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特許7499333流体流通デバイスを用いるための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】流体流通デバイスを用いるための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20240606BHJP
   A61M 25/06 20060101ALI20240606BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240606BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20240606BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20240606BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A61M25/09 530
A61M25/06 550
A61M25/00 600
A61M25/14 510
A61M25/14 516
A61M25/00 534
A61M25/01 500
A61M1/36 149
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022535038
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 US2020063630
(87)【国際公開番号】W WO2021118933
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】62/945,498
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504291867
【氏名又は名称】ザ クリーヴランド クリニック ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】THE CLEVELAND CLINIC FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】マッカリー,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】バショウァ,アレン
(72)【発明者】
【氏名】ホーヴェスト,トーリ
(72)【発明者】
【氏名】ノウルトン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ショーリー,フレデリック エイ.
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-516693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0366035(US,A1)
【文献】米国特許第06582390(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0062769(US,A1)
【文献】国際公開第2018/225331(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/066728(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00-25/09;25/14-18
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
前記装置は、流体を取り出し方向及び前記取り出し方向と逆の戻し方向に沿って選択的に流通させるためのカニューレ装置であり、
前記装置は、アウターシースと、イントロデューサと、インナチューブとを備え、
前記アウターシースは、アウターシース管腔を限定する縦方向アウターシース本体によって隔てられたアウターシース近位端及びアウターシース遠位端を有し、少なくとも一つの流体取出口孔が前記アウターシース遠位端に隣接して前記アウターシース本体を完全に通過して延在することによって、前記アウターシース管腔が環境空間と流体連通し、前記アウターシースは、前記アウターシース本体を完全に通過して延在する側入口孔を含み、
前記イントロデューサは、縦方向イントロデューサ本体によって隔てられたイントロデューサ近位端及びイントロデューサ遠位端を有し、前記イントロデューサ本体は、前記イントロデューサ本体の側方最外表面から前記イントロデューサ本体内に部分的に延在するガイドワイヤ溝を含み、前記イントロデューサが少なくとも部分的に前記アウターシース管腔内に位置する場合、前記ガイドワイヤ溝は、ガイドワイヤ通路を少なくとも部分的に限定し、前記イントロデューサは、選択的に少なくとも部分的に前記アウターシース管腔に挿入されるように構成され、前記ガイドワイヤ通路は、前記側入口孔と流体連通し、
前記インナチューブは、インナチューブ管腔を限定する縦方向インナチューブ本体によって隔てられたインナチューブ近位端及びインナチューブ遠位端を有し、少なくとも一つの流体戻し口孔が前記インナチューブ遠位端に位置し及び/又はそれに隣接することによって、前記インナチューブ管腔が環境空間と流体連通し、前記インナチューブは、前記イントロデューサが前記アウターシース管腔に位置しない場合に前記アウターシース管腔に選択的に挿入されるように構成され、前記インナチューブ本体が前記側入口孔を完全に通過して延在することによって、前記インナチューブ遠位端を前記アウターシースの外部の環境空間に配置する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記アウターシース遠位端は、中実の無開口孔の最遠末端を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記イントロデューサが少なくとも部分的に前記アウターシース管腔内に位置する場合、前記アウターシース本体の最内壁は、前記イントロデューサ本体の前記ガイドワイヤ溝と協働して前記ガイドワイヤ通路を少なくとも部分的に限定する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記インナチューブは、少なくとも一つの流体戻し口孔を含み、前記少なくとも一つの流体戻し口孔は、前記インナチューブの遠位端に隣接して位置決めされる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年12月9日に出願された米国仮特許出願62/945,498号の優先権を要求し、その開示の全てを参照によりここに援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、流体流通制御デバイスを用いるための装置及び方法に関し、より具体的には、流体を取り出し方向及び取り出し方向とは逆の戻し方向に沿って選択的に流通させるための方法及びカニューレ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
体外式膜型人工肺(ECMO)は、体外生命サポートとも呼ばれ、体外技術であり、それは、心臓及び/又は肺で生命を維持するのに十分な量のガス交換及び/又は注入を提供できない人のために、延長された心臓及び/又は呼吸サポートを提供する。例えば、ECMOは、大きい外科手術期間又はその後に患者に提供することによって、心臓又は肺機能障害又は両者によって引き起こされた血液を酸素化することによる患者自身の身体への負担を減少させることに寄与することができる。
【0004】
ECMOにおいて、デバイスの一つの管腔を介して患者の身体の脈管系から低酸素血を取り出し、それに酸素ガスを注入し及び/又は治療方式で他の処理を行い、その後にそれを患者の脈管系(同じデバイスの異なる管腔又は異なるデバイスを通して)に戻す。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、流体を取り出し方向及び取り出し方向と逆の戻し方向に沿って選択的に流通させるためのカニューレ装置を説明する。アウターシースは、アウターシース管腔を限定する縦方向アウターシース本体によって隔てられたアウターシース近位端及びアウターシース遠位端を有する。少なくとも一つの流体取出口孔は、アウターシース遠位端に隣接してアウターシース本体を完全に通過して延在することによって、アウターシース管腔が環境空間と流体連通する。アウターシースは、アウターシース本体を完全に通過して延在する側入口孔を含む。イントロデューサは、縦方向イントロデューサ本体によって隔てられたイントロデューサ近位端及びイントロデューサ遠位端を有する。イントロデューサ本体は、その縦方向に沿ったガイドワイヤ通路を少なくとも部分的に限定する。イントロデューサは、選択的に少なくとも部分的にアウターシース管腔に挿入されるように構成され、ガイドワイヤ通路は、側入口孔と流体連通する。インナチューブは、インナチューブ管腔を限定する縦方向インナチューブ本体によって隔てられたインナチューブ近位端及びインナチューブ遠位端を有する。少なくとも一つの流体戻し口孔は、インナチューブ遠位端に位置し及び/又はそれに隣接することによって、インナチューブ管腔が環境空間と流体連通する。インナチューブは、イントロデューサがアウターシース管腔に位置しない場合にアウターシース管腔に選択的に挿入されるように構成され、インナチューブ本体が側入口孔を完全に通過して延在することによって、インナチューブ遠位端をアウターシース外部の環境空間に配置する。
【0006】
一態様では、流体を取り出し方向及び取り出し方向と逆の戻し方向に沿って選択的に流通させるためのカニューレ装置を患者の体内に配置する方法を説明する。カニューレ装置は、アウターシースを含み、当該アウターシースは、アウターシース管腔を限定する縦方向アウターシース本体によって隔てられたアウターシース近位端及びアウターシース遠位端を有する。少なくとも一つの流体取出口孔は、アウターシース遠位端に隣接してアウターシース本体を完全に通過して延在することによって、アウターシースの管腔が患者の体内の環境空間と流体連通する。アウターシースは、アウターシース本体を完全に通過して延在する側入口孔を含む。イントロデューサは、縦方向イントロデューサ本体によって隔てられたイントロデューサ近位端及びイントロデューサ遠位端を有する。イントロデューサ本体は、その縦方向に沿ったガイドワイヤ通路を少なくとも部分的に限定する。インナチューブは、インナチューブ管腔を限定する縦方向インナチューブ本体によって隔てられたインナチューブ近位端及びインナチューブ遠位端を有する。少なくとも一つの流体戻し口孔は、インナチューブ遠位端に位置し及び/又はそれに隣接することによって、インナチューブ管腔が患者体内の環境空間と流体連通する。イントロデューサを少なくとも部分的にアウターシース管腔に挿入する。イントロデューサが少なくとも部分的にアウターシース管腔内に保持される場合、アウターシース遠位端及びイントロデューサ遠位端を患者の体内の目標取出位置に推進する。アウターシース遠位端及びイントロデューサ遠位端を目標取出位置に保持する。イントロデューサをアウターシースから引き出しながら、アウターシース遠位端を目標取出位置に保持する。イントロデューサがアウターシース管腔に位置しない場合、インナチューブをアウターシース管腔に挿入する。ガイドワイヤに沿ってインナチューブ管腔を推進することによってインナチューブ本体が側入口孔を完全に通過して延在して、インナチューブ遠位端を患者の身体のアウターシース外部に位置する目標戻し位置に配置する。アウターシース管腔を通じて流体を選択的に目標取出位置から取り出す。内鞘管腔を通じて流体を選択的に目標戻し位置に戻す。
より良く理解するために、図面を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1態様の第1部材の模式側面図である。
図2図1の態様の第2部材の模式側面図である。
図3図1の態様の第1部材及び第2部材の組立状態での模式側面図である。
図4】本発明の第2態様の断面図である。
図5図4の態様の模式詳細図である。
図6図4の態様の模式側面図である。
図7】本発明の第3態様の断面図である。
図8図7の態様の模式詳細図である。
図9図7の態様の模式側面図である。
図10】本発明の第4態様の第1部材の側面図である。
図11図10の領域「11」の詳細である。
図12図10の態様の第2部材の平面図である。
図13図12の第2部材の側面図である。
図14図12の領域「14」の詳細である。
図15図10の態様の第3部材の断面図である。
図16図15の第3部材の平面図である。
図17図15の「17-17」線に沿って切り出された断面である。
図18図15の領域「18」の詳細である。
図19図10の態様の第2部材及び第3部材の組立状態での部分頂部斜視図である。
図20図19の「20-20」の切断線に沿った部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、別の定義がない限り、本開示の属する分野の当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0009】
本明細書で用いられるように、用語「被験者」は、用語「患者」と交換可能でありながら、任意の温血生体を指すものであり、人、豚、ラット、マウス、犬、ヤギ、綿羊、馬、サル、サル、ウサギ、牛、家畜、家畜などを含むがこれらに限定されない。
【0010】
本明細書で用いられるように、単数の形態「一種」、「一つ」及び「当該」は、文脈上別に旨明示した場合を除き、複数の形態を含むこともできる。さらに理解されるように、本明細書で用いられる用語「含む」は、記述された特徴、ステップ、操作、素子及び/又は部材が存在することを指定することができるが、一つ又は複数の他の特徴、ステップ、操作、素子、部材及び/又はそのグループが存在するか又は追加されることを排除しない。
【0011】
本明細書で用いられるように、用語「及び/又は」は、関連する項目のうちの一つ又は複数の任意及び全ての組み合わせを含むことができる。
【0012】
素子が別の素子の「上」に位置するもの、別の素子に「付着」されるもの、別の素子に「接続」されるもの、別の素子と「連結」、「接触」又は「隣接」するものなどと呼ばれる場合、当該素子は、直接的に、別の素子に位置するもの、別の素子に付着されるもの、別の素子に接続されるもの、別の素子に連結、接触又は隣接するものとすることができ、または中間素子が存在してもよいと理解されるべきである。これに対して、素子が例えば「他の素子の上に直接位置するもの」、他の素子に「直接付着」されるもの、他の素子に「直接接続」されるもの、他の素子と「直接連結」、「他の素子に直接接触」又は他の素子と「直接隣接」するものと呼ばれる場合、中間素子が存在しない。当業者であれば理解されるように、別の特徴と「直接隣接する」ように配置された構造又は特徴に対する記述は、当該隣接する特徴と重なるか又は当該隣接する特徴の下に位置する部分を有してもよく、別の特徴と「隣接する」ように配置された構造又は特徴は、当該隣接する特徴と重なるか又は当該隣接する特徴の下に位置する部分を有しなくてもよい。
【0013】
説明を容易にするために、本明細書で「下方」、「下側」、「下」、「上方」、「上」、「近位端」、「遠位端」などの空間相対用語を用いて図に例示された一つの素子又は特徴と他の一つ又は複数の素子又は特徴との関係を説明することができる。理解されるように、図に示された配向に加えて、空間相対用語は、デバイスの使用又は操作における異なる配向をさらに含むことができる。例えば、図中のデバイスを逆にすると、他の素子又は特徴の「下方」又は「下」に記述された素子は、他の素子又は特徴の「上方」に位置するように配向される。
【0014】
本明細書で用いられるように、フレーズ「X及びYのうちの少なくとも一つ」は、X、Y又はX及びYの組み合わせを含むと解釈することができる。例えば、素子がX及びYのうちの少なくとも一つを有すると記述されると、当該素子は、特定の時間にX、Y又はX及びYの組み合わせを含むことができ、X、Y又はX及びYに対する選択は、時間に応じて変化することができる。これに対して、フレーズ「Xのうちの少なくとも一つ」は、一つ又は複数のXを含むと解釈することができる。
【0015】
理解されるように、用語「第1」、「第2」などは、本明細書において様々な素子を説明するために用いられるが、これらの素子は、これらの用語に制限されるべきではない。これらの用語は、一つの素子と他の素子を区別するためだけに用いられる。これにより、本開示の教示から逸脱しない場合に、以下に検討された「第1」素子は「第2」素子と呼ばれてもよい。特に明示しない限り、操作(又はステップ)の順序は、特許請求の範囲又は図面に示された順序に限定されるものではない。
【0016】
本発明の任意の組み合わせは、以下の特徴で構成されるか又は基本的に以下の特徴で構成される。
【0017】
図1図3は、患者の体内に流体を取り出し方向(図中の矢印「-」)及び取り出し方向と逆の戻し方向(図中の矢印「+」)に沿って選択的に流通させるためのカニューレ装置100を示す。本明細書において患者の脈管系を例示的な使用環境とするが、当業者は、本発明による任意のカニューレ装置を所望の使用環境(例えば、脳脊髄液の洗浄、ECMO(肺動脈注入を含む)、ECLS、右心補助又はRVAD、傷口ドレナージ及び洗浄、腎臓透析、腹腔ドレナージ及び洗浄、治療処理に基づく流体の輸送又は取り出し、及び/又は他の医学及び/又は非医学用途であるがこれらに限定されない)に用いるように構成することができる。
【0018】
カニューレ装置100は、アウターシース102を含み、当該アウターシースは、アウターシース管腔110を限定する縦方向アウターシース本体108によって隔てられたアウターシース近位端104及びアウターシース遠位端106を有する。少なくとも一つの流体取出口孔112は、アウターシース遠位端106において及び/又はそれに隣接してアウターシース本体108を完全に通過して延在することによって、アウターシース管腔110が環境空間と流体連通する。図1及び図3に示すように、流体取出口孔112は、アウターシース102の最遠末端に位置し、かつアウターシース本体108のチューブの開口端のみである。患者の体内の環境空間は、例えば、患者の脈管系及び/又は血液が流れる臓器の領域であってもよい。アウターシース102は、アウターシース本体108を完全に通過して延在する側入口孔114を含む。
【0019】
偏向器116は、アウターシース管腔110内に位置し、任意の所望の構成を有し、当該構成は、挿入構造を側入口孔114に向かって転舵するか又は偏寄するように操作することができる。例えば、偏向器116は、トラック又はレールであってもよく、それは、特定の断面寸法及び/又は形状の構造が偏向器116を通ってアウターシース管腔110を通過することを防止するために、アウターシース管腔110の断面の少なくとも一部を遮断する。考えられるように、カニューレ装置100の大部分の使用環境に対して、偏向器116は、アウターシース管腔110内の取り出し方向に沿った所望量の流体圧力及び流体流通を許容するものであり、必要に応じて流体の乱流を最小化する形態である。さらに、一つ又は複数の流体取出口孔(図示せず)は、偏向器116の近位側に位置することができると考えられる。
【0020】
図2は、インナチューブ管腔226を限定する縦方向インナチューブ本体224によって隔てられたインナチューブ近位端220及びインナチューブ遠位端222を有するインナチューブ218を示す。少なくとも一つの流体戻し口孔228は、インナチューブ遠位端222に位置し及び/又はそれに隣接することによって、インナチューブ管腔226が環境空間と流体連通する。インナチューブ218は、アウターシース管腔110に選択的に挿入されるように構成され、ここでインナチューブ本体224は、インナチューブ遠位端222をアウターシース102の外部の環境空間に配置するために、アウターシース102の側入口孔114を完全に通過して延在する。「インナチューブ本体224が側入口孔114を完全に通過して延在する」とは、カニューレ装置100の使用中に、インナチューブ本体224全体がある時点で側入口孔114を通過することではなく、インナチューブ本体224のある部分が側入口孔114を通過することを意味するものである。偏向器116は、インナチューブ218がアウターシース管腔110に挿入されている間に、それを側入口孔114に向かって案内又は押動するためのものである。側入口孔114内には、必要に応じてフィルム又は他の密封構造(図示せず)が存在することができ、この場合、流体が取り出し方向に沿って流れることを防止することができる。
【0021】
使用中に、図1図3のカニューレ装置100は、患者の脈管系から流体を取り出し、かつ、同時に又は連続的に流体を患者の脈管系に戻すことに用いることができる。アウターシース102は、患者の体内の目標取出部位に挿入される。インナチューブ218は、それと同時に挿入するために、少なくとも部分的にアウターシース102内に保持されてもよく、或いは、インナチューブ218は、アウターシース102が所望のように配置されるまで、アウターシース102内に位置しなくてもよい。アウターシース102が目標取出部位に位置すると、インナチューブ218は、偏向器116がインナチューブ遠位端222をアウターシース102の側入口孔114からガイドして図3に示す構成に入るまで、遠位側に向かってアウターシース管腔110に挿入(又はさらに挿入)することができ、ここで、流体戻し口孔228は、患者の脈管系内の目標戻し部位に位置する。この場合、アウターシース102は、目標取出部位から流体を取り出すために用いることができ、かつ、インナチューブ218は、所望に応じて順次及び/又は同時に流体を目標戻し部位に戻すために用いることができる。
【0022】
図4図6は、カニューレ装置100’の第2実施例を例示している。図4図6のカニューレ装置100’は、図1図3のカニューレ装置100と類似するため、図4図6において図1図3を参照して説明した構造と同一又は類似の構造は、同じ符号を有し、「プライム」のみを付加している。前述第1実施例と類似の共通素子及び操作の説明は、第2実施例に対して繰り返せず、参照の方式によって以下に適切に結合されると考えられるべきである。
【0023】
図4は、カニューレ装置100’の断面図である。第1実施例と同様に、第2実施例のカニューレ装置100’は、偏向器116’を含む。しかしながら、第2実施例において、偏向器116’は、チャネルチューブ430の形態を採用し、当該チャネルチューブは、アウターシース管腔110’内においてアウターシース近位端104’と側入口孔114’との間にアウターシース本体108’の顕著な長さを延在する。チャネルチューブ430は、例えば、アウターシース本体108’の内壁に付着された小径のチューブであってもよい。すると、インナチューブ218’は、アウターシース管腔110’内にその自身の「専用チャネル」を有している。インナチューブ218’は、使用者の所望に応じてチャネルチューブ430に挿入され、側入口孔114’から出ることができ、カニューレ装置100’の第1実施例の操作と類似する。換言すれば、第2実施例は、アウターシース本体108’の断面領域において直径が小さくなるアウターシース管腔110’を含み、インナチューブ218’は、当該アウターシース管腔を介してチャネルチューブ430内に延在する。
【0024】
また、なお、説明のために、第2実施例のアウターシース102’は、アウターシース本体108’に沿った異なる縦方向間隔での複数の流体取出口孔112’を含む。本発明の任意の実施例のように、特定の使用環境に対して、流体を適切に取り出すか又は「排出」するために、所望に応じて任意の数、位置及びサイズの流体取出口孔112’が存在することができる。例えば、ECMO使用環境において、流体取出口孔112’は、ヘッド/SVCから総取出体積の約1/3、IVCから約2/3を排出するように構成することができる。
【0025】
図7図9は、カニューレ装置100’’の第3実施例を例示している。図7図9のカニューレ装置100’’は、図1図6のカニューレ装置100、100’と類似するため、図7図9において図1図6を参照して説明した構造と同一又は類似の構造は、同じ符号を有し、「ダブルプライム」のみを付加している。前述第1及び第2実施例と類似の共通素子及び操作の説明は、第3実施例に対して繰り返せず、参照の方式によって以下に適切に結合されると考えられるべきである。
【0026】
カニューレ装置100’’の第3実施例において、図7に示すように、偏向器116は、スペーサフレーム732の形態を採用し、それは、アウターシース管腔110’’内のアウターシース本体108’’壁から離れるようにインナチューブ218’’を保持する。考えられるように、アウターシース本体108’’の長さに沿って一つ又は複数のスペーサフレーム732を設けることによって、インナチューブ218’’をアウターシース管腔内に「吊り下げる」ことができる。すなわち、第3実施例のカニューレ装置100’’を使用する期間に、アウターシース102’’を介してインナチューブ218’’を同心に囲繞して流体を取り出す。インナチューブ218’’は、任意の所望の方式で側入口孔114’’を指向するようにすることができ、例えば、インナチューブ218’’を押すように構成されるスペーサフレーム732及び/又はインナチューブ218’’の操作可能な特徴が挙げられるが、これに限定されない。
【0027】
図10図20は、カニューレ装置100’’’の第4実施例を例示している。図10図20のカニューレ装置100’’’は、図1図9のカニューレ装置100、100’、100’’と類似するため、図10図20において図1図9を参照して説明した構造と同一又は類似の構造は、同じ符号を有し、「トリプルプライム」のみを付加している。前述の第1~第3実施例と類似する共通素子及び操作の説明は、第4実施例に対して繰り返せず、参照の方式によって以下に適切に結合されると考えられるべきである。
【0028】
図10図20に示されるカニューレ装置100’’’は、患者の脈管系内において取り出し方向と取り出し方向とは逆の戻し方向との双方に選択的な流体の流れを提供することに寄与する。図10図20に示すように、第4実施例のカニューレ装置100’’’のアウターシース102’’’、インナチューブ218’’’及び他の構造は、コネクタ、カプラ、制御特徴及び/又はカニューレ装置100’’’の部材を互いに付着し、及び/又は他の関連デバイスに付着するための他の構造を含むことができる。当業者は、特定の使用環境に対してカニューレ装置100’’’及びその部材を容易に構築することができる。
【0029】
第4実施例のカニューレ装置100’’’は、アウターシース102’’’を含み、当該アウターシースは、アウターシース管腔110’’’を限定する縦方向アウターシース本体108’’’によって隔てられたアウターシース近位端104’’’及びアウターシース遠位端106’’’を有する。少なくとも一つの流体取出口孔112’’’は、アウターシース遠位端106’’’に隣接してアウターシース本体を完全に通過して延在することによって、アウターシース管腔110’’’が環境空間と流体連通する。図12図13に示すように、アウターシース102は、アウターシース本体108’’’を完全に通過して延在する側入口孔114’’’を含む。側入口孔114’’’は、全ての流体取出口孔112’’’の近位側に位置してもよく、又は側入口孔114’’’の近位側に位置する一つ又は複数の流体取出口孔112’’’が存在してもよい。アウターシース遠位端106’’’及び/又はインナチューブ遠位端222’’’は、中実の無開口孔の最遠末端を含むことができる。代替的に、アウターシース110’’及び/又はインナチューブ218’’’の最遠末端は、例えば、管構造の縁部の切断箇所で終端する対応する管腔の簡単な操作によって、開放されてもよい。
【0030】
図15図16に示すように、第4実施例のカニューレ装置100’’’は、イントロデューサ1534を含むことができ、それは、縦方向イントロデューサ本体1540によって隔てられたイントロデューサ近位端1536及びイントロデューサ遠位端1538を有する。イントロデューサ本体1540は、その縦方向に沿ったガイドワイヤ通路1542を少なくとも部分的に限定し、それは、カニューレ装置100’’’の少なくとも一部の配置に寄与することができる。例えば、イントロデューサ1534及びアウターシース110’’’のうちの少なくとも一つは、所望の位置に存在することができ、そしてバルーン末端カテーテル(ガイドワイヤとして用いられる)は、イントロデューサ本体1540における「ガイドワイヤ通路」を介して挿入することができる。カテーテルがイントロデューサ本体1540の通路から遠位側へ離れると、バルーンが膨張し、カテーテルが浮遊してTVを通過してRVに入り、RVOTを通過してPAに入る。次に、バルーン末端カテーテルをガイドワイヤに変換することができ(カテーテルを引き出し及び/又はイントロデューサ1534を取り出すときに、ガイドワイヤをシフトしない)、インナチューブ218’’’をガイドワイヤに挿入し、ガイドワイヤを取り出すことができる。代替的に、いくつかの実施例において、考えられるように、まずバルーン末端カテーテルを使用することではなく、ガイドワイヤ通路1542を介してガイドワイヤを配置することができ、又は他の実施例において、まずガイドワイヤを配置してそれをガイドワイヤ通路1542にバックロードすることができる。本明細書において、特定の使用環境に対して、当業者は、バルーン末端カテーテルでガイドワイヤを容易に代替するか又は補完することができる。
【0031】
イントロデューサ1534は、アウターシース管腔110’’’に選択的に少なくとも部分的に挿入されるように構成され、ここでガイドワイヤ通路1542は、側入口孔114’’’に流体連通する。図に示すように、イントロデューサ本体1540は、その側方最外表面からイントロデューサ本体1540内に部分的に延在するガイドワイヤ溝1546を含むことができる。この場合、イントロデューサ1534が少なくとも部分的にアウターシース管腔110’’’内に位置する場合、アウターシース本体108’’’の最内壁は、イントロデューサ本体1540のガイドワイヤ溝1546と協働してガイドワイヤ通路1542を少なくとも部分的に限定する。これは、図17に模式的に示す様子であり、明確にするために、アウターシース本体108’’’の一部の円周のみを示している。代替構造として、図示しないが、ガイドワイヤ通路1542は、例えば、イントロデューサ本体1540の構造によって完全に断面において密封された側管腔となることにより、イントロデューサ本体1540内に設けられた縦方向に延在する「トンネル」であってもよい。
【0032】
図15図16に示すように、イントロデューサ本体1540は、その縦方向の長さに沿ってイントロデューサ近位端1536での第1断面積からイントロデューサ遠位端1538での小さくなる第2断面積まで成形することができる。当該円錐形又は直径の小さくなる輪郭は、イントロデューサ本体1540の直径に沿ったほぼ一定の減少を利用して図ることができ、又は図に示すように、イントロデューサ本体1540は、円錐形の遠位端部分1548を有することができ、イントロデューサ1534が少なくとも部分的にアウターシース管腔110’’’内に位置する場合、当該円錐形の遠位端部分は、アウターシース遠位端106’’’の開口部分を介してアウターシース102’’’から遠位側に突出する。このような状況で、円錐形の遠位端部分1548は、患者の脈管系(従来のイントロデューサの方式で)を開くことを支援し、かつ脈管系が相対的に鈍ったアウターシース遠位端106’’’を経験することではなく、アウターシース102’’’の拡径通過を容易にするように作用することができる。
【0033】
同様に図15図16に示すように、少なくとも一部がアウターシース管腔110’’’内に位置する場合、イントロデューサ本体1540は、そのアウターシース102’’’の側入口孔114’’’の近位側に位置する長さに沿ってほぼ一定である第1断面積を有し、かつ、第2断面積まで減少することをアウターシース102’’’の側入口孔114’’’の側方に隣接して発生し、及び/又は当該側入口孔の遠位側に発生する。換言すれば、図に示すように、イントロデューサ1534がアウターシース管腔110’’’内に位置付けられるときに、中間円錐形1550は、側入口孔114’’’を含むアウターシース102’’’の部分とほぼ縦方向に整列してイントロデューサ1534内に出現することができる。このような配置は、図19において拡大図で示され、図20において断面詳細図で示され、かつ存在する場合、この中間円錐形1550は、イントロデューサ本体1540の引き出し期間に既に配置されたガイドワイヤとの干渉を回避することに寄与することができる。しかしながら、考えられるように、断面がほぼ一定であるイントロデューサ本体1540を代替的に設置することができ、必要に応じて、イントロデューサ1534が近位端方向に沿ってアウターシース管腔110’’’から引き出されるときにガイドワイヤをその中の適切な位置に保持する(即ち、ガイドワイヤを後向きにドラッグすることを回避する)するために、その中に縦方向溝又は凹部を含む。さらに考えられるように、イントロデューサ1534の少なくとも一部がアウターシース管腔110’’’内に位置する場合、イントロデューサ遠位端1538は、アウターシース102’’’の側入口孔114’’’の側方に隣接する位置及びその遠位側から選択される一つに位置することができると考えられる。
【0034】
図15図16に示すように、任意の所望の原因によって、イントロデューサ1534は、少なくとも部分的に中空してガイド管腔1544を限定することができ、例えば、イントロデューサ1534構造の可撓性が挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
インナチューブ218’’’は、インナチューブ管腔226’’’を限定する縦方向インナチューブ本体224’’’によって隔てられたインナチューブ近位端220’’’及びインナチューブ遠位端222’’’を有する。少なくとも一つの流体戻し口孔228’’’は、インナチューブ遠位端222’’’に位置し及び/又はそれに隣接することによって、インナチューブ管管腔226’’’は、環境空間と流体連通する。インナチューブ218’’’は、イントロデューサ1534がアウターシース管腔110’’’内に位置しないときにアウターシース管腔110’’’内に選択的に挿入するように構成され、ここでインナチューブ本体224’’’(又はその部分であり、前記のように)は、側入口孔114’’’を完全に通過して延在することによって、インナチューブ遠位端106’’’をアウターシース102’’’の外部の環境空間内に配置する。
【0036】
インナチューブ218’’’は、一つの流体戻し口孔228’’’のみを含むことができる。さらに、図10図11に示すように、当該流体戻し口孔228’’’は、インナチューブ218’’’の最も遠位の範囲に位置することができる。しかしながら、インナチューブ218’’’は、さらに少なくとも一つの流体戻し口孔(図示せず)を含むか又は代替的に含むことができ、それは、インナチューブ遠位端222’’’に隣接するがインナチューブ遠位端に所在しないように位置決めされる。
【0037】
図18に模式的に示すように、ガイドワイヤ1852は、ガイドワイヤ通路1542を通過するように選択的に案内するように構成され、同時にイントロデューサ1534は、少なくとも部分的にアウターシース管腔110’’’内に位置する。ガイドワイヤ1852の最遠位端は、側入口孔114’’’を介してアウターシース管腔110’’’から離れてもよい。すなわち、図19に模式的に示すように、ガイドワイヤ1852は、ガイドワイヤ通路1542に沿って進行することができ、当該ガイドワイヤ通路1542自体は、図17に示すように、ガイドワイヤ溝1546及びアウターシース本体108’’’の最内壁で共に形成することができる。そして、ガイドワイヤ1852が側入口孔114’’’に到達するときに、ガイドワイヤは、外側方に向かって側入口孔114’’’を通過するように案内することができ、ここで、ガイドワイヤは、後でインナチューブ218’’’の配置をガイドするために用いることができ、以下に詳細に説明するとおりである。
【0038】
現在、図10図20の第4実施例を例としてカニューレ装置100’’’を患者の脈管系内に配置する方法を説明し、当該カニューレ装置は、流体を取り出し方向及び取り出し方向と逆の戻し方向に沿って選択的に流通させるために用いられる。以上のようなカニューレ装置100’’’が提供される。イントロデューサ1534は、少なくとも部分的にアウターシース102’’’に導入される。イントロデューサ1534が少なくとも部分的にアウターシース管腔110’’’内に保持されかつその中に選択可能に挿入されてアウターシース遠位端106’’’から遠位側に突出することに十分である場合、イントロデューサ1534が前記のように円錐形であるか否かにかかわらず、アウターシース遠位端106’’’及びイントロデューサ遠位端1538を患者の脈管系内の所定の目標取出位置に推進する。
【0039】
達成すると、アウターシース遠位端106’’’及びイントロデューサ遠位端1538を目標取出位置に保持する。ガイドワイヤ1852を使用する場合、そこに保持されたアウターシース102’’’及び/又はイントロデューサ1534を調整することによって、ガイドワイヤ通路1542は、側入口孔114’’’と流体連通する。ガイドワイヤ通路1542がトンネル型であるか否かに関わらず、イントロデューサ本体1540の壁を貫通し、又はガイドワイヤ通路1542がガイドワイヤ溝1546及びアウターシース本体108’’’の最内壁で共に形成されるか否かに関わらず、当該ステップを実行することができる。ガイドワイヤ通路1542が側入口孔114’’’と流体連通して位置合わせされると、図19図20に示すように、ガイドワイヤ通路1542によってガイドワイヤ1852を遠位側へ推進することができる。
【0040】
その後、ガイドワイヤ1852に側入口孔114’’’を完全に通過して延在させる(前記のような「完全に通過する」によって、ガイドワイヤ1852の少なくともある一部は、同時にアウターシース管腔110’’’の内部及び外部に位置し、かつ側入口孔114’’’を通過する)。これによって、ガイドワイヤ遠位端は、アウターシース102’’’の外部の脈管系における目標戻し位置に隣接するように配置される。
【0041】
その後、アウターシース102’’’からイントロデューサ1534を引き戻しつつ、ガイドワイヤ遠位端を目標戻し位置に隣接するように保持し、かつアウターシース遠位端106’’’を目標取出位置に保持することができる。
【0042】
ガイドワイヤ1852を使用しない場合、アウターシース遠位端106’’’及びイントロデューサ遠位端1538がその目標取出位置での配置を達成すると、アウターシース102’’’からイントロデューサ1534を引き出すことができる。その後、インナチューブ218’’’をアウターシース管腔110’’’(イントロデューサ1534がその中にない)に挿入し、その中を通過するように推進する。任意の所望の方式で、インナチューブ遠位端222’’’は、側入口孔114’’’を完全に通過してアウターシース102’’’の外部の脈管系における目標戻し位置に配置されるように操縦される。
【0043】
しかしながら、ガイドワイヤ1852を使用する場合、インナチューブ218’’’が側入口孔114’’’に向かって通過する操縦を簡略化することができる。前記のように、イントロデューサ1534を引き出すときに、ガイドワイヤ1852が残され、側入口孔114’’’を通過して延在する。このような場合、インナチューブ218’’’を操縦してガイドワイヤ1852をインナチューブ管腔226’’’内に配置し、その後、インナチューブ218’’’をレールに沿うように前に配置されたガイドワイヤ1852に沿って通過させ、かつインナチューブ遠位端222’’’を直接的に側入口孔114’’’までガイドして側入口孔114’’’から導出して、アウターシース102’’’の外部の脈管の環境空間に入ることが可能となる。その後、所望に応じてアウターシース102’’’からガイドワイヤ1852を取り出すことができ、ここでインナチューブ本体224’’’は、側入口孔114’’’を通過するように保持する。
【0044】
先に述べたように配置すると、所望に応じてアウターシース102’’’及びインナチューブ218’’’を調整することができ、かつ、その後にアウターシース管腔110’’’(より具体的には、少なくとも一つの流体取出口孔112’’’)によって目標取出位置から流体を選択的に取り出すことができる。同様に、同時又は連続的に(又はカニューレ装置100の操作期間の異なる時間に)、流体は、内鞘管腔226’’’を通過し、より具体的にはその少なくとも一つの流体戻し口孔228’’’を通過して目標戻し位置に選択的に戻すことができる。
【0045】
特にカニューレ装置100がECMO過程又は任意の他の濾過又は流体処理過程に用いられる場合、取り出された流体は、それが脈管系から取り出された後かつそれが脈管系に戻る前に治療的に処理されることが可能である(例えば、酸素及び/又は濾過されることが可能である)。所望に応じて、適切なコネクタを有する任意の所望の治療デバイスをカニューレ装置100に提供し及び/又はそれと共に使用することができる。例えば、アウターシース102及びインナチューブ218は、いずれもハブを有することができ、各ハブには2つのポート(一つは排出又は注入に用いられ、もう一つはガイドワイヤ/カテーテルでの移動を許容し、かつアウターシース102の場合、インナチューブ218の挿入を許容する)が設けられる。すなわち、インナチューブ218に対して、2つのポートを有することにより、使用者は、インナチューブ218までの血流を遮断することではなく、インナチューブ218を移動させることができるため、2ポートハブは、血液を注入したままデバイスのガイドワイヤ/カテーテル上の原位置での調整を容易にすることに寄与する。
【0046】
以上の例示的な態様を参照して本開示の態様を具体的に示し説明したが、当業者であれば、様々な追加の態様を想定することができると理解されるべきである。例えば、当該装置を使用するための上記具体的な方法は、例示的なものに過ぎず、当業者は、上記装置又はその部材を本明細書に示された前記位置とほぼ類似する位置に配置するための任意の数のツール、ステップシーケンス又は他の手段/オプションを容易に特定することができる。図面の明瞭さを保持するために、示された重複部材のうちのいくつかの部材に具体的に番号を付けないが、当業者であれば、番号付けされた部材に基づいて番号付けされていない部材に関連すべき素子番号を認識することができ、類似部材の間の区別は、図に部材番号が存在するか又は存在しないかのみで示されるか又は暗示されるものではない。任意の前記構造及び部材は、全体的に単一の全体又は単一の部材に形成されてもよく、又は単独のサブ部材で構成され、これらの構造のうちの任意の一つは、任意の適切な在庫又はカスタマイズ部材及び/又は任意の適切な材料又は材料の組み合わせに関する。しかしながら、選択された材料は、多くの応用に対して生体適合性であるべきである。任意の前記構造及び部材は、使い捨て又は再利用可能であってもよく、例えば、特定の使用環境に望まれるものである。任意の部材には、使用者が感知可能なマークを設けて、当該部材に関する材料、構造、少なくとも一つの寸法などを指示することができ、使用者が感知可能なマークは、使用者が特定の使用環境に用いられる類似部材のアレイから一つの部材を選択することを潜在的に助ける。「所定」状態は、操縦される構造が実際に当該状態に達する前の任意の時間に特定することができ、当該「所定」は、遅くとも当該構造が所定状態に達する直前に行われる。用語「略」は、本明細書において品質を指示するために用いられ、それは、大きい程度であるが完全に所定の品質である必要がなく―「略」の品質は、非品質項目を相対的に少なく含み得ることを容許する。本明細書に記載のある部材は、特定の幾何学的形状を有するように示されるが、本開示の全ての構造は、任意の適切な形状、寸法、構造、相対関係、断面積、又は特定の応用が所望する任意の他の物理的特性を有することができる。一つの態様又は構造を参照して説明された任意の構造又は特徴は、単独で又は他の構造又は特徴と組み合わせて任意の他の態様又は構造に提供することができ、これは、本明細書で検討された各態様及び構造を全ての他の態様及び構造について検討された全てのオプションを有するように説明することは実際的ではないからである。これらの特徴のうちの任意の特徴を組み合わせたデバイス又は方法は、特許請求の範囲及びその任意の等価物に基づいて特定された本開示の範囲内にあると理解されるべきである。
【0047】
図面、開示内容及び特許請求の範囲を研究することによって、他の態様、目的及び利点を得ることができる。
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