(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】複合ウェブ-ポリマー心臓弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2022529907
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2020083331
(87)【国際公開番号】W WO2021105193
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-23
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522368684
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック メディカル デバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ユメール、アルノー
(72)【発明者】
【氏名】エフティ、ジャン-ルク
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/210059(WO,A1)
【文献】特表2018-504972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0118210(US,A1)
【文献】特表2018-516610(JP,A)
【文献】特表2016-512065(JP,A)
【文献】特表2010-502320(JP,A)
【文献】特開昭63-229061(JP,A)
【文献】特開2013-144009(JP,A)
【文献】特開2016-209665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを取得することと、
複数の取り付け要素で前記フレームに
コーティングされていない多孔性ウェブを取り付けることと、
前記フレームに取り付けられた前記多孔性ウェブの少なくとも一部と、
前記多孔性ウェブを前記フレームに取り付ける少なくとも前記複数の取り付け要素の一部とにコーティングを適用して内側スカートと複数の弁リーフレットとを形成することと、
を含む心臓弁を製造する方法。
【請求項2】
前記多孔性ウェブは、メッシュからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の取り付け要素は、複数の縫合糸からなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔性ウェブにコーティングを適用する工程は、前記多孔性ウェブ内の細孔を閉塞することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
エレクトロスピニングで形成された基材を前記フレームおよび前記多孔性ウェブのうちの少なくとも一方に取り付けることをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記エレクトロスピニングで形成された基材は、少なくとも1つの弁リーフレットに対応する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エレクトロスピニングで形成された基材は、ポリイソブチレンウレタン(PIB-PUR)コポリマーを含有しており、前記多孔性ウェブは、ポリエチレンテレフタレートを含有している、請求項5または6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の実施形態は、人工心臓弁に関する。より詳細には、本明細書の実施形態は、ポリマーでコーティングされた人工心臓弁に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓弁が適切に機能しない場合、心臓機能が著しく損なわれる可能性がある。心臓弁の機能不全の潜在的な原因には、弁周囲の弁輪の拡張、心室拡張、脱出したまたは奇形した弁リーフレット、および大動脈弁狭窄症などの狭窄が含まれる。心臓弁が適切に閉鎖できない場合、心腔内の血液が弁を通過して逆流、すなわち逆方向に漏れる可能性がある。心臓弁が適切に開放できない場合、順方向の血流(収縮期の血流など)が損なわれる可能性がある。
【0003】
弁の機能不全は、大動脈弁などの病気の弁を交換または修復することによって治療し得る。外科的弁置換術は、罹患した弁を治療するための1つの方法である。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)などの低侵襲治療法では、一般に、動脈通路またはその他の生体構造の経路を介して心臓に送達される送達カテーテルを使用して、罹患した弁を移植可能な人工心臓弁に置き換える。このような弁のリーフレットは、合成材料や動物組織を含むさまざまな材料から形成されている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の実施形態は、ポリマーでコーティングされた人工心臓弁に関する。第1の態様では、心臓弁を製造する方法が含まれており、この方法は、フレームを取得することと、多孔性ウェブをフレームに取り付けることと、多孔性ウェブの少なくとも一部にコーティングを適用することとを含む。
【0005】
第2の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブはメッシュを含む。
第3の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、コーティングされた多孔性ウェブの少なくとも一部は、心臓弁の弁リーフレットに対応する。
【0006】
第4の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブは、ポリマーウェブを含む。
第5の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、コーティングは、ポリマーコーティングを含む。
【0007】
第6の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブをフレームに取り付けることは、多孔性ウェブをフレームに縫合することを含む。
【0008】
第7の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することは、多孔性ウェブをフレームに取り付ける複数の縫合糸をコーティングすることを含む。
【0009】
第8の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することにより、多孔性ウェブ内の細孔は閉塞される。
【0010】
第9の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブは、少なくとも1つの弁リーフレットを画定する。
第10の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、この方法は、エレクトロスピニングで形成された基材をフレームおよび多孔性ウェブの少なくとも1つに取り付けることをさらに含む。
【0011】
第11の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、エレクトロスピニングで形成された基材は、少なくとも1つの弁リーフレットに対応する。
【0012】
第12の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、エレクトロスピニングで形成された基材は、ポリイソブチレンウレタン(PIB-PUR)コポリマーを含む。
【0013】
第13の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブはポリエチレンテレフタレートを含む。
第14の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、多孔性ウェブ上にコーティングを塗布することは、多孔性ウェブ上にコーティングを浸漬コーティングすることを含む。
【0014】
第15の態様では、心臓弁を製造する方法が含まれ、この方法は、フレームを取得することと、フレームに多孔性ウェブを取り付けることと、多孔性ウェブ上にコーティングを塗布することと、エレクトロスピニングで形成された繊維マットをフレームに取り付けることと、およびエレクトロスピニングで形成された繊維マットをコーティングすることとを含む。
【0015】
第16の態様では、心臓弁が含まれる。心臓弁は、フレームおよびフレームに取り付けられた複数の弁リーフレットを含み、各弁リーフレットは多孔性支持ウェブを形成する第1のポリマーおよび多孔性支持ウェブの細孔を閉塞するコーティングを形成する第2のポリマーを有しており、弁リーフレットは、コーティングで少なくとも部分的に覆われた連結構造体によってフレームに取り付けられている。
【0016】
第17の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、連結構造体は、複数の縫合糸を含む。
第18の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、複数の縫合糸は第2のポリマーで覆われている。
【0017】
第19の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、弁は、内側スカートを含み、内側スカートは、多孔性支持ウェブを形成する第1のポリマーと、多孔性支持ウェブの細孔を閉塞するコーティングを形成する第2のポリマーとを含んでおり、内側スカートは、コーティングを貫通しない連結構造体によってフレームに取り付けられている。
【0018】
第20の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、連結構造体は、複数の縫合糸を含む。
第21の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、弁は、外側密封スカートをさらに含む。
【0019】
第22の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、外側密封スカートは、多孔性支持ウェブを形成する第1のポリマーと、多孔性支持ウェブの孔を閉塞するコーティングを形成する第2のポリマーとを含んでおり、外側密封スカートは、コーティングを通過しない連結構造体によってフレームに取り付けられている。
【0020】
第23の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、連結構造体は、複数の縫合糸を含む。
第24の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、フレームは、経カテーテル送達のために折り畳み可能であり、移植部位での移植のために拡張可能に構成される。
【0021】
第25の態様では、心臓弁は、フレームと、弁の構造的特徴を画定する多孔性ウェブと、多孔性ウェブをフレームに固定する取り付け構造と、多孔性ウェブおよび取り付け構造上に配置されて多孔性ウェブの孔を閉塞するポリマーコーティングとを有する。
【0022】
第26の態様では、上記または下記の態様の1つ以上に加えて、またはいくつかの態様の代替として、弁の構造的要素は、弁リーフレット、内側スカート、および外側密封スカートのうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
上記概要は、本出願のいくつかの開示事項のうちのいくつかの概要であり、本発明の主題の排他的または網羅的な取り扱いを意図するものではない。詳細については、詳細な説明および添付の特許請求の範囲を参照されたい。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解するとともにその一部を形成する図面を見れば、当業者であれば理解することができ、これらのそれぞれは、限定的な意味で解釈されるべきではない。ここでの範囲は、添付の請求項およびそれらの法的同等物によって定義される。
【0024】
次の図に関連して、態様をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本明細書の様々な実施形態にかかる、人体内の人工心臓弁を示す概略図。
【
図2】本明細書の様々な実施形態にかかる、血管内の人工心臓弁を示す概略図。
【
図3】本明細書の様々な実施形態にかかる、人工心臓弁を示す端面図。
【
図4】本明細書の様々な実施形態にかかる、フレームを示す図。
【
図5】本明細書の様々な実施形態にかかる、フレームおよびウェブを示す正面図。
【
図6】本明細書の様々な実施形態にかかる、フレームおよびウェブを示す正面図。
【
図7】本明細書の様々な実施形態にかかる、人工心臓弁を示す正面図。
【
図8】本明細書の様々な実施形態にかかるフレームに縫合されたウェブの
図6の線8-8’に沿った断面を示す概略図。
【
図9】本明細書の様々な実施形態にかかるフレームに縫合されたウェブの
図7の線9-9’に沿った断面を示す概略図。
【
図10】本明細書の様々な実施形態にかかる、人工心臓弁を示す正面図。
【
図11】本明細書の様々な実施形態にかかる、ウェブの一部を示す図。
【
図12】本明細書の様々な実施形態にかかる、コーティングされたウェブの一部を示す図。
【
図13】本明細書の様々な実施形態にかかる、ウェブの一部を示す図。
【
図14】本明細書の様々な実施形態にかかる、単層ウェブの一部を示す概略側面図。
【
図15】本本明細書の様々な実施形態にかかる、二重層ウェブの一部を示す概略側面図。
【
図16】本明細書の様々な実施形態にかかる、送達カテーテルを示す概略図。
【
図17】本明細書の様々な実施形態にかかる、心臓弁の製造方法の動作を示す概略図。
【
図18】本明細書の様々な実施形態にかかる、心臓弁を製造する方法の動作を示す概略図。
【
図19】本明細書の様々な実施形態にかかる、心臓弁の製造方法の動作を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
実施形態は、様々な修正物および代替形態を受け入れ可能であるが、その詳細は、例および図面として示され且つ詳細に説明されている。しかしながら、ここでの範囲は、説明されている特定の態様に限定されないことを理解されたい。むしろ、その意図は、本明細書に開示された趣旨および範囲内に含まれる修正物、均等物、および代替物を包含することにある。
【0027】
いくつかの場合には、人工心臓弁は、フレームに取り付けられた合成材料で形成することができ、合成材料がまず完全に形成されて、次にフレームに縫合される。しかしながら、そのようなシナリオでは、縫合糸は合成材料の全厚を貫通するため、構造的な一体性がより低い箇所を形成する。
【0028】
本明細書の様々な実施形態によれば、人工心臓弁は、合成弁材料(支持ウェブまたはメッシュなど)の一部がまずフレームに取り付けられ(縫合糸または他の取り付け要素を使用して)、その後にコーティング、または高分子材料を浸透させることによって形成することができる。このようにして、縫合糸または他の取り付け要素は、ポリマーコーティングを貫通しないため、より強固な構造的一体性が可能になる。
【0029】
したがって、様々な実施形態において、心臓弁は、フレームおよびフレームに取り付けられた複数の弁リーフレットを有する。各弁リーフレットは、多孔性支持ウェブを形成する第1のポリマーと、多孔性支持ウェブの細孔を閉塞するコーティングを形成する第2のポリマーとを含む。弁リーフレットは、コーティングによって少なくとも部分的に覆われた連結構造体によってフレームに取り付けることができる(コーティングを貫通する連結構造体とは対照的である)。さらに、本明細書の様々な実施形態は、弁リーフレット、内側スカート、および/または外側スカートなどの人工心臓弁の部分を形成するためのコーティング工程を含む。
【0030】
ここで
図1を参照すると、人体104の心臓102内の人工心臓弁100の概略図が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。心臓には、肺動脈弁、三尖弁、大動脈弁、および、僧帽弁の4つの心臓弁がある。心臓弁は、血液が心臓を通過して、心臓に連結されている主要な血管、たとえば大動脈や肺動脈に入ることを可能にする。
図1の人工心臓弁100は、外科的に移植され、または送達装置、すなわちカテーテル106を使用して血管内を通って送達される。送達カテーテル106は、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)処置中または僧帽弁の移植中において、大腿動脈、鎖骨下動脈、心尖、心中隔、心房を経て、または大動脈切開に挿入することができる。様々な実施形態において、送達カテーテル106は、経大腿動脈送達カテーテル106を含むことができる。挿入されると、送達カテーテル106は、人工心臓弁100を生体構造内の所望の位置に送達して心臓弁100を所望の移植部位で離脱できる。
図1は、大動脈弁を置換する人工心臓弁100を示しているが、いくつかの場合には、人工心臓弁100は、別のタイプの心臓弁(例えば、僧帽弁または三尖弁)の代わりとなり得る。いくつかの例では、心臓弁は、具体的には、TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)弁である。
【0031】
図2は、様々な実施形態にかかる、血管220内の閉鎖した心臓弁100の概略図を示す。
図3は、閉鎖した心臓弁100の端面図を示す。弁100は、矢印218で示すように、弁100を通過する一方向の流れを可能にするように構成される。一実施形態では、矢印218は、収縮期中の血流を表す。心臓弁100は、入口222および出口224を含む。
【0032】
様々な実施形態において、心臓弁100は、フレーム208を含む。フレーム208は、いくつかの実施形態では、ほぼ円筒形の中央ルーメンを画定する。フレーム208の側面および中央ルーメンに面する他の構成要素は、ルーメン表面、またはルーメン側と呼ばれる。フレーム208および他の構成要素の反対側(例えば、中央ルーメンから離れて面している)は、反ルーメン面または反ルーメン側と呼ばれる。様々な実施形態において、フレーム208は、ほぼ円形の断面を有する。他の実施形態では、フレーム208は、D字形のような非円形の断面を有し得る。いくつかの実施形態では、非円形のフレーム208を使用して、僧帽弁または体内の別の非円形の弁を修復し得る。さまざまな特定のフレーム設計および形状を使用できる。フレームは、機械加工、レーザー切断、焼結、直接金属レーザー焼結(DMLS)、鋳造、切断、穴あけ、成形、溶接、打ち抜き、焼き戻し、押し出しなどを含むがこれらに限定されないさまざまな技術を使用して製造することができる。
【0033】
心臓弁100はまた、2つまたは3つの弁リーフレット210などの複数の弁リーフレット210を含む。心臓弁100は、接合領域216を含むことができ、例えば、1つ以上の弁リーフレット210が出会って弁100を閉鎖し、または分離して弁100を開く。様々な実施形態では、弁リーフレット210は、フレーム208で支持するために、フレーム208に対して直接的または間接的に結合されている。弁リーフレット210は、フレーム208に結合または隣接する、リーフレット210の縁などのルートエッジ212を含む。弁リーフレット210はまた、隣接する弁リーフレット210の縁に整合するエッジなどの接合エッジ214を含む。接合エッジ214は、別のリーフレット210の接合エッジ214に接合するために、ルートエッジ212に対して移動できる。リーフレット210の接合エッジ214は、閉鎖姿勢で互いに接合状態に移動し(
図2および
図3)、流体が矢印218と反対の方向に弁100を通過して流れることを実質的に制限する。具体的には、弁リーフレット210は、接合して弁100の中央ルーメンを塞ぎ、すなわち閉鎖して、矢印218と反対向きの流体の流れを妨げることができる。
【0034】
心臓弁100は、長手方向の長さ250を有する。長手方向の長さ250は、様々な寸法の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、長さは、20mm、22mm、24mm、26mm、28mm、30mm、32mm、35mm、38mm、40mm、42mm、45mm、48mm、または50mm以上であり得る。いくつかの実施形態では、長さ250は、70mm、68mm、65mm、62mm、60mm、58mm、55mm、52mm、または50mm以下であり得る。いくつかの実施形態では、長さは、20mm~70mm、または24mm~68mm、または30mm~65mm、または35mm~62mm、または40mm~60mm、または42mm~58mm、または45mm~55mm、または48mm~52mmの範囲、または約50mmであり得る。
【0035】
様々な実施形態において、中央ルーメンの内径は、少なくとも10mmであり、且つ50mm以下であり得る。様々な実施形態において、中央ルーメンの内径は、少なくとも15mmであり、且つ40mm以下であり得る。様々な実施形態において、中央ルーメンの内径は、少なくとも20mmであり、且つ35mm以下であり得る。
【0036】
ここで
図4を参照すると、本明細書の様々な実施形態にかかるフレーム208の図が示されている。心臓弁100は、フレーム208を含む。フレーム208は、複数のストラット426を含む。フレーム208はまた、下部クラウン428、上部クラウン430、および1つ以上の安定化アーチ432を含む。様々な実施形態において、フレーム208は、経カテーテル送達のために折り畳み可能であるとともに、移植部位での移植のために拡張可能に構成される。フレーム208は、以下に限定されないが、金属(元素または合金)、ポリマー、複合材料などの様々な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、フレーム208は、具体的には、ニチノール、NiTi、チタン、ステンレス鋼、316L、L605、MP35Nなどを含み得る。
【0037】
ここで
図5を参照すると、フレーム208およびウェブ534を含む心臓弁100の正面図が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。例示的なウェブの詳細な態様が、以下により詳細に説明されている。ウェブ534は、心臓弁100の部分のために支持構造または足場を形成する。ウェブ534は、心臓弁100の一部を形成するためにポリマーが適用される支持構造、または足場を形成する。様々な実施形態において、ウェブ534は、少なくとも1つの弁リーフレットを画定する。様々な実施形態において、ウェブ534は、弁100のルーメン側および反ルーメン側をコーティングするなどのために、コーティング処理中にコーティングが通過できる開口部を有するなど、多孔性である。コーティングはまた、患者の体内に移植した後に血液が意図しない方向に弁100を通過して流れることを防止するなどのために、ウェブ534の細孔を閉塞できる。
【0038】
細孔は、使用するウェブの性質に応じて、さまざまなサイズにすることができる。例として、細孔は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.175、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.75、2、2.5、3、4、5、6、7、8mm、または上記の任意の値の間の範囲に入る平均細孔サイズ(長軸)を有することができる。
【0039】
図5は、フレーム208に整合されたウェブ534を示す。ウェブ534をフレーム208に取り付け、または結合する前に、ウェブ534をフレーム208に整合させることができる。様々な実施形態では、ウェブ534は、取り付け構造によってフレーム208に取り付けまたは結合される。ここで
図6を参照すると、フレーム208に縫合されたウェブ534を備えるフレーム208の正面図が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。いくつかの実施形態では、ウェブ534をフレーム208に取り付ける取り付け構造体は、複数の縫合糸636を含む。
図6に示す縫合糸636は、フレーム208に関してウェブのリーフレット部分を支持することに適する。より多くの縫合糸636またはより少ない縫合糸636を必要に応じて使用することができる。追加的な縫合糸636を設けて、ウェブを他の位置、例えばフレーム208の1つ以上の下部領域および/または下部クラウンでフレーム208に取り付けることができる。様々な実施形態において、ウェブ534をフレーム208に取り付けることは、複数の縫合糸636などを用いて、ウェブ534をフレーム208に縫合することを含む。他の取り付け構造体には、ステープル、クランプ、ループ、バンドなどが含まれ得る。
【0040】
図6に示すようなコーティングされていないフレーム208、ウェブ534、および縫合糸636をコーティングで被覆して、
図7に示す心臓弁100にすることができる。
図7は、本明細書の様々な実施形態にかかる人工心臓弁100の正面図を示す。心臓弁100は、フレーム208、複数の弁リーフレット210、およびウェブをフレーム208に取り付ける複数の縫合糸636を含む。心臓弁100は、ポリマーコーティングなどのコーティング738をさらに含むことができる。例示的なコーティングは、以下の適用されるコーティング材料に関する部分で説明されている。
【0041】
様々な実施形態において、心臓弁100は、フレーム208およびフレーム208に取り付けられた複数の弁リーフレット210を含むことができる。様々な実施形態において、各弁リーフレット210は、支持ウェブ534を形成する第1のポリマー、および多孔性支持ウェブ534中において細孔(以下でさらに説明される)を閉塞するコーティングを形成する第2のポリマーを含むことができる。弁リーフレット210は、コーティング738によって少なくとも部分的に覆われ得る縫合糸などの連結構造体によってフレーム208に取り付けられる。
【0042】
様々な実施形態では、連結構造体は、複数の縫合糸636を含む。様々な実施形態では、心臓弁100は、フレーム208、弁100の構造的特徴(リーフレット、内側スカート、外側スカートなど)を形成する多孔性ウェブ534と、多孔性ウェブ534をフレーム208に固定する取り付け構造体と、ポリマーコーティング738とを含むことができる。コーティング738は、多孔性ウェブ534上、取り付け構造体上、およびフレーム208上に配置することができる。コーティングは、多孔性ウェブ534の細孔を塞ぐことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、コーティング738は、ウェブ534がフレーム208に取り付けられた後、ウェブ534に適用することができる。いくつかの実施形態では、コーティング738は、フレーム208、ウェブ534、および縫合糸636を、心臓弁100上で凝固する液体コーティングなどのコーティング738の供給源に沈めるなどの浸漬コーティング処理によって心臓弁100に適用することができる。いくつかの実施形態では、コーティング738は、フレーム208、ウェブ534、および縫合糸636にコーティング738をスプレーすることによるなどのスプレーコーティング処理によって心臓弁100に適用することができる。いくつかの実施形態では、フレーム208およびウェブ534の全体にスプレーすることができる。しかしながら、他の実施形態では、1つ以上のマスクを使用して、フレーム208および/またはウェブ534の一部を覆うことができ、その結果、特定の部分のみがスプレーコーティングされる。例えば、いくつかの実施形態では、安定化アーチは、それらが適用されたポリマーによってコーティングされないようにマスクされるが、弁の他の部分はコーティングされる。
【0044】
様々な実施形態では、コーティング738は、多孔性ウェブ534および取りつけ構造体上に配置することができ、その結果、多孔性ウェブ534の細孔を閉塞する。様々な実施形態では、コーティングされた多孔性ウェブ534の少なくとも一部は、心臓弁100の弁リーフレット210に対応する。様々な実施形態では、弁リーフレット210はそれぞれ、ウェブ534の一部およびコーティング738の一部を含む。
【0045】
ここで
図8を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従い、
図6の線8-8’に沿って得られるフレーム208に縫合されたウェブ534の断面の概略図が示されている。いくつかの実施形態では、ウェブ534は、フレーム208の1つ以上のストラット426に取り付けることができる。縫合糸636は、ストラット426の周囲およびウェブ534の一部の周囲に延びて、ウェブ534をフレーム208に固定することができる。いくつかの実施形態では、縫合糸636は、ウェブ534の一部を通過して延びることができる。コーティングされていない状態またはコーティングされる前の状態では、縫合糸636は露出されているか、または覆われていない。
【0046】
ここで
図9を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従い、
図7の線9-9’に沿って得られるフレーム208に縫合されたウェブ534の断面の概略図が示されている。
図9は、コーティング738が適用された後における、フレーム208に縫合されたウェブ534の断面の概略図を示す。様々な実施形態において、複数の縫合糸636の少なくともいくつかは、第2のポリマーまたはコーティング738で覆われている。様々な実施形態において、複数の縫合糸636のすべては、コーティング738で覆われている。様々な実施形態において、縫合糸636は、コーティング738内に封入されている。様々な実施形態において、縫合糸636は、コーティング738を貫通、または通過しない。様々な実施形態において、縫合糸636は、コーティング738の少なくとも1つの層を貫通または通過しない。
【0047】
ここで
図10を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従って、人工心臓弁100の正面図が示されている。心臓弁100は、フレーム208および1つ以上の弁リーフレット210を含む。いくつかの実施形態では、心臓弁100はまた、内側スカート1040を含む。いくつかの実施形態では、心臓弁100はまた、外側密封スカート1042を含む。
【0048】
様々な実施形態では、内側スカート1040は、1つ以上の縫合糸636などのコーティングを通過しない連結構造体によってフレーム208に取り付けることができる。様々な実施形態では、外側密封スカート1042は、1つ以上の縫合糸636などのコーティングを通過しない連結構造体によってフレーム208に取り付けることができる。
【0049】
様々な実施形態において、内側スカート1040は、多孔性支持ウェブ534を形成する第1のポリマー、および多孔性支持ウェブ534の細孔を閉塞することができるコーティング738を形成する第2のポリマーを含むことができる。同様に、様々な実施形態において、外側密封スカート1042は、多孔性支持ウェブ534を形成する第1のポリマー、および多孔性支持ウェブ534の細孔を閉塞することができるコーティング738を形成する第2のポリマーを含むことができる。
【0050】
様々な実施形態において、ウェブ534は、弁100の様々な構造的特徴を画定することができる。ウェブ534は、弁リーフレット210、内側スカート1040、および外側密封スカート1042のうちの少なくとも1つを画定することができる。
【0051】
ここで
図11を参照すると、ウェブ534の一部の図が、本明細書の様々な実施形態に従って、示されている。
図11は、多孔性ウェブ534を示す。いくつかの実施形態では、多孔性ウェブ534は、複数の繊維1144を含むことができる。多孔性ウェブ534は、複数の繊維1144の間に複数の細孔1146を画定することができる。
【0052】
図11に示すウェブ534は、コーティングされる前のウェブ534の一部である。コーティングされていないウェブ534は、コーティングがウェブ534を通過可能にする細孔1146を画定する。コーティングはまた、コーティングをウェブ534に取り付けるなどのために、個々の繊維1144を囲むことができる。
【0053】
図11のコーティングされていないウェブは、ポリマーコーティング738でコーティングすることができる。コーティングされたウェブ534が
図12に示されている。ここで
図12を参照すると、コーティングされたウェブ534の一部が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。
【0054】
様々な実施形態において、コーティング738は、
図12に示すように、ウェブ534の細孔を閉塞することができる。細孔1146は、血液などの液体がウェブ534およびコーティング738を通過できないように閉塞することができる。閉塞されている細孔1146に加えて、繊維1144をコーティングすることができるため、繊維1144の少なくとも一部をコーティング738内に被覆または封入することができる。いくつかの実施形態では、ウェブの繊維1144のすべてが、コーティング738内で覆われるか、または囲まれる。
【0055】
図11および
図12は、繰り返しレイアウトまたはパターンを有する繊維1144などの組織化された繊維1144を備えたウェブ534を示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、繊維1144は、
図13に示すように、組織化されていないか、またはランダムである。ここで
図13を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従って、ウェブ534の一部の図が示されている。
図13は、組織化されていない繊維1144(またはランダムに配向された繊維)を含む多孔性ウェブ534を示す。組織化されていない繊維1144は、様々な長さ、形状、および位置を有するなど、ランダムである。細孔1146はまた、組織化されていない繊維1144の結果として、ランダムまたは様々な形状およびサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、組織化されていない繊維は、エレクトロスピニングで形成された繊維である。
【0056】
いくつかの場合には、本明細書のウェブは、様々な数の層から形成することができる。ここで
図14を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従って、単層ウェブ534の一部の断面を示す概略側面図が示されている。
図14は、織成構成の繊維1144を含む多孔性ウェブ534を示す。ここで
図15を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従って、二重層ウェブ534の一部の断面を示す概略側面図が示されている。
図15は、第1の層1548および第2の層1550を含む多孔性ウェブ534を示す。各層1548、1550は、織成構成の繊維1144を含む。いくつかの実施形態では、本明細書のウェブは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、または30個の層、または上記数のうちの任意の数の間の範囲の入る数の層を含みうる。
【0057】
いくつかの実施形態では、
図14に示す単層ウェブ534は、少なくとも0.1mm、0.25mm、0.5mm、1mm、2mm、または5mmの厚さを有することができる。様々な実施形態では、単層ウェブ534は、10mm未満、5mm、4mm、3mm、2mm、または1mmの厚さを有することができる。ウェブ534の厚さは、上記の厚さの任意の組み合わせの間の範囲内に入ることができることを理解されたい。また、第1の層1548および第2の層1550は、
図14に示す単層ウェブ534と同一の厚さを有することができることも理解されたい。いくつかの実施形態では、第1の層1548および第2の層1550は、同一の厚さおよび一般的な構造を有するなど、実質的に同一であり得る。いくつかの実施形態では、
図15に示す二重層ウェブ534は、
図14に示す単層ウェブ534の厚さの2倍の厚さを有することができる。
【0058】
ここで
図16を参照すると、本明細書の様々な実施形態に従って、送達カテーテル106の概略図が示されている。いくつかの実施形態では、心臓弁置換システムは、送達カテーテル106を含むことができる。送達カテーテル106は、シャフト1652を含む。送達カテーテル106は、心臓弁収容領域1656を含む。心臓弁収容領域1656は、心臓弁を受け入れるように構成することができる。送達カテーテル106はまた、バルーン1654を含むことができる。いくつかの実施形態では、バルーン1654は、心臓弁収容領域1656に対して遠位側にある。いくつかの実施形態では、バルーン1654は、心臓弁収容領域1656の一部を形成する。いくつかの実施形態では、送達カテーテル106は、経大腿送達カテーテルとして構成することができる。
図16はバルーンカテーテルを示しているが、いくつかの実施形態では、本明細書の送達カテーテルはバルーンを含まなくともよい。いくつかの実施形態では、心臓弁のフレームは自己拡張型であり得る。いくつかの実施形態では、他の機械的装置を使用して、心臓弁を所定の姿勢に拡張することができる。いくつかの実施形態では、心臓弁のフレームは拡張不可能であり得る。
【0059】
ウェブ
本明細書の様々な実施形態は、フレームおよびフレームに取り付けられるウェブであって、ポリマーが適用されるフレームおよびフレームに取り付けられたウェブを有する心臓弁を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、ウェブは、繊維状ウェブを具体的に含むことができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、配向繊維および/または非配向繊維を含むことができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、織布または不織布などの織物を含むことができる。いくつかの実施形態では、ウェブはメッシュを含むことができる。いくつかの実施形態では、ウェブは単一の層として存在することができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、2、3、4、5、6またはそれ以上の層などの複数の層、または上記の任意の数値の間の範囲に入る数の層として存在し得る。
【0061】
ウェブは様々な材料で形成することができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、金属、ポリマー(合成または天然)、ガラスなどを含む繊維で形成することができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、熱可塑性ポリマーを含む繊維を具体的に含むことができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、ポリエチレンテレフタレートを含む繊維を具体的に含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ウェブは、1つ以上の熱硬化性ポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ウェブは、ホモポリマーおよび/またはコポリマーから形成することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書の例示的なウェブは、エレクトロスピニングで形成された基材を含むことができる。いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングで形成された基材は、少なくとも1つの弁リーフレットに対応し得る。いくつかの実施形態では、エレクトロスピニングで形成された基材は、ポリイソブチレンウレタン(PIB-PUR)コポリマー、ポリエーテル-ポリウレタンコポリマー(PE-PUR)、ポリアミド、ポリエステル、またはポリエチレンで形成された繊維を含むことができる。
【0063】
塗布されたコーティング材料
本明細書の様々な実施形態は、心臓弁の構成要素を形成するためにウェブ上に適用される材料(ポリマーを含むがこれに限定されない)を含む。様々な実施形態において、適用されるポリマーは、1つ以上のポリマーおよび1つ以上の溶媒を含む溶液または混合物から適用され得る。溶媒との混合物(または場合によっては溶液)中のポリマーの量は変化する可能性がある。いくつかの実施形態では、ポリマーの量は、約1、2、3、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、またはそれ以上の重量パーセント、または上記の任意の数値の間の範囲内に入る量であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、適用されるポリマーは、溶媒を欠く組成物の形態で適用可能である。
【0064】
様々な実施形態において、適用されたポリマーは、流動可能な形態で適用可能であるため、ウェブの細孔へのポリマーの侵入を可能にする。本明細書で適用されるポリマーは、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方を含むことができる。本明細書で適用されるポリマーには、ホモポリマーおよびコポリマーが含まれ得る。本明細書で適用されるポリマーには、エラストマーおよび非エラストマーポリマーが含まれ得る。本明細書で適用されるポリマーは、硬化性ポリマーを含み得る。本明細書で適用されるポリマーは、UV硬化性ポリマーを含有し得る。本明細書で適用されるポリマーには、ポリシロキサン(シリコーン)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、パリレン、ポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン、エチレン酢酸ビニル、セルロース系ポリマーなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
方法
本明細書では、製造方法、使用方法などを含むがこれらに限定されない、多くの異なる方法が企図されている。本明細書の他の場所に記載されているシステム/装置の動作の態様は、本明細書の様々な実施形態にかかる1つ以上の方法の動作として実行することができる。
【0066】
ここで
図17を参照すると、心臓弁を製造する方法1700を示すフローチャートが、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。いくつかの実施形態では、心臓弁を製造する方法1700は、フレームを取得すること1702、多孔性ウェブをフレームに取り付けること1704、多孔性ウェブの少なくとも一部にコーティングを適用すること1706とを含む。いくつかの実施形態では、コーティングを適用することは、ポリマーコーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、コーティングの適用を1回以上繰り返して、複数のコーティングとすることができる。いくつかの実施形態では、乾燥および/または硬化工程は、コートの塗布の間に生じ得る。いくつかの実施形態では、多孔性ウェブをフレームに取り付けること170
4は、多孔性ウェブをフレームに縫合することを含むことができる。様々な実施形態において、多孔性ウェブは、少なくとも1つの弁リーフレットを画定することができる。様々な実施形態において、多孔性ウェブは、ポリエチレンテレフタレートを含むことができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することにより、多孔性ウェブ内の細孔を塞ぐことができる。いくつかの実施形態では、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することは、多孔性ウェブをフレームに取り付ける複数の縫合糸をコーティングすることを含む。様々な実施形態において、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することは、多孔性ウェブ上にコーティングを浸漬コーティングすることを含む。様々な実施形態において、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することは、多孔性ウェブ上にコーティングをスプレーコーティングすることを含む。様々な実施形態において、多孔性ウェブ上にコーティングを適用することは、コーティングを多孔性ウェブ上に蒸着することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、エレクトロスピニングで形成された基材をフレームに取り付けることをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、この方法は、エレクトロスピニングで形成された基材を基材の既存の部分に取り付けることをさらに含むことができる。様々な実施形態において、エレクトロスピニングで形成された基材は、少なくとも1つの弁リーフレットに対応する。様々な実施形態において、エレクトロスピニングで形成された基材は、ポリイソブチレンウレタン(PIB-PUR)コポリマーを含む。
【0068】
ここで
図18を参照すると、心臓弁を製造する方法1800を示すフローチャートが、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。方法1800は、フレームを取得すること1802と、多孔性ウェブをフレームに取り付けること1804とを含むことができる。方法1800は、多孔性ウェブの少なくとも一部にコーティングを適用すること1806を含むことができる。方法1800は、エレクトロスピニングで形成された繊維マットをフレームおよび/または多孔性ウェブに取り付けること1808/1806をさらに含むことができる。方法1800は、エレクトロスピニングで形成された繊維マット上にコーティングを適用すること1810、およびいくつかの実施形態では、多孔性ウェブの少なくとも一部(例えば、多孔性ウェブにまだ塗布されていない場合)にコーティングを適用することをさらに含むことができる。
【0069】
ここで
図19を参照すると、心臓弁を製造する方法1900を示すフロー図が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。方法1900は、成形されたウェブなどのウェブを取得すること1902を含む。方法1900は、ウェブの少なくとも一部にコーティングを適用すること1904をさらに含むことができる。方法1900は、フレームを取得すること1906をさらに含むことができる。方法1900は、少なくとも部分的にコーティングされたウェブをフレームに取り付けること1908をさらに含むことができる。方法1900は、ウェブおよび/またはフレームの少なくとも一部にコーティングを適用すること1910をさらに含むことができる。
【0070】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。また、「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に使用されることにも注意する必要がある。
【0071】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成された」という句は、特定のタスクを実行するか、または特定の構成を採用するように構築または構成されたシステム、装置または他の構造を表すことにも留意されたい。「構成された」という句は、配置および構成、構築および配置、構築、製造および配置などの他の同様の句と交換可能に使用することができる。
【0072】
本明細書におけるすべての刊行物および特許出願は、本発明が関係する当業者のレベルを示している。すべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
本明細書で使用される場合、終点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれるものとする(例えば2~8には、2.1、2.8、5.3、7などが含まれる)。
【0074】
本明細書で使用される見出しは、37CFR1.77に基づく提案との一貫性を保つため、または組織的な手がかりを提供するために提供されている。これらの見出しは、本開示から特許される可能性のある特許請求の範囲に記載された発明を制限または特徴づけるものと見なされてはならない。例として、見出しは「技術分野」を指すが、請求項は、いわゆる技術分野を説明するためにこの見出しの下で選択された文言によって制限されるべきではない。さらに、「背景技術」における技術の説明は、その技術が本開示におけるいかなる発明の先行技術であることを認めるものではない。また、「要約」は、特許請求の範囲に記載された発明の特徴と見なされるべきではない。
【0075】
本明細書に記載の実施形態は、網羅的であること、または本発明を以下の詳細な説明に開示される正確な形態に限定することを意図していない。むしろ、実施形態は、当業者が原理および実践を理解および認識できるように選択され且つ説明されている。したがって、態様は、様々な特定の好ましい実施形態および技術を参照して説明されている。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲を逸脱することなく、多くの変更および修正を行うことができることを理解されたい。