の第一閾値を超える場合には、二次電池2の充電量を減じ、または充電を終了させる。
【0119】
次いで、ステップS2の初期設定の他の例について説明する。
【0120】
この例では、本体制御部23の記憶装置28は、二次電池2の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかに用いる第二閾値を記憶している。
【0121】
図7は、本発明の実施形態に係る電気機器の初期設定を示す他の例のフローチャートである。
【0122】
図7に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、二次電池2の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について第一閾値および第二閾値の両方が存在する場合には、掃除機本体12と二次電池2との双方にとって安全側の閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行する。
【0123】
例えば、記憶装置28が二次電池2の放電電流上限値を第二閾値として記憶し、かつステップS1で電池情報取得部41を介して取得する電池特性情報が二次電池2の放電電流上限値を第一閾値として含んでいる場合を想定する。このような場合には、本体制御部23は、初期設定(ステップS2)において、電池特性情報に基づいて設定される第一閾値と、記憶装置28が記憶する第二閾値と、を比較する(ステップS41)。そして、本体制御部23は、第一閾値および第二閾値のうち二次電池2にとって安全側の閾値を採用して初期設定を実行する。具体的には、本体制御部23は、第一閾値が第二閾値よりも小さい場合、つまり(電池特性情報に基づいて設定される第一閾値)<(記憶装置28が記憶する第二閾値)の場合には、二次電池2にとって安全側の第一閾値を採用して初期設定を行い(ステップS42)、その他の場合、つまり(第一閾値)≧(第二閾値)の場合には、掃除機本体12にとって安全側の第二閾値を採用して初期設定を行う(ステップS43)。この処理で採用される閾値(第一閾値または第二閾値)が、図6のステップS28、S30で用いられる第一閾値の代わりに用いられる。
【0124】
記憶装置28が記憶する第二閾値は、電気掃除機5側の都合で設定される。例えば、負荷である電動送風機6や、電動送風機6と二次電池2とを繋ぐ電気掃除機5側の回路で許容可能な電流値が、二次電池2の放電電流上限値よりも低い場合が有り得る。そのような条件下で第一閾値を採用して初期設定を行った場合には、電動送風機6や電気掃除機5側の回路を損傷する虞がある。そこで、本体制御部23は、電動送風機6や電気掃除機5側の回路が許容可能な電流値を第二閾値として記憶装置28に記憶し、第一閾値を採用することで電動送風機6や電気掃除機5側の回路の損傷を招く虞がある場合には、二次電池2のバージョン番号51に依拠せずに第二閾値を採用し、電動送風機6や電気掃除機5側の回路の保護を優先する。
【0125】
なお、本体制御部23は、二次電池2の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について第一閾値および第二閾値の両方が存在する場合には、掃除機本体12および二次電池2のいずれか一方の安全を優先する閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行しても良い。つまり、本体制御部23は、二次電池2の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について第一閾値および第二閾値の両方が存在する場合には、二次電池2にとって安全側の閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行しても良いし、掃除機本体12にとって安全側の閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行しても良い。
【0126】
図8は、本発明の実施形態に係る電気機器の初期設定を示す他の例のフローチャートである。
【0127】
図8に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、二次電池2の状態を示す状態量について第一閾値が存在しない場合には、第二閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行する。換言すると、本体制御部23は、二次電池2の監視項目に対して二次電池2から第一閾値を取得することができない場合には、記憶装置28が記憶する第二閾値を採用して初期設定を行う。
【0128】
例えば、バージョン「1.0」対応の記憶装置28が二次電池2の温度上限値を第二閾値として記憶し、かつステップS1で電池情報取得部41を介して取得する電池特性情報が温度上限値を第一閾値として含んでいない場合を想定する。そのような場合には、初期設定(ステップS2)において、電池特性情報に基づいて設定される温度上限値の第一閾値が存在しない。
【0129】
そこで、本体制御部23は、二次電池2の監視項目に対応する温度上限値の第一閾値を電池特性情報に基づいて設定可能か否か、つまり電池特性情報に第一閾値そのものが含まれているか否か、または電池特性情報に第一閾値の算出に用いる根拠情報が含まれているか否かを判断する(ステップS45)。そして、本体制御部23は、第一閾値そのもの、または第一閾値の算出に用いる根拠情報が電池特性情報に含まれている場合には(ステップS45 Yes)、第一閾値を採用して初期設定を行い(ステップS46)、その他の場合、つまり第一閾値そのもの、または第一閾値の算出に用いる根拠情報が電池特性情報に含まれていない場合には、第二閾値を採用して初期設定を行う(ステップS47)。この処理で採用される閾値(第一閾値または第二閾値)が、図6のステップS28、S30で用いられる第一閾値の代わりに用いられる。
【0130】
同一種類、例えばリチウムイオン二次電池において、バージョン「1.0」では温度上限値が慣用されているため、電池特性情報に温度上限値が記述されず、第二閾値を採用して初期設定するよう出荷された電気機器1が存在する場合であって、仮に技術革新が進んで温度上限値が緩和されて高くなった場合には、この緩和された温度上限値を電池特性情報に含めることで、電気機器1は、最新のリチウムイオン二次電池を内蔵する二次電池2を好適に利用することができる。
【0131】
以上のように構成される本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、同一のメジャーバージョン番号52を有する二次電池2の放電量の制御および充電量の制御に電池特性情報を利用可能である一方、対応可能なマイナーバージョン番号53の上限よりも上位のマイナーバージョン番号53を有する二次電池2が接続された場合には、電池特性情報に記述されている、対応可能な上限のマイナーバージョン番号53に対応する二次電池2の電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、バージョン番号51によって管理され、かつ同一のメジャーバージョン番号52が付与された多種類の二次電池2から、充放電に利用する電池特性を適切に取得できる。そのようなバージョン対応処理可能な電気機器1は、二次電池2の電池特性に応じて本体制御部23に予め適切な第一閾値を設定しておく必要がなく、二次電池2の電池特性の変更、および付加に容易かつ適切に対応することできる。つまり、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、より異なる電池特性を有する新たな二次電池2を適切かつ容易に利用することができる。
【0132】
また、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、対応可能なバージョン番号51と二次電池2のバージョン番号51とが一致している場合には、電池特性情報に記述されている、最上位のマイナーバージョン番号53に対応する二次電池2の電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、異なる電池特性を有する新たな二次電池2を適切かつ容易に利用することができるバージョン番号51(世代)の製品と、それ以前のバージョン番号51の製品と、でバージョン番号51の異なる二次電池2を容易に使い回す利便性を提供できる。
【0133】
さらに、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、対応可能なマイナーバージョン番号53より下位のマイナーバージョン番号53を有する二次電池2が接続された場合には、電池特性情報に記述されている最新の二次電池2の電池特性に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、より最新の充放電制御を実行可能な新たな本体で、下位のバージョン番号51の二次電池2を容易に使い回す利便性を提供できる。
【0134】
また、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、二次電池2の状態を示す複数の状態量のうち同一の状態量について第一閾値および第二閾値の両方が存在する場合には、掃除機本体12と二次電池2との双方にとって安全側の閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行する。そのため、電気機器1は、二次電池2の電池特性に応じて本体制御部23に予め適切な第一閾値を設定しておく必要がなく、かつ電気機器1の本体側の回路が二次電池2の電池特性に対応する十分な耐性を有していない場合であっても、二次電池2を好適に利用することができる。
【0135】
さらに、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、二次電池2の状態を示す状態量について第一閾値が存在しない場合には、記憶装置28が記憶する第二閾値を採用して二次電池2の充放電の制御を実行する。そのため、電気機器1は、将来的に二次電池2の電池特性が向上した場合には、より高い電池特性の二次電池2を利用可能であり、また、二次電池2の電池特性が不明な場合には、十分な安全マージンを見込んだ第二閾値を設定しておくことで、電池特性が不明な二次電池2であっても利用することができる。
【0136】
さらに、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、マイナーバージョン番号53が大きいほど、二次電池2の温度上限値、二次電池2の温度下限値、二次電池2の放電電流上限値、二次電池2の充電電流上限値、二次電池2の放電電圧下限値、および二次電池2の充電電圧上限値の少なくともいずれかに対応する第一閾値を設定可能な情報をより多く含む電池特性情報を電池情報取得部41で取得する。そのため、電気機器1は、二次電池2の電池特性に応じて本体制御部23に予め適切な第一閾値を設定しておく必要がなく、二次電池2の電池特性の変更に容易かつ適切に対応することできる。
【0137】
したがって、本発明に係る電気機器1によれば、電池特性の異なる種々の二次電池2、および同じ種類であっても電池特性の異なる二次電池2を、出荷時点で既知であるか未知であるかを問わず、より適切な設定で利用できる。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0139】
1…電気機器、2…二次電池、3…電動機、5…電気掃除機、6…電動送風機、11…把手、12…掃除機本体、15…延長管、16…吸込口体、17…本体ケース、17a…前部、17b…中央部、17c…後部、19…塵埃分離集塵部、21…電池装着部、22…充電端子、23…本体制御部、25…本体接続口、26…排気口、27…入力部、28…記憶装置、29…報知部、31…吸込口、32…回転清掃体、33…電動機、41…電池情報取得部、42…電池状態取得部、45…素電池、46…情報記録部、51…バージョン番号、52…メジャーバージョン番号、53…マイナーバージョン番号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8