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特許7499377共結晶、その医薬組成物、およびそれを伴う治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】共結晶、その医薬組成物、およびそれを伴う治療方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20240606BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20240606BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240606BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240606BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240606BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
A61K31/53
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K45/00
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070786
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2020524501の分割
【原出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2023093666
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】62/580,501
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521281955
【氏名又は名称】レ ラボラトワール セルヴィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エス. レーン
(72)【発明者】
【氏名】チョン-フイ グ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物と、
【化47】
マレイン酸と、を含む、共結晶であって、前記共結晶が、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、共結晶。
【請求項2】
前記共結晶が、91.2℃および128.4℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、請求項1に記載の共結晶。
【請求項3】
前記式(I)の化合物およびマレイン酸が1:1のモル比で存在する、請求項1または2に記載の共結晶。
【請求項4】
治療有効量の請求項1~3のいずれか一項に記載の共結晶、および1つ以上の医薬賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項5】
IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを必要としている患者において、それを行うための、請求項1~3のいずれか一項に記載の共結晶を含む組成物、または請求項4に記載の医薬組成物であって、前記組成物または医薬組成物が、治療有効量の前記式(I)の化合物を含む、組成物または医薬組成物。
【請求項6】
前記癌が、IDH1変異の存在によって特徴付けられる、請求項5に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項7】
前記IDH1変異が、R132X変異である、請求項6に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項8】
前記IDH1変異が、R132HまたはR132C変異である、請求項6に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項9】
前記癌が、IDH2変異の存在によって特徴付けられる、請求項5に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項10】
前記IDH2変異が、R140X変異である、請求項9に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項11】
前記IDH2変異が、R140Q、R140W、またはR140L変異である、請求項9に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項12】
前記IDH2変異がR172X変異である、請求項9に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項13】
前記IDH2変異が、R172KまたはR172G変異である、請求項9に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項14】
前記癌が、神経膠腫、急性骨髄性白血病、肉腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、胆管癌、軟骨肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、結腸癌、および血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)から選択される、請求項5~13のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項15】
前記癌が、神経膠腫である、請求項14に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項16】
前記神経膠腫が、低悪性度神経膠腫または二次性の高悪性度神経膠腫である、請求項15に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項17】
前記神経膠腫が、低悪性度神経膠腫である、請求項15に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項18】
前記神経膠腫が、二次性の高悪性度神経膠腫であり、前記二次性の高悪性度神経膠腫が、膠芽腫である、請求項15に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項19】
前記癌が、難治性または再発性である、請求項5~18のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項20】
前記癌が、新たに診断されたか、または以前に治療されていない、請求項5~18のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項21】
前記組成物または医薬組成物が、追加的療法と組み合わせて前記患者に投与される、請求項5~20のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項22】
前記患者が、前記癌のための癌治療を以前に投与されている、請求項5~21のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物または医薬組成物が、前記組成物または医薬組成物の一部としての式(I)の前記化合物が約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの1日当たりの用量で、前記患者に投与される、請求項5~22のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。
【請求項24】
前記組成物または医薬組成物が、前記組成物または医薬組成物の一部としての式(I)の前記化合物が約10mgまたは約50mgの用量で、1日2回前記患者に投与される、請求項5~22のいずれか一項に記載の組成物または医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)は、イソクエン酸塩から2-オキソグルタル酸(すなわち、α-ケトグルタル酸)の酸化的脱炭酸を触媒する。これらの酵素は、2つの別個のサブクラスに属し、そのうちの1つは電子受容体としてNAD(+)を、もう1つはNADP(+)を利用する。5つのイソクエン酸デヒドロゲナーゼが報告されており、すなわち、ミトコンドリアマトリックスに局在する3つのNAD(+)依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、ならびに1つがミトコンドリア、およびもう1つが主として細胞質である2つのNADP(+)依存性デヒドロゲナーゼである。各NADP(+)依存性アイソザイムは、ホモ二量体である。
【0002】
IDH1(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(NADP+)、細胞質型)は、IDH、IDP、IDCD、IDPCまたはPICDとしても既知である。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞質およびペルオキシソームの中に認められるNADP(+)依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼである。該タンパク質は、PTS-1ペルオキシソーム標的化シグナル配列を含有する。ペルオキシソーム内のこの酵素の存在は、2,4-ジエノイル-CoAから3-エノイル-CoAへの変換などのペルオキシソーム内還元のためのNADPHの再生における役割、ならびに2-オキソグルタル酸を消費するペルオキシソーム反応、すなわちフィタン酸のアルファ-ヒドロキシル化における役割を示唆している。細胞質酵素は、細胞質NADPH産生において有意な役割を果たす。
【0003】
ヒトIDH1遺伝子は、414個のアミノ酸からなるタンパク質をコードする。ヒトIDH1についてのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列はそれぞれ、GenBank受入NM_005896.2およびNP_005887.2として認めることができる。IDH1についてのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、例えば、Nekrutenko
et al.,Mol.Biol.Evol.15:1674-1684(1998)、Geisbrecht et al.,J.Biol.Chem.274:30527-30533(1999)、Wiemann et al.,Genome Res.11:422-435(2001)、The MGC Project Team,Genome Res.14:2121-2127(2004)、Lubec et al.,UniProtKBへ提出済み(2008年12月)、Kullmann et al.,EMBL/GenBank/DDBJデータベースへ提出済み(1996年6月)、およびSjoeblom et al.,Science 314:268-274(2006)においても記載されている。
【0004】
非変異体、例えば、野生型であるIDH1は、イソクエン酸塩からα-ケトグルタル酸への酸化的脱炭酸を触媒する。
【0005】
ある特定の癌細胞内に存在するIDH1の変異が結果として、酵素の新たな能力をもたらし、α-ケトグルタル酸からR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)へのNADPH依存的還元を触媒することが発見された。2HGの産生は、癌の形成および進行に寄与すると考えられている(Dang,L et al.,Nature 2009,462:739-44)。
【0006】
IDH2(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(NADP+)、ミトコンドリア型)は、IDH、IDP、IDHM、IDPM、ICD-M、またはmNADP-IDHとしても既知である。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、ミトコンドリア内に認められるNADP(+)依存性イソクエン酸デヒドロゲナーゼである。該タンパク質は、中間
代謝およびエネルギー産生において役割を担っている。このタンパク質は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体と密接に関係または相互作用することができる。ヒトIDH2遺伝子は、452個のアミノ酸からなるタンパク質をコードする。IDH2についてのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列はそれぞれ、GenBank受入NM_002168.2およびNP_002159.2として認められることができる。ヒトIDH2のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、例えば、Huh et al.,EMBL/GenBank/DDBJデータベースへ提出済み(1992年11月)、およびThe MGC Project Team,Genome Res.14:2121-2127(2004)においても記載されている。
【0007】
非変異体、例えば、野生型であるIDH2は、イソクエン酸塩からα-ケトグルタル酸(α-KG)への酸化的脱炭酸を触媒する。
ある特定の癌細胞内に存在するIDH2の変異が結果として酵素の新たな能力をもたらし、α-ケトグルタル酸からR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸(2HG)へのNADPH依存的還元を触媒することが発見された。2HGは、野生型IDH2によって形成されない。2HGの産生は、癌の形成および進行に寄与すると考えられる(Dang,L et al,Nature 2009,462:739-44)。
米国公開第2015/0018328 A1号は、化学名6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンによって記載される化合物を開示しており、該化合物は、生化学的アッセイおよび細胞アッセイにおいて、変異体IDH1およびIDH2タンパク質の阻害剤として作用することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2015/0018328号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Nekrutenko et al.,Mol.Biol.Evol.15:1674-1684(1998)
【文献】Geisbrecht et al.,J.Biol.Chem.274:30527-30533(1999)
【文献】Wiemann et al.,Genome Res.11:422-435(2001)
【文献】The MGC Project Team,Genome Res.14:2121-2127(2004)
【文献】Sjoeblom et al.,Science 314:268-274(2006)
【文献】Dang,L et al.,Nature 2009,462:739-44
【発明の概要】
【0010】
本開示は、式(I)の化合物の固体形態(例えば、共結晶およびその他の結晶形態)に関する。
【化1】
【0011】
一態様では、本開示は、式(I)の化合物とクエン酸とを含む共結晶に関する。
【0012】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物とマレイン酸とを含む共結晶に関する。
【0013】
他の態様では、本開示は、式(I)の遊離化合物の結晶形態に関する。
【0014】
他の態様では、本開示は、式(I)の化合物の固体形態を含む原薬に関する。
【0015】
他の態様では、本開示は、式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法に関する。
【0016】
別の態様では、本出願は、式(I)の化合物の固体形態と、1つ以上の医薬賦形剤と、を含む医薬組成物に関する。
【0017】
別の態様では、本出願は、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを、それを必要としている患者において行う方法に関し、治療有効量の(I)の化合物の固形形態またはその医薬組成物を患者に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、25℃~85℃の温度範囲にわたって測定されるCDOD中の化合物1の一次元H NMRスペクトルを示す。
図2図2は、25℃~85℃の温度範囲にわたって測定されるCDOD中の化合物1の一次元H NMRスペクトルの部分を示す。
図3図3は、DMSO-d6中の化合物1の一次元H NMRスペクトルを示す。
図4図4は、DMSO-d6中の化合物1の一次元13H NMRスペクトルを示す。
図5図5は、DMSO-d6中の化合物1の一次元NOE強化13N NMRスペクトルを示す。
図6図6は、実施例11に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図7図7は、実施例11に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのH核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図8図8は、実施例11に記載されるように調製された、式(I)化合物のクエン酸共結晶タイプAの示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
図9図9は、実施例11に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAの動的水蒸気吸着(DVS)等温線プロットを示す。
図10図10は、実施例12に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAの単結晶のオークリッジ熱楕円体プロット(ORTEP)を示す。
図11図11は、実施例12に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAの単結晶の単位セル図を示す。
図12図12は、実施例13に記載されるように調製された、式(I)の化合物のマレイン酸共結晶タイプAのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
図13図13は、実施例13に記載されるように調製された、式(I)の化合物のマレイン酸共結晶タイプAのH核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図14図14は、実施例13に記載されるように調製された、式(I)化合物のマレイン酸共結晶タイプAの示差走査熱量測定(DSC)および熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。
図15図15は、実施例13に記載されるように調製された、式(I)の化合物のマレイン酸共結晶タイプAの動的水蒸気吸収(DVS)等温線プロットを示す。
図16図16は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのH NMRスペクトルを示す。
図17図17は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAの13C NMRスペクトルを示す。
図18図18は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す。
図19図19は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAの紫外線(UV)/可視スペクトルを示す。
図20図20は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのXRPDパターンを示す。
図21図21は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのDSCサーモグラムを示す。
図22図22は、実施例14に記載されるように調製された、式(I)の化合物のクエン酸共結晶タイプAのTGAサーモグラムを示す。
図23図23は、実施例17に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプAのXRPDパターンを示す。
図24図24は、実施例17に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプAのDSCサーモグラムを示す。
図25図25は、実施例17に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプAのTGAサーモグラムを示す。
図26図26は、実施例18に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプAの端結晶のオークリッジ熱楕円体プロット(ORTEP)を示す。
図27図27は、実施例18に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプAの単結晶の単位セル図を示す。
図28図28は、実施例19に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプBのXRPDパターンを示す。
図29図29は、実施例19に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプBのDSCおよびTGAサーモグラムを示す。
図30図30は、実施例20に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプBの単結晶のオークリッジ熱楕円体プロット(ORTEP)を示す。
図31図31は、実施例20に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプBの単結晶の単位セル図を示す。
図32図32は、実施例21に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプCのXRPDパターンを示す。
図33図33は、実施例21に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプCのDSCおよびTGAサーモグラムを示す。
図34図34は、実施例22に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプCの単結晶のオークリッジ熱楕円体プロット(ORTEP)を示す。
図35図35は、実施例22に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプCの単結晶の単位セル図を示す。
図36図36は、実施例23に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプDのXRPDパターンを示す。
図37図37は、実施例23に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプDのDSCおよびTGAサーモグラムを示す。
図38図38は、実施例23に記載されるように調製された、式(I)の化合物の遊離形態タイプDのH NMRスペクトルを示す。
図39図39は、実施例25に記載される薬物動態研究で測定された化合物1の平均血漿濃度時間プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、本明細書に定義される式(I)の化合物の固体形態、それを含む原薬、それを含む医薬組成物、それを調製する方法、およびそれを伴う治療方法に関する。
【0020】
本明細書で使用される場合、式(I)の化合物は、特定された化学構造を有する化合物、ならびにその任意の互変異性体または回転異性体を含む。
【0021】
本明細書および特許請求の範囲において、式(I)の化合物の各原子は、指定された元素の任意の安定した同位体を表すことを意味する。実施例において、特定の同位体において化合物1の任意の原子を濃縮する取り組みが行われなかったため、各原子は、指定の元素のおよその天然存在度の同位体組成で存在した可能性が高い。
【0022】
本明細書で使用される場合、「安定した」という用語は、同位体を指すとき、同位体が自然発生的な放射性崩壊を受けることが知られていないことを意味する。安定した同位元素には、V.S.Shirley&C.M.Lederer,Isotopes Project,Nuclear Science Division,Lawrence Berkeley Laboratory,核種の表(1980年1月)において崩壊様式が特定されていない同位体が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、指定の元素のおよその天然存在度の同位体組成で各構成原子を含む。
【0024】
固形形態
一態様では、本開示は、式(I)の化合物と、
【化2】
クエン酸と、を含む共結晶(以下、「クエン酸共結晶」)に関する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「共結晶」という用語は、個々に種と比較したとき、明確な結晶学的特性および分光学的特性を有する定義された化学量論比における2つ以上の中性化学種からなる結晶固体を指す。「共結晶」は、電荷平衡化された荷電種からなる「塩」とは異なる。共結晶を構成する種は典型的には、水素結合ならびに他の非共有結合性相互作用および非イオン性相互作用によって連結されている。したがって、薬剤の薬学的共
結晶は典型的には、薬剤と1つ以上のコフォーマーとを含む。共結晶を形成する薬剤とコフォーマー(複数可)の組み合わせは一般的には、最初から予測することはできず、共結晶形成は典型的には、予測不能な方法で薬剤の物理化学的特性に影響を及ぼす。
【0026】
本明細書で使用される場合、「結晶質」という用語は、構成粒子(例えば、分子)が規則正しく、かつ反復する格子で空間的に配置される固体材料を意味する。
【0027】
別の態様では、クエン酸共結晶は、クエン酸共結晶タイプAである。
【0028】
いくつかの実施形態では、クエン酸共結晶タイプAは、以下の表7および11に記載のピーク位置から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における1つ以上のピーク位置を含む、反射モード(時に反射率モードと呼ばれる)で取得された、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.7および8.4の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0の、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表7に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表11に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図6に示されるX線粉末回折パターンと類似している。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図20に示されるX線粉末回折パターンと類似している。
【0029】
本明細書で使用される場合、X線粉末回折パターンが、ピーク位置の特定の群から選択される、「度2シータ(±0.2度2シータ)における」特定の数のピーク位置を有するものとして説明されている場合、誤差の範囲(±0.2度2シータ)は、群内の各ピーク位置に適用されると理解されるものとする。
【0030】
本明細書で使用される場合、「類似の」という用語は、2つ以上のX線粉末回折パターンを参照するとき、パターンが、同じ結晶形態を表すと当業者によって理解されること、およびパターンが、使用される計器、時刻、湿度、季節、圧力、温度などの実験変動から生じることが当業者によって予測されるタイプの変動を除いて、同じであることを意味する。
【0031】
いくつかの実施形態では、クエン酸共結晶タイプAは、170.6℃(±5.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。他の実施形態では、クエン酸共結晶タイプAは、170.6℃(±2.0℃)の開始
温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、クエン酸共結晶タイプAは、水をさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、クエン酸共結晶タイプAは、式(I)の化合物、クエン酸、および水を2:1:1のモル比で含む。当業者であれば、所与の共結晶の試料中の(I)の化合物、クエン酸、および水の測定されたモル比が、利用可能な分析方法に関連する実験誤差、不純物の存在(例えば、結晶格子に組み込まれていない水またはクエン酸)などにより、2:1:1とはわずかに異なる場合があることを理解するであろう。式(I)の化合物、クエン酸、および水の測定された比が2:1:1とはわずかに異なっているとしても、2:1:1のモル比を有する共結晶が、この実施形態の範囲内であることが理解されるであろう。
【0034】
いくつかの実施形態では、クエン酸共結晶タイプAは、1セル当たり、式(I)の化合物の4つの分子、2つのクエン酸分子、および2つの水分子を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「単位セル」という用語は、結晶固体の反復パターンを構成する結晶固体中の粒子(例えば、分子)の最小群を指す。共晶結晶では、「単位セル」という用語は、共結晶の反復パターンを構成する2つ以上の中性化学種の最小群を指す。
【0036】
実施例においてより詳細に考察されるように、クエン酸共結晶タイプAは、高い結晶性、鋭い融解吸熱、および低い吸湿性、および好ましい生物学的利用能を含む、様々な好ましい物理化学的特性を有することが分かった。
【0037】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物と、
【化3】
マレイン酸と、を含む共結晶(以下、「マレイン酸共結晶」)に関する。
【0038】
別の態様では、マレイン酸共結晶は、マレイン酸共結晶タイプAである。
【0039】
いくつかの実施形態では、マレイン酸共結晶タイプAは、以下の表9に記載のピーク位置から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における1つ以上のピーク位置を含む、反射モード(時に反射率モードと呼ばれる)で取得された、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±
0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.1、17.8、および18.5の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに5.9、15.0、15.2、16.9、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2の、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表9に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図12に示されるX線粉末回折パターンと類似している。
【0040】
いくつかの実施形態では、マレイン酸共結晶タイプAは、91.2℃および128.4℃(±5.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。他の実施形態では、マレイン酸共結晶タイプAは、91.2℃および128.4℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。
【0041】
いくつかの実施形態では、マレイン酸共結晶タイプAは、式(I)の化合物およびマレイン酸を1:1のモル比で含む。当業者であれば、所与の共結晶の試料中の(I)の化合物およびマレイン酸の測定されたモル比が、利用可能な分析方法に関連する実験誤差、不純物の存在(例えば、結晶格子に組み込まれていないマレイン酸)などにより、1:1とはわずかに異なる場合があることを理解するであろう。式(I)の化合物:マレイン酸の測定された比が1:1とはわずかに異なっているとしても、1:1のモル比を有する共結晶が、この実施形態の範囲内であることが理解されるであろう。
【0042】
他の態様では、本開示は、時に遊離形態タイプAと呼ばれる式(I)の化合物の結晶形態に関し、
【化4】
結晶形態は、以下の表15に記載のピーク位置から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における1つ以上のピーク位置を含む、反射モード(時に反射率モードと呼ばれる)で取得された、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0
.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、17.8、および21.8の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに12.8、14.2、19.8、20.7、22.2、および25.0からなる群から選択される少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0の、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表15に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図23に示されるX線粉末回折パターンと類似している。
【0043】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.9℃(±5.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.9℃(±2.0℃)の開始温度を含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。
【0044】
他の態様では、本開示は、時に遊離形態タイプBと呼ばれる式(I)の化合物の結晶形態に関し、
【化5】
結晶形態は、以下の表19に記載のピーク位置から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における1つ以上のピーク位置を含む、反射モード(時に反射率モードと呼ばれる)で取得された、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.9、17.8、および23.9の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに13.2、15.5、18.6、20.8、23.2
、および26.5からなる群から選択される少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5の、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表19に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図28に示されるX線粉末回折パターンと類似している。
【0045】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.5℃(±5.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.5℃(±2.0℃)の開始温度を含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、無水である。
【0047】
他の態様では、本開示は、時に遊離形態タイプCと呼ばれる式(I)の化合物の結晶形態に関し、
【化6】
結晶形態は、以下の表21に記載のピーク位置から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における1つ以上のピーク位置を含む、反射モード(時に反射率モードと呼ばれる)で取得された、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6および21.1の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9の、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表21に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図32に示されるX線粉末回折パターンと類似している。
【0048】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.3℃(±5.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.3℃(±2.0℃)の開始温度を含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、三水和物である。
【0050】
他の態様では、本開示は、時に遊離形態タイプDと呼ばれる式(I)の化合物の結晶形態に関し、
【化7】
結晶形態は、以下の表23に記載のピーク位置から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における1つ以上のピーク位置を含む、反射モード(時に反射率モードと呼ばれる)で取得された、X線粉末回折パターンによって特徴付けられる。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む。いくつかの実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、15.9、16.7、および21.2の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに8.6、9.7、10.5、15.6、17.9、20.3、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される少なくとも3つのピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0の、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、表23に記載される、度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置を含む。他の実施形態では、X線粉末回折パターンは、図36に示されるX線粉末回折パターンと類似している。
【0051】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.3℃(±5.0℃)の開始温度を有す
る吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、結晶形態は、221.3℃(±2.0℃)の開始温度を含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、結晶形態は、ジオキサン溶媒和物である。
【0053】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物と、
【化8】
ポリマーと、を含む非晶質固体分散体に関する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「分散体」という用語は、1つの物質(分散相)が第2の物質(連続相またはビヒクル)全体を通して別個の単位で分配される分散系を指す。一般に、分散相は、固体、液体、またはガスであり得る。固体分散体の場合、分散相および連続相は両方、固体である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「非晶質固体分散体」という用語は一般に、2つ以上の構成成分、通常、治療的活性化合物およびポリマー(または複数のポリマー)であるが、場合により界面活性剤または他の医薬品添加剤などの他の構成成分を含有し、治療的活性化合物が非晶質相にある、固体分散体を指す。いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、分散相を構成するポリマー(複数可)(および任意に界面活性剤)を含み、治療的活性化合物は、連続相を構成する。いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、連続相を構成するポリマー(複数可)(および任意に界面活性剤)を含み、治療的活性化合物は、分散相を構成する。
【0056】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、およびポリビニルピロリドン(PVP)、またはそれらの混合物からなる群から選択される。他の実施形態では、ポリマーは、HPMCASである。
【0057】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、約10%w/w~90%w/w(例えば、約20%w/w~約80%w/w、約30%w/w~約70%w/w、約40%w/w~約60%w/w、または約15%w/w~約35%w/w)の量で非晶質固体分散体中に存在する。いくつかの実施形態では、ポリマーは(または1つ以上のポリマーは)、約10%w/w~約80%w/w、例えば、約30%w/w~約75%w/w、または約40%w/w~約65%w/w、または約45%w/w~約55%w/w、例えば、約46%w/w、約47%w/w、約48%w/w、約49%w/w、約50%w/w、約51%w/w、約52%w/w、約53%w/w、または約54%w/wの量で非晶質固体分散体中に存在する。いくつかの実施形態では、ポリマーは(または1つ以上のポリマーは)、約48%w/w、約48.5%w/w、約49%w/w、約49.5%w/w、約50%w/w、約50.5%w/w、約51%w/w、約51.5%w/w、約52%w/w、ま
たは約52.5%w/wの量で非晶質固体分散体中に存在する。
【0058】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、約10%w/w~90%w/w(例えば、約20%w/w~約80%w/w、約30%w/w~約70%w/w、約40%w/w~約60%w/w、または約15%w/w~約35%w/w)の量で非晶質固体分散体中に存在する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、約10%w/w~約80%w/w、例えば、約30%w/w~約75%w/w、または約40%w/w~約65%w/w、または約45%w/w~約55%w/w、例えば、約46%w/w、約47%w/w、約48%w/w、約49%w/w、約50%w/w、約51%w/w、約52%w/w、約53%w/w、または約54%w/wの量で非晶質固体分散体中に存在する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、約48%w/w、約48.5%w/w、約49%w/w、約49.5%w/w、約50%w/w、約50.5%w/w、約51%w/w、約51.5%w/w、約52%w/w、または約52.5%w/wの量で非晶質固体分散体中に存在する。
【0059】
いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ビタミンEまたはその誘導体(例えば、ビタミンE TPGS)、ドクサートナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(Tween 20およびTween 80など)、ポロキサマー(Poloxamer 335およびPoloxamer 407など)、モノオレイン酸グリセリル、Span 65、Span 25、Capryol 90、プルロニック(登録商標)コポリマー(例えば、Pluronic F108、Pluronic P-123)、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、SLSである。
【0060】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0.1%w/w~約10%w/w、例えば、約0.5%w/w~約2%w/w、または約1%w/w~約3%w/w、または約1%w/w~約4%w/w、または約1%w/w~約5%w/wの量で非晶質固体分散体中に存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、または約1%w/wの量で固体分散体中に存在する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、約0.5%w/w、約1%w/w、約1.5%w/w、約2%w/w、約2.5%w/w、約3%w/w、約3.5%w/w、約4%w/w、約4.5%w/w、または約5%w/wの量で固体分散体中に存在する。
【0061】
いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、式(I)の化合物とHPMCASとを含む。いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、式(I)の化合物およびHPMCASから本質的になる。いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、式(I)の化合物およびHPMCASからなる。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびHPMCASは、約3:1~約1:3、または約2:1~約1:2、または約1.5:1~約1:1.5の重量比で存在する。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびHPMCASは、約1:1の重量比で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、非晶質固体分散体は、少なくとも約80℃のガラス転移温度(T)を有する。他の実施形態では、非晶質固体分散体は、約80℃~約130℃、約80℃~約120℃、約80℃~約100℃、または約80℃~約90℃のTを有する。
【0063】
原薬
本開示はまた、本明細書に記載の式(I)の化合物の固体形態を含む原薬に関する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「原薬」という用語は、医薬品有効成分を指す。この用語には、1つ以上の医薬賦形剤と共に医薬組成物に組み込まれる医薬品有効成分が含まれるが、これに限定されない。
【0065】
いくつかの実施形態では、本開示は、特定の濃度を超えないある特定の不純物、すなわち、(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2)、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物3)、(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オール(化合物4)、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物5)、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物6)、6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オール(化合物7)、6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物8)、および6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物9)を有する原薬に関する。
【0066】
これらの実施形態の目的のために、化合物2~7の各々の濃度は、実施例14および16に記載されるように、HPLC方法1によって測定される式(I)の化合物および任意の有機不純物(化合物2~9)に起因する総HPLCピーク面積の割合としての、そのような化合物に起因するHPLCピーク面積%を指す。化合物8および9の各々の濃度は、実施例14および16に記載されるように、HPLC方法2によって測定される式(I)の化合物ならびに化合物8および9に起因する総HPLCピーク面積の割合としての、そのような化合物に起因するHPLCピーク面積%を指す。
【0067】
一態様では、本開示は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載されるように、式(I)の化合物のクエン酸共結晶を含む原薬に関する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N4-((S)-1,1,1-トリフルオロプロ
パン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オールを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)ー4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オールを含有する。
【0068】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに記載されるように、式(I)の化合物の遊離形態タイプAを含む原薬に関する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N4-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オールを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)ー4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンを含有する。いくつかの実施形態では、原薬は、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オールを含有する。
【0069】
不純物
本開示はまた、本明細書に記載される固体形態の不純物として存在し得る化合物に関する。そのような化合物は、本明細書に記載される固体形態(例えば、共結晶、原薬、結晶形態、および非晶質固体分散体)の純度を決定するための基準として有用である。
【0070】
一態様では、本開示は、以下からなる群から選択される化合物に関する。
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミ
ン、
(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オール、
(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン、および
6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オール、からなる群から選択される、化合物。
【0071】
一実施形態では、化合物は、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンである。
【0072】
一実施形態では、化合物は、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンである。
【0073】
一実施形態では、化合物は、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンである。
【0074】
一実施形態では、化合物は、(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オールである。
【0075】
一実施形態では、化合物は、(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンである。
【0076】
一実施形態では、化合物は、6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オールである。
【0077】
互変異性体
本開示はまた、式(I)の化合物として識別される化学構造の互変異性体に関する。そのような互変異性体には、以下が含まれる。
【化9】
4-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-6-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-1,6-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
【化10】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-1,4-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
【化11】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-4,5-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、および
【化12】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N2,N4-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジイミン。
【0078】
本明細書で使用される場合、互変異性体は、特定の化合物、ならびにそれらの任意の二重結合異性体を含む。
【0079】
一実施形態では、本開示は、
【化13】
4-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-6-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-1,6-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物に関する。
【0080】
一実施形態では、本開示は、
【化14】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-1,4-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
【0081】
一実施形態では、本開示は、
【化15】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-4,5-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
【0082】
一実施形態では、本開示は、
【化16】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N2,N4-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジイミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
【0083】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよびそれより下等の動物の組織と、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなく接触させて使用するのに適しており、かつ妥当な有益性/危険比でいる塩を指す。の組織との接触に適した、ヒトおよび下部動物の組織との接触、刺激性、アレルギー反応、およびこれに類するものなしに使用するのに適しており、かつ合理的な有益性/リスク比と釣り合っている塩を指す。化合物の「薬学的に許容可能な塩」には、受け手への投与の際に、化合物を直接的または間接的のいずれかで提供することが可能である任意
の非毒性塩が含まれる。薬学的に許容可能な塩は、参照により本明細書に組み込まれるS.M.Berge,et.al,J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載されている。
式(I)の化合物の固体形態を調製する方法
【0084】
本開示はまた、式(I)の化合物の固体形態を調製する方法に関する。
【0085】
一態様では、本開示は、クエン酸共結晶を調製する方法に関連し、
式(I)の化合物およびクエン酸を溶媒中に溶解して、溶液を得ることと、
共結晶を沈殿させることと、を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、本方法で沈殿する共結晶は、クエン酸共結晶タイプA(本明細書の実施形態のいずれかに記載されるような)である。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるクエン酸共結晶を調製する方法のいずれかによって調製される共結晶に関する。
【0088】
本方法で用いられるクエン酸は、結晶質または非晶質であってもよく、かつ水和または溶媒和の任意の状態であってもよい。いくつかの実施形態では、クエン酸は、無水クエン酸またはクエン酸単水和物である。他の実施形態では、クエン酸は、無水クエン酸である。他の実施形態では、クエン酸は、クエン酸単水和物である。
【0089】
本方法で用いられる溶媒は、式(I)の化合物およびクエン酸を溶解するのに適した任意の液体または液体の混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、メタノール、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、THF(例えば、THF/水(9:1v/v))、またはn-ブタノール(例えば、n-ブタノール/ヘプタン(1/3v/v))などの極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリルまたはアセトンを含む。
【0090】
式(I)の化合物およびクエン酸は、その後の溶液からの共結晶の沈殿を可能にする任意のモル比および任意の濃度で、溶媒中に溶解され得る。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物およびクエン酸は、約1:2~4:1のモル比、または約1:1~3:1のモル比、または約1.5:1~2.5:1のモル比、または約2:1のモル比で溶媒と接触する。いくつかの実施形態では、溶媒と接触する式(I)の化合物の量は、式(I)の化合物の量に基づいて、約0.01M~3M溶液、または約1M~2M溶液、または約1.5M溶液を形成するのに十分である。しかしながら、当業者であれば、式(I)の化合物および/またはクエン酸の一部が溶媒中に溶解しない場合、溶液中のクエン酸および(I)の化合物の実際のモル比、ならびに式(I)の化合物の実際の濃度は、溶媒と接触する式(I)の化合物の化合物およびクエン酸の量から計算されるものとは異なり得ることを理解するであろう。
【0091】
別の態様では、本開示は、マレイン酸共結晶を調製する方法に関し、
式(I)の化合物およびマレイン酸を溶媒中に溶解して、溶液を得ることと、
共結晶を沈殿させることと、を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本方法で沈殿する共結晶は、マレイン酸共結晶タイプA(本明細書の実施形態のいずれかに記載されるような)である。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示されるマレイン酸共結晶を調製する方法のいずれかによって調製される共結晶に関する。
【0094】
本方法で用いられる溶媒は、式(I)の化合物およびマレイン酸を溶解するのに適した任意の液体または液体の混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトニトリルまたはアセトンを含む。
【0095】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法に関し、
式(I)の化合物を酢酸エチル中に溶解して、溶液を得ることと、
結晶形態を沈殿させることと、を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本方法で沈殿する結晶形態は、遊離形態タイプA(本明細書の実施形態のいずれかに記載されるような)である。
【0097】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法のいずれかによって調製される結晶形態に関する。
【0098】
いくつかの実施形態では、結晶形態を沈殿させることは、溶液にヘプタンを添加することを含む。
【0099】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法に関し、
式(I)の化合物をメチルイソブチルケトン中に溶解して、溶液を得ることと、
結晶形態を沈殿させることと、を含む、方法。
【0100】
いくつかの実施形態では、本方法で沈殿する結晶形態は、遊離形態タイプB(本明細書の実施形態のいずれかに記載されるような)である。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法のいずれかによって調製される結晶形態に関する。
【0102】
いくつかの実施形態では、結晶形態を沈殿させることは、溶液にヘプタンを添加することを含む。
【0103】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法に関し、
式(I)の化合物をジオキサン中に溶解して、溶液を得ることと、
結晶形態を沈殿させることと、を含む、方法。
【0104】
いくつかの実施形態では、本方法で沈殿する結晶形態は、遊離形態タイプC(本明細書の実施形態のいずれかに記載されるような)である。
【0105】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に開示される式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法のいずれかによって調製される結晶形態に関する。
【0106】
いくつかの実施形態では、結晶形態を沈殿させることは、溶液に水を添加することを含む。
【0107】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物の非晶質固体分散体を調製する方法に関する。
【0108】
いくつかの実施形態では、方法は、式(I)の化合物、ポリマー、および適切な溶媒または溶媒混合物を含む混合物を噴霧乾燥させることを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、溶媒は、揮発性溶媒(例えば、塩化メチレン、アセトン、メタノール、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、またはそれらの混合物)である。いくつかの実施形態では、溶媒は、アセトンである。
【0110】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥手順で使用される式(I)の化合物は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに従った共結晶形態または結晶形態である。
【0111】
噴霧乾燥は、例えば、固体と溶媒または溶媒混合物とを含有する液体混合物の霧化、および溶媒または溶媒混合物の除去を伴う。霧化は、例えば、二流体もしくは圧力もしくは電子音波ノズルまたは回転ディスクを通して行われ得る。溶媒または溶媒混合物の除去は、トレイ乾燥、流動床乾燥(例えば、室温~約100℃)、真空乾燥、マイクロ波乾燥、回転ドラム乾燥、または二重円錐真空乾燥(例えば、室温~約200℃)など、後続の乾燥ステップを必要とし得る。噴霧乾燥のための技術および方法は、Perry‘s Chemical Engineering Handbook,6th Ed.,R.H.Perry,D.W.Green&J.O.Maloney,eds.,McGraw-Hill Book Co.(1984)、およびMarshall”Atomization and Spray-Drying”50,Chem.Eng.Prog. Monogr.Series 2(1954)で見ることができる。
【0112】
本明細書で使用される場合、「溶解する」という用語は、溶媒中に1つ以上の物質を溶解することを指すとき、物質(複数可)を、物質(複数可)の各々の少なくとも一部を溶解するのに十分な溶媒の量と接触させることを意味する。物質(複数可)と溶媒とを含む混合物は、溶媒中の物質(複数可)の溶解を促進するために撹拌および/または加温され得る。当業者であれば、一部の溶解されていない材料(物質(複数可)の一部および/または一部の他の材料を含む)が、溶液中に懸濁したままであり得、そのような懸濁材料が、固体形態の沈殿前に溶液から(例えば、濾過またはデカンテーションによって)分離され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、固体形態の沈殿前に、水が溶液に添加される。
【0113】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、モル比または濃度(例えば、モル濃度)を指すとき、モル比または濃度が指定された値±10%を有することを意味する。例えば、「約2:1」のモル比は、1.8:1~2.2:1のモル比を含む。同様に、「約1.5M」の濃度は、1.35M~1.65Mの濃度を含む。
【0114】
本明細書で使用される場合、「沈殿させる」という用語は、溶液から固体形態を沈殿させるとき、固体形態を溶液から沈殿させることを意味する。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、沈殿は、固体形態で溶液を飽和することによって引き起こされ得る(例えば、溶液中の固体形態の濃度を増加させることによって、または溶液中の固体形態の溶解度を低減することによって)。
【0115】
いくつかの実施形態では、「沈殿させる」は、溶液を冷却することを含む。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、溶液の冷却は、溶液中の固体形態の溶解度を減少させ、これにより、固体形態がその飽和濃度に達することによって、固体形態の沈殿を引き起こさせ得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、「沈殿させる」は、溶媒の一部分を溶液から蒸発させることを含む。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、溶液からの溶媒の蒸発は、溶液中の固体形態の濃度をその飽和濃度まで増加させることによって、固体形態の沈殿を引き起こさせ得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、「沈殿させる」は、溶液に抗溶媒を添加することを含む。本明細書で使用される場合、「抗溶媒」という用語は、固体形態が溶液を形成するために使用される溶媒よりも溶解性が低い液体を指す。いかなる理論にも束縛されることを意図するものではないが、溶液への抗溶媒の添加は、溶液中の固体形態の溶解度を減少させ、これにより、固体形態がその飽和濃度に達することによって、固体形態の沈殿を引き起こさせ得る。いくつかの実施形態では、抗溶媒は、非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、抗溶媒は、トルエンを含む。いくつかの実施形態では、抗溶媒は、メチルtert-ブチルエーテルを含む。いくつかの実施形態では、抗溶媒は、C~C12アルカンまたはシクロアルカンを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、「沈殿させる」は、溶液に固体形態の結晶を播種して、溶液から沈殿させることを含む。本明細書で使用される場合、「播種」という用語は、特定の結晶性材料を溶液に添加して、その特定の結晶性材料の再結晶化または結晶化を開始することを指す。
【0119】
本明細書で使用される場合、「C~C12アルカンまたはシクロアルカン」という用語は、5~12個の炭素原子を有する、飽和直鎖、分岐鎖、または環状炭化水素を意味する。例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0120】
いくつかの実施形態では、本方法は、固体形態を単離することをさらに含む。本明細書で使用される場合、「単離する」という用語は、沈殿した固体形態を溶液から分離することを意味する。そのような分離は、沈殿した固体形態の濾過および沈殿した固体形態からの溶液のデカンテーションを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の手段によって達成され得る。
【0121】
組成物および投与経路
別の態様では、本開示は、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の医薬賦形剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0122】
別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の医薬賦形剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0123】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、本明細書に記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩の量を指すとき、酵素もしくはタンパク質活性の低減、ある特定の症状の緩和もしくは改善、疾患の治癒、疾患の重症度の軽減、疾患の進行の減速もしくは遅延、または疾患の予防など、患者における生物学的または医学的応答を引き出す量を指す。いくつかの実施形態では、「治療有効量」という用語は、患者に投与されたときに、変異体IDH1および/または変異体IDH2を阻害するのに有効である、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩の量を指す。他の実施形態では、「治療有効量」という用語は、患者に投与されたときに、患者における癌を治療するのに有効である、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩の量を指す。
【0124】
本明細書で使用される場合、「医薬賦形剤」という用語は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩と一緒に対象者に投与され得、(I)の化合物の薬理学的活性を破壊せず、かつ治療量の(I)の化合物を送達するのに十分な用量で投与されるときに非毒性である担体、アジュバント、またはビヒクルを指す。
【0125】
本明細書に記載される医薬組成物で使用され得る薬学的賦形剤には、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネートなどの自己乳化薬物送達系(SEDDS)、Tweenまたは他の類似のポリマー送達マトリックスなどの薬学的剤形で使用される界面活性剤、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、またはプロタミン硫酸塩などの電解質などの緩衝物質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、および羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。α-、β-、およびγ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、または2-および3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンなどの化学的に修飾された誘導体、または他の可溶化誘導体も、式(I)の化合物の送達を強化するために有利に使用され得る。
【0126】
場合によっては、医薬組成物のpHは、薬学的に許容可能な酸、塩基、または緩衝剤で調節され得る。
【0127】
本明細書に記載される医薬組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻腔に、口腔に、膣に、または埋め込み型リザーバを介して、好ましくは経口投与または注射による投与によって投与され得る。医薬組成物は、任意の従来の非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤を含有し得る。
【0128】
本明細書で使用される場合、「非経口」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、髄腔内、病変内、および頭蓋内への注射技術または注入技術を含む。
【0129】
医薬組成物は、滅菌済みの注射可能な調製物の形態で、例えば、滅菌済みの注射可能な水性または油性の懸濁液としてであってもよい。この懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤(例えば、Tween 80など)および懸濁剤を使用して、当該技術分野において既知の技術によって製剤化され得る。滅菌済みの注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液としての滅菌済みの注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。採用され得る許容可能なビヒクルおよび溶媒には、マンニトール、水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌済みの固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来通り採用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油が採用され得る。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にそれらのポリオキシエチル化型で、オリーブ油またはひまし油などの天然の薬学的に許容可能な油のように、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、あるいはカルボキシメチルセルロース、またはエマルションおよび/もしくは懸濁液などの薬学的に許容可能な剤形の製剤化で一般的に使用される類似の分散剤も含有し得る。TweenもしくはSpansなどの他の一般的に使用される界面活性剤、および/または薬学的に許容可能な固体、液体、もしくは他の剤形の製造で一般的に使用される他の類似の乳化剤もしくは生物学的利用能増強剤も、製剤化の目的のために使用され得る。
【0130】
医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、エマルション、ならびに水性の懸濁剤、分散剤、および溶液を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に許容可能な剤形で経口投与され
得る。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される賦形剤としては、ラクトース、トウモロコシデンプン、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、およびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も典型的に添加される。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤はラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンを含む。水性懸濁剤および/またはエマルションが経口投与されるとき、有効成分は、乳化剤および/または懸濁剤と組み合わされた油相において懸濁または溶解され得る。所望の場合、ある特定の甘味剤および/または着香剤および/または着色剤が添加され得る。
【0131】
医薬組成物はまた、直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容される塩を、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって直腸内で融解して有効成分を放出することになる好適な非刺激性の賦形剤と混合することによって調製され得る。そのような材料には、カカオバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが含まれるがこれらに限定されない。
【0132】
医薬組成物は、皮膚に局所的に投与され得る。医薬組成物は、鉱油、液体石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋、および水を含むがこれらに限定されない、局所投与に適した薬学的に許容可能な賦形剤中に懸濁または溶解された活性構成成分を含有する好適な軟膏を用いて製剤化されるべきである。あるいは、医薬組成物は、好適な乳化剤を用いて担体中に懸濁または溶解された活性化合物を含有する、好適なローションまたはクリームを用いて製剤化され得る。好適な担体としては、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一態様の医薬組成物はまた、肛門坐薬製剤によって、または好適な浣腸製剤中で、下部消化管に局所的に適用され得る。経皮パッチも本発明の一態様に含まれる。
【0133】
医薬組成物は、鼻腔用エアゾールまたは吸入によって投与され得る。そのような組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術によって調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、生物学的利用能を強化するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該技術分野において既知の他の可溶化剤もしくは分散剤を採用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
【0134】
単一剤形を製造するために1つ以上の医薬賦形剤と組み合わされ得る有効成分の量は、処置される患者および特定の投与様式に応じて異なることになる。典型的な調製物は、約5%~約95%の活性化合物(w/w)を含有することになる。あるいは、そのような調製物は、約20%~約80%の活性化合物を含有する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む(任意のコフォーマー、塩形成体、水和水、溶媒和の溶媒などの重量は別として、式(I)の遊離化合物の重量に基づいて)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、2~30%w/wの式(I)の化合物を含む(任意のコフォーマー、塩形成体、水和水、溶媒和の溶媒などの重量は別として、式(I)の遊離化合物の重量に基づいて)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む(任意のコフォーマー、塩形成体、水和水、溶媒和の溶媒などの重量は別として、式(I)の遊離化合物の重量に基づいて)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む(任意のコフォーマー、塩形成体、水和水、溶媒和の溶媒などの重量は別として、式(I)の遊離化合物の重量に基づいて)。
【0135】
医薬組成物は、併用療法において有用であるものと以下で特定される追加的治療薬のう
ちのいずれか1つを含むがこれに限定されない、治療有効量の追加的治療薬をさらに含んでもよい。
【0136】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、追加的治療薬の量を指すとき、酵素もしくはタンパク質活性の低減、ある特定の症状の緩和もしくは改善、疾患の治癒、疾患の重症度の軽減、疾患の進行の減速もしくは遅延、または疾患の予防など、患者における生物学的または医学的応答を引き出す薬剤の量を指す。
【0137】
別の態様では、本発明は、医薬組成物を得るために治療有効量の本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の医薬賦形剤を混合するプロセスによって調製される、医薬組成物に関する。
【0138】
本明細書で使用される場合、「混合する」という用語は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩が、1つ以上の医薬賦形剤と接触して医薬組成物を得る(そのようにして得られた医薬組成物が、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩を含むかどうかにかかわらず)、任意のプロセスを含むことを意味する。したがって、「混合する」という用語は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩が、同じ固体形態のままであるプロセス、ならびに固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩が、溶解および/または異なる固体形態に変換されるプロセスを含む。「混合」プロセスの例としては、湿式または乾式ブレンド、湿式または乾式造粒、医薬賦形剤中の固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩の懸濁などが挙げられる。
【0139】
固体形態、原薬、および化合物および塩、ならびにその医薬組成物の使用
別の態様では、本発明は、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを、それを必要としている患者において行う方法に関し、治療有効量の、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0140】
別の態様では、本発明は、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを、それを必要としている患者において行うことにおいて使用するための薬剤の製造のための、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物の使用に関する。
【0141】
別の態様では、本発明は、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを、それを必要としている患者において行うことにおいて使用するための、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物に関する。
【0142】
本明細書で使用される場合、「治療する」および「治療すること」という用語は、癌を指すとき、癌の1つ以上の症状の緩和もしくは改善、進行の変化、根絶、サイズの低減、成長もしくは進行の減速もしくは阻害、関連する1つ以上の症状の遅延もしくは最小限化、悪性度の低減、または静止状態の誘発に対して治療効果を有することを意味する。癌以外の疾患を指すとき、「治療する」および「治療すること」は、その疾患の1つ以上の症状の緩和もしくは改善、進行の変化、根絶、または関連する1つ以上の症状の遅延もしくは最小限化に対して治療効果を有することを意味する。
【0143】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌に罹患しているマウス、ラット、イヌ、およびヒトを含む哺乳動物を指す。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトである。いくつかの実施形態では
、患者は、ヒトの成人(すなわち、少なくとも18歳のヒトである)。いくつかの実施形態では、患者は、ヒトの小児(すなわち、18歳未満のヒト)である。
【0144】
いくつかの実施形態では、癌は、IDH1変異の存在によって特徴付けられる。他の実施形態では、IDH1変異は、R132X変異である。他の実施形態では、IDH1変異は、R132HまたはR132C変異である。他の実施形態では、IDH1変異は、R132H、R132C、R132L、R132V、R132S、またはR132G変異である。他の実施形態では、IDH1変異は、R132H変異である。他の実施形態では、IDH1変異は、R132C変異である。他の実施形態では、IDH1変異は、患者においてR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸をもたらす。他の実施形態では、IDH1変異は、α-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNADPH依存的還元を触媒するIDH1の新しい能力をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、IDH1変異によって特徴付けられる癌を治療することは、変異体IDH1活性を阻害することを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、癌は、診断時または治療時に、腫瘍細胞の少なくとも30、40、50、60、70、80、または90%がIDH1変異、特にIDH1 R132HまたはR132C変異を担持する、腫瘍である。
【0146】
理論に束縛されるものではないが、出願人らは、IDH1変異がα-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNADPH依存的還元を触媒する酵素の新しい能力をもたらすIDH1の変異対立遺伝子、特にIDH1のR132HおよびR132C変異が、体内でのそれらの細胞の性質および位置にかかわらず、全てのタイプの癌のサブセットを特徴付けると考えている。したがって、本発明の化合物および方法は、そのような活性を付与するIDH1の変異対立遺伝子、特にIDH1 R132HおよびR132C変異の存在によって特徴付けられる任意のタイプの癌を治療するのに有用である。
【0147】
表1に示されるように、IDH1 R132X変異は、様々な癌で発生することが知られている。
【表1】
【0148】
したがって、いくつかの実施形態では、癌は、表1に列挙される癌のタイプから選択さ
れる癌であり、IDH1変異は、その特定の癌のタイプについて表1に列挙されるIDH1 R132X変異のうちの1つ以上である。
【0149】
IDH1 R132H変異は、神経膠腫、急性骨髄性白血病、肉腫、黒色腫、非小細胞肺ガン、胆管癌、軟骨肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、結腸癌、および血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)において特定されている。したがって、いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫、急性骨髄性白血病、肉腫、黒色腫、非小細胞肺ガン(NSCLC)、胆管癌、軟骨肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、結腸癌、または血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫であり、神経膠腫は、低悪性度神経膠腫または二次性の高悪性度神経膠腫である。他の実施形態では、癌は、神経膠腫であり、神経膠腫は、低悪性度神経膠腫(悪性度II)、退形成性(悪性度III)、または膠芽腫(GBM、悪性度IV)である。
【0150】
いくつかの実施形態では、癌は、IDH2変異の存在によって特徴付けられる。他の実施形態では、IDH2変異は、R140X変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R140Q、R140W、またはR140L変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R172X変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R172KまたはR172G変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R140X変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R140Q変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R140W変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R140L変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R172X変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R172K変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、R172G変異である。他の実施形態では、IDH2変異は、患者においてR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸をもたらす。他の実施形態では、IDH2変異は、α-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNADPH依存的還元を触媒するIDH2の新しい能力をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、IDH2変異によって特徴付けられる癌を治療することは、変異体IDH2活性を阻害することを含む。
【0151】
理論に束縛されるものではないが、出願人らは、IDH2変異がα-ケトグルタル酸のR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸へのNADPH依存的還元を触媒する酵素の新しい能力をもたらすIDH2の変異対立遺伝子、特にIDH2のR140Qおよび/またはR172K変異が、体内でのそれらの細胞の性質および位置にかかわらず、全てのタイプの癌のサブセットを特徴付けると考えている。したがって、本発明の一態様の化合物および方法は、そのような活性を付与するIDH2の変異対立遺伝子、特にIDH2 R140Qおよび/またはR172K変異の存在によって特徴付けられる任意のタイプの癌を治療するのに有用である。
【0152】
いくつかの実施形態では、癌は、診断時または治療時に、腫瘍細胞の少なくとも30、40、50、60、70、80、または90%がIDH2変異、特にIDH2 R140Q、R140W、もしくはR140L、および/またはR172KもしくはR172G変異を担持する、腫瘍である。
【0153】
癌は、癌を特徴付ける任意の変異(複数可)の存在および特定の性質を決定するために、細胞試料を配列決定することによって分析され得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫、急性骨髄性白血病、肉腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、胆管癌(例えば、肝内胆管癌(IHCC))、軟骨肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、前立腺癌、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、B急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)、B急性リンパ芽球性白血病(B
-ALL)、骨髄性肉腫、多発性骨髄腫、リンパ腫結腸癌、または血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫であり、神経膠腫は、低悪性度神経膠腫または二次性の高悪性度神経膠腫である。他の実施形態では、癌は、神経膠腫であり、神経膠腫は、低悪性度神経膠腫(悪性度II)、退形成性(悪性度III)、または膠芽腫(GBM、悪性度IV)である。
【0155】
いくつかの実施形態では、癌は、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、例えば、B細胞リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、びまん性大型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体B-リンパ芽球性リンパ腫、もしくはマントル細胞リンパ腫)、またはT細胞リンパ腫(例えば、菌状息肉症、未分化大細胞型リンパ腫、または前駆体T-リンパ芽球性リンパ腫))である。
【0156】
いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、急性骨髄性白血病(AML)、肉腫、黒色腫、非小細胞肺ガン、軟骨肉腫、胆管癌、または血管免疫芽球性リンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、軟骨肉腫、または血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)である。いくつかの実施形態では、癌は、神経膠腫であり、神経膠腫は、低悪性度神経膠腫または二次性の高悪性度神経膠腫である。他の実施形態では、癌は、神経膠腫であり、神経膠腫は、低悪性度神経膠腫(悪性度II)、退形成性(悪性度III)、または膠芽腫(GBM、悪性度IV)である。
【0157】
いくつかの実施形態では、癌は、難治性または再発性である。他の実施形態では、癌は、新たに診断されたか、または以前に治療されていない。
【0158】
本実施形態の一態様では、癌治療の有効性は、本明細書に記載されるように2HGのレベルを測定することによって監視される。
【0159】
いくつかの実施形態では、癌治療の有効性は、患者における2HGのレベルを測定することによって監視される。典型的には、2HGのレベルは、治療前に測定され、レベルの上昇は、癌を治療するための、本明細書の実施形態のいずれかに記載される、固体形態の形態を含む式(I)の化合物、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物の使用のために示される。いったんレベルの上昇が確立されると、2HGのレベルは、有効性を確立するために治療の過程中および/または終了後に決定される。ある特定の実施形態では、2HGのレベルは、治療の過程中および/または終了後にのみ決定される。治療の過程中および治療後の2HGレベルの低減は、有効性を示す。同様に、治療の過程中または治療後に2HGレベルが上昇していないという判断も、有効性を示す。典型的には、2HG測定値は、腫瘍および/または他の癌関連病変の数およびサイズの低減、患者の一般的健康の改善、ならびに癌治療有効性に関連する他のバイオマーカーの変化など、癌治療の有効性の他の公知の決定と一緒に利用される。
【0160】
2HGは、LC/MSによって試料中で検出され得る。試料は、メタノールと80:20で混合され、4℃において3,000rpmで20分間遠心分離される。得られた上清を収集し、LC-MS/MSの前に-80℃で保存して、2-ヒドロキシグルタル酸レベルを評価することができる。様々な異なる液体クロマトグラフィ(LC)分離方法が使用され得る。各方法は、注入された代謝産物標準液上で最適化されたMSパラメータを用いて、複数の反応モニタリング(MRM)モードで動作するトリプル四重極質量分析計への負エレクトロスプレーイオン化(ESN、-3.0kV)によって連結され得る。代謝産物は、以前に報告された方法(Luo et al.J Chromatogr A 1
147,153-64,2007)の変化形に従い、10mMのトリブチル-アミンを水性移動相中のイオン対形成剤として使用する逆相クロマトグラフィによって分離され得る。1つの方法は、TCA代謝産物の分解を可能にし、t=0、50%B;t=5、95%B;t=7、95%B;t=8、0%B、ここで、Bは、100%メタノールの有機移動相を指す。別の方法は、2-ヒドロキシグルタル酸に特異的であり、5分間にわたって50%~95%のB(上記で定義される緩衝剤)から高速直線勾配を実行する。Synergi Hydro-RP、100mm×2mm、2.1μm粒径(Phenomonex)が、上記の通りカラムとして使用され得る。代謝産物は、既知の濃度で純粋な代謝産物標準を用いたピーク領域の比較によって定量化され得る。13C-グルタミンからの代謝産物フラックス試験が、例えば、Munger et al. Nat Biotechnol 26,1179-86,2008に記載されるように実施され得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、2HGは、直接評価される。
【0162】
他の実施形態では、分析方法を実施するプロセスで形成される2HGの誘導体が評価される。一例として、そのような誘導体は、MS分析で形成される誘導体であり得る。誘導体は、MS分析で形成されるような、塩付加物、例えば、Na付加物、水和変異体、または塩付加物、例えば、Na付加物でもあり得る水和変異体を含むことができる。
【0163】
別の実施形態では、2HGの代謝誘導体が評価される。例には、2HG、例えば、R-2HGに相関するグルタル酸塩またはグルタミン酸塩など、2HGの存在の結果として増大するか、または上昇するか、または低減する種が含まれる。
【0164】
例示的な2HG誘導体には、以下に提供される化合物などの脱水誘導体またはその塩付加物が含まれる。
【化17】
【0165】
いくつかの実施形態では、様々な評価ステップが、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた癌の治療の前および/または後に実施される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後に評価ステップをさらに含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、評価ステップは、癌の成長、サイズ、重量、侵襲性、病期、および/または他の表現型を評価することを含む。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後に、癌の成長、サイズ、重量、侵襲性、病期、および/または他の表現型を評価するステップをさらに含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、固体形態、原薬、またはその化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後に、方法は、癌のIDH1遺伝子型を評価するステップをさらに含む。これは、DNAシーケンシング、免疫分析、および/または2HGの存在、分布、もしくはまたはレベルの評価など、当該技術分野における通常の方法によって達成され得る。
【0168】
いくつかの実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後に、方法は、患者における2HGレベルを決定するステップをさらに含む。これは、分光分析、例えば、磁気共鳴ベースの分析、例えば、MRIおよび/もしくはMRS測定、血清もしくは脊髄液分析などの体液の試料分析によって、または外科的材料の分析、例えば、重量分光法によって達成され得る。
【0169】
2HGは、遺伝性代謝障害2-ヒドロキシグルタル酸尿症において蓄積することが知られている。この疾患は、これは2HGをα-KGに変換する酵素2-ヒドロキシグルタル酸デヒドロゲナーゼの欠乏によって引き起こされる(Struys,E.A.et al.Am J Hum Genet 76,358-60(2005))。2-ヒドロキシグルタル酸デヒドロゲナーゼ欠乏症の患者は、MRIおよびCSF分析によって評価されるように、脳内で2HGを蓄積し、白質脳症を発症し、脳腫瘍を発症するリスクが高い(Aghili,M.,Zahedi,F.&Rafiee,J Neurooncol 91,233-6(2009)、Kolker,S.,Mayatepek,E.&Hoffmann,G.F.Neuropediatrics 33,225-31(2002)、Wajner,M.,Latini,A.,Wyse,A.T.&Dutra-Filho,C.S.J Inherit Metab Dis 27,427-48(2004))。さらに、2HGの脳レベルの上昇は、ROSレベルの増加をもたらし(Kolker,S.et al.Eur J Neurosci 16,21-8(2002)、Latini,A.et al.Eur J Neurosci 17,2017-22(2003))、癌のリスクの増加に寄与する可能性がある。NMDA受容体作動薬として作用する2HGの能力は、この効果に寄与し得る(Kolker,S.et al.Eur J Neurosci 16,21-8(2002))。2HGはまた、酵素を利用してグルタミン酸塩および/またはαKGを競合的に阻害することによって細胞に対して毒性があり得る。これらには、アミノおよび核酸生合成のためのグルタミン酸窒素の利用を可能にするトランスアミナーゼ、ならびにHIF1-アルファレベルを調節するものなどのαKG依存性プロリルヒドロキシラーゼが含まれる。
【0170】
したがって、別の実施形態によると、本発明の一態様は、治療有効量の、本明細書の実施形態のいずれか1つに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を患者に投与することによって、2-ヒドロキシグルタル酸尿症、特にD-2-ヒドロキシグルタル酸尿症を治療する方法を提供する。
【0171】
IDH1の変異対立遺伝子の存在によって特徴付けられるマフッチ症候群およびオリエ病から選択される疾患を治療する方法も提供され、治療有効量の、本明細書の実施形態のいずれか1つに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を、それを必要としている患者に投与するステップを含む。
【0172】
本明細書に記載される治療方法は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後の様々な評価ステップを追加的に含むことができる。
【0173】
一実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後に、方法は、癌の成長、サイズ、重量、侵襲性、病期、および/または他の表現型を評価するステップをさらに含む。
【0174】
一実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物を用いた治療の前および/または後に、方法は、癌のIDH2遺伝子型を評価するステップをさらに含む。これは、DNAシーケンシング、免疫分析、および
/または2HGの存在、分布、もしくはまたはレベルの評価など、当該技術分野における通常の方法によって達成され得る。
【0175】
本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、およびその医薬組成物は、例えば、注射、静脈内、動脈内、真皮下、腹腔内、筋肉内、もしくは皮下によって、または経口、口腔、鼻腔内、経粘膜、局所、眼科用調製物中、もしくは吸入によって、約0.5~100mg/kg体重の範囲の投与量で、あるいは式(I)の化合物の量に基づいて、1mg~1000mg/用量の投与量で4~120時間毎に、投与され得る。いくつかの実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、1日1回、2回、または3回投与される。他の実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、1日1回投与される。他の実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、1日2回投与される。他の実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、1日3回投与される。本明細書の方法は、所望または既定の効果を達成するための、治療有効量の固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物の投与を企図する。典型的には、本発明の一態様の医薬組成物は、1日当たり約1~約6回、あるいは連続注入として投与される。いくつかの実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、1日1回投与される。他の実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、1日2回投与される。そのような投与は、慢性または急性療法として使用され得る。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、式(I)の化合物の量に基づいて、(1)1~100mg/日、2~50mg/日、3~30mg/日、4~20mg/日、5~15mg/日、8~12mg/日、もしくは約10mg/日、(2)1~500mg/日、1~250mg/日、5~100mg/日、8~75mg/日、10~50mg/日、15~40mg/日、20~30mg/日、もしくは約25mg/日、(3)1~500mg/日、10~250mg/日、20~100mg/日、30~80mg/日、40~60mg/日、45~55mg/日、もしくは約50mg/日、(4)1~500mg/日、20~400mg/日、40~200mg/日、50~150mg/日、75~125mg/日、85~115mg/日、90~110mg/日、もしくは約100mg/日、(5)1~500mg/日、50~400mg/日、100~300mg/日、150~250mg/日、175~225mg/日、185~215mg/日、190~210mg/日、もしくは約200mg/日、または(6)1~500mg/日、100~500mg/日、200~400mg/日、250~350mg/日、275~375mg/日、285~315mg/日、290~310mg/日、もしくは約300mg/日の投与量で投与される。
【0177】
いくつかの実施形態では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、式(I)の化合物の量に基づいて、0.01~10mg/kg体重/日、0.2~8.0mg/kg体重/日、0.4~6.0mg/kg体重/日、0.6~4.0mg/kg体重/日、0.8~2.0mg/kg体重/日、0.1~1mg/kg体重/日、0.2~1.0mg/kg体重/日、0.15~1.5mg/kg体重/日、または0.1~0.5mg/kg体重/日の投与量で投与される。
【0178】
いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、本明細書に記載される1日投与量を達成するために、1日1回、または1日1日2回以上(例えば、
1日2回、1日3回、1日4回など)投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、本明細書に記載される1日投与量を達成するために1日1回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、本明細書に記載される1日投与量を達成するために1日2回投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、式(I)の化合物の量に基づいて、(1)投与当たり約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、もしくは約300mg、(2)投与当たり30~70mg、35~65mg、40~60mg、45~55mg、もしくは約50mg、または(3)5~35mg、5~20mg、5~15mg、もしくは約10mgの投与量で投与される。いくつかの実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、式(I)の化合物の量に基づいて、(1)投与当たり30~70mg、35~65mg、40~60mg、45~55mg、もしくは約50mg、または(2)5~35mg、5~20mg、5~15mg、もしくは約10mgの投与量で投与される。本明細書に記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物の量は、式(I)の化合物の量に基づく。いかなる特定の対象に対する具体的な投与量および治療レジメンも、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、疾患、状態、または症状の重症度および経過、疾患、状態、または症状に対する対象の素因、ならびに治療する医師の判断を含む、様々な要因によることになる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、投与量を指すとき、投与量が指定された値±10%を有することを意味する。例えば、「約100mg/kg」の投与量は、90mg/kg~110mg/kgの投与量を含む。
【0180】
上記で列挙したよりも低い用量または高い用量が必要とされ得る。いかなる特定の患者に対する具体的な投与量および治療レジメンも、採用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、疾患、状態、または症状の重症度および経過、疾患、状態、または症状に対する患者の素因、ならびに治療する医師の判断を含む、様々な要因によることになる。
【0181】
患者の状態の改善時に、本明細書の実施形態のいずれかに記載される固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物、あるいは本発明の一態様の組み合わせとして投与される、維持用量の式(I)の化合物が、必要に応じて投与され得る。続いて、投与量もしくは投与頻度または両方が、症状の関数として、症状が所望のレベルまで緩和された時に改善された状態が保持されるレベルまで低減され得る。しかしながら、患者は、長期的に疾患症状のいかなる再発に対しても断続的治療を必要とする場合がある。
【0182】
以前に治療された患者
いくつかの実施形態では、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌の治療を必要としている患者は、癌療法を以前に投与されている。いくつかの実施形態では、患者は、癌のための癌治療を以前に投与されている。以前に投与された癌療法は、癌の治療に有効であったか、もしくは効果的でなかった可能性があり、または癌の治療における一部の期間にわたって有効であった可能性がある。
【0183】
本明細書で使用される場合、「癌療法」という用語は、癌治療薬または癌治療を指す。
本明細書で使用される場合、「癌治療薬」という用語は、癌を治療するために適応される治療薬(式(I)の化合物、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物以外の)を指す。癌治療薬には、例えば、化学療法、標的療法薬、抗体療法、免疫療法薬、ホルモン療法薬、およびチェックポイント阻害剤が含まれる。これらの種類の癌治療薬の各々の例が以下に提供される。本明細書で使用される場合、「癌治療」という用語は、癌を治療するために適応される治療を指す。癌治療には、例えば、手術および放射線療法が含まれる。
【0184】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、化学療法薬である。癌療法で使用される化学療法薬の例としては、例えば、代謝拮抗薬(例えば、葉酸、プリン、およびピリミジン誘導体)、アルキル化剤(例えば、窒素マスタード、ニトロソウレア、プラチナ、スルホン酸アルキル、ヒドラジン、トリアゼン、アジリジン、トリアジン、紡錘体阻害剤、細胞毒性薬、トポイソメラーゼ阻害剤、およびその他)、ならびに低メチル化剤(例えば、デシタビン(5-アザ-デオキシシチジン)、ゼブラリン、イソチオシアン酸塩、アザシチジン(5-アザシチジン)、5-フルオロ-2‘-デオキシシチジン、5,6-ジヒドロ-5-アザシジン、およびその他)が挙げられる。例示的な薬剤には、アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノイン、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン、ベキサロテン、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボコン、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラル、エレスクロモール、エルサミトルシン、エノシタビン、エピルビシン、エストラムスチン、エトグルシド、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5FU)、フォテムスチン、ゲムシタビン、ギリアデルインプラント、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イキサベピロン、ラロタキセル、ロイコボリン、リポソームドキソルビシン、リポソームダウノルビシン、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコル、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、オブリマーセン、オマセタキシン、オルタタキセル、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピクサントロン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ルビテカン、サパシタビン、セムスチン、シチマジーンセラデノベック、サトラプラチン、ストレプトゾシン、タラポルフィン、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テセタキセル、テストラクトン、テトラニトレート、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、チピファルニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジコン、トリエチレンメラミン、トリプラチン、トレチノイン、トレオスルファン、トロフォスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビン、ボリノスタット、ゾルビシン、および本明細書に記載される他の細胞増殖抑制剤または細胞毒性薬が含まれる。
【0185】
一部の薬物は単独よりも一緒でより良好に作用するため、2つ以上の薬物が同時に与えられることが多い。しばしば、2つ以上の化学療法薬が併用化学療法として使用される。
【0186】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、分化剤である。分化剤には、レチノイド(オール-トランス-レチノイン酸(ATRA)、9-シスレチノイン酸、13-シス-レチノ
イン酸(13-cRA)、および4-ヒドロキシ-フェンレチンアミド(4-HPR));三酸化ヒ素;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤HDAC(アザシアチジン(Vidaza)およびブチレート(例えば、フェニルブチレートなど));ハイブリッド極性化合物(ヘキサメチレンビスアセトアミド((HMBA));ビタミンD;ならびにサイトカイン(G-CSFおよびGM-CSFを含むコロニー刺激因子、ならびにインターフェロンなど)が含まれる。
【0187】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、標的療法薬である。標的療法は、癌細胞の調節解除されたタンパク質に特異的な薬剤の使用を構成する。小分子標的療法薬は概して、癌細胞内の変異したタンパク質、過剰発現したタンパク質、またはそうでなければ重要なタンパク質に関する酵素ドメインの阻害剤である。顕著な例は、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、およびバンデタニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、ならびにまたアルボシジブおよびセリシクリブなどのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤である。
【0188】
他の標的療法薬には、メトホルミンまたはフェンホルミンなどのビグアニドが含まれる。
【0189】
標的療法は、細胞表面受容体、または腫瘍を包囲している影響された細胞外マトリックスに結合することができる「ホーミングデバイス」として小さいペプチドを伴うこともできる。これらのペプチド(例えば、RGD)に付着した放射性核種は、核種が細胞近傍で崩壊する場合、癌細胞を最終的に死滅させる。そのような療法の例としては、BEXXAR(登録商標)が挙げられる。
【0190】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、抗体である。モノクローナル抗体療法は、治療薬が癌細胞の表面上のタンパク質に特異的に結合する抗体である戦略である。例としては、典型的には乳癌で使用される抗HER2/neu抗体トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、および典型的には様々なB細胞悪性腫瘍で使用される抗CD20抗体リツキシマブおよびトシツモマブが挙げられる。他の例示的な抗体としては、セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、およびゲムツズマブが挙げられる。例示的な融合タンパク質としては、アフリベルセプトおよびデニロイキンディフティトックスが挙げられる。
【0191】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、免疫療法薬である。癌免疫療法は、腫瘍と闘う患者自身の免疫系を誘発するように設計された多様な治療戦略の集合を指す。腫瘍に対する免疫応答を生成するための現代的な方法には、表在性膀胱癌のための小胞内BCG免疫療法、ならびに腎細胞癌および黒色腫患者における免疫応答を誘発するインターフェロンおよび他のサイトカインの使用が含まれる。
【0192】
ドナーの免疫細胞が、移植片対腫瘍効果において腫瘍をしばしば攻撃することになるため、同種造血幹細胞移植が免疫療法の形態とみなされ得る。
【0193】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、ホルモン療法薬である。一部の癌の成長は、ある特定のホルモンを提供または遮断することによって阻害され得る。ホルモン感受性腫瘍の一般的な例には、ある特定のタイプの乳癌および前立腺癌が含まれる。エストロゲンまたはテストステロンを除去または遮断することは、多くの場合、重要な追加的治療である。ある特定の癌では、プロゲストゲンなどのホルモンアゴニストの投与は、治療的に有益であり得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、癌治療薬は、チェックポイント阻害剤である。チェックポイント阻害剤療法は、免疫系チェックポイントの操作が癌細胞に対する免疫系機能を回復させるために使用される癌治療の形態である。チェックポイント阻害剤の例としては、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブなどが挙げられる。
【0195】
他の癌治療薬には、イマチニブ、遺伝子療法、ペプチドおよび樹状細胞ワクチン、合成クロロトキシン、放射線標識薬および抗体、キメラ抗原受容体、またはCAR-T(例えば、Kymriah(登録商標)(チサゲンレクロイセル)、Yescarta(登録商標)(アキシカブタゲンシロロイセル)、Gliadel(登録商標)(カルムスチンインプラント)、ならびにAvastin(登録商標)(ベバシズマブ)が含まれる。
【0196】
いくつかの実施形態では、癌治療は、放射線療法である。放射線療法は、癌細胞を損傷し、かつ/または死滅させ、腫瘍を縮小するための高エネルギー放射線(例えば、X線、ガンマ線、または荷電粒子)の使用を伴う。本発明の方法において、放射線は、体外に配置された機械によって(外部ビーム放射線療法)、脳腫瘍の近くで体内に置かれた放射性材料によって(小線源療法とも呼ばれる内部放射線療法)、または血流を通って脳腫瘍へと移動する全身投与された放射性物質(例えば、放射性ヨウ素)によって、脳腫瘍(例えば、神経膠腫)に送達され得る。あるいは、これらの送達方法は、併用され得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、放射線療法は、外部放射線療法(例えば、分割外部ビーム放射線療法、Cyberknife(登録商標)またはGamma Knife(登録商標)などの定位放射線、プロトン療法などを含む外部ビーム放射線療法)を含み、ここで、放射線は、体外にある機器によって脳腫瘍(例えば、神経膠腫)に送達される。外部放射線療法は、何日間または何週間にもわたるいくつかの治療の経過として与えられ得る。これらの実施形態の一態様では、放射線は、X線の形態で投与される。
【0198】
他の実施形態では、放射線療法は、内部放射線療法を含み、ここで、放射線は、体内に置かれたインプラントまたは材料(液体、固体、半固体、または他の物質)からもたらされる。これらの実施形態の一態様では、内部放射線療法は、小線源療法であり、ここで、固体放射性線源は、脳腫瘍の近くで体内に置かれる。これらの実施形態の別の態様では、内部放射線療法は、放射線源、典型的には放射性核種(放射性同位体または密封されていない源)の全身投与を含む。放射線源は、経口投与され得るか、または静脈内に注射され得る。
【0199】
併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、追加的療法を、それを必要としている患者に併用投与する追加的ステップを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌の治療を必要としている患者において、それに使用するための薬剤は、追加的療法の併用投与と組み合わせて使用するためのものである。
【0201】
別の態様では、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌の治療で使用するための固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物は、追加的療法の併用投与と組み合わせて使用するためのものである。
【0202】
本明細書で使用される場合、「追加的療法」という用語は、上記のような癌療法(癌治療薬および癌治療を含む)、ならびに癌の症状および/または二次的影響を治療するために投与される非癌療法(非癌治療薬および非癌治療を含む)を含む。言い換えると、「追
加的療法」という用語は、追加的治療薬(すなわち、癌治療薬および非癌治療薬)、ならびに追加的治療(すなわち、癌治療および非癌治療)を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、上記のような癌療法(すなわち、癌治療薬または癌治療)である。
【0204】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、非癌療法(すなわち、非癌治療薬または非癌治療)である。
【0205】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、DNA反応剤、PARP阻害剤、制吐薬、抗痙攣薬または抗てんかん薬、チェックポイント阻害剤、PVC化学療法、ベバシズマブ、およびゲムシタビンのうちの1つ以上を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加的療法は、DNA反応剤である。本明細書で使用される場合、「DNA反応剤」は、細胞DNAと共有結合的にまたは非共有結合的に相互作用するアルキル化剤、架橋剤、およびDNA挿入剤などの薬剤である。例えば、DNA反応剤には、アドゼレシン、アルトレタミン、ビゼレシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルボクオン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、エストラムスチン、ホテムスチン、ヘプスルファム、イホスファミド、イムプロスルファン、イロフルベン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、ミトゾロミド、ネダプラチン、オキサリプラチン、ピポスルファン、プロカルバジン、セムスチン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、チオテパ、トレオスルファン、ジエチルニトロソアミン、ベンゾ(a)ピレン、ドキソルビシン、ミトマイシンCなどが含まれる。これらのDNA反応剤の多くは、癌療法においてDNA反応性化学療法薬として有用である。
【0207】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、PARP阻害剤を含む。本明細書で使用される場合、「PARP阻害剤」は、酵素ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)の阻害剤を指す。PARP阻害剤の例としては、パミパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、ベラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ニラパリブなどが挙げられる。
【0208】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、チェックポイント阻害剤である。本明細書で使用される場合、「チェックポイント阻害剤」は、それがなければ癌細胞に対する免疫系攻撃を防止するであろう免疫チェックポイント(例えば、CTLA-4、PD-1/PD-L1など)を阻害し、それにより免疫系が癌細胞を攻撃することを可能にする、治療薬を指す。チェックポイント阻害剤の例としては、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、BGB-A317、スパルタリズマブなどが挙げられる。
【0209】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、PVC化学療法である。本明細書で使用される場合、「PVC化学療法」は、プロカルバジン、ロムスチン(商品名CCNU(登録商標)の下で販売)、およびビンクリスチン(商品名Onocovin(登録商標)の下で販売)の組み合わされた投与を含む化学療法レジメンを指す。典型的には、ビンクリスチンが静脈内投与されるのに対し、プロカルバジンおよびロムスチンは、経口投与される。PCV化学療法はしばしば、周期で投与され、各周期は、ビンクリスチンおよびロムスチンの単回投与と、プロカルバジンを用いた10日間の治療コースとを含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、ベバシズマブである。商品名Avastin(登録商標)の下で販売されているベバシズマブは、組換えヒト化モノクローナル抗体である。
【0211】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、ゲムシタビンである。商品名Gemzar(登録商標)の下で販売されているゲムシタビンは、ピリミジンヌクレオシド類似体である。
【0212】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、非癌治療薬である。本明細書で使用される場合、「非癌治療薬」という用語は、癌に罹患している、かつ/または癌の治療を受けている患者が患っている症状を治療するために使用されるが、癌自体の治療には適応されない治療薬を指す。「非癌治療薬」の例には、抗痙攣薬および抗てんかん薬、制吐薬、止瀉薬などが含まれる。
【0213】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、抗痙攣薬または抗てんかん薬である。本明細書で使用される場合、「抗痙攣薬または抗てんかん薬」は、てんかん発作を含む痙攣を治療または予防するのに有効である薬剤を指す。抗痙攣薬および抗てんかん薬の例としては、アセタゾラミド、バルベキサクロン、ベクラミド、ブリバラセタム、カンナビジオール、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ジバルプレックスナトリウム、エスリカルバゼピンアセテート、エタジオン、エトスクシミド、エトトイン、エチラセタム、フェルバメート、ホスフェニトイン、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ロラゼパム、メフェニトイン、メスクシミド、メタゾラミド、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラアルデヒド、パラメタドイン、ペランパネル、ピラセタム、フェナセミド、フェネツリド、フェノバルビタール、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、プロガビド、ピリドキシン、ルフィナミド、セレトラセタム、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、スルチアム、テマゼパム、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルノクタミド、バルプロ酸、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミドなどが挙げられる。
【0214】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、制吐薬である。本明細書で使用される場合、「制吐薬」は、嘔吐および悪心の症状を低減するのに有効である薬剤を指す。制吐薬の例としては、5-HT受容体アンタゴニスト(例えば、ドラセトロン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、ミルタザピンなど)、ドパミンアゴニスト(例えば、ドンペリドン、オランザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロクロルペラジン、アリザプリド、プロクロルペラジン、メトクロプラミドなど)、NK1受容体アンタゴニスト(例えば、アプレピタント、カソピタント、ロラピタントなど)、抗ヒスタミン薬(例えば、シンナリジン、シクリジン、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリナート、ドキシラミン、メクリジン、プロメタジン、ヒドロキシジンなど)、カンナビノイド薬(例えば、カンナビス、ドロナビノール、合成カンナビノイドなど)、ベンゾジアゼピン(例えば、ミダゾラム、ロラゼパムなど)、抗コリン薬(例えば、スコポラミンなど)、ステロイド(例えば、デキサメタゾンなど)、トリメトベンズアミド、ショウガ、プロポフォール、グルコース/フルクトース/リン酸(商品名Emetrol(登録商標)の下で販売)、ペパーミント、ムッシモール、アジョワン、次サリチル酸ビスマスなどが挙げられる。
【0215】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、止瀉薬である。止瀉薬の例には、次没食子酸ビスマス、サッカロマイセス・ブラウディlyo(saccharomyces boulardii lyo)、アトロピン、ジフェノキシレート、ジフェノキシン、ラクトバチルス アシドフィルス(lactobacillus acidophilus)、次サリチル酸ビスマス、ロペラミド、ラクトバチルスブルガリクス(lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス ラムノサスgg、アタパルジャイト、クロフェレマー、シメチコンなどが含まれる。
【0216】
いくつかの実施形態では、追加的療法は、非癌治療である。本明細書で使用される場合、「非癌治療」という用語は、癌に罹患している、かつ/または癌の治療を受けている患者が患っている症状を治療するために使用されるが、癌自体の治療には適応されない治療を指す。非癌治療の例には、鍼、バイオフィードバック、気晴らし、精神的サポートおよびカウンセリング、催眠術、イメージ法、リラクゼーション、皮膚刺激などが含まれる。
【0217】
本明細書で使用される場合、「併用投与」という用語は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩(あるいはその医薬組成物)および追加的療法の組み合わせ作用からの有益な効果を提供するために、追加的療法が、治療レジメンの一部として、固体形態、薬物原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物の投与の前に、それと同時に、それと連続して、またはその後に投与されることを意味する。追加的療法が追加的治療薬である場合、追加的治療薬は、単一剤形の一部(共結晶、原薬、結晶形態、もしくは非晶質固体分散体と、治療薬とを含む本発明の一態様の組成物など)として、または別々の複数剤形として、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩と一緒に投与され得る。あるいは、治療薬は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容される塩の投与の前に、それと連続して、またはその後に投与され得る。そのような併用療法治療では、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩および追加的治療薬(複数可)の両方が、従来的な方法によって投与される。固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩および追加的治療薬の両方を含む本発明の一態様の組成物の患者への投与は、治療過程中の別の時間におけるその同じ治療薬、任意の他の追加的治療薬、あるいは固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩の前述の患者への別個の投与を除外しない。追加的療法が追加的治療である場合、追加的治療は、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、あるいはその医薬組成物の投与の前に、それと連続して、またはその後に投与され得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、追加的療法が癌療法である場合、固体形態、原薬、または化合物もしくは薬学的に許容可能な塩および癌療法の両方が、単剤療法レジメンで通常投与される投与量の約1~100%、または約5~95%の投与量レベルで投与される。
【0219】
列挙された実施形態
いくつかの実施形態では、本開示は、以下に関する。
1.式(I)の化合物と、
【化18】
クエン酸と、を含む、共結晶。
2.共結晶が、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実施形態1に記載の共結晶。
3.X線粉末回折パターンが、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0
.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、実施形態1または2に記載の共結晶。
4.X線粉末回折パターンが、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の共結晶。
5.X線粉末回折パターンが、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の共結晶。
6.X線粉末回折パターンが、5.7および8.4の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の共結晶。
7.共結晶が、170.6℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、実施形態1~6のいずれか1つに記載の共結晶。
8.水をさらに含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の共結晶。
9.式(I)の化合物、クエン酸、および水が、2:1:1のモル比で存在する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の共結晶。
10.共結晶が、単位セル当たり、式(I)の化合物の4つの分子、2つのクエン酸分子、および2つの水分子を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の共結晶。
11.実施形態1~10のいずれか1つに記載の共結晶を含む、原薬。
12.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態11に記載の原薬。
13.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態11または12に記載の原薬。
14.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態11~13のいずれか1つに記載の原薬。
15.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態11~14のいずれか1つに記載の原薬。
16.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N4-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態11~15のいずれか1つに記載の原薬。
17.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オールを含有する、実施形態11~16のいずれか1つに記載の原薬。
18.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンを有する、実施形態11~17のいずれか1つに記載の原薬。
19.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オールを含有する、実施形態11~18のいずれか1つに記載の原薬。
20.治療有効量の実施形態1~10のいずれか1つに記載の共結晶、または実施形態11~19のいずれか1つに記載の原薬と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
21.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態20に記載の医薬組成物。
22.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態20または21に記載の医薬組成物。
23.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態22に記載の医薬組成物。
24.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態20に記載の医薬組成物。
25.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態24に記載の医薬組成物。
26.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態25に記載の医薬組成物。
27.治療有効量の実施形態1~10のいずれか1つに記載の共結晶、または実施形態11~19のいずれか1つに記載の原薬を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製された医薬組成物。
28.式(I)の化合物と、
【化19】
クエン酸と、を含む共結晶を調製する方法であって、
式(I)の化合物およびクエン酸を溶媒中に溶解して、溶液を得ることと、
共結晶を沈殿させることと、を含む、方法。
29.溶媒が、アセトニトリルまたはアセトンを含む、実施形態28に記載の方法。
30.前述の沈殿が、溶液を冷却することを含む、実施形態28または29に記載の方法。
31.前述の沈殿が、溶液から溶媒の一部分を蒸発させることを含む、実施形態28~30のいずれか1つに記載の方法。
32.前述の沈殿が、抗溶媒を溶液に添加することを含む、実施形態28~31のいずれか1つに記載の方法。
33.抗溶媒が、C~C12アルカンまたはシクロアルカンを含む、実施形態32に記載の方法。
34.抗溶媒が、トルエンまたはMTBEを含む、実施形態32に記載の方法。
35.前述の沈殿が、溶液に共結晶の結晶を播種することを含む、実施形態28~34のいずれか1つに記載の方法。
36.共結晶を単離することをさらに含む、実施形態28~35のいずれか1つに記載の
方法。
37.式(I)の化合物と、
【化20】
マレイン酸と、を含む、共結晶。
38.共結晶が、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実施形態37に記載の共結晶。39.X線粉末回折パターンが、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、実施形態37または38に記載の共結晶。
40.X線粉末回折パターンが、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態37~39のいずれか1つに記載の共結晶。
41.X線粉末回折パターンが、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態37~39のいずれか1つに記載の共結晶。
42.X線粉末回折パターンが、8.1、17.8、および18.5の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに5.9、15.0、15.2、16.9、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態37~41のいずれか1つに記載の共結晶。
43.共結晶が、91.2℃および128.4℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、実施形態37~42のいずれか1つに記載の共結晶。
44.式(I)の化合物およびクエン酸水が、1:1のモル比で存在する、実施形態37~43のいずれか1つに記載の共結晶。
45.治療有効量の実施形態37~44のいずれか1つに記載の共結晶と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
46.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態45に記載の医薬組成物。
47.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態45または46に記載の医薬組成物。
48.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態47に記載の医薬組成物。
49.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態45に記載の医薬組成物。
50.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含
む、実施形態49に記載の医薬組成物。
51.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態50に記載の医薬組成物。
52.治療有効量の実施形態37~44のいずれか1つに記載の共結晶を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製された医薬組成物。
53.式(I)の化合物と、
【化21】
マレイン酸と、を含む共結晶を調製する方法であって、
式(I)の化合物およびマレイン酸を溶媒中に溶解して、溶液を得ることと、
共結晶を沈殿させることと、を含む、方法。
54.溶媒が、アセトニトリルまたはアセトンを含む、実施形態53に記載の方法。
55.前述の沈殿が、溶液に共結晶の結晶を播種することを含む、実施形態53または54に記載の方法。
56.共結晶を単離することをさらに含む、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
57.式(I)の化合物の結晶形態であって、
【化22】
結晶形態が、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶形態。
58.X線粉末回折パターンが、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、実施形態57に記載の結晶形態。
59.X線粉末回折パターンが、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態57または58に記載の結晶形態。
60.X線粉末回折パターンが、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む、実施形態57~59のいずれか1つに記載の結晶形態。
61.X線粉末回折パターンが、11.7、17.8、および21.8の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに12.8、14.2、19.8、20.7、22.2、および25.0からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態57~60のいずれか1つに記載の結晶形態。
62.結晶形態が、221.9℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、実施形態57~61のいずれか1つに記載の結晶形態。
63.実施形態57~62のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、原薬。
64.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態63に記載の原薬。
65.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態63または64に記載の原薬。
66.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態63~65のいずれか1つに記載の原薬。
67.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態63~66のいずれか1つに記載の原薬。
68.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N4-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンを含有する、実施形態63~67のいずれか1つに記載の原薬。
69.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オールを含有する、実施形態63~68のいずれか1つに記載の原薬。
70.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミンを有する、実施形態63~69のいずれか1つに記載の原薬。
71.原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オールを含有する、実施形態63~70のいずれか1つに記載の原薬。
72.治療有効量の実施形態57~62のいずれか1つに記載の結晶形態、または実施形態63~71のいずれか1つに記載の原薬と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
73.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態72に記載の医薬組成物。
74.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態72または73に記載の医薬組成物。
75.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態74に記載の医薬組成物。
76.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態72に記
載の医薬組成物。
77.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態76に記載の医薬組成物。
78.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態77に記載の医薬組成物。
79.
治療有効量の実施形態57~62のいずれか1つに記載の結晶形態、または実施形態63~71のいずれか1つに記載の原薬を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製された医薬組成物。
80.式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法であって、
【化23】
式(I)の化合物を酢酸エチルに溶解して、溶液を得ることと、
結晶形態を沈殿させることと、を含む、方法。
81.結晶形態を沈殿させることが、溶液にヘプタンを添加することを含む、実施形態80に記載の方法。
82.前述の沈殿が、溶液に結晶形態の結晶を播種することを含む、実施形態80または81に記載の方法。
83.結晶形態を単離することをさらに含む、実施形態80~82のいずれか1つに記載の方法。
84.式(I)の化合物の結晶形態であって、
【化24】
結晶形態が、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶形態。
85.X線粉末回折パターンが、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、実施形態84に記載の結晶形態。
86.X線粉末回折パターンが、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態84または85に記載の結晶形態。
87.X線粉末回折パターンが、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む、実施形態84~86のいずれか1つに記載の結晶形態。
88.X線粉末回折パターンが、11.9、17.8、および23.9の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに13.2、15.5、18.6、20.8、23.2、および26.5からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態84~87のいずれか1つに記載の結晶形態。
89.結晶形態が、221.5℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、実施形態84~88のいずれか1つに記載の結晶形態。
90.結晶形態が、無水である、実施形態84~89のいずれか1つに記載の結晶形態。91.治療有効量の実施形態84~90のいずれか1つに記載の結晶形態と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
92.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態91に記載の医薬組成物。
93.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態91または92に記載の医薬組成物。
94.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態93に記載の医薬組成物。
95.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態91に記載の医薬組成物。
96.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態95に記載の医薬組成物。
97.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態96に記載の医薬組成物。
98.治療有効量の実施形態84~90のいずれか1つに記載の結晶形態を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製された医薬組成物。
99.式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法であって、
【化25】
式(I)の化合物をメチルイソブチルケトン中に溶解して、溶液を得ることと、
結晶形態を沈殿させることと、を含む、方法。
100.結晶形態を沈殿させることが、溶液にヘプタンを添加することを含む、実施形態99に記載の方法。
101.前述の沈殿が、溶液に結晶形態の結晶を播種することを含む、実施形態99または100に記載の方法。
102.結晶形態を単離することをさらに含む、実施形態99~101のいずれか1つに記載の方法。
103.式(I)の化合物の結晶形態であって、
【化26】
結晶形態が、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶形態。
104.X線粉末回折パターンが、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、実施形態103に記載の結晶形態。
105.X線粉末回折パターンが、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態103または104に記載の結晶形態。
106.X線粉末回折パターンが、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む、実施形態103~105のいずれか1つに記載の結晶形態。
107.X線粉末回折パターンが、8.6および21.1の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態103~106のいずれか1つに記載の結晶形態。
108.結晶形態が、221.3℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、実施形態103~107のいずれか1つに記載の結晶形態。
109.結晶形態が、三水和物である、実施形態103~108のいずれか1つに記載の結晶形態。
110.治療有効量の実施形態103~109のいずれか1つに記載の結晶形態と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
111.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態110に記載の医薬組成物。
112.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態110または111に記載の医薬組成物。
113.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態112に記載の医薬組成物。
114.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態110に記載の医薬組成物。
115.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態114に記載の医薬組成物。
116.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態115に記載の医薬組成物。
117.治療有効量の実施形態103~109のいずれか1つに記載の結晶形態を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製さ
れた医薬組成物。
118.式(I)の化合物の結晶形態を調製する方法であって、
【化27】
式(I)の化合物をジオキサン中に溶解して、溶液を得ることと、
結晶形態を沈殿させることと、を含む、方法。
119.結晶形態を沈殿させることが、溶液に水を添加することを含む、実施形態118に記載の方法。
120.前述の沈殿が、溶液に結晶形態の結晶を播種することを含む、実施形態118または119に記載の方法。
121.結晶形態を単離することをさらに含む、実施形態118~120のいずれか1つに記載の方法。
122.式(I)の化合物の結晶形態であって、
【化28】
結晶形態が、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶形態。
123.X線粉末回折パターンが、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、実施形態122に記載の結晶形態。
124.X線粉末回折パターンが、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態122または123に記載の結晶形態。
125.X線粉末回折パターンが、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む、実施形態122~124のいずれか1つに記載の結晶形態。
126.X線粉末回折パターンが、15.9、16.7、および21.2の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに8.6、9.7、10.5、15.6、17.9、20.3、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、実施形態122~125のいずれか1つに記載の結晶形態。
127.結晶形態が、221.3℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、実施形態122~126のいずれか1つに記載の結晶形態。
128.結晶形態が、ジオキサン溶媒和物である、実施形態122~127のいずれか1つに記載の結晶形態。
129.治療有効量の実施形態122~128のいずれか1つに記載の結晶形態と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
130.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態129に記載の医薬組成物。
131.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態129または130に記載の医薬組成物。
132.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態131に記載の医薬組成物。
133.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態29に記載の医薬組成物。
134.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態133に記載の医薬組成物。
135.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態134に記載の医薬組成物。
136.治療有効量の実施形態122~128のいずれか1つに記載の結晶形態を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製された医薬組成物。
137.式(I)の化合物と、
【化29】
ポリマーと、を含む非晶質固体分散体。
138.ポリマーが、HPMCASである、実施形態137に記載の非晶質固体分散体。139.式(I)の化合物およびHPMCASが、約1:1の重量比で存在する、実施形態138に記載の非晶質固体分散体。
140.式(I)の化合物の非晶質固体分散体を調製する方法であって、
【化30】
式(I)の化合物、ポリマー、および溶媒を混合して、混合物を得ることと、
混合物を噴霧乾燥させて、非晶質固体分散体を得ることと、を含む、方法。
141.前述の混合で使用される式(I)の化合物が、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる共結晶の形態である、実施形態140に記載の方法。
142.前述の混合で使用される式(I)の化合物が、5.9、8.1、15.0、15.2、16.9、17.8、18.5、21.1、23.4、26.9、および28.2からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる共結晶の形態である、実施形態140に記載の方法。
143.前述の混合で使用される式(I)の化合物が、11.7、12.8、14.2、17.8、19.8、20.7、21.8、22.2、および25.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶形態である、実施形態140に記載の方法。
144.前述の混合で使用される式(I)の化合物が、11.9、13.2、15.5、17.8、18.6、20.8、23.2、23.9、および26.5からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶形態である、実施形態140に記載の方法。
145.前述の混合で使用される式(I)の化合物が、8.6、10.5、18.2、20.2、21.1、および25.9からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶形態である、実施形態140に記載の方法。146.前述の混合で使用される式(I)の化合物が、8.6、9.7、10.5、15.6、15.9、16.7、17.9、20.3、21.2、24.9、26.6、および27.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶形態である、実施形態140に記載の方法。
147.治療有効量の実施形態137~139のいずれか1つに記載の非晶質固体分散体と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
148.医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態147に記載の医薬組成物。
149.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態147または148に記載の医薬組成物。
150.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態149に記載の医薬組成物。
151.医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の化合物を含む、実施形態147に記載の医薬組成物。
152.医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の化合物を含む、実施形態151に記載の医薬組成物。
153.医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の化合物を含む、実施形態152に記載の医薬組成物。
154.治療有効量の実施形態137~139のいずれか1つに記載の噴霧乾燥分散体を、1つ以上の医薬品賦形剤と混合して、医薬組成物を得ることを含む、プロセスによって調製された医薬組成物。
155.
【化31】
4-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-6-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-1,6-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
156.
【化32】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-1,4-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
157.
【化33】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-4-(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イミノ)-4,5-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-アミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
158.
【化34】
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N2,N4-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジイミン、
またはその薬学的に許容可能な塩である、化合物。
159.治療有効量の実施形態114~117のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、1つ以上の医薬品賦形剤と、を含む、医薬組成物。
160.治療有効量の実施形態1~10および37~44のいずれか1つに記載の共結晶、実施形態57~62、84~90、103~109、および122~128のいずれか1つに記載の結晶形態、実施形態137~139のいずれか1つに記載の非晶質固体分散体、実施形態11~19および63~71のいずれか1つに記載の原薬、実施形態155~158のいずれか1つに記載の化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、または実施形態20~27、45~52、72~79、91~98、110~117、129~136、147~154、および159のいずれか1つに記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを、それを必要としている患者において行う方法。
161.癌が、IDH1変異の存在によって特徴付けられる、実施形態160に記載の方法。
162.IDH1変異が、R132X変異である、実施形態161に記載の方法。
163.IDH1変異が、R132HまたはR132C変異である、実施形態161に記載の方法。
164.IDH1変異が、患者におけるR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸の蓄積をもたらす、実施形態161~163のいずれか1つに記載の方法。
165.癌が、IDH2変異の存在によって特徴付けられる、実施形態160に記載の方法。
166.IDH2変異が、R140X変異である、実施形態165に記載の方法。
167.IDH2変異が、R140Q、R140W、またはR140L変異である、実施形態165に記載の方法。
168.IDH2変異が、R172X変異である、実施形態165に記載の方法。
169.IDH2変異が、R172KまたはR172G変異である、実施形態165に記載の方法。
170.IDH2変異が、患者におけるR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸の蓄積をもたらす、実施形態165~169のいずれか1つに記載の方法。
171.治療有効量の実施形態1~10および37~44のいずれか1つに記載の共結晶、実施形態57~62、84~90、103~109、および122~128のいずれか1つに記載の結晶形態、実施形態137~139のいずれか1つに記載の非晶質固体分散体、実施形態11~19および63~71のいずれか1つに記載の原薬、実施形態155~158のいずれか1つに記載の化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、または実施形態20~27、45~52、72~79、91~98、110~117、129~136、147~154、および159のいずれか1つに記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、IDH変異およびIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを、それを必要としている患者において行う方法。
172.癌が、神経膠腫、急性骨髄性白血病、肉腫、黒色腫、非小細胞肺ガン(NSCLC)、胆管癌、軟骨肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、結腸癌、および血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)から選択される、実施形態160~171のいずれか1つに記載の方法。
173.癌が、神経膠腫である、実施形態160~172のいずれか1つに記載の方法。174.神経膠腫が、低悪性度神経膠腫または二次性の高悪性度神経膠腫である、実施形態173に記載の方法。
175.神経膠腫が、二次性の高悪性度神経膠腫であり、二次性の高悪性度神経膠腫が、膠芽腫である、実施形態173または174に記載の方法。
176.癌が、難治性または再発性である、実施形態160~175のいずれか1つに記載の方法。
177.癌が、新たに診断されたか、または以前に治療されていない、実施形態160~
175のいずれか1つに記載の方法。
178.追加的療法を患者に併用投与することをさらに含む、実施形態160~177のいずれか1つに記載の方法。
179.患者が、癌のための癌治療を以前に投与されている、実施形態160~178のいずれか1つに記載の方法。
180.共結晶、結晶形態、非晶質固体分散体、原薬、化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、または医薬組成物が、式(I)の化合物の量に基づいて、1日当たり約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの量で投与される、実施形態160~179のいずれか1つに記載の方法。
181.共結晶、結晶形態、非晶質固体分散体、原薬、化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、または医薬組成物が、式(I)の化合物の量に基づいて、1日当たり約10mgまたは約50mgの量で投与される、実施形態160~179のいずれか1つに記載の方法。
182.共結晶、結晶形態、非晶質固体分散体、原薬、化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、または医薬組成物が、式(I)の化合物の量に基づいて、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの量で1日2回投与される、実施形態160~179のいずれか1つに記載の方法。
183.共結晶、結晶形態、非晶質固体分散体、原薬、化合物もしくは薬学的に許容可能な塩、または医薬組成物が、式(I)の化合物の量に基づいて、約10mgまたは約50mgの量で1日2回投与される、実施形態160~179のいずれか1つに記載の方法。184.(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、
(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オール、
(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン、および
6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オール、からなる群から選択される、化合物。
【実施例
【0220】
一般的な実験の注記
以下の実施例では、特に断りのない限り、試薬(化学物質)を、商業的供給源(Alfa、Acros、Sigma Aldrich、TCI、およびShanghai Chemical Reagent Companyなど)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0221】
計器および方法
X線粉末回折(XRPD)分析. XRPD分析を、12自動試料ステージを備えたPANalytical Empyrean X線回折計またはBruker D8 Advance X線回折計をのいずれかで実施した。
【0222】
PAnalytical Empyrean回折計上でのXRPD分析に使用されるパラメータが、表2に提供される。
【表2】
【0223】
Bruker D8 Advance回折計上でのXRPD分析に使用されるパラメータが、表3に提供される。
【表3】
【0224】
Hおよび13C NMR分析 別途指定がない限り、Hおよび13C液体NMRスペクトルを、Bruker 400MHz NMR分光計上で収集した。
【0225】
動的水蒸気吸着(DVS)分析. DVSを、SMS(表面測定システム)DVS Intrinsicを介して測定した。25℃での相対湿度を、LiCl、Mg(NO、およびKClの潮解点に対して較正した。DVS分析に使用されるパラメータが表4に列挙される。
【表4】
【0226】
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)分析-方法1.本明細書でHPLC方法1と
して特定された勾配逆相HPLC手順を、表5に記載される条件下で実施した。
【表5】
【0227】
高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)分析-方法2.本明細書でHPLC方法2として特定された無勾配順相HPLC手順を、表5に記載される条件下で実施した。
【表6】
【0228】
実施例1
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物1)の調製
【化35】
実施例において化合物1と称される6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンの合成は、米国特許出願公開第2015/0018328 A1号の段落[1032]~[1036]に記載され、それらの段落は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0229】
一部の条件下で、化合物1は、以下のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、
1つ以上の互変異性型で少なくとも部分的に存在する。
【化36】
【0230】
実施例で使用される場合、「化合物1」という用語は、6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、またはそれらの任意の互変異性体(複数可)を指すと理解されるものとする。上記の互変異性体の二重結合の幾何学的配置は決定されず、したがって、上記の互変異性体を表す化学構造は、特定の二重結合の幾何学的配置を暗示することを意図しない。
【0231】
1つ以上の互変異性体の存在を、溶液相H、13C、および15N NMR分光法によって決定した。NMRスペクトルを、ペンタプローブおよび広帯域プロームを備えたVarian Unity Inova 500 MHz NMR分光計上で収集した。化合物1の試料をCDODまたはDMSO-d6中に溶解し、Hおよび13C NMR化学シフトを対応する溶媒ピークに対して参照した。15N NMR化学シフトを、販売業者の「setref」マクロを使用して設定した。
【0232】
25℃~85℃の温度範囲にわたって測定されるCDOD中の化合物1の一次元
NMRスペクトルが、図1および2に示される。H NMRスペクトルは、メチン領域に複数の共鳴(4.90~5.40ppm)を含み、これは、互変異性の存在と一致して高温(例えば、85℃)で合体した。
【0233】
DMSO-d6中の化合物1の一次元H NMRスペクトル(図3)はまた、互変異性の非存在下で単一の共鳴として現れることが予想されたであろう複数の-NH(8.21、8.49、および8.60ppm)、芳香族(8.25および8.35ppm)、ならびにメチン(4.94および5.11ppm)共鳴を含む。
【0234】
DMSO-d6中の化合物1の一次元13C NMRスペクトル(図4)はまた、互変異性の非存在下で単一の共鳴として現れることが予想されたであろう複数の共鳴を含む。例えば、スペクトルは、メチン炭素に対応する2つの共鳴(46.8および47.1ppm)を含む。
【0235】
DMSO-d6中の化合物1の一次元NOE強化15N NMRスペクトル(図5)はまた、互変異性の非存在下で単一の共鳴として現れることが予想されたであろう複数の共鳴を含む。例えば、スペクトルは、-NH基に対応する3つの共鳴(-285.0、-284.9、および-284.4ppm)を含む。
【0236】
実施例2
(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2)の調製
【化37】
3L三つ口丸底フラスコに、2,4-ジクロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(120g、458.9mmol)(その合成は、米国特許出願公開第2015/0018328 A1号の段落[1034]に記載される)、(R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-アミン塩酸塩(72g、481.5mmol)、および1,4-ジオキサン(960mL)を満たした。混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(303mL、1.735mol)を30C未満で滴下し、得られた混合物を45Cで2時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮した。残渣に水(1L)および酢酸エチル(1L)を添加した。層を分離し、有機層を水(1L×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製して、(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2、135g)を87%の収率で得た。LC-MS(Chromolith SpeedROD、RP-18e、5分間にわたって50*4.6mmのカラム溶出水/CH3CN)実測値(M+1)。H NMR(CDCl)δ
8.38-8.28(m,1H),7.80-7.75(m,1H),7.48-7.46(m,1H),6.05-5.73(m,1H),5.09-4.87(m,1H),1.43-1.38(m,3H)ppm.
【0237】
実施例3
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物3)の調製
【化38】
テトラヒドロフラン(THF)(100mL)中の(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2、20g、59.2mmol)の混合物に、水酸化アンモニウム(NHOH)(40mL)を添加した。反応混合物を25Cで16時間撹拌した。混合物に水(100mL)および酢酸エチル(100mL)を添加した。層を分離し、有機層を水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をエタノール(36mL)およびn-ヘプタン(36mL)から再結晶化して、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物3、10.2g)を白色固体として54%の収率で得た。LC-MS(Chromolith SpeedROD、RP-18e、5分間にわたって50*4.6mmのカ
ラム溶出水/CH3CN)実測値(M+1)=319。H NMR(DMSO-d)δ 8.33-8.00(m,3H),7.65(d,1H),7.40-7.21(m,2H),5.13-4.86(m,1H),1.33(d,3H)ppm.
【0238】
実施例4
(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オール(化合物4)の調製
【化39】
1L三つ口丸底フラスコに、(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2、20g、59.2mmol)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)(200mL)、酢酸ナトリウム(24g、292.6mmol)、および酢酸(7.2g、119.9mmol)を25Cで満たした。反応混合物を100℃で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水(1L)およびジクロロメタン(DCM)(400mL)を添加した。層を分離し、有機層を水(200mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィによって精製し、次いで酢酸エチル(30mL)中で粉砕して、(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オール(化合物4、10.4g)を白色固体として55%の収率で得た。LC-MS(Chromolith SpeedROD、RP-18e、5分間にわたって50*4.6mmのカラム溶出水/CH3CN)実測値(M+1)=320。H NMR(DMSO-d)δ 11.85(br.s,1H),8.78-8.13(m,3H),7.84(d,1H),5.16-4.86(m,1H),1.34(d,3H)ppm.
【0239】
実施例5
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物5)の調製
【化40】
テトラヒドロフラン(THF)(100mL)中の(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2、30g、88.7mmol)の混合物に、イソプロピルアミン(15.3mL、186.4mmol)を添加した。反応混合物を
15~20Cで一晩撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(70mL)およびn-ヘプタン(140mL)から再結晶化して、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-イソプロピル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物5、20.4g)を白色固体として64%の収率で得た。LC-MS(Chromolith SpeedROD、RP-18e、5分間にわたって50*4.6mmのカラム溶出水/CH3CN)実測値(M+1)=361。H NMR(CDCl)δ 8.25-8.19(m,1H),7.72-7.68(m,1H),7.38(d,1H),5.39-5.33(m,2H),5.03-4.86(m,1H),4.15-4.08(m,1H),1.35-1.29(m,3H),1.19-1.17(m,6H)ppm.
【0240】
実施例6
(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物6)の調製
【化41】
テトラヒドロフラン(THF)(100mL)中の(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン(化合物2、30g、88.7mmol)の混合物に、エチルアミン(12g、水中65~70%)を添加した。反応混合物を15~20Cで一晩撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(70mL)およびn-ヘプタン(140mL)から再結晶化して、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-エチル-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物6、20.2g)を白色固体として65%の収率で得た。LC-MS(Chromolith SpeedROD、RP-18e、5分間にわたって50*4.6mmのカラム溶出水/CH3CN)実測値(M+1)=347。H NMR(CDCl)δ 8.25-8.19(m,1H),7.72-7.68(m,1H),7.38(d,1H),5.52-5.16(m,2H),4.94-4.88(m,1H),3.54-3.35(m,2H),1.35-1.29(m,3H),1.20-1.14(m,3H)ppm.
【0241】
実施例7
6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オール(化合物7)の調製
【化42】
ナトリウムメトキシド溶液(CHONa)(150mL、メタノール中30重量%)に、6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物1、30g、72.3mmol)を15~20℃で数回に分けて添加した。反応混合物を加熱還流させ、4時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、氷水(300mL)中に10℃未満で注いだ。反応混合物に、ジクロロメタン(DCM)(500mL)を添加した。層を分離し、有機層を水(200mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して、6-(6-メトキシピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(27g)を白色固体として90%の収率で得た。H NMR(DMSO-d)δ 8.31-8.12(m,2H),7.92-7.83(m,2H),6.99-6.97(m,1H),5.10-4.93(m,2H),3.94(s,3H),1.35(m,6H)ppm.
【0242】
臭化水素(HBr)(200mL、40重量%水溶液)中の6-(6-メトキシピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(20g、48.7mmol)の溶液を100℃で4時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水(1L)を添加し、水酸化ナトリウムを加えた(1N水溶液)を添加してpHを7に調節した。得られたスラリーを濾過し、固体を酢酸エチル(200mL)中に溶解した。有機層を水(200mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮して、6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オール(化合物7、18g)を白色固体として93%の収率で得た。LC-MS(Chromolith SpeedROD、RP-18e、5分間にわたって50*4.6mmのカラム溶出水/CH3CN)実測値(M+1)=397。H NMR(DMSO-d)δ 11.32(br.s,1H),8.48-8.00(m,2H),7.63-7.56(m,1H),7.33-7.18(m,1H),6.62-6.58(m,1H),5.66-5.45(m,1H),5.00-4.87(m,1H),1.30(m,6H)ppm.
【0243】
実施例8
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物8)の調製
【化43】
実施例において化合物8と称される6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンの合成は、米国特許出願公開第2015/0018328 A1号の段落[1032]~[1034]、[1037]、および[1040]~[1041]に記載され、それらの段落は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0244】
実施例9
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物9)の調製
【化44】
実施例において化合物9と称される6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミンの合成は、米国特許出願公開第2015/0018328 A1号の段落[1032]~[1034]および[1037]~[1039]に記載され、それらの段落は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
実施例10
6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物1)の代替的な調製
【化45】
化合物1の代替的な調製がスキーム1に記載される。
【0246】
【化46】
ステップ1:6-(6-クロロピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物A)の調製
2000L反応器をエタノール(344kg)、6-クロロピコリン酸メチル(20.1kg、117.1mol)、およびビウレット(2-イミドジカルボンジアミド)(14.85kg、140.5mol)で満たした。得られた混合物を30~35℃まで温め、この温度で30~60分間撹拌し、この時点で、オルトギ酸トリメチル(15.4kg、140.5mol)およびトリフルオロ酢酸(1.4kg、12.3mol)を添加した。得られた混合物を50~55℃まで温め、この温度で2時間撹拌し、次いで25~30℃まで冷却した。水(200kg)を添加し、HCl(35%水性)の添加によってpHを1以下に調節した。混合物を30~35℃で2~4時間撹拌し、次いで濾過した。湿潤ケーキを60%水性エタノール(185kg)で洗浄し、反応器に戻した。ジクロロメタン(213kg)を添加し、得られた混合物を25~30℃で2~3時間撹拌し、次いで濾過した。湿潤ケーキをジクロロメタン(40kg)で洗浄し、45~50℃において真空下で40~80時間乾燥させて、粗化合物A(11.7kg)を得た。
【0247】
粗化合物A(11.5kg)およびDMSO(250kg)を2000L反応器に添加し、得られた混合物を25~30℃で2~4時間撹拌し、次いで濾過した。湿潤ケーキを水(38kg)で洗浄し、次いでケーキを反応器に戻した。水(227kg)を反応器に添加し、得られた混合物を25~30℃で30~60分間撹拌し、次いで濾過した。湿潤ケーキを水(50kg)で洗浄し、45~50℃において真空下で30~60時間乾燥させて、化合物A(9.05kg)を得た。
【0248】
ステップ2:2,4-ジクロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-1,3,5-トリアジン(化合物B)の調製
250L反応器を化合物A(8.9kg、39.7mol)、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(19.0kg、79.4mol)、およびPOCl(37.0kg、238.2mol)で満たした。得られた混合物を95~105℃で18~24時間撹拌し、30~40℃まで冷却し、減圧下で18~36Lまで濃縮した。酢酸エチル(3×53.0kg)を添加し、得られた溶液を減圧下で18~36Lまで濃縮した。追加の酢酸エ
チル(112.0kg)を添加し、得られた混合物を10~20℃まで冷却した。
【0249】
1000L反応器をNaHPO(6.6kg)、NaHPO 2HO(20.0kg)、およびプロセス水(98.0kg)で満たし、混合物を0~15℃まで冷却した。250L反応器内の溶液を1000L反応器に移した。酢酸エチル(26kg)を250L反応器に満たし、1000L反応器に移した。得られた溶液を15~25℃で2~4時間撹拌し、次いで30~60分間放置した。層を分離し、有機層を水性塩化ナトリウムで3回洗浄した。酢酸エチル(133.0kg)を有機層に添加し、得られた溶液をカートリッジフィルタを通して別個の反応器に移した。溶液を減圧下で1~2体積まで濃縮し、追加の酢酸エチル(54.0kg)を添加し、溶液を減圧下で1~2体積まで再び濃縮した。N-ヘプタン(2×50.0kg)を2~3時間にわたって添加し、得られた混合物を1~2時間撹拌し、次いでn-ヘプタンの各添加後に減圧下で3~5体積まで濃縮した。次いで、混合物を濾過し、湿潤ケーキを反応器に戻し、n-ヘプタン(40.0kg)でスラリー化し、濾過した。湿潤ケーキをフィルタ内で20~30℃において10~15時間乾燥させて、化合物B(9.4kg)を得た。
【0250】
ステップ3:6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N,N-ビス((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(化合物1)の調製
300L反応器を化合物B(7.3kg、27.9mol)、(R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-アミン塩酸塩(9.7kg、64.2mol)、およびN-メチル-2-ピロリドン(44.4kg)で満たした。反応混合物を10~25℃まで冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(17.0kg、128.4mol)を約1時間にわたって添加した。混合物を10~20℃で約10分間、45~55℃で約1~2時間、および95~105℃で約20時間撹拌し、次いで45~55℃まで冷却した。プロセス水(4kg)を約1時間にわたって滴下し、得られた溶液を500L反応器に移し、N-メチル-2-ピロリドン(2kg)で洗浄した。追加のプロセス水(34.0kg)を45~55℃で約3時間にわたって滴下し、得られた混合物を20~30℃で約3.5時間撹拌した。追加のプロセス水(7.4kg)を添加し、得られた混合物を遠心分離し、プロセス水(9kg)で洗浄した。湿潤ケーキをプロセス水(89kg)でスラリー化し、得られたスラリーを遠心分離し、プロセス水(21kg)で洗浄した。湿潤ケーキを500L反応器に戻し、アセトニトリル(2×133kg)を添加した。得られた溶液を減圧下で3~5体積まで濃縮し、炭素(1.1kg)および珪藻土(6.0kg)を添加した。混合物を濾過し、アセトニトリル(37kg)で洗浄し、濾液を100L反応器にカートリッジフィルタを通して移した。溶液を減圧下で5~5.5体積まで濃縮し、精製水(55kg)をカートリッジフィルタを介して2~3時間にわたって滴下した。混合物を20~30℃で2~5時間で撹拌し、追加の精製水(4kg)を、カートリッジフィルタを介して1時間にわたって滴下した。混合物を濾過し、アセトニトリル/水(15kg、1:1)で洗浄し、湿潤ケーキを50~60℃で20~80時間乾燥させて、化合物1(8.38kg)を得た。
【0251】
実施例11
化合物1のクエン酸共結晶タイプAの調製および特徴付け
20mLバイアルを1.02gの化合物1および508.0mgのクエン酸一水和物で満たし、アセトニトリル(20mL)を添加した。得られた溶液を室温(20~25℃)で24時間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物をブフナー漏斗を通して濾過することによって収集し、固体を室温で15.5時間乾燥させて、化合物1のクエン酸共結晶タイプAを得た。共結晶をXRPD、H NMR、DSC、TGA、およびDVS分析によって分析した。
【0252】
反射モードでPANalytical Empyrean回折計上で取得された共結晶のXRPDパターンが、図6に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表7に列挙される。
【表7】
【0253】
CDOD中で測定した共結晶のH NMRスペクトルが、図7に示される。H NMRスペクトルのピーク積分は、化合物1とクエン酸との間の1:0.5のモル比を明らかにした。部分H NMR(CDOD)δ 8.46-8.42(m,1H),8.00-7.95(m,1H),7.63-7.61(m,1H),2.93(d,J=16 Hz,1H),2.81(d,J=16 Hz,1 H)ppm.
【0254】
共結晶のDSCおよびTGAサーモグラムが図8に示される。DSC分析を、圧着アルミニウムパン内のTA Instruments Q2000 DSCを用いて実施した。温度および熱流を、インジウム溶融に対して較正した。DSC分析を、パージガスとしてNを用いて、10℃/分のランプ速度での室温から所望の温度までの温度範囲にわたって実施した。TGAを、パージガスとしてNを用いて、TA Instruments Q5000 TGAを使用した開口アルミニウムパン内で、室温から所望の温度まで
の10℃/分のランピングで実施した。DSCサーモグラムは、171.5℃の開始温度を有する吸熱ピークを含む。TGAサーモグラムは、最大120℃まで3.5%の重量損失を示す。
【0255】
共結晶の吸湿性を、0~95%の相対湿度の範囲わたる25℃でのDVS分析によって決定した。DVS等温線プロットが図9に示され、80%の相対湿度で0.5%の水分取り込みを示し、クエン酸共結晶がわずかに吸湿性であることを明らかにしている。DVS分析後に残っている材料のXRPD分析は、形態変化が発生しなかったことを確認した。
【0256】
実施例12
化合物1のクエン酸共結晶タイプAの単結晶X線回折分析
構造決定に適したクエン酸共結晶タイプAの単結晶を、n-ブタノール/ヘプタン(1/3、v/v)中の化合物1および無水クエン酸の溶液をゆっくり冷却することによって得た。実験の詳細は、以下のとおりであった。12.5mgの化合物1および6.1mgの無水クエン酸を3mLバイアルに計量して入れた。1.2mLの溶媒(n-ブタノール/ヘプタン、1/3v/v)をバイアルに添加し、混合物を45℃で平衡化して、懸濁液を形成し、これを2つの3mLバイアルに濾過した(0.45μm PTFE膜)。クエン酸共結晶タイプAの種晶を飽和溶液に添加し、次いで、これを0.01℃/分の速度で(4000分間)45℃から5℃まで冷却した。5日後、クエン酸共結晶タイプAの針様結晶を得た。
【0257】
X線強度データを、Bruker D8 ADVANCE回折計(Mo Kα放射線、λ=0.71073 Å)を使用して、290(2)Kで収集した。直接法構造解、差フーリエ計算、およびF2に対する完全行列最小二乗精密化を、SHELXTL(Sheldrick G M.A short history of SHELX.Acta Crystallogr A,2008,64:112-122)およびOLEX2(O.V.Dolomanov,L.J.Bourhis,R.J.Gildea,J.A.K.Howard and H.Puschmann.“OLEX2:a complete structure solution,refinement and analysis program”.J.Appl.Cryst.2009,42,339-341)で実施した。分子グラフィックスを、Diamond(Brandenburg,K.DIAMOND,1999,Crystal Impact GbR,Bonn,Germany)およびMercury(Macrae,C.F.,Edgington,P.R.,McCabe,P.,Pidcock,E.,Shields,G.P.,Taylor,R.,Towler,M.&van de Streek,J.J.Appl.Cryst.2006,39,453-457)によって作成した。
【0258】
クエン酸共結晶タイプAの単結晶構造をうまく解いた。結晶データおよび構造精密化が表8に列挙される。結晶構造のORTEP図が図10に示され、単位セルが図11に示される。結晶構造では、化合物1:クエン酸: H2Oのモル比は、2:1:1である。単位セル当たり化合物1の4つの分子、2つのクエン酸分子、および2つ水分子が存在する。
【表8】
【0259】
実施例13
化合物1のマレイン酸共結晶タイプAの調製および特徴付け
化合物1(100.4mg)およびマレイン酸(28.3mg)をアセトン(2.0mL)中に溶解し、得られた溶液を室温で1日撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を単離し、室温で空気乾燥させて、化合物1のマレイン酸共結晶タイプAを得た。共結晶をXRPD、H NMR、DSC、TGA、およびDVS分析によって分析した。
【0260】
反射モードでPANalytical Empyrean回折計上で取得された共結晶のXRPDパターンが、図12に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表9に列挙される。
【表9】
【0261】
CDOD中で測定した共結晶のH NMRスペクトルが、図13に示される。
NMRスペクトルのピーク積分は、化合物1とマレイン酸との間の約1:1.1のモル比を明らかにし、共結晶中の化合物1対マレイン酸の比が1:1であることを示唆している。部分H NMR(CDOD)δ 8.45-8.41(m,1H),8.01-7.96(m,1H),7.67-7.62(m,1H),6.31(s,2H).
【0262】
共結晶のDSCおよびTGAサーモグラムが図14に示される。DSC分析を、圧着アルミニウムパン内のTA Instruments Q2000 DSCを用いて実施した。温度および熱流を、インジウム溶融に対して較正した。DSC分析を、パージガスとしてNを用いて、室温から所望の温度までの温度範囲および10℃/分のランプ速度で実施した。TGAを、パージガスとしてNを用いて、TA Instruments Q5000 TGAを使用した開口アルミニウムパン内で、室温から所望の温度までの10℃/分のランピングで実施した。DSCサーモグラムは、91.2℃および128.4℃の開始温度を有する2つの吸熱ピークを含む。TGAサーモグラムは、最大115℃までの2.5%の重量損失を示す。
【0263】
共結晶の吸湿性を、0~95%の相対湿度の範囲わたる25℃でのDVS分析によって決定した。DVS等温線プロットが図15に示され、80%の相対湿度で2.0%の水分取り込みを示し、マレイン酸共結晶がわずかに吸湿性であることを明らかにしている。DVS分析後に残っている材料のXRPD分析は、形態変化が発生しなかったことを確認した。
【0264】
実施例14
化合物1のクエン酸共結晶タイプAの調製および特徴付け
100L反応器を、1.5kg(7.9mol)の無水クエン酸および31.0kgのアセトンで満たした。クエン酸が完全に溶解するまで、混合物を20~30℃で撹拌し、得られた溶液を500L反応器に移した。100L反応器を追加の5.0kgのアセトンで洗浄し、次いで500L反応器に添加した。化合物1(6.73kg、16.2mol)を実施例10に記載されるように調製し、反応器に添加し、化合物1が完全に溶解するまで(約1時間)、混合物を20~30℃で撹拌した。20~30℃でさらに1~2時間撹拌した後、75.0gの精製水を反応器に添加した。N-ヘプタン(13.0kg)を1時間にわたって反応器に添加し、次いでクエン酸共結晶タイプAの種晶(46g)を添加した。混合物を20~30℃で1~2時間撹拌し、次いで追加のn-ヘプタン(104.0kg)を2~4時間にわたって添加した。
【0265】
得られた混合物を20~30℃でさらに2~3時間撹拌し、次いで反応器を10~20℃まで冷却した。混合物を10~20℃で湿式粉砕した(7900rpm)。混合物をろ過し、フィルタケーキを7kgのアセトン/n-ヘプタン溶液(7体積/25体積)で洗浄し、次いで30℃以下で10~20時間乾燥させて、7.15kgのクエン酸共結晶タイプAを得た。単離した共結晶を、元素分析、H NMR分析、13C NMR分析、FTIR分析、UV/可視分光法、XRPD分析、DSC分析、TGA分析、およびHPLC分析によって特徴付けた。
【0266】
共結晶の元素分析の結果が表10に報告される。測定した元素組成は、化合物1:クエン酸:H2Oの2:1:1のモル比に基づき、化学式C3436Cl1212から決定されるように、理論組成と一致している。
【表10】
【0267】
CDOD中で測定した共結晶のHおよび13C NMRスペクトルが、図16および17のそれぞれに示される。H NMRスペクトルのピーク積分は、化合物1とクエン酸との間の1:0.5のモル比を明らかにした。部分H NMR(CDOD)δ 8.43-8.40(m,1H),7.98-7.93(m,1H),7.61-7.59(m,1H),2.91(d,J=16 Hz,1H),2.79(d,J=16 Hz,1 H)ppm.
【0268】
Nicolet IS10 FTIR分光計上で得られた共結晶のFTIRスペクトルが図18に示される。FTIRスペクトルを、減衰全反射アクセサリを使用して固体材料上で得た。スペクトルは、1653、1590、1549、1271、および1143cm-1における帯域を含んだ。
【0269】
アセトニトリル中5.2μg/mLの濃度でAgilent 8453分光光度計上で取得された共結晶のUV/可視スペクトルが、図19に示される。スペクトルは、204nm、216nm、および281nmで最大の吸収帯域を有する。
【0270】
Bruker D8 Advance回折計上で、反射モードで室温において取得された共結晶のXRPDパターンが、図20に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表11に列挙される。
【表11-1】
【表11-2】
【0271】
共結晶のDSCサーモグラムが図21に示される。DSC分析を、10.0℃/分のランプ速度を用い、パージガスとしてNを使用して、TA Q20 DSC機器上で実施した。サーモグラムは、170.6℃の開始温度および173.0℃のピーク温度を有する吸熱ピークを含む。
【0272】
共結晶のTGA曲線が図22に示される。TGAを、10.0℃/分のランプ速度で、パージガスとしてNを使用して、TA Q5000 IR TGAシステム上で実施した。共結晶は、最大136.06℃の1.692%重量損失を示した。約165℃超で急速な重量損失が観察され、これは、分解によって生じると考えられる。
【0273】
共結晶の純度プロファイルをHPLC分析によって決定した(方法1)。化合物2~7の濃度(w/w%)および総不純物が表12に報告される。化合物1~7が1の相対感度係数を有するという仮定に基づいて、濃度(w/w%)をHPLCピーク面積によって決定した。表12に報告される各化合物の濃度(w/w%)は、化合物に起因するHPLCピーク面積を、化合物1および任意の有機不純物に起因する総ピーク面積の割合として反映する。表12に報告される総不純物の濃度(w/w%)は、有機不純物(化合物2~7)に起因する総HPLCピーク面積を、化合物1および任意の有機不純物に起因する総ピーク面積の割合として反映する。化合物1の立体異性体(化合物8および9)は、HPLC方法1の条件下で化合物1と共溶出し、したがって総不純物の濃度に含まれない。
【表12】
【0274】
共結晶の立体化学純度をHPLC分析によって決定した(方法2)。化合物8および9の濃度(w/w%)が表13に報告される。化合物1、8、および9が1の相対感度係数を有するという仮定に基づいて、濃度(w/w%)をHPLCピーク面積によって決定した。表13に報告される化合物8および9の濃度(w/w%)は、化合物に起因するHPLCピーク面積を、化合物1、8、および9に起因する総ピーク面積の割合として反映する。
【表13】
【0275】
実施例15
化合物1のクエン酸共結晶タイプAの調製
30L反応器(反応器1)を1.2kgの化合物1(2.9mol)および1.87kgのアセトンで満たし、得られた混合物を25~28℃で0.5時間撹拌した。第2の反応器(反応器2)を297.9gのクエン酸一水和物(1.42mol)および674gのアセトンで満たし、得られた混合物を25~28℃で0.5時間撹拌した。反応器2の内容物の半分を37~43℃で反応器1に移し、次いでクエン酸共結晶タイプAの種晶(6g)を反応器1に添加した。反応器1内の得られた混合物を37~43℃で1.5時間撹拌した。反応器2の残りの内容物を37~43℃で0.5~1.5時間にわたって反応器1に移し、次いでn-へプタン(6690g)を37~43℃で2.5時間にわたって反応器1に添加した。反応器1を2.5時間にわたって8~12℃まで冷却し、8~12℃で1~3時間撹拌を継続した。
【0276】
次いで、反応器1内の反応混合物を窒素ガス下で濾過し、フィルタケーキを2800mLのアセトン/n-ヘプタン溶液(1/3v/v)で洗浄した。フィルタケーキを25~30℃で16~48時間真空下で乾燥させて、1430gのクエン酸共結晶タイプAを白
色固体として得た。
【0277】
実施例16
化合物1の遊離形態タイプAの調製および特徴付け
実施例10に記載されるように調製された化合物1(450.0g)を、70~80℃で1.0Lの酢酸エチル中に溶解した。4.0Lのn-ヘプタンを70~80℃で溶液中に2時間にわたって滴下した。混合物を3時間にわたって0~10℃まで冷却し、次いで0~10℃で16時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、湿潤ケーキを40~45℃で16時間乾燥させて、結晶遊離形態タイプAの400gの乾燥ケーキを得た。単離した結晶材料を元素分析XRPD分析、DSC分析、TGA分析、およびHPLC分析によって特徴付けた。
【0278】
元素分析の結果が表14に報告される。測定した元素組成は、化学式C1413ClFから決定されるように、理論組成と一致している。
【表14】
【0279】
Bruker D8 Advance回折計上で、反射モードで室温において取得された遊離形態タイプAのXRPDパターンが、図23に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表15に列挙される。
【表15-1】
【表15-2】
【0280】
遊離形態タイプAのDSCサーモグラムが図24に示される。DSC分析を、10.0℃/分のランプ速度を用い、パージガスとしてNを使用して、TA Q20 DSC機器上で実施した。サーモグラムは、221.9℃の開始温度および223.1℃のピーク温度を有する吸熱ピークを含む。
【0281】
遊離形態タイプAのTGA曲線が図25に示される。TGAを、10.0℃/分のランプ速度で、パージガスとしてNを使用して、TA Q5000 IR TGAシステム上で実施した。曲線は、0.011%の重量損失を反映する。
【0282】
遊離形態タイプAの純度プロファイルをHPLC分析によって決定した(方法1)。化合物2~7の濃度(w/w%)および総不純物が表16に報告される。化合物1~7が1の相対感度係数を有するという仮定に基づいて、濃度(w/w%)をHPLCピーク面積によって決定した。表16に報告される各化合物の濃度(w/w%)は、化合物に起因するHPLCピーク面積を、化合物1および任意の有機不純物に起因する総ピーク面積の割合として反映する。表16に報告される総不純物の濃度(w/w%)は、有機不純物(化合物2~7)に起因する総HPLCピーク面積を、化合物1および任意の有機不純物に起因する総ピーク面積の割合として反映する。化合物1の立体異性体(化合物8および9)は、HPLC方法1の条件下で化合物1と共溶出し、したがって総不純物の濃度に含まれない。
【表16】
【0283】
遊離形態タイプAの立体化学純度をHPLC分析によって決定した(方法2)。化合物8および9の濃度(w/w%)が表17に報告される。化合物1、8、および9が1の相対感度係数を有するという仮定に基づいて、濃度(w/w%)をHPLCピーク面積によって決定した。表17に報告される化合物8および9の濃度は、化合物に起因するHPLCピーク面積を、化合物1、8、および9に起因する総ピーク面積の割合として反映する。
【表17】
【0284】
実施例17
化合物1の遊離形態タイプAの単結晶X線回折分析
化合物1の単一無色針状結晶を、低速蒸発によってジクロロメタンとトルエンの混合物から再結晶化した。
【0285】
好適な結晶(0.55×0.17×0.11mm3)を選択し、パラトン油を用いてナイロンループ上に載置した。T=173(2)Kで動作するOxford Cryosystems低温装置を装備したBruker APEX-II CCD回折計を使用して、データを収集した。
【0286】
CuKα放射線(密封管、40kV、30mA)を使用して、30.00sに対して1フレーム当たり1.00°のωおよびφスキャンを使用して、データを測定した。実行および画像の総数は、プログラムCOSMO(BRUKER、V1.61、2009)からの戦略計算に基づいていた。実際に達成した分解能は、Θ=72.008であった。
【0287】
セルパラメータを、SAINT(Bruker、V8.34A、2013)ソフトウェアを使用して取得し、SAINT(Bruker、V8.34A、2013)を使用して、9424の反射、観察された反射のうちの34に対してSAINT(Bruker、V8.34A、2013)を使用して精密化した。
【0288】
ローレンツ偏光を補正するSAINT(Bruker、V8.34A、2013)ソフトウェアを使用して、データ整理を実施した。最終的な完全性は、Θで100.00から72.008である。この材料の吸収係数(MU)は、2.490であり、最小透過および最大透過は、0.5542および0.7536である。
【0289】
ShelXS(Sheldrick G M.A short history of
SHELX.Acta Crystallogr A,2008,64:112-122)構造解プログラムを使用した直接法によって構造が解き、XLのバージョン2014/6(Sheldrick G M.A short history of SHELX.Acta Crystallogr A,2008,64:112-122)を使用)を使用した最小二乗によって精密化した。
【0290】
構造を空間群C2221(#20)で解いた。全ての非水素原子を異方的に精密化した。水素原子位置を、ヘテロ原子上に存在するものを除き、幾何学的に計算し、ライディングモデルを使用して精密化した。これらを差フーリエ法によって見出し、等方的に精密化した。
Olex2(O.V.Dolomanov,L.J.Bourhis,R.J.Gildea,J.A.K.Howard and H.Puschmann.“OLEX2:a
complete structure solution,refinement and analysis program”.J.Appl.Cryst.2009,42,339-341)に組み込まれたF2、ShelXL-97上での最小二乗法によって構造を精密化した。全てのH原子を計算された位置に置き、ライディングモデルを使用して精密化した。
【0291】
Flackパラメータを0.025(5)に精密化し、絶対立体化学を確認した。PLATON(A.L.Spek,Single-crystal structure validation with the program PLATON,J.Appl.Cryst.,(2003),36,7-13)内のプログラムを使用した、Bijvoet差に対するベイズ統計学を使用した絶対構造の決定も、我々がこの比較に基づいて正確なエナンチオマーを有することを報告している。
【0292】
結晶データが表18に列挙される。結晶構造のORTEP図が図26に示され、単位セルが図27に示される。単結晶強度データに基づく模擬粉末回折パターンは、実施例17に記載されるように、遊離形態タイプAのXRPDパターンと一致した。
【表18】
【0293】
実施例18
化合物1の遊離形態タイプBの調製および特徴付け
20mLバイアルを100mgの化合物1(遊離形態タイプA)および1mLのメチルイソブチルケトンで満たして、溶液を形成した。ヘプタン(15mL)を滴下し、混合物を室温で90分間撹拌し、その間に沈殿物が形成された。沈殿物を単離し、乾燥させて、化合物1の遊離形態タイプBを得た。遊離形態タイプBを、XRPD、DSC、およびTGA分析によって分析した。
【0294】
反射モードでPANalytical Empyrean回折計上で取得された遊離形態タイプBのXRPDパターンが、図28に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表19に列挙される。
【表19-1】
【表19-2】
【0295】
遊離形態タイプBのDSCおよびTGAサーモグラムが図29に示される。DSC分析を、圧着アルミニウムパン内のTA Instruments Q2000 DSCを用いて実施した。DSC分析を、パージガスとしてNを用いて、10℃/分のランプ速度での室温から300℃までの温度範囲にわたって実施した。TGAを、パージガスとしてNを用いて、TA Instruments Q5000 TGAを使用した開口プラチナパン内で、室温から350℃までの10℃/分のランピングで実施した。DSCサーモグラムは、221.5℃の開始温度を有する吸熱ピークを含む。TGAサーモグラムは
、最大150℃までの2.3%の重量損失を示す。
【0296】
実施例19
化合物1の遊離形態タイプBの単結晶X線回折分析
構造決定に適した単結晶を、THF/ヘプタン(1/3、v/v)共溶媒系における蒸気拡散によって得た。化合物1の遊離形態タイプA(21.0mg)を、0.5mLのTHF/ヘプタン(1/3、v/v)共溶媒を添加しながら3mLバイアルに計量して入れた。溶液をナイロンフィルタ(0.45μm)で濾過し、3つの4mLバイアルに収集した。遊離形態タイプBの種晶をバイアルに添加した。バイアルを20mLバイアル(抗溶媒として4mLのヘプタンを有する)に入れ、20mLバイアルに蓋をした。バイアルを室温で保持し、ヘプタンをTHF/ヘプタン溶液中に拡散させた。3日後、遊離形態タイプBのプレート様結晶を得た。
【0297】
プリズム様結晶からのX線強度データを、Bruker D8 ADVANCE回折計(Mo Kα放射線、λ=0.71073 Å)を使用して、290(2)Kで収集した。遊離形態タイプBの基準試料のXRPDパターンを、室温においてXPERT-3 Empyreanシステムで収集した。
【0298】
直接法構造解、差フーリエ計算、およびF2に対する完全行列最小二乗精密化を、SHELXTL(Sheldrick G M.A short history of SHELX.Acta Crystallogr A,2008,64:112-122)およびOLEX2(O.V.Dolomanov,L.J.Bourhis,R.J.Gildea,J.A.K.Howard and H.Puschmann.“OLEX2:a complete structure solution,refinement and analysis program“.J. Appl. Cryst.2009,42,339-341)で実施した。分子グラフィックスを、Diamond(Brandenburg,K. DIAMOND,1999,Crystal Impact GbR,Bonn,Germany)およびMercury(Macrae,C.F.,Edgington,P.R.,McCabe,P.,Pidcock,E.,Shields,G.P.,Taylor,R.,Towler,M.&van de Streek,J.J. Appl. Cryst.2006,39,453-457)によって作成した。模擬XRPD図を、Mercury(Macrae,C.F.,Edgington,P.R.,McCabe,P.,Pidcock,E.,Shields,G.P.,Taylor,R.,Towler,M.&van de Streek,J.J.Appl.Cryst.2006,39,453-457)によって実施した。
【0299】
遊離形態タイプBの単結晶構造をうまく決定した。遊離形態タイプBは、無水物であり、単位セル当たり化合物1の8つの分子を有することが確認された。結晶データおよび構造精密化の詳細が表20に列挙される。結晶構造のORTEP図が図30に示され、単位セルが図31に示される。単結晶データに基づく模擬XRPDパターンおよび遊離形態タイプBの基準試料から得られた実験XRPDパターンは、よく一致していた。
【表20】
【0300】
実施例20
化合物1の遊離形態タイプCの調製および特徴付け
20mLバイアルを150mgの化合物1(遊離形態タイプA)および1.5mLの1,4-ジオキサンで満たして、溶液を形成した。水(2.25mL)を滴下し、得られた懸濁液を室温で3日間撹拌した。固体材料を単離し、乾燥させて、化合物1の遊離形態タイプCを得た。遊離形態タイプCを、XRPD、DSC、およびTGA分析によって分析した。
【0301】
反射モードでPANalytical Empyrean回折計上で取得された遊離形態タイプCのXRPDパターンが、図32に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表21に列挙される。
【表21】
【0302】
遊離形態タイプCのDSCおよびTGAサーモグラムが図33に示される。DSC分析を、圧着アルミニウムパン内のTA Instruments Q2000 DSCを用いて実施した。DSC分析を、パージガスとしてNを用いて、10℃/分のランプ速度での室温から300℃までの温度範囲にわたって実施した。TGAを、パージガスとしてNを用いて、TA Instruments Q5000 TGAを使用した開口プラチナパン内で、室温から350℃までの10℃/分のランピングで実施した。DSCサーモグラムは、81.9℃(ピーク温度)および221.3℃(開始温度)における吸熱ピークを含む。TGAサーモグラムは、最大150℃までの14.1%の重量損失を示す。
【0303】
実施例21
化合物1の遊離形態タイプCの単結晶X線回折分析
構造決定に適した単結晶を、ACN/HO(4/1、v/v)中の低速蒸発によって得た。化合物1の遊離形態タイプA(4.2mg)およびクエン酸(2.1mg)を、3mLバイアルに計量して入れ、0.5mLのACN/HO(4/1、v/v)を添加した。溶液を単結晶バイアルに濾過し、溶媒を蒸発させた。7日後、遊離形態タイプCのラス結晶を得た。
【0304】
プリズム様結晶からのX線強度データを、Bruker D8 ADVANCE回折計(Mo Kα放射線、λ=0.71073 Å)を使用して、290(2)Kで収集した。遊離形態タイプCの基準試料のXRPDパターンを、室温においてXPERT-3 Empyreanシステムで収集した。
【0305】
直接法構造解、差フーリエ計算、およびF2に対する完全行列最小二乗精密化を、SHELXTL(Sheldrick G M.A short history of SHELX.Acta Crystallogr A,2008,64:112-122)およびOLEX2(O.V.Dolomanov,L.J.Bourhis,R.J.Gildea,J.A.K.Howard and H.Puschmann.“OLEX2:a complete structure solution,refinement and analysis program“.J. Appl. Cryst.2009,42,339-341)で実施した。分子グラフィックスを、Diamond(Brandenburg,K.DIAMOND,1999,Crystal Impact GbR,Bonn,Germany)およびMercury(Macrae,C.F.,Edgington,P.R.,McCabe,P.,Pidcock,E.,Shields,G.P.,Taylor,R.,Towler,M.&van de Streek,J.J.Appl.Cryst.2006,39,453-457)によって作成した。模擬XRPD図を、Mercury(Macrae,C.F.,Edgington,P.R.,McCabe,P.,Pidcock,E.,Shields,G.P.,Taylor,R.,Towler,M.&van de Streek,J.J.Appl.Cryst.2006,39,453-457)によって実施した。
【0306】
遊離形態タイプCの単結晶構造をうまく決定した。遊離形態タイプCは、単位セル当たり化合物1の2つの分子および6つの水分子を有する三水和物であることが確認された。結晶データおよび構造精密化の詳細が表22に列挙される。結晶構造のORTEP図が図34に示され、単位セルが図35に示される。単結晶データに基づく模擬XRPDパターンおよび遊離形態タイプCの基準試料から得られた実験XRPDパターンは、よく一致していた。
【表22】
【0307】
実施例22
化合物1の遊離形態タイプDの調製および特徴付け
化合物1の遊離形態タイプA(135.0mg)を、2.0mLの1,4-ジオキサン/ヘプタン(4:1、v/v)中に懸濁した。懸濁液を室温で17日間撹拌し、固体材料を分離し、空気乾燥させて、化合物1の遊離形態タイプDを得た。遊離形態タイプDを、XRPD、H NMR、DSC、およびTGA分析によって分析した。
【0308】
反射モードでPANalytical Empyrean回折計上で取得された遊離形態タイプDのXRPDパターンが、図36に示される。XRPDパターンのピーク位置、ピーク高さ、およびピークの相対強度が、表23に列挙される。
【表23】
【0309】
遊離形態タイプBのDSCおよびTGAサーモグラムが図37に示される。DSC分析を、圧着アルミニウムパン内のTA Instruments Q2000 DSCを用いて実施した。DSC分析を、パージガスとしてNを用いて、10℃/分のランプ速度での室温から300℃までの温度範囲にわたって実施した。TGAを、パージガスとしてNを用いて、TA Instruments Q5000 TGAを使用した開口プラチナパン内で、室温から350℃までの10℃/分のランピングで実施した。DSCサーモグラムは、79.7℃(ピーク温度)および221.3℃(開始温度)における吸熱ピークを含む。TGAサーモグラムは、最大150℃までの12.48%の重量損失を示す。
【0310】
CDOD中で測定した遊離形態タイプDのH NMRスペクトルが図38に示される。H NMRスペクトルのピーク積分は、遊離形態タイプDがジオキサン溶媒和物であり、化合物1およびジオキサンが約1.0:0.4のモル比で存在することを明らかにした。部分H NMR(CDOD)δ 8.43-8.39(m,1H),7.98-7.92(m,1H),7.61-7.58(m,1H),3.66(s,0.4H).
【0311】
実施例23
化合物1の非晶質固体分散体
化合物1およびHPMCAS(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート)の50:50の噴霧乾燥分散体を調製した。アセトン中の化合物1およびHPMCASの溶液をBuchi B-290上で噴霧乾燥させた。噴霧乾燥後、固体分散体を40℃で一晩乾燥させて、残留溶媒を除去した。得られた材料のXRPD分析は、非晶質形態と一致する回折パターンを明らかにした。材料が単一のガラス転移温度(T=84.6℃)を有する単相固体分散体であることを、DSC分析によって決定した。人工腸液における溶解試験は、材料がインビボでの曝露を達成するのに十分な過飽和を維持することができることを実証した。
【0312】
実施例24
雄のSprague Dawleyラットにおける単一PO投与後の血漿中の化合物1固形形態の薬物動態
研究設計.12匹の雄のSprague Dawleyラット(SLAC Laboratory Animal Co.LTDから購入)を4つの群(1群当たり3匹の動物)に無作為化した。動物を一晩絶食させ、表24に示される化合物1の形態を強制経口投与し、動物に投与後4時間餌を与えた。化合物1の各形態を、0.5%微結晶セルロースと0.1%Tween 80とを含有する水中の懸濁液として投与した。表24に示される用量レベルおよび用量濃度は、遊離化合物1の対応する量に基づく。
【表24】
【0313】
血液採取.投与後0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間、48時間、および72時間後に、各動物から血液を連続的に採取した。各採取について、動物を手動で拘束し、約150μLの血液試料を尾静脈を介してKEDTAチューブに採取した。血液試料を氷上に置き、2000gで5分間遠心分離して、血漿を得た。血漿試料を分析するまで約-70℃で保存した。
【0314】
経口生物学的利用能の計算を可能にするために、化合物を10%N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、10% Solutol HS 15、および80%生理食塩水を含有するビヒクル中に溶解し、雄のSprague-Dawleyラットの別個の群に静脈内(IV)ボーラスとして1mg/kgで投与し、血液試料を上記に示されるのと同様の時点で採取した。さらに、血漿試料を収集した血液試料から得て、分析まで約-70℃で保存した。
【0315】
さらに、実施例23に記載される化合物1の非晶質固体分散体を、0.2mg/mL濃度で、0.5%メチルセルロース(MC)と0.2%Tween80とを含有する水性ビヒクル中に懸濁し、一晩絶食した後の雄のSprague-Dawleyラットの別個の群に単回経口用量として1mg/kgで投与した。血液試料を上記に示されるのと同様の時点で採取した。さらに、血漿を採取し、分析まで約-70℃で保存した。
【0316】
試料調製および分析.血漿試料中の化合物1の濃度を、LC-MS/MS分析によって決定した。
【0317】
各試料の20μLのアリコートを、内部標準(40ng/mL)としてデキサメタゾン
を含有する200μLのアセトニトリルで希釈した。得られた混合物を2分間ボルテックスし、5800rpmで10分間遠心分離した。2μLの試料をLC-MS/MSに注入した。
【0318】
LC-MS/MS分析を、表25に記載される条件下でUPLC/MS-MS-018(API-5500)システム上で実施した。
【表25】
【0319】
結果.4つの研究群の各々における化合物1の平均血漿濃度-時間プロファイルが図39に示される。化合物1の各形態のAUCinfおよび絶対生物学的利用能(%F)が表26に報告される。化合物1のIV投与および噴霧乾燥分散体として化合物1の投与の履歴データも表26に提供される。当該の形態のAUCinfを化合物1のIV投与によって得られたAUCinfで割り、用量の差を補正することによって、化合物1の各形態の絶対生物学的利用能を決定した。表26に報告されるクエン酸塩およびマレイン酸塩共結晶の測定された絶対生物学的利用能は、化合物1の他の形態の測定された生物学的利用能よりも高かった。
【表26】
【0320】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(I)の化合物と、
【化47】

クエン酸と、を含む、共結晶。
(項2)
前記共結晶が、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも1つのピーク位置を含む、反射モードで取得されたX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、上記項1に記載の共結晶。
(項3)
前記X線粉末回折パターンが、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも2つのピーク位置を含む、上記項1または2に記載の共結晶。
(項4)
前記X線粉末回折パターンが、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも3つのピーク位置を含む、上記項1~3のいずれか一項に記載の共結晶。
(項5)
前記X線粉末回折パターンが、5.7、8.4、11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、度2シータ(±0.2度2シータ)における少なくとも4つのピーク位置を含む、上記項1~4のいずれか一項に記載の共結晶。
(項6)
前記X線粉末回折パターンが、5.7および8.4の度2シータ(±0.2度2シータ)におけるピーク位置、ならびに11.4、15.8、18.1、19.2、21.1、22.5、および23.0からなる群から選択される、少なくとも3つのピーク位置を含む、上記項1~5のいずれか一項に記載の共結晶。
(項7)
前記共結晶が、170.6℃(±2.0℃)の開始温度を有する吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラムによって特徴付けられる、上記項1~6のいずれか一項に記載の共結晶。
(項8)
水をさらに含む、上記項1~7のいずれか一項に記載の共結晶。
(項9)
式(I)の前記化合物、クエン酸、および水が、2:1:1のモル比で存在する、上記項1~8のいずれか一項に記載の共結晶。
(項10)
前記共結晶が、単位セル当たり、式(I)の前記化合物の4つの分子、2つのクエン酸分子、および2つの水分子を含む、上記項1~9のいずれか一項に記載の共結晶。
(項11)
上記項1~10のいずれか一項に記載の共結晶を含む、原薬。
(項12)
前記原薬が、1.0%以下(HPLCによる面積%)の(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N -(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N -エチル-N -(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、(R)-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N -イソプロピル-N -(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N ,N -ビス((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N -((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-N4-((S)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン、(R)-4-(6-クロロピリジン-2-イル)-6-((1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-オール、(R)-4-クロロ-6-(6-クロロピリジン-2-イル)-N-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)-1,3,5-トリアジン-2-アミン、および6-(4,6-ビス(((R)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピリジン-2-オールのうちのいずれかを含有する、上記項11に記載の原薬。
(項13)
治療有効量の上記項1~10のいずれか一項に記載の共結晶、または上記項11もしくは12に記載の原薬、および1つ以上の医薬賦形剤を含む、医薬組成物。
(項14)
前記医薬組成物が、1~10%w/wの式(I)の前記化合物を含む、上記項13に記載の医薬組成物。
(項15)
前記医薬組成物が、20~30%w/wの式(I)の前記化合物を含む、上記項13に記載の医薬組成物。
(項16)
前記医薬組成物が、経口的に許容可能な剤形の形態であり、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの式(I)の前記化合物を含む、上記項13~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項17)
前記医薬組成物が、約10mgまたは約50mgの式(I)の前記化合物を含む、上記項16に記載の医薬組成物。
(項18)
式(I)の化合物と、
【化48】

クエン酸と、を含む共結晶を調製する方法であって、
式(I)の前記化合物およびクエン酸を溶媒中に溶解して、溶液を得ることと、
前記共結晶を沈殿させることと、を含む、方法。
(項19)
前記溶媒が、アセトニトリルまたはアセトンを含む、上記項18に記載の方法。
(項20)
前記沈殿が、前記溶液を冷却することを含む、上記項18または19に記載の方法。
(項21)
前記沈殿が、前記溶液から前記溶媒の一部分を蒸発させることを含む、上記項18~20のいずれか一項に記載の方法。
(項22)
前記沈殿が、抗溶媒を前記溶液に添加することを含む、上記項18~21のいずれか一項に記載の方法。
(項23)
前記抗溶媒が、C 5~ 12 アルカンまたはシクロアルカンを含む、上記項22に記載の方法。
(項24)
前記抗溶媒が、トルエンまたはMTBEを含む、上記項22に記載の方法。
(項25)
前記沈殿が、前記溶液に前記共結晶の結晶を播種することを含む、上記項18~24のいずれか一項に記載の方法。
(項26)
前記共結晶を単離することをさらに含む、上記項18~25のいずれか一項に記載の方法。
(項27)
IDH1またはIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを必要としている患者において、それを行う方法であって、治療有効量の上記項1~10のいずれか一項に記載の共結晶、上記項11もしくは12のいずれか一項に記載の原薬、または上記項13~17のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
(項28)
前記癌が、IDH1変異の存在によって特徴付けられる、上記項27に記載の方法。
(項29)
前記IDH1変異が、R132X変異である、上記項28に記載の方法。
(項30)
前記IDH1変異が、R132HまたはR132C変異である、上記項28に記載の方法。
(項31)
前記IDH1変異が、前記患者におけるR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸の蓄積をもたらす、上記項28~30のいずれか一項に記載の方法。
(項32)
前記癌が、IDH2変異の存在によって特徴付けられる、上記項27に記載の方法。
(項33)
前記IDH2変異が、R140X変異である、上記項32に記載の方法。
(項34)
前記IDH2変異が、R140Q、R140W、またはR140L変異である、上記項32に記載の方法。
(項35)
前記IDH2変異が、R172X変異である、上記項32に記載の方法。
(項36)
前記IDH2変異が、R172KまたはR172G変異である、上記項32に記載の方法。
(項37)
前記IDH2変異が、前記患者におけるR(-)-2-ヒドロキシグルタル酸の蓄積をもたらす、上記項32~36のいずれか一項に記載の方法。
(項38)
IDH1変異およびIDH2変異の存在によって特徴付けられる癌を治療することを必要としている患者において、それを行う方法であって、治療有効量の上記項1~10のいずれか一項に記載の共結晶、上記項11もしくは12のいずれか一項に記載の原薬、または上記項13~17のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
(項39)
前記癌が、神経膠腫、急性骨髄性白血病、肉腫、黒色腫、非小細胞肺癌(NSCLC)、胆管癌、軟骨肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、結腸癌、および血管免疫芽球性非ホジキンリンパ腫(NHL)から選択される、上記項27~38のいずれか一項に記載の方法。
(項40)
前記癌が、神経膠腫である、上記項27~39のいずれか一項に記載の方法。
(項41)
前記神経膠腫が、低悪性度神経膠腫または二次性の高悪性度神経膠腫である、上記項40に記載の方法。
(項42)
前記神経膠腫が、二次性の高悪性度神経膠腫であり、前記二次性の高悪性度神経膠腫が、膠芽腫である、上記項40または41に記載の方法。
(項43)
前記癌が、難治性または再発性である、上記項27~42のいずれか一項に記載の方法。
(項44)
前記癌が、新たに診断されたか、または以前に治療されていない、上記項27~42のいずれか一項に記載の方法。
(項45)
追加的療法を前記患者に併用投与することをさらに含む、上記項27~44のいずれか一項に記載の方法。
(項46)
前記患者が、前記癌のための癌治療を以前に投与されている、上記項27~45のいずれか一項に記載の方法。
(項47)
前記共結晶、原薬、または医薬組成物が、式(I)の前記化合物の量に基づいて、1日当たり約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの量で投与される、上記項27~46のいずれか一項に記載の方法。
(項48)
前記共結晶、原薬、または医薬組成物が、式(I)の前記化合物の量に基づいて、1日当たり約10mgまたは約25mgの量で投与される、上記項27~46のいずれか一項に記載の方法。
(項49)
前記共結晶、原薬、または医薬組成物が、式(I)の前記化合物の量に基づいて、約10mg、約25mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約300mgの量で1日2回投与される、上記項27~46のいずれか一項に記載の方法。
(項50)
前記共結晶、原薬、または医薬組成物が、式(I)の前記化合物の量に基づいて、約10mgまたは約25mgの量で1日2回投与される、上記項27~46のいずれか一項に記載の方法。
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