(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】導電性ロールの検査方法および導電性ロールの製造方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G03G15/02 101
(21)【出願番号】P 2022538598
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2021017767
(87)【国際公開番号】W WO2022018933
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2020123424
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章吾
(72)【発明者】
【氏名】池田 篤
(72)【発明者】
【氏名】福岡 智
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 憲司
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-191519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 15/16
G03G 15/00
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有する導電性ロールの特性の良否を判定する検査方法であって、
前記表面粗さ付与材の平均粒径が6μm以上10μm未満の範囲内であり、かつ、前記表層の平均厚さが0.2μm以上5.5μm以下の範囲内であり、
前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出し、
前記粒子数が3.5×10
5個/mm
2以上7.5×10
5個/mm
2以下の範囲内である場合、良と判定する、
導電性ロールの検査方法。
【請求項2】
軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有する導電性ロールの特性の良否を判定する検査方法であって、
前記表面粗さ付与材の平均粒径が10μm以上32μm以下の範囲内であり、かつ、前記表層の平均厚さが0.2μm以上5.8μm以下の範囲内であり、
前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出し、
前記粒子数が1.8×10
3個/mm
2以上1.7×10
5個/mm
2以下の範囲内である場合、良と判定する、
導電性ロールの検査方法。
【請求項3】
前記表層は、前記表面粗さ付与材を含むコーティング剤を硬化または固化させることにより形成されており、
前記表層の面積と、前記コーティング剤における前記表面粗さ付与材の含有率と、前記表層の形成に使用した前記コーティング剤の質量と、前記表面粗さ付与材の1粒子あたりの平均質量と、に基づいて、前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出する、
請求項
1または
2に記載の導電性ロールの検査方法。
【請求項4】
軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有する導電性ロールの製造方法であって、
前記表層を形成することと、
前記導電性ロールの良否を判定することと、を含み、
前記表面粗さ付与材の平均粒径が6μm以上10μm未満の範囲内であり、かつ、前記表層の平均厚さが0.2μm以上5.5μm以下の範囲内であり、
前記導電性ロールの良否を判定することは、
前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出することと、
前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数が3.5×10
5
個/mm
2
以上7.5×10
5
個/mm
2
以下の範囲内である場合、良と判定することと、を含む
導電性ロールの製造方法。
【請求項5】
軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有する導電性ロール製造方法であって、
前記表層を形成することと、
前記導電性ロールの良否を判定することと、を含み、
前記表面粗さ付与材の平均粒径が10μm以上32μm以下の範囲内であり、かつ、前記表層の平均厚さが0.2μm以上5.8μm以下の範囲内であり、
前記導電性ロールの良否を判定することは、
前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出することと、
前記粒子数が1.8×10
3
個/mm
2
以上1.7×10
5
個/mm
2
以下の範囲内である場合、良と判定することと、を含む
導電性ロールの製造方法。
【請求項6】
前記表面粗さ付与材を含むコーティング剤を硬化または固化させることにより前記表層を形成し、
前記表層の面積と、前記コーティング剤における前記表面粗さ付与材の含有率と、前記表層の形成に使用した前記コーティング剤の質量と、前記表面粗さ付与材の1粒子あたりの平均質量と、に基づいて、前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出する、
請求項4または5に記載の導電性ロールの製造方法。
【請求項7】
前記芯材と前記表層との間に配置される導電性の弾性層をさらに有する、
請求項4から6のいずれか1項に記載の導電性ロールの製造方法。
【請求項8】
前記表面粗さ付与材は、絶縁性の材料で構成される、
請求項4から7のいずれか1項に記載の導電性ロールの製造方法。
【請求項9】
前記導電部は、樹脂材料と導電剤とを含む樹脂組成物で構成される、
請求項4から8のいずれか1項に記載の導電性ロールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ロール、画像形成装置、および導電性ロールの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式により紙等の記録媒体にトナーによる画像を形成するプリンターまたは複写機等の画像形成装置には、一般に、帯電ロール等の導電性ロールが用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の帯電ロールは、芯金と、芯金の上に形成された導電性ゴム層と、を備える。
【0004】
特許文献1では、帯電ムラを低減する目的で、帯電ロールの表面の十点平均粗さRzおよび凹凸平均間隔Smのそれぞれの範囲が規定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
導電性ロールの表面を粗面化するには、例えば、導電性ロールの表面に粒子状の表面粗さ付与材を分散させる方法が採用される。帯電ロールにこの方法を採用した場合、帯電ロールの表面における表面粗さ付与材の存在しない領域と感光体の表面との間で放電が生じる。ここで、画質が感光体の表面における帯電または放電の均一性に依存するため、感光体の表面と帯電ロールとの間の放電ギャップおよび放電間距離を所定範囲内に規定する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1で規定される十点平均粗さRzおよび凹凸平均間隔Smは、表面粗さ付与材の存在に関係なく形成される凹凸も含んだ算出値であるため、放電ギャップおよび放電間距離との相関が十分ではない。このため、特許文献1に記載の帯電ロールに表面粗さ付与材を用いても、所望の画質が得られるかどうかを判断するのに実際に画像を出力する必要があり、手間がかかるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本発明の一態様に係る導電性ロールは、軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有し、前記表面粗さ付与材の平均粒径は、6μm以上10μm未満の範囲内であり、前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数は、3.5×105個/mm2以上7.5×105個/mm2以下の範囲内であり、前記表層の平均厚さは、0.2μm以上5.5μm以下の範囲内である。
【0009】
本発明の他の一態様に係る導電性ロールは、軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有し、前記表面粗さ付与材の平均粒径は、10μm以上32μm以下の範囲内であり、前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数は、1.8×103個/mm2以上1.7×105個/mm2以下の範囲内であり、前記表層の平均厚さは、0.2μm以上5.8μm以下の範囲内である。
【0010】
本発明の一態様に係る画像形成装置は、前述の態様の導電性ロールと、前記導電性ロールに接触または近接する感光体と、を有する。
【0011】
本発明の一態様に係る導電性ロールの検査方法は、軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有する導電性ロールの特性の良否を判定する検査方法であって、前記表面粗さ付与材の平均粒径が6μm以上10μm未満の範囲内であり、かつ、前記表層の平均厚さが0.2μm以上5.5μm以下の範囲内であり、前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出し、前記粒子数が3.5×105個/mm2以上7.5×105個/mm2以下の範囲内である場合、良と判定する。
【0012】
本発明の他の一態様に係る導電性ロールの検査方法は、軸線まわりに沿う外周面を有する芯材と、前記芯材の外周面に沿って配置される表層と、を有し、前記表層は、導電部と、前記導電部に分散される粒子状の表面粗さ付与材と、を有する導電性ロールの特性の良否を判定する検査方法であって、前記表面粗さ付与材の平均粒径が10μm以上32μm以下の範囲内であり、かつ、前記表層の平均厚さが0.2μm以上5.8μm以下の範囲内であり、前記表層の単位面積あたりに含まれる前記表面粗さ付与材の粒子数を算出し、前記粒子数が1.8×103個/mm2以上1.7×105個/mm2以下の範囲内である場合、良と判定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、画像ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る導電性ロールの一例である帯電ロールの断面図である。
【
図3】帯電ロールの表層を説明するための拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0016】
1.画像形成装置100
図1は、実施形態に係る導電性ロールを用いる画像形成装置100の構成例を示す模式図である。画像形成装置100は、電子写真方式により印刷紙等の記録媒体Mに画像を形成する複写機またはプリンター等の装置である。
【0017】
画像形成装置100は、
図1に示すように、感光体10と帯電装置20と露光装置30と現像装置40と転写装置50とクリーニング装置60と図示しない定着装置とを有する。これらのうち、帯電装置20、露光装置30、現像装置40、転写装置50およびクリーニング装置60は、この順で感光体10の外周面に沿って周方向に配置される。
【0018】
感光体10は、有機感光体(OPC:Organic Photoconductor)等の光導電性絶縁材料で構成される感光層を最外層として有し、
図1に示す例では、軸線まわりに回転する円筒状または円柱状の部材(感光ドラム)である。
【0019】
帯電装置20は、コロナ放電等の放電により感光体10の外表面を一様に帯電させる装置である。
図1に示す例では、帯電装置20は、導電性ロールの一例である帯電ロール21を有し、帯電ロール21と感光体10との間にコロナ放電等の放電を生じさせる。ここで、帯電ロール21が感光体10の外周面に接触しており、この接触により形成されるニップNの近傍の領域R1またはR2で当該放電が生じる。
【0020】
露光装置30は、パーソナルコンピューター等の外部装置からの画像情報に基づいて、前述の帯電後の感光体10の外周面にレーザー光等の光を照射することにより静電的な潜像を形成する装置である。
【0021】
現像装置40は、感光体10の外周面に形成された静電的な潜像にトナーTを付与することにより、当該潜像をトナー像として可視化する装置である、
図1に示す例では、現像装置40は、トナーTを収容する収容部41と、トナーTを担持する現像ロール42と、現像ロール42にトナーTを供給するトナー供給ロール43と、現像ロール42に担持されるトナーTの量を規制する規制ブレード44と、を有する。
【0022】
転写装置50は、感光体10に形成されたトナー像を記録媒体Mに転写する装置である。
図1に示す例では、転写装置50は、転写ロール51を有し、転写ロール51に所定のバイアスを印加することにより、感光体10と転写ロール51との間に搬送される記録媒体Mに感光体10上のトナー像を転写する。
【0023】
トナー像の転写を受けた記録媒体Mは、図示しない定着装置により加熱および加圧される。この加熱および加圧により、トナー像が記録媒体Mに定着される。なお、当該定着装置としては、特に限定されず、ローラー定着方式、フィルム定着方式またはフラッシュ定着方式等の公知の各種定着装置を用いることができる。
【0024】
クリーニング装置60は、転写後の感光体10の外周面に残存するトナーTを除去する装置である。
図1に示す例では、クリーニング装置60は、感光体10の外周面からトナーTを掻き落とすクリーニングブレード61と、クリーニングブレード61により掻き落とされたトナーTを回収する回収部62と、を有する。なお、クリーニング装置60は、クリーニングブレード61に代えて、または、クリーニングブレード61に加えて、クリーニングブラシを有してもよい。
【0025】
2.帯電ロール21
図2は、実施形態に係る導電性ロールの一例である帯電ロール21の断面図である。
図2に示すように、帯電ロール21は、芯材21aと弾性層21bと表層21cとを有し、芯材21aと表層21cとの間に弾性層21bが介在した構成である。以下、帯電ロール21の各部を順次説明する。
【0026】
2-1.芯材21a
芯材21aは、軸線AXまわり沿う外周面を有する円柱状または円筒状をなす導電性の部材である。なお、芯材21aの両端には、必要に応じて、軸受のための軸部材が設けられる。
【0027】
芯材21aは、熱伝導性および機械的強度に優れる材料で構成される。当該材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、鉄(Fe)、磁性ステンレス、コバルト-ニッケル(Co-Ni)合金等の金属材料や、PI(ポリイミド樹脂)等の樹脂材料が挙げられ、これらのうち、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合、積層または合金等の態様で組み合わせて用いてもよい。
【0028】
以上の構成の芯材21aは、例えば、切削等の公知の加工技術を用いて製造される。なお、芯材21aの表面には、必要に応じて、ブラスト処理またはメッキ処理等の表面処理が施されてもよい。
【0029】
2-2.弾性層21b
弾性層21bは、芯材21aの外周面に全周にわたり配置されており、導電性および弾性を有する層である。弾性層21bは、帯電ロール21と感光体10との接触により弾性変形する。この弾性変形により、帯電ロール21と感光体10との接触により形成されるニップNの近傍の領域R1またはR2で、これらの外周面間の距離が軸線AXに沿う方向での全域にわたり均一化される。
【0030】
なお、弾性層21bは、
図3に示す例では単層で構成されるが、2層以上の積層で構成されてもよい。また、芯材21aと弾性層21bとの間には、必要に応じて、これらの層を互いに接着する接着層、これらの層の密着性を向上させる密着層、または、芯材21aの表面状態等を調整する調整層等の他の層が介在してもよい。
【0031】
弾性層21bの厚さは、弾性層21bの構成材料等に応じて適宜に決められ、特に限定されないが、弾性層21bの適度な弾性を実現する観点から、例えば、0.5mm以上5mm以下の範囲内であり、好ましくは、1mm以上3mm以下の範囲内である。なお、帯電ロール21が感光体10に接触しない非接触方式を画像形成装置100が採用する場合、弾性層21bが省略されてもよい。
【0032】
弾性層21bは、例えば、ゴム材料に導電性付与剤を添加したゴム組成物で構成される。ここで、弾性層21bは、当該ゴム組成物で構成される緻密体でもよいし、当該ゴム組成物で構成される発泡体でもよい。
【0033】
当該ゴム材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタンゴム(PUR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンゴム(SBR)またはクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴムが挙げられ、これらのうち、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を共重合体またはブレンド体等の態様で組み合わせて用いてもよい。
【0034】
なお、当該ゴム材料は、合成ゴムに限定されず、熱可塑性エラストマーでもよい。また、当該ゴム材料には、必要に応じて、架橋剤、架橋助剤またはその他添加剤が適宜に添加される。当該架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、硫黄および過酸化物加硫剤等が挙げられる。当該架橋助剤としては、例えば、無機系の酸化亜鉛、酸化マグネシウム、有機系のステアリン酸およびアミン類等が挙げられる。
【0035】
当該導電性付与剤としては、特に限定されないが、例えば、電子導電性付与剤およびイオン導電付与剤が挙げられ、これらは、混合等の態様で2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該電子導電性付与剤としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラックおよび金属粉末等が挙げられ、これらのうち、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。当該イオン導電付与剤としては、特に限定されないが、例えば、有機塩類、無機塩類、金属錯体およびイオン性液体等が挙げられる。当該有機塩類としては、例えば、三フッ化酢酸ナトリウム等が挙げられる。当該無機塩類としては、例えば、過塩素酸リチウムおよび4級アンモニウム塩等が挙げられる。当該金属錯体としては、例えば、特許第3655364号公報に例示されるようなハロゲン化第二鉄-エチレングリコール等が挙げられる。当該イオン性液体は、特開2003-202722号公報に記載されるように、室温で液体であり、かつ、融点が70℃以下(好ましくは30℃以下)である溶融塩である。
【0036】
弾性層21bの表面の形状等は、後述の表層21cの厚さが極めて薄いことから、帯電ロール21の表面の形状等として現れやすい。したがって、弾性層21bの表面は、できる限り平滑であることが好ましい。具体的には、弾性層21bの表面粗さRzは、8.5μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましい。表面粗さRzがこの範囲内であることにより、後述の表層21cの形状等による効果が好適に得られる。なお、表面粗さRzは、JIS B 0601:1994に準拠して測定される十点平均粗さである。
【0037】
また、弾性層21bのデュロメータ硬さは、50°以上64°以下の範囲内であることが好ましい。弾性層21bのデュロメータ硬さがこの範囲内であることにより、後述の表層21cの形状等による効果が好適に得られる。なお、デュロメータ硬さは、JIS K 6253またはISO 7619に準拠するタイプA硬度計を用いて測定される。
【0038】
以上の弾性層21bは、例えば、押出成形等により成形される。この成形は、芯材21aをインサート品とするインサート押出成形等でもよい。この場合、芯材21aと弾性層21bとの接合が弾性層21bの成形と同時に行われる。また、前述のゴム組成物で構成されるシート状またはチューブ状の部材を芯材21aの外周面に接着することにより、弾性層21bを形成してもよい。ここで、弾性層21bの形成では、必要に応じて、研磨機等を用いて弾性層21bの外周面を研磨することにより、弾性層21bの厚さおよび表面粗さが所望に調整される。
【0039】
2-3.表層21c
表層21cは、弾性層21bの外周面に全周にわたり配置されており、粗面化された表面を有するとともに導電性を有する層である。ここで、表層21cは、芯材21aの外周面に沿って帯電ロール21の最外層として配置される。このように帯電ロール21の最外層として設けられる表層21cの表面が粗面化されることにより、当該表面が平滑面である構成に比べて、帯電ロール21と感光体10との間に生じるコロナ帯電の均一化が図られる。
【0040】
図3は、帯電ロール21の表層21cを説明するための拡大断面図である。
図3に示すように、表層21cは、導電部21c1と粒子状の表面粗さ付与材21c2とを有する。ここで、導電部21c1は、感光体10の外周面との間の領域R1またはR2で放電を生じさせる役割と、表面粗さ付与材21c2を分散させた状態で弾性層21bに固着させるバインダーとしての役割と、を担う。一方、表面粗さ付与材21c2は、表層21cの表面を粗面化する役割を担う。以下、導電部21c1および表面粗さ付与材21c2を順次詳細に説明する。
【0041】
導電部21c1は、ベース材である樹脂材料に導電剤を添加した導電性の樹脂組成物で構成される。なお、当該樹脂組成物には、例えば、改質剤等の他の添加剤が含まれてもよい。
【0042】
当該樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、メラミン樹脂、およびナイロン樹脂等が挙げられる。これらのベース材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を共重合体またはブレンド体等の態様で組み合わせて用いてもよい。
【0043】
当該導電剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、トーカブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ、過塩素酸リチウム等のリチウム塩、ヘキサフルオロリン酸1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム等のイオン性液体、酸化スズ等の金属酸化物、および導電性ポリマーが挙げられる。これらの導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合等の態様で組み合わせて用いてもよい。
【0044】
表面粗さ付与材21c2としては、特に限定されないが、例えば、アクリル粒子、ウレタン粒子、ポリアミド樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、オレフィン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、カーボン粒子、グラファイト粒子、炭化バルーン、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、硫酸カルシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、ケイ酸カルシウム粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ホウ素粒子、タルク粒子、カオリンクレー粒子、珪藻土粒子、ガラスビーズ、および中空ガラス球等が挙げられる。これらの粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
以上のように、導電性ロールの一例である帯電ロール21は、軸線AXまわりに沿う外周面を有する芯材21aと、芯材21aの外周面に沿って配置される表層21cと、を有する。前述のように、表層21cは、導電性の導電部21c1と、導電部21c1に分散される粒子状の表面粗さ付与材21c2と、を有する。
【0046】
ここで、表面粗さ付与材21c2の平均粒径は、6μm以上32μm以下の範囲内である。
【0047】
表面粗さ付与材21c2の平均粒径が6μm以上10μm未満の範囲内である場合、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数は、3.5×105個/mm2以上7.5×105個/mm2以下の範囲内であり、かつ、表層21cの平均厚さは、0.2μm以上5.5μm以下の範囲内である。
【0048】
また、表面粗さ付与材21c2の平均粒径が10μm以上32μm以下の範囲内である場合、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数は、1.8×103個/mm2以上1.7×105個/mm2以下の範囲内であり、かつ、表層21cの平均厚さは、0.2μm以上5.8μm以下の範囲内である。
【0049】
このように表面粗さ付与材21c2の平均粒径、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数、および、表層21cの平均厚さのそれぞれの範囲を規定することにより、帯電ロール21を用いて感光体10の外周面に対して均一な帯電または放電を行うことができる。
【0050】
具体的に説明すると、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数は、表面粗さ付与材21c2による凸部間の距離に対して、凹凸平均間隔Smに比べて高い相関を有する。このため、導電部21c1の形状等によらず、凹凸平均間隔Smを規定する従来に比べて、放電間距離Lのバラつきが低減される。
【0051】
また、表面粗さ付与材21c2の平均粒径は、表面粗さ付与材21c2による凸部の高さに対して、十点平均粗さRZに比べて高い相関を有する。このため、導電部21c1の形状等によらず、十点平均粗さRZを規定する従来に比べて、放電ギャップGのバラつきが低減される。なお、放電ギャップGのバラつきを低減する観点から、表面粗さ付与材21c2の粒径の標準偏差(バラつき)は、できる限り小さいことが好ましく、具体的には、1.5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
【0052】
さらに、表層21cの平均厚さと表面粗さ付与材21c2の平均粒径との関係が規定されることにより、表面粗さ付与材21c2による所望高さの凸部が得られる。このため、所望長さの放電ギャップGが得られる。
【0053】
以上のように、表面粗さ付与材21c2の平均粒径、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数、および、表層21cの平均厚さのそれぞれの範囲を規定することにより、所望の放電ギャップGおよび放電間距離Lが得られる。この結果、帯電ロール21を用いて感光体10の外周面に対して均一な帯電または放電を行うことができる。
【0054】
また、表面粗さ付与材21c2の平均粒径、表層21cの平均厚さ、および、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数を測定することにより、その測定結果に基づいて、帯電ロール21の特性の良否を判定することができる。すなわち、これらの測定結果が前述の範囲内である場合、帯電ロール21の特性が良であることがわかる。このように、実際に帯電ロール21を画像形成装置100に組み込んで画質の評価を行わなくても、帯電ロール21の良否を判定可能な検査方法を提供することができる。
【0055】
本実施形態の帯電ロール21は、前述のように、芯材21aと表層21cとの間に配置される導電性の弾性層21bを有する。このため、帯電ロール21を感光体10の外周面に接触させることにより、感光体10の外周面と帯電ロール21の外周面との間の距離を軸線AXに沿う方向にわたり均一化することができる。
【0056】
ここで、表面粗さ付与材21c2は、絶縁性の粒子で構成されることが好ましい。この場合、表面粗さ付与材21c2による凸部における放電を低減することができる。なお、
図3に示す例では、表面粗さ付与材21c2の一部が導電部21c1から外部に露出するが、表面粗さ付与材21c2の全体が導電部21c1に埋まってもよい。
【0057】
また、導電部21c1は、前述のように、樹脂材料と導電剤とを含む樹脂組成物で構成されることにより、感光体10の外周面との間の領域R1またはR2で放電を生じさせる機能と、表面粗さ付与材21c2を分散させた状態で弾性層21bに固着させる機能と、を好適に発揮する。
【0058】
また、前述のように帯電ロール21および感光体10を有する画像形成装置100において、帯電ロール21は、感光体10の外周面との間に電圧を印加することにより、感光体10の外周面を帯電させる。ここで、当該電圧、すなわち帯電電圧は、直流電圧でもよいし、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧でもよい。帯電電圧が直流電圧に交流電圧を重畳した電圧である場合、帯電電圧が直流電圧である場合に比べて、帯電ムラが生じ難いという利点がある。
【0059】
以上の表層21cは、前述の樹脂組成物を溶剤に溶解させるとともに前述の表面粗さ付与材を分散させたコーティング液を用いて形成される。具体的には、当該コーティング液を弾性層21bの外周面に塗布した後に硬化または固化させることにより、表層21cが形成される。
【0060】
コーティング液を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、ディップコート法、ロールコート法およびスプレーコート法等が挙げられる。また、コーティング液の硬化または固化には、必要に応じて、加熱または紫外線照射等の処理が行われる。
【0061】
コーティング液に用いる溶剤としては、特に限定されないが、例えば、水等の水系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン(MEK)またはメチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、ブタノールまたは2-プロパノール(IPA)等のアルコール系溶剤、アセトン、トルエン、キシレン、ヘキサンまたはヘプタン等の炭化水素系溶剤、クロロホルム等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合等の態様で組み合わせて用いてもよい。
【0062】
以上のように、表層21cは、表面粗さ付与材21c2を含むコーティング剤を硬化または固化させることにより形成される。ここで、表層21cの面積と、コーティング剤における表面粗さ付与材21c2の含有率と、表層21cの形成に使用したコーティング剤の質量と、表面粗さ付与材21c2の1粒子あたりの平均質量と、に基づいて、表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数を算出することができる。したがって、顕微鏡等の機器を用いなくても、得られた表層21cの単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材21c2の粒子数がわかる。このため、表層21cの厚さおよび表面粗さ付与材21c2の平均粒径が既知であれば、前述の検査方法により帯電ロール21の特性の良否を判定することができる。
【0063】
なお、表面粗さ付与材21c2の1粒子あたりの平均質量は、例えば、表面粗さ付与材21c2を構成する材料の密度と、表面粗さ付与材21c2の1粒子あたりの体積と、に基づいて、算出される。また、表面粗さ付与材21c2の1粒子あたりの体積は、例えば、表面粗さ付与材21c2の平均粒径に基づいて算出される。
【0064】
3.変形例
以上に例示した各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0065】
3-1.変形例1
前述の実施形態では、本発明の導電性ロールを帯電ロールに適用した場合が例示されるが、この例示に限定されない。本発明の導電性ロールは、電子写真方式の複写機またはプリンター等の画像形成装置の帯電ロールのほか、例えば、現像ロール、転写ロール、除電ロール、トナー供給ロール等にも適用可能である。
【0066】
3-2.変形例2
前述の実施形態では、帯電ロールが感光体の外周面に接触する構成が例示されるが、この例示に限定されず、導電性ロールが感光体の外周面に近接する構成でもよい。例えば、導電性ロールが現像ロールである場合、現像方式は、接触方式でもよいし、非接触方式でもよい。
【0067】
3-3.変形例3
前述の実施形態では、本発明の画像形成装置がモノクロ機である場合が例示されるが、この例示に限定されない。例えば、本発明の画像形成装置は、モノクロ機のほか、カラー機にも適用可能である。当該カラー機は、ロータリー現像方式でもよいし、タンデム現像方式でもよい。また、画像形成装置が中間転写体を有する場合、導電性ロールは、一次転写ロールに適用してもよいし、二次転写ロールに適用してもよい。さらに、画像形成装置が用いるトナーは、湿式および乾式のいずれでもよいし、磁性または非磁性の1成分現像剤でもよいし、2成分現像剤でもよい。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の具体的に実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0069】
A.導電性ロールの製造
A-1.実施例1
<弾性層の形成>
まず、ゴム組成物をロールミキサーで混練りした。当該ゴム組成物の組成は、以下の通りである。
【0070】
ゴム材料としてのエピクロルヒドリンゴム(エピクロマーCG-102;株式会社大阪ソーダ製):100質量部
導電性付与剤としてのトリフルオロ酢酸ナトリウム:0.5質量部
架橋助剤としての亜鉛華:3質量部
架橋助剤としてのステアリン酸:2質量部
架橋剤:1.5質量部
【0071】
混練りしたゴム組成物をシート状の生地にして、ステンレス鋼製の直径8mmの芯材の表面に巻いて、プレス成形し、架橋したエピクロルヒドリンゴムからなる層を得た。その後、当該層の表面を研磨機で研磨することにより、厚さ2.0mmの弾性層を得た。この研磨では、弾性層の厚さが所定厚さとなった後に、研磨機の砥石回転数を1000rpm、2000rpm、3000rpmの順に高めて乾式研磨で研磨することにより、弾性層の表面粗さを極力小さくした。
【0072】
得られた弾性層の硬度をデュロメータ(「JIS K 6253」または「ISO 7619」に準拠した「タイプA」)を用いて測定したところ、その測定値は、50°~64°であった。
【0073】
<表層の形成>
まず、表層を形成するためのコーティング液を調製した。コーティング液の構成成分は、以下の通りである。
【0074】
希釈溶媒としての酢酸エチル
樹脂材料としてのウレタン樹脂(ポリオール(旭化成ケミカルズ株式会社製「T5650E」)、イソシアヌネート(旭化成ケミカルズ株式会社製「TPA-100」))
導電材としてのカーボン分散液(御国色素株式会社社製「MHI-BK」(カーボン含有率20~30質量%))
添加剤としてのアクリルシリコーンポリマー(日本油脂株式会社製「モディパーFS700」)
平均粒径32μmおよび密度1160kg/m3の表面粗さ付与剤としてのウレタンビーズ(根上工業株式会社製「C-200」)
【0075】
以上の構成成分を適宜の配合率で調整したコーティング液をボールミルで3時間分散混合した。
【0076】
以上のコーティング液を用いて前述の弾性層の外周面に表層を形成することにより、導電性ロールを得た。具体的には、撹拌後のコーティング液を弾性層の外周面にスプレーコートにより塗布し、その後、電気炉にて120℃で60分間乾燥することにより、平均厚さ2.4μmの表層を形成した。
【0077】
ここで、導電性ロール1本あたりのコーティング液の使用量は、2.1gであった。したがって、当該使用量と、前述のコーティング液中における表面粗さ付与材の配合率とに基づいて、1本の導電性ロールの表層に含まれる表面粗さ付与材の粒子数を算出すると、その算出値は、7.7×107個/本であった。
【0078】
また、弾性層の外径が12mmであり、コーティング液を弾性層の軸方向での長さ340mmの領域にわたり塗布した。したがって、コーティング液の塗布面積、すなわち、表層の面積は、12×π×340[mm2]であることから、表層の単位面積あたりに含まれる表面粗さ付与材の粒子数を算出すると、その算出値は、6.0×103[個/mm2]であった。
【0079】
なお、表層の平均厚さの測定は、弾性層および表層を厚さ方向に切断した断面をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製の「VK-X200」)により観察し、導電性ロールの表面から表層と弾性層との境界までの距離を周方向での位置の異なる20箇所で計測し、その平均値を算出することにより行った。
【0080】
A-2.実施例2~20および比較例1、2
表面粗さ付与材の平均粒径、表層に含まれる表面粗さ付与材の粒子数、および表層の平均厚さが表1に示す値となるようにコーティング剤の配合を変更した以外は、前述の実施例1と同様にして、実施例2~20および比較例1、2の導電性ロールを製造した。なお、コーティング剤の配合は、導電性ロール1本あたりのコーティング液の使用量が2.1gとなるように調整した。
【0081】
【0082】
表1には、各実施例および各比較例について、表面粗さ付与材の平均粒径、表層に含まれる表面粗さ付与材の粒子数、および表層の平均厚さのほか、後述する評価の結果が併せて記載される。
【0083】
また、実施例4~8では、平均粒径22μmの表面粗さ付与材として、ウレタンビーズ(根上工業株式会社製「C-300」)を用いた。実施例9~13では、平均粒径15μmの表面粗さ付与材として、ウレタンビーズ(根上工業株式会社製「C-400」)を用いた。実施例14~18では、平均粒径10μmの表面粗さ付与材として、ウレタンビーズ(根上工業株式会社製「C-600」)を用いた。実施例19、20および比較例1、2では、平均粒径6μmの表面粗さ付与材として、ウレタンビーズ(根上工業株式会社製「C-800」)を用いた。
【0084】
B.導電性ロールの評価
各実施例および各比較例に係る導電性ロールを帯電ロールとして複写機(株式会社リコー製「MP C5503」)に用いた場合の印刷画像について、以下の画像ムラの評価を行った。当該複写機は、帯電電圧として、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を用いるカラー複合機(MFP)である。
【0085】
ただし、以下の評価では、通常(1.56mA)よりも低い交流電流(1.45mA)に設定した帯電電流を用いた。なお、印刷は、温度23℃および湿度55%の環境のもと、印刷速度30枚/分で行った。
【0086】
B-1.局所放電に起因する画像ムラの有無
ハーフトーン画像を印刷し、局所放電に起因する画像ムラとして印刷画像に発生する白点、黒点、白スジおよび黒スジの有無を目視で観察することにより、以下の基準で評価した。その評価結果のまとめが前述の表1に示される。
【0087】
<基準>
P:局所放電に起因する画像ムラがなかった。
F:局所放電に起因する画像ムラがあった。
【0088】
B-2.地汚れによる画像ムラの有無
白ベタ画像を印刷し、目視により、以下の基準に従い、地汚れによる画像ムラの有無を評価した。その評価結果のまとめが前述の表1に示される。
【0089】
<基準>
P:地汚れなし
F:地汚れあり
【0090】
なお、「地汚れ」とは、「かぶり」とも呼ばれており、印刷されるべきでない箇所に印刷されることである。このため、白ベタ画像による印刷画像において地汚れが生じると、印刷画像の明度が低下する。
【0091】
B-3.総合評価
前述のB-1.およびB-2.の両方の評価がPである場合、Pとし、それ以外の場合、Fとし、総合評価した。その評価結果のまとめが前述の表1に示される。
【0092】
以上の評価結果から、表1に示すように、各実施例では、画像ムラを低減することができた。これに対し、各比較例では、画像ムラが生じた。
【符号の説明】
【0093】
10…感光体、20…帯電装置、21…帯電ロール、21a…芯材、21b…弾性層、21c…表層、21c1…導電部、21c2…表面粗さ付与材、30…露光装置、40…現像装置、41…収容部、42…現像ロール、43…トナー供給ロール、44…規制ブレード、50…転写装置、51…転写ロール、60…クリーニング装置、61…クリーニングブレード、62…回収部、100…画像形成装置、AX…軸線、G…放電ギャップ、L…放電間距離、M…記録媒体、N…ニップ、R1…領域、Sm…凹凸平均間隔、T…トナー。