(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】堆積装置及び堆積方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240606BHJP
C23C 16/452 20060101ALI20240606BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20240606BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240606BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/452
C23C16/50
H01L21/31 C
H01L21/205
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022093372
(22)【出願日】2022-06-09
【審査請求日】2022-06-09
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】王 亘黼
(72)【発明者】
【氏名】董 福慶
(72)【発明者】
【氏名】王 慶鈞
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0147488(US,A1)
【文献】特開2016-208027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0065594(US,A1)
【文献】特開2010-186885(JP,A)
【文献】特表2006-524911(JP,A)
【文献】特開2013-197291(JP,A)
【文献】特開平06-077136(JP,A)
【文献】特開2017-053024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/31
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子層堆積法を高アスペクト比構造に対して実行するように構成された堆積装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、前記高アスペクト比構造を有する基板を担持するように構成されたプラットフォームと、
前記チャンバ内に配置されたシャワーヘッドと、
前記プラットフォームに結合されたバイアス電源と、
前記チャンバに接続された第1注入装置と、
前記チャンバに接続された第2注入装置と
を具えた堆積装置において、
前記第1注入装置は、第1前駆体または第1不活性ガスを、前記シャワーヘッドを通して第1方向に沿って前記チャンバ内に注入するように構成され、
前記第2注入装置は、第2前駆体または第2不活性ガスを、前記第1方向と垂直な第2方向に沿って前記チャンバ内に注入するように構成され、
前記第1注入装置及び前記第2注入装置は、前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、前記第1前駆体または前記第2前駆体が前記チャンバ内に注入されると、前記バイアス電源がオン状態にされ、
前記第1前駆体または前記第2前駆体が前記チャンバ内に注入された後に、前記第1注入装置が前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入し、あるいは前記第2注入装置が前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入し、前記バイアス電源がオフ状態にされる堆積装置。
【請求項2】
前記第1注入装置または前記シャワーヘッドに結合された無線周波数電源をさらに具えている、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項3】
前記チャンバに接続され、ポンプ空気流を前記第2方向に発生するエアポンプ装置をさらに具えている、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項4】
前記チャンバに接続された低圧チャンバと、
前記低圧チャンバに接続されたエアポンプ装置とをさらに具え、
前記低圧チャンバの圧力は前記チャンバの圧力よりも低く、ポンプ空気流が前記第2方向に発生する、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項5】
前記低圧チャンバと前記チャンバとの間に配置されたバルブをさらに具えている、請求項4に記載の堆積装置。
【請求項6】
複数の空気供給路と複数のエアポンプ流路とが前記チャンバ内に交互に配置され、前記空気供給路及び前記エアポンプ流路は前記プラットフォームの上方に位置し、前記第1注入装置が前記空気供給路に接続され、前記堆積装置は、前記エアポンプ流路に接続されてポンプ空気流を前記第1方向に発生するエアポンプ装置をさらに具えている、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項7】
複数の空気供給路と複数のエアポンプ流路とが前記チャンバ内に交互に配置され、前記空気供給路及び前記エアポンプ流路は前記プラットフォームの上方に位置し、前記第1注入装置が前記空気供給路に接続され、前記堆積装置は、前記エアポンプ流路に接続された低圧チャンバと、該低圧チャンバに接続されてポンプ空気流を前記第1方向に発生するエアポンプ装置とをさらに具え、前記低圧チャンバの圧力は前記チャンバの圧力よりも低い、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項8】
前記低圧チャンバと前記チャンバとの間に配置されたバルブをさらに具えている、請求項7に記載の堆積装置。
【請求項9】
前記第1注入装置に熱的に結合されて前記第1前駆体を加熱する第1ヒータと、
前記第2注入装置に熱的に結合されて前記第2前駆体を加熱する第2ヒータと
をさらに具えている、請求項1に記載の堆積装置。
【請求項10】
原子層堆積法を高アスペクト比構造に対して実行するように構成された堆積方法であって、
第1前駆体を第1方向に沿ってチャンバ内に注入し、バイアス電源をオン状態にして、前記高アスペクト比構造を有する基板へ前記第1前駆体を誘引するステップと、
第2前駆体を前記第1方向と垂直な第2方向に沿って前記チャンバ内に注入し、前記バイアス電源をオン状態にして、前記高アスペクト比構造を有する前記基板へ前記第2前駆体を誘引するステップと、
第1不活性ガスを前記第1方向に沿って前記チャンバ内に注入し、前記バイアス電源をオフ状態にして、前記第1前駆体の不要部分または前記第2前駆体の不要部分または副生成物をパージするステップと、
第2不活性ガスを前記第2方向に沿って前記チャンバ内に注入し、前記バイアス電源をオフ状態にして、前記第1前駆体の不要部分または前記第2前駆体の不要部分または前記副生成物をパージするステップと
を含む堆積方法。
【請求項11】
前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第1反応ステップを実行し、前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第2反応ステップを実行し、
前記第1反応ステップと前記第2反応ステップとを交互に2回実行する、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項12】
前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第1反応ステップを実行し、前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第2反応ステップを実行し、
前記第1反応ステップを2回実行し、次に前記第2反応ステップを2回実行する、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項13】
前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第1反応ステップを実行し、前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第2反応ステップを実行し、
前記第1反応ステップと前記第2反応ステップとを交互に2回実行する、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項14】
前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第1反応ステップを実行し、前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第2反応ステップを実行し、前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第3反応ステップを実行し、前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第4反応ステップを実行し、
前記第1反応ステップ~前記第4反応ステップを、この順に実行する、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項15】
前記第1前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第1不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第1反応ステップを実行し、前記第2前駆体を前記チャンバ内に注入し、これに続いて前記第2不活性ガスを前記チャンバ内に注入することによって第2反応ステップを実行し、
前記第1反応ステップを2回実行し、次に前記第2反応ステップを2回実行する、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項16】
前記チャンバへのポンプ空気流を前記第1方向または前記第2方向に発生させて、前記第1前駆体の不要部分または前記第2前駆体の不要部分を前記チャンバからポンプで排出するステップをさらに含む、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項17】
前記第1前駆体を加熱するステップと、
前記第2前駆体を加熱するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の堆積方法。
【請求項18】
無線周波数電源をオン状態にして、前記第1前駆体の反応を加速させるステップをさらに含む、請求項10に記載の堆積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は堆積装置及び堆積装置に関するものであり、より具体的には原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)装置及びALD法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
原子層堆積(ALD)法及びプラズマ支援原子層堆積(PEALD:plasma enhanced ALD)法は、半導体製造プロセスにおいて均一な厚さを有するコンフォーマル(共形)薄膜を基板の全面上に形成するために広く用いられている。ALD法は通常の化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)法に類似している。
【0003】
高アスペクト比構造を有する基板を一例として挙げる。ALD技術は、前駆体(プリカーサー)を水平方向に沿って注入することである。均一な厚さを有する薄膜を高アスペクト比構造内に形成することはできるが、垂直方向の成長速度が不十分であり、従ってコーティング効率を改善することができない。これとは対照的に、PEALD技術は、前駆体を垂直方向に注入することである。垂直方向の成長速度を増加させることはできるが、高アスペクト比構造内に形成される膜の厚さが均一ではなく、従ってコーティングの均一性を改善することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
技術課題
本発明は、コーティングの効率及び均一性の改善につながる堆積装置及び堆積方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題の解決策
本発明の好適例の1つは、原子層堆積(ALD)法を高アスペクト比構造に対して実行するように構成された堆積装置を提供する。この堆積装置は、チャンバと、プラットフォームと、シャワーヘッドと、バイアス電源と、第1注入装置と、第2注入装置とを含む。プラットフォーム及びシャワーヘッドはチャンバ内に配置され、プラットフォームは高アスペクト比構造を有する基板を担持する。バイアス電源はプラットフォームに結合されている。第1注入装置及び第2注入装置はチャンバに接続され、第1注入装置は、第1前駆体または第1不活性ガスを、シャワーヘッドを通して第1方向に沿ってチャンバ内に注入するように構成され、第2注入装置は、第2前駆体または第2不活性ガスを、第1方向と垂直な第2方向に沿ってチャンバ内に注入するように構成されている。第1注入装置及び第2注入装置は、シャワーヘッドを通して第1前駆体をチャンバ内に注入し、これに続いて第2前駆体をチャンバ内に注入する。第1前駆体または第2前駆体がチャンバ内に注入されると、バイアス電源がオン状態にされる。第1前駆体または第2前駆体がチャンバ内に注入された後に、第1注入装置が第1不活性ガスをチャンバ内に注入し、あるいは第2注入装置が第2不活性ガスをチャンバ内に注入し、バイアス電源がオフ状態にされる。
【0006】
本発明の好適例の1つは、次のステップを含む堆積方法を提供する。第1前駆体を第1方向に沿ってチャンバ内に注入し、バイアス電源をオン状態にして、高アスペクト比構造を有する基板へ第1前駆体を誘引するステップ。第2前駆体を第1方向と垂直な第2方向に沿ってチャンバ内に注入し、バイアス電源をオン状態にして、高アスペクト比を有する基板へ第2前駆体を誘引するステップ。第1不活性ガスを第1方向に沿ってチャンバ内に注入し、バイアス電源をオフ状態にして、第1前駆体の不要部分または第2前駆体の不要部分または副生成物をパージするステップ。第2不活性ガスを第2方向に沿ってチャンバ内に注入し、バイアス電源をオフ状態にして、第1前駆体の不要部分または第2前駆体の不要部分または副生成物をパージするステップ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1つ以上の好適例において提供される堆積装置及び堆積方法では、第1前駆体と第2前駆体とを互いに垂直な2つの方向に沿ってチャンバ内に注入し、第1前駆体は基板に向かって(例えば、垂直方向に)流れる下降流(ダウンストリーム)を形成し、次に第2前駆体は基板を通って(例えば、水平方向に)流れる直交流(クロスフロー)を形成する。下降流と直交流との交互作用は、薄膜の垂直方向の成長速度の加速につながるだけでなく、高アスペクト構造内に形成される薄膜の均一性の改善にもつながる。他の態様では、下降流と直交流との交互作用中にバイアス電源をオン状態にして、プラットフォーム及びその上の基板にバイアスを印加する。バイアスの作用下で、第1及び第2前駆体は基板へ誘引されて高アスペクト比構造内へ移動し、このことはコーティングの効率及び均一性の改善につながる。
【0008】
図面を伴ういくつかの好適な実施形態を以下で詳細に説明して、本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1A~
図1Hは、本発明の第1実施形態~第8実施形態による堆積装置の概略図である。
【
図2】
図2A~
図2Eは、本発明の一実施形態による、高アスペクト比構造に対する堆積プロセスの概略的な部分拡大図である。
【
図3A】本発明の第1実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
【
図3B】
図3Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
【
図4A】本発明の第2実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
【
図4B】
図4Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
【
図5A】本発明の第3実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
【
図5B】
図5Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
【
図6A】本発明の第4実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
【
図6B】
図6Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
【
図7A】本発明の第5実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
【
図7B】
図7Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A~
図1Hは、本発明の第1実施形態~第8実施形態による堆積装置の概略図である。
図1を参照すれば、本実施形態では、堆積装置100は原子層堆積(ALD)装置とすることができ、高アスペクト比基板に対するALDに適合させることができる。詳細には、堆積装置100は、チャンバ110と、プラットフォーム120と、シャワーヘッド25と、バイアス電源130と、第1注入装置140と、第2注入装置150とを含み、プラットフォーム120はチャンバ110内に配置され、基板10はプラットフォーム120上に配置されている。一方、基板10は、複数の高アスペクト比構造11、例えば止まり穴(ブラインドホール)または溝を有する。
【0011】
シャワーヘッド25は、第1注入装置140に対応してチャンバ110内に配置され、プラットフォーム120の上方に位置する。第1注入装置140及び第2注入装置150はチャンバ110に接続され、第1注入装置140は、第1前駆体20または第1不活性ガス21を、シャワーヘッド25を通して第1方向D1に沿ってチャンバ110内に均等に注入するように構成され、第2注入装置150は、第2前駆体30または第2不活性ガス31を、第1方向D1と垂直な第2方向D2に沿ってチャンバ110内に注入するように構成されている。具体的には、第1前駆体20は、シャワーヘッド25を通って第1方向D1(例えば、垂直方向)に沿ってチャンバ110内に均等に注入されて基板10に向かって流れて下降流を形成し、このことは薄膜の垂直方向の成長速度の加速につながる。これとは対照的に、第2前駆体30は、第2方向D2(例えば、水平方向)に沿ってチャンバ110内に注入されて基板10を通って流れて直交流を形成し、このことは高アスペクト比構造11内に形成される薄膜の均一性の改善につながる。
【0012】
第1前駆体20がシャワーヘッド25を通ってチャンバ内に均等に注入されるプロセスでは、第1前駆体20が1つの単原子層の化学吸収を基板10の表面上及び高アスペクト比構造の内壁面上に発生し、これにより、基板10の表面上及び高アスペクト比構造11の内壁面上に官能基が生成され、このことが前半の反応ステップである。第2前駆体30がチャンバ110内に注入されるプロセスでは、第2前駆体30が、基板10の表面上及び高アスペクト比構造11の内壁面上に位置する第1前駆体20の官能基と反応して1つの単原子層を形成し、このことが後半の反応ステップである。
【0013】
即ち、前半の反応ステップ及び後半の反応ステップでは,第1前駆体20と第2前駆体30とが2つの異なる方向のそれぞれに沿って注入され、このことは、高アスペクト比構造11内に形成される薄膜のコーティング効率の改善につながるだけでなく、均一性の改善にもつながる。
【0014】
図1Aに示すように、バイアス電源130はプラットフォーム120に電気的に結合されている。第1前駆体20または第2前駆体30がチャンバ110内に注入されると、バイアス電源130がオン状態にされて、プラットフォーム120及びその上の基板10にバイアスを印加する。バイアスの作用下で、第1前駆体20または第2前駆体30が基板10へ誘引されて高アスペクト比構造11内へ移動し、このことはコーティングの効率及び均一性の改善につながる。
【0015】
第1前駆体20または第2前駆体30がチャンバ110内に注入された後に、第1注入装置140が第1不活性ガス21をチャンバ110内に注入し、バイアス電源130がオフ状態にされ、このことは、高アスペクト比構造11の開口部を塞ぐ第1前駆体20または第2前駆体30をパージまたは一掃することにつながり、第1前駆体20または第2前駆体30が高アスペクト比構造11内へ円滑に入り込むことを可能にする。
【0016】
具体的には、第1不活性ガス21は第1方向D1(例えば、垂直方向)に沿ってチャンバ110内に注入され、基板10に向かって流れて、第1前駆体20または第2前駆体30が高アスペクト比構造11内へ入り込んで高アスペクト比構造11の内壁面全体にわたって広がるプロセスを加速し;同時に、第1前駆体の不要部分または第2前駆体の不要部分がパージされ、これは第1パージステップである。一方、第2不活性ガス31は第2方向(例えば、水平方向)に沿ってチャンバ110内に注入されて、基板10を通って流れて、高アスペクト比構造11の開口部を塞ぐ第1前駆体20または第2前駆体30をパージまたは一掃し、これは第2パージステップである。
【0017】
第1実施形態において提供される堆積プロセスでは、前半の反応ステップ、第2パージステップ、後半の反応ステップ、及び第1パージステップを、この順に2回実行する。
【0018】
第2実施形態において提供される堆積プロセスでは、前半の反応ステップ及び第2パージステップを、この順に2回実行し、後半の反応ステップ及び第1パージステップを、この順に2回実行する。
【0019】
第3実施形態において提供される堆積プロセスでは、前半の反応ステップ、第1パージステップ、後半の反応ステップ、及び第2パージステップを、この順に2回実行する。
【0020】
第4実施形態において提供される堆積プロセスでは、前半の反応ステップ、第1パージステップ、後半の反応ステップ、及び第1パージステップを、この順に実行し、前半の反応ステップ、第2パージステップ、後半の反応ステップ、及び第2パージステップを、この順に実行する。
【0021】
第5実施形態において提供される堆積プロセスでは、前半の反応ステップ及び第1パージステップを、この順に2回実行し、後半の反応ステップ及び第2パージステップを、この順に2回実行する。
【0022】
図1Aを参照すれば、
図1Aは第1実施形態による堆積装置の概略図であり、本実施形態における堆積プロセス100は、無線周波数(RF:radio frequency)電源160及びエア(空気)ポンプ装置170をさらに含み、RF電源160は第1注入装置140に電気的に結合され、あるいはシャワーヘッド25に電気的に結合され、第1前駆体20が注入される際にRF電源160がオン状態にされて;プラズマを発生することによって第1前駆体20の解離反応が加速され、バイアス電源130を同時にオン状態にして、プラットフォーム120及びその上の基板10にバイアスを印加することができる。バイアスの作用下で、第1前駆体20が基板10へ誘引されて高アスペクト比構造11内へ移動し、このことはコーティングの効率及び均一性の改善につながる。それに加えて、エアポンプ装置170はチャンバ110に接続されてポンプ空気流40を第2方向D2に発生する。堆積プロセスを完全に実行した後に、エアポンプ装置170がオン状態にされて、第1前駆体20の不要部分及び/または第2前駆体30の不要部分及び/または副生成物をチャンバ110からパージする。
【0023】
図1Bを参照すれば、
図1Bは第2実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Aと、
図1Aに示す第1実施形態において提供される堆積装置100との相違は、堆積装置100Aは第1注入装置140に熱的に結合された第1ヒータ180及び第2注入装置150に熱的に結合された第2ヒータ181をさらに含むことにある。具体的には、第1前駆体20がチャンバ110内に注入されると、第1ヒータ180がオン状態にされて第1前駆体20を加熱して、第1前駆体20の反応に必要なエネルギーを供給する。それに加えて、第2前駆体30がチャンバ110内に注入されると、第2ヒータ181がオン状態にされて第2前駆体30を加熱して、第2前駆体30の反応に必要なエネルギーを供給する。
【0024】
図1Cを参照すれば、
図1Cは第3実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Bと、
図1Aに示す第1実施形態において提供される堆積装置100との相違は、堆積装置110Bはチャンバ110に接続された低圧チャンバ101をさらに含むことにあり、エアポンプ装置170が低圧チャンバ101に接続され、エアポンプ装置170は低圧チャンバ101に対するエアポンプ排出を実行し、これにより低圧チャンバ101は真空状態に近い状態、例えば10
-4torr(13.3322mPa)に留まる。
【0025】
具体的には、エアポンプ装置170は低圧チャンバ101を通して間接的にチャンバ110に接続され、低圧チャンバ101の圧力はチャンバ110の圧力よりも低い。換言すれば、チャンバ110と低圧チャンバ101との間に圧力差が存在する。具体的には、堆積装置110Bは、チャンバ110と低圧チャンバ101との間に配置されたバルブ102をさらに含む。堆積プロセス中には、バルブ102はオフ(閉)状態である。堆積プロセスを完全に実行した後に、バルブ102がオン(開)状態にされてチャンバ110と低圧チャンバ101とを連通させて、ポンプ空気流40を第2方向D2に発生させて、第1前駆体20の不要部分及び/または第2前駆体30の不要部分及び/または副生成物をチャンバ110から迅速にパージする。
【0026】
図1Dを参照すれば、
図1Dは第4実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Cと、
図1Cに示す第3実施形態において提供される堆積装置100Bとの相違は、堆積装置100Cは第1注入装置140に熱的に結合された第1ヒータ180及び第2注入装置150に熱的に結合された第2ヒータ181をさらに含むことにある。堆積装置100Cは、チャンバ110に接続された低圧チャンバ101を有し、第1前駆体20がチャンバ110内に注入されると、第1ヒータ180がオン状態にされて第1前駆体20を加熱して、第1前駆体20の反応に必要なエネルギーを供給する。それに加えて、第2前駆体30がチャンバ110内に注入されると、第2ヒータ181がオン状態にされて第2前駆体30を加熱して、第2前駆体30の反応に必要なエネルギーを供給する。
【0027】
図1Eを参照すれば、
図1Eは第5実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Dと、
図1Aに示す第1実施形態において提供される堆積装置100との相違は、第1前駆体20及びポンプ空気流40の流路の配置にある。本実施形態では、複数の空気供給路111と複数のエアポンプ流路112とがチャンバ110内に交互に配置され、空気供給路111及びエアポンプ流路112はプラットフォーム120の上方に位置する。本実施形態では、空気供給路111及びエアポンプ流路112は第1注入装置140とプラットフォーム120との間に位置する。
【0028】
詳細には、第1注入装置140が空気供給路111に接続され、第1前駆体20が空気供給路111を通って基板10に向かって流れる。一方、ポンプ装置170はエアポンプ流路112に接続されてポンプ空気流40を第1方向D1に発生する。堆積プロセスを完全に実行した後に、エアポンプ装置170をオン状態にして、前駆体20の不要部分及び/または前駆体30の不要部分及び/または副生成物をチャンバ110からパージする。
【0029】
図1Fを参照すれば、
図1Fは第6実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Eと、
図1Eに示す第5実施形態において提供される堆積装置100Dとの相違は、堆積装置100Eは第1注入装置140に熱的に結合された第1ヒータ180及び第2注入装置150に熱的に結合された第2ヒータ181をさらに含むことにある。具体的には、第1前駆体20がチャンバ110に注入されると、第1ヒータ180がオン状態にされて第1前駆体20を加熱して、第1前駆体20の反応に必要なエネルギーを供給する。それに加えて、第2前駆体30がチャンバ110内に注入されると、第2ヒータ181がオン状態にされて第2前駆体30を加熱して、第2前駆体30の反応に必要なエネルギーを供給する。
【0030】
図1Gを参照すれば、
図1Gは第7実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Fと、
図1Eに示す第5実施形態において提供される堆積装置100Dとの相違は、堆積装置100Fはチャンバ110に接続された低圧チャンバ101をさらに含むことにあり、エアポンプ装置170が低圧チャンバ101に接続され、エアポンプ装置170は低圧チャンバ101に対するエアポンプ排出を実行し、これにより低圧チャンバ101は、真空状態に近い状態、例えば10
-4torr(13.3322mPa)に留まる。
【0031】
具体的には、エアポンプ装置170は低圧チャンバ101を通して間接的にチャンバ110に接続され、低圧チャンバ101の圧力はチャンバ110の圧力よりも低い。即ち、チャンバ110と低圧チャンバ101との間に圧力差が存在する。具体的には、堆積装置100Fは、チャンバ110と低圧チャンバ101との間に配置されたバルブ102をさらに含む。堆積プロセス中には、バルブ102がオフ状態にされる。堆積プロセスを完全に実行した後に、バルブ102をオン状態にしてチャンバ110と低圧チャンバ101とを連通させて、ポンプ空気流40を第1方向D1に発生させて、第1前駆体20の不要部分及び/または第2前駆体30の不要部分及び/または副生成物をチャンバ110からパージする。
【0032】
図1Hを参照すれば、
図1Hは第8実施形態による堆積装置の概略図であり、堆積装置100Gと、
図1Gに示す第7実施形態において提供される堆積装置100Fとの相違は、堆積装置100Gは第1注入装置140に熱的に結合された第1ヒータ180及び第2堆積装置150に熱的に結合された第2ヒータ181をさらに含むことにある、堆積装置100Gはチャンバ110に接続された低圧チャンバ101をさらに含み、第1前駆体20がチャンバ110内に注入されると、第1ヒータ180がオン状態にされて前駆体20を加熱して、第1前駆体20の反応に必要なエネルギーを供給する。それに加えて、第2前駆体30がチャンバ110内に注入されると、第2ヒータ181がオン状態にされて第2前駆体30を加熱して、第2前駆体30の反応に必要なエネルギーを提供する。
【0033】
図2A~
図2Eは、本発明の一実施形態による、高アスペクト比構造に対する堆積プロセスの概略的な部分拡大図である。
図1A及び
図2Aを参照すれば、まず、第1前駆体20がシャワーヘッド25を通って第1方向D1に沿ってチャンバ110内に均等に注入されて、基板10に向かって流れる。次に、
図2Bに示すように、第2不活性ガス31が第2方向D2に沿ってチャンバ110内に注入されて、高アスペクト比構造11の開口部内に詰まった第1前駆体20をパージまたは一掃し、これにより第1前駆体20は
図2A及び
図2Bに示すように高アスペクト比構造11内へ円滑に入り込むことができる。次に、
図1A及び
図2Cを参照すれば、第2前駆体30が第2方向D2に沿ってチャンバ110内に注入されて、基板10を通って流れる。次に、
図2Dに示すように、第1不活性ガス21がシャワーヘッド25を通って第1方向D1に沿ってチャンバ110内に均等に注入されて基板10に向かって流れて、
図2C及び
図2Dに示すように、第2前駆体30が高アスペクト比構造11内へ入り込んで高アスペクト比構造11の内壁面全体にわたって広がる速度を加速する。最後に、
図2Eに示すように、コンフォーマル(共形)で均一な厚さを有する薄膜50が高アスペクト比構造11内に形成され、前駆体20の不要部分及び前駆体30の不要部分及び/または副生成物がパージされる。
【0034】
図3Aは、本発明の第1実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
図3Bは、
図3Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
図3A及び
図3Bを参照すれば、この堆積方法は、堆積装置100及び堆積装置100A~100Gのいずれかによって実行することができる。
【0035】
具体的には、第1実施形態によって提供される堆積方法は、
図3A及び
図3Bに示すように第1反応ステップ及び第2反応ステップを含み:
第1反応ステップでは、前半の反応ステップS1(第1前駆体20を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第2パージステップS2(第2不活性ガス31を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する;
第2反応ステップでは、後半の反応ステップS3(第2前駆体30を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第1パージステップS4(第1不活性ガス21を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する。
【0036】
図3A及び
図3Bに示すように、本発明の第1実施形態において提供される堆積方法は、第1反応ステップと第2反応ステップとを交互に実行することを含む。即ち、前半の反応ステップS1、第2パージステップS2、後半の反応ステップS3、及び第1パージステップS4を、この順に実行して、前半の反応ステップS1、第2パージステップS2、後半の反応ステップS3、及び第1パージステップS4を、この順に再度実行する。最後に、パージステップ及びエアポンプ排出ステップ(即ち、洗浄(クリーニング)ステップS5)を実行する。洗浄ステップS5では、不活性ガス(例えば、第1不活性ガス21または第2不活性ガス31)を注入して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をパージし、エアポンプ排出ステップをチャンバ110に対して実行して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をチャンバ110からポンプで排出する。ここで洗浄ステップS5は省略することができ、本発明における限定として解釈するべきでない。
【0037】
図4Aは、本発明の第2実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
図4Bは、
図4Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
図4A及び
図4Bを参照すれば、堆積方法は、堆積装置100及び堆積装置100A~100Gのいずれかによって実行することができる。
【0038】
具体的には、第2実施形態において提供される堆積方法は、
図4A及び
図4Bに示すように第1反応ステップ及び第2反応ステップを含み:
第1反応ステップでは、前半の反応ステップS1(第1前駆体20を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第2パージステップS2(第2不活性ガス31を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)をこの順に実行する;
第2反応ステップでは、後半の反応ステップS3(第2前駆体30を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第1パージステップS4(第1不活性ガス21を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)をこの順に実行する。
【0039】
図4A及び
図4Bに示すように、本発明の第2実施形態において提供される堆積方法は、第1反応ステップを2回実行し、次に第2反応ステップを2回実行することを含む。即ち、前半の反応ステップS1、第2パージステップS2、前半の反応ステップS1、及び第2パージステップS2をこの順に実行する。最後に、上記パージステップ及びエアポンプ排出ステップ(即ち、洗浄ステップS5)を実行する。洗浄ステップS5では、不活性ガス(例えば、第1不活性ガス21または第2不活性ガス31)を注入して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をパージし、エアポンプ排出ステップをチャンバ110に対して実行して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をチャンバ110から除去する。ここで洗浄ステップS5は省略することができ、本発明における限定として解釈するべきでない。
【0040】
図5Aは、本発明の第3実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
図5Bは、
図5Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
図5A及び
図5Bを参照すれば、この堆積方法は堆積装置100及び堆積装置100A~100Gのいずれかによって実行することができる。
【0041】
具体的には、第3実施形態において提供される堆積方法は、
図5A及び
図5Bに示すように第1反応ステップ及び第2反応ステップを含み:
第1反応ステップでは、前半の反応ステップ(第1前駆体20を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第1パージステップS4(第1不活性ガス21を第1方向に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する;
第2反応ステップでは、後半の反応ステップS3(第2前駆体を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第2パージステップS2(第2不活性ガス31を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する。
【0042】
図5A及び
図5Bに示すように、本発明の第3実施形態において提供される堆積方法は、第1反応ステップと第2反応ステップとを交互に2回実行することを含む。即ち、前半の反応ステップS1、第1パージステップS4、後半の反応ステップS3、及び第2パージステップS2を、この順に実行し、前半の反応ステップS1、第1パージステップS4、後半の反応ステップS3、及び第2パージステップS2を、再度この順に実行する。最後に、パージステップ及びエアポンプ排出ステップ(即ち、洗浄ステップS5)を実行する。洗浄ステップS5では、不活性ガス(例えば、第1不活性ガス21または第2不活性ガス31)を注入して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をパージし、エアポンプ排出ステップをチャンバ110に対して実行して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をチャンバ110からポンプで排出する。ここで洗浄ステップS5は省略することができ、本発明における限定として解釈するべきでない。
【0043】
図6Aは、本発明の第4実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
図6Bは、
図6Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。この堆積方法は堆積装置100及び堆積装置100A~100Gのいずれかによって実行することができる。
【0044】
具体的には、第4実施形態において提供される堆積方法は、
図6A及び
図6Bに示すように第1反応ステップ~第4反応ステップを含み:
第1反応ステップでは、前半の反応ステップS1(第1前駆体20を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第1パージステップS4(第1不活性ガス21を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する;
第2反応ステップでは、後半の反応ステップS3(第2前駆体30を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第1パージステップS4を、この順に実行する;
第3反応ステップでは、前半の反応ステップS1及び第2パージステップS2(第2不活性ガス31を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する;
第4反応ステップでは、後半の反応ステップS3及び第2パージステップS2を、この順に実行する。
【0045】
本発明の第4実施形態において提供される堆積方法は、第1反応ステップ~第4反応ステップを、この順に実行することを含む。
図6Bに示すように、前半の反応ステップS1及び第1パージステップS4を、この順に実行し、後半の反応ステップS3及び第1パージステップS4を実行し、前半の反応ステップS1及び第2パージステップS2を実行し、そして後半の反応ステップS3及び第2パージステップS2を実行する。最後に、パージステップ及びエアポンプ排出ステップ(即ち、洗浄ステップS5)を実行する。洗浄ステップS5では、不活性ガス(例えば、第1不活性ガス21または第2不活性ガス31)を注入して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をパージし、エアポンプ排出ステップをチャンバ110に対して実行して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をチャンバ110からポンプで排出する。ここで洗浄ステップS5は省略することができ、本発明における限定として解釈するべきでない。
【0046】
図7Aは、本発明の第5実施形態による堆積方法の概略フローチャートである。
図7Bは、
図7Aに示す堆積方法を例示する概略時系列図である。
【0047】
具体的には、第5実施形態において提供される堆積方法は、
図7A及び
図7Bに示すように第1反応ステップ及び第2反応ステップを含み:
第1反応ステップでは、前半の反応ステップS1(第1前駆体20を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第1パージステップS4(第1不活性ガス21を第1方向D1に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する;
第2反応ステップでは、後半の反応ステップS3(第2前駆体30を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオン状態にする)及び第2パージステップS2(第2不活性ガス31を第2方向D2に沿って注入し、バイアス電源130をオフ状態にする)を、この順に実行する。
【0048】
本発明の第5実施形態において提供される堆積方法は、第1反応ステップを2回実行し、次に第2反応ステップを2回実行することを含む。
図7Bに示すように、前半の反応ステップS1、第1パージステップS4、前半の反応ステップS1、及び第1パージステップS4を、この順に実行し、次に後半の反応ステップS3、第2パージステップS2、後半の反応ステップS3、及び第2パージステップS2を、この順に実行する。最後に、パージステップ及びエアポンプ排出ステップ(即ち、洗浄ステップS5)を実行する。洗浄ステップS5では、不活性ガス(例えば、第1不活性ガス21または第2不活性ガス31)を注入して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をパージし、エアポンプ排出ステップをチャンバ110に対して実行して、第1前駆体20の不要部分、第2前駆体30の不要部分、及び/または他の副生成物をチャンバ110からポンプで排出する。ここで洗浄ステップS5は省略することができ、本発明における限定として考えるべきでない。
【0049】
要約すれば、本発明において提供される堆積装置及び堆積方法では、第1前駆体及び第2前駆体を互いに垂直な2つの方向に沿ってチャンバ内に注入し、第1前駆体は基板に向かって(例えば、垂直方向に)流れる下降流を形成し、次に第2前駆体は基板を通って(例えば、水平方向に)流れる直交流を形成する。下降流と直交流とが交互する動作は、垂直方向の薄膜の成長速度の加速につながるだけでなく、高アスペクト比構造内に形成される薄膜の均一性の改善にもつながる。他の態様では、下降流と直交流とが交互する動作中に、バイアス電源をオン状態にして、プラットフォーム及びその上の基板にバイアスを印加する。バイアスの作用下で、第1及び第2前駆体が基板へ誘引されて高アスペクト比構造内へ移動し、このことはコーティングの効率及び均一性の改善につながる。
【0050】
本発明の範囲または精神から逸脱することなしに、開示した実施形態の構造に種々の変更及び変形を加えることができることは、当業者にとって明らかである。以上のことを考慮して、本発明の変更及び変形が以下の特許請求の範囲及びその等価物に含まれるものとすれば、本発明はこれらの変更及び変形をカバーすることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の堆積装置及び堆積方法は、コーティングの効率及び均一性の改善につながる。
【符号の説明】
【0052】
参照符号リスト
10:基板
11:高アスペクト比構造
20:第1前駆体
21:第1不活性ガス
25:シャワーヘッド
30:第2前駆体
31:第2不活性ガス
40:ポンプ空気流
50:薄膜
100・100A~100G:堆積装置
101:低圧チャンバ
102:バルブ
110:チャンバ
111:空気供給路
112:エアポンプ流路
120:プラットフォーム
130:バイアス電源
140:第1注入装置
150:第2注入装置
160:無線周波数(RF)電源
170:エアポンプ装置
180:第1ヒータ
181:第2ヒータ
D1:第1方向
D2:第2方向
S1:前半の反応ステップ
S2:第2パージステップ
S3:後半の反応ステップ
S4:第1パージステップ
S5:洗浄ステップ