(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイスのための駆動組立体
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
A61M5/20 570
(21)【出願番号】P 2022530968
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020081838
(87)【国際公開番号】W WO2021104885
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・カルダーウッド
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・クローン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・リンドホルム
【審査官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0192776(US,A1)
【文献】国際公開第2018/236619(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/137701(WO,A1)
【文献】特表2013-539679(JP,A)
【文献】国際公開第2019/011690(WO,A1)
【文献】特表2019-514590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイス(1; l´)を用いて薬剤送達を開始するための駆動組立体であって、
回転可能に駆動されるように構成される駆動装置(21; 21´)と、
回転デバイス(23a)、回転ロッド(23b)、および挿入部材(23c)を含んだパワーパック組立体(23)であって、前記挿入部材が前記駆動装置(21; 21´)に接続されて、かつ該駆動装置(21; 21´)を駆動するパワーパック組立体(23)と、
アクチュエータスリーブ(15; 15´)と、
第1の送達部材カバー位置と第2の送達部材位置との間で、前記駆動装置(21; 21´)に対して線形に移動させられるように構成される送達部材カバー(7; 7´)であって、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)を第1の位置から第2の位置へと移動させるように構成される送達部材カバー(7; 7´)と、
前記駆動装置(21; 21´)を包囲するように構成され、且つ前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)の径方向内側に配置されるように構成される弾性阻止部材(17; 17´)と、
を備え、
前記阻止部材(17; 17´)は前記駆動装置(21; 21´)と係合して、前記阻止部材(17; 17´)に対する前記駆動装置(21; 21´)の回転を防止するように構成され、
前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は、前記駆動組立体が初期状態にあり、かつ前記阻止部材(17; 17´)が径方向外向きに移動するのを防止し、前記阻止部材(17; 17´)を前記駆動装置(21; 21´)と係合させることで、前記駆動装置(21; 21´)が回転するのを防止するように前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)が構成される、前記弾性阻止部材(17; 17´)に対する前記第1の位置から、前記駆動組立体が作動状態にある前記第2の位置へと移動するように構成され、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)が前記第1の位置から前記第2の位置に向けて移動させられるとき、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は、前記阻止部材(17; 17´)を前記駆動装置(21; 21´)から係合解除して解放するように設定し、前記駆動装置(21; 21´)が回転するのを可能にするように構成され、前記阻止部材(17; 17´)は、径方向内向きに延びるアーム(17b; 17b´)を有し、前記駆動装置(21; 21´)は、径方向外向きに延びる突出部(21c; 21c´)を有し、前記アーム(17b; 17b´)は、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)が前記第1の位置にあるとき、前記突出部(21c; 21c´)と係合するように構成され
ており、
前記阻止部材(17; 17´)は環状の形とされ、前記駆動装置(21; 21´)は、回転力を前記アームに提供し、前記アーム(17b; 17b´)を径方向外向きに付勢するように構成されている、駆動組立体。
【請求項2】
前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は、前記第1の位置にあるとき、前記アーム(17b; 17b´)が径方向外向きに移動すること、および前記駆動装置(21; 21´)から係合解除されることを防止するように構成される、請求項1に記載の駆動組立体。
【請求項3】
前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は、前記第2の位置にあるとき、前記アーム(17b; 17b´)を径方向外向きに曲げることができるように構成される、請求項
2に記載の駆動組立体。
【請求項4】
前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)の前記第1の位置において、各々のアームは、回転によって前記アーム(17b; 17b´)を径方向外向きに付勢するために、前記径方向外向きに延びる突出部(21c; 21c´)と協働するように構成される傾斜面(20)を有する、請求項
1から3のいずれか一項に記載の駆動組立体。
【請求項5】
各々のアーム(17b)には、前記径方向外向きに延びる突出部(21c)のうちのそれぞれ1つを受け入れるように構成される径方向内側の凹部または溝(18)が設けられる、請求項
4に記載の駆動組立体。
【請求項6】
各々の内側の凹部または溝(18)は、前記傾斜面(20)を定める側壁を有する、請求項
5に記載の駆動組立体。
【請求項7】
前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は、前記第1の位置において前記アーム(17b; 17b´)からずれており、かつ前記第2の位置においてそれぞれのアーム(17b; 17b´)と並べられて、前記アーム(17b; 17b´)を径方向外向きに曲げることができるようになる開口(15a; 15a´)を有する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の駆動組立体。
【請求項8】
前記第1の送達部材カバー位置において、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は前記第1の位置にあり、前記第2の送達部材位置において、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は前記第2の位置にある、請求項1に記載の駆動組立体。
【請求項9】
前記送達部材カバー(7; 7´)は、前記第1の送達部材カバー位置から前記第2の送達部材位置へと移動させられるとき、前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)を前記第1の位置から前記第2の位置へと軸方向に移動させるように構成される、請求項1または
8に記載の駆動組立体。
【請求項10】
前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)は、前記送達部材カバー(7; 7´)と相互作用して、前記送達部材カバー(7; 7´)の線形移動を前記アクチュエータスリーブ(15; 15´)の回転移動へと変換させるように構成される案内軌道を備え、前記第1の位置は第1の回転位置であり、前記第2の位置は第2の回転位置である、請求項1から
9のいずれか一項に記載の駆動組立体。
【請求項11】
プランジャロッド(19; 19´)を備え、前記駆動装置(21; 21´)は前記プランジャロッド(19; 19´)を受け入れるように構成される、請求項1から
10のいずれか一項に記載の駆動組立体。
【請求項12】
前記プランジャロッド(19; 19´)の軸方向の移動が、前記駆動装置(21; 21´)の回転によって起動させられ、前記駆動装置(21; 21´)の回転が前記プランジャロッド(19; 19´)の前記軸方向の移動に寄与する、請求項
11に記載の駆動組立体。
【請求項13】
請求項1から
12のいずれか一項に記載の駆動組立体を備える薬剤送達デバイス(1; 1´)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤送達デバイスに概して関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤送達デバイスは、薬剤処方動作を自動的に実施するように、つまり、薬物または薬剤を放出するように、設計され得る。このような動作は、薬剤送達デバイスと相互作用するとき、使用者によって起動させられる。使用者は、例えば、筐体から延びる針カバーを筐体内へと移動させることで、または、薬剤送達デバイスに設けられたボタンを押すことで、薬剤処方動作を開始することができる。この移動は、自動薬剤放出を引き起こすために内部構成要素を起動させる。薬剤放出は、例えば、1つ以上のバネを用いて、および/または、内部モータを用いて、提供され得る。この種類の薬剤送達デバイスの一例は自動注入装置である。
【0003】
特許文献1は、注入デバイスのためのピストンロッド駆動構成を開示しており、その注入デバイスは、雄ネジ山が設けられた外面を有し、非円形の断面を有するピストンロッドと、ピストンロッドと係合する第1の要素と、ピストンロッドの雄ネジ山と噛み合う雌ネジ山を伴う第2の要素と、を備える。第1の要素または第2の要素のいずれかの回転によって、ピストンロッドは、第1の要素および第2の要素に対して線形に移動させられ得る。第1の要素には、電気モータまたはバネモータなどの駆動機構によって駆動される外部突出部が設けられ得る。
【0004】
特許文献2は薬剤送達デバイスのための処方機構を開示しており、その処方機構は、線形に変位可能な薬剤送達部材カバーと、アクチュエータスリーブと、アクチュエータであって、薬剤送達部材カバーはアクチュエータスリーブを初期位置から遠位へ変位した位置へと軸方向に変位させ、それによってアクチュエータスリーブをアクチュエータに対して変位させるように構成される、アクチュエータと、案内構造を有する回転子と、プランジャ保持体と、近位へ偏らせられるプランジャロッドと、を有する。アクチュエータは、プランジャ保持体がアクチュエータに対して近位へ変位するのを防止するために、アクチュエータスリーブの初期位置においてプランジャ保持体と係合することができる。アクチュエータは、アクチュエータに対するプランジャ保持体、プランジャロッド、および回転子の近位への変位を可能とするために、遠位に変位した位置に向けてのアクチュエータスリーブの変位によって、プランジャ保持体との係合から解放され得る。アクチュエータは、回転子をプランジャ保持体に対して回転させ、プランジャロッドをプランジャ保持体から解放することができる。
【0005】
特許文献3は、薬剤送達デバイスの構成要素を最終的な組立体に発送するための輸送組立体を開示しており、輸送組立体は、薬剤送達デバイスの筐体へ搭載されるように構成され、プランジャロッドと、プランジャロッドを近位方向に偏らせるように構成される第1の弾性部材と、プランジャロッドを受け入れるように構成され、プランジャロッドが近位方向に移動するのを防止するためにプランジャロッドと係合するように構成される細長いプランジャロッド保持体と、プランジャロッド保持体の一部分を受け入れるように構成され、プランジャロッド保持体がプランジャロッドから係合解除するのを防止する、プランジャロッド保持体に対する第1の位置から、第1の位置に対して遠位に位置付けられる第2の位置まで、軸方向に移動し、プランジャロッドからのプランジャロッド保持体の係合解除を可能にするように構成される輸送固定スリーブと、後端キャップと、後端キャップに圧し掛かるように構成され、輸送固定スリーブを第2の位置から離れるように近位方向に偏らせるように構成される第2の弾性部材と、を備える。
【0006】
特許文献4は、移動可能スリーブと、移動可能スリーブを受け入れるように構成され、移動可能スリーブに対する第1の位置と第2の位置との間で線形に変位可能となるように構成される遠位端部分を有する送達部材カバーと、を備え、遠位端部分は、案内面を定める端面を有し、移動可能スリーブは、送達部材カバーが第1の部分から第2の部分に向けて移動させられ、移動可能スリーブを回転させるとき、案内面と協働するように構成される径方向外向きに延びる第1の従動構造を有する、薬剤送達デバイスのための処方機構を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2016/120180号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2019/192776号明細書
【文献】国際公開第2019/011689A1号パンフレット
【文献】国際公開第2018/010947A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、注入デバイスの作動において、第1の要素または第2の要素をどのように作動させるかの解決策を開示していない。
【0009】
本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも軽減する薬剤送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の態様によれば、薬剤送達デバイスを用いて薬剤送達を開始するための駆動組立体であって、回転可能に駆動されるように構成される駆動装置と、アクチュエータスリーブと、駆動装置を包囲するように構成され、アクチュエータスリーブの径方向内側に配置されるように構成される弾性阻止部材と、第1の送達部材カバー位置と第2の送達部材位置との間で、駆動装置に対して線形に移動させられるように構成される送達部材カバーであって、アクチュエータスリーブを第1の位置から第2の位置へと移動させるように構成される送達部材カバーと、を備え、阻止部材は、阻止部材に対する駆動装置の回転を防止するように、駆動装置と係合するように構成され、アクチュエータスリーブは、駆動組立体が初期状態にあり、阻止部材が径方向外向きに移動するのを防止し、阻止部材を駆動装置と係合させることで、駆動装置が回転するのを防止するようにアクチュエータスリーブが構成される、阻止部材に対する第1の位置から、駆動組立体が作動状態にある第2の位置へと移動するように構成され、アクチュエータスリーブが第1の位置から第2の位置に向けて移動させられるとき、アクチュエータスリーブは、阻止部材を駆動装置から係合解除するように自由に設定し、駆動装置が回転するのを可能にするように構成され、阻止部材は、径方向内向きに延びるアームを有し、駆動装置は、径方向外向きに延びる突出部を有し、アームは、アクチュエータスリーブが第1の位置にあるとき、突出部と係合するように構成される、駆動組立体が提供される。
【0011】
したがって、薬剤送達デバイスの作動は、作動スリーブの位置を用いて制御できる。
【0012】
駆動装置は、例えば、バネ駆動され得る、または、電気モータによって駆動されるように構成され得る。
【0013】
駆動組立体は薬剤送達デバイスのためである。薬剤送達デバイスは、例えば自動注入装置であり得る。
【0014】
ある実施形態によれば、阻止部材は環状の形とされる。
【0015】
ある実施形態によれば、アクチュエータスリーブは、第1の位置にあるとき、アームが径方向外向きに移動するのを防止し、駆動装置から係合解除するように構成される。
【0016】
ある実施形態によれば、アクチュエータスリーブは、第2の位置にあるとき、アームを径方向外向きに曲げることができるように構成される。
【0017】
ある実施形態によれば、駆動装置は、回転力をアームに提供し、アームを径方向外向きに付勢するように構成される。したがって、アームは、突出部によって径方向外向きに押されるかまたは付勢されるように構成され得る。
【0018】
代替または追加で、アームは、作動スリーブが第2の位置に向けて移動させられるときに初期設定位置へと径方向外向きに移動するように付勢するように、予め力が掛けられてもよい。
【0019】
ある実施形態によれば、アクチュエータスリーブの第1の位置において、各々のアームは、回転によってアームを径方向外向きに付勢するために、径方向外向きに延びる突出部と協働するように構成される傾斜面を有する。
【0020】
傾斜面は、駆動装置および阻止部の中心軸を通じて延びる任意の径方向平面に対して、ならびに/または、傾斜平面と協働するように構成される突出部の対応する面に対して、傾斜させられ得る。
【0021】
ある実施形態によれば、各々のアームには、径方向外向きに延びる突出部のうちのそれぞれ1つを受け入れるように構成される径方向内側の凹部または溝が設けられる。
【0022】
ある実施形態によれば、各々の内側の凹部または溝は、傾斜面を定める側壁を有する。
【0023】
ある実施形態によれば、アクチュエータスリーブは、第1の位置においてアームからずれており、第2の位置においてそれぞれのアームと並べられることになり、アームを径方向外向きに曲げることができる開口を有する。
【0024】
第1の送達部材カバー位置は、本明細書において延長位置と称されることもあり、第2の送達部材カバー位置は、本明細書において後退位置と称されることもある。
【0025】
ある例によれば、アクチュエータスリーブは送達部材カバーである。
【0026】
ある実施形態によれば、第1の送達部材カバー位置において、アクチュエータスリーブは第1の位置にあり、第2の送達部材位置において、アクチュエータスリーブは第2の位置にある。
【0027】
ある実施形態によれば、送達部材カバーは、第1の送達部材カバー位置から第2の送達部材位置へと移動させられるとき、アクチュエータスリーブを第1の位置から第2の位置へと軸方向に移動させるように構成される。
【0028】
ある実施形態によれば、アクチュエータスリーブには、送達部材カバーと相互作用し、送達部材カバーの線形移動をアクチュエータスリーブの回転移動へと変換させるように構成される案内軌道が設けられ、第1の位置は第1の回転位置であり、第2の位置は第2の回転位置である。
【0029】
ある実施形態はプランジャロッドを備え、駆動装置がプランジャロッドを受け入れるように構成される。
【0030】
典型的には、プランジャロッドの軸方向の移動が、駆動装置の回転によって起動させられ得る。駆動装置の回転がプランジャロッドの軸方向に移動させる、または軸方向の移動に寄与する。
【0031】
プランジャには雄ネジ構造が設けられてもよく、駆動装置には、雄ネジ構造と螺合させられる雌ネジ構造が設けられてもよく、駆動装置が回転させられるときにプランジャロッドの前方への移動を可能にする。
【0032】
本開示の第2の態様によれば、先の請求項のいずれかにおいて請求されたような駆動組立体を備える薬剤送達デバイスが提供される。
【0033】
概して、請求項において使用されているすべての用語は、本明細書において他に明示的に定められていない場合、技術分野における通常の意味に従って解釈されるものである。「1つの/その要素、装置、構成要素、手段など」へのすべての言及は、他に明示的に述べられていない場合、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも一例に言及しているとして、オープンに解釈されるものである。
【0034】
ここで、本発明の概念の特定の実施形態が、添付の図面を参照して、例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】
図1における薬剤送達デバイスの分解図である。
【
図6】初期状態における
図1での薬剤送達デバイスの前部分の長手方向での断面図である。
【
図7】作動させられているときの
図1での薬剤送達デバイスの前部分の長手方向での断面図である。
【
図8】作動状態における
図1での薬剤送達デバイスの長手方向での断面図である。
【
図9】薬剤放出の後の
図1での薬剤送達デバイスの長手方向での断面図である。
【
図10】薬剤送達デバイスの別の例の斜視図である。
【
図12】初期状態における
図10での薬剤送達デバイスの長手方向での断面図である。
【
図13】
図12での薬剤送達デバイスの線A-Aに沿っての断面図である。
【
図14】
図10での薬剤送達デバイスの長手方向での断面図であって、薬剤送達デバイスが作動させられようとするときの図である。
【
図15】
図10での薬剤送達デバイスが、その作動状態に達したときの薬剤送達デバイスの長手方向での断面図である。
【
図16】
図15での薬剤送達デバイスの線B-Bに沿っての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、本発明の概念が、例示の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以後においてより完全に説明される。しかしながら、本発明の概念は、異なる形態で具現化されてもよく、本明細書において述べられている実施形態に限定されるとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的に完全となるように例を用いて提供されており、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えることになる。同様の符号は、本記載を通じて同様の要素に言及している。
【0037】
図1は、薬剤送達デバイス1の例を示している。薬剤送達デバイス1は筐体3を備える。筐体3は細長い構造を形成している。筐体3は前筐体部3aと後筐体部3bとを備える。筐体3は、代替で、単一の筐体部品によって、または、3つ以上の筐体部品によって、形成されてもよい。
【0038】
薬剤送達デバイス1は取り外し可能なキャップ5を備える。キャップ5は、薬剤送達デバイス1の前端1aの一部を形成している。薬剤送達デバイス1は、前端1aと反対の後端1bを有する。
【0039】
図2は、薬剤送達デバイス1の分解図を示している。薬剤送達デバイス1は、筐体3によって受け入れられるように構成される細長い送達部材カバー7を備える。送達部材カバー7は、筐体3に対する延長位置と、後退位置と、の間で移動させられるように構成される。送達部材カバー7は、延長位置に向けて偏らせられるように構成されている。キャップ5が取り外されたとき、送達部材カバー7はその延長位置に配置される。薬剤送達デバイス1は、送達部材カバー7を延長位置に向けて偏らせるように構成された第1の弾性部材9を備える。第1の弾性部材9は、例えば、螺旋バネなどのバネであり得る。
【0040】
薬剤送達デバイス1は、針などの送達部材11aが設けられた薬剤容器11と、薬剤容器11を受け入れるように構成された薬剤容器保持体13と、を備える。
【0041】
薬剤送達デバイス1は、送達部材11aを保護するように構成された送達部材遮蔽体13を備え得る。送達部材遮蔽体13は、キャップ5が取り外されたときにキャップ5と一緒に送達部材11aから取り外されるように、キャップ5と係合することができる。
【0042】
薬剤送達デバイス1は、送達部材カバー7と係合するように構成される作動スリーブ15を備える。作動スリーブ15は、送達部材カバー7が延長位置から移動させられるとき、作動スリーブ15が、薬剤送達デバイス1が初期状態にある第1の位置から、薬剤送達部材が作動状態にある第2の位置に向けて移動させられるように、送達部材カバー7によって作動させられるように構成されている。初期状態は、薬剤送達デバイス1の作動前の状態である。
【0043】
送達部材カバー7には、軸方向に延びるスロット7aが設けられている。アクチュエータスリーブ15は前停止構造15bと後停止構造15cとを有する。各々の前停止構造15bは、それぞれのスロット7aにおいて延びるように構成されている。各々のスロット7aは、対応する前停止構造15bと後停止構造15cとの間で移動するように構成されている後端壁7bを有する。したがって、送達部材カバー7は、後端壁7bが後停止構造15cと係合するとき、アクチュエータスリーブ15を第1の位置から第2の位置に向けて移動させるように構成されている。したがって、送達部材カバー7は、後端壁7bが前停止構造15bと後停止構造15cとの間に位置決めされるとき、アクチュエータスリーブ15に対して軸方向に移動することができる。
【0044】
別体の構成要素として作られている作動スリーブ15および送達部材カバー7の代替として、作動スリーブと送達部材カバーとは、単一の一体化された構成要素を形成することができる。
【0045】
薬剤送達デバイス1は、弾性阻止部材17と、プランジャロッド19と、駆動装置21と、パワーパック組立体23と、を備える。阻止部材17、プランジャロッド19、駆動装置21、およびアクチュエータスリーブ15は、薬剤送達デバイス1の薬剤送達または薬剤送達動作を開始するための駆動組立体を形成する。
【0046】
阻止部材17は、プランジャロッド19を受け入れるように構成された中心開口17aを有する。プランジャロッド19は、複数の雄ネジ山19aが設けられている外面を有する。プランジャロッド19は非円形の断面を有してもよい。プランジャロッド19は、その全長に沿って、または、その全長の少なくとも大部分に沿って、非円形の断面形状を有してもよい。駆動装置21は、プランジャロッド19を受け入れるように構成された開口21aを有する。開口21aは非円形の断面を有してもよい。開口21aは、例えば、プランジャロッド19の断面形状に合致するように適合させられてもよい。
【0047】
駆動装置21は、パワーパック組立体23に接続されるように構成されている。駆動装置21は、パワーパック組立体23によって回転させられるように構成されている。パワーパック組立体23は回転デバイス23aを備える。回転デバイス23aは、この例では捩じりバネであるが、例えば代替でモータであってもよい。パワーパック23は、回転デバイス23aによって回転させられるように構成されている回転ロッド23bを備える。本例では、回転デバイス23aは、回転ロッド23bを捩じれにより偏らせるように構成されている。パワーパック組立体23は、回転ロッド23bと係合するように構成されている挿入部材23cも備える。回転ロッド23bは、径方向内向きに延びる複数の歯25aが設けられている前開口25を有する。挿入部材23cは、前開口25に受け入れられるように構成されている。挿入部材23cは、歯25aと係合するように構成されている径方向外向きに延びるラチェットアーム26を有する。それによって、挿入部材23cは、第1の方向に回転することができ、第1の方向と反対の第2の方向に回転するのが防止される。
【0048】
駆動装置21は、非円形の断面形状を伴う後端部分21bを有する。挿入部材23cは、駆動装置21の後端部分21bを受け入れるように構成された駆動装置開口23dを有する。駆動装置開口23dは、駆動装置21の後端部分21bの非円形の断面形状に合致する非円形の断面形状を有する。したがって、後端部分21bは、駆動装置開口23dの内面と係合するように構成されている。したがって、回転ロッド23bの回転が駆動装置21に伝達される。
【0049】
駆動装置21には、複数の径方向外向きに延びる突出部21cが設けられている。阻止部材17は、突出部21cと係合するように構成されているアーム17bを備える。それによって、駆動装置21の回転を防止することができる。したがって、回転ロッド23bの回転は、アーム17bが突出部21cと係合する限り防止される。
【0050】
阻止部材17は、筐体3に対して回転について係止されるように構成されている。本例では、阻止部材17には、径方向外向きに延びる係合リブ17cが設けられており、筐体3に対する阻止部材17の回転を防止するために筐体3の内側構造と係合するように構成されている。
【0051】
アクチュエータスリーブ15は、アーム17bが突出部21cと係合して保持されるように、阻止部材17に対して軸方向に配置される第1の位置にある。したがって、アクチュエータスリーブ15は、アーム17bが径方向外向きに移動し、突出部21cとの係合から係合解除するのを防止する。アクチュエータスリーブ15は、第2の位置に向けて移動させられるとき、アーム17bと軸方向で位置合わせする開口15aを有する。それによって、アーム17bは、突出部21cとの係合から径方向外向きに移動することができる。それによって、駆動装置21は、阻止部材17に対して回転するように自由に設定される。そのため、断面形状を開口21aと合致させたプランジャロッド19は、駆動装置21と同時に回転することになる。阻止部材17の中心開口17aは円形であり、プランジャロッド19の雄ネジ山19aと協働するように構成された雌ネジ山が設けられている。これは、プランジャロッド19を、阻止部材17を通じて前方へ移動させ、駆動装置21の開口21aを通じて滑らせる。それによって、プランジャロッド19は薬剤容器11の内側で前方へ移動させられる。プランジャロッド19には、薬剤容器11に配置されている停止部10が設けられている。
【0052】
図3は、阻止部材17の後面図を示している。阻止部材17は、駆動装置21の前部分を受け入れるように構成されている。阻止部材17は、駆動装置21の前部分を受け入れるように構成された後通路部分17cを有する。駆動装置21の前部分は突出部21cを備える。後通路部分17cはアーム17b同士の間に形成されている。アーム17bには、突出部21cと係合するように構成されている径方向内向きに延びる構造が設けられている。
【0053】
図4は、
図3に示されているものと反対の阻止部材17の図を示している。ここでは、プランジャロッド19の雄ネジ山19aと係合するように構成されている中心開口17aの雌ネジ山17dが示されている。
【0054】
図5は、駆動装置21の拡大図を示している。突出部21cは、例では、駆動装置21の周りで周方向に配置されている複数の先細りの歯の形態になっている。後端部分21bは、この例では多角形の断面形状を有するが、例えば、矩形、長円形、または楕円形を有してもよい。
【0055】
図6は、初期状態における薬剤送達デバイス1の長手方向での断面図の一部分を示している。薬剤送達デバイス1の初期状態において、駆動組立体も初期状態にある。キャップ5は送達部材カバー7に配置される。阻止部材17のアーム17bは、駆動装置21の突出部21cと係合している。これは、パワーパック組立体23によって捩じれにより偏らせられる駆動装置21の回転を防止する。
【0056】
薬剤処方動作が実施されるとき、使用者はキャップ5を送達部材カバー7から取り外すことになる。次に、使用者は、送達部材カバー7の前端を注入部位に向けて置くことになる。使用者が薬剤送達デバイス1を注入の部位に向けて押すとき、送達部材カバー7は、延長位置から後退位置に向けて筐体3へと移動させられる。
【0057】
図7において、薬剤送達デバイス1は、
図6に示された初期状態の後であるが、作動状態の前の状態で示されている。
図7に示された状態において、送達部材カバー7は、薬剤送達デバイス1の後端1bに向けて、つまり、後退位置に向けて、移動させられている。送達部材カバー7は、アクチュエータスリーブ15も第1の位置からほとんど第2の位置へと移動させている。したがって、
図7において、アーム17bは、ほとんど自由に設定されており、つまり、アクチュエータスリーブ15の開口15aとほとんど並べられている。
【0058】
図8において、薬剤送達デバイス1は作動状態にある。薬剤送達デバイス1の作動状態において、駆動組立体も作動状態にある。作動状態は、プランジャロッド19が薬剤容器11へとさらに前方に移動するように設定されている状態である。送達部材カバー7は後退位置へと完全に移動させられており、作動スリーブ15は第2の位置へと移動させられている。したがって、アーム17bは開口15aと並んでおり、突出部21cから係合解除するために径方向外向きに移動することができる。アーム17bは、例えば、回転力をアーム17bに提供する突出部21cによって、径方向外向きに付勢されてもよい。代替または追加で、アーム17bは、作動スリーブ15がアーム17bに圧し掛かるときに予め引っ張られた状態で配置され、引っ張れていない初期設定位置を得るために径方向外向きに曲がろうとしていてもよい。
【0059】
駆動装置21が回転に設定されるとき、プランジャロッド19も駆動装置21と同時に回転に設定される。雌ネジ山17dは、プランジャロッド19の雄ネジ山19aと協働し、阻止部材17を通じてプランジャロッドを前方へ移動させる。したがって、プランジャロッド19は、プランジャロッド19が延びている駆動装置21に対して前方に滑らされている。したがって、プランジャロッド19は前方方向においてさらに薬剤容器11へと移動させられる。それによって、薬剤は薬剤容器11から放出される。
【0060】
図9は、送達部材カバー7が筐体3へと押されることから解放されたときを示している。それによって、送達部材カバー7は後退位置から延長位置に向けて移動させられている。この状況は、典型的には、薬剤が注入され、薬剤送達デバイス1が注入部位から除去されたときに起こる。
【0061】
図10は、薬剤送達デバイス1´の別の例を概略的に示している。薬剤送達デバイス1´は、筐体3´と、前端1a´と、後端1b´と、を有する。薬剤送達デバイス1´は、
図10に示されているように、筐体3´を包囲する外部筐体を任意選択で備え得る。薬剤送達デバイス1´は、
図10に示されている筐体3´に対する延長位置と、後退位置との間で移動可能である送達部材カバー7´を備える。
【0062】
図11は、薬剤送達デバイス1´の分解図を示している。構成要素の多くは、薬剤送達デバイス1と同様であり、薬剤送達デバイス1と同様の機能を有する。例えば、薬剤送達デバイス1´は、送達部材カバー7´を延長位置に向けて偏らせるように構成されたバネなどの弾性部材9´と、薬剤容器11´と、薬剤容器保持体13´と、停止部10´と、回転デバイス23a´と、弾性阻止部材17´と、第1の位置から第2の位置へと筐体3´に対して軸方向に移動させられるように構成されたアクチュエータスリーブ15´と、雄ネジ山19a´が設けられたプランジャロッド19´と、駆動装置21´と、を備える。阻止部材17´は環状の形とされている。
【0063】
阻止部材17´は、筐体3´に対して回転について係止されるように構成されている。本例では、阻止部材17´は、薬剤容器保持体13´の径方向構造13a´に圧し掛かるように構成された径方向外向きに延びる構造17d´を有する。径方向構造13a´は、筐体3´の凹部または開口に受け入れられるように構成されている。それによって、薬剤容器保持体13´は、筐体3´に対して回転について係止されるように構成されている。
【0064】
アクチュエータスリーブ15´は、送達部材カバー7´と係合するように構成されている。送達部材カバー7´は、送達部材カバー7´が延長位置から後退位置へと移動させられるとき、アクチュエータスリーブ15´が第1の位置から第2の位置へと移動するように構成されるように、アクチュエータスリーブ15´を作動させるように構成されている。第1の例におけるように、送達部材カバー7´は、アクチュエータスリーブ15´に対して軸方向に限定された量で移動することができる。
【0065】
ある変形によれば、アクチュエータスリーブと送達部材カバーとは一体とされ、単一の構成要素を形成することができる。
【0066】
アクチュエータスリーブ15´には開口15a´が設けられている。阻止部材17´はプランジャロッド19´を受け入れるように構成されている。プランジャロッド19´は非円形の断面形状を有する。阻止部材17´は、阻止部材17´を通じて軸方向に延びる中心開口17a´を有する。中心開口17a´は、プランジャロッド19´の非円形の断面形状に合致する非円形の断面形状を有する。したがって、阻止部材17´とプランジャロッド19´とは互いに対して回転について係止される。
【0067】
阻止部材17´には、径方向外向きに延びるアーム17b´が設けられている。
【0068】
駆動装置21´は、プランジャロッド19´の一部分を受け入れるように構成された開口21a´を有する。開口21a´は円形の断面形状を有する。開口21a´は、プランジャロッド19´の雄ネジ山と協働するように構成された雌ネジ山が設けられている内面を有する。駆動装置21´は径方向外向きに延びる突出部21c´を有する。突出部21c´は、阻止部材17´のアーム17b´と協働するように構成されている。突出部21c´は、駆動装置21´の中心軸と交差する中心の長手方向に延びる平面からずれることができる。突出部17b´のうちの1つはこのような平面の一方の側に配置でき、他方の突出部17b´は平面の他方の側に配置できる。これは、アクチュエータスリーブ15´がその第2の位置に達したため、アーム17b´が自由に移動するように設定されるとき、アーム17b´を径方向外向きに押すことを容易にし得る。この例では、駆動装置21´は、ちょうど2つの突出部21c´を有するが、代替で、3つ以上の突出部を有してもよい。回転デバイス23a´は、この例では捩じりバネであるが、例えば代替でモータであってもよい。回転デバイス23a´は、駆動装置21a´を捩じれにより偏らせるように構成されている。
【0069】
図12は、初期状態における薬剤送達デバイス1´を示している。この場合、送達部材カバー7´は延長位置にあり、アクチュエータスリーブ15´は第1の位置にある。したがって、アクチュエータスリーブ15´はアーム17b´に圧し掛かっており、それによってアーム17b´は径方向外向きに移動することができない。アーム17b´は突出部21c´と係合する。したがって、駆動装置21´は回転することが妨げられる。
【0070】
図13は、
図12に示された線A-Aに沿っての薬剤送達デバイス1´の断面を示している。ここで、駆動装置21´の中心軸と交差する長手方向の平面Pが示されている。2つの突出部21c´が平面Pに対してずれて配置されている。各々のアーム17b´には、突出部21c´のうちのそれぞれ1つを受け入れるように構成された径方向内側の凹部または溝18が設けられている。各々の内側の凹部18は、アクチュエータスリーブ15´が第2の位置へと移動させられるとき、突出部21c´を用いてアーム17b´の径方向外向きの曲げを容易にするために、対応する突出部21c´と協働するように構成された傾斜面20へと移行するか、またはそのような傾斜面20を側面として有する。傾斜面20は、傾斜面がアーム17b´に拡張する力を作り出し、各々の傾斜面20の急な角度が、拡張する力を、駆動装置からの直接の力より小さくさせるため、突出部21c´がアームを径方向外向きに押すのを容易にする。駆動装置21c´は、矢印30によって指示されているように、第1の方向に回転するように捩じれにより偏らせられる。
【0071】
図14は、送達部材カバー7´が延長位置から後退位置に向けて移動させられるときの薬剤送達デバイス1´を示している。送達部材カバー7´のこの移動は、第1の位置から第2の位置に向けてのアクチュエータスリーブ15´の移動を引き起こす。アクチュエータスリーブ15´は
図14に示された状態にあり、アーム17b´になおも圧し掛かっており、アーム17b´を突出部21c´と係合させている。したがって、駆動装置21´は、阻止部材17´によってなおも回転について係止されている。
【0072】
図15は、作動状態に達したときの薬剤送達デバイス1´を描写している。作動状態において、送達部材カバー7´は、矢印32によって示されているようにさらに後方に移動している。アクチュエータスリーブ15´は、開口15a´がアーム17b´と軸方向で並べられることになる第2の位置に達する。それによって、アーム17b´は、矢印によって示されているように、径方向外向きに移動することができる。したがって、アーム17b´は突出部21c´から係合解除する。捩じれにより偏らせられた駆動装置21´は、結果として回転することになる。
【0073】
図16は、線B-Bに沿っての断面を示している。アーム17b´は、開口15a´へと径方向外向きに移動しており、駆動装置21´が回転するのを可能にする。開口21a´における雌ネジ山21d´が、プランジャロッド19´の雄ネジ山19a´と係合する。プランジャロッド19´は、プランジャロッド19´の断面形状と合致する非円形の断面形状を有する阻止部材17´の中心開口17a´を通じて延びてもいる。これは、駆動装置21´が回転するにつれて、プランジャロッド19´を、中心開口17a´を通じて薬剤容器11´へとさらに前方に滑らせる。それによって、薬剤は薬剤容器11´から放出される。
【0074】
本明細に開示されている例の一部において、作動スリーブは、送達部材カバーが延長位置から後退位置に向けて移動させられるときに回転するように構成された回転子の形態で提供できる。この場合、第1の位置は第1の回転位置であり、第2の位置は第2の回転位置である。したがって、作動スリーブには、作動スリーブが第2の位置に向けて回転させられるときにアームと並ぶ開口が設けられてもよい。
【0075】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して先に記載されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、先に開示されている実施形態以外の実施形態は、添付の請求項によって定められているように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【符号の説明】
【0076】
1、1´ 薬剤送達デバイス
1a、1a´ 前端
1b、1b´ 後端
3、3´ 筐体
3a 前筐体部
3b 後筐体部
5 キャップ
7、7´ 送達部材カバー
7a スロット
7b 後端壁
9、9´ 第1の弾性部材
10、10´ 停止部
11、11´ 薬剤容器
11a 送達部材
13、13´ 薬剤容器保持体、送達部材遮蔽体
13a´ 径方向構造
15、15´ 作動スリーブ、アクチュエータスリーブ
15a、15a´ 開口
15b 前停止構造
15c 後停止構造
17、17´ 弾性阻止部材
17a、17a´ 中心開口
17b アーム
17b´ 突出部、アーム
17c 係合リブ、後通路部分
17d 雌ネジ山
17d´ 径方向外向きに延びる構造
18 凹部、溝
19、19´ プランジャロッド
19a、19a´ 雄ネジ山
20 傾斜面
21、21´ 駆動装置
21a、21a´ 開口
21b 後端部分
21c、21c´ 突出部
21d´ 雌ネジ山
23 パワーパック組立体
23a、23a´ 回転デバイス
23b 回転子ロッド
23c 挿入部材
23d 駆動装置開口
25 前開口
25a 歯
26 ラチェットアーム
30 第1の方向の回転
32 後方への移動
P 平面