(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】発注予定データ作成装置、発注予定データ作成方法および発注予定データ作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240606BHJP
【FI】
G06Q30/0601 310
(21)【出願番号】P 2023101457
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2019193452の分割
【原出願日】2019-10-24
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 正賢
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-109671(JP,A)
【文献】特開2010-117966(JP,A)
【文献】特開2014-174788(JP,A)
【文献】特開2003-281411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える発注予定データ作成装置であって、
前記記憶部には、
発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データを含む発注依頼データと、
見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データと、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、を含む協定対象設定マスタと、
が格納されており、
前記制御部は、
前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定する判定手段と、
前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成手段と、
を備えること、
を特徴とする発注予定データ作成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記発注予定データから、前記見積依頼ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードを前記見積依頼の対象として表示部に表示する表示手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載の発注予定データ作成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記見積依頼に対して仕入先からの見積回答があった場合、前記見積依頼ステータスを含む前記レコードを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した前記レコードに前記見積回答に含まれる仕入単価および仕入先識別データを更新し、前記抽出手段で抽出した前記レコード中の前記見積依頼ステータスを前記見積回答があった旨を示すステータスである見積回答済ステータスに更新する更新手段と、
前記発注予定データから、前記見積回答済ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコード中の発注対象識別データ、仕入単価および仕入先識別データの組合せを前記協定対象設定マスタに登録する登録手段と、
を更に備えること、
を特徴とする請求項1または2に記載の発注予定データ作成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記発注予定データから、前記見積回答済ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードに基づく発注を確定する確定手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項3に記載の発注予定データ作成装置。
【請求項5】
前記発注対象識別データまたは前記協定対象識別データが、大型機械装置の製造に必要な部品を識別するための部品識別データおよび前記部品についての設計図を識別するための設計図識別データの組合せにより定義されること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の発注予定データ作成装置。
【請求項6】
前記部品が、繰返し発注される量産部品であること、
を特徴とする請求項5に記載の発注予定データ作成装置。
【請求項7】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される発注予定データ作成方法であって、
前記記憶部には、
発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データを含む発注依頼データと、
見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データと、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、を含む協定対象設定マスタと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、
前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定する判定ステップと、
前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする発注予定データ作成方法。
【請求項8】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための発注予定データ作成プログラムであって、
前記記憶部には、
発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データを含む発注依頼データと、
見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データと、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、を含む協定対象設定マスタと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定する判定ステップと、
前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする発注予定データ作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発注予定データ作成装置、発注予定データ作成方法および発注予定データ作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビルダーの負担の増大を抑制しつつ、建物の建築費用の見積精度を向上させることを支援できる見積もり支援装置、情報処理装置および見積もり支援方法が開示されている(特許文献1の0010段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような見積管理の分野においては、仕入先に対して見積の依頼を行ってから発注を行うもの(見積依頼が必要な発注対象)と、仕入先と基本契約で協定を結び見積を通さずに直接発注を行うもの(見積依頼が不要な発注対象)と、がある。
【0005】
ここで、従来においては、購買部等の担当者が、発注予定データ中の発注対象(例えば、ねじ)の1個1個について見積依頼が必要か不要かの判断を手動で行っていたため、業務効率が悪く、また、判断ミスが発生する可能性もあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、見積依頼が必要か不要かのステータスを発注対象ごとに含む発注予定データを作成できる発注予定データ作成装置、発注予定データ作成方法および発注予定データ作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る発注予定データ作成装置は、制御部および記憶部を備える発注予定データ作成装置であって、前記記憶部には、発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データを含む発注依頼データと、見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データと、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、を含む協定対象設定マスタと、が格納されており、前記制御部が、前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定し、前記存在する場合、前記協定対象設定マスタから、前記同じ前記協定対象識別データと紐付く協定先識別データおよび協定単価を取得する取得手段と、前記存在する場合、前記取得手段で取得した協定先識別データおよび協定単価と、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記協定対象である旨を示すステータスである協定品ステータスと、を含むレコード作成し、前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る発注予定データ作成装置は、前記制御部が、前記発注予定データから、前記見積依頼ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードを前記見積依頼の対象として表示部に表示する表示手段を更に備えること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る発注予定データ作成装置は、前記制御部が、前記見積依頼に対して仕入先からの見積回答があった場合、前記見積依頼ステータスを含む前記レコードを抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出した前記レコードに前記見積回答に含まれる仕入単価および仕入先識別データを更新し、前記抽出手段で抽出した前記レコード中の前記見積依頼ステータスを前記見積回答があった旨を示すステータスである見積回答済ステータスに更新する更新手段と、前記発注予定データから、前記見積回答済ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコード中の発注対象識別データ、仕入単価および仕入先識別データの組合せを前記協定対象設定マスタに登録する登録手段と、を更に備えること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る発注予定データ作成装置は、前記制御部が、前記発注予定データから、前記協定品ステータスまたは前記見積回答済ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードに基づく発注を確定する確定手段を更に備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る発注予定データ作成装置は、前記発注対象識別データまたは前記協定対象識別データが、大型機械装置の製造に必要な部品を識別するための部品識別データおよび前記部品についての設計図を識別するための設計図識別データの組合せにより定義されること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る発注予定データ作成装置は、前記部品が、繰返し発注される量産部品であること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る発注予定データ作成方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される発注予定データ作成方法であって、前記記憶部には、発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データを含む発注依頼データと、見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データと、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、を含む協定対象設定マスタと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定し、前記存在する場合、前記協定対象設定マスタから、前記同じ前記協定対象識別データと紐付く協定先識別データおよび協定単価を取得する取得ステップと、前記存在する場合、前記取得ステップで取得した協定先識別データおよび協定単価と、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記協定対象である旨を示すステータスである協定品ステータスと、を含むレコード作成し、前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る発注予定データ作成プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための発注予定データ作成プログラムであって、前記記憶部には、発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データを含む発注依頼データと、見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データと、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、を含む協定対象設定マスタと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定し、前記存在する場合、前記協定対象設定マスタから、前記同じ前記協定対象識別データと紐付く協定先識別データおよび協定単価を取得する取得ステップと、前記存在する場合、前記取得ステップで取得した協定先識別データおよび協定単価と、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記協定対象である旨を示すステータスである協定品ステータスと、を含むレコード作成し、前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、見積依頼が必要か不要かのステータスを発注対象ごとに含む発注予定データを作成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、発注予定データ作成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、発注依頼データ、協定品取引マスタおよび発注予定データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、新たな協定品が登録された協定品取引マスタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る発注予定データ作成装置、発注予定データ作成方法および発注予定データ作成プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
大型機械装置を扱う製造メーカー等においては、設計部が都度部品表を作成して、製造部(生産管理部)にて製造に必要な部材の発注依頼を行っている。購買部では、その発注依頼より仕入先(メーカー)に対して見積依頼を行い、価格決定後に正式発注を行っているが、基本契約で協定を結び、見積を通さず直接発注している部材もある。
【0019】
ここで、従来においては、購買部が、見積および発注の可否を判断して発注処理を行っており、業務の効率面で課題があった。
【0020】
そこで、本実施形態においては、例えば、見積および発注の可否を自動判断させることで業務の効率化およびミス防止を実現し、これにより、適切な発注管理を実現した。なお、本実施形態において、「図番」とは、設計図番号を指し、同じ材料の発注でも設計図番号ごとに仕入先が異なる場合があるため、図番ごとに協定単価を登録できる仕組みとした。
【0021】
つまり、本実施形態においては、購入部品の見積および発注管理を適切かつ効率的に行えるようにしたいという要求に応えるために、例えば、発注検討状況のステータス管理(見積依頼前および見積回答済)を行えるようにして、見積回答の誤入力および誤発注を防げるようにし、更に、協定品取引情報を通して、契約有無を判別して見積可否の自動振分を行えるようにした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0022】
[2.構成]
本実施形態に係る発注予定データ作成装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、発注予定データ作成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
発注予定データ作成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、発注予定データ作成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0024】
発注予定データ作成装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。発注予定データ作成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、発注予定データ作成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、発注予定データ作成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0026】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0027】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0028】
記憶部106は、例えば、発注依頼データ106aと、協定対象設定マスタとしての協定品取引マスタ106bと、発注予定データ106cと、を備えている。
【0029】
発注依頼データ106aは、
図3に示すように、例えば、発注する対象である発注対象を識別するための発注対象識別データと、必要日と、必要数と、等を含む。前記発注対象識別データは、前記発注対象を特定できればいかなるデータであってもよいが、
図3に示すように、例えば、大型機械装置の製造に必要な部品を識別するための部品識別データ(品名)および前記部品についての設計図を識別するための設計図識別データ(図番)の組合せにより定義される。前記部品は、例えば、繰返し発注される量産部品(ねじ等)である。
【0030】
協定品取引マスタ106bは、見積依頼をすることなく発注して良い旨の協定を結んでいる対象である協定対象に関する情報を設定するためのマスタである。協定品取引マスタ106bは、
図3に示すように、例えば、前記協定対象を識別するための協定対象識別データと、前記協定を結んでいる仕入先である協定先を識別するための協定先識別データ(仕入先)と、前記協定対象の仕入単価である協定単価と、等を含む。前記協定対象識別データは、前記協定対象を特定できればいかなるデータであってもよいが、
図3に示すように、例えば、前記部品識別データ(品名)および前記設計図識別データ(図番)の組合せにより定義される。
【0031】
発注予定データ106cは、
図3に示すように、例えば、前記発注対象識別データ(図番および品名)と、希望納期と、必要数と、単価と、仕入先識別データと、ステータスと、等を含む。前記単価としては、協定品取引マスタ106b中の前記協定単価または仕入先からの見積回答に含まれる仕入単価が格納される。前記仕入先識別データとしては、協定品取引マスタ106b中の前記協定先識別データまたは前記見積回答に含まれる仕入先識別データが格納される。前記ステータスは、前記発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記協定対象である旨を示すステータスである協定品ステータス(
図3における「協定品」のステータス)、前記発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータス(
図3における「見積依頼」のステータス)または前記見積回答があった旨を示すステータスである見積回答済ステータス(
図3における「見積回答済」のステータス)である。
【0032】
制御部102は、発注予定データ作成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0033】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記協定対象設定マスタに前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと同じ前記協定対象識別データが存在するか存在しないかを判定し、前記存在する場合、前記協定対象設定マスタから、前記同じ前記協定対象識別データと紐付く協定先識別データおよび協定単価を取得する取得手段としての取得部102aと、(2)前記存在する場合、前記取得手段で取得した協定先識別データおよび協定単価と、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記協定対象である旨を示すステータスである協定品ステータスと、を含むレコード 作成し、前記存在しない場合、前記発注依頼データ中の前記発注対象識別データと、当該発注対象識別データで特定される前記発注対象が前記見積依頼の対象となる旨を示すステータスである見積依頼ステータスと、を含むレコードを作成し、当該作成したレコードを含む発注予定データを作成する作成手段としての作成部102bと、(3)前記発注予定データから、前記見積依頼ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードを前記見積依頼の対象として表示部に表示する表示手段としての表示部102cと、(4)前記見積依頼に対して仕入先からの見積回答があった場合、前記見積依頼ステータスを含む前記レコードを抽出する抽出手段としての抽出部102dと、(5)前記抽出手段で抽出した前記レコードに前記見積回答に含まれる仕入単価および仕入先識別データを更新し、前記抽出手段で抽出した前記レコード中の前記見積依頼ステータスを前記見積回答があった旨を示すステータスである見積回答済ステータスに更新する更新手段としての更新部102eと、(6)前記発注予定データから、前記見積回答済ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコード中の発注対象識別データ、仕入単価および仕入先識別データの組合せを前記協定対象設定マスタに登録する登録手段としての登録部102fと、(7)前記発注予定データから、前記協定品ステータスまたは前記見積回答済ステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードに基づく発注を確定する確定手段としての確定部102gと、を備えている。
【0034】
取得部102aは、協定対象識別データ(図番および品名)と協定先識別データ(仕入先)と協定単価とを含む協定品取引マスタ106bに、発注依頼データ106a中の発注対象識別データ(図番および品名)と同じ協定対象識別データ(図番および品名)が存在するか存在しないかを判定する。前記存在する場合、取得部102aは、協定品取引マスタ106bから、前記同じ協定対象識別データ(図番および品名)と紐付く協定先識別データ(仕入先)および協定単価を取得する。
【0035】
作成部102bは、前記存在する場合、取得部102aで取得した協定先識別データ(仕入先)および協定単価と、発注依頼データ106a中の前記発注対象識別データ(図番および品名)と、「協定品」のステータスと、を含むレコードを作成する。これに対して、作成部102bは、前記存在しない場合、発注依頼データ106a中の前記発注対象識別データ(図番および品名)と、「見積依頼」のステータスと、を含むレコードを作成する。そして、作成部102bは、当該作成したレコードを含む発注予定データ106cを作成する。
【0036】
表示部102cは、発注予定データ106cから、「見積依頼」のステータスを含む前記レコードを抽出し、当該抽出したレコードを前記見積依頼の対象として表示部に表示する。
【0037】
抽出部102dは、前記見積依頼に対して仕入先からの見積回答があった場合、「見積依頼」のステータスを含む前記レコードを抽出する。
【0038】
更新部102eは、抽出部102dで抽出したレコードに前記見積回答に含まれる仕入単価および仕入先識別データ(仕入先)を更新し、抽出部102dで抽出した前記レコード中の「見積依頼」のステータスを「見積回答済」のステータスに更新する。
【0039】
登録部102fは、発注予定データ106cから、「見積回答済」のステータスを含むレコードを抽出し、当該抽出したレコード中の発注対象識別データ(図番および品名)、仕入単価および仕入先識別データ(仕入先)の組合せを協定品取引マスタ106bに登録する。
【0040】
確定部102gは、発注予定データ106cから、「協定品」のステータスまたは「見積回答済」のステータスを含むレコードを抽出し、当該抽出したレコードに基づく発注を確定する。
【0041】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。本項目では、大型機械装置の製造を行うメーカーにおいて本実施形態に係る発注予定データ作成装置100が使用される場面を想定し、設計部での処理、生産管理部での処理および購買部での処理について、
図2のフローに沿って、
図3の具体例を参照しつつ説明をする。
【0042】
[3-1.設計部での処理]
まず、設計部において、
図2に示すように、前記大型機械装置の製造に必要な部品を記した部品表が作成される。
【0043】
[3-2.生産管理部での処理]
続いて、生産管理部において、
図2に示すように、設計部において作成された部品表に基づいて発注依頼データ106aが作成される。そして、当該作成された発注依頼データ106aおよび予め設定された協定品取引マスタ106b(ともに
図3参照)に基づいて、以下のようにして、発注予定データ106cが作成される。
【0044】
(1)仕入先および協定単価の取得
図3の協定品取引マスタ106bを参照すると、
図3の発注依頼データ106a中の図番「Z001-1」および品名「部品A」の組合せと同じ組合せが存在する。この場合、取得部102aは、
図3の協定品取引マスタ106bから、太枠で囲んで示すように、当該同じ組合せと紐付く仕入先「A社」および協定単価「¥100」を取得する。
【0045】
これに対して、
図3の協定品取引マスタ106bを参照すると、
図3の発注依頼データ106a中の図番「Z003-1」および品名「部品A」の組合せと同じ組合せは存在しない。この場合、仕入先および協定単価は取得されない。
【0046】
(2)発注予定データの作成
続いて、(1)において「存在する」ものであった場合、作成部102bは、
図3の発注予定データ106c(見積回答前)のレコードAに示すように、取得部102aで取得した仕入先「A社」および協定単価「¥100」と、図番「Z001-1」および品名「部品A」(発注依頼データ106a中の図番「Z001-1」および品名「部品A」に基づく)と、希望納期10月31日(発注依頼データ106a中の必要日「10月31日」に基づく)と、必要数10(発注依頼データ106a中の必要数「10」に基づく)と、ステータス「協定品」と、を含むレコードAを作成する。
【0047】
これに対して、(1)において「存在しない」ものであった場合、作成部102bは、
図3の発注予定データ106c(見積回答前)のレコードBに示すように、図番「Z003-1」および品名「部品A」(発注依頼データ106a中の図番「Z003-1」および品名「部品A」に基づく)と、希望納期11月10日(発注依頼データ106a中の必要日「11月10日」に基づく)と、必要数20(発注依頼データ106a中の必要数「20」に基づく)と、ステータス「見積依頼」と、を含むレコードBを作成する。
【0048】
そして、作成部102bは、
図3に示すように、当該作成したレコードAおよびBを含む発注予定データ106c(見積回答前)を作成する。
【0049】
[3-3.購買部での処理]
続いて、[3-2]で作成された発注予定データ106c(見積回答前)および仕入先からの見積回答に基づいて、購買部において、以下の(3)で説明する新たな協定品の登録および以下の(4)で説明する発注確定が行われる。
【0050】
(1)発注検討入力(見積依頼)
まず、
図2の「発注検討入力(見積依頼)」において、表示部102cは、見積の依頼が必要となるレコードを画面上に表示する。
【0051】
具体的には、表示部102cは、
図3の発注予定データ106c(見積回答前)から、「見積依頼」のステータスを含むレコードであるレコードBを抽出し、当該抽出したレコードBのみを画面に表示する。なお、当該抽出の際には、抽出条件として、希望納期等がオペレータにより指定されてもよい。
【0052】
(2)発注検討入力(見積回答受領)
続いて、(1)で表示されたレコードBについての見積依頼書が作成されて仕入先への見積依頼がなされ、
図2の「発注検討入力(見積回答受領)」において購買部が仕入先から見積回答を受領すると、抽出部102dは、当該見積回答に含まれる情報の更新対象となるレコードを抽出し、続けて更新部102eは、当該抽出したレコードの更新を行う。
【0053】
具体的には、抽出部102dは、
図3の発注予定データ106c(見積回答前)から、「見積依頼」のステータスを含むレコードであるレコードBを抽出する。このように、見積回答時に、「見積依頼」のステータスを含むレコードが発注予定データ106c(見積回答前)から抽出されることで、例えば、見積回答の誤入力防止が可能となる。
【0054】
続けて、更新部102eは、抽出部102dで抽出したレコードBに、前記見積回答に含まれる仕入単価(¥110とする)および仕入先(C社とする)を更新し、更に、レコードB中のステータスを「見積依頼」から「見積回答済」に更新する。当該更新された情報を、
図3の発注予定データ106c(見積回答後)のレコードBにおいて太枠で囲んで示す。
【0055】
(3)協定品取引登録
続いて、
図2の「協定品取引登録」において、更新部102fは、(2)で更新されたレコードBの情報を協定品取引マスタ106bに登録する。
【0056】
具体的には、登録部102fは、
図3の発注予定データ106c(見積回答後)から、「見積回答済」のステータスを含むレコードであるレコードBを抽出し、当該抽出したレコードB中の図番「Z003-1」、品名「部品A」、仕入先「C社」および仕入単価「¥110」を、協定品取引マスタ106bに新たな協定品情報として登録する。更新された協定品取引マスタ106bを、
図4に示す(
図4において太枠で囲んだ箇所が、新たに登録された情報である)。このように、新たな協定品情報を協定品取引マスタ106bに登録する(「見積回答済」のステータスのレコードを協定品取引マスタ106bに登録する)ことで、次回の発注依頼時に見積可否(協定品対象)の判断が可能となり、また、見積可否判断情報のメンテナンス業務が効率化される。
【0057】
(4)発注確定
最後に、
図2の「発注確定」において、確定部102gは、「協定品」または「見積回答済」のステータスを含むレコードについての発注を確定する。
【0058】
具体的には、確定部102gは、
図3の発注予定データ106c(見積回答後)から、「協定品」のステータスを含むレコードであるレコードAおよび「見積回答済」のステータスを含むレコードであるレコードBを抽出し、当該抽出したレコードAおよびBについての発注を確定する。これにより、レコードAおよびBについての発注書が発行される。
【0059】
このように、「協定品」のステータスを含むレコードを見積確定済として発注書の発行を可能とすることで、例えば、見積可否の自動判断および発注書の誤送信防止が可能となる。また、見積回答を受領することで「見積回答済」のステータスを含むようになったレコードを見積確定として発注書の発行を可能とすることで、例えば、発注書の誤送信防止が可能となる。
【0060】
[4.本実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る発注予定データ作成装置100によれば、見積依頼が必要か不要かのステータスを発注対象ごとに含む発注予定データを作成できる。これにより、購買部の担当者等は、発注対象の1個1個について見積依頼が必要か不要かの判断を手動で行う必要がなくなるため、例えば、業務効率が向上し、また、判断ミスが発生する可能性もなくなる。
【0061】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0062】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0063】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、発注予定データ作成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0065】
例えば、発注予定データ作成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて発注予定データ作成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0066】
また、このコンピュータプログラムは、発注予定データ作成装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0068】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0069】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0070】
また、発注予定データ作成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、発注予定データ作成装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0071】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えば、仕入先と協定単価を結んで取引をする業界において有用である。
【符号の説明】
【0073】
100 発注予定データ作成装置
102 制御部
102a 取得部
102b 作成部
102c 表示部
102d 抽出部
102e 更新部
102f 登録部
102g 確定部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 発注依頼データ
106b 協定品取引マスタ
106c 発注予定データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク