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特許7499219接地抵抗測定装置および接地抵抗測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】接地抵抗測定装置および接地抵抗測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/20 20060101AFI20240606BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20240606BHJP
   G01V 3/20 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G01R27/20
G01N27/04 Z
G01V3/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021111761
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008311
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 斉郁
(72)【発明者】
【氏名】忠野 祐介
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-22690(JP,A)
【文献】特開2020-67276(JP,A)
【文献】特開2017-156167(JP,A)
【文献】特開2020-176969(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112505425(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102287620(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/20
G01N 27/04
G01V 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部を備える外管と、
前記外管内に配置された導電性を有する内管と、を備える接地抵抗測定装置であって、
前記導電体部は、前記外管の径方向外側に面しており、かつ前記内管と電気的に接続していることを特徴とする接地抵抗測定装置。
【請求項2】
前記外管は、筒状の絶縁体部と、筒状の前記導電体部とが交互に連結されてなることを特徴とする請求項1に記載の接地抵抗測定装置。
【請求項3】
前記導電体部は、抵抗素子を介して前記内管と電気的に接続していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接地抵抗測定装置。
【請求項4】
前記導電体部の内面と前記内管の外面との間に絶縁シートが介装されていることを特徴とする請求項3に記載の接地抵抗測定装置。
【請求項5】
前記抵抗素子の一端が、前記導電体部に電気的に接続し、前記抵抗素子の他端が、前記外管の径方向外側から該外管を貫通して前記内管に螺着されるねじ部材によって前記内管に電気的に接続していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の接地抵抗測定装置。
【請求項6】
前記外管は、5個の前記導電体部を備え、
5個の前記導電体部にそれぞれ接続された5個の前記抵抗素子の抵抗値(Ω)を先端側から順にr1、r2、r3、r4、r5としたとき、r2=0.5×r1、r3=0.5×r2、r4=0.5×r3、r5=0に設定されていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の接地抵抗測定装置。
【請求項7】
前記外管が圧入される地盤の比抵抗をρ(Ω・m)、前記地盤中に形成される改良地盤の比抵抗をρa(Ω・m)としたとき、先端に設けられた前記抵抗素子の抵抗値r1(Ω)が、r1=2×ρ、またはr1=ρ+(ρ-ρa)×0.5に設定されていることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の接地抵抗測定装置。
【請求項8】
長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部を備える外管を地盤中に圧入して設置する設置工程と、
前記外管内に配置された導電性を有する内管を通して合成接地抵抗を測定する測定工程と、を含む接地抵抗測定方法であって、
前記導電体部は、前記外管の径方向外側に面しており、かつ前記内管と電気的に接続していることを特徴とする接地抵抗測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接地抵抗測定装置および接地抵抗測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、先端部にコーン部材を設け、複数の電極を設けた測定部を地盤に貫入させて地盤の比抵抗を測定するために用いるセンサ部材が開示されている。センサ部材には、先端部のコーン部材と他端部の固定部との間を接続する中心ロッド部材と、中心ロッド部材の周囲に絶縁筒を介して任意の間隔で配置する電極と、電極と測定装置とを接続するケーブルと、が設けられる。このセンサ部材では、地盤中に挿入した状態で任意の電極を選択して、地盤の比抵抗の測定を行うことが可能となっている(段落[0005],[0006]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-268061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、ケーブルと電極とが直接つながっており、比抵抗を測定するために任意の電極を選択する形態となっている。つまり、任意の電極を選択して、選択した電極の間で比抵抗の測定を行うようになっている。
しかしながら、電極を設けた測定部を地盤に打ち込んで設置する際には、電極ごとにケーブルを中心ロッド部材に通して配線しなければならず、現地において注意を要する煩雑な作業が必要となる。
また、例えば改良地盤が存在する領域、すなわち比抵抗が周辺の地盤と異なる領域を把握するためには、様々な組み合わせで電極を選択することで様々な領域の地盤の比抵抗を個々に測定する必要がある。このため、測定に時間がかかるとともに、改良地盤の形状(出来形)を確認するのに時間を要する。
本発明は、前記した課題を解決し、測定対象地盤の比抵抗分布の変化を容易かつ迅速に把握することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明は、長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部を備える外管と、前記外管内に配置された導電性を有する内管と、を備える接地抵抗測定装置である。前記導電体部は、前記外管の径方向外側に面しており、かつ前記内管と電気的に接続している。
この発明では、内管を通した合成接地抵抗を測定することによって、測定対象の地盤における比抵抗分布の変化を特定することができる。このため、従来のようなケーブルの配線は不要となる。また、複数の電極としての導電体部を有しながら、基本的に1回の測定によって、測定対象の地盤における比抵抗分布の変化が判明する。
したがって、本発明によれば、測定対象地盤の比抵抗分布の変化を容易かつ迅速に把握することができる。これにより、地盤改良された領域、すなわち改良地盤など、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域を容易かつ迅速に確認できる。
前記接地抵抗測定装置では、前記外管は、筒状の絶縁体部と、筒状の前記導電体部とが交互に連結されてなることが好ましい。
この構成では、絶縁性のある長尺部材の途中に長手方向に所定の間隔を空けて複数の導電体部を配置してなる外管を容易かつ確実に製作することができる。
【0006】
前記接地抵抗測定装置では、前記導電体部は、抵抗素子を介して前記内管と電気的に接続していることが好ましい。
抵抗素子が無い場合、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触する導電体部の数が先端側から2個以上になると、数が増えるときの合成接地抵抗の変化が小さい。このため、複数の導電体部のうち、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触している導電体部の数は、基端側において判別し難くなる。しかし、抵抗素子がある場合、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触する導電体部の数が先端側から2個以上でも、数が増えるときの合成接地抵抗の変化が大きくなる。このため、複数の導電体部のうち、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触している導電体部の数は、基端側においても判別しやすくなる。
前記抵抗素子を設ける場合には、前記導電体部の内面と前記内管の外面との間に絶縁シートが介装されることが好ましい。
この構成では、導電体部が直接内管に接触することを防止できる。これにより、導電体部が抵抗素子を介して内管と電気的に接続している状態を確保できる。
前記接地抵抗測定装置では、前記抵抗素子の一端が、前記導電体部に電気的に接続してよい。この場合、前記抵抗素子の他端が、前記外管の径方向外側から該外管を貫通して前記内管に螺着されるねじ部材によって前記内管に電気的に接続していることが好ましい。
この構成では、導電体部と内管とを、抵抗素子を介して容易かつ確実に電気的に接続することができる。
【0007】
前記接地抵抗測定装置では、前記外管は、5個の前記導電体部を備えていてもよい。この場合、5個の前記導電体部にそれぞれ接続された5個の前記抵抗素子の抵抗値(Ω)を先端側から順にr1、r2、r3、r4、r5としたとき、r2=0.5×r1、r3=0.5×r2、r4=0.5×r3、r5=0に設定されていることが好ましい。
この構成では、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触する導電体部の数が増えるときの合成接地抵抗の変化は、概ね均等に大きくなる。このため、複数の導電体部のうち、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触している導電体部の数を、より判別しやすくなる。
前記接地抵抗測定装置では、先端に設けられた前記抵抗素子の抵抗値r1(Ω)が、r1=2×ρ、またはr1=ρ+(ρ-ρa)×0.5に設定されていることが好ましい。ここで、前記外管が圧入される地盤の比抵抗をρ(Ω・m)、前記地盤中に形成される改良地盤の比抵抗をρa(Ω・m)とした。
この構成では、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域、すなわち改良地盤に接触する導電体部の数が増えるときの合成接地抵抗の変化は、先端側のみならず基端側において比較的大きく確保できる。このため、複数の導電体部のうち、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触している導電体部の数を、より判別しやすくなる。
【0008】
また、本発明は、設置工程と、測定工程と、を含む接地抵抗測定方法である。前記設置工程は、長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部を備える外管を地盤中に圧入して設置するものである。前記測定工程は、前記外管内に配置された導電性を有する内管を通して合成接地抵抗を測定するものである。ここで、前記導電体部は、前記外管の径方向外側に面しており、かつ前記内管と電気的に接続している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測定対象地盤の比抵抗分布の変化を容易かつ迅速に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る接地抵抗測定装置の一例を示す概略側面図である。
図2図1に示される測定管を構成する分割管の一例を示す拡大縦断面図である。
図3図3(a)は、本実施形態の先端部材を示す縦断面図、図3(b)は、変形例に係る先端部材を示す縦断面図である。
図4図4(a)は、導電体部と内管との電気的な接続構造の一例を模式的に示す拡大縦断面図、図4(b)は、図4(a)の右側面図である。
図5】高圧噴射撹拌工法によって地盤中に形成される改良地盤の形状を確認する様子を説明するための図である。
図6】薬液注入工法によって地盤中に形成される改良地盤の形状を確認する様子を説明するための図である。
図7図1に示される接地抵抗測定装置の導電体部付近の構成を説明するための模式的な断面図である。
図8図1に示される接地抵抗測定装置を配線して構成された接地抵抗測定システムを説明するための模式的な構成図である。
図9】接地抵抗測定装置を用いた接地抵抗測定システムにおける測定シミュレーションについて説明するための図である。
図10】比抵抗の測定方法の一例について説明するための模式的な斜視図である。
図11】抵抗素子が無い場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。
図12】抵抗素子の抵抗値が全て100(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。
図13】抵抗素子の抵抗値が全て200(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。
図14】抵抗素子の抵抗値が先端側から順に100、50、25、12.5、0(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。
図15】抵抗素子の抵抗値が先端側から順に200、100、50、25、0(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。
図16】抵抗素子の抵抗値が先端側から順に300、150、75、37.5、0(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。
図17】接地抵抗測定装置による測定の成立性を確認試験棒を用いて確認する確認試験システムを説明するための模式的な構成図である。
図18図17に示される確認試験棒の拡大側面図である。
図19】浸漬高さと合成接地抵抗との関係を示すグラフである。
図20図20(a)~(c)は、複数種類の分割管の連結の組み合わせを変える例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について適宜図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面において、同一または同種の部材については、同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材の形状およびサイズは、説明の便宜のため、変形、誇張または省略して模式的に表す場合がある。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る接地抵抗測定装置1の一例を示す概略側面図である。
本実施形態では、接地抵抗測定装置1を用いて地盤の電気的な合成接地抵抗を測定し、測定対象地盤の比抵抗分布の変化、具体的には、周辺の地盤中に形成される改良地盤の形状(出来形)を確認する場合について説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る接地抵抗測定装置1は、地盤100中に打ち込まれて設置される測定管2と、測定管2の先端に設けられた先端部材8とを備えている。
測定管2は、長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部5を備える外管3と、外管3内に配置された内管6(図2参照)とを備えている。
【0014】
導電体部5は、外管3の径方向外側に面していて、外管3の径方向外側の地盤100に対する電気的な導通を可能にしている。すなわち、導電体部5は、接地抵抗の測定に必要な電極に相当する。測定管2の外径は、例えば50mm程度である。なお、これ以上の外径の測定管2も可能ではあるが、外径が大きくなると地盤100への打込み時の抵抗が大きくなることから、実績のある外径50mm程度のものが望ましい。電極としての導電体部5は、筒状の金属により構成されている。複数の導電体部5の中心軸方向の長さ(幅)は、全て一定であることが望ましく、測定管2の外径と同程度、またはそれ以上が望ましい。なお、導電体部5の形状や寸法は、特に限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、導電体部5の数は、例えば図1では5個であるが、特に限定されるものではなく、適宜設定される。
【0015】
本実施形態の外管3は、筒状の絶縁体部4と、前記した筒状の導電体部5とを備えている。絶縁体部4と、導電体部5(導電体部51~55の総称)とは、交互に連結されている。導電体部5は、深さ方向に30cm~100cm程度の間隔で配されていて、各導電体部5の上下には、絶縁体部4が配されている。絶縁体部4は、塩化ビニル樹脂管により構成されている。なお、絶縁体部4を構成する材料は、通電不能な材質であれば、塩化ビニル樹脂管に限定されるものではなく、例えば、他の合成樹脂製管(例えば、ポリエチレン管等)であってもよい。
絶縁体部4の外径と導電体部5の外径とが同じ、すなわち絶縁体部4の外面と導電体部5の外面との間に段差がないことが望ましい。ただし、接地抵抗測定装置1の地盤100中への打込み施工に支障が無ければ、導電体部5の外径の方が絶縁体部4の外径よりも僅かに(数mm単位で)大きくてもよく、あるいは逆に小さくてもよい。
【0016】
本実施形態では、測定管2は、長手方向に分割された複数の分割管21(図2参照)を有している。測定管2は、長尺でも成立するが、接地抵抗測定装置1の地盤100中への設置性から、1~2m程度の長さが望ましい。すなわち、接地抵抗測定装置1を地盤100中に圧入して設置する場合、分割管21を地盤100中に圧入しながら継ぎ足していく作業が行われる。
【0017】
図2は、図1に示される測定管2を構成する分割管21の一例を示す拡大縦断面図である。図2に示すように、内管6は、筒状を呈している。内管6は、導電性を有しており、例えば鋼管等の金属管から構成されている。内管6に使用される鋼管は、例えば圧力配管用の鋼管等の肉厚なものを指しており、打込み対象の地盤にもよるが、堅固な鋼管としては肉厚7mm程度のものが用いられる。ただし、打込み対象の地盤にも依存するため、接地抵抗測定装置1の打込み施工が成立する範囲内で、これ以下の肉厚の管を使用することもできる。
内管6の外周を絶縁体部4で被覆することで、外管3と内管6とが一体に形成されている。外管3のうち絶縁体部4でない部分が、電極として筒状の導電体部5となっている。ただし、内管6は、外管3内に挿入されることによって配置されてもよい。外管3の導電体部5は、内管6と電気的に接続している。導電体部5と内管6との電気的な接続構造については後記する。
内管6の長手方向の一端には、雄ねじ61が形成されており、他端には雌ねじ62が形成されている。すなわち、2つの分割管21は、一方の分割管21の内管6に形成された雄ねじ61と他方の分割管21の内管6に形成された雌ねじ62とを螺合することで連結される。ただし、2つの分割管21の連結構造は、接地抵抗測定装置1の地盤100中への打込み施工に支障が無く、内管6を通した通電にも支障が無ければ、ねじ締結構造以外の構造であってもよい。すなわち、2つの分割管21の連結構造は、接地抵抗測定装置1の地盤100中への打込みに耐えること、漏電しないこと、および水密性を確保することを満たす必要がある。
【0018】
図3(a)は、本実施形態の先端部材8を示す縦断面図、図3(b)は、変形例に係る先端部材8aを示す縦断面図である。
図3(a)に示すように、先端部材8は、測定管2の先端に固定されていて、測定管2の先端を遮蔽している。先端部材8は、先端に行くに従って縮径する円錐形状(コーン状)を呈している。先端部材8は、複数の電極の一つとして利用することも可能ではあるが、測定精度の面から、電気的に絶縁することが望ましい。このため、先端部材8は、合成樹脂等の絶縁体の密実部材から構成されている。
なお、先端部材を構成する材料は、特に限定されるものではない。図3(b)に示すように、例えば鉄鋼等の金属製の先端部材8aが使用されてもよい。このように構成すれば、測定対象となる地盤100が比較的堅固な場合でも、接地抵抗測定装置1を地盤100中へ容易に打ち込むことができる。また、先端部材8と内管6との間には、絶縁体81を配置することが望ましい。この場合、接地抵抗測定装置1の地盤100中への打込み施工時において絶縁体81に相応の力が作用することから、絶縁体81に作用する応力の分布を均一にするように配慮することが望ましい。
【0019】
図4(a)は、導電体部5と内管6との電気的な接続構造の一例を模式的に示す拡大縦断面図、図4(b)は、図4(a)の右側面図である。
導電体部5は、図4(a),(b)に示すように抵抗素子7を介して内管6と接続している場合と、抵抗素子7を介さずに内管6と接続している場合とがある。
本実施形態では、導電体部5を抵抗素子7を介して内管6と接続する場合、導電体部5の内面と内管6の外面との間に絶縁シート91が介装される。また、導電体部5に隣接する絶縁体部4の端部に切欠き部41が形成され、この切欠き部41内に抵抗素子7が配置される。ここで、抵抗素子7の一端が、配線93を介して導電体部5に電気的に接続される。一方、抵抗素子7の他端が、外管3の径方向外側から該外管3を貫通して内管6に螺着されるねじ部材92によって内管6に配線94を介して電気的に接続される。抵抗素子7の接続作業後、切欠き部41は樹脂等の絶縁材料で埋められる。導電体部5の内面と内管6の外面との間は絶縁シート91によって電気的に絶縁されているため、内管6からの電流は抵抗素子7を介して導電体部5へ流れ、導電体部5を通じて地中に流れることになる。
導電体部5を抵抗素子7を介さずに内管6と接続する場合、導電体部5の内面と内管6の外面とを直接接触させてもよいし、導電体部5の内面と内管6の外面との間に導電性シート(図示省略)を介装してもよい。あるいは、図4(a),(b)に示す抵抗素子7を省略して配線93と配線94とを繋いだ1本の配線とされてもよい。
【0020】
図5は、高圧噴射撹拌工法によって地盤100中に形成される改良地盤101の形状を確認する様子を説明するための図である。
図5に示すように、高圧噴射撹拌工法によれば、円柱状の改良地盤101が、下側から破線で示す上側へ延びるように形成される。接地抵抗測定装置1は、改良地盤101の必要とされる出来形位置に設置される。本実施形態に係る接地抵抗測定装置1を用いた測定法では、複数の電極としての導電体部51~55のうち、周辺の地盤100と比較して比抵抗が異なる改良地盤101に接触している電極の数を特定することができる。これにより、改良地盤101が深度方向に所定の出来形となっているか否かを確認できる。
図6は、薬液注入工法によって地盤100中に形成される改良地盤101の形状を確認する様子を説明するための図である。
図6に示すように、薬液注入工法によれば、球状の改良地盤101が、中央から半径方向外側へ拡がるように形成される。この場合、改良地盤101を構成する薬液が球状に拡がる状況は、改良地盤101に接触している電極の数を特定することで確認できる。例えば図6では、複数の電極としての導電体部51~55のうち、球状に拡がる薬液と最初に接するのは、中央付近の電極である導電体部53となることが想定される。この場合、薬液と接触した電極の数だけでなく、中央付近の電極が薬液と接触したことを確認するために、内管6と複数の導電体部51~55との間にそれぞれ配置する抵抗素子7の抵抗値の組合せを調整してもよい。
【0021】
次に、電極としての導電体部5に近接する地盤の比抵抗の変化を特定するために用いた、接地抵抗の測定の基本原理について説明する。
棒状の電極の接地抵抗R(Ω)は、以下の式(1)に示す形で表される。すなわち、棒状の電極の接地抵抗R(Ω)は、地盤中に挿入された電極近傍の地盤の比抵抗ρ(Ω・m)、棒状の電極の半径r(m)や長さL(m)(電極面積に相当)によって変化する。
【0022】
【数1】
【0023】
式(1)に示されるように、接地抵抗測定装置1において、電極の長さ(電極幅)Lに相当する導電体部5の中心軸方向の長さ(幅)が一定の場合、近接する地盤の比抵抗が一定ならば、接地抵抗は一定となる。これは、接地抵抗測定装置1の地盤への打込み深度に関係しない。一方、深度方向に地盤の比抵抗が変化する場合、接地抵抗は、電極に近接する地盤の比抵抗を反映した値となる。
【0024】
次に、導電体部5に近接する地盤の比抵抗が変化した場合、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触している導電体部5(導電体部51~55の総称)の数を特定する方法について、具体的な例を用いて説明する。
図7は、図1に示される接地抵抗測定装置1の導電体部5付近の構成を説明するための模式的な断面図である。図7に示すように、内管6と導電体部51~55との間には、それぞれ所定の抵抗値r1~r5を有する抵抗素子71~75が配置されている。抵抗素子7は、抵抗素子71~75の総称である。
ここでは、図5に示すように、高圧噴射撹拌工法によって地盤100中に改良地盤101を形成する場合を想定して説明する。この場合、ノズル102の下端からセメントミルクを噴射することによって、撹拌・混合による改良地盤101の造成が行われる。このため、例えば改良地盤101の径方向外側端部付近に、導電体部5が設置される。そして、セメントミルク混じりの改良土である改良地盤101に接触した導電体部5の数に応じて接地抵抗の測定値が変化することで、改良地盤101の形状を確認できる。
【0025】
本実施形態に係る接地抵抗測定方法は、設置工程と、測定工程と、を含んでいる。前記設置工程は、長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部5を備える外管3を地盤100中に圧入して設置するものである。前記測定工程は、外管3内に配置された導電性を有する内管6を通して合成接地抵抗を測定するものである。ここで、導電体部5は、外管3の径方向外側に面しており、かつ内管6と電気的に接続している。
図8は、図1に示される接地抵抗測定装置1を配線して構成された接地抵抗測定システム110を説明するための模式的な構成図である。図8に示すように、接地抵抗測定装置1の測定管2内での配線は不要であり、測定管2の内管6に電気を流すだけでよい。接地抵抗測定装置1の測定管2を含む全体の配線は、一般的な接地抵抗測定と同様である。具体的には、2か所の遠電極111,112にそれぞれ接続された電流印加用の配線114と測定器(電圧計)設置用の配線115とを、配線113を介して地表に出ている内管6の上端部に接続することで測定を行う。
実際の測定では、図8に示す接地抵抗測定システム110において、電流I(A)を流した際の電圧V(V)が測定される。このとき、合成接地抵抗Rt(Ω)は、Rt=V/Iで求められる。
【0026】
図9は、接地抵抗測定装置1を用いた接地抵抗測定システム110における測定シミュレーションについて説明するための図である。ここでは、比抵抗ρ=100(Ω・m)の地盤100内に接地抵抗測定装置1が設置される。そして、図9に示すように、接地抵抗測定装置1の下部から比抵抗ρa=1(Ω・m)の改良地盤101の範囲が、施工に伴って白抜き矢印方向に徐々に上昇する状況(Y=0→3(m))を想定した。
本測定シミュレーションにおいては、図8に示すように、導電体部51~55のそれぞれの接地抵抗をR1~R5(Ω)、抵抗素子71~75のそれぞれの抵抗値をr1~r5(Ω)とする。このとき、導電体部51~55のそれぞれの周辺抵抗R1t~R5t(Ω)は、R1t=r1+R1、R2t=r2+R2、R3t=r3+R3、R4t=r4+R4、R5t=r5+R5となる。
したがって、周辺抵抗R1t~R5t(Ω)を合成することで得られる合成接地抵抗をRt(Ω)とすると、1/Rt=(1/R1t)+(1/R2t)+(1/R3t)+(1/R4t)+(1/R5t)となる。すなわち、合成接地抵抗Rtは、以下の式(2)で求められる。
Rt=R1t・R2t・R3t・R4t・R5t/(R2t・R3t・R4t・R5t+R1t・R3t・R4t・R5t+R1t・R2t・R4t・R5t+R1t・R2t・R3t・R5t+R1t・R2t・R3t・R4t)…………(2)
【0027】
導電体部51~55のそれぞれの接地抵抗R(R1~R5の総称)(Ω)は、式(1)から求められる。ここでは、周辺の地盤100中に改良地盤101が形成される場合、周辺の地盤100の比抵抗をρ=100(Ω・m)、改良地盤101の比抵抗をρa=1(Ω・m)とした。また、導電体部5(導電体部51~55の総称)は、外径が5cm、長さが5cmとした。このとき、導電体部5が周辺の地盤100に接触する場合の接地抵抗Rは、R=220.6(Ω)となる。また、導電体部5が改良地盤101に接触する場合の接地抵抗Rは、R=2.206(Ω)となる。
【0028】
図10は、比抵抗の測定方法の一例について説明するための模式的な斜視図である。図10に示すように、例えば、測定対象となる周辺の地盤100および改良地盤101の試料を採取して、それぞれの比抵抗ρ,ρaを事前に把握しておいて計算に反映させることが望ましい。この場合、試料に電流I(A)を流した際の電圧V(V)が測定される。試料の長さをL(m)、断面積をA(m)とすると、比抵抗ρ,ρa(Ω・m)は、ρ,ρa=(V/I)・(A/L)=で求められる。なお、比抵抗の測定方法は、上記方法に限定されるものではない。
【0029】
図11は、抵抗素子7が無い場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。このとき、r1=r2=r3=r4=r5=0(Ω)である。この場合、図11に示すように、改良地盤101が最下位の導電体部51に接触することによって(Y=0.5(m)、図9参照)、合成接地抵抗Rtは大幅に低下する。しかし、合成接地抵抗Rtは、それ以降、改良地盤101の範囲の上昇に伴って階段状に低下するものの、低下幅が小さく、変化を見分けることが困難な状況となる。すなわち、抵抗素子7が無い場合、少なくとも最下位の導電体部51が改良地盤101に接触しているかを確実に確認できるとともに、他の導電体部5の接触についても十分ではないが確認可能と言える。
図12は、抵抗素子7の抵抗値が全て100(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。図13は、抵抗素子7の抵抗値が全て200(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。この場合、図12図13に示すように、改良地盤101が先端側から2個以上の導電体部5に接触したときの合成接地抵抗Rtの階段状の低下幅が少し大きくなるため、変化を見分けやすくなる。
【0030】
図14は、抵抗素子7の抵抗値が先端側から順に100、50、25、12.5、0(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。図15は、抵抗素子7の抵抗値が先端側から順に200、100、50、25、0(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。図16は、抵抗素子7の抵抗値が先端側から順に300、150、75、37.5、0(Ω)である場合の測定シミュレーションの結果を示すグラフである。なお、本発明において、導電体部5は抵抗素子7を介して内管6と電気的に接続しているという場合には、図14図16の場合のように抵抗素子7が無い導電体部5を一部に有する場合(ここではr5=0)も含まれる。
図14図16の場合、抵抗素子7の抵抗値がr2=0.5×r1、r3=0.5×r2、r4=0.5×r3、r5=0に設定されている。このように抵抗素子7の抵抗値を設定することによって、図14図16に示すように、改良地盤101の範囲の上昇(図9参照)に伴う合成接地抵抗Rtの低下幅が概ね均等に大きくなることがわかる。したがって、どの導電体部5まで改良地盤101が接触しているかがより判別しやすくなる。
【0031】
図14図15の場合と比較すれば、図16の場合は、合成接地抵抗Rtの低下幅は、Y=2.5(m)でかなり大きいものの、Y=0.5(m)ではかなり小さい。図14図16を参照すれば、先端に設けられた抵抗素子71(図8参照)の抵抗値r1(Ω)は、r1=2×ρ、またはr1=ρ+(ρ-ρa)×0.5に設定されていることが好ましいと言える。このように設定すれば、改良地盤101に接触する導電体部5の数が増えるときの合成接地抵抗Rtの低下幅は、先端側のみならず基端側において比較的大きく確保できる。
合成接地抵抗Rtの階段状の各段での低下幅は、抵抗素子7の抵抗値を調整することにより調整することが可能である。なお、本発明において、上記式によって算出される抵抗素子7の抵抗値は、厳密な計算値のみならず、計算値に対して10%程度の増減幅を含むものとする。
【0032】
図17は、接地抵抗測定装置1による測定の成立性を確認試験棒10を用いて確認する確認試験システムを説明するための模式的な構成図である。図18は、図17に示される確認試験棒10の拡大側面図である。
図17に示す確認試験システムは、図8に示す接地抵抗測定システム110に対応して構成されている。この確認試験システムでは、接地抵抗測定装置1に代えて、確認試験棒10が使用される。図18に示すように、確認試験棒10は、接地抵抗測定装置1と同様に、複数の導電体部5を備える外管3と、外管3内に配置された内管6(図7参照)とを備えた測定管2を有している。外管3は、絶縁体部4と導電体部5とが交互に連結されてなる。導電体部5(導電体部51~55の総称)は抵抗素子7(図7参照)を介して内管6と接続されている。
【0033】
確認試験では、測定管2の外径を8mm、全長を1mとし、外管3の長手方向に20cm間隔で長さ(高さ)5cmの導電体部5を5個配置した。また、抵抗素子71~75のそれぞれの抵抗値r1~r5は、r1=780、r2=400、r3=250、r4=50、r5=10(Ω)とした。そして、2か所の遠電極111,112にそれぞれ接続された配線114と配線115とを、接地抵抗計116および配線113を介して内管6の上端部に接続した。
そして、確認試験棒10を先端から順次水11中に挿入しながら合成接地抵抗Rtを接地抵抗計116によって測定し、確認試験棒10の水11中への浸漬高さyと合成接地抵抗Rtとの関係を確認した。つまり、水11が図9に示す改良地盤101に相当し、空気が図9に示す周辺の地盤100相当する。ここでは、水11の比抵抗を27(Ω・m)とし、気中は電気が流れない条件とした。
【0034】
図19は、浸漬高さと合成接地抵抗との関係を示すグラフである。図19では、試験結果である測定値(抵抗素子7なし、および抵抗素子7あり)と、計算値(抵抗素子7あり)とが示されている。計算値は、上記式(1),(2)によって求めた。
図19から、抵抗素子7を付加しない場合には、最下位の導電体部5と水11が接触することによって(y=10(cm))、合成接地抵抗Rtが大幅に低下することがわかった。その後、確認試験棒10の水11中への挿入によって合成接地抵抗Rtは徐々に小さくなるものの、変化量が小さく、水11に接触した導電体部5の数の特定は難しい状況であった。一方、抵抗素子7を付加することによって、確認試験棒10の水11中への挿入による合成接地抵抗Rtの変化幅は大きくなり、水11に接触した導電体部5の数の特定が容易となった。
また、図19から、抵抗素子7を付加した場合の測定値と計算値はほぼ一致することが確認された。これにより、抵抗素子7を付加することによって合成接地抵抗Rtの測定値は段階的に変化することが確認された。したがって、近接する地盤のうち、比抵抗が変化した領域に接触する導電体部5の数を特定できることがわかる。
【0035】
前記したように、本実施形態に係る接地抵抗測定装置1は、長手方向に所定の間隔を空けて配置された複数の導電体部5を備える外管3と、外管3内に配置された導電性を有する内管6とを備えている。導電体部5は、外管3の径方向外側に面しており、かつ内管6と電気的に接続している。
本実施形態では、内管6を通した合成接地抵抗Rtを測定することによって、測定対象の地盤100における比抵抗分布の変化を特定することができる。このため、従来のようなケーブルの配線は不要となる。また、複数の電極としての導電体部5を有しながら、基本的に1回の測定によって、測定対象の地盤100における比抵抗分布の変化が判明する。
したがって、本発明によれば、測定対象地盤100の比抵抗分布の変化を容易かつ迅速に把握することができる。これにより、地盤改良された領域、すなわち改良地盤101など、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域を容易かつ迅速に確認できる。
また、本実施形態では、外管3は、筒状の絶縁体部4と、筒状の導電体部5とが交互に連結されて構成されている。この構成では、絶縁性のある長尺部材の途中に長手方向に所定の間隔を空けて複数の導電体部5を配置してなる外管3を容易かつ確実に製作することができる。
【0036】
また、本実施形態では、導電体部5は、抵抗素子7を介して内管6と電気的に接続している。抵抗素子7が無い場合、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域に接触する導電体部5の数が先端側から2個以上になると、数が増えるときの合成接地抵抗Rtの変化が小さい。このため、複数の導電体部5のうち、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域に接触している導電体部5の数の判別は、基端側において困難性が増す。しかし、抵抗素子7がある場合、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域に接触する導電体部5の数が先端側から2個以上でも、数が増えるときの合成接地抵抗Rtの変化が大きくなる。このため、複数の導電体部5のうち、比抵抗が周辺の地盤とは異なる領域に接触している導電体部5の数は、基端側においても判別しやすくなる。
【0037】
抵抗素子7を設ける場合には、導電体部5の内面と内管6の外面との間に絶縁シート91が介装される。この構成では、導電体部5が直接内管6に接触することを防止できる。これにより、導電体部5が抵抗素子7を介して内管6と電気的に接続している状態を確保できる。
また、本実施形態では、抵抗素子7の一端が、導電体部5に電気的に接続している。この場合、抵抗素子7の他端が、外管3の径方向外側から該外管3を貫通して内管6に螺着されるねじ部材92によって内管6に電気的に接続している。この構成では、導電体部5と内管6とを、抵抗素子7を介して容易かつ確実に電気的に接続することができる。
【0038】
また、本実施形態では、外管3は、5個の導電体部5を備えている。ここで、5個の導電体部5にそれぞれ接続された5個の抵抗素子7の抵抗値(Ω)を先端側から順にr1、r2、r3、r4、r5とする。このとき、r2=0.5×r1、r3=0.5×r2、r4=0.5×r3、r5=0に設定されている。この構成では、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域に接触する導電体部5の数が増えるときの合成接地抵抗Rtの変化は、概ね均等に大きくなる。このため、複数の導電体部5のうち、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域に接触している導電体部5の数を、より判別しやすくなる。
【0039】
また、本実施形態では、先端に設けられた抵抗素子71の抵抗値r1(Ω)が、r1=2×ρ、またはr1=ρ+(ρ-ρa)×0.5に設定されている。ここで、外管3が圧入される地盤100の比抵抗をρ(Ω・m)、地盤100中に形成される改良地盤101の比抵抗をρa(Ω・m)とした。この構成では、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域、すなわち改良地盤101に接触する導電体部5の数が増えるときの合成接地抵抗Rtの変化は、先端側のみならず基端側において比較的大きく確保できる。このため、複数の導電体部5のうち、比抵抗が周辺の地盤100とは異なる領域に接触している導電体部の数を、より判別しやすくなる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、測定管2を構成する複数の分割管21として、長さ、導電体部5の配置間隔、導電体部5の配置個数等を様々に変えた複数種類の分割管211~213が用意されていてもよい。このように構成すれば、図20(a)~(c)に示すように、複数種類の分割管211~213の連結の組み合わせを変えることで、導電体部5の配置パターンを変えることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 接地抵抗測定装置
2 測定管
3 外管
4 絶縁体部
5 導電体部
51~55 導電体部
6 内管
7 抵抗素子
71~75 抵抗素子
91 絶縁シート
92 ねじ部材
100 地盤
101 改良地盤
Rt 合成接地抵抗
ρ,ρa 比抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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