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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】粘弾性液体による内視鏡洗浄
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20240606BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20240606BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20240606BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A61B1/12 510
B08B9/032 321
B08B3/04
C11D17/08
【請求項の数】 47
(21)【出願番号】P 2021520935
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 AU2019051124
(87)【国際公開番号】W WO2020077403
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】2018903910
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】510339197
【氏名又は名称】サバン ベンチャーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルキン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゲブハルト,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ネア,アシュウィン ゴパラン
(72)【発明者】
【氏名】ヒングリー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】カレー,ジョシュア ストーム
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0094214(US,A1)
【文献】国際公開第2017/057504(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0249704(US,A1)
【文献】特表2020-510729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0335253(US,A1)
【文献】特表2019-518825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
B08B 9/032 - 9/035
B08B 3/04 - 3/14
C11D 1/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物汚染物質で汚染された表面上の生物汚染物質を低減する方法であって、表面を、粘弾性液体と接触させ、前記粘弾性液体を前記表面に沿って流し、それによって表面から汚染物質を除去することを含み、
粘弾性液体が、21℃で以下の特性:
140%ひずみ~300%ひずみの回転降伏点;
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度;
250~700%ひずみの振動流動点;及び
粘弾性液体の弾性流体力学的領域において最大値を有する摩擦係数μ
を有し、摩擦係数μが、弾性流体力学的領域において0.065以上の値を有する、方法。
【請求項2】
粘弾性液体が、制御された剪断速度及び/又はひずみの条件下で流される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
面が、医療器具の内面である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
医療器具が、内視鏡である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
内面が、内視鏡の細長い管腔、吸引バルブシリンダー、空気/水シリンダー又は生検ポートである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
汚染物質が、肉、血液、粘液、糞便、バイオフィルム又は潤滑剤のうちの1つ以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
粘弾性液体が、一方向に連続的に流される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
粘弾性液体の流れが、パルス化されている、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粘弾性液体が、異なる方向に交互に流される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粘弾性液体が、医療器具の最大許容圧力定格以下である流速を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
粘弾性液体が、粘弾性液体の弾性率G'が粘弾性液体の粘性率G''を超えるような流速を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
粘弾性液体が、粘弾性液体の剪断速度が粘弾性液体の流動点よりも低くなるような流速を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
水及び/又は酵素洗剤による1つ以上の前すすぎステップをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
水及び/又は酵素洗剤による1つ以上の後すすぎステップをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
粘弾性液体が、溶媒中に分散された1種以上のカチオン性、両性、アニオン性又は非イオン性ポリマーを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
溶媒が、水である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
粘弾性液体が、50~600m 2 /gの表面積を有する分散された無機及び/又は有機材料を含有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
粘弾性液体が、無機及び/又は有機材料の分散された研磨粒子を含有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
汚染物質がバイオフィルムであり、粘弾性液体がシリカを含有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
シリカが、親水性フュームドシリカである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
シリカ含有量が、0.5~20重量%の範囲である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
粘弾性液体が、分散剤を含有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
粘弾性液体が、1種以上の界面活性剤及び/又は乳化剤を含有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
粘弾性液体が、1種以上の無機及び/又は有機レオロジー調整剤を含有する、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ポリマーが、カルボマー、クロスポリマー、アクリルポリマー、グアーガム又はそれらの混合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
粘弾性液体が、0.1~40%の固形分を有する、請求項15~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ポリマーが、合成又は天然である、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
ポリマーが、ポリアクリレートクロスポリマー-6、カルボマー、又は両者の混合物である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ポリマー含有量が、0.1~20重量%の範囲である、請求項15に記載の方法。
【請求項30】
粘弾性液体が、0.1~99.9重量%の水を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
生物汚染物質で汚染された表面上の生物汚染物質を低減するための粘弾性液体であって、表面上の生物汚染物質は、表面を、粘弾性液体と接触させ、前記粘弾性液体を前記表面に沿って流し、それによって表面から汚染物質を除去することにより低減され、粘弾性液体は、
21℃で以下の特性:
140%ひずみ~300%ひずみの回転降伏点;
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度;
250~700%ひずみの振動流動点; 及び
粘弾性液体の弾性流体力学的領域において最大値を有する摩擦係数μ
を有し、摩擦係数μが、弾性流体力学的領域において0.065以上の値を有する、粘弾性液体。
【請求項32】
溶媒中に分散された1種以上のカチオン性、両性、アニオン性又は非イオン性ポリマーを含む、請求項31に記載の粘弾性液体。
【請求項33】
溶媒が、水である、請求項32に記載の粘弾性液体。
【請求項34】
50~600m 2 /gの表面積を有する分散された無機及び/又は有機材料を含有する、請求項31~33のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項35】
無機及び/又は有機材料の分散された研磨粒子を含有する、請求項31~34のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項36】
汚染物質がバイオフィルムであり、粘弾性液体がシリカを含有する、請求項31~35のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項37】
シリカが、親水性フュームドシリカである、請求項36に記載の粘弾性液体。
【請求項38】
シリカ含有量が、0.5~20重量%の範囲である、請求項36又は37に記載の粘弾性液体。
【請求項39】
分散剤を含有する、請求項31~38のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項40】
1種以上の界面活性剤及び/又は乳化剤を含有する、請求項31~39のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項41】
1種以上の無機及び/又は有機レオロジー調整剤を含有する、請求項31~40のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項42】
ポリマーが、カルボマー、クロスポリマー、アクリルポリマー、グアーガム又はそれらの混合物である、請求項32に記載の粘弾性液体。
【請求項43】
0.1~40%の固形分を有する、請求項32~42のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【請求項44】
ポリマーが、合成又は天然である、請求項32に記載の粘弾性液体。
【請求項45】
ポリマーが、ポリアクリレートクロスポリマー-6、カルボマー、又は両者の混合物である、請求項44に記載の粘弾性液体。
【請求項46】
ポリマー含有量が、0.1~20重量%の範囲である、請求項32に記載の粘弾性液体。
【請求項47】
0.1~99.9重量%の水を含む、請求項31~46のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染された表面、より具体的には、従来の洗浄方法によって洗浄することが困難である汚染された表面、例えば、デバイスの内部空洞及び管腔上の生物汚染物質を低減する方法、及び特に、汚染された医療器具の管腔、シリンダー、バルブソケット及びコネクターを洗浄する方法に関する。しかし、本発明は、この特定の使用分野に限定されないことが理解される。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、剛性又は柔軟性であり得る、光学若しくはビデオシステム並びに光源を組み込んだ細長い管状器具である。典型的には、内視鏡は、一端が外科的切開によって、又は身体の自然な開口部の1つを介して患者の身体に挿入することができるように構成される。したがって、内視鏡の挿入された端の近くの内部構造は、外部の観察者によって見ることができる。
【0003】
内視鏡は、調査に使用されることに加えて、診断及び外科的処置を実施するためにも使用される。内視鏡処置は、その最小限の侵襲性が、(治癒時間及び感染への曝露の低減を通じて)より良い患者転帰を提供し、病院及び診療所がより高い患者の回転率を達成できるようにするため、ますます人気になっている。
【0004】
内視鏡は、典型的には、長い管のような構造の形態をとり、一端に患者に挿入するための「遠位端」、及びもう一端に「コネクター端」を有し、全長の中心近くに位置する制御ハンドルを有する。典型的には、コネクター端は、光、水、吸引、及び加圧空気の供給源に接続される。制御ハンドルは、バルブ及び制御ホイールを介して内視鏡を制御するために、処置の間、操作者によって保持される。遠位端は、カメラレンズ、照明、空気及び水のためのノズル出口、吸引及び鉗子のための出口点を含有する。全ての内視鏡は、空気及び/又は水を送達する、吸引を提供する、又は処置中に必要な鉗子及び他の医療機器のためのアクセスを可能にするために使用される内部チャネルを有する。これらのチャネルの一部は、内視鏡の一端からもう一端まで延びており、一方、他のチャネルは、制御ハンドルにおけるバルブソケットを介して延びている。一部のチャネルは二またに分かれ、一方、他のチャネルは2つから1つに結合する。診断又は外科的目的で使用される内視鏡は、外科用装置が通過できる長く狭い管腔(時には鉗子チャネルと呼ばれる)を含有する。この装置は、疾患組織を除去する、又は診断のために組織サンプルを収集するために使用することができる。次いで、収集された組織は、管腔を通して外側に引き抜くことによって内視鏡から取り出される。結果として、管腔は、患者からのわずかな組織で汚染される可能性がある。血液、粘液及び糞便は、全て生物汚染物質の形態であり、バイオバーデンを含む可能性があり、また、管腔へ容易に入り込む可能性がある。
【0005】
内視鏡は高額であるため、再利用しなければならない。ある患者から次の患者への交差感染を回避する必要があるため、各内視鏡は、各使用後に徹底的に洗浄し、殺菌又は滅菌しなければならない。これは、内視鏡の外皮の洗浄だけでなく、管腔の洗浄及び殺菌も含む。結腸鏡処置に使用される内視鏡は、長さが約2メートルで、直径が数ミリメートル以下の1つ以上の管腔チャネルを有する。このような長く狭いチャネルを患者間で適切に洗浄及び殺菌することを確実にすることは、かなりの課題を提示する。内視鏡の構成が1つだけではないという事実によって、洗浄の課題もより困難になっている。調査されるべき特定の空洞に適した様々な内視鏡デバイスがあり、すなわち、結腸に挿入される結腸鏡、気道に挿入される気管支鏡、及び胃の調査のための胃鏡がある。例えば、胃鏡は結腸鏡よりも直径が小さい; 気管支鏡もまたより小さく、長さがより短く、一方、十二指腸鏡は胆管にアクセスするための異なる先端設計を有する。十二指腸鏡などの一部の内視鏡はまた、一端が閉じている「ブラインドルーメン(blind lumen)」を備えており、洗浄がさらにより困難になる可能性がある。
【0006】
管腔から生物学的残留物を機械的に除去するために様々な選択肢が利用可能であり、これは、洗浄及び殺菌プロセスにおける第1段階である。管腔を洗浄するための断然最も一般的な処置は、長く細い柔軟なラインに取り付けられた小さなブラシを使用する。一部の国では、ブラッシングは管腔を洗浄する指定された手段である。これらのブラシは、内視鏡が温水及び洗浄溶液に浸水されている間、管腔に供給される。次いで、汚れ/生物汚染物質をこすり落とそうとして、ブラシが管腔の端から端まで押し込まれ/引き抜かれる。手動で前後にこすり洗いすることが必要である。次いで、水及び洗浄溶液が管腔に流される。これらのフラッシュ-ブラシ(flush-brush)プロセスは、3回、又は内視鏡再処理技術者が管腔がきれいであると満足するまで繰り返される。この洗浄プロセスの最後に、空気が管腔にポンプ輸送され、管腔を乾燥させる。ワイピングブレード(wiping blade)を有する柔軟なプルスルー(pull-through)を使用して、材料を物理的に除去してもよい。制限された圧力で管腔を通る液体流を使用することもできる。一般に、より大きな吸引/生検管腔のみを、ブラッシング又はプルスルーによって洗浄することができる。空気/水チャネルは、ブラシには小さすぎるため、これらの管腔は、通常、水及び洗浄溶液を流すのみである。
【0007】
機械的洗浄後、化学的洗浄を実施して、残存する生物学的汚染物質を除去する。内視鏡は傷つきやすく高価な装置であるため、生物学的残留物を、高温又は強力な化学物質で処理することはできない。このため、機械的洗浄は、できるだけ徹底的である必要がある。多くの場合、特に洗浄が液体流のみに依存している場合、現在の機械的洗浄方法は、管腔からバイオフィルムを完全に除去することができない。従来の洗浄プロセスがどれほど優れていても、管腔のチャネルに小さな微生物負荷が残ることはほぼ避けられない。ブラシで洗浄する方法は、指示された通りに実施された場合でも、内視鏡管腔のバイオフィルムを完全に除去しないことを示す重要な研究がある。
【0008】
バイオフィルムは、生物汚染物質の特に困難な形態であり、浮遊微生物がそれ自体を表面に付着させ、保護多糖層でそれ自体を取り囲むときに形成し始める。次いで、微生物は増殖するか、又は他の微生物と凝集体を形成し始め、多糖層の広がりを増加させる。複数の付着部位がやがて結合し、バイオフィルムの著しい堆積物を形成し得る。細菌又は他の微生物がバイオフィルムに組み込まれると、それらは、浮遊状態にある場合よりも、化学的及び機械的洗浄に対して著しくより耐性となる。生物自体が本来、より耐性であるわけではなく、むしろ、多糖フィルム、及び微生物がフィルムに深く埋め込まれ、任意の化学的相互作用から隔離され得るという事実によって耐性が付与される。洗浄を試みた後に残存する任意の残留バイオフィルムはすぐに平衡状態に戻り、フィルム内の微生物のさらなる増殖が続く。
【0009】
特にバイオフィルムに関して、効力に欠けることに加えて、現在の手動ブラッシング処置は他の欠点を有する。多数の異なる内視鏡製造業者及びモデルがある結果、手動洗浄処置のさまざまな細かなバリエーションがある。これは混乱を招き、最終的には洗浄プロセスにおける不十分なコンプライアンスをもたらしている。現在のブラッシングシステムはまた、それらを洗浄する内視鏡再処理スタッフにとって危険である。ブラッシングは、誤って摂取又は吸入される可能性のある生物汚染物質の小粒子又はエアロゾルを空気中に分散させる可能性がある。内視鏡を洗浄するために現在使用されている化学物質は、再処理スタッフに悪影響を与える可能性がある。現在の手動ブラッシングシステムはまた、労働集約的であり、コストの増加をもたらす。したがって、医療装置における管腔を洗浄及び殺菌するための現在のアプローチは、まだ不十分であり、残留微生物は、現在、これらのデバイスにさらされている患者及びスタッフにとって重大な脅威として認識されている。
【0010】
内視鏡の内部構造の不十分な洗浄及び殺菌からの患者間の細菌感染の証拠があり、これは患者に致命的な感染症を引き起こしている。2010年から2015年の間に、世界中の41個を超える病院(ほとんどが米国)で、300~350人の患者に影響を及ぼす、スコープに関連する細菌感染症が報告された(http://www.modernhealthcare.com/article/20160415/NEWS/160419937)。様々な医療デバイスにおける生物汚染物質の低減は、同時に起こるバイオバーデン(病原体の量)の全体的な低減を引き起こし、最終的には感染率及び死亡率を低減することが予期されるであろう。さらに、内視鏡が適切に洗浄及び乾燥されていない場合、デバイスの内面にバイオフィルムが形成する可能性がある。内視鏡の管腔は、特にバイオフィルムが形成しやすい。それらは著しい量の生物汚染にさらされており、その後の長く狭い管腔の洗浄は、アクセスし難く、洗浄プロセスを監視することができないため、非常に困難である。医療施設では、内視鏡をできるだけ早く再処理するためのかなりの圧力がある。内視鏡は手作業で洗浄されるため、デバイスの清潔さを決定するには、技術者の訓練及び姿勢が重要である。器具上にバイオフィルムが残っていると、患者が内視鏡により獲得される感染症にかかる可能性がある。典型的には、これらの感染症は、突発として生じ、患者に致命的な結果をもたらす可能性がある。
【0011】
バイオフィルムは、食品、飲料及び空調の分野など、他の分野で問題となる可能性がある。内視鏡のように大量の生物汚染物質を受けることはないが、流体ラインには、しばしば、バイオフィルムの形成及び増殖に理想的な条件下で大量の栄養素が供給される。
【0012】
生物汚染は、本明細書で使用される場合、生物起源の任意の種類の材料、例えば、バイオフィルム及び関連する多糖マトリックス、血液、粘液、糞便、及びタンパク質性物質、例えば、硬化した変性タンパク質性物質など、又はバイオバーデン若しくは微生物材料、例えば、細菌、ウイルス、真菌、胞子、プリオン及び他の病原体を含むことができる他の材料を指す。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一実施形態は、先行技術の欠点の少なくとも1つを克服又は改善すること、又は有用な代替物を提供することを可能にする。
【0014】
発明の概要
第1の態様によれば、本発明は、生物汚染物質で汚染された表面上の生物汚染物質を低減する方法であって、表面を、低潤滑性を有する粘弾性液体と接触させ、前記粘弾性液体を前記表面に沿って流し、それによって表面から汚染物質を除去することを含む、方法を提供する。粘弾性液体は、流れが、液体流ではなくプラグ流であるようなものである。
【0015】
好ましくは、粘弾性液体は、制御された剪断速度及び/又はひずみの条件下で流される。
【0016】
第2の態様によれば、本発明は、低潤滑性を有する粘弾性液体を提供する。
【0017】
本発明の上記の態様では、粘弾性液体は、好ましくは、21℃で以下のレオロジー的及びトライボロジー的特性:
140%ひずみ~300%ひずみの回転降伏点;
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度;
250~700%ひずみの振動流動点; 及び
粘弾性液体の弾性流体力学的領域において最大値を有する摩擦係数μ
を有する。
【0018】
回転降伏点は、例えば、170%ひずみ~270%ひずみ、又は200%ひずみ~250%ひずみであってもよい。
【0019】
ピーク粘度は、例えば、600Pa・s~1200Pa・sであってもよい。
【0020】
振動流動点は、例えば、250~700%ひずみであってもよい。
【0021】
摩擦係数μは、例えば、0.005~1.0m/s又は0.01~0.3m/s又は0.5~0.15m/sの範囲の最大値を有してもよい。
【0022】
摩擦係数μの最大値は、独立して、0.06以上(例えば、0.06~1)又は0.1以上(例えば、0.1~1)又は0.12以上(例えば、0.12以上)である。
【0023】
特定の実施形態では、本方法によって洗浄される表面は、医療器具の汚染された表面であってもよい。
【0024】
医療器具の表面は、内視鏡などの医療器具の内面であってもよい。内面は、例えば、細長い管腔、吸引バルブシリンダー、空気/水シリンダー又は生検ポートであってもよい。
【0025】
他の実施形態では、表面は、例えば、歯科用ライン(dental line)又は食品若しくは飲料の調製若しくは分配に使用されるラインの内面であってもよい。
【0026】
生物汚染物質は、肉、血液、粘液、糞便、バイオフィルム又は潤滑剤のうちの1つ以上であってもよい。
【0027】
粘弾性液体は、一方向に連続的に流されてもよく、又は粘弾性液体の流れは、パルス化されてもよい。粘弾性液体は、異なる方向に交互に流されてもよい。
【0028】
好ましくは、粘弾性液体は、医療器具の最大許容圧力定格以下である流速を有する。
【0029】
好ましくは、粘弾性液体は、粘弾性液体の弾性率(時には貯蔵率とも呼ばれる)G'が、粘弾性液体の粘性率(時には損失率とも呼ばれる)G''を超えるような流速を有する。つまり、任意の所与の粘弾性流体に対して、G'>G''である。粘弾性液体の剪断速度が粘弾性液体の流動点よりも低くなるような流速で、粘弾性液体が表面に沿って(又は管腔を通って)通過することも好ましい。
【0030】
管腔又はラインを洗浄する場合、流速は、洗浄される管腔の直径に基づいて事前に決定される。一般に、関係は、直径x mmの内視鏡管腔の場合、流速が、0.5x ml/分~2x ml/分の範囲であるべきであるというものである。
【0031】
したがって、例えば、直径0.9mmの管腔の場合、流速は、0.45ml/分~1.8ml/分であり、直径1.45mmの管腔の場合、流速は、0.8ml/分~2.9ml/分であり、4mmの管腔の場合、流速は、2ml/分~8ml/分である。
【0032】
本発明の方法は、水及び/又は酵素洗剤による1つ以上の前すすぎ又は後すすぎのステップをさらに含んでもよい。
【0033】
好ましくは、粘弾性液体は、溶媒(好ましくは、水)に分散された1種以上のカチオン性、両性、アニオン性又は非イオン性ポリマーを含む。粘弾性液体は、分散された高表面積の無機及び/又は有機材料、例えば、50~600m2/gの表面積を有する高表面積材料を含有してもよい。
【0034】
粘弾性液体は、無機及び/又は有機材料の分散された研磨粒子を含有してもよい。
【0035】
しかし、本発明の粘弾性液体は、レオロジーに影響を及ぼし、且つ本発明の場合のように凝集プラグ流ではなく液体流を有する粘弾性液体をもたらし得るミクロフィブリル又は他の添加剤を除外することが重要である。
【0036】
一実施形態では、汚染物質は、バイオフィルムであり、粘弾性液体は、シリカナノ粒子であり得るシリカ粒子を含有する。これらは、好ましくは、親水性フュームドシリカナノ粒子である。シリカナノ粒子は、好ましくは10~100nm、より好ましくは20~70nmの粒径を有する。フュームドシリカの一次ナノ粒子は、場合によってはミクロンサイズのクラスターに凝集し得る。いくつかの実施形態では、シリカ含有量は、0.5~20重量%の範囲である。
【0037】
粘弾性液体は、分散剤並びに/又は1種以上の界面活性剤及び/若しくは乳化剤を含有してもよい。それは、1種以上の無機及び/又は有機レオロジー調整剤を含有してもよい。
【0038】
好ましくは、粘弾性液体に使用されるポリマーは、カルボマー、クロスポリマー、アクリルポリマー、グアーガム又はそれらの混合物である。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリレートクロスポリマー-6又はカルボマー、又は両者の混合物である。
【0039】
ポリマーは、合成又は天然であってよい。粘弾性液体の固形分は、0.1~40重量%、例えば、0.5~35重量%又は1~20重量%又は1~10重量%又は2~7重量%又は3~6重量%である。ポリマー含有量は、好ましくは、0.1~20重量%の範囲、例えば、0.1~5重量%又は0.2~4重量%又は0.5~3重量%である。水が粘弾性液体の溶媒である場合、それは、好ましくは0.1~99.9%、例えば90~98重量%又は95~97重量%の量で存在する。
【0040】
用語「粘弾性液体」は、本明細書で使用される場合、溶媒又は担体流体中の1種以上のポリマーの混合物であり、いくつかの実施形態では、溶媒又は担体流体は水であるが、任意の他の適切な溶媒又は担体流体を使用してもよい。
【0041】
文脈が明確に他に要求しない限り、説明及び特許請求の範囲全体を通じて、単語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的意味又は網羅的意味とは対照的に、包括的意味で、すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0042】
用語「洗浄」は、本明細書で使用される場合、バイオバーデン、微生物、バイオフィルム及び潤滑剤を含むがこれらに限定されない無機物及び有機物の除去を指すことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、粘弾性液体作用機序を示す。
図2図2は、粘弾性液体を用いた内視鏡モデルのベンチトップ洗浄プロセスの概略図を示す。
図3図3は、本発明の洗浄組成物についての剪断ひずみ(%)に対する粘度(Pa・s)を示す。
図4図4は、弾性率G'、粘性率G''及び粘度ηの間の関係を示す本発明の配合物の典型的なグラフを示す。
図5図5は、本発明の洗浄組成物のトライボロジー特性を測定するためのデバイスを示す。
図6図6は、トライボロジー特性を測定するためのデバイスの動作を示す。
図7図7は、流体力学的粘度と線速度とを関連付けるストリベック曲線を示す。
図8図8は、本発明の組成物の洗浄能力に対するトライボロジー特性の重要性を決定するための重要な領域を示す。
図9図9は、本発明の実施形態及び比較例の全てのトライボロジー曲線の集合プロットを示す。
図10図10は、内視鏡洗浄の効力を測定するために本発明で使用される試験配置を示す。
図11図11は、内視鏡洗浄の効力を測定するために本発明で使用される試験配置を示す。
図12図12は、内視鏡洗浄の効力を測定するために本発明で使用される試験配置を示す。
図13図13は、内視鏡洗浄の効力を測定するために本発明で使用される試験配置を示す。
図14図14は、内視鏡洗浄の効力を測定するために本発明で使用される試験配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
発明の説明
本開示の実施形態は、粘弾性液体を汚染された表面に沿って通過させて、表面から汚染物質を除去することに関する。例えば、粘弾性液体は、診断又は外科的処置後に残存する肉、血液、粘液及び糞便などの残留組織を含む、生物汚染物質の内視鏡チャネルを洗浄する目的で、内視鏡の管腔、シリンダー、バルブソケット又はコネクターを通過し得る。
【0045】
一実施形態では、粘弾性液体は、担体流体に溶解及び/又は分散された化学物質を含む。担体流体は、適切に安定した配合物を提供するように選択される。適切な担体流体としては、水、アルコール、グリコール又はそれらの混合物、又は任意の他の適切な流体が挙げられる。
【0046】
この粘弾性液体は、粘弾性ポリマー水性システム又は任意の他の粘弾性システムであり得る。それはまた、レオロジー調整剤、高表面積無機材料、分散剤、界面活性剤、乳化剤、溶媒、又は洗浄効力を増強するための他の機能性成分などの、追加の機能性添加剤を含有してもよい。これらは、研磨粒子又は吸着特性を有する粒子を含み得る。
【0047】
本発明の配合物は、それらのレオロジー的及びトライボロジー的特性に起因する洗浄効率を実証することが示されている。各配合物の化学的性質は、洗浄効力とは関係がないことが見出されている。以下に示す実施例及び比較例に見られるように、いくつかの配合物を試験し、どの配合物が効果的な洗浄剤であるかは、配合物の組成のみからは予測できなかった。例えば、ポリアクリレートは、フュームドシリカ及びフュームドアルミナとでは効果的であるが、活性炭とでは効果的ではないことが見出された。グアーガムは、γ-アルミナと、又はそれ自体では効果的であったが、他の多くの効果的な洗浄配合物の成分であるカルボポール(Carbopol)に添加した場合には効果的ではなかった。したがって、洗浄混合物の化学的性質だけを見て、洗浄を予測するための首尾一貫したモデルを確立することは不可能である。
【0048】
各サンプルのレオロジーは、あるレベルの予測能力を提供する; しかし、効果的な洗浄配合物のレオロジープロファイルを有するが、それにもかかわらず特に効果的ではないいくつかのサンプルが存在することが見出された。本発明者らは、生物学的試験によって確立されたように、管腔の良好な洗浄を一貫して提供する具体的なこれまで知られていなかったレオロジー/トライボロジープロファイルを確立した。
【0049】
いくつかの実施形態では、粘弾性液体は、レオロジー調整剤、高表面積吸着材料、界面活性剤、分散剤、乳化剤、溶媒又は懸濁された無機/有機粒子などの、他の機能性成分を含有する。この粘弾性液体は、主に弾性率(G')が優位である流体として作用する。
【0050】
一実施形態では、粘弾性液体は、分散されたポリマー及び高表面積の親水性フュームドシリカを含有する最適化されたレオロジーを有する水性システムである。シリカのナノ粒子は、場合によっては、バイオフィルムの除去に有用であることが示されている。このプロセスは、複雑な物理化学的プロセスであり、単純な機械的作用を超えるものを含む。それにもかかわらず、他の懸濁固体粒子、例えば、結晶性シリカ(ナノスケールより大きい)、炭酸カルシウム、活性炭、又は他の研磨材料、及びそれらの混合物を使用して、粘弾性液体の機械的作用を増強してもよい。界面活性剤、溶媒、乳化剤又は分散剤などの他の機能性添加剤も使用することができる。
【0051】
本発明はまた、バイオフィルムを除去するための粘弾性液体の使用に関する。
【0052】
本発明は、内視鏡洗浄のための流動性で運搬可能な粘弾性液体の使用に関して説明される。本発明の教示に基づいて、本明細書に記載の概念から逸脱することなく、本発明は、他の形態で具体化することができ、内視鏡及び他の器具の洗浄において他の液体、懸濁液又はエマルションを利用し得ることが当業者によって理解される。例えば、本発明の方法は、汚染を受けやすい他のライン又は表面を洗浄するのに有用である。特に、本発明の方法は、送水ライン、例えば、食品、化粧品、歯科及び飲料産業で使用されるものを洗浄するのに有用である。このようなラインは、バイオフィルム汚染を非常に受けやすい。
【0053】
粘弾性液体を使用する本発明は、具体的な実施例に関して説明されるが、プロセスが、大部分、化学的プロセスではなく物理的プロセスであり、したがって、成分の正確な化学的性質は重要ではなく、むしろ、成分の相互関係から生じる、混合物の結果として生じる物理的特性が重要であることが、当業者によって理解される。それにもかかわらず、合理的に実行可能である場合、粘弾性液体の物理的作用は、いくつかの化学的プロセスで増強することができる。例えば、酵素洗剤を粘弾性液体と組み合わせて使用して、固定タンパク質の除去などのいくつかの具体的な要求を達成することができる。
【0054】
所望の洗浄効果をもたらす混合物の物理的特性は、回転降伏点、ピーク粘度、振動流動点及び摩擦因子を含む。
【0055】
本発明の洗浄配合物は、好ましくは、21℃で以下のレオロジー的及びトライボロジー的特性:
140%ひずみ~300%ひずみの回転降伏点;
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度;
250~700%ひずみの振動流動点; 及び
粘弾性液体の弾性流体力学的領域において最大値を有する摩擦係数μ
を有する。
【0056】
摩擦係数は、好ましくは、0.1m/sの速度で0.06~0.15の範囲である。
【0057】
粘弾性液体は、流動点より低い剪断速度でポンプ輸送されるため、主に弾性状態で移動し、内視鏡の内面に機械力を提供し、汚れを押し出す。粘弾性液体は、それ自体で摩耗特性を有しない。上記のように、他の機能性成分、例えば、親水性フュームドシリカを使用して、レオロジーをさらに最適化し、及び/又は高表面積のために汚れの吸着を介して洗浄効力を増強し、研磨性のために追加のスクラビングを提供し(懸濁された結晶性無機材料によって提供されるように)、又は内視鏡中の潤滑剤の残留物についての可溶化/乳化成分(界面活性剤又は溶媒のように)として機能することができる。所望の洗浄効力を達成するために、表面に沿った粘弾性液体の流速は、粘弾性液体の弾性率G'が粘性率G''を超えるように制御される。過度の剪断又は応力が粘弾性液体に加えられると、それは弾性状態から粘性状態(G''>G')に変化し、そうすることでニュートン流体のように流れる。このような場合、構造の喪失、及び洗浄効率の喪失がある。
【0058】
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度は、0.9~3.7mmのIDを有する管腔について最適化される。この範囲外の粘度、すなわちより高粘度を有するものは、依然として良好な洗浄を提供することができるが、ポンプ輸送性(pumpability)に関して問題がある可能性がある。2000Pa・sを超えるピーク粘度を有する洗浄剤は、3.7mm以上の管腔に適しているが、内視鏡製造業者によって指定された圧力範囲内にとどまる場合、0.9mmの管腔を通した限定されたポンプ輸送性を有する可能性がある。粘弾性液体の場合、所望の粘弾性レオロジープロファイル(G'/G''比、降伏点、粘度、チキソトロピー、剪断応力後の回復時間)を提供するのに役立つ化学物質の任意の組み合わせを使用してもよい。
【0059】
本発明の配合物のトライボロジーも重要である。特に、混合物が弾性流体力学的摩擦の状態にある場合に、本発明の各配合物が、それらの摩擦係数の最大値を示すことが重要である。この特定の領域は、トライボロジーに精通している人にはよく理解されており、以下でより詳しく論じるように、情報は、典型的には、ストリベック曲線に示される。
【0060】
他の機能性成分との組み合わせにおいて、好ましい固形分は、0.1~40重量%の範囲である。粘弾性液体は水性であってよく、又は他の媒体を使用してポリマー及び機能性成分を分散/溶解することができる。粘弾性液体は、1種のポリマーのみ又はいくつかのポリマーの組み合わせを含むか、又はG'(弾性率)、G''(粘性率)、降伏点、粘度、チキソトロピー特性、潤滑特性、剪断応力後の回復時間、レオロジー特性の温度感受性、ずり減粘又はずり増粘挙動などの1つ以上の特性を変更するための任意の無機/有機レオロジー調整剤をさらに含有してもよい。ポリマーは、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の性質を有してもよく、例えば、任意のカルボマー又は架橋アクリルポリマーであってもよい。他の無機及び/又は有機材料、例えば親水性フュームドシリカはまた、所望の粘弾性プロファイルを達成するためのレオロジー調整剤として使用することができる。
【0061】
本発明の別の実施形態では、粘弾性液体洗浄は、粘弾性液体の物理的洗浄を補完するために、化学的及び/又は酵素的洗浄と組み合わせることができる。化学的及び/又は酵素的洗浄は、粘弾性液体をポンプ輸送する前及び/又は後に実施してもよく、又は中間のすすぎを伴ってもよい。必要に応じて、水による追加のすすぎ及び/又は乾燥ステップを実施してもよい。
【0062】
表面積、形態、結晶化度、粒径、粒径分布、乳化特性及び懸濁特性を含む添加剤の性質はまた、洗浄効果に寄与することが示されている。添加剤は、例えば、親水性フュームドシリカグレード(ナノ結晶又はより大きなサイズ)又は懸濁不溶性粒子(例えば、結晶性シリカ、結晶性アルミナ、結晶性ジルコニア、活性炭、炭酸カルシウム、又はセラミックス)、アクリル酸ナトリウム、アニオン性、両性及び非イオン性界面活性剤又はそれらの混合物であってもよい。この場合も、添加剤の密度、性質、サイズ、形態及び濃度を、最適な洗浄のために選択することができる。例えば、粘弾性流体の濡れ挙動は、エトキシル化脂肪アルコールで調整することができる。他方、油及び潤滑剤の除去における追加の効力は、非イオン性又はアニオン性乳化剤で付与することができる。また、懸濁された無機結晶性研磨粒子を使用すると、固定タンパク質の除去における洗浄効力を増強することができる。重要なことに、摩耗特性は、懸濁粒子の粒径及び硬度に強く依存する。
【0063】
本発明は、ポンプ輸送によって運ばれる(すなわち、押し出される)運搬可能な粘弾性液体に関して説明されるが、運搬可能な粘弾性液体は、減圧又は吸引によって同様に運ばれ(すなわち、引っ張られ)てもよい。
【0064】
粘弾性液体が使用される場合、固形分は、0.1~40%w/w、より具体的には0.2~15%w/w、さらにより具体的には0.4~5%w/wである。粘弾性液体は、それらの内径とは無関係に内視鏡の全ての管腔を通って流れる必要があり、適切な粘弾性プロファイル、吸収、乳化及び研磨特性と組み合わせて良好な流動性及びポンプ輸送性を可能にする粘度及び降伏値を有することが望ましい。周囲温度での550~2000Pa・sのピーク粘度(Anton Paar MCR 102モジュラーコンパクトレオメーターで測定して)が適切な粘度である。21℃での所望の回転降伏点は、140~300%のひずみの範囲である。必要な場合、フュームドシリカ、粘土、ポリマー、ゴム、分散剤、電解質又は溶媒などの様々なレオロジー調整剤を使用して、その粘弾性プロファイル、流動性、ポンプ輸送性を変更するなどして、粘弾性液体のレオロジープロファイルを変更することができ、又は安定したシステムの形成を助けることができる。
【0065】
粘弾性液体が適切なレオロジーと組み合わせて適切なトライボロジー又は摩擦を有するることも重要である。高摩擦粘弾性液体が望ましく、例えば、粘弾性液体は、弾性流体力学的領域において0.06以上の摩擦係数を有する(任意の所与の流体についての弾性流体力学的領域は、そのストリベック曲線から明確に識別可能である)。典型的には、本発明の粘弾性流体についての弾性流体力学的領域は、0.004m/s~1.0m/sの範囲の滑り速度と見なされる。過度に高い摩擦の粘弾性液体は、より高いポンプ圧を必要とし、そのため、洗浄には有用であるが、内視鏡における製造業者の圧力上限を超える圧力でのみポンプ輸送できる可能性がある。摩擦係数μは、例えば、0.005~1.0m/s又は0.01~0.3m/s又は0.5~0.15m/sの範囲の最大値を有してよい。摩擦係数μの最大値は、独立して、0.06以上(例えば、0.06~1)又は0.1以上(例えば、0.1~1)又は0.12以上(例えば、0.12以上)である。
【0066】
例えば、摩擦係数μは、例えば、0.005~1.0m/sの範囲で0.06以上(例えば、0.06~1)の最大値を有してもよい。あるいは、摩擦係数μは、例えば、0.01~0.3m/sの範囲で0.1以上(例えば、0.06~1)の最大値を有してもよく、あるいは、摩擦係数μは、例えば、0.5~0.15m/sの範囲で0.12以上(例えば、0.06~1)の最大値を有してもよい。
【0067】
典型的には、摩擦係数は、通常、0.1m/sの速度で0.06~0.15の範囲であろう。
【0068】
表面を洗浄するためには、粘弾性液体が表面の全域にわたって流れることが必要である。しかし、それを超えて、粘弾性液体が実行可能な限りゆっくりと表面の全域にわたって流れることが有利である。本発明者らは、流速が低いほど、達成できる洗浄効力が良くなることを確立した。流速を増加させると、洗浄に利用できる接触時間が短くなり、また、流速の増加が配合物の過剰剪断(overshearing)を与え、これは特定の時点での機能停止を意味するため、望ましくない。
【0069】
洗浄効力/洗浄剤量と洗浄サイクル時間との間の適切な妥協点を達成するために、3ml/分が3.7mmの管腔についての最適な流速であることが確立されている。標準的な条件下で、長さ10cmの3.7mm管腔を洗浄するには、粘弾性液体30mlを3ml/分でポンプ輸送し、所望の洗浄効力を得ることが必要である。より粘弾性のある液体をポンプ輸送する場合、又は流速を低減する場合、洗浄効力は向上するが、洗浄サイクル時間は著しく増加する。他方、増加した流速は、粘弾性液体の量を増やすことによってある程度補うことができる。また、内視鏡の場合、製造業者の圧力上限が存在することに留意することが必要である。実際面で、より小さい管腔(0.9mm)の場合、1~2ml/分の非常に遅い流速でも、圧力上限に達する。一般に、関係は、直径x mmの内視鏡管腔の場合、流速が、0.5x ml/分~2x ml/分の範囲であるべきであるというものである。
【0070】
当業者は、上記の要因を考慮に入れて、任意の所与の管腔サイズについて流速を容易に最適化することができるものと期待される。
【0071】
当業者はまた、粘弾性液体などを高速でポンプ輸送すると、過剰剪断につながることを知っている。内視鏡検査の分野では、(上記のように)圧力上限への遵守が、ペーストの高速高圧ポンプ輸送を緩和するため、過剰剪断は起こる可能性が低い。過剰剪断される速度で薬剤が流されないと仮定すると、表面の全域にわたる総材料流は、洗浄効力を決める主要なパラメーターではない。洗浄剤は、プラグ流条件下(降伏点と流動点との間の範囲)でポンプ輸送されることが重要である。図1は、本発明のプラグ流(流体がプラグ又はプランジャーとして機能して、管腔を機械的に洗浄する)と、流体がほとんど又は全く相互作用せずに汚れの周りを単に流れる液体流との違いを示す。例えば、30mlのペーストを3ml/分でポンプ輸送すると、特定の洗浄効力が得られるが、同様の洗浄効力は、より少ない洗浄剤を、例えば2ml/分でポンプ輸送するか、又はより多くの洗浄剤を、例えば4ml/分でポンプ輸送することによって達成することができ、したがって、例えば、3つの全ての場合における質量流量は異なるが、洗浄効力は同じであり得る。
【0072】
一実施形態では、粘弾性液体は、事前に混合され、カートリッジ、フレキシブルバッグ、ボトル、キャニスター又は任意の他の適切な包装中の安定したすぐに使用できる材料として提供される。粘弾性液体を含有する包装は、内視鏡と直線に並んで配置され、粘弾性液体は、図2に示すように、適切なポンプ、例えば蠕動ポンプを使用して、制御された流速で包装から、内視鏡の管腔、シリンダー、バルブソケット及びコネクターに単にポンプ輸送される。粘弾性液体は、汚染の初期レベル及び内視鏡の構造に応じて、生物学的材料を除去するために適切な時間、内視鏡を通過する。
【0073】
図2の実施形態は、粘弾性液体が吸引生検ラインの全てのバルブソケット及びコネクターを通して同時に又は連続してポンプ輸送される場合の内視鏡のベンチトップモデルを示す。内視鏡の空気/水及び補助ラインのベンチトップ試験に同じ構成が使用される。粘弾性液体をポンプ輸送する間、圧力センサーは、内視鏡洗浄プロセス中に指定された圧力上限を超えないことを確実にするために使用される。これらの圧力センサーは、内視鏡を損傷する可能性のあるレベルに圧力が近づき始めた場合にポンプを停止するために、フィードバック又は制御メカニズムに接続することができる。粘弾性液体は、所望の内視鏡チャネルを流れ落ち、出口ラインを介して排水管に排出されてもよい。
【0074】
同じポンプ及び圧力センサーを使用して、粘弾性液体による物理的洗浄の前及び/又は後に水及び/又は酵素洗剤による洗浄を提供する。水及び/又は酵素洗剤によるプレフラッシュ(pre-flush)及び/又はポストフラッシュ(post-flush)は任意選択であるが、特に固定タンパク質及び/又は任意の乾燥した汚れのような硬い汚れの存在下で、粘弾性液体自体で達成される洗浄効力をさらに増強し得る。水及び/又は酵素洗剤の温度は、サーモスタットミキサー、インラインヒーター又は任意の他のタイプのヒーターを含めることで、独立して最適化することができる。酵素洗剤は、内視鏡のチャネルを通過し、出口ラインを介して排水管に排出されてもよい。洗浄サイクルが終了したら、内視鏡を空気でパージするか、又は任意の他の適切な方法で乾燥させることができる。
【0075】
粘弾性液体はまた、その特性を調整するための機能性化学物質を含有してもよい。例えば、フェノキシエタノールなどの広域スペクトル防腐剤を使用して、所望の貯蔵寿命を達成し、取り扱い、保存及び輸送中の粘弾性液体の微生物汚染を防ぐことができる。例えば高表面積フュームドシリカ又は活性炭などの様々な吸収材料を使用して、汚れの物理的吸収により洗浄効力を増強することができる。界面活性剤、溶媒又は乳化剤を使用して、濡れ挙動及び表面張力を変更して、内視鏡からの潤滑剤の除去を支持することができる。また、懸濁された研磨材料を使用して、固定タンパク質などの硬い汚れの除去における粘弾性液体の効力を増強することができる。例えば、分散された微結晶性シリカ(20~200μm)は、その追加の摩耗特性のために、固定タンパク質の除去を支持する。
【実施例
【0076】
実験
以下の化学組成を有するいくつかの粘弾性流体を、いくつかの比較例と同じく、本発明に従って調製した:
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
【表9】
【0086】
【表10】
【0087】
【表11】
【0088】
【表12】
【0089】
【表13】
【0090】
【表14】
【0091】
【表15】
【0092】
粘弾性流体を、以下の一般的な手順によって調製した。
【0093】
高表面積の材料が含まれている場合(実施例1~8)、以下のステップに従った:
●フュームドシリカ又はアルミナをホモジナイズした。塵の発生を避けるために、撹拌しながらゆっくりと注意深く、所望の量のシリカ又はアルミナを水に添加した。防塵マスク及び/又はヒュームフードが推奨される。
●シリカ又はアルミナが十分に分散したら、Silverson LM5-Aホモジナイザーを使用して、混合物をホモジナイズして、無機材料及び水を適切に混合した。高剪断ヘッドを使用して、混合物を9000RPMで5分間撹拌した。
●シリカ又はアルミナが分散したら、ポリマー及び防腐剤を添加する。同じ装置を使用して、一般的な分散ヘッド及び外側の軸流ヘッドを使用した。所望の量の防腐剤を添加した。次いで、ミキサーを5000RPMで再起動し、所望の量のポリマーを添加した。
●次いで、pHを測定し、NaOH溶液の添加によってpHが所望の制限内で安定するまで調整した。
●次いで、ホモジナイザーをさらに5分間実行した。
●次いで、得られた粘弾性流体を、蓋付きのガラス瓶に保存した。
【0094】
実施例9及び比較例10~15の場合、プロセスは分散ステップを省略したが、それ以外は、プロセスは同じであり、水に防腐剤を添加し、撹拌しながらポリマーを添加し、次いで、必要に応じてホモジナイゼーションを確実にするためにさらに撹拌しながらpHを調整した。
【0095】
配合物は、成分の単純な添加によって調製することができ、最終的な考慮事項は、成分を完全に混合することを確実にすることであった。シリカなどの固体粒子状物質が添加された場合、より高いレオロジーの混合物が形成されると、シリカの適切な分散がより困難になるため、プロセスの最初にこれらを添加することが望ましかった。当業者は、適切にホモジナイズされた流体を容易に調製することができる。
【0096】
防腐剤の使用は、レオロジー特性又は洗浄特性に影響を与えるとは全く考えられていなかった。組成物を使用して、実施される洗浄及び微生物低減の量を決定する場合、試験粘性流体自体が、汚染を導入しないことを確実にすることが重要である。本発明の粘性処方は、防腐剤を添加しなくても同様に機能すると考えられるが、実際的な意味では、これらはほとんどの場合、洗浄流体自体によるシステムへの潜在的な望ましくない病原体の添加を防ぐために使用されるであろう。
【0097】
流体を調製した後、粘弾性流体のレオロジー及びトライボロジーを、調製の24時間後にMCR-102(又はMCR-302)Anton-Paarレオメーターで特性評価した。
【0098】
【表16】
【0099】
レオロジー測定
粘度測定
各サンプルについて、Anton-PaarによるMCR102レオメーターを使用して、21℃で標準的な操作手順を使用して粘度を決定し、ピーク粘度を記録した。
【0100】
経時的な配合物の安定性を、それらの粘度、回転降伏点及び振動流動点に関して評価した。いずれの配合物も、数週間から数ヶ月の時間枠にわたってパラメーターの顕著な変化を示さなかった。
【0101】
サンプルの振動流動点及びサンプルの回転降伏点を、以下のように測定した:
【0102】
洗浄剤のサンプルを、Anton-PaarによるMCR102レオメーターに入れた。サンプルについてのピーク粘度点を決定する標準的試験を実行した。そのピーク粘度での剪断ひずみを記録した。ピーク粘度でのこの剪断ひずみは、洗浄剤の降伏点を表す(上の表における回転降伏点)。
【0103】
図3は、剪断ひずみ(%)に対する粘度(Pa・s)を示す。
【0104】
洗浄剤の振動流動点を測定するために、各サンプルについてG'及びG''を決定した。G'及びG''のラインが交差する場所(すなわち、粘弾性液体の弾性率G'が粘性率G''に等しい場所)が、流動点を決定する。交差点での剪断ひずみは、洗浄剤の流動点を表す。
【0105】
図4は、本発明の配合物の典型的なグラフ、並びに弾性率、粘性率及び粘度の間の関係を示す。弾性率G'は、四角のデータ点を有する線によって表される。粘性率G''は、三角形のデータ点を有する線によって表され、粘度は、円形のデータ点によって表される。点Z'は、最大イータ値を示す。点Z''は、G'とG''との交差、すなわち流動点を示し、すなわち、交差点から下向きに線を延長すると、G'=G''=10.33Paの場合に577%の剪断ひずみが示される。
【0106】
トライボロジー
配合物のトライボロジーは、Dr Tillwich GmbH Werner Stehr及びAnton Paarによって共同開発された3枚のプレート上の球(Ball-on-3-plates)デバイスを使用して測定した。使用したデバイスは、Anton-Paar MCR 102及びAnton-Paar MCR 302レオメーターであった。別段記載されていない限り、測定は21℃で標準的な実験室条件下、すなわち、30~50%の典型的な湿度範囲で行った。デバイスを図5に示す。
【0107】
球は、x、y及びz方向に移動可能な3枚の自己位置調節プレート上にある。球は、一点で各プレートに接触する。球は、シャフトに取り付けられており、シャフトの軸に沿った所定の位置で回転することができる。球が各プレートに対して直線運動をしている場合でも、各プレートは、プレートの同じ点で球に継続的に接触する。
【0108】
球は、垂直抗力FNでプレートに接触する。次いで、シャフトが球を回転させる。球を回転させるのに必要なトルクの量は、プレートと球との間のベースライン摩擦を確立する。
【0109】
次いで、サンプルをプレート上に、球と接触させて、球と各プレートとの間の接触点を囲んで置く。球を、接触垂直抗力FNでプレートに対して維持する。次いで、シャフトが球を回転させ、各回転速度で必要なトルクの量を測定する。次いで、必要なトルクを使用して、サンプルによって提供される摩擦又は潤滑性を決定することができる。図6は、使用中のデバイスを示す。
【0110】
サンプルの真の流体力学的(又はこの場合は弾性流体力学的)摩擦を測定することが重要である。ストリベック曲線に示されるように(図7)、このようなシステムでは、低速で、相互作用する表面の粗さの結果として2つの測定表面間の境界摩擦が優勢になることがトライボロジーでは周知である。速度が増加すると、境界摩擦と流体力学的摩擦の両方の成分が寄与する混合摩擦の状況が存在する。この速度範囲では摩擦係数が低下する。真の流体力学的摩擦が唯一の摩擦メカニズムとして引き継ぐと、摩擦係数は、より高い速度(より高い滑り速度)で増加し始める。より高速では、サンプルの構造が壊れ始める可能性がある。サンプルが壊れる前の真の流体力学的摩擦の領域は、サンプルの固有の潤滑性又はその他を確立するため、興味深い。
【0111】
図8は、MCR Tribology Cell T-PTD 200を21℃で用いてAnton Paar MCR 302上で決定した本発明の実施例及び比較例のストリベック曲線の弾性流体力学的領域の拡大部分を示す。これらのサンプルの両方は、同等のレオロジーを有した。上の曲線は実施例1であり、下の曲線は比較例10である。サンプルは一致したレオロジーを有したが、それらのトライボロジーは著しく異なった。より高い摩擦係数を示したサンプルは優れた洗浄剤であったが、より低い摩擦係数を有したサンプルは洗浄剤としては適さなかった。
【0112】
トライボロジー測定に精通している人は、それらが、装置、温度などの多くの要因に敏感であり得ることを理解する。本実験は、結果の内部一貫性を確実にするために、全ての場合に条件をできるだけ同様にして実施した。いずれにせよ、本明細書に与えられた実施例は、本発明と直接比較するために、異なる条件下で得られた結果を標準化することを可能にする。
【0113】
図9は、典型的には、0.004m/sの滑り速度から1m/sの滑り速度である、弾性流体力学的領域における本発明の実施形態の全てのトライボロジー曲線の集合プロットを示す。全て良好な洗浄特性を示した本発明の配合物の曲線についての最大値は白丸として示され、同じレオロジーを有するが異なるトライボロジーを有した比較例についての最大値は黒丸を使用して示される。本発明の組成物は全て、弾性流体力学的領域において観察可能な最大値を有したことが分かる。本発明のサンプルの全ては、0.065以上の弾性流体力学的領域における最大の摩擦係数(摩擦因子)ηを有した。ηについての最高値は約0.195であった。ηの上限は設定されていないが、実際面では、摩擦が高すぎると、粘弾性流体のポンプ輸送性がより困難になり、他の実際的な考慮事項が適用され得る。
【0114】
試験汚れ、汚染及び検証プロセス
内視鏡の内部構造を模倣するために、テフロンチューブの内面、又はバルブソケット、シリンダー及びコネクターの金属表面に適用された試験汚れを使用して、内視鏡からの生物汚染物質の除去をモデル化した。汚れ調製の手順、並びに固定タンパク質及びバイオフィルム汚染方法は以下の通りである:
【0115】
タンパク質試験汚れ
改変された、標準化されたエジンバラ汚れ(Edinburgh soil)[Alfa MJ, Olson N. Physical and composition characteristics of clinical secretions compared with test soils used for validation of flexible endoscope cleaning. The Journal of hospital infection. 2016;93(1):83-8.]を、粘弾性液体の性能を評価するために実験で使用した。
【0116】
テフロンチューブ
タンパク質汚れをチューブにシリンジでポンプ輸送し、汚れを5秒間所定の位置に保持し、次いで、汚れをシリンジにポンプ輸送で戻すことによって、テフロンチューブ(ID3.7mm及び長さ10cm)に植え付けた。植え付けたチューブを小さな容器内の所定の位置に固定した。次いで、容器をインキュベーター内に配置された回転混合装置の上に置いた。チューブをインキュベーター中で中速で40℃で30分間回転させた。次いで、チューブを40℃インキュベーター内の4ポートエアポンプマシン(4つのTピースを介した一度に8つのチューブ)に接続した。チューブを、低空気流でさらに15分間インキュベーター中に保持した。空気流段階中に漏れたチューブを廃棄した。チューブを涼しく乾燥した環境で保存した。
【0117】
テフロンチューブからの汚れの抽出及び試験は、以下の方法で行った:
●管腔の先端にフレキシブルチューブを配置し、管腔のもう一端に3mLの0.1%SDSを含有するサンプルチューブを配置した。
●滅菌10mLシリンジを使用して、3mLの0.1%SDS(0.02gの場合)をサンプルチューブからシリンジに流した(0.2gの場合は5mlを使用)。SDSを前後に流して、汚れを取り除き(300回フラッシュ)、SDSに溶解した。目に見える汚れが残存しなくなるまでフラッシングを行い、その後、追加のフラッシュ(50回)を行った。
●前の量が汚れを溶解するには不十分である場合は、さらに3mLの溶媒を使用した。
●サンプルチューブを取り外し、適宜ラベルを付け、次いで、Quantipro BCAアッセイ法に従ってそのタンパク質含有量について試験した: https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma- aldrich/docs/Sigma/Bulletin/bca1bul.pdf
【0118】
吸引バルブシリンダー
汚染させる前に、吸引バルブシリンダーを以下のように事前に洗浄した:
●吸引バルブシリンダーを、フレキシブルチューブを使用して互いに接続し、蠕動ポンプに取り付けた。
●200mLの4%酵素(45℃に予熱)を含有する瓶を、45℃に調節された水浴に入れた。
●酵素を吸引バルブシリンダーを通して2×20分間再循環させた。最初の20分のサイクルの後、酵素溶液を新しいバッチと交換した。
●次いで、デイジーチェーン構成に5×60mLのDI水を流した。
●コネクターにBCA(1.5mL)を充填し、50℃で30分間インキュベートした。得られた溶液を、Quantipro BCAアッセイ法に従って、残存タンパク質含有量について分析した: https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma aldrich/docs/Sigma/Bulletin/ bca1bul.pdf
【0119】
吸引バルブシリンダーの汚染及び乾燥を以下のように行った:
●吸引バルブシリンダーの重量を測定した。
●約0.02g/0.2gの重量差が達成されるまで、タンパク質汚れを、吸引バルブシリンダーの内部にuLピペットチップを使用して配置した(汚れをできるだけ均一に広げるために内視鏡ブラシを使用して)。
●汚染させた後、シリンダーを40℃のオーブン中に30分間入れた。次いで、シリンダーを、低空気流を用いたポンプに接続し(40℃のオーブン中)、15分間放置した。
【0120】
吸引バルブシリンダーからの汚れの抽出及び試験を以下のように行った:
図10に示すように、吸引バルブシリンダーの両側にフレキシブルチューブを配置し、底部に蓋を付けた。
●滅菌10mLシリンジを使用して、3mLの0.1%SDS溶液(0.02gの場合)をサンプルチューブからシリンジに移した(0.2gの場合は5mlを使用)。SDS溶液を前後に流して(300回フラッシュ)、汚れを取り除き、SDSに溶解した。目に見える汚れが残存しなくなるまでフラッシングを行い、その後、追加のフラッシュ(50回)を行った。
●汚れが十分に溶解していない場合は、さらに3mLの溶媒を使用することができた。
●サンプルチューブを取り外し、適宜ラベルを付け、Quantipro BCAアッセイ法に従ってタンパク質含有量について試験した: https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/Sigma/ Bulletin/bca1bul.pdf
【0121】
生検ポート
汚染させる前に、生検ポートを以下のように事前に洗浄した:
●生検ポートを、蠕動ポンプにつながる1本のラインに全て互いに接続された8個の別々のフレキシブルチューブに接続した(図11a及び11bを参照)。
●600mLの2%酵素(45℃に予熱)を含有する2Lビーカーを、45℃に調節された水浴に入れた。
●シリンダーに接続されたフレキシブルチューブをビーカーに入れた。
●酵素を生検ポートを通して2×20分間再循環させた。最初の20分のサイクルの後、酵素溶液を新しいバッチと交換した;
●次いで、酵素を含有するビーカーを1Lの水を含有するビーカーと交換することによって、構成に1Lの水を流した。
●シリンダーにBCA(2mL)を充填し、50℃で30分間インキュベートした。得られた溶液を、Quantipro BCAアッセイ法に従って、残存タンパク質含有量について分析した:
●https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/Sigma/Bulletin/bca1bul.pdf.
【0122】
生検ポートの汚染及び乾燥を以下のように行った:
●生検ポートの重量を測定した。
●タンパク質汚れを、生検ポートの内部にuLピペットチップを使用して配置した。約0.02g/0.2gの重量差が達成されるまで、内視鏡ブラシを使用して、汚れをできる限り均一に広げた。
●上の2つのステップを、全ての生検ポートに対して繰り返した(6~10)。
●ポートを40℃のオーブン中に30分間入れ、次いで、低空気流を用いたポンプに接続し(40℃オーブン中)、15分間放置した。
【0123】
生検シリンダーからのタンパク質汚れの抽出及び試験:
●フレキシブルチューブを生検シリンダー上に配置した。図12aに示すように、生検シリンダーの1つの出口を塞ぎ、残りの出口を3mLの0.1%SDSを含有するサンプルチューブに入れた。
●滅菌10mLシリンジを使用して、3mLの0.1%SDS(0.02gの場合)をサンプルチューブからシリンジに移した(0.2gの場合は5mlを使用)。SDSを前後に流して、汚れを取り除き(300回フラッシュ)、SDSに溶解した。生検シリンダーの塞がれた出口及び塞がれていない出口を、図12bのように反対にして、SDSを再び300回流した。目に見える汚れが残存しなくなるまでフラッシングを行い、その後、追加のフラッシュ(50回)を行う。汚れを溶解するのに必要な場合は、さらに3mLの溶媒を使用することができた。
●サンプルチューブを取り外し、適宜ラベルを付け、Quantipro BCAアッセイ法に従ってタンパク質含有量について試験した: https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/ Sigma/Bulletin/bca1bul.pdf
【0124】
固定タンパク質
固定タンパク質で汚染されたチューブを、以下のように調製することができた:
【0125】
1%馬血清をテフロンチューブ(ID3.7mm)を通してポンプ輸送した。使用した体積は2×チューブ体積であった。20分後、2×チューブ体積の1%グルタルアルデヒドを、チューブを通してポンプ輸送した。10分後、このプロセスを繰り返した。全体で、5サイクルの馬血清とそれに続く5サイクルのグルタルアルデヒドを使用した。次いで、チューブを10チューブ体積で洗浄した。チューブを必要な長さの断片に切断した。これらのチューブを、さらなるバイオフィルム増殖に使用した。
【0126】
バイオフィルム
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 15442バイオフィルムを、粘弾性液体の洗浄効力を評価するために実験で使用した。図13に示すように、以下の構成要素を有するベンチトップ内視鏡モデルを準備した:
1)アダプター
2)吸引コネクター
3)吸引シリンダーコネクター
4)生検ポートコネクター
5)吸引シリンダー
6)生検ポート
7)コネクターロック
8)10cm、3.7mmIDの管腔
9)135cm 3.7mmIDの管腔
10)170cm 3.7mmIDの管腔
11)シリンジポンプ
【0127】
上記のように、10cmの管腔、吸引バルブシリンダー及び生検ポートを汚染させた。次いで、図14に示すように試験内視鏡を組み立てた(各図の関連部分は丸で囲まれている):
1)吸引コネクターをアダプターに接続した。
2)コネクターロックを使用して、汚染された10cm管腔をコネクターロックを使用して吸引コネクターに接続し、別のコネクターロックを使用して、汚染された10cm管腔の直後に135cm管腔を追加した。
3)吸引バルブシリンダーナットを吸引バルブシリンダーにねじで取り付けた。
4)135cm管腔の端を、コネクターロックによって吸引バルブシリンダーに接続した。
5)吸引バルブシリンダーを、吸引バルブシリンダーコネクターに取り付けた。
6)両面コネクターロックを使用して、生検ポートを吸引バルブシリンダーに接続した。
7)生検ポートの生検ポート端を、生検ポートコネクターに取り付けた。
8)吸引バルブシリンダーコネクター及び生検ポートコネクターを、アダプターに取り付けた。
9)別のコネクターロックを使用して、生検ポートを170cm管腔に接続した。
10)別のコネクターロックを使用して、第2の汚染された10cm管腔を170cm管腔に取り付けた。
【0128】
粘弾性液体による内視鏡モデルの洗浄
アダプターの主要端を、粘弾性液体が事前に充填された60mLシリンジに接続した。上の図に示すように、粘弾性液体の流れの方向は、3つのバルブ(3つのコネクターポート、1=位置1又は吸引コネクターの端、2=位置2又は吸引バルブシリンダーコネクター、3=位置3又は生検ポートコネクター)を使用して制御した。汚染された廃棄物容器は、スコープを通して出る残留粘弾性液体/汚れを保持するために、内視鏡モデルの遠位先端に配置するべきである。
【0129】
粘弾性液体ポンプ輸送の順序は以下の通りである(流速-3mL/分):
a)バルブ2及び3を閉じたままバルブ1を開き、次いで、アダプターの最初から4.5mLの粘弾性液体をポンプ輸送することによって位置1をプライミングする(prime)。
b)バルブ1を閉じ、バルブ2を開いて、5.5mLの粘弾性液体をポンプ輸送することによって位置2をプライミングする。
c)バルブ2を閉じ、バルブ3を開いて、2.9mLの粘弾性液体をポンプ輸送することによって位置3をプライミングする。
d)プライミング後、バルブ1を開いたままバルブ2及び3を閉じる。19.5mLの粘弾性液体を位置1を通してポンプ輸送する。
e)バルブ1を閉じ、バルブ2を開く。5mLの粘弾性液体を位置2を通してポンプ輸送する。
f)バルブ2を閉じ、バルブ3を開く。19.5mLの粘弾性液体を位置3を通してポンプ輸送する。
g)バルブ3を閉じ、再度バルブ1を開く。4mLの粘弾性液体を位置1を通してポンプ輸送する。
h)粘弾性液体を有するシリンジをシリンジポンプから取り外し、水を含有するシリンジと交換する。
i)位置1を通して20mLの水をポンプ輸送する(3mL/分)。
j)位置2を通して10mLの水をポンプ輸送する。
k)位置3を通して10mLの水をポンプ輸送する。
l)内視鏡モデルをシリンジポンプから取り外し、水道水ラインに接続し、690mLの水を使用して各位置(1、2及び3)を流す。
【0130】
内視鏡モデルからの残存タンパク質汚れの抽出
任意の残存している残留物を、異なるコネクター及び管腔から抽出し、上記のプロトコールに従ってタンパク質含有量について分析する。
【0131】
【表17】
【0132】
バイオフィルム(緑膿菌(P. aeruginosa) ATCC 15442、開始数8.19 log10 cfu/ml)についての3.7mm管腔中の低減は、以下の通りである:
【0133】
【表18】
本発明は例えば以下の態様を含む。
[項1]
生物汚染物質で汚染された表面上の生物汚染物質を低減する方法であって、表面を、低潤滑性を有する粘弾性液体と接触させ、前記粘弾性液体を前記表面に沿って流し、それによって表面から汚染物質を除去することを含む、方法。
[項2]
粘弾性液体が、21℃で以下の特性:
140%ひずみ~300%ひずみの回転降伏点;
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度;
250~700%ひずみの振動流動点; 及び
粘弾性液体の弾性流体力学的領域において最大値を有する摩擦係数μ
を有する、項1に記載の方法。
[項3]
摩擦係数μが、弾性流体力学的領域において0.06以上の値を有する、項1に記載の方法。
[項4]
粘弾性液体が、制御された剪断速度及び/又はひずみの条件下で流される、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
医療器具の表面が、医療器具の内面である、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
医療器具が、内視鏡である、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
[項7]
内面が、細長い管腔、吸引バルブシリンダー、空気/水シリンダー又は生検ポートである、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
[項8]
汚染物質が、肉、血液、粘液、糞便、バイオフィルム又は潤滑剤のうちの1つ以上である、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
[項9]
粘弾性液体が、一方向に連続的に流される、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
[項10]
粘弾性液体の流れが、パルス化されている、項1~9のいずれか一項に記載の方法。
[項11]
粘弾性液体が、異なる方向に交互に流される、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[項12]
粘弾性液体が、医療器具の最大許容圧力定格以下である流速を有する、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[項13]
粘弾性液体が、粘弾性液体の弾性率G'が粘弾性液体の粘性率G''を超えるような流速を有する、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[項14]
粘弾性液体が、粘弾性液体の剪断速度が粘弾性液体の流動点よりも低くなるような流速を有する、項1~10のいずれか一項に記載の方法。
[項15]
水及び/又は酵素洗剤による1つ以上の前すすぎステップをさらに含む、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
[項16]
水及び/又は酵素洗剤による1つ以上の後すすぎステップをさらに含む、項1~15のいずれか一項に記載の方法。
[項17]
粘弾性液体が、溶媒中に分散された1種以上のカチオン性、両性、アニオン性又は非イオン性ポリマーを含む、項1~16のいずれか一項に記載の方法。
[項18]
溶媒が、水である、項17に記載の方法。
[項19]
粘弾性液体が、分散された高表面積の無機及び/又は有機材料を含有する、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項20]
分散された高表面積材料が、50~600m2/gの表面積を有する、項19に記載の方法。
[項21]
粘弾性液体が、無機及び/又は有機材料の分散された研磨粒子を含有する、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項22]
汚染物質がバイオフィルムであり、粘弾性液体がシリカを含有する、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
[項23]
シリカが、親水性フュームドシリカである、項22に記載の方法。
[項24]
シリカ含有量が、0.5~20重量%の範囲である、項22又は23に記載の方法。
[項25]
粘弾性液体が、分散剤を含有する、項1~24のいずれか一項に記載の方法。
[項26]
粘弾性液体が、1種以上の界面活性剤及び/又は乳化剤を含有する、項1~25のいずれか一項に記載の方法。
[項27]
粘弾性液体が、1種以上の無機及び/又は有機レオロジー調整剤を含有する、項1~26のいずれか一項に記載の方法。
[項28]
ポリマーが、カルボマー、クロスポリマー、アクリルポリマー、グアーガム又はそれらの混合物である、項17~27のいずれか一項に記載の方法。
[項29]
粘弾性液体が、0.1~40%の固形分を有する、項17~28のいずれか一項に記載の方法。
[項30]
ポリマーが、合成又は天然である、項17~29のいずれか一項に記載の方法。
[項31]
ポリマーが、ポリアクリレートクロスポリマー-6、カルボマー、又は両者の混合物である、項30に記載の方法。
[項32]
ポリマー含有量が、0.1~20重量%の範囲である、項17~31のいずれか一項に記載の方法。
[項33]
粘弾性液体が、0.1~99.9重量%の水を含む、項1~32のいずれか一項に記載の方法。
[項34]
低潤滑性を有する粘弾性液体。
[項35]
21℃で以下の特性:
140%ひずみ~300%ひずみの回転降伏点;
550Pa・s~2000Pa・sのピーク粘度;
250~700%ひずみの振動流動点; 及び
粘弾性液体の弾性流体力学的領域において最大値を有する摩擦係数μ
を有する、項34に記載の粘弾性液体。
[項36]
溶媒中に分散された1種以上のカチオン性、両性、アニオン性又は非イオン性ポリマーを含む、項34又は35に記載の粘弾性液体。
[項37]
溶媒が、水である、項36に記載の粘弾性液体。
[項38]
分散された高表面積の無機及び/又は有機材料を含有する、項34~37のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項39]
分散された高表面積材料が、50~600m2/gの表面積を有する、項38に記載の粘弾性液体。
[項40]
無機及び/又は有機材料の分散された研磨粒子を含有する、項34~39のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項41]
汚染物質がバイオフィルムであり、粘弾性液体がシリカを含有する、項34~40のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項42]
シリカが、親水性フュームドシリカである、項41に記載の粘弾性液体。
[項43]
シリカ含有量が、0.5~20重量%の範囲である、項41又は42に記載の粘弾性液体。
[項44]
分散剤を含有する、項34~43のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項45]
1種以上の界面活性剤及び/又は乳化剤を含有する、項34~44のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項46]
1種以上の無機及び/又は有機レオロジー調整剤を含有する、項34~45のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項47]
ポリマーが、カルボマー、クロスポリマー、アクリルポリマー、グアーガム又はそれらの混合物である、項36~46のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項48]
0.1~40%の固形分を有する、項36~47のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項49]
ポリマーが、合成又は天然である、項34~48のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項50]
ポリマーが、ポリアクリレートクロスポリマー-6、カルボマー、又は両者の混合物である、項49に記載の粘弾性液体。
[項51]
ポリマー含有量が、0.1~20重量%の範囲である、項34~50のいずれか一項に記載の粘弾性液体。
[項52]
0.1~99.9重量%の水を含む、項1~51のいずれか一項に記載の粘弾性液体。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14