(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】海中ヒューズアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01H 85/17 20060101AFI20240606BHJP
H01H 85/40 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01H85/17
H01H85/40
(21)【出願番号】P 2021529810
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019082408
(87)【国際公開番号】W WO2020109226
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウノネン,マルック
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0055227(US,A1)
【文献】特開平06-017780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0133422(US,A1)
【文献】実開昭52-052030(JP,U)
【文献】実開平04-131841(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 33/70 - 33/99
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 - 89/10
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
H02B 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中ヒューズアセンブリであって、
誘電性流体(80)で充填されるエンクロージャ(11)を備え、
前記エンクロージャ(11)は、互いに異なる第1の壁(15)、第2の壁(14)、及び第3の壁(20,30)を有し、
前記エンクロージャ(11)の
前記第3の壁(20,30)内には均等化開口部(22,32)が設けられており、前記エンクロージャ(11)は導電性材料からなり、
前記海中ヒューズアセンブリは、
前記均等化開口部(22,32)を液密に封止する可撓性要素(40)と、
前記エンクロージャ(11)の
前記第1の壁(15)内に配置されたリードスルー(70)を通して前記エンクロージャ(11)内に延在する第1導電体(61)と、
前記エンクロージャ(11)の前記第2の壁(14)の内面に取り付けられており、前記エンクロージャ(11)内に延在する第2導電体(62)と、
前記エンクロージャ(11)内において前記第1導電体(61)と前記第2導電体(62)との間に接続されるヒューズ(50)と
、
前記エンクロージャ(11)の外側に延びており、前記エンクロージャ(11)の前記第2の壁(14)の外面に取り付けられている第3導電体(63)をさらに備え、
導電経路が前記エンクロージャ(11)
、前記第2導電体(62)、及び前記ヒューズ(50)を介して前記第
1導電体(
61)と前記第3導電体(63)との間に形成され
る、海中ヒューズアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の壁(14)の前記外面に沿った方向において、前記第3導電体(63)は、前記第2導電体(62)と間隔を空けて配置されている、請求項1に記載の海中ヒューズアセンブリ。
【請求項3】
前記第1導電体(61)が前記エンクロージャ(11)内に通されている前記
第1の壁(15)は、前記第2導電体(62)が取り付けられている前記
第2の壁(14)と対向する、請求項2に記載の海中ヒューズアセンブリ。
【請求項4】
前記可撓性要素(40)が膜であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の海中ヒューズアセンブリ。
【請求項5】
前記膜(40)は、ゴム膜、ニトリルゴム膜、熱可塑性ポリウレタン膜、ポリエステルフィラメントを含む膜、ポリ塩化ビニルを含む膜、およびブチルゴム膜、を含む群から選択される、請求項4に記載の海中ヒューズアセンブリ。
【請求項6】
誘電性流体(160)が充填される圧力補償されたメインタンク(110)と、
前記メインタンク(110)内の前記誘電性流体(160)に浸漬された電気部品(100)と、
請求項1~5のいずれか1項に記載の海中ヒューズアセンブリ(10)とを備え、
前記海中ヒューズアセンブリ(10)は、前記メインタンク(110)内の前記誘電性流体(160)に浸漬されている、海中設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海中ヒューズアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
海中設備は、例えば、油およびガスの回収、分離、ブーストおよび輸送が海底において行われる現代の油およびガスの生産設備において使用される。これらのプロセスは、遠隔地から海中設備に伝送しなければならない大量の電力を必要とする。電力の必要性が高いと、電力損失を最小にするために、電力の伝達に高電圧を必要とすることがある。
【0003】
海中設備は、水中、たとえば海底で使用される1つまたは複数の電気装置および他の装置を備えてもよい。海中設備は、例えば、電力変圧器、電気モータ、スイッチギア、および周波数変換器を備えてもよい。海中設備は、制御システム、監視システム、およびプロセスシステムだけでなく、電力グリッドを必要とすることもある。
【0004】
海底機器を過電流または短絡から保護するために、ヒューズが使用されてもよい。ヒューズは、ヒューズを流れる電流が特定の予め定められた値を超えた場合に電気回路を遮断する。
【0005】
従来のヒューズは、ヒューズ本体と、ヒューズ本体内のヒューズ素子とを備えてもよい。ヒューズ本体は、セラミック、ガラス、プラスチック、ガラス繊維などからなってもよい。ヒューズ素子は、金属ストリップまたはワイヤであってもよく、ヒューズの2つの電気端子間に接続されてもよい。ヒューズ素子は、ヒューズ素子に流れる電流が予め定められた値を超えると、溶ける。これにより、ヒューズが一部を成している電気回路は、遮断される。
【0006】
国際公開第2012/116910号は、海中ヒューズアセンブリを開示している。海中ヒューズアセンブリは、加圧環境で作動するように適合される。海中ヒューズアセンブリは、誘電性液体で充填されるように適合されたエンクロージャと、圧力補償のための可撓性要素を含む圧力補償器と、第1の導電体および第2の導電体をそれぞれエンクロージャ内に導くためにエンクロージャの壁を各々通過する第1のペネトレータおよび第2のペネトレータと、エンクロージャ内に配置され、第1の導電体と第2の導電体との間に接続されたヒューズとを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、改善された海中ヒューズアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による海中ヒューズアセンブリは、請求項1において定義される。
海中ヒューズアセンブリは、誘電性流体が充填されるエンクロージャを備え、エンクロージャの壁内には均等化開口部が設けられており、エンクロージャは導電性材料からなる。海中ヒューズアセンブリはさらに、均等化開口部を液密に封止する可撓性要素と、エンクロージャの壁内に配置されたリードスルーを通してエンクロージャ内に延在する第1導電体と、エンクロージャ内に延在する第2導電体と、エンクロージャ内で第1導電体と第2導電体との間に接続されるヒューズとを備える。
【0009】
海中ヒューズアセンブリは、第2導電体がエンクロージャの壁の内面に取り付けられており、エンクロージャの外側に延びる第3導電体がエンクロージャの壁の外面に取り付けられており、これにより導電経路が第2導電体と第3導電体との間にエンクロージャを介して形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明の1つの利点は、本発明の海中ヒューズアセンブリにおいて、1つの導電体に対して1つのリードスルーのみが必要とされることである。海中ヒューズアセンブリのエンクロージャ内でヒューズに接続される2つの導電体のうちの1つのみが、エンクロージャの壁を通じて向けられる必要がある。
【0011】
導電経路は、第2導電体と第3導電体との間にエンクロージャを通って配置される。
以下において、本発明は、添付の図面を参照して、好ましい実施形態によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に従った海中ヒューズアセンブリの側面図である。
【
図2】
図1の海中ヒューズアセンブリの第1の底面図である。
【
図3】
図1の海中ヒューズアセンブリの第2の底面図である。
【
図4】海中ヒューズアセンブリのヒューズの側面図である。
【
図5】本発明に従った3相海中ヒューズアセンブリの側面図である。
【
図6】本発明に従った3相海中ヒューズアセンブリを備えた海中設備の側面図である。
【
図7】
図6の海中改訂設備の圧力補償器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に従った海中ヒューズアセンブリの側面図を示す。
海中ヒューズアセンブリ10は、底壁20、天壁25、前壁14、後壁15、および側壁16、17(
図2に示す)を有するエンクロージャ11を備えてもよい。エンクロージャ11は、平行六面体形状を有していてもよい。エンクロージャ11の底壁20は、前壁14および後壁15によって形成される外周を超えて外側に延びていてもよい。底壁20の外側部分21は、フランジを形成してもよい。底壁20内には、底壁20を通る通路を形成する均等化開口部22が設けられてもよい。嵌合フランジ30が、底壁20の底面に対してさらに位置決めされていてもよい。嵌合フランジ30は、底壁20と同じサイズであってもよい。嵌合フランジ30にも、エンクロージャ11の底壁20の均等化開口部22に対応する均等化開口部32が設けられていてもよい。圧力補償器40が、底壁20と嵌合フランジ30との間に設けられていてもよい。圧力補償器40は、エンクロージャ11の均等化開口部22を閉じていてもよい。圧力補償器40は、エンクロージャ11の内部と外部との間に液密シールを形成していてもよい。圧力補償器40は、底壁20と嵌合フランジ30との間に押し付けられていてもよい。圧力補償器40は、可撓性要素により形成されてもよい。可撓性要素は膜であってもよい。
【0014】
エンクロージャ11の後壁15には、リードスルー開口部29が設けられていてもよい。このリードスルー開口部29は、エンクロージャ11の外部からエンクロージャ11の内部への第1導電体61のための通路を提供してもよい。エンクロージャ11のリードスルー開口部29内には、リードスルー70が設けられていてもよい。リードスルー70は、液密シールが提供されるように、エンクロージャ11のリードスルー開口部29内に取り付けられていてもよい。第1導電体61は、リードスルー70を通ってエンクロージャ11の内部に案内されていれもよい。リードスルー70は、第1導電体61を囲み、第1導電体61の周囲に液密シールを提供するプラスチック材料または樹脂で作られていてもよい。
【0015】
第2導電体62がエンクロージャ11の内部に設けられていてもよい。第2導電体62の一端は、エンクロージャ11の前壁14の内面に取り付けられていてもよい。第3導電体62がエンクロージャ11の外側に設けられていてもよい。第3導電体63の一端は、エンクロージャ11の前壁14の外面に取り付けられていてもよい。エンクロージャ11は、導電性材料で作られてもよい。これにより、電気的接続が、エンクロージャ11を介して第2導電体62と第3導電体63との間に形成される。したがって、エンクロージャ11の前壁14に開口部を設ける必要がない。導電性のエンクロージャ11は、第2導電体62と第3導電体63とを電気的に接続している。第2導電体62は、エンクロージャ11の前壁14の外面に取り付けられ、第3導電体63は、エンクロージャ11の前壁14の内面に取り付けられる。第2導電体62および/又は第3導電体63は、エンクロージャ11に溶接によって取り付けられてもよい。別の可能性は、フランジをエンクロージャ11に溶接によって取り付け、第2導電体62および/または第3導電体63を各フランジに圧縮接続によって取り付けることである。この圧縮接続は、ボルトおよびナットによって実現されてもよい。
【0016】
ヒューズ50は、エンクロージャ11内に配置されていてもよい。ヒューズ50は、エンクロージャ11内において、第1導電体61と第2導電体62との間に電気的に接続されていてもよい。ヒューズ50の第1端は第1導電体61の内端に取り付けられていてもよく、ヒューズ50の反対の第2端は第2導電体62の内端に取り付けられていてもよい。ヒューズ50は、第1導電体61と第2導電体62とによって機械的に支持されていてもよい。ヒューズ50は、ねじおよび締結要素によって、またははんだ付けによって、導電体61,62の端部に取り付けられていてもよい。
【0017】
第1導電体61の外側端部および第3導電体63の外側端部は、外部の電気回路に接続されていてもよく、これによりヒューズ50は外部の電気回路の一部となる。ヒューズ50は、例えば、保護されるべき第1電気コンポーネントと、第1電気コンポーネントに電気エネルギーを供給する第2電気コンポーネントとの間に接続されていてもよい。第1電気コンポーネントは、例えば変圧器であってよく、第2電気コンポーネントは可変ドライブであってよい。ヒューズ50は、閾値電流よりも大きい電流がヒューズ50を通過した場合にトリガされるように適合されている。ヒューズ50のトリガは、ヒューズ50を通る電気経路が遮断することを意味する。ヒューズ50のトリガは、例えば、ヒューズ50内に設けられるヒューズ素子が溶融し、それによってヒューズ50を通る電気経路が遮断することを意味する。
【0018】
エンクロージャ11は、圧力補償器40により圧力補償されたエンクロージャ11である。圧力補償器40は、エンクロージャ11の底20内の第1の均等化開口部22の周りに液密シールを提供してもよい。圧力補償器40は、エンクロージャ11の内部とエンクロージャ11の外部との間に均圧を提供してもよい。この場合、エンクロージャ11の壁14,15,16,17,20,21は、高い差圧に耐える必要がないため、かなり薄くされ得る。高い差圧がないことにより、圧力補償器40および第1導電体61によるエンクロージャ11の開口22、29の封止がさらに容易になる。したがって、海中ヒューズアセンブリ10は比較的コンパクトかつ軽量に作成させ得る。
【0019】
エンクロージャ11は、誘電性流体80で充填されていてもよい。この場合、ヒューズ50は、誘電性流体80に浸漬されていてもよい。エンクロージャ11内の誘電性流体80は、エンクロージャ11の底20内の第1の均等化開口部22を介して圧力補償器40と直接接触している。圧力補償器40は、エンクロージャ11の容積を増加または減少させることによって、エンクロージャ11内の誘電性流体80の容積変動を補償するように構成される。一方、エンクロージャ11の外側の圧力は、嵌合フランジ30内の第2の均等化開口部32を介して圧力補償器40に直接作用する。
【0020】
エンクロージャ11は、導電性材料で作られていてもよい。導電性材料は、金属、例えばスチールであってもよい。電気絶縁層、例えば数ターンのクレープ紙が、エンクロージャ11の周囲に使用されていてもよい。しかしながら、エンクロージャ11上のそのような電気絶縁層は、エンクロージャ11の冷却を低減する断熱を形成することにもなり、したがって回避されるべきである。
【0021】
図2は、嵌合フランジが取り外された状態の
図1の海中ヒューズアセンブリの底面図である。
【0022】
この図は、エンクロージャ11の底20およびエンクロージャ11の底20内の第1の均等化開口部22を示す。図は、さらに点線でエンクロージャ11の前壁14、後壁15および側壁16、17を示している。前壁14、後壁15、および側壁16、17によって形成される外周を超えて外側に延びる底壁20の部分21は、フランジ部を形成してもよい。底壁20のフランジ部21には、底壁20のフランジ部21を貫通する第1締結開口部26が設けられていてもよい。したがって、底壁20のサイズは、前壁14、後壁15および側壁16、17によって制限されるプレートのサイズよりも大きい。
【0023】
図3は、海中ヒューズアセンブリの嵌合フランジの第2の底面図を示す。
この図は、エンクロージャ11の嵌合フランジ30と、エンクロージャ11の嵌合フランジ30の第2の均等化開口部32とを示している。嵌合フランジ30のフランジ部31には、嵌合フランジ30のフランジ部を貫通する第2締結開口部36が設けられていてもよい。嵌合フランジ30のサイズは、底壁20のサイズに対応していてもよい。嵌合フランジ30内の第2締結開口部36の位置は、エンクロージャ11の底壁20内の第1締結開口部26の位置に対応する。嵌合フランジ30の第2の均等化開口部32のサイズは、エンクロージャ11の底壁20の第1の均等化開口部22のサイズと同じであってもよい。
【0024】
嵌合フランジ30は、底20の第1締結開口部26および嵌合フランジ30の第2締結開口部36を貫通するボルトによって、エンクロージャ11の底壁20に取り付けられてもよい。
【0025】
図4は、海中ヒューズアセンブリ内のヒューズの側面図を示す。
ヒューズ50は、ヒューズハウジング51と、2つの端子53,54と、ヒューズ素子52とを備えていてもよい。ヒューズ素子52は、ヒューズハウジング51内に位置していてもよい。2つの端子53,54は、対向する壁を通ってハウジング51内に入っていてもよい。2つの端子53,54は、ヒューズ素子52を介して互いに電気的に接続されていてもよい。ヒューズアセンブリ10において、第1端子53は第1導電体61に接続されていてもよく、第2端子54は第2導電体62に接続されていてもよい。
【0026】
ヒューズハウジング51は液密である必要はなく、すなわち、ヒューズアセンブリ10のエンクロージャ11内の誘電性流体がヒューズハウジング51内に進入してもよい。これにより、ヒューズ50に損傷を与えることなく、ヒューズ50が加圧され得る。誘電性液体中でのヒューズ素子52の加熱および溶融は、ガスおよび燃焼生成物を生成する可能性がある。ヒューズハウジング51内の突然の容積増大は、ヒューズハウジング51の破裂につながる可能性がある。ヒューズ50はヒューズアセンブリ10のエンクロージャ11内に封入される、すなわち、ヒューズハウジング51の燃焼生成物および破片はヒューズアセンブリ10のエンクロージャ11内に留まり得る。ヒューズハウジング51の環境は汚染されない。
【0027】
ヒューズ素子52は、1つ以上の中実もしくは孔が開いた金属シート、または1つ以上のワイヤなどから形成されていてもよい。ヒューズハウジング51は、非導電性の材料、例えば、高硬度で耐熱性を有するセラミック材料から作られてもよい。ヒューズハウジング51は、さらに、誘電体、例えば砂、で充填されてもよい。
【0028】
図5は、本発明による3相海中ヒューズアセンブリの側面図を示す。
3相ヒューズアセンブリは、この図に示されるように、3つの別個の単相ヒューズアセンブリ10で構成され得る。
【0029】
図6は、本発明による3相海中ヒューズアセンブリを備えた海底設備の側面図を示す。
海中設備は、第2誘電性流体160が充填されたメインタンク110と、メインタンク110内の第2誘電性流体160に浸漬された3相変圧器100と、メインタンク110内の第2誘電性流体160に浸漬された3相ヒューズアセンブリとを備える。
【0030】
3相ヒューズアセンブリは、メインタンク110内に配置された3つの別個の単相ヒューズアセンブリ10を備える。各海中ヒューズアセンブリ10は、エンクロージャ11と、ヒューズ50と、第1導電体61と、第2導電体62と、第3導電体63とを備えていてもよい。海中ヒューズアセンブリ10の各々は、メインタンク110内の支持要素120上に支持されていてもよい。支持要素120は、非導電性材料で作られていてもよい。3相電源の各相は、メインタンク110の天壁に取り付けられたそれぞれの絶縁されたリードスルー130に接続されている。3相電源の各相は、さらにメインタンク10内においてケーブル140によってそれぞれの海中ヒューズアセンブリ10の第1導電体61に接続されている。3相海中変圧器100の各相は、ケーブル150によってそれぞれのヒューズアセンブリ10の第3導電体63に接続されている。第2誘電性流体160は、ヒューズアセンブリ10のエンクロージャ11内の誘電性流体80と同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0031】
電源は、この図においては、メインタンク110の天板を介して接続されている。しかしながら、電源は、代わりに、メインタンク110内のサイドプレートを介して接続されてもよい。
【0032】
変圧器100は、メインタンク110内に電気部品を形成する。電気部品は、電力変圧器の代わりに、例えば1つ以上の電気モータ、1つ以上のスイッチギア、または1つ以上の周波数変換器により構成され得る。海中設備は、制御システム、監視システム、およびプロセスシステムだけでなく、電力グリッドをも備え得る。
【0033】
海中ヒューズアセンブリ10は、電気部品とメインタンク110内の電源との間に接続されてもよい。海中ヒューズアセンブリ10は、電気部品の過電流保護を形成する。
【0034】
1つ以上のプレスボード層を含む絶縁ボードが、隣接する海中ヒューズアセンブリ10の複数のエンクロージャ11間、および1つのエンクロージャ11からメインタンク110内の隣接する複数の接地部分まで、使用されてもよい。これは、複数のエンクロージャ11間および1つのエンクロージャ11と隣接する複数の接地部分との間のオイルギャップを複数の領域に分割することによって、ヒューズアセンブリ10の隣接するエンクロージャ11間の電気的絶縁を向上させる。
【0035】
図7は、
図6の海中設置の圧力補償器の側面図を示す。
メインタンク110、変圧器100、および第2誘電性流体160が、海中設備のものとして示されている。海中ヒューズアセンブリ10は、明確にするために、図示されていない。第2誘電性流体160は変圧器油であってもよい。メインタンク110は、トランスオイル160で充填されていてもよい。
【0036】
圧力補償器200は、概して円筒形の形態を有していてもよい。圧力補償器200は、固定天板220および可動底板230を備えていてもよい。底板230は、天板220に取り付けられたガイド部材240に移動可能に支持されていてもよい。この場合、底板230は、ガイド部材240に沿ったS1に移動してもよい。
【0037】
圧力補償器200は、固定天板220と可動底板230との間に延びる第1ベローズ部材250をさらに備えていてもよい。第1ベローズチャンバ210が、天板220、底板230、および第1ベローズ部材250によって形成されていてもよい。第1ベローズ部材250は、天板220と底板230との間に可撓性部材を形成する。第1ベローズ部材250は、底板230がいずれかの方向S1に、すなわち天板220から離れるようにまたは天板220に向かって、移動するとき、拡張および/または収縮する。第1ベローズ部材250は、実質的に円筒形の形態を有していてもよい。
【0038】
圧力補償器200は、固定天板220と可動底板230との間に延びる第2ベローズ部材260をさらに備えていてもよい。第1ベローズ部材250は、第2ベローズ部材260によって囲まれている。第2ベローズチャンバ270が第1ベローズ部材250と第2ベローズ部材260との間に形成されている。第2ベローズ部材260は、第1ベローズ部材250を周囲の海水から分離する。第2ベローズチャンバ270は、中間媒体で充填されてもよい。第2ベローズ部材260は、実質的に円筒形の形態を有していてもよい。
【0039】
第1ベローズチャンバ210は、パイプシステム170を介してメインタンク110に接続されてもよい。この場合、圧力補償器200は、メインタンク110内の第2誘電性流体160の容積変動を補償し得る。メインタンク110内の第2誘電性流体160の容積が増加すると、第2誘電性流体160の一部は、メインタンク110からパイプシステム170を経て第1ベローズチャンバ210に流れ得る。これにより底板230が天板220から遠ざかるように移動して、第1ベローズチャンバ210の容積が増加するであろう。メインタンク110内の第2誘電性流体160の容積が減少すると、第2誘電性流体160の一部は、第1ベローズチャンバ210からパイプシステム170を経てメインタンク110に流れ得る。これにより、底板230が天板220に向かって移動して、第1ベローズチャンバ210の容積が減少するであろう。したがって、圧力補償器200は、メインタンク110の容積変動を補償し得る。
【0040】
第1ベローズ部材250は、金属製のベローズ構造から形成されていてもよい。第2ベローズ部材260は、ゴムまたはゴムのような材料から形成されていてもよい。ゴムのような材料は、適切なプラスチック材料またはプラスチック材料とゴム材料との混合物であってもよい。
【0041】
第2ベローズチャンバ270内の小さな容積変化も補償されなければならない。これは、第2ベローズ部材260が半径方向にも拡張可能なように適合されるように、あるいは第2ベローズチャンバ270に接続された小さな追加の圧力補償器を使用することにより、実現されあてもよい。
【0042】
メインタンク110は、任意の種類の圧力補償器、すなわち図に示される圧力補償器のみではない、によって圧力補償されてもよい。圧力補償器はエンクロージャ11と同様に膜でもよいし、単一もしくは二重のベローズ型圧力補償器またはボトル型圧力補償器が用いられてもよい。二重ベローズ型圧力補償器は、例えば欧州特許第2169690号に開示されている。
【0043】
エンクロージャ11は、図において平行六面体として形成されている。これは有利な実施形態であるが、エンクロージャ11は、任意の形状を有することができ、例えば円筒形、台形、または多角形とすることができる。
【0044】
均等化開口部22、32は、図において、エンクロージャ11の底壁20、30内に位置している。これは有利な実施形態であるが、均等化開口部22、32は、当然に、エンクロージャ11の任意の壁に配置されてもよい。第3導電体63は、図において、エンクロージャ11の前壁14に取り付けられている。これは有利な実施形態であるが、第3導電体63は、当然に、エンクロージャ11内の任意の壁に取り付けられ得る。第1導電体61および第2導電体62は、エンクロージャ11の対向する壁14,15からヒューズ50まで延びている。これは有利な実施形態であるが、第1導電体61および第2導電体62は、任意の壁からヒューズ50まで延びることができる。
【0045】
海中ヒューズアセンブリは、加圧環境、すなわち、通常の空気圧1バールよりもかなり高い圧力を有する環境で動作するように適合されている。海中ヒューズアセンブリは、例えば海底に位置決めされてもよい。海中ヒューズアセンブリは、100~3000mの範囲の水深で使用されてもよく、それによって、有効な圧力(prevailing pressure)が10~300バールの範囲であってもよい。海中水温は、典型的には、深さ1000mで5~6°C、深さ3000mで0~3°Cである。
【0046】
海中ヒューズアセンブリを流れる電流は、100~1000アンペア(RMS)の範囲内であってもよい。海中ヒューズアセンブリに作用する電圧は、100~50000ボルト(RMS)の範囲内であってもよい。
【0047】
エンクロージャ内の誘電性流体は、誘電性液体、例えば誘電性油であってもよい。誘電体油は、トランス油または絶縁油であってもよい。トランス油または絶縁油は、高温で安定でありかつ優れた電気絶縁性を有する油である。これは、油充填変圧器、いくつかのタイプの高電圧コンデンサ、蛍光ランプバラスト、ならびにいくつかのタイプの高電圧スイッチおよび回路遮断器に使用され得る。トランス油または絶縁油の機能は、絶縁、コロナ放電およびアーク放電の抑制、ならびに冷却剤としての役割を果たすことである。
【0048】
エンクロージャ11は、誘電性流体80で充填されている。エンクロージャ11の外側にて有効な圧力は、エンクロージャ11内の誘電性流体80の圧力に圧力補償器40を介して作用する。したがって、エンクロージャ11内の誘電性流体80の圧力は、エンクロージャ11の外側にて有効な圧力に従う。したがって、ほぼゼロの差圧がエンクロージャ11の内側と外側との間で維持され得る。
【0049】
膜40は、ゴム膜、ニトリルゴム膜、熱可塑性ポリウレタン膜、ポリエステルフィラメントを含む膜、ポリ塩化ビニルを含む膜、およびブチルゴムを含む膜、を含む群から選択されていてもよい。
【0050】
技術が進歩するにつれて、本発明の概念が様々な方法で実施され得ることは、当業者には明白であろう。本発明およびその実施形態は、上述した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変形が可能である。