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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】パワーインダクター
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
H01F17/04 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022203116
(22)【出願日】2022-12-20
(62)【分割の表示】P 2021067459の分割
【原出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2023036767
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2016-0115770
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0074170
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0107780
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509275998
【氏名又は名称】モダ-イノチップス シーオー エルティディー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンテ
(72)【発明者】
【氏名】ソ テグン
(72)【発明者】
【氏名】パク サンジュン
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0086716(US,A1)
【文献】特開2016-139789(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021818(WO,A1)
【文献】特開2007-049142(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121575(WO,A1)
【文献】特表2017-524255(JP,A)
【文献】特開2007-242995(JP,A)
【文献】特開2009-177085(JP,A)
【文献】特開2013-254917(JP,A)
【文献】特開2008-235762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0086714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 27/06
H01F 27/08
H01F 27/23
H01F 27/26
H01F 27/28-27/29
H01F 27/30
H01F 27/32
H01F 27/36
H01F 27/42
H01F 30/00-38/12
H01F 38/16
H01F 38/42-41/04
H01F 41/08
H01F 41/10
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末及び絶縁物を含むボディと、
前記ボディの内部に設けられた少なくとも1つの基材と、
前記基材の少なくとも一方の面の上にメッキ工程によって形成された少なくとも1つのコイルパターンと、
前記ボディの互いに対向する2つの面の上に形成された表面改質部材と、
前記表面改質部材が形成された前記ボディの互いに対向する2つの面にメッキ工程によって形成された外部電極と、
を備え
前記表面改質部材は、Bi 、BO 、B 、ZnO、Co 、SiO 、Al 、MnO、H BO 、Ca(NO 、CaCO のうちの少なくともいずれか1種を含む酸化物が前記ボディの互いに対向する2つの面に分布されて形成されるパワーインダクター。
【請求項2】
前記コイルパターンと前記ボディとの間に形成され、パリレンを用いて形成された内部絶縁層を更に備える請求項に記載のパワーインダクター。
【請求項3】
前記ボディの少なくとも一表面の上に形成された表面絶縁層を更に備える請求項1又は2に記載のパワーインダクター。
【請求項4】
前記表面絶縁層は、前記外部電極が形成されていない前記ボディの少なくとも一表面の上に形成された請求項に記載のパワーインダクター。
【請求項5】
前記ボディの一方の面の上に形成されたキャッピング絶縁層を更に備える請求項3又は4に記載のパワーインダクター。
【請求項6】
前記キャッピング絶縁層は、前記ボディの実装面に対向する一方の面の上に形成され、前記一方の面の上に延設された前記外部電極が露出されないように形成された請求項に記載のパワーインダクター。
【請求項7】
前記キャッピング絶縁層は、前記表面絶縁層よりも厚いか又はそれに等しい厚さに形成された請求項に記載のパワーインダクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーインダクター(power inductor)に関し、特に、周辺装置とのショート(short)を防ぐことのできるパワーインダクター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーインダクターは、主として携帯機器内のDC-DCコンバーターなどの電源回路に設けられる。この種のパワーインダクターは、電源回路の高周波化及び小型化が進むことに伴い、既存の巻線型チョークコイル(Choke Coil)の代わりに好んでよく用いられている。なお、パワーインダクターは、携帯機器のサイズの縮小化及び多機能化が進むことに伴い、小型化、高電流化、低抵抗化などに向けた開発が行われている。
【0003】
従来のパワーインダクターは、多数の磁性体(フェライト)または低誘電率の誘電体からなるセラミックシートが積み重ねられた形状に製造されていた。このとき、セラミックシートの上にはコイルパターンが形成されるが、それぞれのセラミックシートの上に形成されたコイルパターンは、セラミックシートに形成された導電性ビアによって接続され、シートが積み重ねられる上下方向に沿って重なり合う構造を有する。なお、セラミックシートが積み重ねられて形成されたボディは、従来には、多くの場合、ニッケル(Ni)-亜鉛(Zn)-銅(Cu)-鉄(Fe)の4元系で構成された磁性体材料を用いて製作していた。
【0004】
ところが、磁性体材料は、飽和磁化値が金属材料に比べて低いが故に、最近の携帯機器が必要とする高電流特性を実現することができなくなる虞がある。このため、パワーインダクターを構成するボディを金属粉末を用いて製作することにより、ボディを磁性体で製作した場合に比べて相対的に飽和磁化値を高めることができる。しかしながら、金属を用いてボディを製作する場合、高周波における渦電流損及びヒステリシス損が高くなって材料の損失が大幅に増えてしまうという問題が生じる虞がある。
【0005】
このような材料の損失を低減するために、金属粉末の間をポリマーで絶縁する構造を適用している。即ち、金属粉末及びポリマーが混合されたシートを積み重ねてパワーインダクターのボディを製造する。また、ボディの内部には、コイルパターンが形成された所定の基材が設けられる。即ち、所定の基材の上にコイルパターンを形成し、その上側及び下側に複数枚のシートを積み重ねて圧着してパワーインダクターを製造する。
【0006】
このようなパワーインダクターは、ボディの下部面に形成された外部電極が印刷回路基板(Printed Circuit Board: PCB)の上に実装される。このとき、パワーインダクターは、電力管理IC(Power Management IC: PMIC)に隣接して実装される。PMICは、約1mmの厚さを有するが、パワーインダクターもまた、これと同じ厚さに製作される。PMICは、高周波ノイズを発生させて周辺回路又は素子に影響を与えるため、PMIC及びパワーインダクターをステンレス鋼などの金属材質のシールドカン(shield can)で覆うことになる。ところが、パワーインダクターは、外部電極が下面及び上面に延設されるため、パワーインダクターの上面の外部電極がシールドカンとショート(short)する。
【0007】
一方、パワーインダクターは、外部電極を、導電性ペーストを塗布して形成してもよい。即ち、ボディの両側面にコイルパターンと接続されるように金属ペーストを塗布して外部電極を形成する。また、金属ペーストの上にメッキ層を更に形成して外部電極を形成してもよい。ところが、金属ペーストを用いて形成された外部電極は結合力が弱いため、ボディから離脱する恐れがある。即ち、電子機器に実装されたパワーインダクターには引張り力が働くことがあるが、金属ペーストを用いて外部電極が形成されたパワーインダクターは引張り強度が弱いため、ボディと外部電極とが分離されることが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国公開特許公報第2007-0032259号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、外部電極のショートを防ぐことのできるパワーインダクターを提供する。
【0010】
本発明は、ボディの上側には外部電極が露出されないようにすることで、シールドカンとのショートを防ぐことのできるパワーインダクターを提供する。
【0011】
本発明は、引張り強度を向上させることのできるパワーインダクターを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係るパワーインダクターは、金属粉末及び絶縁物を含むボディと、前記ボディの内部に設けられた少なくとも1つの基材と、前記基材の少なくとも一方の面の上に形成された少なくとも1つのコイルパターンと、前記ボディの少なくとも2つの側面に形成された外部電極と、を備え、前記外部電極は、少なくとも一部が前記コイルパターンと同じ材質を含む。
【0013】
前記コイルパターン及び外部電極は、それぞれ銅を含む。
【0014】
前記コイルパターンは、前記基材の上にメッキ工程によって形成され、前記外部電極は、少なくとも前記コイルパターンと接触される領域がメッキ工程によって形成される。
【0015】
前記外部電極は、前記コイルパターンと接触される第1の層と、前記第1の層の上に前記第1の層とは異なる材質によって形成された少なくとも1つの第2の層と、を備える。
【0016】
前記金属粉末は、少なくとも2以上の大きさを有する少なくとも1つ以上の物質を含む。
【0017】
前記基材の一方の面及び他方の面に形成された前記コイルパターンは同じ高さに形成され、前記基材の厚さに比べて2.5倍以上高く形成される。
【0018】
前記コイルパターンとボディとの間に形成され、パリレンを用いて形成された内部絶縁層を更に備える。
【0019】
前記ボディの少なくとも一表面の上に形成された表面絶縁層を更に備える。
【0020】
前記表面絶縁層は、前記外部電極が形成されていない前記ボディの少なくとも一表面の上に形成される。
【0021】
前記ボディの一方の面の上に形成されたキャッピング絶縁層を更に備える。
【0022】
前記キャッピング絶縁層は、前記ボディの実装面に対向する一方の面の上に形成され、前記一方の面の上に延設された外部電極が露出されないように形成される。
【0023】
前記キャッピング絶縁層は、表面絶縁層よりも厚いか又はそれに等しい厚さに形成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディの上面にキャッピング絶縁層を形成して外部電極が露出されないようにすることで、外部電極とシールドカン(shield can)、隣接部品などのショート(short)を防ぐことができる。
【0025】
また、本発明は、コイルパターンと接続される外部電極がコイルパターンと同じ物質によって形成でき、且つ、コイルターンと同じ方法によって形成できる。即ち、外部電極のうちボディの側面と接触されてコイルパターンと接続される少なくとも一部の厚さをコイルパターンと同じ物質を用いて同じ方法、例えば、銅をメッキを用いて形成することができる。したがって、ボディと外部電極との間の結合力を向上させることができ、これにより、引張り強度を向上させることができる。
【0026】
そして、コイルパターンの上にパリレン(parylene)をコーティングすることにより、コイルパターンの上にパリレンを均一な厚さに形成することができ、これにより、ボディとコイルパターンとの間の絶縁性を向上させることができる。
【0027】
一方、少なくとも1つの面にコイル状のコイルパターンがそれぞれ形成された少なくとも2以上の基材がボディ内に設けられることにより、1つのボディ内に複数のコイルを形成することができ、これにより、パワーインダクターの容量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの組み立て状態の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態及びその変形例に係る図1のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態及びその変形例に係る図1のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの分解斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの一部平面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの内部のコイルパターンの断面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの内部のコイルパターンの断面図である。
図8】絶縁層の材料によるパワーインダクターの断面概略図である。
図9】絶縁層の材料によるパワーインダクターの断面概略図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの側面図である。
図11】従来の例と本発明の実施形態に係るパワーインダクターの引張り強度を示すグラフである。
図12】本発明の実施形態に係るパワーインダクターの引張り強度の実験後の断面概略図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターの断面図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターの断面図である。
図15】本発明の第3の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図である。
図16図15のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図17図15のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図18】本発明の第3の実施形態の変形例に係る図13のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図19】本発明の第3の実施形態の変形例に係る図13のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図20】本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図である。
図21図20のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図22図20のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図23図20の内部平面図である。
図24】本発明の第5の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図である。
図25図24のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図26図24のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
図27】本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順次に示す断面手順図である。
図28】本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順次に示す断面手順図である。
図29】本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順次に示す断面手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態に係る「パワーインダクター」について詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化され、単にこれらの実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの組み立て状態の斜視図であり、図2及び図3は、図1のA-A’線に沿って切り取った状態の本発明の第1の実施形態及びその変形例に係る断面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターの分解斜視図であり、図5は、基材及びコイルパターンの平面図であり、図6及び図7は、コイルパターンの形状を説明するための基材及びコイルパターンの断面図である。図8及び図9は、絶縁層の材料によるパワーインダクターの断面概略図であり、図10は、パワーインダクターの一側面図である。
【0031】
図1から図10を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100(100a、100b)と、ボディ100の内部に設けられた基材200と、基材200の少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320)と、ボディ100の外部に設けられた外部電極400(410、420)と、を備えていてもよい。また、コイルパターン310、320とボディ100との間に形成された内部絶縁層500と、外部電極400が形成されていないボディ100の表面に形成された表面絶縁層510と、外部電極400が形成されたボディ100の少なくとも上面に形成されたキャッピング絶縁層550のうちの少なくとも1つを更に備えていてもよい。
【0032】
1.ボディ
ボディ100は、六面体状であってもよい。いうまでもなく、ボディ100は、六面体に加えて、多面体状を呈してもよい。このようなボディ100は、図2に示すように、金属粉末110及び絶縁物120を含み、図3に示すように、熱伝導性フィラー130を更に含んでいてもよい。
【0033】
金属粉末110は、平均粒径が1μm~100μmであってもよい。また、金属粉末110としては、同じ大きさの単一の粒子又は2種以上の粉末を用いてもよく、複数の大きさを有する単一の粉末又は2種以上の粉末を用いてもよい。例えば、20μm~100μmの平均粒径を有する第1の金属粉末と、2μm~20μmの平均粒径を有する第2の金属粉末と、1μm~10μmの平均粒径を有する第3の金属粉末と、を混合して用いてもよい。即ち、金属粉末110は、粒子の大きさの平均値又は粒度分布の中間値(D50)が20μm~100μmである第1の金属粉末と、粒子の大きさの平均値又は粒度分布の中間値(D50)が2μm~20μmである第2の金属粉末と、粒子の大きさの平均値又は粒度分布の中間値(D50)が1μm~10μmである第3の金属粉末と、を含んでいてもよい。ここで、第1の金属粉末は第2の金属粉末よりも大きくてもよく、第2の金属粉末は第3の金属粉末よりも大きくてもよい。このとき、金属粉末は、同じ物質の粉末であってもよく、異なる物質の粉末であってもよい。また、第1、第2及び第3の金属粉末の混合比は、例えば、5~9:0.5~2.5:0.5~2.5であってもよく、好ましくは、7:1:2であってもよい。即ち、100wt%の金属粉末110に対して、第1の金属粉末が50wt%~90wt%、第2の金属粉末が5wt%~25wt%、そして第3の金属粉末が5wt%~25wt%で混合されてもよい。ここで、第1の金属粉末は第2の金属粉末よりも多く含まれ、第2の金属粉末は第3の金属粉末よりも少なく、それに等しく、又はそれよりも多く含まれてもよい。好ましくは、金属粉末110の100wt%に対して、第1の金属粉末が70wt%、第2の金属粉末が10wt%、そして第3の金属粉末が20wt%混合されてもよい。一方、金属粉末110は、少なくとも2種以上、好ましくは、3種以上の平均粒径を有する金属粉末がボディ100の全体にわたって均一に混合されて分布するので、透磁率はボディ100の全体にわたって均一であり得る。このように大きさの異なる2種以上の金属粉末110を用いる場合、ボディ100の充填率を高めることができて容量を最大限に実現することができる。例えば、30μmの金属粉末を用いる場合、30μmの金属粉末の間には空隙が生じることがあり、これにより、やむを得ず充填率が低くならざるを得ない。しかしながら、30μmの金属粉末の間にこれよりも小さな3μmの金属粉末を混合して用いることにより、ボディ110内の金属粉末の充填率を高めることができる。このような金属粉末110としては、含鉄(Fe)金属物質が使用可能であるが、例えば、鉄-ニッケル(Fe-Ni)、鉄-ニッケル-ケイ素(Fe-Ni-Si)、鉄-アルミニウム-ケイ素(Fe-Al-Si)及び鉄-アルミニウム-クロム(Fe-Al-Cr)よりなる群から選ばれた1種以上の金属が使用可能である。即ち、金属粉末110は、鉄を含んで磁性組織を有するか、或いは、磁性を帯びる金属合金によって形成されて所定の透磁率を有してもよい。また、金属粉末110は、表面が磁性体によってコーティングされてもよいが、金属粉末110とは透磁率が異なる物質によってコーティングされてもよい。例えば、磁性体としては、金属酸化物磁性体が挙げられるが、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル-亜鉛-銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれた1種以上の酸化物磁性体が使用可能である。即ち、金属粉末110の表面にコーティングされる磁性体は、含鉄金属酸化物によって形成されてもよく、金属粉末110よりも高い透磁率を有することが好ましい。一方、金属粉末110が磁性を帯びるため、金属粉末110が互いに接触すれば、絶縁が破壊され、ショートが発生する虞がある。したがって、金属粉末110は、表面が少なくとも1つの絶縁体によってコーティングされてもよい。例えば、金属粉末110は、表面が酸化物によってコーティングされてもよく、パリレン(parylene)などの絶縁性高分子物質によってコーティングされてもよいが、パリレンによってコーティングされることが好ましい。パリレンは、1μm~10μmの厚さにコーティングされてもよい。ここで、パリレンが1μm未満の厚さに形成されれば、金属粉末110の絶縁効果が低下する虞があり、パリレンが10μmを超える厚さに形成すれば、金属粉末110のサイズが増加してボディ100内の金属粉末110の分布量が減って透磁率が下がる虞がある。更に、パリレンに加えて、各種の絶縁性高分子物質を用いて金属粉末110の表面をコーティングしてもよい。一方、金属粉末110をコーティングする酸化物は、金属粉末110を酸化させて形成してもよく、TiO2、SiO2、ZrO2、SnO2、NiO、ZnO、CuO、CoO、MnO、MgO、Al23、Cr23、Fe23、B23及びBi23よりなる群から選ばれた1種がコーティングされてもよい。ここで、金属粉末110は、二重構造の酸化物によってコーティングされてもよく、酸化物及び高分子物質の二重構造にコーティングされてもよい。いうまでもなく、金属粉末110は、表面が磁性体によってコーティングされた後、絶縁体によってコーティングされてもよい。このように、金属粉末110の表面が絶縁体によってコーティングされることにより、金属粉末110間の接触に起因するショートを防ぐことができる。このとき、酸化物、絶縁性高分子物質などによって金属粉末110をコーティングするか、或いは、磁性体及び絶縁体の二重にコーティングする場合であっても、1μm~10μmの厚さにコーティングすることが好ましい。
【0034】
絶縁物120は、金属粉末110同士を絶縁するために金属粉末110と混合されてもよい。即ち、金属粉末110は、高周波における渦電流損及びヒステリシス損が高くなって材料の損失が膨大に増加するという問題が生じる恐れがあるが、このような材料の損失を減らすために、金属粉末110同士を絶縁する絶縁物120を含めてもよい。このような絶縁物120としては、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer: LCP)よりなる群から選ばれるいずれか1種以上が挙げられるが、これに制限されない。また、絶縁物120は、金属粉末110の間に絶縁性を与えるものであり、熱硬化性樹脂からなることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、BPA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、BPF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水素化BPAエポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれるいずれか1種以上が挙げられる。ここで、絶縁物120は、金属粉末110の100wt%に対して2.0wt%~5.0wt%の含量で含まれてもよい。ところが、絶縁物120の含量が増える場合、金属粉末110の体積分率が低下して飽和磁化値を高める効果が正常に奏されない虞があり、ボディ100の透磁率を低下させる虞がある。逆に、絶縁物120の含量が減る場合、インダクターの製造過程において用いられる強酸又は強塩基溶液などが内部に浸透してインダクタンス特性を低下させる虞がある。したがって、絶縁物120は、金属粉末110の飽和磁化値及びインダクタンスを低下させない範囲内で含まれることが好ましい。このような絶縁物120としては、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer: LCP)よりなる群から選ばれるいずれか1種以上が挙げられるが、これに制限されない。また、絶縁物120は、金属粉末110の間に絶縁性を与えるものであり、熱硬化性樹脂からなることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、BPA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、BPF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水素化BPAエポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれるいずれか1種以上が挙げられる。ここで、絶縁物120は、金属粉末110の100wt%に対して2.0wt%~5.0wt%の含量で含まれてもよい。ところが、絶縁物120の含量が増える場合、金属粉末110の体積分率が低下して飽和磁化値を高める効果が正常に奏されない虞があり、ボディ100の透磁率を低下させる虞がある。逆に、絶縁物120の含量が減る場合、インダクターの製造過程において用いられる強酸又は強塩基溶液などが内部に浸透してインダクタンス特性を低下させる虞がある。したがって、絶縁物120は、金属粉末110の飽和磁化値及びインダクタンスを低下させない範囲内で含まれることが好ましい。
【0035】
一方、金属粉末110及び絶縁物120を用いてボディを製造したパワーインダクターは、温度が上昇するにつれてインダクタンスが低くなるという問題がある。即ち、パワーインダクターが適用された電子機器の発熱によってパワーインダクターの温度が上昇し、これにより、パワーインダクターのボディをなす金属粉末110が加熱されながらインダクタンスが低くなるという問題が生じる。このような問題を解決するために、ボディ100は、外部の熱によってボディ100が加熱されてしまうという問題を解決するために、熱伝導性フィラー130が含まれていてもよい。即ち、外部の熱によってボディ100の金属粉末110が加熱されてしまう虞があるが、熱伝導性フィラー130が含まれることにより、金属粉末110の熱を外部に放出することができる。このような熱伝導性フィラーとしては、MgO、AlN、カーボン系の物質、Ni系フェライト、Mn系フェライトなどよりなる群から選ばれるいずれか1種以上が挙げられるが、これに限定されない。ここで、カーボン系の物質は、炭素を含み、様々な形状を呈してもよいが、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、グラファイトなどが含まれてもよい。更に、Ni系フェライトとしては、NiO・ZnO・CuO-Fe23が挙げられ、Mn系フェライトとしては、MnO・ZnO・CuO-Fe23が挙げられる。ところが、熱伝導性フィラーは、フェライト物質によって形成することにより、透磁率を増加させたり透磁率の減少を防いだりすることができるので好ましい。このような熱伝導性フィラー130は、粉末状に絶縁物120に分散されて含有されてもよい。外部の熱によってボディ100が加熱されてしまうという問題を解消するために、熱伝導性フィラー130が含有されてもよい。即ち、外部の熱によってボディ100の金属粉末110が加熱されることがあるが、熱伝導性フィラー130が含有されることにより、金属粉末110の熱を外部に放出することができる。このような熱伝導性フィラー130は、MgO、AlN、カーボン系の物質、Ni系フェライト、Mn系フェライトなどよりなる群から選ばれるいずれか1種以上を含んでいてもよいが、これに限定されない。ここで、カーボン系の物質は炭素を含み、様々な形状を呈してもよいが、例えば、黒鉛、カーボンブラック、グラフェン、グラファイトなどが含まれてもよい。更に、Ni系フェライトとしては、NiO・ZnO・CuO-Fe23が挙げられ、Mn系フェライトとしては、MnO・ZnO・CuO-Fe23が挙げられる。ところが、熱伝導性フィラーは、フェライト物質によって形成することにより、透磁率を増加させたり透磁率の減少を防いだりすることができるので好ましい。このような熱伝導性フィラー130は粉末状に絶縁物120に分散されて含有されてもよい。また、熱伝導性フィラー130は、金属粉末110の100wt%に対して0.5wt%~3wt%の含量で含有されてもよい。熱伝導性フィラー130の含量が前記範囲未満である場合、熱放出効果が得られず、熱伝導性フィラーの含量が前記範囲を超える場合、金属粉末110の含量が減ってボディ100の透磁率を低下させてしまう。更に、熱伝導性フィラー130は、例えば、0.5μm~100μmの大きさを有してもよい。つまり、熱伝導性フィラー130は、金属粉末110の大きさに等しいか、これよりも大きいか又は小さい。熱伝導性フィラー130は、大きさ及び含量に応じて熱放出効果が調節可能である。例えば、熱伝導性フィラー130の大きさが大きくなるにつれて、且つ、熱伝導性フィラーの含量が増えるにつれて、熱放出効果が高くなる。一方、ボディ100は、金属粉末110、絶縁物120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなる複数枚のシートを積み重ねて製作してもよい。ここで、複数枚のシートを積み重ねてボディ100を製作する場合、各シートの熱伝導性フィラー130の含量は異なっていてもよい。例えば、基材200を中心として上側及び下側に向かって遠ざかるにつれて、シート内の熱伝導性フィラー130の含量は次第に増えてもよい。即ち、熱伝導性フィラー130の含量は、垂直方向、即ち、Z方向に異なっていてもよい。また、熱伝導性フィラー130は、水平方向、即ち、X方向及びY方向の少なくともどちらか一方の方向に含量が異なっていてもよい。即ち、同じシート内の熱伝導性フィラー130の含量が異なっていてもよい。一方、ボディ100は、金属粉末110、絶縁物120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなるペーストを所定の厚さに印刷して形成してもよく、このようなペーストを枠に入れて圧着する方法など必要に応じて様々な方法を用いて形成してもよい。このとき、ボディ100を形成するために積み重ねられるシートの枚数又は所定の厚さに印刷されるペーストの厚さは、パワーインダクターに求められるインダクタンスなどの電気的な特性を考慮して適正な枚数や厚さに決定されることが好ましい。一方、ボディ100が熱伝導性フィラーを更に含む変形例を例にとって説明したが、以下の他の実施形態の説明において熱伝導性フィラーを言及しなくても、ボディ100は、熱伝導性フィラーを更に含んでもよいものと理解さるべきである。
【0036】
また、基材200を間に挟んでその上側及び下側に設けられたボディ100a、100bは、基材200を介して互いに連結されてもよい。即ち、基材200の少なくとも一部が除去され、除去された部分にボディ100の一部が充填されてもよい。このように、基材200の少なくとも一部が除去され、その部分にボディ100が充填されることにより、基材200の面積を狭め、同じ体積におけるボディ100の割合を高めることにより、パワーインダクターの透磁率を上げることができる。
【0037】
2.基材
基材200は、ボディ100の内部に設けられてもよい。例えば、基材200は、ボディ100の内部にボディ100の長軸方向、即ち、外部電極400の方向に設けられてもよい。また、基材200は、1以上に設けられてもよいが、例えば、2以上の基材200が外部電極400の形成方向と直交する方向、例えば、垂直方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。いうまでも無く、2以上の基材が外部電極400が形成された方向に配列されてもよい。このような基材200は、例えば、銅張積層板(Copper Clad Lamination: CCL)または金属磁性体などによって製作されてもよい。このとき、基材200は、金属磁性体によって製作されることにより透磁率を増加させ、容量を手軽に実現することができる。即ち、銅張積層板(CCL)は、ガラス強化繊維に銅箔(foil)を貼り合わせて製作するが、このような銅張積層板(CCL)は透磁率を有さないが故に、パワーインダクターの透磁率を低下させる虞がある。しかしながら、金属磁性体を基材200として用いると、金属磁性体が透磁率を有するため、パワーインダクターの透磁率を低下させなくなる。このような金属磁性体を用いた基材200は、含鉄金属、例えば、鉄-ニッケル(Fe-Ni)、鉄-ニッケル-ケイ素(Fe-Ni-Si)、鉄-アルミニウム-ケイ素(Fe-Al-Si)及び鉄-アルミニウム-クロム(Fe-Al-Cr)よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の金属からなる所定の厚さの板に銅箔を貼り合わせて製作してもよい。即ち、鉄を含んで少なくとも1つの金属からなる合金を所定の厚さの板状に製作し、金属板の少なくとも一方の面に銅箔を貼り合わせることにより基材200が製作されてもよい。
【0038】
また、基材200の所定の領域には少なくとも1つの導電性ビア210が形成されてもよく、導電性ビア210によって基材200の上側及び下側にそれぞれ形成されるコイルパターン310、320が電気的に接続されてもよい。導電性ビア210は、基材200に厚さ方向に沿って貫通するビア(図示せず)を形成した後、ビアに導電性ペーストを充填するなどの方法を用いて形成してもよい。このとき、導電性ビア210からコイルパターン310、320の少なくとも1つが成長してもよく、これにより、導電性ビア210及びコイルパターン310、320の少なくとも1つが一体に形成されてもよい。更に、基材200は、少なくとも一部が除去されてもよい。即ち、基材200は、少なくとも一部が除去されてもよく、除去されなくてもよい。好ましくは、基材200は、図4及び図5に示すように、コイルパターン310、320と重なり合う領域を除く残りの領域が除去されてもよい。例えば、スパイラル状に形成されるコイルパターン310、320の内側に基材200が除去されて貫通孔220が形成されてもよく、コイルパターン310、320の外側の基材200が除去されてもよい。即ち、基材200は、コイルパターン310、320の外側の形状に倣って、例えば、レーストラック(race track)形状を有し、外部電極400と向かい合う領域がコイルパターン310、320の端部の形状に倣って直線状に形成されてもよい。このため、基材200の外側はボディ100の周縁に対して湾曲した形状に設けられてもよい。このように基材200が除去された部分には、図5に示すように、ボディ100が充填されてもよい。即ち、基材200の貫通孔220を含む除去された領域を介して上側及び下側のボディ100a、100bが互いに接続される。一方、基材200が金属磁性体によって製作される場合、基材200がボディ100の金属粉末110と接触されてもよい。このような問題を解消するために、基材200の側面には、パリレンなどの内部絶縁層500が形成されてもよい。例えば、貫通孔220の側面及び基材200の外側面に内部絶縁層500が形成されてもよい。一方、基材200は、コイルパターン310、320よりも広い幅をもって設けられてもよい。例えば、基材200は、コイルパターン310、320の垂直下方において所定の幅をもって残留することがあるが、例えば、基材200は、コイルパターン310、320よりも約0.3μmだけ突出するように形成されてもよい。一方、基材200は、コイルパターン310、320の内側領域及び外側領域が除去されてボディ100の横断面の面積よりも小さくてもよい。例えば、ボディ100の横断面の面積を100としたとき、基材200は、40~80の面積比で設けられてもよい。基材200の面積比が高ければ、ボディ100の透磁率が低くなる虞があり、基材200の面積比が低ければ、コイルパターン310、320の形成面積が小さくなる虞がある。このため、ボディ100の透磁率、コイルパターン310、320の線幅及びターン数などを考慮して基材200の面積比を調節してもよい。
【0039】
3.コイルパターン
コイルパターン300(310、320)は、基材200の少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されてもよい。これらのコイルパターン310、320は、基材200の所定の領域、例えば、中央部から外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、基材200の上に形成された2つのコイルパターン310、320が接続されて1つのコイルをなしてもよい。即ち、コイルパターン310、320は、基材200の中心部に形成された貫通孔220の外側からスパイラル状に形成されてもよく、基材200に形成された伝導性ビア210を介して互いに接続されてもよい。ここで、上側のコイルパターン310及び下側のコイルパターン320は、互いに同じ形状に形成されてもよく、同じ高さに形成されてもよい。また、コイルパターン310、320は重なり合うように形成されてもよく、コイルパターン310が形成されていない領域に重なり合うようにコイルパターン320が形成されてもよい。一方、コイルパターン310、320の端部は直線状に外側に延設されてもよいが、ボディ100の短辺の中央部に沿って延設されてもよい。更に、コイルパターン310、320の外部電極400と接触される領域は、図4及び図5に示すように、他の領域に比べて広幅に形成されてもよい。コイルパターン310、320の一部、即ち、引出部が広幅に形成されることにより、コイルパターン310、320及び外部電極400間の接触面積を増大させることができ、これにより、抵抗を下げることができる。いうまでもなく、コイルパターン310、320が外部電極400が形成される一領域から外部電極400の幅方向に延設されてもよい。このとき、コイルパターン310、320の末端部、即ち、外部電極400に向かって引き出される引出部は、ボディ100の側面の中央部に向かって直線状に形成されてもよい。
【0040】
一方、これらのコイルパターン310、320は、基材200に形成された導電性ビア210によって電気的に接続されてもよい。コイルパターン310、320は、例えば、厚膜印刷、塗布、蒸着、メッキ及びスパッタリングなどの方法を用いて形成してもよいが、メッキ方法を用いて形成することが好ましい。更に、コイルパターン310、320及び導電性ビア210は、銀(Ag)、銅(Cu)及び銅合金のうちの少なくとも1種を含む材料によって形成されてもよいが、これに制限されない。一方、コイルパターン310、320をメッキ工程を用いて形成する場合、例えば、基材200の上にメッキ工程を用いて金属層、例えば、銅層を形成し、リソグラフィ工程を用いてパターニングしてもよい。即ち、基材200の表面に形成された銅箔をシート層として銅層をメッキ工程を用いて形成し、これをパターニングすることによりコイルパターン310、320を形成してもよい。いうまでもなく、基材200の上に所定の形状の感光膜パターンを形成した後にメッキ工程を行って露出された基材200の表面から金属層を成長させた後、感光膜を除去することにより所定の形状のコイルパターン310、320を形成してもよい。一方、コイルパターン310、320は多層に形成されてもよい。即ち、基材200の上側に形成されたコイルパターン310の上側に複数のコイルパターンが更に形成されてもよく、基材200の下側に形成されたコイルパターン320の下側に複数のコイルパターンが更に形成されてもよい。コイルパターン310、320が多層に形成される場合、下層と上層との間に絶縁層が形成され、絶縁層に導電性ビア(図示せず)が形成されて多層コイルパターンが接続されてもよい。一方、コイルパターン310、320は、基材200の厚さよりも2.5倍以上高く形成されてもよい。例えば、基材200が10μm~50μmの厚さに形成され、コイルパターン310、320が50μm~300μmの高さに形成されてもよい。
【0041】
また、本発明に係るコイルパターン310、320は、二重構造に形成されてもよい。即ち、図6に示すように第1のメッキ膜300aと、第1のメッキ膜300aを覆うように形成された第2のメッキ膜300bを備えていてもよい。ここで、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aの上面及び側面を覆うように形成されるが、第1のメッキ膜300aの側面よりも上面に更に大きく第2のメッキ膜300bが形成されてもよい。一方、第1のメッキ膜300aは、側面が所定の傾斜を有するように形成され、第2のメッキ膜300bは、側面が第1のメッキ膜300aの側面よりも小さな傾斜を有するように形成される。即ち、第1のメッキ膜300aは、側面が第1のメッキ膜300aの外側の基材200の表面から鈍角を有するように形成され、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aよりも小さな角度、好ましくは、直角を有するように形成される。第1のメッキ膜300aは、図7に示すように、上部面の幅に対する下部面の幅bの比率が0.2:1~0.9:1となるように形成されてもよく、好ましくは、a:bが0.4
:1~0.8:1となるように形成されてもよい。また、第1のメッキ膜300aは、下部面の幅bに対する高さhの比率が1:0.7~1:4となるように形成されてもよく、好ましくは、1:1~1:2となるように形成されてもよい。即ち、第1のメッキ膜300aは、下部面から上部面に向かって進むにつれて幅が狭くなるように形成され、これにより、側面に所定の傾斜が形成されてもよい。第1のメッキ膜300aに所定の傾斜を持たせるために、1次メッキ工程後にエッチング工程を施しても良い。更に、第1のメッキ膜300aを覆うように形成された第2のメッキ膜300bは、側面が、好ましくは、垂直であり、上部面と側面との間に丸みを帯びた領域が少ない略矩形状を有するように形成される。このとき、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aの上部面の幅aに対する下部面の幅bの比率、即ち、a:bに応じてその形状が決定されてもよい。例えば、第1のメッキ膜300aの上部面の幅aに対する下部面の幅bの比率(a:b)が大きくなるにつれて、第2のメッキ膜300bの上部面の幅cに対する下部面の幅dの比率が大きくなる。しかしながら、第1のメッキ膜300aの上部面の幅aに対する下部面の幅bの比率(a:b)が0.9:1を超える場合、第2のメッキ膜300bは、下部面の幅よりも上部面の幅の方が更に広くなり、側面が基材200と鋭角をなす。また、第1のメッキ膜300aの上部面の幅に対する下部面の幅の比率(a:b)が0.2:1未満である場合、第2のメッキ膜300bは、側面の所定の領域から上部面が丸く形成される。したがって、上部面の幅が広く、且つ、側面が垂直に形成されるように第1のメッキ膜300aの上部面の幅に対する下部面の幅の比率を調節することが好ましい。一方、第1のメッキ膜300aの下部面の幅bに対する第2のメッキ膜300bの下部面の幅dの比率は、1:1.2~1:2であってもよく、第1のメッキ膜300aの下部面の幅bと隣り合う第1のメッキ膜300a間の間隔eは、1.5:1~3:1の比率を有してもよい。いうまでもなく、第2のメッキ膜300bは、互いに接触されない。このように、第1及び第2のメッキ膜300a、300bからなるコイルパターン300は、上部面の幅に対する下部面の幅の比率(c:d)が0.5:1~0.9:1であってもよく、好ましくは、0.6:1~0.8:1であってもよい。即ち、コイルパターン300の外形、換言すれば、第2のメッキ膜300bの外形は、上部面の幅に対する下部面の幅の比率が0.5~0.9:1であってもよい。したがって、コイルパターン300は、上部面の角隅部の丸みを帯びた領域が直角をなす理想的な矩形状を基準として0.5未満であってもよい。
【0042】
例えば、丸みを帯びた領域が直角をなす理想的な矩形状を基準として0.001以上0.5未満であってもよい。なお、本発明に係るコイルパターン300は、理想的な矩形状に比べて抵抗の変化が激しくない。例えば、理想的な矩形状のコイルパターンの抵抗が100であれば、本発明に係るコイルパターン300は、約101~110を維持してもよい。即ち、第1のメッキ膜300aの形状及びこれに応じて変化する第2のメッキ膜300bの形状に応じて、本発明のコイルパターン300の抵抗は矩形状の理想的なコイルパターンの抵抗に比べて約101%~110%を維持してもよい。一方、第2のメッキ膜300bは、第1のメッキ膜300aと同じメッキ液を用いて形成してもよい。例えば、1次及び2次メッキ膜300a、300bは、硫酸銅及び硫酸を基本とするメッキ液を用いて形成し、ppm単位の塩素(Cl)及び有機化合物を添加して製品のメッキ性を向上させたメッキ液を用いて形成してもよい。有機化合物は、ポリエチレングリコール(PEG: Poly Ethylene Glycol)を含むキャリア及び光沢剤を用いて、メッキ膜の均一性及び電着性、並びに光沢特性を改善することができる。
【0043】
更に、コイルパターン300は、少なくとも2以上のメッキ層が積み重ねられて形成されてもよい。このとき、それぞれのメッキ層は、側面が垂直であり、同じ形状及び厚さに積み重ねられて形成されてもよい。即ち、コイルパターン300は、シード層の上にメッキ工程によって形成されてもよいが、シード層の上に、例えば、3つのメッキ層が積み重ねられて形成されてもよい。このようなコイルパターン300は、異方性メッキ工程によって形成され、縦横比が約2~10となるように形成されてもよい。
【0044】
更にまた、コイルパターン300は、最内周から最外周に向かって進むにつれて幅が広くなる形状に形成されてもよい。即ち、スパイラル状のコイルパターン300は、最内周から最外周までにn個のパターンが形成されてもよいが、例えば、4つのパターンが形成される場合、最内周の第1のパターンから第2及び第3のパターン、そして、最外周の第4のパターンに向かって進むにつれてパターンの幅が広くなるように形成されてもよい。
例えば、第1のパターンの幅が1である場合、第2のパターンは、1~1.5の比率で形成されてもよく、第3のパターンは、1.2~1.7の比率で形成されてもよく、第4のパターンは、1.3~2の比率で形成されてもよい。即ち、第1乃至第4のパターンは、1:1~1.5:1.2~1.7:1.3~2の比率で形成されてもよい。換言すれば、第2のパターンは、第1のパターンの幅に等しいか又はそれよりも大きく形成され、第3のパターンは、第1のパターンの幅よりも大きく、且つ、第2のパターンの幅に等しいか又はそれよりも大きく形成され、第4のパターンは、第1及び第2のパターンの幅よりも大きく、且つ、第3のパターンの幅に等しいか又はそれよりも大きく形成されてもよい。
【0045】
このように、最内周から最外周に向かって進むにつれてコイルパターンの幅が広くなるようにするために、シード層の幅を最内周から最外周に向かって進むにつれて広くなるように形成してもよい。なお、コイルパターンは、垂直方向に少なくとも一領域の幅が異なるように形成されてもよい。即ち、少なくとも一領域の下段部、中段部及び上段部の幅が異なるように形成されてもよい。
【0046】
4.外部電極
外部電極400(410、420)は、ボディ100の向かい合う両面に形成されてもよい。例えば、外部電極400は、ボディ100のX方向に向かい合う2つの側面に形成されてもよい。このような外部電極400は、ボディ100のコイルパターン310、320と電気的に接続されてもよい。また、外部電極400は、ボディ100の2つの側面の全体に形成され、2つの側面の中央部においてコイルパターン310、320と接触されてもよい。即ち、コイルパターン310、320の端部がボディ100の外側の中央部に露出され、外部電極400がボディ100の側面に形成されてコイルパターン310、320の端部と接続されてもよい。このような外部電極400は、導電性エポキシ、導電性ペースト、蒸着、スパッタリング、メッキなどの様々な方法によって形成されてもよい。一方、外部電極400は、形成方法に応じて、ボディ100の両側面及び下面にのみ形成されてもよく、ボディ100の上面又は前面及び背面にも形成されてもよい。例えば、導電性ペーストに浸漬する場合、X方向への両側面だけではなく、Y方向への前面及び背面、並びにZ方向への上面及び下面にも外部電極400が形成されてもよい。これに比べて、印刷、蒸着、スパッタリング、メッキなどの方法を用いて形成する場合、X方向への両側面及びY方向への下面に外部電極400が形成されてもよい。即ち、外部電極400は、X方向への両側面及びプリント回路基板に実装される下面だけではなく、形成方法又は工程条件に応じてそれ以外の領域にも形成されてもよい。一方、外部電極400は、例えば、0.5%~20%のBi23又はSiO2を主成分とする多成分系のガラスフリット(Glass frit)を金属粉末と混合して形成してもよい。即ち、ボディ100と接触される外部電極400の一部は、ガラス入り導電物質によって形成されてもよい。このとき、ガラスフリット及び金属粉末の混合物はペースト状に製造されてボディ100の両面に塗布されてもよい。即ち、外部電極400の一部を導電性ペーストを用いて形成する場合、導電性ペーストにはガラスフリットが混合されてもよい。このように、外部電極400にガラスフリットが含有されることにより、外部電極400及びボディ100間の密着力を向上させることができ、コイルパターン300及び外部電極400間のコンタクト反応を向上させることができる。
【0047】
このような外部電極400は、電気伝導性を有する金属によって形成されてもよいが、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の金属によって形成されてもよい。このとき、本発明の実施形態においては、コイルパターン300と接続される外部電極400の少なくとも一部、即ち、ボディ100の表面に形成されてコイルパターン300と接続される第1の層411、421は、コイルパターン300と同じ物質によって形成されてもよい。例えば、コイルパターン300が銅を用いて形成される場合、外部電極400の少なくとも一部、即ち、第1の層411、412は、銅を用いて形成してもよい。このとき、銅は、上述したように、導電性ペーストを用いた浸漬又は印刷方法で形成してもよく、蒸着、スパッタリング、メッキなどの方法を用いて形成してもよい。ところが、本発明の好適な実施形態においては、少なくとも外部電極400の第1の層411、421は、コイルパターン300と同じ方法、即ち、メッキによって形成してもよい。即ち、外部電極400の全体の厚さを銅メッキによって形成してもよく、或いは、外部電極400の一部の厚さ、即ち、コイルパターン300と接続されてボディ100の表面に接触されて形成される第1の層411、421を銅メッキの方法を用いて形成してもよい。メッキ工程を用いて外部電極400を形成するためにボディ100の両側面にシード層を形成した後、シード層から工程でメッキ層を形成して外部電極400を形成してもよい。いうまでもなく、ボディ100の外側に露出されたコイルパターン300がシードの役割を果たして別途のシード層を形成することなく、メッキによって外部電極400を形成することができる。一方、メッキ工程の前に酸処理工程を施してもよい。即ち、ボディ100の少なくとも一部の面に塩酸処理を施した後、メッキ工程を施してもよい。たとえ外部電極400をメッキによって形成したとしても、外部電極400はボディ100の相対向する両側面だけではなく、これと隣り合う他の側面、即ち、上面及び下面に延設されてもよい。ここで、外部電極400のコイルパターン300と接続される少なくとも一部は、外部電極400が形成されるボディ100の側面の全体であってもよく、一部の領域であってもよい。一方、外部電極400は、少なくとも1つのメッキ層を更に備えていてもよい。即ち、外部電極400は、コイルパターン300と接続される第1の層411、412と、その上部に形成された少なくとも1つの第2の層421、422と、を備えていてもよい。即ち、第2の層421、422は1つの層であってもよく、2以上の層であってもよい。例えば、外部電極400は、銅メッキ層の上にニッケルメッキ層(図示せず)及び錫メッキ層(図示せず)のうちの少なくとも一方が更に形成されてもよい。即ち、外部電極400は、銅層、Niメッキ層及びSnメッキ層の積み重ね構造に形成されてもよく、銅層、Niメッキ層及びSn/Agメッキ層の積み重ね構造に形成されてもよい。このとき、メッキは、電解又は無電解メッキとして施してもよい。即ち、第1の層411、412は、一部の厚さを無電解メッキによって形成し、残りの厚さを電解メッキによって形成してもよく、全体の厚さを無電解メッキ又は電解メッキによって形成してもよい。第2の層421、422もまた、一部の厚さを無電解メッキによって形成し、残りの厚さを電解メッキによって形成してもよく、全体の厚さを無電解メッキ又は電解メッキによって形成してもよい。いうまでもなく、第1の層411、412を無電解又は電解メッキによって形成し、第2の層421、422を第1の層411、412と同様に無電解又は電解メッキによって形成してもよく、第1の層411、412とは異なり、電解又は無電解メッキによって形成してもよい。一方、第2の層421、422のSnメッキ層は、Niメッキ層の厚さに等しいか又はそれよりも大きな厚さに形成されてもよい。例えば、外部電極400は、2μm~100μmの厚さに形成されてもよいが、第1の層411、412が1μm~50μmの厚さに形成されてもよく、第2の層421、422が1μm~50μmの厚さに形成されてもよい。ここで、外部電極400は、第1の層411、412と第2の層421、422の厚さが同一であってもよく、異なっていてもよい。第1の層411、412と第2の層421、422の厚さが異なる場合、第1の層411、412が第2の層421、422よりも薄くても厚くてもよい。本発明の実施形態においては、第1の層411、412の厚さが第2の層421、422よりも薄肉に形成される。一方、第2の層421、422は、Niメッキ層が1μm~10μmの厚さに形成され、Sn又はSn/Agメッキ層は2μm~10μmの厚さに形成されてもよい。
【0048】
上述したように、外部電極400の少なくとも一部の厚さをコイルパターン300と同じ物質を用いて形成し、同じ方法によって形成することにより、ボディ100と外部電極400との間の結合力を向上させることができる。即ち、外部電極400の少なくとも一部を銅メッキによって形成することにより、コイルパターン300と外部電極400との間の結合力を向上させることができる。このような本発明に係るパワーインダクターは、引張り強度が2.5kgf~4.5kgfであってもよい。したがって、本発明は、従来よりも引張り強度を向上させることができ、これにより、本発明のパワーインダクターが実装された電子機器からボディが分離されない。
【0049】
5.内部絶縁層
内部絶縁層500は、コイルパターン310、320と金属粉末110とを絶縁するためにコイルパターン310、320とボディ100との間に形成されてもよい。即ち、内部絶縁層500がコイルパターン310、320の上面及び側面を覆うように形成されてもよい。また、内部絶縁層500は、コイルパターン310、320の上面及び側面だけではなく、基材200を覆うように形成されてもよい。即ち、所定の領域が除去された基材200のコイルパターン310、320によって露出された領域、即ち、基材200の表面及び側面にも内部絶縁層500が形成されてもよい。基材200上の内部絶縁層500は、コイルパターン310、320上の内部絶縁層500と同じ厚さに形成されてもよい。このような内部絶縁層500は、コイルパターン310、320の上にパリレンをコーティングして形成してもよい。例えば、コイルパターン310、320が形成された基材200を蒸着チャンバー内に設けた後にパリレンを気化させて真空チャンバーの内部に供給することにより、コイルパターン310、320の上にパリレンを蒸着してもよい。即ち、基材200の上面の内部絶縁層500の厚さは、コイルパターン310、320の上面の内部絶縁層500の厚さと同じであってもよく、基材200の側面の内部絶縁層500の厚さは、コイルパターン310、320の側面の内部絶縁層500の厚さと同じであってもよい。このような内部絶縁層500は、コイルパターン310、320の上にパリレンをコーティングして形成してもよい。例えば、パリレンを気化器(Vaporizer)において1次的に加熱して気化させてダイマー(dimer)状態にした後、2次的に加熱してモノマー(Monomer)状態に熱分解させ、蒸着チャンバーに連設されたコールドトラップ(Cold Trap)及び機械的な真空ポンプ(Mechanical Vacuum Pump)を用いてパリレンを冷却させると、パリレンはモノマー状態からポリマー状態に変換されてコイルパターン310、320の上に蒸着される。いうまでもなく、内部絶縁層500は、パリレン以外の絶縁性高分子、例えば、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーから選ばれるいずれか1種以上の物質によって形成されてもよい。しかしながら、パリレンをコーティングすることにより、コイルパターン310、320の上に均一な厚さで内部絶縁層500を形成することができ、薄肉に形成しても他の物質に比べて絶縁特性を向上させることができる。即ち、内部絶縁層500としてパリレンをコーティングする場合、ポリイミドを形成する場合に比べて薄肉に形成しながら絶縁破壊電圧を増加させて絶縁特性を向上させることができる。また、コイルパターン310、320のパターン間の間隔に応じてパターン間を埋め込んで均一な厚さに形成されてもよく、パターンの段差に沿って均一な厚さに形成されてもよい。即ち、コイルパターン310、320のパターン間の間隔が遠い場合、パターンの段差に沿って均一な厚さでパリレンがコーティング可能であり、パターン間の間隔が近い場合、パターン間を埋め込んでコイルパターン310、320の上に所定の厚さに形成可能である。図8は、ポリイミドを絶縁層として形成したパワーインダクターの実際的な断面概略図であり、図9は、パリレンを絶縁層として形成したパワーインダクターの実際的な断面概略図である。図9に示すように、パリレンの場合、コイルパターン310、320の段差に沿って薄肉に形成されるが、図8に示すように、ポリイミドはパリレンに比べて厚肉に形成される。一方、内部絶縁層500は、パリレンを用いて3μm~100μmの厚さに形成してもよい。パリレンが3μm未満の厚さに形成されると、絶縁特性が低下する虞があり、100μmを超える厚さに形成する場合、同じサイズ内において内部絶縁層500が占める厚さが増加してボディ100の体積が小さくなり、これにより、透磁率が低下する虞がある。いうまでもなく、内部絶縁層500は、所定の厚さのシートによって製作された後にコイルパターン310、320の上に形成されてもよい。
【0050】
6.表面絶縁層
外部電極400が形成されていないボディ100の表面に表面絶縁層510が形成されてもよい。即ち、表面絶縁層510は、外部電極400が形成されていないボディ100の4つの面の所定の領域に形成されてもよい。例えば、表面絶縁層510は、Y方向に相対向する2つの面(即ち、前面及び背面)と、Z方向に相対向する2つの面(即ち、下面及び上面)の外部電極400が形成されていない領域に形成されてもよい。外部電極400は、X方向の2つの面に形成され、Y方向及びZ方向の4つの面の周縁から所定の幅をもって延設されるため、Y方向及びZ方向の4つの面の中央部に所定の幅をもって表面絶縁層510が形成されてもよい。このような表面絶縁層510は、所望の位置にメッキ工程によって外部電極400を形成するために形成されてもよい。即ち、ボディ100は、表面抵抗が略同じであるため、メッキ工程を施すと、ボディ100の全体の表面にメッキ工程が施され得る。したがって、外部電極400が形成されていない領域に表面絶縁層510を形成することにより、外部電極400を所望の位置に形成することができる。一方、このような表面絶縁層510は、絶縁物質によって形成可能であるが、例えば、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer: LCP)よりなる群から選ばれた1種以上によって形成されてもよい。また、表面絶縁層550は、熱硬化性樹脂によって形成されてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、BPA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、BPF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、 水添BPAエポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれた1種以上が挙げられる。即ち、表面絶縁層510は、ボディ100の絶縁物120に用いられる物質によって形成されてもよい。このような表面絶縁層510は、ポリマー、熱硬化性樹脂をボディ100の所定の領域に塗布又は印刷することにより形成可能である。したがって、表面絶縁層510は、Y方向及びZ方向の4つの面の中央部に形成可能である。一方、表面絶縁層510は、パリレンによって形成されてもよく、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(Si34)、シリコン酸化窒化膜(SiON)など様々な絶縁物質を用いて形成してもよい。これらの物質によって形成される場合、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)などの様々な方法を用いて形成してもよい。一方、表面絶縁層510は、外部電極400の厚さと同一又は異なる厚さに形成されてもよいが、例えば、3μm~30μmの厚さに形成されてもよい。
【0051】
7.表面改質部材
一方、ボディ100の少なくとも一表面には表面改質部材(図示せず)が形成されてもよい。このような表面改質部材は、ボディ100の表面に、例えば、酸化物を分布させて形成してもよい。ここで、酸化物は、結晶状態又は非結晶状態でボディ100の表面に分散されて分布されてもよい。また、表面に分布された表面改質部材は、少なくとも一部が溶融されてもよい。表面改質部材は、外部電極400を形成する前にボディ100の少なくとも一表面に形成されてもよい。即ち、表面改質部材は、表面絶縁層510を形成する前に形成してもよく、表面絶縁層510を形成した後に形成してもよい。表面改質部材が形成されることにより、ボディ100の表面の抵抗が略同一に維持可能である。即ち、ボディ100は、少なくとも一領域の表面抵抗が異なっていてもよいため、メッキ工程を施すと、抵抗が低い領域においてメッキ成長が行われ、抵抗が高い領域においてはメッキ成長があまり行われないか、或いは、全く行われない。例えば、表面絶縁層510によって露出されたボディ100の表面には、金属粉末が露出される領域と、金属粉末が露出されない領域と、が存在し得るが、金属粉末が露出された領域は、金属粉末が露出されない領域よりも抵抗が低いことがあり、抵抗が低い領域においては、抵抗が高い領域よりもメッキ層が更に順調に成長可能であるため、メッキ層のむらが生じる恐れがある。したがって、ボディ100の表面に表面改質部材を形成することにより、抵抗を均一にし、これにより、メッキ層の成長を均一にすることができる。
【0052】
一方、表面改質部材は、少なくとも一部が同じ大きさにボディ100の表面に均一に分布されてもよく、少なくとも一部が異なる大きさに不規則的に分布されてもよい。また、ボディ100の少なくとも一部の表面には凹部が形成されてもよい。即ち、表面改質部材が形成されて凸部が形成され、表面改質部材が形成されていない領域の少なくとも一部が窪んで凹部が形成されてもよい。このとき、表面改質部材は、少なくとも一部がボディ100の表面よりも深く形成されてもよい。即ち、表面改質部材は、所定の厚さがボディ100の所定の深さにめりこみ、残りの厚さがボディ100の表面よりも高く形成されてもよい。このとき、ボディ100にめりこむ厚さは、酸化物粒子の平均直径の1/20~1であってもよい。即ち、酸化物粒子は、ボディ100の内部に全て入り込まれてもよく、少なくとも一部が入り込まれてもよい。いうまでもなく、酸化物粒子は、ボディ100の表面にのみ形成されてもよい。したがって、酸化物粒子は、ボディ100の表面に半球状に形成されてもよく、球状に形成されてもよい。また、表面改質部材は、上述したように、ボディ100の表面に部分的に分布されてもよく、少なくとも一領域に膜状に分布されてもよい。即ち、酸化物粒子がボディ100の表面に島(island)状に分布されて表面改質部材が形成されてもよい。即ち、ボディ100の表面に結晶状態又は非結晶状態の酸化物が離れて島状に分布されてもよく、これにより、ボディ100の表面の少なくとも一部が露出されてもよい。更に、酸化物を分布させて形成した表面改質部材は、少なくとも2以上がつながって少なくとも一領域には膜状に形成され、少なくとも一部には島状に形成されてもよい。即ち、少なくとも2以上の酸化物粒子同士が凝集したり隣り合う酸化物粒子同士がつながったりして膜状を呈してもよい。しかしながら、酸化物が粒子状態で存在する場合であっても、又は2以上の粒子同士が凝集したりつながったりした場合であっても、ボディ100の表面の少なくとも一部は表面改質部材によって外部に露出される。
【0053】
このとき、表面改質部材の総面積は、ボディ100の表面の総面積の、例えば、5%~90%であってもよい。表面改質部材の面積に応じてボディ100の表面のメッキ滲み現象を制御することができるが、表面改質部材が形成量が多すぎると、ボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触され難くなる虞がある。即ち、表面改質部材がボディ100の表面積の5%未満に形成される場合にメッキ滲み現象を制御することが困難であり、表面改質部材がボディ100の表面積の90%を超えて形成される場合にはボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触されなくなる虞がある。したがって、表面改質部材は、メッキ滲み現象を制御することができ、しかも、ボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触できるほどの面積に形成することが好ましい。このために、表面改質部材は、ボディ100の表面積の10%~90%に形成されてもよく、好ましくは、30%~70%の面積に形成されてもよく、更に好ましくは、40%~50%の面積に形成されてもよい。このとき、ボディ100の表面積は、一方の面の表面積であってもよく、六面体をなすボディ100の6つの面の表面積であってもよい。一方、表面改質部材は、ボディ100の厚さの10%以下の厚さに形成されてもよい。
即ち、表面改質部材は、ボディ100の厚さの0.01%~10%の厚さに形成されてもよい。例えば、表面改質部材は、0.1μm~50μmの大きさに存在してもよいが、これにより、表面改質部材は、ボディ100の表面から0.1μm~50μmの厚さに形成されてもよい。即ち、表面改質部材は、ボディ100の表面よりも深く形成された領域を除いて、ボディ100の表面から0.1μm~50μmの厚さに形成されてもよい。したがって、ボディ100の内側にめり込んだ厚さを含めると、表面改質部材は、0.1μm~50μmよりも大きな厚さを有することができる。表面改質部材がボディ100の厚さの0.01%未満の厚さに形成される場合、メッキ滲み現象が制御され難く、ボディ100の厚さの10%を超える厚さに形成される場合、ボディ100の内部の導電パターン及び外部電極400が接触されなくなる虞がある。即ち、表面改質部材は、ボディ100の材料特性(伝導性、半導性、絶縁性、磁性体など)に応じて様々な厚さを有してもよく、酸化物粉末の大きさ、分布量、凝集有無に応じて様々な厚さを有してもよい。
【0054】
このように、ボディ100の表面に表面改質部材が形成されることにより、ボディ100の表面には成分が異なる少なくとも2つの領域が存在してもよい。即ち、表面改質部材が形成された領域及び表面改質部材が形成されていない領域は、互いに異なる成分が検出されてもよい。例えば、表面改質部材が形成された領域には、表面改質部材に応じた成分、即ち、酸化物が存在してもよく、表面改質部材が形成されていない領域には、ボディ100に応じた成分、即ち、シートの成分が存在してもよい。このように、メッキ工程前にボディ100の表面に表面改質部材を分布させることにより、ボディ100の表面に粗さを与えて改質することができる。したがって、メッキ工程を均一に施すことができ、これにより、外部電極400の形状を制御することができる。即ち、ボディ100の表面は、少なくとも一領域の抵抗が他の領域の抵抗と異なる場合があるが、抵抗が不均一である状態でメッキ工程を施せば、メッキ層の成長にバラツキが生じてしまう。このような問題を解決するために、ボディ100の表面に粒子状態又は溶融状態の酸化物を分散させて表面改質部材を形成することにより、ボディ100の表面を改質することができ、メッキ層の成長を制御することができる。
【0055】
ここで、ボディ100の表面抵抗を均一にするための粒子状態又は溶融状態の酸化物としては、例えば、Bi23、BO2、B23、ZnO、Co34、SiO2、Al23、MnO、H2BO3、Ca(CO32、Ca(NO32、CaCO3のうちの少なくとも1種以上を用いてもよい。一方、表面改質部材は、ボディ100内の少なくとも1枚のシートの上にも形成されてもよい。即ち、シート上の様々な形状の導電パターンはメッキ工程を用いて形成してもよいが、表面改質部材を形成することにより、導電パターンの形状を制御することができる。
【0056】
8.キャッピング絶縁層
図1及び図10に示すように、外部電極400が形成されたボディ100の上面にキャッピング絶縁層550が形成されてもよい。即ち、プリント回路基板(Printed Circuit Board: PCB)の上に実装されるボディ100の下面と向かい合うボディ100の上面、例えば、Z方向への上側面にキャッピング絶縁層550が形成されてもよい。このようなキャッピング絶縁層550は、ボディ100の上面に延設された外部電極400及びシールドカン間、又は上側の回路部品とパワーインダクターとの間のショートを防ぐために形成されてもよい。即ち、パワーインダクターは、ボディ100の下面に形成された外部電極400が電源管理IC(PMIC: Power Management IC)と隣り合ってプリント回路基板の上に実装されるが、PMICは約1mmの厚さを有し、パワーインダクターもまたこれと同じ厚さに製作される。PMICは、高周波ノイズを発生させて周辺回路又は素子に影響を及ぼすため、PMIC及びパワーインダクターを金属材質、例えば、ステンレス鋼材質のシールドカン(shield can)で覆うことになる。ところが、パワーインダクターは外部電極が上側にも形成されるため、シールドカンとショート(short)される。したがって、ボディ100の上面にキャッピング絶縁層550を形成することにより、パワーインダクター及び外部導電体間のショートを防ぐことができる。このようなキャッピング絶縁層550は、絶縁物質によって形成されてもよいが、例えば、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)及び液晶ポリマー(Liquid Crystalline Polymer: LCP)よりなる群から選ばれた1種以上によって形成されてもよい。また、キャッピング絶縁層550は、熱硬化性樹脂によって形成されてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、ノボラックエポキシ樹脂(Novolac Epoxy Resin)、フェノキシ型エポキシ樹脂(Phenoxy Type Epoxy Resin)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(BPA Type Epoxy Resin)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(BPF Type Epoxy Resin)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(Hydrogenated BPA Epoxy Resin)、ダイマー酸改質エポキシ樹脂(Dimer Acid Modified Epoxy Resin)、ウレタン改質エポキシ樹脂(Urethane Modified Epoxy Resin)、ゴム改質エポキシ樹脂(Rubber Modified Epoxy Resin)及びDCPD型エポキシ樹脂(DCPD Type Epoxy Resin)よりなる群から選ばれた1種以上を含んでいてもよい。即ち、キャッピング絶縁層550は、ボディ100の絶縁物120又は表面絶縁層510に用いられる物質によって形成されてもよい。このようなキャッピング絶縁層550は、ポリマー、熱硬化性樹脂などにボディ100の上面を浸漬することにより形成されてもよい。したがって、キャッピング絶縁層550は、図1及び図10に示すように、ボディ100の上面だけではなく、ボディ100のX方向への両側面の一部及びY方向への前面及び背面の一部に形成されてもよい。一方、キャッピング絶縁層550は、パリレンによって形成されてもよく、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(Si34)、シリコン酸化窒化膜(SiON)など様々な絶縁物質を用いて形成してもよい。これらの物質によって形成される場合、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)などの様々な方法を用いて形成してもよい。キャッピング絶縁層550がCVD、PVDの方法によって形成される場合、ボディ100の上面にのみ形成されてもよい。一方、キャッピング絶縁層550は、パワーインダクター100の外部電極400及びシールドカンなど間のショートが防止可能な厚さに形成されてもよいが、例えば、10μm~100μmの厚さに形成されてもよい。ここで、キャッピング絶縁層550は、外部電極400の厚さと同一又は異なる厚さに形成されてもよく、表面絶縁層510の厚さと同一又は異なる厚さに形成されてもよい。例えば、キャッピング絶縁層550は、外部電極400及び表面絶縁層510よりも厚肉に形成されてもよい。いうまでもなく、キャッピング絶縁層550は、外部電極400よりも薄肉に、且つ、表面絶縁層510と同じ厚さに形成されてもよい。また、キャッピング絶縁層550は、外部電極400とボディ100との間に段差が保たれるようにボディ100の上面に均一な厚さに形成されてもよく、外部電極400とボディ100との間の段差が無くされるようにボディ100の上部に外部電極400の上部よりも厚肉に形成されて表面が平らであってもよい。いうまでもなく、キャッピング絶縁層550は、所定の厚さに別途に製作した後、ボディ100の上に接着剤などを用いて貼着して形成してもよい。
【0057】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100の上部面に外部電極400が露出されないようにキャッピング絶縁層550が形成されることにより、外部電極400がシールドカンなどと接触されてショートされることを防ぐことができる。また、外部電極400の少なくとも一部の厚さをコイルパターン300と同じ物質を用いて同じ方法によって形成することにより、ボディ100と外部電極400との間の結合力を向上させることができる。即ち、外部電極400を銅メッキによって形成することにより、コイルパターン300と外部電極400との間の結合力を向上させることができる。したがって、引張り強度を向上させることができ、これにより、本発明のパワーインダクターが実装された電子機器からボディが分離されることがない。そして、金属粉末110及び絶縁物120だけではなく、熱伝導性フィラー130を含めてボディ100を製作することにより、金属粉末110の加熱によるボディ100の熱を外部に放出することができて、ボディ100の昇温を防ぐことができ、これにより、インダクタンスの低下などの問題を防ぐことができる。一方、コイルパターン310、320とボディ100との間にパリレンを用いて内部絶縁層500を形成することにより、コイルパターン310、320の側面及び上面に薄肉に且つ均一な厚さに内部絶縁層500を形成しながら絶縁特性を向上させることができる。
【0058】
実験例
本発明は、外部電極400の少なくとも一部をコイルパターン300と同様に銅メッキによって形成することにより、外部電極400とコイルパターン300との間の結合力を向上させることができる。このように、外部電極を銅メッキによって形成する本発明の実施形態と、エポキシを塗布して形成する従来の例の引張り強度を実験で比較した。
【0059】
まず、引張り強度を測定するために、外部電極を形成した後、外部電極の上にワイヤーを半田付けし、半田付けされたワイヤーを引っ張って引張り強度を測定した。即ち、ワイヤーを引っ張ってボディ100が引きちぎれたり外部電極400とボディ100とが分離されたりするときの引張り強度を測定した。このとき、従来の例においては、外部電極を銀エポキシを塗布して形成し、実施形態1においては、外部電極を電解メッキによって形成し、実施形態2においては、外部電極を無電解メッキ及び電解メッキによって形成した。それ以外のボディ、基材、コイルパターンの形状などは、従来の例と実施形態において同様にした。なお、従来の例と実施形態1及び2に係るパワーインダクターを複数個製作した後、それぞれの引張り強度を測定し、その平均を算出した。
【0060】
図11は、従来の例及び実施形態に係る引張り強度を比較したグラフである。ここで、引張り強度は、ワイヤーを引っ張る力を増やしてボディから外部電極が分離されるときの力を示す。図11に示すように、従来の例は、引張り強度が2.057kgf~2.9910kgfと測定され、平均は2.679kgfである。しかしながら、実施形態1は、引張り強度が2.884kgf~4.285kgfと測定され、平均は3.603である。なお、実施形態2は、引張り強度が2.959kgf~3.940kgfと測定され、平均は3.453kgfである。参考までに、図中、濃い色で大きく示されたものは平均であり、それ以外に、薄い色で示されたものは測定値の分布である。したがって、本発明の実施形態の引張り強度の方が比較例のそれよりもはるかに高いことが分かる。また、本発明の実施形態のうち、外部電極を電解メッキによって形成した実施形態1の方が、無電解メッキ及び電解メッキによって形成した実施形態2よりも更に高いことが分かる。したがって、本発明の実施形態は、外部電極とボディ又はコイルパターンとの間の結合力を向上させることができ、これにより、電子機器に実装されたときにボディが分離されるという問題が生じることがない。
【0061】
一方、本発明は、引張り力を印加し続ける場合、ボディが割れてしまうという現象が生じる恐れがある。即ち、図12に示すように、引張り力を印加し続けると、ボディが割れてしまうという現象が生じる恐れがある。即ち、従来には、引張り力に従って外部電極がボディから分離されていたが、本発明の実施形態においては、ボディと外部電極との間の結合力よりもコイルパターンと外部電極との間の結合力の方が更に強いため、継続的な引張り力の印加に伴ってボディが割れてしまう恐れがある。即ち、本発明は、いっそ、ボディと外部電極とが分離されるよりボディが割れたほうがましであると考えられるほどに強い結合力を有し得る。
【0062】
一方、本発明は、メッキによって外部電極を形成する前に、例えば、塩酸を用いて前処理を施してもよい。[表1]は、塩酸を用いた前処理時間による実施形態1及び2の引張り強度の測定結果である。
【0063】
【表1】
【0064】
[表1]に示すように、実施形態1の場合、前処理時間が長くなるにつれて、引張り強度が増加するということが分かり、実施形態2の場合、前処理時間が長くなるにつれて、引張り強度が減少するということが分かる。しかしながら、たとえ前処理工程を施すとしても、実施形態1よりも実施形態2の方が、引張り強度が更に高いということが分かる。したがって、メッキの種別、前処理時間などに応じて引張り強度を調節することができる。
【0065】
他の実施形態
以下では、本発明の他の実施形態について説明する。このとき、本発明の一実施形態と重複する内容は、その詳細な説明を省略し、別途に断りのない限り、本発明の他の実施形態の詳細な構成は、本発明の一実施形態の詳細な構成と同様である。例えば、第1の層及び第2の層を区別して示さなくても、以下の他の実施形態においても、外部電極400は、銅メッキによって形成された第1の層と、ニッケルメッキ又は錫メッキによって形成された第2の層と、を備える。なお、ボディ100の表面に外部電極400を有する電極が形成されていない領域には表面絶縁層510が形成されてもよい。
【0066】
図13は、本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターの断面図である。
【0067】
図13を参照すると、本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた基材200と、基材200の少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン310、320と、ボディ100の外部に設けられた外部電極410、420と、コイルパターン310、320の上にそれぞれ設けられた内部絶縁層500と、ボディ100の上部及び下部にそれぞれ設けられた少なくとも1つの第2の磁性層610、620と、を備えていてもよい。即ち、本発明の一実施形態に磁性層600が更に配設されて本発明の第2の実施形態が実現されてもよい。このような本発明の第2の実施形態について、本発明の第1の実施形態とは異なる構成に重点をおいて説明すれば、下記の通りである。
【0068】
磁性層600(610、620)は、ボディ100の少なくとも一領域に設けられてもよい。即ち、第1の磁性層610がボディ100の上部の表面に形成され、第2の磁性層620がボディ100の下部の表面に形成されてもよい。ここで、第1及び第2の磁性層610、620は、ボディ100の透磁率を増加させるために設けられ、ボディ100よりも高い透磁率を有する物質によって製作されてもよい。例えば、ボディ100の透磁率が20であり、第1及び第2の磁性層610、620は40~1000の透磁率を有するように設けられてもよい。これらの第1及び第2の磁性層610、620は、例えば、磁性体粉末と絶縁物を用いて製作してもよい。即ち、第1及び第2の磁性層610、620は、ボディ100よりも高い透磁率を有するようにボディ100の磁性体よりも高い磁性を有する物質によって形成されてもよく、磁性体の含有率が更に高いように形成されてもよい。例えば、第1及び第2の磁性層610、620は、絶縁物が金属粉末100wt%に対して1wt%~2wt%で添加されてもよい。即ち、磁性層610、620は、金属粉末がボディ100の金属粉末よりも多く含有されてもよい。また、磁性体粉末としては、ニッケル磁性体(Ni Ferrite)、亜鉛磁性体(Zn Ferrite)、銅磁性体(Cu Ferrite)、マンガン磁性体(Mn Ferrite)、コバルト磁性体(Co Ferrite)、バリウム磁性体(Ba Ferrite)及びニッケル-亜鉛-銅磁性体(Ni-Zn-Cu Ferrite)よりなる群から選ばれた1種又はこれらの1種以上の酸化物磁性体を用いてもよい。即ち、含鉄金属合金粉末又は含鉄金属合金酸化物を用いて磁性層600を形成してもよい。また、金属合金粉末に磁性体をコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。例えば、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル-亜鉛-銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれた1種以上の酸化物磁性体を、例えば、含鉄金属合金粉末にコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。即ち、含鉄金属酸化物を金属合金粉末にコーティングして磁性体粉末を形成してもよい。いうまでもなく、ニッケル酸化物磁性体、亜鉛酸化物磁性体、銅酸化物磁性体、マンガン酸化物磁性体、コバルト酸化物磁性体、バリウム酸化物磁性体及びニッケル-亜鉛-銅酸化物磁性体よりなる群から選ばれた1種以上の酸化物磁性体を、例えば、含鉄金属合金粉末と混合して磁性体粉末を形成してもよい。即ち、含鉄金属酸化物を金属合金粉末と混合して磁性体粉末を形成してもよい。一方、第1及び第2の磁性層610、620は、金属粉末及び絶縁物に熱伝導性フィラー(図示せず)を更に含めて製作してもよい。熱伝導性フィラーは、金属粉末100wt%に対して0.5wt%~3wt%で含有されてもよい。これらの第1及び第2の磁性層610、620はシート状に製作されて複数枚のシートが積み重ねられたボディ100の上部及び下部にそれぞれ設けられてもよい。なお、金属粉末110及び絶縁物120を含み、熱伝導性フィラーを更に含む材料からなるペーストを所定の厚さに印刷したり、ペーストを枠体に入れて圧着したりしてボディ100を形成した後、ボディ100の上部及び下部に磁性層610、620をそれぞれ形成してもよい。いうまでもなく、磁性層610、620は、ペーストを用いて形成してもよいが、ボディ100の上部及び下部に磁性物質を塗布して磁性層610、620を形成してもよい。
【0069】
一方、本発明の第2の実施形態に係るパワーインダクターは、図14に示すように、第1及び第2の磁性層610、620と基材200との間に第3及び第4の磁性層630、640が更設けられてもよい。即ち、ボディ100内に少なくとも1つの磁性層600が設けられてもよい。このような磁性層600は、シート状に製作されて複数枚のシートが積み重ねられたボディ100の間に設けられてもよい。即ち、ボディ100を製作するための複数枚のシートの間に少なくとも1つの磁性層600を設けてもよい。また、金属粉末110、絶縁物120及び熱伝導性フィラー130を含む材料からなるペーストを所定の厚さに印刷してボディ100を形成する場合、印刷する間に磁性層を形成してもよく、ペーストを枠体に入れて圧着する場合であっても、磁性層をその間に入れて圧着してもよい。いうまでもなく、磁性層600は、ペーストを用いて形成してもよいが、ボディ100を印刷するとき、軟磁性物質を塗布してボディ100内に磁性層600を形成してもよい。
【0070】
上述したように、本発明の他の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100に少なくとも1つの磁性層600を設けることにより、パワーインダクターの磁性率を向上させることができる。
【0071】
図15は、本発明の第3の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図であり、図16は、図15のA-A’線に沿って切り取った状態の断面図であり、図17は、図15のB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【0072】
図15から図17を参照すると、本発明の第3の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた少なくとも2以上の基材200(200a、200b)と、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320、330、340)と、ボディ100の外部に設けられた外部電極410、420と、コイルパターン300の上に形成された内部絶縁層500と、ボディ100の外部に外部電極410、420から離れて設けられ、ボディ100の内部の少なくとも2以上の基板200のそれぞれに形成された少なくとも1つのコイルパターン300と接続された接続電極700(710、720)と、を備えていてもよい。以下の説明に当たっては、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態の説明と重複する内容についての説明は省略する。
【0073】
少なくとも2以上の基材200(200a、200b)は、ボディ100の内部に設けられ、ボディ100の短軸方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。即ち、少なくとも2以上の基材200は、外部電極400と直交する方向、即ち、ボディ100の厚さ方向に所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。また、少なくとも2以上の基材200のそれぞれには導電性ビア210(210a、210b)が形成され、少なくとも一部が除去されて貫通孔220(220a、220b)がそれぞれ形成される。このとき、貫通孔220a、220bは同じ位置に形成されてもよく、導電性ビア210a、210bは同じ位置または異なる位置に形成されてもよい。いうまでもなく、少なくとも2以上の基材200は、貫通孔220だけではなく、コイルパターン300が形成されていない領域が除去されてボディ100が充填されてもよい。更に、少なくとも2以上の基材200の間にはボディ100が設けられてもよい。ボディ100が少なくとも2以上の基材200の間にも設けられることにより、パワーインダクターの透磁率を向上させることができる。
いうまでもなく、少なくとも2以上の基材200の上に形成されたコイルパターン300の上に内部絶縁層500が形成されているため、基材200の間にはボディ100が形成されないこともある。この場合、パワーインダクターの薄肉化を図ることができる。
【0074】
コイルパターン300(310、320、330、340)は、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されもよい。ここで、コイルパターン310、320は、第1の基板200aの下部及び上部にそれぞれ形成されて第1の基材200aに形成された導電性ビア210aによって電気的に接続されてもよい。同様に、コイルパターン330、340は、第2の基板200bの下部及び上部にそれぞれ形成されて第2の基材200bに形成された導電性ビア210bによって電気的に接続されてもよい。これらの複数のコイルパターン300は、基材200の所定の領域、例えば、中央部の貫通孔220a、220bから外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、基材200の上に形成された2つのコイルパターンが接続されて1つのコイルを構成してもよい。即ち、1つのボディ100内に2以上のコイルが形成されてもよい。ここで、基材200の上側のコイルパターン310、330及び下側のコイルパターン320、340は、互いに同じ形状に形成されてもよい。なお、複数のコイルパターン300が重なり合うように形成されてもよく、上側のコイルパターン310、330が形成されていない領域に重なり合うように下側のコイルパターン320、340が形成されてもよい。
【0075】
外部電極400(410、420)は、ボディ100の両端部に形成されてもよい。例えば、外部電極400は、ボディ100の長軸方向に向かい合う2つの側面に形成されてもよい。このような外部電極400は、ボディ100のコイルパターン300と電気的に接続されてもよい。即ち、複数のコイルパターン300の少なくとも一方の端部がボディ100の外側に露出され、外部電極400が複数のコイルパターン300の端部と接続されるように形成されてもよい。例えば、外部電極400は、コイルパターン310と接続されるように形成されてもよく、外部パターン420は、コイルパターン340と接続されるように形成されてもよい。即ち、外部電極400は、基材200a、200bの上に形成された1つのコイルパターン310、340とそれぞれ接続される。
【0076】
接続電極700は、外部電極400が形成されていないボディ100の少なくとも一方の面の上に形成されてもよい。例えば、外部電極400が向かい合う第1及び第2の側面に形成され、接続電極700は外部電極400が形成されていない第3及び第4の側面にそれぞれ形成されてもよい。このような接続電極700は、第1の基材200aの上に形成されたコイルパターン310、320の少なくともいずれか1つと、第2の基材200bの上に形成されたコイルパターン330、340の少なくともいずれか1つとを接続するために設けられる。即ち、接続電極710は第1の基材200aの下側に形成されたコイルパターン320と、第2の基材200bの上側に形成されたコイルパターン330とをボディ100の外側において接続する。即ち、外部電極410がコイルパターン310と接続され、接続電極710がコイルパターン320、330を連結し、外部電極420がコイルパターン340と接続される。このため、第1及び第2の基材200a、200bの上にそれぞれ形成されたコイルパターン310、320、330、340が直列に接続される。一方、接続電極710はコイルパターン320、330を接続するが、接続電極720はコイルパターン300と接続されないが、これは、工程上の便宜のために2つの接続電極710、720が形成され、1つの接続電極710のみがコイルパターン320、330と接続されるためである。このような接続電極700は、導電性ペーストにボディ100を浸漬したり、メッキ、印刷、蒸着及びスパッタリングを行ったりするなど様々な方法によってボディ100の一方の側面に形成されてもよい。好ましくは、接続電極700は、外部電極400の形成時と同じ方法、即ち、メッキによって形成されてもよい。接続電極700は、電気伝導性を与えるための金属であり、例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、パラジウム及びこれらの合金よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の金属を含んでいてもよい。このとき、接続電極700の表面に、必要に応じて、ニッケルメッキ層(図示せず)または錫メッキ層(図示せず)が更に形成されてもよい。
【0077】
図18及び図19は、本発明の第3の実施形態の変形例に係るパワーインダクターの断面図である。即ち、ボディ100の内部に3つの基材200(200a、200b、200c)を設け、基材200のそれぞれの一方の面及び他方の面の上にコイルパターン300(310、320、330、340、350、360)をそれぞれ形成し、コイルパターン310、360は外部電極410、420と接続されるようにし、コイルパターン320、330は接続電極710と接続されるようにし、コイルパターン340、350は接続電極720と接続されるようにする。このため、3つの基材200a、200b、200cの上にそれぞれ形成されたコイルパターン300が接続電極710、720によって直列に接続されてもよい。
【0078】
上述したように、本発明の第3の実施形態及びその変形例に係るパワーインダクターは、少なくとも一方の面にコイルパターン300がそれぞれ形成された少なくとも2以上の基材200がボディ100内に離れて設けられ、異なる基材200の上に形成されたコイルパターン300がボディ100の外部の接続電極700によって接続されることにより、1つのボディ100内に複数のコイルパターンを形成し、これにより、パワーインダクターの容量を増やすことができる。即ち、ボディ100の外部の接続電極700を用いて異なる基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300を直列に接続することができ、これにより、同じ面積内のパワーインダクターの容量を増やすことができる。
【0079】
図20は、本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図であり、図21及び図22は、図20のA-A’及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。なお、図23は、内部平面図である。
【0080】
図20から図23を参照すると、本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に水平方向に設けられた少なくとも2以上の基材200(200a、200b、200c)と、少なくとも2以上の基材200の少なくとも一方の面の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300(310、320、330、340、350、360)と、ボディ100の外部に設けられ、少なくとも2以上の基材200a、200b、200cの上に形成されたコイルパターン300とそれぞれ接続される外部電極400(410、420、430、440、450、460)と、コイルパターン300の上に形成された内部絶縁層500と、を備えていてもよい。以下の説明に当たっては、以上の実施形態の説明と重複する内容についての説明は省略する。
【0081】
少なくとも2以上、例えば、3つの基材200(200a、200b、200c)は、ボディ100の内部に設けられてもよい。ここで、少なくとも2以上の基材200は、例えば、ボディ100の厚さ方向と直交する長軸方向に互いに所定の間隔だけ離れて設けられてもよい。即ち、本発明の第3の実施形態及びその変形例においては、複数の基材200がボディ100の厚さ方向、例えば、垂直方向に配列されているのに対し、本発明の第4の実施形態においては、複数の基材200がボディ100の厚さ方向と直交する方向、例えば、水平方向に配列されてもよい。また、複数の基材200には導電性ビア210(210a、210b、210c)がそれぞれ形成され、少なくとも一部が除去されて貫通孔220(220a、220b、220c)がそれぞれ形成される。いうまでもなく、複数の基材200は、貫通孔220だけではなく、図18に示すように、コイルパターン300が形成されていない領域が除去されてボディ100が充填されてもよい。
【0082】
コイルパターン300(310、320、330、340、350、360)は、複数の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面、好ましくは、両面に形成されてもよい。ここで、コイルパターン310、320は、第1の基板200aの一方の面及び他方の面にそれぞれ形成されて第1の基材200aに形成された導電性ビア210aによって電気的に接続されてもよい。また、コイルパターン330、340は、第2の基板200bの一方の面及び他方の面にそれぞれ形成されて第2の基材200bに形成された導電性ビア210bによって電気的に接続されてもよい。同様に、コイルパターン350、360は、第3の基材300cの一方の面及び他方の面にそれぞれ形成されて第3の基材200cに形成された導電性ビア210cによって電気的に接続されてもよい。これらの複数のコイルパターン300は、基材200の所定の領域、例えば、中央部の貫通孔220a、220b、220cから外側に向かってスパイラル状に形成されてもよく、基材200の上にそれぞれ形成された2つのコイルパターンが接続されて1つのコイルをなしてもよい。即ち、1つのボディ100内に2以上のコイルが形成されてもよい。ここで、基材200の一方の側のコイルパターン310、330、350と他方の側のコイルパターン320、340、360は互いに同じ形状に形成されてもよい。また、同じ基材200の上に形成されたコイルパターン300が重なり合うように形成されてもよく、一方の側のコイルパターン310、330、350が形成されていない領域に重なり合うように他方の側のコイルパターン320、340、360が形成されてもよい。
【0083】
外部電極400(410、420、430、440、450、460)は、ボディ100の両端部に互いに所定の間隔だけ離れて形成されてもよい。このような外部電極400は、複数の基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300と電気的に接続されてもよい。例えば、外部電極410、420はコイルパターン310、320とそれぞれ接続され、外部電極430、440はコイルパターン330、340とそれぞれ接続され、外部電極450、460はコイルパターン350、360とそれぞれ接続されてもよい。即ち、外部電極400は、基材200a、200b、200cの上にそれぞれ形成されたコイルパターン300とそれぞれ接続される。
【0084】
上述したように、本発明の第4の実施形態に係るパワーインダクターは、1つのボディ100内に複数のインダクターが実現されてもよい。即ち、少なくとも2以上の基材200が水平方向に配列され、その上部にそれぞれ形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400によって接続されることにより、複数のインダクターが並列に設けられてもよく、これにより、1つのボディ100内に2以上のパワーインダクターが実現される。
【0085】
図24は、本発明の第5の実施形態に係るパワーインダクターの斜視図であり、図25及び図26は、図24のA-A’線及びB-B’線に沿って切り取った状態の断面図である。
【0086】
図24から図26を参照すると、本発明の第5の実施形態に係るパワーインダクターは、ボディ100と、ボディ100の内部に設けられた少なくとも2以上の基材200(200a、200b)と、少なくとも2以上の基材200のそれぞれの少なくとも一方の面の上に形成されたコイルパターン300(310、320、330、340)と、ボディ100の向かい合う2つの側面に設けられ、基材200a、200bの上にそれぞれ形成されたコイルパターン310、320、330、340とそれぞれ接続された複数の外部電極400(410、420、430、440)と、を備えていてもよい。ここで、2以上の基材200は、ボディ100の厚さ方向、例えば、垂直方向に所定の間隔だけ離れて積み重ねられ、それぞれの基材200の上に形成されたコイルパターン300は異なる方向に引き出されて外部電極400とそれぞれ接続される。即ち、本発明の第4の実施形態において、複数の基材200が水平方向に配列されているのに対し、本発明の第5の実施形態においては、複数の基材200が垂直方向に配列される。このため、本発明の第5の実施形態においては、少なくとも2以上の基材200がボディ100の厚さ方向に配列され、基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400によって接続されることにより、複数のインダクターが並列に設けられ、これにより、1つのボディ100内に2以上のパワーインダクターが実現される。
【0087】
上述したように、図15から図26に基づいて説明した本発明の第3乃至第5の実施形態においては、ボディ100内に少なくとも一方の面の上にコイルパターン300がそれぞれ形成された複数の基材200がボディ100の厚さ方向(即ち、垂直方向)に積み重ねられるか、或いは、これと直交する方向(即ち、水平方向)に配列されてもよい。また、複数の基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300は、外部電極400と直接または並列に接続されてもよい。即ち、複数の基材200のそれぞれに形成されたコイルパターン300が異なる外部電極400に接続されて並列に接続されてもよく、複数の基材200のそれぞれに形成されたコイルパターン300が同じ外部電極400に接続されて直列に接続されてもよい。直列に接続される場合、それぞれの基材200の上にそれぞれ形成されたコイルパターン300がボディ100の外部の接続電極700によって接続されてもよい。このため、並列に接続される場合、複数の基材200のそれぞれに2つの外部電極400が必要であり、直列に接続される場合、基材200の数を問わずに2つの外部電極400が必要であるが、1以上の接続電極700が必要である。例えば、3つの基材300の上に形成されたコイルパターン300が外部電極400に並列に接続される場合、6つの外部電極400が必要であり、3つの基材300の上に形成されたコイルパターン300が直列に接続される場合、2つの外部電極400及び少なくとも1つの接続電極700が必要である。更に、並列に接続される場合、ボディ100内に複数のコイルが設けられ、直列に接続される場合、ボディ100内に1つのコイルが設けられる。
【0088】
図27から図29は、本発明の一実施形態に係るパワーインダクターの製造方法を説明するために順番に示す断面図である。
【0089】
図27を参照すると、基材200の少なくとも一方の面、好ましくは、一方の面及び他方の面の上に所定の形状のコイルパターン310、320を形成する。基材200は、銅張積層板(CCL)または金属磁性体などによって接続製作されてもよいが、実効透磁率を増やし且つ容量を実現し易い金属磁性体を用いることが好ましい。例えば、基材200は、含鉄金属合金からなる所定の厚さの金属板の一方の面及び他方の面に銅箔を貼り合わせることにより製作されてもよい。ここで、基材200は、例えば、中央部に貫通孔220が形成され、所定の領域に導電性ビア210が形成される。また、基材200は、貫通孔220以外に、外側領域が除去された形状に設けられてもよい。例えば、所定の厚さを有する矩形板状の基材200の中央部に貫通孔220が形成され、所定の領域に導電性ビア210が形成され、基材200の外側の少なくとも一部が除去される。このとき、基材200の除去される部分は、スパイラル状に形成されたコイルパターン310、320の外側部分になり得る。更に、コイルパターン310、320は、基材200の所定の領域、例えば、中央部から円形のスパイラル状に形成されてもよい。このとき、基材200の一方の面の上にコイルパターン310を形成した後、基材200の所定の領域を貫通し且つ導電物質が埋め込まれた導電性ビア210を形成し、基材200の他方の面の上にコイルパターン320を形成してもよい。導電性ビア210は、レーザーなどを用いて基材200の厚さ方向にビア孔を形成した後、ビア孔に導電性ペーストを充填して形成してもよい。更にまた、コイルパターン310は、例えば、メッキ工程を用いて形成してもよいが、このために、基材200の一方の面の上に所定の形状の感光膜パターンを形成し、基材200上の銅箔をシードとして用いたメッキ工程を行って露出された基材200の表面から金属層を成長させた後に感光膜を除去することにより形成してもよい。いうまでもなく、コイルパターン320は、基材200の他方の面の上にコイルパターン310と同じ方法を用いて形成してもよい。一方、コイルパターン310、320は、多層に形成されてもよい。コイルパターン310、320が多層に形成される場合、下層と上層との間に絶縁層が形成され、絶縁層に第2の導電性ビア(図示せず)が形成されて多層コイルパターンが接続されてもよい。このように基材200の一方の面及び他方の面の上にコイルパターン310、320をそれぞれ形成した後、コイルパターン310、320を覆うように内部絶縁層500を形成する。内部絶縁層500は、パリレンなどの絶縁性高分子物質をコーティングして形成してもよい。好ましくは、内部絶縁層500は、パリレンを用いてコーティングすることにより、コイルパターン310、320の上面及び側面だけではなく、基材200の上面及び側面にも形成されてもよい。このとき、内部絶縁層500は、コイルパターン310、320の上面及び側面、且つ、基材200の上面及び側面に同じ厚さに形成されてもよい。即ち、コイルパターン310、320が形成された基材200を蒸着チャンバー内に設けた後にパリレンを気化させて真空チャンバーの内部に供給することにより、コイルパターン310、320及び基材200の上にパリレンを蒸着してもよい。例えば、パリレンを気化器において1次的に加熱して気化させてダイマー(dimer)状態にした後、2次的に加熱してモノマー(Monomer)状態に熱分解し、蒸着チャンバーに連設されたコールドトラップ及び機械的真空ポンプを用いてパリレンを冷却させると、パリレンはモノマー状態からポリマー状態に変換されてコイルパターン310、320の上に蒸着される。ここで、パリレンを気化させてダイマー状態にするための1次加熱工程は、100℃~200℃の温度及び1.0Torrの圧力下で行ってもよく、気化されたパリレンを熱分解してモノマー状態にするための2次加熱工程は、400℃~500℃の温度及び0.5Torr以上の圧力下で行ってもよい。更にまた、モノマー状態をポリマー状態にしてパリレンを蒸着するために、蒸着チャンバーは、常温、例えば、25℃の温度及び0.1Torrの圧力を保ってもよい。このようにコイルパターン310、320の上にパリレンをコーティングすることにより、コイルパターン310、320及び基材200の段差に沿って内部絶縁層500がコーティングされ、これにより、内部絶縁層500が均一な厚さに形成可能である。いうまでもなく、内部絶縁層500は、エポキシ、ポリイミド及び液晶ポリマーよりなる群から選ばれるいずれか1種以上の物質を含むシートをコイルパターン310、320の上に密着することにより形成してもよい。
【0090】
図28を参照すると、金属粉末110及び絶縁物120を含み、熱伝導性フィラー(図示せず)を更に含む材料からなる複数枚のシート100a~100hを用意する。ここで、金属粉末110としては、含鉄(Fe)金属物質を用いてもよく、絶縁物120としては、金属粉末110同士を絶縁し得るエポキシ、ポリイミドなどを用いてもよく、熱伝導性フィラーとしては、金属粉末110の熱を外部に放出し得るMgO、AlN、カーボン系の物質などを用いてもよい。また、金属粉末110の表面が磁性体、例えば、金属酸化物磁性体によってコーティングされてもよく、パリレンなどの絶縁性物質によってコーティングされてもよい。ここで、絶縁物120は、金属粉末100wt%に対して2.0wt%~5.0wt%の含量で含まれてもよく、熱伝導性フィラーは、金属粉末110の100wt%に対して0.5wt%~3wt%の含量で含まれてもよい。これらの複数枚のシート100a~100hをコイルパターン310、320が形成された基材200の上部及び下部にそれぞれ配置する。一方、複数枚のシート100a~100hは、熱伝導性フィラーの含量が異なっていてもよい。例えば、基材200の一方の面及び他方の面から上側及び下側に向かって進むにつれて熱伝導性フィラーの含量が高くなってもよい。即ち、基材200に接するシート100a、100dの上側及び下側に位置するシート100b、100eの熱伝導性フィラーの含量の方がシート100a、100dの熱伝導性フィラーの含量よりも高く、シート100b、100eの上側及び下側に位置するシート100c、100fの熱伝導性フィラーの含量の方がシート100b、100eの熱伝導性フィラーの含量よりも高くてもよい。このように、基材200から遠ざかるにつれて熱伝導性フィラーの含量が高くなることにより、熱伝達効率をより一層向上させることができる。一方、本発明の他の実施形態に開示されているように、最上層及び最下層シート100a、100hの上部及び下部に第1及び第2の磁性層610、620をそれぞれ設けてもよい。第1及び第2の磁性層610、620は、シート100a~100hよりも高い透磁率を有する物質によって製作されてもよい。例えば、第1及び第2の磁性層610、620は、シート100a~100hの透磁率よりも高い透磁率を有するように磁性粉末及びエポキシ樹脂を用いて製作してもよい。なお、第1及び第2の磁性層610、620に熱伝導性フィラーを更に含めてもよい。
【0091】
図29を参照すると、基材200を間に挟んで複数枚のシート100a~100hを積み重ねて押し付けた後に成形してボディ100を形成する。これにより、基材200の貫通孔220及び基材200の除去された部分にボディ100が充填可能になる。また、図示はしないが、このようなボディ100及び基材200を単位素子の単位で切断した後、単位素子のボディ100の両端部にコイルパターン310、320の引き出された部分と電気的に接続されるように外部電極400を形成してもよい。外部電極400は、少なくとも一部がコイルパターン300と同じ物質及び同じ方法によって形成されてもよい。即ち、第1の層411、421は、銅を無電解メッキ、電解メッキなどの方法によって形成してもよく、第2の層412、422は、Ni、Snなどをメッキ方法によって少なくとも1つの層に形成してもよい。このとき、外部電極400は、ボディ100の外側に露出されたコイルパターン300をシードとして用いて形成してもよい。このように、外部電極400の少なくとも一部を銅メッキによって形成することにより、外部電極400の結合力を強くすることができる。このとき、コイルパターン300と外部電極400との間の結合力をボディ100と外部電極400との間の結合力よりも強くしてもよい。そして、ボディ100の上面に延設された外部電極400が露出されないようにキャッピング絶縁層550を形成する。
【0092】
本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化可能である。即ち、上記の実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に本発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の範囲は本願の特許請求の範囲によって理解されるべきである。
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