(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/69 20240101AFI20240606BHJP
【FI】
G05D1/69
(21)【出願番号】P 2022041725
(22)【出願日】2022-03-16
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼尾 健司
(72)【発明者】
【氏名】西面 敦義
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-174386(JP,A)
【文献】特開2021-073730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的位置までの経路を移動中の移動体から、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、
前記障害物情報を取得したら、前記移動体用の経路として、前記目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定するステップと、
を含
み、
前記更新経路を設定するステップにおいては、前記障害物の位置に対して所定距離内にある近傍位置を、他の移動体が通行できない位置として設定し、前記他の移動体の移動の邪魔にならない位置を、前記更新位置として設定する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記移動体を、前記更新経路に従って移動させるステップを更に含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記更新経路を設定するステップにおいては、前記移動体の現在位置に対して、前記現在位置から前記障害物に向かう第1方向とは反対の第2方向側の位置を、前記更新位置として設定する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記更新経路を設定するステップにおいては、前記障害物の大き
さに基づき、前記更新位置を設定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記更新経路を設定するステップにおいては、前記障害物の大きさが所定大きさ未満である場合には、以降の作業を行う位置と、現在位置と交差点との間の位置とのいずれかを、前記更新位置に設定し、前記障害物の大きさが前記所定大きさ以上である場合には、以降の作業を行う位置及び現在位置と交差点との間の位置以外の候補位置のうちで、現在位置からの距離が最短となる候補位置を、前記更新位置として設定する、請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記移動体は目標物を搬送中であり、
前記更新経路を設定するステップにおいては、搬送中の目標物を前記移動体の現在位置でドロップさせる旨の指令を設定しつつ、搬送中の目標物とは異なる目標物の設置位置を前記更新位置として前記更新経路を設定する、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記移動体は目標物を搬送中であり、
前記更新経路を設定するステップにおいては、前記目的位置とは異なる位置を前記更新位置として前記更新経路を設定しつつ、搬送中の目標物を前記更新位置でドロップさせる旨の指令を設定する、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記移動体は目標物を搬送中であり、
前記経路上に前記障害物が存在しなくなった旨の情報を取得するステップと、
前記障害物が存在しなくなった旨の情報を取得したら、前記目標物をドロップした位置から前記目的位置までの経路である再搬送経路を設定するステップと、を更に含む、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記障害物情報を取得したら、前記目的位置である第1目的位置とは異なる第2目的位置までの経路が設定されている移動体に対して、前記障害物を検出可能な検出位置を通りつつ、前記第2目的位置に到達する経路である検出経路を設定するステップ
を更に含む、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記検出経路を設定するステップにおいては、前記第2目的位置までの経路が、前記障害物が検出された位置に対して所定距離内にある経由位置を通る場合に、その経路が設定されている移動体に対して、前記検出経路を設定する、請求項
9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
目的位置までの経路を移動中の移動体により、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得する障害物情報取得部と、
前記障害物情報を取得したら、前記移動体用の経路として、前記目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定する作業設定部と、
を含み、
前記作業設定部は、前記障害物の位置に対して所定距離内にある近傍位置を、他の移動体が通行不可に設定し、前記他の移動体の移動の邪魔にならない位置を、前記更新位置として設定する、
情報処理装置。
【請求項12】
目的位置までの経路を移動中の移動体により、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、
前記障害物情報を取得したら、前記移動体用の経路として、前記目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定するステップと、
をコンピュータに実行させ
、
前記更新経路を設定するステップにおいては、前記障害物の位置に対して所定距離内にある近傍位置を、他の移動体が通行できない位置として設定し、前記他の移動体の移動の邪魔にならない位置を、前記更新位置として設定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動で移動する複数の移動体に対して、移動経路を設定する技術が知られている。例えば特許文献1には、荷役車両の現在位置から作業開始位置までの間で最短距離となる基本走行ルートを設定し、その基本走行ルートが他の荷役車両の基本走行ルートが干渉する場合には、優先する荷役車両にその基本走行ルートを採用しつつ、優先しない車両には迂回ルートを設定する運行管理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体の経路上に障害物が配置される場合があり、例えば障害物を回避しつつ目的位置に向かう経路が生成できないと、移動体が障害物の前で停止し続けてしまう。この場合、作業が継続されなくなるため、稼働率が低下する。従って、移動体の稼働率の低下を抑制することが求められている。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、移動体の稼働率の低下を抑制可能な情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理方法は、目的位置までの経路を移動中の移動体から、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、前記障害物情報を取得したら、前記移動体用の経路として、前記目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定するステップと、を含む。
【0007】
本開示に係る情報処理方法は、第1目的位置までの経路を移動中の移動体から、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、前記障害物情報を取得したら、前記第1目的位置とは異なる第2目的位置までの経路が設定されている移動体に対して、前記障害物を検出可能な検出位置を通りつつ、前記第2目的位置に到達する経路である検出経路を設定するステップと、を含む。
【0008】
本開示に係る情報処理装置は、目的位置までの経路を移動中の移動体により、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得する障害物情報取得部と、前記障害物情報を取得したら、前記移動体用の経路として、前記目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定する作業設定部とを含む。
【0009】
本開示に係るプログラムは、目的位置までの経路を移動中の移動体により、前記経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、前記障害物情報を取得したら、前記移動体用の経路として、前記目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、移動体の稼働率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
【
図3】
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。
【
図7】
図7は、作業の設定を説明するための表である。
【
図8】
図8は、障害物が存在する場合の処理の例を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、更新位置で目標物をドロップする例を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、現在位置で目標物をドロップする例を説明する模式図である。
【
図11】
図11は、更新経路の設定フローを説明するフローチャートである。
【
図12】
図12は、検出経路の設定の例を説明する模式図である。
【
図13】
図13は、検出経路の設定の例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0013】
(第1実施形態)
(移動制御システム)
図1は、本実施形態に係る移動制御システムの模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る移動制御システム1は、移動体10と管理装置12と情報処理装置14とを含む。移動制御システム1は、設備Wに所属する移動体10の移動を制御するシステムである。設備Wは、例えば倉庫など、物流管理される設備である。移動制御システム1においては、移動体10は、設備Wの領域AR内に配置された目標物Pをピックアップして搬送させる。領域ARは、例えば設備Wの床面であり、目標物Pが設置されたり移動体10が移動したりする領域である。目標物Pは、本実施形態では、パレット上に荷物が積載された搬送対象物である。目標物Pは、前面Paに、移動体10の後述するフォーク24が挿入される開口Pbが形成されている。ただし、目標物Pは、パレット上に荷物が積載されたものに限られず任意の形態であってよく、例えばパレットを有さず荷物のみであってもよい。
【0014】
以降において、移動体10による、経路R(後述)に従った移動を含む動作を、適宜、移動体10の作業と記載する。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、経路Rに従って移動して、目標物Pの荷積み、搬送、及び荷下ろしを行うため、移動体10が経路Rに従って移動して、目標物Pを荷積みし、搬送し、荷下ろしするまでの一連の動作が、移動体10の作業といえる。また、以下、領域ARに沿った一方向をX方向とし、領域ARに沿った方向であって方向Xに交差する方向を、Y方向とする。本実施形態では、Y方向は、X方向に直交する方向である。X方向、Y方向は、水平面に沿った方向といってもよい。また、X方向、Y方向に直交する方向を、より詳しくは鉛直方向の上方に向かう方向を、Z方向とする。また、本実施形態においては、「位置」とは、特に断りのない限り、領域AR上の二次元面における座標系(領域ARの座標系)における位置(座標)を指す。また、移動体10などの「姿勢」とは、特に断りのない限り、領域ARの座標系における移動体10などの向きであり、Z方向から見た場合に、X方向を0°とした際の移動体10のヨー角(回転角度)を指す。
【0015】
設備W内の領域ARには、複数の設置領域AR1が設けられている。設置領域AR1は、目標物Pの設置用に設定された領域である。それぞれの設置領域AR1には、設備Wの状況に応じて、目標物Pが配置されている場合もあるし、配置されていない場合もある。設置領域AR1の位置(座標)、形状、及び大きさは、予め設定されている。
図1の例では、設置領域AR1は、領域AR上に設けられた棚上に設定されているが、それに限られず、領域AR上(すなわち設備Wの床)に設けられていてもよいし、目標物Pを設備Wに搬入した車両の荷台内に設けられてもよい。また、本実施形態では、設置領域AR1は、目標物P毎に区画されており、設置領域AR1にはそれぞれ目標物Pが1つ配置されるが、それに限られない。例えば、設置領域AR1は、フリースペースとして、複数の目標物Pが設置されるように設定されていてもよい。また、
図1の例では設置領域AR1は矩形であるが、形状及び大きさは任意であってよいし、設置領域AR1の数も任意であってよい。
【0016】
(ウェイポイント)
領域ARには、位置(座標)毎にウェイポイントAが設定されている。移動体10が移動する経路Rは、ウェイポイントAを繋ぐように設定される。すなわち、移動体10が通過を予定するウェイポイントAを接続する経路が、移動体10の経路Rとなる。ウェイポイントAは、設置領域AR1の位置や通路などの、設備Wのレイアウトに応じて設定される。例えば、ウェイポイントAは、領域AR内においてマトリクス状に設定されており、1つの設置領域AR1に対向する位置から他の任意の設置領域AR1に対向する位置までを繋ぐ経路Rが設定可能なように、位置や数が設定されている。設置領域AR1に対向する位置とは、例えば、移動体10が、その位置から設置領域AR1に配置された目標物Pをピックアップ可能な位置であってよい。また、ウェイポイントAには、充電場所となるウェイポイントA(
図1の例では充電装置CHが配置されたウェイポイントAn)や、待機場所となるウェイポイントA(
図1の例ではウェイポイントAm)が設定されている。充電場所や待機場所となるウェイポイントAは、設置領域AR1に対向するウェイポイントA同士を結ぶ経路(搬送する際に用いられる経路)と重ならない任意の位置に設定されていてよい。
【0017】
(移動体)
図2は、移動体の構成の模式図である。移動体10は、自動で移動可能であり目標物Pを搬送可能な装置である。さらに言えば、本実施形態では、移動体10は、フォークリフトであり、より詳しくはいわゆるAGV(Automated Guided Vehicle)やAGF(Automated Guided Forklift)である。ただし、移動体10は、目標物Pを搬送するフォークリフトであることに限られず、自動で移動可能な任意な装置であってよい。
【0018】
図2に示すように、移動体10は、車体20と、車輪20Aと、ストラドルレッグ21と、マスト22と、フォーク24と、センサ26Aと、制御装置28とを備えている。ストラドルレッグ21は、車体20の前後方向における一方の端部に設けられて、車体20から突出する一対の軸状の部材である。車輪20Aは、それぞれのストラドルレッグ21の先端と、車体20とに設けられている。すなわち、車輪20Aは、合計3個設けられているが、車輪20Aの設けられる位置や個数は任意であってよい。マスト22は、ストラドルレッグ21に移動可能に取り付けられ、車体20の前後方向に移動する。マスト22は、前後方向に直交する上下方向(ここでは方向Z)に沿って延在する。フォーク24は、マスト22に方向Zに移動可能に取付けられている。フォーク24は、マスト22に対して、車体20の横方向(上下方向及び前後方向に交差する方向)にも移動可能であってよい。フォーク24は、一対のツメ24A、24Bを有している。ツメ24A、24Bは、マスト22から車体20の前方向に向けて延在している。ツメ24Aとツメ24Bとは、マスト22の横方向に、互いに離れて配置されている。以下、前後方向のうち、移動体10においてフォーク24が設けられている側の方向を、前方向とし、フォーク24が設けられていない側の方向を、後方向とする。
【0019】
センサ26Aは、車体20の周辺に存在する対象物の位置及び姿勢の少なくとも1つを検出する。センサ26Aは、移動体10に対する対象物の位置と、移動体10に対する対象物の姿勢との少なくとも一方を検出するともいえる。本実施形態では、センサ26Aは、それぞれのストラドルレッグ21の前方向における先端と、車体20の後方向側とに設けられている。ただし、センサ26Aの設けられる位置はこれに限られず、任意の位置に設けられてもよいし、設けられる数も任意であってよい。
【0020】
センサ26Aは、例えばレーザ光を照射するセンサである。センサ26Aは、一方向(ここでは横方向)に走査しつつレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光から、対象物の位置及び向きを検出する。すなわち、センサ26Aは、いわゆる2次元(2D)-LiDAR(Light Detection And Ranging)であるともいえる。ただし、センサ26Aは、以上のものに限られず任意の方法で対象物を検出するセンサであってよく、例えば、複数の方向に走査されるいわゆる3次元(3D)-LiDARであってもよいし、走査されない、いわゆる1次元(1D)-LiDARであってもよいし、カメラであってもよい。
【0021】
制御装置28は、移動体10の移動を制御する。制御装置28については後述する。
【0022】
(管理装置)
図3は、管理装置の模式的なブロック図である。管理装置12は、設備Wにおける物流を管理するシステムである。管理装置12は、本実施形態ではWCS(Warehouse Control System)やWMS(Warehouse Management System)であるが、WCS及びWMSに限られず任意のシステムであってよく、例えば、その他の生産管理系システムのようなバックエンドシステムでも構わない。管理装置12が設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられてもよいし、設備Wから離れた位置に設けられて、離れた位置から設備Wを管理するものであってもよい。管理装置12は、コンピュータであり、
図3に示すように、通信部30と記憶部32と制御部34とを含む。
【0023】
通信部30は、制御部34に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばWiFi(登録商標)モジュールやアンテナやなどを含んでよい。通信部30による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部32は、制御部34の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0024】
制御部34は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部34は、移動先情報設定部40を含む。制御部34は、記憶部32からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、移動先情報設定部40を実現して、その処理を実行する。なお、制御部34は、1つのCPUによって処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、移動先情報設定部40を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部32が保存する制御部34用のプログラムは、管理装置12が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0025】
移動先情報設定部40は、移動体10の移動先を示す移動先情報を設定する。移動先情報設定部40の具体的な処理については後述する。
【0026】
なお、管理装置12は、移動先情報を設定する以外の処理も実行してよい。例えば、管理装置12は、設備Wに設けられる移動体10以外の機構(例えばエレベータや扉など)を制御する情報も設定してよい。
【0027】
(情報処理装置)
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、設備Wに設けられ、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、
図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFiモジュールなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0028】
(情報処理装置)
図4は、情報処理装置の模式的なブロック図である。情報処理装置14は、設備Wに設けられ、移動体10の移動に関する情報などを処理する装置である。情報処理装置14は、例えばFCS(Fleet Control System)であるが、それに限られず、移動体10の移動に関する情報を処理する任意の装置であってよい。情報処理装置14は、コンピュータであり、
図4に示すように、通信部50と記憶部52と制御部54とを含む。通信部50は、制御部54に用いられて、管理装置12や移動体10などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFiモジュールなどを含んでよい。通信部50による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部52は、制御部54の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0029】
制御部54は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部54は、移動先情報取得部60と、作業設定部62と、障害物情報取得部64とを含む。制御部54は、記憶部52からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、移動先情報取得部60と作業設定部62と障害物情報取得部64とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部54は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、移動先情報取得部60と作業設定部62と障害物情報取得部64との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部52が保存する制御部54用のプログラムは、情報処理装置14が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0030】
移動先情報取得部60は、移動先情報を取得し、作業設定部62は、移動体10の経路Rを設定し、障害物情報取得部64は、移動体10の経路R上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0031】
なお、本実施形態では、管理装置12と情報処理装置14とが別の装置であったが、一体の装置であってもよい。すなわち、管理装置12が情報処理装置14の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよいし、情報処理装置14が管理装置12の少なくとも一部の機能を兼ね備えてよい。
【0032】
(移動体の制御装置)
次に、移動体10の制御装置28について説明する。
図5は、移動体の制御装置の模式的なブロック図である。制御装置28は、移動体10を制御する装置である。制御装置28は、コンピュータであり、
図5に示すように、通信部70と記憶部72と制御部74とを含む。通信部70は、制御部74に用いられて、情報処理装置14などの外部の装置と通信するモジュールであり、例えばアンテナやWiFi(登録商標)モジュールなどを含んでよい。通信部70による通信方式は、本実施形態では無線通信であるが、通信方式は任意であってよい。記憶部72は、制御部74の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0033】
制御部74は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部74は、作業取得部80と、移動制御部82と、障害物検出部84とを含む。制御部74は、記憶部72からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、作業取得部80と移動制御部82と障害物検出部84とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部74は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、作業取得部80と移動制御部82と障害物検出部84との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。また、記憶部72が保存する制御部74用のプログラムは、制御装置28が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0034】
作業取得部80は、移動体10の経路Rを示す情報を取得し、移動制御部82は、移動体10の駆動部やステアリングなどの移動機構を制御して、移動体10の移動を制御する。障害物検出部84は、移動体10の経路R上に位置する障害物を検出する。これらの具体的な処理内容については後述する。
【0035】
(移動制御システムの処理)
移動制御システム1の処理内容について、以下で説明する。
【0036】
(移動先情報の設定)
管理装置12の移動先情報設定部40は、移動体10の移動先を示す移動先情報を設定する。移動先情報は、移動体10の移動先の位置を示す情報を含む。より詳しくは、本実施形態では、移動先情報設定部40は、第1位置情報(第1位置の位置情報)と第2位置情報(第1位置の位置情報)とを含むように、移動先情報を設定する。第1位置とは、移動体10が最初に到達する位置であり、第2位置とは、移動体10が第1位置の次に到達する位置である。すなわち本実施形態の例では、第1位置は、目標物Pの搬送元の位置であり、第2位置は、目標物Pの搬送先の位置である。移動先情報設定部40は、第1位置情報として、第1位置の位置(座標)そのものを指定してもよい。また、それぞれのウェイポイントAに識別子が付与されており、移動先情報設定部40は、第1位置情報として、第1位置に対応するウェイポイントAの識別子を指定してもよい。第2位置情報も同様である。
【0037】
図6は、移動先情報の一例を示す表である。本実施形態では、移動先情報設定部40は、搬送対象となる目標物P毎に、言い換えれば作業毎に、移動先情報を設定する。すなわち、移動先情報設定部40は、搬送対象となる目標物Pを示す目標物情報と、その目標物Pの搬送元である第1位置情報と、その目標物Pの搬送先を示す第2位置情報とを対応付けて、目標物P毎の移動先情報を設定する。なお、例えば目標物P毎に識別子が付与されており、その識別子を示す情報を目標物情報としてよい。さらに言えば、
図6に示すように、本実施形態では、移動先情報設定部40は、目標物情報と、第1位置情報と、第2位置情報と、優先度情報とを対応付けて、目標物P毎の移動先情報を設定することが好ましい。優先度情報とは、目標物P毎の一群の移動先情報のうちで、その目標物Pを搬送する優先順位を示す情報である。すなわち例えば、優先度情報において、最も優先度が高い目標物Pは、最初に搬送されることになる。
図6では、優先度が0001(1番目)、目標物P1、第1位置がA1、第2位置がA2となる移動先情報と、優先度が0002(2番目)、目標物P11、第1位置がA11、第2位置がA3となる移動先情報と、優先度が0003(3番目)、目標物P21、第1位置がA21、第2位置がA4となる移動先情報と、優先度が0004(4番目)、目標物P2、第1位置がA31、第2位置がA5となる移動先情報と、優先度が0005(5番目)、目標物P21、第1位置がA41、第2位置がA6となる移動先情報と、が設定されている例を示している。ただし、
図6は一例であり、移動先情報は、例えばオーダー状況などに応じて任意に設定されてよい。
【0038】
また、移動先情報設定部40は、第1位置から第2位置まで移動する移動体10(作業を行う移動体10)を指定する指定情報も、移動先情報を設定してよい。すなわち本実施形態の例では、移動先情報設定部40は、目標物情報と第1位置情報と第2位置情報と優先度情報)と指定情報とを対応付けて、目標物P毎の移動先情報を設定してよい。この場合例えば、移動体10毎に識別子が付与されており、その識別子を示す情報を指定情報としてよい。
【0039】
移動先情報設定部40は、任意の方法で移動先情報を設定してよい。例えば、移動先情報設定部40は、搬送すべき目標物Pと搬送元及び搬送先を示すオーダー情報を取得して、それに基づいて移動先情報を設定してよい。移動先情報設定部40は、設定した移動先情報を、通信部30を介して、情報処理装置14に送信する。
【0040】
(移動先情報の取得)
情報処理装置14の移動先情報取得部60は、通信部50を介して、管理装置12から、移動先情報を取得する。
【0041】
(作業の設定)
情報処理装置14の作業設定部62は、移動先情報に基づいて、移動体10の作業を設定する。作業設定部62は、移動体10の作業として、移動先までの移動体10の経路Rを設定する。本実施形態では、作業設定部62は、移動体10が第1位置までの移動を開始する直前に位置する初期位置から、第1位置情報が示す第1位置(搬送元)までの第1経路と、第1位置から、第2位置情報が示す第2位置(搬送先)までの第2経路とを、移動体10の経路Rとして設定する。すなわち、作業設定部62は、初期位置から1位置までの各ウェイポイントAを第1経路とし、第1位置から第2位置までの各ウェイポイントAを第2経路として、移動体10の経路Rを設定する。
図1の例では、移動先情報においては、第1位置がウェイポイントAbであり、第2位置がウェイポイントAcとされており、作業設定部62は、選定した移動体10の初期位置であるウェイポイントAaからウェイポイントAbまでの各ウェイポイントAを通る第1経路と、ウェイポイントAbからウェイポイントAcまでの各ウェイポイントAを通る第2経路とを、その移動体10の経路Rとして設定する。
【0042】
図7は、作業の設定を説明するための表である。作業設定部62は、設備Wに複数の移動体10が配備されている場合には、移動体10の作業として、目標物Pを搬送する移動体10を選定する。また、作業設定部62は、複数の目標物Pについての移動先情報が設定されている場合には、目標物P毎に、移動体10の経路Rを設定する。すなわち、作業設定部62は、目標物P毎にその目標物Pを搬送する移動体10を選定して、選定した移動体10の経路を設定する。
図7の例では、作業設定部62は、移動情報に示された目標物P1を搬送する移動体10として、移動体10Aを選定し、移動体10Aの初期位置から、第1位置であるA1を通り、第2位置であるA2に到達する経路(...ウェイポイントA1...)を設定する。
図7に示された他の目標物Pに対して選定される移動体とその経路(ウェイポイント)の説明は、同様であるため省略する。なお、作業設定部62は、任意の方法で移動体10を選定してよいが、例えば、全ての目標物Pの搬送完了までの時間が最短となるように、目標物P毎に移動体10を選定してよい。また、移動先情報において、指定情報として対象となる移動体10が指定されている場合には、その指定情報で指定された移動体10を選定すればよい。
【0043】
作業設定部62は、移動体10の作業として、経路R(ウェイポイントA)を通る予定時間帯も設定する。この場合、予定時間帯においては、他の移動体10がその経路Rを通ることが禁止される。すなわち、予定時間帯においては、設定された経路Rが、その移動体10に占有される。作業設定部62は、複数の目標物Pについての経路Rを設定する場合には、1つの移動体10の予定時間帯において他の移動体10に同じウェイポイントAが設定されないように(予約時間帯が重複しないように)、また、予約時間帯が重複しない場合でもデッドロックを起こさないように、目標物P毎に、移動体10と経路R(ウェイポイントA)と予約時間帯とを設定する。さらに言えば、作業設定部62は、移動先情報における優先度情報にも基づき、経路Rと予約時間帯とを設定してよい。すなわち、作業設定部62は、予約時間帯が重複せず、かつ、優先度が高い目標物Pほど早く搬送完了するように、目標物P毎に、移動体10と経路Rと予約時間帯とを設定する。なお、経路Rは、複数のウェイポイントAを含むので、作業設定部62は、経路Rに含まれるウェイポイントA毎に、予約時間帯を設定してよい。
【0044】
なお、デッドロックとは、複数の実行中のプログラムなどが互いに他のプログラムの結果待ちとなり、待機状態に入ったまま動かなくなる現象を指す。本実施形態では、互いの移動体10がこのままの経路で移動を継続した場合には衝突するおそれがあり、かつ、進行方向側に向かう回避経路が設定できない場合に、互いの移動体10が停止したままとなる現象を指してよい。
【0045】
作業設定部62は、設定した作業の情報を、その作業が割り当てられた移動体10に送信する。
図7の例では、作業設定部62は、移動体10Aに対して、目標物P1についての作業の情報と、目標物P2についての作業の情報とを送信する。作業設定部62は、作業の情報として、経路Rの情報を送信する。作業設定部62は、経路Rの情報として、経路Rが通る各ウェイポイントAを示す情報を送信する。例えば、作業設定部62は、経路Rの情報として、経路Rが通る各ウェイポイントAの位置(座標)情報を移動体10に送信してもよいし、経路Rが通る各ウェイポイントAの識別子を示す情報を移動体10に送信してもよい。また、本実施形態では、作業設定部62は、作業の情報として、予定時間帯の情報も、すなわち経路(ウェイポイントA)を通る予定時間帯を示す情報も、移動体10に送信する。
【0046】
(移動体の移動)
移動体10の作業取得部80は、情報処理装置14から、自身の移動体10について設定された経路Rの情報を取得する。移動体10の移動制御部82は、取得された経路Rに従って、移動体10を移動させる。本実施形態では、作業取得部80は、経路Rの情報と共に予定時間帯の情報も取得する。移動制御部82は、経路Rが通る各ウェイポイントAを、各ウェイポイントAについて設定された予定時間帯において通るように、移動体10を移動させる。移動体10は、移動制御部82により、移動体10の位置情報を逐次把握することで、経路R上の各ウェイポイントAを通るように移動する。移動制御部82による移動体10の位置情報の取得方法は任意であるが、例えば本実施形態では、設備Wに図示しない検出体が設けられており、移動制御部82は、検出体の検出に基づき移動体10の位置及び姿勢の情報を取得する。具体的には、移動体10は、検出体に向けてレーザ光を照射し、検出体によるレーザ光の反射光を受光して、設備Wにおける自身の位置及び姿勢を検出する。移動体10の位置及び姿勢の情報の取得方法は、検出体を用いることに限られず、例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)を用いてもよい。
【0047】
図1の例では、移動制御部82は、初期位置であるウェイポイントAaから第1位置であるウェイポイントAbまでの各ウェイポイントAを通るように、移動体10をウェイポイントAaからウェイポイントAbまで移動させる。移動制御部82は、移動体10がウェイポイントAbまで到達したら、フォーク24を制御することで、ウェイポイントAbに対向する設置領域AR1に設けられた目標物Pの開口Pbにフォーク24を挿入して、目標物Pをピックアップ(荷取り)する。なおこの場合、移動制御部82は、ウェイポイントAbから、又は、ウェイポイントAbに到達する前の位置から、センサ26Aによって目標物Pの位置及び姿勢を検出させてもよい。そして、移動制御部82は、目標物Pの位置及び姿勢に基づいて、目標物Pまでのアプローチ経路を設定して、そのアプローチ経路に従って目標物Pにアプローチして、目標物Pをピックアップしてもよい。すなわちこの場合、移動制御部82は、検出した目標物Pの位置及び姿勢に対して、所定の位置及び姿勢(移動体10が目標物Pをピックアップ可能な位置及び姿勢)となる新たなアプローチ経路を設定して、そのアプローチ経路に従って目標物Pにアプローチしてもよい。また例えば、移動制御部82は、目標物Pの位置及び姿勢の検出結果と、移動体10の位置及び姿勢の検出結果とに基づき、フィードバック制御(直接フィードバック制御)を行うことで、移動体10を目標物Pにアプローチさせてもよい。この場合、目標物Pの位置及び姿勢に基づいた経路に従ったアプローチ中に、直接フィードバック制御に切り替えてもよい。
【0048】
移動制御部82は、移動体10が目標物Pをピックアップしたら、ウェイポイントAbまで移動体10を戻し、ウェイポイントAbから、第2位置であるウェイポイントAcまでの各ウェイポイントAを通るように、移動体10をウェイポイントAcまで移動させる。移動制御部82は、移動体10がウェイポイントAcまで到達したら、フォーク24を制御することで、ウェイポイントAcに対向する設置領域AR1に、目標物Pをドロップ(荷下ろし)する。
【0049】
移動制御部82は、移動体10が目標物Pをドロップしたら、ウェイポイントAcまで移動体10を戻す。移動制御部82は、ウェイポイントAcを初期位置とした次の経路Rが設定されている場合には、その経路Rに従って移動体10を移動させる。
【0050】
(障害物)
ここで、移動体10が移動中の経路R上に、障害物が存在する場合がある。移動体10は、例えば障害物を回避しつつその目的位置に向かう経路が生成できないと、障害物の前で停止し続けてしまい、作業が継続できなくなり、結果として移動体10の稼働率が低下してしまう。それに対して、本実施形態においては、経路R上に障害物が位置している場合には、その経路Rの目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定して、その移動体10を更新経路に沿って移動させる。これにより、移動体10の作業を継続させて、稼働率の低下を抑制できる。なお、ここでの障害物は、任意の物体であってよく、例えば停止している他の移動体10であってもよい。
【0051】
(障害物の検出)
図8は、障害物が存在する場合の処理の例を説明するための模式図である。移動体10は、障害物検出部84により、移動体10の進行方向側の経路R上に存在する障害物を検出する。障害物検出部84は、移動体10が経路Rに従って移動している最中に、例えばセンサ26Aにより、移動体10の周囲を検出する。障害物検出部84は、センサ26Aにより、移動体10の進行方向側の経路R上に障害物が検出されたことを、障害物情報として検出する。なお、移動体10の進行方向側の経路R上に障害物が存在するとは、障害物が厳密に経路R上に位置していることに限られず、経路R上から所定距離範囲内に障害物が存在することも含む。移動体10がその経路Rに従って移動を続けた場合に干渉する位置に障害物が存在した場合に、移動体10の進行方向側の経路R上に障害物が存在する、と判断されてよい。
図8は、目標物PAを搬送中の移動体10が、ウェイポイントAdからウェイポイントAe(目的位置)に向かう経路RAに従って移動中の例を示している。すなわち、経路RAは、第1位置であるウェイポイントAdから第2位置であるウェイポイントAeまでの経路を含んでいる。そして、
図8の例では、経路RA上に障害物Dが検出された例を示している。
【0052】
移動体10の移動制御部82は、進行方向側の経路R上に障害物が検出されたら、移動体10を停止させて、その障害物を回避しつつ、経路Rの目的位置に向かう回避経路が設定できるかを判断する。この場合例えば、障害物検出部84が、センサ26Aにより障害物の位置及び姿勢を検出して、移動制御部82が、障害物の位置及び姿勢に基づき、障害物を回避しつつ、経路Rの目的位置に向かう回避経路の設定を試みる。移動制御部82は、回避経路を設定できる場合には、回避経路に切り替えて移動を継続する。一方、移動制御部82は、回避経路を設定できない場合には、すなわち例えば通路が狭いため障害物を避けつつ進行する経路が設定できない場合には、その場での停止を続ける。そして、障害物検出部84は、移動体10の進行方向側の経路R上に障害物が検出された旨の障害物情報を、情報処理装置14に送信して、情報処理装置14により更新経路を設定する。
図8は、移動体10が、ウェイポイントAfにおいて進行方向側の障害物Dを検出して、障害物Dを回避しつつウェイポイントAe(目的位置)に向かう回避経路が設定できない場合を例にしている。
【0053】
本実施形態では、移動体10の進行方向側の経路R上に障害物が検出され、かつ、回避経路を設定できない場合に、障害物情報を情報処理装置14に送信して更新経路を設定する。ただし回避経路の設定は必須ではなく、移動体10の進行方向側の経路R上に障害物が検出されたら、回避経路の設定を試みることなく、障害物情報を情報処理装置14に送信して更新経路を設定してもよい。
【0054】
(障害物情報の取得)
情報処理装置14の障害物情報取得部64は、移動体10から、障害物情報を取得する。この場合、移動体10の障害物検出部84は、障害物が存在する旨の情報に加えて、その障害物の位置情報も、障害物情報として設定する。従って、障害物情報取得部64は、障害物が存在する旨の情報と、その障害物の位置情報とを、障害物情報として取得する。
【0055】
(更新経路の設定)
情報処理装置14の作業設定部62は、障害物情報が取得されたら、更新位置までの更新経路を、障害物を検出した移動体10の新たな経路として設定する。具体的には、作業設定部62は、障害物の位置情報に基づき、障害物の位置に対して所定距離内にある近傍位置を決定して、その近傍位置を通行不可とする。言い換えれば、作業設定部62は、障害物の位置に対して所定距離内にあるウェイポイントAを予約して、移動体10が予約できないようにする。ここでの所定距離は任意に設定されてよい。作業設定部62は、移動体10の現在位置(障害物を検出して停止した位置)から、近傍位置を通らず、かつ、元の経路Rの目的位置とは異なる更新位置まで到達する経路を、更新経路として設定する。なお、作業設定部62は、障害物が検出されたタイミング以降に予定されている他の作業についても、近傍位置を通らないように、経路を設定し直す。
【0056】
作業設定部62は、元の経路Rの目的位置とは異なる任意の位置を、更新位置として設定してよい。例えば、作業設定部62は、移動体10の現在位置(障害物を検出した位置)に対して、現在位置から障害物に向かう第1方向とは反対の第2方向側の位置を、更新位置として設定してよい。すなわち
図8の例では、ウェイポイントAf(移動体10の現在位置)から障害物Dに向かう方向がY方向であるため、作業設定部62は、ウェイポイントAfよりも、Y方向と反対側の位置を、更新位置として設定してよい。すなわち、作業設定部62は、移動体10が障害物に対して後退するように、更新位置を設定してよい。
【0057】
以降において、更新位置及び更新経路の設定の例を説明する。
【0058】
(更新位置で目標物をドロップする例)
図9は、更新位置で目標物をドロップする例を説明する模式図である。例えば、作業設定部62は、元の経路Rの目的位置とは異なる位置を更新位置として更新経路を設定しつつ、更新位置で搬送中の目標物Pをドロップする旨の指令を設定してよい。作業設定部62は、設定した更新経路と、更新位置でドロップする旨の指令を、障害物を検出した移動体10に送信する。移動体10の移動制御部82は、取得した更新経路に従って移動体10を移動させて、移動体10が更新位置に到着したら、搬送中の目標物Pを、更新位置においてドロップする。その後、移動体10は、以降の作業を開始して、以降の作業における第1位置へ移動する。
【0059】
更新位置で目標物をドロップする場合の更新位置は、目的位置とは異なる任意の位置であってよい。例えば、作業設定部62は、搬送中の目標物Pの第1位置(搬送元)を、更新位置としてよい。すなわち
図9の例では、作業設定部62は、目標物PAの第1位置であるウェイポイントAdを、更新位置としてよい。この場合、移動体10は、ウェイポイントAfからウェイポイントAdまでの更新経路RB1に従って移動してウェイポイントAdまで戻り、ウェイポイントAdに対向する設置領域AR1に、目標物PAをドロップする。このように、目標物PAを搬送元に戻すことで、目標物PAが他の移動体10の移動の邪魔になることなく、以降の作業を継続できる。
【0060】
また例えば、作業設定部62は、充電場所や待機場所となるウェイポイントAのように、設置領域AR1に対向するウェイポイントA同士を結ぶ経路(搬送する際に用いられる経路)と重ならないウェイポイントAを、更新位置としてよい。
図9の更新経路RB2は、待機位置であるウェイポイントAmを更新位置とした場合の例である。この場合、移動体10は、ウェイポイントAfからウェイポイントAmまでの更新経路RB2に従って移動して、ウェイポイントAmにおいて、目標物PAをドロップする。このように、目標物PAを、搬送する際に用いられる経路と重ならないウェイポイントAに仮置きすることで、目標物PAが他の移動体10の移動の邪魔になることなく、以降の作業を継続できる。
【0061】
また例えば、作業設定部62は、設置領域AR1と対向する任意のウェイポイントAを、更新位置としてよい。
図9の更新経路RB3は、設置領域AR1と対向するウェイポイントAgを更新位置とした場合の例である。この場合、移動体10は、ウェイポイントAfからウェイポイントAgまでの更新経路RB2に従って移動して、ウェイポイントAgに対向する設置領域AR1に、目標物PAをドロップする。なおこの場合、作業設定部62は、他の目標物Pが設置されていない設置領域AR1と対向するウェイポイントAを、更新位置とする。また、作業設定部62は、以降においても、他の目標物Pの設置が予定されていない設置領域AR1と対向するウェイポイントAを、更新位置とすることが好ましい。このように、目標物PAを、他の設置領域AR1に仮置きすることで、目標物PAが他の移動体10の移動の邪魔になることなく、以降の作業を継続できる。
【0062】
また例えば、障害物を検出した移動体10の現在位置から障害物に向かう方向を第1方向とする。この場合、近傍位置(障害物が検出された位置)を通る通路が、第1方向と反対の第2方向側において、他の通路と交差する場合には、作業設定部62は、移動体10の現在位置と、他の通路との交差点との間の位置(ウェイポイントA)を、更新位置として設定してよい。すなわち
図9の例では、障害物Dが検出された位置を通る通路WA1は、第2方向側(Y方向と反対側)において、通路WA2と交差する。この場合、作業設定部62は、現在位置であるウェイポイントAfと、通路WA1と通路WA2との交差点であるウェイポイントAfaとの間の位置(ウェイポイントA)を、更新位置として設定してよい。この場合、作業設定部62は、ウェイポイントAfから、ウェイポイントAfとウェイポイントAfaとの間の更新位置まで移動して、その更新位置で目標物PAをドロップして、次の作業の第1位置に向かう。ここで、障害物Dの近傍位置は、通行不可となっているため、他の移動体10が通路WA1を通らないことが想定される。従って、このように現在位置と交差点との間に目標物PAを仮置きすることで、目標物PAが他の移動体10の移動の邪魔になることなく、以降の作業を継続できる。さらに、元の目標位置に近い位置に仮置きされることになるため、障害物が除去された後に、迅速に目標物PAを目標位置に搬送できる。なお、他の移動体10が、通路WA1の障害物Dの近傍位置よりも手前側まで進入することも想定されるため、作業設定部62は、以降において、通路WA1を通る作業(現在位置と交差点との間のウェイポイントAを通る作業)が存在しない場合に、現在位置と交差点との間の位置を更新位置として設定してもよい。
【0063】
ここで、経路R上の障害物は、例えば除去されることで、経路R上に存在しなくなる場合がある。情報処理装置14の障害物情報取得部64は、経路R上に障害物が存在しなくなった旨の除去情報を取得したら、その障害物の近傍位置の通行不可を解除して、近傍位置を通行可とする。言い換えれば、作業設定部62は、障害物の位置に対して所定距離内にあるウェイポイントAの予約を停止する。そして、作業設定部62は、除去情報を取得したら、障害物を検出した移動体10が搬送していた目標物Pを、元の経路Rの目的位置に搬送するための、再搬送経路を設定する。再搬送経路は、目標物Pがドロップ(仮置き)された位置から、元の目標位置までの経路である。すなわち、上記の説明では、移動体10が搬送していた目標物PAは、更新位置に設置されていたため、作業設定部62は、更新位置を第1位置として、その目標物PAの元の目標位置(
図9の例ではウェイポイントAe)を第2位置とする経路を、再搬送経路として設定する。作業設定部62は、任意の移動体10を、この再搬送経路に従って目標物PAを搬送する移動体10として選定してよい。例えば、作業設定部62は、目標物PAを元の目標位置まで搬送する作業を最短で完了できる移動体10を、目標物PAを再搬送する移動体10として選定してよい。また、作業設定部62は、除去情報が取得されたタイミング以降に予定されている作業についても、近傍位置を通行可能なように、経路を設定し直してよい。
【0064】
なお、障害物情報取得部64は、任意の方法で除去情報を取得してよい。例えば、作業者が障害物を除去した場合には、障害物情報取得部64は、作業者によって入力された除去情報を取得してよい。この場合例えば、作業者は、自身が携帯する端末や、設備Wに設置されているコンピュータに、除去情報を入力して、障害物情報取得部64は、その入力された除去情報を通信により取得してよい。
【0065】
(現在位置で目標物をドロップする例)
図10は、現在位置で目標物をドロップする例を説明する模式図である。作業設定部62は、搬送中の目標物PAを移動体10の現在位置でドロップさせる旨の指令を設定しつつ、搬送中の目標物PAとは異なる目標物Pの設置位置(第1位置)を更新位置として、更新経路を設定してもよい。この場合、作業設定部62は、その移動体10の以降の作業における第1位置を更新位置として、移動体10の現在位置から、その移動体10の以降の作業における第1位置までの更新経路を設定する。作業設定部62は、設定した更新経路と、現在位置でドロップする旨の指令を、障害物を検出した移動体10に送信する。移動体10の移動制御部82は、現在位置で目標物PAをドロップした後、取得した更新経路に従って移動体10を移動させて、以降の作業における第1位置へ移動して、以降の作業を行う。
図10の例では、移動体10は、現在位置であるウェイポイントAfで目標物PAをドロップし、ウェイポイントAfから、以降の作業の第1位置であるウェイポイントAhまでの更新経路RB4に従って移動する。移動体10は、ウェイポイントAhに到着したら、その対向する設置領域AR1にある目標物PBをピックアップして、第2位置であるウェイポイントAiまで搬送する。ここで、障害物Dの近傍位置は通行不可となっているため、移動体10の現在位置を、他の移動体10が通らないことが想定される。従って、移動体10の現在位置に目標物PAを仮置きすることで、目標物PAが他の移動体10の移動の邪魔になることなく、以降の作業を継続できる。さらに、元の目標位置に近い位置に仮置きされることになるため、障害物が除去された後に、迅速に目標物PAを目標位置に搬送できる。
【0066】
現在位置で目標物Pがドロップされた場合においても、作業設定部62は、除去情報を取得したら、現在位置でドロップされた目標物Pを、元の経路Rの目的位置に搬送するための再搬送経路を設定する。すなわち、上記の説明では、移動体10が搬送していた目標物PAは、現在位置に設置されていたため、作業設定部62は、現在位置(
図10の例ではウェイポイントAf)を第1位置として、その目標物PAの元の目標位置(
図10の例ではウェイポイントAe)を第2位置とする経路を、再搬送経路として設定する。作業設定部62は、任意の移動体10を、この再搬送経路に従って目標物PAを搬送する移動体10として選定してよい。例えば、作業設定部62は、目標物PAを元の目標位置まで搬送する作業を最短で完了できる移動体10を、目標物PAを再搬送する移動体10として選定してよい。
【0067】
(更新位置の選択)
また、作業設定部62は、障害物の大きさと、更新位置の候補となる候補位置までの距離との少なくとも一方に基づき、更新位置を選択(設定)してよい。この場合例えば、作業設定部62は、センサ26Aによる障害物の検出結果から、障害物の大きさを算出する。そして、作業設定部62は、障害物の大きさが所定大きさ未満である場合には、移動体10の以降の作業における第1位置を更新位置として設定して、目標物Pを現在位置でドロップさせてから、移動体10を更新位置に移動させてよい。また例えば、作業設定部62は、障害物の大きさが所定大きさ未満である場合には、現在位置と交差点との間の位置を、更新位置として設定して、目標物Pを、現在位置と交差点との間の更新位置にドロップさせてよい。すなわち、障害物が大きい場合には、例えば作業車両により障害物を除去する必要が生じる。このような場合に、現在位置や、現在位置と交差点との間に目標物Pがあると、除去作業の邪魔となる。従って、障害物の大きさが所定大きさ未満の場合に限って、このような位置に目標物Pを仮置きすることが好ましい。
【0068】
また例えば、作業設定部62は、更新位置の候補となる候補位置を複数選定しておき、現在位置からそれぞれの候補位置までの距離を算出してよい。そして、作業設定部62は、複数の候補位置のうちから、現在位置からの距離が最短となる候補位置を、更新位置として設定してよい。ここでの候補位置は、上記で説明した更新位置の例に挙げられたものであってよい。このように更新位置を選ぶことで、目標物Pを迅速に仮置きできる。
【0069】
また例えば、作業設定部62は、障害物の大きさと、候補位置までの距離との両方に基づいて、更新位置を選択してよい。この場合例えば、作業設定部62は、障害物の大きさが所定大きさ未満である場合は、移動体10の以降の作業における第1位置と、現在位置と交差点との間の位置とのいずれかを、更新位置に設定する。そして、作業設定部62は、障害物の大きさが所定大きさ以上である場合には、移動体10の以降の作業における第1位置及び現在位置と交差点との間の位置以外の候補位置のうちで、現在位置からの距離が最短となる候補位置を、更新位置として設定してよい。
【0070】
なお、以上の説明では、目標物Pを搬送中の移動体10の進行方向側の経路R上に、障害物が存在した場合に、その移動体10に更新経路を設定することを例にしていた。ただしそれに限られず、目標物Pを搬送せずに移動中の移動体10の進行方向側の経路R上に、障害物が存在した場合でも、同様にその移動体10の更新経路を設定してよい。この場合例えば、移動体10に割り当てられている以降の作業における第1位置を更新位置として、現在位置からその更新位置までの経路を更新経路として、別の作業に向かわせてよい。
【0071】
(処理フロー)
以上説明した更新経路の設定処理フローを、フローチャートに基づき説明する。
図11は、更新経路の設定フローを説明するフローチャートである。
図11に示すように、移動体10は、進行方向側の経路R上に障害物を検出したら(ステップS10)、情報処理装置14に障害物情報を送信する。情報処理装置14は、障害物情報を取得したら(ステップS12)、更新位置を設定し(ステップS14)、更新位置までの更新経路を設定して(ステップS16)、更新経路の情報を移動体10に送信する。移動体10は、更新経路の情報を取得したら(ステップS18)、更新経路に従って移動する(ステップS20)。
【0072】
なお、以上の説明では、情報処理装置14が、更新経路を設定したが、この処理を行う主体は情報処理装置14に限られない。例えば、故障を検出した移動体10が、障害物情報を取得したら(障害物を検出したら)、更新経路を設定してもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態においては、移動体10が経路R上の障害物を検出したら、元の目的位置とは異なる更新位置までの更新経路を設定する。そのため、移動体10は、障害物の前で停止し続けることなく、更新経路に従って移動することが可能となり、移動体10の稼働率の低下を抑制できる。さらに言えば、本実施形態においては、搬送中の目標物Pを、更新位置や現在位置に仮置きするため、以降の作業を継続することが可能となり、移動体10の稼働率の低下を好適に抑制できる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、障害物が検出されてから所定時間が経過した後に、移動体10に、障害物がまだその位置にあるかを検出させる点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0075】
図12及び
図13は、検出経路の設定の例を説明する模式図である。第2実施形態においては、情報処理装置14の作業設定部62は、障害物情報を取得してから所定時間が経過したら、すなわち経路R上の障害物が検出されてから所定時間が経過したら、検出経路を設定する。検出経路とは、障害物を検出可能な検出位置を通る経路である。検出位置は、障害物を検出可能な任意の位置であってよいが、例えば、障害物の近傍位置に対して所定距離範囲内の位置(ウェイポイントA)であってよい。以下、検出経路の設定をより具体的に説明する。
【0076】
ここで、障害物Dを検出した移動体10が搬送していた目標物PAの目標位置(
図12の例ではウェイポイントAe)を第1目標位置とする。この場合、作業設定部62は、障害物情報を取得してから所定時間が経過した後に、第1目標位置とは異なる第2目標位置に向かう経路Rが設定されている作業がある場合には、その作業が割り当てられる移動体10に対して、検出位置を通りつつ、第2目標位置に向かう経路を、検出経路として設定する。作業設定部62は、設定した検出経路を、経由位置を通って第2目標位置に向かう経路Rが設定されている移動体10に送信する。移動体10の移動制御部82は、検出経路の情報を取得したら、検出経路に従って移動体10を移動させる。移動制御部82は、移動体10が検出位置に到着したら、センサ26Aにより、周囲(障害物が存在していた位置)を検出させて、障害物がまだ存在しているかを確認して、検出経路に従った移動を再開して、第2目標位置に向かう。すなわち、移動体10は、移第2目標位置に向かう前に、検出位置に寄り道して障害物Dを検出させる。移動制御部82は、障害物が存在しないことが確認されたら、情報処理装置14に、除去情報を送信する。情報処理装置14が除去情報を取得した後の処理は、第1実施形態と同様なので、説明を省略する。一方、移動制御部82は、障害物が存在することが確認できた場合には、障害物が残っている旨の情報を情報処理装置14に送信してもよいし、しなくてもよい。情報処理装置14は、障害物が残っている場合には、すなわち、除去情報を取得しなかったり、障害物が残っている旨の情報を取得したりした場合には、さらに所定時間が経過した後に、検出経路を設定する同様の処理を繰り返してよい。
【0077】
また、障害物が検出された位置(又は検出位置)に対して所定距離内にある位置を経由位置とすると、作業設定部62は、経由位置を通って第2目標位置に向かう経路Rが設定されている作業がある場合に、その作業が割り当てられる移動体10に対して、検出経路を設定する。すなわち、作業設定部62は、障害物Dに近い位置を通る予定の移動体10に対して、検出位置に寄り道させて障害物Dを検出させる。これにより、障害物Dを検出するための時間が長くなることを抑制できる。なお、経由地点は、障害物が検出された位置(又は検出位置)に対して所定距離内にある任意の位置であってよいが、例えば、通路WA1と通路WA2との交差点(
図12の例ではウェイポイントAk)であってよい。
【0078】
図12の例では、検出位置がウェイポイントAfであり、経由位置がウェイポイントAkとなっている。そして、
図12の例では、障害物Dが検出されてから所定時間の経過後に、移動体10Aに対して、初期位置であるウェイポイントAnから、第1位置であるウェイポイントAj1を通り、第2位置であるウェイポイントAj2に向かう経路RCが設定されている。経路RCは、初期位置から第1位置までの間において、経由位置であるウェイポイントAkを通る。すなわち、移動体10Aの経路RCは、ウェイポイントAn(初期位置)からウェイポイントAj1(第1位置)までの間において、ウェイポイントAk(経由位置)を通るため、情報処理装置14は、移動体10Aに対して検出経路を設定する。具体的には、
図13に示すように、情報処理装置14は、ウェイポイントAn(初期位置)からウェイポイントAf(検出位置)を通って、ウェイポイントAj1(第1位置)に向かい、その後ウェイポイントAj2(第2位置)に向かう経路を、検出経路RDとして設定する。移動体10Aは、ウェイポイントAfにおいて障害物Dが存在するかを検出した後に、ウェイポイントAj1に移動して目標物Pをピックアップして、ウェイポイントAj2に移動して、目標物Pをドロップする。
【0079】
なお、
図12及び
図13の例では、初期位置(出発元)と第1位置(搬送元)との間で経由位置を通る経路が設定されている場合に、移動体10Aに対して検出経路を設定していたが、それに限られない。例えば、第1位置(搬送元)と第2位置(搬送先)との間で経由位置を通る経路が存在する設定されている場合であっても、その経路が設定されている移動体10に対して、検出経路を設定してよい。この場合、情報処理装置14は、初期位置から第1位置に向かい、第1位置から検出位置に向かい、検出位置から第2位置に向かう経路を、検出経路として設定する。
【0080】
ここで、障害物が除去された旨の除去情報は、作業者によって入力されてもよい。しかしながら、作業者が入力する場合には、誤入力により、除去されていないのに除去情報が入力されたり、除去されているのに除去情報の入力が忘れられたりするおそれがある。それに対し、第2実施形態においては、作業中の移動体10に検出位置まで寄り道させて、障害物がまだ存在するかを検出させる。従って、除去情報が誤入力されたり、入力し忘れたりすることが抑制されて、障害物が除去された旨の情報を、適切に検出できる。これにより、障害物の有無に応じて移動体10の経路を適切に設定できるため、結果として、移動体10の稼働率の低下を抑制できる。
【0081】
なお、第2実施形態の処理は、第1実施形態と組み合わせることなく、単独で実施できる。すなわち、障害物が検出された場合に更新経路を設定することなく、第2実施形態のように、障害物の検出位置に向かう検出経路を設定してよい。また、上記の説明では、検出経路は、情報処理装置14により設定されるが、それに限られず、移動体10が、自身で検出経路を設定してもよい。
【0082】
(本開示の効果)
以上説明したように、本開示の情報処理方法は、目的位置までの経路Rを移動中の移動体10から、経路R上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、障害物情報を取得したら、移動体10用の経路として、目的位置とは異なる位置である更新位置までの更新経路を設定するステップと、を含む。本開示によると、移動体10が障害物の前で停止し続けることなく、更新経路に従って移動することが可能となり、移動体10の稼働率の低下を抑制できる。
【0083】
本開示の情報処理方法は、移動体10を、更新経路に従って移動させるステップを更に含む。本開示によると、移動体10が障害物の前で停止し続けることなく、更新経路に従って移動することが可能となり、移動体10の稼働率の低下を抑制できる。
【0084】
更新経路を設定するステップにおいては、移動体10の現在位置に対して、現在位置から障害物に向かう第1方向とは反対の第2方向側の位置を、更新位置として設定する。このようにして更新位置を設定することで、障害物に対して後退させることが可能となり、以降の作業を適切に実施できる。
【0085】
更新経路を設定するステップにおいては、障害物の大きさと、更新位置の候補となる候補位置までの距離との少なくとも一方に基づき、更新位置を設定する。このように更新位置を設定することで、以降の作業を適切に実施させることができる。
【0086】
本開示においては、移動体10は目標物Pを搬送中であり、更新経路を設定するステップにおいては、搬送中の目標物PAを移動体10の現在位置でドロップさせる旨の指令を設定しつつ、搬送中の目標物PAとは異なる目標物Pの設置位置(第1位置)を更新位置として、更新経路を設定する。本開示によると、目標物Pを現在位置でドロップさせてから、次の作業における第1位置に向かわせるため、以降の作業を継続することが可能となり、移動体10の稼働率の低下を好適に抑制できる。
【0087】
本開示においては、移動体10は目標物Pを搬送中であり、更新経路を設定するステップにおいては、目的位置とは異なる位置を更新位置として更新経路を設定しつつ、搬送中の目標物PAを更新位置でドロップさせる旨の指令を設定する。本開示によると、目標物Pを更新位置でドロップさせるため、以降の作業を継続することが可能となり、移動体10の稼働率の低下を好適に抑制できる。
【0088】
本開示においては、経路R上に障害物が存在しなくなった旨の除去情報を取得するステップと、除去情報を取得したら、目標物PAをドロップした位置から目的位置までの経路である再搬送経路を設定するステップと、を更に含む。本開示によると、障害物が存在しなくなった後に、仮置きした目標物PAを、元の目標位置に適切に搬送できる。
【0089】
本開示の情報処理方法は、第1目的位置までの経路を移動中の移動体10から、経路上に障害物が存在する旨の障害物情報を取得するステップと、障害物情報を取得したら、第1目的位置とは異なる第2目的位置までの経路が設定されている移動体10に対して、障害物を検出可能な検出位置を通りつつ、第2目的位置に到達する経路である検出経路を設定するステップと、を含む。本開示によると、作業中の移動体10に検出位置まで寄り道させて、障害物がまだ存在するかを検出させる。従って、除去情報が誤入力されたり、入力し忘れたりすることが抑制されて、障害物が除去された旨の情報を適切に検出でき、結果として、移動体10の稼働率の低下を抑制できる。
【0090】
検出経路を設定するステップにおいては、第2目的位置までの経路が、障害物が検出された位置に対して所定距離内にある経由位置を通る場合に、その経路が設定されている移動体10に対して、検出経路を設定する。このように、障害物に近い位置を通る予定の移動体10に対して、検出位置に寄り道させて障害物を検出させることで、障害物を検出するための時間が長くなることを抑制できる。
【0091】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0092】
10 移動体
12 管理装置
14 情報処理装置
40 移動先情報設定部
60 移動先情報取得部
62 作業設定部
64 障害物情報取得部
80 作業取得部
82 移動制御部
84 障害物検出部
A ウェイポイント
P 目標物