(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電動車両に電力を供給し制御する装置
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240606BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240606BHJP
B60L 58/20 20190101ALI20240606BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/20
H02J7/00 P
H02J7/00 302C
H02J7/00 S
(21)【出願番号】P 2021547929
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2019079686
(87)【国際公開番号】W WO2020089305
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102018000009968
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521180854
【氏名又は名称】ピアッジョ アンド シー. エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera(PI), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】カルミニャーニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】カンティーニ,ジュリー
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/071814(WO,A1)
【文献】特開2000-312444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B60W 10/00-20/50
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に電力を供給し制御する装置(1)であって、
けん引モーター(2)と、
前記
電動車両および前記けん引モーター(2)の制御システム(3)と
、
前記
電動車両の駆動時に前記けん引モーター(2)および前記制御システム(3)に電力を供給する第1のメインバッテリー(4)と、
前記
電動車両の前記けん引モーター(2)および前記制御システム(3)に前記第1のメインバッテリー(4)から電力が供給されるまえの始動段階において前記制御システム(3)に電力を供給するように用いられる第2のサービスバッテリー(5)と、
第1の始動手段(6)と、
第2の非常始動手段(7)とを備え
、
前記制御システム(3)は、
前記
電動車両および前記けん引モーター(2)の制御に係る第1の制御ユニット(10)と、
前記第2の非常始動手段(7)に動作的に接続された第2の制御ユニット(20)とを備え、
前記第1の始動手段(6)が第1の始動スイッチを備え、前記第2の非常始動手段(7)が第2の非常始動スイッチを備え、
前記第1の始動手段(6)は、前記第2のサービスバッテリー(5)と、前記
電動車両および前記けん引モーター(2)の前記第1の制御ユニット(10)とに動作的に接続され、
前記第1の始動スイッチがオンされると前記第2のサービスバッテリー(5)から電力を供給して前記第1の制御ユニット(10)を動作させることにより前記
電動車両を始動可能な状態にさせ、
前記第2のサービスバッテリー(5)が前記電動車両を始動
させられる程まで十分に充電されていない非常始動状態において
前記第2の非常始動スイッチがオンされると
前記第2の制御ユニット(20)は前記第1のメインバッテリー(4)から
前記第1の制御ユニット(10)へ電力を供給し
、前記電動車両を始動して前記第1の制御ユニット(10)を動作
可能な状態にさせることを特徴とする
装置(1)。
【請求項2】
前記第1のメインバッテリー(4)の前記第2の制御ユニット(20)によって制御され、前記第1のメインバッテリー(4)を前記
電動車両および前記けん引モーター(2)の第1の制御ユニット(10)に接続する第3のスイッチング手段(21)と、
前記電動車両およびけん引モーター(2)の前記第1の制御ユニット(10)によって制御され、前記第1のメインバッテリー(4)の前記第2の制御ユニット(20)に動作可能に接続され、前記第2の制御ユニット(20)に前記第3のスイッチング手段(21)の作動/非作動のための信号を送信するように用いられる第4のスイッチング手段(11)と、
を備えることを特徴とする請求項
1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記第2の非常始動手段(7)は、前記第1のメインバッテリー(4)の前記第2の制御ユニット(20)に、前記第3のスイッチング手段(21)を活性化/非活性化する信号を送るように用いられることを特徴とする請求項
2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記第3のスイッチング手段(21)は、前記第1のメインバッテリー(4)の内部スイッチを備えることを特徴とする請求項
2または
3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記第1のメインバッテリー(4)および前記第2のサービスバッテリー(5)は、異なる電圧レベルで動作することを特徴とする請求項1~
4の何れかに記載の装置(1)。
【請求項6】
前記
電動車両および前記けん引モーター(2)の前記第1の制御ユニット(10)は、前記第1のメインバッテリー(4)と前記第2のサービスバッテリー(5)との間に置かれる電圧変換手段(12)を備えることを特徴とする請求項
5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記
電動車両および前記けん引モーター(2)の前記第1の制御ユニット(10)は、前記けん引モーター(2)の第1の制御手段(13)および前記
電動車両の第2の制御手段(14)を備えることを特徴とする請求項1~
6の何れかに記載の装置(1)。
【請求項8】
前記けん引モーター(2)の前記第1の制御手段(13)は、前記けん引モーター(2)を駆動するために前記第1のメインバッテリー(4)と、前記けん引モーター(2)とに動作的に接続されていることを特徴とする請求項
7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記
電動車両の第2の制御手段(14)は、前記非常始動状態でない通常状態で
電動車両を始動するために前記第2のサービスバッテリー(5)に動作的に接続され、前記非常始動状態で
電動車両を始動するために前記第1のメインバッテリー(4)に動作的に接続されていることを特徴とする請求項
7または
8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記第1の始動スイッチ(6)および前記第2の非常始動手段(7)は、ユーザーによって操作されることを特徴とする請求項2~5の何れかに記載の装置(1)。
【請求項11】
前記第2の非常始動手段(7)は、プッシュボタンの手段によって作動させることができることを特徴とする請求項
1~
4、
10の何れかに記載の装置(1)。
【請求項12】
請求項1~
11の何れかに記載の装置(1)を備えることを特徴とするハイブリッドタイプまたは完全電動タイプの電動車両。
【請求項13】
請求項1~
11の何れかに記載の装置(1)を備えることを特徴とする電動バイク。
【請求項14】
請求項
10または
11に記載の装置(1)とサドルとを備え、前記第2の非常始動手段(7)は、サドル下の区画に配置されていることを特徴とする電動バイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、改善された信頼性特性を有する電動車両、特に電動のオートバイに電力を供給し制御する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下の説明では、適用分野を限定することを望むことなく、主に電動のオートバイまたはモペット(原動機付自転車)に言及する。さらに、以下の説明では、オートバイとモペットという用語は同等のものと考えられたい。
【0003】
モーターの使用は、1つまたは複数の内燃機関が1つまたは複数のモーターによって補助されるハイブリッドタイプのオートバイと、モーターのみによって駆動される完全な電動オートバイの両方で知られている。
【0004】
既知のタイプの典型的な実施形態では、電動のオートバイは、好ましくはモーターを駆動するエネルギーを供給する高電圧のメインバッテリーと、オートバイの多くの電気・電子機器にエネルギーを供給する低電圧のサービスバッテリーを備えている。このタイプのソリューションでは、さらに通常、メインバッテリーによって生成された高圧電流を低電圧サービスバッテリーに電力を供給する低圧電流に変換するDC-DCコンバーターが提供される。
【0005】
サービスバッテリーの役割の1つは、オートバイの始動時にシステムにエネルギーを供給することである。実際には、始動時には、ユーザーがスイッチ(通常、車両のイグニッションキーまたはプッシュボタンで操作)を使って、サービスバッテリーをVCU(Vehicle Control Unit)に接続する。VCUは、BMS(Battery Management System)を介してメインバッテリーを起動し、けん引モーターを駆動するとともに、DC-DCコンバーターを介してサービスバッテリーの充電を維持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このソリューションは、けん引モーターやオートバイのさまざまな電子機器・電気機器への電力供給を最適に管理することができるが、いくつかの欠点がある。その中でも、サービスバッテリーがあがったり故障したりしたときに起こる欠点は、ユーザーにとって特に深刻である。この場合、高圧メインバッテリーが十分に充電されていても、サービスバッテリーからVCUの初期エネルギーが供給されなければ、オートバイを始動することができない。
【0007】
この問題を解決するために、さまざまなソリューションが提案されてきた。しかし、これらのソリューションには、特に車両の始動を保証する回路が複雑であることや、提案されたシステムの信頼性が十分ではないことなど、さまざまな欠点がある。
【0008】
したがって、サービスバッテリーが十分に充電されていない状態で車両を始動できないことに起因する既知のタイプの車両の問題を克服できる、改善された特性を持つ電動車両、特にオートバイが望まれる。
【0009】
この発明の1つの目的は、電動車両、特にオートバイに電力を供給し、制御する装置を提供することであり、サービスバッテリーが十分に充電されていない場合にも車両を始動することが可能である。
【0010】
更なる目的は、サービスバッテリーが十分に充電されていないときにも車両を始動させることができ、車両が始動された後にはサービスバッテリーの再充電を可能にすることである。
【0011】
この発明のさらなる目的は、サービスバッテリーが十分に充電されずに車両の始動ができない場合に、非常始動手段を備えた電動車両の電源および制御装置を提供することである。
【0012】
この発明のさらなる目的は、比較的簡単な回路手段で製造することができる電動車両の電源供給および制御の装置を提供することである。
【0013】
この発明のさらなる目的は、競争力のあるコストで製造することが容易な電動車両の電源供給および制御の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の上述およびさらなる目的と利点は、以下の説明で示されるように、けん引モーターと、車両およびけん引モーターの制御システムとを備えた、電動車両に電力を供給し制御する装置によって達成される。前記装置は、前記けん引モーターおよび前記制御システムに電力を供給する第1のメインバッテリーと、前記車両の始動段階において前記制御システムに電力を供給するように用いられる第2のサービスバッテリーと、前記車両の第1の始動手段と、前記車両の第2の非常始動手段とを備える。この発明による車両は、前記制御システムが、前記車両および前記けん引モーターの第1の制御ユニットと、前記第1のメインバッテリーの第2の制御ユニットとを備え、前記第1の始動手段は、前記第2のサービスバッテリーと、前記車両および前記けん引モーターの前記第1の制御ユニットとに動作的に接続され、通常状態では前記第2のサービスバッテリーによって前記第1の制御ユニットに電力を供給し、前記第2の非常始動手段は、前記第2の制御ユニットに動作的に接続されて、非常始動状態では前記第1のメインバッテリーによって前記第1の制御ユニットに電力を供給することを特徴とする。
【0015】
さらなる態様では、この発明は、明細書および特許請求の範囲に記載されたタイプの装置を備える電動車両、特に電動モペットに関する。
【発明の効果】
【0016】
このようにして、以下でよりよく説明するように、第2のサービスバッテリーが十分に充電されていない場合に、第2の非常始動手段によって第2の制御ユニットを作動させ、それによって第1のメインバッテリーによる第1の制御ユニットへの電力供給を可能にするというような方法で、車両の始動が可能になる。第2の制御ユニットは、実際には第1のメインバッテリーの制御ユニット(BMS)からなる。第1の制御ユニットは、車両制御ユニット(VCU)を備える。
【0017】
この発明の目的のために、用語「非常始動条件」は、第2のサービスバッテリーが車両の始動を可能とするために十分な充電を提供されない条件を意味する。
【0018】
さらに、「バッテリー」という用語は、再充電可能で、接続された回路に電気エネルギーを供給できる任意の電気エネルギー貯蔵装置を意味する。
【0019】
電動車両」という用語は、少なくとも1つのけん引モーターを備えたあらゆる車両を意味し、したがって、完全な電気けん引手段を備えた車両とハイブリッドけん引手段を備えた車両とが含まれる。
【0020】
最後に、この発明の目的のために、「けん引モーター」という用語は、車両の被駆動輪に駆動トルクを提供する「モーター」を示したいと考えている。
【0021】
この発明による、電動車両に電力を供給し制御する装置の典型的な実施形態では、前記第1の始動手段は、第1の始動スイッチからなり、前記第2の非常始動手段は、非常回路に配置された第2の非常始動スイッチからなる。
【0022】
通常、前記第1および第2のスイッチは、ユーザーによって操作することができ、典型的には、それぞれイグニッションキーまたはイグニッションプッシュボタンおよび非常始動プッシュボタンで構成することができる。
【0023】
さらに詳細には、この発明による実施形態では、電動車両に電力を供給し制御する装置は、好ましくは、前記第1のメインバッテリーの前記第2の制御ユニットによって制御され、前記第1のメインバッテリーを前記車両の第1の制御ユニットおよび前記けん引モーターに接続するようにする第3のスイッチング手段を備えていてもよい。さらに、電動車両に電力を供給し制御する装置は、好ましくは、車両およびけん引モーターの前記第1の制御ユニットによって制御され、前記第1のメインバッテリーの前記第2の制御ユニットに動作可能に接続され、前記第3のスイッチング手段の活性化/非活性化のための信号を前記第2の制御ユニットに送信するようにする第4のスイッチング手段を含むことができる。
【0024】
実際には、第3のスイッチング手段は、メインバッテリーの制御ユニット(BMS)によって制御されるスイッチ(メインスイッチ)で構成することができ、これにより、車両の制御システムおよびけん引モーターの電源を、第1のメインバッテリーの電圧に電気的に接続することができる。
【0025】
一方、第4のスイッチング手段は、車両制御ユニット(VCU)によって制御されるさらなるスイッチ(イグニッションスイッチ)で構成することができ、このスイッチが閉じられたことがBMSによって検出され、その結果、メインスイッチが閉じられる。
【0026】
したがって、通常の状態では、VCUはイグニッションキーによって起動され、起動されたことでイグニッションスイッチが閉じられたとわかる。BMSは、イグニッションスイッチが閉じたことを検出してメインスイッチを作動させ、メインバッテリーを介して車両の制御システムとけん引モーターの電源回路を閉じる。
【0027】
この発明による、電動車両に電力を供給し制御する装置の一実施形態では、前記第2の非常始動スイッチは、前記第1のメインバッテリーの前記第2の制御ユニットに、前記第3のスイッチング手段の活性化/非活性化のための信号を送るように用いられる。
【0028】
実際には、非常始動状態において、ユーザーは、例えばプッシュボタンによって、第2 の非常始動スイッチを操作して、これを閉じる。そして、BMSは、第2の非常始動スイッチが閉じたことを検出してメインスイッチを作動させ、メインバッテリーによって車両およびモーター制御システムに電力を供給する回路を閉じる動作を引き起こす。
【0029】
この発明による電動車両に電力を供給し制御する装置の一実施形態では、前記第3のスイッチング手段は、好ましくは前記第1のメインバッテリーの内部スイッチで構成することができ、これにより回路の配置を簡素化することができる。
【0030】
通常、前記第1のメインバッテリーおよび前記第2のサービスバッテリーは、異なる電圧レベルで動作し、通常、前記第1のメインバッテリーは、前記第2のサービスバッテリーよりも高い電圧レベルで動作する。典型的な動作値は、例えば、第1のメインバッテリーが48V、第2のサービスバッテリーが12Vとすることができる。
【0031】
この場合、前記車両および前記けん引モーターの前記第1の制御ユニットは、好ましくは、前記第1のメインバッテリーと前記第2のサービスバッテリーとの間に置かれる電圧変換手段を備える。
【0032】
この発明による電動車両の電源供給および制御のための装置の特に好ましい実施形態では、前記車両および前記けん引モーターの第1の制御ユニットは、好ましくは、前記けん引モーターの制御およびパワーエレクトロニクスからなるモーターの第1の制御手段(MCU)と、車両制御エレクトロニクスからなる車両の第2の制御手段とを備える。
【0033】
実際、この実施形態では、けん引モーターの第1の制御手段は、第1のメインバッテリーと、被駆動輪を駆動するけん引モーターとに動作可能に接続される。
【0034】
さらに、第2の車両制御手段(VCU)は、通常状態で車両を始動するために前記第2 のサービスバッテリーに動作的に接続され、非常状態で車両を始動するために前記第1のメインバッテリーに動作的に接続されている。言い換えれば、VCUは、以下の詳細な説明でより良く説明されるように、通常状態での始動段階では、好ましくは第2のサービスバッテリーによって電力供給され、一方、非常状態での始動段階では、第1のメインバッテリーによって電力供給されることが可能である。
【0035】
さらなる態様では、この発明は、記載および請求項に記載の給電および制御装置を備える電動またはハイブリッドけん引車両にも関する。
【0036】
特に、この発明の車両は、好ましくは、電動モペットで構成することができる。この場合、非常スイッチは、好ましくは、例えばモペットのサドル下の区画に配置されたプッシュボタン手段を介してユーザーが操作することができる。
【0037】
この発明のさらなる特徴および利点は、添付の図に限定的でない例として示されたいくつかの実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1は、この発明による、
電動車両に電力を供給し、制御
する装置の一般的な実施形態の図である。
図2は、この発明による
電動車両に電力を供給し、制御
する装置の第1の特定の実施形態の図である。
図3は、この発明による
電動車両に電力を供給し、制御
する装置の第2の特定の実施形態のスキームである。
図4は、この発明による
電動車両に電力を供給し、制御
する装置の第3の特定の実施形態のスキームである。
図5は、この発明による
電動車両に電力を供給し、制御
する装置の第4の特定の実施形態のスキームである。
図6は、この発明による
電動車両の電源供給および制御
の装置の第5の特定の実施形態のスキームである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
添付の図を参照して、より一般的な実施形態では、この発明の装置1は、けん引モーター2と、車両およびけん引モーター2の制御システム3とを備える電動車両に電力を供給し制御するように構成されている。けん引モーター2は、車両の被駆動輪に駆動トルクを提供する。
【0040】
装置1は、けん引モーター2および制御システム3に電力を供給するように構成された第1のメインバッテリー4と、車両の点火段階において制御システム3に電力を供給するように構成された第2のサービスバッテリー5とを備えている。
【0041】
装置1はさらに、例えばイグニッションキーまたはイグニッションプッシュボタンによってユーザーが操作できる第1のスイッチ6からなる車両の第1の始動手段6と、例えば非常始動プッシュボタンによってユーザーが操作できる第2のスイッチ7からなり非常回路71に配置された車両の第2の非常始動手段7とを備える。
【0042】
この発明による装置1の特別な特徴の1つは、前記制御システム3が、車両およびけん引モーター2の第1の制御ユニット10と、第1のメインバッテリー4の第2の制御ユニット20とから構成されていることにある。
【0043】
物理的には、車両の第1の制御ユニット10と、第1のメインバッテリー4の第2の制御ユニット20とは、同一の制御システム3(
図1)に統合することができる。あるいは、第2の制御ユニット20は、物理的な面で好ましくは、第1のメインバッテリー4の制御システム31に統合することができる(
図2~6)。ひいては、車両およびけん引モーター2の制御システム3と、第1のメインバッテリー4の制御システム31とは、物理的に全体として一体化されてもよく、または部分的に一体化されてもよく(
図2、4、5)、あるいは物理的に分離されてもよい(
図3、6)。
【0044】
この発明による装置1の別の特有の特徴は、第1の始動スイッチ6が、それが閉じられている(イグニッションキーがオンに設定されている)ときに、第2のサービスバッテリー5によって第1の制御ユニット10に電力が供給され、車両の始動を可能にするように、前記第2のサービスバッテリー5と、車両およびけん引モーター2の前記第1の制御ユニット10とに動作的に接続されていることによって与えられる。
【0045】
以下でよりよく説明するように、第2の非常始動スイッチ7は、非常時、すなわち第2 のサービスバッテリー5が車両の始動を可能にするのに十分な充電量を有していない場合に、第1のメインバッテリー4によって第1の制御ユニット10に電力供給できるように、第2の制御ユニット20に動作可能に接続されている。
【0046】
図4~6を参照すると、好ましい実施形態では、
電動車両に電力を供給
し制御
する装置1は、第1のメインバッテリー4の第2の制御ユニット20によって制御され、その第1のメインバッテリー4を車両の第1の制御ユニット10およびけん引モーター2に接続するように構成された第3のスイッチング手段21を備える。
【0047】
装置1は、車両およびけん引モーター2の第1の制御ユニット10によって制御され、前記第1のメインバッテリー4の前記第2の制御ユニット20に動作可能に接続されている第4のスイッチング手段11をさらに備える。以下でより詳しく説明するように、第4 のスイッチング手段11は、前記第3のスイッチング手段21の活性化/非活性化のための信号を前記第2の制御ユニット20に送信するように構成されている。
【0048】
この発明の装置の一実施形態では、第3のスイッチング手段21は、メインバッテリー4のBMS20によって制御されるスイッチ21(メインスイッチ)で構成されており、車両の制御システム3およびけん引モーター2の電源を第1のメインバッテリー4の電圧に電気的に接続することができる。一方、第4のスイッチング手段11は、車両制御ユニット(VCU)によって制御されるさらなるスイッチ11(イグニッションスイッチ)で構成されており、スイッチ11を閉じたことがBMS20によって検出されると、BMS20は結果的にメインスイッチ21を閉じさせ、通常の状態では車両を始動させる。
【0049】
一方、非常始動時には、第2の非常始動スイッチ7は、前記第1のメインバッテリー4の前記第2の制御ユニット20に、前記第3のスイッチング手段21の作動/非作動の信号を送信するように構成されている。そして、ユーザーは、例えばプッシュボタンによって、第2の非常始動スイッチ7を作動させ、それを閉じさせる。そして、BMS20は、非常回路71が閉じたことを検出し、メインスイッチ21を作動させて、メインバッテリー4 による車両の制御システム3およびけん引モーター2の電源回路を閉じさせる。
【0050】
現実的には、メインスイッチ21は、好ましくは、前記第1のメインバッテリー4の内部スイッチで構成することができる。
【0051】
前述したように、この発明による電動車両を給電および制御する装置1では、メイン・トラクション(けん引)・バッテリー4および第2のサービスバッテリー5は、異なる電圧レベルで動作し、例えばそれぞれ48Vおよび12Vの電圧で動作する。
【0052】
図5および
図6を参照すると、この発明の装置1の実施形態では、車両およびけん引モーター2の第1の制御ユニット10は、前記第1のメインバッテリー4と前記第2のサービスバッテリー5との間に
置かれた電圧変換手段12(実際には、DC-DCコンバーター)を備える。
【0053】
このようにして、2つのバッテリー4および5の間に動作可能なインターフェースを生成することができ、特に、メインバッテリー4を用いてサービスバッテリー5を充電することができる。
【0054】
再び
図5および
図6を参照すると、この発明の装置1の一実施形態では、車両およびけん引モーター2の前記第1の制御ユニット10は、モーターの第1の制御手段13(典型的にはモーター制御ユニット-MCU)と、車両の第2の制御手段14(車両制御ユニット-VCU)とを備える。
【0055】
典型的には、けん引モーター2のMCU13は、そのけん引モーター2の駆動を可能にするように、第1のメインバッテリー4とそのけん引モーター2とに動作的に接続されている。
【0056】
さらに、車両のVCU14は、典型的には、通常の状態で車両を始動させるために前記第2のサービスバッテリー5に動作可能に接続され、非常状態で車両を始動できるように前記第1のメインバッテリー4に動作可能に接続される。
【0057】
実際には、通常の運転時には、車両の始動手順は次のようになる。
【0058】
ユーザーは、例えばキースイッチをオン位置にすることで、第1の始動手段6を操作する。VCU14は、サービスバッテリー5から電力を供給され、主にけん引用のメインバッテリー4のイグニッションスイッチ11を閉じる指令を出す。
【0059】
BMS20は、イグニッションスイッチ11が閉じたことを検出し、メインスイッチ21を作動させ、車両の制御システム3およびけん引モーター2の電源をメインバッテリー4に接続する。電源が供給されると、車両およびけん引モーター2の制御システム3は、DC-DCコンバーター12によってサービスバッテリー5の充電を維持し、MCU13によってけん引モーター2を駆動することができる。
【0060】
サービスバッテリー5があがった場合、VCU14に電源を供給して標準的な点火手順を進めることはできず、非常始動スイッチ7によって非常始動手順を採用しなければならない。非常始動の手順は以下の通りである。
【0061】
ユーザーは、キースイッチをオンにするなどして、第1の始動手段6を操作する。サービスバッテリー5があがっているため、VCU14に電源が供給されず、メイン・けん引・バッテリー4のイグニッションスイッチ11を閉じる指令を出すことができない。
【0062】
このとき、ユーザーは非常始動スイッチ7を操作(例えばプッシュボタン)して、非常回路71を閉じる。BMS20は、非常回路71が閉じたことを検出して、車両の制御システム3およびけん引モーター2の電源をメインバッテリー4に接続するメインスイッチ21 を作動させる。
【0063】
車両およびけん引モーター2の制御システム3は、いったん電力を供給されると、VC U14に電力を供給し、DC-DCコンバーター12によってサービスバッテリー5を充電することができる。そして、VCU14は、メインバッテリー4のイグニッションスイッチ11を閉じることを指令することができる。
【0064】
この時点で、ユーザーは、非常始動スイッチ7を作動させるプッシュボタンを離すことができる。この時点で、車両は始動し、通常の動作モードになっており、車両の制御システム3とけん引モーター2は、DC-DCコンバーター12によってサービスバッテリー5の充電を継続し、同時にMCU13によってけん引モーター2の駆動を開始することができる。
【0065】
この発明による電動車両、特にオートバイの電源供給および制御のための装置が、予め定義された目的を達成することは、実際に見てきたとおりである。
【0066】
この発明の電源供給および制御装置を使用すると、実際に、サービスバッテリーが十分に充電されていない場合にも車両を始動させることができる。
【0067】
さらに、車両が始動した後、この発明の電力供給および制御装置は、サービスバッテリーの再充電を可能にする。
【0068】
これまでの説明および添付の図から分かるように、この発明の電源および制御装置は、比較的簡単な回路手段で製造することができる。
【0069】
さらに、車両が電動のオートバイである場合、この発明の電源・制御装置は、メインバッテリーの近くに配置され、所有者/ユーザー以外は自由にアクセスできないように保護された区画、例えば前記二輪車のサドル下の区画に収容されたプッシュボタン操作システムからなることが好ましい。
【0070】
これまでの説明に基づいて、他の特性、修正または改良が可能であり、当業者には明らかである。したがって、その特性、修正および改良は、この発明の一部とみなされるべきである。実際には、要件と技術の状態に応じて、偶発的な寸法と形状に加えて、任意の材料を使用することができる。